JP2014139990A - 光吸収層、太陽電池、およびこれらの製造方法 - Google Patents

光吸収層、太陽電池、およびこれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】セレン化法により、反射率が低く、かつ膜質が良好な光吸収層を製造する。
【解決手段】光吸収層の製造方法は、プリカーサ層形成工程、第1の熱処理工程、および第2の熱処理工程を有する。プリカーサ層形成工程は、13族元素の含有量に対する11族元素の含有量の原子比が1.0未満であるプリカーサ層を形成する。第1の熱処理工程は、セレン源を含む雰囲気下、熱処理温度をTかつ熱処理時間をtとしたとき、0≦Log((T−350)×(t−5))≦100を満たす熱処理を行う。第2の熱処理工程は、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下、熱処理温度をT、熱処理時間をtとしたとき、0≦Log((T−560)×(t−10))≦40を満たす熱処理を行う。第1の熱処理工程への昇温速度は3〜12℃/分、第1の熱処理工程から第2の熱処理工程への昇温速度は3〜12℃/分である。
【選択図】なし

Description

本発明は、光吸収層、太陽電池、およびこれらの製造方法に関する。
カルコパイライト型の太陽電池は、光吸収層として、11族元素、13族元素、16族元素を含むカルコパイライト化合物を有する。このような光吸収層の形成方法として、例えば、セレン化法が知られている。セレン化法は、例えば、ガラス基板上に、裏面電極、および光吸収層となるプリカーサ層をこの順にスパッタリング法等により形成した後、セレン源を含む雰囲気中で熱処理するセレン化工程を行う(例えば、特許文献1参照)。さらに、必要に応じて、硫黄源を含む雰囲気中で熱処理する硫化工程を行う。プリカーサ層として、例えば、Cu層上にIn層を有するもの、CuおよびGaの合金層上にIn層を有するものなどの積層構造を有するもの、Cu、Ga、およびInからなる合金層のように単層構造を有するものが知られている。
一般に、太陽電池では、光を電気に変換する機構から、光吸収層における光取込み量を増やすことで発電効率を向上できる。光取込み量を増やす方法として、光吸収層の裏面側に反射層等を設けて反射を増やす方法(例えば、特許文献2、3参照)、光吸収層の光入射側に配置される電極の表面を凹凸形状にして実効的な光取込み量を増やす方法(例えば、特許文献4参照)が知られている。しかし、反射層等を設ける場合、製造工程の増加によって生産性が低下するおそれがある。また、凹凸形状を設ける場合、機械強度が低下するおそれがあり、また製造工程の増加によって生産性が低下するおそれがある。
また、特にセレン化法によるカルコパイライト型の光吸収層の形成において、所定の温度および時間で硫化を行う第1の熱処理の後、これよりも低い温度かつ長時間で硫化を行う第2の熱処理を行うことで、光電変換効率を向上させることが知られている(例えば、特許文献5参照)。
米国特許第4,798,660号 特表2007−528600 特開2011−258858 特開2011−223023 特許第4620105号
一般に、太陽電池では、光を電気に変換する機構から、光吸収層における光取込み量を増やすことで発電効率を向上できる。しかし、上記したように新たに反射層等を設けると生産性が低下することから、光吸収層自体の反射率を低下させることが好ましい。また、光吸収層の反射率が低下しても、膜質が良好でないと光電変換効率が低下することから、膜質を維持しつつ、反射率を低下させることが求められる。
セレン化法によるカルコパイライト型の光吸収層の形成においては、特定の温度および時間で硫化を行うことで光電変換効率を向上できることが知られている。しかし、光吸収層の好ましい反射率やこのような反射率が得られる表面形状については明らかとなっておらず、またこのような反射率等が得られる具体的な組成や熱処理条件についても明らかとなっていない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、セレン化法によるカルコパイライト型の光吸収層の製造方法であって、反射率が低く、かつ膜質が良好な光吸収層が得られる製造方法の提供を目的とする。また、本発明は、このような製造方法によって光吸収層を製造する太陽電池の製造方法の提供を目的とする。
さらに、本発明は、反射率が低く、かつ膜質が良好なカルコパイライト型の光吸収層の提供を目的とする。また、本発明は、このような光吸収層を有する太陽電池の提供を目的とする。
本発明の光吸収層の製造方法は、セレン化法によるカルコパイライト型の光吸収層の製造方法に関する。本発明の光吸収層の製造方法は、プリカーサ層形成工程、第1の熱処理工程、および第2の熱処理工程を有する。
プリカーサ層形成工程は、11族元素および13族元素を含有し、13族元素の含有量に対する11族元素の含有量の原子比が1.0未満であるプリカーサ層を形成する。
第1の熱処理工程は、プリカーサ層に対し、セレン源を含む雰囲気下、350〜550℃の温度範囲内かつ5〜30分の時間範囲内の熱処理であって、熱処理温度をTかつ熱処理時間をtとしたとき、0≦Log((T−350)×(t−5))≦100を満たす熱処理を行う。
第2の熱処理工程は、プリカーサ層に対し、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下、560〜650℃の温度範囲内かつ10〜60分の時間範囲内の熱処理であって、熱処理温度をT、熱処理時間をtとしたとき、0≦Log((T−560)×(t−10))≦40を満たす熱処理を行う。
さらに、本発明の光吸収層の製造方法では、第1の熱処理工程への昇温速度が3〜12℃/分、第1の熱処理工程から第2の熱処理工程への昇温速度が3〜12℃/分である。
本発明の太陽電池の製造方法は、ガラス基板上に、裏面電極、光吸収層、バッファ層、透明導電層、および表面電極が少なくともこの順に形成された太陽電池の製造方法であって、光吸収層を上記した本発明の光吸収層の製造方法によって製造する。
本発明の光吸収層は、11族元素および13族元素を含有するカルコパイライト型の光吸収層に関する。本発明の光吸収層は、13族元素の含有量に対する11族元素の含有量の原子比が1.0未満である。また、本発明の光吸収層は、少なくとも一方の主面に最下点と最高点との高さの差が0.5〜1.5μmである凹凸構造を有する。
本発明の太陽電池は、ガラス基板上に、裏面電極、光吸収層、バッファ層、透明導電層、および表面電極が少なくともこの順に形成された太陽電池であって、光吸収層が上記した本発明の光吸収層である。
本発明によれば、セレン化法によって、反射率が低く、かつ膜質が良好なカルコパイライト型の光吸収層を製造できる。これにより、光取込み量が増加した発電効率の良好な太陽電池を製造できる。
太陽電池の一実施形態を模式的に示す断面図。 実施例、比較例の太陽電池における一部のセルを示す平面図および断面図。 実施例および比較例の太陽電池の全体を示す平面図。 実施例13の太陽電池の一部断面SEM像。 実施例2の太陽電池の一部断面SEM像。 比較例6の太陽電池の一部断面SEM像。 比較例10の太陽電池の一部断面SEM像。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、光吸収層および太陽電池の一実施形態を模式的に示す断面図である。なお、太陽電池10の各層の厚さは、図示される厚さに限定されない。
太陽電池10は、例えば、ガラス基板11上に、アルカリ調節層12、裏面電極13、光吸収層14、バッファ層15、透明導電層16、反射防止層17、表面電極18、およびカバーガラス19をこの順に有する。
アルカリ調節層12は、必要に応じて設けられるものであり、例えばガラス基板11と裏面電極13との間に設けられるが、必ずしもガラス基板11と裏面電極13との間に限られず、必要な場所に適宜設けることができる。アルカリ調節層12は、例えば、SiO、TiO、TiN等から選ばれるアルカリバリア層、NaS、NaNbO、KNbO等から選ばれるアルカリ供給層、またはこれらの両方から構成される。
裏面電極13は、正電極となるものであり、例えば、MoまたはTi等の高耐食性および高融点の金属からなり、スパッタリング法、蒸着法等により形成される。
光吸収層14は、11族元素および13族元素を含有を含有するカルコパイライト系化合物半導体からなる。カルコパイライト系化合物半導体は、例えば、CIS系化合物半導体が知られており、例えば、Cu(In,Ga)Se(CIGS)、Cu(In,Ga)(Se,S)(CIGSS)、CuInS(CIS)が挙げられる。なお、Cu(In,Ga)Seとは、Cu、In、Ga、およびSeから主に構成された化合物をいう。また、Cu(In,Ga)(Se,S)とは、Cu、In、Ga、Se、およびSから主に構成された化合物をいう。
光吸収層14は、13族元素の含有量に対する11族元素の含有量の原子比(11族元素の含有量/13族元素の含有量)が1.0未満である。上記原子比を1.0未満とすることで、反射率が低く、かつ膜質が良好な光吸収層14となる。上記原子比は、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。
また、光吸収層14は、13族元素としてGaを含み、13族元素の合計量に対するGaの含有量の原子比(Gaの含有量/13族元素の合計量)が0.1以上であることが好ましい。上記原子比を0.1以上とすることで、反射率が低く、かつ膜質が良好な光吸収層14となる。上記原子比は、0.15以上が好ましく、0.20以上がより好ましい。また、上記原子比は、0.40以下が好ましく、0.28以下がより好ましい。
光吸収層14は、少なくとも一方の主面に、最下点と最高点との高さの差が0.5〜1.5μmである凹凸構造を有する。このような凹凸構造によれば、反射率が低くなるとともに、膜質も良好なものとなる。このような凹凸構造は、特にバッファ層15側の主面に有することが好ましい。なお、実施形態の光吸収層14については、光吸収層14を含む任意の断面における5μm×6μmの領域をSEM(Scanning Electron Microscope)等により観察したときに、光吸収層14の最下点と最高点との高さの差が0.5〜1.5μmとなっていれば上記凹凸構造を有するものとする。このような光吸収層14は、後述の製造方法によって製造することができる。
バッファ層15は、例えば、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、InS等からなり、CBD法、スパッタリング法、ALD法等により形成される。また、透明導電層16は、ZnO、ITO等からなり、スパッタリング法、蒸着法、MOCVD法等により形成される。表面電極18は、負極となるものであり、例えば、Al等の金属からなり、スパッタリング法、蒸着法等により形成される。
反射防止層17は、必要に応じて設けられるものであり、例えば透明導電層16と表面電極18との間に設けられる。なお、反射防止層17は、必ずしも透明導電層16と表面電極18との間に限られず、必要な場所に適宜設けることができる。
カバーガラス19は、必要に応じて表面電極18上に設けられる。表面電極18とカバーガラス19との間は、図示しないが、樹脂封止され、または接着用の透明樹脂で接着される。なお、太陽電池10の端部は封止されていてもよい。封止材料としては、ガラス基板11を構成するガラス材料と同様のガラス材料、その他のガラス材料、樹脂材料等が挙げられる。
次に、光吸収層14および太陽電池10の製造方法の実施形態について説明する。
なお、太陽電池10の形成に利用される層については、太陽電池10における層と同一の符号を付して説明する。例えば、光吸収層14の形成に利用されるプリカーサ層は、光吸収層14と同一の符号を付して説明する。
実施形態の光吸収層14の製造方法は、セレン化法によるカルコパイライト型の光吸収層の製造方法に関する。実施形態の光吸収層14の製造方法は、プリカーサ層形成工程、第1の熱処理工程、および第2の熱処理工程を有する。
プリカーサ層形成工程は、11族元素および13族元素を含有し、13族元素の含有量に対する11族元素の含有量の原子比が1.0未満であるプリカーサ層14を形成する。
第1の熱処理工程は、プリカーサ層14に対し、セレン源を含む雰囲気下、350〜550℃の温度範囲内かつ5〜30分の時間範囲内の熱処理であって、熱処理温度をTかつ熱処理時間をtとしたとき、0≦Log((T−350)×(t−5))≦100を満たす熱処理を行う。
第2の熱処理工程は、プリカーサ層14に対し、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下、560〜650℃の温度範囲内かつ10〜60分の時間範囲内の熱処理であって、熱処理温度をT、熱処理時間をtとしたとき、0≦Log((T−560)×(t−10))≦40を満たす熱処理を行う。
さらに、実施形態の光吸収層の製造方法では、第1の熱処理工程への昇温速度を3〜12℃/分、第1の熱処理工程から第2の熱処理工程への昇温速度を3〜12℃/分とする。
このような製造方法によれば、プリカーサ層形成工程、第1の熱処理工程、および第2の熱処理工程に加えて、第1の熱処理工程への昇温速度および第2の熱処理工程への昇温速度を所定の昇温速度とすることで、反射率が低く、かつ膜質が良好な光吸収層14を製造できる。また、このような製造方法によれば、少なくとも一方の主面に、最下点と最高点との高さの差が0.5〜1.5μmである凹凸構造を有する光吸収層14を製造できる。
プリカーサ層14は、例えば、ガラス基板11上に、アルカリ調節層12、裏面電極13を介して形成される。なお、アルカリ調節層12については、必要に応じて適宜設けることができる。以下では、ガラス基板11上にアルカリ調節層12や裏面電極13等を介してプリカーサ層14が形成されたものを被処理基板と記す。
ガラス基板11は、熱処理が可能なものであれば必ずしも制限されないが、ガラス転移点Tgが580℃以上のものが好ましく、ソーダライムガラスよりも高いガラス転移点Tgを有するものが好ましい。ガラス転移点Tgが580℃未満の場合、ガラス基板11または光吸収層14に反りや剥がれが発生しやすく、光吸収層14を製造できないおそれがある。
ガラス転移点Tgは、光吸収層14の形成を担保するために600℃以上が好ましく、610℃以上がより好ましく、620℃以上がさらに好ましい、特に好ましくは625℃以上である。一方、溶解時の粘性を上げ過ぎないようにするために、好ましくは700℃以下、より好ましくは690℃以下、さらに好ましくは685℃以下、特に好ましくは680℃以下である。
ガラス基板11の50〜350℃の平均熱膨張係数は、60〜110×10−7/℃が好ましい。平均熱膨張係数が60×10−7/℃未満または110×10−7/℃を超える場合、光吸収層14等との熱膨張差が大きくなりすぎ、剥がれが発生しやすくなる。平均熱膨張係数の下限値は、好ましくは65×10−7/℃以上、より好ましくは70×10−7/℃以上、さらに好ましくは73×10−7/℃以上である。また、上限値は、好ましくは100×10−7/℃以下、より好ましくは95×10−7/℃以下、さらに好ましくは90×10−7/℃以下である。
ガラス基板11のヤング率は、75GPa以上が好ましい。ヤング率が75GPa未満の場合、一定応力下でのひずみ量が大きくなり、製造過程で反りが発生して不具合が発生しやすく、正常に成膜できないおそれがある。また、太陽電池10の反りも大きくなりやすいために好ましくない。ヤング率は、より好ましくは76GPa以上、さらに好ましくは77GPa以上である。
ガラス基板11の密度は、2.9g/cm以下が好ましい。密度が2.9g/cmを超えると、太陽電池10が重くなるために好ましくない。密度は、より好ましくは2.8g/cm以下、さらに好ましくは2.7g/cm以下、特に好ましくは2.6g/cm以下である。
ヤング率(以下、「E」ともいう)を密度(以下、「d」ともいう)で割った比弾性率(E/d)は、28GPa・cm/g以上が好ましい。比弾性率が28GPa・cm/gより小さいと、例えば、製造過程でのローラー搬送中、もしくは部分的な支持の際、自重で撓んでしまうために正常に移動できないおそれがある。比弾性率は、より好ましくは29GPa・cm/g以上、さらに好ましくは30GPa・cm/g以上である。なお、比弾性率(E/d)を28GPa・cm/g以上とするには、ヤング率と密度とを上記範囲内で調整すればよい。
ガラス基板11は、例えば、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを45〜68%、Alを1〜19%、MgOを0〜10%、CaOを0〜10%、SrOを0〜19%、BaOを0〜12%、ZrOを0〜11%、NaOを0〜15%、KOを3〜21%、NaOおよびKOを合計で3〜25%含有するものが好ましい。
SiO:ガラスの骨格を形成する成分で、45%未満ではガラスの耐熱性および化学的耐久性が低下し、平均熱膨張係数が増大するおそれがある。好ましくは48%以上であり、より好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは55%以上である。しかし、68%超ではガラスの高温粘度が上昇し、溶解性が悪化する問題が生じるおそれがある。好ましくは66%以下であり、より好ましくは65%以下であり、さらに好ましくは62%以下である。
Al:ガラス転移点Tgを上げ、耐候性(ソラリゼーション)、耐熱性、および化学的耐久性を向上し、ヤング率を上げる。その含有量が1%未満だとガラス転移点Tgが過度に低下するおそれがある。また平均熱膨張係数が過度に増大するおそれがある。含有量は、好ましくは2%以上であり、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは4%以上、特に好ましくは6%以上である。しかし、19%超では、ガラスの高温粘度が上昇し、溶解性が悪くなるおそれがある。また、失透温度が上昇し、成形性が悪くなるおそれがある。好ましくは18%以下、より好ましくは16%以下、さらに好ましくは13%以下、特に好ましくは11%以下である。
MgO:ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので含有させてもよい。含有量が少ないとガラスの高温粘度が上昇して十分な溶解性が得られないおそれがある。含有量は、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1%以上であり、さらに好ましくは2%以上であり、特に好ましくは4%以上である。しかし、10%超では、平均熱膨張係数が増大するおそれがある。また失透温度が上昇するおそれがある。好ましくは9%以下、より好ましくは8.5%以下、さらに好ましくは8%以下である。
CaO:ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので含有させることができる。含有量は、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、さらに好ましくは3%以上である。しかし、10%超ではガラスの平均熱膨張係数が増大するおそれがある。また、ナトリウムがガラス中で移動しにくくなり発電効率が低下するおそれがある。好ましくは9%以下、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは7%以下である。
SrO:ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので、含有させることができる。好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.3%以上、さらに好ましくは0.5%以上、特に好ましくは0.7%以上である。しかし、19%超含有すると平均熱膨張係数や密度が増大し、ガラスが脆くなるおそれがある。含有量は、15%以下が好ましく、14%以下がより好ましく、12%以下がさらに好ましく、10%以下が特に好ましい。
BaO:ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので、含有させることができる。しかし、12%超含有すると、平均熱膨張係数、密度が増加する、またはガラスが脆くなるおそれがある。また、ヤング率が低下するおそれがある。含有量は、9%以下が好ましく、6%以下がより好ましく、4%以下がさらに好ましく、2%以下が特に好ましい。
ZrO:ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので含有させることができる。しかし、11%超含有すると、失透温度が上昇して失透しやすくなり板ガラス成形が難しくなる。含有量は、9%以下が好ましく、7%以下がより好ましく、6%以下がさらに好ましい。また、含有量は、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、さらに好ましくは1.5%以上である。
NaO:NaOは変換効率の向上に寄与し、またガラス溶解温度での粘性を下げ、溶解しやすくする効果があるので含有させることができる。1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、3%以上がさらに好ましく、4%以上が特に好ましい。含有量が15%を超えると平均熱膨張係数が大きくなり、ガラス転移点Tgが低下する傾向がある。また、化学的耐久性が劣化し、ヤング率も低下するおそれがある。含有量は、12%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、9%以下がさらに好ましく、7%以下が特に好ましい。
O:NaOと同様の効果があり、3%以上含有させることが好ましい。しかし、21%超ではガラス転移点Tgが低下し、平均熱膨張係数が大きくなるおそれがあり、ヤング率も低下するおそれがある。含有する場合、3%以上が好ましく、4%以上がより好ましく、4.5%以上がさらに好ましく、5%以上が特に好ましい。また、12%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、9%以下がさらに好ましく、8%以下が特に好ましい。
NaOおよびKO:ガラス溶解温度での粘性を十分に下げるために、また変換効率の向上のために、合計で3%以上が好ましい。より好ましくは5%以上、さらに好ましくは9%以上、特に好ましくは11%以上である。しかし、25%超ではガラス転移点Tgが下がりすぎるおそれがあり、18%以下がより好ましく、16%以下がさらに好ましく、15%以下が特に好ましい。
ガラス基板11は、その他の成分を、それぞれ1%以下、合計で5%以下含有してもよい。より好ましくはそれぞれ0.5%以下である。例えば、耐候性、溶解性、失透性、紫外線遮蔽、屈折率等の改善を目的に、ZnO、LiO、WO、Nb、V、Bi、MoO、TlO、P等を含有してもよい。
また、溶解性、清澄性を改善するため、SO、F、Cl、SnOをそれぞれ1%以下、合量で2%以下含有してもよい。また、化学的耐久性向上のために、Y、Laを合量で2%以下含有してもよい。
また、ガラス基板11の色調を調整するため、ガラス基板11中にFe等の着色剤を含有してもよい。このような着色剤の含有量は、合量で1%以下が好ましい。
また、ガラス基板11は、環境負荷を考慮すると、As、Sbを実質的に含有しないことが好ましい。また、安定してフロート成形することを考慮すると、ZnOを実質的に含有しないことが好ましい。なお、ガラス基板11は、フロート法による成形に限らず、フュージョン法による成形により製造してもよい。
アルカリ調節層12は、例えば、スパッタリング法、蒸着法等により、SiO、TiO、TiN等から選ばれるアルカリバリア層、NaS、NaNbO、KNbO等から選ばれるアルカリ供給層、またはこれらの両方から構成されるものを形成する。裏面電極13は、例えば、スパッタリング法、蒸着法等により、MoまたはTi等からなる金属層を形成する。
プリカーサ層14は、スパッタリング法、蒸着法等により、11族元素および13族元素を含有し、13族元素の含有量に対する11族元素の含有量の原子比(11族元素の含有量/13族元素の含有量)が1.0未満となるように形成する。上記原子比を1.0未満とすることで、反射率が低く、かつ膜質が良好な光吸収層14を製造できる。上記原子比は、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。
また、プリカーサ層14は、13族元素としてGaを含み、13族元素の合計量に対するGaの含有量の原子比(Gaの含有量/13族元素の合計量)が0.1以上であることが好ましい。上記原子比を0.1以上とすることで、反射率が低く、かつ膜質が良好な光吸収層14を製造できる。上記原子比は、0.15以上が好ましく、0.20以上がより好ましい。また、上記原子比は、0.40以下が好ましく、0.28以下がより好ましい。
プリカーサ層14の具体的構造としては、積層構造を有するものとして、Cu層上にGa層が積層されたもの、Cu層上にIn層が積層されたもの、CuおよびGaの合金層上にIn層が積層されたもの、また単層構造を有するものとして、Cu、Ga、およびInの合金層が挙げられる。
第1の熱処理工程は、プリカーサ層14を有する被処理基板に対して、セレン源を含む雰囲気下、350〜550℃の温度範囲内かつ5〜30分の時間範囲内の熱処理であって、熱処理温度をTかつ熱処理時間をtとしたとき、0≦Log((T−350)×(t−5))≦100を満たす熱処理を行う。なお、第1の熱処理工程への昇温速度は3〜12℃/分とする。
第1の熱処理工程は、例えば、アニール装置内に被処理基板を配置し、装置内に設けられたヒータにより加熱するとともに、雰囲気中のセレン源を接触させて行う。セレン源としては、セレン化水素を1〜20体積%含有するセレン化水素ガスが好適に用いられ、セレン化水素を2〜10体積%含有するセレン化水素ガスがより好適に用いられる。
第1の熱処理工程への昇温速度を3〜12℃/分とすることで、反射率が低く、かつ膜質が良好な光吸収層14を製造できる。昇温速度が3℃/分未満の場合、光吸収層14の反射率が十分に低くならないおそれがある。また、昇温速度が12℃/分を超える場合、光吸収層14の膜質や半導体特性が良好とならないおそれがある。なお、第1の熱処理工程への昇温は、セレン源を含む雰囲気下で行うことが好ましい。
第1の熱処理工程の温度が350℃未満の場合、熱処理が不十分となるために、膜質や半導体特性に優れる光吸収層14を得られない。温度は550℃もあれば十分であり、これ以下とすることで反射率を低くしつつ膜質も良好にでき、また生産性も良好にできる。また、時間が5分未満の場合、熱処理が不十分となるために、膜質や半導体特性に優れる光吸収層14を得られない。時間は30分もあれば十分であり、これ以下とすることで反射率を低くしつつ膜質も良好にでき、また生産性も良好にできる。
特に、0≦Log((T−350)×(t−5))≦100を満たすように熱処理を行うことで、反射率を低くしつつ膜質も良好にできる。Log((T−350)×(t−5))は、1以上が好ましく、3以上がより好ましい。また、Log((T−350)×(t−5))は、50以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下がさらに好ましい。
なお、熱処理には、350〜550℃の範囲内において、昇温速度が2℃/分未満かつ降温速度が20℃/分未満となるものが含まれる。すなわち、熱処理は、必ずしも一定の温度で行う必要はなく、温度を変化させてもよい。この場合、熱処理時間tおよび熱処理温度Tは、例えば、熱処理が、一定の温度の部分と、一定の割合で昇温または降温する部分とからなるものとして、以下のように求められる。
熱処理時間tは、各部分の時間を合計した合計時間として求められる。また、熱処理温度Tは、部分の温度と、合計時間に対する該部分の時間の割合との積(部分の温度×(部分の時間/合計時間))を全ての部分について積算したものとして求められる。なお、部分が一定の割合で昇温または降温する部分の場合、部分の温度は昇温または降温の前後の温度の中間値とする。
例えば、熱処理として、400℃×5分、400℃から430℃まで昇温速度1℃/分で昇温、および430℃×15分の熱処理(部分)を順に行う場合、熱処理時間tは、これらの時間を合計した合計時間である50分となり、熱処理温度Tは、400×(5/50)+415×(30/50)+430×(15/50)=418[℃]となる。
第2の熱処理工程は、被処理基板に対して、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下、560〜650℃の温度範囲内かつ10〜60分の時間範囲内の熱処理であって、熱処理温度をT、熱処理時間をtとしたとき、0≦Log((T−560)×(t−10))≦40を満たす熱処理を行う。なお、第2の熱処理工程への昇温速度は3〜12℃/分とする。
第2の熱処理工程についても、例えば、アニール装置内に被処理基板を配置し、装置内に設けられたヒータにより加熱するとともに、雰囲気中のセレン源または硫黄源を接触させることにより行う。セレン源としては、セレン化水素を1〜20体積%含有するセレン化水素ガスが好適に用いられ、セレン化水素を2〜10体積%含有するセレン化水素ガスがより好適に用いられる。また、硫黄源としては、硫化水素を1〜30体積%含有する硫化水素ガスが好適に用いられ、硫化水素を2〜20体積%含有する硫化水素ガスがより好適に用いられる。
第2の熱処理工程への昇温速度を3〜12℃/分とすることで、反射率が低く、かつ膜質が良好な光吸収層14を製造できる。昇温速度が3℃/分未満の場合、光吸収層14の反射率が十分に低くならないおそれがある。また、昇温速度が12℃/分を超える場合、光吸収層14の膜質や半導体特性が良好とならないおそれがある。なお、第2の熱処理工程への昇温は、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下で行うことが好ましい。
第2の熱処理工程の温度が560℃未満の場合、熱処理が不十分となるために、膜質や半導体特性に優れる光吸収層14を得られない。温度が650℃を超える場合、膜の平坦化が進んで反射率が高くなり、また生産性も低下する。時間が10分未満の場合、熱処理が不十分となるために、膜質や半導体特性に優れる光吸収層14を得られない。時間が60分を超えると、膜の平坦化が進んで反射率が高くなり、また生産性も低下する。
特に、0≦Log((T−560)×(t−10))≦40を満たすように熱処理を行うことで、反射率を低くしつつ膜質も良好にできる。Log((T−560)×(t−10))は、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましい。
なお、熱処理には、560〜650℃の範囲内において、昇温速度が2℃/分未満かつ降温速度が20℃/分未満となるものが含まれる。すなわち、熱処理は、必ずしも一定の温度で行う必要はなく、温度を変化させてもよい。この場合、熱処理時間tおよび熱処理温度Tは、例えば、熱処理が、一定の温度の部分と、一定の割合で昇温または降温する部分とからなるものとして、以下のように求められる。
熱処理時間tは、各部分の時間を合計した合計時間として求められる。また、熱処理温度Tは、部分の温度と、合計時間に対する該部分の時間の割合との積(部分の温度×(部分の時間/合計時間))を全ての部分について積算したものとして求められる。なお、部分が一定の割合で昇温または降温する部分の場合、部分の温度は昇温または降温の前後の温度の中間値とする。
第2の熱処理工程後は、光吸収層14の形成を終了するために降温してもよいし、引き続き他の熱処理を行ってもよい。
このようにして製造される光吸収層14は、表面に凹凸構造が形成されるために反射率が低くなり、また膜質も良好なものとなる。表面の凹凸構造は、例えば最下点と最高点との高さの差が0.5〜1.5μmである。また、光吸収層14の波長550nmにおける積分球反射率は、例えば15.0%未満である。
光吸収層14の形成後、この光吸収層14上に、例えば、バッファ層15、透明導電層16、反射防止層17、表面電極18、およびカバーガラス19をこの順に設けて太陽電池10とする。バッファ層15は、例えば、CBD法等によって、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、InS等を形成する。また、透明導電層16は、スパッタリング法、蒸着法等により、ZnO、ITO等を形成する。表面電極18は、スパッタリング法、蒸着法等により、例えば、Al等を形成する。この際、必要に応じて、反射防止層17、カバーガラス19を設ける。
なお、太陽電池10は、複数のセルを有するものとしてもよい。例えば、ガラス基板上11に裏面電極13を形成し、この裏面電極13をレーザスクライブ等によりパターニングした後、光吸収層14、バッファ層15、透明導電層16、表面電極18等を形成し、セル間における光吸収層14から透明導電層16までの部分にメカニカルスクライブやレーザスクライブによって所定の深さの溝部を設けることで、複数のセルが直列に接続された太陽電池10を製造できる。
以下、実施例および比較例を参照して本発明を詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(実施例1〜15、比較例1〜10)
表1に示す組成、ガラス転移点Tg、および平均熱膨張係数を有するガラス基板を用いて評価用の太陽電池を作製し、評価を行った。ガラス基板の各物性は、以下に示す方法により測定した。
ガラス転移点Tg:示差熱膨張計(TMA)を用いて測定し、JIS R3103−3(2001年度)により求めた。
50〜350℃の平均熱膨張係数:示差熱膨張計(TMA)を用いて測定し、JIS R3102(1995年度)より求めた。
ここで、ガラス基板1〜3は、ガラス基板3、ガラス基板1、ガラス基板2の順に、SiO、MgO、およびKOの割合が増加するとともに、SrOの割合が低下し、低反射率なものとなるとともに、平均熱膨張係数が低下する。また、ガラス基板1〜3は、ガラス基板3、ガラス基板1、ガラス基板2の順に、BaOの割合が増加するとともに、ZrOの割合が低下し、高効率なものが得られる。
上記ガラス基板を用い、図2、3に示すような評価用の太陽電池を作製した。ここで、図2(a)は太陽電池10における1つのセル21を上面から見た平面図であり、図2(b)は図2(a)に示されるA−A線の断面図である。また、図3は、太陽電池10の全体を上面から見た平面図である。図2、3に示す太陽電池10の層構成は、反射防止層17、カバーガラス19を有しない以外は、図1に示す太陽電池10の層構成とほぼ同様である。
まず、ガラス基板11を、大きさ3cm×3cm、厚さ1.1mmに加工した。次いで、このガラス基板11にスパッタ法によりMo電極13を成膜した。成膜は室温にて実施し、厚み450nmのMo電極13を得た。このMo電極13上に、CuGa合金ターゲットあるいはCuターゲットを用いたスパッタ法によりCuGa合金層あるいはCu層を成膜し、続いてInターゲットを用いたスパッタ法によりIn層を成膜し、In−CuGaのプリカーサ層14とした。成膜は室温にて実施した。プリカーサ層14は、蛍光X線にて測定される組成におけるCu/(Ga+In)比(原子比)が0.7〜1.0、Ga/(Ga+In)比(原子比)が0〜0.25となるように各層の厚みを調整し、厚みは650nmとした。
プリカーサ層14が形成されたガラス基板11に対し、RTA(Rapid Thermal Annealing)装置により、表2に示すように、第1の熱処理工程として、熱処理温度T、熱処理時間tの熱処理を行った後、第2の熱処理工程として、熱処理温度T、熱処理時間tの熱処理を行ってCIGS層14を形成した。
第1の熱処理工程は、アルゴンおよびセレン化水素の混合雰囲気(セレン化水素はアルゴンに対し5体積%)にて行い、CuとInとGaとを、Seと反応させた。第2の熱処理工程は、アルゴンおよび硫化水素の混合雰囲気(硫化水素はアルゴンに対し10体積%)にて行い、CIGS層14を形成した。得られたCIGS層14の厚みは2μmであった。
ここで、第1の熱処理工程は、熱処理温度を表2に示す熱処理温度Tとし、熱処理時間を表2に示す熱処理時間tとして行った。ここで、熱処理は一定の温度で行い、熱処理時間はこの一定の温度での時間である。また、第1の熱処理工程への昇温は、表2に示す昇温速度で行った。第1の熱処理工程への昇温は、アルゴンおよびセレン化水素の混合雰囲気(セレン化水素はアルゴンに対し5体積%)にて行った。なお、表中、第1の熱処理工程における指標は、上記した熱処理温度Tおよび熱処理時間tを用いてLog((T−350)×(t−5))により求められた値である。
第2の熱処理工程は、熱処理温度を表2に示す熱処理温度Tとし、熱処理時間を表2に示す熱処理時間tとして行った。ここで、熱処理は一定の温度で行い、熱処理時間はこの一定の温度での時間である。また、第2の熱処理工程への昇温は、表2に示す昇温速度(第1の熱処理工程への昇温速度と共通)で行った。第2の熱処理工程への昇温は、アルゴンおよび硫化水素の混合雰囲気(硫化水素はアルゴンに対し10体積%)にて行った。第2の熱処理工程後は、冷却速度を20℃/分として冷却を行った。なお、表中、第2の熱処理工程における指標は、上記した熱処理温度Tおよび熱処理時間tを用いてLog((T−560)×(t−10))により求められた値である。
その後、CIGS層14上に、CBD(Chemical Bath Deposition)法にて、CdS層15を成膜した。具体的には、まず、ビーカー内で、濃度0.01Mの硫酸カドミウム、濃度1.0Mのチオウレア、濃度15Mのアンモニア、および純水を混合して混合液を調製した。次に、CIGS層14が形成されたガラス基板11を上記ビーカー内の混合液に浸し、ビーカーごと予め水温を70℃にした恒温バス槽に入れて15分程度放置し、CdS層15を50〜80nm成膜した。
さらに、スパッタ法にて、CdS層15上に透明導電層16を以下の方法で成膜した。まず、ZnOターゲットを使用して厚さ280nmのZnO層を成膜し、次に、AZOターゲット(Alを1.5質量%含有するZnOターゲット)を使用して厚さ200nmのAZO層を成膜した。各層の成膜は室温にて実施し、厚み480nmの2層構成の透明導電層16を得た。AZO層上に、EB蒸着法により、膜厚1μmのU字型のAl電極8を成膜した(電極形状:縦8mm、横4mm、電極幅0.5mm)。
最後に、メカニカルスクライブによって透明導電層16からCIGS層14までを削って溝部22を形成し、セル化を行った。一つのセル21は、幅0.6cm、長さ1cm、表面電極18を除いた面積が0.5cmであり、図3に示すように1枚のガラス基板11上に合計8個のセル21を形成して評価用の太陽電池10を作製した。
次に、評価用の太陽電池について、以下の評価を行った。
「積分球分光反射率の測定」
分光測定機(UV−3100PC、島津製作所製)を用いて、CIGS層14の表面における積分球反射率を測定した。特に、CIGSのようなカルコパイライト型太陽電池は波長550nm付近で光電変換量子効率が最大となることから、波長550nmでの反射率を測定した。なお、測定は、CIGS層14まで形成した段階、すなわちCdS層15および透明導電層16を形成しない状態で行った。
「変換効率」
ソーラーシミュレータ(山下電装株式会社製、商品名「YSS−T80A」)に、評価用の太陽電池10を設置し、Mo電極13にプラス端子を(不図示)、U字状のAl電極18の下端部分にマイナス端子23を設け、それぞれ電圧発生器に接続した。ソーラーシミュレータ内の温度は、25℃で一定となるように温度調節機により制御した。疑似太陽光を照射し、10秒後に電圧を−1Vから+1Vまで0.015V間隔で変化させ、8個のセル21のそれぞれの電流値を測定した。
この照射時の電流と電圧特性とから変換効率を下記式(1)により算出した。8個のセル21のうち最も効率の良いセル21における変換効率の値を表2に示す。試験に用いた光源の照度は0.1W/cmであった。
変換効率[%]=Voc[V]×Jsc[A/cm]×FF[無次元]×100
/試験に用いる光源の照度[W/cm] ……式(1)
変換効率は、開放電圧(Voc)と短絡電流密度(Jsc)と曲線因子(FF)との積として求められる。なお、開放電圧(Voc)は端子を開放した時の出力であり、短絡電流(Isc)は短絡した時の電流である。短絡電流密度(Jsc)は表面電極18を除いたセル21の面積で短絡電流(Isc)を割ったものである。
また、最大の出力を与える点が最大出力点と呼ばれ、その点の電圧が最大電圧値(Vmax)、電流が最大電流値(Imax)と呼ばれる。最大電圧値(Vmax)と最大電流値(Imax)の掛け算の値を、開放電圧(Voc)と短絡電流(Isc)の掛け算の値で割った値が曲線因子(FF)として求められる。上記の値を使用し、変換効率を求めた。
「断面SEM像の観察」
FE−SEM(SU−70、日立ハイテク製)を用いて、CIGS層14を含む太陽電池10のセル21を半分に割断して任意の断面SEM(Scanning Electron Microscope)像を取得した。分析には、加速電圧3kVの走査電子線を用いた。また、SEM像は、断面におけるμm×μmの領域を取得した。
表2より明らかなように、実施例の光吸収層は、波長550nmにおいて15.0%未満の低い積分球反射率が得られると同時に、14.0%以上の高い光電変換効率が得られる。一方、13族元素の含有量に対する11族元素の含有量の原子比(11族元素の含有量/13族元素の含有量)、または熱処理条件もしくは昇温速度が本発明の範囲外となる比較例の光吸収層は、反射率が15.0%以上となるか、光電変換効率が14.0%未満となる。
また、図4、5に示すように、実施例2、13の光吸収層は、比較例6の光吸収層に比べて表面の凹凸が大きく、これにより表面での反射率が低くなる。実施例2、13の光吸収層のように反射率が低くなるものは、バッファ層と接する表面に最下点と最高点との高さの差が0.5〜1.5μmとなる凹凸構造を有する。
一方、比較例6の光吸収層のように反射率が高くなるものは、バッファ層と接する表面における最下点と最高点との高さの差が0.5μm未満となる。また、比較例10の光吸収層のように最下点と最高点との高さの差が1.5μmを超えるような凹凸構造を有すると、良質な膜が得られないおそれがある。従って、最下点と最高点との高さの差は、0.5〜1.5μmが好ましい。
本発明によれば、反射率が低く、かつ膜質が良好な光吸収層を形成でき、結果として変換効率が向上された太陽電池を製造できる。
10…太陽電池、11…ガラス基板、12…アルカリ調節層、13…裏面電極、14…光吸収層、15…バッファ層、16…透明導電層、17…反射防止層、18…表面電極、19…カバーガラス、21…セル、22…溝部

Claims (8)

  1. セレン化法によるカルコパイライト型の光吸収層の製造方法であって、
    11族元素および13族元素を含有し、前記13族元素の含有量に対する前記11族元素の含有量の原子比が1.0未満であるプリカーサ層を形成するプリカーサ層形成工程と、
    前記プリカーサ層に対し、セレン源を含む雰囲気下、350〜550℃の温度範囲内かつ5〜30分の時間範囲内の熱処理であって、熱処理温度をTかつ熱処理時間をtとしたとき、0≦Log((T−350)×(t−5))≦100を満たす熱処理を行う第1の熱処理工程と、
    前記プリカーサ層に対し、セレン源または硫黄源を含む雰囲気下、560〜650℃の温度範囲内かつ10〜60分の時間範囲内の熱処理であって、熱処理温度をT、熱処理時間をtとしたとき、0≦Log((T−560)×(t−10))≦40を満たす熱処理を行う第2の熱処理工程とを有し、かつ
    前記第1の熱処理工程への昇温速度が3〜12℃/分、前記第1の熱処理工程から前記第2の熱処理工程への昇温速度が3〜12℃/分であることを特徴とする光吸収層の製造方法。
  2. 前記プリカーサ層は、前記13族元素としてGaを含み、前記13族元素の合計量に対する前記Gaの含有量の原子比が0.1以上であることを特徴とする請求項1記載の光吸収層の製造方法。
  3. 前記プリカーサ層は、電極層を介してガラス基板上に形成されることを特徴とする請求項1または2記載の光吸収層の製造方法。
  4. 前記ガラス基板と前記電極層との間にアルカリ調節層を設けることを特徴とする請求項3記載の光吸収層の製造方法。
  5. ガラス基板上に、裏面電極、光吸収層、バッファ層、透明導電層、および表面電極が少なくともこの順に形成された太陽電池の製造方法であって、
    前記光吸収層を請求項1乃至4のいずれか1項記載の光吸収層の製造方法によって製造することを特徴とする太陽電池の製造方法。
  6. 11族元素および13族元素を含有するカルコパイライト型の光吸収層であって、
    前記13族元素の含有量に対する前記11族元素の含有量の原子比が1.0未満であり、かつ少なくとも一方の主面に最下点と最高点との高さの差が0.5〜1.5μmである凹凸構造を有することを特徴とする光吸収層。
  7. ガラス基板上に、裏面電極、光吸収層、バッファ層、透明導電層、および表面電極が少なくともこの順に形成された太陽電池であって、
    前記光吸収層が請求項6記載の光吸収層であることを特徴とする太陽電池。
  8. 前記ガラス基板が、酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを45〜68%、Alを1〜19%、MgOを0〜10%、CaOを0〜10%、SrOを0〜19%、BaOを0〜12%、ZrOを0〜11%、NaOを0〜15%、KOを3〜21%、NaOおよびKOを合計で3〜25%含有し、かつガラス転移点が580℃以上700℃以下であることを特徴とする請求項7記載の太陽電池。
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