JP5906996B2 - エンジン燃焼室部材の断熱構造体及びその製造方法 - Google Patents

エンジン燃焼室部材の断熱構造体及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5906996B2
JP5906996B2 JP2012184362A JP2012184362A JP5906996B2 JP 5906996 B2 JP5906996 B2 JP 5906996B2 JP 2012184362 A JP2012184362 A JP 2012184362A JP 2012184362 A JP2012184362 A JP 2012184362A JP 5906996 B2 JP5906996 B2 JP 5906996B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat insulating
resin
combustion chamber
film
engine combustion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012184362A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014040817A (ja
Inventor
大詞 桂
大詞 桂
信司 角島
信司 角島
南場 智
智 南場
宣夫 坂手
宣夫 坂手
貴和 山根
貴和 山根
明秀 ▲高▼見
明秀 ▲高▼見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2012184362A priority Critical patent/JP5906996B2/ja
Publication of JP2014040817A publication Critical patent/JP2014040817A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5906996B2 publication Critical patent/JP5906996B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2251/00Material properties
    • F05C2251/04Thermal properties
    • F05C2251/048Heat transfer

Landscapes

  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)

Description

本発明は、エンジン燃焼室を構成する部品の基材表面に断熱層が形成された断熱構造体及びその製造方法に関する。
1980年代に、エンジンの熱効率を高める方法として、エンジン燃焼室に臨む部分に断熱層を設けることが提案され(例えば、特許文献1を参照。)、その後も、セラミックス焼結体からなる断熱層、又は低熱伝導性を有するジルコニア(ZrO)粒子を含む溶射層からなる断熱層が提案されている。
しかしながら、セラミックス焼結体を用いると、熱応力及び熱衝撃によるクラックの発生、並びに割れの発生といった問題が生じる。このため、特に、ピストンの頂面、シリンダライナの内周面及びシリンダヘッドの下面等の比較的に大きい面積を有する部分に、セラミックス焼結体からなる断熱層が適用されたものは実用に至っていない。
一方、溶射層自体は、シリンダライナ及びロータリーエンジンのトロコイド面に採用された実績があるが、それは耐摩耗性の向上を目的としたものであり、耐熱性の向上を目的としたものではない。溶射層を断熱層とするためには、上記のようにZrOを主体とする低熱伝導材料を溶射することが好ましいが、ジルコニア系の層は、サーメット系の層よりも粒子間の密着性が劣るため、熱応力又は繰り返しの応力による疲労等によってクラックが生じやすいという問題がある。
このような問題を解決するために、例えば、特許文献2では、粒子状の第1の断熱材と、膜状の第2の断熱材と、補強用繊維材とを含む断熱薄膜が提案されている。特許文献2では、第2の断熱材は、第1の断熱材を接着する機能を担うことが記載され、上記粒子状の第1の断熱材として、中空のセラミックビーズ、中空のガラスビーズ、シリカ(二酸化珪素、SiO)を主成分とする微細多孔構造の断熱材、及びシリカエアロゲル等が例示されている。また、上記膜状の第2の断熱材として、ジルコニア(ZrO)、シリコン、チタン、ジルコニウム等のセラミックス、炭素及び酸素を主成分とするセラミックス、並びに高強度且つ高耐熱性のセラミックス繊維等が例示されている。また、第2の断熱材は母材に対してコーティング又は接合することが記載されている。
その他に、特許文献3には、中空部を含むSiOセラミックス層が記載されている。具体的に、その中空部は、無機化合物により表面が被覆された球状樹脂を含む層を形成した後に、その層を加熱して球状樹脂を焼き飛ばすことにより形成された中空状の無機化合物粒子により構成されている。また、特許文献3では、このSiOセラミックス層を加熱することによって、上記の各粒子内の樹脂を熱分解させてガス化すると共に、有機珪素化合物の熱分解により発生するガスを膜内から抜くことでガスの残存による膜強度の低下を防いでいる。
国際公開第89/03930号パンフレット 特開2009−243352号公報 特開2010−070792号公報
特許文献2には、第2の断熱材を母材にコーティング又は接合するとの記載があるのみで、その断熱薄膜を得る方法について詳細には述べられていない。第2の断熱材としてセラミックス材が用いられていることに鑑みれば、その断熱用薄膜はセラミックス焼結体に類すると推測される。また、特許文献2は、燃焼圧力等による変形及びクラックの発生を効果的に抑制することについては開示していない。
一方、特許文献3のSiOセラミックス層の薄膜を、アルミニウム合金からなるエンジン燃焼室の基材表面に設けた場合、それらの熱膨張率が大きく異なるため、高温条件下において薄膜にクラック及び剥離等が生じるおそれがある。また、上記のようにガス抜きされた部分は、表面と連通状態となっているため、燃料の浸み込みが生じる等の問題が生じる。
そこで、断熱層全体をSiOセラミックス層とするのではなく、アルミニウム合金との熱膨張率の差が小さい材料としてシリコーン樹脂を用いることが考えられる。しかしながら、一般に、シリコーン樹脂は低硬度であるため、エンジン燃焼室の壁面をシリコーン樹脂で被覆すると、圧縮行程から燃焼時までの圧力により断熱層が変形してしまうおそれがある。断熱層が変形すると、圧縮比が変わるためエンジン性能に大きな影響が生じる。また、長期に渡り、断熱層がこの圧力変動のサイクルに晒されることにより、断熱層にクラックが生じ、そこから燃料が膜内の未硬化部にまで浸入するおそれもある。
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、エンジン部品の基材との熱膨張率の差を吸収してクラック及び剥離の発生を防ぐと共に、燃料の浸み込みを防止できる断熱層を有するエンジン燃焼室部材の断熱構造体を得ることであり、また、そのような断熱構造体を容易に且つ精度良く得ることができるようにすることにある。
前記の目的を達成するために、本発明では、エンジン燃焼室部材の断熱構造体に用いる断熱層の材料としてシリコーン系樹脂を用い、断熱層の表面を耐ガソリン性樹脂膜で覆っている。
具体的に、本発明に係るエンジン燃焼室部材の断熱構造体では、エンジン燃焼室を構成する部品の基材表面に断熱層が形成され、断熱層は、シリコーン系樹脂を含み、断熱層の表面は、耐ガソリン性樹脂膜で覆われている。
本発明に係るエンジン燃焼室部材の断熱構造体によると、断熱層がシリコーン系樹脂を含むため、エンジン部品の基材との熱膨張率の差を吸収してクラック及び剥離が発生することを防止でき、断熱層の表面は耐ガソリン性樹脂膜で覆われているため、燃料が断熱層に浸み込むこと、さらに、断熱層を溶解することを防止できる。
また、本発明では、上記のような断熱層を容易に且つ精度良く得るために、真空成形、圧空成形又は真空圧空成形を用いている。
具体的に、本発明に係るエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法は、エンジン燃焼室を構成する部品の基材表面に断熱層が形成された断熱構造体の製造方法を対象とし、160℃以下の熱変形温度、及び2%以上の引張破断伸度の特性を有する樹脂製フィルムを準備する工程と、フィルムに、耐ガソリン性樹脂を含む離型剤を塗布する、又は離型剤及び耐ガソリン性樹脂を順次塗布する工程と、フィルムにおける離型剤又は耐ガソリン性樹脂が塗布された面に、シリコーン系樹脂を含む塗料を塗布する工程と、真空成形、圧空成形又は真空圧空成形により、塗料を基材表面に付着する工程と、フィルムを離型する工程とを備えている。
本発明に係るエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法によると、シリコーン系樹脂を含む塗料を用いて断熱層を形成しているため、例えばアルミニウム合金からなるエンジン燃焼室部材に当該断熱層を設けた場合、それぞれの熱膨張率の差を小さくすることができる。このため、それらの熱膨張率の差に起因して断熱層に剥離及びクラック等が生じることを防ぐことができる。また、エンジン部品の基材表面に断熱層を配設するのに、真空成形、圧空成形又は真空圧空成形を用いているため、その基材表面がオーバーハング形状等の形状を有していても、溶射法と比較して容易に且つ精度良く断熱層を形成することができる。また、フィルムに、耐ガソリン性樹脂を含む離型剤、又は離型剤及び耐ガソリン性樹脂を予め塗布しておくため、容易に耐ガソリン性を有する断熱層を形成することができる。
本発明に係るエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法は、フィルムを離型した後に、塗料の表面を加熱する工程をさらに備えていてもよく、これにより、塗料を熱硬化することができる。
本発明に係るエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法では、フィルムとして、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂又はアクリル樹脂からなるフィルムを用いることができる。
本発明に係るエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法では、耐ガソリン性樹脂として、トリフルオロメチル基を有する樹脂を用いることが好ましい。
この場合、トリフルオロメチル基を有する樹脂として、フルオロアルキル基を有する鎖状シロキサンを含む樹脂を用いることが好ましい。
このようにすると、断熱層が、撥油性及び耐油性を有するフルオロアルキル基を有する鎖状シロキサンを含むため、断熱層の耐ガソリン性を向上することができる。
本発明に係るエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法では、塗料に、中空状粒子をさらに含む塗料を用いることが好ましい。
このようにすると、形成される断熱層の熱伝導率を低減できるため、断熱構造体の断熱特性を向上できる。
本発明に係るエンジン燃焼室部材の断熱構造体及びその製造方法によると、断熱層において、エンジン部品の基材との熱膨張率の差を吸収してクラック及び剥離が発生するのを防ぐと共に、燃料の浸み込みを防止でき、そのような断熱層を有する断熱構造体を、容易に且つ精度良く得ることができる。
本発明の実施形態に係るエンジン構造を示す断面図である。 本発明に係るエンジン燃焼室部材の断熱構造体を示す断面図である。 (a)〜(c)は本発明に係るエンジン燃焼室部材の断熱構造体を真空圧空成形により製造する方法を工程順に示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用方法或いはその用途を制限することを意図するものでない。
本実施形態は、エンジン燃焼室部材の断熱構造体を図1に示すエンジンに採用したものである。
<エンジンの特徴>
図1において、符号1はピストン、符号2はシリンダブロック、符号3はシリンダヘッド、符号4はシリンダヘッド3の吸気ポート5を開閉する吸気バルブ、符号6は排気ポート7を開閉する排気バルブ、符号8は燃料噴射弁である。エンジンの燃焼室は、ピストン1の頂面、シリンダブロック2、シリンダヘッド3、吸排気バルブ4,6のバルブヘッド面(燃焼室に臨む面)で形成される。ピストン1の頂面には、キャビティ9が形成されている。なお、点火プラグの図示は省略している。
ところで、エンジンの熱効率は、理論的に幾何学的圧縮比を高めるほど、また、作動ガスの空気過剰率を大きくするほど、高くなることが知られている。しかし、実際には、圧縮比を大きくするほど、また、空気過剰率を大きくするほど、冷却損失が大きくなるため、圧縮比及び空気過剰率の増大による熱効率の改善は頭打ちになる。
すなわち、冷却損失は、作動ガスからエンジン燃焼室壁への熱伝達率、その伝熱面積、及びガス温と壁温との温度差に依存する。このため、エンジン燃焼室において、エンジン部品の金属製母材よりも熱伝導率が低い材料からなる断熱層が用いられた断熱構造体が構成されている。
<断熱構造体>
そこで、以下では、本実施形態に係る断熱構造体について説明する。
本実施形態に係るエンジン燃焼室部材の断熱構造体は、エンジン燃焼室を構成する部品であるピストンの頂面等に断熱層が形成されて構成されるものである。このようなエンジン燃焼室部材の断熱構造体について図2を参照しながら説明する。
図2に示すように、エンジン燃焼室を構成するピストン1の頂面、及びピストン1の外周面におけるピストンリング溝10よりも頂面側に、シリコーン系樹脂を含む断熱層11が形成されている。ここで、本実施形態におけるシリコーン系樹脂は、例えば、メチルシリコーンレジン、メチルフェニルシリコーンレジン等の分岐度が高い3次元ポリマーからなるシリコーンレジンを用いることができる。
また、本実施形態において、断熱層11の表面は、耐ガソリン性樹脂膜13で覆われている。ここで、耐ガソリン性樹脂として、例えばトリフルオロメチル基を有する樹脂を用いることができる。トリフルオロメチル基を有することにより、樹脂の撥油性及び耐油性を向上できるため、耐ガソリン性が向上される。特に、トリフルオロメチル基を有する樹脂として、フルオロアルキル基を有する鎖状シロキサンを含む樹脂を用いることができる。
また、断熱層11は、中空状粒子12を含むことが好ましい。本実施形態の断熱層に用いられる中空状粒子は、その熱伝導率をより低減するために含まれており、無機酸化物の中空状粒子を用いることが好ましい。無機酸化物の中空状粒子として、例えばジルコニア含有酸化物、シリカ含有酸化物及びアルミナ等を材料に用いることができる。具体的に、中空状粒子としては、アルミナバブル、フライアッシュバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、エアロゲルバルーン等のセラミック系中空状粒子、その他の無機系中空状粒子を用いることができる。なお、各々の材質及び粒径は[表1]の通りである。
Figure 0005906996
例えば、フライアッシュバルーンの化学組成は、SiO;40.1〜74.4%、Al;15.7〜35.2%、Fe;1.4〜17.5%、MgO;0.2〜7.4%、CaO;0.3〜10.1%(以上は質量%)である。シラスバルーンの化学組成は、SiO;75〜77%、Al;12〜14%、Fe;1〜2%、NaO;3〜4%、KO;2〜4%、IgLoss;2〜5%(以上は質量%)である。
本実施形態に係る断熱構造体では、以上のように、断熱層がエンジン部品の基材との熱膨張率の差が小さいシリコーン系樹脂で構成されるため、それらの熱膨張率差に起因するクラック及び剥離の発生を防止できる。また、断熱層の表面は耐ガソリン性樹脂膜で覆われているため、燃料が断熱層に浸み込むこと、さらに、断熱層を溶解することを防止できる。また、断熱層に中空状粒子を含ませることにより、断熱層の熱伝導率を低減できるため、断熱構造体の断熱性能を向上でき、冷却損失を低減できる。
<断熱構造体の製造方法>
次に、本実施形態に係る断熱構造体の製造方法について説明する。
本実施形態に係る断熱構造体は、例えば真空圧空成形を用いて製造することができ、まず、真空圧空成形のために用いられるフィルム、及び断熱層の材料となる塗料について説明する。
本実施形態において用いられるフィルムとして、ピストン1のキャビティ9のオーバーハング形状等でも対応できるように、熱により変形可能な樹脂からなり、特に、160℃以下の熱変形温度、及び2%以上の引張破断伸度の特性を有するフィルム14を準備する。なお、オーバーハング形状のピストンキャビティは周知であるので、図1、2、及び3では簡略化したキャビティ形状で示した。このような樹脂製のフィルム14として、例えばポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂又はアクリル樹脂からなるフィルム14を用いることができる。
次に、フィルム14に、耐ガソリン性樹脂を含む離型剤を塗布する。ここで、耐ガソリン性樹脂としては、上記の通り、例えばトリフルオロメチル基を有する樹脂を用いることができる。トリフルオロメチル基を有することにより、樹脂の撥油性及び耐油性を向上できるため、耐ガソリン性が向上される。特に、トリフルオロメチル基を有する樹脂として、フルオロアルキル基を有する鎖状シロキサンを含む樹脂を用いることができる。また、離型剤は、後に説明するように、フィルム14を離型する際に、フィルム14に塗布された塗料11aがピストン1に良好に付着できれば、特に限定されず、例えばシリコーン系離型剤又はフッ素系離型剤等を用いることができる。なお、ここでは耐ガソリン性樹脂を含む離型剤をフィルムに塗布したが、フィルムに離型剤及び耐ガソリン性樹脂のそれぞれを順次塗布してもよい。
次に、フィルム14における上記の工程で耐ガソリン性樹脂が塗布された面に、シリコーン系樹脂を含む塗料11aを塗布する。このとき、形成したい断熱層11の厚さに応じて塗料11aの量を調節できる。なお、シリコーン系樹脂としては、上記の通り、メチルシリコーンレジン、メチルフェニルシリコーンレジン等を用いることができる。
続いて、塗料11aが塗布されたフィルム14を用いて、真空圧空成形によりキャビティ9を有するピストン1の頂面に断熱層11を形成する。このときの具体的な工程について図3を参照しながら説明する。
まず、真空圧空成形機20の概略構成について説明する。真空圧空成形機20は、互いに上下方向に対向する上側ケース21及び下側ケース22を備えている。上側ケース21は、その下面が開口し、その内部には上側成形室21aを有し、一方、下側ケース22は、その上面が開口し、その内部には下側成形室22aを有する。上側ケース21の上部にはヒーター23が設けられ、下側ケース22の下部には、エンジン部品が載置されるテーブル24が設けられている。また、上側ケース21には、上側ケース21を上下方向に動かすための上側ケース駆動機構25が接続され、テーブル24には、テーブル24を上下方向に動かすためのテーブル駆動機構26が接続されている。上側ケース駆動機構25及びテーブル駆動機構26は、それぞれ上側ケース21及びテーブル24を上下に動かすことができれば、その動力及び構成等は特に限定されない。また、上側成形室21aは圧空ポンプ27及び真空ポンプ28と接続され、下側成形室22aは真空ポンプ28と接続されている。ここで、各成形室21a、22aと圧空ポンプ27及び真空ポンプ28とを接続する管は、それぞれ分離していてもよいし、図3に示すように部分的に共通の管が用いられていてもよい。このとき、図3では図示しないが、管にバルブが設けられていることが好ましい。
真空圧空成形の工程として、まず、図3(a)に示すように、下側ケース22の上面側の開口を塞ぐようにフィルム14を載置する。また、このとき、塗料11aが塗布された側の面を下方に向けて載置するが、塗料11aは、予め、塗料11aが滴下しないような粘度を有する状態にしておく。例えば、塗料11aに対して、完全に硬化しない程度に熱処理又は硬化剤の添加等を行うことができる。
次に、図3(b)に示すように、上側ケース駆動機構25により上側ケース21を下方に動かして、下側ケース22と共にフィルム14を挟み込む。このとき、上側成形室21a及び下側成形室22aは、フィルム14によりそれぞれの開口部が塞がれて密閉状態となる。続いて、ヒーター23を用いて、フィルム14を加熱して軟化すると共に、真空ポンプ28を用いて上側成形室21a及び下側成形室22aを真空状態にする。
次に、図3(c)に示すように、テーブル駆動機構26により、テーブル24を上方に動かして、ピストン1の頂面に塗料11aを当接させる。また、圧空ポンプ27を用いて上側成形室21の圧力を上昇させて、上側成形室21aと下側成形室22aとの間に圧力差を生じさせる。これにより、塗料11aはフィルム14と共に、ピストン1の頂面並びにキャビティ9の壁面及び底面に吸着する。その後、フィルム14を離型すると、離型剤の作用により塗料11aは、ピストン1の頂面並びにキャビティ9の壁面及び底面に付着し、塗料11aの表面には離型剤に含まれた耐ガソリン性樹脂の少なくとも一部が含まれる。その後、塗料11aを加熱して硬化することにより、ピストン1に断熱層11が形成された断熱構造体を完成できる。なお、フィルム14を離型する前に、塗料11aを硬化するための加熱を行ってもよい。
また、フィルム14は、透明であってもよい。この場合、フィルム14を離型する前に、塗料11aに光を当てて光硬化させることが可能となる。また、本実施形態では、フィルム14表面の塗料11aをピストン1に吸着させる際に圧空ポンプ27を用いたが、圧空ポンプ27を用いずに、上側成形室21において大気解放することにより、フィルム14表面の塗料11aをピストン1に吸着してもよい。
また、本実施形態では、真空圧空成形を用いたが、この他に、一般に用いられる技術である真空成形又は圧空成形を用いてもよい。真空成形を用いる場合、例えば、ピストン1のキャビティ9の底面にピストン1の下面側にまで通じる貫通孔を設ける必要がある。このようにして、キャビティ9を覆うようにピストン1の頂面に、塗料11aが塗布されたフィルム14を載置し、ピストン1に設けた上記貫通孔からキャビティ9内の空気を抜いて真空状態にする。これにより、ピストン1の頂面並びにキャビティ9の壁面及び底面にフィルム14と共に塗料11aが吸着する。その後、ピストン1のキャビティ9の底面に設けられた貫通孔の開口部をピン等により塞ぎ、上記と同様に、フィルム14を離型し、塗料11aを硬化して、断熱構造体を完成できる。
圧空成形を用いる場合、例えば図3と同様の構成において、ピストン1の頂面に塗料11aが塗布されたフィルム14を当接させた後に、上側成形室21a及び下側成形室22aを真空状態にすることなく、上側成形室21aに圧力を加えてもよい。これにより、ピストン1の頂面並びにキャビティ9の壁面及び底面に、フィルム14と共に塗料11aが圧着される。その後、上記と同様に、フィルム14を離型し、塗料11aを硬化して、断熱構造体を完成できる。
上記のような本実施形態に係るエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法によると、溶射法と比較して、キャビティのようなオーバーハング形状を有する面上であっても、均一な断熱層を容易に且つ制御良く形成できる。また、膜厚の調整も塗料の量により、容易に制御することができ、部位毎に膜厚を変更することも容易にできる。また、断熱層の表面に耐ガソリン性樹脂膜を容易に設けることができるため、クラック及び剥離の発生を防止して且つ燃料の浸み込みを防止できる断熱層を容易に得ることができる。
なお、本実施形態では、エンジン燃焼室部材をピストン1として説明したが、当然にこれに限られず、シリンダヘッド等の他のエンジン燃焼室を構成する部材においても、本発明を適用することができる。
1 ピストン
2 シリンダブロック
3 シリンダヘッド
4 吸気バルブ
5 吸気ポート
6 排気バルブ
7 排気ポート
8 燃料噴射弁
9 キャビティ
10 ピストンリング溝
11 断熱層
11a 塗料
12 中空状粒子
13 耐ガソリン性樹脂膜
14 フィルム
20 真空圧空成形機
21 上側ケース
21a 上側成形室
22 下側ケース
22a 下側成形室
23 ヒーター
24 テーブル
25 上側ケース駆動機構
26 テーブル駆動機構
27 圧空ポンプ
28 真空ポンプ

Claims (7)

  1. エンジン燃焼室を構成する部品の基材表面に断熱層が形成された断熱構造体の製造方法であって、
    160℃以下の熱変形温度、及び2%以上の引張破断伸度の特性を有する樹脂製フィルムを準備する工程と、
    前記フィルムに、耐ガソリン性樹脂を含む離型剤を塗布する、又は離型剤及び耐ガソリン性樹脂を順次塗布する工程と、
    前記フィルムにおける前記離型剤又は前記耐ガソリン性樹脂が塗布された面に、シリコーン系樹脂を含む塗料を塗布する工程と、
    真空成形、圧空成形又は真空圧空成形により、前記塗料を前記基材表面に付着する工程と、
    前記フィルムを離型する工程とを備えていることを特徴とするエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法。
  2. 前記フィルムを離型した後に、前記塗料の表面を加熱する工程をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載のエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法。
  3. 前記フィルムとして、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂又はアクリル樹脂からなるフィルムを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法。
  4. 前記耐ガソリン性樹脂として、トリフルオロメチル基を有する樹脂を用いることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載のエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法。
  5. 前記トリフルオロメチル基を有する樹脂として、フルオロアルキル基を有する鎖状シロキサンを含む樹脂を用いることを特徴とする請求項4に記載のエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法。
  6. 前記塗料に、中空状粒子をさらに含む塗料を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のエンジン燃焼室部材の断熱構造体の製造方法。
  7. エンジン燃焼室を構成する部品の基材表面に断熱層が形成された断熱構造体であって、
    前記断熱層は、シリコーン系樹脂を含み、
    前記断熱層の表面は、耐ガソリン性樹脂膜で覆われていることを特徴とするエンジン燃焼室部材の断熱構造体。
JP2012184362A 2012-08-23 2012-08-23 エンジン燃焼室部材の断熱構造体及びその製造方法 Active JP5906996B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012184362A JP5906996B2 (ja) 2012-08-23 2012-08-23 エンジン燃焼室部材の断熱構造体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012184362A JP5906996B2 (ja) 2012-08-23 2012-08-23 エンジン燃焼室部材の断熱構造体及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014040817A JP2014040817A (ja) 2014-03-06
JP5906996B2 true JP5906996B2 (ja) 2016-04-20

Family

ID=50393249

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012184362A Active JP5906996B2 (ja) 2012-08-23 2012-08-23 エンジン燃焼室部材の断熱構造体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5906996B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6811196B2 (ja) * 2018-01-10 2021-01-13 日本碍子株式会社 焼成用セッター
JP7077902B2 (ja) * 2018-10-01 2022-05-31 トヨタ自動車株式会社 内燃機関
CN113334511B (zh) * 2021-06-01 2023-03-14 浙江世瑞骐碳科技有限公司 一种装饰异型密度板的生产工艺

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CH639736A5 (de) * 1979-03-15 1983-11-30 Haug Fritz Ag Verfahren und giessvorrichtung zum anbringen einer waermedaemmenden schicht am kolbenboden des kolbens einer kolbenmaschine.
JPS6169742A (ja) * 1984-09-13 1986-04-10 Mitsubishi Metal Corp フツ素化エステルの製造方法
JP2000007786A (ja) * 1998-06-25 2000-01-11 Ge Toshiba Silicones Co Ltd フルオロアルキル基含有鎖状シロキサンの製造方法
JP4513444B2 (ja) * 2004-07-22 2010-07-28 マツダ株式会社 塗膜構造の形成方法
JP4634093B2 (ja) * 2004-08-09 2011-02-16 アクロス株式会社 摺動部材用組成物
JP5315880B2 (ja) * 2008-09-17 2013-10-16 株式会社豊田中央研究所 薄膜の形成方法及び内燃機関の製造方法
JP6067712B2 (ja) * 2012-08-10 2017-01-25 アイシン精機株式会社 エンジンおよびピストン

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014040817A (ja) 2014-03-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6321934B2 (ja) エンジン燃焼室に臨む部材表面の断熱層の製造方法
US10161297B2 (en) Heat-insulating structure of member facing engine combustion chamber, and process for producing same
JP5910343B2 (ja) エンジン燃焼室部材の断熱構造体及びその製造方法
JP6065387B2 (ja) 断熱皮膜構造及びその製造方法
WO2017057250A1 (ja) エンジン燃焼室の断熱構造
JP6036368B2 (ja) エンジン燃焼室の断熱構造体及びその製造方法
JP5906996B2 (ja) エンジン燃焼室部材の断熱構造体及びその製造方法
CN106699209A (zh) 连续氧化铝纤维增强氧化铝陶瓷基复合材料的制备方法
WO2013038249A2 (en) Internal combustion engine and method for manufacturing the same
JP6065388B2 (ja) 断熱皮膜構造及びその製造方法
JP5974701B2 (ja) エンジンの燃焼室構造
JP2014020300A (ja) エンジン燃焼室の断熱構造
US20200141349A1 (en) Aluminum foam core piston with coaxial laser bonded aerogel/ceramic head
JP2014040819A (ja) エンジン用ピストンの製造方法
JP5942698B2 (ja) エンジン燃焼室部材の断熱構造体及びその製造方法
US20170328301A1 (en) Method of producing piston for engine
JP6136861B2 (ja) 断熱層の形成方法
JP6451581B2 (ja) エンジン燃焼室の断熱構造
JP5966978B2 (ja) エンジン燃焼室の断熱構造体の製造方法
JP2015081527A (ja) エンジン燃焼室に臨む部材表面に設けられた断熱層
JP6036005B2 (ja) エンジン燃焼室部材の断熱構造体及びその製造方法
JP6024392B2 (ja) エンジン燃焼室部材の断熱構造体及びその製造方法
JP2014138951A (ja) 遮熱膜の形成方法
CN113250847A (zh) 活塞、活塞的隔热涂层的制备方法以及内燃机
JP6102716B2 (ja) 断熱層の形成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150312

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160215

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160223

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160307

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5906996

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150