JPH10220278A - 内燃機関のシリンダブロックおよびその製造方法 - Google Patents

内燃機関のシリンダブロックおよびその製造方法

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JPH10220278A
JPH10220278A JP9026989A JP2698997A JPH10220278A JP H10220278 A JPH10220278 A JP H10220278A JP 9026989 A JP9026989 A JP 9026989A JP 2698997 A JP2698997 A JP 2698997A JP H10220278 A JPH10220278 A JP H10220278A
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JP
Japan
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cylinder
block
cylinder block
deck surface
cylinder bore
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Application number
JP9026989A
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English (en)
Inventor
Yukinori Ota
行紀 太田
Yoshiaki Kajikawa
義明 梶川
Mitsuhiro Karaki
満尋 唐木
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明はシリンダヘッドと当接するデッキ面
に開口するシリンダボアを備える内燃機関のシリンダブ
ロックに関し、デッキ面のシリンダボアを取り囲む部分
に鋳巣が形成されるのを防止することを目的とする。 【解決手段】 シリンダライナ16の端部に環状の無機
質繊維成形体14を圧入する。シリンダブロックの鋳型
に無機質繊維成形体14とシリンダボア16とをセット
する。鋳型に溶湯を供給してブロック部材18をダイカ
スト成形する。無機質繊維成形体14は溶湯が含浸する
ことで鋳巣のない金属基複合部材12に変化する。少な
くともリブ36が消滅するまでシリンダライナ16を切
削して、シリンダライナ16の内周面および金属基複合
部材12の内周面が露出するシリンダボアを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のシリン
ダブロックおよびその製造方法に係り、特に、シリンダ
ヘッドと当接するデッキ面に開口するシリンダボアを備
える内燃機関のシリンダブロックおよびその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば、特開平6−2998
99号に開示される如く、シリンダヘッドと当接するデ
ッキ面に開口するシリンダボアを備えるシリンダブロッ
クが知られている。シリンダブロックのデッキ面には、
ガスケットを介してシリンダヘッドが固定される。従っ
て、シリンダブロックのデッキ面には、シリンダボアの
気密性を維持するに十分な平滑度が要求される。
【0003】上記従来のシリンダブロックは、シリンダ
ボアの外壁を形成するシリンダライナと、シリンダライ
ナを鋳ぐるむブロック部材とを備えている。ブロック部
材は、シリンダライナの外周面と共に、その上端面を鋳
ぐるむように成形されている。また、シリンダブロック
のデッキ面は、シリンダライナの端面がデッキ面に露出
しないようにブロック部材の端面を切削することで形成
されている。
【0004】ブロック部材とシリンダライナとは、互い
に異なる熱膨張率を有している。このため、シリンダラ
イナの上端面をデッキ面に露出させることとすると、ブ
ロック部材とシリンダライナとに熱変形が生じた際に両
者の境界部に段差が発生し、シリンダボアの気密性が損
なわれることがある。これに対して、上記従来のシリン
ダブロックによれば、熱変形の有無に関わらず、デッキ
面に段差が生ずることがない。このため、従来のシリン
ダブロックによれば、熱変形に起因してシリンダボアの
気密性が損なわれるのを確実に防止することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、シリンダブロ
ックのブロック部材を鋳造成形する過程で鋳型に溶湯を
供給する際には、特に鋳造の手法としてダイカスト成形
法が用いられる場合には、鋳型の内部に溶湯と共にガス
が混入して、ブロック部材の内部に鋳巣が発生し易い。
上記従来のシリンダブロックを製造する過程で、ブロッ
ク部材の内部に鋳巣が発生すると、ブロック部材を切削
してデッキ面を形成する際に、デッキ面の表面に鋳巣が
露出することがある。
【0006】ブロック部材が切削されることにより、デ
ッキ面のシリンダボアを取り囲む部分、すなわち、デッ
キ面とガスケットとが接触する部分に上記の如く鋳巣が
露出すると、デッキ面とガスケットとの気密性が悪化
し、シリンダボアの気密性が損なわれることがある。こ
の点、上記従来の構造は、シリンダボアに対して適正な
気密性を付与し得るシリンダブロックを、高い生産性の
下に製造する上で、必ずしも最適な構造ではなかった。
【0007】本発明は、上述の点に鑑みてなされたもの
であり、デッキ面のシリンダボアを取り囲む部分に鋳巣
が形成されることのない内燃機関のシリンダブロックを
提供することを第1の目的とする。また、本発明は、デ
ッキ面のシリンダボアを取り囲む部分に鋳巣が形成され
ることのない内燃機関のシリンダブロックを製造する方
法を提供することを第2の目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的は、請求
項1に記載する如く、シリンダヘッドと当接するデッキ
面に開口するシリンダボアを備える内燃機関のシリンダ
ブロックにおいて、金属基複合材料で構成された環状の
部材であり、前記シリンダボアの端部を取り囲むように
配設される金属基複合部材と、前記金属基複合部材の端
面が前記デッキ面の一部を構成するように、前記金属基
複合部材を保持するブロック部材と、を備える内燃機関
のシリンダブロックにより達成される。
【0009】本発明において、シリンダブロックは、ブ
ロック部と金属基複合部材とを備えている。ブロック部
には、成形の過程で鋳巣が生ずることがある。一方、金
属基複合部材には、鋳巣が生ずることがない。金属基複
合部材は、デッキ面のシリンダボアを取り囲む部分を構
成する。従って、デッキ面のシリンダボアを取り囲む部
分には、鋳巣が形成されることがない。
【0010】また、請求項2に記載する如く、上記請求
項1記載の内燃機関のシリンダブロックにおいて、前記
金属基複合部材が、前記シリンダボアに収納されるピス
トンが備えるトップリングと摺動することがないように
配設されている内燃機関のシリンダブロックは、従来の
ピストンリングを援用するうえで有効である。
【0011】本発明において、金属基複合部材は、トッ
プリングと摺動しない位置に配設されている。このた
め、シリンダボアを取り囲むように金属複合部材が配設
されているにも関わらず、ピストンに装着される全ての
ピストンリングの使用環境は、従来と同様の環境に維持
される。従って、ピストンリングについては、従来のも
のをそのまま援用することが可能である。
【0012】上記第2の目的は、請求項3に記載する如
く、シリンダヘッドと当接するデッキ面に開口するシリ
ンダボアを備える内燃機関のシリンダブロックの製造方
法において、シリンダブロックの鋳型に、前記シリンダ
ボアの端部を取り囲むこととなる位置に、環状の高耐熱
多孔質部材をセットする第1のステップと、前記鋳型に
溶湯を供給して前記高耐熱多孔質部材を鋳ぐるむブロッ
ク部材を形成する第2のステップと、前記高耐熱多孔質
部材および前記ブロック部材を切削して、前記高耐熱多
孔質部材が露出するデッキ面を形成する第3のステップ
と、を備えることを特徴とする内燃機関のシリンダブロ
ックの製造方法。
【0013】本発明において、第1のステップで鋳型に
セットされた高耐熱多孔質部材は、第2のステップで鋳
型に供給される溶湯が含浸することで金属基複合部材と
なる。鋳型に溶湯が供給される際には、鋳型の内部に鋳
巣の原因となるガスが混入する。鋳型に混入するガス
は、高耐熱多孔質部材に到達した時点で細分化されるた
め、金属基複合部材の内部に鋳巣が形成されることはな
い。従って、第3のステップで形成されるデッキ面の、
シリンダボアを取り囲む部分に、鋳巣が現れることはな
い。尚、本発明において、高耐熱多孔質部材には、無機
質繊維成形体や、多孔質金属等が含まれる。
【0014】また、上記第2の目的は、請求項4に記載
する如く、シリンダヘッドと当接するデッキ面に開口す
るシリンダボアを備える内燃機関のシリンダブロックの
製造方法において、シリンダライナの端部に環状の高耐
熱多孔質部材を嵌合させる第4のステップと、シリンダ
ブロックの鋳型に、前記環状の高耐熱多孔質部材が前記
シリンダボアの端部を取り囲むこととなるように、前記
環状の高耐熱多孔質部材および前記シリンダライナをセ
ットする第5のステップと、前記鋳型に溶湯を供給して
前記高耐熱多孔質部材および前記シリンダライナを鋳ぐ
るむブロック部材を形成する第6のステップと、少なく
とも前記高耐熱多孔質部材および前記ブロック部材を切
削して、前記高耐熱多孔質部材が露出するデッキ面を形
成する第7のステップと、少なくとも前記シリンダライ
ナを切削して、前記高耐熱多孔質部材が露出するシリン
ダボアを形成する第8のステップと、を備える内燃機関
のシリンダブロックの製造方法によっても達成される。
【0015】本発明において、第4のステップでは、シ
リンダライナの端部に高耐熱多孔質部材が嵌合される。
第5のステップおよび第6のステップが実行されると、
シリンダライナは、ブロック部材に鋳ぐるまれることに
よりシリンダブロックの内部にシリンダボアを隔成す
る。また、高耐熱多孔質部材は、溶湯が含浸することに
より金属基複合部材となる。第7のステップが実行され
ると、シリンダボアの端部を取り囲む位置に金属基複合
部材が露出したデッキ面が形成される。この際、金属基
複合部材の内周側には、高耐熱複合材料と嵌合されてい
るシリンダライナの端面が露出することがある。シリン
ダライナと金属基複合部材とは、異なる熱膨張率を有し
ている。このため、シンダライナの端面がデッキ面に露
出していると、シリンダライナと金属基複合部材とに熱
変形が生じた際に、両者の境界部に段差が発生すること
がある。第8のステップでは、金属基複合部材の内周側
がシリンダボアに露出するように、シリンダライナが切
削される。かかる加工が行われると、シリンダライナの
端面がデッキ面に露出することがなく、熱変形に起因し
てデッキ面に段差が生ずるのを防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1実施例に対
応するシリンダブロック10の断面図を示す。シリンダ
ブロック10は、金属基複合部材12を備えている。金
属基複合部材12は、無機質繊維成形体14にアルミの
溶湯を含浸させることにより構成される部材である。本
実施例において、無機質繊維成形体14は、平均繊維径
3μm、平均繊維長1mmのアルミナ−シリカ(商品名
「カォウール」イソライト工業製)を無機質バインダで
あるコロイダルシリカを添加した水中で攪拌し、吸引成
形後乾燥させた後、機械加工することにより製造されて
いる。
【0017】シリンダブロック10は、シリンダライナ
16を備えている。シリンダライナ16は、鋳鉄で構成
された円筒状の部材である。シリンダライナ16の上端
面は金属基複合部材12の下端面に当接している。ま
た、シリンダライナ16の内周面と、金属基複合部材1
2の内周面とは、段差なく滑らかに接続されている。シ
リンダブロック10は、金属基複合部材12およびシリ
ンダライナ16を鋳ぐるむアルミダイカスト製のブロッ
ク部材18を備えている。ブロック部材18の上面、お
よび、金属基複合部材12の上面は、段差なく滑らかに
接続されている。これらブロック部材18の上面および
金属基複合部材12の上面は、シリンダブロック10の
デッキ面20を構成している。
【0018】シリンダライナ16および金属基複合部材
12の内部には、外径Rを有するシリンダボア22が形
成されている。シリンダボア22には、ピストン24が
挿入される。ピストン24には、トップリング26、セ
カンドリング28およびオイルリング30(以下、これ
らを総称する場合にはピストンリング26〜30と称
す)が装着されている。ピストン24は、ピストンリン
グ26〜30をシリンダライナ16の内壁に摺動させな
がら、シリンダボア22の内部を往復運動する。シリン
ダブロック10において、上述した金属基複合部材12
は、ピストン24が往復運動する際にトップリング26
と摺動することのない位置に、すなわち、ピストン24
が上死点に到達した際にトップリング26が到達する位
置の更に上方に配設されている。
【0019】シリンダブロック10のデッキ面20の上
部には、シリンダヘッド32が固定される。デッキ面2
0とシリンダヘッド32との間には、ガスケット34が
介装される。本実施例において、ガスケット34には、
メタルガスケットが用いられているが、ガスケットの種
類はこれに限定されるものではなく、ソフトガスケット
を用いることとしてもよい。
【0020】ガスケット34は、デッキ面20に開口し
たシリンダボア22を取り囲むように配設されている。
従って、シリンダボア22を取り囲む部分で、ガスケッ
ト34とデッキ面20とが密着しており、かつ、ガスケ
ット34とシリンダヘッド32とが密着している場合
は、シリンダボア22に高い気密性を付与することがで
きる。換言すれば、シリンダボア22に高い気密性を付
与するためには、デッキ面20のシリンダボア22を取
り囲む部分と、ガスケット34とを密着状態とすること
が重要である。
【0021】シリンダブロック10は、上述の如く、デ
ッキ面20のシリンダボア22を取り囲む位置に、金属
基複合部材12を備えている。金属基複合部材12は、
後述の如く、高い平滑度を有している。このため、シリ
ンダブロック10によれば、デッキ面20のシリンダボ
ア22を取り囲む部分においてガスケット34と密着状
態となることができ、シリンダボア22に高い気密性を
付与することができる。
【0022】次に、図2乃至図5を参照して、シリンダ
ブロック10の製造方法について説明する。図2は、シ
リンダブロック10の構成要素である無機質繊維成形体
14およびシリンダライナ16の初期状態を表す分解斜
視図を示す。無機質繊維成形体14は、その初期状態に
おいて、上記図1に示すシリンダボア22の外径Rに比
して所定長ΔRだけ小さな内径R−ΔRを有している。
一方、シリンダライナ16は、その初期状態において、
無機質繊維成形体14の内径R−ΔRに比して更に小さ
な所定の内径を備えると共に、無機質繊維成形体14の
内径R−ΔRと等しい外径を有するリブ36を備えてい
る。リブ36は、無機質繊維成形体14の厚さとほぼ等
しい高さを有している。
【0023】図3は、初期状態における無機質繊維成形
体14およびシリンダライナ16の斜視断面図を示す。
図3に示すように、シリンダブロック10の製造工程に
おいては、先ず、無機質繊維成形体14がシリンダライ
ナ16のリブ36に圧入される。無機質繊維成形体14
およびシリンダライナ16は、図3に示す如く互いに組
み付けられた後、ブロック部材18の鋳型、すなわち、
シリンダブロック10の成形金型にセットされる。無機
質繊維成形体14は、上述の如くその内部にシリンダラ
イナ16のリブ36が圧入された状態で成形金型にセッ
トされる。上記の手法によれば、無機質繊維成形体14
が成形金型にセットされる際に無機質繊維成形体14に
大きな変形が生ずるのを防止することができる。
【0024】無機質繊維成形体14およびシリンダライ
ナ16が、上記の如く成形金型にセットされると、次
に、ダイカスト成形法により、具体的には、成形金型の
内部に所定圧力でアルミの溶湯を射出することによりブ
ロック部材18が鋳造される。上述の如く、無機質繊維
成形体14とシリンダライナ16とは、圧入により互い
に固定されている。このため、本実施例の手法によれ
ば、ダイカスト成形の過程で無機質成形体14とシリン
ダライナ16とに相対変位が生ずるのを防止することが
できる。
【0025】図4は、無機質繊維成形体14およびシリ
ンダライナ16を鋳ぐるむブロック部材18のダイカス
ト成形が終了した後のシリンダブロック10の断面図を
示す。成形金型の内部に射出されたアルミの溶湯は、成
形金型内部の空間に流入してブロック部材18を形成す
ると共に、多孔質部材である無機質繊維成形体14の内
部に含浸する。その結果、無機質繊維成形体14は、ブ
ロック部材18がダイカスト成形される過程で、アルミ
ナ−シリカとアルミとの複合部材である金属基複合部材
12に変化する。
【0026】成形金型の内部に所定圧力でアルミの溶湯
が射出される過程では、成形金型の内部に溶湯と共にガ
スが混入することがある。成形金型に混入したガスは、
溶湯の内部にある程度大きな気泡として存在することが
できる。このため、ブロック部材18の内部には、比較
的大きな鋳巣が発生することがある。これに対して、成
形金型に混入したガスは、無機質繊維成形体14の表面
に到達した際に細分化されるため、無機質繊維成形体1
4の内部で、大きな気泡として存在することはできな
い。このため、無機質繊維成形体14の内部、すなわ
ち、金属基複合部材12の内部には大きな鋳巣が発生す
ることはない。
【0027】上記図4に示すシリンダブロック10は、
その後、シリンダブロック10の上端面を切削してデ
ッキ面20を形成し、かつ、シリンダライナ16の内
周面を切削してシリンダボア22を形成することで図1
に示す完成状態に至る。図5は、図4中に (V)を付して
表す部分を拡大して表したシリンダブロック10の拡大
図を示す。図5中に二点鎖線で示す部分は、シリンダブ
ロック10を完成状態とするために切削すべき部分であ
る。
【0028】すなわち、本実施例においては、上記図4
に示すシリンダブロック10が形成されたら、その後、
平滑なデッキ面20が形成されるようにシリンダブロッ
ク10の上端面が切削される。本実施例において、上記
の切削加工は、デッキ面20に所定の平滑度が確保さ
れ、かつ、金属基複合部材12の厚さtが、トップリン
グ26と摺動することのない厚さとなるように行われ
る。
【0029】上記の切削加工が終了すると、次に、シリ
ンダライナ36の内周面、および、金属基複合部材12
の内周面を切削して、所定内径Rを有するシリンダボア
22を形成するための切削加工が行われる。本実施例に
おいて、上記の切削加工は、シリンダライナ16のリブ
36が消滅して、シリンダライナ16の内周面および金
属基複合部材12の内周面の双方がシリンダボア22に
露出するように、かつ、金属基複合部材12の幅が、ガ
スケット34と接触することにより十分なシール性を発
揮し得る値となるように行われる。
【0030】上述の如く、シリンダボア22を取り囲む
ように配設される金属基複合部材12には大きな鋳巣が
形成されることがない。このため、デッキ面20のシリ
ンダボア22を取り囲む部分には、必然的に適正な平滑
度が確保される。従って、シリンダブロック10によれ
ば、デッキ面20の上部にガスケット34を介してシリ
ンダヘッド32を固定することにより、シリンダボア2
2に確実に優れた気密性を付与することができる。
【0031】また、金属基複合部材12は、ブロック部
材18の基材であるアルミに比して高い硬度を有してい
る。このため、シリンダブロック10によれば、シリン
ダボア22を取り囲む部分において、高い耐久性を確保
することができる。従って、シリンダブロック10によ
れば、シリンダボア22の周囲が全てアルミで囲まれて
いるものに比して、長期間に渡ってシリンダボア22に
対して優れた気密性を付与することができる。
【0032】更に、シリンダブロック10によれば、金
属基複合部材12とトップリング26とが摺動すること
がない。このため、シリンダブロック10を用いるにあ
たっては、金属基複合部材12の耐摩耗性を考慮する必
要がないと共に、シリンダライナ16との組み合わせに
おいて十分な実績を有する従来のピストンリングを、そ
のままピストンリング26〜30として用いることがで
きる。従って、シリンダブロック10によれば、付帯的
な開発を行うことなく、上述した優れた効果を享受する
ことができる。
【0033】上述の如く、シリンダライナ16が備える
リブ36は、無機質繊維成形体14を補強する効果を有
すると共に、シリンダライナ16と無機質繊維成形体1
4との相対変位を規制する効果を有している。この点、
リブ36を設けることは、シリンダブロック10を高い
生産性の下に生産し、かつ、高品質を維持する上で有効
である。
【0034】しかしながら、シリンダライナ16の基材
である鋳鉄と、金属基複合部材12とは、異なる熱膨張
率を有している。このため、シリンダブロック10が完
成状態に至った後において、金属基複合部材12の内周
側にリブ36が残存していると、金属基複合部材12お
よびシリンダライナ16に熱変形が生じた際に、デッキ
面20のシリンダボア22を取り囲む部分に段差が発生
する事態が生ずる。シリンダボア22に優れた気密性を
付与するうえでは、シリンダボア22を取り囲む位置に
上記の如き段差を発生させるべきではない。
【0035】本実施例において、シリンダブロック10
は、シリンダライナ16の内周面を切削して、金属基複
合部材12の内周側からリブ36を消滅させた後に完成
状態とされる。このため、シリンダブロック10によれ
ば、熱変形に起因して、デッキ面22のシリンダボア2
2を取り囲む部分に段差を発生させることがない。尚、
上記の実施例においては、無機質繊維成形体14にアル
ミを含浸させてなる材料が前記請求項1記載の「金属基
複合材料」に、無機質繊維成形体14が前記請求項3お
よび前記請求項4記載の「高耐熱多孔質部材」に、それ
ぞれ相当している。
【0036】また、上記の実施例においては、無機質繊
維成形体14とシリンダライナ16とを上記図3に示す
嵌合することにより前記請求項4記載の「第4のステッ
プ」が、シリンダブロック10の成形金型に上記図3に
示す無機質繊維成形体14およびシリンダライナ16を
セットすることによりに、前記請求項3記載の「第1の
ステップ」および前記請求項4記載の「第5のステッ
プ」が、ブロック部材18をダイカスト成形することに
より前記請求項3記載の「第2のステップ」および前記
請求項4記載の「第6のステップ」が、切削加工により
デッキ面20を形成することにより前記請求項3記載の
「第3のステップ」および前記請求項4記載の「第7の
ステップ」が、切削加工によりシリンダボア22を形成
することにより前記請求項4記載の「第8のステップ」
が、それぞれ実現される。
【0037】ところで、上記の実施例においては、高耐
熱多孔質部材として無機質繊維成形体14を用いること
としているが、本発明はこれに限定されるものではな
く、例えば、発泡樹脂にニッケルメッキやクロムメッキ
を施した後に熱処理により発泡樹脂を消失させてなる多
孔質金属(商品名「セルメット」住友電工)や、粉末金
属を焼結させてなる多孔質金属等を高耐熱多孔質部材と
して用いることとしても良い。
【0038】次に、図6を参照して、本発明の第2実施
例に対応するシリンダブロックについて説明する。図6
は、本実施例に対応するシリンダブロックの構成要素で
ある無機質繊維成形体40およびシリンダライナ42の
斜視断面図を示す。本実施例のシリンダブロックは、上
記図2および図3に示す無機質繊維成形体14およびシ
リンダブロック16に代えて、図6に示す無機質繊維成
形体40およびシリンダライナ42を用いる点に特徴を
有している。
【0039】無機質繊維成形体40およびシリンダライ
ナ42は、それぞれ互いに嵌合し合うテーパ面44,4
6を備えている。第1実施例で用いられた無機質繊維成
形体14およびシリンダライナ16は、圧入により互い
に相対位置が決定される。このため、両者の相対位置を
適正に決めるためには、圧入部分に高い精度が要求され
る。これに対して、本実施例の構造によれば、無機質繊
維成形体40およびシリンダライナ42にさほど高度な
加工精度を与えることなく、両者の相対位置を適正に決
めることができる。従って、本実施例の構造によれば、
第1実施例のシリンダブロック10に比して、更なる低
コスト化を実現することができる。
【0040】尚、本実施例のシリンダブロックは、シリ
ンダボア22に対して、長期間に渡って高い気密性を付
与し得る点、熱変形に起因して、シリンダボア22を取
り囲む部分に段差を生じさせない点、従来のピストンリ
ングをそのまま援用できる点等においては、上述した第
1実施例のシリンダヘッド10と同様である。
【0041】
【発明の効果】上述の如く、請求項1記載の発明によれ
ば、デッキ面のシリンダボアを取り囲む部分に鋳巣が形
成されることのないシリンダブロックを提供することが
できる。請求項2記載の発明によれば、デッキ面のシリ
ンダボアを取り囲む部分に鋳巣が形成されることがない
と共に、従来のピストンリングをそのまま援用すること
のできるシリンダブロックを提供することができる。
【0042】請求項3記載の発明によれば、デッキ面の
シリンダボアを取り囲む部分に鋳巣の存在しない内燃機
関のシリンダブロックを高い生産性の下に製造すること
ができる。また、請求項4記載の発明によれば、シリン
ダライナを備えると共に、デッキ面のシリンダボアを取
り囲む部分に鋳巣を発生させることがなく、かつ、シリ
ンダボアを取り囲む部分に熱変形に起因する段差を発生
させることのないシリンダブロックを高い生産性の下に
製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に対応するシリンダブロック
の断面図である。
【図2】図1に示すシリンダブロックの構成要素である
無機質繊維成形体およびシリンダライナの初期状態を表
す分解斜視図である。
【図3】図1に示すシリンダブロックの構成要素である
無機質繊維成形体およびシリンダライナの初期状態にお
ける断面図である。
【図4】図3に示す無機質繊維成形体およびシリンダラ
イナをブロック部材18で鋳ぐるんだ後のシリンダブロ
ックの断面図である。
【図5】図4中に (V)を付して表す部分を拡大して表し
たシリンダブロックの拡大図である。
【図6】本発明の第2実施例に対応するシリンダブロッ
クの構成要素である無機質繊維成形体およびシリンダラ
イナの斜視断面図である。
【符号の説明】
10 シリンダブロック 12 金属基複合部材 14,40 無機質繊維成形体 16,42 シリンダライナ 18 ブロック部材 20 デッキ面 22 シリンダボア 26 トップリング 34 ガスケット 36 リブ 44,46 テーパ面

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダヘッドと当接するデッキ面に開
    口するシリンダボアを備える内燃機関のシリンダブロッ
    クにおいて、 金属基複合材料で構成された環状の部材であり、前記シ
    リンダボアの端部を取り囲むように配設される金属基複
    合部材と、 前記金属基複合部材の端面が前記デッキ面の一部を構成
    するように、前記金属基複合部材を保持するブロック部
    材と、 を備えることを特徴とする内燃機関のシリンダブロッ
    ク。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の内燃機関のシリンダブロ
    ックにおいて、 前記金属基複合部材が、前記シリンダボアに収納される
    ピストンが備えるトップリングと摺動することがないよ
    うに配設されていることを特徴とする内燃機関のシリン
    ダブロック。
  3. 【請求項3】 シリンダヘッドと当接するデッキ面に開
    口するシリンダボアを備える内燃機関のシリンダブロッ
    クの製造方法において、 シリンダブロックの鋳型に、前記シリンダボアの端部を
    取り囲むこととなる位置に、環状の高耐熱多孔質部材を
    セットする第1のステップと、 前記鋳型に溶湯を供給して前記高耐熱多孔質部材を鋳ぐ
    るむブロック部材を形成する第2のステップと、 前記高耐熱多孔質部材および前記ブロック部材を切削し
    て、前記高耐熱多孔質部材が露出するデッキ面を形成す
    る第3のステップと、 を備えることを特徴とする内燃機関のシリンダブロック
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 シリンダヘッドと当接するデッキ面に開
    口するシリンダボアを備える内燃機関のシリンダブロッ
    クの製造方法において、 シリンダライナの端部に環状の高耐熱多孔質部材を嵌合
    させる第4のステップと、 シリンダブロックの鋳型に、前記環状の高耐熱多孔質部
    材が前記シリンダボアの端部を取り囲むこととなるよう
    に、前記環状の高耐熱多孔質部材および前記シリンダラ
    イナをセットする第5のステップと、 前記鋳型に溶湯を供給して前記高耐熱多孔質部材および
    前記シリンダライナを鋳ぐるむブロック部材を形成する
    第6のステップと、 少なくとも前記高耐熱多孔質部材および前記ブロック部
    材を切削して、前記高耐熱多孔質部材が露出するデッキ
    面を形成する第7のステップと、 少なくとも前記シリンダライナを切削して、前記高耐熱
    多孔質部材が露出するシリンダボアを形成する第8のス
    テップと、 を備えることを特徴とする内燃機関のシリンダブロック
    の製造方法。
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