JP2013216854A - 表面保護膜 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】自己修復性を有するウレタン樹脂と、前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲の導電性粉体と、を含有する表面保護膜。
【選択図】なし
Description
本実施形態に係る表面保護膜は、自己修復性を有するウレタン樹脂と、前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲の導電性粉体と、を含有する。
表面に異物との接触により擦り傷が発生すると共に静電気の帯電が発生し得る物の例としては、例えば、携帯電話やポータブルゲーム機等のポータブル機器における画面や画面以外のボディ、車のボディやドアの取っ手、ピアノの外装、画像形成装置における転写部材、ハンガー等が挙げられる。
また、車のボディや取っ手は、野外環境に曝されるため風によって運ばれる砂、葉、木の枝等との接触や、虫等との接触など、様々な要因により擦り傷がつくことがあった。更に、野外環境に曝されることで静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなったり、特に静電気に帯電した状態の取っ手に触れようとした際にはその静電気が放電されることもあった。
また、ピアノの外装においては、他の楽器の奏者が演奏する楽器が接触したり、またピアノ自体を移動させる際に様々なものに接触して擦れることにより擦り傷がつくことがあった。また、ピアノの外装を清掃する際には乾拭きすることが多く、乾拭き用の布と擦れることにより静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなることがあった。
更に、画像形成装置における転写部材では、画像形成装置内において紙等の記録媒体と接触したり、その他部材と接触するため、これらとの擦れにより擦り傷がつくことがあった。また、紙等の記録媒体との接触と剥離とが繰返されることで静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなることがあった。
また本実施形態に係る表面保護膜は導電性粉体を含有しており、導電性粉体を含有することで優れた導電性が付与される。そのため、静電気の帯電が効率的に抑制され、その結果ほこりの付着が効率的に抑制されるものと考えられる。
また、自己修復材は弾性に優れるため、エンボス紙等への対応に優れる。
ここで、「自己修復性」とは、応力によってできた歪を応力の除荷時に復元する性質を指し、具体的に本明細書においては、下記測定方法によって求められる「戻り率」が80%以上であることを表す。
尚、本実施形態に係る表面保護膜の戻り率は、90%以上100%以下であることがより好ましい。
測定装置としてフィッシャースコープHM2000(フィッシャー社製)を用い、ポリイミドフィルムに表面保護膜形成用の塗布液を塗布し重合してサンプル用の表面保護膜を形成し、スライドガラスに接着剤で固定し、上記測定装置にセットする。サンプル用表面保護膜に特定の測定温度で0.5mNまで15秒間かけて荷重をかけていき0.5mNで5秒間保持する。その際の最大変位を(h1)とする。その後、15秒かけて0.005mNまで除荷していき、0.005mNで1分間保持したときの変位を(h2)として、戻り率〔{(h1−h2)/h1}×100(%)〕を計算する。
本明細書に記載の戻り率は、該方法によって測定したものである。
尚、本実施形態における表面保護膜において自己修復性が発現される温度(即ち上記戻り率が80%以上となる温度:自己修復温度)は、表面保護膜を形成する樹脂が表面保護膜として形成された後の形態を保持しうる温度域であれば、いかなる温度であってもよい。従って、前記戻り率の測定方法における“特定の測定温度”は、上記温度域のいかなる温度をも対象とする。
本実施形態に係る表面保護膜は、自己修復性が発現される温度(自己修復温度)以外の温度環境におかれた場合であっても、より長い時間(例えば前記戻り率の測定方法と同じ条件で荷重をかけ傷をつけた場合であれば、1分間を超える時間)をかけることで、好適に傷の修復が行われる。
但し、より効率的に傷の修復を行う観点から、本実施形態に係る表面保護膜が、前述の自己修復性を発現する温度(即ち前記戻り率が80%以上となる温度:自己修復温度)となる環境で使用することが好ましい。
次いで、表面保護膜の組成について説明する。
本実施形態における導電性粉体とは、ウレタン樹脂に対して前述の体積比率で添加することによって、表面保護膜の表面抵抗率を1×108Ωcm以上1×1014Ωcm以下の範囲に制御し得る粉体をさす。
また、表面保護膜における導電性粉体の、自己修復性を有するウレタン樹脂の質量に対する含有量は、所望の導電性と自己修復機能とを得る観点から、8質量%以上30質量%以下の範囲であることが好ましく、10質量%以上20質量%以下の範囲であることがより好ましい。
本実施形態における自己修復性を有するウレタン樹脂の組成について説明する。本実施形態に係る自己修復性を有するウレタン樹脂は、ヒドロキシル基を含有するヒドロキシル基含有アクリル樹脂とイソシアネートとを重合して形成される。
なお、本実施形態における自己修復性を有するウレタン樹脂は高架橋であることが好ましく、高架橋とは、プレポリマの水酸基価が50以上400以下のもので、90%以上の水酸基がウレタン結合に寄与している状態を意味する。
以下のバルキーな基を有するモノマが重合されたヒドロキシル基含有アクリル樹脂が好ましく、バルキーな基を有することにより、硬度が向上する等の利点がある。該バルキーな基を有するモノマとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、またはシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(b)下記一般式(1)で示される化合物から選択される少なくとも1種のシリコーン
(c)イソシアネート
(a’)炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が80%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、さらに下記一般式(2)で示される化合物をモノマの一つとして、1質量%以上50質量%以下の範囲で含んだアクリル樹脂で、水酸基価が50mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であるアクリル樹脂
なお、上記イソシアネートの含有量(i)としては、前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂のヒドロキシル基量(ii)に対する比(i)/(ii)が0.7以上3以下であることが好ましく、さらには0.9以上2以下であることがより好ましい。
次に、本実施形態に係る表面保護膜の形成方法(樹脂の重合方法)について説明する。例えば評価用の保護膜サンプルの形成方法について説明すると、上記(a),(b),(c)の成分を重合する場合であれば、例えば、(a)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂と(b)シリコーンと(c)イソシアネートとを混合し、更に前述の体積比率の範囲となる導電性粉体を混合し、減圧下で脱泡したのち90μmのポリイミドのフィルム上にキャストして評価用の樹脂層サンプルを形成し、85℃で60分、160℃で0.5時間加温して硬化させる。なお、実用には保護したい表面に塗布したのち、同様に加熱して硬化する。
前述の通り、本実施形態に係る表面保護膜は、異物との接触により表面に擦り傷が発生すると共に帯電による静電気が発生し得る物に対してであれば、特に限定されることなく用い得る。例えば、携帯電話やポータブルゲーム機等のポータブル機器における画面や画面以外のボディ、車のボディやドアの取っ手、ピアノの外装、画像形成装置における転写部材、ハンガー等が挙げられる。
本実施形態に係る転写部材は、少なくとも基材と、該基材上に、前記本実施形態に係る表面保護膜と、を有する。
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、静電潜像保持体(以下、「感光体」という場合がある)と、静電潜像保持体の表面に潜像(静電潜像)を形成する静電潜像形成装置と、静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、前述の本実施形態に係る転写部材を備えた中間転写体と、静電潜像保持体上に形成された前記トナー像を前記中間転写体に転写する一次転写装置と、前記中間転写体上の前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写装置と、を備える。
前記本実施形態に係る表面保護膜は、ポータブル機器において画面の保護膜や、画面以外のボディの保護膜として用い得る。
携帯電話やポータブルゲーム機等のポータブル機器の画面や画面以外のボディにおいては、指の先(爪)や操作用のスティックの先端が接触して擦れることにより擦り傷がつくことがあった。また、衣類のポケット中やカバン等の中で布等と擦れることにより静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなることがあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を有することで、擦り傷の発生が抑制され、更にたとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。また、優れた導電性が付与されるため、静電気の帯電が抑制され、その結果ほこりの付着が抑制される。
前記本実施形態に係る表面保護膜は、車のボディや、車の取ってにおける保護膜として用い得る。
車のボディや取っ手は、野外環境に曝されるため風によって運ばれる砂、葉、木の枝等との接触や、虫等との接触など、様々な要因により擦り傷がつくことがあった。更に、野外環境に曝されることで静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなったり、特に静電気に帯電した状態の取っ手に触れようとした際にはその静電気が放電されることもあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を有することで、擦り傷の発生が抑制され、更にたとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。また、優れた導電性が付与されるため、静電気の帯電が抑制され、その結果ほこりの付着が抑制される。
前記本実施形態に係る表面保護膜は、ピアノの外装の保護膜として用い得る。
ピアノの外装においては、他の楽器の奏者が演奏する楽器が接触したり、またピアノ自体を移動させる際に様々なものに接触して擦れることにより擦り傷がつくことがあった。また、ピアノの外装を清掃する際には乾拭きすることが多く、乾拭き用の布と擦れることにより静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなることがあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を有することで、擦り傷の発生が抑制され、更にたとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。また、優れた導電性が付与されるため、静電気の帯電が抑制され、その結果ほこりの付着が抑制される。
前記本実施形態に係る表面保護膜は、ハンガーの保護膜として用い得る。
ハンガーはベルトやボタン等で表面が傷付き、その傷に服が引っかかったりすることがあった。また、化学繊維の服をかけたり外したりする際にプラスチック製のハンガーでは静電気が発生することもあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を有することで、擦り傷の発生が抑制され、更にたとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。また、優れた導電性が付与されるため、静電気の発生が抑制され、その結果ほこりの付着も抑制される。
[ヒドロキシル基含有アクリル樹脂プレポリマの合成]
溶液重合の方法により、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂プレポリマA1を合成した。
具体的には、短側鎖ヒドロキシル基となるモノマーであるヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と、ポリカプロラクタム含有モノマー(FM3、ダイセル社製)と、フッ素含有アクリルモノマー(FAMAC6、ユニマテック株式会社製)と、を3:2:1のモル比で混合し、以上の総質量の20質量%のシリコン含有モノマー(サイラプレーン711、JNC株式会社製)を添加し、対モノマー比5質量%の重合開始剤(過酸化ベンゾイル、BPO)および対モノマー比10質量%の酢酸ブチルを添加してなるモノマー溶液を滴下ロートに入れ、窒素還流下で110℃に昇温した対モノマー比100質量%の酢酸ブチル中に、攪拌下3時間かけて滴下し重合した。さらに対モノマー比30質量%の酢酸ブチルと対モノマー比0.5質量%のBPOとからなる液を1時間かけて滴下し、反応を完結させた。尚、反応中は常に110℃に保持して攪拌し続けた。こうしてアクリル樹脂プレポリマーA1を合成した。
プレポリマをイソシアネートや他の添加剤と混合、脱泡したのち、加熱硬化の方法により、表面保護膜サンプルA1を作製した。
具体的には、下記A液と下記B液とを、下記の割合で混合したのち、下記導電性粉体分散液C液を攪拌下でゆっくり加え、10分間減圧下で脱泡した。それを90μm厚のポリイミドフィルムにキャストして、85℃で1時間、さらに160℃で60分硬化して40μmの膜厚の表面保護膜サンプルA1を得た。
・A液(上記アクリル樹脂プレポリマA1液、46.3質量%、水酸基価132)
:21.6部
・B液(イソシアネート、旭化成ケミカルズ社製、デュラネートTKA100、
化合物名:ヘキサメチレンジイソシアネートのポリイソシアヌレート体)
:4.3部
・C液 導電性粉体(カーボンブラック、三菱カーボンブラック社製、
商品名:MA100)1.6部を酢酸ブチル16部に分散した液
表面保護膜サンプルに含まれる導電性粉体の平均粒径を、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、H−9000型)用いて測定した。結果を表1に示す。なお、平均粒径は、100個の粒子について測定した粒径の平均値とした。
[抵抗値の放電劣化の評価]
表面保護膜サンプルの表面抵抗率測定は、ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METERを使用、プローブは三菱化学アナリテックのURプローブを使用した。以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
◎:通紙部、非通紙部ともに抵抗値が低下しない
○:通紙部、非通紙部ともに抵抗値の落ちがひとケタ以内
△:通紙部、非通紙部どちらか一方の抵抗値の落ちがひとケタ以内
×:通紙部、非通紙部ともに抵抗値の落ちがふたケタ以上
表面保護膜サンプルの自己修復性の評価として、下記の方法により30℃における戻り率を測定した。結果を表1に示す。測定装置としてフィッシャースコープHM2000(フィッシャー社製)を用い、ポリイミドフィルムに塗布し製膜したサンプルウレタン樹脂層を、スライドガラスに接着剤で固定し、上記測定装置のホットステージ上にセットした。サンプルウレタン樹脂層を30℃に保ったまま、0.5mNまで15秒間かけて荷重をかけていき0.5mNで5秒間保持し、その際の最大変位を(h1)とした。その後、15秒かけて0.005mNまで除荷していき、0.005mNで1分間保持したときの変位を(h2)として、戻り率[(h1−h2)/h1]を計算した。結果を表1に示す。
◎:戻り率100%で傷が残っていない。
○:戻り率80%以上で1時間以内に傷が消える
△:1週間以内に傷が消える。
×:1週間たっても傷が消えない。
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を30質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を8質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
平均粒径16nmの導電性粉体(カーボンブラック)を用い、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
平均粒径30nmの導電性粉体(カーボンブラック)を用い、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
平均粒径47nmの導電性粉体(カーボンブラック)を用い、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
HEMA:FM3:FAMAC6の比を2.5:2.5:1としてアクリル樹脂プレポリマの水酸基価を120とし、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
フッ素原子を含むアクリル樹脂およびシリコーンを用いなかった。具体的には、フッ素含有アクリルモノマー(FAMAC6、ユニマテック株式会社製)をノルマルブチルメタクリレート(nBMA)に変更し、且つシリコン含有モノマー(サイラプレーン711を用いなかった。またHEMA:FM3:nBMAの比を1:2:3のモル比にし、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
フッ素原子を含むアクリル樹脂を用いずにフッ素含有アクリルモノマー(FAMAC6、ユニマテック株式会社製)をノルマルブチルメタクリレート(nBMA)に変更し、HEMA:nBMAの比を2:1のモル比にし、シリコーン量を11質量%とし、導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とし、更にB液(イソシアネート)としてデュラネートTKA100をデュラネートE402(旭化成ケミカルズ社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
シリコン含有モノマー(サイラプレーン711)を用いず、HEMA:FM3:FAMAC6の比を1:2:3のモル比にし、フッ素量を11質量%とし、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
導電性粉体としてカーボンブラックの代わりに酸化チタンを用い、且つ導電性粉体(酸化チタン)の添加量を30質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を3.4体積%(5質量%)とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を26体積%(35質量%)とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
アクリル樹脂プレポリマの水酸基価を2とし、且つ導電性粉体(酸化チタン)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
表面保護膜サンプルの表面抵抗率測定は、ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METERを使用、プローブは三菱化学アナリテックのURプローブを使用した。
以下の方法により、ほこりの付着性について評価試験を行なった。
表面保護膜サンプルをベンコットで20回軽く表面をこすったあと、300nmの粒径のポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子をはけで軽くこすった。表面を逆さにして余分な粉(粒子)を落とした後、表面に付着しているPMMA粒子の量でほこりの付着性を判定した。
○:ぱらぱらした状態にしか粉が付着していない。
△:下地が見えるが、粉の付着が多く確認される。
×:粉で白く表面が覆われる。
携帯電話(TOSHIBA biblio)の画面上部の部分に実施例2の表面保護膜を塗布したPETフィルムを張り付け、1カ月通常使用した。1ヶ月後、目視により、表面保護膜のあるところとないところの傷や埃の付く具合を確認したところ、表面保護膜のない箇所には小さな傷が確認されたが、表面保護膜のある箇所には傷はなかった。また、表面保護膜のある箇所は手の指紋跡が見えにくかった。
TOYOTA SIENTAのドアノブ、およびドアノブの凹み部分に実施例10の表面保護膜を塗布したイミドフィルムを張り付け、1カ月間通常使用した。ドアの開閉のためにドアノブに触れる際に生じることのあった静電気は、上記の1カ月間の使用中には感じることがなかった。また表面保護膜上に爪との接触などによる傷も見られなかった。
ポリスチレン製のハンガーに実施例2の表面保護膜をコートした。ポリエステル100%のブラウスをかけて外す作業を20回繰り返した後、前述のほこり付着性の評価試験をPMMA粒子(粉)で行ったところ、ほとんど粉の付着がなかった。また、目視による傷の発生も確認されなかった。
請求項5に係る発明は、前記シリコーンを含有する構成単位が、後述の一般式(1)で示されるシリコーン、および後述の一般式(2)で示される構成単位を有する前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂から選択される少なくとも1種を重合して導入されてなることを特徴とする、請求項4に記載の表面保護膜である。
請求項6に係る発明は、前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂の前記比([A]/([A]+[B]))が80%以上であることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の表面保護膜である。
請求項7に係る発明は、前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂の水酸基価が50mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の表面保護膜。
本実施形態に係る表面保護膜は、炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が33%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であるヒドロキシル基含有アクリル樹脂と、イソシアネートと、が重合されてなり自己修復性を有するウレタン樹脂と、平均粒径が10nm以上30nm以下の範囲であり且つ前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲の導電性粉体と、を含有する。
本実施形態における自己修復性を有するウレタン樹脂の組成について説明する。本実施形態に係る自己修復性を有するウレタン樹脂は、炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が33%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であるヒドロキシル基を含有するヒドロキシル基含有アクリル樹脂とイソシアネートとを重合して形成される。
なお、本実施形態における自己修復性を有するウレタン樹脂は高架橋であることが好ましく、高架橋とは、プレポリマの水酸基価が50以上400以下のもので、90%以上の水酸基がウレタン結合に寄与している状態を意味する。
平均粒径が10nm以上30nm以下の範囲であり且つ前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲の導電性粉体と、
を含有することを特徴とする表面保護膜である。
請求項5に係る発明は、前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂の前記比([A]/([A]+[B]))が80%以上であることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の表面保護膜である。
請求項6に係る発明は、前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂の水酸基価が400mgKOH/g以下であることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の表面保護膜。
本実施形態に係る表面保護膜は、炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が33%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、水酸基価が132mgKOH/g以上であるヒドロキシル基含有アクリル樹脂と、イソシアネートと、が重合されてなり、且つ後述の一般式(1)で示されるシリコーンおよび後述の一般式(2)で示される構成単位を有する前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂から選択される少なくとも1種を重合して導入されてなるシリコーンを含有する構成単位を含み、自己修復性を有するウレタン樹脂と、平均粒径が10nm以上30nm以下の範囲であり且つ前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲の導電性粉体と、を含有する。
本実施形態における自己修復性を有するウレタン樹脂の組成について説明する。本実施形態に係る自己修復性を有するウレタン樹脂は、炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が33%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、水酸基価が132mgKOH/g以上であるヒドロキシル基を含有するヒドロキシル基含有アクリル樹脂とイソシアネートとを重合して形成される。また、後述の一般式(1)で示されるシリコーンおよび後述の一般式(2)で示される構成単位を有する前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂から選択される少なくとも1種を重合して導入されてなるシリコーンを含有する構成単位を含む。
なお、本実施形態における自己修復性を有するウレタン樹脂は高架橋であることが好ましく、高架橋とは、プレポリマの水酸基価が50以上400以下のもので、90%以上の水酸基がウレタン結合に寄与している状態を意味する。
(b)下記一般式(1)で示される化合物から選択される少なくとも1種のシリコーン
(c)イソシアネート
(a’)炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が80%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、さらに下記一般式(2)で示される化合物をモノマの一つとして、1質量%以上50質量%以下の範囲で含んだアクリル樹脂で、水酸基価が132mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であるアクリル樹脂
平均粒径が10nm以上30nm以下の範囲であり且つ前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲のカーボンブラックと、
を含有することを特徴とする表面保護膜である。
平均粒径が10nm以上30nm以下の範囲であり且つ前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲のカーボンブラックと、
を含有することを特徴とする表面保護膜である。
請求項5に係る発明は、前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂の前記比([A]/([A]+[B]))が80%以上であることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の表面保護膜である。
本実施形態に係る表面保護膜は、炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が33%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、下記[1]または[2]の条件を満たし、自己修復性を有するウレタン樹脂と、平均粒径が10nm以上30nm以下の範囲であり且つ前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲のカーボンブラックと、を含有する。
[1]水酸基価が132mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であり、且つ後述の一般式(2)で示される構成単位を有するヒドロキシル基含有アクリル樹脂と、イソシアネートと、が重合されてなる
[2]水酸基価が132mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であるヒドロキシル基含有アクリル樹脂と、イソシアネートと、後述の一般式(1)で示される構造を有するシリコーンと、が重合されてなる
表面に異物との接触により擦り傷が発生すると共に静電気の帯電が発生し得る物の例としては、例えば、携帯電話やポータブルゲーム機等のポータブル機器における画面や画面以外のボディ、車のボディやドアの取っ手、ピアノの外装、画像形成装置における転写部材、ハンガー等が挙げられる。
また、車のボディや取っ手は、野外環境に曝されるため風によって運ばれる砂、葉、木の枝等との接触や、虫等との接触など、様々な要因により擦り傷がつくことがあった。更に、野外環境に曝されることで静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなったり、特に静電気に帯電した状態の取っ手に触れようとした際にはその静電気が放電されることもあった。
また、ピアノの外装においては、他の楽器の奏者が演奏する楽器が接触したり、またピアノ自体を移動させる際に様々なものに接触して擦れることにより擦り傷がつくことがあった。また、ピアノの外装を清掃する際には乾拭きすることが多く、乾拭き用の布と擦れることにより静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなることがあった。
更に、画像形成装置における転写部材では、画像形成装置内において紙等の記録媒体と接触したり、その他部材と接触するため、これらとの擦れにより擦り傷がつくことがあった。また、紙等の記録媒体との接触と剥離とが繰返されることで静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなることがあった。
また本実施形態に係る表面保護膜は導電性粉体としてカーボンブラックを含有しており、導電性粉体を含有することで優れた導電性が付与される。そのため、静電気の帯電が効率的に抑制され、その結果ほこりの付着が効率的に抑制されるものと考えられる。
また、自己修復材は弾性に優れるため、エンボス紙等への対応に優れる。
ここで、「自己修復性」とは、応力によってできた歪を応力の除荷時に復元する性質を指し、具体的に本明細書においては、下記測定方法によって求められる「戻り率」が80%以上であることを表す。
尚、本実施形態に係る表面保護膜の戻り率は、90%以上100%以下であることがより好ましい。
測定装置としてフィッシャースコープHM2000(フィッシャー社製)を用い、ポリイミドフィルムに表面保護膜形成用の塗布液を塗布し重合してサンプル用の表面保護膜を形成し、スライドガラスに接着剤で固定し、上記測定装置にセットする。サンプル用表面保護膜に特定の測定温度で0.5mNまで15秒間かけて荷重をかけていき0.5mNで5秒間保持する。その際の最大変位を(h1)とする。その後、15秒かけて0.005mNまで除荷していき、0.005mNで1分間保持したときの変位を(h2)として、戻り率〔{(h1−h2)/h1}×100(%)〕を計算する。
本明細書に記載の戻り率は、該方法によって測定したものである。
尚、本実施形態における表面保護膜において自己修復性が発現される温度(即ち上記戻り率が80%以上となる温度:自己修復温度)は、表面保護膜を形成する樹脂が表面保護膜として形成された後の形態を保持しうる温度域であれば、いかなる温度であってもよい。従って、前記戻り率の測定方法における“特定の測定温度”は、上記温度域のいかなる温度をも対象とする。
本実施形態に係る表面保護膜は、自己修復性が発現される温度(自己修復温度)以外の温度環境におかれた場合であっても、より長い時間(例えば前記戻り率の測定方法と同じ条件で荷重をかけ傷をつけた場合であれば、1分間を超える時間)をかけることで、好適に傷の修復が行われる。
但し、より効率的に傷の修復を行う観点から、本実施形態に係る表面保護膜が、前述の自己修復性を発現する温度(即ち前記戻り率が80%以上となる温度:自己修復温度)となる環境で使用することが好ましい。
次いで、表面保護膜の組成について説明する。
本実施形態における導電性粉体とは、ウレタン樹脂に対して前述の体積比率で添加することによって、表面保護膜の表面抵抗率を1×108Ωcm以上1×1014Ωcm以下の範囲に制御し得る粉体をさす。
また、表面保護膜におけるカーボンブラックの、自己修復性を有するウレタン樹脂の質量に対する含有量は、所望の導電性と自己修復機能とを得る観点から、8質量%以上30質量%以下の範囲であることが好ましく、10質量%以上20質量%以下の範囲であることがより好ましい。
本実施形態における自己修復性を有するウレタン樹脂の組成について説明する。本実施形態に係る自己修復性を有するウレタン樹脂は、炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が33%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、下記[1]または[2]の条件を満たす。
[1]水酸基価が132mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であり、且つ後述の一般式(2)で示される構成単位を有するヒドロキシル基含有アクリル樹脂とイソシアネートとを重合して形成される。
[2]水酸基価が132mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であるヒドロキシル基含有アクリル樹脂とイソシアネートと後述の一般式(1)で示される構造を有するシリコーンとを重合して形成される。
なお、本実施形態における自己修復性を有するウレタン樹脂は高架橋であることが好ましく、高架橋とは、プレポリマの水酸基価が50以上400以下のもので、90%以上の水酸基がウレタン結合に寄与している状態を意味する。
以下のバルキーな基を有するモノマが重合されたヒドロキシル基含有アクリル樹脂が好ましく、バルキーな基を有することにより、硬度が向上する等の利点がある。該バルキーな基を有するモノマとしては、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、またはシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(b)下記一般式(1)で示される化合物から選択される少なくとも1種のシリコーン
(c)イソシアネート
(a’)炭素数が10未満の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[A]および炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基の含有モル量[B]の比([A]/([A]+[B]))が80%以上(ただし前記炭素数が10以上の側鎖ヒドロキシル基を含有しない場合を含む)であり、さらに下記一般式(2)で示される化合物をモノマの一つとして、1質量%以上50質量%以下の範囲で含んだアクリル樹脂で、水酸基価が132mgKOH/g以上400mgKOH/g以下であるアクリル樹脂
なお、上記イソシアネートの含有量(i)としては、前記ヒドロキシル基含有アクリル樹脂のヒドロキシル基量(ii)に対する比(i)/(ii)が0.7以上3以下であることが好ましく、さらには0.9以上2以下であることがより好ましい。
次に、本実施形態に係る表面保護膜の形成方法(樹脂の重合方法)について説明する。例えば評価用の保護膜サンプルの形成方法について説明すると、上記(a),(b),(c)の成分を重合する場合であれば、例えば、(a)ヒドロキシル基含有アクリル樹脂と(b)シリコーンと(c)イソシアネートとを混合し、更に前述の体積比率の範囲となるカーボンブラックを混合し、減圧下で脱泡したのち90μmのポリイミドのフィルム上にキャストして評価用の樹脂層サンプルを形成し、85℃で60分、160℃で0.5時間加温して硬化させる。なお、実用には保護したい表面に塗布したのち、同様に加熱して硬化する。
前述の通り、本実施形態に係る表面保護膜は、異物との接触により表面に擦り傷が発生すると共に帯電による静電気が発生し得る物に対してであれば、特に限定されることなく用い得る。例えば、携帯電話やポータブルゲーム機等のポータブル機器における画面や画面以外のボディ、車のボディやドアの取っ手、ピアノの外装、画像形成装置における転写部材、ハンガー等が挙げられる。
本実施形態に係る転写部材は、少なくとも基材と、該基材上に、前記本実施形態に係る表面保護膜と、を有する。
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、静電潜像保持体(以下、「感光体」という場合がある)と、静電潜像保持体の表面に潜像(静電潜像)を形成する静電潜像形成装置と、静電潜像保持体の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、前述の本実施形態に係る転写部材を備えた中間転写体と、静電潜像保持体上に形成された前記トナー像を前記中間転写体に転写する一次転写装置と、前記中間転写体上の前記トナー像を記録媒体に転写する二次転写装置と、を備える。
前記本実施形態に係る表面保護膜は、ポータブル機器において画面の保護膜や、画面以外のボディの保護膜として用い得る。
携帯電話やポータブルゲーム機等のポータブル機器の画面や画面以外のボディにおいては、指の先(爪)や操作用のスティックの先端が接触して擦れることにより擦り傷がつくことがあった。また、衣類のポケット中やカバン等の中で布等と擦れることにより静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなることがあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を有することで、擦り傷の発生が抑制され、更にたとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。また、優れた導電性が付与されるため、静電気の帯電が抑制され、その結果ほこりの付着が抑制される。
前記本実施形態に係る表面保護膜は、車のボディや、車の取ってにおける保護膜として用い得る。
車のボディや取っ手は、野外環境に曝されるため風によって運ばれる砂、葉、木の枝等との接触や、虫等との接触など、様々な要因により擦り傷がつくことがあった。更に、野外環境に曝されることで静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなったり、特に静電気に帯電した状態の取っ手に触れようとした際にはその静電気が放電されることもあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を有することで、擦り傷の発生が抑制され、更にたとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。また、優れた導電性が付与されるため、静電気の帯電が抑制され、その結果ほこりの付着が抑制される。
前記本実施形態に係る表面保護膜は、ピアノの外装の保護膜として用い得る。
ピアノの外装においては、他の楽器の奏者が演奏する楽器が接触したり、またピアノ自体を移動させる際に様々なものに接触して擦れることにより擦り傷がつくことがあった。また、ピアノの外装を清掃する際には乾拭きすることが多く、乾拭き用の布と擦れることにより静電気が帯電し、その結果ほこりが付着しやすくなることがあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を有することで、擦り傷の発生が抑制され、更にたとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。また、優れた導電性が付与されるため、静電気の帯電が抑制され、その結果ほこりの付着が抑制される。
前記本実施形態に係る表面保護膜は、ハンガーの保護膜として用い得る。
ハンガーはベルトやボタン等で表面が傷付き、その傷に服が引っかかったりすることがあった。また、化学繊維の服をかけたり外したりする際にプラスチック製のハンガーでは静電気が発生することもあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を有することで、擦り傷の発生が抑制され、更にたとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。また、優れた導電性が付与されるため、静電気の発生が抑制され、その結果ほこりの付着も抑制される。
[ヒドロキシル基含有アクリル樹脂プレポリマの合成]
溶液重合の方法により、ヒドロキシル基含有アクリル樹脂プレポリマA1を合成した。
具体的には、短側鎖ヒドロキシル基となるモノマーであるヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と、ポリカプロラクタム含有モノマー(FM3、ダイセル社製)と、フッ素含有アクリルモノマー(FAMAC6、ユニマテック株式会社製)と、を3:2:1のモル比で混合し、以上の総質量の20質量%のシリコン含有モノマー(サイラプレーン711、JNC株式会社製)を添加し、対モノマー比5質量%の重合開始剤(過酸化ベンゾイル、BPO)および対モノマー比10質量%の酢酸ブチルを添加してなるモノマー溶液を滴下ロートに入れ、窒素還流下で110℃に昇温した対モノマー比100質量%の酢酸ブチル中に、攪拌下3時間かけて滴下し重合した。さらに対モノマー比30質量%の酢酸ブチルと対モノマー比0.5質量%のBPOとからなる液を1時間かけて滴下し、反応を完結させた。尚、反応中は常に110℃に保持して攪拌し続けた。こうしてアクリル樹脂プレポリマーA1を合成した。
プレポリマをイソシアネートや他の添加剤と混合、脱泡したのち、加熱硬化の方法により、表面保護膜サンプルA1を作製した。
具体的には、下記A液と下記B液とを、下記の割合で混合したのち、下記導電性粉体分散液C液を攪拌下でゆっくり加え、10分間減圧下で脱泡した。それを90μm厚のポリイミドフィルムにキャストして、85℃で1時間、さらに160℃で60分硬化して40μmの膜厚の表面保護膜サンプルA1を得た。
・A液(上記アクリル樹脂プレポリマA1液、46.3質量%、水酸基価132)
:21.6部
・B液(イソシアネート、旭化成ケミカルズ社製、デュラネートTKA100、
化合物名:ヘキサメチレンジイソシアネートのポリイソシアヌレート体)
:4.3部
・C液 導電性粉体(カーボンブラック、三菱カーボンブラック社製、
商品名:MA100)1.6部を酢酸ブチル16部に分散した液
表面保護膜サンプルに含まれる導電性粉体の平均粒径を、透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、H−9000型)用いて測定した。結果を表1に示す。なお、平均粒径は、100個の粒子について測定した粒径の平均値とした。
[抵抗値の放電劣化の評価]
表面保護膜サンプルの表面抵抗率測定は、ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METERを使用、プローブは三菱化学アナリテックのURプローブを使用した。以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
◎:通紙部、非通紙部ともに抵抗値が低下しない
○:通紙部、非通紙部ともに抵抗値の落ちがひとケタ以内
△:通紙部、非通紙部どちらか一方の抵抗値の落ちがひとケタ以内
×:通紙部、非通紙部ともに抵抗値の落ちがふたケタ以上
表面保護膜サンプルの自己修復性の評価として、下記の方法により30℃における戻り率を測定した。結果を表1に示す。測定装置としてフィッシャースコープHM2000(フィッシャー社製)を用い、ポリイミドフィルムに塗布し製膜したサンプルウレタン樹脂層を、スライドガラスに接着剤で固定し、上記測定装置のホットステージ上にセットした。サンプルウレタン樹脂層を30℃に保ったまま、0.5mNまで15秒間かけて荷重をかけていき0.5mNで5秒間保持し、その際の最大変位を(h1)とした。その後、15秒かけて0.005mNまで除荷していき、0.005mNで1分間保持したときの変位を(h2)として、戻り率[(h1−h2)/h1]を計算した。結果を表1に示す。
◎:戻り率100%で傷が残っていない。
○:戻り率80%以上で1時間以内に傷が消える
△:1週間以内に傷が消える。
×:1週間たっても傷が消えない。
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を30質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を8質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
平均粒径16nmの導電性粉体(カーボンブラック)を用い、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
平均粒径30nmの導電性粉体(カーボンブラック)を用い、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
平均粒径47nmの導電性粉体(カーボンブラック)を用い、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
HEMA:FM3:FAMAC6の比を2.5:2.5:1としてアクリル樹脂プレポリマの水酸基価を120とし、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
フッ素原子を含むアクリル樹脂およびシリコーンを用いなかった。具体的には、フッ素含有アクリルモノマー(FAMAC6、ユニマテック株式会社製)をノルマルブチルメタクリレート(nBMA)に変更し、且つシリコン含有モノマー(サイラプレーン711を用いなかった。またHEMA:FM3:nBMAの比を1:2:3のモル比にし、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
フッ素原子を含むアクリル樹脂を用いずにフッ素含有アクリルモノマー(FAMAC6、ユニマテック株式会社製)をノルマルブチルメタクリレート(nBMA)に変更し、HEMA:nBMAの比を2:1のモル比にし、シリコーン量を11質量%とし、導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とし、更にB液(イソシアネート)としてデュラネートTKA100をデュラネートE402(旭化成ケミカルズ社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
シリコン含有モノマー(サイラプレーン711)を用いず、HEMA:FM3:FAMAC6の比を1:2:3のモル比にし、フッ素量を11質量%とし、且つ導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
導電性粉体としてカーボンブラックの代わりに酸化チタンを用い、且つ導電性粉体(酸化チタン)の添加量を30質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を3.4体積%(5質量%)とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
導電性粉体(カーボンブラック)の添加量を26体積%(35質量%)とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
アクリル樹脂プレポリマの水酸基価を2とし、且つ導電性粉体(酸化チタン)の添加量を20質量%とした以外は、実施例1と同様にして、アクリル樹脂プレポリマ、表面保護膜サンプルを作製し、評価を行った。結果を表1に示す。
表面保護膜サンプルの表面抵抗率測定は、ADVANTEST R8340A ULTRA HIGH RESISTANCE METERを使用、プローブは三菱化学アナリテックのURプローブを使用した。
以下の方法により、ほこりの付着性について評価試験を行なった。
表面保護膜サンプルをベンコットで20回軽く表面をこすったあと、300nmの粒径のポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子をはけで軽くこすった。表面を逆さにして余分な粉(粒子)を落とした後、表面に付着しているPMMA粒子の量でほこりの付着性を判定した。
○:ぱらぱらした状態にしか粉が付着していない。
△:下地が見えるが、粉の付着が多く確認される。
×:粉で白く表面が覆われる。
携帯電話(TOSHIBA biblio)の画面上部の部分に実施例2の表面保護膜を塗布したPETフィルムを張り付け、1カ月通常使用した。1ヶ月後、目視により、表面保護膜のあるところとないところの傷や埃の付く具合を確認したところ、表面保護膜のない箇所には小さな傷が確認されたが、表面保護膜のある箇所には傷はなかった。また、表面保護膜のある箇所は手の指紋跡が見えにくかった。
TOYOTA SIENTAのドアノブ、およびドアノブの凹み部分に実施例10の表面保護膜を塗布したイミドフィルムを張り付け、1カ月間通常使用した。ドアの開閉のためにドアノブに触れる際に生じることのあった静電気は、上記の1カ月間の使用中には感じることがなかった。また表面保護膜上に爪との接触などによる傷も見られなかった。
ポリスチレン製のハンガーに実施例2の表面保護膜をコートした。ポリエステル100%のブラウスをかけて外す作業を20回繰り返した後、前述のほこり付着性の評価試験をPMMA粒子(粉)で行ったところ、ほとんど粉の付着がなかった。また、目視による傷の発生も確認されなかった。
Claims (4)
- 自己修復性を有するウレタン樹脂と、前記ウレタン樹脂に対して体積比率で5体積%以上25体積%以下の範囲の導電性粉体と、を含有することを特徴とする表面保護膜。
- 前記導電性粉体を、前記ウレタン樹脂の質量に対して8質量%以上30質量%以下の範囲で含有することを特徴とする、請求項1に記載の表面保護膜。
- 前記導電性粉体の平均粒径が、10nm以上30nm以下の範囲であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の表面保護膜。
- 前記ウレタン樹脂が、シリコーンを含有する構成単位およびフッ素原子を含有する構成単位のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の表面保護膜。
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