JP2013216854A - 表面保護膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた自己修復性および静電気の帯電の抑制を両立する表面保護膜の提供。
【解決手段】自己修復性を有するウレタン樹脂と、前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲の導電性粉体と、を含有する表面保護膜。
【選択図】なし

Description

本発明は、表面保護膜に関する。
従来から、様々な分野において、表面での傷付きを抑制する観点から表面保護膜を設けることが行われている。表面保護膜の用途としては、例えば、携帯電話やポータブルゲーム機等のポータブル機器における画面や画面以外のボディ、車のボディやドアの取っ手、ピアノの外装、画像形成装置における中間転写体などを保護するための保護膜が挙げられる。
ここで、中間転写体を用いた画像形成装置について説明する。電子写真法など静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電、露光工程により像保持体上に潜像(静電潜像)を形成し(潜像形成工程)、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と呼ぶ場合がある。)を含む静電荷像現像用現像剤(以下、単に「現像剤」と呼ぶ場合がある。)で静電潜像を現像し(現像工程)、転写工程、定着工程を経て可視化される。
トナー像を転写させるための転写方式としては種々のものが採用されており、例えば、コロトロン放電方式、接触転写方式等が知られている。接触転写方式において、カーボン等の導電性粒子を分散したポリウレタン等の導電性ローラやベルト等を使用する方式が開発されている。
例えば、特許文献1には、中間転写体の表面層の結着成分がウレタン樹脂、ウレタンエラストマおよびウレタンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種で、結着成分中にフッ素系化合物粉体が表面層の全固形分に対し20重量%以上80重量%以下含有されている画像形成装置が記載されている。
特許文献2には、カーボンブラックをポリイミド樹脂中に均一に分散させたポリイミド樹脂組成物からなる半導電層を、少なくともその外表面に有する高制電性シームレスベルトが記載されている。
特許文献3には、フッ素系重合体100重量部と、カーボンブラック85重量%以上30重量%以下および導電性フィラー15重量%以上70重量%以下からなる導電性成分20重量部以上50重量部以下とを含有したフッ素系重合体組成物からなるフッ素系重合体ベルトが記載されている。
特許文献4には、電子写真用画像形成装置に用いられ、電子伝導により導電性を発現するpH5.0以下のカーボンブラック等の電子伝導性フィラー、疎水性の無機系充填剤、および結着樹脂を含有する樹脂組成物を含む層を有する半導電性部材が記載されている。
特許文献5には、感光体に接触され、または中間転写ベルトを介して感光体に接触され、芯材表面にポリウレタン弾性体層を有する半導電性ローラにおいて、ポリウレタン弾性体層が、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させて得られたポリウレタンを含有し、ポリウレタン弾性体層の残留イオン量を規定した半導電性ローラが記載されている。
特開平10−039645号公報 特開2003−003067号公報 特開平10−039645号公報 特開2002−182487号公報 特開2001−173639号公報
本発明の目的は、優れた自己修復性および静電気の帯電の抑制を両立する表面保護膜を提供することにある。
請求項1に係る発明は、自己修復性を有するウレタン樹脂と、前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲の導電性粉体と、を含有することを特徴とする表面保護膜である。
請求項2に係る発明は、前記導電性粉体を、前記ウレタン樹脂の質量に対して8質量%以上30質量%以下の範囲で含有することを特徴とする、請求項1に記載の表面保護膜である。
請求項3に係る発明は、前記導電性粉体の平均粒径が、10nm以上30nm以下の範囲であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の表面保護膜である。
請求項4に係る発明は、前記ウレタン樹脂が、シリコーンを含有する構成単位およびフッ素原子を含有する構成単位のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の表面保護膜である。
請求項1に係る発明によれば、自己修復性を有するウレタン樹脂と、前記ウレタン樹脂に対して体積比率で前記範囲の導電性粉体と、を含有するとの要件を満たさない場合に比べて、優れた自己修復性および静電気の帯電の抑制を両立する表面保護膜が提供される。
請求項2に係る発明によれば、導電性粉体をウレタン樹脂の質量に対して8質量%以上30質量%以下の範囲で含有しない場合に比べて、優れた自己修復性および静電気の帯電の抑制を両立する表面保護膜が提供される。
請求項3に係る発明によれば、前記導電性粉体の平均粒径が10nm以上30nm以下の範囲外である場合に比べて、優れた自己修復性および静電気の帯電の抑制を両立する表面保護膜が提供される。
請求項4に係る発明によれば、前記ウレタン樹脂がシリコーンを含有する構成単位およびフッ素原子を含有する構成単位のいずれをも含まない場合に比べて、優れた表面の離型性を有する表面保護膜が提供される。
本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<表面保護膜>
本実施形態に係る表面保護膜は、自己修復性を有するウレタン樹脂と、前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲の導電性粉体と、を含有する。
本実施形態に係る表面保護膜は、異物との接触により表面に擦り傷が発生すると共に静電気の帯電が発生し得る物に対してであれば、特に限定されることなく用い得る。
表面に異物との接触により擦り傷が発生すると共に静電気の帯電が発生し得る物の例としては、例えば、携帯電話やポータブルゲーム機等のポータブル機器における画面や画面以外のボディ、車のボディやドアの取っ手、ピアノの外装、画像形成装置における転写部材、ハンガー等が挙げられる。
携帯電話やポータブルゲーム機等のポータブル機器の画面や画面以外のボディにおいては、指の先(爪)や操作用のスティックの先端が接触して擦れることにより擦り傷がつくことがあった。また、衣類のポケット中やカバン等の中で布等と擦れることにより静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなることがあった。
また、車のボディや取っ手は、野外環境に曝されるため風によって運ばれる砂、葉、木の枝等との接触や、虫等との接触など、様々な要因により擦り傷がつくことがあった。更に、野外環境に曝されることで静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなったり、特に静電気に帯電した状態の取っ手に触れようとした際にはその静電気が放電されることもあった。
また、ピアノの外装においては、他の楽器の奏者が演奏する楽器が接触したり、またピアノ自体を移動させる際に様々なものに接触して擦れることにより擦り傷がつくことがあった。また、ピアノの外装を清掃する際には乾拭きすることが多く、乾拭き用の布と擦れることにより静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなることがあった。
更に、画像形成装置における転写部材では、画像形成装置内において紙等の記録媒体と接触したり、その他部材と接触するため、これらとの擦れにより擦り傷がつくことがあった。また、紙等の記録媒体との接触と剥離とが繰返されることで静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなることがあった。
また、上記の態様に限らず、表面に異物が接触し且つ他の物と擦れる物であれば、該異物との擦れによって、表面保護膜表面に擦り傷がついたり静電気が帯電することがあった。
これに対し本実施形態に係る表面保護膜は、自己修復性を有するウレタン樹脂を含有する。自己修復性を有するウレタン樹脂は、衝撃に対して直に反発するのではなく、いったん柔軟に凹んで衝撃を弱めたのちに優れた弾性力で凹みを復元して元の状態に戻るものと推察される。すなわち、高い耐傷性(傷のつき難さ)と傷の修復(いったんついた傷を復元する)の速さとが実現されるものと推察される。したがって、異物との接触により表面に擦り傷が発生する物の表面に、この自己修復性を有するウレタン樹脂を含有する表面保護膜を適用することにより、異物との接触による擦りが生じた際にも、高い耐傷性(傷のつき難さ)と傷の修復(一旦ついた傷を復元する)の速さにより、傷の発生が抑制されるものと考えられる。
また本実施形態に係る表面保護膜は導電性粉体を含有しており、導電性粉体を含有することで優れた導電性が付与される。そのため、静電気の帯電が効率的に抑制され、その結果ほこりの付着が効率的に抑制されるものと考えられる。
但し、自己修復性を有するウレタン樹脂に対して導電性粉体等の添加物を添加した場合、一般的には自己修復性が低下する傾向がある。しかし、本実施形態に係る表面保護膜は、前記の体積比率で導電性粉体を含有することにより、静電気の帯電が抑制されると共に優れた自己修復性が発揮され、ほこり付着の抑制と、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生の抑制が効率的に達成されるものと推察される。
また、特に画像形成装置における転写部材では、感光体等の静電潜像保持体表面から画像形成材料(トナーなど)を転写する際に電圧が印加されるため、静電潜像保持体と転写部材との間で放電が発生することがあった。更に、転写部材上の画像形成材料(トナーなど)を紙等の記録媒体に転写する際にも電圧の印加が行われ、この部分においても転写部材と該転写部材に対し記録媒体を挟んで対向する対向部材との間で放電が発生することがあった。こうした放電が繰返される内に転写部材に放電劣化が生じることで、該転写部材の寿命が短くなることがあった。
これに対し本実施形態に係る表面保護膜は、自己修復性を有するウレタン樹脂を含有し、且つ該ウレタン樹脂に対して体積比率で上記範囲の導電性粉体を含有する。自己修復性を有するウレタン樹脂に対し上記体積比率で導電性粉体を含有することで、優れた導電性が付与されると共に優れた自己修復性が発揮され、記録媒体等との接触,擦れによる傷が抑制され且つ上記の放電劣化が効率的に抑制されるものと推察される。
また、自己修復材は弾性に優れるため、エンボス紙等への対応に優れる。
尚、優れた自己修復性を得且つ静電気の帯電を抑制し、更には放電劣化をより効率的に抑制する観点から、導電性粉体の含有量はウレタン樹脂の質量に対して8質量%以上30質量%以下の範囲であることがより好ましい。
また、本実施形態におけるウレタン樹脂が、シリコーンを含有する構成単位およびフッ素原子を含有する構成単位のうち少なくとも1つを含むことにより、傷に強く且つ静電気の帯電抑制に優れた表面保護膜に、離型性が付与される。
−自己修復性の定義−
ここで、「自己修復性」とは、応力によってできた歪を応力の除荷時に復元する性質を指し、具体的に本明細書においては、下記測定方法によって求められる「戻り率」が80%以上であることを表す。
尚、本実施形態に係る表面保護膜の戻り率は、90%以上100%以下であることがより好ましい。
・戻り率の測定方法
測定装置としてフィッシャースコープHM2000(フィッシャー社製)を用い、ポリイミドフィルムに表面保護膜形成用の塗布液を塗布し重合してサンプル用の表面保護膜を形成し、スライドガラスに接着剤で固定し、上記測定装置にセットする。サンプル用表面保護膜に特定の測定温度で0.5mNまで15秒間かけて荷重をかけていき0.5mNで5秒間保持する。その際の最大変位を(h1)とする。その後、15秒かけて0.005mNまで除荷していき、0.005mNで1分間保持したときの変位を(h2)として、戻り率〔{(h1−h2)/h1}×100(%)〕を計算する。
本明細書に記載の戻り率は、該方法によって測定したものである。
−自己修復温度−
尚、本実施形態における表面保護膜において自己修復性が発現される温度(即ち上記戻り率が80%以上となる温度:自己修復温度)は、表面保護膜を形成する樹脂が表面保護膜として形成された後の形態を保持しうる温度域であれば、いかなる温度であってもよい。従って、前記戻り率の測定方法における“特定の測定温度”は、上記温度域のいかなる温度をも対象とする。
尚、より効率的に傷の修復を行う観点から、本実施形態の表面保護膜における前述の自己修復温度は10℃以上100℃以下であることが好ましく、10℃以上80℃以下であることがより好ましく、10℃以上50℃以下であることが特に好ましい。
−傷修復のための温度−
本実施形態に係る表面保護膜は、自己修復性が発現される温度(自己修復温度)以外の温度環境におかれた場合であっても、より長い時間(例えば前記戻り率の測定方法と同じ条件で荷重をかけ傷をつけた場合であれば、1分間を超える時間)をかけることで、好適に傷の修復が行われる。
但し、より効率的に傷の修復を行う観点から、本実施形態に係る表面保護膜が、前述の自己修復性を発現する温度(即ち前記戻り率が80%以上となる温度:自己修復温度)となる環境で使用することが好ましい。
また、本実施形態に係る表面保護膜に対して熱を付与してもよく、例えばドライヤー等の熱送風装置によって熱風をかける方法や、表面保護膜表面を布等でこすって摩擦熱を付与する方法、表面保護膜を一旦剥がして熱湯に浸し再度貼り付ける方法、前記熱湯に浸すことに替えて加熱炉に入れる方法等の、外的に熱を付与する方法を行うことも好ましい。尚、これらの熱を付与する方法では、表面保護膜が前述の自己修復性を発現する温度(自己修復温度)にまで加熱することが好ましい。
[表面保護膜の組成]
次いで、表面保護膜の組成について説明する。
・導電性粉体
本実施形態における導電性粉体とは、ウレタン樹脂に対して前述の体積比率で添加することによって、表面保護膜の表面抵抗率を1×10Ωcm以上1×1014Ωcm以下の範囲に制御し得る粉体をさす。
表面保護膜に含まれる導電性粉体としては、上記の要件を満たす限り特に制限はないが、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金等の金属または合金、酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化スズ−酸化インジウムまたは酸化スズ−酸化アンチモン複合酸化物等の金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリサルフォン、ポリアセチレン等の導電性ポリマ等が挙げられる。これらのうち、抵抗調整等の点から、カーボンブラックおよび酸化チタンが好ましく、カーボンブラックがより好ましい。導電性粉体は、単独で使用しても、2種以上を併用して使用してもよい。
表面保護膜における導電性粉体の含有量は、自己修復性を有するウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲であり、7体積%以上15体積%以下の範囲であることがより好ましい。導電性粉体の含有量が上記下限値未満であると、所望の導電性が得られず、上記上限値を超えると、自己修復材の架橋が阻害されるために表面保護膜の自己修復機能が低下すると考えられる。
また、表面保護膜における導電性粉体の、自己修復性を有するウレタン樹脂の質量に対する含有量は、所望の導電性と自己修復機能とを得る観点から、8質量%以上30質量%以下の範囲であることが好ましく、10質量%以上20質量%以下の範囲であることがより好ましい。
表面保護膜における導電性粉体の平均粒径は、10nm以上30nm以下の範囲であることが好ましく、15nm以上25nm以下の範囲であることがより好ましい。導電性粉体の平均粒径が10nm以上であることにより、導電性粉体の分散が良好に行われ、30nm以下であることにより、自己修復機能を妨げることなく適度な導通がとられる。
尚、導電性粉体の平均粒径は、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、H−9000型)用いて測定される。なお、平均粒径は、100個の粒子について測定した粒径の平均値とする。本明細書に記載の数値は、上記方法にて測定されたものである。
導電性粉体を含む表面保護膜の表面抵抗率は、1×10Ω/□以上1×1014Ω/□以下の範囲であることが好ましく、体積抵抗率は、1×10Ωcm以上1×1013Ωcm以下の範囲であることが好ましい。
表面抵抗率および体積抵抗率は、(株)ダイヤインスツルメント製ハイレスタUPMCP−450型URプローブを用いて、22℃、55%RHの環境下で、JIS−K6911に従い測定される。
・ウレタン樹脂
本実施形態における自己修復性を有するウレタン樹脂の組成について説明する。本実施形態に係る自己修復性を有するウレタン樹脂は、ヒドロキシル基を含有するヒドロキシル基含有アクリル樹脂とイソシアネートとを重合して形成される。
なお、本実施形態における自己修復性を有するウレタン樹脂は高架橋であることが好ましく、高架橋とは、プレポリマの水酸基価が50以上400以下のもので、90%以上の水酸基がウレタン結合に寄与している状態を意味する。
ヒドロキシル基含有アクリル樹脂を形成するためのモノマとしては、まずヒドロキシル基を有するモノマとして、例えば、(1)(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、N−メチロールアクリルアミン等のヒドロキシ基を有するエチレン性モノマ等が挙げられる。また、(2)(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボキシ基を有するエチレン性モノマを用いてもよい。さらに、ヒドロキシル基を有しないモノマとして、(3)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の前記モノマ(1)および(2)と共重合し得るエチレン性モノマを併用してもよい。
上記架橋密度とするために、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂の水酸基価が50mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であることが好ましい。
表面保護膜の自己修復性を制御するための制御方法として、上記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂における炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基(短側鎖ヒドロキシル基)の量、および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基(長側鎖ヒドロキシル基)の量、架橋剤の種類および量等を調整する方法が挙げられる。特に、放電劣化抑制のために、長側鎖ヒドロキシル基を含有しないか、炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基(短側鎖ヒドロキシル基)の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基(長側鎖ヒドロキシル基)の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が80%以上であるヒドロキシル基含有アクリル樹脂を用いることが好ましい。さらに、上記比([A]/([A]+[B]))は90%以上であることがより好ましい。
ヒドロキシル基含有アクリル樹脂に長側鎖ヒドロキシル基を含有させる場合には、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂を形成するためのモノマとして、ε−カプロラクトンを3−5モル(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチルに付加してなるものが好ましい。ヒドロキシル基含有アクリル樹脂は1種のみでもよいし2種以上であってもよい。
なお、上記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂はバルキーな基を有していてもよい。バルキーな基とは、立体障害の大きな置換基のことで、分子内および分子間で分子を構成する各部分がぶつかるために回転運動などが制限される基を表す。バルキーな基の例としては、イソボルニル、ジシクロペンタジエン、イソボルニルオキシエチル、ジシクロペンテニル、シクロヘキシル、イソプロピル基、t−ブチル基、フェ二ル基等が挙げられる。
以下のバルキーな基を有するモノマが重合されたヒドロキシル基含有アクリル樹脂が好ましく、バルキーな基を有することにより、硬度が向上する等の利点がある。該バルキーな基を有するモノマとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、またはシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂はフッ素原子を含有してもよい。フッ素原子を含有するアクリル樹脂としては、モノマとして、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、パーフルオロヘキシルエチレン等をさらに重合させて得られた共重合体が挙げられる。上記フッ素原子の含有量は、全ウレタン樹脂の5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。ヒドロキシル基含有アクリル樹脂がフッ素原子を含有することにより、離型性に優れる表面保護膜が得られる。
また、本実施形態に係る自己修復性を有するウレタン樹脂としては、放電劣化を抑制する観点や、戻り率を上記の範囲に制御し且つ静電気の帯電を抑制する観点から、少なくとも以下の(a),(b),(c)に示す組成物を重合して形成されたウレタン樹脂、または少なくとも以下の(a’)および(c)に示す組成物を重合して形成されたウレタン樹脂が好ましい。
(a)炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が80%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、かつ、水酸基価が50mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であるヒドロキシル基含有アクリル樹脂
(b)下記一般式(1)で示される化合物から選択される少なくとも1種のシリコーン
(c)イソシアネート
(a’)炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が80%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、さらに下記一般式(2)で示される化合物をモノマの一つとして、1質量%以上50質量%以下の範囲で含んだアクリル樹脂で、水酸基価が50mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であるアクリル樹脂

一般式(1)中、Rはアミノ基、ヒドロキシル基、メトキシ基またはエトキシ基を、Rはメチル基、フェニル基またはエチル基を表す。また、nは、特に限定されるものではないが、3以上1000以下が好ましい。

一般式(2)中、Rはアミノ基、ヒドロキシル基、メトキシ基またはエトキシ基を、Rはメチル基、フェニル基またはエチル基を表す。また、nは、特に限定されるものではないが、3以上1000以下が好ましい。mは、特に限定されるものではないが、3以上1,000以下が好ましい。
ここで、炭素数10未満の側鎖を「短側鎖」と、炭素数10以上の側鎖を「長側鎖」と定義し、短側鎖の炭素数は6以下がより好ましい。
少なくとも上記(a),(b),(c)に示す組成物を重合して形成されたウレタン樹脂、または少なくとも上記(a’)および(c)に示す組成物を重合して形成されたウレタン樹脂は、上記(a),(b),(c)に示す組成物または上記(a’)および(c)に示す組成物を重合しており、かつ、その(a)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂または(a’)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂における水酸基価が上記範囲であることから架橋密度が高く、そのために耐放電劣化性に優れるものと推察される。また、使用環境下で衝撃(例えば紙等の記録媒体等が接触することによる衝撃)に対して直に反発するのではなく、いったん柔軟に凹んで衝撃を弱めたのちに優れた弾性力で凹みを復元して元の状態に戻るものと推察される。すなわち、優れた耐放電劣化性を備えると共に、高温環境における高い耐傷性(傷のつき難さ)と傷の修復(一旦ついた傷を復元する)の速さとが実現されるものと推察される。また、上記(b)シリコーン、またはシリコーン鎖を側鎖に備えた(a’)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂を重合しているため滑りがよく使用環境における高い耐傷性が得られ、更に耐熱性にも優れるものと推察される。また、離型性に優れる表面保護膜が得られる。
なお、本実施形態に係るウレタン樹脂は、該ウレタン樹脂を重合する際に用いられる全モノマに対するシリコーン鎖(Si−O)を有するモノマの質量比が1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。なお、ここでいう質量比とは、例えば、上記(a),(b),(c)に示す組成物を重合してウレタン樹脂を形成する場合であれば、全モノマに対する(b)シリコーンのモノマの質量比を表し、また上記(a’)および(c)に示す組成物を重合しウレタン樹脂を形成する場合であれば、前記(a’)アクリル樹脂の合成に用いられるモノマの内シリコーン鎖(Si−O)を有するモノマの全モノマに対する質量比を表す。さらに、上記(a’),(b),(c)に示す組成物を重合しウレタン樹脂を形成する場合であれば、(b)シリコーンのモノマと、前記(a’)アクリル樹脂の合成に用いられるモノマの内シリコーン鎖(Si−O)を有するモノマと、の全モノマに対する質量比を表す。
上記戻り率は、シリコーンの量、アクリル樹脂におけるシリコーン鎖の量、架橋剤の種類および量等を制御することにより調整される。また、特に上記(a),(b),(c)に示す組成物または上記(a’)および(c)に示す組成物によりウレタン樹脂を重合する際には、長側鎖ヒドロキシル基の量、短側鎖ヒドロキシル基の量等を制御することにより調整される。
長側鎖ヒドロキシル基を含有しないか、上記比([A]/([A]+[B]))が80%以上であることにより、耐放電劣化性に優れたウレタン樹脂が得られる。上記比([A]/([A]+[B]))は、さらに90%以上であることがより好ましい。
また、水酸基価が上記下限値以上であることにより、架橋密度が高いウレタン樹脂が重合され、その結果、耐放電劣化性に優れたウレタン樹脂が得られるものと推察される。一方、上記上限値以下であることにより、適度な柔軟性をもつウレタン樹脂が得られるものと推察される。上記水酸基価は、さらに70mgKOH/g以上280mgKOH/g以下であることがより好ましい。
なお、上記水酸基価とは、試料1g中の水酸基をアセチル化するために要する水酸化カリウムのmg数を表す。本実施形態における上記水酸基価の測定は、JIS K0070−1992に定められた方法(電位差滴定法)に準じて測定される。ただしサンプルが溶解しない場合は溶媒にジオキサン、THF等の溶媒が用いられる。
本実施形態における上記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂の合成方法は、例えば、前述のモノマを混合し、通常のラジカル重合やイオン重合等を行った後、精製することによって合成される。
本実施形態においては、シリコーンとして、(b)前記一般式(1)で示される化合物から選択される少なくとも1種のシリコーン、および、シリコーン鎖を側鎖に備えた前記一般式(2)で示される化合物から選択される少なくとも1種の(a’)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂のうち少なくとも1つを用いることが好ましい。
前述の通り、前記一般式(1)および一般式(2)においてRはアミノ基、ヒドロキシル基、メトキシ基またはエトキシ基を表し、この中でも反応性等の点から、ヒドロキシル基、メトキシ基がより好ましい。Rはメチル基、フェニル基またはエチル基を表し、この中でも相溶性等の点から、メチル基、フェニル基がより好ましい。
前記一般式(1)で示される(b)シリコーンの分子量、または前記一般式(2)で示される(a’)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂に側鎖として結合するシリコーン(シリコーンモノマ)の分子量(重量平均分子量)としては、250以上50000以下が好ましく、500以上20000以下がより好ましい。
前記一般式(1)で示される(b)シリコーン、または前記一般式(2)で示される(a’)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂に側鎖として結合するシリコーン(シリコーンモノマ)の具体例としては、例えばKF9701、KF8008、KF6001(以上信越シリコーン社製)、TSR160、TSR145、TSR165、YF3804(以上モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
イソシアネートは、前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂と前記シリコーン、またはヒドロキシル基含有アクリル樹脂同士、シリコーン同士を架橋する架橋剤として機能する。特に制限されるものではないが、イソシアネートとしては例えば、メチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートや、ヘキサメチレンポリイソシアネートの多量体でビュレット構造、イソシヌアレート構造、アダクト構造、弾性型構造などをもつ多官能イソシアネート(例えば旭化成製のポリイソシアネート(デュラネート))等が好ましく用いられる。またこれらのイソシアネートは2種以上を混ぜて用いてもよい。特に高い架橋密度の時には弾性型を10%から100%用いるとよい。さらにある特定温度までは反応しないよう官能基をブロック化したイソシアネートを用いてもよい。
なお、上記イソシアネートの含有量(i)としては、前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂のヒドロキシル基量(ii)に対する比(i)/(ii)が0.7以上3以下であることが好ましく、さらには0.9以上2以下であることがより好ましい。
・表面保護膜の形成方法
次に、本実施形態に係る表面保護膜の形成方法(樹脂の重合方法)について説明する。例えば評価用の保護膜サンプルの形成方法について説明すると、上記(a),(b),(c)の成分を重合する場合であれば、例えば、(a)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂と(b)シリコーンと(c)イソシアネートとを混合し、更に前述の体積比率の範囲となる導電性粉体を混合し、減圧下で脱泡したのち90μmのポリイミドのフィルム上にキャストして評価用の樹脂層サンプルを形成し、85℃で60分、160℃で0.5時間加温して硬化させる。なお、実用には保護したい表面に塗布したのち、同様に加熱して硬化する。
ただし、本実施形態に係る表面保護膜の形成方法は、特に前記(a),(b),(c)の成分を重合する方法には限られない。例えば、ブロック化されたイソシアネートを用いる場合はブロックが外れる温度以上に加熱して硬化する。また減圧脱泡のかわりに超音波を用いたり、混合液を放置して脱泡する等の方法によっても重合される。また、(a’)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂と(c)イソシアネートとを重合することによっても本実施形態に係るウレタン樹脂が形成される。
前記表面保護膜の厚さとしては、特に限定されるものではないが1μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましい。
〔用途〕
前述の通り、本実施形態に係る表面保護膜は、異物との接触により表面に擦り傷が発生すると共に帯電による静電気が発生し得る物に対してであれば、特に限定されることなく用い得る。例えば、携帯電話やポータブルゲーム機等のポータブル機器における画面や画面以外のボディ、車のボディやドアの取っ手、ピアノの外装、画像形成装置における転写部材、ハンガー等が挙げられる。
以下においては、本実施形態にかかる表面保護膜の用途について説明する。
<転写部材>
本実施形態に係る転写部材は、少なくとも基材と、該基材上に、前記本実施形態に係る表面保護膜と、を有する。
基材上に、自己修復性を有するウレタン樹脂と前記ウレタン樹脂に対して体積比率で前述の範囲の導電性粉体とを含有する表面保護膜を備えることにより、優れた表面の自己修復性および放電劣化の抑制を両立する転写部材が得られる。
本実施形態に係る転写部材の基材に用いる素材としては、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられ、これらの中でもポリイミド系樹脂およびポリアミドイミド系樹脂を用いることがより好ましい。
本実施形態に係る転写部材がベルト状の転写ベルトである場合は、基材は環状(無端状)であればつなぎ目があってもなくてもよい。また、基材の厚さは、例えば、0.02mm以上0.2mm以下の範囲である。ベルト状の転写部材は、環状(無端状)の基材と、基材の表面に積層された表面保護膜とを有するものである。表面保護膜の厚みは、例えば、1μm以上100μm以下の範囲である。
本実施形態に係る転写部材がロール状の転写ロールである場合には、基材は円筒状であればよい。また、基材の厚さは、例えば、3mm以上10mm以下の範囲である。ロール状の転写部材は、円筒状の基材と、基材の表面に積層された表面保護膜とを有するものである。表面保護膜の厚みは、例えば、1μm以上100μm以下の範囲である。
本実施形態に係る転写部材の表面保護膜の接触角は、60度以上であることが好ましく、80度以上であることがより好ましい。接触角が80度以上であることにより優れた離型性が得られる。
なお、上記接触角は、前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂および前記長鎖ポリオールに含有されるフッ素原子の量、シリコーンの量等を制御することにより調整される。
動的接触角(前進接触角)は、樹脂材料の固体表面に注射器で水滴を落とし、その液滴にさらに水を注入することで膨らませていき、樹脂材料と水の接触面が増加する瞬間の接触角を動的(前進)接触角として測定する。また後退接触角は、前進接触角の測定を行った後に水滴の水を吸い上げ、樹脂材料と水との接触面が減少する直前の接触角を後退接触角として測定する。なお、接触角の測定は室温(25℃)にて接触角計(協和界面科学社製、CAS−ルガタ)を用いて行う。
−プロセスカートリッジ、画像形成装置−
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、静電潜像保持体(以下、「感光体」という場合がある)と、静電潜像保持体の表面に潜像(静電潜像)を形成する静電潜像形成装置と、静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、前述の本実施形態に係る転写部材を備えた中間転写体と、静電潜像保持体上に形成された前記トナー像を前記中間転写体に転写する一次転写装置と、前記中間転写体上の前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写装置と、を備える。
転写部材が、基材上に、自己修復性を有するウレタン樹脂と前記ウレタン樹脂に対して体積比率で前述の範囲の導電性粉体とを含有する表面保護膜を備えることにより、優れた表面の自己修復性および放電劣化の抑制を両立する転写部材を備える画像形成装置が得られる。
上記画像形成装置において、例えば前記転写部材を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。このプロセスカートリッジとしては、上記本実施形態に係る転写部材を備えるものであればよく、特に制限はない。プロセスカートリッジは、例えば、上記本実施形態に係る転写部材と、静電潜像保持体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置とを備え、画像形成装置に着脱されるものが挙げられる。
転写部材が、基材上に、自己修復性を有するウレタン樹脂と前記ウレタン樹脂に対して体積比率で前述の範囲の導電性粉体とを含有する表面保護膜を備えることにより、優れた表面の自己修復性および放電劣化の抑制を両立する転写部材を備えるプロセスカートリッジが得られる。
本実施形態に係る画像形成装置は、前記転写部材を備える。図1は、前記転写部材を中間転写ベルトおよび転写ロールのうち少なくとも1つとして備えたタンデム式の、画像形成装置の要部を説明する概略構成図である。
具体的には、画像形成装置1は、感光体26(静電潜像保持体)と、感光体26の表面を帯電する帯電ロール34と、感光体26の表面を露光し静電潜像を形成するレーザー発生装置24(静電潜像形成装置)と、感光体26表面に形成された潜像を、現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像器38(現像装置)と、現像器38により形成されたトナー像が感光体26から転写される中間転写ベルト40(中間転写体)と、トナー像を中間転写ベルト40に転写する1次転写ロール28(一次転写装置)と、感光体26に付着したトナーやゴミ等を除去する感光体清掃部材36と、中間転写ベルト40上のトナー像を記録媒体に転写する2次転写ロール18(二次転写装置)と、記録媒体上のトナー像を定着する定着装置12(定着装置)と、を含んで構成されている。感光体26と1次転写ロール28は、図1に示すとおり感光体26直上に配置していてもよく、感光体26直上からずれた位置に配置していてもよい。
さらに、図1に示す画像形成装置1の構成について詳細に説明する。画像形成装置1においては、感光体26の周囲に、反時計回りに帯電ロール34、現像器38、中間転写ベルト40を介して配置された1次転写ロール28、感光体清掃部材36が配置され、これら1組の部材が、1つの色に対応した現像ユニットを形成している。また、この現像ユニット毎に、現像器38に現像剤を補充するトナーカートリッジ10がそれぞれ設けられており、各現像ユニットの感光体26に対して、帯電ロール34(感光体26の回転方向)の下流側であって現像器38の上流側の感光体26表面に画像情報に応じたレーザー光を照射するレーザー発生装置24が設けられている。
4つの色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に対応した4つの現像ユニットは、画像形成装置1内において水平方向に直列に配置されており、4つの現像ユニットの感光体26と1次転写ロール28との転写領域を挿通するように中間転写ベルト40が設けられている。中間転写ベルト40は、その内面側に以下の順序で反時計回りに設けられた、支持ロール14、支持ロール16、および駆動ロール30により支持され、ベルト支持装置42を形成している。なお、4つの1次転写ロールは支持ロール14(中間転写ベルト40の回転方向)の下流側であって支持ロール16の上流側に位置する。また、中間転写ベルト40を介して駆動ロール30の反対側には中間転写ベルト40の外周面を清掃する転写清掃部材32が駆動ロール30に対して接触するように設けられている。
また、中間転写ベルト40を介して支持ロール14の反対側には用紙供給部22から用紙経路20を経由して搬送される記録用紙の表面に、中間転写ベルト40の外周面に形成されたトナー像を転写するための2次転写ロール18が、支持ロール14に対して接触するように設けられている。
また、画像形成装置1の底部には記録媒体を収容する用紙供給部22が設けられ、用紙供給部22から用紙経路20を経由して2次転写部を構成する支持ロール14と2次転写ロール18との接触部を通過するように、記録媒体が供給される。この接触部を通過した記録媒体は、さらに定着装置12の接触部を挿通するように不図示の搬送装置により搬送され、最終的に画像形成装置1の外へと排出される。
次に、図1に示す画像形成装置1を用いた画像形成方法について説明する。トナー像の形成は現像ユニットごとに行われ、帯電ロール34により反時計方向に回転する感光体26表面を帯電した後に、レーザー発生装置24(露光装置)により帯電された感光体26表面に潜像(静電潜像)を形成し、次に、この潜像を現像器38から供給される現像剤により現像してトナー像を形成し、1次転写ロール28と感光体26との接触部に運ばれたトナー像を矢印C方向に回転する中間転写ベルト40の外周面に転写する。なお、トナー像を転写した後の感光体26は、その表面に付着したトナーやゴミ等が感光体清掃部材36により清掃され、次のトナー像の形成に備える。
各色の現像ユニット毎に現像されたトナー像は、画像情報に対応するように中間転写ベルト40の外周面上に順次重ね合わされた状態で、2次転写部に運ばれ2次転写ロール18により、用紙供給部22から用紙経路20を経由して搬送されてきた記録用紙表面に転写される。トナー像が転写された記録用紙は、さらに定着装置12の接触部を通過する際に加圧加熱されることにより定着され、記録媒体表面に画像が形成された後、画像形成装置外へと排出される。
<ポータブル機器>
前記本実施形態に係る表面保護膜は、ポータブル機器において画面の保護膜や、画面以外のボディの保護膜として用い得る。
携帯電話やポータブルゲーム機等のポータブル機器の画面や画面以外のボディにおいては、指の先(爪)や操作用のスティックの先端が接触して擦れることにより擦り傷がつくことがあった。また、衣類のポケット中やカバン等の中で布等と擦れることにより静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなることがあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を有することで、擦り傷の発生が抑制され、更にたとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。また、優れた導電性が付与されるため、静電気の帯電が抑制され、その結果ほこりの付着が抑制される。
<車のボディやドアの取っ手>
前記本実施形態に係る表面保護膜は、車のボディや、車の取ってにおける保護膜として用い得る。
車のボディや取っ手は、野外環境に曝されるため風によって運ばれる砂、葉、木の枝等との接触や、虫等との接触など、様々な要因により擦り傷がつくことがあった。更に、野外環境に曝されることで静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなったり、特に静電気に帯電した状態の取っ手に触れようとした際にはその静電気が放電されることもあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を有することで、擦り傷の発生が抑制され、更にたとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。また、優れた導電性が付与されるため、静電気の帯電が抑制され、その結果ほこりの付着が抑制される。
<ピアノの外装>
前記本実施形態に係る表面保護膜は、ピアノの外装の保護膜として用い得る。
ピアノの外装においては、他の楽器の奏者が演奏する楽器が接触したり、またピアノ自体を移動させる際に様々なものに接触して擦れることにより擦り傷がつくことがあった。また、ピアノの外装を清掃する際には乾拭きすることが多く、乾拭き用の布と擦れることにより静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなることがあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を有することで、擦り傷の発生が抑制され、更にたとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。また、優れた導電性が付与されるため、静電気の帯電が抑制され、その結果ほこりの付着が抑制される。
<ハンガー>
前記本実施形態に係る表面保護膜は、ハンガーの保護膜として用い得る。
ハンガーはベルトやボタン等で表面が傷付き、その傷に服が引っかかったりすることがあった。また、化学繊維の服をかけたり外したりする際にプラスチック製のハンガーでは静電気が発生することもあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を有することで、擦り傷の発生が抑制され、更にたとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。また、優れた導電性が付与されるため、静電気の発生が抑制され、その結果ほこりの付着も抑制される。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下において「部」は特に断りのない限り質量基準である。
<実施例1>
[ヒドロキシル基含有アクリル樹脂プレポリマの合成]
溶液重合の方法により、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂プレポリマA1を合成した。
具体的には、短側鎖ヒドロキシル基となるモノマーであるヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と、ポリカプロラクタム含有モノマー(FM3、ダイセル社製)と、フッ素含有アクリルモノマー(FAMAC6、ユニマテック株式会社製)と、を3:2:1のモル比で混合し、以上の総質量の20質量%のシリコン含有モノマー(サイラプレーン711、JNC株式会社製)を添加し、対モノマー比5質量%の重合開始剤(過酸化ベンゾイル、BPO)および対モノマー比10質量%の酢酸ブチルを添加してなるモノマー溶液を滴下ロートに入れ、窒素還流下で110℃に昇温した対モノマー比100質量%の酢酸ブチル中に、攪拌下3時間かけて滴下し重合した。さらに対モノマー比30質量%の酢酸ブチルと対モノマー比0.5質量%のBPOとからなる液を1時間かけて滴下し、反応を完結させた。尚、反応中は常に110℃に保持して攪拌し続けた。こうしてアクリル樹脂プレポリマーA1を合成した。
[表面保護膜サンプルの形成]
プレポリマをイソシアネートや他の添加剤と混合、脱泡したのち、加熱硬化の方法により、表面保護膜サンプルA1を作製した。
具体的には、下記A液と下記B液とを、下記の割合で混合したのち、下記導電性粉体分散液C液を攪拌下でゆっくり加え、10分間減圧下で脱泡した。それを90μm厚のポリイミドフィルムにキャストして、85℃で1時間、さらに160℃で60分硬化して40μmの膜厚の表面保護膜サンプルA1を得た。
・A液(上記アクリル樹脂プレポリマA1液、46.3質量%、水酸基価132)
:21.6部
・B液(イソシアネート、旭化成ケミカルズ社製、デュラネートTKA100、
化合物名:ヘキサメチレンジイソシアネートのポリイソシアヌレート体)
:4.3部
・C液 導電性粉体(カーボンブラック、三菱カーボンブラック社製、
商品名:MA100)1.6部を酢酸ブチル16部に分散した液
[導電性粉体の平均粒径の測定]
表面保護膜サンプルに含まれる導電性粉体の平均粒径を、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、H−9000型)用いて測定した。結果を表1に示す。なお、平均粒径は、100個の粒子について測定した粒径の平均値とした。
(評価)
[抵抗値の放電劣化の評価]
表面保護膜サンプルの表面抵抗率測定は、ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METERを使用、プローブは三菱化学アナリテックのURプローブを使用した。以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
◎:通紙部、非通紙部ともに抵抗値が低下しない
○:通紙部、非通紙部ともに抵抗値の落ちがひとケタ以内
△:通紙部、非通紙部どちらか一方の抵抗値の落ちがひとケタ以内
×:通紙部、非通紙部ともに抵抗値の落ちがふたケタ以上
[自己修復性の評価]
表面保護膜サンプルの自己修復性の評価として、下記の方法により30℃における戻り率を測定した。結果を表1に示す。測定装置としてフィッシャースコープHM2000(フィッシャー社製)を用い、ポリイミドフィルムに塗布し製膜したサンプルウレタン樹脂層を、スライドガラスに接着剤で固定し、上記測定装置のホットステージ上にセットした。サンプルウレタン樹脂層を30℃に保ったまま、0.5mNまで15秒間かけて荷重をかけていき0.5mNで5秒間保持し、その際の最大変位を(h1)とした。その後、15秒かけて0.005mNまで除荷していき、0.005mNで1分間保持したときの変位を(h2)として、戻り率[(h1−h2)/h1]を計算した。結果を表1に示す。
◎:戻り率100%で傷が残っていない。
○:戻り率80%以上で1時間以内に傷が消える
△:1週間以内に傷が消える。
×:1週間たっても傷が消えない。
<実施例2>
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を30質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を8質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例5>
平均粒径16nmの導電性粉体(カーボンブラック)を用い、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例6>
平均粒径30nmの導電性粉体(カーボンブラック)を用い、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例7>
平均粒径47nmの導電性粉体(カーボンブラック)を用い、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例8>
HEMA:FM3:FAMAC6の比を2.5:2.5:1としてアクリル樹脂プレポリマの水酸基価を120とし、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例9>
フッ素原子を含むアクリル樹脂およびシリコーンを用いなかった。具体的には、フッ素含有アクリルモノマー(FAMAC6、ユニマテック株式会社製)をノルマルブチルメタクリレート(nBMA)に変更し、且つシリコン含有モノマー(サイラプレーン711を用いなかった。またHEMA:FM3:nBMAの比を1:2:3のモル比にし、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例10>
フッ素原子を含むアクリル樹脂を用いずにフッ素含有アクリルモノマー(FAMAC6、ユニマテック株式会社製)をノルマルブチルメタクリレート(nBMA)に変更し、HEMA:nBMAの比を2:1のモル比にし、シリコーン量を11質量%とし、導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とし、更にB液(イソシアネート)としてデュラネートTKA100をデュラネートE402(旭化成ケミカルズ社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例11>
シリコン含有モノマー(サイラプレーン711)を用いず、HEMA:FM3:FAMAC6の比を1:2:3のモル比にし、フッ素量を11質量%とし、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例12>
導電性粉体としてカーボンブラックの代わりに酸化チタンを用い、且つ導電性粉体(酸化チタン)の添加量を30質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を3.4体積%(5質量%)とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を26体積%(35質量%)とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例3>
アクリル樹脂プレポリマの水酸基価を2とし、且つ導電性粉体(酸化チタン)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
尚、実施例3および実施例12では、表1に示す通り30℃における戻り率が80%を下回っていたが、表面保護膜サンプルを40℃に加熱した際の戻り率は80%以上となり、且つ傷の自己修復性は○評価となった。
[表面抵抗値の測定]
表面保護膜サンプルの表面抵抗率測定は、ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METERを使用、プローブは三菱化学アナリテックのURプローブを使用した。
[ほこり付着性の評価]
以下の方法により、ほこりの付着性について評価試験を行なった。
表面保護膜サンプルをベンコットで20回軽く表面をこすったあと、300nmの粒径のポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子をはけで軽くこすった。表面を逆さにして余分な粉(粒子)を落とした後、表面に付着しているPMMA粒子の量でほこりの付着性を判定した。
○:ぱらぱらした状態にしか粉が付着していない。
△:下地が見えるが、粉の付着が多く確認される。
×:粉で白く表面が覆われる。
このように、実施例の表面保護膜サンプルは、比較例に比べて、自己修復性を有するウレタン樹脂と、該ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲の導電性粉体とを含有することにより、優れた表面の自己修復性および静電気の帯電抑制、更には放電劣化の抑制が両立された。
[携帯電話の実施例]
携帯電話(TOSHIBA biblio)の画面上部の部分に実施例2の表面保護膜を塗布したPETフィルムを張り付け、1カ月通常使用した。1ヶ月後、目視により、表面保護膜のあるところとないところの傷や埃の付く具合を確認したところ、表面保護膜のない箇所には小さな傷が確認されたが、表面保護膜のある箇所には傷はなかった。また、表面保護膜のある箇所は手の指紋跡が見えにくかった。
[車の取っ手の実施例]
TOYOTA SIENTAのドアノブ、およびドアノブの凹み部分に実施例10の表面保護膜を塗布したイミドフィルムを張り付け、1カ月間通常使用した。ドアの開閉のためにドアノブに触れる際に生じることのあった静電気は、上記の1カ月間の使用中には感じることがなかった。また表面保護膜上に爪との接触などによる傷も見られなかった。
[ハンガーの実施例]
ポリスチレン製のハンガーに実施例2の表面保護膜をコートした。ポリエステル100%のブラウスをかけて外す作業を20回繰り返した後、前述のほこり付着性の評価試験をPMMA粒子(粉)で行ったところ、ほとんど粉の付着がなかった。また、目視による傷の発生も確認されなかった。
1 画像形成装置、10 トナーカートリッジ、12 定着装置、14,16 支持ロール、18 2次転写ロール、20 用紙経路、22 用紙供給部、24 レーザー発生装置、26 感光体、28 1次転写ロール、30 駆動ロール、32 転写清掃部材、34 帯電ロール、36 感光体清掃部材、38 現像器、40 中間転写ベルト、42 ベルト支持装置。
請求項1に係る発明は、炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が33%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であるヒドロキシル基含有アクリル樹脂と、イソシアネートと、が重合されてなり自己修復性を有するウレタン樹脂と、平均粒径が10nm以上30nm以下の範囲であり且つ前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲の導電性粉体と、を含有することを特徴とする表面保護膜である。
請求項3に係る発明は、前記導電性粉体としてカーボンブラックを含有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の表面保護膜である。
請求項4に係る発明は、前記ウレタン樹脂が、シリコーンを含有する構成単位およびフッ素原子を含有する構成単位のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の表面保護膜である。
請求項5に係る発明は、前記シリコーンを含有する構成単位が、後述の一般式(1)で示されるシリコーン、および後述の一般式(2)で示される構成単位を有する前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂から選択される少なくとも1種を重合して導入されてなることを特徴とする、請求項4に記載の表面保護膜である。
請求項6に係る発明は、前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂の前記比([A]/([A]+[B]))が80%以上であることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の表面保護膜である。
請求項7に係る発明は、前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂の水酸基価が50mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の表面保護膜。
また、請求項に係る発明によれば、前記導電性粉体の平均粒径が10nm以上30nm以下の範囲外である場合に比べて、優れた自己修復性および静電気の帯電の抑制を両立する表面保護膜が提供される。
<表面保護膜>
本実施形態に係る表面保護膜は、炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が33%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であるヒドロキシル基含有アクリル樹脂と、イソシアネートと、が重合されてなり自己修復性を有するウレタン樹脂と、平均粒径が10nm以上30nm以下の範囲であり且つ前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲の導電性粉体と、を含有する。
表面保護膜における導電性粉体の平均粒径は、10nm以上30nm以下の範囲であ、15nm以上25nm以下の範囲であることがより好ましい。導電性粉体の平均粒径が10nm以上であることにより、導電性粉体の分散が良好に行われ、30nm以下であることにより、自己修復機能を妨げることなく適度な導通がとられる。
・ウレタン樹脂
本実施形態における自己修復性を有するウレタン樹脂の組成について説明する。本実施形態に係る自己修復性を有するウレタン樹脂は、炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が33%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であるヒドロキシル基を含有するヒドロキシル基含有アクリル樹脂とイソシアネートとを重合して形成される。
なお、本実施形態における自己修復性を有するウレタン樹脂は高架橋であることが好ましく、高架橋とは、プレポリマの水酸基価が50以上400以下のもので、90%以上の水酸基がウレタン結合に寄与している状態を意味する。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下において「部」は特に断りのない限り質量基準である。尚、以下に示す実施例7は、本発明に対する参考例として示すものである。
請求項1に係る発明は、炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が33%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、水酸基価が132mgKOH/g以上であるヒドロキシル基含有アクリル樹脂と、イソシアネートと、が重合されてなり、且つ後述の一般式(1)で示されるシリコーンおよび後述の一般式(2)で示される構成単位を有する前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂から選択される少なくとも1種を重合して導入されてなるシリコーンを含有する構成単位を含み、自己修復性を有するウレタン樹脂と、
平均粒径が10nm以上30nm以下の範囲であり且つ前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲の導電性粉体と、
を含有することを特徴とする表面保護膜である。
請求項4に係る発明は、前記ウレタン樹脂が、フッ素原子を含有する構成単位を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の表面保護膜である
請求項に係る発明は、前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂の前記比([A]/([A]+[B]))が80%以上であることを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の表面保護膜である。
請求項に係る発明は、前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂の水酸基価が400mgKOH/g以下であることを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の表面保護膜。
請求項1および請求項4に係る発明によれば、前記ウレタン樹脂がシリコーンを含有する構成単位およびフッ素原子を含有する構成単位のいずれをも含まない場合に比べて、優れた表面の離型性を有する表面保護膜が提供される。
<表面保護膜>
本実施形態に係る表面保護膜は、炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が33%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、水酸基価が132mgKOH/g以上であるヒドロキシル基含有アクリル樹脂と、イソシアネートと、が重合されてなり、且つ後述の一般式(1)で示されるシリコーンおよび後述の一般式(2)で示される構成単位を有する前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂から選択される少なくとも1種を重合して導入されてなるシリコーンを含有する構成単位を含み、自己修復性を有するウレタン樹脂と、平均粒径が10nm以上30nm以下の範囲であり且つ前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲の導電性粉体と、を含有する。
・ウレタン樹脂
本実施形態における自己修復性を有するウレタン樹脂の組成について説明する。本実施形態に係る自己修復性を有するウレタン樹脂は、炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が33%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、水酸基価が132mgKOH/g以上であるヒドロキシル基を含有するヒドロキシル基含有アクリル樹脂とイソシアネートとを重合して形成される。また、後述の一般式(1)で示されるシリコーンおよび後述の一般式(2)で示される構成単位を有する前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂から選択される少なくとも1種を重合して導入されてなるシリコーンを含有する構成単位を含む。
なお、本実施形態における自己修復性を有するウレタン樹脂は高架橋であることが好ましく、高架橋とは、プレポリマの水酸基価が50以上400以下のもので、90%以上の水酸基がウレタン結合に寄与している状態を意味する。
上記架橋密度とするために、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂の水酸基価が132mgKOH/g以上に制御される。また上限値は400mgKOH/g以下であることが好ましい。
(a)炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が80%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、かつ、水酸基価が132mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であるヒドロキシル基含有アクリル樹脂
(b)下記一般式(1)で示される化合物から選択される少なくとも1種のシリコーン
(c)イソシアネート
(a’)炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が80%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、さらに下記一般式(2)で示される化合物をモノマの一つとして、1質量%以上50質量%以下の範囲で含んだアクリル樹脂で、水酸基価が132mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であるアクリル樹脂
また、水酸基価が上記下限値以上であることにより、架橋密度が高いウレタン樹脂が重合され、その結果、耐放電劣化性に優れたウレタン樹脂が得られるものと推察される。一方、上記上限値以下であることにより、適度な柔軟性をもつウレタン樹脂が得られるものと推察される。上記水酸基価は、さらに280mgKOH/g以下であることがより好ましい。
本実施形態においては、シリコーンとして、(b)前記一般式(1)で示される化合物から選択される少なくとも1種のシリコーン、および、シリコーン鎖を側鎖に備えた前記一般式(2)で示される化合物から選択される少なくとも1種の(a’)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂のうち少なくとも1つを用いる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下において「部」は特に断りのない限り質量基準である。尚、以下に示す実施例7、8、9、および11は、本発明に対する参考例として示すものである。
本発明は、表面保護膜に関する。
従来から、様々な分野において、表面での傷付きを抑制する観点から表面保護膜を設けることが行われている。表面保護膜の用途としては、例えば、携帯電話やポータブルゲーム機等のポータブル機器における画面や画面以外のボディ、車のボディやドアの取っ手、ピアノの外装、画像形成装置における中間転写体などを保護するための保護膜が挙げられる。
ここで、中間転写体を用いた画像形成装置について説明する。電子写真法など静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電、露光工程により像保持体上に潜像(静電潜像)を形成し(潜像形成工程)、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と呼ぶ場合がある。)を含む静電荷像現像用現像剤(以下、単に「現像剤」と呼ぶ場合がある。)で静電潜像を現像し(現像工程)、転写工程、定着工程を経て可視化される。
トナー像を転写させるための転写方式としては種々のものが採用されており、例えば、コロトロン放電方式、接触転写方式等が知られている。接触転写方式において、カーボン等の導電性粒子を分散したポリウレタン等の導電性ローラやベルト等を使用する方式が開発されている。
例えば、特許文献1には、中間転写体の表面層の結着成分がウレタン樹脂、ウレタンエラストマおよびウレタンゴムからなる群から選ばれる少なくとも1種で、結着成分中にフッ素系化合物粉体が表面層の全固形分に対し20重量%以上80重量%以下含有されている画像形成装置が記載されている。
特許文献2には、カーボンブラックをポリイミド樹脂中に均一に分散させたポリイミド樹脂組成物からなる半導電層を、少なくともその外表面に有する高制電性シームレスベルトが記載されている。
特許文献3には、フッ素系重合体100重量部と、カーボンブラック85重量%以上30重量%以下および導電性フィラー15重量%以上70重量%以下からなる導電性成分20重量部以上50重量部以下とを含有したフッ素系重合体組成物からなるフッ素系重合体ベルトが記載されている。
特許文献4には、電子写真用画像形成装置に用いられ、電子伝導により導電性を発現するpH5.0以下のカーボンブラック等の電子伝導性フィラー、疎水性の無機系充填剤、および結着樹脂を含有する樹脂組成物を含む層を有する半導電性部材が記載されている。
特許文献5には、感光体に接触され、または中間転写ベルトを介して感光体に接触され、芯材表面にポリウレタン弾性体層を有する半導電性ローラにおいて、ポリウレタン弾性体層が、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させて得られたポリウレタンを含有し、ポリウレタン弾性体層の残留イオン量を規定した半導電性ローラが記載されている。
特開平10−039645号公報 特開2003−003067号公報 特開平10−039645号公報 特開2002−182487号公報 特開2001−173639号公報
本発明の目的は、優れた自己修復性および静電気の帯電の抑制を両立する表面保護膜を提供することにある。
請求項1に係る発明は、炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が33%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、水酸基価が132mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であり、且つ後述の一般式(2)で示される構成単位を有するヒドロキシル基含有アクリル樹脂と、イソシアネートと、が重合されてなり、自己修復性を有するウレタン樹脂と、
平均粒径が10nm以上30nm以下の範囲であり且つ前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲のカーボンブラックと、
を含有することを特徴とする表面保護膜である。
請求項2に係る発明は、炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が33%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、水酸基価が132mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であるヒドロキシル基含有アクリル樹脂と、イソシアネートと、後述の一般式(1)で示される構造を有するシリコーンと、が重合されてなり、自己修復性を有するウレタン樹脂と、
平均粒径が10nm以上30nm以下の範囲であり且つ前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲のカーボンブラックと、
を含有することを特徴とする表面保護膜である。
請求項3に係る発明は、前記カーボンブラックを、前記ウレタン樹脂の質量に対して8質量%以上30質量%以下の範囲で含有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の表面保護膜である。
請求項4に係る発明は、前記ウレタン樹脂が、フッ素原子を含有する構成単位を含むことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の表面保護膜である。
請求項5に係る発明は、前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂の前記比([A]/([A]+[B]))が80%以上であることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の表面保護膜である。
請求項1および請求項2に係る発明によれば、自己修復性を有するウレタン樹脂と、前記ウレタン樹脂に対して体積比率で前記範囲のカーボンブラックと、を含有するとの要件を満たさない場合に比べて、優れた自己修復性および静電気の帯電の抑制を両立する表面保護膜が提供される。
請求項3に係る発明によれば、カーボンブラックをウレタン樹脂の質量に対して8質量%以上30質量%以下の範囲で含有しない場合に比べて、優れた自己修復性および静電気の帯電の抑制を両立する表面保護膜が提供される。
また、請求項1および請求項2に係る発明によれば、前記カーボンブラックの平均粒径が10nm以上30nm以下の範囲外である場合に比べて、優れた自己修復性および静電気の帯電の抑制を両立する表面保護膜が提供される。
請求項1、請求項2および請求項4に係る発明によれば、前記ウレタン樹脂がシリコーンを含有する構成単位およびフッ素原子を含有する構成単位のいずれをも含まない場合に比べて、優れた表面の離型性を有する表面保護膜が提供される。
本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<表面保護膜>
本実施形態に係る表面保護膜は、炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が33%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、下記[1]または[2]の条件を満たし、自己修復性を有するウレタン樹脂と、平均粒径が10nm以上30nm以下の範囲であり且つ前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲のカーボンブラックと、を含有する。
[1]水酸基価が132mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であり、且つ後述の一般式(2)で示される構成単位を有するヒドロキシル基含有アクリル樹脂と、イソシアネートと、が重合されてなる
[2]水酸基価が132mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であるヒドロキシル基含有アクリル樹脂と、イソシアネートと、後述の一般式(1)で示される構造を有するシリコーンと、が重合されてなる
本実施形態に係る表面保護膜は、異物との接触により表面に擦り傷が発生すると共に静電気の帯電が発生し得る物に対してであれば、特に限定されることなく用い得る。
表面に異物との接触により擦り傷が発生すると共に静電気の帯電が発生し得る物の例としては、例えば、携帯電話やポータブルゲーム機等のポータブル機器における画面や画面以外のボディ、車のボディやドアの取っ手、ピアノの外装、画像形成装置における転写部材、ハンガー等が挙げられる。
携帯電話やポータブルゲーム機等のポータブル機器の画面や画面以外のボディにおいては、指の先(爪)や操作用のスティックの先端が接触して擦れることにより擦り傷がつくことがあった。また、衣類のポケット中やカバン等の中で布等と擦れることにより静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなることがあった。
また、車のボディや取っ手は、野外環境に曝されるため風によって運ばれる砂、葉、木の枝等との接触や、虫等との接触など、様々な要因により擦り傷がつくことがあった。更に、野外環境に曝されることで静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなったり、特に静電気に帯電した状態の取っ手に触れようとした際にはその静電気が放電されることもあった。
また、ピアノの外装においては、他の楽器の奏者が演奏する楽器が接触したり、またピアノ自体を移動させる際に様々なものに接触して擦れることにより擦り傷がつくことがあった。また、ピアノの外装を清掃する際には乾拭きすることが多く、乾拭き用の布と擦れることにより静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなることがあった。
更に、画像形成装置における転写部材では、画像形成装置内において紙等の記録媒体と接触したり、その他部材と接触するため、これらとの擦れにより擦り傷がつくことがあった。また、紙等の記録媒体との接触と剥離とが繰返されることで静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなることがあった。
また、上記の態様に限らず、表面に異物が接触し且つ他の物と擦れる物であれば、該異物との擦れによって、表面保護膜表面に擦り傷がついたり静電気が帯電することがあった。
これに対し本実施形態に係る表面保護膜は、自己修復性を有するウレタン樹脂を含有する。自己修復性を有するウレタン樹脂は、衝撃に対して直に反発するのではなく、いったん柔軟に凹んで衝撃を弱めたのちに優れた弾性力で凹みを復元して元の状態に戻るものと推察される。すなわち、高い耐傷性(傷のつき難さ)と傷の修復(いったんついた傷を復元する)の速さとが実現されるものと推察される。したがって、異物との接触により表面に擦り傷が発生する物の表面に、この自己修復性を有するウレタン樹脂を含有する表面保護膜を適用することにより、異物との接触による擦りが生じた際にも、高い耐傷性(傷のつき難さ)と傷の修復(一旦ついた傷を復元する)の速さにより、傷の発生が抑制されるものと考えられる。
また本実施形態に係る表面保護膜は導電性粉体としてカーボンブラックを含有しており、導電性粉体を含有することで優れた導電性が付与される。そのため、静電気の帯電が効率的に抑制され、その結果ほこりの付着が効率的に抑制されるものと考えられる。
但し、自己修復性を有するウレタン樹脂に対して導電性粉体等の添加物を添加した場合、一般的には自己修復性が低下する傾向がある。しかし、本実施形態に係る表面保護膜は、前記の体積比率でカーボンブラックを含有することにより、静電気の帯電が抑制されると共に優れた自己修復性が発揮され、ほこり付着の抑制と、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生の抑制が効率的に達成されるものと推察される。
また、特に画像形成装置における転写部材では、感光体等の静電潜像保持体表面から画像形成材料(トナーなど)を転写する際に電圧が印加されるため、静電潜像保持体と転写部材との間で放電が発生することがあった。更に、転写部材上の画像形成材料(トナーなど)を紙等の記録媒体に転写する際にも電圧の印加が行われ、この部分においても転写部材と該転写部材に対し記録媒体を挟んで対向する対向部材との間で放電が発生することがあった。こうした放電が繰返される内に転写部材に放電劣化が生じることで、該転写部材の寿命が短くなることがあった。
これに対し本実施形態に係る表面保護膜は、自己修復性を有するウレタン樹脂を含有し、且つ該ウレタン樹脂に対して体積比率で上記範囲のカーボンブラックを含有する。自己修復性を有するウレタン樹脂に対し上記体積比率でカーボンブラックを含有することで、優れた導電性が付与されると共に優れた自己修復性が発揮され、記録媒体等との接触,擦れによる傷が抑制され且つ上記の放電劣化が効率的に抑制されるものと推察される。
また、自己修復材は弾性に優れるため、エンボス紙等への対応に優れる。
尚、優れた自己修復性を得且つ静電気の帯電を抑制し、更には放電劣化をより効率的に抑制する観点から、カーボンブラックの含有量はウレタン樹脂の質量に対して8質量%以上30質量%以下の範囲であることがより好ましい。
また、本実施形態におけるウレタン樹脂が、シリコーンを含有する構成単位を少なくとも含み、また更にフッ素原子を含有する構成単位を含んでもよく、これらを含むことにより、傷に強く且つ静電気の帯電抑制に優れた表面保護膜に、離型性が付与される。
−自己修復性の定義−
ここで、「自己修復性」とは、応力によってできた歪を応力の除荷時に復元する性質を指し、具体的に本明細書においては、下記測定方法によって求められる「戻り率」が80%以上であることを表す。
尚、本実施形態に係る表面保護膜の戻り率は、90%以上100%以下であることがより好ましい。
・戻り率の測定方法
測定装置としてフィッシャースコープHM2000(フィッシャー社製)を用い、ポリイミドフィルムに表面保護膜形成用の塗布液を塗布し重合してサンプル用の表面保護膜を形成し、スライドガラスに接着剤で固定し、上記測定装置にセットする。サンプル用表面保護膜に特定の測定温度で0.5mNまで15秒間かけて荷重をかけていき0.5mNで5秒間保持する。その際の最大変位を(h1)とする。その後、15秒かけて0.005mNまで除荷していき、0.005mNで1分間保持したときの変位を(h2)として、戻り率〔{(h1−h2)/h1}×100(%)〕を計算する。
本明細書に記載の戻り率は、該方法によって測定したものである。
−自己修復温度−
尚、本実施形態における表面保護膜において自己修復性が発現される温度(即ち上記戻り率が80%以上となる温度:自己修復温度)は、表面保護膜を形成する樹脂が表面保護膜として形成された後の形態を保持しうる温度域であれば、いかなる温度であってもよい。従って、前記戻り率の測定方法における“特定の測定温度”は、上記温度域のいかなる温度をも対象とする。
尚、より効率的に傷の修復を行う観点から、本実施形態の表面保護膜における前述の自己修復温度は10℃以上100℃以下であることが好ましく、10℃以上80℃以下であることがより好ましく、10℃以上50℃以下であることが特に好ましい。
−傷修復のための温度−
本実施形態に係る表面保護膜は、自己修復性が発現される温度(自己修復温度)以外の温度環境におかれた場合であっても、より長い時間(例えば前記戻り率の測定方法と同じ条件で荷重をかけ傷をつけた場合であれば、1分間を超える時間)をかけることで、好適に傷の修復が行われる。
但し、より効率的に傷の修復を行う観点から、本実施形態に係る表面保護膜が、前述の自己修復性を発現する温度(即ち前記戻り率が80%以上となる温度:自己修復温度)となる環境で使用することが好ましい。
また、本実施形態に係る表面保護膜に対して熱を付与してもよく、例えばドライヤー等の熱送風装置によって熱風をかける方法や、表面保護膜表面を布等でこすって摩擦熱を付与する方法、表面保護膜を一旦剥がして熱湯に浸し再度貼り付ける方法、前記熱湯に浸すことに替えて加熱炉に入れる方法等の、外的に熱を付与する方法を行うことも好ましい。尚、これらの熱を付与する方法では、表面保護膜が前述の自己修復性を発現する温度(自己修復温度)にまで加熱することが好ましい。
[表面保護膜の組成]
次いで、表面保護膜の組成について説明する。
・導電性粉体
本実施形態における導電性粉体とは、ウレタン樹脂に対して前述の体積比率で添加することによって、表面保護膜の表面抵抗率を1×10Ωcm以上1×1014Ωcm以下の範囲に制御し得る粉体をさす。
表面保護膜に含まれる導電性粉体としては、本実施形態においては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラックが用いられる。抵抗調整等の点から、カーボンブラックは好ましい。カーボンブラックは、単独で使用しても、2種以上を併用して使用してもよい。
表面保護膜におけるカーボンブラックの含有量は、自己修復性を有するウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲であり、7体積%以上15体積%以下の範囲であることがより好ましい。カーボンブラックの含有量が上記下限値未満であると、所望の導電性が得られず、上記上限値を超えると、自己修復材の架橋が阻害されるために表面保護膜の自己修復機能が低下すると考えられる。
また、表面保護膜におけるカーボンブラックの、自己修復性を有するウレタン樹脂の質量に対する含有量は、所望の導電性と自己修復機能とを得る観点から、8質量%以上30質量%以下の範囲であることが好ましく、10質量%以上20質量%以下の範囲であることがより好ましい。
表面保護膜における導電性粉体の平均粒径は、10nm以上30nm以下の範囲であり、15nm以上25nm以下の範囲であることがより好ましい。導電性粉体の平均粒径が10nm以上であることにより、導電性粉体の分散が良好に行われ、30nm以下であることにより、自己修復機能を妨げることなく適度な導通がとられる。
尚、導電性粉体の平均粒径は、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、H−9000型)用いて測定される。なお、平均粒径は、100個の粒子について測定した粒径の平均値とする。本明細書に記載の数値は、上記方法にて測定されたものである。
導電性粉体を含む表面保護膜の表面抵抗率は、1×10Ω/□以上1×1014Ω/□以下の範囲であることが好ましく、体積抵抗率は、1×10Ωcm以上1×1013Ωcm以下の範囲であることが好ましい。
表面抵抗率および体積抵抗率は、(株)ダイヤインスツルメント製ハイレスタUPMCP−450型URプローブを用いて、22℃、55%RHの環境下で、JIS−K6911に従い測定される。
・ウレタン樹脂
本実施形態における自己修復性を有するウレタン樹脂の組成について説明する。本実施形態に係る自己修復性を有するウレタン樹脂は、炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が33%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、下記[1]または[2]の条件を満たす。
[1]水酸基価が132mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であり、且つ後述の一般式(2)で示される構成単位を有するヒドロキシル基含有アクリル樹脂とイソシアネートとを重合して形成される。
[2]水酸基価が132mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であるヒドロキシル基含有アクリル樹脂とイソシアネートと後述の一般式(1)で示される構造を有するシリコーンとを重合して形成される。
なお、本実施形態における自己修復性を有するウレタン樹脂は高架橋であることが好ましく、高架橋とは、プレポリマの水酸基価が50以上400以下のもので、90%以上の水酸基がウレタン結合に寄与している状態を意味する。
ヒドロキシル基含有アクリル樹脂を形成するためのモノマとしては、まずヒドロキシル基を有するモノマとして、例えば、(1)(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、N−メチロールアクリルアミン等のヒドロキシ基を有するエチレン性モノマ等が挙げられる。また、(2)(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボキシ基を有するエチレン性モノマを用いてもよい。さらに、ヒドロキシル基を有しないモノマとして、(3)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等の前記モノマ(1)および(2)と共重合し得るエチレン性モノマを併用してもよい。
上記架橋密度とするために、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂の水酸基価が132mgKOH/g以上400mgKOH/g以下である。
表面保護膜の自己修復性を制御するための制御方法として、上記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂における炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基(短側鎖ヒドロキシル基)の量、および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基(長側鎖ヒドロキシル基)の量、架橋剤の種類および量等を調整する方法が挙げられる。特に、放電劣化抑制のために、長側鎖ヒドロキシル基を含有しないか、炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基(短側鎖ヒドロキシル基)の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基(長側鎖ヒドロキシル基)の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が80%以上であるヒドロキシル基含有アクリル樹脂を用いることが好ましい。さらに、上記比([A]/([A]+[B]))は90%以上であることがより好ましい。
ヒドロキシル基含有アクリル樹脂に長側鎖ヒドロキシル基を含有させる場合には、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂を形成するためのモノマとして、ε−カプロラクトンを3−5モル(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチルに付加してなるものが好ましい。ヒドロキシル基含有アクリル樹脂は1種のみでもよいし2種以上であってもよい。
なお、上記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂はバルキーな基を有していてもよい。バルキーな基とは、立体障害の大きな置換基のことで、分子内および分子間で分子を構成する各部分がぶつかるために回転運動などが制限される基を表す。バルキーな基の例としては、イソボルニル、ジシクロペンタジエン、イソボルニルオキシエチル、ジシクロペンテニル、シクロヘキシル、イソプロピル基、t−ブチル基、フェ二ル基等が挙げられる。
以下のバルキーな基を有するモノマが重合されたヒドロキシル基含有アクリル樹脂が好ましく、バルキーな基を有することにより、硬度が向上する等の利点がある。該バルキーな基を有するモノマとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、またはシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂はフッ素原子を含有してもよい。フッ素原子を含有するアクリル樹脂としては、モノマとして、2−(パーフルオロブチル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート、2−(パーフルオロヘキシル)エチルメタクリレート、パーフルオロヘキシルエチレン等をさらに重合させて得られた共重合体が挙げられる。上記フッ素原子の含有量は、全ウレタン樹脂の5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。ヒドロキシル基含有アクリル樹脂がフッ素原子を含有することにより、離型性に優れる表面保護膜が得られる。
また、本実施形態に係る自己修復性を有するウレタン樹脂としては、放電劣化を抑制する観点や、戻り率を上記の範囲に制御し且つ静電気の帯電を抑制する観点から、少なくとも以下の(a),(b),(c)に示す組成物を重合して形成されたウレタン樹脂、または少なくとも以下の(a’)および(c)に示す組成物を重合して形成されたウレタン樹脂が好ましい。
(a)炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が80%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、かつ、水酸基価が132mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であるヒドロキシル基含有アクリル樹脂
(b)下記一般式(1)で示される化合物から選択される少なくとも1種のシリコーン
(c)イソシアネート
(a’)炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が80%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、さらに下記一般式(2)で示される化合物をモノマの一つとして、1質量%以上50質量%以下の範囲で含んだアクリル樹脂で、水酸基価が132mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であるアクリル樹脂

一般式(1)中、Rはアミノ基、ヒドロキシル基、メトキシ基またはエトキシ基を、Rはメチル基、フェニル基またはエチル基を表す。また、nは、特に限定されるものではないが、3以上1000以下が好ましい。

一般式(2)中、Rはアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基、メトキシ基またはエトキシ基を、Rはメチル基、フェニル基またはエチル基を表す。また、nは、特に限定されるものではないが、3以上1000以下が好ましい。mは、特に限定されるものではないが、3以上1,000以下が好ましい。
ここで、炭素数10未満の側鎖を「短側鎖」と、炭素数10以上の側鎖を「長側鎖」と定義し、短側鎖の炭素数は6以下がより好ましい。
少なくとも上記(a),(b),(c)に示す組成物を重合して形成されたウレタン樹脂、または少なくとも上記(a’)および(c)に示す組成物を重合して形成されたウレタン樹脂は、上記(a),(b),(c)に示す組成物または上記(a’)および(c)に示す組成物を重合しており、かつ、その(a)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂または(a’)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂における水酸基価が上記範囲であることから架橋密度が高く、そのために耐放電劣化性に優れるものと推察される。また、使用環境下で衝撃(例えば紙等の記録媒体等が接触することによる衝撃)に対して直に反発するのではなく、いったん柔軟に凹んで衝撃を弱めたのちに優れた弾性力で凹みを復元して元の状態に戻るものと推察される。すなわち、優れた耐放電劣化性を備えると共に、高温環境における高い耐傷性(傷のつき難さ)と傷の修復(一旦ついた傷を復元する)の速さとが実現されるものと推察される。また、上記(b)シリコーン、またはシリコーン鎖を側鎖に備えた(a’)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂を重合しているため滑りがよく使用環境における高い耐傷性が得られ、更に耐熱性にも優れるものと推察される。また、離型性に優れる表面保護膜が得られる。
なお、本実施形態に係るウレタン樹脂は、該ウレタン樹脂を重合する際に用いられる全モノマに対するシリコーン鎖(Si−O)を有するモノマの質量比が1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。なお、ここでいう質量比とは、例えば、上記(a),(b),(c)に示す組成物を重合してウレタン樹脂を形成する場合であれば、全モノマに対する(b)シリコーンのモノマの質量比を表し、また上記(a’)および(c)に示す組成物を重合しウレタン樹脂を形成する場合であれば、前記(a’)アクリル樹脂の合成に用いられるモノマの内シリコーン鎖(Si−O)を有するモノマの全モノマに対する質量比を表す。さらに、上記(a’),(b),(c)に示す組成物を重合しウレタン樹脂を形成する場合であれば、(b)シリコーンのモノマと、前記(a’)アクリル樹脂の合成に用いられるモノマの内シリコーン鎖(Si−O)を有するモノマと、の全モノマに対する質量比を表す。
上記戻り率は、シリコーンの量、アクリル樹脂におけるシリコーン鎖の量、架橋剤の種類および量等を制御することにより調整される。また、特に上記(a),(b),(c)に示す組成物または上記(a’)および(c)に示す組成物によりウレタン樹脂を重合する際には、長側鎖ヒドロキシル基の量、短側鎖ヒドロキシル基の量等を制御することにより調整される。
長側鎖ヒドロキシル基を含有しないか、上記比([A]/([A]+[B]))が80%以上であることにより、耐放電劣化性に優れたウレタン樹脂が得られる。上記比([A]/([A]+[B]))は、さらに90%以上であることがより好ましい。
また、水酸基価が上記下限値以上であることにより、架橋密度が高いウレタン樹脂が重合され、その結果、耐放電劣化性に優れたウレタン樹脂が得られるものと推察される。一方、上記上限値以下であることにより、適度な柔軟性をもつウレタン樹脂が得られるものと推察される。上記水酸基価は、さらに280mgKOH/g以下であることがより好ましい。
なお、上記水酸基価とは、試料1g中の水酸基をアセチル化するために要する水酸化カリウムのmg数を表す。本実施形態における上記水酸基価の測定は、JIS K0070−1992に定められた方法(電位差滴定法)に準じて測定される。ただしサンプルが溶解しない場合は溶媒にジオキサン、THF等の溶媒が用いられる。
本実施形態における上記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂の合成方法は、例えば、前述のモノマを混合し、通常のラジカル重合やイオン重合等を行った後、精製することによって合成される。
本実施形態においては、シリコーンとして、(b)前記一般式(1)で示される化合物から選択される少なくとも1種のシリコーン、および、シリコーン鎖を側鎖に備えた前記一般式(2)で示される化合物から選択される少なくとも1種の(a’)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂のうち少なくとも1つを用いる。
前述の通り、前記一般式(1)および一般式(2)においてRはアミノ基、ヒドロキシル基、メトキシ基またはエトキシ基を表し、この中でも反応性等の点から、ヒドロキシル基、メトキシ基がより好ましい。Rはメチル基、フェニル基またはエチル基を表し、この中でも相溶性等の点から、メチル基、フェニル基がより好ましい。
前記一般式(1)で示される(b)シリコーンの分子量、または前記一般式(2)で示される(a’)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂に側鎖として結合するシリコーン(シリコーンモノマ)の分子量(重量平均分子量)としては、250以上50000以下が好ましく、500以上20000以下がより好ましい。
前記一般式(1)で示される(b)シリコーン、または前記一般式(2)で示される(a’)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂に側鎖として結合するシリコーン(シリコーンモノマ)の具体例としては、例えばKF9701、KF8008、KF6001(以上信越シリコーン社製)、TSR160、TSR145、TSR165、YF3804(以上モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
イソシアネートは、前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂と前記シリコーン、またはヒドロキシル基含有アクリル樹脂同士、シリコーン同士を架橋する架橋剤として機能する。特に制限されるものではないが、イソシアネートとしては例えば、メチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネートや、ヘキサメチレンポリイソシアネートの多量体でビュレット構造、イソシヌアレート構造、アダクト構造、弾性型構造などをもつ多官能イソシアネート(例えば旭化成製のポリイソシアネート(デュラネート))等が好ましく用いられる。またこれらのイソシアネートは2種以上を混ぜて用いてもよい。特に高い架橋密度の時には弾性型を10%から100%用いるとよい。さらにある特定温度までは反応しないよう官能基をブロック化したイソシアネートを用いてもよい。
なお、上記イソシアネートの含有量(i)としては、前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂のヒドロキシル基量(ii)に対する比(i)/(ii)が0.7以上3以下であることが好ましく、さらには0.9以上2以下であることがより好ましい。
・表面保護膜の形成方法
次に、本実施形態に係る表面保護膜の形成方法(樹脂の重合方法)について説明する。例えば評価用の保護膜サンプルの形成方法について説明すると、上記(a),(b),(c)の成分を重合する場合であれば、例えば、(a)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂と(b)シリコーンと(c)イソシアネートとを混合し、更に前述の体積比率の範囲となるカーボンブラックを混合し、減圧下で脱泡したのち90μmのポリイミドのフィルム上にキャストして評価用の樹脂層サンプルを形成し、85℃で60分、160℃で0.5時間加温して硬化させる。なお、実用には保護したい表面に塗布したのち、同様に加熱して硬化する。
ただし、本実施形態に係る表面保護膜の形成方法は、特に前記(a),(b),(c)の成分を重合する方法には限られない。例えば、ブロック化されたイソシアネートを用いる場合はブロックが外れる温度以上に加熱して硬化する。また減圧脱泡のかわりに超音波を用いたり、混合液を放置して脱泡する等の方法によっても重合される。また、(a’)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂と(c)イソシアネートとを重合することによっても本実施形態に係るウレタン樹脂が形成される。
前記表面保護膜の厚さとしては、特に限定されるものではないが1μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましい。
〔用途〕
前述の通り、本実施形態に係る表面保護膜は、異物との接触により表面に擦り傷が発生すると共に帯電による静電気が発生し得る物に対してであれば、特に限定されることなく用い得る。例えば、携帯電話やポータブルゲーム機等のポータブル機器における画面や画面以外のボディ、車のボディやドアの取っ手、ピアノの外装、画像形成装置における転写部材、ハンガー等が挙げられる。
以下においては、本実施形態にかかる表面保護膜の用途について説明する。
<転写部材>
本実施形態に係る転写部材は、少なくとも基材と、該基材上に、前記本実施形態に係る表面保護膜と、を有する。
基材上に、自己修復性を有するウレタン樹脂と前記ウレタン樹脂に対して体積比率で前述の範囲のカーボンブラックとを含有する表面保護膜を備えることにより、優れた表面の自己修復性および放電劣化の抑制を両立する転写部材が得られる。
本実施形態に係る転写部材の基材に用いる素材としては、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられ、これらの中でもポリイミド系樹脂およびポリアミドイミド系樹脂を用いることがより好ましい。
本実施形態に係る転写部材がベルト状の転写ベルトである場合は、基材は環状(無端状)であればつなぎ目があってもなくてもよい。また、基材の厚さは、例えば、0.02mm以上0.2mm以下の範囲である。ベルト状の転写部材は、環状(無端状)の基材と、基材の表面に積層された表面保護膜とを有するものである。表面保護膜の厚みは、例えば、1μm以上100μm以下の範囲である。
本実施形態に係る転写部材がロール状の転写ロールである場合には、基材は円筒状であればよい。また、基材の厚さは、例えば、3mm以上10mm以下の範囲である。ロール状の転写部材は、円筒状の基材と、基材の表面に積層された表面保護膜とを有するものである。表面保護膜の厚みは、例えば、1μm以上100μm以下の範囲である。
本実施形態に係る転写部材の表面保護膜の接触角は、60度以上であることが好ましく、80度以上であることがより好ましい。接触角が80度以上であることにより優れた離型性が得られる。
なお、上記接触角は、前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂および前記長鎖ポリオールに含有されるフッ素原子の量、シリコーンの量等を制御することにより調整される。
動的接触角(前進接触角)は、樹脂材料の固体表面に注射器で水滴を落とし、その液滴にさらに水を注入することで膨らませていき、樹脂材料と水の接触面が増加する瞬間の接触角を動的(前進)接触角として測定する。また後退接触角は、前進接触角の測定を行った後に水滴の水を吸い上げ、樹脂材料と水との接触面が減少する直前の接触角を後退接触角として測定する。なお、接触角の測定は室温(25℃)にて接触角計(協和界面科学社製、CAS−ルガタ)を用いて行う。
−プロセスカートリッジ、画像形成装置−
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、静電潜像保持体(以下、「感光体」という場合がある)と、静電潜像保持体の表面に潜像(静電潜像)を形成する静電潜像形成装置と、静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、前述の本実施形態に係る転写部材を備えた中間転写体と、静電潜像保持体上に形成された前記トナー像を前記中間転写体に転写する一次転写装置と、前記中間転写体上の前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写装置と、を備える。
転写部材が、基材上に、自己修復性を有するウレタン樹脂と前記ウレタン樹脂に対して体積比率で前述の範囲のカーボンブラックとを含有する表面保護膜を備えることにより、優れた表面の自己修復性および放電劣化の抑制を両立する転写部材を備える画像形成装置が得られる。
上記画像形成装置において、例えば前記転写部材を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。このプロセスカートリッジとしては、上記本実施形態に係る転写部材を備えるものであればよく、特に制限はない。プロセスカートリッジは、例えば、上記本実施形態に係る転写部材と、静電潜像保持体上に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置とを備え、画像形成装置に着脱されるものが挙げられる。
転写部材が、基材上に、自己修復性を有するウレタン樹脂と前記ウレタン樹脂に対して体積比率で前述の範囲のカーボンブラックとを含有する表面保護膜を備えることにより、優れた表面の自己修復性および放電劣化の抑制を両立する転写部材を備えるプロセスカートリッジが得られる。
本実施形態に係る画像形成装置は、前記転写部材を備える。図1は、前記転写部材を中間転写ベルトおよび転写ロールのうち少なくとも1つとして備えたタンデム式の、画像形成装置の要部を説明する概略構成図である。
具体的には、画像形成装置1は、感光体26(静電潜像保持体)と、感光体26の表面を帯電する帯電ロール34と、感光体26の表面を露光し静電潜像を形成するレーザー発生装置24(静電潜像形成装置)と、感光体26表面に形成された潜像を、現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像器38(現像装置)と、現像器38により形成されたトナー像が感光体26から転写される中間転写ベルト40(中間転写体)と、トナー像を中間転写ベルト40に転写する1次転写ロール28(一次転写装置)と、感光体26に付着したトナーやゴミ等を除去する感光体清掃部材36と、中間転写ベルト40上のトナー像を記録媒体に転写する2次転写ロール18(二次転写装置)と、記録媒体上のトナー像を定着する定着装置12(定着装置)と、を含んで構成されている。感光体26と1次転写ロール28は、図1に示すとおり感光体26直上に配置していてもよく、感光体26直上からずれた位置に配置していてもよい。
さらに、図1に示す画像形成装置1の構成について詳細に説明する。画像形成装置1においては、感光体26の周囲に、反時計回りに帯電ロール34、現像器38、中間転写ベルト40を介して配置された1次転写ロール28、感光体清掃部材36が配置され、これら1組の部材が、1つの色に対応した現像ユニットを形成している。また、この現像ユニット毎に、現像器38に現像剤を補充するトナーカートリッジ10がそれぞれ設けられており、各現像ユニットの感光体26に対して、帯電ロール34(感光体26の回転方向)の下流側であって現像器38の上流側の感光体26表面に画像情報に応じたレーザー光を照射するレーザー発生装置24が設けられている。
4つの色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に対応した4つの現像ユニットは、画像形成装置1内において水平方向に直列に配置されており、4つの現像ユニットの感光体26と1次転写ロール28との転写領域を挿通するように中間転写ベルト40が設けられている。中間転写ベルト40は、その内面側に以下の順序で反時計回りに設けられた、支持ロール14、支持ロール16、および駆動ロール30により支持され、ベルト支持装置42を形成している。なお、4つの1次転写ロールは支持ロール14(中間転写ベルト40の回転方向)の下流側であって支持ロール16の上流側に位置する。また、中間転写ベルト40を介して駆動ロール30の反対側には中間転写ベルト40の外周面を清掃する転写清掃部材32が駆動ロール30に対して接触するように設けられている。
また、中間転写ベルト40を介して支持ロール14の反対側には用紙供給部22から用紙経路20を経由して搬送される記録用紙の表面に、中間転写ベルト40の外周面に形成されたトナー像を転写するための2次転写ロール18が、支持ロール14に対して接触するように設けられている。
また、画像形成装置1の底部には記録媒体を収容する用紙供給部22が設けられ、用紙供給部22から用紙経路20を経由して2次転写部を構成する支持ロール14と2次転写ロール18との接触部を通過するように、記録媒体が供給される。この接触部を通過した記録媒体は、さらに定着装置12の接触部を挿通するように不図示の搬送装置により搬送され、最終的に画像形成装置1の外へと排出される。
次に、図1に示す画像形成装置1を用いた画像形成方法について説明する。トナー像の形成は現像ユニットごとに行われ、帯電ロール34により反時計方向に回転する感光体26表面を帯電した後に、レーザー発生装置24(露光装置)により帯電された感光体26表面に潜像(静電潜像)を形成し、次に、この潜像を現像器38から供給される現像剤により現像してトナー像を形成し、1次転写ロール28と感光体26との接触部に運ばれたトナー像を矢印C方向に回転する中間転写ベルト40の外周面に転写する。なお、トナー像を転写した後の感光体26は、その表面に付着したトナーやゴミ等が感光体清掃部材36により清掃され、次のトナー像の形成に備える。
各色の現像ユニット毎に現像されたトナー像は、画像情報に対応するように中間転写ベルト40の外周面上に順次重ね合わされた状態で、2次転写部に運ばれ2次転写ロール18により、用紙供給部22から用紙経路20を経由して搬送されてきた記録用紙表面に転写される。トナー像が転写された記録用紙は、さらに定着装置12の接触部を通過する際に加圧加熱されることにより定着され、記録媒体表面に画像が形成された後、画像形成装置外へと排出される。
<ポータブル機器>
前記本実施形態に係る表面保護膜は、ポータブル機器において画面の保護膜や、画面以外のボディの保護膜として用い得る。
携帯電話やポータブルゲーム機等のポータブル機器の画面や画面以外のボディにおいては、指の先(爪)や操作用のスティックの先端が接触して擦れることにより擦り傷がつくことがあった。また、衣類のポケット中やカバン等の中で布等と擦れることにより静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなることがあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を有することで、擦り傷の発生が抑制され、更にたとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。また、優れた導電性が付与されるため、静電気の帯電が抑制され、その結果ほこりの付着が抑制される。
<車のボディやドアの取っ手>
前記本実施形態に係る表面保護膜は、車のボディや、車の取ってにおける保護膜として用い得る。
車のボディや取っ手は、野外環境に曝されるため風によって運ばれる砂、葉、木の枝等との接触や、虫等との接触など、様々な要因により擦り傷がつくことがあった。更に、野外環境に曝されることで静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなったり、特に静電気に帯電した状態の取っ手に触れようとした際にはその静電気が放電されることもあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を有することで、擦り傷の発生が抑制され、更にたとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。また、優れた導電性が付与されるため、静電気の帯電が抑制され、その結果ほこりの付着が抑制される。
<ピアノの外装>
前記本実施形態に係る表面保護膜は、ピアノの外装の保護膜として用い得る。
ピアノの外装においては、他の楽器の奏者が演奏する楽器が接触したり、またピアノ自体を移動させる際に様々なものに接触して擦れることにより擦り傷がつくことがあった。また、ピアノの外装を清掃する際には乾拭きすることが多く、乾拭き用の布と擦れることにより静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなることがあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を有することで、擦り傷の発生が抑制され、更にたとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。また、優れた導電性が付与されるため、静電気の帯電が抑制され、その結果ほこりの付着が抑制される。
<ハンガー>
前記本実施形態に係る表面保護膜は、ハンガーの保護膜として用い得る。
ハンガーはベルトやボタン等で表面が傷付き、その傷に服が引っかかったりすることがあった。また、化学繊維の服をかけたり外したりする際にプラスチック製のハンガーでは静電気が発生することもあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を有することで、擦り傷の発生が抑制され、更にたとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。また、優れた導電性が付与されるため、静電気の発生が抑制され、その結果ほこりの付着も抑制される。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。尚、以下において「部」は特に断りのない限り質量基準である。尚、以下に示す実施例7、8、9、11および12は、本発明に対する参考例として示すものである。
<実施例1>
[ヒドロキシル基含有アクリル樹脂プレポリマの合成]
溶液重合の方法により、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂プレポリマA1を合成した。
具体的には、短側鎖ヒドロキシル基となるモノマーであるヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と、ポリカプロラクタム含有モノマー(FM3、ダイセル社製)と、フッ素含有アクリルモノマー(FAMAC6、ユニマテック株式会社製)と、を3:2:1のモル比で混合し、以上の総質量の20質量%のシリコン含有モノマー(サイラプレーン711、JNC株式会社製)を添加し、対モノマー比5質量%の重合開始剤(過酸化ベンゾイル、BPO)および対モノマー比10質量%の酢酸ブチルを添加してなるモノマー溶液を滴下ロートに入れ、窒素還流下で110℃に昇温した対モノマー比100質量%の酢酸ブチル中に、攪拌下3時間かけて滴下し重合した。さらに対モノマー比30質量%の酢酸ブチルと対モノマー比0.5質量%のBPOとからなる液を1時間かけて滴下し、反応を完結させた。尚、反応中は常に110℃に保持して攪拌し続けた。こうしてアクリル樹脂プレポリマーA1を合成した。
[表面保護膜サンプルの形成]
プレポリマをイソシアネートや他の添加剤と混合、脱泡したのち、加熱硬化の方法により、表面保護膜サンプルA1を作製した。
具体的には、下記A液と下記B液とを、下記の割合で混合したのち、下記導電性粉体分散液C液を攪拌下でゆっくり加え、10分間減圧下で脱泡した。それを90μm厚のポリイミドフィルムにキャストして、85℃で1時間、さらに160℃で60分硬化して40μmの膜厚の表面保護膜サンプルA1を得た。
・A液(上記アクリル樹脂プレポリマA1液、46.3質量%、水酸基価132)
:21.6部
・B液(イソシアネート、旭化成ケミカルズ社製、デュラネートTKA100、
化合物名:ヘキサメチレンジイソシアネートのポリイソシアヌレート体)
:4.3部
・C液 導電性粉体(カーボンブラック、三菱カーボンブラック社製、
商品名:MA100)1.6部を酢酸ブチル16部に分散した液
[導電性粉体の平均粒径の測定]
表面保護膜サンプルに含まれる導電性粉体の平均粒径を、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、H−9000型)用いて測定した。結果を表1に示す。なお、平均粒径は、100個の粒子について測定した粒径の平均値とした。
(評価)
[抵抗値の放電劣化の評価]
表面保護膜サンプルの表面抵抗率測定は、ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METERを使用、プローブは三菱化学アナリテックのURプローブを使用した。以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
◎:通紙部、非通紙部ともに抵抗値が低下しない
○:通紙部、非通紙部ともに抵抗値の落ちがひとケタ以内
△:通紙部、非通紙部どちらか一方の抵抗値の落ちがひとケタ以内
×:通紙部、非通紙部ともに抵抗値の落ちがふたケタ以上
[自己修復性の評価]
表面保護膜サンプルの自己修復性の評価として、下記の方法により30℃における戻り率を測定した。結果を表1に示す。測定装置としてフィッシャースコープHM2000(フィッシャー社製)を用い、ポリイミドフィルムに塗布し製膜したサンプルウレタン樹脂層を、スライドガラスに接着剤で固定し、上記測定装置のホットステージ上にセットした。サンプルウレタン樹脂層を30℃に保ったまま、0.5mNまで15秒間かけて荷重をかけていき0.5mNで5秒間保持し、その際の最大変位を(h1)とした。その後、15秒かけて0.005mNまで除荷していき、0.005mNで1分間保持したときの変位を(h2)として、戻り率[(h1−h2)/h1]を計算した。結果を表1に示す。
◎:戻り率100%で傷が残っていない。
○:戻り率80%以上で1時間以内に傷が消える
△:1週間以内に傷が消える。
×:1週間たっても傷が消えない。
<実施例2>
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を30質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を8質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例5>
平均粒径16nmの導電性粉体(カーボンブラック)を用い、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例6>
平均粒径30nmの導電性粉体(カーボンブラック)を用い、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例7>
平均粒径47nmの導電性粉体(カーボンブラック)を用い、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例8>
HEMA:FM3:FAMAC6の比を2.5:2.5:1としてアクリル樹脂プレポリマの水酸基価を120とし、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例9>
フッ素原子を含むアクリル樹脂およびシリコーンを用いなかった。具体的には、フッ素含有アクリルモノマー(FAMAC6、ユニマテック株式会社製)をノルマルブチルメタクリレート(nBMA)に変更し、且つシリコン含有モノマー(サイラプレーン711を用いなかった。またHEMA:FM3:nBMAの比を1:2:3のモル比にし、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例10>
フッ素原子を含むアクリル樹脂を用いずにフッ素含有アクリルモノマー(FAMAC6、ユニマテック株式会社製)をノルマルブチルメタクリレート(nBMA)に変更し、HEMA:nBMAの比を2:1のモル比にし、シリコーン量を11質量%とし、導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とし、更にB液(イソシアネート)としてデュラネートTKA100をデュラネートE402(旭化成ケミカルズ社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例11>
シリコン含有モノマー(サイラプレーン711)を用いず、HEMA:FM3:FAMAC6の比を1:2:3のモル比にし、フッ素量を11質量%とし、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例12>
導電性粉体としてカーボンブラックの代わりに酸化チタンを用い、且つ導電性粉体(酸化チタン)の添加量を30質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例1>
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を3.4体積%(5質量%)とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例2>
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を26体積%(35質量%)とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
<比較例3>
アクリル樹脂プレポリマの水酸基価を2とし、且つ導電性粉体(酸化チタン)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
尚、実施例3および実施例12では、表1に示す通り30℃における戻り率が80%を下回っていたが、表面保護膜サンプルを40℃に加熱した際の戻り率は80%以上となり、且つ傷の自己修復性は○評価となった。
[表面抵抗値の測定]
表面保護膜サンプルの表面抵抗率測定は、ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METERを使用、プローブは三菱化学アナリテックのURプローブを使用した。
[ほこり付着性の評価]
以下の方法により、ほこりの付着性について評価試験を行なった。
表面保護膜サンプルをベンコットで20回軽く表面をこすったあと、300nmの粒径のポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子をはけで軽くこすった。表面を逆さにして余分な粉(粒子)を落とした後、表面に付着しているPMMA粒子の量でほこりの付着性を判定した。
○:ぱらぱらした状態にしか粉が付着していない。
△:下地が見えるが、粉の付着が多く確認される。
×:粉で白く表面が覆われる。
このように、実施例の表面保護膜サンプルは、比較例に比べて、自己修復性を有するウレタン樹脂と、該ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲のカーボンブラックとを含有することにより、優れた表面の自己修復性および静電気の帯電抑制、更には放電劣化の抑制が両立された。
[携帯電話の実施例]
携帯電話(TOSHIBA biblio)の画面上部の部分に実施例2の表面保護膜を塗布したPETフィルムを張り付け、1カ月通常使用した。1ヶ月後、目視により、表面保護膜のあるところとないところの傷や埃の付く具合を確認したところ、表面保護膜のない箇所には小さな傷が確認されたが、表面保護膜のある箇所には傷はなかった。また、表面保護膜のある箇所は手の指紋跡が見えにくかった。
[車の取っ手の実施例]
TOYOTA SIENTAのドアノブ、およびドアノブの凹み部分に実施例10の表面保護膜を塗布したイミドフィルムを張り付け、1カ月間通常使用した。ドアの開閉のためにドアノブに触れる際に生じることのあった静電気は、上記の1カ月間の使用中には感じることがなかった。また表面保護膜上に爪との接触などによる傷も見られなかった。
[ハンガーの実施例]
ポリスチレン製のハンガーに実施例2の表面保護膜をコートした。ポリエステル100%のブラウスをかけて外す作業を20回繰り返した後、前述のほこり付着性の評価試験をPMMA粒子(粉)で行ったところ、ほとんど粉の付着がなかった。また、目視による傷の発生も確認されなかった。
1 画像形成装置、10 トナーカートリッジ、12 定着装置、14,16 支持ロール、18 2次転写ロール、20 用紙経路、22 用紙供給部、24 レーザー発生装置、26 感光体、28 1次転写ロール、30 駆動ロール、32 転写清掃部材、34 帯電ロール、36 感光体清掃部材、38 現像器、40 中間転写ベルト、42 ベルト支持装置。

Claims (4)

  1. 自己修復性を有するウレタン樹脂と、前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲の導電性粉体と、を含有することを特徴とする表面保護膜。
  2. 前記導電性粉体を、前記ウレタン樹脂の質量に対して8質量%以上30質量%以下の範囲で含有することを特徴とする、請求項1に記載の表面保護膜。
  3. 前記導電性粉体の平均粒径が、10nm以上30nm以下の範囲であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の表面保護膜。
  4. 前記ウレタン樹脂が、シリコーンを含有する構成単位およびフッ素原子を含有する構成単位のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の表面保護膜。
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