JP5082987B2 - 内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関に関し、特に、燃焼室を形成する母材の少なくとも一部の、燃焼室内に臨む壁面に、断熱膜が形成された内燃機関に関する。
内燃機関の熱効率を向上させるために、内燃機関の燃焼室を形成する母材の少なくとも一部の、燃焼室内に臨む壁面に、断熱膜を形成する技術が提案されている(例えば下記非特許文献1,2)。非特許文献1,2においては、熱伝導率の低いセラミック(ジルコニア)からなる単一材料の断熱膜をピストンの頂面上に形成することで、燃焼室内の燃焼ガスからピストンへの熱伝達を低下させて熱効率の向上を図っている。
国際公開第89/03930号パンフレット 米国特許第4495907号明細書 米国特許第5820976号明細書 Gerhard Woschni他,"Heat Insulation of Combustion Chamber Walls - A Measure to Decrease the Fuel Combustion of I.C. Engines?",SAE Paper 870339,Society of Automotive Engineers,1987 Victor W.Wong他,"Assessment of Thin Thermal Barrier Coatings for I.C. Engines",SAE Paper 950980,Society of Automotive Engineers,1995
内燃機関のシリンダ内における熱損失Q[W]については、シリンダ内の圧力やガス流に起因する熱伝達係数h[W/(m2・K)]、シリンダ内の表面積A[m2]、シリンダ内のガス温度Tg[K]、及びシリンダ内に面する(シリンダ内の燃焼ガスと接触する)壁面の温度Twall[K]を用いて、以下の(1)式で表すことができる。
Q=A×h×(Tg−Twall) (1)
内燃機関のサイクルにおいては、シリンダ内ガス温度Tgが時々刻々変化するが、壁面温度Twallをシリンダ内ガス温度Tgに追従させるよう時々刻々変化させることで、(1)式における(Tg−Twall)の値を小さくすることができ、熱損失Qを低減することができる。
壁面温度Twallをシリンダ内ガス温度Tgに追従させるよう変化させるためには、燃焼室内に臨む壁面に形成する断熱膜については、熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量が低いことが望ましい。ただし、セラミック(例えばジルコニア)からなる単一材料の断熱膜を燃焼室内に臨む壁面に形成しても、熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量の低さが不十分である。その結果、壁面温度Twallのシリンダ内ガス温度Tgへの追従性が低下し、熱損失Qの低減効果も不十分となる。
セラミック(例えばジルコニア)よりも低い熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量を有する単一材料は存在するが、例えば樹脂や発泡体のように耐熱性及び強度の低い材料が多く、内燃機関のシリンダ内のように高温・高速のガス流や高圧力に耐えうるような耐熱性及び強度を持たない。
さらに、断熱膜の厚さ方向の温度分布は、シリンダ内のガス温度の高い燃焼行程では、膜表面で最も高く、母材に向かって急激に減少する。一方、シリンダ内のガス温度の低い吸入行程では、膜表面がシリンダ内ガスにより冷却されて最も低い温度となる。この温度変化によって、断熱膜表面近くでは大きな圧縮応力の発生と緩和が毎燃焼ごとに生じるため、熱サイクル疲労に対する断熱膜の耐久性の確保が問題となる。
本発明は、燃焼室内に臨む壁面に断熱膜が形成された内燃機関において、燃焼室壁面温度のシリンダ内ガス温度への追従性を向上させることで熱効率を向上させるとともに、熱サイクル疲労に対する断熱膜の耐久性を向上させることを目的とする。
本発明に係る内燃機関は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の参考例に係る内燃機関は、燃焼室を形成する母材の少なくとも一部の、燃焼室内に臨む壁面に、断熱膜が形成された内燃機関であって、前記断熱膜は、母材よりも低い熱伝導率及び母材よりも低い単位体積あたりの熱容量を有する第1の断熱材と、母材以下の熱伝導率を有する第2の断熱材であって、第1の断熱材を燃焼室内の燃焼ガスから保護するための第2の断熱材と、を含み、第1の断熱材は、第2の断熱材よりも低い熱伝導率及び第2の断熱材よりも低い単位体積あたりの熱容量を有し、前記断熱膜には、当該断熱膜を補強するための補強用材であって、その長さが当該断熱膜の厚さよりも短い補強用材が混入されていることを要旨とする。また、本発明に係る内燃機関は、燃焼室を形成する母材の少なくとも一部の、燃焼室内に臨む壁面に、断熱膜が形成された内燃機関であって、前記断熱膜は、母材よりも低い熱伝導率及び母材よりも低い単位体積あたりの熱容量を有する第1の断熱材と、母材以下の熱伝導率を有する第2の断熱材であって、第1の断熱材を燃焼室内の燃焼ガスから保護するための第2の断熱材と、を含み、第1の断熱材は、第2の断熱材よりも低い熱伝導率及び第2の断熱材よりも低い単位体積あたりの熱容量を有し、前記断熱膜には、当該断熱膜を補強するための補強用材が混入されており、第2の断熱材は、ジルコニア、シリコン、チタン、ジルコニウム、セラミック、セラミック繊維、またはこれら複数の組み合わせであり、第1の断熱材は、中空のセラミックビーズ、中空のガラスビーズ、微細多孔構造の断熱材、シリカエアロゲル、またはこれら複数の組み合わせであることを要旨とする。
本発明によれば、第2の断熱材により第1の断熱材を燃焼室内の燃焼ガスから保護することで、第1の断熱材については、燃焼室内の燃焼ガスに対する耐熱性及び耐圧性の制約を受けることなく、熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量が十分低い断熱材料を選択することができ、断熱膜全体での熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量も十分に低くすることができる。その結果、燃焼室壁面温度のシリンダ内ガス温度への追従性を向上させることができ、内燃機関の熱効率を向上させることができる。さらに、断熱膜を補強するための補強用材を断熱膜に混入することで、断熱膜の強度を向上させることができ、熱サイクル疲労に対する断熱膜の耐久性を向上させることができる。なお、第1の断熱材については、1種類の断熱材により構成することもできるし、複数種類の断熱材により構成することもできる。そして、第2の断熱材についても、1種類の断熱材により構成することもできるし、複数種類の断熱材により構成することもできる。
本発明の一態様では、前記断熱膜は、内燃機関のサイクルにおいて燃焼室壁面温度を550℃以上の幅で変動させることが可能であることが好適である。本発明の一態様では、前記断熱膜は、内燃機関のサイクルにおいて燃焼室壁面温度を200℃以上の幅で変動させることが可能であることが好適である。本発明の一態様では、前記断熱膜は、内燃機関のサイクルにおいて燃焼室壁面温度を650℃以下の幅で変動させることが可能であることが好適である。本発明の一態様では、前記補強用材は、セラミック繊維、炭素繊維、またはこれらの組み合わせであることが好適である。本発明の一態様では、前記補強用材が補強用繊維材であることが好適である。本発明の一態様では、前記補強用材は、前記断熱膜の厚さ方向と垂直方向にほぼ沿って延びる状態で当該断熱膜に混入されていることが好適である。この態様によれば、断熱膜から母材に伝わる熱を抑制しつつ、断熱膜の温度が局所的に高くなるのを抑制することができる。
本発明の一態様では、第1の断熱材が第2の断熱材の内部に混入されていることが好適である。
また、本発明の参考例に係る内燃機関は、燃焼室を形成する母材の少なくとも一部の、燃焼室内に臨む壁面に、断熱膜が形成された内燃機関であって、前記断熱膜は、母材よりも低い熱伝導率を有し且つ母材よりも低いまたは母材とほぼ同等の単位体積あたりの熱容量を有する材料の内部に気泡が多数形成された断熱材を含んで構成されており、前記断熱膜には、当該断熱膜を補強するための補強用材であって、その長さが当該断熱膜の厚さよりも短い補強用材が混入されていることを要旨とする。また、本発明の参考例に係る内燃機関は、燃焼室を形成する母材の少なくとも一部の、燃焼室内に臨む壁面に、断熱膜が形成された内燃機関であって、前記断熱膜は、母材よりも低い熱伝導率を有し且つ母材よりも低いまたは母材とほぼ同等の単位体積あたりの熱容量を有する材料の内部に気泡が多数形成された断熱材を含んで構成されており、前記断熱膜には、当該断熱膜を補強するための補強用材が混入されており、前記断熱膜は、内燃機関のサイクルにおいて燃焼室壁面温度を550℃以上の幅で変動させることが可能であることを要旨とする。また、本発明の参考例に係る内燃機関は、燃焼室を形成する母材の少なくとも一部の、燃焼室内に臨む壁面に、断熱膜が形成された内燃機関であって、前記断熱膜は、母材よりも低い熱伝導率を有し且つ母材よりも低いまたは母材とほぼ同等の単位体積あたりの熱容量を有する材料の内部に気泡が多数形成された断熱材を含んで構成されており、前記断熱膜には、当該断熱膜を補強するための補強用材が混入されており、前記断熱膜は、内燃機関のサイクルにおいて燃焼室壁面温度を200℃以上の幅で変動させることが可能であることを要旨とする。
本発明の参考例によれば、断熱膜全体での熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量を十分に低くすることができるので、燃焼室壁面温度のシリンダ内ガス温度への追従性を向上させることができ、内燃機関の熱効率を向上させることができる。さらに、断熱膜を補強するための補強用材を断熱膜に混入することで、断熱膜の強度を向上させることができ、熱サイクル疲労に対する断熱膜の耐久性を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る内燃機関1の概略構成を示す図であり、シリンダ11の軸線方向と直交する方向から見た内部構成の概略を示す。内燃機関(エンジン)1は、シリンダブロック9及びシリンダヘッド10を備え、シリンダブロック9及びシリンダヘッド10によりシリンダ11を形成する。シリンダ11内には、その軸線方向に往復運動するピストン12が収容されている。ピストン12の頂面12a、シリンダブロック9の内壁面9a、及びシリンダヘッド10の下面10aに囲まれた空間は、燃焼室13を形成する。シリンダヘッド10には、燃焼室13に連通する吸気ポート14、及び燃焼室13に連通する排気ポート15が形成されている。さらに、吸気ポート14と燃焼室13との境界を開閉する吸気弁16、及び排気ポート15と燃焼室13との境界を開閉する排気弁17が設けられている。シリンダブロック9には、冷却水ジャケット18が形成されており、冷却水ジャケット18に冷却水が供給されることで、内燃機関1の冷却が行われる。
なお、図1では、説明の便宜上、燃料噴射弁や点火栓等の構成の図示を省略しているが、本実施形態に係る内燃機関1は、ディーゼルエンジン等の圧縮自着火式内燃機関であってもよいし、ガソリンエンジン等の火花点火式内燃機関であってもよい。圧縮自着火式内燃機関の場合は、例えばピストン12が圧縮上死点付近に位置するときに燃料噴射弁から燃焼室13内に燃料を噴射することで、燃焼室13内の燃料が自着火して燃焼する。火花点火式内燃機関の場合は、点火時期にて点火栓の火花放電により燃焼室13内の混合気に点火することで、燃焼室13内の混合気を火炎伝播燃焼させる。燃焼室13内の燃焼ガスは、排気行程にて排気ポート15へ排出される。
本実施形態では、燃焼室13を形成する母材の少なくとも一部の、燃焼室13内に臨む(面する)壁面上には、燃焼室13内の燃焼ガスから母材への伝熱を抑制するための断熱用薄膜20が形成されている。ここでは、燃焼室13を形成する母材として、シリンダブロック(シリンダライナ)9、シリンダヘッド10、ピストン12、吸気弁16、及び排気弁17を挙げることができる。そして、燃焼室13内に臨む壁面として、シリンダブロック内壁面(シリンダライナ内壁面)9a、シリンダヘッド下面10a、ピストン頂面12a、吸気弁底面(傘部底面)16a、及び排気弁底面(傘部底面)17aのいずれか1つ以上を挙げることができる。図1では、シリンダブロック内壁面9a、シリンダヘッド下面10a、ピストン頂面12a、吸気弁底面16a、及び排気弁底面17aの各々に断熱用薄膜20を形成した例を示している。ただし、必ずしもシリンダブロック内壁面9a、シリンダヘッド下面10a、ピストン頂面12a、吸気弁底面16a、及び排気弁底面17aのすべてに断熱用薄膜20を形成する必要はない。つまり、断熱用薄膜20については、シリンダブロック内壁面9a、シリンダヘッド下面10a、ピストン頂面12a、吸気弁底面16a、及び排気弁底面17aのいずれか1つ以上に形成することができる。
さらに、本実施形態では、断熱用薄膜20は、熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量の両方がそれぞれ異なる複数種類の断熱材を含んで構成されている。複数種類の断熱材の各々は、母材以下の熱伝導率を有し、且つ母材よりも低いまたは母材とほぼ同等の単位体積あたりの熱容量を有する。以下、断熱用薄膜20の構成例について説明する。
「実施例1」
図2は、断熱用薄膜20の構成例を示す断面図であり、母材30の壁面30aに直交する断面図を示す。図2に示す構成例(実施例1)では、燃焼室13を形成する母材30の、燃焼室13内に臨む壁面30a上に形成された断熱用薄膜20は、粒状に形成された多数の断熱材(第1の断熱材)21と、膜状に形成された断熱材(第2の断熱材)22と、を含んで構成されている。ここでの母材30は、シリンダブロック(シリンダライナ)9であってもよいし、シリンダヘッド10であってもよいし、ピストン12であってもよいし、吸気弁16であってもよいし、排気弁17であってもよい。つまり、母材30の壁面30aは、シリンダブロック内壁面(シリンダライナ内壁面)9aであってもよいし、シリンダヘッド下面10aであってもよいし、ピストン頂面12aであってもよいし、吸気弁底面16aであってもよいし、排気弁底面17aであってもよい。
断熱材22は、母材30以下の(あるいは母材30よりも低い)熱伝導率を有し、且つ母材30よりも低いまたは母材30とほぼ同等の単位体積あたりの熱容量を有する。一方、断熱材21は、母材30よりも低い熱伝導率及び母材30よりも低い単位体積あたりの熱容量を有し、さらに、断熱材22よりも低い熱伝導率及び断熱材22よりも低い単位体積あたりの熱容量を有する。断熱材22は、母材30の壁面30a上にコーティングもしくは接合されており、燃焼室13内の燃焼ガスと接触する。断熱材22は、燃焼室13内の高温及び高圧の燃焼ガスに対する耐熱性及び耐圧性を有しており、断熱材21よりも高い耐熱温度を有し、且つ断熱材21よりも高い強度を有する。一方、多数の断熱材21は、断熱材22の内部に混入されていることで、燃焼室13内の燃焼ガスとは接触しない。ここでの断熱材22は、燃焼室13内の燃焼ガスから母材30への伝熱を抑制する機能の他に、断熱材21を燃焼室13内の高温及び高圧の燃焼ガスから保護する保護材としての機能も有する。さらに、断熱材22は、多数の断熱材21をつなぐ接着材としての機能も有する。一方、断熱材21は、断熱用薄膜20全体での熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量を下げる機能を有する。なお、図2では図示を省略しているが、断熱用薄膜20(断熱材22)と母材30との間には、断熱用薄膜20(断熱材22)と母材30との接合やコーティングを強固にするための薄い中間材が形成されていても構わない。ここでの中間材は、断熱材21または断熱材22と同程度の熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量を有することが好ましい。また、図2では、断熱用薄膜20(断熱材22)の表面が平滑化された状態で断熱材21が断熱材22の内部に多数混入された例を示しているが、例えば図3に示すように、断熱用薄膜20(断熱材22)の膜表面20aに若干の凹凸が生じる状態で断熱材21が断熱材22の内部に混入されていても構わない。
さらに、断熱用薄膜20には、この断熱用薄膜20を補強して強度を向上させるための高強度・高耐熱性の補強用繊維材23が多数混入されている。ここでの補強用繊維材23は、断熱材21及び断熱材22よりも高い強度を有し、断熱用薄膜20を繊維強化する機能を有する。補強用繊維材23は、断熱材22の内部に多数混入されており、燃焼室13内の燃焼ガスとは接触しないことが望まれる。図2に示す例では、補強用繊維材23は短繊維材であり、その繊維長さが断熱用薄膜20の厚さよりも短く設定され、例えば補強用繊維材23の繊維長さが断熱用薄膜20の厚さの1/2以下に設定される。
断熱材22の具体例としては、例えばジルコニア(ZrO2)、シリコン、チタン、またはジルコニウム等のセラミックや、炭素・酸素を主成分とするセラミック、または高強度且つ高耐熱性のセラミック繊維等を挙げることができる。さらに、これらの材料を複数組み合わせて断熱材22に用いることもできる。セラミック(ジルコニア)においては、熱伝導率λは2.5[W/(m・K)]程度であり、単位体積あたりの熱容量ρCは2500×103[J/(m3・K)]程度であり、耐熱温度Tmは2700[℃]程度であり、強度(曲げ強度)σは1470[MPa]程度である。ここでのセラミックについては、ジルコニアの他に、コージェライト(熱伝導率λは4[W/(m・K)]程度、単位体積あたりの熱容量ρCは1900×103[J/(m3・K)]程度)も用いることができ、さらに、アルミナ系や窒化珪素系のセラミックも一部混合して用いることができる。また、ここでのセラミック繊維については、例えばシリコン、チタンまたはジルコニウム、炭素、及び酸素を含んで構成することができ、熱伝導率λは2.5[W/(m・K)]程度であり、単位体積あたりの熱容量ρCは1600×103[J/(m3・K)]程度であり、耐熱温度Tmは1300[℃]程度であり、強度(引張強度)σは3300[MPa]程度である。
一方、断熱材21の具体例としては、例えば中空のセラミックビーズ、中空のガラスビーズ、シリカ(二酸化珪素、SiO2)を主成分とする微細多孔構造の断熱材、またはシリカエアロゲル等を挙げることができる。さらに、これらの材料を複数組み合わせて断熱材21に用いることもできる。中空のセラミックビーズにおいては、熱伝導率λは0.1[W/(m・K)]程度であり、単位体積あたりの熱容量ρCは300×103[J/(m3・K)]程度であり、耐熱温度Tmは1600[℃]程度であり、強度(引張強度)σは70[MPa]程度である。中空のガラスビーズにおいては、熱伝導率λは0.05〜0.2[W/(m・K)]程度であり、単位体積あたりの熱容量ρCは800×103[J/(m3・K)]程度であり、耐熱温度(軟化温度、ガラスが軟化し始める温度)Tmは600[℃]程度であり、強度は極めて弱いもの(約2[MPa])から高強度(約100[MPa])程度まで幅広く存在する。ただし、強度が高くなるほど熱伝導率も増加する傾向にある。また、ここでの微細多孔構造の断熱材については、主成分のシリカの他に二酸化チタン(TiO2)も一部混合して用いることができ、熱伝導率λは0.04[W/(m・K)]程度であり、単位体積あたりの熱容量ρCは400×103[J/(m3・K)]程度であり、耐熱温度Tmは1025[℃]程度であり、強度は極めて弱い。シリカエアロゲルにおいては、熱伝導率λは0.02[W/(m・K)]程度であり、単位体積あたりの熱容量ρCは190×103[J/(m3・K)]程度であり、耐熱温度Tmは1200[℃]程度であり、強度は極めて弱い。
また、補強用繊維材23の具体例としては、例えばSiC系セラミック繊維を挙げることができる。SiC系セラミック繊維においては、熱伝導率λは1.4〜2.5[W/(m・K)]程度であり、耐熱温度Tmは1300[℃]程度であり、強度(引張強度)σは2.8〜3.4[GPa]程度である。また、補強用繊維材23に炭素繊維を用いることもできる。炭素繊維においては、熱伝導率λは40[W/(m・K)]程度であり、耐熱温度Tmは無酸素雰囲気中で1600[℃]程度(酸素雰囲気中で500[℃]程度)であり、強度(引張強度)σは3.5[GPa]程度である。また、SiC系セラミック繊維と炭素繊維を組み合わせて補強用繊維材23に用いることもできる。
また、母材30の具体例としては、例えば鉄(鋼)、アルミニウムもしくはアルミニウム合金、またはセラミック等を挙げることができる。鉄においては、熱伝導率λは80.3[W/(m・K)]程度であり、単位体積あたりの熱容量ρCは3500×103[J/(m3・K)]程度である。アルミニウムにおいては、熱伝導率λは193[W/(m・K)]程度であり、単位体積あたりの熱容量ρCは2400×103[J/(m3・K)]程度(ジルコニアとほぼ同等)である。例えば、母材30に鉄(鋼)、断熱材22にセラミック(ジルコニア)、断熱材21に中空のセラミックビーズを用いる場合は、断熱材22の熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量は母材30よりも低くなり、断熱材21の熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量は断熱材22よりも低くなる。そして、断熱材22の耐熱温度及び強度が断熱材21よりも高くなる。
前述したように、内燃機関のサイクルにおいては、シリンダ内ガス温度Tgが時々刻々変化するが、燃焼室壁面温度Twallをシリンダ内ガス温度Tgに追従させるよう変化させることで、(1)式における(Tg−Twall)の値を小さくすることができ、シリンダ内における熱損失Qを低減することができる。その結果、内燃機関の熱効率を向上させることができ、燃費を改善することができる。ここで、燃焼室壁面温度Twallの変動幅(スイング幅)ΔTに対する燃費の影響を調べた計算結果を図4,5に示す。図4は、燃焼室壁面温度Twallをクランク角(圧縮上死点が0°)に対して変化させた場合の波形の例を示し、1サイクルにおける燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTが500℃、1000℃、1500℃である場合の波形を燃焼室壁面温度Twallがほとんど変化しない場合(ベース条件)と対比させてそれぞれ示す。図4においては、ΔT=1500℃の波形が、シリンダ内ガス温度Tgにほぼ追従して燃焼室壁面温度Twallが変化した場合の波形に相当する。図5は、1サイクルにおける燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTを図4に示すように500℃、1000℃、1500℃に変化させた場合の燃費改善効果を調べた計算結果を示す。図5において、丸印(○)は、吸気行程での燃焼室壁面温度(ベース壁温)がベース条件での壁面温度に対してほとんど上昇していない場合の結果を示し、三角印(△)は、吸気行程での燃焼室壁面温度(ベース壁温)がベース条件での壁面温度に対して100℃上昇した場合の結果を示す。図5に示すように、燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTを増大させることで、燃費改善効果を向上できることがわかる。ただし、燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTが増大しても、ベース壁温が上昇すると燃費改善効果が減少する。そのため、燃費改善効果をより向上させるためには、ベース壁温をほとんど上昇させることなく、燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTを増大させることが好ましい。なお、図5の横軸の遮熱率[%]は、ベース条件での熱損失量Qb、及び壁面温度Twallを変化させた場合の熱損失量Qsを用いて、以下の(2)式で表される。
遮熱率=(Qb−Qs)/Qb×100[%] (2)
ベース壁温をほとんど上昇させることなく、燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTを増大させるためには、燃焼室内に臨む壁面に形成する断熱膜については、熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量が低いことが望ましい。ただし、前述したように、熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量が低い単一材料は、耐熱性及び強度の低い材料が多く、内燃機関のシリンダ内のように高温・高速のガス流や高圧力に耐えうるような耐熱性及び強度を持たない。一方、高温・高速のガス流や高圧力に耐えうるような高い耐熱性及び強度を有する単一材料では、熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量の低さが不十分であり、燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTが減少する。さらに、断熱膜に熱が伝わり蓄積しやすくなり、ベース壁温が上昇する。ベース壁温が上昇すると、以下の(1)〜(5)の弊害が生じる。
(1)吸気行程中に吸入気体が受熱して膨張することにより、充填効率が低下して出力が低下する。
(2)圧縮行程中に作動ガスが受熱してシリンダ内圧力が上昇することにより、圧縮行程での負の仕事が増大して燃費が低下する。
(3)吸気・圧縮行程中の受熱により平均ガス温度が上昇することで、シリンダ内ガスの比熱比が低下してサイクル効率が低下する。
(4)圧縮端ガス温度上昇によりシリンダ内のガス流れが層流化することで、混合気形成過程での燃料と空気との混合度が低下して煤の生成量が増加する。
(5)圧縮端ガス温度上昇により燃焼温度が上昇することで、窒素酸化物(NOx)の生成量が増加する。
これに対して図2に示す構成例では、熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量の低い断熱材21を、耐熱性及び強度の高い断熱材22の内部に混入することで、断熱材21を燃焼室13内の高温及び高圧の燃焼ガスから保護することができる。したがって、断熱材21については、燃焼室13内の高温及び高圧の燃焼ガスに対して耐熱性及び耐圧性を十分に確保するという制約を受けることなく、熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量が低いことを重視した断熱材料の選択性の自由度が高まり、熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量が十分低い断熱材料を用いることができる。そのため、断熱用薄膜20全体での熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量も十分に低くすることができる。これによって、ベース壁温の上昇を抑えながら燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTを増大させることができ、燃焼室壁面温度Twallのシリンダ内ガス温度Tgへの追従性を向上させることができる。その結果、内燃機関1の熱損失Qを低減させて熱効率を向上させることができ、燃費を向上させることができる。さらに、断熱材21,22の材料の選択により断熱材21,22の熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量を調整することで、燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTを調整することができる。さらに、排気温度も上昇させることができるので、エンジン下流に設置した触媒の活性を高めて排気エミッションを低減することができるとともに、ターボチャージャーによる過給エンジンにおいては排気エネルギーのさらなる有効利用を図ることができる。特に、排気エミッション低減・熱効率増加を目的とした高過給エンジンでは、燃焼温度の低下による排気温度の低下が顕著となるため、本実施形態による排気温度上昇の効果はさらに高まる。
また、断熱用薄膜20の厚さ方向の温度分布は、シリンダ内のガス温度の高い燃焼行程では、膜表面20aで最も高く、母材30に向かって急激に減少する。一方、シリンダ内のガス温度の低い吸入行程では、膜表面20aがシリンダ内ガスにより冷却されて最も低い温度となる。この温度変化によって、断熱用薄膜20の表面近くでは大きな圧縮応力の発生と緩和が毎燃焼ごとに生じる。そのため、熱サイクル疲労に対する断熱用薄膜20の耐久性を確保する必要がある。また、焼成によって断熱用薄膜20を母材30上に形成する場合は、母材30と断熱用薄膜20との熱膨張率の違いによる引張応力が断熱用薄膜20に発生するため、この引張応力に対する断熱用薄膜20の強度を確保する必要がある。
これに対して図2に示す構成例では、高強度・高耐熱性の補強用繊維材23を断熱用薄膜20(断熱材22)に混入することで、断熱用薄膜20を繊維強化してその強度(疲労強度)を向上させることができる。その結果、補強用繊維材23がシリンダ内のガス温度変化により生じる圧縮応力を受け持つことで、熱サイクル疲労に対する断熱用薄膜20の耐久性を十分に確保することができる。また、焼成によって断熱用薄膜20を母材30上に形成する場合に、補強用繊維材23が母材30と断熱用薄膜20との熱膨張率の違いにより生じる引張応力を受け持つことで、引張応力に対する断熱用薄膜20の強度を十分に確保することができる。
なお、SiC系セラミック繊維や炭素繊維(補強用繊維材23)の熱伝導率は、一般に、中空のセラミックビーズや微細多孔構造の断熱材(断熱材21)の熱伝導率よりも高い。そのため、長い補強用繊維材23が断熱用薄膜20の厚さ方向に沿って延びた状態で断熱用薄膜20に混入されると、断熱用薄膜20の厚さ方向の熱伝導率(膜表面20aから母材30までの熱伝導率)が高くなりやすい。これに対して図2に示す構成例では、短繊維材である補強用繊維材23の繊維長さを断熱用薄膜20の厚さよりも短くする(例えば断熱用薄膜20の厚さの1/2以下にする)ことで、断熱用薄膜20の厚さ方向の熱伝導率(膜表面20aから母材30までの熱伝導率)が高くなるのを抑制することができる。なお、例えば図6Aに示すように、短繊維材である補強用繊維材23を断熱用薄膜20の厚さ方向のある特定の部分に集中的に分布させることも可能である。
図2に示す構成例では、断熱用薄膜20における断熱材21の占める体積割合、つまり断熱材21の混入割合を、断熱材22の内部の位置に応じて変化させる(分布を持たせる)こともできる。例えば断熱材21の粒径を不揃いにして断熱材22の内部の位置に応じて異ならせることで、断熱材21の混入割合を断熱材22の内部の位置に応じて異ならせることができる。また、単位体積あたりの断熱材21の混入数を断熱材22の内部の位置に応じて異ならせることによっても、断熱材21の混入割合を断熱材22の内部の位置に応じて異ならせることができる。この構成によれば、断熱用薄膜20全体での熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量に分布を持たせることができ、燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTを燃焼室壁面の位置に応じて異ならせる(分布を持たせる)ことができる。
図2に示す構成例では、断熱材21を断熱材22の内部に混入して断熱用薄膜20を形成するものとしたが、図6Bに示すように、断熱材21に代えて気泡31を断熱材22の内部に多数形成することもできる。図6Bに示す構成例では、断熱用薄膜20は、母材30よりも低い熱伝導率を有し且つ母材30よりも低いまたは母材30とほぼ同等の単位体積あたりの熱容量を有する材料の内部に気泡31が多数形成された断熱材(発泡断熱材)22を含んで構成されている。気泡31(空気)においては、熱伝導率λは0.02[W/(m・K)]程度であり、単位体積あたりの熱容量ρCは2.3×103[J/(m3・K)]程度である。断熱材22を形成する材料は、燃焼室13内の高温及び高圧の燃焼ガスに対する耐熱性及び耐圧性を有している。断熱材22を形成する(内部に気泡31が形成された)材料の具体例としては、図2に示す構成例における断熱材22の具体例と同様である。例えば、母材30に鉄(鋼)、断熱材22を形成する材料にセラミック(ジルコニア)を用いる場合は、断熱材22を形成する材料の熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量は、母材30よりも低くなり、且つ気泡31よりも高くなる。
図6Bに示す構成例においても、断熱用薄膜20全体での熱伝導率及び単位体積あたりの熱容量を十分に低くすることができるので、ベース壁温の上昇を抑えながら燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTを増大させることができ、燃焼室壁面温度Twallのシリンダ内ガス温度Tgへの追従性を向上させることができる。その結果、内燃機関1の熱効率を向上させることができる。さらに、補強用繊維材23を断熱用薄膜20に混入することで、断熱用薄膜20を繊維強化してその強度を向上させることができる。その結果、熱サイクル疲労に対する断熱用薄膜20の耐久性を十分に確保することができる。また、焼成によって断熱用薄膜20を母材30上に形成する場合に、母材30と断熱用薄膜20との熱膨張率の違いにより生じる引張応力に対する断熱用薄膜20の強度を十分に確保することができる。なお、図6Bに示す構成例においても、例えば気泡31の径を不揃いにして、断熱用薄膜20における気泡31の占める体積割合(気泡31の形成割合)を断熱材22の内部の位置に応じて変化させることで、燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTを燃焼室壁面の位置に応じて異ならせることができる。また、短繊維材である補強用繊維材23を断熱用薄膜20の厚さ方向のある特定の部分に集中的に分布させることも可能である。
次に、本願発明者が行った解析(数値計算)の結果について説明する。内燃機関1が過給直噴ディーゼルエンジンの場合に、断熱材22の内部に気泡31が多数形成された断熱用薄膜20の構成(ただし補強用繊維材23が混入されていない構成)を対象として断熱用薄膜20(断熱材22)の厚さt1を変化させながら、1サイクルにおける燃焼室壁面温度Twallの変化を計算して調べた。その計算結果を図7,8に示す。図7は、クランク角(圧縮上死点が0°)に対する燃焼室壁面温度Twallの波形を示し、断熱用薄膜20の厚さt1が10μm、50μm、100μm、200μm、500μmである場合の波形をそれぞれ示す。図8は、断熱用薄膜20の厚さt1に対する燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTの特性を示す。
さらに、断熱用薄膜が単一材料からなる構成を比較例として、断熱用薄膜(単一材料)の厚さt0を変化させながら、1サイクルにおける燃焼室壁面温度Twallの変化を計算して調べた。その計算結果を図9,10に示す。図9は、クランク角(圧縮上死点が0°)に対する燃焼室壁面温度Twallの波形を示し、断熱用薄膜の厚さt0が10μm、50μm、100μm、500μmである場合の波形をそれぞれ示す。図10は、断熱用薄膜の厚さt0に対する燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTの特性を示す。
なお、燃焼室壁面温度Twallの計算の際には、1気筒の排気量を550cc、圧縮比を16、機関回転速度を2000rpm、燃料噴射量を50mm3/st、図示平均有効圧力を1.6MPa相当とした。そして、断熱材22を形成する材料の熱伝導率λ及び単位体積あたりの熱容量ρCを、λ=2.5[W/(m・K)]、ρC=2520×103[J/(m3・K)](ジルコニア相当)、断熱用薄膜20(断熱材22)における気泡31(空気)が占める体積の割合を80%とした。また、比較例においては、断熱用薄膜を構成する単一材料(断熱用薄膜全体)の熱伝導率λ及び単位体積あたりの熱容量ρCを、λ=2.5[W/(m・K)]、ρC=2520×103[J/(m3・K)](ジルコニア相当)とした。
比較例においては、図9,10に示すように、燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTが最大でも125℃程度(t0=100μmの場合)にとどまり、燃費改善効果は最大でも2%程度(t0=100μmの場合)にとどまっている。断熱用薄膜の厚さt0が100μmよりも薄いと、燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTが減少することで、燃費改善効果が減少してほとんど得られなくなる。一方、断熱用薄膜の厚さt0が100μmよりも厚いと、ベース壁温が上昇することで、燃費改善効果が減少してほとんど得られなくなる。
これに対して断熱材22の内部に気泡31が多数形成された構成(実施例1)においては、図7,8に示すように、燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTを550℃〜650℃程度に大幅に増大させることができ、燃費改善効果を7〜8%程度に大幅に増大させることができる。図7,8に示す計算結果においては、t1=50μm〜200μmの範囲で、ベース壁温をほとんど上昇させることなく550℃〜650℃程度のスイング幅ΔTが得られ、7〜8%程度の燃費改善効果が得られる。そして、t1=100μmの場合に、スイング幅ΔTが最大となる。このように、実施例1の構成により、燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTを大幅に増大させることができ、7〜8%程度の燃費改善効果が得られることが確認された。
「実施例2」
図11,12は、断熱用薄膜20の他の構成例を示す図であり、図11は母材30の壁面30aに沿った断面図を示し、図12は母材30の壁面30aに直交する断面図を示す。以下の実施例2の説明では、実施例1と同様の構成または対応する構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図11,12に示す構成例(実施例2)では、実施例1(図2に示す構成例)と比較して、補強用繊維材23は長繊維材であり、断熱用薄膜20の厚さ方向と垂直方向、つまり断熱用薄膜20の面内方向(母材30の壁面30aと平行方向)に(ほぼ)沿って延びる状態で、断熱用薄膜20に多数混入されている。すなわち、補強用繊維材23の繊維方向は、断熱用薄膜20の厚さ方向とほぼ垂直である(母材30の壁面30aとほぼ平行である)。補強用繊維材23(SiC系セラミック繊維や炭素繊維)の熱伝導率は、断熱材21(中空のセラミックビーズや微細多孔構造の断熱材)の熱伝導率よりも高いため、図11,12に示す構成例では、断熱用薄膜20の厚さ方向と垂直方向(補強用繊維材23が延びる繊維方向)の熱伝導率が、断熱用薄膜20の厚さ方向(補強用繊維材23が延びる繊維方向と垂直方向)の熱伝導率よりも高くなり、断熱用薄膜20の熱伝導率に異方性が生じる。なお、図11は、長繊維材である補強用繊維材23が格子状に形成された例を示している。
内燃機関1の燃焼室13内での温度分布は均一ではない。ディーゼル機関について例示すると、燃料噴霧の衝突部付近での温度が最も高くなる。これにより、燃料噴霧の衝突部付近のごく僅かな領域のために、他の部位にとっては不必要なほど断熱用薄膜20の耐熱温度を高めることが必要になる。これに対して図11,12に示す構成例では、断熱用薄膜20の局所的に高温になる領域の熱を、母材30に(断熱用薄膜20の厚さ方向に)伝わるのを抑制しながら、その厚さ方向と垂直方向(補強用繊維材23が延びる繊維方向)に逃がして均一化することができ、断熱用薄膜20の温度が局所的に高くなるのを抑制することができる。その結果、断熱用薄膜20に要求される耐熱温度を下げることができ、断熱用薄膜20(断熱材21,22)に用いる材料の選択性の自由度を高めることができる。
図11,12に示す構成例では、断熱材21を断熱材22の内部に混入して断熱用薄膜20を形成するものとしたが、図13,14に示すように、断熱材21に代えて気泡31を断熱材22の内部に多数形成することもできる。ここで、図13は母材30の壁面30aに沿った断面図を示し、図14は母材30の壁面30aに直交する断面図を示す。図13,14に示す構成例でも、長繊維材である補強用繊維材23を断熱用薄膜20の厚さ方向と垂直方向に(ほぼ)沿って延びる状態で断熱用薄膜20に混入することで、断熱用薄膜20の厚さ方向と垂直方向(補強用繊維材23が延びる繊維方向)の熱伝導率が、断熱用薄膜20の厚さ方向(補強用繊維材23が延びる繊維方向と垂直方向)の熱伝導率よりも高くなる。そのため、断熱用薄膜20の局所的に高温になる領域の熱を、母材30に伝わるのを抑制しながら、断熱用薄膜20の厚さ方向と垂直方向に逃がして均一化することができ、断熱用薄膜20の温度が局所的に高くなるのを抑制することができる。
なお、断熱用薄膜20の厚さ方向と垂直方向(断熱用薄膜20の面内方向)にほぼ沿って延びる状態で断熱用薄膜20に混入する補強用繊維材23については、必ずしも格子状に形成する必要はなく、例えば図15に示すように一方向にほぼ沿って並べることで、この一方向の熱伝導率を高めることもできる。ここで、図15は、母材30の壁面30aに沿った断面図を示す。また、補強用繊維材23を放射状に形成することも可能であるし、補強用繊維材23を同心円状(環状)に形成することも可能である。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明の実施形態に係る内燃機関の概略構成を示す図である。 断熱用薄膜20の構成例を示す図である。 断熱用薄膜20の他の構成例を示す図である。 燃焼室壁面温度Twallをクランク角に対して変化させた場合の波形の例を示す図である。 燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTを変化させた場合の燃費改善効果を調べた計算結果を示す図である。 断熱用薄膜20の他の構成例を示す図である。 断熱用薄膜20の他の構成例を示す図である。 断熱用薄膜20の厚さt1を変化させながら、1サイクルにおける燃焼室壁面温度Twallの変化を調べた計算結果を示す図である。 断熱用薄膜20の厚さt1に対する燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTの特性を示す図である。 断熱用薄膜(単一材料)の厚さt0を変化させながら、1サイクルにおける燃焼室壁面温度Twallの変化を調べた計算結果を示す図である。 断熱用薄膜(単一材料)の厚さt0に対する燃焼室壁面温度Twallのスイング幅ΔTの特性を示す図である。 断熱用薄膜20の他の構成例を示す図である。 断熱用薄膜20の他の構成例を示す図である。 断熱用薄膜20の他の構成例を示す図である。 断熱用薄膜20の他の構成例を示す図である。 断熱用薄膜20の他の構成例を示す図である。
符号の説明
1 内燃機関、9 シリンダブロック、9a シリンダブロック内壁面、10 シリンダヘッド、10a シリンダヘッド下面、11 シリンダ、12 ピストン、12a ピストン頂面、13 燃焼室、14 吸気ポート、15 排気ポート、16 吸気弁、16a 吸気弁底面、17 排気弁、17a 排気弁底面、18 冷却水ジャケット、20 断熱用薄膜、21,22 断熱材、23 補強用繊維材、30 母材、30a 壁面、31 気泡。

Claims (8)

  1. 燃焼室を形成する母材の少なくとも一部の、燃焼室内に臨む壁面に、断熱膜が形成された内燃機関であって、
    前記断熱膜は、
    母材よりも低い熱伝導率及び母材よりも低い単位体積あたりの熱容量を有する第1の断熱材と、
    母材以下の熱伝導率を有する第2の断熱材であって、第1の断熱材を燃焼室内の燃焼ガスから保護するための第2の断熱材と、
    を含み、
    第1の断熱材は、第2の断熱材よりも低い熱伝導率及び第2の断熱材よりも低い単位体積あたりの熱容量を有し、
    前記断熱膜には、当該断熱膜を補強するための補強用材が混入されており、
    第2の断熱材は、ジルコニア、シリコン、チタン、ジルコニウム、セラミック、セラミック繊維、またはこれら複数の組み合わせであり、
    第1の断熱材は、中空のセラミックビーズ、中空のガラスビーズ、微細多孔構造の断熱材、シリカエアロゲル、またはこれら複数の組み合わせである、内燃機関。
  2. 請求項1に記載の内燃機関であって、
    前記補強用材は、セラミック繊維、炭素繊維、またはこれらの組み合わせである、内燃機関。
  3. 請求項1または2に記載の内燃機関であって、
    前記補強用材は、前記断熱膜の厚さ方向と垂直方向にほぼ沿って延びる状態で当該断熱膜に混入されている、内燃機関。
  4. 請求項1〜3のいずれか1に記載の内燃機関であって、
    前記断熱膜は、内燃機関のサイクルにおいて燃焼室壁面温度を550℃以上の幅で変動させることが可能である、内燃機関。
  5. 請求項1〜3のいずれか1に記載の内燃機関であって、
    前記断熱膜は、内燃機関のサイクルにおいて燃焼室壁面温度を200℃以上の幅で変動させることが可能である、内燃機関。
  6. 請求項4または5に記載の内燃機関であって、
    前記断熱膜は、内燃機関のサイクルにおいて燃焼室壁面温度を650℃以下の幅で変動させることが可能である、内燃機関。
  7. 請求項1〜のいずれか1に記載の内燃機関であって、
    前記補強用材が補強用繊維材である、内燃機関。
  8. 請求項1〜7のいずれか1に記載の内燃機関であって、
    第1の断熱材が第2の断熱材の内部に混入されている、内燃機関。
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