JP2020170121A - 定着部材、定着方法、画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期間にわたり高印字率の画像出力を繰り返しても定着部材の硬化物表面におけるワックスの残留性が低減し、分離性に優れた定着部材と、それを用いた定着方法、定着部材を具備した画像形成装置及び画像形成方法を提供する。【解決手段】本発明の定着部材1は、少なくともワックスを含有するトナー画像の定着に用いる定着部材であって、少なくとも、基材2上に弾性層3及び離型層4を有し、離型層が、フッ素系化合物を硬化した層であり、離型層表面に対するワックス溶融液の100℃における静的接触角θが70°以上であり、かつワックス溶融液の100℃における滑落角が45°未満であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、定着部材、定着方法、画像形成装置及び画像形成方法に関する。さらに詳しくは、ワックス含有トナーを用いた画像形成時に、トナー画像との分離性に優れた定着部材、定着方法、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
電子写真方式の画像形成方法で用いる定着装置では、加熱されている定着部材と記録媒体が加熱・加圧処理されることによって、トナー画像の定着は行われるが、その後、定着部材と記録媒体、例えば、用紙を分離する操作を行う。
現在の電子写真方式による画像形成方法においては、より一層の高信頼性化や高耐刷化、又は多様な記録媒体への適性が求められており、定着部材の最表面層(保護層ともいう。)である離型層において広く用いられているPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などの熱可塑性フッ素樹脂層を、より高強度な硬化物層とすることが求められている。上記のような構成においては、定着部材の最表面層である離型層に、少なくともパーフルオロポリエーテル化合物を含む硬化性化合物を硬化した層として用いることが有効であるが、高印字率の出力を繰り返すと、分離性が低下することがある。
その理由としては、以下の要因が考えられる。現在、電子写真方式による画像形成方法で、オイルレス定着に用いるトナーでは、分離性(離型性)を確保するためにワックスを含有させているトナーを適用することが主流となっている。ワックスを含有するトナーでは、溶融時に表面に湧出するワックスがオイルの代替となる仕組みであるが、高印字率の出力を連続して長時間にわたり行った場合、トナーより湧出するワックスが定着部材の硬化物等で構成される表面に付着しすぎると、かえって分離性が低下するという問題が発生する。
上記のような分離性の低下原因を検討したところ、ATR分析(全反射赤外分光分析)から定着部材表面にワックスのフィルミングが検出された。離型層を形成するパーフルオロポリエーテル化合物の硬化層がワックスで被覆されることによって、定着部材表面の離型性が低下したと考えられる。
上記問題に対し、特許文献1には、特定の分子量分布と溶解度パラメーターを有するワックスを含有するトナーを用い、ワックスと加熱部材との接触角を規定した構成が開示されている。特許文献1によれば、長期間にわたる記録媒体への低温定着性や耐オフセット性、透明性に優れた画像形成方法が得られるとされている。
しかしながら、連続した画像形成における定着部材に対するワックス成分の残留による影響に関する記載や示唆はなく、加えて、滑落角を規定することによるワックスを含むトナー画像と定着部材間の分離性に関する言及は一切なされていない。
一方、特許文献2には、結着樹脂、着色剤及びワックスを含有するトナーを用い、トナー画像が転写された記録媒体を、ベルト状定着部材を重ねた状態で加熱及び加圧し、冷却した後に前記記録媒体をベルト状定着部材から剥離することにより、トナー像を記録媒体に定着させる画像形成方法で、ベルト状定着部材は、トナーの含有するワックス単体を140℃で溶融、室温固化後の前進接触角が50度以上を示す表面層を有することを特徴とする画像形成方法が開示されている。上記方法によれば、加熱後冷却剥離型定着装置における、ベルト状定着部材のワックスによる汚染を防止し、画像グロスの低下抑制し、定着性に優れた画像が得られるとされている。
しかしながら、特許文献2に開示されている方法は、定着工程において、冷却後にトナー画像を剥離する定着方法である。また、上記特許文献2に記載されている方法では、動的接触角である前進接触角を対象として、また、ワックスに関する滑落角に関すること、あるいは、定着部材として、離型層にパーフルオロポリエーテル化合物の硬化物を適用することの記載や示唆は一切なされていない。
したがって、ワックスを含むトナーを用いた画像形成方法において、長期間にわたり高印字率の画像出力を繰り返した場合における分離性を改良した方法の開発が要望されている。
特開平9−265206号公報 特開2004−109687号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、ワックスを含有するトナーを用いる定着部材であって、長期間にわたり高印字率の画像出力を繰り返しても定着部材の硬化物表面におけるワックスの残留性が低減し、分離性に優れた定着部材と、それを用いた定着方法、定着部材を具備した画像形成装置及び画像形成方法を提供することである。
本発明は、上記課題に鑑み鋭意検討を進めた結果、基材上に弾性層及び離型層を有し、離型層がフッ素系化合物を硬化した層で構成し、離型層表面に対するトナーが含有するワックスの静的接触角及び滑落角を特定の範囲とし、離型層上に着弾したトナーの粘着性を低減するとともに、剥離時のトナー画像と離型層表面間の分離性(剥離性)を向上させた定着部材を得ることができることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明の上記課題は、下記の手段により解決される。
1.少なくともワックスを含有するトナー画像の定着に用いる定着部材であって、
少なくとも、基材上に弾性層及び離型層を有し、
前記離型層が、フッ素系化合物を硬化した層であり、前記離型層表面に対するワックス溶融液の100℃における静的接触角が70°以上であり、かつ前記ワックス溶融液の100℃における滑落角が45°未満であることを特徴とする定着部材。
2.前記離型層が、前記フッ素系化合物として、ビニル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を光硬化した層であることを特徴とする第1項に記載の定着部材。
3.前記パーフルオロポリエーテル化合物が有するビニル基が、アクリロイル基又はメタアクリロイル基であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の定着部材。
4.電子写真方式で形成された未定着のワックスを含有するトナー画像を、それを担持する記録媒体に、定着部材を介して加熱加圧して定着させる定着方法であって、
前記定着部材に、第1項から第3項までのいずれか一項に記載の定着部材を用いることを特徴とする定着方法。
5.未定着のトナー画像を担持する記録媒体に、定着部材を介してワックスを含有するトナー画像を加熱加圧により定着させる定着装置を具備した電子写真方式の画像形成装置であって、
前記定着部材が、第1項から第3項までのいずれか一項に記載の定着部材であることを特徴とする画像形成装置。
6.電子写真方式で形成された未定着のワックスを含有するトナー画像を、それを担持する記録媒体に、定着部材を介して加熱加圧して定着させる定着工程を有する画像形成方法であって、
前記定着部材に、第1項から第3項までのいずれか一項に記載の定着部材を用いることを特徴とする画像形成方法。
本発明によれば、ワックスを含有するトナーを用いる定着部材であって、長期間にわたり高印字率の画像出力を繰り返しても定着部材の硬化物表面におけるワックスの残留性が低減し、分離性に優れた定着部材と、それを用いた定着方法、画像形成装置及び画像形成方法を提供することができる。
本発明で規定する構成からなる定着部材の技術的特徴とその効果の発現機構は、以下のように推察される。
ワックスを含有する未定着トナーは、定着システムのニップ部において熱と圧力を受けて溶融するが、その際に表面に湧出した溶融ワックス成分が溶融したトナー表面を覆うことで、溶融トナー画像の定着部材に対する粘着性を低減し、分離性を向上させることができる。
分離の際に液化したワックスは定着画像表面と定着部材表面に分かれるが、定着部材表面に付着した溶融ワックス液は周回して次の定着ニップに供給される。
一般に、ワックス等の液状成分の定着部材表面における総合的な残留性は、撥液性と滑液性で表すことができる。本発明者は、この現象について詳細な検討を進めた結果、定着部材表面に対する溶融ワックス液の撥液性が低いと、分離時に溶融トナー表面よりも定着部材へ付着する割合が増大し、定着部材表面に残留しやすくなる。また、定着部材表面におけるワックス液の滑液性(剥離性)が低い場合は、周回して画像担持体の溶融ワックスで被覆されていない部分や対向部材に接触しても移行しにくくなるため、定着部材表面に残留しやすくなる。更には、高印字率出力を連続して行う場合、溶融ワックスの供給量が増え、加えて溶融ワックス液を吸収しやすい白地との接触面積が減少することになる。
以上のことから、溶融ワックス液の撥液性が低く、滑液性が低い、すなわちワックス成分の残留性が高い離型層を有する定着部材を用いて印字率が高い出力を連続した場合、定着部材表面が溶融ワックス液層に広く厚く覆われることになる。すると、ニップ内で溶融トナーと定着部材の間が溶融ワックス液で満たされることにより、貼り付き現象が発生し、溶融ワックス液がトナーや紙粉を取り込むことによる定着部材表面のフィルミングが生じて離型性が低下して、分離性が低下する。
本発明においては、定着部材の最表層として撥液性の高いフッ素系化合物を硬化した離型層を形成し、ワックス溶融液の100℃における静的接触角が70°以上で、かつワックス溶融液の100℃における滑落角が45°未満である特性を備えた離型層とした。
すなわち、上記撥液性を高めるためには、表面のフッ素原子量が高い必要があり、フッ素系化合物を硬化した層、具体的にはパーフルオロポリエーテル化合物の成分比がある程度高い構成とした。また、前記滑液性を高めるため、すなわち、滑落角を低くするためには、ワックス成分が引っかかる要因になりやすい凹凸が表面に少ない方が望ましく、すなわち硬化時に凝集が生じないように、パーフルオロポリエーテル化合物と相溶性の高い硬化性化合物とを併用したり、触媒等の硬化条件を調整したりするなどして設計することにより、所望の滑落角を実現することができる。
定着部材の構成と、離型層上に付与したワックス溶融液の静的接触角と滑落角を説明するための模式図 本発明に係る剥離層を有する定着部材の構成の一例を示す概略図 本発明に適用可能な画像形成装置の全体構成の一例を示す概略図
本発明の定着部材は、少なくともワックスを含有するトナー画像の定着に用いる定着部材であって、少なくとも、基材上に弾性層及び離型層を有し、前記離型層が、フッ素系化合物を硬化した層であり、前記離型層表面に対するワックス溶融液の100℃における静的接触角が70°以上であり、かつ前記ワックス溶融液の100℃における滑落角が45°未満であることを特徴とする。この特徴は、下記各実施形態に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施形態としては、本発明の目的とする効果をより発現できる観点から、前記離型層が、フッ素系化合物としてビニル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を光硬化した層であること、更に好ましくは、パーフルオロポリエーテル化合物が有するビニル基として、アクリロイル基又はメタアクリロイル基を有する化合物を適用することにより、離型性表面が、ワックスを含むトナーに対する撥液性が高く、かつ離型性に優れ、より低い滑落角を得ることができる点で好ましい。
以下、本発明の定着部材、定着方法、画像形成装置及び画像形成方法について、図を交えて詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。なお、各図の説明において、構成要素の後に記載した数字は、各図における符号を表す。
《定着部材》
本発明の定着部材は、ワックスを含有するトナー画像の定着に用いる定着部材であって、少なくとも基材上に弾性層及び最表層としてフッ素系化合物を硬化して形成した離型層を有する構成である。さらに、当該離型層の表面自由エネルギー特性として、ワックス溶融液の100℃における静的接触角が70°以上であり、かつ、ワックス溶融液の100℃における滑落角が45°未満であることを特徴とする。
[定着部材の基本的な構成]
図1は、本発明の定着部材の構成と、離型層上に付与したワックス溶融液の静的接触角と滑落角を説明するための模式図である。
図1の(a)及び(b)で示すように、本発明の定着部材1は、基材2上に弾性層3が形成され、その上に、最表層(保護層ともいう。)として、本発明に係るフッ素系化合物を硬化した構成からなる離型層4が形成されている。
(静的接触角)
図1の(a)は、定着部材1の離型層4表面上にワックス溶融液5を着弾させた状態での静的接触角を示す模式図である。
本発明の定着部材1では、離型層4表面に対するワックス溶融液5の100℃における静的接触角θが70°以上であることを特徴の一つとする。
本発明でいう静的接触角θとは、離型層4表面とワックス溶融液5との接触面における接線を表し、下記方法により測定して求めることができる。
例えば、協和界面化学株式会社製の加熱手段を具備した自動接触角計を用い、溶融ワックス液滴を5μL、定着部材の最表層を構成する離型層上に滴下し、静的接触角θを測定する。
具体的には、溶融ワックス液を充填したシリンジ及び加熱台に固定した定着部材の表面温度を、100℃±5℃となるように調整する。加熱手段としては、ジャケット式恒温槽、加熱が可能なジャケット式チャンバーセット、ヒーター式恒温槽等を適用することができる。
測定は、定着部材シートの離型層上に溶融ワックスを5μL滴下し、61秒後に自動で静的接触角θの測定を行うように設定する。なお、本発明で規定した61秒後とは、滴下後の広がりが概ね落ち着くまで待機するための設定期間である。
本発明においては、静的接触角は70°以上であることが特徴であるが、好ましくは70〜110°の範囲内であり、更に好ましくは70〜100°の範囲内である。
離型層表面を本発明で規定する静的接触角θの範囲に制御する方法としては、離型層を、フッ素系化合物を硬化した層で形成することが第一の手段であるが、更には、離型層を構成するフッ素系化合物として、ビニル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を光硬化した層で構成することが好ましく、更に好ましい手段は、パーフルオロポリエーテル化合物が有するビニル基が、アクリロイル基又はメタアクリロイル基である化合物を選択することである。また、複数種のビニル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を組み合わせて構成する方法も好ましい。
(滑落角)
本発明の定着部材では、離型層表面に対するワックス溶融液の100℃における滑落角が45°未満であることを一つの特徴とする。
図1の(b)で示すように、定着部材1の離型層4表面上にワックス溶融液滴5を着弾させた状態で定着部材の傾斜角αを高めていき、当該ワックス溶融液滴5が滑り落ちる角度を、滑落角と定義する。
すなわち、定着部材を徐々に傾けていくと、ワックス溶融液滴5の下方面側で形成される前進接触角θ2は大きくなり、逆にワックス溶融液滴5の上方面側で形成される後退接触角θ1は小さくなり、傾斜角がαになると、下方にワックス溶融液滴5を引く力が、液滴を離型層表面にとどめる力を上回る段階で、ワックス溶融液滴5が下方に滑り落ちる。この時の傾斜角αを滑落角と定義する。
本発明で規定する滑落角も上記静的接触角の測定と同様の構成で、溶融ワックス液を充填したシリンジ及び加熱台に固定した定着部材シートの表面温度を、100℃±5℃となるように調整し、定着部材シートの離型層上に溶融ワックスを5μL滴下したのち、直ちに、定着部材シートを保持しているステージの角度で傾斜させ、離型層上に着弾させた溶融ワックス液滴の滑落する角度を測定して求めることができる。
本発明においては、滑落角は45°未満であることが特徴であるが、好ましくは30°以上、45°未満の範囲内である。
本発明において、離型層表面を本発明で規定する滑落角の範囲に制御する方法としては、離型層を、フッ素系化合物を硬化した層で形成することが第一の手段であるが、更には、離型層を、前記フッ素系化合物として、ビニル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を光硬化した層で構成することが好ましく、更に好ましい手段は、パーフルオロポリエーテル化合物が有するビニル基が、アクリロイル基又はメタアクリロイル基である化合物を選択することである。
[定着部材の構成材料]
本発明の定着部材1は、図1の(a)で示すように、少なくも基材2上に弾性層3及び離型層4を有していることを特徴とする。
本発明の定着部材の形態は、ローラー状又はシームレスベルト状であり、定着部材を構成する最表層である離型層がフッ素系化合物を硬化した層である以外は、公知の定着部材と同様に構成できる。
本発明の定着部材の形態としては、例えば、ローラー状の定着部材であれば、金属製の円筒の外周面に上記の三層が担持されてなる定着スリーブである。また、図2で示すようなシームレスベルト状の定着装置は、上記の三層を含む無端状の定着ベルトである。なお、定着部材は、弾性層及び離型層の間に接着機能を有する接着層を有していてもよい。本発明の定着部材では、離型層が最表層を形成する。
以下、定着部材を構成する基材、弾性層及び離型層の詳細について説明する。
〔基材〕
定着部材を構成する基材2は、例えば、耐熱性を有する樹脂(耐熱性樹脂)で構成される。本発明でいう「耐熱性」とは、電子写真方式の画像形成で、トナー画像の記録媒体への定着に上記定着部材を用いる際の温度、例えば、150〜220℃の温度範囲において、変形することなく、十分に安定して所期の物性を発現することを意味する。
上記耐熱性樹脂は、定着部材の上記の使用温度において実質的な変性及び変形を生じない樹脂から適宜に選ばれ、1種でも、2種以上併用してもよい。
本発明に適用可能な耐熱性樹脂としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン等を挙げることができる。その中でも、耐熱性の観点から、ポリイミドが好ましい。
ポリイミドは、例えば、その前駆体であるポリアミド酸を200℃以上で加熱すること、又は触媒を用いることによる脱水及び環化(イミド化)反応を進めることによって得ることができる。ポリアミド酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを溶媒に溶解し、混合及び加熱による重縮合反応によって製造してもよいし、市販品を用いてもよい。上記ジアミン化合物及びテトラカルボン酸二無水物の例としては、特開2013−25120号公報の段落(0123)〜(0130)に記載の化合物を挙げることができる。
耐熱性樹脂は、本発明に係る定着部材の基材を構成する主要材料であり、その含有量は、基材を形成するのに十分な量であればよい。基材における耐熱性樹脂の含有量は、基材作製時における成形性の観点から、基材全体積の40〜100体積%であることが好ましい。
基材2は、本発明が目的とする効果が得られる範囲においては、耐熱性樹脂以外の成分を更に含んでいてもよい。例えば、基材の構成材料として、耐熱性樹脂の他に、フィラーを含有していてもよい。当該フィラーは、例えば、基材の硬さ、伝熱性及び導電性の少なくとも一つの性能向上に寄与する成分である。当該フィラーは、1種でも、2種以上でもよく、フィラーの一例としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、ナノカーボン及び黒鉛等が挙げられる。
本発明において、基材におけるフィラーの含有量は、多すぎると、基材の靱性が低くなって定着部材の定着性及び分離性が低くなることがあり、また、少なすぎると、例えば適度な導電性の付与などのフィラーによる所望の効果が不十分となることがある。このような観点から、基材におけるフィラーの含有量は、3質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。また、上記の観点から、上記基材における上記フィラーの含有量の上限は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
(弾性層)
本発明に係る定着部材を構成する弾性層3は、定着ニップ部における定着部材の表面と、未定着のトナー画像を担持する記録媒体との接触性の向上に寄与する弾性を有する層であり、例えば、弾性材料で構成される。
本発明に適用可能な弾性材料の一例としては、弾性樹脂材料を挙げることができ、その例には、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマー及びゴム材料が含まれる。中でも、上記弾性材料は、所期の弾性特性の他に耐熱性の観点から、シリコーンゴムであることが好ましい。
上記シリコーンゴムは、1種でも2種以上併用してもよい。本発明に適用が可能なシリコーンゴムの例としては、ポリオルガノシロキサン又はその加熱硬化物、特開2009−122317号公報に記載の付加反応型シリコーンゴム等を挙げることができる。
当該ポリオルガノシロキサンの例としては、特開2008−255283号公報に記載の、両末端がトリメチルシロキサン基で封鎖され、側鎖にビニル基を有するジメチルポリシロキサンが代表例として挙げることができる。
弾性層3の厚さは、例えば、伝熱性及び弾性を十分に発現させる観点から、5〜500μmの範囲内であることが好ましく、50〜350μmの範囲内であることがより好ましい。
上記弾性層3は、本発明が目的とする効果を得ることができる範囲内において、上記の弾性樹脂材料以外の成分を更に含んでいてもよい。例えば、弾性層は、上記弾性材料の他に、弾性層の伝熱性を高めるための伝熱性フィラーを含んでいてもよい。当該フィラーの材料の例には、シリカ、金属ケイ素、アルミナ、亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、カーボン及び黒鉛が含まれる。上記フィラーの形態は、限定されず、例えば、球状粉末、不定形粉末、扁平粉末又は繊維状である。
弾性層を構成する弾性材料における弾性樹脂材料の含有量は、伝熱性と弾性とを両立させる観点から、弾性層全体積に60〜100体積%の範囲内であることが好ましく、75〜100体積%であることがより好ましく、80〜100体積%であることがさらに好ましい。
(離型層)
本発明の定着部材の最表層を構成する離型層は、フッ素系化合物を硬化した層であることを特徴とし、好ましくは、離型層が、フッ素系化合物として、ビニル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を光硬化した層であること、更には、パーフルオロポリエーテル化合物が有するビニル基が、アクリロイル基又はメタアクリロイル基であることがより好ましい形態である。
また、前述のとおり、本発明に係る離型層は、離型層表面に対するワックス溶融液の100℃における静的接触角が70°以上であり、かつ前記ワックス溶融液の100℃における滑落角が45°未満であることを特徴とする。
以下、離離型層の構成材料の詳細について説明する。
本発明に係る離型層の厚さは、例えば、凹凸紙への追従性の観点から、2.0〜100μmが好ましく、5.0〜30.0μmがより好ましい。離型層の厚さが2.0μm以上であれば、耐久性が十分となり、耐久による減耗により不具合の発生を防止することができる。また、離型層の厚さが100μm以下であれば、弾性層の弾性効果の発現が十分になり、かつ記録媒体の表面の凹凸に対する十分な追従性を得ることができる。
〈パーフルオロポリエーテル化合物〉
本発明に係る離型層では、フッ素系化合物を硬化した層がビニル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を光硬化した層であることが好ましい。
以下、本発明に好適なビニル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物について説明する。
ビニル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物において、パーフルオロポリエーテル化合物(以下、「PFPE」ともいう。)とは、パーフルオロアルキレンエーテルを繰り返し単位として有するオリゴマー又はポリマーである。パーフルオロアルキレンエーテルの繰り返し単位の構造の例には、パーフルオロメチレンエーテル、パーフルオロエチレンエーテル、及び、パーフルオロプロピレンエーテルの繰り返し単位の構造が含まれる。パーフルオロポリエーテルは、下記式(a)で示される繰り返し構造単位1、又は、下記式(b)で示される繰り返し構造単位2を有していることが好ましい。
Figure 2020170121
PFPEが繰り返し構造単位1又は繰り返し構造単位2を有する場合、繰り返し構造単位1の繰り返し数m及び繰り返し構造単位2の繰り返し数nは、それぞれ0以上の整数であり、かつ、m+n≧1である。
また、PFPEが繰り返し構造単位1及び繰り返し構造単位2の両方を有する場合、該繰り返し構造単位1と該繰り返し構造単位2とは、ブロック共重合体構造を形成していてもランダム共重合体構造を形成していてもよい。
PFPEの重量平均分子量Mwは、100〜8000の範囲内が好ましく、500〜5000の範囲内がより好ましい。
ビニル基を有するPFPEが有するビニル基の数は、1以上であり、2以上が好ましい。ビニル基を有するPFPEがビニル基を2個以上有する場合には、ビニル基のPFPEにおける位置は、片末端でも両末端でもよく、2つ以上のビニル基が片末端に結合していてもよいし、両末端に結合していてもよい。
本発明に係るパーフルオロポリエーテル化合物が有するビニル基が、アクリロイル基又はメタクリロイル基であることが好ましい。アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するPFPEの例には、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製のFluorolink AD1700、MD500、MD700、5101X、5113X、Fomblin MT70(「FLUOROLINK」及び「FOMBLIN」は、いずれも同社の登録商標)、ダイキン工業株式会社製のオプツールDAC及び信越化学工業株式会社製のKY−1203等が挙げられる。
また、ビニル基を有するPFPEは、末端にヒドロキシ基やカルボキシ基を有するPFPEを原料として、これらの置換基の置換又はこれらの置換基からの誘導によって適宜に合成することも可能であり、そのような合成品を使用してもよい。
末端にヒドロキシ基を有するPFPEの例には、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製のFomblinD2、Fluorolink D4000、FluorolinkE10H、5158X、5147X、Fomblin Ztetraol、及び、ダイキン工業株式会社製のDemnum−SA、が含まれる。末端にカルボキシ基を有するPFPEの例には、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製のFomblinZDIZAC4000及びダイキン工業株式会社製のDemnum−SHが含まれる。
アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するPFPEの例には、具体的には、以下の化合物P−1〜P−9が含まれる。下記式中、Xはアクリロイル基(A)又はメタクリロイル基(M)を表す。また、化合物P−2中の「p」は、独立して1〜10を表す。なお、Xがアクリロイル基である場合はAを、Xがメタクリロイル基である場合はMを、化合物の記号に添えることによって、下記化合物がより具体的に示される。例えば、Xがアクリロイル基である下記P−1の化合物は「P−1A」、メタクリロイル基である下記P−1の化合物は「P−1M」と表される。
Figure 2020170121
以下に、ビニル基を有するPFPEの合成法の具体例を示す。
[合成例1:P−2Mの合成]
下記式P−S1で表される、両末端にヒドロキシ基を有するパーフルオロポリエーテル化合物Fluorolink E10H (ソルベイスペシャルティポリマーズ社製:平均分子量1700)17質量部、トリエチルアミン3質量部、ジイソプロピルエーテル10質量部、及び、重合禁止剤p−メトキシフェノール0.006質量部、を混合し、空気気流下にて攪拌を開始する。混合液の温度を10℃に保ちながらメタクリル酸クロライド3.1質量部を2時間かけて滴下する。滴下終了後、得られた混合液を10℃に維持ながら1時間攪拌し、次いで当該反応液を30℃まで昇温し、30℃で1時間攪拌し、さらに50℃まで昇温し、50℃で10時間攪拌することにより反応を行う。次いで、得られた反応液にジイソプロピルエーテル72質量部を追加し、ジイソプロピルエーテル相の水洗を3回行う。次いで、ジイソプロピルエーテル相を硫酸マグネシウムで脱水し、溶媒を留去する。こうして、ビニル基としてメタクリロイル基(M)を有するPFPEであるP−2Mが得られる(収量17.1質量部)。
Figure 2020170121
[合成例2 P−6Aの合成]
下記式P−S3で表される、両末端にヒドロキシ基を有するパーフルオロポリエーテル化合物Fomblin Z−tet−raol (ソルベイスペシャルティポリマーズ社製)20質量部、重合禁止剤p−メトキシフェノール0.01質量部、ウレタン化触媒ジブチルスズジラウレート0.01質量部、及び、メチルエチルケトン20質量部、を混合し、空気気流下で攪拌し、混合液を80℃に加熱する。次いで、2−(アクリロイルオキシ)エチルイソシアナート5.7質量部を、発熱に注意しながら分割して上記混合液に添加する。次いで、当該混合液を80℃で10時間攪拌することにより反応を行う。IRスペクトル測定でイソシアネート基由来の2360cm−1付近の吸収ピークの消失を確認した後に上記混合液から溶媒を留去する。こうして、ビニル基としてアクリロイル基(A)を有するPFPEであるP−6Aを得る(収量 25.6質量部)。
Figure 2020170121
P−1〜P−9のうちのその他の例示化合物についても、下記のいずれかの方法により同様に合成することができる。
1)末端にヒドロキシ基を有するパーフルオロポリエーテルに対して、(メタ)アクリル酸クロライドを脱塩酸によりエステル化反応させる方法。
2)末端にヒドロキシ基を有するパーフルオロポリエーテルに対して、(メタ)アクリロイル基を有するイソシアネート化合物をウレタン化反応させる方法。
3)末端にカルボキシ基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を常法により酸ハロゲン化物とし、この酸ハロゲン化物に対して、(メタ)アクリロイル基とヒドロキシ基を有する化合物をエステル化反応させる方法。
〈重合開始剤〉
本発明の定着部材を構成する離型層においては、フッ素系化合物として、ビニル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を用い、光硬化により硬化して形成することが好ましい。PFPE樹脂の光硬化には、重合開始剤を用いる。重合開始剤としては、光などの活性エネルギー線によって硬化型組成物を重合させることができるものであれば特に限定されずに用いることができる。
光重合開始剤(光ラジカル開始剤)の例には、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマーなどのアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリドなどのベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリドなどのチオキサントン類;が含まれる。これらの光重合開始剤は、1種類で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。光重合開始剤は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アシルホスフィンオキシド類が好適であり、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが特に好適である。
重合開始剤の配合量は、樹脂組成物の総量に対して、0.05〜20質量%の範囲内が好ましく、0.1〜15質量%の範囲内がより好ましく、0.2〜10質量%の範囲内がさらに好ましい。重合開始剤の配合量が0.05質量%以上であれば、樹脂組成物であるPFPE樹脂を充分に硬化させることができる。一方、重合開始剤の配合量が20質量%以下であれば、硬化物の物性が適性の範囲となり、他の不要な影響を排除することができる。
〈他の反応性基含有モノマー〉
また、離型層には、離型層の強度及び靱性の改善の観点から、本発明に係るPFPEの以外にその他の反応性基含有モノマーを加えてもよい。その他の反応性基含有モノマーは、PEPEと重合反応することができるビニル基を有するものであれば、特に限定されない。
その他の反応性基含有モノマーの例には、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン系化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート系化合物、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンのエチレンオキシド付加物のモノ・ジ・トリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールのエチレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物のジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタシクロペンタデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリル酸付加物、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ノルボルナンジメタノールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−1,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−2,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、p−メンタン−3,8−ジオールジ(メタ)アクリレート、ビシクロ[2.2.2]−オクタン−1−メチル−4−イソプロピル−5,6−ジメチロールジ(メタ)アクリレートなどの2官能(メタ)アクリレート系化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの3官能以上の(メタ)アクリレート化合物が含まれる。
その他の反応性基含有モノマーは、2官能や3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物が好ましい。これら多官能のモノマーを加えることで架橋密度を増加させて、樹脂を硬くそ、靱性を強くすることができ、より耐久性の高い離型層とすることができる。
樹脂組成物の総量に対するその他の反応性基含有モノマーの配合量は、0〜90質量%で適宜選択できる。樹脂組成物の総量に対するその他の反応性基含有モノマーの配合量は、PFPE化合物の特性を損なわない観点から、5〜50質量%が好ましい。
離型層は、磨耗性や離型性の改善の観点から、SiC、SiO、BN、Al、TiN、CF、PFA粒子、PTFE粒子の無機及び樹脂粒子を添加してもよい。無機及び樹脂粒子の粒径は、適宜選択できる。無機及び樹脂粒子の粒径は、例えば0.01〜5μmである。無機及び樹脂粒子の粒径は、離型層を塗布する際に塗布液に溶解又は分散して加えることができる。
離型層は、公知の様々な方法で作製できる。例えば、炭素間不飽和結合を有するパーフルオロポリエーテル化合物及び光重合開始剤を溶媒に溶解して離型層塗布液を調製し、当該塗布液を塗布し、次いで光照射を行って硬化することで作製できる。また、離型層は、炭素間不飽和結合を有するパーフルオロポリエーテル化合物に対応して、電子線処理又は加熱することでも形成できる。
離型層塗布液は、塗布性(作業性)が良好となる観点から、溶剤を含有することが好ましい。溶剤の例には、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエーテル及びエステル類、またパーフロロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)、パーフロロシクロヘプタンなどの含フッ素炭化水素類が含まれる。
離型層塗布液の塗布方法の例には、スパイラル塗布法、浸漬塗布法やスプレー塗布法が含まれる。そして、離型層塗布液を弾性体層の上に塗布した後、乾燥させることが好ましい。乾燥により溶剤が除去される。塗膜の乾燥は、重合性成分の重合の前後、及びその重合中のいずれにおいて行われてもよく、これらを組み合わせて適宜選択できるが、具体的には、塗膜の流動性がなくなる程度まで一次乾燥した後、重合性成分の重合を行うことが好ましい。塗膜の乾燥方法は、溶剤の種類、形成すべき表面層の層厚などよって適宜選択することができる。乾燥温度は、例えば40〜120℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。乾燥時間は、例えば1〜10分間が好ましい。
離型層の硬化方法の例には、可視光線、紫外線又は電子線を照射する方法が含まれる。離型層の硬化方法は、特に取り扱いが簡便で、かつ高エネルギーが容易に得られるという観点から、紫外線を照射する方法が好ましい。紫外線の光源の例には、紫外線を発生する光源であれば公知の装置を使用できる。光源の例には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプが含まれる。
照射条件は、光源の種類によって異なる。照射光量は、硬化ムラ、硬度、硬化時間、硬化速度などを考慮し、5J/cm以上が好ましく、7〜20J/cmがより好ましく、10〜12J/cmがさらに好ましい。活性エネルギーの照射時間は、10秒間から8分間が好ましい。活性エネルギーの照射時間は、硬化効率及び作業効率などの観点から、30秒間から5分間がより好ましい。
光照射時の雰囲気(外部環境)は、反応を阻害する酸素をできるだけ除いた雰囲気下が好ましい。光照射時の雰囲気(外部環境)は、硬化ムラ及び硬化時間などの観点から、雰囲気中の酸素濃度として1%以下が好ましく、500ppm以下がより好ましい。なお、上記の雰囲気にするためには、窒素ガスなどを導入して連続的に流通させ、空気を置換することが有効である。
離型層におけるパーフルオロポリエーテル化合物は、アクリロイル基又はメタアクリロイル基で架橋された領域を、強塩基などの触媒存在下で加熱・加水分解してエステル結合を切断し、各成分に分離して、離型層の樹脂構成単位を構造分析することで確認できる。また、光重合開始剤を用いて離型層を形成した場合には、離型層樹脂構成単位の末端基を構造分析することで、光重合開始剤を検出することで確認できる。
《トナー》
本発明の定着部材は、少なくともワックスを含有するトナー画像の定着に用いることを特徴とする。
本発明に適用可能な静電潜像現像用トナー(以下、単に「トナー」という。)では、離型剤としてワックスを含有していれば、特に制限はなく、例えば、ワックス(離型剤)の他に、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、外添剤等により構成されている。
本発明に適用可能なトナーは、トナー母体粒子とその表面に付着している外添剤とによって構成されているトナー粒子である一成分現像剤であってもよいし、トナー粒子とこれを担持するキャリア粒子とを有する二成分現像剤であってもよい。
本発明に適用可能なトナーの詳細な構成とその製造方法に関しては、例えば、特開2018−155912号公報、特開2018−180279号公報、特開2018−205642号公報、特開2019−003101号公報、特開2019−015924号公報、特開2019−015977号公報、特開2019−035906号公報等に記載されている内容を参照することができる。
(ワックス)
以下、トナーに適用するワックスの詳細について説明する。
ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘニル、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
上記で記載したマイクロクリスタリンワックスとは、石油ワックスの中で、主成分が直鎖状炭化水素(ノルマルパラフィン)であるパラフィンワックスとは異なり、直鎖状炭化水素の他に分岐鎖状炭化水素(イソパラフィン)や環状炭化水素(シクロパラフィン)を多く含むワックスをいい、一般に、マイクロクリスタリンワックスは、低結晶性のイソパラフィンやシクロパラフィンが多く含有されているために、パラフィンワックスに比べて結晶が小さく、分子量が大きいものである。
マイクロクリスタリンワックスとしては、例えば、日本精蝋(株)製のHNP−0190、Hi−Mic−1045、Hi−Mic−1070、Hi−Mic−1080、Hi−Mic−1090、Hi−Mic−2045、Hi−Mic−2065、Hi−Mic−2095などのマイクロクリスタリンワックスや、イソパラフィンが主成分であるワックスEMW−0001、EMW−0003などが挙げられる。
《定着方法》
本発明の定着方法は、電子写真方式で形成された未定着のワックスを含有するトナー画像を、それを担持する記録媒体に、定着部材を介して加熱加圧して定着させる定着方法で前記定着部材に、本発明の定着部材を用いることを特徴とする。
本発明の定着方法に適用する定着部材の形態は、画像形成装置に搭載しようとする定着装置の仕様などに応じて、公知の形態から適宜選択することができ、例えば、アルミニウムなどの金属製のスリーブの外周面上に弾性層及び離型層が配置されている定着ドラムであってもよいし、図2で例示するような無端ベルト状の基材2の外周面上に弾性層3及び離型層4が配置されている定着ベルトであってもよい。定着部材は、省エネルギーの観点から、熱容量がより小さい定着ベルトが好ましい。
定着装置は、例えば、無端ベルト状の定着部材と、定着部材を無端状に支持するための二以上のローラーと、ローラーに支持されている定着部材を加熱するための加熱装置と、二以上のローラーのうちのローラー一つに向けて相対的に付勢されるように配置されている加圧ローラーと、を有する。定着装置は、無端ベルト状の定着部材として本実施の形態の定着部材を有する以外は、公知のいわゆる二軸ベルト式定着装置と同様に構成できる。
2つ以上のローラーは、その少なくとも一つに加熱装置を内蔵していてもよく、例えば定着部材を加熱するための加熱ローラーを含んでいてもよい。加熱ローラーは、例えば、アルミニウム製などの伝熱性のスリーブと、スリーブの内側に配置されるハロゲンヒータなどの加熱源とを有する。スリーブの外周面は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂製の層によって被覆されていてもよい。
なお、加熱装置は、ローラー外に配置される加熱装置、すなわち、支持されている当該定着部材が形成する無端軌道の内周側又は外周側に無端軌道に向けて配置される加熱装置、であってもよいし、ローラーに内蔵される加熱装置とローラー外に配置される加熱装置との両方を含んでいてもよい。
2つ以上のローラーのうちの上記加熱ローラー以外のローラーは、一以上あればよく、所望の他の機能に応じて適宜に構成することが可能である。
上記定着部材は、定着時における記録媒体への追従性と分離性との両方に優れた性能を発揮する。上記記録媒体は、普通紙などの通常の記録媒体であってよいが、上記追従性や分離性について高い性能を要する特定の記録媒体であってもよい。このような特定の記録媒体の例には、凹凸紙及び薄紙が含まれる。
凹凸紙は、例えば、表面に文字や模様の浮き上がりをもたせたエンボス紙と称される紙種であり、オス(凸)とメス(凹)の金型で紙をはさみ加圧することにより、凹凸感を出している紙である。坪量で100〜300g/mで表され、溝の深さで10〜100μmで表される紙製の記録媒体である。また、薄紙は、例えば、坪量で40〜64g/mで表され、又は曲げ剛度で2〜10で表される紙製の記録媒体である。
《画像形成装置及び画像形成方法》
本発明の画像形成装置は、未定着のトナー画像を担持する記録媒体に、定着部材を介してワックスを含有するトナー画像を加熱加圧により定着させる定着装置を具備した電子写真方式の画像形成装置であって、定着部材として本発明の定着部材を具備していることを特徴とする。
また、本発明の画像形成方法では、電子写真方式で形成された未定着のワックスを含有するトナー画像を、それを担持する記録媒体に、定着部材を介して加熱加圧して定着させる定着工程を有する画像形成方法であって、定着部材に本発明の定着部材を用いることを特徴とする。
代表的な画像形成装置の一例について、図を交えて説明する。
図3は、本発明に適用可能な画像形成装置の全体構成の一例を示す概略図である。
図3に示す画像形成装置10は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置であり、主には、自動原稿搬送部20、スキャナー部30、画像形成部40、給紙部50、記憶部(不図示)、操作表示部(不図示)、制御部100等を備えて構成される。
自動原稿搬送部20は、原稿Dを載置する載置トレイや原稿Dを搬送する機構及び搬送ローラー等を備えて構成され、原稿Dを所定の搬送路に搬送する。
スキャナー部30は、光源や反射鏡等の光学系を備えて構成され、所定の搬送路を搬送された原稿D又はプラテンガラスに載置された原稿Dに光源を照射し、反射光を受光する。また、スキャナー部30は、受光した反射光を電気信号に変換して制御部100に出力する。
画像形成部40は、イエロー作像部Y、マゼンタ作像部M、シアン作像部C、ブラック作像部K、中間転写ベルトT、定着装置F等を備えて構成される。
その他には、感光体ドラム41、帯電装置42、露光装置43、現像装置44、一次転写ローラー45、中間転写ベルトT、二次転写ローラー46等を有するが、その詳細な構成の説明は省略する。
本発明の定着部材を具備する定着装置Fは、図3に示すように、主には、用紙Pの下面側に配置される加熱搬送ローラー(搬送ローラー、F1)と、上面側に配置される定着ローラー(第1ローラー、F2)及び定着ローラーF2の上方に配置される加熱ローラー(第2ローラー、F3)と、本発明に係る定着部材である定着ベルトF4等、を備えて構成されている。定着装置Fは、加熱搬送ローラーF1及び定着ローラーF2を加熱して圧接することにより形成されたニップ部に用紙Pを通過させることで用紙Pを加熱及び加圧して、転写されたトナー像を用紙Pに定着させるとともに、当該用紙Pを搬送方向下流側に搬送する。
加熱搬送ローラーF1は、ゴムにより円筒状に形成され、加熱ローラーF3と同様、内部に高出力ヒーターを備えている。加熱搬送ローラーF1は、用紙Pの搬送方向に対して順方向に回転し、搬送されてきた用紙Pの非定着面を加熱及び加圧する。
本発明の定着部材を具備する定着装置では、定着部材の形態に応じた構成を有する公知の定着装置と同様に構成することができる。例えば、定着部材が上記定着ベルトである場合では、定着装置は、それを用いる構成、つまり二軸張架ベルト定着やパッド押圧ベルト定着、IHベルト定着などを実現する公知の構成を有することが好ましい。
本発明において適用可能な画像形成装置の詳細につては、例えば、特開2017−173445号公報、同2017−194550号公報、同2018−4714号公報、同2018−5016号公報、同2018−25691号公報、同2018−25691号公報、同2018−36449号公報、同2018−36587号公報、同2018−54758号公報、同2018−66768号公報等に記載されている画像形成装置や定着装置を参照することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行った。
《定着ベルトの製造》
〔定着ベルト1の製造〕
内径99mm、長さ360mm、厚み70μmのポリイミド樹脂からなるベルト状基材の内側に、外径99mmのステンレス製の円筒状の芯金を密着させた。次いで、ベルト基材の外側に円筒金型を被せ、このようにして芯金と円筒金型を同軸で保持するとともに、両者の間にキャビティ(間隙)を形成した。次いで、キャビティ内にシリコーンゴム材料Aを注入し、加熱硬化して、厚さ200μmのシリコーンゴムAによる弾性層を形成して、基材/弾性層から構成されるベルト状の積層体を得た。なお、シリコーンゴム材料Aは、側鎖にビニル基を有するジメチルポリシロキサン100質量部と、シリカ15質量部とを混合したシリコーンゴム前駆体組成物(ゴム硬度30)である。
次に、上記作製した基材/弾性層のベルト状の積層体を、スパイラル塗布装置に張架して回転させながら、コロナ処理を行った。次いで、上記弾性層の上に、下記組成の離型層形成用塗布液1をスパイラル塗布法にて塗布した。次いで、60℃5分間で上記塗膜を熱乾燥した後、紫外線強度1kw/cmの水銀灯で、600mJ/cmの積算光量にて塗膜を光硬化させ、膜厚15μmの離型層を形成し、本発明の定着ベルト1を製造した。
(離型層形成用塗布液1の調製)
SR350(トリメチロールプロパントリメタクリレート、サートマー社製)6質量部
AD1700(Fluorolink AD1700、PFPE ポリウレタンアクリレート、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製) 3質量部
MD700(Fluorolink MD700、PFPE ポリウレタンメタクリレート、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製) 12質量部
MT−70(Fomblin MT70、メタクリロイル基含有フルオロポリエーテル、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製) 9質量部
光ラジカル開始剤IRGCURE−184(BASFジャパン社製) 1質量部
2−ブタノン 70質量部
*1)PFPE:パーフルオロポリエーテル
〔定着ベルト2の製造〕
上記定着ベルト1の製造において、離型層の形成に下記離型層形成用塗布液2を用いた以外は同様にして、定着ベルト2を製造した。
(離型層形成用塗布液2の調製)
SR350(トリメチロールプロパントリメタクリレート、サートマー社製)
30質量部
MD700(Fluorolink MD700、PFPE ポリウレタンメタクリレート、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製) 10質量部
光ラジカル開始剤IRGCURE−184(BASFジャパン社製) 1質量部
2−ブタノン 60質量部
〔定着ベルト3の製造〕
上記定着ベルト1の製造において、離型層の形成に下記離型層形成用塗布液3を用いた以外は同様にして、定着ベルト3を製造した。
(離型層形成用塗布液3の調製)
化合物1 30質量部
光ラジカル開始剤IRGCURE−184(BASFジャパン社製) 1質量部
2−ブタノン 70質量部
Figure 2020170121
〔定着ベルト4の製造〕
上記定着ベルト1の製造において、離型層の形成に下記離型層形成用塗布液4を用いた以外は同様にして、定着ベルト4を製造した。
(離型層形成用塗布液4の調製)
SR350(トリメチロールプロパントリメタクリレート、サートマー社製)4質量部
MD700(Fluorolink MD700、PFPE ポリウレタンメタクリレート、ソルベイスペシャルティポリマーズ社製) 36質量部
光ラジカル開始剤IRGCURE−184(BASFジャパン社製) 1質量部
2−ブタノン 60質量部
〔定着ベルト5の製造〕
上記定着ベルト1の製造において、離型層の形成に下記離型層形成用塗布液5を用いた以外は同様にして、定着ベルト5を製造した。
(離型層形成用塗布液5の調製)
S10(Fluorolink S10、PFPE ソルベイスペシャルティポリマーズ社製) 10質量部
KR251(シリコーンコーティング剤 信越化学工業社製) 30質量部
2−ブタノン 60質量部
なお、定借ベルト5における離型層の硬化条件は、30℃、80%RHの環境下で1時間放置した後、150℃で1時間の熱処理を施して硬化した。
《定着ベルトの評価》
〔静的接触角及び滑落角の測定〕
検体であるワックス溶融液としては、定着ベルト1、3、5の評価では、エステルワックスの一例として、ドコサン酸ドコシルを用い、定着ベルト2及び4の評価では、炭化水素ワックスの一例として、固形パラフィンを用いた。
(静的接触角の測定)
協和界面化学株式会社製のヒーター式恒温槽を具備した自動接触角計を用い、上記各ワックスの溶融液滴5μLを、各定着ベルトの最表層を構成する離型層上に滴下し、静的接触角θを測定した。
具体的には、上記作製した各定着ベルトを所定のサイズのシートとして断裁し、測定用の定着部材シートを作製した。次いで、溶融ワックス液を充填したシリンジ及び加熱台に固定した定着部材シートの表面温度を、100℃±5℃となるように調整した。
測定は、定着部材シートの離型層上に溶融ワックスを5μL滴下し、61秒後に自動で静的接触角θの測定を行うように設定した。なお、本発明で規定した61秒後とは、滴下後の広がりが概ね落ち着くまで待機するための設定である。
(滑落角の測定)
上記静的接触角の測定と同様の構成で、溶融ワックス液を充填したシリンジ及び加熱台に固定した定着部材シートの表面温度を、100℃±5℃となるように調整し、定着部材シートの離型層上に溶融ワックスを5μL滴下したのち、直ちに、定着部材シートを保持しているステージを45度の角度で傾斜させ、離型層上に着弾させた溶融ワックス液滴の滑落の有無を目視判定した。滑落が生じた場合を「<45°」、滑落を起こさなかった場合を、「>45°」とした。ここでいう滑落が生じたとは、ステージの傾斜角αが45°のとき、下方へ溶融ワックス液滴を引く力が、ステージ上に溶融ワックス液滴をとどめる力より上回ることにより、留まっていた溶融ワックス液が下方に滑り出すことをいう。
〔分離性の評価〕
上記作製した各定着ベルトを、ワックス含有トナーを用いるフルカラー複写機「bizhub PRESS C1070」(コニカミノルタ株式会社製)内の定着装置に装着した画像形成装置を用い、下記の方法に従って分離性の評価を行った。
A4の普通紙を用いて、画像の先端に20mmの余白を有したシアン、マゼンタ2層のベタ画像(red)を100枚連続して出力した後、下記の評価を行った。
薄紙(NPI上質紙;坪量64g/m)を用いて、画像の先端に1mm刻みで任意の余白を有したシアン、マゼンタ2層のベタ画像(red)を出力し、巻き付きを起こすことなく通紙できる最も少ない先端余白幅を測定して、薄紙の通紙時の巻き付き性を以下の基準で評価した。先端余白幅が小さいほど、分離性能(巻き付き防止性能)に優れる。
○:先端余白2mm以下で上記ベタ画像の巻き付きなく薄紙の通紙が可能である
△:先端余白2mm超、4mm以下で上記ベタ画像の巻き付きなく薄紙の通紙が可能であり、実用上問題ない
×:先端余白4mm超で上記ベタ画像の巻き付きなく薄紙の通紙が可能であるが、実用上問題あり
以上により得られた結果を、表Iに示す。
Figure 2020170121
表Iに示されるように、本発明の定着部材は、静的接触角が70°以上で、かつ滑落角が45°未満であり、画像形成装置による連続出力を行っても、形成したトナー画像の分離性に優れ、高品質の印刷物が得られることがわかる。
1 定着部材
2 基材
3 弾性層
4 離型層
5 溶融ワックス液滴
10 画像形成装置
20 自動原稿搬送部
30 スキャナー部
40 画像形成部
41 感光体ドラム
42 帯電装置
43 露光装置
44 現像装置
45 一次転写ローラー
46 二次転写ローラー
47、48 クリーニング装置
D 用紙
T 中間転写ベルト
F 定着装置
F1 加熱搬送ローラー(搬送ローラー)
F2 定着ローラー(第1ローラー)
F3 加熱ローラー(第2ローラー、加熱部)
F4 定着ベルト
50 給紙部
100 制御部(領域設定部、移動量設定部、ローラー制御部)

Claims (6)

  1. 少なくともワックスを含有するトナー画像の定着に用いる定着部材であって、
    少なくとも、基材上に弾性層及び離型層を有し、
    前記離型層が、フッ素系化合物を硬化した層であり、前記離型層表面に対するワックス溶融液の100℃における静的接触角が70°以上であり、かつ前記ワックス溶融液の100℃における滑落角が45°未満であることを特徴とする定着部材。
  2. 前記離型層が、前記フッ素系化合物として、ビニル基を有するパーフルオロポリエーテル化合物を光硬化した層であることを特徴とする請求項1に記載の定着部材。
  3. 前記パーフルオロポリエーテル化合物が有するビニル基が、アクリロイル基又はメタアクリロイル基であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着部材。
  4. 電子写真方式で形成された未定着のワックスを含有するトナー画像を、それを担持する記録媒体に、定着部材を介して加熱加圧して定着させる定着方法であって、
    前記定着部材に、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の定着部材を用いることを特徴とする定着方法。
  5. 未定着のトナー画像を担持する記録媒体に、定着部材を介してワックスを含有するトナー画像を加熱加圧により定着させる定着装置を具備した電子写真方式の画像形成装置であって、
    前記定着部材が、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の定着部材であることを特徴とする画像形成装置。
  6. 電子写真方式で形成された未定着のワックスを含有するトナー画像を、それを担持する記録媒体に、定着部材を介して加熱加圧して定着させる定着工程を有する画像形成方法であって、
    前記定着部材に、請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の定着部材を用いることを特徴とする画像形成方法。
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