JPS6327077Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はシリンダライナの冷却性を改善したエ
ンジンのシリンダブロツクに関する。

往復動型ピストンエンジンにおいては、シリン
ダの内周面にシリンダライナを装着して、ピスト
ンの摺動を円滑化し、かつ摩耗すれば交換できる
ようになつている。

シリンダライナのタイプとしては、シリンダブ
ロツク本体に形成したウオータジヤケツトにシリ
ンダライナの外周が直接的に霧呈するウエツトタ
イプと、シリンダブロツク本体を介して間接的に
冷却されるドライタイプとに大別できる。

しかしこのドライタイプは、第１図に示す様
に、冷却ジヤケツト２とシリンダライナ３の間に
ブロツク本体１が位置しているため、シリンダラ
イナ３とブロツク本体１の油で潤滑油が炭化し、
シリンダライナの交換作業を困難にすることがあ
つた。また、機関の出力を高めるために、燃料噴
射量を増やそうとすると、冷却ジヤケツト２とシ
リンダライナ３が離れているため、冷却性がウエ
ツトタイプにくらべ劣り、シリンダライナ３の摺
動面の温度が高くなり、潤滑不良やライナ摩耗が
発生し、機関性能上、好ましくない。これを防止
する上で、ブロツク、ライナ間の熱伝導性向上の
ため、嵌合代や嵌合部の機械加工等に設計上多く
の制約を受け、機関を高出力化する上で大きな障
害となつていた。

本考案はこのような問題を解決するために、シ
リンダライナの周囲に位置して熱伝導性のよい金
属を鋳込み、シリンダライナの冷却性を高めるよ
うにしたエンジンのシリンダブロツクを提供する
ことを目的とする。

以下、本考案の実施例を図面にもとづいて説明
する。

第２図において、１１はシリンダブロツク本
体、１２は冷却ジヤケツト、１３はシリンダライ
ナ、１４はピストンを示す。そして、シリンダラ
イナ１３の上部外周に位置して、シリンダブロツ
ク本体１１には熱伝導性のよい金属でできた放熱
リング１５が、一体的に鋳込まれている。

この放熱リング１５の外周のすくなくとも一部
は冷却ジヤケツト１２に直接的に露呈する。

また、シリンダライナ１３と放熱リング１５と
は締まり嵌めの関係にあり、従つてシリンダライ
ナ１３をシリンダブロツク本体１１に嵌装する
と、放熱リング１５の内周はシリンダライナ１３
の上部外周に密着する。

このように構成したので、エンジンの燃焼ある
いはピストン１４との摺動摩擦に伴つてシリンダ
ライナ１３が加熱されても、この熱は熱伝導性の
よい放熱リング１５を経て冷却ジヤケツト１２の
冷却水に効率よく放熱する。

放熱リング１５はシリンダライナ１３のうち最
も高温となりやすいシリンダ上部に位置するの
で、この部分でよく起きる潤滑油の燃焼、焼付き
などを効果的に防止することができる。

したがつて本考案によれば、シリンダライナ１
３の冷却性がウエツトタイプと同じように改善さ
れ、常に良好な潤滑性能を保つてシリンダライナ
１３の摩耗やスカツフイングを低減しその耐久性
を高めるとともに潤滑油の消費や劣化を抑制でき
る効果がある。

また、シリンダライナ１３は冷却ジヤケツト１
２とは直接接触していないので、生産性にすぐれ
しかもライナ交換が容易であるという機能も失わ
れない。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置の断面図、第２図は本考案の
実施例を示す断面図である。 １１……シリンダブロツク本体、１２……冷却
ジヤケツト、１３……シリンダライナ、１４……
ピストン、１５……放熱リング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダブロツク本体に冷却ジヤケツトを形成
   し、この冷却ジヤケツトと直接的に接触しないよ
   うにシリンダライナを嵌合したドライライナ構造
   のシリンダブロツクにおいて、シリンダライナの
   上部外周に位置して熱伝導性の高い放熱リングを
   シリンダブロツク本体に鋳込み、この放熱リング
   の一部外周を冷却ジヤケツトに露呈させるととも
   に、該放熱リングの内周をシリンダライナの上部
   外周に密着させたことを特徴とするエンジンのシ
   リンダブロツク。