JPS647230Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ピストン頭部、ピストンスカートお
よび１対のピンボスを有する内燃機関用ピストン
に関する。

〔従来の技術〕

従来の内燃機関用ピストンでは、荷重の支点と
なるピストンのピンボスが、フロント側とリア側
に分離し、ピンボスを繋いでいるのは、直接荷重
を受けるピストン上部と肉厚の薄いピストンスカ
ートである。しかしピストン上部およびピストン
スカートは、運転中にガス圧力と熱応力がピスト
ン頭部にかかり、それ自体が変形してしまうた
め、ピストンピンボスの変形を直接抑制できない
ばかりでなく、逆にピンボスの変形を大きくし、
更にはピストン全体の変形を大きくしている。即
ち、スカート下端が広がる傾向を示し、そのため
１対のピンボスの各中心線は、外側に向うに従つ
て上向きに傾斜するようになり、このような変形
は、肉薄化により軽量化を図るピストンにおいて
著しい。又ピストンの冷却をオイルジエツトによ
り行う場合、ピストンの裏面に吹きつけられた油
は短時間で落下してしまい、ピストンの冷却効果
が低い。

内燃機関用ピストンについて、特公昭51−6281
号公報には、ピストン頭部とピストンスカートと
が離れて形成され、無関係にピンボスに接続され
た、いわるクロスヘツド型ピストンに関する技術
が示されている。しかし、この公知技術におい
て、外周がピストンスカートに接続され、両端が
ピンボスに接続されたリブがスカート部の剛性を
高める効果は認められるが、しかし、内周も円弧
状で、半径方向の高さが小さいので大きな効果は
期待できず、また、油を溜めることができないの
で、ピストンの冷却効果が低い。

また、例えば、特開昭52−43017号公報には、
ノズルから噴射される油をピストンピン回りに案
内するために、アーチ状の案内リブを設けた技術
が開示されている。しかしながら、かかる公知技
術では、アーチ状の案内リブの内周面に沿つて油
が流れるので、油が溜まることがなく、そのため
に冷却効果が低下する。また案内リブの上側には
油が飛散しない構造であり、万一、油が上側に行
つても循環することはできないので、冷却効果は
奏しない。特にこの公知技術はピストン頭部とピ
ストンスカートとが分離されているために、案内
リブを用いてもピストン頭部、ピストンスカート
およびピンボスで構成されたピストン全体の回り
性を高めることばできない。

さらに、特開昭52−32438号公報に開示されて
いるピストンでは、油の収集槽がピストンスカー
トの下端に設けられているので、熱負荷の高いピ
ストン頭部を冷却するには不適当であり、またピ
ンボスに対して何ら補強手段がないので、ピスト
ン自体が大型化せざるを得ない。特に、収集槽が
ピストンスカートの下端にあるので、その内周開
口はコネクテイングロツドの揺動による干渉を防
ぐために、必然的に大きくなり、その結果、収集
槽の底面積は小さくせざるを得ず、補強効果はあ
まり向上できない。

〔解決しようとする課題〕

したがつて本考案の目的は、冷却効果に優れ、
かつ変形を抑制することのできる内燃機関用ピス
トンを提供するにある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案によれば、ピストン頭部、そのピストン
頭部から下方に延びる一体のピストンスカートお
よび一対のピストンボスを有する内燃機関用ピス
トンにおいて、両端が各ピンボスに接続された補
強棚がピンボスの下端より上方に位置して設けら
れ、その補強棚の外周がピストンスカートに接続
され、内周がコネクテイングロツドとの間に小さ
い間隙を設けて直線状に形成され、その補強棚は
ピストンスカートに対して直角に水平面を構成し
ており、かつその補強棚にはオイルジエツト用孔
が設けられている。

〔考案の作用〕

したがつて、ピストンスカートに対して直角
に、水平面を構成した補強棚がリブの役目をし、
ピストンスカートの拡開が抑制できる。また、内
周がコネクテイングロツドとの間に小さい間隙を
設けてあるので、コネクテイングロツドと干渉し
ない。そして水平面を構成しているので、オイル
ジエツト用孔を通つて上方に噴射された油が、補
強棚の上面に一時的に溜り、そしてピストンの上
下動によつてコネクテイングロツドとの間隙から
下方に落下する。その結果冷却作用が向上する。
この冷却作用により、ピストン全体の熱膨脹が小
さくなる。

〔実施例〕

以下本考案の一実施例を図面について説明す
る。

第１図および第２図において、１はピストン
で、このピストン１は、ピストン頭部２、ピスト
ン頭部２から下方に延びるピストンスカート３、
ピストンスカート３の内部に形成された１対のピ
ンボス４，５を有している。ピストン１はアルミ
合金製で鋳造により一体成形されている。ピンボ
ス４，５は、ピストン頭部２およびスカート３に
より所定の箇所に位置決めされ、その中心線は互
いに一致しており、図示しないピストンピンが嵌
合されている。そしてスカート内部には、補強棚
６が設けられ、この補強棚６は図示の如くピンボ
ス４，５の中心付近の高さに設けられ、その外周
７はスカート３に接続され、内周８はコネクテイ
ングロツドの支障にならないように、該ロツドと
の間に小さい間隙を設けて直線状に形成され、両
端９，１０はピンボス４，５に接続されている。
この補強棚６は図示の如くピストンスカート３に
対して直角に水平面を構成しており、又補強棚６
には、適当数のオイルジエツト用孔１１が設けら
れている。なお、補強棚６は、第３図に示す如
く、ピンボス４，５の下端の高さ位置に設けても
よく、それより上方ならばどこに設けることもで
きる。

〔考案の効果〕

本考案による内燃機関用ピストンは上記の如く
構成されており、外周がピストンスカートに接続
し、両端が各ピンボスに接続された補強棚が設け
られているので、ピストンスカートの拡開が抑制
されて、ピンボスの変形乃至中心線の狂いが可及
的に小さくなり、ピストン全体の変形も可及的小
となる。又補強棚の内周とコネクテイングロツド
との間は小さい間隙で近接しているため、補強棚
に油が溜つて、ピストンの冷却効果が高まり、ピ
ストン全体の熱膨脹による変形も小さくなる。更
に以上の効果により、ピストンクリアランスを小
さくすることができ、機関の騒音の低減およびオ
イルの消費率を減少せしめることができる。又ピ
ストンピンとピンボスの接触面に高い応力集中が
無くなり、ピンボスの亀裂が防止でき、ピストン
キヤビテイーの亀裂も防止することができる。

さらに、補強棚がピストンのピンボスの下端よ
り上方に設けられているので、コネクテイングロ
ツドと干渉せず、充分な補強面積をとることがで
き、ピストン頭部とそのピストンスカートとを一
体に構成したことと相俟つて、比較的小型でかつ
熱負荷の高いピストン頭部を充分に冷却できる丈
夫なピストンを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による内燃機関用ピストンの一
実施例を示す断面図で、第２図のＢ−Ｂ断面図、
第２図は第１図のＡ−Ａ断面図、第３図は本考案
の他の実施例を示す図である。 ２……ピストン頭部、３……ピストンスカー
ト、４，５……ピンボス、６……補強棚、７……
外周、９，１０……両端。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ピストン頭部、そのピストン頭部から下方に延
   びる一体のピストンスカートおよび一対のピスト
   ンボスを有する内燃機関用ピストンにおいて、両
   端が各ピンボスに接続された補強棚がピンボスの
   下端より上方に位置して設けられ、その補強棚の
   外周がピストンスカートに接続され、内周がコネ
   クテイングロツドとの間に小さい間隙を設けて直
   線状に形成され、その補強棚はピストンスカート
   に対して直角に水平面を構成しており、かつその
   補強棚にはオイルジエツト用孔が設けられている
   ことを特徴とする内燃機関用ピストン。