JP2016065131A - 表面保護膜 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた表面滑り性を備える表面保護膜の提供。
【解決手段】パーフルオロアルキレンエーテル構造を主鎖に有するフッ素樹脂が架橋重合した構造と、下記一般式(S)で示されるシリコーン構造、および炭素数5以上20以下のアルキレン構造からなる群より選択される少なくとも一種の構造と、を有する架橋重合体を含む表面保護膜。尚、一般式(S)において、RS1およびRS2は−CH、−CF、または水素原子を表す。
【化1】


【選択図】なし

Description

本発明は、表面保護膜に関する。
従来から、様々な分野において、表面での傷付きを抑制する観点から表面に表面保護膜を設けることが行われている。
ここで、特許文献1には、加熱定着部材の最外表面に設ける離型層が、フッ素ゴムと、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体との混合物によって形成され、且つ離型層の水に対する接触角が80°から103°の範囲内に調整されている定着装置が開示されている。
また、特許文献2には、電子写真画像形成装置用の定着用部材であって、該定着用部材の表面にトナー離型層が設けられ、該トナー離型層は、主成分として分子内にエーテル結合を有するフッ素ゴムを含み、更にポリエーテル構造を有するポリシロキサン系界面活性剤を含む定着用部材が開示されている。
また、特許文献3には、ローラ状基材の外面に、ゴム層を介して、フッ素樹脂層を形成してなる定着ローラにおいて、フッ素樹脂層が、(A)平均粒子径1から15μmのテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)20から97重量%と、(B)平均粒子径1μm以下のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)3から80重量%を含有するフッ素樹脂混合物により形成されている定着ローラが開示されている。
また、特許文献4には、基材と、フッ素ゴム(A)とフッ素樹脂(B)とを含む架橋性組成物を架橋することにより得られるフッ素ゴム表面層と、を備える定着用ロールが開示されている。
また、特許文献5には、加熱定着部材と、該加熱定着部材に圧接される加圧定着部材とを有する定着装置において、加熱定着部材は、表面酸化処理されたカーボンブラックが分散されたフルオロエラストマー表層を少なくとも具備し、該加熱定着部材の表面に不飽和結合を有するジメチルシリコーンオイルを塗布するオイル供給手段を備える定着装置が開示されている。
特開平10−26896号公報 特開2007−58197号公報 特開平10−142990号公報 特開2013−20025号公報 特開2005−157173号公報
本発明の目的は、優れた離型性を備える表面保護膜を提供することにある。
上記課題は、以下の本発明により達成される。
すなわち請求項1に係る発明は、
パーフルオロアルキレンエーテル構造を主鎖に有するフッ素樹脂が架橋重合した構造と、
下記一般式(S)で示されるシリコーン構造、および炭素数5以上20以下のアルキレン構造からなる群より選択される少なくとも一種の構造と、
を有する架橋重合体を含む表面保護膜である。

(一般式(S)において、RS1およびRS2はそれぞれ独立に−CH、−CF、または水素原子を表す。)
請求項2に係る発明は、
前記パーフルオロアルキレンエーテル構造が下記一般式(F)で表される構造から選択される少なくとも一種の構造を有する請求項1に記載の表面保護膜である。

(一般式(F)中、RF1およびRF2はそれぞれ独立にフッ素原子または−CFを表す。但し、RF1とRF2の両方がフッ素原子であることはない。n1は1以上5以下の整数を、n2は0以上2以下の整数を表し、n1とn2の総数は5以下である。)
請求項3に係る発明は、
前記架橋重合体が、前記フッ素樹脂の主鎖の末端に相当する位置に、アクリロイル基(CH=CH−CO−)、メタクリロイル基(CH=C(CH)−CO−)、エポキシ基、水酸基、アミノ基、エステル基、カルボキシル基、チオール基、およびトリアルコキシシリル基からなる官能基群より選択される少なくとも一つの官能基を含む変性基で変性された構造を有する請求項1または請求項2に記載の表面保護膜である。
請求項4に係る発明は、
前記架橋重合体が、前記変性基に相当する位置に、前記シリコーン構造および前記アルキレン構造からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有する請求項3に記載の表面保護膜である。
請求項5に係る発明は、
前記架橋重合体が、前記変性基に相当する位置に、前記シリコーン構造および前記アルキレン構造からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有し且つ前記変性基に含まれる官能基群より選択される少なくとも一つの官能基に反応し得る基を有する化合物と、該官能基と、が反応した構造を有する請求項3に記載の表面保護膜である。
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4および請求項5に係る発明によれば、パーフルオロアルキレンエーテル構造を主鎖に有するフッ素樹脂のみの架橋重合体または該フッ素樹脂とシリコーン構造および炭素数5以上20以下のアルキレン構造のいずれをも有しない多官能体との架橋重合体による表面保護膜である場合に比べ、優れた離型性を備える表面保護膜が提供される。
本実施形態に係る無端ベルトの概略構成を示す斜視図である。 本実施形態に係る無端ベルトの断面図である。 本実施形態に係る無端ベルトを用いた画像形成装置を示す概略構成図である。 本実施形態に係る無端ベルトを用いた画像定着装置を示す概略構成図である。
以下、表面保護膜の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係る表面保護膜は、パーフルオロアルキレンエーテル構造を主鎖に有するフッ素樹脂が架橋重合した構造と、下記一般式(S)で示されるシリコーン構造、および炭素数5以上20以下のアルキレン構造からなる群より選択される少なくとも一種の構造と、を有する架橋重合体を含む。

(一般式(S)において、RS1およびRS2はそれぞれ独立に−CH、−CF、または水素原子を表す。)
近年、様々な分野で表面での傷付きを抑制する観点から表面保護膜を設けることが行われている。表面保護膜においては、耐傷性に加えて更に表面の防汚性の観点から表面滑りが求められることがある。
これに対し、本実施形態に係る表面保護膜は、パーフルオロアルキレンエーテル構造を主鎖に有するフッ素樹脂が架橋重合した構造に加えて、更にシリコーン構造またはアルキレン構造の少なくとも一方を有することにより、優れた耐傷性と表面滑り性とを備える。
〔表面保護膜の組成〕
次いで、本実施形態に係る表面保護膜に含まれる架橋重合体について説明する。
本実施形態における前記架橋重合体は、パーフルオロアルキレンエーテル構造を主鎖に有するフッ素樹脂を架橋重合した構造を有する。尚、前記一般式(S)で示されるシリコーン構造および炭素数5以上20以下のアルキレン構造の架橋重合体中への導入方法としては、特に限定されるものではないが、例えば以下の方法が挙げられる。
(I)架橋重合時に架橋基に反応させる方法:即ち、パーフルオロアルキレンエーテル構造を主鎖に有し且つ末端に反応性基(反応性の架橋基)を有するフッ素樹脂を用いて架橋重合を行う際に、前記反応性基と結合し得る基を1つまたは2つ以上有するシリコーン化合物およびアルキレン化合物の少なくとも一方を添加し、前記シリコーン構造および前記アルキレン構造の少なくとも一方を導入する方法が挙げられる。尚、前記シリコーン化合物およびアルキレン化合物が前記反応性基と結合し得る基を2つ以上有する場合には、フッ素樹脂同士を架橋結合させる架橋剤としての機能も果たす。
上記(I)の方法で架橋重合体を合成することで、フッ素樹脂の末端(変性基によって変性された箇所に相当する位置)に、前記シリコーン構造および前記アルキレン構造の少なくとも一方を有し且つ該変性基に含まれる官能基に反応し得る基を有する化合物と、該官能基と、が反応した構造を有する架橋重合体が得られる。
(II)予めフッ素樹脂に導入させた上で架橋重合を行う方法:即ち、パーフルオロアルキレンエーテル構造を主鎖に有するフッ素樹脂に対し、予めシリコーン化合物およびアルキレン化合物の少なくとも一方を反応させることで前記シリコーン構造および前記アルキレン構造の少なくとも一方を導入し、その上でフッ素樹脂同士を架橋重合する方法が挙げられる。
上記(II)の方法で架橋重合体を合成することで、フッ素樹脂の末端(変性基によって変性された箇所に相当する位置)に、前記シリコーン構造および前記アルキレン構造の少なくとも一方を有する架橋重合体が得られる。
以下、上記(I)および(II)の方法について説明する。
(I)架橋重合時に架橋基に反応させる方法
フッ素樹脂の末端(変性基によって変性された箇所に相当する位置)に、前記シリコーン構造および前記アルキレン構造の少なくとも一方を有し且つ該変性基に含まれる官能基に反応し得る基を有する化合物と、該官能基と、が反応した構造を有する架橋重合体、および該架橋重合体を得る方法(上記(I)の方法)について説明する。
(フッ素樹脂)
本実施形態において、前記架橋重合体中のパーフルオロアルキレンエーテル構造としては、例えば下記一般式(F)で表される構造が挙げられる。

(一般式(F)中、RF1およびRF2はそれぞれ独立にフッ素原子または−CFを表す。但し、RF1とRF2の両方がフッ素原子であることはない。n1は1以上5以下の整数を、n2は0以上2以下の整数を表し、n1とn2の総数は5以下である。)
尚、前記架橋重合に供される、パーフルオロアルキレンエーテル構造を主鎖に有し且つ末端に反応性基(反応性の架橋基)を有するフッ素樹脂(以下単に「パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物」とも称す)としては、例えば下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。

(上記一般式(1)において、RおよびRは、それぞれ独立にフッ素原子または−CF(トリフルオロメチル基)を表す。但し、RとRの両方がフッ素原子であることはない。
n1は1以上5以下の整数を、n2は0以上2以下の整数を表し、n1とn2の総数は5以下である。mは1以上の整数を表す。
およびAは、それぞれ独立に下記一般式(2)で表される2価の基を表す。
およびBは、それぞれ独立に単結合および下記(B−1)乃至(B−3)からなる群より選択される2価の基を表す。
およびXは、それぞれ独立に下記(X−1)乃至(X−8)からなる群より選択される少なくとも1種の反応性の架橋基を有する1価の基を表す。)

(上記一般式(2)において、RおよびRは、それぞれ独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。但し、RとRの両方がフッ素原子であることはない。
n3は、0以上5以下の整数を、n4は、0以上2以下の整数を、n5は、0以上の整数を、n6は、0または1を、n7は、0以上の整数を表す。但しn3、n4、n5、およびn6の全てが0であることはない。
尚、上記一般式(2)で表される2価の基は(*1)部分でパーフルオロアルキレンエーテル構造と結合し、(*2)部分で(−O−B−X)または(−O−B−X)と結合する。)

(上記(B−1)乃至(B−3)はそれぞれ(#2)部分でXまたはXと結合し、(#1)部分で(−O−A・・・)または(−O−A・・・)側と結合する。)

(上記(X−1)におけるRX1は水素原子、メチル基、またはトリフルオロメチル基を表す。上記(X−6)におけるRX2は水素原子、またはアルキル基を表す。上記(X−8)におけるRX3はアルキル基を表す。)
・パーフルオロアルキレンエーテル構造部分
まず前記一般式(1)は、[ ]で囲われるパーフルオロアルキレンエーテル構造部分を有する。このパーフルオロアルキレンエーテル構造部分において、RおよびRは、それぞれ独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。但し、RとRの両方がフッ素原子であることはない。
n1は、1以上5以下の整数を、n2は、0以上2以下の整数を表し、n1とn2の総数は5以下である。n1は更に1以上3以下が好ましく、n2は更に0以上1以下が好ましく、n1とn2の総数は更に1以上3以下が好ましい。
パーフルオロアルキレンエーテル構造部分を囲う[ ]の数であるmは、1以上の整数を表す。尚、mが2以上である場合における複数のパーフルオロアルキレンエーテル構造(−(CFn1−(C(R)(R))n2−O−)は、同じ構造であっても異なる構造であってもよい。mは更に2以上100以下であることが好ましく、5以上50以下であることがより好ましい。
パーフルオロアルキレンエーテル構造部分([−(CFn1−(C(R)(R))n2−O−])の具体例としては、例えば下記(m−1)乃至(m−8)の構造が挙げられる。尚、(m−2)、(m−3)、および(m−4)に示されるm1およびm2は、それぞれ独立に1以上の整数を表し、且つm1とm2の総数がmである。

尚、上記(m−1)乃至(m−8)の構造の中でも、(m−2)、(m−6)、(m−7)、(m−8)の構造が好ましく、(m−2)の構造がより好ましい。
・AおよびA
前記一般式(1)において、AおよびAは、それぞれ独立に一般式(2)で表される2価の基を表す。

上記一般式(2)において、RおよびRは、それぞれ独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基を表す。但し、RとRの両方がフッ素原子であることはない。
n3は、0以上5以下の整数を、n4は、0以上2以下の整数を、n5は、0以上の整数を、n6は、0または1を、n7は、0以上の整数を表す。但しn3、n4、n5、およびn6の全てが0であることはない。
尚、上記一般式(2)で表される2価の基は(*1)部分でパーフルオロアルキレンエーテル構造と結合し、(*2)部分で(−O−B−X)または(−O−B−X)と結合する。
また、一般式(2)において、n5とn6の総数は2以下であることが好ましく、更にn5とn6の総数は1以下であることがより好ましい。
上記一般式(2)で表される2価の基の好ましい構造を以下に表す。

上記(A−6)におけるoは1以上の整数を表し、更に1以上50以下であることが好ましく、1以上20以下であることがより好ましい。
尚、上記(A−1)乃至(A−12)の構造の中でも、特に(A−1)、(A−2)、(A−3)、(A−6)、(A−8)、(A−11)、(A−12)の構造がより好ましい。
・BおよびB
前記一般式(1)において、BおよびBは、それぞれ独立に単結合および下記(B−1)乃至(B−3)からなる群より選択される2価の基を表す。

上記(B−1)乃至(B−3)はそれぞれ(#2)部分でXまたはXと結合し、(#1)部分で(−O−A・・・)または(−O−A・・・)側と結合する。
尚、BおよびBとしては上記群の中でも、特に(B−1)の構造がより好ましい。
・XおよびX
前記一般式(1)において、XおよびXは、下記(X−1)乃至(X−8)からなる群より選択される少なくとも1種の反応性の架橋基を有する1価の基を表す。

尚、X(またはX)は、前記B(またはB)が前記(B−2)または(B−3)である場合、即ちB(またはB)が反応性の架橋基を有する場合には、前記(X−1)乃至(X−8)からなる群より選択される少なくとも1種の反応性の架橋基を1つ以上有することが好ましい。
一方、前記B(またはB)が単結合または前記(B−1)である場合、即ちB(またはB)が反応性の架橋基を有しない場合には、前記(X−1)乃至(X−8)からなる群より選択される少なくとも1種の反応性の架橋基を2つ以上有することが好ましい。
つまり、一般式(1)において、−B−X部分および−B−X部分のそれぞれに、反応性の架橋基を2つ以上有することが好ましい。X、XおよびB、Bがこの構成を満たすことにより、この化合物を架橋重合して得られる架橋物において、−B−X、−B−Xを起点として、一般式(1)からX(またはX)を除いた構造の基が少なくとも三つ又に架橋重合された構造が得られる。
上記(X−1)におけるRX1は水素原子(つまり架橋基=アクリロイル基)、メチル基(つまり架橋基=メタクリロイル基)、またはトリフルオロメチル基を表す。
尚、RX1としては上記の中でも水素原子、トリフルオロメチル基がより好ましい。
上記(X−3)で表される架橋基はエポキシ基を、(X−4)で表される架橋基は水酸基を、(X−5)で表される架橋基はアミノ基を、表す。
上記(X−6)におけるRX2は水素原子(つまり架橋基=カルボキシ基)、またはアルキル基(つまり架橋基=エステル基)を表す。
尚、(X−6)においてRX2で表されるアルキル基としては、炭素数1以上18以下のものが好ましく、更には炭素数1以上4以下のものがより好ましい。
X2で表されるアルキル基は直鎖状、分子鎖状、環状の何れであってもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロエキシル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル等が挙げられる。
X2としては上記の中でもメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルがより好ましい。
上記(X−7)で表される架橋基はチオール基を表す。
上記(X−8)におけるRX3はアルキル基(つまり架橋基=トリアルコキシシリル基)を表す。
尚、(X−8)においてRX3で表されるアルキル基としては、炭素数1以上10以下のものが好ましく、更には炭素数1以上4以下のものがより好ましい。
X3で表されるアルキル基は直鎖状、分子鎖状、環状の何れであってもよく、その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、2−エチルヘキシル、ラウリル、ステアリル等が挙げられる。
X3としては上記の中でもメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルがより好ましい。
およびXが有する反応性の架橋基としては、上記(X−1)乃至(X−8)の構造の中でも、特に(X−1)、(X−2)、(X−3)、(X−5)、(X−6)(X−8)の構造が好ましく、更には(X−1)、(X−2)、(X−3)、(X−8)がより好ましい。
およびXが有する反応性の架橋基の数としては、1以上20以下が好ましく、更には2以上10以下がより好ましい。
およびXにおいては、1つ以上の反応性の架橋基と、B(またはB)と結合する箇所と、の間に他の連結基を有していてもよい。つまり、XおよびXは、1つ以上の反応性の架橋基と、他の2価以上の連結基と、で構成されていてもよい。
およびXが有する連結基は2価以上の有機基であり、例えばアルキル鎖、芳香族鎖、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−CO−O−)から選択される1種の鎖または2種以上の鎖を組合わせた構造からなる2価以上の有機基が挙げられる。
上記連結基の具体例としては、例えば以下の(1)乃至(7)の有機基が挙げられる。尚、以下に示す連結基の具体例では、*部分でBまたはBと結合し、#部分で反応性の架橋基と結合する。

ここで、XおよびXの具体例を以下に示す。
まず、反応性の架橋基として前記(X−1)の架橋基を有する例としては、下記(X−1a)乃至(X−1f)が挙げられる。尚、下記(X−1a)乃至(X−1f)におけるRX1は、前記(X−1)におけるRX1と同義である。

また、反応性の架橋基として前記(X−2)の架橋基を有する例としては、下記(X−2a)乃至(X−2f)が挙げられる。

同様に、反応性の架橋基として前記(X−3)乃至(X−8)の架橋基を有する例としては、前記(1)乃至(7)で表される連結基の「#」部分に前記(X−3)乃至(X−8)の架橋基が結合した1価の基が挙げられる。
・フッ素樹脂の具体例
ここで、前記一般式(1)で表されるフッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)の具体例を示す。但し、本実施形態におけるフッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)は、下記の例に限定されるものではない。

・フッ素樹脂の合成方法
次いで、前記一般式(1)で表されるフッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)の合成方法の一例について説明する。尚、前記(I)の方法に用いられるフッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)を合成する方法は、下記の方法に限定されるものではない。
例えば一般式(1)におけるBおよびBとして前記(B−1)で表される2価の基を有する化合物を合成する場合であれば、下記の合成スキームに示すごとく、Xの末端にOH基を有する化合物(尚、Xは一般式(1)におけるXまたはXを表す)と無水コハク酸とを反応させて中間体を合成し、この中間体と一般式(1)におけるAおよびAの外側にOH基を有する化合物とを反応させることで、前記一般式(1)で表されるパーフルオロアルキレンエーテル含有化合物が合成される。

尚、BおよびBとして前記(B−2)および(B−3)で表される2価の基を有する化合物を合成する場合には、前記の合成スキームにおける無水コハク酸を無水イタコン酸、または無水マレイン酸に替えることで合成し得る。
また、BおよびBが単結合を有する化合物を合成する場合には、前記X−OHで表される化合物を無水コハク酸と反応させて前記中間体を得る工程を行わず、X−OHと、一般式(1)におけるAおよびAの外側にOH基を有する化合物と、を直接反応させることで合成し得る。
・多官能化合物
尚、前記架橋重合体中におけるパーフルオロアルキレンエーテル構造は、前記一般式(1)で表されるパーフルオロアルキレンエーテル構造を主鎖に有し且つ末端に反応性の架橋基を有するフッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)同士を架橋重合することで形成してもよいし、更にこの架橋重合の際に他の2官能以上の反応性多官能化合物を添加してもかまわない。
上記反応性多官能化合物としては、具体的には以下の構造をもつ多官能アクリレートが挙げられる。
・下記構造のTris(2−acryloxyethyl)Isocyanulate:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(AEICN)
・下記構造のPentaerythritol Triacrylate:ペンタエリスリトールトリアクリレート(A−TMM)
・下記構造のTetramethylol Methane Tetraacrylate:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)

(シリコーン化合物およびアルキレン化合物)
前述の(I)架橋重合時に架橋基に反応させる方法では、パーフルオロアルキレンエーテル構造を主鎖に有し且つ末端に反応性基(反応性の架橋基)を有するフッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)を用いて架橋重合を行う際に、前記反応性基と結合し得る基を1つまたは2つ以上有するシリコーン化合物およびアルキレン化合物の少なくとも一方を添加し、前記シリコーン構造および前記アルキレン構造の少なくとも一方を導入する。
尚、前記シリコーン化合物およびアルキレン化合物が前記反応性基と結合し得る基を2つ以上有する場合には、フッ素樹脂同士を架橋結合させる架橋剤としての機能も果たす。
・シリコーン化合物
前記(I)の方法に用いられるシリコーン化合物は、具体的には下記一般式(S)の構造を有し、且つ前記フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)が有する前記反応性基(反応性の架橋基)と結合し得る基を有する化合物である。

(一般式(S)において、RS1およびRS2はそれぞれ独立に−CH、−CF、または水素原子を表す。)
前記(I)の方法に用いられるシリコーン化合物としては、反応性基と結合し得る基を片末端のみに有する下記一般式(Sk1)で表される化合物、および反応性基と結合し得る基を両末端に有する下記一般式(Sk2)で表される化合物が好ましい。

(一般式(Sk1)および(Sk2)において、RS1およびRS2は一般式(S)におけるRS1およびRS2と同義である。RS3は単結合、C2X(Xは1以上の整数を表す)を表す。RS4は−CH、−CF、または水素原子を表す。nsは1以上の整数(より好ましくは1以上500以下の整数、更に好ましくは1以上200以下の整数)を表す。Xはフッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)が有する反応性基(反応性の架橋基)と結合し得る基を表す。)
フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)が反応性基として前記(X−1)(アクリロイル基、メタクリロイル基等)および(X−2)の少なくとも一方を有する場合、シリコーン化合物が有する該反応性基と結合し得る基(X)としては、炭素=炭素二重結合を有する基が挙げられ、具体的には前記(X−1)および(X−2)と同じ基が挙げられる。つまり、下記一般式(Sk1−1)、(Sk2−1)、(Sk1−2)および(Sk2−2)で表される化合物が挙げられる。

(一般式(Sk1−1)、(Sk2−1)、(Sk1−2)および(Sk2−2)におけるRS1、RS2、RS3、RS4、nsは一般式(Sk1)および(Sk2)と同義である。また、RX1は一般式(X−1)と同義である。)
フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)が反応性基として前記(X−3)(エポキシ基)を有する場合、シリコーン化合物が有する該反応性基と結合し得る基(X)としては、水酸基、カルボキシル基、トリアルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、チオール基、ビニル基が挙げられる。
フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)が反応性基として前記(X−4)(水酸基)を有する場合、シリコーン化合物が有する該反応性基と結合し得る基(X)としては、水酸基、カルボキシル基、トリアルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、チオール基、ビニル基が挙げられる。
フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)が反応性基として前記(X−5)(アミノ基)を有する場合、シリコーン化合物が有する該反応性基と結合し得る基(X)としては、水酸基、カルボキシル基、トリアルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、チオール基、ビニル基が挙げられる。
フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)が反応性基として前記(X−6)(カルボキシ基、エステル基等)を有する場合、シリコーン化合物が有する該反応性基と結合し得る基(X)としては、水酸基、カルボキシル基、トリアルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、チオール基、ビニル基が挙げられる。
フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)が反応性基として前記(X−7)(チオール基)を有する場合、シリコーン化合物が有する該反応性基と結合し得る基(X)としては、水酸基、カルボキシル基、トリアルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、チオール基、ビニル基が挙げられる。
フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)が反応性基として前記(X−8)(トリアルコキシシリル基)を有する場合、シリコーン化合物が有する該反応性基と結合し得る基(X)としては、水酸基、カルボキシル基、トリアルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、チオール基、ビニル基が挙げられる。
上記に挙げたシリコーン化合物の中でも、前記(I)の方法に用いられるシリコーン化合物としては、前記一般式(Sk1−1)、(Sk2−1)、(Sk1−2)および(Sk2−2)で表される化合物が好ましく、前記一般式(Sk2−1)および(Sk2−2)で表される化合物がより好ましく、前記一般式(Sk2−1)で表される化合物が更に好ましい。
上記シリコーン化合物の数平均分子量は、100以上100万以下の範囲が好ましく、1000以上10万以下の範囲がより好ましい。
尚、重合後の架橋重合体中におけるシリコーン化合物の数平均分子量は、シリコーン化合物をトルエンまたはTHFに溶解させ、排除クロマトグラフィー(SEC)により標準試料を用いて測定し得る。
上記シリコーン化合物の前記フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)に対する添加量(つまり本実施形態における架橋重合体におけるシリコーン構造の含有量)は、5質量%以上50質量%以下の範囲が好ましく、5質量%以上40質量%以下の範囲がより好ましく、10質量%以上30質量%以下の範囲が更に好ましい。
・アルキレン化合物
前記(I)の方法に用いられるアルキレン化合物は、具体的には炭素数5以上20以下のアルキレン構造を有し、且つ前記フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)が有する前記反応性基(反応性の架橋基)と結合し得る基を有する化合物である。
尚、該アルキレン構造における炭素数は、より好ましくは10以上20以下であり、更に好ましくは15以上20以下である。
アルキレン構造の炭素数が大きくなると、分子同士の凝集力が増加し結晶性が高くなるため、他の材料と相溶しにくくなる。
前記(I)の方法に用いられるアルキレン化合物としては、反応性基と結合し得る基を片末端のみに有する下記一般式(Ak1)で表される化合物、および反応性基と結合し得る基を両末端に有する下記一般式(Ak2)で表される化合物が好ましい。

(一般式(Ak1)および(Ak2)において、RA1は炭素数5以上20以下のアルキル基を表し、Xはフッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)が有する反応性基(反応性の架橋基)と結合し得る基を表す。)
フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)が反応性基として前記(X−1)(アクリロイル基、メタクリロイル基等)および(X−2)の少なくとも一方を有する場合、アルキレン化合物が有する該反応性基と結合し得る基(X)としては、炭素=炭素二重結合を有する基が挙げられ、具体的には前記(X−1)および(X−2)と同じ基が挙げられる。つまり、下記一般式(Ak1−1)、(Ak2−1)、(Ak1−2)および(Ak2−2)で表される化合物が挙げられる。

(一般式(Ak1−1)、(Ak2−1)、(Ak1−2)および(Ak2−2)におけるRA1は一般式(Ak1)および(Ak2)と同義である。また、RX1は一般式(X−1)と同義である。)
フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)が反応性基として前記(X−3)(エポキシ基)を有する場合、アルキレン化合物が有する該反応性基と結合し得る基(X)としては、水酸基、カルボキシル基、トリアルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、チオール基、ビニル基が挙げられる。
フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)が反応性基として前記(X−4)(水酸基)を有する場合、アルキレン化合物が有する該反応性基と結合し得る基(X)としては、水酸基、カルボキシル基、トリアルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、チオール基、ビニル基が挙げられる。
フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)が反応性基として前記(X−5)(アミノ基)を有する場合、アルキレン化合物が有する該反応性基と結合し得る基(X)としては、水酸基、カルボキシル基、トリアルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、チオール基、ビニル基が挙げられる。
フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)が反応性基として前記(X−6)(カルボキシ基、エステル基等)を有する場合、アルキレン化合物が有する該反応性基と結合し得る基(X)としては、水酸基、カルボキシル基、トリアルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、チオール基、ビニル基が挙げられる。
フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)が反応性基として前記(X−7)(チオール基)を有する場合、アルキレン化合物が有する該反応性基と結合し得る基(X)としては、水酸基、カルボキシル基、トリアルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、チオール基、ビニル基が挙げられる。
フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)が反応性基として前記(X−8)(トリアルコキシシリル基)を有する場合、アルキレン化合物が有する該反応性基と結合し得る基(X)としては、水酸基、カルボキシル基、トリアルコキシシリル基、エポキシ基、アミノ基、チオール基、ビニル基が挙げられる。
上記に挙げたアルキレン化合物の中でも、前記(I)の方法に用いられるアルキレン化合物としては、前記一般式(Ak1−1)、(Ak2−1)、(Ak1−2)および(Ak2−2)で表される化合物が好ましく、前記一般式(Ak2−1)および(Ak2−2)で表される化合物がより好ましく、前記一般式(Ak2−1)で表される化合物が更に好ましい。
上記アルキレン化合物の前記フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)に対する添加量(つまり本実施形態における架橋重合体におけるアルキレン構造の含有量)は、5質量%以上50質量%以下の範囲が好ましく、5質量%以上40質量%以下の範囲がより好ましく、10質量%以上30質量%以下の範囲が更に好ましい。
・表面保護膜の形成方法(架橋重合の方法)
前述の(I)架橋重合時に架橋基に反応させる方法では、本実施形態に係る表面保護膜を、少なくとも前述のフッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)と、前述のシリコーン化合物およびアルキレン化合物の少なくとも一方と、を含有する塗布液を基材上に塗布して架橋重合することで形成される。
尚、上記架橋重合は、架橋剤を介して行われてもよい。
ここで、例えばフッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)としてXおよびXにおける反応性の架橋基に前記(X−1)や(X−2)で示される架橋基(アクリロイル基等)を有するものを用いる場合には、架橋剤を用いずとも架橋重合を行い得る。
一方、フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)として、XおよびXにおける反応性の架橋基に前記(X−3)乃至(X−8)で示される架橋基(つまり、エポキシ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等)を有するものを用いる場合には、硬化剤として架橋剤を用いる方法や、反応性の架橋基同士が互いに反応し合う組合せ(例えばXおよびXにエポキシ基を有する化合物と、XおよびXにアミノ基、水酸基またはカルボキシル基を有する化合物との組合せ)で用いる方法により、架橋重合を行い得る。
・架橋剤
反応性の架橋基として(X−3)で示される基(エポキシ基)を有する化合物に対して用い得る架橋剤としては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリカーボネートジオール、ポリエーテルジオール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
反応性の架橋基として(X−4)(X−5)または(X−6)で示される基(水酸基、アミノ基、カルボキシル基等)を有する化合物に対して用い得る架橋剤としては、2つ以上のエポキシ基を含有する架橋剤が好ましい。例えば、1,5−ヘキサジエンジエポキシド、1,7−オクタジエンジエポキシド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジル、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、トリグリシジルイソシアヌレート、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレン等が挙げられる。
また、反応性の架橋基として(X−1)または(X−2)で示される基(アクリロイル基等)を有する化合物に対して用い得る架橋剤としては、2つ以上アクリロイル基を含有する架橋剤が好ましい。例えば、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、ε−カプロラクトン変性トリス−(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
架橋剤を用いる場合における、フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)に対する添加量としては、フッ素樹脂の質量に対して、1%から500%となるよう調整することが好ましく、更には5%から200%とすることがより好ましい。
また、フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)として、液体のものを用いる場合には、そのまま前記塗布液として使用してもよい。
フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)として、固体、液体に関わらず溶媒に溶解し得るものを用いる場合には、フッ素樹脂、シリコーン化合物およびアルキレン化合物の少なくとも一方、硬化剤(架橋剤)を要する場合であれば更にその硬化剤(架橋剤)、その他の添加剤等を溶媒に溶解して塗布液を調製し、基材上に塗布して架橋重合することで形成される。
また、フッ素樹脂(パーフルオロアルキレンエーテル含有化合物)として、固体で溶媒に溶解しないものを用いる場合には、フッ素樹脂、シリコーン化合物およびアルキレン化合物の少なくとも一方、硬化剤(架橋剤)を要する場合であれば更にその硬化剤(架橋剤)、その他の添加剤等を、溶解し得る温度にまで加熱し、架橋重合することで形成される。
但し、製造性の点からは、溶媒に溶解し得る化合物、または常温(25℃)で液体の化合物を用いて、表面保護膜を形成することが好ましい。
前記塗布液に用いられる溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、テトラヒドロフラン、2H,3H−デカフルオロペンタン、1−メトキシヘプタフルオロプロパン、1−メトキシノナフルオロブタン、1−エトキシノナフルオロブタン等が挙げられる。
前記架橋重合を行う際には、外部からエネルギーを供給してもよく、例えば紫外線を照射する手段、電子線を照射する手段、加熱する手段等によるエネルギーの供給が挙げられる。
また、前記架橋重合を行うための重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤の具体例としては、例えばラジカル型として、IRGACURE184、IRGACURE651、IRGACURE123、IRGACURE819、DAROCURE1173、IRGACURE784、IRGACURE OXE01、IRGACURE OXE02、カチオン型として、IRGACURE250、IRGACURE270(何れもBASF社製)等が挙げられる。
(II)予めフッ素樹脂に導入させた上で架橋重合を行う方法
次いで、予めフッ素樹脂に導入させた上で架橋重合を行う方法について説明する。上記(II)の方法では、パーフルオロアルキレンエーテル構造を主鎖に有するフッ素樹脂に対し、予めシリコーン化合物およびアルキレン化合物の少なくとも一方を反応させることで前記シリコーン構造および前記アルキレン構造の少なくとも一方を導入し、その上でフッ素樹脂同士を架橋重合する。
上記(II)の方法で架橋重合体を合成することで、フッ素樹脂の末端(変性基によって変性された箇所に相当する位置)に、前記シリコーン構造および前記アルキレン構造の少なくとも一方を有する架橋重合体が得られる。
(シリコーン構造およびアルキレン構造)
・シリコーン構造
予めフッ素樹脂に導入されるシリコーン構造としては、数平均分子量が100以上100万以下の範囲が好ましく、1000以上10万以下の範囲がより好ましい。
尚、重合後の架橋重合体中におけるシリコーン構造の数平均分子量は、前述の(I)の方法において説明した方法により測定し得る。
本実施形態の架橋重合体におけるシリコーン構造の含有量は、5質量%以上50質量%以下の範囲が好ましく、5質量%以上40質量%以下の範囲がより好ましく、10質量%以上30質量%以下の範囲が更に好ましい。
・アルキレン構造
アルキレン構造は炭素数5以上20以下であり、更に該アルキレン構造における炭素数は、より好ましくは10以上20以下であり、更に好ましくは15以上20以下である。アルキレン構造の炭素数が大きくなると、分子同士の凝集力が増加し結晶性が高くなるため、他の材料と相溶しにくくなる。
本実施形態の架橋重合体におけるアルキレン構造の含有量は、5質量%以上50質量%以下の範囲が好ましく、5質量%以上40質量%以下の範囲がより好ましく、10質量%以上30質量%以下の範囲が更に好ましい。
(シリコーン構造およびアルキレン構造の少なくとも一方を導入したフッ素樹脂)
前記(II)の方法に用いられる、シリコーン構造およびアルキレン構造の少なくとも一方を導入したフッ素樹脂(以下単に「シリコーン・アルキレン導入フッ素樹脂」とも称す)は、パーフルオロアルキレンエーテル構造を主鎖に有し且つ前記一般式(S)で示されるシリコーン構造および炭素数5以上20以下のアルキレン構造からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有する。
尚、パーフルオロアルキレンエーテル構造としては、下記一般式(F)で表される構造が挙げられる。

(一般式(F)中、RF1およびRF2はそれぞれ独立にフッ素原子または−CFを表す。但し、RF1とRF2の両方がフッ素原子であることはない。n1は1以上5以下の整数を、n2は0以上2以下の整数を表し、n1とn2の総数は5以下である。)
フッ素樹脂に対し、架橋重合前に予め導入されるシリコーン構造およびアルキレン構造の導入位置については、フッ素樹脂の主鎖中に導入されても側鎖に導入されてもよいが、
側鎖に導入することが導入のし易さの点から好ましい。
シリコーン構造およびアルキレン構造の少なくとも一方を導入したフッ素樹脂(シリコーン・アルキレン導入フッ素樹脂)としては、特に限定されるものではないが、例えば下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。

(上記一般式(3)において、R、R、n1、n2、m、A、A、B、B、X、Xは一般式(1)におけるR、R、n1、n2、m、A、A、B、B、X、Xと同義である。YおよびYは前記一般式(S)で示されるシリコーン構造および炭素数5以上20以下のアルキレン構造からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有する基を表す。)
尚、上記一般式(3)におけるパーフルオロアルキレンエーテル構造部分([ ]で囲われる部分)、AおよびA、BおよびB、XおよびXの好ましい構造としては、前述の一般式(1)において列挙した構造と同じ構造が挙げられる。
・YおよびY
およびYは、前記一般式(S)で示されるシリコーン構造、および炭素数5以上20以下のアルキレン構造の少なくとも一方の構造を有する基を表す。尚、上記シリコーン構造およびアルキレン構造は、前記一般式(3)で表される化合物(フッ素樹脂)における側鎖に相当する位置に有することが好ましい。
およびYの構造としては、一般式(3)中のYおよびYの前後を挟む「O」をつなぐ主鎖基と、該主鎖基の側鎖に前記一般式(S)で示されるシリコーン構造および炭素数5以上20以下のアルキレン構造の少なくとも一方とを有する構造が挙げられる。
前記主鎖基は3価以上の有機基であり、例えばアルキル鎖、芳香族鎖、エーテル基(−O−)、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−CO−O−)から選択される1種の鎖または2種以上の鎖を組合わせた構造からなる3価以上の有機基が挙げられる。
上記主鎖基の具体例としては、例えば以下の(a)の有機基が挙げられる。尚、以下に示す連結基の具体例では、*部分で「O」と結合し、#部分で前記シリコーン構造またはアルキレン構造と結合する。

・シリコーン・アルキレン導入フッ素樹脂の具体例
ここで、前記一般式(3)で表されるフッ素樹脂(シリコーン・アルキレン導入フッ素樹脂)の具体例を示す。但し、本実施形態におけるシリコーン・アルキレン導入フッ素樹脂は、下記の例に限定されるものではない。
・シリコーン・アルキレン導入フッ素樹脂の合成方法
次いで、前記一般式(3)で表されるシリコーン構造およびアルキレン構造の少なくとも一方を導入したフッ素樹脂(シリコーン・アルキレン導入フッ素樹脂)の合成方法の一例について説明する。尚、前記(II)の方法に用いられるシリコーン・アルキレン導入フッ素樹脂を合成する方法は、下記の方法に限定されるものではない。
例えば一般式(3)におけるYおよびYとして前記(a)で表される主鎖基を有し、且つBおよびBとして前記(B−1)で表される2価の基を有する化合物を合成する場合について説明する。
一般式(3)におけるAおよびAの外側にOH基を有する化合物の該OH基をエポキシにより変性し、次いで該エポキシ基の開環重合により、前記シリコーン構造および前記アルキレン構造の少なくとも一方(R)を有する基を反応させて、中間体1を合成する。
一方で、Xの末端にOH基を有する化合物(尚、Xは一般式(1)におけるXまたはXを表す)と無水コハク酸とを反応させて中間体2を合成し、この中間体2と前記中間体1とを反応させることで、前記一般式(3)で表されるシリコーン・アルキレン導入フッ素樹脂が合成される。

尚、BおよびBとして前記(B−2)および(B−3)で表される2価の基を有する化合物を合成する場合には、前記の合成スキームにおける無水コハク酸を無水イタコン酸、または無水マレイン酸に替えることで合成し得る。
また、BおよびBが単結合を有する化合物を合成する場合には、前記X−OHで表される化合物を無水コハク酸と反応させて前記中間体2を得る工程を行わず、X−OHと、中間体1と、を直接反応させることで合成し得る。
・表面保護膜の物性
本実施形態における架橋重合体を含む表面保護膜は、前述の通り耐傷性に加えて表面滑り性に優れた材料となる。
そのため、本実施形態に係る表面保護膜は、25℃での水の接触角が90°以上であることが好ましく、更には100°以上がより好ましい。
また、25℃でのヘキサデカンの接触角が80°以下であることが好ましく、更には70°以下がより好ましい。
尚、上記接触角の測定は、フイルム上に塗布された表面保護膜サンプルを、水を使用し接触角計を用いて、25℃においてθ/2法で行われる。また、ヘキサデカンに対する接触角は、前記水をヘキサデカンに変更して測定される。
前記表面保護膜の厚さとしては、特に限定されるものではないが1μm以上500μm以下が好ましく、10μm以上50μm以下がより好ましい。
[用途]
上記のようにして得られる、本実施形態に係る表面保護膜は、異物との接触により表面に擦り傷が発生し得る物に対してであれば、特に限定されることなく用い得る。表面に異物が接触し該異物との接触により擦り傷が発生し得る物の例としては、例えば、スマートフォンや携帯電話、ポータブルゲームなど携帯端末におけるボディや画面、車のボディや窓ガラス、パソコンの筐体、眼鏡のレンズ、CD,DVD,BD等の光ディスクの記録面、太陽光電池パネルや太陽光を反射させるパネル、画像形成装置における定着部材、中間転写部材、記録媒体搬送部材等に用いられる画像形成装置用の無端ベルトやロール、床、鏡、窓ガラス等が挙げられる。
スマートフォンや携帯電話、ポータブルゲーム機等の携帯端末においては、ボディや画面等に指の先(爪)や操作用のスティックの先端が接触して擦れることにより擦り傷がつくことがあった。
また、窓ガラス、車の窓ガラスやボディ等は、野外環境に曝されるため風によって運ばれる砂、葉、木の枝等との接触や、虫等との接触など、様々な要因により擦り傷がつくことがあった。
また、眼鏡のレンズ等には、表面に細かい粒子(汚れ)が付着していることがあり、その上から乾拭きを行うことで擦り傷がつくことがあった。
また、CD,DVD,BD等の光ディスクの記録面等には、ケースからの出し入れの際に該ケースの角に接触したり、再生装置,記録装置等からの出し入れの際に該装置の角に接触したり、また指の先(爪)が接触することがあり、これらとの擦れにより擦り傷がつくことがあった。
また、太陽光電池パネルや太陽光を反射させるパネルは、野外環境に曝されるため風によって運ばれる砂、葉、木の枝等との接触や、虫等との接触など、様々な要因により擦り傷がつくことがあった。
また、画像形成装置における定着部材、中間転写部材、記録媒体搬送部材等に用いられる画像形成装置用の無端ベルトやロールは、画像形成装置内において紙等の記録媒体と接触したり、その他部材と接触するため、これらとの擦れにより擦り傷がつくことがあった。
また、上記の態様に限らず、表面に異物が接触する物であれば、該異物との擦れによって、表面に擦り傷がつくことがあった。
これらの異物と接触する物の表面に、本実施形態に係る表面保護膜を設けることにより、異物との接触により生じた傷が効率的に修復される。
[無端ベルト]
本実施形態に係る画像形成装置用無端ベルトは、ベルト状の基材と、前記ベルト状の基材上に設けられた、前述の本実施形態に係る表面保護膜と、を有する。
図1は、本実施形態に係る無端ベルトを示す斜視図(一部、断面で表わしている)であり、図2は、図1において矢印Aの方向から見た、無端ベルトの端面図である。
図1および図2に示すように、本実施形態の無端ベルト1は、基材2と、基材2の表面に積層された表面層3と、を有する無端状のベルトである。
尚、上記表面層3としては、前述の本実施形態に係る表面保護膜が適用される。
無端ベルト1の用途としては、例えば、画像形成装置内における定着ベルト、中間転写ベルト、記録媒体搬送ベルト等が挙げられる。
以下、無端ベルト1を定着ベルトとして用いる場合について説明する。
基材2に用いられる材質としては、耐熱性の材料が好ましく、具体的には、公知の各種プラスチック材料および金属材料のものの中から選択して使用される。
プラスチック材料のなかでは一般にエンジニアリングプラスチックと呼ばれるものが適しており、例えばフッソ樹脂、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、全芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)などが好ましい。また、この中でも機械的強度、耐熱性、耐摩耗性、耐薬品性等に優れる熱硬化性ポリイミド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂などが好ましい。
また、基材2に用いられる金属材料としては、特に制限は無く、各種金属や合金材料が使用され、例えばSUS、ニッケル、銅、アルミ、鉄などが好適に使用される。また、前記耐熱性樹脂や前記金属材料を複数積層してもよい。
以下、無端ベルト1を中間転写ベルトまたは記録媒体搬送ベルトとして用いる場合について説明する。
基材2に用いる素材としては、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられ、これらの中でもポリイミド系樹脂およびポリアミドイミド系樹脂を用いることがより好ましい。なお、基材は環状(無端状)であればつなぎ目があってもなくてもよく、また基材2の厚さは、通常0.02から0.2mmが好ましい。
無端ベルト1を画像形成装置の中間転写ベルトや記録媒体搬送ベルトとして用いる場合、1×10Ω/□から1×1014Ω/□の範囲に表面抵抗率を、1×10から1×1013Ωcmの範囲に体積抵抗率を制御することが好ましい。そのため前記のごとく、基材2や表面層3に、導電剤として、ケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金などの金属または合金、酸化スズ、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化スズ−酸化インジウムまたは酸化スズ−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物、ポリアニリン、ポリピロール、ポリサルフォン、ポリアセチレンなどの導電性ポリマーなどを添加することが好ましい(ここで、前記ポリマーにおける「導電性」とは体積抵抗率が10Ω・cm未満を意味する)。これら導電剤は、単独または2種以上が併用して使用される。
ここで、上記表面抵抗率および体積抵抗率は、(株)ダイヤインスツルメント製ハイレスタUPMCP−450型URプローブを用いて、22℃、55%RHの環境下で、JIS−K6911に従い測定される。
定着用途の場合において、無端ベルト1は、基材2と表面層3との間に弾性層を含んでもよい。弾性層の材料としては、例えば、各種ゴム材料が用いられる。各種ゴム材料としては、例えば、ウレタンゴム、エチレン・プロピレンゴム(EPM)、シリコーンゴム、フッ素ゴム(FKM)などが挙げられ、特に耐熱性、加工性に優れたシリコーンゴムが好ましい。該シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)などが挙げられる。
電磁誘導方式の定着装置における定着ベルトとして無端ベルト1を用いる場合は、基材2と表面層3との間に、発熱層を設けてもよい。
発熱層に用いられる材料としては、例えば非磁性金属が挙げられ、具体的には、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛、ビスマス、ベリリュウム、アンチモン、およびこれらの合金(これらを含む合金)等の金属材料が挙げられる。
発熱層の膜厚としては、5から20μmの範囲とすることが好ましく、7から15μmの範囲とすることがより好ましく、8から12μmの範囲とすることが特に好ましい。
[ロール]
本実施形態に係る画像形成装置用ロールは、円筒状の基材と、前記円筒状の基材上に設けられた、前述の本実施形態に係る表面保護膜と、を有する。
ついで、本実施形態に係るロールについて説明する。本実施形態のロールは、基材と、基材の表面に積層された表面層と、を有する円筒状のロールである。
尚、上記表面層としては、前述の本実施形態に係る表面保護膜が適用される。
上記円筒状のロールの用途としては、例えば、画像形成装置内における定着ロール、中間転写ロール、記録媒体搬送ロール等が挙げられる。
以下、円筒状ロールを定着ロールとして用いる場合について説明する。
図4に示す定着部材としての定着ロール610としては、その形状、構造、大きさ等について特に制限はなく、円筒状のコア611上に表面層613を備えてなる。また、図4に示す通り、コア611と表面層613との間に弾性層612を有していてもよい。
円筒状のコア611の材質としては、例えば、アルミニウム(例えば、A−5052材)、SUS、鉄、銅等の金属、合金、セラミックス、FRMなどが挙げられる。本実施形態の定着装置72では外径φ25mm、肉厚0.5mm、長さ360mmの円筒体で構成されている。
弾性層612の材質としては、公知の材質の中から選択されるが、耐熱性の高い弾性体であればどの材料を用いてもよい。特に、ゴム硬度が15から45°(JIS−A)程度のゴム、エラストマー等の弾性体を用いるのが好ましく、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。
本実施形態においては、これらの材質の中でも、表面張力が小さく、弾性に優れる点でシリコーンゴムが好ましい。該シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)などが挙げられる。
なお、弾性層612の厚みとしては、3mm以下であることが好ましく、0.5から1.5mmの範囲であることがより好ましい。定着装置72では、ゴム硬度が35°(JIS−A)のHTVシリコーンゴムを72μmの厚さでコアに被覆している。
表面層613の厚みとしては、例えば5μm以上50μm以下が挙げられ、10μm以上30μm以下であってもよい。
定着ロール610を加熱する加熱源としては、例えばハロゲンランプ660が用いられ、上記コア611の内部に収容する形状、構造のものであれば特に制限はなく、目的に応じて選択される。ハロゲンランプ660により加熱された定着ロール610の表面温度は、定着ロール610に設けられた感温素子690により計測され、制御手段によりその温度が制御される。感温素子690としては、特に制限はなく、例えば、サーミスタ、温度センサなどが挙げられる。
[画像形成装置]
次に、本実施形態の無端ベルトおよび本実施形態のロールを用いた本実施形態の画像形成装置について説明する。図3は、本実施形態に係る無端ベルトを定着装置の加圧ベルトとして備え、本実施形態に係る無端ベルトを中間転写ベルトとして備え、且つ本実施形態に係るロールを定着装置の定着ロールとして備えたタンデム式の、画像形成装置の要部を説明する模試図である。
具体的には、画像形成装置101は、感光体79(静電潜像保持体)と、感光体79の表面を帯電する帯電ロール83と、感光体79の表面を露光し静電潜像を形成するレーザー発生装置78(静電潜像形成手段)と、感光体79表面に形成された潜像を、現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像器85(現像手段)と、現像器85により形成されたトナー像が感光体79から転写される中間転写ベルト86(中間転写体)と、トナー像を中間転写ベルト86に転写する1次転写ロール80(一次転写手段)と、感光体79に付着したトナーやゴミ等を除去する感光体清掃部材84と、中間転写ベルト86上のトナー像を記録媒体に転写する2次転写ロール75(二次転写手段)と、記録媒体上のトナー像を定着する定着装置72(定着手段)と、を含んで構成されている。感光体79と1次転写ロール80は、図3に示すとおり感光体79直上に配置していてもよく、感光体79直上からずれた位置に配置していてもよい。
さらに、図3に示す画像形成装置101の構成について詳細に説明する。
画像形成装置101においては、感光体79の周囲に、反時計回りに帯電ロール83、現像器85、中間転写ベルト86を介して配置された1次転写ロール80、感光体清掃部材84が配置され、これら1組の部材が、1つの色に対応した現像ユニットを形成している。また、この現像ユニット毎に、現像器85に現像剤を補充するトナーカートリッジ71がそれぞれ設けられており、各現像ユニットの感光体79に対して、帯電ロール83の(感光体79の回転方向)下流側であって現像器85の上流側の感光体79表面に画像情報に応じたレーザー光を照射するレーザー発生装置78が設けられている。
4つの色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に対応した4つの現像ユニットは、画像形成装置101内において水平方向に直列に配置されており、4つの現像ユニットの感光体79と1次転写ロール80との転写領域を挿通するように中間転写ベルト86が設けられている。中間転写ベルト86は、その内面側に以下の順序で反時計回りに設けられた、支持ロール73、支持ロール74、および駆動ロール81により支持され、ベルト支持装置90を形成している。なお、4つの1次転写ロールは支持ロール73の(中間転写ベルト86の回転方向)下流側であって支持ロール74の上流側に位置する。また、中間転写ベルト86を介して駆動ロール81の反対側には中間転写ベルト86の外周面を清掃する転写清掃部材82が駆動ロール81に対して接触するように設けられている。
また、中間転写ベルト86を介して支持ロール73の反対側には用紙供給部77から用紙経路76を経由して搬送される記録用紙の表面に、中間転写ベルト86の外周面に形成されたトナー像を転写するための2次転写ロール75が、支持ロール73に対して接触するように設けられている。
また、画像形成装置101の底部には記録媒体を収容する用紙供給部77が設けられ、用紙供給部77から用紙経路76を経由して2次転写部を構成する支持ロール73と2次転写ロール75との接触部を通過するように、記録媒体が供給される。この接触部を通過した記録媒体は、更に定着装置72の接触部を挿通するように不図示の搬送手段により搬送され、最終的に画像形成装置101の外へと排出される。
次に、図3に示す画像形成装置101を用いた画像形成方法について説明する。トナー像の形成は各現像ユニット毎に行なわれ、帯電ロール83により反時計方向に回転する感光体79表面を帯電した後に、レーザー発生装置78(露光装置)により帯電された感光体79表面に潜像(静電潜像)を形成し、次に、この潜像を現像器85から供給される現像剤により現像してトナー像を形成し、1次転写ロール80と感光体79との接触部に運ばれたトナー像を矢印C方向に回転する中間転写ベルト86の外周面に転写する。なお、トナー像を転写した後の感光体79は、その表面に付着したトナーやゴミ等が感光体清掃部材84により清掃され、次のトナー像の形成に備える。
各色の現像ユニット毎に現像されたトナー像は、画像情報に対応するように中間転写ベルト86の外周面上に順次重ね合わされた状態で、2次転写部に運ばれ2次転写ロール75により、用紙供給部77から用紙経路76を経由して搬送されてきた記録用紙表面に転写される。トナー像が転写された記録用紙は、更に定着装置72の接触部を通過する際に加圧加熱されることにより定着され、記録媒体表面に画像が形成された後、画像形成装置外へと排出される。
―定着装置(画像定着装置)―
図4は、本実施形態に係る画像形成装置101内に設けられた定着装置72の概略構成図である。図4に示す定着装置72は、回転駆動する回転体としての定着ロール610と、無端ベルト620(加圧ベルト)と、無端ベルト620を介して定着ロール610を加圧する圧力部材である圧力パッド640とを備えて構成されている。なお、圧力パッド640は、無端ベルト620と定着ロール610とが相対的に加圧されていればよい。従って、無端ベルト620側が定着ロール610に加圧されてもよく、定着ロール610側が無端ベルト620に加圧されてもよい。
定着ロール610の内部には、挟込領域において未定着トナー像を加熱する加熱手段の一例としてのハロゲンランプ660が配設されている。加熱手段としては、ハロゲンランプに限られず、発熱する他の発熱部材を用いてもよい。
一方、定着ロール610の表面には感温素子690が接触して配置されている。この感温素子690による温度計測値に基づいて、ハロゲンランプ660の点灯が制御され、定着ロール610の表面温度が設定温度(例えば、150℃)に維持される。
無端ベルト620は、内部に配置された圧力パッド640とベルト走行ガイド630と、図示しないエッジガイドによって回転自在に支持されている。そして、挟込領域Nにおいて定着ロール610に対して加圧された状態で接触して配置されている。
圧力パッド640は、無端ベルト620の内側において、無端ベルト620を介して定着ロール610に加圧される状態で配置され、定着ロール610との間で挟込領域Nを形成している。圧力パッド640は、幅の広い挟込領域Nを確保するためのプレ挟込部材641を挟込領域Nの入口側に配置し、定着ロール610に歪みを与えるための剥離挟込部材642を挟込領域Nの出口側に配置している。
さらに、無端ベルト620の内周面と圧力パッド640との摺動抵抗を小さくするために、プレ挟込部材641および剥離挟込部材642の無端ベルト620と接する面に低摩擦シート680が設けられている。そして、圧力パッド640と低摩擦シート680とは、金属製のホルダ650に保持されている。
さらに、ホルダ650にはベルト走行ガイド630が取り付けられ、無端ベルト620がスムーズに回転するように構成されている。すなわち、ベルト走行ガイド630は、無端ベルト620内周面と摺擦するため、静止摩擦係数の小さな材質で形成されている。また、ベルト走行ガイド630は、無端ベルト620から熱を奪い難いよう熱伝導率の低い材質で形成されている。
そして定着ロール610は、図示しない駆動モータにより矢印C方向に回転し、この回転に従動して無端ベルト620は、定着ロール610の回転方向と反対の方向へ回転する。すなわち、定着ロール610が図4における時計方向へ回転するのに対して、無端ベルト620は反時計方向へ回転する。
未定着トナー像を有する用紙Kは、定着入口ガイド560によって導かれて、挟込領域Nに搬送される。そして、用紙Kが挟込領域Nを通過する際に、用紙K上のトナー像は挟込領域Nに作用する圧力と、定着ロール610から供給される熱とによって定着される。
上記定着装置72では、定着ロール610の外周面に倣う凹形状のプレ挟込部材641により挟込領域Nが確保される。
また、本実施形態に係る定着装置72では、定着ロール610の外周面に対し突出させて剥離挟込部材642を配置することにより、挟込領域Nの出口領域において定着ロール610の歪みが局所的に大きくなるように構成されている。この構成により、定着後の用紙Kが定着ロール610から剥離する。
また、剥離の補助手段として、定着ロール610の挟込領域Nの下流側に、剥離部材700が配設されている。剥離部材700は、剥離バッフル710が定着ロール610の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に定着ロール610と近接する状態でホルダ720によって保持されている。
<ポータブル機器>
本実施形態に係る表面保護膜は、携帯端末(ポータブル機器)において、画像を表示する画面等における保護膜として用い得る。
スマートフォンや携帯電話、ポータブルゲーム機等の携帯端末(ポータブル機器)における画面(例えば液晶画面)等には、操作の際に指の先(爪)が接触したり、更に操作用のスティックがある場合には該スティックの先端が接触して擦れることにより擦り傷がつくことがあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を保護膜として有することで、たとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。
<窓ガラス、車のボディ>
本実施形態に係る表面保護膜は、建物や車等における窓ガラスの保護膜として用い得る。また、本実施形態に係る表面保護膜は、車のボディの保護膜として用い得る。
建物の窓ガラス、車の窓ガラスやボディ等は、野外環境に曝されるため風によって運ばれる砂、葉、木の枝等との接触や、虫等との接触など、様々な要因により擦り傷がつくことがあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を保護膜として有することで、たとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。
<眼鏡のレンズ>
本実施形態に係る表面保護膜は、眼鏡のレンズの保護膜として用い得る。
眼鏡のレンズには、表面に細かい粒子(汚れ)が付着していることがあり、その上から乾拭きを行うことで擦り傷がつくことがあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を有することで、たとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。
<光ディスク>
本実施形態に係る表面保護膜は、光ディスクの記録面の保護膜として用い得る。
CD,DVD,BD等の光ディスクの記録面等には、ケースからの出し入れの際に該ケースの角に接触したり、再生装置,記録装置等からの出し入れの際に該装置の角に接触したり、また指の先(爪)が接触することがあり、これらとの擦れにより擦り傷がつくことがあった。その結果、記録面についた傷に起因して、読み取りエラーが生じることがあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を保護膜として有することで、たとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。その結果、読み取りエラーの発生も効率的に抑制される。
<太陽光パネル>
本実施形態に係る表面保護膜は、太陽光パネルの反射面の保護膜として用い得る。
太陽光電池パネルや太陽光を反射させるパネルは、野外環境に曝されるため風によって運ばれる砂、葉、木の枝等との接触や、虫等との接触など、様々な要因により擦り傷がつくことがあった。これに対し、本実施形態に係る表面保護膜を保護膜として有することで、たとえ擦り傷が発生した場合であっても該擦り傷が修復されるため、表面に永久に残る擦り傷(永久傷)の発生が効率的に抑制される。
以下、実施例を交えて本発明を詳細に説明するが、以下に示す実施例のみに本発明は限定されるものではない。尚、以下において「部」および「%」は、特に断りのない限り質量基準である。
〔実施例〕
<架橋重合の際シリコーン構造を導入した表面保護膜>
下記の組成物を、下記表1の組成にて混合して塗布液を調製した。
・パーフルオロアルキレンエーテル構造を主鎖に有するフッ素樹脂(ソルベイ社製、商品名:MT70(濃度82%)、構造/主鎖:一般式(F)におけるn1が1、n2が0のユニットと、n1が2、n2が0のユニットとの共重合、全構成単位に対する一般式(F)で表される構成単位100モル%、末端:両末端をメタクリレートで変性、官能基数4、数平均分子量2000)
・多官能体:エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(AEICN)・シリコーン化合物(信越化学工業社製、商品名:X−22−164、構造:下記X−22−164に示す構造(=RS3はC2Xを表す)、反応性基量190g/mol)

上記塗布液を90μm厚のポリイミドフィルムに塗布(キャスト)して、80℃で5分間乾燥することで溶剤を揮発させ、紫外線硬化装置にて紫外線照射を行って硬化膜を得、樹脂層サンプルを得た。紫外線の照射条件は、窒素雰囲気下(酸素濃度1%以下)、高圧水銀灯を用い、1000mmJ/cmの光量を照射した。
[評価]
・接触角の測定
上記で得られた樹脂層サンプルを、水またはヘキサデカンを用いて、接触角を測定した。なお、上記接触角の測定は、接触角計(協和界面科学社製、型番:CA−S−ルガタ)を用いて、25℃においてθ/2法で行った。結果を表に示す。
・耐傷性
上記で得られた樹脂層サンプルを、引っ掻き式硬度計(ERICHSEN社製、先端直径0.75mm)を用いて、常温(25℃)において荷重2Nで引っ掻き試験を実施し、80℃で30秒加熱後に引っ掻き箇所を観察して、傷発生の有無を評価した。
B:保護膜サンプルに傷あり
A:保護膜サンプルに傷なし
・トナー離型性
上記で得られた樹脂サンプルを、定着機の定着ロール表面にはりつけ、黒の未定着ベタ画像を通紙して定着性を確認した。なお、上記定着機として富士ゼロックス社製の商品名:DocuCentre C2101を用いた。評価基準は以下の通りであり、A評価を合格とする。結果を表に示す。
C:保護膜サンプルの全面にトナー付着
B:保護膜サンプルの約半分にトナー付着
A:保護膜サンプルにトナーの付着なし
尚、表1における「添加量」はフッ素樹脂(MT70)に対する量を表す。表2においても同様である。
<架橋重合の際アルキレン構造を導入した表面保護膜>
下記の組成物を、下記表2の組成にて混合して塗布液を調製した。
・パーフルオロアルキレンエーテル構造を主鎖に有するフッ素樹脂(ソルベイ社製、商品名:MT70(濃度82%)、構造/主鎖:一般式(F)におけるn1が1、n2が0のユニットと、n1が2、n2が0のユニットとの共重合、全構成単位に対する一般式(F)で表される構成単位100モル%、末端:両末端をメタクリレートで変性、官能基数4、数平均分子量2000)
・アルキレン化合物C12Ac(構造:下記C12Acに示す構造)
・アルキレン化合物C10diAc(構造:下記C10diAcに示す構造)
・アルキレン化合物C18Ac(構造:下記C18Acに示す構造)

上記塗布液を90μm厚のポリイミドフィルムに塗布(キャスト)して、100℃で5分間乾燥することで溶剤を揮発させ、紫外線硬化装置にて紫外線照射を行って硬化膜を得、樹脂層サンプルを得た。紫外線の照射条件は、窒素雰囲気下(酸素濃度1%以下)、高圧水銀灯を用い、1000mmJ/cmの光量を照射した。
[評価]
前記と同様にして評価を行った。
<架橋重合の際シリコーン構造またはアルキレン構造を導入した表面保護膜>
下記の組成物を、下記表3の組成にて混合して塗布液を調製した。
・パーフルオロアルキレンエーテル構造を主鎖に有するフッ素樹脂(DIC社製、商品名:メガファック(登録商標)RS−76(濃度40%)、末端:両末端をアクリレートで変性)
・シリコーン化合物(信越化学工業社製、商品名:X−22−164、構造:前記X−22−164に示す構造(=RS3はC2Xを表す)、反応性基量190g/mol)
・アルキレン化合物C10diAc(構造:前記C10diAcに示す構造)
・シリコーン化合物(JNC社製、商品名:サイラプレーンFM−0711、構造:下記FM−0711に示す構造(n=10)、分子量;1000、分子片末端にメチルメタクリレート基を有する単官能のシリコーン系マクロモノマー)

上記塗布液を90μm厚のポリイミドフィルムに塗布(キャスト)して、100℃で5分間乾燥することで溶剤を揮発させ、紫外線硬化装置にて紫外線照射を行って硬化膜を得、樹脂層サンプルを得た。紫外線の照射条件は、窒素雰囲気下(酸素濃度1%以下)、高圧水銀灯を用い、1000mmJ/cmの光量を照射した。
[評価]
前記と同様にして評価を行った。
<予めアルキレン構造を導入したフッ素樹脂を用いて架橋重合した表面保護膜>
下記に示すスキームに準じて、アルキレン構造を導入したフッ素樹脂を合成し、且つこのアルキレン構造を導入したフッ素樹脂を含有する塗布液を調製した。尚、パーフルオロアルキレンエーテル構造部分の数平均分子量は1600であった。
また、上記スキームにおいて中間体C11を合成する際のアルキレン鎖部分(C1123部分)を、「C1327」および「C1531」に替えて、アルキレン鎖部分がC1327であるフッ素樹脂C13およびフッ素樹脂C15を合成した。
上記塗布液を90μm厚のポリイミドフィルムに塗布(キャスト)して、100℃で5分間乾燥することで溶剤を揮発させ、紫外線硬化装置にて紫外線照射を行って硬化膜を得、樹脂層サンプルを得た。紫外線の照射条件は、窒素雰囲気下(酸素濃度1%以下)、高圧水銀灯を用い、1000mmJ/cmの光量を照射した。
[評価]
前記と同様にして評価を行った。
1 無端ベルト
2 基材
3 表面層
72 定着装置
75 2次転写ロール
78 レーザー発生装置
79 感光体
80 1次転写ロール
83 帯電ロール
85 現像器
86 中間転写ベルト
101 画像形成装置
610 定着ロール
620 無端ベルト
K 用紙

Claims (5)

  1. パーフルオロアルキレンエーテル構造を主鎖に有するフッ素樹脂が架橋重合した構造と、
    下記一般式(S)で示されるシリコーン構造、および炭素数5以上20以下のアルキレン構造からなる群より選択される少なくとも一種の構造と、
    を有する架橋重合体を含む表面保護膜。


    (一般式(S)において、RS1およびRS2はそれぞれ独立に−CH、−CF、または水素原子を表す。)
  2. 前記パーフルオロアルキレンエーテル構造が下記一般式(F)で表される構造から選択される少なくとも一種の構造を有する請求項1に記載の表面保護膜。


    (一般式(F)中、RF1およびRF2はそれぞれ独立にフッ素原子または−CFを表す。但し、RF1とRF2の両方がフッ素原子であることはない。n1は1以上5以下の整数を、n2は0以上2以下の整数を表し、n1とn2の総数は5以下である。)
  3. 前記架橋重合体が、前記フッ素樹脂の主鎖の末端に相当する位置に、アクリロイル基(CH=CH−CO−)、メタクリロイル基(CH=C(CH)−CO−)、エポキシ基、水酸基、アミノ基、エステル基、カルボキシル基、チオール基、およびトリアルコキシシリル基からなる官能基群より選択される少なくとも一つの官能基を含む変性基で変性された構造を有する請求項1または請求項2に記載の表面保護膜。
  4. 前記架橋重合体が、前記変性基に相当する位置に、前記シリコーン構造および前記アルキレン構造からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有する請求項3に記載の表面保護膜。
  5. 前記架橋重合体が、前記変性基に相当する位置に、前記シリコーン構造および前記アルキレン構造からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有し且つ前記変性基に含まれる官能基群より選択される少なくとも一つの官能基に反応し得る基を有する化合物と、該官能基と、が反応した構造を有する請求項3に記載の表面保護膜。
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