JP2018188640A - オレフィン重合体の製造方法、及びオレフィン重合体 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、後者の長鎖分岐を導入する特定のメタロセン触媒として架橋ペンタジエニルインデニル化合物を用いる方法が知られている(特許文献1〜3参照)。これらのメタロセン触媒を用いると長鎖分岐構造の発達したオレフィン系重合体を製造することが可能である。しかし、この方法では、重合体の分子量分布が広くなる傾向があるため、溶融樹脂の破断、表面弾性荒れによる外観不良、溶融配向による機械的強度の悪化が発生したりして、優れた成形加工性と製品特性を両立させるには未だ十分ではない。そのため、生成重合体の長鎖分岐構造特性を変化させることなく、分子量分布の狭いオレフィン重合体を製造できる製造方法が望まれている。
また、本発明の他の目的は、長鎖分岐構造特性が維持されつつ、分子量分布が狭いオレフィン重合体を提供することにある。
但し、下記条件(1)は、「該成分(A)に対する該成分(D)の供給量比(mol/mol)を下記条件(1)における比(mol/mol)の1.5倍〜100倍とする」という要件の計算に用いられる前提条件であり、条件(1)を単独で満たす必要はない。
成分(A):遷移金属元素M1を含む下記一般式(1)で示される架橋ビスシクロペンタジエニル化合物
[式(1)中、M1は、Ti、ZrまたはHfのいずれかの遷移金属を示す。X1およびX2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基または炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。Q1とQ2は、各々独立して、炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子を示す。R1は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、4つのR1のうち少なくとも2つが結合して、Q1およびQ2と一緒に環を形成していてもよい。mは、0または1であり、mが0の場合、Q1は、R2およびR3を含む共役5員環と直接結合している。R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素原子または硫黄原子を含む炭素数1〜40の炭化水素基または炭素数1〜40の炭化水素基置換シリル基を示し、2つのR2と2つのR3のうち少なくとも1つは水素原子ではなく、4つのR4のうち少なくとも1つは水素原子ではない。R2、R3およびR4のうち、隣接するR3同士または隣接するR2とR3のいずれか1組のみは結合している炭素原子と一緒に環を形成していてもよい。]
成分(B):成分(A)の化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
成分(D):一般式M2L1 nで示される化合物
(M2は周期表第1族、2族、12〜15族の典型金属原子を表し、
L1は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基であり、
nはM2の原子価に相当する数である)
条件(1)M1に対するM2の比(mol/mol)が1160〜1800
条件(2)重合媒体に対するM1の比(μmol/kg)が0.001〜12
条件(3)重合媒体に対するM2の比(mmol/kg)が0.01〜100
成分(A):遷移金属元素M1を含む下記一般式(1)で示される架橋ビスシクロペンタジエニル化合物
[式(1)中、M1は、Ti、ZrまたはHfのいずれかの遷移金属を示す。X1およびX2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基または炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。Q1とQ2は、各々独立して、炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子を示す。R1は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、4つのR1のうち少なくとも2つが結合して、Q1およびQ2と一緒に環を形成していてもよい。mは、0または1であり、mが0の場合、Q1は、R2およびR3を含む共役5員環と直接結合している。R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素原子または硫黄原子を含む炭素数1〜40の炭化水素基または炭素数1〜40の炭化水素基置換シリル基を示し、2つのR2と2つのR3のうち少なくとも1つは水素原子ではなく、4つのR4のうち少なくとも1つは水素原子ではない。R2、R3およびR4のうち、隣接するR3同士または隣接するR2とR3のいずれか1組のみは結合している炭素原子と一緒に環を形成していてもよい。]
成分(B):成分(A)の化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
成分(D):一般式M2L1 nで示される化合物
(M2は周期表第1族、2族、12〜15族の典型金属原子を表し、
L1は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基であり、
nはM2の原子価に相当する数である)
条件(1a)M1に対するM2の比(mol/mol)が1800〜180000
条件(2a)重合媒体に対するM1の比(μmol/kg)が0.001〜12
条件(3a)重合媒体に対するM2の比(mmol/kg)が0.01〜100
物性(i) ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布(Mw/Mn)の値と、前記成分(A)に対する前記成分(D)の供給量比を増加させない場合に得られるオレフィン重合体の分子量分布(Mw0/Mn0)の値との比([Mw/Mn]/[Mw0/Mn0])が0.50〜0.95である。
物性(ii) 示差屈折計、粘度検出器、および、光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分岐指数g’の分子量10万での値(g’m)と、上記成分(A)に対する上記成分(D)の供給量比を増加させない場合に得られるオレフィン重合体の分岐指数g’の分子量10万での値(g’m0)との比(g’m/g’m0)が0.90〜1.10である。
物性(iii) 前記Mw/Mnが2.0〜7.0である。
物性(iv) 前記g’mが0.50〜0.95である。
物性(v) MFRが0.001〜1000g/10分である。
物性(vi) 密度が0.895〜0.970g/cm3である。
本発明のオレフィン重合体は、長鎖分岐構造特性が維持されつつ、分子量分布が狭い。
(1)オレフィン重合体の製造方法
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、オレフィンモノマーと重合媒体の存在する重合反応器に、下記必須成分(A)および(B)を含むオレフィン重合用触媒と下記成分(D)を、下記条件(1)〜(3)を満足するように供給して行う長鎖分岐構造を有するオレフィン重合体の製造方法である。成分(A)に対する成分(D)の供給量比(mol/mol)を下記条件(1)における比(mol/mol)の1.5倍〜100倍とすることを特徴とする。この特徴を特徴的要件ともいう。
成分(A):遷移金属元素M1を含む下記一般式(1)で示される架橋ビスシクロペンタジエニル化合物
[式(1)中、M1は、Ti、ZrまたはHfのいずれかの遷移金属を示す。X1およびX2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基または炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。Q1とQ2は、各々独立して、炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子を示す。R1は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、4つのR1のうち少なくとも2つが結合して、Q1およびQ2と一緒に環を形成していてもよい。mは、0または1であり、mが0の場合、Q1は、R2およびR3を含む共役5員環と直接結合している。R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素原子または硫黄原子を含む炭素数1〜40の炭化水素基または炭素数1〜40の炭化水素基置換シリル基を示し、2つのR2と2つのR3のうち少なくとも1つは水素原子ではなく、4つのR4のうち少なくとも1つは水素原子ではない。R2、R3およびR4のうち、隣接するR3同士または隣接するR2とR3のいずれか1組のみは結合している炭素原子と一緒に環を形成していてもよい。]
成分(B):成分(A)の化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
成分(D):一般式M2L1 nで示される化合物
(M2は周期表第1族、2族、12〜15族の典型金属原子を表し、
L1は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基であり、
nはM2の原子価に相当する数である)
条件(1)M1に対するM2の比(mol/mol)が1160〜1800
条件(2)重合媒体に対するM1の比(μmol/kg)が0.001〜12
条件(3)重合媒体に対するM2の比(mmol/kg)が0.01〜100
オレフィンモノマーとしては、特に限定されず、エチレン、その他のα−オレフィン類を挙げることができる。本発明のオレフィン重合体の製造方法は、エチレンの単独重合またはエチレンとα−オレフィンとの共重合のいずれにも好適に用いることができる。
コモノマーとしてのα−オレフィン類には、炭素数3〜30、好ましくは3〜8のものが包含され、具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等が例示される。α−オレフィン類は、2種類以上のα−オレフィンをエチレンと共重合させることも可能である。共重合は、交互共重合、ランダム共重合、ブロック共重合のいずれであっても差し支えない。エチレンと他のα−オレフィンとを共重合させる場合、当該他のα−オレフィンの量は、全モノマーの90モル%以下の範囲で任意に選ぶことができるが、一般的には、40モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下の範囲で選ばれる。もちろん、エチレンやα―オレフィン以外のコモノマーを少量使用することも可能であり、この場合、スチレン、4−メチルスチレン、4−ジメチルアミノスチレン等のスチレン類、1,4−ブタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等のジエン類、ノルボルネン、シクロペンテン等の環状化合物、ヘキセノール、ヘキセン酸、オクテン酸メチル等の含酸素化合物類、等の重合性二重結合を有する化合物を挙げることができる。
重合媒体は、従来公知のものを用いることが可能であり特に限定されないが、炭化水素溶媒またはポリオレフィン(粒子またはペレット)が好適に用いられる。
炭化水素溶媒としては、従来公知のものを用いることが可能であり、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン等の直鎖、分枝鎖もしくは環状炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの不活性炭化水素や、流動パラフィン類、イソパラフィン系溶剤類、混合脂肪族炭化水素溶媒類として分類される混合物ではあるが、例えばIPソルベント、ISOPAR、ケロセン等として市販されている市販品の、単独、又は混合物が挙げられ、更に、液化エチレン、液化プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン、スチレン等の芳香族モノマー、2−ブテン、シクロペンテン等の内部オレフィンモノマー等の液状モノマー類も用いることが可能である。これらの中ではプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の直鎖、分枝鎖もしくは環状炭化水素類、流動パラフィン類、イソパラフィン系溶剤類、混合脂肪族炭化水素溶媒類として分類される混合物であるIPソルベント、ISOPAR等の市販品や、液化エチレン、液化プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィン等の単独、又は混合物が好適に用いられる。プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、IPソルベント、ISOPAR、液化エチレン、液化プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンの単独、又は混合物がより好適に用いられ、イソブタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、IPソルベント、ISOPARの単独、又は混合物が更に好適に用いられる。
ポリオレフィンとしては、従来公知のものを用いることが可能であり、例えば、ポリエチレン(エチレン単独重合体や他のモノマーとの共重合体。以下のポリオレフィンも同様である。)、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリヘキセン、ポリイソブテン、ポリスチレン等が好適に用いられるが、製造するオレフィン重合体と同種類のコモノマーを共重合したオレフィン共重合体を含むポリオレフィンであることがより好ましく、その形状は、重合反応器から得られるいわゆる重合粒子(重合パウダーあるいは重合グラニュールともいう。)であっても、溶融混練機を経て得られるいわゆるペレットでもよいが、該重合粒子であることが好ましく、平均粒径約100〜3000μmの該重合粒子であることがより好ましい。
成分(A)は、遷移金属元素M1を含む下記一般式(1)で示される架橋ビスシクロペンタジエニル化合物である。
[式(1)中、M1は、Ti、ZrまたはHfのいずれかの遷移金属を示す。X1およびX2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基または炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。Q1とQ2は、各々独立して、炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子を示す。R1は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、4つのR1のうち少なくとも2つが結合して、Q1およびQ2と一緒に環を形成していてもよい。mは、0または1であり、mが0の場合、Q1は、R2およびR3を含む共役5員環と直接結合している。R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素原子または硫黄原子を含む炭素数1〜40の炭化水素基または炭素数1〜40の炭化水素基置換シリル基を示し、2つのR2と2つのR3のうち少なくとも1つは水素原子ではなく、4つのR4のうち少なくとも1つは水素原子ではない。R2、R3およびR4のうち、隣接するR3同士または隣接するR2とR3のいずれか1組のみは結合している炭素原子と一緒に環を形成していてもよい。]
好ましいX1およびX2の具体例としては、塩素原子、臭素原子、メチル基、n−ブチル基、i−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、フェノキシ基、ジメチルアミノ基、ジi−プロピルアミノ基が挙げられる。これらの具体例の中でも、塩素原子、メチル基、ジメチルアミノ基が特に好ましい。
さらに、R1としては、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などが挙げられる。また、R1がQ1およびQ2と一緒に環を形成している場合として、シクロブチリデン基、シクロペンチリデン基、シクロへキシリデン基、シラシクロブチル基、シラシクロペンチル基、シラシクロヘキシル基などが挙げられる。
好ましいR1の具体例として、Q1または/およびQ2が炭素原子の場合、水素原子、メチル基、エチル基、フェニル基、エチレン基、シクロブチリデン基が挙げられ、また、Q1または/およびQ2がケイ素原子の場合、メチル基、エチル基、フェニル基、シラシクロブチル基が挙げられる。
R2、R3およびR4の好ましい具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、2−メチルフリル基、トリメチルシリル基が挙げられる。これらの具体例の中でも、水素原子、メチル基、n−ブチル基、t−ブチル基、フェニル基、トリメチルシリル基がさらに好ましく、水素原子、メチル基、t−ブチル基、フェニル基、トリメチルシリル基が特に好ましい。
R2、R3およびR4のうち、隣接するR3同士または隣接するR2とR3のいずれか1組のみは結合している炭素原子と一緒に環を形成していてもよい。
(1)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(2)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(3)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(4)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2,3−ジt−ブチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(5)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(3,4−ジt−ブチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(6)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2,5−ジt−ブチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(7)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2,3−ジフェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(8)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(3,4−ジフェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(9)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2,5−ジフェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(10)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2−メチル−4−エチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(11)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2−エチル−4−メチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(12)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(4−t−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(13)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(14)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2,3,4−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(15)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(16)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−4−フェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(17)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2,3−ジメチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(19)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(20)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニルシクロペンタジエニル)(4−フェニル−2−i−プロピル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(21)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(4−t−フェニル−2−i−プロピル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(23)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(4−(4−クロロフェニル)−2−メチル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(24)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−(3−メチルフェニル)−4H−アズレニル)}ハフニウム
(25)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−(3−メチルフェニル)−4H−アズレニル)}ハフニウム
(26)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニルシクロペンタジエニル)(4−(4−t−ブチルフェニル)−2−メチル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(27)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(4−(4−t−ブチルフェニル)−2−メチル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(29)ジクロロ{1,1´−ジメチルシリレン(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−(2−ナフチル)−4H−アズレニル)}ハフニウム
(31)ジクロロ{1,1´−シラシクロブテニル(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(32)ジクロロ{1,1´−シラシクロプロペニル(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(33)ジクロロ{1,1´−シラフルオレニル(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(35)ジクロロ{1,1´−ゲルマシクロブテニル(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(36)ジクロロ{1,1´−ゲルマシクロプロペニル(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
(37)ジクロロ{1,1´−ゲルマフルオレニル(2,4,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウム
オレフィン重合用触媒は、必須成分として、上記成分(A)以外に、成分(A)のメタロセン化合物(成分(A)、以下、単にAと記すこともある。)と反応してカチオン性メタロセン化合物を形成する化合物(成分(B)、以下、単にBと記すこともある。)を含む。
上記有機アルミニウムオキシ化合物は、分子中に、Al−O−Al結合を有し、その結合数は通常1〜100、好ましくは1〜50個の範囲にある。このような有機アルミニウムオキシ化合物は、通常、有機アルミニウム化合物と水とを反応させて得られる生成物である。
有機アルミニウムと水との反応は、通常、不活性炭化水素(溶媒)中で行われる。不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及び芳香族炭化水素が使用できるが、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素を使用することが好ましい。
R6tAlX3 3−t・・・式(4)
(式(4)中、R6は、炭素数1〜18、好ましくは1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等の炭化水素基を示し、X3は、水素原子又はハロゲン原子を示し、tは、1≦t≦3の整数を示す。)
上記有機アルミニウム化合物は、2種以上混合して使用することもできる。
もちろん、有機アルミニウムオキシ化合物として、上記した各有機アルミニウムオキシ化合物の2種以上を組み合わせて使用することもでき、また、前記有機アルミニウムオキシ化合物を前述の不活性炭化水素溶媒に溶液または分散させた溶液としたものを用いても良い。
[L1−H]+[BR7R8X4X5]−・・・式(5)
フェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテト
ラ(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボ
レート、トリフェニルホスホニウムテトラ(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートなどを例示することができる。
[L2]+[BR7R8X4X5]−・・・式(6)
オレフィン重合用触媒は、更に、無機化合物担体(成分(C))を含有してもよい。無機物担体は、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩、炭素質物、またはこれらの混合物が使用可能である。
無機物担体に用いることができる好適な金属としては、例えば、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
本発明のオレフィン重合用触媒は、必須成分として、下記一般式で示される化合物である成分(D)を含む。
一般式M2L1 n
(M2は周期表第1族、2族、12〜15族の典型金属原子を表し、
L1は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基であり、
nはM2の原子価に相当する数である)
L1は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基であり、ハロゲン原子は具体的にはF、Cl、Br、Iであり、炭化水素基は好ましくは窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、リン原子、イオウ原子を含んでもよい炭素数1〜30の炭化水素基であり、より好ましくは窒素原子、酸素原子、ケイ素原子を含んでもよい炭素数1〜20の炭化水素基であり、更に好ましくは酸素原子を含んでもよい炭素数1〜14の炭化水素基であり、特に好ましくは炭素原子と水素原子のみで構成された炭素数1〜11の炭化水素基である。L1は、M2の原子価nが2以上の場合は同じでも異なっていてもよいが、複数個のL1のうち少なくとも1つは炭化水素基であることが好ましく、複数個のL1の全てが炭化水素基であることがより好ましい。
本発明のオレフィン重合体の製造方法の必須成分である成分(A)と、必須成分である成分(B)、任意成分である成分(C)を含んだオレフィン重合用触媒を得る際の各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法が任意に採用可能である。
(II)成分(A)と、必要に応じて成分(C)とを接触させた後、成分(B)を接触させる。
(III)成分(B)と、必要に応じて成分(C)とを接触させた後、成分(A)を接触させる。
(IV)成分(A)と成分(C)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物またはこれらの混合物と接触させる。
(V)有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物またはこれらの混合物と成分(C)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で成分(A)と接触させる。
上記(IV)、(V)の接触方法の場合も、成分比、接触条件および溶媒除去条件は、前記と同様の条件が使用できる。
各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法が任意に採用可能である。
(VI)成分(A)と有機アルミニウム化合物を接触させた後、層状珪酸塩担体と接触させる。
(VII)成分(A)と層状珪酸塩担体を接触させた後、有機アルミニウム化合物と接触させる。
(VIII)有機アルミニウム化合物と層状珪酸塩担体を接触させた後、成分(A)と接触させる。
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、エチレンの単独重合またはエチレンとα−オレフィンとの共重合に、使用可能である。
第1の製造方法は、下記条件(1)〜(3)を満足するように供給して行う長鎖分岐構造を有するオレフィン重合体の製造方法である。成分(A)に対する成分(D)の供給量比(mol/mol)を下記条件(1)における比(mol/mol)の1.5倍〜100倍とすることを特徴とする。
条件(1)M1に対するM2の比(mol/mol)が1160〜1800
条件(2)重合媒体に対するM1の比(μmol/kg)が0.001〜12
条件(3)重合媒体に対するM2の比(mmol/kg)が0.01〜100
条件(2)は、重合媒体に対するM1の比(μmol/kg)が0.001〜12であり、好ましくは0.005〜1.0であり、より好ましくは0.01〜0.38である。
条件(3)は、重合媒体に対するM2の比(mmol/kg)が0.01〜100であり、好ましくは0.02〜10であり、より好ましくは0.03〜5である。
以上の条件を満たすと、オレフィン重合体の長鎖分岐構造特性を維持しつつ、分子量分布を狭くできる。
本発明の第2の製造方法は、オレフィンモノマーと重合媒体の存在する重合反応器に、下記必須成分(A)および(B)を含むオレフィン重合用触媒と下記成分(D)を、下記条件(1a)〜(3a)を満足するように供給して行う長鎖分岐構造を有するオレフィン重合体の製造方法である。
成分(A):遷移金属元素M1を含む下記一般式(1)で示される架橋ビスシクロペンタジエニル化合物
成分(B):成分(A)の化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
成分(D):一般式M2L1 nで示される化合物
(M2は周期表第1族、2族、12〜15族の典型金属原子を表し、
L1は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基であり、
nはM2の原子価に相当する数である)
条件(1a)M1に対するM2の比(mol/mol)が1800〜180000
条件(2a)重合媒体に対するM1の比(μmol/kg)が0.001〜12
条件(3a)重合媒体に対するM2の比(mmol/kg)が0.01〜100
条件(2a)重合媒体に対するM1の比(μmol/kg)は、0.001〜12であり、好ましくは0.001〜2.0であり、より好ましくは0.005〜1.0であり、更に好ましくは0.005〜0.38であり、特に好ましくは0.01〜0.38である。
条件(3a)重合媒体に対するM2の比(mmol/kg)は、0.01〜100であり、好ましくは0.02〜20であり、より好ましくは0.03〜15であり、更に好ましくは0.04〜10であり、特に好ましくは0.05〜5.0である。
以上の条件を満たすと、オレフィン重合体の長鎖分岐構造特性を維持しつつ、分子量分布を狭くできる。
本発明のオレフィン重合体の製造方法によって得られるオレフィン重合体の特性は、特に限定されないが、成形性と機械的物性の観点から、下記の物性を備えていることが好ましい。
(1)物性(i)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布(Mw/Mn)の値と、成分(A)に対する成分(D)の供給量比を増加させない場合に得られるオレフィン重合体の分子量分布(Mw0/Mn0)の値との比([Mw/Mn]/[Mw0/Mn0])が0.50〜0.95であることが好ましく、0.55〜0.94であることがより好ましく、0.60〜0.94であることが特に好ましい。この範囲内であれば、分子量分布の狭いオレフィン重合体となる。
ここで、「成分(A)に対する成分(D)の供給量比を増加させない場合に得られる」とは、第1の製造方法においては以下の事項を意味する。すなわち、成分(A)に対する成分(D)の供給量比(mol/mol)が、下記条件(1)の比の1.0倍の場合を意味する。具体的には、条件(1)の比(M2/M1)が仮に1160である場合には、供給量比(D/A)も1160にすることを意味する(以下、同様に定義する)。
条件(1)M1に対するM2の比(mol/mol)が1160〜1800
また、「成分(A)に対する成分(D)の供給量比を増加させない場合に得られる」とは、第2の製造方法においては、以下の事項を意味する。条件(1a)において、M1に対するM2の比(mol/mol)が1800未満の場合を意味する(以下、同様に定義する)。
示差屈折計、粘度検出器、および、光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分岐指数g’の分子量10万での値(g’m)と、成分(A)に対する成分(D)の供給量比を増加させない場合に得られるオレフィン重合体の分岐指数g’の分子量10万での値(g’m0)との比(g’m/g’m0)が0.90〜1.10であることが好ましく、0.90〜1.08であることがより好ましく、0.90〜1.07であることが更に好ましく、0.93〜1.07であることが特に好ましい。この範囲内であれば、オレフィン重合体の長鎖分岐構造特性が維持される。
オレフィン重合体のMw/Mnは、2.0〜7.0であることが好ましく、2.4〜6.0であることがより好ましく、2.6〜5.0であることが更に好ましく、2.6〜4.0であることが特に好ましい。この範囲内であれば、分子量分布を狭いオレフィン重合体となる。
オレフィン重合体の前記g’mは、0.50〜0.95であることが好ましく、0.50〜0.90であることがより好ましく、0.55〜0.87であることが更に好ましく、0.60〜0.85であることが特に好ましい。この範囲内であれば、溶解張力が十分高く、成形加工性と機械的強度等の製品特性に優れたオレフィン重合体となる。
オレフィン重合体のMFR(メルトフローレート、190℃、2.16kg荷重)は、0.001〜1000g/10分であることが好ましく、0.005〜100g/10分であることがより好ましく、0.05〜50g/10分であることが特に好ましい。この範囲内であれば、溶融流動性が良く、成形加工性と機械的強度等の製品特性に優れたオレフィン重合体となる。
オレフィン重合体の密度は、0.895〜0.970g/cm3であることが好ましく、0.900〜0.965g/cm3であることがより好ましく、0.905〜0.960g/cm3であることが特に好ましい。この範囲内であれば、低温加工特性が良く、成形加工性と剛性や透明性等の製品特性に優れたオレフィン重合体となる。
本発明の製造方法で製造されるオレフィン重合体は、通常のエチレン系重合体に対し、溶融物性が改良されており、優れた成形性を有する。
(1)MFR:
JIS K6760に準拠し、190℃、2.16kg荷重で測定した。FR(フローレイト比)は、190℃・10kg荷重の条件で同様に測定したMFRであるMFR10kgとMFRとの比(=MFR10kg/MFR)から算出した。
本発明において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定したものをいう。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000。各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PE:K=3.92×10−4、α=0.733
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料は、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて、1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。なお、得られたクロマトグラムのベースラインと区間は、図1に例示されるように行う。
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、Waters社のAlliance GPCV2000を用いた。また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)Wyatt Technology社のDAWN−Eを用いた。検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続した。移動相溶媒は、1,2,4−trichlorobenzene(酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。流量は1mL/分である。カラムは、東ソー社GMHHR−H(S) HTを2本連結して用いた。カラム、試料注入部および各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとした。注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。MALLSから得られる絶対分子量(M)、慣性二乗半径(Rg)およびViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行った。
1.Developments in polymer characterization,vol.4. Essex:Applied Science;1984.Chapter1.
2.Polymer,45,6495−6505(2004)
3.Macromolecules,33,2424−2436(2000)
4.Macromolecules,33,6945−6952(2000)
分岐指数(g’)は、サンプルを上記Viscometerで測定して得られる極限粘度(ηbranch)と、別途、線形ポリマーを測定して得られる極限粘度(ηlin)との比(ηbranch/ηlin)として算出する。
ポリマー分子に長鎖分岐が導入されると、同じ分子量の線形のポリマー分子と比較して慣性半径が小さくなる。慣性半径が小さくなると極限粘度が小さくなることから、長鎖分岐が導入されるに従い同じ分子量の線形ポリマーの極限粘度(ηlin)に対する分岐ポリマーの極限粘度(ηbranch)の比(ηbranch/ηlin)は小さくなっていく。したがって分岐指数(g’=ηbranch/ηlin)が1より小さい値になる場合には分岐が導入されていることを意味し、その値が小さくなるに従い導入されている長鎖分岐が増大していくことを意味する。特に本発明では、MALLSから得られる絶対分子量として、分子量10万における上記g’を、g’mとして算出する。
図2(a)、(b)に上記GPC−VISによる解析結果の一例を示した。図2(a)、(b)は、MALLSから得られる分子量(M)における分岐指数(g’)を表す。ここで、線形ポリマーとしては、直鎖ポリエチレンStandard Reference Material 1475a(National Institute of Standards & Technology)を用いた。
〔参考例1〕
(1)架橋ビスシクロペンタジエニル化合物(A成分)の合成
下記化学式に示すジメチルシリレン(3−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドを、以下の方法に従い合成した。なお、この化合物をメタロセン化合物Aとする(下記化学式参照)。
(1−1−a)2−ブロモフェニル−2−クロロエチルケトンの合成
100mlフラスコに、2−ブロモ安息香酸(5.30g、26.4mmol)と塩化チオニル25mlを加え、2時間還流した。反応後、過剰の塩化チオニルを減圧留去し得られた酸クロリド体5.50gを精製することなく次の反応に用いた。
100mlフラスコに酸クロリド体(5.00g、22.7mmol)とジクロロメタン50mlを加え溶液とした後、さらに塩化アルミニウム(3.02g、22.7mmol)を加え、20℃でエチレンを4時間吹き込んだ。反応を4Nの塩酸でクエンチし、有機相と水相を分離した後、水相をメチル−t−ブチルエーテル50mlで3回洗浄し、有機相を集め水50mlで3回、飽和炭酸水素ナトリウム水100ml、続いて飽和食塩水100mlで洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去することで化合物3を4.80g(収率85%)得た。さらなる精製は行なわず次の反応に用いた。
(1−1−b)7−ブロモ−1−インダノンの合成
100mlフラスコに塩化アルミニウム(7.40g、55.6mmol)と塩化ナトリウム(2.15g、37.1mmol)を加え、130℃に加熱した後、2−ブロモフェニル−2−クロロエチルケトン(4.60g、18.5mmol)をゆっくりと加え、混合物を160℃で1時間攪拌した。反応後、30℃に冷却し、氷水でクエンチした。濃塩酸でpH=5に調整した後、有機相と水相を分離し、水相をジクロロメタン100mlで3回洗浄し、有機相を集め水100ml、飽和食塩水100mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。さらにシリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル=30/1)で精製し7−ブロモ−1−インダノン1.60g(収率33%)を得た。
(1−1−c)7−(2−(5−メチル)−フリル)−1−インダノンの合成
100mlフラスコに2−メチルフラン(0.933g、11.4mmol)とTHF10mlを加え溶液とした後、−30℃でn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.5M、4.70ml、11.4mmol)を加え、室温で2時間攪拌した。別に準備した100mlフラスコに塩化亜鉛(1.55g、11.4mmol)とTHF10mlを加え、続いて0℃で上記反応溶液を加え、室温で1時間攪拌した。さらに別に準備した100mlフラスコにヨウ化銅(I)(90mg、0.473mmol)、Pd(dppf)Cl2(177mg、0.236mmol)、7−ブロモ−1−インダノン(2.00g、9.45mmol)とDMA10mlを加えた懸濁液に、上記反応物を加え、還流を15時間行なった。室温まで冷却し、水50mlを加え、酢酸エチル50mlで2回抽出を行なった。有機相を集め、水50mlで2回、飽和食塩水50mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。さらにシリカゲルカラム(石油エーテル/酢酸エチル=20/1)で精製し7−(2−(5−メチル)−フリル)−1−インダノン0.70g(収率35%)を得た。
(1−1−d)1−メチル−7−(2−(5−メチル)−フリル)−インデンの合成 100mlフラスコに7−(2−(5−メチル)−フリル)−1−インダノン(1.40g、6.59mmol)とTHF20mlを加え溶液とした後、−78℃でメチルリチウム/ジエチルエーテル溶液(1.6M、7.5ml、11.9mmol)を加え、室温で10時間攪拌した。反応を飽和塩化アンモニウム水溶液20mlでクエンチし、揮発成分を減圧留去した。残った溶液を酢酸エチル50mlで2回抽出し、有機相を集めて飽和食塩水50mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。さらなる精製は行なわず次の反応に用いた。
100mlフラスコに上記粗生成物とトルエン30mlを加え溶液とした後、p−トルエンスルホン酸(62.0mg、0.330mmol)を加え、130℃で2時間攪拌した。攪拌中はディーンスタークトラップを用いて生成する水を除いた。室温まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液30mlを加え、有機相を分離した。水相を酢酸エチル50mlで3回抽出した後、有機相を集め飽和食塩水50mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。さらにシリカゲルカラム(石油エーテル)で精製し1−メチル−7−(2−(5−メチル)−フリル)−インデン0.850g(収率61%)を得た。
200mlフラスコに、テトラメチルシクロペンタジエン2.40g(19.6mmol)とTHF40mlを加え溶液とした後、−78℃に冷却してn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.5M)12.0ml(30.0mmol)を加え、室温に戻して3時間攪拌した。別途用意した200mlフラスコにジメチルジクロロシラン5.00g(38.7mmol)とTHF20mlを加え、−78℃に冷却して先の反応溶液を加えた。室温に戻して12時間攪拌した。揮発物を減圧留去で除くことで黄色液体4.00gが得られた。得られた黄色液体は、さらなる精製は行なわずに次の反応に用いた。
100mlフラスコに、1−メチル−7−(2−(5−メチル)−フリル)−インデン2.60g(12.4mmol)とTHF40mlを加え溶液とした後、−78℃に冷却してn−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(2.5M)5.2ml(13.0mmol)を加え、室温に戻して3時間攪拌した。別途用意した200mlフラスコに(1−2)で得られた未精製の黄色液体3.40g(15.8mmol)とTHF10mlを加え、−78℃に冷却して先の反応溶液を加えた。室温に戻して12時間攪拌した。反応物を氷水40mlにゆっくりと加え、酢酸エチル200mlで2回抽出した。得られた有機相を飽和食塩水50mlで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶液を減圧留去して、シリカゲルカラム(石油エーテル)で精製し、(3−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメチルシランの黄色オイル1.40g(収率25%)を得た。
200mlフラスコに、(3−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメチルシラン2.20g(5.70mmol)、ジエチルエーテル30mlを加え、−78℃まで冷却した。ここにn−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液(2.5M)4.8ml(11.9mmol)を滴下し、室温に戻し3時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン60mlを加え、−78℃まで冷却した。そこに、四塩化ジルコニウム1.40g(6.01mmol)を加え、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。反応液をろ過して得られたろ液から溶媒を減圧留去することで、黄色粉末3.0gが得られた。この粉末をトルエン25mlで洗浄し、ジメチルシリレン(3−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの黄色粉末0.75g(収率26%)を得た。
窒素雰囲気下、200ml二口フラスコに400℃で5時間焼成したシリカ3.8gを入れ、150℃のオイルバスで加熱しながら真空ポンプで1時間減圧乾燥した。別途用意した100ml二口フラスコに窒素雰囲気下でメタロセン化合物A21mgを入れ、脱水トルエン21mlで溶解した。室温でメタロセン化合物Aのトルエン溶液にアルベマール社製の20%メチルアルミノキサン/トルエン溶液11mlを加え30分間撹拌した。真空乾燥済みシリカと脱水トルエン24mlの入った200ml二口フラスコを40℃のオイルバスで加熱および撹拌しながら、メタロセン化合物Aとメチルアルミノキサンの反応物のトルエン溶液を全量加えた。40℃で1時間撹拌した後、40℃に加熱したままトルエン溶媒を減圧留去することで固体触媒を得た。
上記(2)固体触媒の調製で得られた固体触媒を用いてエチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。すなわち、誘導撹拌装置付き2Lオートクレーブに1−ヘキセン30ml、トリエチルアルミニウム0.30mmol、水素40ml、イソブタン441gを加え、85℃に昇温し、エチレンを導入してエチレン分圧を0.7MPaに保った。次いで、上記(2)で得られた固体触媒25mgを窒素で圧入し、エチレン分圧0.7MPa、温度85℃を保って60分間重合を継続した。なお、重合反応中、エチレン消費速度に比例した供給速度にて水素の追加供給を実施した。重合はエタノールを加えて停止させた。こうして得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体は140gであった。重合結果を表にまとめた。
(1)オレフィン重合用触媒の合成
窒素雰囲気下、500ml二口フラスコに400℃で5時間焼成したシリカ31.4gを入れ、150℃のオイルバスで加熱しながら真空ポンプで1時間減圧乾燥した。別途用意した200ml二口フラスコに窒素雰囲気下でメタロセン化合物A87mgを入れ、脱水トルエン84mlで溶解した。室温でメタロセン化合物Aのトルエン溶液にアルベマール社製の20%メチルアルミノキサン/トルエン溶液88mlを加え30分間撹拌した。真空乾燥済みシリカと脱水トルエン204mlの入った500ml二口フラスコを40℃のオイルバスで加熱および撹拌しながら、メタロセン化合物Aとメチルアルミノキサンの反応物のトルエン溶液を全量加えた。40℃で1時間撹拌した後、40℃に加熱したままトルエン溶媒を減圧留去することで固体触媒を得た。
(2)エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造
上記(1)で得られた固体触媒25mgを用い、トリエチルアルミニウム0.30mmolとした以外は、参考例1(3)と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。その結果、30gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。重合結果を表にまとめた。
参考例1で得られた固体触媒22mgを用い、トリエチルアルミニウム0.90mmolとした以外は、参考例1(3)と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。その結果、61gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。重合結果を表にまとめた。
実施例1で得られた固体触媒27mgを用い、トリエチルアルミニウム0.90mmolとした以外は、参考例1(3)と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。その結果、39gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。重合結果を表にまとめた。
(1)架橋ビスシクロペンタジエニル化合物B;ジメチルシリレン(3−メチル−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの合成
前記メタロセン化合物Aの(1−1−a)および(1−1−b)と同様にして、7−ブロモ−1−インダノンを合成した。
200mlフラスコに7−ブロモ−1−インダノン7.50g(35.5mmol)とトルエン100mlとを加え溶液とした後、0℃でメチルマグネシウムブロミド/ジエチルエーテル溶液17.77ml(3M、53.31mmol)を加え、15℃で12時間攪拌した。反応液を氷水200mlに注ぎ、析出した固体を濾過し、酢酸エチル60mlで3回洗浄した。濾液から有機相を分離した後、水100mlで2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、7−ブロモ−1−メチルインダノールの粗生成物8.00gを得た。
300mlフラスコに7−ブロモ−1−メチルインダノールの粗生成物8.00g(35.23mmol)とトルエン150mlとを加え溶液とした後、15℃でp−トルエンスルホン酸一水和物134.03mg(704.60μmol)を加え、110℃で2時間攪拌した。攪拌中はディーンスタークトラップを用いて生成する水を除いた。室温まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlを加え、有機相を分離した。水相を酢酸エチル60mlで3回抽出した後、有機相を集め飽和食塩水50mlで3回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。さらにシリカゲルカラム(石油エーテル)で精製し3−メチル−4−ブロモインデン5.00g(収率67.8%)を得た。
200mlフラスコに3−メチル−4−ブロモインデン2.50g(12.0mmol)とジメトキシエタン40mlとを加え溶液とした後、15℃で4−トリメチルフェニルボロン酸2.79g(14.4mmol)、Pd(dba)2343.77mg(597.86μmol)、リン酸三カリウム3.81g(17.9mmol)と水40mlとを加え、16時間還流撹拌を行なった。室温まで冷却し、水50mlを注いだ。有機相を分離した後、水相を酢酸エチル50mlで3回抽出し、先の有機相と混合し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去することで粗生成物を得た。さらにシリカゲルカラム(石油エーテル)で精製し3−メチル−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデン3.10g(収率92.8%)を得た。
前記メタロセン化合物Aの(1−2)と同様にして、2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメチルクロロシランを合成した。
1−メチル−7−(2−(5−メチル)−フリル)−インデン2.60g(12.4mmol)の代わりに3−メチル−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデン3.10g(11.1mmol)を用い、メタロセン化合物A(1−3)と同様の手順で合成を行ない、(3−メチル−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメチルシランの黄色液体1.00g(収率19.7%)として得た。
(3−メチル−4−(2−(5−メチル)−フリル)−インデニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメチルシラン2.20g(5.70mmol)の代わりに(3−メチル−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメチルシラン3.24g(7.09mmol)を用い、メタロセン化合物A(1−4)と同様の手順で合成を行ない、ジメチルシリレン(3−メチル−4−(4−トリメチルシリル−フェニル)−インデニル)(2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドの黄色粉末1.20g(収率27.4%)として得た。
なお、この化合物をメタロセン化合物Bとする(下記化学式参照)。
窒素雰囲気下、200ml二口フラスコに400℃で5時間焼成したシリカ3.2gを入れ、150℃のオイルバスで加熱しながら真空ポンプで1時間減圧乾燥した。別途用意した100ml二口フラスコに窒素雰囲気下でメタロセン化合物B20mgを入れ、脱水トルエン9mlで溶解した。室温でメタロセン化合物Bのトルエン溶液にアルベマール社製の20%メチルアルミノキサン/トルエン溶液9mlを加え30分間撹拌した。真空乾燥済みシリカと脱水トルエン21mlの入った200ml二口フラスコを40℃のオイルバスで加熱および撹拌しながら、メタロセン化合物Bとメチルアルミノキサンの反応物のトルエン溶液を全量加えた。40℃で1時間撹拌した後、40℃に加熱したままトルエン溶媒を減圧留去することで固体触媒を得た。
上記(2)で得られた固体触媒67mgを用い、水素75ml、エチレン分圧を1.4MPaとした以外は、参考例1(3)と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。その結果、126gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。重合結果を表にまとめた。
比較例1(2)で得られた固体触媒22mgを用いた以外は、比較例1(3)と同様に、エチレン・1−ヘキセン共重合体を製造した。その結果、14gのエチレン・1−ヘキセン共重合体が生成した。重合結果を表にまとめた。なお、表7において、C2分圧とは、エチレン分圧を意味する。
(1)オレフィン重合用触媒の合成
窒素雰囲気下、1Lフラスコに480℃で6時間焼成したシリカ32.7gと脱水トルエン213mlの混合スラリー液を作成した。別途用意した200ml二口フラスコに窒素雰囲気下でメタロセン化合物A183mgを入れ、脱水トルエン90mlで溶解した。室温でメタロセン化合物Aのトルエン溶液にアルベマール社製の20%メチルアルミノキサン/トルエン溶液90mlを加え30分間撹拌した。先に作製したシリカのトルエンスラリー液の入った1Lフラスコを40℃のオイルバスで加熱および撹拌しながら、メタロセン化合物Aとメチルアルミノキサンの反応物のトルエン溶液を全量加え、温度を40℃に維持したまま1時間撹拌した。1時間後に撹拌を停止し、40℃に加熱したまま10分間静置した後、上澄みを除去した。ここへ脱水ヘキサン600mlを添加して5分間撹拌の後、10分間静置して上澄みを除去した。同様にして脱水ヘキサン700mlで再度触媒を洗浄後、ヘキサンを減圧留去することで粉状触媒を得た。
(2)エチレン・1−ヘキセン共重合体の製造
上記(1)で得た粉状触媒を使用してエチレン・1−ヘキセン気相連続共重合を行った。すなわち、温度85℃、ヘキセン/エチレンモル比2.5%、水素/エチレンモル比0.21%、窒素濃度を40mol%、エチレン分圧を0.45MPaに準備された気相連続重合装置(内容積100L、流動床直径10cm、流動床種ポリマ−(分散剤)1.8kg)に該粉状触媒を56mg/時間の速さで間欠的に供給しながらガス組成と温度を一定にして重合を行った。また、トリエチルアルミニウム(D成分)のヘキサン稀釈溶液0.03mol/Lを16.7ml/hrでガス循環ラインに供給した。その結果、生成ポリエチレンの平均生成速度は274g/時間となった。累積5kg以上のポリエチレンを生成した後に得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体のMFRと密度は各々0.5g/10分、0.921g/cm3であった。結果を下記の表に示した。
下記の表に記載の条件以外は、比較例2と同様にしてエチレン・1−ヘキセン気相連続共重合を行った。ただし、実施例6〜8ではトリエチルアルミニウム(D成分)のヘキサン稀釈溶液0.15mol/Lを使用した。結果を下記の表に示した。
表5〜8に示すように、実施例1、2、3では、[Mw/Mn]/[Mw0/Mn0]の値が参考例1に比べて低くなった。同様に、実施例4では、[Mw/Mn]/[Mw0/Mn0]の値が比較例1に比べて低くなった。また、実施例5〜9では、[Mw/Mn]/[Mw0/Mn0]の値が比較例2に比べて低くなった。
一方、分岐指数の比(g’m/g’m0)は、実施例1、2、3と参考例1では同等であり、実施例4と比較例1では同等であった。また、分岐指数の比(g’m/g’m0)は、実施例5〜9と比較例2では同等であった。
これらの結果から、本発明では、生成するオレフィン重合体の長鎖分岐構造特性を変化させることなく、分子量分布を狭くすることが可能であることが分かった。オレフィン重合体の長鎖分岐構造と分子量分布構造を制御することによりオレフィン重合体の溶融粘弾性特性の制御が可能となり、溶融状態で実施されるオレフィン重合体の成形性や機械的特性、透明性の改善に有用であると考えられる。
Claims (13)
- オレフィンモノマーと重合媒体の存在する重合反応器に、下記必須成分(A)および(B)を含むオレフィン重合用触媒と下記成分(D)を、下記条件(1)〜(3)を満足するように供給して行う長鎖分岐構造を有するオレフィン重合体の製造方法であって、該成分(A)に対する該成分(D)の供給量比(mol/mol)を下記条件(1)における比(mol/mol)の1.5倍〜100倍とすることを特徴とする、分子量分布の狭いオレフィン重合体の製造方法。
成分(A):遷移金属元素M1を含む下記一般式(1)で示される架橋ビスシクロペンタジエニル化合物
[式(1)中、M1は、Ti、ZrまたはHfのいずれかの遷移金属を示す。X1およびX2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基または炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。Q1とQ2は、各々独立して、炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子を示す。R1は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、4つのR1のうち少なくとも2つが結合して、Q1およびQ2と一緒に環を形成していてもよい。mは、0または1であり、mが0の場合、Q1は、R2およびR3を含む共役5員環と直接結合している。R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素原子または硫黄原子を含む炭素数1〜40の炭化水素基または炭素数1〜40の炭化水素基置換シリル基を示し、2つのR2と2つのR3のうち少なくとも1つは水素原子ではなく、4つのR4のうち少なくとも1つは水素原子ではない。R2、R3およびR4のうち、隣接するR3同士または隣接するR2とR3のいずれか1組のみは結合している炭素原子と一緒に環を形成していてもよい。]
成分(B):成分(A)の化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
成分(D):一般式M2L1 nで示される化合物
(M2は周期表第1族、2族、12〜15族の典型金属原子を表し、
L1は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基であり、
nはM2の原子価に相当する数である)
条件(1)M1に対するM2の比(mol/mol)が1160〜1800
条件(2)重合媒体に対するM1の比(μmol/kg)が0.001〜12
条件(3)重合媒体に対するM2の比(mmol/kg)が0.01〜100
- オレフィンモノマーと重合媒体の存在する重合反応器に、下記必須成分(A)および(B)を含むオレフィン重合用触媒と下記成分(D)を、下記条件(1a)〜(3a)を満足するように供給して行う長鎖分岐構造を有するオレフィン重合体の製造方法。
成分(A):遷移金属元素M1を含む下記一般式(1)で示される架橋ビスシクロペンタジエニル化合物
[式(1)中、M1は、Ti、ZrまたはHfのいずれかの遷移金属を示す。X1およびX2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、酸素原子若しくは窒素原子を含む炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基置換アミノ基または炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。Q1とQ2は、各々独立して、炭素原子、ケイ素原子またはゲルマニウム原子を示す。R1は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を示し、4つのR1のうち少なくとも2つが結合して、Q1およびQ2と一緒に環を形成していてもよい。mは、0または1であり、mが0の場合、Q1は、R2およびR3を含む共役5員環と直接結合している。R2、R3およびR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素数1〜6を含む炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素原子または硫黄原子を含む炭素数1〜40の炭化水素基または炭素数1〜40の炭化水素基置換シリル基を示し、2つのR2と2つのR3のうち少なくとも1つは水素原子ではなく、4つのR4のうち少なくとも1つは水素原子ではない。R2、R3およびR4のうち、隣接するR3同士または隣接するR2とR3のいずれか1組のみは結合している炭素原子と一緒に環を形成していてもよい。]
成分(B):成分(A)の化合物と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物
成分(D):一般式M2L1 nで示される化合物
(M2は周期表第1族、2族、12〜15族の典型金属原子を表し、
L1は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基であり、
nはM2の原子価に相当する数である)
条件(1a)M1に対するM2の比(mol/mol)が1800〜180000
条件(2a)重合媒体に対するM1の比(μmol/kg)が0.001〜12
条件(3a)重合媒体に対するM2の比(mmol/kg)が0.01〜100
- 得られるオレフィン重合体が下記物性(i)、(ii)を満足することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のオレフィン重合体の製造方法。
物性(i) ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布(Mw/Mn)の値と、前記成分(A)に対する前記成分(D)の供給量比を増加させない場合に得られるオレフィン重合体の分子量分布(Mw0/Mn0)の値との比([Mw/Mn]/[Mw0/Mn0])が0.50〜0.95である。
物性(ii) 示差屈折計、粘度検出器、および、光散乱検出器を組み合わせたGPC測定装置により測定される分岐指数g’の分子量10万での値(g’m)と、上記成分(A)に対する上記成分(D)の供給量比を増加させない場合に得られるオレフィン重合体の分岐指数g’の分子量10万での値(g’m0)との比(g’m/g’m0)が0.90〜1.10である。
- 得られるオレフィン重合体が下記物性(iii)(iv)を満足することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
物性(iii) 前記Mw/Mnが2.0〜7.0である。
物性(iv) 前記g’mが0.50〜0.95である。 - 前記オレフィンモノマーがエチレンであることを特徴とする、請求項1〜4に記載のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
- 得られるオレフィン重合体が下記物性(v)(vi)を満足することを特徴とする、請求項5に記載のオレフィン系重合体の製造方法。
物性(v) MFRが0.001〜1000g/10分である。
物性(vi) 密度が0.895〜0.970g/cm3である。 - 前記重合媒体が炭化水素溶媒またはポリオレフィン(粒子またはペレット)であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
- 前記重合反応器が、スラリー重合反応器または気相重合反応器であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
- 重合反応を温度60〜110℃の間で行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
- 重合反応をオレフィン分圧0.2〜1.9MPaの間で行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
- 成分(D)が一般式AlL1 3(L1は水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基である)であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
- 前記オレフィン重合用触媒が、更に、無機化合物担体(成分(C))を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
- 前記請求項1〜12のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法によって得られるオレフィン重合体。
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