JP2014067903A - 太陽電池用ガラス基板、太陽電池、および太陽電池の製造方法 - Google Patents

太陽電池用ガラス基板、太陽電池、および太陽電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】変換効率の高いカルコパイライト型の太陽電池を製造する製造方法を提供する。
【解決手段】太陽電池の製造方法は、太陽電池用ガラス基板上に、電極層と、11族元素および13族元素を含有するプリカーサ層とが少なくともこの順に設けられた被処理基板に対し、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下、最高到達温度が600℃以上の温度範囲内で2〜90分の熱処理を行う工程を有する。上記太陽電池用ガラス基板は、600℃以上のガラス転移点Tgを有する。また、上記太陽電池用ガラス基板は、酸化物基準の質量百分率表示でのNaOの含有量とKOの含有量との比(NaO/KO)が1.1以下である。さらに、上記太陽電池用ガラス基板は、酸化物基準の質量百分率表示でのSrOの含有量とBaOの含有量との和(SrO+BaO)が10質量%以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池用ガラス基板、太陽電池、および太陽電池の製造方法に関する。
カルコパイライト型の太陽電池は、光吸収層として、11族元素、13族元素、16族元素を含むカルコパイライト化合物を有する。このような光吸収層の形成方法として、例えば、セレン化硫化法が知られている。セレン化硫化法は、通常、ガラス基板上に、裏面電極、および光吸収層となるプリカーサ層をこの順にスパッタリング法等により形成した後、セレン源を含有する雰囲気中で熱処理するセレン化工程を行い、さらに硫黄源を含有する雰囲気中で熱処理する硫化工程を行う。プリカーサ層としては、例えば、Cu層上にIn層を有するもの、CuおよびGaの合金層上にIn層を有するものなどの積層構造を有するものが知られている。
CIGS系太陽電池は、光吸収層を高温で成膜することで結晶性が向上し、変換効率が向上することが知られている。蒸着法によるCIGS系太陽電池では600℃程度まで温度とともに効率が上昇することが報告されている(非特許文献1参照)。また、600℃〜650℃のさらなる高温域で成膜することで効率が向上したという報告もある(非特許文献2参照)。一方、セレン化硫化法による太陽電池は、500℃以上600℃未満の温度域でセレン化硫化工程を行って光吸収層を形成することが一般的であるが(例えば、特許文献1参照)、セレン化硫化工程を600℃以上の高温度域で行うことで、蒸着法と同様に結晶性が向上し変換効率の向上が期待される。
CIGS系太陽電池ではGa/(Cu+Se)の値を0〜1の間で制御することで、バンドギャップを1.0eV〜1.6eVに制御できる。CIGS系太陽電池ではバンドギャップが1.15eVで変換効率が最大値をとり、これよりも大きなバンドギャップになると変換効率が減少する(例えば、特許文献2参照)。この原因として、Ga/(Cu+Se)値が高くなるとキャリアの再結合中心として機能する欠陥準位が形成されることなどが考えられる。
セレン化硫化法で作製した太陽電池は、セレン化工程の初期に裏面電極側にGaが偏析するために、仕込みのGa/(Cu+Se)値通りのバンドギャップを示さない。セレン化硫化工程における入熱量に応じてGaが拡散してバンドギャップが大きくなるために、セレン化硫化工程における温度や時間を制御して、最適なバンドギャップにしなければならない。
特開2009−135299号公報 特開平9−82992号公報
Li Zhang et al., Solar Ener. Mat. and Solar Cells, Vol.93 (2009) 114-118 Miguel A. Contreras et al., PVSC 37th IEEE (2011) 000026
高い結晶性を持った光吸収層を作製するには600℃以上の高温度域でセレン化硫化工程を行うことが好ましい。一方、600℃以上の高温ではGaの拡散が促進され、CIGS系太陽電池で最適とされるバンドギャップを越えてしまう。このため、高い結晶性と最適なバンドギャップすなわち最適なGa拡散との両立ができず、高い変換効率を得ることができなかった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、変換効率の高い太陽電池を製造することのできる太陽電池用ガラス基板の提供を目的とする。また、本発明は、このような太陽電池用ガラス基板を用いた太陽電池の提供を目的とする。さらに、本発明は、変換効率の高い太陽電池を製造するための太陽電池の製造方法の提供を目的とする。
本発明の太陽電池の製造方法は、太陽電池用ガラス基板上に、電極層と、11族元素および13族元素を含有するプリカーサ層とが少なくともこの順に設けられた被処理基板に対し、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下、最高到達温度が600℃以上の温度範囲内で2〜90分の熱処理を行う工程を有する。
上記太陽電池用ガラス基板は、600℃以上のガラス転移点Tgを有する。また、上記太陽電池用ガラス基板は、酸化物基準の質量百分率表示でのNaOの含有量とKOの含有量との比(NaO/KO)が1.1以下である。さらに、上記太陽電池用ガラス基板は、酸化物基準の質量百分率表示でのSrOの含有量とBaOの含有量との和(SrO+BaO)が10質量%以下である。
本発明の太陽電池用ガラス基板は、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを55〜62%、Alを8.5〜13%、MgOを3〜10%、CaOを3.5〜7%、SrOを0〜10%、BaOを0〜1%、ZrOを1.5〜8%、NaOを0〜5%、KOを3〜21%、NaOおよびKOを合量で3〜25%含有する。さらに、本発明の太陽電池用ガラス基板は、600℃以上のガラス転移点Tgを有し、酸化物基準の質量百分率表示でのNaOの含有量とKOの含有量との比(NaO/KO)が0.4以下、SrOの含有量とBaOの含有量との和(SrO+BaO)が10質量%以下である。
本発明の太陽電池は、太陽電池用ガラス基板と、上記太陽電池用ガラス基板上に成膜された光吸収層とを少なくとも有する。上記太陽電池用ガラス基板は、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを55〜62%、Alを8.5〜13%、MgOを3〜10%、CaOを3.5〜7%、SrOを0〜10%、BaOを0〜1%、ZrOを1.5〜8%、NaOを0〜5%、KOを3〜21%、NaOおよびKOを合量で3〜25%含有する。さらに、上記太陽電池用ガラス基板は、600℃以上のガラス転移点Tgを有し、酸化物基準の質量百分率表示でのNaOの含有量とKOの含有量との比(NaO/KO)が0.4以下、SrOの含有量とBaOの含有量との和(SrO+BaO)が10質量%以下である。また、上記光吸収層は、その厚さ方向におけるNa量[atoms/cc]の最大値と、その厚さ方向におけるK量[atoms/cc]の最大値との比(Na/K)が1.0以下である。
本発明の太陽電池の製造方法は、ガラス転移点Tg、比(NaO/KO)、および和(SrO+BaO)が所定の範囲内にある太陽電池用ガラス基板を用いるとともに、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下、最高到達温度が600℃以上の温度範囲内で2〜90分の熱処理を行う。これにより、Gaの拡散を制御しながら高温で熱処理を行うことができ、変換効率の高い太陽電池を製造できる。
本発明の太陽電池用ガラス基板によれば、所定の組成を有することから、太陽電池の製造に用いたときに変換効率の高い太陽電池を製造できる。本発明の太陽電池によれば、光吸収層における比(Na/K)が低いことから、高い変換効率を達成できる。
太陽電池の一実施形態を模式的に示す断面図。 実施例および比較例の太陽電池における一部のセルを示す平面図および断面図。 実施例および比較例の太陽電池の全体を示す平面図。 実施例1の太陽電池の断面SEM像。 比較例3の太陽電池の断面SEM像。
以下、本発明の実施形態について説明する。
まず、太陽電池用ガラス基板の実施形態について説明する。
実施形態の太陽電池用ガラス基板は、セレン化硫化法による太陽電池の製造に好適に用いられるものである。具体的には、電極層、11族元素および13族元素を含有するプリカーサ層を少なくともこの順に設けた後、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下で熱処理を行うことによって、プリカーサ層を光吸収層とする太陽電池の製造に好適に用いられる。特に、熱処理の最高到達温度が600℃以上となる太陽電池の製造に好適に用いられる。実施形態の太陽電池用ガラス基板によれば、このような太陽電池の製造に用いたときに変換効率の高い太陽電池を製造できる。
実施形態の太陽電池用ガラス基板は、例えば、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを45〜68%、Alを1〜19%、MgOを0〜10%、CaOを0〜10%、SrOを0〜19%、BaOを0〜12%、ZrOを0〜11%、NaOを0〜15%、KOを3〜21%、NaOおよびKOを合計で3〜25%含有するものである。
実施形態の太陽電池用ガラス基板は、好ましくは、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを45〜68%、Alを1〜19%、MgOを0〜10%、CaOを0〜10%、SrOを0〜10%、BaOを0〜10%、ZrOを0〜11%、NaOを0〜15%、KOを3〜21%、NaOおよびKOを合量で3〜25%含有するものである。
実施形態の太陽電池用ガラス基板は、さらに好ましくは、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを55〜62%、Alを8.5〜13%、MgOを3〜10%、CaOを3.5〜7%、SrOを0〜10%、BaOを0〜1%、ZrOを1.5〜8%、NaOを0〜5%、KOを3〜21%、NaOおよびKOを合量で3〜25%含有するものである。
実施形態の太陽電池用ガラス基板は、酸化物基準の質量百分率表示でのNaOの含有量とKOの含有量との比(NaO/KO)が1.1以下であることが好ましい。また、酸化物基準の質量百分率表示でのSrOの含有量とBaOの含有量との和(SrO+BaO)が10質量%以下であることが好ましい。
以下、各成分の限定理由について説明する。
SiO:ガラスの骨格を形成する成分で、45%未満ではガラスの耐熱性および化学的耐久性が低下し、平均熱膨張係数が増大するおそれがある。より好ましくは50%以上、さらに好ましくは55%以上、特に好ましくは58%以上である。しかし、68%超ではガラスの高温粘度が上昇し、溶解性が悪化する問題が生じるおそれがある。より好ましくは65%以下、さらに好ましくは62%以下、特に好ましくは61%以下である。
Al:ガラス転移点Tgを上げ、耐候性(ソラリゼーション)、耐熱性、および化学的耐久性を向上し、ヤング率を上げる。その含有量が1%未満だとガラス転移点Tgが過度に低下するおそれがある。また平均熱膨張係数が過度に増大するおそれがある。含有量は、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは7.5%以上、特に好ましくは8.5%以上である。しかし、19%超では、ガラスの高温粘度が上昇し、溶解性が悪くなるおそれがある。また、失透温度が上昇し、成形性が悪くなるおそれがある。また発電効率が低下するおそれがある。より好ましくは16%以下、さらに好ましくは13%以下、より一層好ましくは12%以下、特に好ましくは11%以下である。
なお、溶解性等の向上のために、Bを1%まで含有できる。含有量が1%を超えるとガラス転移点Tgが下がる、または平均熱膨張係数が小さくなり、光吸収層を形成するプロセスにとって好ましくない。また失透温度が上昇して失透しやすくなり板ガラス成形が難しくなる。または発電効率が低下するおそれがある。好ましい含有量は、0.5%以下であり、実質的に含有しないことがより好ましい。なお、「実質的に含有しない」とは、原料等から混入する不可避的不純物以外には含有しないこと、すなわち、意図的に含有させないことを意味する。
MgO:ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので含有させてもよい。含有量が少ないとガラスの高温粘度が上昇して十分な溶解性が得られないおそれがある。含有量は、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上、特に好ましくは4%以上である。しかし、10%超では、平均熱膨張係数が増大するおそれがある。また失透温度が上昇するおそれがある。より好ましくは8%以下、さらに好ましくは7%以下、特に好ましくは6%以下である。
CaO:ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので含有させることができる。含有量は、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上、より一層好ましくは3.5%以上、特に好ましくは4%以上である。しかし、10%超ではガラスの平均熱膨張係数が増大するおそれがあり、また失透温度が上昇するおそれがある。より好ましくは9%以下、さらに好ましくは8%以下、特に好ましくは7%以下である。
SrO:ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので、含有させることができる。しかし、19%超含有すると平均熱膨張係数や密度が増大し、ガラスが脆くなるおそれがある。含有量は、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、より一層好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下である。
BaO:ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので、含有させることができる。しかし、12%超含有すると、平均熱膨張係数、密度が増加する、またはガラスが脆くなるおそれがある。含有量は、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは1%以下であり、実質的に含有しないことがさらに好ましい。
SrOおよびBaO:変換効率の向上のために、SrOおよびBaOの合量は0〜10%が好ましい。含有量は、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1.0%以上、より一層好ましくは1.3%以上、特に好ましくは1.5%以上である。しかし、10%超ではガラス密度が大きくなりすぎて製品重量が大きくなりすぎるおそれがある。また、CIGS膜中のGaが拡散しすぎて所望のバンドギャップが得られないおそれがある。含有量は、より好ましくは6%以下、さらに好ましくは5%以下、より一層好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下である。
ZrO:ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので含有させることができる。しかし、11%超含有すると発電効率が低下し、また失透温度が上昇して失透しやすくなり板ガラス成形が難しくなる。含有量は、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは4%以下である。また、含有量は、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上、特に好ましくは2%以上である。
TiO:溶解性の向上等のために3%まで含有してもよい。含有量が3%を超えると失透温度が上昇して失透しやすくなり板ガラス成形が難しくなる。含有量は、より好ましくは2%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。
MgO、CaO、SrO、およびBaO:MgO、CaO、SrO、およびBaOは、ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進させる点から含有させることができる。しかし、合量で25%超では失透温度が上昇し、成形性が悪くなる恐れがある。MgO、CaO、SrO、およびBaOは、合量で、好ましくは5%以上、より好ましくは8%以上、さらに好ましくは10%以上である。また、MgO、CaO、SrO、およびBaOは、合量で、好ましくは20%以下、より好ましくは16%以下、さらに好ましくは14%以下である。
NaO:NaOは変換効率の向上に寄与する成分であり、また、ガラス溶解温度での粘性を下げ、溶解しやすくする効果があるので含有させることができる。さらに、Naはガラス上に構成された光吸収層中に拡散し、変換効率を高めるので、含有させることができる。含有量が15%を超えると平均熱膨張係数が大きくなり、ガラス転移点Tgが低下する傾向がある。また、化学的耐久性が劣化し、ヤング率も低下するおそれがある。含有量は、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは6%以下、より一層好ましくは5%以下、特に好ましくは3.5%以下である。
O:NaOと同様の効果があるため、また、CIGS系太陽電池の製造工程における高温でのCIGSの結晶成長において、CIGS組成の変化を抑えるはたらきがあり、それにより発電効率を向上させる効果があるため、3%以上含有させることが好ましい。含有量は、より好ましくは6.5%以上、さらに好ましくは7%以上、より一層好ましくは9%以上、特に好ましくは10%以上である。しかし、21%超ではガラス転移点Tgが低下し、平均熱膨張係数が大きくなるおそれがあり、ヤング率も低下するおそれがある。含有量は、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは19%以下、より一層好ましくは18%以下、特に好ましくは17%以下である。
NaOおよびKO:ガラス溶解温度での粘性を十分に下げるために、また変換効率の向上のために、NaOおよびKOの合量は3〜25%が好ましい。合量は、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは13%以上、特に好ましくは15%以上である。しかし、25%超ではガラス転移点Tgが下がりすぎるおそれがあり、22%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましく、18%以下が特に好ましい。
NaOおよびKO:前述のNaOの効果とKOの効果とを効果的に発揮させて、変換効率を向上させるために、NaOの含有量とKOの含有量との比(NaO/KO)は1.1以下が好ましい。比(NaO/KO)は、より好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.7以下、特に好ましくは0.4以下である。比(NaO/KO)は、0(零)であってもよい。
実施形態の太陽電池用ガラス基板は、本発明の目的に反しない範囲において、その他の成分を、それぞれ1%以下、合計で5%以下含有してもよい。より好ましくはそれぞれ0.5%以下である。例えば、耐候性、溶解性、失透性、紫外線遮蔽、屈折率等の改善を目的に、ZnO、LiO、WO、Nb、V、Bi、MoO、TlO、P等を含有してもよい。
また、ガラスの溶解性、清澄性を改善するため、SO、F、Cl、SnOをそれぞれ1%以下、合量で2%以下含有してもよい。また、ガラスの化学的耐久性向上のために、Y、Laを合量で2%以下含有してもよい。
また、ガラスの色調を調整するため、ガラス中にFe等の着色剤を含有してもよい。このような着色剤の含有量は、合量で1%以下が好ましい。また、環境負荷を考慮すると、As、Sbを実質的に含有しないことが好ましい。また、安定してフロート成形することを考慮すると、ZnOを実質的に含有しないことが好ましい。なお、フロート法による成形に限らず、フュージョン法により成形してもよい。
実施形態の太陽電池用ガラス基板のガラス転移点Tgは600℃以上が好ましい。ガラス転移点Tgが600℃未満の場合、太陽電池を製造するために最高到達温度が600℃以上のセレン化硫化工程を行ったときに、プリカーサ層または光吸収層に反りや剥がれが発生して太陽電池を製造できないおそれがある。
ガラス転移点Tgは600℃以上であれば光吸収層の形成を担保できるが、より好ましくは620℃以上、さらに好ましくは640℃以上、特に好ましくは660℃以上である。一方、溶解時の粘性を上げ過ぎないようにするために、より好ましくは720℃以下、さらに好ましくは710℃以下、より一層好ましくは700℃以下、特に好ましくは690℃以下である。
実施形態の太陽電池用ガラス基板の密度は、2.75g/cm以下が好ましい。密度が2.75g/cmを超えると、製品質量が重くなり好ましくない。また、ガラスが脆くなるおそれがある。密度は、より好ましくは2.65g/cm以下、さらに好ましくは2.6g/cm以下、特に好ましくは2.55g/cm以下である。また、上記好ましい範囲で製造するためには2.4g/cm以上である。
実施形態の太陽電池用ガラス基板の50〜350℃の平均熱膨張係数は、60×10−7/℃〜110×10−7/℃が好ましい。平均熱膨張係数が60×10−7/℃未満または110×10−7/℃を超える場合、光吸収層との熱膨張差が大きくなりすぎ、剥がれ等の欠点が生じやすくなる。平均熱膨張係数の下限値は、より好ましくは70×10−7/℃以上、さらに好ましくは75×10−7/℃以上、特に好ましくは80×10−7/℃以上である。また、上限値は、より好ましくは100×10−7/℃以下、さらに好ましくは95×10−7/℃以下、特に好ましくは90×10−7/℃以下である。
次に、太陽電池の実施形態について説明する。
図1は、太陽電池の一実施形態を模式的に示す断面図である。
太陽電池10は、例えば、太陽電池用ガラス基板1上に、裏面電極2、光吸収層3、バッファ層4、透明導電層5、反射防止層6、表面電極7、およびカバーガラス8をこの順に有する。
実施形態の太陽電池における太陽電池用ガラス基板1は、例えば、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを45〜68%、Alを1〜19%、MgOを0〜10%、CaOを0〜10%、SrOを0〜19%、BaOを0〜12%、ZrOを0〜11%、NaOを0〜15%、KOを3〜21%、NaOおよびKOを合計で3〜25%含有するものである。
実施形態の太陽電池における太陽電池用ガラス基板1は、好ましくは、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを45〜68%、Alを1〜19%、MgOを0〜10%、CaOを0〜10%、SrOを0〜10%、BaOを0〜10%、ZrOを0〜11%、NaOを0〜15%、KOを3〜21%、NaOおよびKOを合量で3〜25%含有するものである。
実施形態の太陽電池における太陽電池用ガラス基板1は、さらに好ましくは、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを55〜62%、Alを8.5〜13%、MgOを3〜10%、CaOを3.5〜7%、SrOを0〜10%、BaOを0〜1%、ZrOを1.5〜8%、NaOを0〜5%、KOを3〜21%、NaOおよびKOを合量で3〜25%含有するものである。
実施形態の太陽電池における太陽電池用ガラス基板1は、酸化物基準の質量百分率表示でのNaOの含有量とKOの含有量との比(NaO/KO)が1.1以下であることが好ましい。また、酸化物基準の質量百分率表示でのSrOの含有量とBaOの含有量との和(SrO+BaO)が10質量%以下であることが好ましい。
裏面電極2は、正電極となるものであり、例えば、MoまたはTi等の高耐食性および高融点の金属からなり、スパッタリング法、蒸着法等により形成される。光吸収層3は、後述するようなセレン化硫化法により好適に形成されるものであり、11族元素、13族元素、および16族元素を含有するカルコパイライト系化合物半導体からなる。
カルコパイライト系化合物半導体は、例えば、CIS系化合物半導体が知られており、例えば、Cu(In,Ga)Se(CIGS)、Cu(In,Ga)(Se,S)(CIGSS)、CuInS(CIS)が挙げられる。なお、Cu(In,Ga)Seとは、Cu、In、Ga、およびSeから主に構成された化合物をいう。また、Cu(In,Ga)(Se,S)とは、Cu、In、Ga、Se、およびSから主に構成された化合物をいう。
バッファ層4は、例えば、ZnS、ZnSe、ZnTe、InS、CdS、CdSe、CdTe等からなり、CBD法等により形成される。また、透明導電層5は、ZnO、ITO等からなり、スパッタリング法、蒸着法、MOCVD法等により形成される。表面電極7は、負極となるものであり、例えば、Al等の金属からなり、スパッタリング法、蒸着法等により形成される。
透明導電層5と表面電極7との間には、必要に応じて反射防止層6が設けられる。なお、反射防止層6は、必ずしも透明導電層5と表面電極7との間に限られず、必要な場所に適宜設けることができる。表面電極7上には、必要に応じてカバーガラス8が設けられる。表面電極7とカバーガラス8との間は、図示しないが、樹脂封止され、または接着用の透明樹脂で接着される。光吸収層3の端部または太陽電池10の端部は封止されていてもよい。封止材料としては、ガラス基板1を構成するガラス材料と同様のガラス材料、その他のガラス材料、樹脂材料が挙げられる。
なお、太陽電池10の各層の厚さは、図示されるような厚さに限定されない。また、太陽電池10としては、図1に示されるような太陽電池10と略同様の層構成を有する複数のセルを有し、各セルが電気的に接続されたモジュール状のものであってもよい。
光吸収層3は、上記したような太陽電池用ガラス基板1上に形成した場合、その厚さ方向にNa量[atoms/cc]の分布を有するとともに、その厚さ方向にK量[atoms/cc]の分布を有する。このような光吸収層3の厚さ方向におけるNa量[atoms/cc]の最大値とK量[atoms/cc]の最大値との比(Na/K)は1.0以下であることが好ましい。
比(Na/K)が1.0以下の場合、Ga拡散量が最適となるために最適なバンドギャップを得ることができ、高い変換効率を達成できる。比(Na/K)は、0.7以下がより好ましく、0.4以下がさらに好ましい。
なお、光吸収層3の厚さ方向におけるK量[atoms/cc]の最大値は、好ましくは1.0×1018[atoms/cc]以上、より好ましくは1.5×1018[atoms/cc]以上である。また、光吸収層3の厚さ方向におけるK量[atoms/cc]の最大値は、好ましくは9.0×1019[atoms/cc]以下、より好ましくは8.0×1018[atoms/cc]以下である。
このような比(Na/K)およびK量[atoms/cc]の最大値は、例えば、上記したような所定の太陽電池用ガラス基板1を用いるとともに、後述するような所定の熱処理を行うことで得ることができる。
次に、太陽電池の製造方法の実施形態について説明する。
実施形態の製造方法は、太陽電池用ガラス基板上に、電極層と、11族元素および13族元素を含有するプリカーサ層とが少なくともこの順に設けられた被処理基板に対し、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下、最高到達温度が600℃以上の温度範囲内で2〜90分の熱処理を行う工程を有する。
実施形態の製造方法に用いられる太陽電池用ガラス基板は、600℃以上のガラス転移点Tgを有する。また、実施形態の製造方法に用いられる太陽電池用ガラス基板は、酸化物基準の質量百分率表示でのNaOの含有量とKOの含有量との比(NaO/KO)が1.1以下である。さらに、実施形態の製造方法に用いられる太陽電池用ガラス基板は、酸化物基準の質量百分率表示でのSrOの含有量とBaOの含有量との和(SrO+BaO)が10質量%以下である。
実施形態の製造方法では、ガラス転移点Tg、比(NaO/KO)、および和(SrO+BaO)が所定の範囲内にある太陽電池用ガラス基板を用いるとともに、最高到達温度および熱処理時間が所定の範囲内となるように熱処理を行う。これにより、Ga拡散量を最適にすることができ、最適なバンドギャップを有するとともに、結晶性の良好な光吸収層を得ることができる。結果として、変換効率が高い太陽電池を製造できる。
ガラス転移点Tgが600℃未満の場合、最高到達温度が600℃以上の熱処理によって得られる光吸収層に反りや剥がれが発生し、太陽電池を製造できないおそれがある。ガラス転移点Tgは、600℃以上であれば光吸収層の形成を担保できるが、620℃以上が好ましく、640℃以上がより好ましく、特に好ましくは660℃以上である。一方、溶解時の粘性を上げ過ぎないようにするために、好ましくは720℃以下、より好ましくは710℃以下、さらに好ましくは700℃以下、特に好ましくは690℃以下である。
比(NaO/KO)が1.1を超える場合、熱処理によって所望のバンドギャップを有する光吸収層を形成することが困難となる。熱処理によって所望のバンドギャップを有する光吸収層を効率的に形成する観点から、比(NaO/KO)は、好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.7以下、特に好ましくは0.4以下である。
また、和(SrO+BaO)が10質量%を超える場合、熱処理によって所望のバンドギャップを有する光吸収層を形成することが困難となるとともに、ガラス密度が大きくなるために太陽電池の軽量化の観点から好ましくなく、また太陽電池の強度を確保する観点からも好ましくない。和(SrO+BaO)は、好ましくは6%以下、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2%以下である。含有量は、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは1.3%以上、特に好ましくは1.5%以上である。
実施形態の製造方法に使用される太陽電池用ガラス基板のガラス組成は必ずしも制限されないが、例えば、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを45〜68%、Alを1〜19%、MgOを0〜10%、CaOを0〜10%、SrOを0〜19%、BaOを0〜12%、ZrOを0〜11%、NaOを0〜15%、KOを3〜21%、NaOおよびKOを合計で3〜25%含有するものである。なお、各成分の限定理由については、既に説明した通りである。
実施形態の製造方法に使用される太陽電池用ガラス基板は、好ましくは、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを45〜68%、Alを1〜19%、MgOを0〜10%、CaOを0〜10%、SrOを0〜10%、BaOを0〜10%、ZrOを0〜11%、NaOを0〜15%、KOを3〜21%、NaOおよびKOを合量で3〜25%含有するものである。
実施形態の製造方法に使用される太陽電池用ガラス基板は、さらに好ましくは、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを55〜62%、Alを8.5〜13%、MgOを3〜10%、CaOを3.5〜7%、SrOを0〜10%、BaOを0〜1%、ZrOを1.5〜8%、NaOを0〜5%、KOを3〜21%、NaOおよびKOを合量で3〜25%含有するものである。
以下、図1に示す太陽電池10を例に挙げて実施形態の製造方法を説明する。
なお、太陽電池10における各層に対応する層については、太陽電池10における層と同様の符号を付して説明する。例えば、光吸収層3の形成に利用されるプリカーサ層については、光吸収層3と同様の符号を付して説明する。
まず、太陽電池用ガラス基板1上に、電極層2と、11族元素および13族元素を含有するプリカーサ層3とが少なくともこの順に設けられた被処理基板を用意する。被処理基板は、ガラス基板1上に、例えば、電極層2およびプリカーサ層3をこの順に形成して製造する。
電極層2は、例えば、太陽電池用ガラス基板1上に、スパッタリング法、蒸着法等により、MoまたはTi等からなる金属層を形成する。また、プリカーサ層3は、スパッタリング法、蒸着法等により、電極層2上に、11族元素および13族元素を含有する層を形成する。具体的には、積層構造を有するものとして、Cu層上にGa層を形成したもの、Cu層上にIn層を形成したもの、CuおよびGaの合金層上にIn層を形成したもの、また単層構造を有するものとして、Cu、Ga、およびInの合金層が挙げられる。
被処理基板には、セレン源を含む雰囲気もしくは硫黄源を含む雰囲気下、最高到達温度が600℃以上の温度範囲内で2〜90分の熱処理を行う。熱処理は、アニール装置内に被処理基板を配置し、装置内に設けられたヒータにより加熱するとともに、雰囲気中のセレン源もしくは硫黄源を接触させることにより行うことができる。セレン源としては、セレン化水素を1〜20体積%含有するセレン化水素ガスが好適に用いられ、セレン化水素を2〜10体積%含有するセレン化水素ガスがより好適に用いられる。硫黄源としては、硫化水素を1〜30体積%含有するセレン化水素ガスが好適に用いられ、硫化水素を2〜20体積%含有するセレン化水素ガスがより好適に用いられる。
熱処理は、最高到達温度が600℃以上となるものであって、600℃以上での熱処理時間が2〜90分となるものであればよく、例えば、600℃以上の温度範囲内で温度を変化させてもよく、具体的には、600℃以上の温度範囲内において複数の異なる温度で保持するような複数段階の熱処理を行ってもよい。
なお、熱処理時間には、600℃以上の温度範囲内において、昇温速度が10℃/分未満かつ降温速度が20℃/分未満となるときの時間のみが含まれる。すなわち、熱処理は、600℃以上の温度範囲内において、昇温速度が10℃/分未満かつ降温速度が20℃/分未満となるときの時間が2〜90分となるように行う。熱処理は、変換効率が向上された太陽電池を効率的に製造する観点から、600℃以上の温度範囲内で10〜60分行うことが好ましく、600℃以上の温度範囲内で15〜45分行うことが好ましい。
プリカーサ層3の熱処理後、すなわち光吸収層3の形成後、この光吸収層3上に、例えば、バッファ層4、透明導電層5、反射防止層6、表面電極7、およびカバーガラス8をこの順に設けて太陽電池10とする。バッファ層4は、例えば、CBD法等によって、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、InS、等を形成する。また、透明導電層5は、スパッタリング法、蒸着法等により、ZnO、ITO等を形成する。表面電極7は、スパッタリング法、蒸着法等により、例えば、Al等を形成する。この際、必要に応じて、反射防止層6、カバーガラス8を設ける。
なお、太陽電池10としては、複数のセルを有し、各セルが電気的に接続されたモジュール状のものであってもよい。複数のセルを有するモジュール状の太陽電池10は、例えば、ガラス基板上1にMo電極2を製膜した後にMo電極2をレーザスクライブ等によりパターニングしてから、同様にしてガラス基板1上に光吸収層3等を形成し、その後、バッファ層4、透明導電層5、表面電極7等を形成した後、各セル間となる部分における透明導電層5から光吸収層3までにメカニカルスクライブやレーザスクライブにより所定の深さの溝部を設けて複数セルを直列につなげることで製造できる。
このようにして太陽電池10を製造した場合、光吸収層3は、その厚さ方向にNa量[atoms/cc]の分布を有するとともに、その厚さ方向にK量[atoms/cc]の分布を有する。このような光吸収層3の厚さ方向におけるNa量[atoms/cc]の最大値とK量[atoms/cc]の最大値との比(Na/K)は1.0以下であることが好ましい。比(Na/K)が1.0以下の場合、Ga拡散量が最適となるために最適なバンドギャップを得ることができ、高い変換効率を達成できる。比(Na/K)は、0.7以下がより好ましく、0.4以下がさらに好ましい。
以下、実施例および比較例を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本発明の実施形態はこれらの実施例に限定されない。
表1に示すガラス組成、密度、50〜350℃の平均熱膨張係数、およびガラス転移点Tgを有するガラス基板を用いて評価用の太陽電池を作製し、評価を行った。ガラス基板の各物性は、以下に示す方法により測定した。
密度:気泡を含まない約20gのガラス塊をアルキメデス法によって測定した。
50〜350℃の平均熱膨張係数:示差熱膨張計(TMA)を用いて測定し、JIS R3102(1995年度)より求めた。
ガラス転移点Tg:示差熱膨張計(TMA)を用いて測定し、JIS R3103−3(2001年度)により求めた。
評価用の太陽電池としては、上記ガラス基板を用いて、図2、3に示すような複数のセル11を有する評価用の太陽電池10を作製した。ここで、図2(a)は太陽電池10における1つのセル11を上面から見た平面図であり、図2(b)は図2(a)に示されるA−A線の断面図である。また、図3は、太陽電池10の全体を上面から見た平面図である。図2、3に示す太陽電池10の層構成は、反射防止層6、カバーガラス8を有しない以外は、図1に示す太陽電池10の層構成とほぼ同様である。
まず、ガラス基板1を、大きさ3cm×3cm、厚さ1.1mmに加工した。ガラス基板1上には、スパッタ法によりMo電極2を成膜した。成膜は室温にて実施し、厚み450nmのMo電極2を得た。このMo電極2上に、CuGa合金ターゲットを用いたスパッタ法によりCuGa合金層を成膜し、続いてInターゲットを用いたスパッタ法によりIn層を成膜し、In−CuGaのプリカーサ層3とした。成膜は室温にて実施した。プリカーサ層3は、蛍光X線にて測定される組成におけるCu/(Ga+In)比(原子比)が0.8、Ga/(Ga+In)比(原子比)が0.25となるように各層の厚みを調整し、厚みは650nmとした。
プリカーサ層3が形成されたガラス基板1に対し、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置により、最高到達温度Tで時間30分だけ保持してCIGS層3を形成した。
ここで、250℃から500℃までの昇温過程ではアルゴンおよびセレン化水素の混合雰囲気(セレン化水素はアルゴンに対し5体積%)にて行い、CuとInとGaとを、Seと反応させた。500℃から最高到達温度Tまでの昇温過程および最高到達温度Tから180℃までの降温過程では、アルゴンおよび硫化水素の混合雰囲気(硫化水素はアルゴンに対し10体積%)にて行い、CIGS層3を形成した。得られたCIGS層3の厚みは2μmであった。
CIGS層3上に、CBD(Chemical Bath Deposition)法にて、CdS層4を成膜した。具体的には、まず、ビーカー内で、濃度0.01Mの硫酸カドミウム、濃度1.0Mのチオウレア、濃度15Mのアンモニア、および純水を混合して混合液を調製した。次に、CIGS層3が形成されたガラス基板1を上記ビーカー内の混合液に浸し、ビーカーごと予め水温を70℃にしておいた恒温バス槽に入れて15分程度放置し、CdS層4を50〜80nm成膜した。
さらに、スパッタ法にて、CdS層4上に透明導電層5を以下の方法で成膜した。まず、ZnOターゲットを使用して厚さ280nmのZnO層を成膜し、次に、AZOターゲット(Alを1.5質量%含有するZnOターゲット)を使用して厚さ200nmのAZO層を成膜した。各層の成膜は室温にて実施し、厚み480nmの2層構成の透明導電層5を得た。AZO層上に、EB蒸着法により、膜厚1μmのU字型のAl電極7を成膜した(電極形状:縦8mm、横4mm、電極幅0.5mm)。
最後に、メカニカルスクライブによって透明導電層5からCIGS層3までを削って溝部12を形成し、セル化を行った。一つのセル11は、幅0.6cm、長さ1cmで、表面電極7を除いた面積が0.5cmであり、図3に示すように、1枚のガラス基板1上に合計8個のセル11が形成された評価用の太陽電池10を作製した。
次に、評価用の太陽電池10について、以下の評価を行った。結果を表2および図4、5に示す。なお、表2には、参考のために表1に示したガラス基板の比(NaO/KO)および和(SrO+BaO)等を合わせて示す。
「変換効率」
ソーラーシミュレータ(山下電装株式会社製、商品名「YSS−T80A」)に、評価用の太陽電池10を設置し、Mo電極2にプラス端子を(不図示)、U字状のアルミニウム電極7の下端部分にマイナス端子13を設け、それぞれ電圧発生器に接続した。ソーラーシミュレータ内の温度は、25℃で一定となるように温度調節機により制御した。疑似太陽光を照射し、10秒後に電圧を−1Vから+1Vまで0.015V間隔で変化させ、8個のセル11のそれぞれの電流値を測定した。
この照射時の電流と電圧特性とから変換効率を下記式(1)により算出した。8個のセル11のうち最も効率の良いセル11における変換効率の値を表2に示す。試験に用いた光源の照度は0.1W/cmであった。
変換効率[%]=Voc[V]×Jsc[A/cm]×FF[無次元]×100
/試験に用いる光源の照度[W/cm] ……式(1)
変換効率は、開放電圧(Voc)と短絡電流密度(Jsc)と曲線因子(FF)との積として求められる。なお、開放電圧(Voc)は端子を開放した時の出力であり、短絡電流(Isc)は短絡した時の電流である。短絡電流密度(Jsc)は表面電極7を除いたセル11の面積で短絡電流(Isc)を割ったものである。
また、最大の出力を与える点が最大出力点と呼ばれ、その点の電圧が最大電圧値(Vmax)、電流が最大電流値(Imax)と呼ばれる。最大電圧値(Vmax)と最大電流値(Imax)の掛け算の値を、開放電圧(Voc)と短絡電流(Isc)の掛け算の値で割った値が曲線因子(FF)として求められる。上記の値を使用し、変換効率を求めた。
「CIGS層中のNa量およびK量の測定」
セル11の特性として、CIGS層3中のNa量とK量をSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)を用いて測定した。測定には、アルバック・ファイ社製ADEP1010を用い、一次イオンとしてはO2+を用いて測定を行った。なお、測定条件は、加速電圧:5[kV]、ビーム電流:700 [nA], ラスターサイズ:300×300 [μm], 試料角度:45[°]である。
「CIGS層中のNa/Kの算出」
SIMSにより測定したNa量とK量の厚さ方向(膜厚方向)プロファイルはCIGS層中に最大値をとる。Na量、K量のそれぞれの最大値からCIGS層中のNa/Kを算出した。
「SEM像の測定」
イオンミリング装置(E―3500、日立ハイテク製)とFE−SEM(SU−70、日立ハイテク製)を用いて、SEM像を取得した。すなわち、セル11を半分に割断し、イオンミリング装置で断面を処理し、加速電圧1.5kVの走査電子線を用いて観察した。代表例として、実施例1のSEM像を図4に、比較例3のSEM像を図5にそれぞれ示す。なお、実施例1と比較例3とは、ガラス基板の種類が同じで、熱処理の最高到達温度Tが異なるものである。
Figure 2014067903
Figure 2014067903
図4、5に示すように、所定のガラス基板を用いるとともに600℃以上の最高到達温度Tで作製した実施例1の太陽電池(図4)は、同様のガラス基板を用いて600℃未満の最高到達温度Tで作製した比較例3の太陽電池(図5)に比べて、表面が平坦になり、かつ膜中の空隙も減少しており、結晶性が向上していることが分かる。
また、表2より明らかなように、比(NaO/KO)が1.1以下であり、かつ和(SrO+BaO)が10質量%以下であるガラス基板を用いて、600℃以上の最高到達温度Tで熱処理を行って得られた実施例1〜8の太陽電池は高い変換効率が得られる。
一方、600℃未満の最高到達温度Tで熱処理を行って得られた比較例1〜8の太陽電池は、基本的に変換効率が低くなる。また、比較例9〜12の太陽電池のように、最高到達温度600℃以上の熱処理を行っても、比(NaO/KO)が1.1を超えるガラス基板、または和(SrO+BaO)が10質量%を超えるガラス基板を用いた場合、基本的に変換効率が低くなる。
また、表2より明らかなように、高い変換効率を示す実施例1〜8の太陽電池は、結果的に光吸収層中の比(Na/K)が1.0以下となっている。
1…太陽電池用ガラス基板、2…裏面電極、3…光吸収層、4…バッファ層、5…透明導電層、6…反射防止層、7…表面電極、8…カバーガラス、10…太陽電池、11…セル、12…溝部

Claims (11)

  1. 600℃以上のガラス転移点Tgを有し、酸化物基準の質量百分率表示でのNaOの含有量とKOの含有量との比(NaO/KO)が1.1以下でありかつSrOの含有量とBaOの含有量との和(SrO+BaO)が10質量%以下である太陽電池用ガラス基板上に、電極層と、11族元素および13族元素を含有するプリカーサ層とが少なくともこの順に設けられた被処理基板に対し、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下、最高到達温度が600℃以上の温度範囲内で2〜90分の熱処理を行う工程を有することを特徴とする太陽電池の製造方法。
  2. 前記太陽電池用ガラス基板は、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを45〜68%、Alを1〜19%、MgOを0〜10%、CaOを0〜10%、SrOを0〜19%、BaOを0〜12%、ZrOを0〜11%、NaOを0〜15%、KOを3〜21%、NaOおよびKOを合計で3〜25%含有する請求項1記載の太陽電池の製造方法。
  3. 前記太陽電池用ガラス基板は、前記比(NaO/KO)が0.9以下である請求項1または2記載の太陽電池の製造方法。
  4. 前記太陽電池用ガラス基板は、前記比(NaO/KO)が0.7以下である請求項1または2記載の太陽電池の製造方法。
  5. 前記太陽電池用ガラス基板は、前記和(SrO+BaO)が6質量%以下である請求項1乃至4のいずれか1項記載の太陽電池の製造方法。
  6. 前記太陽電池用ガラス基板は、前記和(SrO+BaO)が2質量%以下である請求項1乃至4記載の太陽電池の製造方法。
  7. 前記太陽電池用ガラス基板は、50〜350℃の平均熱膨張係数が60×10−7/K〜110×10−7/Kである請求項1乃至6のいずれか1項記載の太陽電池の製造方法。
  8. 酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを55〜62%、Alを8.5〜13%、MgOを3〜10%、CaOを3.5〜7%、SrOを0〜10%、BaOを0〜1%、ZrOを1.5〜8%、NaOを0〜5%、KOを3〜21%、NaOおよびKOを合量で3〜25%含有したガラス基板であって、
    600℃以上のガラス転移点Tgを有し、酸化物基準の質量百分率表示でのNaOの含有量とKOの含有量との比(NaO/KO)が0.4以下でありかつSrOの含有量とBaOの含有量との和(SrO+BaO)が10質量%以下であることを特徴とする太陽電池用ガラス基板。
  9. 請求項8記載の太陽電池用ガラス基板と、前記太陽電池用ガラス基板上に成膜された光吸収層とを少なくとも有する太陽電池であって、
    前記光吸収層は、その厚さ方向におけるNa量[atoms/cc]の最大値と、その厚さ方向におけるK量[atoms/cc]の最大値との比(Na/K)が1.0以下であることを特徴とする太陽電池。
  10. 前記比(Na/K)が0.7以下である請求項9記載の太陽電池。
  11. 前記比(Na/K)が0.4以下である請求項9記載の太陽電池。
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