JPS588923Y2 - 冷却空洞付ピストン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はピストンの冷却が必要な位置に必要な断面積を
有する空洞を設けることにより、ピストン温度の均一化
を計る冷却空洞付ピストンに関するものである。

従来内燃機関等に使用されているピストンにおいては、
ピストン頂部に流入した熱の大部分がピストンリングを
通ってシリンダに流入するので、ピストン頂部の温度を
下げるためには、その通路を増すためピストン頭部を厚
内に形成している。

更にこの厚肉のピストン頭部を冷却するために、そのピ
ストン頭部内にドーナツ状の冷却空洞部を設けた冷却空
洞付ピストンがあるか、この冷却空洞各部の断面積は同
じであり、その空洞の位置も同一円周上にある。

しかしながら、ピストン頭部のシリンダヘッドに設けら
れた吸気バルブ側及び排気バルブ側では、それぞれ温度
が異なるため、ピストンの円周上における温度に偏りが
あり、そのためピストンの熱膨張が均一でなくなるため
、ピストンとライナ及びピストンリングの当りが均一で
なくなり、従ってライナとピストンリングの摺動面の偏
り部でクランク室内のブローバイガスが潤滑油と共にピ
ストン頂部の燃焼室に洩出しやすいという欠点があり、
潤滑油消費量が増大する。

またピストンの熱による応力も不均一であるため、ピス
トンの寿命にも悪影響を及ぼすという欠点があった。

そこで本考案は前記従来の欠点を解消するため、冷却空
洞付ピストンの冷却空洞部の断面積をそのピストン頭部
の高温側では太きく形成せしめることにより、ピストン
頭部の熱による応力を均一化せしめると共に、ピストン
とライナ及びピストンリングの当りを良好にせしめるこ
とを目的としたものである。

即ち本考案は、ピストン頭部の高温側近傍に位置する冷
却空洞部の断面積を他の部分より大きく形成せしめるこ
とにより構成している。

以下図面を参照して本考案の実施例を説明する。

まず本考案の実施例における冷却空洞付ピストンでは、
第１図の平面図及び第２図の側断面図に示すごとく、ピ
ストン１頭部の冷却のため、ドーナツ状の冷却空洞部２
をピストン１内に形成するが、そこでピストン１頂部に
設けられたシリンダヘッド３の排気バルブ側４近傍の下
部に位置する冷却空洞部２の断面積を、吸気バルブ側５
の下部に位置する側の断面積より太きく形成している。

即ち、第２図で示す冷却空洞部２の断面積Ａを断面積Ｂ
よりも大きく取り、冷却面積を増すようにしている。

上記実施例では、排気バルブ側４の冷却空洞部２の断面
積Ａを吸気バルブ側５の断面積Ｂよりも大きく取ってい
るが、上記ピストン１頂部からの熱負荷の偏りの他、図
示されてないピストンボスによる影響等も考慮し、ピス
トン１頭部の冷却に必要な位置に必要に応じた断面積の
冷却空洞部２を設けるものであり、冷却空洞部２の断面
形状も特に限定するものではない。

上記のような冷却空洞部２をピストン１内に形成するこ
とにより、ピストン１の円周上における温度の均一化を
計ることができ、ピストンリング６とライナ７との摺動
面の間隙も均一となる。

従って本考案の冷却空洞付ピストンを使用すれば、ピス
トンの円周上における温度の偏りがなくなり、ピストン
とライナ及びピストンリングの当りが均一化され、それ
によりブローバイガスと共に潤滑油が燃焼室へ洩出する
のを低減せしめることが可能である。

更にピストンの熱による応力も平均化されるため、ピス
トンの寿命を延長せしめる上でも有効である。

なお本考案は主として内燃機関の冷却空洞付ピストンに
対して有効である。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の実施例における冷却空洞付
ピストンのそれぞれ、平面図及び要部側断面図である。 １・・・ピストン、２・・・冷却空洞部、３・・・シリ
ンダヘッド、４・・−排気バルブ側、５・・・吸気バル
ブ側、６・・・ピストンリング、７・・・ライナ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ドーナツ状の冷却空洞を有するピストンにおいて、ピス
   トン頭部の高温側近傍に位置する該ドーナツ状の冷却空
   洞部の断面積を他の部分より太きく形成せしめてなる冷
   却空洞付ピストン。