JP2014016587A - 正帯電性磁性トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、結着樹脂と、トナーの質量を基準として30〜60質量%の磁性粉と、を含むトナー母粒子の表面に外添剤が付着している、正帯電性磁性トナーについて、初期のトナーの帯電量Qiと、ストレス付与後のトナーの帯電量QsからQiを減じた値(Qs−Qi)と、をそれぞれ所定の範囲内の値とする。
【選択図】なし
Description
前記正帯電性磁性トナー中の磁性粉の含有量が、前記正帯電性磁性トナーの質量を基準として、30質量%以上60質量%以下であり、
下記方法A:
平均粒子径80μmのノンコートフェライトキャリア10gと、トナー試料0.5gとを、容量20mlのポリ容器に入れ、ターブラーミキサーで前記ポリ容器内の混合物を30秒間撹拌した後に、前記トナー試料の帯電量を測定する方法、
により測定される、初期の前記正帯電性磁性トナーの帯電量Qiが5.8μC/g以上12.5μC/g以下であり、
機械的ストレスが印加されることにより、前記機械的ストレスが印加される前よりも、BET比表面積が10%低下しているストレス付与後の正帯電性磁性トナーの、前記方法Aにより測定される、帯電量をQsとする場合に、前記Qsから前記Qiを減じた値(Qs−Qi)が、−2.0μC/g以上2.0μC/g以下である、正帯電性磁性トナーに関する。
本発明のトナーは、初期のトナーの帯電量Qiが5.8μC/g以上12.5μC/g以下である。また、機械的ストレスが印加されることにより、機械的ストレスが印加される前よりも、BET比表面積が10%低下しているストレス付与後のトナーの帯電量QsからQiを減じた値(Qs−Qi)が、−2.0μC/g以上2.0μC/g以下である。
平均粒子径80μmのノンコートフェライトキャリア10gと、トナー試料0.5gとを容量20mlのポリ容器に投入する。次いで、ポリ容器内のノンコートフェライトキャリアとトナーとを、ターブラーミキサーにより30秒間撹拌する。その後、撹拌されたノンコートフェライトキャリアとトナーとの混合物を試料として用い、帯電量を測定する。
本発明のトナーは、少なくとも、結着樹脂と磁性粉とを含むトナー母粒子の表面に、外添剤が付着している。本発明のトナーのトナー母粒子は、結着樹脂及び磁性粉の他に、必要に応じ、離型剤、着色剤、及び電荷制御剤等を含んでいてもよい。以下、本発明のトナーの必須又は任意の成分である、結着樹脂、磁性粉、離型剤、着色剤、電荷制御剤、及び外添剤と、正帯電性磁性トナーの製造方法とについて順に説明する。
トナー母粒子に含まれる結着樹脂は、従来からトナー用の結着樹脂として用いられている樹脂であれば特に制限されない。結着樹脂の具体例としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、N−ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂のような熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの樹脂の中でも、トナーの帯電性、及びトナーの用紙に対する定着性が優れることから、スチレンアクリル系樹脂、及びポリエステル樹脂が好ましい。以下、スチレンアクリル系樹脂、及びポリエステル樹脂について説明する。
トナー母粒子は、結着樹脂中に磁性粉を含む。結着樹脂中に配合される磁性粉の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。好適な磁性粉の例としては、フェライト、マグネタイトのような鉄酸化物粒子;コバルト、ニッケルのような強磁性金属;鉄、及び/又は強磁性金属を含む合金;鉄、及び/又は強磁性金属を含む化合物;熱処理のような強磁性化処理を施された強磁性合金;二酸化クロムが挙げられる。好適な磁性粉の材料の例としては、フェライト及びマグネタイトが挙げられる。特に、磁性粉の帯電量Qmを調整しやすい点で、マグネタイトが好適に用いられる。
<フェライトキャリアとの摩擦帯電量の測定方法>
平均粒子径80μmのノンコートフェライトキャリア10gと、磁性粉0.3gとを容量20mlのポリ容器に投入する。次いで、ポリ容器内のノンコートフェライトキャリアと磁性粉とを、ターブラーミキサーにより60分間撹拌する。その後、撹拌されたノンコートフェライトキャリアと磁性粉との混合物を試料として用い、帯電量を測定する。
第一鉄塩水溶液に、リン酸ナトリウム水溶液、及びアルカリ水溶液を加えて混合する。混合液を、80℃以上の温度で加熱して水酸化第一鉄コロイドを含む懸濁液を得る。次いで、得られた懸濁液の温度を維持する。次いで、リン酸水溶液を加えながら、空気のような酸素含有ガスを通気して、酸化反応を行い、マグネタイト粒子を含むスラリーを得る。次いで、マグネタイト粒子を含むスラリーからマグネタイト粒子を濾別する。濾別されたマグネタイト粒子を、水洗・乾燥してマグネタイト粒子の凝集物を得る。得られるマグネタイト粒子の凝集物を粉砕して、リン酸塩が担持されたマグネタイト粒子が得られる。
本発明のトナーは、被記録媒体に対する定着性の向上や、定着ローラーにトナーが融着することによるオフセットの発生を抑制する目的で、離型剤を含んでいてもよい。トナーに添加可能な離型剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。離型剤としてはワックスが好ましく、ワックスの例としては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素樹脂系ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックスが挙げられる。これらの離型剤は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの離型剤をトナーに添加することにより、オフセットや像スミアリング(画像をこすった際の画像周囲の汚れ)の発生をより効率的に抑制することができる。
本発明のトナーは、磁性粉を必須の成分として含むため、通常黒色である。このため、トナーは、本発明の目的を阻害しない範囲で、本発明の磁性1成分現像剤を用いて形成した形成画像をより好ましい黒色の色相に調整する目的で、着色剤として、公知の染料又は顔料を含んでいてもよい。具体的には、顔料としてはカーボンブラック等が挙げられ、染料としてはアシッドバイオレット等が挙げられる。
本発明のトナーは、結着樹脂中に電荷制御剤を含んでいてもよい。電荷制御剤は、トナーの帯電レベルや、所定の帯電レベルに短時間でトナーを帯電可能か否かの指標となる帯電立ち上がり特性を向上させ、耐久性や安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。第1実施形態に係るトナーは正帯電性トナーであるため、電荷制御剤として、正帯電性の電荷制御剤が使用される。
本発明のトナーは、結着樹脂と磁性粉とを含むトナー母粒子の表面に、外添剤を付着させたものである。外添剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されず、従来からトナー用に使用されている外添剤から適宜選択できる。好適な外添剤の具体例としては、シリカや、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムのような金属酸化物が挙げられる。これらの外添剤は、2種以上を組み合わせて使用できる。また、これらの外添剤は、アミノシランカップリング剤やシリコーンオイルのような疎水化剤により疎水化して使用することもできる。疎水化された外添剤を用いる場合、高温高湿下でのトナーの帯電量の低下を抑制しやすく、流動性に優れるトナーを得やすい。
以下、本発明のトナーの製造方法について説明する。本発明のトナーは、少なくとも、結着樹脂と磁性粉とを含むトナー母粒子の表面に、外添剤が付着される。
(磁性粉A〜Fの調製)
下記方法に従って、表1に記載の磁性粉A〜Fを調製した。
まず、2.0mol/lのFe2+を含む硫酸第一鉄塩水溶液50リットルと、5.0mol/lの水酸化ナトリウム水溶液40.0リットルと、表1に記載の濃度のリン酸ナトリウム水溶液10リットルとを反応容器に加えて混合した。反応容器内の混合物を85℃に加熱して、水酸化第一鉄コロイドを含む第一鉄塩懸濁液を生成させた。
また、磁性粉A〜Fの形状を、走査型電子顕微鏡(JSM−7600(日本電子株式会社製)により撮影した写真(倍率30000倍)にて確認した。磁性粉A〜Eの形状は、8個の三角形で囲まれた凸多面体である八面体であり、磁性粉Fの形状は、球形であった。
平均粒子径80μmのノンコートフェライトキャリア(F−80(パウダーテック株式会社製))10gと、磁性粉試料0.3gとを容量20mlのポリ容器に投入した。次いで、ポリ容器内のノンコートフェライトキャリアと磁性粉とを、ターブラーミキサーにより60分間撹拌した。その後、撹拌されたノンコートフェライトキャリアと磁性粉との混合物を試料として用い、吸引式帯電量測定装置(210HS−2A(TReK社製))により、磁性粉の摩擦帯電量を測定した。
(ポリエステル樹脂の調製)
温度計、ステンレススチール製撹拌機、ガラス製窒素導入管、及び流下式コンデンサーを備える容量2リットルの4つ口フラスコを反応容器として用いた。エチレングリコール50モル%、テレフタル酸40モル%、1,2,4−トリベンゼンカルボン酸無水物10モル%を各々反応容器に仕込んだ。反応容器をマントルヒーター上に置き、ガラス製窒素導入管より窒素ガスを反応容器内に導入して、反応容器内を不活性雰囲気とした。次いで、単量体の混合物を撹拌しながら反応容器の内温を220℃に昇温し、同温度で撹拌を継続して重合反応を行った。重合反応中に、反応容器中の樹脂を少量採取して酸価の測定を行い、酸価が5mgKOH/gに達した時点で重合反応を停止した。反応容器の内容物をステンレス製のバットに取り出し、室温まで冷却し、ポリエステル樹脂を得た。
表2及び3に記載の種類及び量の磁性粉を用い、実施例1〜8、及び比較例1〜8の正帯電性磁性トナーを得た。具体的なトナーの製造処方は以下の通りである。
調製例2で調整したポリエステル樹脂45質量%と、正帯電性電荷制御剤(FCA−207P(藤倉化成株式会社製))5質量%と、表2及び3に記載の種類及び量の磁性粉と、離型剤(カルナバワックス(加藤洋行株式会社製))5質量%とをヘンシェルミキサー(FM−20(日本コークス工業株式会社製))により、回転数2000rpmの条件で、5分間混合した。得られた混合物を2軸押出機(PCM−30(株式会社池貝製))により、溶融混錬温度(シリンダー温度)100℃、回転数120rpm、処理速度100g/分の条件にて溶融混練した。得られた溶融混練物をロートプレックス粉砕機(アルピネ社製)で2mm程度に粗粉砕し、機械式粉砕機(ターボミル T250(フロイント・ターボ株式会社製))にて粉砕した。得られた粉砕物を風力分級機(EJ−L3型(日鉄鉱業株式会社製))にて分級して、平均粒子径8μmのトナー母粒子を得た。
下記方法Aに従って、上記の製造処方により得られた実施例1〜8、及び比較例1〜8のトナーについて、初期トナーのフェライトキャリアとの摩擦帯電量Qiと、ストレス付与後のトナーの摩擦帯電量Qsとを測定した。なお、摩擦帯電量Qsはストレスが付与されることにより、BET比表面積が初期トナーのBET比表面積に対して10%低下した状態のトナーのフェライトキャリアとの摩擦帯電量である。
平均粒子径80μmのノンコートフェライトキャリア(F−80(パウダーテック株式会社製))10gと、トナー試料0.5gとを容量20mlのポリ容器に投入した。次いで、ポリ容器内のノンコートフェライトキャリアとトナーとを、ターブラーミキサーにより30秒間撹拌した。その後、撹拌されたノンコートフェライトキャリアとトナーとの混合物を試料として用い、吸引式帯電量測定装置(210HS−2A(TReK社製))により、トナーの摩擦帯電量を測定した。
プリンター(LS−4020DN(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製)、定着ニップ幅6mm、線速300mm/秒)の現像部に、トナー試料200gを充填し、トナーコンテナにトナー試料300gを充填した。23℃50%RH環境下にて、印字率1%で、連続して被記録媒体に画像を形成することで、現像部内での撹拌による機械的ストレスをトナー試料に印加した。現像部内のトナーを、1000枚印字する毎に採取し、BET比表面積測定装置(Macsorb 1208(マウンテック社製))により、採取されたトナーのBET比表面積を測定した。1000枚画像を形成する毎に測定されるトナーのBET比表面積の値を元に、一方の軸を画像形成枚数に関する軸とし、他方の軸をトナーのBET比表面積に関する軸とする2軸平面に、画像形成枚数毎の、現像部内のトナーのBET比表面積をプロットした。得られる画像形成枚数と、現像部内のトナーのBET比表面積との相関関係を示すグラフから、トナーのBET比表面積が10%低下するであろう、画像形成枚数の予測値を読み取った。次いで、現像部内を空にした後、再度、現像部に未使用のトナーを充填し、前述の予測値の枚数の画像を形成した。予測値の枚数の画像の形成後、現像部内のトナーのBET比表面積を測定した。実施例1〜8、及び比較例1〜8の何れのトナーも、その時のトナーのBET比表面積が、初期のトナーのBET比表面積より9.5%以上10.5%未満の範囲で低下していた。
実施例1〜8、及び比較例1〜8のトナーを用いて、高温高湿環境下での評価、低温低湿環境下での評価、及び耐オフセット性評価を行った。なお、各評価は、定着温度を調節できるように改造したプリンター(LS−4020DN(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製)の改造機、定着ニップ幅6mm、線速300mm/秒)が備える現像部にトナー200g充填し、トナーコンテナにトナー試料300gを充填して行った。
下記方法に従って、高温高湿環境下(30℃、80%RH)で24時間静置されたトナーを用いて画像を形成し、得られた形成画像について画像濃度、及びかぶり濃度を測定した。測定結果を表2及び3に記す。画像濃度、及びかぶり濃度の測定を、反射濃度計(TC−6DS(有限会社東京電色製))を用いて行った。評価用の画像を、以下の方法に従って形成した。
まず、30℃80%RH環境下にてプリンターと、トナーが充填された現像部及びトナーコンテナとを24時間静置した後、現像部とトナーコンテナとをプリンターにセットし、印字率1%で、連続して5,000枚の被記録媒体に画像形成を行った。その後、画像濃度評価用の2.5cm×2.5cmのベタ画像と、かぶり濃度評価用の白紙画像とをそれぞれ被記録媒体に出力した。
<画像濃度評価>
画像濃度は、ベタ画像の略中心の画像濃度に基づいて、下記基準により評価した。
○:画像濃度が1.1以上。
×:画像濃度が1.1未満。
<かぶり濃度>
かぶり濃度評価は、白紙画像の画像濃度から、画像出力前の白紙の画像濃度を差し引いた値(かぶり濃度)に基づいて、下記基準により評価した。
○:0.010以下。
×:0.010超。
トナーとして、低温低湿環境下(10℃、20%RH)で24時間静置されたトナーを用いることの他は、高温高湿環境下での評価と同様にして、画像濃度とかぶり濃度とを評価した。
下記方法に従って、耐低温オフセット性と、高温オフセット性の評価を行った。評価結果を表2及び3に記す。
<耐低温オフセット性評価>
定着温度を170℃として、連続して10枚の被記録媒体に形成した2.5cm×2.5cmのベタ画像について、目視で、低温オフセットの発生の有無を判断した。耐低温オフセット性を、下記基準により評価した。
○:低温オフセットの発生無し。
×:低温オフセットの発生有り。
<耐高温オフセット性評価>
定着温度を210℃として、連続して10枚の被記録媒体に形成した2.5cm×2.5cmのベタ画像について、目視で、高温オフセットの発生の有無を判断した。耐高温オフセット性を、下記基準により評価した。
○:高温オフセットの発生無し。
×:高温オフセットの発生有り。
Claims (3)
- 少なくとも、結着樹脂と磁性粉とを含むトナー母粒子の表面に、外添剤を付着させた正帯電性磁性トナーであって、
前記正帯電性磁性トナー中の磁性粉の含有量が、前記正帯電性磁性トナーの質量を基準として、30質量%以上60質量%以下であり、
下記方法A:
平均粒子径80μmのノンコートフェライトキャリア10gと、トナー試料0.5gとを、容量20mlのポリ容器に入れ、ターブラーミキサーで前記ポリ容器内の混合物を30秒間撹拌した後に、前記トナー試料の帯電量を測定する方法、
により測定される、初期の前記正帯電性磁性トナーの帯電量Qiが5.8μC/g以上12.5μC/g以下であり、
機械的ストレスが印加されることにより、前記機械的ストレスが印加される前よりも、BET比表面積が10%低下しているストレス付与後の正帯電性磁性トナーの、前記方法Aにより測定される、帯電量をQsとする場合に、前記Qsから前記Qiを減じた値(Qs−Qi)が、−2.0μC/g以上2.0μC/g以下である、正帯電性磁性トナー。 - 前記磁性粉の、下記方法B:
平均粒子径80μmのノンコートフェライトキャリア10gと、磁性粉試料0.3gとを、容量20mlのポリ容器に入れ、ターブラーミキサーで前記ポリ容器内の混合物を60分間撹拌した後に、前記磁性粉試料の帯電量を測定する方法、
により測定される帯電量Qmが、−20.3μC/g以上−10.2μC/g以下である、請求項1記載の正帯電性磁性トナー。 - 前記磁性粉が、リン酸塩が担持されたマグネタイト粒子である、請求項1又は2に記載の正帯電性磁性トナー。
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