JPS608115Y2 - 内燃機関のピストン冷却装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ピストン裏面にオイルを噴射してピストンを
冷却するオイルジェットを備えた内燃機関のピストン冷
却装置に関する。

内燃機関、特にディーゼル機関のピストンは爆発行程時
燃焼室内の高温燃焼ガスに晒されて大きな熱負荷を受け
る。

特に近年の高負荷高速用機関においてはピストンの受け
る熱負荷はより大きなものとなり、これに対処するため
直接噴射式機関はもとより副室式機関においても、オイ
ルをピストン裏面に噴射してピストンの積極的な冷却を
行なうオイルジェットの採用が増加する傾向にある。

ところで、頂壁にキャビティを形成されたピストンでは
、該キャビティは一般に吸・排気バルブ位置との関係で
頂壁の中心より偏心した位置に設けられており、このも
のではキャビティとピストン外周壁とが接近する熱容量
の小さい側のキャビティ周壁部分が最も大きな熱負荷を
受けて高温となる。

従って、かかるピストンを冷却する場合には特に前記熱
負荷の大きなキャビティ周壁部分及びその近傍を充分に
冷却する必要があり、又、この部分を他の部分より強く
冷却してピストンの温度分布を均一化させて温度差に伴
なうピストンの歪を抑制するのがよい。

一方、前記オイルジェットはそのオイル噴射方向が従来
一般にはシリンダの軸線方向に一致して取り付けられて
おり、このものではオイルジェットから噴射されるオイ
ルはピストンのストローク位置に拘わりなく常時ピスト
ン裏面の特定箇所（以下被噴射点という）に吹き付けら
れる。

このため、オイルの被噴射点がスポット的に強力に冷却
され、被噴射点からピストン裏面全体に拡散して流れる
オイルで冷却される他部分との冷却格差が著しくなり過
ぎ、良好な冷却を行なえない欠点があった。

これに対し、一部の機関ではオイルジェットのオイル噴
射方向がシリンダの軸線方向に対して傾斜したものも存
在し、このものでは、オイルの被噴射点がピストンのス
トロークによって直線状に移動するため、前記一点噴射
方式のものに比べればピストン各部の冷却格差を抑制で
きる。

しかし、従来のかかる方式では前記したピストンの負荷
分布状態を考慮していないため、オイルの被噴射点の軌
跡が特に熱負荷大となる部分から外れており、従って、
該部分の冷却が不充分となる一方、比較的熱負荷の小さ
い側の方が冷却され過ぎて、やはり良好な冷却を行なえ
なかった。

本考案は、かかる従来の欠点に鑑み為されたもので、オ
イルジェットのオイル噴射方向をシリンダ軸線に対して
傾斜させて、ピストン裏面におけるオイルの被噴射点を
ビストンストロークに伴なって移動させると共に、該被
噴射点の軌跡が特に高熱負荷を受けるピストン部分を通
るようにオイルジェットを配設し、もってピストン各部
が均一温度に近い状態に冷却できる良好な冷却性能を得
られるようにした内燃機関のピストン冷却装置を提供す
るものである。

以下に本考案を図面に示す実施例に基づいて説明する。

一実施例を示す第１図において、ピストン１のオイルを
噴射するオイルジェット２はシリンダブロック３に下記
の如く取り付けられている。

即ち、オイルジェット２は、そのオイル噴射方向がシリ
ンダ３の軸線方向に対して傾斜し、かつ、該傾斜によっ
てピストン１ストロークに伴なって移動するピストン１
裏面におけるオイルの被噴射点の軌跡が、キャビテイ１
ａ周壁のピストン１外周壁に最も接近した部分ａを接点
とする接線上にあるように配設しである。

又、ピストン１の上死点位置と下死点位置とに対応する
前記被噴射点の軌跡の両端がキャビティ１ａとの接点ａ
から略等距離にあり、かつ、軌跡のシリンダ軸線と直角
方向の幅長がキャビティ１ａの直径と同程度となるよう
に設定しである。

かかる構成とすれば、オイルの被噴射点が移動すること
により被噴射面積が増大し、かつ、被噴射点の軌跡が、
ピストン１の最も高い熱負荷を受けて高温となるキャビ
テイ１ａ周壁部分及びその近傍にあるため、この部分を
最も強力に冷却することができ、従って、ピストン１の
温度分布を均一化する理想的な冷却性能が得られ、温度
差によるピストン１の歪をも抑制できる。

第２図は本考案の第２の実施例を示し、オイルの被噴射
点がピストン１の下死点時はピストン１のオフセット方
向（ピストン１頂壁の中心からキャビティ１ａ中心に向
かう方向）にあってピストン１周壁に接近した位置すに
あり、ピストン１の上昇ストロークと共に、前記位置す
とキャビテイ１ａ周壁の接点Ｃとを結ぶ接線方向に移動
し、ピストン１上死点時において接点Ｃに達する軌跡を
描くようにオイルジェット２を配設する。

かかる構成においてもオイルの被噴射点の軌跡がキャビ
ティ１ａとピストン１外周壁との接近する高熱負荷を受
ける部分に含まれ、特に高熱負荷を受けるキャビテイ１
ａ周壁とピストン１周壁のエッヂ部分が上死点及び下死
点において長時間オイルを噴射されて強冷されるため、
前記実施例同様ピストン１温度分布の均一化した良好な
冷却性能が得られる。

尚、これら実施例においてオイルジェットは一体型９組
立型いずれでもよく、又、カットオフバルブを設けたも
のでもよい。

又、ピストンのキャビティ形状も実施例の如く直接噴射
式機関に採用される深皿室形状のものに限らず、副室式
機関に採用される浅皿室形状のものにも適用できること
は勿論である。

以上説明したように、本考案によれば、キャビティを頂
壁の偏心位置に形成したピストンにおいて、オイルジェ
ットから噴射されるオイルのピストン裏面における被噴
射点がピストンのストロークに伴なって移動し、ピスト
ンの最も高温となる部分にまんべんなくオイルを噴射す
るから、ピストン各部を均一温度に近い理想的な状態に
冷却でき、かつピストンの歪を抑制できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示し、Ａはピストン頂壁の
平面図、Ｂは要部縦断面図、ＣはＢ図の右側面断面図、
第２図は本考案の別の実施例を示し、Ａはピストン頂壁
の平面図、Ｂは要部縦断面図、ＣはＢ図の右側面断面図
である。 １・・・・・・ピストン、１ａ・・・キャビティ、２・
・・・・・オイルジェット、３・・・・・・シリンダ、
ａ、ｃ・・・・・・接点。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ピストン頂壁にキャビティが偏心位置に形成され、かつ
   、ピストン裏面にオイルを噴射してピストン外周壁する
   オイルジェットを備えた内燃機関において、前記オイル
   ジェットのオイル噴射方向をシリンダの軸線方向に対し
   て傾斜させてピストン裏面におけるオイルの被噴射点を
   ピストンのストロークに伴なって移動させ、かつ、該被
   噴射点の軌跡がピストン周壁に接近する側のキャビティ
   周壁部分を接点とする接線上にあるようにオイルジェッ
   トを配設したことを特徴とする内燃機関のピストン冷却
   装置。