JP2013185200A - 断熱皮膜構造及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材表面に形成される、溶射皮膜を備える断熱皮膜構造及びその製造方法において、基材の断熱性を高めつつ、溶射皮膜への燃料等の染み込みを抑える。
【解決手段】ジルコニア粒子27を含む酸化物層25を有する溶射皮膜21をピストン基材19表面に形成するとともに、酸化物層25に形成された気孔部29に、SiとOとを含むSiO系酸化物31を充填又は略充填する。
【選択図】図5

Description

本発明は、基材表面に形成される、溶射皮膜を備える断熱皮膜構造及びその製造方法に関するものである。
基材表面に形成される断熱構造については、1980年代に、エンジンの熱効率を高める方法として、エンジン燃焼室に臨む部分に断熱層を設けることが提案され(例えば、特許文献1)、その後も、セラミックス焼結体からなる断熱層や、低熱伝導性を有するZrO粒子を含む溶射層からなる断熱層が提案されている。
しかしながら、セラミックス焼結体は、熱応力や熱衝撃によるクラックの発生、及び、割れの発生といった問題に直面した。このため、特に、ピストンの頂面、シリンダライナの内周面、シリンダヘッドの下面といった比較的大きな面積を有する部分へ、セラミックス焼結体からなる断熱層が適用されたものは実用に至っていない。
一方、溶射層それ自体は、シリンダライナ及びロータリーエンジンのトロコイド面へ採用された実績があるが、これは耐摩耗性の向上を目的としたものであり、断熱性の向上を目的としたものではない。そうして、溶射層を断熱層とするためには、上記のようにZrO(ジルコニア)を主体とする低熱伝導材料を溶射することが好ましいが、ジルコニア系の層は、サーメット系の層よりも粒子間の密着性が劣り、熱応力や繰返しの応力による疲労等によってクラックが生じ易いという問題がある。
このような問題を解決するために、例えば、特許文献2では、断熱用薄膜中に、粒子と補強用繊維材とを含ませた構造が提案されている。
国際公開第89/03930号パンフレット 特開2009−243352号公報
上記特許文献2には、コーティング又は接合との記載だけで、その断熱用薄膜を得る方法について詳細には述べられていないが、粒子を含むこと、及び、断熱性の確保を目的とすることに鑑みれば、断熱用薄膜はある程度ポーラス状(多孔状)であると看做せる。そうすると、特許文献2の断熱用薄膜を、例えばピストンの頂面に設けた場合、燃料噴射弁から噴射された燃料が断熱用薄膜の表面に浸み込んで(気孔部に取り込まれて)しまうことから、未燃損失割合が増加し、熱効率の低下に繋がるおそれがある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、基材表面に形成される、溶射皮膜を備える断熱皮膜構造及びその製造方法において、基材の断熱性を高めつつ、溶射皮膜への燃料等の染み込みを抑える技術を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る断熱皮膜構造及びその製造方法では、熱伝導性の低いZrO含有粒子と気孔部とを含む酸化物層を有する溶射皮膜を形成するとともに、当該気孔部に封孔剤としてSiO系酸化物を充填(又は略充填)するようにしている。
具体的には、第1の発明は、基材表面に形成される、溶射皮膜を備える断熱皮膜構造を対象としている。
そして、上記溶射皮膜は、上記基材に対して溶射されたZrO含有粒子を含む酸化物層を有し、上記酸化物層は、その表面から内部にかけて気孔部を有しており、上記気孔部には、SiとOとを含むSiO系酸化物が含まれていることを特徴とするものである。
第1の発明によれば、溶射皮膜は、熱伝導性の低いZrO含有粒子を含む酸化物層を有していることから、基材の断熱性を向上させることができる。それ故、断熱皮膜構造を、例えば、ピストンの頂面、シリンダライナの内周面、シリンダヘッドの下面等に適用した場合には、エンジンの熱効率を高めることができる。
また、酸化物層の表面から内部にかけて形成された気孔部には、緻密なSiO系酸化物が充填(又は略充填)されることから、断熱皮膜構造を、例えば、ピストンの頂面、シリンダライナの内周面、シリンダヘッドの下面等に適用した場合には、噴霧された燃料が酸化物層に浸み込む(気孔部に取り込まれる)のを抑えることができる。
さらに、緻密なSiO系酸化物が気孔部に充填(又は略充填)されることによって、ZrO粒子同士が緻密なSiO系酸化物を介して接着された状態となることから、酸化物層にクラックや剥離が発生するのを抑えることができる。
以上により、基材の断熱性を高めつつ、溶射皮膜への燃料等の染み込みを抑えることができる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記SiO系酸化物に、中空状粒子が含まれていることを特徴とするものである。
第2の発明によれば、中空状粒子をSiO系酸化物に含ませることにより、緻密なSiO系酸化物の中に、熱伝導性の低い空気が含まれることから、燃料等の染み込みを抑えつつ、断熱性をさらに高めることができる。
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記SiO系酸化物は、上記気孔部のうち、上記酸化物層の表面から内部に向かって1/2以下の深さまでの気孔部に、含まれていることを特徴とするものである。
第3の発明によれば、SiO系酸化物は、酸化物層の表面から内部に向かって1/2以下の深さまでの気孔部に含まれることから、換言すると、酸化物層の少なくとも表面部の気孔部には、緻密なSiO系酸化物が充填(又は略充填)されることから、燃料等が断熱皮膜に浸み込むのを抑えることができる。
一方、気孔部のうち、酸化物層における少なくとも1/2の深さを超える部位に存在する気孔部は、SiO系酸化物によって充填(又は略充填)されないことから、熱伝導性の低い空気によって、高い断熱性を維持することができる。
これらにより、溶射皮膜への燃料等の浸み込みの抑制と、断熱性の向上と、を高い次元で両立することができる。
第4の発明は、基材表面に形成される、溶射皮膜を備える断熱皮膜構造の製造方法を対象としている。
そして、溶射原料としてのZrO含有粒子を用意し、上記ZrO含有粒子を上記基材に対して溶射して、当該ZrO含有粒子と気孔部とを含む酸化物層を形成する溶射工程と、上記酸化物層の表面に、パーヒドロポリシラザンの溶液、又は、空気中の水分と反応して−Si−O−Si−O−を主鎖とする無機系ポリマーとなる、アルコキシシラン化合物を主成分とする溶液、を塗布して、上記気孔部に含浸させる塗布工程と、を含むことを特徴とするものである。
第4の発明によれば、気孔部に含浸されたパーヒドロポリシラザン、又は、アルコキシシラン化合物を主成分とする溶液は、空気中の水分と反応して、それぞれ、緻密なシリカ(SiO)、又は、−Si−O−Si−O−を主鎖とする無機系ポリマーに転化することから、換言すると、SiとOとを含むSiO系酸化物に転化することから、上記第1の発明と同様の効果を得ることができる。
第5の発明は、上記第4の発明において、上記パーヒドロポリシラザンの溶液、又は、上記アルコキシシラン化合物を主成分とする溶液の室温における粘度が、10〜10000mPa・sであることを特徴とするものである。
第5の発明によれば、パーヒドロポリシラザンの溶液、又は、アルコキシシラン化合物を主成分とする溶液の室温における粘度が、10〜10000mPa・sであることから、かかる溶液を酸化物層の表面に塗布しても、酸化物層における1/2の深さを超える部位までは浸透し難くなる。このため、パーヒドロポリシラザン、又は、アルコキシシラン化合物を主成分とする溶液が、SiとOとを含むSiO系酸化物に転化しても、酸化物層の表面から内部に向かって1/2以下の深さまでの気孔部には、SiO系酸化物が含まれる一方、酸化物層における少なくとも1/2の深さを超える部位に存在する気孔部には、熱伝導性の低い空気が含まれることになり、これにより、上記第3の発明と同様の効果を得ることができる。
第6の発明は、上記第5の発明において、上記パーヒドロポリシラザンの溶液、又は、上記アルコキシシラン化合物を主成分とする溶液の室温における粘度が、500〜5000mPa・sであることを特徴とするものである。
第6の発明によれば、上記パーヒドロポリシラザンの溶液、又は、上記アルコキシシラン化合物を主成分とする溶液が、酸化物層における1/2の深さを超える部位まで浸透するのをより一層抑えることができる。
本発明に係る断熱皮膜構造及びその製造方法によれば、熱伝導性の低いZrO含有粒子を含む酸化物層を有する溶射皮膜が形成されることから、基材の断熱性を向上させることができる。また、酸化物層の気孔部には、緻密なSiO系酸化物が充填(又は略充填)されることから、噴霧された燃料等が溶射皮膜に浸み込むのを抑えることができる。さらに、緻密なSiO系酸化物が気孔部に充填(又は略充填)されることによって、ZrO粒子同士が緻密なSiO系酸化物を介して接着された状態となることから、酸化物層にクラックや剥離が発生するのを抑えることができる。
実施形態1に係るエンジン構造を示す断面図である。 仕様が相異なるエンジンの幾何学的圧縮比と図示熱効率との関係を示すグラフ図である。 仕様が相異なるエンジンの空気過剰率λと図示熱効率との関係を示すグラフ図である。 アルミ合金製ピストンの断熱皮膜構造を示す断面図である。 同ピストンの溶射皮膜を模式的に示す拡大断面図である。 パーミエイトと水との反応を模式的に説明する図である。 断熱皮膜構造の製造方法を示すフローチャートである。 断熱皮膜構造の組織写真であり、同図(a)は、SEM像であり、同図(b)は、EPMAで分析したSiの分布像である。 実施例並びに比較例1及び比較例2の未燃損失割合(%)を示す図である。 実施例並びに比較例1及び比較例2の図示熱効率(%)を示す図である。 同ピストンの溶射皮膜を模式的に示す拡大断面図である。 実施例並びに比較例の図示熱効率(%)を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
実施形態1は、本発明に係る断熱皮膜構造を、図1に示すエンジンのピストンに採用したものである。
〈エンジンの特徴〉
このエンジンは、直列4気筒2Lガソリンエンジンであり、図1中の符号3はシリンダブロックを、符号5はシリンダヘッドを、符号7は吸気ポート9を開閉する吸気バルブを、符号11は排気ポート13を開閉する排気バルブを、符号15は燃料噴射弁を、それぞれ示している。エンジンの燃焼室は、ピストン1の頂面、シリンダブロック3の内周面、シリンダヘッド5の下面、及び、吸排気バルブ7,11の傘部前面(燃焼室に臨む面)で形成される。ピストン1の頂面には、キャビティ17が形成されている。なお、図1では、点火プラグを図示省略している。
ところで、エンジンの熱効率は、理論的には、幾何学的圧縮比を高める程、また、作動ガスの空気過剰率を大きくする程、高くなることが知られているが、実際には、圧縮比を高める程、また、空気過剰率を大きくする程、外部に熱として奪われるエネルギーである冷却損失が大きくなるため、圧縮比や空気過剰率の増大による熱効率の改善は頭打ちになる。
すなわち、冷却損失は、作動ガスからエンジン燃焼室壁への熱伝達率、その伝熱面積、及び、ガス温と壁温との温度差に依存し、また、熱伝達率は、ガス圧及び温度の関数であることから、圧縮比及び空気過剰率の増大によりガス圧及び温度が高くなると、熱伝達率が高くなり且つ壁温とガス温との温度差が大きくなることによって、冷却損失が大きくなる。このため、圧縮比20以上の超高圧縮比にすることは、冷却損失のために実現できていないのが現状である。
翻って、本実施形態のエンジンは、幾何学的圧縮比ε=20〜50とされ、少なくとも部分負荷域での空気過剰率λ=2.5〜6.0で運転されるリーンバーンエンジンである。このため、その圧縮比ε及び空気過剰率λに見合う所期の熱効率を得るには、エンジンの冷却損失を大幅に低減させなければ、換言すると、エンジンの断熱性を高くしなければならない。この点をモデル計算による図示熱効率に基いて説明するべく、圧縮比εを増大させていった際、燃焼室を断熱構造にするか否かで、また、空気過剰率λの大小で、図示熱効率がどのように影響されるかをモデル計算した。
図2はその結果を示す。同図において、「断熱なし」は、燃焼室に断熱構造を採用していない従来のエンジンを意味し、「断熱あり」は、燃焼室に断熱構造を採用していない従来のエンジンよりも燃焼室の断熱率を50%高めたエンジンを意味する。なお、「200kPa」及び「500kPa」はそれぞれエンジン負荷の大きさを表す。
まず、「断熱なし 200kPa λ=1」の場合、圧縮比εの増大に伴って図示熱効率が増大しているが、圧縮比ε=50を超えても図示熱効率は大きく改善せず、圧縮比ε=50での理論効率は80%程度であるから、当該エンジンの図示熱効率はかなり低い。この差の大部分は冷却損失及び排気損失である。
「断熱なし 200kPa λ=2」の場合、空気過剰率の増加により比熱比が小さくなるため、図示熱効率が高くなっているが、それでも、理論効率からみれば低い。「断熱なし 200kPa λ=4」及び「断熱なし 200kPa λ=6」をみると、圧縮比εが15又は25を超えると、該圧縮比εが大きくなるほど図示熱効率が低下している。これは、空気過剰率λが大きい(混合気の空気密度が高い)ことから、高圧縮比になると燃焼時のガス圧が非常に高くなり、ガス圧及び温度の関数である熱伝達率が高くなって冷却損失が大きくなるためである。すなわち、空気過剰率λの増大(比熱比の増大)による熱効率の上昇を上回って冷却損失が大きくなるためである。
これに対して、「断熱あり 200kPa λ=2.5」では、圧縮比εの増大に伴って図示熱効率が増大している。空気過剰率λを高めた「断熱あり 200kPa λ=6」では、圧縮比εが40を超えると、図示熱効率が若干下がり気味になるものの、図示熱効率は圧縮比ε=20〜50において非常に高い値になっている。エンジン負荷を高めた「断熱あり 500kPa λ=2.5」でも、図示熱効率は圧縮比ε=20〜50において高い値になっている。
図3は空気過剰率λと図示熱効率との関係をみたグラフである。「断熱なし 200kPa ε=15」では、空気過剰率λ=4.5付近で図示熱効率がピークになり、それよりも空気過剰率λが増大するほど図示熱効率が低下している。これに対して、「断熱あり 200kPa ε=40」では、空気過剰率λ=6.0付近で図示熱効率がピークになっている。圧縮比εが高いことと、断熱による冷却損失抑制の効果である。
上記リーンバーンエンジンの場合、少なくとも部分負荷域では空気過剰率λ=2.5以上で運転するから、NOx発生の抑制に有利になる。圧縮比εが高くなると、燃焼温度が高くなるが、空気過剰率λをエンジン負荷が高くなるほど大きくなるように制御することにより、燃焼最高温度が1800(K)を越えないようにしてNOx発生を抑制することができる。
また、図示は省略するが、上記エンジンの吸気系には吸気を冷却するインタークーラーが設けられている。これにより、圧縮開始時の筒内ガス温度が低くなり、燃焼時のガス圧及び温度の上昇が抑えられ、冷却損失の低減(図示熱効率の改善)に有利になる。
〈断熱皮膜構造〉
そこで、以下では、上記超高圧縮比ε=20〜50及び高空気過剰率λ=2.5〜6.0で運転されるエンジンにおける、図示熱効率を高める上で必要となる冷却損失低減のための断熱皮膜構造について説明する。図4は、ピストンの断熱皮膜構造を示す断面図である。このピストン1は、エンジンの燃焼室を形成する頂面に溶射皮膜21を備えており、かかる溶射皮膜21は、ピストン基材19の頂面全体に亘って形成されたアンダーコート23と、当該アンダーコート23を覆う酸化物層25と、を有している。
ピストン基材19は、例えば鋳物用アルミ合金AC8A(熱伝導率;141.7(W/(m・K))、容積比熱;2300(kJ/(m・K)))で成形することができる。なお、ピストン基材19は、他のアルミ合金で成形してもよいし、鋳鉄製ピストンとしてもよい。
アンダーコート23は、酸化物層25のピストン基材19への密着性をよくするとともに、酸化物層25とピストン基材19との熱膨張差を緩和する役割を果たすものであり、Ni−Cr合金をピストン基材19の頂面に対してプラズマ溶射することにより、約100(μm)の厚さで形成されている。なお、Ni−Cr合金としては、例えばNi−20Cr合金(熱伝導率;12.6(W/(m・K))、容積比熱;3660(kJ/(m・K)))を採用することができる。
酸化物層25は、図5に示すように、ピストン基材19の頂面に溶射された多数のジルコニア粒子(ZrO含有粒子)27と、当該酸化物層25の表面から内部にかけて形成された気孔部(空隙)29とを含み、かかる気孔部29に、本発明でいうところのSiとOとを含むSiO系酸化物31である、−Si−O−Si−O−を主鎖とする無機系ポリマー又はシリカガラスが充填又は略充填され(含まれ)ている。
ジルコニア粒子27の材料としては、例えば、安定化剤としてイットリアを用いた部分安定化ジルコニア(ZrO−Y)を用いることができ、溶射原料としてのジルコニア粒子27は、粒径分布範囲が45〜125μmである略中空球状に形成されている。そうして、酸化物層25は、不図示のプラズマ溶射装置を用いて、アンダーコート処理が施されたピストン基材19の頂面にジルコニア粒子27を溶射し、溶射熱により軟化したジルコニア粒子27がピストン基材19に衝突して扁平状に変形して堆積することで、約900(μm)の厚さで且つ気孔率13(vol%)の多孔質に形成されている。なお、酸化物層25の気孔率は、ジルコニア粒子27の粒径や溶射速度を調整することで調整可能であり、5〜40(vol%)が好ましく、10〜25(vol%)がより好ましい。また、各気孔部29の大きさは、1〜100(μm)が好ましい。
このように、断熱性を高めるべく、皮膜材料としてピストン基材19よりも熱伝導率が低い部分安定化ジルコニアを用いるとともに、酸化物層25を気孔率13(vol%)の多孔質に形成することにより、溶射皮膜21の熱伝導率は0.8(W/(m・K))になる。しかしながら、このような多孔質の溶射皮膜21をピストン1の頂面に形成すると、ガソリン(燃料)と空気の混合気が燃焼室に噴霧された際に、ガソリンが溶射皮膜21に浸み込んで(気孔部29に取り込まれて)しまい、未燃損失割合が増加し、熱効率の低下につながるおそれがある。
そこで、本実施形態の断熱皮膜構造では、酸化物層25の表面に、空気中の水分と反応して−Si−O−Si−O−を主鎖とする無機系ポリマーとなる、アルコキシシラン化合物を主成分とする溶液、又は、パーヒドロポリシラザンの溶液を塗布して、上述の如く、−Si−O−Si−O−を主鎖とする緻密な無機系ポリマー又はシリカガラスを気孔部29に充填又は略充填する(含ませる)ことにより、噴霧されたガソリンが溶射皮膜21に浸み込むのを抑制している。
−Si−O−Si−O−を主鎖とする無機系ポリマーを形成する、アルコキシシラン化合物を主成分とする溶液としては、例えば、ディ・アンド・ディ社製のパーミエイトを用いることができる。このパーミエイトは、シリコーン樹脂の原料となるアルコキシラン化合物を主成分として無溶剤1液型の封孔剤であり、アルコキシラン化合物の他にその部分加水分解縮合物(オリゴマー)や硬化触媒を含んでおり、図6に示すように、空気中の水分と反応し、無機系ポリマーになり硬化し、SiとOとが連続的に結合したSiO系酸化物31を形成して、酸化物層25に存在する気孔部29を塞ぐことになる。なお、図6中のRは、CH等の炭化水素基を意味する。
また、シリカガラスを形成する、パーヒドロポリシラザンの溶液としては、AZエレクトロニック・マテリアルズ社製のアクアミカを用いることができる。このアクアミカは、パーヒドロポリシラザンを主成分とする封孔剤であり、パーヒドロポリシラザンの他に有機溶剤や触媒を含んでおり、空気中の水分と反応して、シリカガラス(SiO)に転化して、酸化物層25に存在する気孔部29を塞ぐことになる。
このように、緻密な無機系ポリマー又はシリカガラスによって気孔部29を塞ぐことで、本実施形態の断熱皮膜構造では、噴霧されたガソリンが溶射皮膜21に浸み込むのを抑制することが可能になる。なお、封孔処理を施した溶射皮膜21では、熱伝導率が極めて低い気孔部29の空気を、これよりも熱伝導率が高い無機系ポリマー又はシリカガラスで置き換えるため、その熱伝導率は、封孔処理を施していない溶射皮膜21の熱伝導率(0.8(W/(m・K)))よりも若干高めになるものの、1.2(W/(m・K))程度に抑えられる。
〈断熱皮膜構造の製造方法〉
次に、図7に示すフローチャートに基づいて、実施形態1に係る断熱皮膜構造の製造方法について説明する。
先ず、ステップS1では、プラズマ溶射ガンを用いて、ピストン基材19の頂面に、Ni−20Cr合金をプラズマ溶射して、厚さ約100(μm)のアンダーコート23を形成する。
次いで、ステップS2では、同じくプラズマ溶射ガンを用いて、出力25〜50(kW)、Arガス流量35〜50(L/min)、Hガス流量10〜20(L/min)、溶射距離50〜150(mm)、溶射粒子供給量20〜50(g/min)の溶射条件で、アンダーコート処理が施されたピストン基材19の頂面に、上記部分安定化ジルコニア(ZrO−Y)をプラズマ溶射して、厚さ約900(μm)且つ気孔率13(vol%)の酸化物層25を形成する(溶射工程)。なお、プラズマ溶射ガンとしては、例えば、Sulzer Metco社製のF4型プラズマ溶射ガンを用いることができる。
次のステップS3では、ステップS2で形成された酸化物層25の表面に、例えば、液状の封孔剤であるパーミエイトを塗布して、気孔部29に含浸させる(塗布工程)。
次いで、ステップS4では、ステップS3で塗布されたパーミエイトのうち、気孔部29に含浸することなく酸化物層25の表面に吹き出ている、余分なパーミエイトを布で拭き取る。
次のステップS5では、予備乾燥として、酸化物層25表面のパーミエイトが拭き取られたピストン1を、室温で指触硬化させる(指触硬化とは、指触しても硬化皮膜に変化が見られない程度に硬化している状態をいう。)。
次いで、ステップS6では、硬化処理として、予備乾燥されたピストン1を、40〜150℃で所定時間熱処理する。なお、封孔剤として、アクアミカを用いる場合にも室温で指触硬化させた後、40〜150℃で所定時間熱処理を行う。
図8は、このようにして形成された断熱皮膜構造を、EPMAにより分析した結果を示しており、同図(a)は、SEM像であり、同図(b)は、Siの分布を示した像である。図8(b)において断熱皮膜にSiの分布が確認でき、上記製造方法により形成された酸化物層25には、当該酸化物層25の表面から内部にかけて、Siが充填されていることが確認できる。
〈断熱性および燃料の染み込み抑制の改善効果〉
本実施形態にかかる断熱皮膜構造による、断熱性および燃料の染み込み抑制の改善効果を確認するために、所定の評価条件の下で、実施例および比較例について図示熱効率(%)および未燃損失割合(%)をそれぞれ求め、これらの結果を対比した。
より詳しくは、鋳物用アルミ合金AC8A製のピストンを比較例1とした。また、比較例1のピストンの頂面に、F4型プラズマ溶射ガンを用いて、出力35(kW)、Arガス流量40(L/min)、Hガス流量15(L/min)、溶射距離100(mm)、溶射粒子供給量40(g/min)の溶射条件で、Ni−20Cr合金を溶射して、厚さ100(μm)のアンダーコートを形成するとともに、イットリアを用いた部分安定化ジルコニア粒子(ZrO−Y)を溶射して、気孔率13(vol%)且つ厚さ900(μm)の酸化物層を形成したものを比較例2とした。
一方、比較例2のピストンの頂面に形成された酸化物層の気孔部を、パーミエイトを用いて封孔処理したものを実施例1とした。
そうして、これら3種類のピストンについて、同じ評価条件、すなわち、排気量1998.8(CC)、4気筒、圧縮比20、空気過剰率2.5及び回転数2000(rpm)の条件で、図示熱効率(%)および未燃損失割合(%)をそれぞれ求めた。
図9は、実施例1並びに比較例1及び比較例2の未燃損失割合(%)を示す図である。図9に示すように、封孔処理を施した実施例1では、封孔処理を施していない比較例2よりも未燃損失割合(%)が大きく改善されていることが分かる。これにより、−Si−O−Si−O−を主鎖とする無機系ポリマーを気孔部に充填することによって、噴霧されたガソリンが酸化物層に浸み込むのを抑制できることが確認できた。なお、実施例1は、溶射皮膜を形成していない比較例1よりも未燃損失割合(%)が改善されているが、これは、実施例1では溶射皮膜の存在により燃焼状態が改善されていることによるものと推測される。
図10は、実施例1並びに比較例1及び比較例2の図示熱効率(%)を示す図である。図10に示すように、溶射皮膜を形成した実施例1では、溶射皮膜を形成していない比較例1よりも図示熱効率が大きく改善されていることが分かる。これにより、熱伝導率の低いジルコニア粒子を含む酸化物層を形成することにより、エンジンの冷却損失が低減することが、換言すると、エンジンの断熱性が向上することが確認できた。なお、比較例2は、溶射皮膜を形成していない比較例1よりも図示熱効率(%)が低下しているが、これは、気孔部による未燃損失割合の悪化に起因する図示熱効率の低下が、溶射皮膜による断熱性の向上に起因する図示熱効率の上昇を上回っているためと考えられる。
−効果−
本実施形態によれば、溶射皮膜21は、熱伝導性の低いジルコニア粒子27を含む酸化物層25を有していることから、ピストン1の頂面の断熱性を向上させて、エンジンの熱効率を高めることができる。
また、気孔部29に含浸された、アルコキシシラン化合物を主成分とする溶液は、空気中の水分と反応して−Si−O−Si−O−を主鎖とする無機系ポリマーに転化し、また、パーヒドロポリシラザンは、空気中の水分と反応して緻密なシリカ(SiO)に転化することから、溶射皮膜21の表面から内部にかけて形成された気孔部29には、緻密なSiO系酸化物31が充填(又は略充填)されることになるので、噴霧された燃料が溶射皮膜21に浸み込むのを抑えることができる。
さらに、緻密なSiO系酸化物31が気孔部29に充填(又は略充填)されることによって、ZrO粒子同士が緻密なSiO系酸化物を介して接着された状態となることから、溶射皮膜21にクラックや剥離が発生するのを抑えることができる。
(実施形態2)
本実施形態は、酸化物層25に意図的に気孔部29を残している点、及び、SiO系酸化物31に中空状粒子33が含まれている点が、上記実施形態1と異なるものである。以下、上記実施形態1と異なる点について説明する。
〈断熱皮膜構造〉
上記実施形態1では、酸化物層25に存在する気孔部29を、SiO系酸化物31によってほぼ全て塞ぐようにしたが、本実施形態の断熱皮膜構造では、熱伝導率の極めて低い空気を積極的に残すべく、図11に示すように、SiとOとを含むSiO系酸化物31が、酸化物層25に存在する気孔部29のうち、酸化物層25の表面から内部に向かって1/2以下の深さまでの気孔部29に含まれるようにしている。すなわち、この断熱皮膜構造では、酸化物層25の表面から内部に向かって1/2以下の深さまでの気孔部29には、SiO系酸化物31が含まれている一方、酸化物層25における少なくとも1/2の深さを超える部位に存在する気孔部29には、熱伝導性の低い空気が含まれており、断熱性がさらに高まるようになっている。
なお、SiとOとを含むSiO系酸化物31が形成される範囲を、酸化物層25の1/2以下の深さまでに抑えるには、例えば増粘剤を加えてパーミエイト又はアクアミカの粘度を上げてから、酸化物層25の表面に塗布すればよい。この場合、パーミエイト又はアクアミカの室温における粘度は、10〜10000(mPa・s)が好ましく、500〜5000(mPa・s)がより好ましい。
さらに、この断熱皮膜構造では、更なる断熱性の向上を図るべく、SiとOとを含むSiO系酸化物31に中空状粒子33を含ませるようにしている。中空状粒子33としては、アルミナバブル、フライアッシュバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、エアロゲルバルーン等のセラミック系中空状粒子、その他の無機系中空状粒子採用することができる。各々の材質及び粒径は表1の通りである。
例えば、フライアッシュの化学組成は、SiO;40.1〜74.4%、Al;15.7〜35.2%、Fe;1.4〜17.5%、MgO;0.2〜7.4%、CaO;0.3〜10.1%(以上は質量%)である。シラスバルーンの化学組成は、SiO;75〜77%、Al;12〜14%、Fe;1〜2%、NaO;3〜4%、KO;2〜4%、IgLoss;2〜5%(以上は質量%)である。
これらの中空状粒子33の1種を含む酸化物層25は、中空状粒子33を混入したパーミエイト又はアクアミカを、酸化物層25の表面に塗布するだけで、簡単に得ることができる。なお、上記例示した中空状粒子33の場合、その熱伝導率は0.03〜0.3W/(m・K)程度であり、その容積比熱は200〜1900kJ/(m3・K)程度になる。
〈断熱性の改善効果〉
本実施形態にかかる断熱皮膜構造による、断熱性の改善効果を確認するために、上記実施形態1と全く同じ評価条件で、実施例および比較例について図示熱効率(%)をそれぞれ求め、これらの結果を対比した。
実施例1並びに比較例1及び比較例2は、上記実施形態1のものと全く同じとした。また、−Si−O−Si−O−を主鎖とする無機系ポリマーを、酸化物層の表面から内部に向かって1/2の深さまでの気孔部にしか含まれないようにするとともに、かかる無機系ポリマーにシラスバルーンを含ませたこと以外は、実施例1と同様のものを実施例2とした。
そうして、これら4種類のピストンについて、上記実施形態1と全く同じ評価条件で図示熱効率(%)をそれぞれ求めた。
図12は、実施例1及び実施例2並びに比較例1及び比較例2の図示熱効率(%)を示す図である。図12に示すように、本実施形態に係る実施例2では、実施例1並びに比較例1及び比較例2よりも図示熱効率(%)が改善されていることが分かる。これにより、酸化物層に気孔部を積極的に残すとともに、SiO系酸化物に中空状粒子を含ませることにより、エンジンの断熱性が向上することが確認できた。
−効果−
本実施形態によれば、緻密なSiO系酸化物31の中に、中空状粒子33により熱伝導性の低い空気が含まれることから、燃料等の染み込みを抑えつつ、断熱性をさらに高めることができる。
また、パーヒドロポリシラザンの溶液、又は、アルコキシシラン化合物を主成分とする溶液の室温における粘度が、10〜10000mPa・sであることから、かかる溶液を溶射皮膜21の表面に塗布しても、酸化物層25における1/2の深さを超える部位までは浸透し難くなる。このため、パーヒドロポリシラザン、又は、アルコキシシラン化合物を主成分とする溶液が、SiとOとを含むSiO系酸化物31に転化しても、酸化物層25の表面から内部に向かって1/2以下の深さまでの気孔部29には、SiO系酸化物31が含まれる一方、酸化物層25における1/2の深さを超える部位に存在する気孔部29には、熱伝導性の低い空気が含まれることになる。これにより、酸化物層25の少なくとも表面部の気孔部29には、緻密なSiO系酸化物31が充填(又は略充填)されることから、燃料等が溶射皮膜21に浸み込むのを抑えることができる一方、気孔部29のうち、酸化物層25における1/2の深さを超える部位に存在する気孔部29は、SiO系酸化物31によって充填(又は略充填)されないことから、熱伝導性の低い空気による断熱性を維持することができる。
(その他の実施形態)
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
上記各実施形態では、本発明に係る断熱皮膜構造を、ピストン1の頂面に適用したが、これに限らず、例えば、シリンダブロック3の内周面、シリンダヘッド5の下面に適用してもよい。また、本発明に係る断熱皮膜構造は、エンジンに限らず、断熱性が要求されるその他のものに適用してもよい。
さらに、上記各実施形態では、ジルコニア粒子として、略中空球状のものを用いたが、これに限らず、略中実球状のものを用いてもよい。
また、上記実施形態2では、SiO系酸化物31に中空状粒子33を含ませるようにしたが、これに限らず、中空状粒子33を含ませないようにしてもよいし、上記実施形態1の場合にも、すなわち、酸化物層25に含まれる気孔部29のほぼ全てを塞ぐように形成されたSiO系酸化物31にも、中空状粒子33を含ませるようにしてもよい。
さらに、上記各実施形態では、アンダーコートとしてNi−Cr合金を用いたが、これに限らず、例えば、Ni−Al合金を用いてもよい。
また、上記各実施形態では、アンダーコート23の層厚を約100(μm)、また、酸化物層25の層厚を約900(μm)としたが、アンダーコート23及び酸化物層25の層厚は、特に限定しない。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明は、基材表面に形成される、溶射皮膜を備える断熱皮膜構造及びその製造方法等について有用である。
19 ピストン基材
21 溶射皮膜
25 酸化物層
27 ジルコニア粒子(ZrO含有粒子)
29 気孔部
31 SiO系酸化物
33 中空状粒子
S2 溶射工程
S3 塗布工程

Claims (6)

  1. 基材表面に形成される、溶射皮膜を備える断熱皮膜構造であって、
    上記溶射皮膜は、上記基材に対して溶射されたZrO含有粒子を含む酸化物層を有し、
    上記酸化物層は、その表面から内部にかけて気孔部を有しており、
    上記気孔部には、SiとOとを含むSiO系酸化物が含まれていることを特徴とする断熱皮膜構造。
  2. 請求項1記載の断熱皮膜構造において、
    上記SiO系酸化物に、中空状粒子が含まれていることを特徴とする断熱皮膜構造。
  3. 請求項1又は2記載の断熱皮膜構造において、
    上記SiO系酸化物は、上記気孔部のうち、上記酸化物層の表面から内部に向かって1/2以下の深さまでの気孔部に、含まれていることを特徴とする断熱皮膜構造。
  4. 基材表面に形成される、溶射皮膜を備える断熱皮膜構造の製造方法であって、
    溶射原料としてのZrO含有粒子を用意し、
    上記ZrO含有粒子を上記基材に対して溶射して、当該ZrO含有粒子と気孔部とを含む酸化物層を形成する溶射工程と、
    上記酸化物層の表面に、パーヒドロポリシラザンの溶液、又は、空気中の水分と反応して−Si−O−Si−O−を主鎖とする無機系ポリマーとなる、アルコキシシラン化合物を主成分とする溶液、を塗布して、上記気孔部に含浸させる塗布工程と、
    を含むことを特徴とする断熱皮膜構造の製造方法。
  5. 請求項4記載の断熱皮膜構造の製造方法において、
    上記パーヒドロポリシラザンの溶液、又は、上記アルコキシシラン化合物を主成分とする溶液の室温における粘度が、10〜10000mPa・sであることを特徴とする断熱皮膜構造の製造方法。
  6. 請求項5記載の断熱皮膜構造の製造方法において、
    上記パーヒドロポリシラザンの溶液、又は、上記アルコキシシラン化合物を主成分とする溶液の室温における粘度が、500〜5000mPa・sであることを特徴とする断熱皮膜構造の製造方法。
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