JP2013202890A - 成形材料とその製造方法 - Google Patents

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Yasuhiko Nabeshima
泰彦 鍋島
Hayato Ogasawara
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Abstract

【課題】良好な流動性を有し、繊維強化プラスチックとした場合、優れた力学物性(特に強度)を発現する経済性(生産性)に優れた成形材料および該成形材料を用いた繊維強化プラスチック、ならびにそれらの製造方法に関する。
【解決手段】 繊維長が5〜100mmの範囲内である特定の強化繊維(単繊維繊度が1.0〜2.4dtexである炭素繊維)が実質的に一方向に引き揃えられた、フィラメント本数が10000〜700000本の範囲内であるチョップド繊維束がマトリックス樹脂で一体化された成形材料であって、成形材料中におけるチョップド繊維束の平均幅Wmと平均厚みmとの比率(Wm/tm)が70〜1000の範囲内であり、かつ、チョップド繊維束の平均幅Wmが2〜50mmの範囲内、平均厚みtmが0.02〜0.10mmの範囲内である成形材料により解決される。
【選択図】なし

Description

本発明は、良好な流動性を有し、繊維強化プラスチックとした場合、優れた力学物性(特に強度)を発現する経済性(生産性)に優れた成形材料および該成形材料を用いた繊維強化プラスチック、ならびにそれらの製造方法に関する。
強化繊維とマトリックス樹脂とからなる繊維強化プラスチック(以下、FRPと略することがある。)は、比強度、比弾性率が高く、力学特性に優れること、耐候性、耐薬品性などの高機能特性を有することなどから産業用途においても注目され、その需要は年々高まりつつある。
高機能特性を有するFRPの成形方法としては、プリプレグと称される連続した強化繊維にマトリックス樹脂を含浸せしめた半硬化状態の中間基材を積層し、高温高圧釜で加熱加圧することによりマトリックス樹脂を硬化させFRPを成形するオートクレーブ成形が最も一般的に行われている。この成形法により得られたFRPは、連続繊維である所以優れた力学物性を有する。また、連続繊維は規則的な配列であるため、基材の配置により必要とする力学物性に設計することが可能であり、力学物性のバラツキも小さい。しかしながら、一方で連続繊維である所以3次元形状等の複雑な形状を形成することは難しく、主として平面形状に近い部材に限られる。
3次元形状等の複雑な形状に適した成形方法として、シートモールディングコンパウンド(以下、SMCと略す)やスタンパブルシートを用いた成形等がある。SMCを用いたFRPは、例えば25mm程度に切断したチョップド繊維束に熱硬化性樹脂であるマトリックス樹脂を含浸せしめ半硬化状態としたシート状基材(SMC)を、加熱型プレス機を用いて加熱加圧することにより得られる。スタンパブルシートを用いたFRPは、チョップド繊維束に熱可塑性樹脂を含浸させたシート状基材(スタンパブルシート)を、一度赤外線ヒーターで熱可塑性樹脂の融点以上に予熱し、所定の温度の金型に積層して冷却加圧することにより得られる。多くの場合、加圧前にSMCやスタンパブルシートを成形体の形状より小さく切断して成形型上に配置し、加圧により成形体の形状に引き伸ばして(流動させて)成形を行うため、その流動により3次元形状等の複雑な形状にも追従可能となる。しかしながら、SMCやスタンパブルシートはそのシート化工程において、チョップド繊維束の分布ムラ、配向ムラが生じてしまうため、力学物性(特に強度)が低下、あるいは、力学特性の値のバラツキが大きくなってしまうだけでなく、特に薄物のFRP部材ではソリ、ヒケ等が発生し易くなる課題があった。
かかる課題を解決すべく、SMCなどに強化繊維の集束数を1,000本以下に減らした細いチョップド繊維束(それまでは12,000本程度であった。)を適用し、チョップド繊維束間の絡みを増加して緻密化することによりクラック発生・進展を抑制する基材が開示されている(例えば特許文献1)。しかしながら、一般的に強化繊維の集束数(フィラメント本数)を減らすのはプロセス上コスト高、または、強化繊維の価格としてコスト高とならざるを得ない、という経済性の問題があった。さらには、細いチョップド繊維束を用いると、SMCを成形する際に、流動するチョップド繊維束同士が干渉することで、流動性が阻害されるという問題点もあった。
これに対して、SMCなどに特定の扁平率を有するチョップド繊維束を適用し、樹脂が溜まる空間を小さくすることにより破壊の開始を遅らせるチョップド繊維束およびそれを用いたSMCが開示されている(例えば特許文献2)。しかしながら、提案されているチョップド繊維束の扁平率の範囲では、SMCにおいて樹脂が溜まる空間を充分に小さくできず、力学特性を向上させる効果が発現する効果が小さく、力学特性(特に強度)が不十分という問題があった。なお、チョップド繊維束における扁平率が60以上で力学特性が発現しない理由が、チョップド繊維束の形態に由来するものではなく、樹脂の含浸不良に由来する旨の記載がある。すなわち、樹脂の含浸が可能であれば力学特性が発現することに関することに関して何ら開示がない。
また、太繊度の強化繊維(フィラメント本数が10,000〜700,000本)を用い、特定範囲内の平均幅と平均厚みのチョップド繊維束を使用することで、成形時の良好な流動性と、FRPとした場合に優れた力学物性(特に強度)とを両立したSMCが開示されている(たとえば特許文献3)。しかしながら、近年開発が著しい自動車部材等の用途では、3次元形状等のより複雑な形状の成形、より高度な力学物性(特に強度)が必要とされており、提案されている技術の範囲では。成形時の流動性と力学物性が十分とは言いがたく、使用用途に制約があった。
特開平01−163218号公報 特開平06−144168号公報 特開2009−62474号公報
本発明は、かかる背景技術に鑑み、より良好な流動性を有し、FRPとした場合に優れた力学物性(特に強度)を発現する経済性(生産性)に優れた成形材料および該成形材料を用いたFRP、ならびにそれらの製造方法を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
(1)繊維長が5〜100mmの範囲内である特定の強化繊維(単繊維繊度が1.0〜2.4dtexである炭素繊維)が実質的に一方向に引き揃えられた、フィラメント本数が10000〜700000本の範囲内であるチョップド繊維束がマトリックス樹脂で一体化された成形材料であって、成形材料中におけるチョップド繊維束の平均幅Wmと平均厚みmとの比率(Wm/tm)が70〜1000の範囲内であり、かつ、チョップド繊維束の平均幅Wmが2〜50mmの範囲内、平均厚みtmが0.02〜0.10mmの範囲内である成形材料。
(2)前記チョップド繊維束に含まれる特定の強化繊維の単繊維の繊維軸に垂直な断面の形状が真円度0.70以上0.90以下である成形材料。
(3)チョップド繊維束が成形材料の厚み方向にランダムに配置されており、かつ、繊維方向がランダムである成形材料。
(4)少なくとも次の(A)〜(D)工程を経る、成形材料の製造方法。
(A)連続した特定の強化繊維(単繊維繊度が1.0〜2.4dtexである炭素繊維)を連続的に走行させ、走行途中の箇所に配した拡幅手段で強化繊維束を元糸幅の1.1〜20.0倍の範囲内となるように拡幅する拡幅工程
(B)拡幅状態の繊維束を切断して、繊維長が5〜100mmの範囲内である特定の強化繊維(単繊維繊度が1.0〜2.4dtexである炭素繊維)が実質的に一方向に引き揃えられた、フィラメント本数が10000〜700000本の範囲内であるチョップド繊維束を得るチョップ工程
(C)チョップド繊維束をシート状のマトリックス樹脂の上に散布する散布工程
(D)前記チョップド繊維束とマトリックス樹脂とをシート状に一体化し、加圧手段でチョップド繊維束の厚みを0.05〜0.90倍の範囲内になるように薄くするシート化工程
(5)少なくとも次の(a)、(b)工程を経る、繊維強化プラスチックの製造方法。
(a)(4)記載の製造方法で得られた成形材料を、成形型のキャビティの投影面積よりも小さく、キャビティ厚よりも1.1〜20.0倍の範囲内の厚い状態でキャビティ内に配置するチャージ工程
(b)成形型を型締めして前記成形材料を加圧することによりキャビティ内に成形材料を充填する成形工程
本発明の成形材料は、安価に入手できる特定の太い強化繊維(単繊維繊度が1.0〜2.4dtexである炭素繊維)(フィラメント本数が10000〜700000本)を用い、成形材料中におけるチョップド繊維束の繊維束の平均幅Wmと平均厚みtmとの比率(Wm/tm)が70〜1000の範囲内であり、かつ、チョップド繊維束の平均幅Wmが2〜50mmの範囲内、平均厚みtmが0.02〜0.1mmの範囲内であるため、経済性(生産性)を損なわずに、成形時の著しく良好な流動性と、FRPとした場合に著しく優れた力学物性(特に強度)を両立することができる。
本発明の成形材料の製造方法は、特定の強化繊維(単繊維繊度が1.0〜2.4dtexである炭素繊維)の束を元糸幅の1.1〜20.0倍の範囲内となるように拡幅した後にチョップド繊維束を得て、さらにマトリックス樹脂とをシート状に一体化する際にチョップド繊維束の厚みを0.05〜0.90倍の範囲内になるように薄くした場合、上記の効果を奏する成形材料を生産性高く得ることができる。
また、本発明のFRPの製造方法は、キャビティ厚よりも1.1〜20.0倍の範囲内の厚い状態でキャビティ内に配置し、成形材料を加圧してキャビティ内に成形材料を充填した場合、上記の効果を奏するFRPを生産性高く得ることができる。
本発明の成形材料は、繊維長が5〜100mmの範囲内である特定の強化繊維(単繊維繊度が1.0〜2.4dtexである炭素繊維)が実質的に一方向に引き揃えられた、フィラメント本数が10000〜700000本の範囲内であるチョップド繊維束がマトリックス樹脂で一体化された成形材料であって、成形材料中におけるチョップド繊維束の繊維束の平均幅Wmと平均厚みtmとの比率(Wm/tm)が70〜1000の範囲内であり、かつ、チョップド繊維束の平均幅Wmが2〜50mmの範囲内、平均厚みtmが0.02〜0.10mmの範囲内である。なお、本発明において、実質的に一方向に引き揃えられているとは、チョップド繊維束のある一部に注目した際、半径5mm以内に存在する強化繊維群の90%以上が該チョップド繊維束のある一部の繊維角度から±10°以内に配向していることを指す。また、特に断らない限り、繊維あるいは繊維を含む用語(例えば“繊維方向”等)において、繊維とは強化繊維を指し、連続繊維とは100mmをこえる繊維長を持つ強化繊維を指すものとする。
本発明の成形材料において、成形材料中におけるチョップド繊維束1の繊維長Lをすべて100mm以下とすることにより、複雑な形状の成形追従性に優れたものとすることができる。連続繊維のみの成形材料の場合、繊維方向には流動しないため、あらかじめ設計形状に沿って賦形しなければ複雑形状を形成することはできない。繊維長Lを5mm未満にすると、さらに流動性が向上するが、他の要件を満たしても高い力学特性は得られない。流動性と力学特性との関係を鑑みると、さらに好ましくは10〜50mmの範囲内である。チョップド繊維束1内には5mm未満の強化繊維は少なければ少ないほどよいが、好ましくは、5mm未満の繊維本数が、チョップド繊維束内に含まれる繊維総本数の5%より少ないのが良い。すなわち、本発明において、チョップド繊維束1中に含まれる強化繊維の繊維長Lが5〜100mmの範囲内であるとは、繊維長さ5mm未満の繊維本数を、チョップド繊維束内に含まれる繊維総本数の5%未満とし、かつ、すべてを繊維長Lが100mm以下とすることを意味する。
一般的に、チョップド繊維束1の集合体である成形材料を用いて成形してFRPとすると、FRPに加わる荷重はそのほとんどを強化繊維10が受け持つが、チョップド繊維束は強化繊維10が切断されているため、あるチョップド繊維束が受け持っていた荷重を、マトリックス樹脂を介して周囲のチョップド繊維束に受け渡さなければならない。チョップド繊維束1は、受け持っていた荷重をその端部12で一気に周囲に受け渡さなければならないため、低い荷重であってもチョップド繊維束の端部12には応力集中が起きていた。この応力集中によりチョップド繊維束の端部12にクラックが発生し、それが合体することによりFRP自体が最終破壊にいたる。この応力集中を抑制するためには、背景技術に記載した通りチョップド繊維束1に含まれる強化繊維10のフィラメント本数を少なくする方法が挙げられる。チョップド繊維束端部12で周囲に受け渡す荷重が小さくなるため、応力集中の影響範囲が小さく、仮にクラックが発生してもクラック同士が連結しにくくなるが、チョップド繊維束1の強化繊維10のフィラメント本数を少なくすることは、分繊などの余分なプロセスが必要となるか、または、コスト高な強化繊維を用いる必要があり経済性(生産性)を低下させる問題があった。特に、強化繊維として炭素繊維を用いた場合には、その取扱性が困難なため分繊は困難であり、フィラメント本数が少ない高価な炭素繊維束(炭素繊維束はフィラメント数が少ないほど高価となる)を用いざるを得ず、力学特性の向上と経済性(生産性)との両立が一層困難であった。さらには、細いチョップド繊維束を用いると単位体積あたりに存在するチョップド繊維束の数が増え、SMCを成形する際に、流動するチョップド繊維束同士が干渉することで、流動性が阻害されるという問題点もあった。
そこで本発明は、本発明の成形材料において、強化繊維を分繊したり、フィラメント本数が少ない高価な強化繊維束を用いたりすることなく、特定の強化繊維(単繊維繊度が1.0〜2.4dtexである炭素繊維)からなるフィラメント本数の多い(強化繊維の総断面積が大きい)チョップド繊維束を用い、チョップド繊維束を薄くすることにより、本発明の課題を解決できることを見出したのである。すなわち、本発明は、特定の強化繊維(単繊維繊度が1.0〜2.4dtexである炭素繊維)からなるフィラメント本数の多いチョップド繊維束(10,000〜700,000本、より好ましくは15,000〜150,000本、さらに好ましくは20,000〜100,000本)が、成形材料中で平均幅Wmと平均厚みtmとの比率(Wm/tm)が70〜1,000の範囲内であり、かつ、チョップド繊維束の平均幅Wmが2〜50mmの範囲内、平均厚みtmが0.02〜0.1mmの範囲内である場合に、段違いに高い力学特性(強度)と経済性を両立することができることを見出したものである。また、単位体積あたりに存在するチョップド繊維束の数が増えないため、流動性がほとんど阻害されないという効果をも発現する効果をも見出したものである。
成形材料中におけるチョップド繊維束の平均幅Wmと平均厚みtmとの比率(Wm/tm)が70未満であると、上述の力学特性を向上する効果が充分に発現しない。一方、比率(Wm/tm)が1,000を超えると、力学特性の向上は充分であるが、成形材料としての良好な流動性を阻害する場合があるだけでなく、チョップド繊維束を工業的に生産性よく得ることが困難となる。より好ましい比率(Wm/tm)は120〜800、さらに好ましくは150〜600の範囲内である。
また、成形材料中におけるチョップド繊維束の平均幅Wmが2mm未満であると、フィラメント本数の多いチョップド繊維束を用いて力学特性を向上するという本願発明の意義が希薄となる。一方、平均幅Wmが50mmを超えると、成形材料としての良好な流動性を阻害する場合があるだけでなく、チョップド繊維束を工業的に生産性よく得ることが困難となる。より好ましい平均幅Wmは5〜40mm、さらに好ましくは8〜30mmの範囲内である。
さらに、チョップド繊維束の平均厚みtmが0.02mm未満であると、力学特性の向上は充分であるが、成形材料としての良好な流動性を阻害する場合があるだけでなく、チョップド繊維束を工業的に生産性よく得ることが困難となる。一方、平均厚みtmが0.10mmを超えると、上述の力学特性を向上する効果が充分に発現しない。より好ましい平均厚みtmは0.025〜0.09mm、さらに好ましくは0.03〜0.07mmの範囲内である。
なお、成形材料中におけるチョップド繊維束の平均幅Wmの測定は、成形材料を電気炉中で加熱することにより、マトリックス樹脂を分解させ、残ったチョップド繊維束をピンセットで取り出し、無作為に選んだ10個のチョップド繊維束について、1つのチョップド繊維束の繊維方向に対して両端部と中点部の3箇所をノギスにて1/10mmの精度で測定した平均値について、10個のデータを平均して行う。また、成形材料中におけるチョップド繊維束の平均厚みtmの測定は、平均幅Wmを測定したチョップド繊維束について、1つのチョップド繊維束の繊維方向に対して両端部と中点部の3箇所をノギスにて1/100mmの精度で測定した平均値について、10個のデータを平均して行う。なお、加熱条件は強化繊維およびマトリックス樹脂の種類によって選択するものとする。
本発明の成形材料において、成形材料中のチョップド繊維束1の繊維方向の両端部から中央部に向かって連続的に前記強化繊維の本数が増加する遷移区間を有するのが好ましい。逆の見方をすると、チョップド繊維束の中央部Cは強化繊維本数が多く、両端部12に向かって繊維方向11に連続的に強化繊維本数が減少する遷移区間Sを有するのが好ましい。なお、本発明におけるチョップド繊維束の繊維方向11の端部12とは、チョップド繊維束1のうち、繊維方向11にもっとも離れた点、もしくは複数点、または線のことを指す。具体的には強化繊維単糸10の端部、もしくはそれらの集合からなるものを指す。一方、本発明におけるチョップド繊維束の繊維方向の中央部Cとは、チョップド繊維束において幅方向に最大幅(強化繊維本数が最大)となっている区間を指す。つまり、チョップド繊維束1において、幅方向に最大幅となる中央部C以外が、連続的に強化繊維本数が増加する遷移区間Sに相当するといえる。遷移区間を有するチョップド繊維束1の形状の数例を示す。
このように、強化繊維本数をチョップド繊維束1内で連続的に変化させることにより、チョップド繊維束1の中央部Cで最大であるチョップド繊維束1の受け持つ荷重を、チョップド繊維束1の端部12に向かって連続的に存在する強化繊維10の端部12からすこしずつ周囲に解放するようにしたため、前述のような応力集中が発生し難いのである。なお、本発明において連続的とは、遷移区間S内で少なくとも二箇所以上で強化繊維本数の増減があり、その二箇所以上(強化繊維本数の増減を判断した箇所)と同一の箇所で分断される強化繊維10の総断面積が0.008mm以下であることを指す。より滑らかに強化繊維本数が増減した方が、応力集中が起きにくいとの観点から、同一箇所で分断される強化繊維10の総断面積は0.0022mm以下であるのが好ましい。遷移区間Sにおける強化繊維10の総断面積の変化量は1mmあたり0.05mm以下であることで、応力集中を有効に抑制することができる。好ましくは、1mmあたり0.04mm以下であり、さらに好ましくは0.025mm以下である。強化繊維の総断面積はそれぞれの強化繊維の繊維幅方向の断面積の総和である。
上述の遷移区間Sを有するチョップド繊維束1は、強化繊維本数が連続的に増えて一定値となった後に連続的に減る構成か、強化繊維本数が連続的に増えて一定値を取らず連続的に減る構成か、のいずれかの構成をとる。中でも、チョップド繊維束1を繊維方向11にチョップド繊維束1の端部12からもう一方の端部まで走査して、繊維方向に1mmあたりに含まれる強化繊維の端部の断面積を計測し、その総断面積を和算したものが0.05mm以下であるのが好ましい。チョップド繊維束1に含まれる強化繊維10の断面積が±10%以下のばらつきの場合は、1mmあたりに含まれる強化繊維の端部12の数を計測し、代表的な強化繊維10の断面積と掛算した値を用いるものとする。また、チョップド繊維束1の最大幅が3mm未満である場合は、チョップド繊維束1の全幅における変化量を測定し、1mmあたりの変化量に比例換算した値を用いる。
上述の通り、本発明の特徴は、フィラメント本数の多いチョップド繊維束を用いても、チョップド繊維束を薄くすることにより、本発明の課題を解決できることを見出したことにある。すなわち、本発明の効果は、特に安価なフィラメント本数の多い強化繊維(10,000〜700,000本)を用いた場合において顕著に発現する。別の観点からは、成形材料中におけるチョップド繊維束1に含まれる強化繊維の総断面積が0.1mm以上(さらに好ましくは強化繊維の総断面積が0.2mm以上)であるのが好ましい。なお、FRPとした際の厚み設計の自由度の観点からは、チョップド繊維束1に含まれる強化繊維10の総断面積が30mm以下であることが好ましく、より好ましくは5mm以下である。特に、上述の遷移区間Sを有するチョップド繊維束1のフィラメント本数をチョップド繊維束1の中央部Cから端部12にかけて徐々に減らす構成は、チョップド繊維束1が太く、強化繊維本数が多く、強化繊維10の総断面積が多い方がその効果が大きく発揮される。チョップド繊維束1に含まれる強化繊維10の総断面積が大きければ大きいほど、チョップド繊維束1本あたりの荷重が大きく、一気にチョップド繊維束1の端部12で荷重を受け渡すのではなく、徐々に荷重を受け渡すことで応力集中を効果的に減少させることができる。上述のように従来のチョップド繊維束1によると、太い強化繊維束を用いると安価にできるが、力学特性(強度)が低いという問題があった。本発明は、太い強化繊維束を用いたとしても低コストのまま高強度とすることが出来る点に特徴があるのである。
一方、チョップド繊維束1に含まれる強化繊維10の総断面積が0.1mm未満である場合、遷移区間Sにおける強化繊維本数の変化量が1mmあたり強化繊維10の総本数の30%以下であるのが好ましい。チョップド繊維束1が細くても、従来の技術のように1箇所でチョップド繊維束1が受け持つ荷重を一気に解放する構成となっているより、本発明のようにチョップド繊維束1の本数をチョップド繊維束1の中央部Cから端部12にかけて徐々に減らす構成は有効である。究極的には強化繊維一本一本の端部の位置が異なるため、強化繊維を単糸レベルで分散するのと同等の効果が得られる。
本発明の成形材料において、成形材料中のチョップド繊維束は、チョップド繊維束1に含まれる強化繊維10の繊維長Lが実質的に同じであるのが好ましい。チョップド繊維束1の製造プロセスの観点からは、同一の繊維長Lで切断してチョップド繊維束1を製造するのが効率がよく、チョップド繊維束1を一体化して成形材料とし、成形を行う際には、繊維長Lが同一である方が流動を制御しやすい。なお、本発明において、繊維長Lが実質的に同じであるとは、チョップド繊維束1に含まれる強化繊維10の繊維長Lの平均値から±5%の範囲内に95%の強化繊維10が含まれることを指す。
本発明の特定の強化繊維は、単繊維繊度が1.0〜2.4dtexである炭素繊維を用いることが必要である。単繊維繊度が1.0〜2.4dtexである特定の炭素繊維を用いることにより、炭素繊維の開繊性、均一分散性に優れ、そのため成形時の著しく良好な流動性と、FRPとした場合に著しく優れた力学物性(特に強度)とを両立することができる。単繊維繊度が1.0dtexより小さい、通常の炭素繊維(例:単繊度0.6dtex=繊維径約7μm)を使用した場合は、炭素繊維の開繊性、均一分散性が十分とは言えず、成形時の著しく良好な流動性と、FRPとした場合に著しく優れた力学物性(特に強度)とを両立することができない。また、単繊維繊度が2.4dtexより大きい場合は、流動性は良好であるが、繊維間の絡み合いが少なくなることから、FRPとした場合に著しく優れた力学物性(特に強度)を発現することができなくなる恐れがある。また、本発明に用いる炭素繊維としては、断面形状が真円度0.70以上0.90以下であることが好ましい。さらに、断面形状が空豆型であることが好ましい。断面形状を比較的単純な形状である真円度0.70以上0.90以下の空豆型とすることで、単繊維の繊度が大きくなつても、真円度が0.90より大きい丸に近い断面形状の炭素繊維より、ストランド強度は高い数値を維持できる。また、単繊維を密に詰めることが出来るため、プリプレグ中での繊維含有率が向上し、複合材料の力学特性を向上させることが可能となる。
<炭素繊維束の直径及び真円度>
(1)サンプルの作製
長さ5cmに切断した炭素繊維束をエポキシ樹脂(エポマウント主剤:エポマウント硬化剤=100:9(質量比))に包埋し、2cmに切断して横断面を露出させ、鏡面処理した。
(2)観察面のエッチング処理
更に、繊維の外形を明瞭にするために、サンプルの横断面を次の方法でエッチング処理した。
・使用装置:プラズマエッチング装置(日本電子(株)社製、製品名:P―170)
・処理条件:雰囲気ガス:Ar/O=75/25、プラズマ出力:50W、真空度:約120Pa、処理時間:5min
(3)SEM観察
前記(1)及び(2)により得られたサンプルの横断面を、SEM(PHILIPS社製、製品名:FEI―XL20)を用いて観察し、画面上に5個以上の繊維断面が写っている写真を任意に5枚撮影した。
(4)炭素繊維束の単繊維の直径測定
各サンプルについて5枚のSEM写真から任意に20個、ただし、1枚の写真から3個以上の単繊維断面を選んで、画像解析ソフトウェア(日本ロ―パー(株)製、製品名:Image― Pro PLUS)を用いて繊維断面の外形をトレースし、断面の長径(最大フェレ径)dを計測した。選んだ単繊維断面全ての長径dの平均を、炭素繊維束の単繊維の直径Diとした。
(5)真円度測定
画像解析ソフトウェア(日本ロ―パー(株)製、製品名:Image― Pro PLUS)を用いて繊維断面の外形をトレースし、周長Lおよび面積Sを計測した。各サンプルについて5枚の写真から任意に20個、ただし、1枚の写真から3個以上の繊維断面を選んで計測し、LおよびSの平均値を求め、次式により真円度を算出した。
真円度=4πS/L ・・・(3)
本発明の炭素繊維の炭素繊維は、特には限定されないが、PAN系炭素繊維、PITCH系炭素繊維が挙げられる。望ましくはPAN系炭素繊維である。
炭素繊維(特にPAN系炭素繊維)は、これら強化繊維の中でも軽量であり、しかも比強度および比弾性率において特に優れた性質を有しており、さらに耐熱性や耐薬品性にも優れていることから、軽量化が望まれる自動車パネルなどの部材に好適である。中でも、上述の通りフィラメント本数が10000〜700000本の炭素繊維であるのが好ましい。
特に遷移区間Sを有するチョップド繊維束1においては、繊維方向11に1mm移動するごとにフィラメント本数の減少量が1400本以下であると、有効に応力集中を防ぐことができるため好ましい。さらに好ましくは1mmあたり1000本以下がよく、さらに強度向上を図るためには1mmあたり600本以下がよい。ただし、チョップド繊維束1の最大幅Wが3mm未満である場合は、チョップド繊維束1の全幅Wにおける変化量を測定し、1mmあたりの変化量に比例換算した値を用いる。この際、遷移区間S内で少なくとも二箇所以上で強化繊維本数の増減があり、その二箇所以上(強化繊維本数の増減を判断した箇所)と同一箇所で分断される強化繊維10のフィラメント本数が200本以下であるのがよく、さらに好ましくは50本以下であるのがよい。
本発明の成形材料において、成形材料中におけるチョップド繊維束の形態としては、チョップド繊維束1の端部12が繊維方向11に対して斜めに設けられている形態であるのが好ましい。中でもチョップド繊維束1の端部12が繊維方向と2〜30°の角度で直線状の形態を有している形態がより好ましい。かかるチョップド繊維束1は、例えば、連続した繊維束を一方向に引き出し、強化繊維の繊維長Lが5〜100mmの範囲内となるように繊維方向11と2〜30°の角度に直線状に裁断することにより、好ましいチョップド繊維束1を得ることができる。チョップド繊維束1の端部12は繊維方向11に対して小さい角度であればあるほどFRPとした際に高強度化でき、特に30°以下でその効果が著しいが、チョップド繊維束1自体の取り扱い性が低下すること、裁断プロセスにおいて、繊維方向11と裁断する刃との角度が小さければ小さいほど安定性を欠くため、2°以上の角度が好ましい。さらに好ましくはチョップド繊維束1の端部12が繊維方向11と3〜25°の角度がよく、さらにFRPとしての高強度化とプロセス性との兼ね合いから好ましくは5〜20°がよい。
本発明の成形材料は、チョップド繊維束が複数層の積層構造を有しており、各層におけるそれぞれのチョップド繊維束の繊維方向が実質的に同一であり、かつ、隣り合う層におけるチョップド繊維束の繊維方向が異なるのが好ましい。換言すると、連続した強化繊維が一方向に引き揃えられたシートに切り込みを入れて強化繊維を不連続状にし、その切り込まれたシートを、それぞれのシートの繊維方向が異なるように順に積層した積層体が如き態様を、チョップド繊維束を用いて形成するのが好ましい。FRPでは荷重が負荷された方向と垂直な方向にクラックがつながった際、最終的な破壊に至る。そのため、成形材料において、それぞれのチョップド繊維束の繊維方向が実質的に同一とした層を形成し、かつ、隣り合う層におけるチョップド繊維束の繊維方向が異なるような積層構造を形成することにより、厚み方向にクラックが貫通しにくい構造となり、高強度なFRPを得ることができる。特に、隣り合う層において、繊維方向が異なるような積層構成とすることで、層を超えてクラックが貫通し難くなる。また、それぞれのチョップド繊維束の繊維方向が実質的に同一とした層として繊維方向を制御することにより、弾性率や強度のバラツキが大きく抑制される。なお、本発明における繊維方向が実質的に同一とは、チョップド繊維束の強化繊維の配向方向の平均値をそのチョップド繊維束の繊維方向として、それらの方向が±10%以内であるチョップド繊維束が層に含まれるチョップド繊維束の90%以上であることをさす。
このような成形材料を製造する方法としては、例えば、スリット状のノズルを通過させてチョップド繊維束の繊維方向を実質的に同一に揃えてシート状に散布してそれぞれの層を形成する方法が挙げられる。なお、積層構成としては、[+45/0/−45/90]S、[0/±60]Sといった等方積層であると、全方向に対して擬似的にほぼ均等な力学物性を発現するFRPを得ることができ、ソリの発生を抑制できるため好ましい。
また、本発明の成形材料は、チョップド繊維束が成形材料の厚み方向にランダムに配置されており、かつ、繊維方向がランダムであるのも好ましい態様といえる。かかる態様であると、上述のチョップド繊維束の繊維方向を一方向に制御した層で積層構造を形成した成形材料を製造するよりも製造設備を簡易にすることができ、安価に製造することができる。また、チョップド繊維束が厚み方向および平面方向にランダムに均一配置されていると、等方的で設計しやすい成形材料とすることができ、3次元形状等の複雑な形状も容易に成形することができる。かかる態様の代表的な成形材料としては、SMCやスタンパブルシートなどが挙げられる。成形材料においてチョップド繊維束の分布ムラ、配向ムラが存在すると力学物性の低下、そのバラツキの増大、薄物のFRPでのソリ、ヒケの発生などの問題が生じるため、厚み方向および平面方向にチョップド繊維束がランダムに均一配置されていることが重要である。
本発明の成形材料は、チョップド繊維束は、FRPにおいてマトリックスを構成するマトリックス樹脂で一体化されている。成形材料におけるマトリックス樹脂の付着量としては、成形材料全体を基準として、20〜75重量%の範囲内であるのがよい。
本発明で用いるマトリックス樹脂としては、例えば、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール、エポキシアクリレート、フェノキシ、アルキド、ウレタン、マレイミド、シアネートなどの熱硬化性樹脂や、ポリアミド、ポリアセタール、ポリアクリレート、ポリスルフォン、ABS、アクリル、ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、シリコーンなどの熱可塑性樹脂が挙げられる。中でも熱硬化性樹脂を用いると、成形材料とした際に室温においてタック性およびドレープ性を発現させることができ取扱性に優れるだけでなく、FRPとした場合に力学特性に優れるものが得られ易い。さらに好ましくは、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール、アクリル等や、それらの混合樹脂である。これらの熱硬化性樹脂の場合、常温(25℃)における樹脂粘度としては、1×10Pa・s以下であることが好ましく、この範囲内であれば本発明を満たすタック性およびドレープ性を有する成形材料を得ることができる。特に、不飽和ポリエステルやビニルエステルを用いると、SMCとして用いることができる。また、熱可塑性樹脂を用いた場合には、一般的に高い靭性を有することからクラック同士の連結を抑制することができ、強度が向上する。特に、衝撃特性を重要視する用途ではマトリックス樹脂に熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。
本発明のFRPは、上述の成形材料を成形したものであって、FRP中におけるチョップド繊維束の繊維束の平均幅Wcと平均厚みtcとの比率(Wc/tc)が75〜1,500の範囲内であり、かつ、チョップド繊維束の平均幅Wcが2〜50mmの範囲内、平均厚みtcが0.01〜0.1mmの範囲内のものであるのが好ましい。成形材料における説明と同様の理由で、FRP中におけるチョップド繊維束の平均幅Wcと平均厚みtcとの比率(Wc/tc)が75未満であると、力学特性を向上する効果が充分に発現しない場合がある。一方、比率(Wc/tc)が1,500を超えると、力学特性の向上は充分であるが、チョップド繊維束を工業的に生産性よく得ることが困難となり経済性に劣る場合がある。より好ましい比率(Wc/tc)は150〜1,000、さらに好ましくは200〜800の範囲内である。
また、FRP中におけるチョップド繊維束の平均幅Wcが2mm未満であると、フィラメント本数の多いチョップド繊維束を用いて力学特性を向上するという本願発明の意義が希薄となる場合がある。一方、平均幅Wcが50mmを超えると、チョップド繊維束を工業的に生産性よく得ることが困難となり経済性に劣る場合がある。より好ましい平均幅Wcは6〜45mm、さらに好ましくは9〜35mmの範囲内である。
さらに、チョップド繊維束の平均厚みtcが0.01mm未満であると、力学特性の向上は充分であるが、チョップド繊維束を工業的に生産性よく得ることが困難となり経済性に劣る場合がある。一方、平均厚みtcが0.10mmを超えると、上述の力学特性を向上する効果が充分に発現しない場合がある。より好ましい平均厚みtcは0.02〜0.08mm、さらに好ましくは0.03〜0.06mmの範囲内である。
なお、FRP中におけるチョップド繊維束の平均幅Wcおよび平均厚みtcの測定は、上述の成形材料中におけるチョップド繊維束の平均幅Wmおよび平均厚みtmと同様の測定方法にて行う。
別の観点からは、本発明のFRPは、上述の成形材料を成形したものであって、FRP中のチョップド繊維束の平均厚みtcが、成形材料中のチョップド繊維束の平均厚みtmより小さいものであるのが好ましい。より好ましくはtcが0.85tm以下、さらに好ましくは0.70tm以下である。成形材料をFRPに成形する際に、tmよりもtcを小さくすることにより、力学特性を向上する効果をより一層高く発現することができる。すなわち、成形材料を少なくとも加圧してFRPに成形する過程で、チョップド繊維束の扁平率を成形材料よりも大きくしながら製造することで、力学特性を向上する効果をより一層高く発現することができるのである。これは、FRPに成形する過程で成形材料を厚さ方向に加圧することにより、成形材料中の(シートの平面方向に扁平となった)チョップド繊維束も厚さ方向に加圧され、扁平率が大きくなることにより達成される。
本発明のFRPは、その厚みをtcで除した値が少なくとも20〜1000の範囲内であるのが好ましい。FRPは全体の大きさに比べ厚みが薄いのが一般的であり、チョップド繊維束の厚みtcがFRPに対して薄ければ薄いほど強度が向上する。特にFRPの厚みをtcで除した値が少なくとも20以上であると強度向上が著しい。さらに好ましくは30以上であり、さらに強度ばらつきも含めて安定した強度を発現するためには40以上が好ましい。なお、1000を超えると、FRPがチョップド繊維束tcに対して不必要に厚いことを意味し、FRP本来の軽量化効果を損ねる場合があり好ましくない。
本発明の成形材料は、少なくとも次の(A)〜(D)工程を経て製造されるのが好ましい。かかる工程を経ることにより上述の成形材料を得ることができる。各工程について、以下に順に説明する。
(A)拡幅工程
連続した強化繊維束を連続的に走行させ、走行途中の箇所に配した拡幅手段で強化繊維束を元糸幅の1.1〜20.0倍の範囲内となるように拡幅する。連続走行とは、連続した繊維束を張力などにより一定方向に移動させることで、連続生産のために必要な動作である。生産性を向上させるため、複数の強化繊維束を同時に連続走行させるのが好ましい。連続走行させるためには、連続した強化繊維束を巻き取ったボビンをクリール等にセットし、ローラー状の拡幅冶具、ダンサーローラー、ニップローラー、駆動抵抗を有するクリール等で強化繊維束に張力を作用させるのが好ましい。
拡幅手段としては、例えば、ローラーによるしごきや、振動ローラーの通過、エア吹きつけなどが挙げられるが、かかるローラーの中では、回転可能な円筒ローラーが好ましい。ローラーの凸面に張力の作用する連続した繊維束が接触すると、繊維束の厚み方向に力が作用して、繊維束は水平方向に広がる(潰れる)と同時に、ローラーが回転可能であるためローラーの局所摩耗もなくなり長時間の連続運転が可能となり、また糸切れも抑制できる。その他の拡幅手段としては、拡幅冶具を振動させながら1本の繊維束の幅を拡げる技術(例えば、特開平01−280040号公報など)や、水力や空気力を利用した、ウォータージェットやエアーで1本の繊維束の幅を拡げる技術(例えば、特開平01−321944号公報など)を適用することができる。拡幅冶具の好ましい材質は、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属製、あるいはテフロン(登録商標)製などで、冶具の表面は、摩擦による劣化を抑制するためにニッケルやフッ素コーティングを施したり、ラバーやプラスチックフィルムなどの保護カバーを装着させてあっても差し支えない。
強化繊維束を元糸幅の1.1倍未満であると本発明の効果が発現しない場合がある。一方、20.0倍を超える場合は、後述のチョップ工程でチョップド繊維束がばらばらになり、毛羽玉状になってしまう場合があり好ましくない。
(B)チョップ工程
拡幅状態の繊維束を切断して、繊維長が5〜100mmの範囲内である強化繊維が実質的に一方向に引き揃えられた、フィラメント本数が10,000〜700,000本の範囲内であるチョップド繊維束を得る。生産性を向上させるためには、複数の強化繊維束を同時に切断するのが好ましい。チョップド繊維束の裁断方法としては、例えば、ギロチンカッターや、ロービングカッター等のロータリー式カッターなどに連続の強化繊維を挿入することにより切断できる。特に遷移区間を有するチョップド繊維束においては、ロータリー式カッターなどに斜めに挿入するほか、螺旋状刃が設けられたロータリー式カッターなども用いることができる。上記(A)拡幅工程で拡幅された繊維束を、拡幅状態で切断することにより、得られるチョップド繊維束も拡幅状態となり、上述の成形材料が得られ、FRPとした場合に強度ばらつきも含めて安定した強度を発現することができるのである。
ここで、強化繊維にサイジング剤が付着されており、サイジング剤がチョップド繊維束全体を基準として、0.1〜10.0質量%の範囲内であるのが好ましい。連続した繊維束を裁断する際、強化繊維がばらばらになることなく、所定の形状に裁断されるためには、強化繊維同士が密着し、ある程度の拘束力を持ってチョップド繊維束として一体化していることが重要である。そこで、チョップド繊維束の0.1〜10.0質量%のサイジング剤を強化繊維に付着させておくことで、飛躍的にチョップド繊維束の製造プロセス性が向上する。また、チョップド繊維束を一体化して成形材料を製造する際の取り扱い性も向上することができる。例えば、引き出した繊維束に、溶媒に溶解または分散させたサイジング剤を0.1〜10.0質量%の範囲内で付与し、連続した繊維束を裁断した後、加熱して溶媒を乾燥することにより、本発明のチョップド繊維束を得ることができる。サイジング剤としては、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂等やそれらの混合樹脂を用いることができ、これらを水や溶媒等に希釈して強化繊維に接触させて乾燥して付着させることができる。
(C)散布工程
チョップド繊維束をシート状のマトリックス樹脂の上に散布する。塗布するチョップド繊維束は、成形材料における単位面積あたりの重量が100〜2,000g/mの範囲内であるのが好ましい。より好ましくは150〜1,000g/m、更に好ましくは200〜700g/mの範囲内である。かかる範囲であると、成形材料として取り扱いやすいだけでなく、薄いチョップド繊維束を用いてもその数が過剰に必要になり過ぎることもなく、成形材料を製造する際の生産性を損なうことがない。
散布する方法としては、チョップド繊維束が均一になるように塗布するのが好ましく、例えば、裁断されたチョップド繊維束を自重で落下させる方法や、エア吹きつけて塗布する方法などが挙げられる。特に、チョップド繊維束にエアを吹き付けながら細い隙間(スリット)を通過させると、均一分散させるだけでなく、チョップド繊維束の配向方向も制御することができるため好ましい。
(D)シート化工程
前記チョップド繊維束とマトリックス樹脂とをシート状に一体化し、加圧手段でチョップド繊維束の厚みを0.05〜0.90倍の範囲内になるように薄くする。特にチョップド繊維束にマトリックス樹脂を確実に含浸させるためには、チョップド繊維束をシート状のマトリックス樹脂の上に散布した後に別のシート状のマトリックス樹脂で挟み込みこむのが好ましい。このようにして得られた成形材料は、SMCやスタンパブルシートと呼ばれる。
加圧手段としては、例えば、連続的にローラー(ニップローラーなど)を通過させて加圧するもの、間欠的に平板などでプレスして加圧するもの、などが挙げられる。生産性の観点からは連続的にローラーを通過させる手段が好ましく、中でも通過する成形材料が同一線にならずにジグザグに通過するように配置された複数のニップローラーを通過させるのが好ましい。なお、マトリックス樹脂は成形材料の時点でチョップド繊維束に完全に含浸しているのが好ましいが、必ずしも完全に含浸している必要はなく、後述の成形材料をFRPに成形する際にマトリックス樹脂を含浸させることもできる(例えば、RFI(レジンフィルムインフュージョンなど)。
本発明の成形材料は、前記(A)〜(D)工程とは別の、少なくとも次の(E)〜(H)工程を経て製造されることもできる。各工程について、以下に順に説明する。
(E)含浸工程
連続した強化繊維束を連続的に走行させ、マトリックス樹脂を20〜75質量%の範囲内で付与する。予めマトリックス樹脂を強化繊維束に含浸しておけば、後工程でチョップド繊維束を製造するに当たり、裁断時に強化繊維がばらばらになることなく、所定の形状に安定して製造することができる。また、チョップド繊維束を一体化して後述のシート化工程において、改めて樹脂を含浸することなく一体化することができ、成形材料を製造する際の取扱性も向上することができる。なお、マトリックス樹脂を付与する前に、拡幅手段で強化繊維束を元糸幅の1.1〜20.0倍の範囲内となるように拡幅するのが好ましい。
(F)チョップ工程
マトリックス樹脂が付着した強化繊維束を切断して、繊維長が5〜100mmの範囲内である強化繊維が実質的に一方向に引き揃えられた、フィラメント本数が10,000〜700,000本の範囲内であるチョップド繊維束を得る。
(G)散布工程
チョップド繊維束をシート状の支持体の上に散布する。ここで、支持体としては、離型紙やプラスチックフィルムなどが挙げられる。塗布するチョップド繊維束は、成形材料における単位面積あたりの重量が200〜4,000g/mの範囲内であるのが好ましい。より好ましくは300〜2,000g/m、更に好ましくは400〜1,400g/mの範囲内である。かかる範囲であると、成形材料として取り扱いやすいだけでなく、薄いチョップド繊維束を用いてもその数が過剰に必要になり過ぎることもなく、成形材料を製造する際の生産性を損なうことがない。散布する方法としては、前記(C)塗布工程で記載した手段を用いることができる。
(H)シート化工程
支持体の上に塗布したチョップド繊維束を別の支持体で挟み込み、前記チョップド繊維束とマトリックス樹脂とをシート状に一体化する。これら支持体を用いる場合は、一体化にあたって支持体の上から加圧手段でチョップド繊維束の厚みを0.05〜0.90倍の範囲内になるように薄くするのが好ましく、前記(D)シート化工程で記載した手段を用いることができる。この場合、かかる離型紙やプラスチックフィルムなど支持体は成形材料に付けたまま巻き取ってもよいし、取り除いて成形材料だけを巻き取ってもよい。なお、ダブルベルトプレスのように離型処理を施したエンドレスベルトで連続的にプレスする場合は、このエンドレスベルトを支持体として扱ってもよい。
本発明のFRPは、少なくとも次の(a)、(b)工程を経て製造されるのが好ましい。かかる工程を経ることにより上述のFRPを得ることができる。各工程について、以下に順に説明する。
(a)チャージ工程
前記成形材料を成形型のキャビティの投影面積よりも小さく、キャビティ厚よりも1.1〜20.0倍の範囲内の厚い状態でキャビティ内に配置する。
(b)成形工程
成形型を型締めして前記成形材料を加圧することによりキャビティ内に成形材料を充填する。なお、マトリックス樹脂がチョップド繊維束に完全に含浸していない成形材料を用いる場合は、本工程でマトリックス樹脂を含浸させることもできる。
前記(a)チャージ工程と前記(b)成形工程を経て繊維強化プラスチックを製造することにより、成形材料に内在する気泡(ボイド)を成形材料の流動・伸張とともに成形型外に押し出すことが可能となり、高品質で、かつ、力学特性に優れた繊維強化プラスチックを得ることができる。成形手段としては特に制限はないが、例えば、マトリックス樹脂が熱硬化性樹脂であれば、加熱型プレス機を用いて加熱加圧することにより得られ、マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂であれば、成形材料を赤外線ヒーターで樹脂の融点以上に加熱した後、所定の温度に調整されたプレス機を用いて冷却加圧することにより得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。チョップド繊維束がマトリックス樹脂で一体化された、成形材料としてSMCを作製してプレス成形を行い、以下の評価方法にて引張特性を取得した。
<チョップド繊維束の平均幅、平均厚みの測定方法>
成形材料中のチョップド繊維束の平均幅Wmの測定は、成形材料を電気炉中で加熱することにより、マトリックス樹脂を分解させ、残ったチョップド繊維束をピンセットで取り出し、無作為に選んだ10個のチョップド繊維束について、1つのチョップド繊維束の繊維方向に対して両端部と中点部の3箇所をノギスにて1/10mmの精度で測定した平均値について、10個のデータを平均して行った。
また、成形材料中のチョップド繊維束の平均厚みtmの測定は、平均幅Wmを測定したチョップド繊維束について、1つのチョップド繊維束の繊維方向に対して両端部と中点部の3箇所をノギスにて1/100mmの精度で測定した平均値について、10個のデータを平均して行った。
FRP中のチョップド繊維束の平均幅Wc、平均厚みtcについても、上記と同様にして行う。すなわち、FRP中のチョップド繊維束の平均幅Wcの測定は、FRPを電気炉中で加熱することにより、マトリックス樹脂を分解させ、残ったチョップド繊維束をピンセットで取り出し、無作為に選んだ10個のチョップド繊維束について、1つのチョップド繊維束の繊維方向に対して両端部と中点部の3箇所をノギスにて1/10mmの精度で測定した平均値について、10個のデータを平均して行った。
また、FRP中のチョップド繊維束の平均厚みtcの測定は、平均幅Wcを測定したチョップド繊維束について、1つのチョップド繊維束の繊維方向に対して両端部と中点部の3箇所をノギスにて1/100mmの精度で測定した平均値について、10個のデータを平均して行った。
なお、本実施例における電気炉の加熱条件は、500℃×2時間(大気中)とした。
<引張特性の評価方法>
各実施例および比較例で得られた平板状のFRPより、長さ250±1mm、幅25±0.2mmの引張強度試験片を切り出した。JIS K−7073(1998)に規定する試験方法に従い、標点間距離を150mmとし、クロスヘッド速度2.0mm/分で引張強度を測定した。なお、本実施例においては、試験機としてインストロン(登録商標)万能試験機4208型を用いた。測定した試験片の数はn=5とし、平均値を引張強度とした。
(実施例1)
実質的に無撚の連続した強化繊維としてPAN系炭素繊維1(単繊維繊度1.4dtex(単糸直径約10μm)、12000フィラメント、真円度0.80)を、樹脂成分が2.0重量%になるようにポリグリセリンポリグリシジルエーテルをジメチルホルムアミド(DMF)で希釈したサイジング剤母液に連続的に浸漬させてサイジング剤を付与し、乾燥張力600g/dtexのもと、150℃のホットローラーと200℃の乾燥炉で乾燥し水分を除去した。サイジング剤付着量は1.2重量部、繊維束の元糸幅W0は6.0mm、連続した強化繊維の状態では元糸幅W0と元糸厚みt0との比率(W0/t0)は59であった
一方、マトリックス樹脂としてビニルエステル樹脂(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:デラケン790)を100重量部、硬化剤としてtert−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂(株)製、商品名:パーブチルZ)を1重量部、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛(堺化学工業(株)製、商品名:SZ−2000)を2重量部、増粘剤として酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製、商品名:MgO#40)を4重量部、用いて、それらを十分に混合撹拌し、樹脂ペーストを得た。樹脂ペーストをドクターブレードにてポリプロピレン製の離型フィルム上にコーティングして樹脂フィルムを得た。
次に、前記炭素繊維50ボビンをクリールにセットし、その軸方向に振動する回転可能な円筒ローラーを通過させると同時に、エアを吹きつける拡幅手段にて繊維束の拡幅幅Wを20.2mm(W/W0は3.4)となるように拡幅した状態の繊維束を、周方向に25mm間隔、90°の角度で切断刃が設置されているロータリー式カッターで切断することにより、端部が繊維方向と90°の角度で直線状の形態を有した繊維長25mmのチョップド繊維束を作製した。
ロータリー式カッターの下には、前記樹脂フィルムが配置されており、その上にチョップド繊維束を単位面積あたりの重量が500g/mで均一分散するように散布した。
その上から、別の樹脂フィルムを樹脂ペーストが内側になるようにして挟み込み、ジグザグにフィルムが通過するように配置した複数のニップローラーである加圧手段を通過させて、樹脂ペーストをチョップド繊維束に含浸させ、40℃にて24時間静置して樹脂ペーストを増粘させてSMCを得た。SMCにおける炭素繊維の体積含有量は40%であり、得られたSMC中のチョップド繊維束の平均幅Wmは16.8mm、平均厚みtmは0.05mm、比率(Wm/tm)が336であった。
このSMCシートを250×250mmに切り出し、4枚重ねた後、300×300mmのキャビティを有する平板金型上の概中央部に配置(チャージ率にして70%相当)した後、加熱型プレス成形機により、6MPaの加圧のもと、150℃×5分間の条件により硬化せしめ、300×300mmの平板状のFRPを得た。
金型キャビティ内にFRPが充填されており、SMCの流動性は非常に良好で、ソリも見られなかった。FRPの厚みは2.8mmであり、得られたFRP中のチョップド繊維束の平均幅Wcは21.1mm、平均厚みtcは0.04mm、その比率(Wc/tc)が528であった。引張試験の結果、引張弾性率は33GPaと高く、引張強度に関しても300MPaと高い値が発現した。比較例1と比較しても弾性率、強度ともで20%程度の力学特性向上を発現していた。また、得られたFRPを切り出し断面観察すると、断面に並行に配向しているチョップド繊維束13の厚さは充分に薄く、その端部12の先に形成されるマトリックス樹脂溜り15は極小さいものであったために、優れた引張特性を発現したと考えられる。
(実施例2)
強化繊維としてPAN系炭素繊維1(単繊維繊度2.4dtex(単糸直径約10μm)、12,000フィラメント、真円度0.80)を使用する以外は、実施例1と同様にFRPを成形した。金型キャビティ内にFRPが充填されており、SMCの流動性は実施例1と同等以上に非常に良好で、ソリも見られなかった。FRPの厚みは2.8mmであり、得られたFRP中のチョップド繊維束の平均幅Wcは21.1mm、平均厚みtcは0.04mm、その比率(Wc/tc)が528であった。引張試験の結果、引張弾性率は35GPaと高く、引張強度に関しても320MPaと高い値が発現した。比較例1と比較しても弾性率、強度ともで20%程度の力学特性向上を発現していた。また、得られたFRPを切り出し断面観察すると、断面に並行に配向しているチョップド繊維束13の厚さは充分に薄く、その端部12の先に形成されるマトリックス樹脂溜り15は極小さいものであったために、優れた引張特性を発現したと考えられる。
(比較例1)
強化繊維としてPAN系炭素繊維1(単繊維繊度0.6dtex(単糸直径約7μm)、12,000フィラメント、真円度0.95)を使用する以外は、実施例1と同様にFRPを成形した。
金型キャビティ内にFRPが充填されており、SMCの流動性は実施例1よりも幾分悪くと、わずかにソリが確認された。FRPの厚みは2.8mmであり、得られたFRP中のチョップド繊維束の平均幅Wcは21.1mm、平均厚みtcは0.04mm、その比率(Wc/tc)が528であった。引張試験の結果、引張弾性率は30GPaと高く、引張強度に関しても265MPaであった。また、得られたFRPを切り出し断面観察すると、断面に並行に配向しているチョップド繊維束の厚さは厚く、その端部の先に形成されるマトリクス樹脂溜りは大きいものであった。さらに、該樹脂溜まりには複数のボイドが確認された。

Claims (5)

  1. 繊維長が5〜100mmの範囲内である特定の強化繊維(単繊維繊度が1.0〜2.4dtexである炭素繊維)が実質的に一方向に引き揃えられた、フィラメント本数が10000〜700000本の範囲内であるチョップド繊維束がマトリックス樹脂で一体化された成形材料であって、成形材料中におけるチョップド繊維束の平均幅Wmと平均厚みmとの比率(Wm/tm)が70〜1000の範囲内であり、かつ、チョップド繊維束の平均幅Wmが2〜50mmの範囲内、平均厚みtmが0.02〜0.10mmの範囲内である成形材料。
  2. 前記チョップド繊維束に含まれる特定の強化繊維の単繊維の繊維軸に垂直な断面の形状が真円度0.70以上0.90以下である、請求項1に記載の成形材料。
  3. 前記チョップド繊維束が成形材料の厚み方向にランダムに配置されており、かつ、繊維方向がランダムである、請求項1または2のいずれかに記載の成形材料。
  4. 少なくとも次の(A)〜(D)工程を経る、成形材料の製造方法。
    (A)連続した特定の強化繊維(単繊維繊度が1.0〜2.4dtexである炭素繊維)を連続的に走行させ、走行途中の箇所に配した拡幅手段で強化繊維束を元糸幅の1.1〜20.0倍の範囲内となるように拡幅する拡幅工程
    (B)拡幅状態の繊維束を切断して、繊維長が5〜100mmの範囲内である特定の強化繊維(単繊維繊度が1.0〜2.4dtexである炭素繊維)が実質的に一方向に引き揃えられた、フィラメント本数が10000〜700000本の範囲内であるチョップド繊維束を得るチョップ工程
    (C)チョップド繊維束をシート状のマトリックス樹脂の上に散布する散布工程
    (D)前記チョップド繊維束とマトリックス樹脂とをシート状に一体化し、加圧手段でチョップド繊維束の厚みを0.05〜0.90倍の範囲内になるように薄くするシート化工程
  5. 少なくとも次の(a)、(b)工程を経る、繊維強化プラスチックの製造方法
    (a)請求項4記載の製造方法で得られた成形材料を、成形型のキャビティの投影面積よりも小さく、キャビティ厚よりも1.1〜20.0倍の範囲内の厚い状態でキャビティ内に配置するチャージ工程
    (b)成形型を型締めして前記成形材料を加圧することによりキャビティ内に成形材料を充填する成形工程
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