JP2013227482A - エチレン系重合体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】次の必須成分(Ad)、(B)および(C)からなるオレフィン重合用触媒を用いることを特徴とするエチレン系重合体の製造方法による。成分(Ad):特定のメタロセン化合物、成分(B):成分(A)のメタロセン化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物、成分(C):微粒子担体
【選択図】なし
Description
さらに、特許文献4には、シクロペンタジエニル基とインデニル基をケイ素架橋した非対称型メタロセンのうちインデニル基の2、4、7位にメチル基を有するメタロセンと変性粘土化合物を用いて、マクロモノマーとして有用なエチレン重合体およびエチレン/ブテン共重合体を製造する触媒系が報告されているが、重合体の末端二重結合が少なく、この触媒単独で長鎖分岐が生成するとの記載はない。
最近、本発明者等は、特許文献5で、シクロペンタジエニル基とインデニル基を架橋基で架橋した非対称型メタロセンのうち、シクロペンタジエニル基上に該架橋基以外の置換基が無く、かつインデニル基3位に水素あるいは特定の置換基を有する、特定の非対称型メタロセンを必須成分としたオレフィン重合用担持触媒を用いてなる成型加工性が改善されたエチレン系重合体の製造方法を報告した。
しかしながら、この発明によれば、伸長粘度の歪硬化度が大きなエチレン系重合体が得られるので、従来の長鎖分岐型ポリエチレンに比べて成型加工性の改良が見られるものの、長鎖分岐の分岐指数が未だ高圧法低密度ポリエチレンには及ばないため、更なる長鎖分岐構造の改良が求められていた。
こうした状況下に、メタロセン系ポリエチレンの成型加工性をいっそう改善するため、十分な数と長さの長鎖分岐を導入したメタロセン系ポリエチレンの製造方法を早期に開発することが求められている。
成分(Ad):次の一般式(1d)で示されるメタロセン化合物
成分(B):成分(Ad)のメタロセン化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
成分(C):微粒子担体
(Bd−1’):MFRB=0.001〜200g/10分
(Bd−2”):密度B=0.85〜0.97g/cm3
(Bd−3):[Mw/Mn]B=2.0〜10.0
(Bd−4’):次の要件(B−4’−i)〜要件(B−4’−iv)の少なくともいずれか1つを充足すること。
(B−4’−i);温度170℃、伸長歪速度2(単位1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測され、かつ、歪硬化後の最大伸長粘度をηMax(t1)、硬化前の伸長粘度の近似直線をηLinear(t)としたとき、ηMax(t1)/ηLinear(t1)で定義される歪硬化度[λmax(2.0)]Bが1.2〜30.0である。
(B−4’−ii);上記(B−4’−i)で定義された[λmax(2.0)]Bと、伸長歪速度を0.1(単位1/秒)として同様に測定した場合の[λmax(0.1)]Bの比[λmax(2.0)]B/[λmax(0.1)]Bが1.2〜10.0である。
(B−4’−iii);示差屈折計、粘度検出器、および光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分子量100万における分岐指数(gC’)が0.30〜0.70である。
(B−4’−iv);示差屈折計、粘度検出器、および光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分子量100万以上の成分の含有量(WC)が0.01〜30%である。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、一般式(1d)又は(2d)中、R3dとR5dがともに水素原子であることを特徴とするエチレン系重合体の製造方法が提供される。
(1)第1〜9のいずれかの発明において、成分(B)がボラン化合物またはボレート化合物であることを特徴とするエチレン系重合体の製造方法。
(2)第1〜9のいずれかの発明において、成分(B)として、有機アルミニウムオキシ化合物(好ましくはアルミノキサン)及びボラン化合物またはボレート化合物を併用することを特徴とするエチレン系重合体の製造方法。
成分(Ad):前述の一般式(1d)で示されるメタロセン化合物
成分(B):成分(A)のメタロセン化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
成分(C):微粒子担体
以下、本発明を、項目毎に具体的に説明する。
本発明のエチレン系重合体の製造方法では、オレフィン重合用触媒として、必須成分(Ad)の下記一般式(1d)で示されるメタロセン化合物を含むことに特徴がある。
また、X1dおよびX2dは、それぞれ独立して、水素原子、または塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、i−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、i−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、アセチル基、1−オキソプロピル基、1−オキソ−n−ブチル基、2−メチル−1−オキソプロピル基、2,2−ジメチル−1−オキソ−プロピル基、フェニルアセチル基、ジフェニルアセチル基、ベンゾイル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−フリル基、2−テトラヒドロフリル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジi−プロピルアミノメチル基、ビス(ジメチルアミノ)メチル基、ビス(ジi−プロピルアミノ)メチル基、(ジメチルアミノ)(フェニル)メチル基、メチルイミノ基、エチルイミノ基、1−(メチルイミノ)エチル基、1−(フェニルイミノ)エチル基、1−[(フェニルメチル)イミノ]エチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、フェノキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、ジi−プロピルアミノ基、ジn−ブチルアミノ基、ジi−ブチルアミノ基、ジt−ブチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられる。
好ましいX1dおよびX2dの具体例としては、塩素原子、臭素原子、メチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、フェノキシ基、ジメチルアミノ基、ジi−プロピルアミノ基が挙げられる。これらの具体例の中でも、塩素原子、メチル基、ジメチルアミノ基が特に好ましい。
さらに、R1dとしては、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などが挙げられる。また、R1dがQ1dおよびQ2dと一緒に環を形成している場合として、シクロブチリデン基、シクロペンチリデン基、シクロへキシリデン基、シラシクロブチル基、シラシクロペンチル基、シラシクロヘキシル基などが挙げられる。
好ましいR1dの具体例として、Q1dまたは/およびQ2dが炭素原子の場合、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、エチレン基、シクロブチリデン基が挙げられ、また、Q1dまたは/およびQ2dがケイ素原子の場合、メチル基、エチル基、フェニル基、シラシクロブチル基が挙げられる。
また、R2dとR3dは、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素を含む炭素数1〜20の炭化水素基または炭素数1〜20の炭化水素基置換シリル基であると、特に重合活性が高くなるので、好ましい。更に、R2dは、炭素数1〜20の炭化水素基であると、特にポリエチレンの成形性に優れる点で、好ましい。
R2dとR3dの好ましい具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2−メチルフリル基、トリメチルシリル基が挙げられる。これらの具体例の中でも、水素原子、メチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、フェニル基、トリメチルシリル基がさらに好ましく、水素原子、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、トリメチルシリル基が特に好ましい。
これらの具体例の中でも、(I)、(III)、(VI)が好ましい。また、これらの部分構造(I)〜(VI)上には、R5dが置換していてもよい。
また、R5dが2つ以上で、結合している炭素原子と一緒に環を形成している場合の例として、ベンゾ[e]インデニル基、ベンゾ[f]インデニル基、6,7−ジヒドロインダセニル基、5,5,7,7−テトラメチル−6,7−ジヒドロインダセニル基、5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[f]インデニル基、5,6,7,8−テトラヒドロ−5,5,8,8−テトラメチル−ベンゾ[f]インデニル基などが挙げられる。
好ましいR5dの具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、トリメチルシリル基が挙げられる。
本発明に係るオレフィン重合用触媒として、必須成分(Ad)のメタロセン化合物は、下記一般式(3d)で示されるものがさらに好ましい。
さらに、これらのメタロセン化合物を必須成分(Ad)として用いるに際しては、2種以上を用いることも可能である。
表1中の、1d〜51d、72d〜77d、84d〜89d、96d〜101d、114d〜129d、134d〜149d等が挙げられる。
また、上記化合物のジルコニウムを、チタニウムまたはハフニウムに代えた化合物等が、好ましいものとして挙げられる。
表1中の、1d〜6d、17d、18d、46d〜49d、115d、117d、118d、121d、123d、125d、127d、129d、135d、137d、139d、141d、143d、145d、147d、149d、等が挙げられる。
また、上記化合物のジルコニウムを、チタニウムまたはハフニウムに代えた化合物等が、好ましいものとして挙げられる。
表1中の、1d〜51、114d〜129d、134d〜149d、等が挙げられる。
表1中の、1d〜6d、17d、18d、46d〜49d、72d〜77d、84d〜89d、96d〜101d、115d、117d、119d、121d、123d、125d、127d、129d、135d、137d、139d、141d、143d、145d、147d、149d、等が挙げられる。
例えば、インデン化合物をリチオ化した後、ジクロロシラン化合物と反応させ、続いて置換基を有するシクロペンタジエンのリチウム塩と反応させることで配位子が得られる。得られた配位子をテトラキス(アルキルアミド)ジルコニウム、続いてトリメチルシリルクロリドと反応させる方法、または、得られた配位子をリチオ化し、続いて四塩化ジルコニウムと反応させる方法などが挙げられる。
本発明のエチレン系重合体の製造方法は、オレフィン重合用触媒の必須成分として、上記成分(Ad)以外に、成分(Ad)のメタロセン化合物(成分(Ad)、以下、単にAdと記すこともある。)と反応してカチオン性メタロセン化合物を形成する化合物(成分(B)、以下、単にBと記すこともある。)および微粒子担体(成分(C)、以下、単にCと記すこともある。)を含むことに、最大の特徴がある。
上記有機アルミニウムオキシ化合物は、分子中に、Al−O−Al結合を有し、その結合数は通常1〜100、好ましくは1〜50個の範囲にある。このような有機アルミニウムオキシ化合物は、通常、有機アルミニウム化合物と水とを反応させて得られる生成物である。
有機アルミニウムと水との反応は、通常、不活性炭化水素(溶媒)中で行われる。不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及び芳香族炭化水素が使用できるが、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素を使用することが好ましい。
R6tAlX33−t・・・式(6)
(式(6)中、R6は、炭素数1〜18、好ましくは1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等の炭化水素基を示し、X3は、水素原子又はハロゲン原子を示し、tは、1≦t≦3の整数を示す。)
[L1−H]+[BR7R8X4X5]−・・・式(7)
フェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテト
ラ(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボ
レート、トリフェニルホスホニウムテトラ(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(2,6
−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートなどを例示することができる。
[L2]+[BR7R8X4X5]−・・・式(8)
本発明のエチレン系重合体の製造法の必須成分(C)である微粒子担体としては、無機物担体、粒子状ポリマー担体またはこれらの混合物が挙げられる。無機物担体は、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩、炭素質物、またはこれらの混合物が使用可能である。
無機物担体に用いることができる好適な金属としては、例えば、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
本発明のエチレン系重合体の製造方法の必須成分であるメタロセン化合物(Ad)と、メタロセン化合物(Ad)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物(B)、および微粒子担体(C)からなるオレフィン重合用触媒を得る際の各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法が任意に採用可能である。
(II)メタロセン化合物(Ad)と、微粒子担体(C)とを接触させた後、メタロセン化合物(Ad)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物(B)を接触させる。
(III)メタロセン化合物(Ad)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物(B)と、微粒子担体(C)とを接触させた後、メタロセン化合物(Ad)を接触させる。
(IV)メタロセン化合物(Ad)と微粒子担体(C)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物またはこれらの混合物と接触させる。
(V)有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物またはこれらの混合物と微粒子担体(C)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下でメタロセン化合物(Ad)と接触させる。
上記(IV)、(V)の接触方法の場合も、成分比、接触条件および溶媒除去条件は、前記と同様の条件が使用できる。
各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法が任意に採用可能である。
(VI)メタロセン化合物(Ad)と有機アルミニウム化合物を接触させた後、層状珪酸塩担体と接触させる。
(VII)メタロセン化合物(Ad)と層状珪酸塩担体を接触させた後、有機アルミニウム化合物と接触させる。
(VIII)有機アルミニウム化合物と層状珪酸塩担体を接触させた後、メタロセン化合物(Ad)と接触させる。
上記したオレフィン重合用触媒は、エチレンの単独重合またはエチレンとα−オレフィンとの共重合に、使用可能である。
本発明で製造されるエチレン系重合体は、次の(Bd−1’)、(Bd−2”)、(Bd−3)および(Bd−4’)の特性を有することを特長とする。
(Bd−1’):MFRB=0.001〜200g/10分
(Bd−2”):密度B=0.85〜0.97g/cm3
(Bd−3):[Mw/Mn]B=2.0〜10.0
(Bd−4’):次の要件(B−4’−i)〜要件(B−4’−iv)の少なくともいずれか1つを充足すること。
(B−4’−i);温度170℃、伸長歪速度2(単位1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測され、かつ、歪硬化後の最大伸長粘度をηMax(t1)、硬化前の伸長粘度の近似直線をηLinear(t)としたとき、ηMax(t1)/ηLinear(t1)で定義される歪硬化度[λmax(2.0)]Bが1.2〜30.0である。ここで、硬化前の伸長粘度の近似直線とは、歪量0.2から1.0に対応するtの範囲内で両対数グラフの曲線の接線のうち、最も傾きが小さい接線のことである(ただし該傾きは0または正の値である)。
(B−4’−ii);上記(B−4’−i)で定義された[λmax(2.0)]Bと、伸長歪速度を0.1(単位1/秒)として同様に測定した場合の[λmax(0.1)]Bの比[λmax(2.0)]B/[λmax(0.1)]Bが1.2〜10.0である。
(B−4’−iii);示差屈折計、粘度検出器、および光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分子量100万における分岐指数(gC’)が0.30〜0.70である。
(B−4’−iv);示差屈折計、粘度検出器、および光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分子量100万以上の成分の含有量(WC)が0.01〜30%である。
本発明のエチレン系重合体の密度は、0.85〜0.97g/cm3であり、好ましくは0.88〜0.97g/cm3、より好ましくは0.90〜0.97g/cm3である。
また、MFR(メルトフローレート、190℃、2.16kg荷重)は、0.001〜200g/10分であり、好ましくは0.01〜100g/10分、より好ましくは0.05〜50g/10分、さらに好ましくは0.1〜50g/10分である。
一方、本発明のエチレン系重合体の分子量分布[Mw/Mn]Bは、2.0〜10.0であり、好ましくは2.0〜6.0、より好ましくは2.5〜6.0、さらに好ましくは2.5〜4.5である。
一般に、ポリエチレンは、フィルム成形、ブロー成形、発泡成形等の溶融状態を経由する附型方法により工業製品へと加工されるが、この際、伸長流動特性が成形性のし易さに大きな影響を与えることはよく知られている。すなわち、分子量分布が狭く、長鎖分岐を持たないポリエチレンは、溶融強度が低いので成形性が悪く、一方、超高分子量成分や長鎖分岐成分を有するポリエチレンは、溶融伸長時に歪硬化(ストレイン・ハードニング)、すなわち、高歪み側で伸長粘度が急激に上昇する特性を有し、この特性を顕著に示すポリエチレンは、成形性に優れると言われている。
すなわち、これらの好ましいポリエチレンの特性は、上記要件(B−4’−i)〜要件(B−4’−iv)の少なくともいずれか1つを充足することにより、実現されることを見い出すに至り、更に、本発明の特定のメタロセン化合物である成分(Ad)を含むオレフィン重合用触媒を用いてなるエチレン系重合体の製造方法により、これらの特性を満足するエチレン系重合体が製造可能であることを見い出すに至ったのである。
要件(B−4’−i)の[λmax(2.0)]Bが1.2〜30.0、好ましくは2.0〜20.0、更に好ましくは5.0〜10.0の場合、上述のように、溶融伸長時に歪硬化(ストレイン・ハードニング)、すなわち、高歪み側で伸長粘度が急激に上昇する特性のため、成形性に非常に優れる。λmaxが1.2より小さいと、十分な溶融強度が得られず、上述の効果が得られない場合がある。また、λmaxが30.0より大きいと、分岐構造の増加に伴なう製品強度の低下を招くので、好ましくない場合がある。
さらに、本発明に係るエチレン系重合体は、赤外吸収スペクトル(IR)で測定した分子末端に存在する二重結合の数が炭素原子1000個あたり0.15個以上であることが望ましい。
・装置:Rheometorics社製 Ares
・冶具:ティーエーインスツルメント社製 Extentional Viscosity Fixture
・測定温度:170℃
・歪み速度:2/秒
・試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成する。
170℃、歪み速度2/秒における伸長粘度を、横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度η(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で、歪硬化後、歪量が4.0となるまでの最大伸長粘度をηMax(t1)(t1は最大伸長粘度を示す時の時間)とし、歪硬化前の伸長粘度の近似直線をηLinear(t)としたとき、ηMax(t1)/ηLinear(t1)として算出される値を歪硬化度(λmax)と定義する。なお、歪硬化の有無は、時間の経過と共に伸長粘度が上に凸の曲線から下に凸の曲線へと変わる変曲点を有するか、否かによって、判断される。
図1、図2は、下記実施例に記載されている実施例1、比較例2の伸長粘度のプロット図である。
(i)MFR:
JIS K6760に準拠し、190℃・2.16kg荷重で測定した。FR(フローレイト比)は、190℃・10kg荷重の条件で同様に測定したMFRであるMFR10kgとMFRとの比(=MFR10kg/MFR)から算出した。
密度は、JIS K7112に準拠し、MFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、更に室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定した。
レオメータを用いて、上記本明細書記載の方法で測定した。なお、試験片の作成に先立ち、以下の手順で重合体の溶解・再沈殿処理を実施した。冷却管を付けた500mlの二口フラスコにキシレン300mlを導入し、室温で窒素バブリングを30分間行った。重合体6.0グラムと2,6−ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン(BTH)1.0グラムを導入した。窒素雰囲気下、125℃で30分間撹拌し、重合体をキシレンに完全に溶解させた。重合体が溶解したキシレン溶液をエタノール2.5Lに注ぎ、重合体を析出させた。ろ過により回収した重合体を80℃の真空乾燥機で乾燥した。
末端二重結合の定量は、プレスフィルムを作製し、赤外吸収スペクトル(IR)を島津製作所製FTIR−8300の装置を用いて、一置換アルケンの面外変角振動の吸収である910cm−1のピークの吸光度より次式から算出される。
末端二重結合の数(個/1000炭素当り)=1.14×ΔA/d/t
ここで、ΔAは910cm−1のピークの吸光度、dはフィルム密度(g/cm3)、tはフィルム厚(mm)である。
本発明において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定したものをいう。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。なお、分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.92×10−4、α=0.733
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料は、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて、1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。なお、得られたクロマトグラムのベースラインと区間は、図3に例示されるように行う。
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、Waters社のAlliance GPCV2000を用いた。また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)Wyatt Technology社のDAWN−Eを用いた。検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続した。移動相溶媒は、1,2,4−trichlorobenzene(酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。流量は1mL/分である。カラムは、東ソー社GMHHR−H(S) HTを2本連結して用いた。カラム、試料注入部および各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとした。注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。MALLSから得られる絶対分子量(M)、慣性二乗半径(Rg)およびViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行った。
1.Developments in polymer characterization,vol.4. Essex:Applied Science;1984.Chapter1.
2.Polymer,45,6495−6505(2004)
3.Macromolecules,33,2424−2436(2000)
4.Macromolecules,33,6945−6952(2000)
分岐指数(g’)は、サンプルを上記Viscometerで測定して得られる極限粘度(ηbranch)と、別途、線形ポリマーを測定して得られる極限粘度(ηlin)との比(ηbranch/ηlin)として算出する。
ポリマー分子に長鎖分岐が導入されると、同じ分子量の線形のポリマー分子と比較して慣性半径が小さくなる。慣性半径が小さくなると極限粘度が小さくなることから、長鎖分岐が導入されるに従い同じ分子量の線形ポリマーの極限粘度(ηlin)に対する分岐ポリマーの極限粘度(ηbranch)の比(ηbranch/ηlin)は小さくなっていく。したがって分岐指数(g’=ηbranch/ηlin)が1より小さい値になる場合には分岐が導入されていることを意味し、その値が小さくなるに従い導入されている長鎖分岐が増大していくことを意味する。特に本発明では、MALLSから得られる絶対分子量として、分子量100万以上の成分の、RIで測定される全成分量に対する含有比率(%)を、分子量100万以上の成分の含有量(WC)として算出し、MALLSから得られる絶対分子量として、分子量100万における上記g’を、gC’として算出する。
図4に上記GPC−VISによる解析結果の一例を示した。図4の左は、MALLSから得られる分子量(M)とRIから得られる濃度を元に測定された分子量分布曲線を、図4の右は、分子量(M)における分岐指数(g’)を表す。ここで、線形ポリマーとしては、直鎖ポリエチレンStandard Reference Material 1475a(National Institute of Standards & Technology)を用いた。
以下のメタロセン化合物が合成された後、触媒成分として用いられた。
[メタロセン化合物合成例1](以下、単に「メタロセン化合物A」と略称することもある)
ジメチルシリレン(4−t−ブチルシクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリドの合成は、特開平09−87314の実施例1に記載の手順に従って行なった。
ジメチルシリレン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの合成は、J.AM.CHEM.SOC.2004,126,2089−2104に記載の手順に従って行なった。
ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリドの合成は、Macromolecules 1995,28,3771−3778に記載の手順に従って行なった。
ジメチルシリレン(4−t−ブチルシクロペンタジエニル)(インデニル)ハフニウムジクロリドの合成は、四塩化ハフニウムを用い[合成例1]と同様な手法により行なった。
ジメチルシリレン(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリドの合成は、(3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル)(インデニル)ジメチルシランを用い[合成例1]と同様な手法により、目的物のメタロセンを異性体混合物として得た。
イソプロピリデン(4−t−ブチルシクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリドの合成は、(4−t−ブチルシクロペンタジエニル)(インデニル)ジメチルメタンを用い[合成例1]と同様な手法により、目的物のメタロセンを異性体混合物として得た。
イソプロピリデン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリドの合成は、Macromolecules 1995,28,3074−3079に記載の手順に従って行なった。
ジメチルシリレン(3−t−ブチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリドの合成は、Macromolecules 1995,28,3074−3079に記載の手順に従って行なった。
(1)固体触媒の調製
窒素雰囲気下、200ml二口フラスコに600℃で5時間焼成したシリカ5グラムを入れ、150℃のオイルバスで加熱しながら真空ポンプで1時間減圧乾燥した。別途用意した100ml二口フラスコに窒素雰囲気下でメタロセン化合物A57ミリグラムを入れ、脱水トルエン13.4mlで溶解した。室温でメタロセン化合物Aのトルエン溶液にアルベマール社製の20%メチルアルミノキサン/トルエン溶液8.6mlを加え30分間撹拌した。真空乾燥済みシリカの入った200ml二口フラスコを40℃のオイルバスで加熱および撹拌しながら、メタロセン化合物Aとメチルアルミノキサンの反応物のトルエン溶液を全量加えた。40℃で1時間撹拌した後、40℃に加熱したままトルエン溶媒を減圧留去することで固体触媒を得た。
上記(1)の固体触媒の調製で得た固体触媒を用いてエチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
すなわち、攪拌および温度制御装置を有する内容積1リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、充分脱水および脱酸素したポリエチレン製のペレットを80グラム、トリエチルアルミニウムを33ミリグラム導入し撹拌しながら90℃へ昇温した。1−ブテン10重量%を含むエチレンを分圧が2.0MPaになるまで導入した後、上記固体触媒50ミリグラムをアルゴンガスで圧入して60分間重合を行った。
その結果、20.3グラムのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。重合結果を表2にまとめた。なお、表2中のH2/C2は、水素/エチレン(H2/C2)モル比の平均値を示す。
(1)固体触媒の調製
メタロセン化合物A57ミリグラムの代わりに、合成例2で得られたメタロセン化合物E51ミリグラムを用いた以外は、実施例1と同様に、固体触媒を調製した。
(2)エチレン・1−ブテン共重合体の製造
実施例1で得られた固体触媒50ミリグラムの代わりに、上記固体触媒の調製で得られた固体触媒56ミリグラムを用い、重合温度を80℃にし、51分間重合を行なった以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、25.8グラムのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。重合結果を表2にまとめた。
(2)エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造
実施例1で得られた固体触媒を用いてエチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。
すなわち、攪拌および温度制御装置を有する内容積2リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、充分脱水および脱酸素したポリエチレン製のペレットを50グラム、トリエチルアルミニウム0.20mmol導入し撹拌しながら75℃へ昇温した。1−ヘキセン1.5ミリリットルとエチレンを分圧が1.4MPaになるまで導入した後、上記固体触媒64ミリグラムを窒素ガスで圧入して90分間重合を行った。なお、重合反応中、エチレン消費速度に比例した供給速度にて1−ヘキセンの追加供給を実施した。その結果、重合開始10分後と重合停止直前時のオートクレーブ気相部のH2/C2(水素/エチレン)モル比はそれぞれ0.093%、0.104%であり、追加供給した1−ヘキセン量は9.5mLであった。その結果、49.5グラムのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。重合結果を表2にまとめた。
実施例1で得られた固体触媒64ミリグラムの代わりに、比較例1の固体触媒調製で得られた固体触媒62ミリグラムを用いた以外は、実施例2と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。ただし、追加供給した1−ヘキセン量は7.5mLであった。重合開始10分後と重合停止直前時のオートクレーブ気相部のH2/C2(水素/エチレン)モル比はそれぞれ0.122%、0.137%であった。その結果、42.0グラムのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。重合結果を表2にまとめた。
(1)固体触媒の調製
メタロセン化合物A57ミリグラムの代わりに、合成例3で得られたメタロセン化合物F50ミリグラムを用いた以外は、実施例1と同様に、固体触媒を調製した。
(2)エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造
上記(1)の固体触媒の調製で得られた固体触媒194ミリグラムを用い、1−ブテン10重量%を含むエチレンの代わりに1−ヘキセン10重量%を含むエチレンを用い、重合温度を70℃とした以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。
その結果、13.7グラムのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。重合結果を表2にまとめた。
(2)エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造
実施例1で得られた固体触媒52ミリグラムを用い、1−ブテン10重量%を含むエチレンの代わりに1−ヘキセン10重量%を含むエチレンを用いた以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。
その結果、17.5グラムのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。重合結果を表2にまとめた。
(1)固体触媒の調製
メタロセン化合物A57ミリグラムの代わりに、和光純薬工業製のメタロセン化合物G(ジメチルシリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド)44ミリグラムを用いた以外は、実施例1と同様に、固体触媒を調製した。
(2)エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造
上記固体触媒の調製で得られた固体触媒49ミリグラムを用い、1−ブテン10重量%を含むエチレンの代わりに1−ヘキセン5重量%を含むエチレンを用いた以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。
その結果、4.5グラムのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。重合結果を表2にまとめた。
(1)エチレン重合体の製造
比較例4の固体触媒の調製で得られた固体触媒を用いてエチレン重合体を製造した。
すなわち、誘導撹拌装置付き2Lオートクレーブにイソブタン800mL、トリエチルアルミニウム0.20mmolを加え、75℃に昇温し、エチレンを導入してエチレン分圧を1.4MPaに保った。次いで、比較例4の固体触媒525mgを窒素で圧入し、エチレン分圧1.4MPa、温度75℃を保って60分間重合を継続した後、エタノールを加えて重合を停止させた。重合停止直前時のオートクレーブ気相部のH2/C2(水素/エチレン)モル比は0.088%であった。こうして得られたエチレン重合体は60.0gであった。重合結果を表2にまとめた。
(2)エチレン・1−ブテン共重合体の製造
実施例1で得られた固体触媒55ミリグラムを用い、重合温度を70℃にし、31分間重合を行なった以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、25.6グラムのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。重合結果を表2にまとめた。
(1)トリエチルアルミニウム処理モンモリロナイトの調製
窒素雰囲気下、200ml二口フラスコに市販のモンモリロナイト3.0グラムを入れ、200℃のオイルバスで加熱しながら真空ポンプで1時間減圧乾燥した。室温まで冷却した後、ヘプタン75ミリリットルを加えスラリーとし、攪拌しながらトリエチルアルミニウム(濃度70グラム/リットルのヘプタン溶液)14.4ミリリットルを加えた。室温で1時間攪拌した後、デカンテーションで希釈率100分の1まで固体を洗浄した。最後に液量が150ミリリットルになるまでヘプタンを加え、トリエチルアルミニウム処理モンモリロナイトのスラリーとした。
2)エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造
上記(1)のトリエチルアルミニウム処理モンモリロナイトを用いてエチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。
すなわち、攪拌および温度制御装置を有する内容積1リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、充分脱水処理したヘプタンを500ミリリットル、トリエチルアルミニウムを55ミリグラム、1−ヘキセン10ミリリットルを導入し撹拌しながら80℃へ昇温した。エチレンを分圧が1.5MPaになるまで導入した後、上記トリエチルアルミニウム処理モンモリロナイト50ミリグラム(ヘプタンスラリー2.5ミリリットル)とメタロセン化合物A2.5マイクロモルをアルゴンガスで圧入して60分間重合を行った。重合反応中は系内のエチレン消費分に応じて1−ヘキセン10重量%を含むエチレンを導入し、圧力を1.5MPaに保った。
その結果、3.0グラムのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。重合結果を表2にまとめた。
(1)固体触媒の調製
メタロセン化合物A57ミリグラムの代わりに、合成例4で得られたメタロセン化合物B68ミリグラムを用いた以外は、実施例1と同様に、固体触媒を調製した。
(2)エチレン・1−ブテン共重合体の製造
実施例1で得られた固体触媒50ミリグラムの代わりに、上記固体触媒の調製で得られた固体触媒210ミリグラムを用い、水素34ミリリットルを加えた以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、10.0グラムのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。重合結果を表2にまとめた。
(1)固体触媒の調製
メタロセン化合物A57ミリグラムの代わりに、合成例5で得られたメタロセン化合物C 59ミリグラムを用いた以外は、実施例1と同様に、固体触媒を調製した。
(2)エチレン・1−ブテン共重合体の製造
実施例1で得られた固体触媒50ミリグラムの代わりに、上記固体触媒の調製で得られた固体触媒54ミリグラムを用いた以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、16.5グラムのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。重合結果を表2にまとめた。
(1)固体触媒の調製
メタロセン化合物A57ミリグラムの代わりに、合成例6で得られたメタロセン化合物D 55ミリグラムを用いた以外は、実施例1と同様に、固体触媒を調製した。
(2)エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造
上記(1)の固体触媒の調製で得た固体触媒を用いてエチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。
すなわち、誘導撹拌装置付き2Lオートクレーブにイソブタン800mL、1−ヘキセン40mL、トリエチルアルミニウム0.20mmolを加え、75℃に昇温し、エチレンを導入してエチレン分圧を1.4MPaに保った。
次いで、上記(1)で得られた固体触媒180mgを窒素で圧入し、エチレン分圧1.4MPa、温度75℃を保って60分間重合を継続した後、エタノールを加えて重合を停止させた。なお、重合反応中、エチレン消費速度に比例した供給速度にて1−ヘキセンの追加供給を実施した。その結果、重合開始10分後と重合停止直前時のオートクレーブ気相部のH2/C2(水素/エチレン)モル比の平均値は0.098%であり、追加供給した1−ヘキセン量は12mLであった。こうして得られたエチレン系重合体は48.5gであった。重合結果を表2にまとめた。
(1)固体触媒の調製
メタロセン化合物A57ミリグラムの代わりに、合成例7で得られたメタロセン化合物H 62ミリグラムを用いた以外は、実施例1と同様に、固体触媒を調製した。
(2)エチレン・1−ブテン共重合体の製造
実施例1で得られた固体触媒50ミリグラムの代わりに、上記固体触媒の調製で得られた固体触媒53ミリグラムを用い、重合開始前に水素68ミリリットルを加え、重合温度を70℃とした以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、13.7グラムのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。重合結果を表3にまとめた。
(2)エチレン・1−ブテン共重合体の製造
実施例7の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒51ミリグラムを用い、重合開始前に水素170ミリリットルを加えた以外は、実施例7と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、18.0グラムのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。重合結果を表3にまとめた。
(2)エチレン・1−ブテン共重合体の製造
実施例7の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒50ミリグラムを用い、重合開始前に水素68ミリリットルを加えた以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、8.5グラムのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。重合結果を表3にまとめた。
(1)固体触媒の調製
メタロセン化合物A57ミリグラムの代わりに、合成例8で得られたメタロセン化合物I 64ミリグラムを用いた以外は、実施例1と同様に、固体触媒を調製した。
(2)エチレン・1−ブテン共重合体の製造
実施例1で得られた固体触媒50ミリグラムの代わりに、上記固体触媒の調製で得られた固体触媒57ミリグラムを用い、重合温度を70℃とした以外は、実施例1と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、21.1グラムのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。重合結果を表3にまとめた。
(2)エチレン・1−ブテン共重合体の製造
実施例10の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒57ミリグラムを用い、重合開始前に水素34ミリリットルを加えた以外は、実施例10と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、22.5グラムのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。重合結果を表3にまとめた。
(2)エチレン・1−ブテン共重合体の製造
実施例10の(1)固体触媒の調製で得られた固体触媒54ミリグラムを用い、重合開始前に水素17ミリリットルを加え、重合温度を90℃とした以外は、実施例10と同様に、エチレン・1−ブテン共重合体を製造した。
その結果、17.1グラムのエチレン・1−ブテン共重合体が生成した。重合結果を表3にまとめた。
また、表2の実施例1、実施例2の重合活性に比べ、比較例3〜比較例5のように本発明のメタロセン化合物の要件を満たさない触媒によるエチレン重合の重合活性は、大変低いため、エチレン系重合体の製造方法としては経済性に問題があることが明らかである。更に、この比較例3で得られたエチレン系重合体は、[λmax(2.0)]Bが大きすぎるため、強度に劣るエチレン系重合体しか得られないことが明らかである。更に、この比較例4や比較例5で得られたエチレン系重合体は、要件(B−4’−ii)の[λmax(2.0)]B/[λmax(0.1)]Bが劣っている。これらのことから、本発明による実施例で製造されたエチレン系重合体が成形性に優れ、更には経済性にも優れていることが明らかである。
実施例4のメタロセン化合物は、実施例1のメタロセン化合物と中心金属種がHfとZrと異なるのみで、配位子は同じ構造を有しており、実施例1には活性で劣るものの、本発明の要件(B−4’−iv)のWCが比較的大きな値を示しており、そのエチレン系重合体は適度に成形性が優れることが予想される。
実施例5のメタロセン化合物は、実施例1のメタロセン化合物とシクロペンタジエニル環上の置換基がトリメチルシリル基とt−ブチル基と異なるのみで、その他は同じ構造を有しており、実施例1同様の高活性を有し、本発明の要件(B−4’−i)、(B−4’−ii)(B−4’−iv)を十分満足していることから、そのエチレン系重合体は成形性が優れる。
実施例6のメタロセン化合物は、実施例1のメタロセン化合物とシクロペンタジエニル環とインデニル環を結ぶ架橋基がi−プロピル基とジメチルシリレン基と異なるのみで、その他は同じ構造を有しており、実施例1同様の高活性を有し、本発明の要件(B−4’−iv)を満足していることから、そのエチレン系重合体は成形性が優れる。
以上のことから、本発明に属するメタロセン化合物を使用した触媒で製造されるエチレン系重合体がいずれも十分改良された成形性を発現しているであろうことが示された。
実施例7〜実施例12のメタロセン化合物Hとメタロセン化合物Iはインデン3位に置換基を有する点で表2の実施例1〜実施例6で使用された本発明のメタロセン化合物と構造が異なるが、得られるエチレン/1−ブテン共重合体は本発明の要件(B−4’−i)、(B−4’−ii)(B−4’−iv)のいずれかを十分満足していることから、そのエチレン系重合体は成形性が優れることが予想される。また、表2の実施例および比較例と比較して、表3の実施例7〜実施例9は、より高い水素濃度で重合を行なっているにもかかわらずMFRが同等または低い値を示しており、より高分子量のエチレン/1−ブテン共重合体を製造可能であることが確認された。
なお、伸長粘度の測定を実施したすべての実施例において、変曲点が観察された。
Claims (14)
- 下記の条件(Bd−1’)〜(Bd−4’)を満たすエチレン系重合体を得るための製造方法であって
次の必須成分(Ad)、(B)および(C)からなるオレフィン重合用触媒を用いることを特徴とするエチレン系重合体の製造方法。
成分(Ad):次の一般式(1d)で示されるメタロセン化合物
成分(B):成分(Ad)のメタロセン化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
成分(C):微粒子担体
(Bd−1’):MFRB=0.001〜200g/10分
(Bd−2”):密度B=0.85〜0.97g/cm3
(Bd−3):[Mw/Mn]B=2.0〜10.0
(Bd−4’):次の要件(B−4’−i)〜要件(B−4’−iv)の少なくともいずれか1つを充足すること。
(B−4’−i);温度170℃、伸長歪速度2(単位1/秒)で測定される伸長粘度η(t)(単位:Pa・秒)と伸長時間t(単位:秒)の両対数プロットにおいて、歪硬化に起因する伸長粘度の変曲点が観測され、かつ、歪硬化後の最大伸長粘度をηMax(t1)、硬化前の伸長粘度の近似直線をηLinear(t)としたとき、ηMax(t1)/ηLinear(t1)で定義される歪硬化度[λmax(2.0)]Bが1.2〜30.0である。
(B−4’−ii);上記(B−4’−i)で定義された[λmax(2.0)]Bと、伸長歪速度を0.1(単位1/秒)として同様に測定した場合の[λmax(0.1)]Bの比[λmax(2.0)]B/[λmax(0.1)]Bが1.2〜10.0である。
(B−4’−iii);示差屈折計、粘度検出器、および光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分子量100万における分岐指数(gC’)が0.30〜0.70である。
(B−4’−iv);示差屈折計、粘度検出器、および光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分子量100万以上の成分の含有量(WC)が0.01〜30%である。 - 成分(Ad)が次の一般式(2d)で示されるメタロセン化合物であることを特徴とする請求項1に記載のエチレン系重合体の製造方法。
- 一般式(1d)又は(2d)中、R5dが水素原子であることを特徴とする請求項1または2に記載のエチレン系重合体の製造方法。
- 一般式(1d)又は(2d)中、R3dとR5dがともに水素原子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のエチレン系重合体の製造方法。
- 成分(Ad)が次の一般式(3d)で示されるメタロセン化合物であることを特徴とする請求項1に記載のエチレン系重合体の製造方法。
- 一般式(3d)中、2つのR2dのうち1つが水素原子であることを特徴とする請求項5に記載のエチレン系重合体の製造方法。
- 一般式(3d)中、R2dは、メチル基、t−ブチル基、トリメチルシリル基又はフェニル基であることを特徴とする請求項5または6に記載のエチレン系重合体の製造方法。
- 一般式(1d)、(2d)または(3d)中、M1dがZrまたはHfであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のエチレン系重合体の製造方法。
- 一般式(1d)、(2d)または(3d)中、M1dがZrであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のエチレン系重合体の製造方法。
- 成分(B)がアルミノキサンであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のエチレン系重合体の製造方法。
- 成分(C)がシリカであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のエチレン系重合体の製造方法。
- 前記オレフィン重合用触媒は、成分(Ad)と成分(B)の接触混合物を成分(C)に担持させて得られたものであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のエチレン系重合体の製造方法。
- 前記歪硬化度[λmax(2.0)]Bが4.5〜30.0であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のエチレン系重合体の製造方法。
- さらに、分子末端に存在する二重結合の数が炭素原子1000個あたり0.15個以上であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のエチレン系重合体の製造方法。
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