JP2013207061A - 太陽電池の製造方法および太陽電池 - Google Patents

太陽電池の製造方法および太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】セレン化法により変換効率の高いカルコパイライト型の太陽電池を製造する製造方法を提供する。
【解決手段】太陽電池の製造方法は、580℃以上のガラス転移点Tgを有するガラス基板上に、電極層と、11族元素および13族元素を含有するプリカーサ層とを少なくともこの順に有する被処理基板に対し、セレン源を含む雰囲気下、200〜350℃の温度範囲内で2〜90分の熱処理を行う第1の工程と、前記第1の工程後、前記被処理基板に対し、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下、550〜690℃の温度範囲内で2〜120分の熱処理を行う第2の工程とを有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池の製造方法および太陽電池に係り、特にカルコパイライト型の太陽電池の製造方法および太陽電池に関する。
カルコパイライト型の太陽電池は、光吸収層として、11族元素、13族元素、16族元素を含むカルコパイライト化合物を有する。このような光吸収層の形成方法として、例えば、セレン化法が知られている。セレン化法は、通常、ガラス基板上に、裏面電極、および光吸収層となるプリカーサ層をこの順にスパッタリング法等により形成した後、セレン源を含有する雰囲気中で熱処理するセレン化工程を行い、さらに硫黄源を含有する雰囲気中で熱処理する硫化工程を行う。プリカーサ層としては、例えば、Cu層上にIn層を有するもの、CuおよびGaの合金層上にIn層を有するものなどの積層構造を有するもの、Cu、Ga、およびInからなる合金層のように単層構造を有するものが知られている。
一般に、セレン化工程は350℃以上で行われ、硫化工程は500℃以上で行われる。また、変換効率を向上させるために、硫化工程を2段階に分け、1段階目を比較的高温で行い、2段階目を1段階目より低い温度で、かつ1段階目より長い時間で行うことが知られている(例えば、特許文献1参照)。なお、セレン化工程を350℃よりも低い温度で行うことも知られている(例えば、特許文献2参照)。しかし、使用するガラス基板、特にガラス転移点Tgについては必ずしも明らかでなく、またどの程度の変換効率が得られるかについても必ずしも明らかでない。
特開2009−135299号公報 国際公開第2009/128253号パンフレット
上記したように、太陽電池のセレン化法による製造においては、セレン化工程や硫化工程における熱処理条件等の最適化によって変換効率を向上することが検討されている。しかし、変換効率をより一層向上させることが求められている。また、熱処理条件の高温化等による変換効率の向上の観点から、ガラス転移点Tgの高いガラス基板を用いることが検討されているが、従来のソーダライムガラス基板に比べて変換効率の向上に寄与するアルカリ成分の含有量が少ないために、必ずしも変換効率を効果的に向上させることができない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、セレン化法によって変換効率の高い太陽電池を製造するための製造方法の提供を目的とする。また、本発明は、このような製造方法によって製造された変換効率の高い太陽電池の提供を目的とする。
本発明の太陽電池の製造方法は、カルコパイライト型の太陽電池の製造方法に係り、580℃以上のガラス転移点Tgを有するガラス基板上に、電極層と、11族元素および13族元素を含有するプリカーサ層とを少なくともこの順に有する被処理基板に対し、セレン源を含む雰囲気下、200〜350℃の温度範囲内で2〜90分の熱処理を行う第1の工程と、前記第1の工程後、前記被処理基板に対し、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下、550〜690℃の温度範囲内で2〜120分の熱処理を行う第2の工程とを有することを特徴とする。
本発明の太陽電池は、上記した太陽電池の製造方法によって得られたことを特徴とする。また、本発明の他の太陽電池は、20〜300Kの温度範囲のうちN1欠陥によるキャリア密度増加率dN/dTが最も大きくなる温度範囲30Kの間での前記キャリア密度増加率dN/dTが1.7[1014/cm・K]以上であることを特徴とする。
本発明の製造方法によれば、特に、比較的低温での熱処理後に高温での熱処理を行うことで、ガラス転移点Tgの高いガラス基板を用いて変換効率の高い太陽電池を製造できる。また、本発明の太陽電池によれば、上記製造方法によって得られたものとすることで、高い変換効率を達成できる。また、本発明の他の太陽電池によれば、所定の温度範囲でのキャリア密度増加率dN/dTを1.7[1014/cm・K]以上とすることで、高い変換効率を達成できる。
本発明の太陽電池の一実施形態を模式的に示す断面図。 実施例および比較例の太陽電池における一部のセルを示す平面図および断面図。 実施例および比較例の太陽電池の全体を示す平面図。 実施例3および比較例3の太陽電池のEBIC像。 図4に示すEBIC像を図式化した図。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の太陽電池の一実施形態を模式的に示す断面図である。
太陽電池10は、例えば、ガラス基板1上に、裏面電極2、光吸収層3、バッファ層4、透明導電層5、反射防止層6、表面電極7、およびカバーガラス8をこの順に有する。ガラス基板1は、580℃以上のガラス転移点Tgを有するものである。裏面電極2は、正電極となるものであり、例えば、MoまたはTi等の高耐食性および高融点の金属からなり、スパッタリング法、蒸着法等により形成される。光吸収層3は、後述するセレン化法により形成されるものであり、11族元素、13族元素、および16族元素を含有するカルコパイライト系化合物半導体からなる。
カルコパイライト系化合物半導体は、例えば、CIS系化合物半導体が知られており、例えば、Cu(In,Ga)Se(CIGS)、Cu(In,Ga)(Se,S)(CIGSS)、CuInS(CIS)が挙げられる。なお、Cu(In,Ga)Seとは、Cu、In、Ga、およびSeから主に構成された化合物をいう。また、Cu(In,Ga)(Se,S)とは、Cu、In、Ga、Se、およびSから主に構成された化合物をいう。
バッファ層4は、例えば、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe等からなり、CBD法等により形成される。また、透明導電層5は、ZnO、ITO等からなり、スパッタリング法、蒸着法、MOCVD法等により形成される。表面電極7は、負極となるものであり、例えば、Al等の金属からなり、スパッタリング法、蒸着法等により形成される。
透明導電層5と表面電極7との間には、必要に応じて反射防止層6が設けられる。なお、反射防止層6は、必ずしも透明導電層5と表面電極7との間に限られず、必要な場所に適宜設けることができる。表面電極7上には、必要に応じてカバーガラス8が設けられる。表面電極7とカバーガラス8との間は、図示しないが、樹脂封止され、または接着用の透明樹脂で接着される。光吸収層3の端部または太陽電池10の端部は封止されていてもよい。封止材料としては、ガラス基板1を構成するガラス材料と同様のガラス材料、その他のガラス材料、樹脂材料が挙げられる。なお、太陽電池10の各層の厚さは、図示されるような厚さに限定されない。また、太陽電池10としては、図1に示されるような太陽電池10と略同様の層構成を有する複数のセルを有し、各セルが電気的に接続されたモジュール状のものであってもよい。
次に、太陽電池10の製造方法について説明する。なお、太陽電池10における各層に対応する層については、太陽電池10における層と同様の符号を付して説明する。例えば、光吸収層3の形成に利用されるプリカーサ層については、光吸収層3と同様の符号を付して説明する。
太陽電池10の製造方法は、セレン化法における光吸収層3の形成のための熱処理において第1の工程と、第2の工程とを少なくとも有する。第1の工程は、580℃以上のガラス転移点Tgを有するガラス基板10上に、電極層2と、11族元素および13族元素を含有するプリカーサ層3とを少なくともこの順に有する被処理基板に対し、セレン源を含む雰囲気下、200〜350℃の温度範囲内で2〜90分の熱処理を行う。第2の工程は、第1の工程後、被処理基板に対して、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下、550〜690℃の温度範囲内で2〜120分の熱処理を行う。
所定の熱処理温度および熱処理時間で熱処理を行う第1、第2の工程を行うことで、580℃以上のガラス転移点Tgを有するガラス基板1を用いて、表面の平坦性が高く膜質に優れるとともに、キャリア密度増加率が高く半導体特性に優れる光吸収層3を形成でき、結果として変換効率が高い太陽電池10を製造できる。
ガラス基板1としては、ガラス転移点Tgが580℃以上であり、ソーダライムガラスよりも高いガラス転移点Tgを有するものが用いられる。ガラス転移点Tgが580℃未満の場合、ガラス基板1、または第1、第2の工程中のプリカーサ層3、または第1、第2の工程を行って得られる光吸収層3に反りや剥がれが発生し、太陽電池10を製造できないおそれがある。
ガラス転移点Tgは、光吸収層3の形成を担保するために600℃以上が好ましく、610℃以上がより好ましく、620℃以上がさらに好ましい、特に好ましくは625℃以上である。一方、溶解時の粘性を上げ過ぎないようにするために、好ましくは700℃以下、より好ましくは690℃以下、さらに好ましくは685℃以下、特に好ましくは680℃以下である。
ガラス基板1の50〜350℃の平均熱膨張係数は、60〜110×10−7/℃が好ましい。平均熱膨張係数が60×10−7/℃未満または110×10−7/℃を超える場合、光吸収層3との熱膨張差が大きくなりすぎ、剥がれ等の欠点が生じやすくなる。平均熱膨張係数の下限値は、好ましくは65×10−7/℃以上、より好ましくは70×10−7/℃以上、さらに好ましくは73×10−7/℃以上である。また、上限値は、好ましくは100×10−7/℃以下、より好ましくは95×10−7/℃以下、さらに好ましくは90×10−7/℃以下である。
また、ガラス基板1のヤング率は、75GPa以上が好ましい。ヤング率が75GPa未満の場合、一定応力下でのひずみ量が大きくなり、製造過程で反りが発生して不具合を生じ、正常に成膜できないおそれがある。また、製品としての太陽電池10での反りも大きくなり好ましくない。ヤング率は、より好ましくは76GPa以上、さらに好ましくは77GPa以上である。
さらに、ガラス基板1の密度は、2.9g/cm以下が好ましい。密度が2.9g/cmを超えると、製品質量が重くなり好ましくない。密度は、より好ましくは2.8g/cm以下、さらに好ましくは2.7g/cm以下、特に好ましくは2.6g/cm以下である。
ヤング率(以下、「E」ともいう)を密度(以下、「d」ともいう)で割った比弾性率(E/d)は、28GPa・cm/g以上が好ましい。比弾性率が28GPa・cm/gより小さいと、例えば、製造過程でのローラー搬送中、もしくは部分的な支持の際、自重で撓んでしまうために正常に移動できないおそれがある。比弾性率は、より好ましくは29GPa・cm/g以上、さらに好ましくは30GPa・cm/g以上である。なお、比弾性率(E/d)を28GPa・cm/g以上とするには、ヤング率と密度とを上記範囲内で調整すればよい。
ガラス基板1は、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを45〜72%、Alを1〜19%、MgOを0〜10%、CaOを0〜10%、SrOを0〜19%、BaOを0〜12%、ZrOを0〜11%、NaOを0〜15%、KOを0〜15%、NaOおよびKOを合量で0〜20%含有するものが好ましい。以下、各成分の限定理由について説明する。
SiO:ガラスの骨格を形成する成分で、45%未満ではガラスの耐熱性および化学的耐久性が低下し、平均熱膨張係数が増大するおそれがある。好ましくは48%以上であり、より好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは52%以上である。しかし、72%超ではガラスの高温粘度が上昇し、溶解性が悪化する問題が生じるおそれがある。好ましくは70%以下であり、より好ましくは68%以下であり、さらに好ましくは66%以下である。
Al:ガラス転移点Tgを上げ、耐候性(ソラリゼーション)、耐熱性、および化学的耐久性を向上し、ヤング率を上げる。その含有量が1%未満だとガラス転移点Tgが低下するおそれがある。また平均熱膨張係数が増大するおそれがある。含有量は、好ましくは2%以上であり、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは4%以上、特に好ましくは6%以上である。しかし、19%超では、ガラスの高温粘度が上昇し、溶解性が悪くなるおそれがある。また、失透温度が上昇し、成形性が悪くなるおそれがある。また発電効率が低下するおそれがある。好ましくは17%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは13%以下、特に好ましくは11%以下である。
なお、溶解性等の向上のために、Bを1%まで含有できる。含有量が1%を超えるとガラス転移点Tgが下がる、または平均熱膨張係数が小さくなり、光吸収層3を形成するプロセスにとって好ましくない。また失透温度が上昇して失透しやすくなり板ガラス成形が難しくなる。または発電効率が低下するおそれがある。好ましい含有量は、0.5%以下であり、実質的に含有しないことがより好ましい。なお、「実質的に含有しない」とは、原料等から混入する不可避的不純物以外には含有しないこと、すなわち、意図的に含有させないことを意味する。
MgO:ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので含有させてもよい。含有量が少ないとガラスの高温粘度が上昇し溶解性が悪化するおそれがある。含有量は、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1%以上であり、さらに好ましくは3%以上であり、特に好ましくは5%以上である。しかし、10%超では、平均熱膨張係数が増大するおそれがある。また失透温度が上昇するおそれがある。好ましくは9%以下、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは8.5%以下である。
CaO:ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので含有させることができる。含有量は、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上である。しかし、10%超ではガラスの平均熱膨張係数が増大するおそれがある。また、ナトリウムがガラス中で移動しにくくなり発電効率が低下するおそれがある。好ましくは9%以下、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは7%以下である。
SrO:ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので、また、ガラスから光吸収層3へのNa拡散を促進し発電効率を高める効果があるため、含有させることができる。好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは5%以上、特に好ましくは6%以上である。しかし、19%超含有すると平均熱膨張係数や密度が増大し、ガラスが脆くなるおそれがある。含有量は、15%以下が好ましく、14%以下がより好ましく、12%以下がさらに好ましく、10%以下が特に好ましい。
BaO:ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので、また、ガラスから光吸収層3へのNa拡散を促進し発電効率を高める効果があるため、含有させることができる。しかし、12%超含有すると、平均熱膨張係数、密度が増加する、またはガラスが脆くなるおそれがある。また、ヤング率が低下するおそれがある。含有量は、9%以下が好ましく、6%以下がより好ましく、4%以下がさらに好ましく、2%以下が特に好ましい。
ZrO:ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので含有させることができる。しかし、11%超含有すると発電効率が低下し、また失透温度が上昇して失透しやすくなり板ガラス成形が難しくなる。含有量は、9%以下が好ましく、7%以下がより好ましく、6%以下がさらに好ましい。また、含有量は、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上である。
TiO:溶解性の向上等のために3%まで含有してもよい。含有量が3%を超えると失透温度が上昇して失透しやすくなり板ガラス成形が難しくなる。含有量は、好ましくは2%以下であり、より好ましくは1%以下である。
MgO、CaO、SrO、およびBaO:MgO、CaO、SrO、およびBaOは、ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進させる点から合量で4%以上が好ましい。しかし、合量で25%超では失透温度が上昇し、成形性が悪くなる恐れがある。MgO、CaO、SrO、およびBaOは、合量で、6%以上が好ましく、8%以上がより好まく、10%以上がさらに好ましい。また、23%以下が好ましく、21%以下がより好ましく、19%以下がさらに好ましい。
NaO:NaOは変換効率の向上に寄与する成分であり、また、ガラス溶解温度での粘性を下げ、溶解しやすくする効果があるので含有させることができる。Naはガラス上に構成された光吸収層3中に拡散し、変換効率を高めるので、1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、3%以上がさらに好ましく、4%以上が特に好ましい。含有量が15%を超えると平均熱膨張係数が大きくなり、ガラス転移点Tgが低下する傾向がある。また、化学的耐久性が劣化し、ヤング率も低下するおそれがある。含有量は、12%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、9%以下がさらに好ましく、8%以下が特に好ましい。
O:NaOと同様の効果があるため、また、CIGS太陽電池の製造工程における高温でのCIGSの結晶成長において、CIGS組成の変化を抑えるはたらきがあり、それにより、発電効率を向上させる効果があるため、含有させることができる。しかし、15%超ではガラス転移点Tgが低下し、平均熱膨張係数が大きくなるおそれがあり、ヤング率も低下するおそれがある。含有する場合、1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、2.5%以上がさらに好ましく、3%以上が特に好ましい。また、12%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、8%以下がさらに好ましく、6%以下が特に好ましい。
NaOおよびKO:ガラス溶解温度での粘性を十分に下げるために、また変換効率の向上のために、NaOおよびKOの合量は0〜20%が好ましい。含有量は、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは9%以上、特に好ましくは11%以上である。しかし、20%超ではガラス転移点Tgが下がりすぎるおそれがあり、18%以下がより好ましく、16%以下がさらに好ましく、15%以下が特に好ましい。
ガラス基板1は、本発明の目的に反しない範囲において、その他の成分を、それぞれ1%以下、合計で5%以下含有してもよい。例えば、耐候性、溶解性、失透性、紫外線遮蔽、屈折率等の改善を目的に、ZnO、LiO、WO、Nb、V、Bi、MoO、TlO、P等を含有してもよい。
また、ガラスの溶解性、清澄性を改善するため、SO、F、Cl、SnOをそれぞれ1%以下、合量で2%以下含有してもよい。また、ガラスの化学的耐久性向上のために、Y、Laを合量で2%以下含有してもよい。
また、ガラスの色調を調整するため、ガラス中にFe等の着色剤を含有してもよい。このような着色剤の含有量は、合量で1%以下が好ましい。また、環境負荷を考慮すると、As、Sbを実質的に含有しないことが好ましい。また、安定してフロート成形することを考慮すると、ZnOを実質的に含有しないことが好ましい。なお、フロート法による成形に限らず、フュージョン法により成形してもよい。
被処理基板は、ガラス基板1上に、例えば、電極層2およびプリカーサ層3をこの順に形成して製造する。電極層2は、例えば、ガラス基板1上に、スパッタリング法、蒸着法等により、MoまたはTi等からなる金属層を形成する。また、プリカーサ層3は、スパッタリング法、蒸着法等により、電極層2上に、11族元素および13族元素を含有する層を形成する。具体的には、積層構造を有するものとして、Cu層上にGa層を形成したもの、Cu層上にIn層を形成したもの、CuおよびGaの合金層上にIn層を形成したもの、また単層構造を有するものとして、Cu、Ga、およびInの合金層が挙げられる。
被処理基板には、セレン源を含む雰囲気下、200〜350℃の温度範囲内で2〜90分の熱処理が行われる。熱処理は、アニール装置内に被処理基板を配置し、装置内に設けられたヒータにより加熱するとともに、雰囲気中のセレン源を接触させることにより行うことができる。セレン源としては、セレン化水素を1〜20体積%含有するセレン化水素ガスが好適に用いられ、セレン化水素を2〜10体積%含有するセレン化水素ガスがより好適に用いられる。
200〜350℃の温度範囲内での熱処理時間が2分未満の場合、熱処理時間が短いために、膜質や半導体特性に優れた光吸収層3が得られない。熱処理時間は90分もあれば十分であり、これ以下とすることで変換効率が向上された太陽電池10を効率的に製造できる。
なお、熱処理は、200〜350℃の温度範囲内で温度を変化させてもよい。この場合、熱処理時間には、200〜350℃の温度範囲内において、昇温速度が10℃/分未満かつ降温速度が20℃/分未満となるときの時間のみが含まれる。すなわち、熱処理は、200〜350℃の温度範囲内において、昇温速度が10℃/分未満かつ降温速度が20℃/分未満となるときの時間が2〜90分となるように行う。熱処理は、変換効率が向上された太陽電池を効率的に製造する観点から、220〜340℃の温度範囲内で5〜60分行うことが好ましく、250〜330℃の温度範囲内で10〜45分行うことがより好ましい。
熱処理は、特に一定温度で行うことが好ましい。なお、一定温度には、昇温速度が2℃/分未満のもの、および降温速度が2℃/分未満のものが含まれるものとする。すなわち、熱処理は、200〜350℃の温度範囲内において、昇温速度が2℃/分未満かつ降温速度が2℃/分未満となるときの時間が2〜90分となるように行うことが好ましい。一定温度での熱処理は、220〜340℃の温度範囲内で5〜60分行うことがより好ましく、250〜330℃の温度範囲内で10〜45分行うことがさらに好ましい。
第2の工程は、第1の工程後、被処理基板に対して、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下、550〜690℃の温度範囲内で2〜120分の熱処理を行う。第2の工程における熱処理についても、アニール装置内に被処理基板を配置し、装置内に設けられたヒータにより加熱するとともに、雰囲気中のセレン源を接触させることにより行うことができる。セレン源としては、セレン化水素を1〜20体積%含有するセレン化水素ガスが好適に用いられ、セレン化水素を2〜10体積%含有するセレン化水素ガスがより好適に用いられる。また、硫黄源としては、硫化水素を1〜30体積%含有する硫化水素ガスが好適に用いられ、硫化水素を2〜20体積%含有する硫化水素ガスがより好適に用いられる。
550〜690℃の温度範囲内での熱処理時間が2分未満の場合、熱処理時間が短いために、膜質や半導体特性に優れた光吸収層3が得られない。熱処理時間は120分もあれば十分であり、これ以下とすることで発電効率が向上された太陽電池10を効率的に製造できる。
第2の工程における熱処理についても、550〜690℃の温度範囲内で温度を変化させてもよい。この場合についても、熱処理時間には、550〜690℃の温度範囲内において、昇温速度が10℃/分未満かつ降温速度が20℃/分未満となるときの時間のみが含まれる。すなわち、熱処理は、550〜690℃の温度範囲内において、昇温速度が10℃/分未満かつ降温速度が20℃/分未満となるときの時間が2〜120分となるように行う。熱処理は、変換効率が向上された太陽電池を効率的に製造する観点から、560〜650℃の温度範囲内で10〜60分行うことが好ましく、570〜630℃の温度範囲内で15〜45分行うことが好ましい。
熱処理は、特に一定温度で行うことが好ましい。なお、一定温度には、昇温速度が2℃/分未満のもの、および降温速度が2℃/分未満のものが含まれるものとする。すなわち、熱処理は、550〜690℃の温度範囲内において、昇温速度が2℃/分未満かつ降温速度が2℃/分未満となるときの時間が2〜120分となるように行うことが好ましい。一定温度での熱処理は、560〜650℃の温度範囲内で10〜60分行うことがより好ましく、570〜630℃の温度範囲内で15〜45分行うことがさらに好ましい。
本発明の製造方法では、第2の工程後、被処理基板に対し、450〜560℃の温度範囲内で、かつ第2の工程の最低熱処理温度よりも低い熱処理温度で2〜120分の熱処理を行う第3の工程を行ってもよい。すなわち、第2の工程のように比較的高い熱処理温度での熱処理を長時間に渡って行った場合、例えば、表面エッチング等により必ずしも開放電圧(Voc)や形状因子(Fill Factor:FF)を高くできない。550〜690℃の温度範囲内といった比較的高い温度で熱処理を行う第2の工程を短時間で行い、その後に第2の工程よりも熱処理温度の低い第3の工程を行うことで、開放電圧(Voc)や形状因子(FF)を高くできる。なお、第2の工程の最低熱処理温度とは、550〜690℃の温度範囲内であって、昇温速度が10℃/分未満かつ降温速度が20℃/分未満となるときの最低の温度である。第2の工程の最低熱処理温度は、550〜690℃の温度範囲内であって、昇温速度が2℃/分未満かつ降温速度が2℃/分未満となるときの最低の温度であることが好ましい。
第3の工程は、通常、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下で行う。第3の工程における熱処理についても、アニール装置内に被処理基板を配置し、装置内に設けられたヒータにより加熱するとともに、雰囲気中のセレン源または硫黄源を接触させることにより行うことができる。セレン源としては、セレン化水素を1〜20体積%含有するセレン化水素ガスが好適に用いられ、セレン化水素を2〜10体積%含有するセレン化水素ガスがより好適に用いられる。また、硫黄源としては、硫化水素を1〜30体積%含有する硫化水素ガスが好適に用いられ、硫化水素を2〜20体積%含有する硫化水素ガスがより好適に用いられる。
第3の工程の熱処理時間は、第2の工程の熱処理時間よりも長いことが好ましい。具体的には、第2の工程の熱処理時間を10〜60分の範囲内とし、第3の工程の熱処理時間を第2の工程の熱処理時間よりも長くすることが好ましい。特に、第2の工程の熱処理時間を15〜45分の範囲内とし、第3の工程の熱処理時間を20〜90分の範囲内で第2の工程の熱処理時間よりも長くすることが好ましい。
なお、第3の工程における熱処理についても、450〜560℃の温度範囲内で温度を変化させてもよい。この場合についても、熱処理時間には、450〜560℃の温度範囲内において、昇温速度が10℃/分未満かつ降温速度が20℃/分未満となるときの時間のみが含まれる。すなわち、熱処理は、450〜560℃の温度範囲内において、昇温速度が10℃/分未満かつ降温速度が20℃/分未満となるときの時間が2〜120分となるように行う。熱処理は、変換効率が向上された太陽電池を効率的に製造する観点から、480〜560℃の温度範囲内で15〜90分行うことが好ましく、500〜550℃の温度範囲内で20〜65分行うことがより好ましい。
熱処理は、特に一定温度で行うことが好ましい。なお、一定温度には、昇温速度が2℃/分未満のもの、および降温速度が2℃/分未満のものが含まれるものとする。すなわち、熱処理は、450〜560℃の温度範囲内において、昇温速度が2℃/分未満かつ降温速度が2℃/分未満となるときの時間が2〜120分となるように行うことが好ましい。一定温度での熱処理は、480〜560℃の温度範囲内で15〜90分行うことがより好ましく、500〜550℃の温度範囲内で20〜65分行うことがさらに好ましい。
プリカーサ層3の熱処理後、すなわち光吸収層3の形成後、この光吸収層3上に、例えば、バッファ層4、透明導電層5、反射防止層6、表面電極7、およびカバーガラス8をこの順に設けて太陽電池10とする。バッファ層4は、例えば、CBD法等によって、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、InS、等を形成する。また、透明導電層5は、スパッタリング法、蒸着法等により、ZnO、ITO等を形成する。表面電極7は、スパッタリング法、蒸着法等により、例えば、Al等を形成する。この際、必要に応じて、反射防止層6、カバーガラス8を設ける。
なお、太陽電池10としては、複数のセルを有し、各セルが電気的に接続されたモジュール状のものであってもよい。複数のセルを有するモジュール状の太陽電池10は、ガラス基板上1にMo電極2を製膜した後にMo電極2をレーザスクライブ等によりパターニングしてから、同様にしてガラス基板1上に光吸収層3等を形成し、その後、バッファ層4、透明導電層5、表面電極7等を形成した後、各セル間となる部分における透明導電層5から光吸収層3までにメカニカルスクライブやレーザスクライブにより所定の深さの溝部を設けて複数セルを直列につなげることで製造できる。
このようにして製造される太陽電池10は、特に、20〜300Kの温度範囲のうち深い準位(0.1〜0.3eV)の欠陥の活性化によりキャリア密度増加率dN/dTが最も大きくなる温度範囲がある。このキャリア密度増加率dN/dTの大きい30Kの間でのキャリア密度増加率dN/dTが1.7[1014/cm・K]以上であることが好ましい。このようなキャリア密度増加率dN/dTを有するものによれば、半導体特性が良好となるために、高い変換効率が得られる。キャリア密度増加率dN/dTは、例えば、2.0[1014/cm・K]以上がより好ましく、2.3以上がさらに好ましい。このようなキャリア密度増加率dN/dTを有する太陽電池10は、上記したように580℃以上のガラス転移点Tgを有するガラス基板1を用いるとともに、セレン源を含む雰囲気下、200〜350℃の温度範囲内で2〜90分の熱処理を行う第1の工程と、第1の工程後、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下、550〜690℃の温度範囲内で2〜120分の熱処理を行う第2の工程とを行うことで製造できる。
以下、実施例および比較例を参照して本発明を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されない。
表1に示す組成、ガラス転移点Tg、平均熱膨張係数、密度、およびヤング率を有するガラス基板1を用いて評価用の太陽電池10を作製し、評価を行った。なお、表1中、基板6がソーダライムガラス基板である。ガラス基板1の各物性は、以下に示す方法により測定した。
ガラス転移点Tg:示差熱膨張計(TMA)を用いて測定し、JIS R3103−3(2001年度)により求めた。
50〜350℃の平均熱膨張係数:示差熱膨張計(TMA)を用いて測定し、JIS R3102(1995年度)より求めた。
密度:気泡を含まない約20gのガラス塊をアルキメデス法によって測定した。
ヤング率:厚み7〜10mmのガラスについて、超音波パルス法により測定した。
上記ガラス基板1を用い、図2、3に示すような複数のセル11を有する評価用の太陽電池10を作製し、変換効率の評価を行った。ここで、図2(a)は太陽電池10における1つのセル11を上面から見た平面図であり、図2(b)は図2(a)に示されるA−A線の断面図である。また、図3は、太陽電池10の全体を上面から見た平面図である。図2、3に示す太陽電池10の層構成は、反射防止層6、カバーガラス8を有しない以外は、図1に示す太陽電池10の層構成とほぼ同様である。
まず、ガラス基板1を、大きさ3cm×3cm、厚さ1.1mmに加工した。ガラス基板1上には、スパッタ法によりMo電極2を成膜した。成膜は室温にて実施し、厚み450nmのMo電極2を得た。このMo電極2上に、CuGa合金ターゲットを用いたスパッタ法によりCuGa合金層を成膜し、続いてInターゲットを用いたスパッタ法によりIn層を成膜し、In−CuGaのプリカーサ層3とした。成膜は室温にて実施した。プリカーサ層3は、蛍光X線にて測定される組成におけるCu/(Ga+In)比(原子比)が0.8、Ga/(Ga+In)比(原子比)が0.25となるように各層の厚みを調整し、厚みは650nmとした。
プリカーサ層3が形成されたガラス基板1に対し、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置を用いて、表2に示す条件で熱処理を行ってCIGS層3を形成した。すなわち、実施例12,13、比較例14,15を除いて、昇温速度10℃/分で温度Tまで昇温し、この温度Tで時間t保持した後、昇温速度10℃/分で温度Tまで昇温し、この温度Tで時間t保持した後、冷却速度20℃/分で冷却した。また、実施例12、13、比較例14、15は、上記したように温度Tで時間t保持した後、冷却速度20℃/分で温度Tまで冷却し、この温度Tで時間t保持した後、冷却速度20℃/分で冷却した。なお、実施例は、いずれも所定の温度範囲内となる時間が所定の時間内となるものである。
ここで、温度T、時間tで保持する工程は、アルゴンおよびセレン化水素の混合雰囲気(セレン化水素はアルゴンに対し5体積%)にて行い、CuとInとGaとを、Seと反応させた。また、温度T、時間tで保持する工程、温度T、時間tで保持する工程は、アルゴンおよび硫化水素の混合雰囲気(硫化水素はアルゴンに対し10体積%)にて行い、CIGS層3を形成した。得られたCIGS層3の厚みは2μmであった。
CIGS層3上に、CBD(Chemical Bath Deposition)法にて、CdS層4を成膜した。具体的には、まず、ビーカー内で、濃度0.01Mの硫酸カドミウム、濃度1.0Mのチオウレア、濃度15Mのアンモニア、および純水を混合して混合液を調製した。次に、CIGS層3が形成されたガラス基板1を上記ビーカー内の混合液に浸し、ビーカーごと予め水温を70℃にしておいた恒温バス槽に入れて15分程度放置し、CdS層4を50〜80nm成膜した。
さらに、スパッタ法にて、CdS層4上に透明導電層5を以下の方法で成膜した。まず、ZnOターゲットを使用して厚さ280nmのZnO層を成膜し、次に、AZOターゲット(Alを1.5質量%含有するZnOターゲット)を使用して厚さ200nmのAZO層を成膜した。各層の成膜は室温にて実施し、厚み480nmの2層構成の透明導電層5を得た。AZO層上に、EB蒸着法により、膜厚1μmのU字型のAl電極7を成膜した(電極形状:縦8mm、横4mm、電極幅0.5mm)。
最後に、メカニカルスクライブによって透明導電層5からCIGS層3までを削って溝部12を形成し、セル化を行った。一つのセル11は、幅0.6cm、長さ1cmで、表面電極7を除いた面積が0.5cmであり、図3に示すように、1枚のガラス基板1上に合計8個のセル11が形成された評価用の太陽電池10を作製した。
次に、評価用の太陽電池10について、以下の評価を行った。
「変換効率」
ソーラーシミュレータ(山下電装株式会社製、商品名「YSS−T80A」)に、評価用の太陽電池10を設置し、Mo電極2にプラス端子を(不図示)、U字状のアルミニウム電極7の下端部分にマイナス端子13を設け、それぞれ電圧発生器に接続した。ソーラーシミュレータ内の温度は、25℃で一定となるように温度調節機により制御した。疑似太陽光を照射し、10秒後に電圧を−1Vから+1Vまで0.015V間隔で変化させ、8個のセル11のそれぞれの電流値を測定した。
この照射時の電流と電圧特性とから変換効率を式(1)により算出した。8個のセル11のうち最も効率の良いセル11における変換効率の値を表2に示す。試験に用いた光源の照度は0.1W/cmであった。
変換効率[%]=Voc[V]×Jsc[A/cm]×FF[無次元]×100
/試験に用いる光源の照度[W/cm] ……式(1)
変換効率は、開放電圧(Voc)と短絡電流密度(Jsc)と曲線因子(FF)との積として求められる。なお、開放電圧(Voc)は端子を開放した時の出力であり、短絡電流(Isc)は短絡した時の電流である。短絡電流密度(Jsc)は表面電極7を除いたセル11の面積で短絡電流(Isc)を割ったものである。
また、最大の出力を与える点が最大出力点と呼ばれ、その点の電圧を最大電圧値(Vmax)、電流を最大電流値(Imax)と呼ばれる。最大電圧値(Vmax)と最大電流値(Imax)の掛け算の値を、開放電圧(Voc)と短絡電流(Isc)の掛け算の値で割った値が曲線因子(FF)として求められる。上記の値を使用し、変換効率を求めた。
「キャリア濃度温度依存性」
セル11の半導体特性として、CIGS層3のキャリア濃度温度依存性(キャリア密度増加率dN/dT)を測定した。測定方法を以下に示す。なお、キャリア濃度温度依存性の測定は、実施例および一部の比較例について行った。
[キャリア密度の測定方法]
キャリア密度は、DLCP(Drive Level Capacietance Profiling)法によって求めた。なお、測定は、以下の文献1に記載された方法に準じて行った。
文献1:Heath, Jennifer T., J. David Cohen, William N. Shafarman."Bulk and MetaStable Defects in CuIn(1−x)Ga(x)Se2 Thin Films Using Drive Level Capacitance Profiling." J. of Applied Physics. 95.3 (2004).
測定には、LCRメータ(アジレントテクノロジー(株)製、E49880A)を用い、測定周波数は11KHzとし、Vac+Vdc=−300〜+200[mV]の範囲で測定を行い、Vac+Vcd=0[mV]のときの測定値をキャリア密度とした。また、一般にCIGS型の太陽電池はライトソーキングによってキャリア密度が変化することから、ライトソーキングによるキャリアを除くために、測定前に分析チャンバーにて50℃で30分以上保持し、光を入れずにそのまま温度を下げて測定を開始した。
[キャリア密度増加率dN/dTの測定方法]
キャリア密度は、20〜300Kの温度範囲で10Kずつ温度を上げながら測定している。キャリア密度は、温度を上げていくと、N1欠陥による立ち上がりによって急激に増える温度領域がある。ここで、キャリア密度増加率dN/dTは、キャリア密度の増加量が最も大きくなる30K間でのキャリア密度の変化率と定義した。測定結果を表2に示す。
「EBIC像の測定」
FE−SEM(SU−70、日立ハイテク製)付属のEBIC像観察ユニットを用いて、EBIC(Electron Beam Induced Current)像を取得した。すなわち、セル11を半分に割断し、Mo電極2とAl電極7とにEBIC専用端子の+側と−側をそれぞれ配線した。分析には、加速電圧3kVの走査電子線を用い、CIGSのPN接合の空乏層部分に電子線が照射した時に発生する電流の強度分布を画像化し、同時に測定しているSEM像と合成して、EBIC像を得た。実施例3および比較例3のEBIC像を図4に示す。また、図4に示すEBIC像を図式化したものを図5に示す。なお、図5中、斜線部は、電流の強度分布が高い部分、すなわち、光電変換に寄与する部分を示す。
Figure 2013207061
Figure 2013207061
表2より明らかなように、ガラス基板1として580℃以上のガラス転移点Tgを有するものを用い、200〜350℃の温度範囲内で2〜90分熱処理後、550〜690℃の温度範囲内で2〜120分の熱処理を行った実施例の太陽電池10は高い変換効率が得られる。特に、200〜350℃および550〜690℃の温度範囲内での熱処理後、450〜560℃の温度範囲内で2〜120分の熱処理を行った実施例12、13の太陽電池10は高い変換効率が得られる。一方、ガラス基板1として580℃以上のガラス転移点Tgを有するものを用いず、または200〜350℃の温度範囲内で2〜90分の熱処理を行わない比較例の太陽電池10は、反りまたは膜剥がれが生じるために実質的に製造が困難であるか、または高い変換効率が得られない。
また、実施例の太陽電池10はN1欠陥におけるキャリア密度増加率dN/dTが1.7[1014/cm・K]以上となり、半導体特性が向上していることがわかる。さらに、図4、5に示すように、実施例の太陽電池10は、CIGS層3の表面の平坦性が向上しており、膜質の向上が確認できる。
本発明によれば、580℃以上のガラス転移点Tgを有するガラス基板を用いて、表面の平坦性が向上されて膜質に優れるとともに、キャリア密度増加率が高く半導体特性に優れた光吸収層を形成でき、結果として変換効率が向上された太陽電池を製造できる。
1…ガラス基板、2…裏面電極、3…光吸収層、4…バッファ層、5…透明導電層、6…反射防止層、7…表面電極、8…カバーガラス、10…太陽電池、11…セル、12…溝部

Claims (8)

  1. 580℃以上のガラス転移点Tgを有するガラス基板上に、電極層と、11族元素および13族元素を含有するプリカーサ層とを少なくともこの順に有する被処理基板に対し、セレン源を含む雰囲気下、200〜350℃の温度範囲内で2〜90分の熱処理を行う第1の工程と、
    前記第1の工程後、前記被処理基板に対し、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下、550〜690℃の温度範囲内で2〜120分の熱処理を行う第2の工程と
    を有することを特徴とするカルコパイライト型の太陽電池の製造方法。
  2. 前記第2の工程後、前記被処理基板に対し、450〜560℃の温度範囲内で、かつ前記第2の工程の最低熱処理温度よりも低い熱処理温度で2〜120分の熱処理を行う第3の工程を有する請求項1記載の太陽電池の製造方法。
  3. 前記第1の工程の熱処理を一定温度で行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の太陽電池の製造方法。
  4. 前記ガラス基板は、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを45〜72%、Alを1〜19%、MgOを0〜10%、CaOを0〜10%、SrOを0〜19%、BaOを0〜12%、ZrOを0〜11%、NaOを0〜15%、KOを0〜15%、NaOおよびKOを合計で0〜20%含有する請求項1乃至3のいずれか1項記載の太陽電池の製造方法。
  5. 前記ガラス基板は、酸化物基準の質量百分率表示で、NaOおよびKOを合計で5〜20%含有する請求項4記載の太陽電池の製造方法。
  6. 前記ガラス基板は、50〜350℃の平均熱膨張係数が60〜110×10−7/Kである請求項1乃至5のいずれか1項記載の太陽電池の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項記載の太陽電池の製造方法によって得られたことを特徴とする太陽電池。
  8. 20〜300Kの温度範囲のうちN1欠陥によるキャリア密度増加率dN/dTが最も大きくなる温度範囲30Kの間での前記キャリア密度増加率dN/dTが1.7[1014/cm・K]以上であることを特徴とする太陽電池。
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