JP6225980B2 - エンジン構造 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジン構造に関するものである。
近年、燃焼室を断熱化することにより冷却損失を低下させ、これによりエンジンの熱効率を向上させて燃費性能を改善する技術が検討されている。例えば、特許文献1には、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるシリンダ母材の内周面に、板状のゼオライトを含むめっき層が形成されたシリンダライナを備えたエンジン構造が開示されている。めっき層には、板状のゼオライトが、その長手方向がめっき層の厚み方向と直交する状態で含まれており、これにより、めっき層の厚み方向の熱伝導率が低く抑えられている。つまり、上記めっき層により、シリンダライナからシリンダブロックへの放熱が抑制され、その結果、エンジンの冷却損失の低下、ひいては熱効率の向上に寄与するものとなっている。
特開2015−40482号公報
しかし、特許文献1のエンジン構造は、シリンダブロックへの放熱が抑制されることによって、シリンダライナの外側を流れる冷却水やオイルの温度上昇が妨げられる。そのため、例えば寒冷地等では、冷却水の熱エネルギーを利用した暖房機能に支障が生じるといった弊害をもたらすおそれがある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、エンジンの熱効率を高めながら、冷却水やオイルなどが流通する冷却部への熱輸送を良好に行うことが可能なエンジン構造を提供することを目的とする。
上記のような課題に鑑み、本願の出願人は、シリンダライナを、その大部分を占める筒状の第1ライナ部材とその一端に当接する第2ライナ部材とで構成し、第1ライナ部材を、軸方向(第1方向)の熱伝導率が径方向(第2方向)の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有する樹脂材料で形成するとともに、第2ライナ部材を熱伝導率の高いアルミ等の材料で構成し、この第2ライナ部材の外側にウォータジャケット等を配置して、シリンダライナが受ける燃焼熱を、専ら第1ライナ部材によって軸方向に移動させながら第2ライナ部材に伝達し、この第2ライナ部材から冷却水に伝達することを考えた(特願2014−223037号)。しかしこのように、第1ライナ部材と第2ライナ部材とでシリンダライナを構成するだけでは、燃焼熱を軸方向に円滑に伝導できるものの、第1ライナ部材から第2ライナ部材への熱伝達や、第2ライナ部材における冷却部への熱伝導を良好に行うには必ずしも十分とは言えず、冷却部への熱輸送をより良好に行うためには、更なる改善が必要と考えられる。
このような課題は、次のような本発明により解決される。
すなわち、本発明は、燃焼室を形成するシリンダライナと、その径方向外側に位置し、冷却媒体が流通する冷却部とを備えたエンジン構造であって、前記シリンダライナは、筒状の第1ライナ部材と、その軸方向一端に当接して前記冷却部に対応する位置に配置された筒状の第2ライナ部材とを含み、前記第1ライナ部材は、軸方向の熱伝導率が径方向の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有し、前記第2ライナ部材は、第1ライナ部材側から反第1ライナ部材側に向かうに伴い軸心に近づくように傾斜する境界面を介して内外に隣接する外筒部及び内筒部を含み、前記外筒部は、径方向の熱伝導率が軸方向の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有し、前記内筒部は、軸方向の熱伝導率が径方向の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有しているものである。
このエンジン構造によれば、燃焼熱は、第1ライナ部材に沿って軸方向に伝導し、第1ライナ部材から第2ライナ部材の内筒部に伝達され、さらに内筒部から外筒部に伝達されて径方向外側に向かって移動(伝導)して冷却部に伝達される。この際、第1ライナ部材と第2ライナ部材の内筒部とは同じ熱伝導異方性を有するため、第1ライナ部材から内筒部への熱伝達が円滑に行われる。また、第2ライナ部材の内筒部と外筒部とは熱伝導異方性が異なるが、傾斜した境界面を介して内外に隣接していることで内筒部から外筒部への熱伝達が円滑に行われる。そして、外筒部は、径方向の熱伝導率が軸方向の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有するので、内筒部から外筒部に伝達された熱は、温度の低い冷却部に向かって円滑に移動することとなる。そのため、シリンダライナから外部(シリンダブロック)への放熱を抑制しつつ、冷却部に対する熱輸送を効率良く行うことが可能となる。
この場合、例えば前記第2ライナ部材は、中心線に沿った断面形状が矩形であり、前記境界面は、この矩形断面の対角線上に位置する。
このエンジン構造によれば、簡単な構造で境界面の面積を大きく確保でき、第1ライナ部材から冷却部への熱伝達をより円滑に行うことが可能となる。
また、上記のエンジン構造においては、前記境界面によって前記第2ライナ部材の内周面に形成される境界線の位置が、当該第2ライナ部材の軸方向両端よりも内側に位置するものであるのが好適である。
このエンジン構造によれば、第2ライナ部材の外筒部の一部が燃焼室に臨む構造となるので、つまり、外筒部の一部が燃焼室を形成するので、燃焼室で発生した熱を、当該外筒部で受けながら直接冷却部に導くことが可能となる。そのため、より効率良く冷却部に対して熱輸送を行うことができる。
また、他の一局面にかかる本発明は、燃焼室を形成するシリンダライナと、その径方向外側に位置し、冷却媒体が流通する冷却部とを備えたエンジン構造であって、前記シリンダライナは、軸方向の熱伝導率が径方向の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有する筒状の第1ライナ部材と、その軸方向一端に当接して前記冷却部に対応する位置に配置され、かつ径方向の熱伝導率が軸方向の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有する筒状の第2ライナ部材とを含み、当該シリンダライナのうち、軸方向における第1ライナ部材側の端部を第1端部、第2ライナ部材側の端部を第2端部と定義したときに、前記第1ライナ部材と前記第2ライナ部材とは、前記第1端部から第2端部に向かうに伴い軸心に近づくように傾斜する面を含む境界面を介して互いに当接しているものである。
このエンジン構造によれば、燃焼熱は、第1ライナ部材に沿って軸方向に伝導し、第1ライナ部材から第2ライナ部材に伝達される。この際、第1ライナ部材と第2ライナ部材とは互いに異なる熱伝導異方性を有するが、傾斜面を介して第1ライナ部材と第2ライナ部材とが当接しているので、第1ライナ部材から第2ライナ部材への熱伝達が円滑に行われる。そして、第2ライナ部材は、径方向の熱伝導率が軸方向の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有するので、第1ライナ部材から第2ライナ部材に伝達された熱は、温度の低い冷却部に向かって円滑に移動することとなる。そのため、シリンダライナから外部(シリンダブロック)への放熱を抑制しつつ、冷却部に対する熱輸送を効率良く行うことが可能となる。
なお、上記のようなエンジン構造において、前記冷却部は、圧縮工程末期に対応する燃焼室周りの位置に設けられているのが好適である。
この構成によれば、燃焼室で発生する熱を効率良く冷却部に伝達することが可能となる。
以上のような本発明のエンジン構造によれば、エンジンの熱効率を高めながら、冷却部への熱輸送を良好に行うことが可能となる。
本発明のエンジン構造が適用された多気筒エンジンの断面図である。 前記エンジン構造を示すシリンダブロックの要部断面図である。 本発明のエンジン構造の変形例を示す、シリンダブロックの要部断面図である。 熱伝達性能の評価試験結果を示すグラフである。 エンジン構造の参考例を示す、シリンダブロックの断面図である。 本発明のエンジン構造の変形例を示す、シリンダブロックの要部断面図である。 本発明のエンジン構造の変形例を示す、シリンダブロックの要部断面図である。 本発明のエンジン構造の変形例を示す、シリンダブロックの要部断面図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について詳述する。
(エンジンの全体構造)
図1は、本発明が適用された多気筒エンジン1(以下、エンジン1と略す)を断面図で示している。このエンジン1は、自動車等の車両用エンジンであり、図1の紙面に垂直な方向に、4つの気筒が配置された直列4気筒のガソリンエンジンである。
エンジン1は、エンジン本体2と、これに組付けられた図外の吸排気マニホールドおよび各種ポンプ等の補機とを含む。
エンジン本体2は、上下方向に連結されるカムキャップ3、シリンダヘッド4、シリンダブロック5、クランクケース(図示省略)及びオイルパン(図示省略)を含む。
シリンダブロック5には、4つのシリンダボア7が形成され、各シリンダボア7内にそれぞれピストン8が摺動可能に収容され、これらピストン8、シリンダボア7、シリンダヘッド4および後記吸排気弁14、15によって燃焼室10が気筒毎に形成されている。なお、各ピストン8は、コネクティングロッド9を介して、クランクケースに回転自在に支持されたクランク軸(図示省略)に連結されている。
シリンダヘッド4には、上記燃焼室10を形成するための、上記シリンダボア7と同数の凹部4aが設けられている。シリンダヘッド4には、気筒毎に、各凹部4aの位置で燃焼室10に開口する吸気ポート12及び排気ポート13が設けられ、吸気ポート12及び排気ポート13をそれぞれ開閉する吸気弁14及び排気弁15が、各ポート12,13にそれぞれ装備されている。
吸気弁14及び排気弁15は、それぞれリターンスプリング16、17により各ポート12、13を閉止する方向(図1の上方向)に付勢されており、カムシャフト18、19の外周に設けられたカム部18a、19aによって押下されることで、各ポート12、13を開くように構成されている。詳しくは、カムシャフト18、19の回転に伴い、スイングアーム20、21の中央部に設けられたカムフォロア20a、21aを上記カム部18a、19aが押下することで、スイングアーム20、21がそれらの一端側に設けられた油圧ラッシュアジャスタ24、25のピボット機構の頂部を支点として揺動し、この揺動に伴い、スイングアーム20、21の他端部が上記リターンスプリング16、17の付勢力に抗して吸気弁14及び排気弁15を押下する。これにより各ポート12、13が開く。
シリンダヘッド4およびシリンダブロック5には、ウォータジャケットが設けられている。詳しくは、シリンダブロック5には、4つのシリンダボア7を一体に囲むようにウォータジャケット26(本発明の冷却部に相当する)が設けられている。また、シリンダヘッド4には、燃焼室10の吸気側(図1では右側)であって吸気ポート12の下側の位置にウォータジャケット27が設けられるとともに、燃焼室10の排気側(図1では左側)であって排気ポート13の下側の位置にウォータジャケット28が設けられ、さらに、燃焼室10の直ぐ上方であって両ポート12,13の間の位置にウォータジャケット29が設けられている。
詳細図を省略するが、シリンダブロック5のウォータジャケット26と、シリンダヘッド4のウォータジャケット27、28とは、シリンダヘッド4とシリンダブロック5との間に介設された図外のガスケットの連通孔を介して互いに連通している。
各ウォータジャケット26〜29は、図外のウォータポンプに繋がっており、これにより、冷却水(冷却流体)がエンジン本体2と図外のラジエータとの間を循環しながら、各ウォータジャケット26〜29を所定の順序で流通するようになっている。
なお、図1中の符号30〜32は、シリンダブロック5及びシリンダヘッド4に形成されたオイルギャラリである。これらオイルギャラリは、図外のオイルポンプに繋がっており、これにより、上記油圧ラッシュアジャスタ24、25などの油圧作動装置に作動用の油圧が供給されるとともに、潤滑用および冷却用のオイル(冷却流体)がエンジン本体2の各部に供給されるようになっている。
(シリンダブロック5の詳細構造)
シリンダブロック5は、図1及び図2に示すように、アルミ合金の鋳造品であるブロック本体50と、このブロック本体50に鋳込まれ、又は圧入された円筒状のシリンダライナ51とを備えており、このシリンダライナ51により上記シリンダボア7が形成されている。
ブロック本体50は、4つのシリンダ部55と、シリンダ部55の下方に繋がってクランク室を形成するスカート部56と、このスカート部56の内側に形成された、クランク軸の軸受部57とを備えている。そして、各シリンダ部55に上記シリンダライナ51が配設されている。
シリンダライナ51は、上記シリンダボア7のうち、上端部分以外の部分を形成する第1ライナ部材62と、その上端に当接して、上記シリンダボア7の上端部分を形成する第2ライナ部材63とを含む。当例では、第2ライナ部材63は、例えば圧縮工程末期の燃焼室の一部を形成する。
第1ライナ部材62は、軸方向に亘って一定の厚みを有する円筒形状である。この第1ライナ部材62は、高熱電導性の炭素繊維強化樹脂複合材料(CFRP)により形成されるとともに、熱伝導異方性を有している。詳しく説明すると、第1ライナ部材62は、例えばピッチ系炭素繊維をエポキシ樹脂等に含浸、積層した炭素繊維強化樹脂複合材料が用いられて、炭素繊維がシリンダライナ51(第1ライナ部材62)の中心線と平行に並ぶように円筒状に形成されたものである。これにより、第1ライナ部材62は、金属材料と同等以上の熱伝導率を有するとともに、上下方向(軸方向)の熱伝導率が厚み方向(径方向)の熱伝導率よりも大きい熱伝導特性、すなわち熱伝導異方性を有した構造となっている。なお、以下の説明では、この熱伝導異方性を便宜上、第1熱伝導異方性と称す。
第2ライナ部材63は、図2に示すように、第1ライナ部材62と同一外径および同一内径を有する円筒形状である。第2ライナ部材63と第1ライナ部材62とは、シリンダライナ51の中心線(軸心)に直交する面で互いに当接している。
第2ライナ部材63は、シリンダライナ51の中心線に対して傾斜したテーパ状の境界面65、詳しくは、下側(第1ライナ部材62側)から上側(反第1ライナ部材62側)に向かうに伴い軸心に近づくように傾斜した境界面65を介して互いに内外に隣接する外筒部64aおよび内筒部64bを有する。
図2に示すように、当例では、第2ライナ部材63の軸心に沿った断面形状(中実部分の断面形状)は矩形であり、各筒部64a、64bは、この矩形断面の対角線上に境界面65が位置するように形成されている。従って、第2ライナ部材63は、その内筒部64bのみが第1ライナ部材62と当接している。
第2ライナ部材63も、第1ライナ部材62と同様に、高熱電導性の炭素繊維強化樹脂複合材料(CFRP)により形成されることにより熱伝導異方性を有しているが、外筒部64aと内筒部64bとが、互いに異なる熱伝導異方性を有している。具体的には、外筒部64aは、第1ライナ部材62とは異なり、厚み方向(径方向)の熱伝達率が上下方向(軸方向)の熱伝導率よりも大きい熱伝導特性(便宜上、第2熱伝導異方性と称す)を有し、内筒部64bは、第1ライナ部材62と同様に、第1熱伝導異方性を有する。
第2ライナ部材63の径方向外側(外周)、つまり、圧縮工程末期に対応する燃焼室周りの位置には、上記ウォータジャケット26が設けられている。ウォータジャケット26は、第2ライナ部材63の外周面と、ブロック本体50に形成された段状部50aの壁面と、上記ガスケットとにより形成されている。すなわち、シリンダライナ51のうち、第2ライナ部材63の外周面は冷却水に直接接触している。
(上記エンジン構造の作用効果)
上記のようなエンジン構造によれば、シリンダライナ51の第1ライナ部材62が第1熱伝導異方性を有していることで、シリンダライナ51が受けた熱は、専ら図2中の矢印A1で示すように、第1ライナ部材62に沿って温度の低いウォータジャケット26側、すなわち、第2ライナ部材63側に向かって移動する。そして、第1ライナ部材62の上端部に達した熱は、図2中の矢印A2で示すように、第2ライナ部材63をその径方向外側に向かって移動し、ウォータジャケット26内の冷却水に伝達される。つまり、第2ライナ部材63の内筒部64bと第1ライナ部材62とは共に第1熱伝導異方性を有するため、第1ライナ部材62の上端に達した熱は、第1ライナ部材62から第2ライナ部材63(内筒部64b)に円滑に伝達される。また、第2ライナ部材63の外筒部64aと内筒部64bとは互いに異なる熱伝導異方性を有するが、これらは上記のように傾斜した境界面65を介して内外に互いに隣接しているので、内筒部64bに伝達された熱は、当該内筒部64bから外筒部64aに円滑に伝達される。そして、外筒部64aは第2熱伝導異方性を有しているので、当該外筒部64aに伝達された熱は、温度の低いウォータジャケット26側に向かって第2ライナ部材63の径方向外側に向かって円滑に移動することとなる。
このように、上記のエンジン構造によれば、シリンダライナ51が受けた熱は、図2中の矢印A1,A2に示すように、シリンダライナ51の上端に向かって移動し、さらにシリンダライナ51の上端部においてその径方向外側に円滑に移動しながらウォータジャケット26内の冷却水に伝達されることとなる。
そのため、このエンジン構造によれば、シリンダライナ51からシリンダ部55への放熱を抑制し、燃焼室10を高い温度に保ってエンジンの熱効率を高めることができる一方で、シリンダライナ51が受けた熱を効率良くウォータジャケット26内の冷却水に伝達して、当該冷却水を昇温させることができる。特に、このエンジン構造によれば、第2ライナ部材63によりウォータジャケット26の壁面が形成されており、冷却水が第2ライナ部材63に直接接触する構造なので、第2ライナ部材63から冷却水への熱伝達が効率良く行われる。従って、上記のエンジン構造によれば、燃焼熱を、シリンダライナ51(第1ライナ部材62及び第2ライナ部材63)を介して効率良く冷却水に伝達して、冷却水を昇温させることができる。
図3は、上記エンジン構造の変形例である。同図は、上記シリンダブロック5の断面図であって図2に相当するものである。
図3に示す変形例は、第2ライナ部材63が、外筒部64aと内筒部64bとを有する点で図2の構造と共通するが、図2に示す構造に比べて境界面65の面積が小さい。つまり、前記境界面65によって第2ライナ部材63の内周面に形成される境界線の位置が、当該第2ライナ部材63の軸方向両端よりも内側に位置するとともに、第2ライナ部材63の下端面に形成される前記境界線の位置が、当該第2ライナ部材63の外周面よりも内側に位置するように外筒部64a及び内筒部64bが形成されている。この構成により、第2ライナ部材63の外筒部64aの一部が燃焼室に臨む構造となっている。つまり、外筒部64aの内周面の一部が燃焼室を形成している。
図3に示すエンジン構造によれば、シリンダライナ51が受けた熱は、図2の構造と同様、図3中の矢印A1,A2に示すように、シリンダライナ51の上端に向かって移動し、さらにシリンダライナ51の上端部においてその径方向外側に円滑に移動しながらウォータジャケット26内の冷却水に伝達される。しかも、このエンジン構造によれば、上記の通り外筒部64aの一部が燃焼室に臨んでいることで、図3中の矢印A3に示すように、当該燃焼室で発生した熱は、直接外筒部64aを伝ってウォータジャケット26内の冷却水に伝達される。そのため、効率良く冷却水を昇温させることが可能となる。
図4は、図2、図3のエンジン構造と図5に示す参考例のエンジン構造とについて、第2ライナ部材63の熱流束(W/mm)の経時変化を測定した結果である。なお、図5に示すエンジン構造は、第2ライナ部材63の全体が第2熱伝導異方性を有する炭素繊維強化樹脂複合材料(CFRP)で形成されている点を除き、図2、図3と同一である。
図4に示す通り、図2、図3のエンジン構造は、図5のエンジン構造に比べて熱流束の値が全体的に高く、図5のエンジン構造に比べて燃焼熱が効率良くウォータジャケット26内の冷却水に伝達されていることが考察できる。つまり、図5のエンジン構造では、各ライナ部材62、63の熱伝導異方性が互いに直交する関係にあり、第1ライナ部材62から第2ライナ部材63へ熱伝達し難くなる傾向があるが、図2、図3のエンジン構造ではこの点が改善されている。
特に、図4に示す通り、図3のエンジン構造によれば、時間経過に伴う熱流束値の立ち上がりが図2のエンジン構造に比べて早い。これは、図2のエンジン構造では、専ら第1ライナ部材62が受けた燃焼熱が冷却水に伝達される(図2中の矢印A1、A2参照)のに対して、図3のエンジン構造では、第1ライナ部材62が受けた熱が冷却水に伝達されることに加え、燃焼熱が第2ライナ部材63(外筒部64a)から直接冷却水に伝達される(図3中の矢印A3参照)ためと考えられる。このことから、図3に示すエンジン構造によれば、エンジン始動直後、より効率良く、冷却水を昇温させること、ひいては冷却水の熱エネルギーを利用した暖房機能をより早期に有効化し得ることが考察できる。
なお、図2および図3のエンジン構造は、本発明にかかるエンジン構造の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態のエンジン構造では、外筒部64aと内筒部64bとの境界面65は、図2および図3に示すように、第2ライナ部材63の断面内において当該境界面65が形成する境界線が直線となる面であるが、この境界面65は、図6に示すように、前記境界線が曲線(湾曲線)となるような面であってもよい。要するに、境界面65は、下方(第1ライナ部材62側)から上方(反第1ライナ部材62側)に向かうに伴いシリンダライナ51の軸心に近づくように傾斜する面であればよい。
また、上記シリンダライナ51は、図2、図3に示す第2ライナ部材63のうち、内筒部64bに相当する部分が、図7、図8に示すように、第1ライナ部材62によって形成されたものであってもよい。図7は、第1ライナ部材62の上端部にテーパ部が形成されることにより、図2の内筒部64bに相当する部分が当該第1ライナ部材62に一体に形成されたものである。一方、図8は、第1ライナ部材62の上端面に、図3の内筒部64bに相当する円錐台状の突出部が一体に形成されたものである。つまり、シリンダライナ51は、第1ライナ部材62と第2ライナ部材63とが、シリンダライナ51の下端部(本発明の第1端部)から上端部(本発明の第2端部)に向かうに伴い軸心に近づくように傾斜する傾斜面66aを含む境界面66を介して互いに当接している構成であってもよい。このような構成によれば、第2ライナ部材63の内筒部64bと第1ライナ部材62との間に、図2及び図3に示すような境目が形成されない分、第1ライナ部材62から第2ライナ部材63への熱伝達がより円滑に行われるようになる。
また、上記実施形態では、熱伝導異方性を有する材料として、第1ライナ部材62および第2ライナ部材63がいずれも高熱電導性の炭素繊維強化樹脂複合材料(CFRP)により形成されているが、勿論、これ以外の熱伝導異方性を有する材料に形成されていてもよい。例えば、黒鉛と金属(アルミニウム等)との複合材料、すなわち直交する方向の熱伝達率に差が生じるように黒鉛を金属中に配向させた複合材料や、多層カーボンナノチューブを用いた熱伝導異方性を有する材料により構成されていてもよい。
1 エンジン
5 シリンダブロック
7 シリンダボア
26 ウォータジャケット
51 シリンダライナ
62 第1ライナ部材
63 第2ライナ部材
64a 外筒部
64b 内筒部
65、66 境界面
66a 傾斜面

Claims (5)

  1. 燃焼室を形成するシリンダライナと、その径方向外側に位置し、冷却媒体が流通する冷却部とを備えたエンジン構造であって、
    前記シリンダライナは、筒状の第1ライナ部材と、その軸方向一端に当接して前記冷却部に対応する位置に配置された筒状の第2ライナ部材とを含み、
    前記第1ライナ部材は、軸方向の熱伝導率が径方向の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有し、
    前記第2ライナ部材は、第1ライナ部材側から反第1ライナ部材側に向かうに伴い軸心に近づくように傾斜する境界面を介して内外に隣接する外筒部及び内筒部を含み、
    前記外筒部は、径方向の熱伝導率が軸方向の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有し、前記内筒部は、軸方向の熱伝導率が径方向の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有している、ことを特徴とするエンジン構造。
  2. 請求項1に記載のエンジン構造において、
    前記第2ライナ部材は、中心線に沿った断面形状が矩形であり、前記境界面は、この矩形断面の対角線上に位置する、ことを特徴とするエンジン構造。
  3. 請求項1に記載のエンジン構造において、
    前記境界面によって前記第2ライナ部材の内周面に形成される境界線の位置が、当該第2ライナ部材の軸方向両端よりも内側に位置する、ことを特徴とするエンジン構造。
  4. 燃焼室を形成するシリンダライナと、その径方向外側に位置し、冷却媒体が流通する冷却部とを備えたエンジン構造であって、
    前記シリンダライナは、軸方向の熱伝導率が径方向の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有する筒状の第1ライナ部材と、その軸方向一端に当接して前記冷却部に対応する位置に配置され、かつ径方向の熱伝導率が軸方向の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有する筒状の第2ライナ部材とを含み、
    当該シリンダライナのうち、軸方向における第1ライナ部材側の端部を第1端部、第2ライナ部材側の端部を第2端部と定義したときに、
    前記第1ライナ部材と前記第2ライナ部材とは、前記第1端部から第2端部に向かうに伴い軸心に近づくように傾斜する傾斜面を含む境界面を介して互いに当接している、ことを特徴とするエンジン構造。
  5. 請求項1乃至4の何れか一項に記載のエンジン構造において、
    前記冷却部は、圧縮工程末期に対応する燃焼室周りの位置に設けられている、ことを特徴とするエンジン構造。
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