JP5910416B2 - エンジン用ピストンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ピストン本体の頂面に断熱層が形成されているエンジン用ピストンの製造方法に関する。
エンジンの熱効率を高める方法に関して、1980年代に、エンジンの燃焼室に臨む面に断熱層を設けることが提案され(例えば、特許文献1)、その後も、セラミックス焼結体からなる断熱層や、低熱伝導性を有するZrO粒子を含む溶射層からなる断熱層が提案されている。
しかしながら、セラミックス焼結体は、熱応力や熱衝撃によるクラックや剥離の発生といった問題に直面した。このため、特に、ピストンの頂面、シリンダライナの内周面、シリンダヘッドの下面といった比較的大きな面積を有する部分へ、セラミックス焼結体からなる断熱層が適用されたものは実用に至っていない。
一方、溶射層それ自体は、シリンダライナ及びロータリーエンジンのトロコイド面へ採用された実績があるが、これは耐摩耗性の向上を目的としたものであり、断熱性の向上を目的としたものではない。溶射層を断熱層とするためには、上記のようにZrO(ジルコニア)を主体とする低熱伝導材料を溶射することが好ましいが、ジルコニア系の層は、サーメット系の層よりも粒子間の密着性が劣り、熱応力や繰返しの応力による疲労等によってクラックが生じ易いという問題がある。
これに対して、特許文献2では、粒子状の第1の断熱材と膜状の第2の断熱材とよりなる断熱用薄膜をピストン頂面に設けることが提案されている。この特許文献2には、第2の断熱材が第1の断熱材を接着する機能を担うこと、第2の断熱材として、ジルコニア(ZrO)、シリコン、チタン、またはジルコニウム等のセラミックや、炭素・酸素を主成分とするセラミック、または高強度且つ高耐熱性のセラミック繊維等を用いること、並びに第2の断熱材は母材に対してコーティング又は接合することが記載されている。
また、特許文献3には、ピストン頂面に断熱用薄膜を形成するにあたり、ピストン本体の頂面に有機硅素化合物と多数の粒状樹脂との混合物を塗布して薄膜を形成し、この薄膜を加熱することによって、内部に多数の気泡を形成することが記載されている。すなわち、薄膜を600〜800℃以上の温度に加熱することによって、粒状樹脂をガス化させるとともに、前記有機化合物の熱分解により発生するガスを薄膜から抜き、ガス抜き後の薄膜をさらに高い温度(1000〜1200℃以上)に加熱するという方法である。よって、有機硅素化合物の上記熱分解によって生成する珪素化合物(SiO及びSiC)が焼結することになる。
国際公開第89/03930号パンフレット 特開2009−243352号公報 特開2010−70792号公報
特許文献2では、第2の断熱材を母材にコーティング又は接合する記載されているだけで、その断熱用薄膜を得る方法について詳細には述べられていない。第2の断熱材としてセラミック材が用いられていることに鑑みれば、その断熱用薄膜はセラミックス焼結体に類すると推測される。特許文献2は、燃焼圧等による変形やクラックの発生の対策については開示しない。特許文献3に開示された方法においても、得られる断熱用薄膜はセラミックス焼結体に類するものであり、燃焼圧等による変形やクラックの発生の対策にはならないと考えられる。
特に、近年はアルミ合金製ピストンが主流になっており、セラミックス系の断熱用薄膜では、両者の熱膨張率差が大きいことから、上記クラックや剥離の問題が顕著になる。このクラックを生じた場合、断熱用薄膜の剥離に至らないケースでも、エンジンの燃料噴射弁から噴射された燃料の断熱用薄膜への浸み込みという問題を招く。すなわち、この燃料の浸み込みにより、燃料の損失が増大しエンジンの熱効率が低下するとともに、エンジンの空燃比が一時的に設定値からずれて燃焼性の悪化を招く懸念がある。
また、上述の如く、断熱用薄膜を焼成等のために高温度に加熱すると、同時にピストン本体が高温度に加熱されてその金属組織が変化し、その機械的強度が低下するという問題がある。特に、ピストン本体がアルミ合金製であるときは、比較的低い温度でピストン本体の金属組織が変化することから、当該機械的強度低下の問題が顕著になる。
そこで、本発明は、上記断熱用薄膜のクラックや剥離の問題、燃料浸み込みの問題、並びにピストン本体の機械的強度低下の問題を解決する。
本発明は、上記課題を解決するために、シリコーン系樹脂と中空状粒子とを含む断熱材を成形型によってピストン本体の頂面に押し付けて断熱層を形成し、その成形型によって断熱層表面を加熱して表面のシリコーン樹脂の少なくとも一部を酸化させるようにした。
すなわち、ここに提示するエンジン用ピストンの製造方法は、中空状粒子を含有する断熱層をピストン本体の頂面に形成する方法であって、
シリコーン系樹脂と中空状粒子とを含む断熱材を上記ピストン本体の頂面に載せる工程と、
上記断熱材を上記ピストン本体の頂面形状に倣った形状になるように成形型によって上記ピストン本体の頂面に押し付けることにより、上記断熱層を形成する工程とを備え、
上記断熱層を形成する工程において、上記断熱層をその表面側から上記成形型によって加熱し、該断熱層の表面の少なくとも一部のシリコーン系樹脂を酸化させることを特徴とする。
この方法によれば、成形型によってピストン本体の頂面にこの頂面形状に倣った断熱層を形成することができる。ここに、本発明とは違って、断熱材をスプレー等でピストン本体頂面に塗布する場合、重ね塗りでの断熱層厚さ制御が難しく、製品間で断熱層厚さにバラツキを生じ易い。また、ピストン本体頂面に凹凸部がある場合は、スプレー方向に対して直角でない面の断熱層厚さが薄くなる傾向にあるため、所期の厚さを得ることは難しい。溶射によって断熱材をピストン本体頂面に施工する場合も、スプレーと同様に溶射によって断熱層の厚さを制御することは難しく、所期の厚さにするには後加工が必要になる。これに対して、本発明によれば、断熱層の形成に成形型を用いるから、製品間の断熱層厚さのバラツキが小さくなり、品質が高くなる。
そうして、本発明の重要な特徴は、成形型によって断熱層の表面を形成する断熱材の少なくとも一部のシリコーン系樹脂を酸化させる点にある。すなわち、本発明は、上記断熱層を形成する工程において、上記断熱層をその表面側から加熱することにより、この断熱層のシリコーン系樹脂の架橋を進行させ、さらに、断熱層の表面の少なくとも一部のシリコーン系樹脂を酸化させる。
従って、断熱層の少なくとも一部のシリコーン系樹脂が酸化した表面は内部(ピストン本体側)に比べて強度が大きくなる(硬度が高くなる)とともに、耐熱性が高くなる。よって、エンジンの燃焼熱や燃焼圧等による断熱層の変形ないし損壊の防止に有利になる。一方、断熱層の内部には、表面に比べて熱伝導率が低いシリコーン系樹脂と中空状粒子とが含まれるから、当該断熱層による所期の断熱効果が得られ、エンジンの冷却損失の低減に有利になる。また、上記断熱層表面とピストン本体とに熱膨張差があっても、その熱膨張差が断熱層内部の相対的に硬度が低いシリコーン系樹脂によって吸収されるから、クラックの発生や剥離の防止に有利になる。
しかも、成形型によって断熱層をその表面側から加熱するから、その加熱によってピストン本体が受ける熱影響は小さい。すなわち、ピストン本体の耐熱温度が高くない場合でも、ピストン本体の強度低下を招くことが避けられる。加えて、成形型を断熱層に接触させ、この成形型からの伝熱によって断熱層を加熱するから、断熱層を火炎で加熱する場合に比べて熱エネルギーの利用効率が高くなり、省エネに有利になる。
本発明の好ましい態様は、上記断熱層を形成する工程において、上記ピストン本体のピストンピンボスの中心位置を基準として、上記ピストン本体の頂面に向かって上記成形型を所定ストローク相対移動させることを特徴とする。
すなわち、エンジンの圧縮比は、ピストンのストローク長に依存し、その設定においてはピストン上死点におけるピストンピンボスの中心位置からのピストン頂面高さが重要になる。これに対して、上記態様では、ピストンピンボスの中心位置を基準として、成形型をピストン本体に向かって所定ストローク相対移動させるから、所期の圧縮比を得る上で有利になる。ピストンピンボスの中心位置を基準として断熱層の頂面高さを決めるということであり、このような成形型のストローク管理により、製品間の圧縮比のバラツキ防止に有利になる。
本発明の別の好ましい態様は、上記断熱層を形成する工程において、上記成形型と上記ピストン本体の頂面とが所定クリアランスを隔てて対峙した状態になるように、上記ピストン本体の頂面に向かって上記成形型を相対移動させることを特徴とする。
すなわち、この態様は、成形型とピストン本体の頂面とクリアランスを管理するということであり、所期の厚さの断熱層を得る、換言すれば、所期の断熱効果を有する断熱層を得る上で有利になる。
また、本発明の別の好ましい態様では、上記成形型の上記断熱材に接触する表面の温度を300℃以上400℃以下とする。これにより、断熱層表面のシリコーン系樹脂を比較的短時間に酸化させることができる一方、ピストン本体がT6処理やT7処理等を行なったアルミ合金製であっても、その軟化を抑えることができる。ピストン本体をその内側から冷却するようにしてもよい。
また、本発明の別の好ましい態様は、上記断熱材を上記ピストン本体の頂面に載せる工程では、上記断熱材の量を上記断熱層の形成に必要な量よりも多目にし、
上記断熱層を形成する工程において、上記ピストン本体と上記成形型との間から上記断熱材が側方へはみ出す前に、又は側方へはみ出して垂れる前に、上記ピストン本体と上記成形型とを上記ピストン本体が上になるように反転させることを特徴とする。
すなわち、成形型によって断熱材をピストン本体の頂面に押し付けて断熱層を形成するには、ピストン本体の頂面に載せる断熱材は、例えば、流動性のあるペースト状ないし半固形状であることが好ましい。その場合、ピストン本体と成形型との間から側方へはみ出した断熱材が垂れてピストン本体の側面を付着すると、その付着した断熱材の除去に手数がる。
そこで、当該態様では、断熱材が側方へはみ出す前に、又は側方へはみ出して垂れる前に、ピストン本体と成形型とをピストン本体が上になるように反転させる。これにより、側方にはみ出した断熱材が垂れることがあっても、その断熱材は成形型の方に付着し、ピストン本体に付着することが防止される。
本発明によれば、シリコーン系樹脂と中空状粒子とを含む断熱材を成形型によってピストン本体の頂面に押し付けて断熱層を形成するとともに、その成形型によって断熱層を表面側から加熱し、該断熱層表面の少なくとも一部のシリコーン系樹脂を酸化させるようにしたから、表面の強度の高く且つクラックや剥離を生じ難い低熱伝導率の断熱層を、製品間での厚さのバラツキを招くことなく得ることができ、しかも、ピストン本体の軟化を避けることが容易になり、省エネにも有利になる。
実施形態に係るエンジンの構造を示す断面図である。 同エンジンのピストンの頂部を拡大した断面図である。 同ピストンの頂部の一部の拡大断面図である。 同ピストンの製造装置の構成を示す一部断面にした正面図である。 同製造装置の断熱材加圧前の状態を示す一部断面にした正面図である。 同製造装置の断熱材加圧後の状態を示す一部断面にした正面図である。 ピストン本体及び成形型を反転させた状態を示す一部断面にした正面図である。 別の実施形態に係る図5と同様の正面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
<エンジンの構成>
図1に示す直噴エンジンEにおいて、1はピストン、3はシリンダブロック、5はシリンダヘッド、7はシリンダヘッド5の吸気ポート9を開閉する吸気バルブ、11は排気ポート13を開閉する排気バルブ、15は燃料噴射弁である。ピストン1がシリンダブロック3のシリンダボア内を往復動する。
エンジンの燃焼室は、ピストン1の頂面、シリンダブロック3、シリンダヘッド5、吸排気バルブ7,11の傘部前面(燃焼室に臨む面)で形成される。ピストン1の頂面には凹陥状のキャビティ17が形成されている。同図において、27はピストンリングである。なお、点火プラグの図示は省略している。
上記エンジンは、好ましくは、例えば、幾何学的圧縮比ε=20〜50とされ、少なくとも部分負荷域での空気過剰率λ=2.5〜6.0で運転されるリーンバーンエンジンである。このようなエンジンでは、圧縮比ε及び空気過剰率λに見合う所期の熱効率を得るために、冷損を大幅に低減させること、すなわち、エンジンの断熱性を高くすることが求められる。
図示は省略するが、上記エンジンの吸気系には吸気を冷却するインタークーラーが設けられている。これにより、圧縮開始時の筒内ガス温度が低くなり、燃焼時のガス圧及び温度の上昇が抑えられ、冷損低減(図示熱効率の改善)に有利になる。
<ピストン1の断熱層>
本発明では、エンジンの断熱性向上のために、図2に示すようにピストン本体19の頂面に断熱層21が形成されている。ピストン本体19の頂面19aの中央には上記キャビティ17に対応する凹陥部が形成されている。断熱層21は、ピストン本体19の頂面19aの全体を覆う低熱伝導性の基層23と、この基層23の表面を覆う高硬度の表面層25とを備えている。なお、説明の便宜上、図面は基層23と表面層25とが境界をもって接しているように描いているが、後述の説明から明らかになるように、表面層25は、シリコーン系樹脂の酸化度合いが表面から内部に向かって連続的に小さくなって基層23に続いており、実際には両層23,25に明瞭なる境界はない。この点は図3も同じである。
本例のピストン本体19はT7処理又はT6処理を施してなるアルミ合金製である。断熱層21は、図3に示すように、無機酸化物の中空状粒子31を含む、シリコーン系樹脂を主体とする層である。
すなわち、基層23は、三次元架橋構造のシリコーン系樹脂よりなる母材(マトリックス)33に多数の中空状粒子31が分散してなる。基層23は、母材33が熱伝導率の低いシリコーン系樹脂33で構成され、且つ中空状粒子31を含むことで熱伝導性の低い空気が多く存在することから、低熱伝導性の層になっている。
一方、表面層25は、母材35に同じく多数の中空状粒子31が分散してなるが、その母材35は、原材料はシリコーン系樹脂であるものの、その少なくとも一部が酸化してSi系酸化物(例えば、SiO)になっている。特に母材35の表面ではシリコーン系樹脂の酸化度が高く、基層23に近づくほど酸化度が低くなっている。このように、表面層25は、母材35がSi系酸化物を主体とするから、耐熱性が高く且つ高硬度の層になっており、さらに、中空状粒子31を含むことから、熱伝導性も低い。
上述の如く、断熱層21は、Si系酸化物を主体とする耐熱性が高く且つ高硬度の表面層25によって、シリコーン系樹脂を主体とする低熱伝導性の基層23が保護された構成になっている。そのため、断熱層21は、極めて厳しい熱と圧力環境に曝されても、硬度が増加した表面層25により、基層23の変形ないし損傷が防止され、優れた断熱性能を発揮する。また、表面層25とピストン本体19との熱膨張差が基層23の低硬度のシリコーン系樹脂によって吸収されるため、クラックの発生や剥離が防止される。
無機酸化物の中空状粒子31としては、アルミナバブル、フライアッシュバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、エアロゲルバルーン等のセラミック系中空状粒子を採用することが好ましい。各々の材質及び粒径は表1の通りである。
例えば、フライアッシュバルーンの化学組成は、SiO;40.1〜74.4%、Al;15.7〜35.2%、Fe;1.4〜17.5%、MgO;0.2〜7.4%、CaO;0.3〜10.1%(以上は質量%)である。シラスバルーンの化学組成は、SiO;75〜77%、Al;12〜14%、Fe;1〜2%、NaO;3〜4%、KO;2〜4%、IgLoss;2〜5%(以上は質量%)である。なお、中空状粒子31の粒子径は平均で10(μm)、最大でも50(μm)以下が好ましく、その含有率は、信頼度という点から、50%以下が好ましい。
シリコーン系樹脂としては、例えば、メチルシリコーン樹脂、メチルフェニルシリコーン樹脂に代表される、分岐度の高い3次元ポリマーからなるシリコーン樹脂を好ましく用いることができる。シリコーン樹脂の具体例としては、例えばポリアルキルフェニルシロキサンを挙げることができる。
<ピストン1の製造方法>
図4は上記ピストン1を製造する(ピストン本体19に断熱層21を形成する)ための装置構成を示す。同図において、41はピストン本体19を支持する支持台、43a,43bは位置検出手段としての透過型レーザセンサを構成する投光器及び受光器、45は成形型である。
支持台41は、ピストンスカートのインロー部に嵌る嵌合部41aを備え、ピストン本体19をぐらつくことなく支持する。レーザセンサは、支持台41に支持されたピストン本体19のピストンピンボス47の中心位置(ピストンピン孔47aの中心軸線Lの位置)を検出するものであり、投光器43aと受光器43bとよりなる。
成形型45は、その下面にピストン本体19の頂面19aに倣った成形面45aを有し、支持台41の上方の昇降するスライダ49に取り付けられている。成形型45には、成形面45aを所定温度にするための加熱手段として高周波誘導加熱装置(図示省略)が設けられている。なお、加熱手段は、高周波誘導加熱方式に限るものではない。例えば、成形型45の内部に電気ヒータを埋設して成形型45を加熱するようにしてもよい。
成形型45は、その成形面45aからの伝熱でシリコーン系樹脂を酸化させることができるように、その成形面45aがシリコーン系樹脂の酸化温度以上の温度になるように、好ましくは300℃以上400℃以下になるように加熱する。また、成形型45は、断熱材の加熱のためにある程度の熱容量が必要であるため、ステンレス鋼、その他の鋼材で製作することが好ましい。
断熱層21の形成にあたっては、図5に示すように、ピストン本体19のインロー部を支持台41の嵌合部41aに嵌めてピストン本体19を支持台41に支持する。シリコーン系樹脂と中空状粒子とを混合してなるペースト状の断熱材51をピストン本体19の頂面19aの中央凹陥部に載せる。レーザセンサ43a,43bによってピストン本体19のピストンピンボス47の中心位置を検出し、その位置情報をスライダ49の駆動制御部にインプットする。図5等において、53はレーザ光を示す。
上記位置情報に基づいて、成形型45の下降ストロークを設定する。すなわち、成形型45の成形面45aが所定のエンジン圧縮比を得ることができるピストン頂面高さに位置付けられるように、下降ストロークを設定する。この設定には、成形型45の加熱による膨張量(成形面45aの変位量)を加味する。そうして、成形面45aが所定温度に加熱された成形型45を、スライダ49によって上記設定ストローク下降させる。このようなストローク管理により、所望のエンジン圧縮比となるピストンを得ることができる。
図6に示すように、断熱材51は、成形型45の下降によってピストン本体19の頂面19aに押し付けられ、頂面19aの全体にわたって広がる。成形型45が加熱されているため、断熱材51は成形型45の熱を受けてシリコーン系樹脂が架橋していき膜状になる。すなわち、ピストン本体19の頂面19aに、この頂面形状に倣った断熱層21が形成される。
ここに、成形型45の熱は断熱層21にその表面から伝わるため、断熱層21にはその表面から内部に向かって温度が漸次低くなる温度勾配ができる。そうして、成形型45の成形面45aはシリコーン系樹脂の酸化温度以上の温度に加熱されているため、この成形面45aに接触している断熱層21の表面のシリコーン系樹脂が酸化していく。これにより、断熱層21の表面側には、図4に示す上述のSi系酸化物を主体とする母材35に中空状粒子31が分散した表面層25が形成される。
一方、断熱層21の内部では、シリコーン系樹脂の架橋が進むものの、上記温度勾配により、シリコーン系樹脂が酸化するほどには温度が上がらず、図3に示す上述の三次元架橋構造のシリコーン系樹脂を母材33として中空状粒子31が分散した基層23が形成される。また、基層23はシリコーン系樹脂の架橋が進む過程で当該三次元架橋構造のシリコーン系樹脂を介してピストン本体19に結合した状態になる。
断熱層21の表面のシリコーン系樹脂を成形型45で酸化させつつ内部のシリコーン系樹脂の酸化を抑制するために、ピストン本体19をピストンスカートの内側から水冷又は空冷によって冷却するようにしてもよい。
ところで、ピストン本体19の頂面19aに余すことなく断熱層21を形成するためには、ピストン本体19の頂面19aに載せる断熱材51の量を断熱層21の形成に必要な量よりも多目にすることが好ましい。その場合、成形型45によってピストン本体19の頂面19aに押し付けられた断熱材51の一部がピストン本体19と成形型45との間から側方へはみ出してピストン本体19の側面に垂れてしまう。
そこで、断熱材51が側方へはみ出す前に、又は側方へはみ出して垂れる前に、図7に示すように、ピストン本体19と成形型45とをピストン本体19が上になるように反転させる。これにより、側方にはみ出した断熱材51は、成形型45の側面に付着し、ピストン本体19の側面に付着することが防止される。よって、ピストン本体19の後処理に余分な工数をかける必要がなくなる。
図8はピストンの製造方法の別の形態を説明する図面である。この製造方法では、ピストン本体19を支持台41に支持した後、ピストンピンボス47の中心位置ではなく、ピントン本体19の頂面19aの位置を位置検出手段としてのレーザセンサ43a,43bによって検出する。その位置情報をスライダ49の駆動制御部にインプットする。一方、成形型45又はスライダ49に装着した位置検出手段としての反射型レーザセンサ55により、支持台41からのレーザの反射を利用して成形型45の成形面45aの位置を検出する。その位置情報をスライダ49の駆動制御部にインプットする。
上記ピントン本体19の頂面19aの位置情報と成形型45の成形面45aの位置情報とに基づいて、頂面19aと成形面45とが所定クリアランスを隔てて対峙した状態になるように、加熱された成形型45をスライダ49によって下降させる。この場合の所定クリアランスは、断熱層21の厚さに対応する。よって、所望厚さの(所望の断熱効果を有する)断熱層21を形成することができる。
<その他の実施形態>
本発明は、上記実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
上記実施形態では、シリコーン系樹脂に関して、ポリアルキルフェニルシロキサン等のシリコーン樹脂を例示したが、これに限らず、シロキサン結合の骨格を少なくとも一部に有する樹脂であればよい。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
1 ピストン
3 シリンダブロック
5 シリンダヘッド
7 吸気バルブ
11 排気バルブ
19 ピストン本体
19a 頂面
21 断熱層
23 基層
25 表面層
31 中空状粒子
33 基層の母材(シリコーン系樹脂)
35 表面層のSi系酸化物を主体とする母材
45 成形型
45a 成形面
E エンジン

Claims (5)

  1. 中空状粒子を含有する断熱層がピストン本体の頂面に形成されているエンジン用ピストンの製造方法であって、
    シリコーン系樹脂と中空状粒子とを含む断熱材を上記ピストン本体の頂面に載せる工程と、
    上記断熱材を上記ピストン本体の頂面形状に倣った形状になるように成形型によって上記ピストン本体の頂面に押し付けることにより、上記断熱層を形成する工程とを備え、
    上記断熱層を形成する工程において、上記断熱層をその表面側から上記成形型によって加熱し、該断熱層の表面の少なくとも一部のシリコーン系樹脂を酸化させることを特徴とするエンジン用ピストンの製造方法。
  2. 請求項1において、
    上記断熱層を形成する工程では、上記ピストン本体のピストンピンボスの中心位置を基準として、上記ピストン本体の頂面に向かって上記成形型を所定ストローク相対移動させることを特徴とするエンジン用ピストンの製造方法。
  3. 請求項1において、
    上記断熱層を形成する工程では、上記成形型と上記ピストン本体の頂面とが所定クリアランスを隔てて対峙した状態になるように、上記ピストン本体の頂面に向かって上記成形型を相対移動させることを特徴とするエンジン用ピストンの製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    上記成形型の上記断熱材に接触する表面の温度は300℃以上400℃以下であることを特徴とするエンジン用ピストンの製造方法。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか一において、
    上記断熱材を上記ピストン本体の頂面に載せる工程では、上記断熱材の量を上記断熱層の形成に必要な量よりも多目にし、
    上記断熱層を形成する工程において、上記ピストン本体と上記成形型との間から上記断熱材が側方へはみ出す前に、又は側方へはみ出して垂れる前に、上記ピストン本体と上記成形型とを上記ピストン本体が上になるように反転させることを特徴とするエンジン用ピストンの製造方法。
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