JPS6338334Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、エンジンにおけるシリンダヘツドの
改良に関するものである。

従来より、例えば、希薄混合気による燃焼を可
能とするために混合気の流速を向上するようにし
たエンジンにおいては、シリンダヘツド内面に燃
焼室内に突出する案内壁を設け、燃焼室に吸入し
た混合気にスワールもしくはスキツシユを発生さ
せることが行われている（特公昭51−38001号公
報参照）。

しかるに、上記のように、シリンダヘツドに燃
焼室内に突出する案内壁などの突出部を形成する
と、この突出部がヒートポイントとなつてノツキ
ング等の異常燃焼を発生させる不具合を有する。

すなわち、燃焼室内に突出した突出部は受熱面
積が大きい反面、冷却水通路から離れて放熱性
（冷却性）が悪いために、燃焼ガスとの接触によ
つて高温状態となり、特に、高負荷運転状態にお
いて突出部最先端が異常高温となつて、プリイグ
ニシヨン現象を生起してノツキング等の異常燃焼
を誘発するものである。

本考案はかかる点に鑑み、上記燃焼室内に形成
された突出部に、一部が冷却水通路に露出しシリ
ンダヘツドの材質より熱伝導性の大きい放熱部材
を設けてなるエンジンのシリンダヘツドを提供
し、上記突出部の冷却性能を向上して前記従来の
欠点を解消せんとするものである。

本考案は、上記目的を達成するために、燃焼室
上壁に吸気ポートと排気ポートとを開口し、その
吸気ポートおよび排気ポートの開口する開口部の
中心を結ぶ中心線に対して分割される燃焼室上壁
の一方を他方より燃焼室内に突出して形成し、そ
の突出した突出部の吸気ポート開口部分に沿う側
面を吸気バルブ軸心方向にほぼ平行な面として形
成し吸気ポートから流入する吸気にスワール流を
起し、かつ、上記突出部の排気ポート開口部に沿
う側面を上記スワール流の流れ方向に対して排気
ポート開口側から突出部の下端へと傾斜する面と
して形成し、上記他方の燃焼室上壁部分の吸気ポ
ート開口部と排気ポート開口部の間部分に点火プ
ラグを備えたエンジンを前提とし、上記突出部の
吸気ポートに沿う面と下端の面とが交わるエツジ
部分に近接するよう上記突出部内に、少なくとも
シリンダヘツドの材質より熱伝導性の大きい放熱
部材を設けるとともに、該放熱部材の一部を冷却
水通路に露出したことを特徴とするものである。

以下、本考案の実施例を図面に沿つて説明す
る。第１図および第２図に示すエンジンにおい
て、１はシリンダヘツド、２はシリンダブロツク
であり、３は両者によつて形成される燃焼室であ
る。

上記燃焼室３は、上壁に吸気ポート４および排
気ポート（図示せず）が開口し、該両ポートの開
口部が吸気バルブ７および排気バルブ９によつて
開閉されるようになつている。また、両ポートに
開口する開口部の中心を結ぶ中心線に対して分割
される燃焼室３の上壁の一方を他方より燃焼室３
内へ突出する突出部６が形成されている。

前記突出部６の吸気ポート４の開口部に沿う側
面を吸気バルブ７の軸心方向にほぼ平行な面とし
て、吸気ポート４から流入した混合気の流れる方
向を規制してスワール（吸気渦流）を発生させる
ための案内壁５が形成されている。一方、突出部
６の排気ポートの開口部に沿う側面を上記スワー
ルの流れ方向に対して排気ポートの開口部側から
突出部６の下端へと傾斜する面として、傾斜案内
壁５ａが形成されている。しかして、上記他方の
燃焼室３の上壁部分の吸気ポート４の開口部と排
気ポートの開口部との間に点火プラグ８が設けら
れている。

すなわち、図示の場合、吸気バルブ７の開作動
に伴つて吸気ポート４から流入した混合気は、後
方への流入が案内壁５によつて阻止されることに
より、吸気ポート４内の流れ方向に沿つて点火プ
ラグ８に向つて流入し（第２図参照）、排気バル
ブ９の方向に旋回した後、排気バルブ９の近傍の
傾斜案内壁５ａに沿つてさらに旋回してスワール
が発生するように、シリンダヘツド１の内面に突
出部６が形成されている。

また、１０はシリンダヘツド１に設けられた冷
却水通路であつて、シリンダブロツク２の冷却水
通路１１からの冷却水が連通口１０ａを通つてシ
リンダヘツド１側の冷却水通路１０に流入し、各
部を冷却するように構成されている。尚、１２は
バルブシートである。

上記の如く構成されたシリンダヘツド１におい
て、上記突出部６の吸気ポート４に沿う案内壁５
の面と下端の面とが交わるエツジ部分に近接する
ように、上記突出部６内にそれの放熱を行う放熱
部材１３が設けられている。該放熱部材１３は、
第３図にも示すように、突出部６の形状に沿う先
端部１３ａと、この先端部１３ａに段部１３ｂを
介して連設された拡大基部１３ｃとを有してい
る。

この放熱部材１３の先端部１３ａは、前記突出
部６に埋設され、その先端縁が突出部６の案内壁
５，５ａに近接して配置される一方、基部１３ｃ
は冷却水通路１０内に露出して冷却水と接触する
ように設置されている。

また、上記放熱部材１３は、例えば銅などのシ
リンダヘツド１の材質（例えばアルミニウム合
金）より熱伝導性（熱伝導率）の大きい材料にて
形成され、シリンダヘツド１の鋳造時に鋳ぐるま
れて一体に設けられるものである。

上記実施例によれば、スワールを発生させるた
めの案内壁５，５ａを有する突出部６の温度は、
エンジンの運転すなわち混合気の燃焼に伴つて上
昇するが、この突出部６の熱は放熱部材１３の先
端部１３ａから基部１３ｃに伝導され、この基部
１３ｃから冷却水通路１０の冷却水に放熱され、
突出部６の温度上昇が抑制される。

尚、上記実施例におけるシリンダヘツド１の突
出部６は、スワールを生成するための案内壁５，
５ａを有する構造について説明したが、この他、
ピストン上昇時にスキツシユを生成するための構
造に形成された突出部、さらに他の目的で形成さ
れた突出部に対しても同様に放熱部材を設けるも
のである。

また、放熱部材１３の形状は上記実施例に限定
されるものではなく、シリンダヘツド１の突出部
６の形状および冷却水通路１０の配置等との関係
に応じて適宜設計変更が可能である。

従つて、以上の如き本考案によれば、高温とな
る突出部にシリンダヘツドの材質より熱伝導性の
大きい材質による放熱部材をその一部を冷却水通
路に露出させて設けたことにより、突出部の放熱
効果が向上して良好な冷却状態を得てその温度上
昇を抑制することができ、この突出部が異常高温
となることにより発生するノツキング等の弊害を
未然に防止することができる利点を有する。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施態様を例示し、第１図はエ
ンジンの要部断面図、第２図は第１図の−線
に沿うシリンダヘツドの底面図、第３図は放熱部
材の斜視図である。 １……シリンダヘツド、３……燃焼室、５，５
ａ……案内壁、６……突出部、１０……冷却水通
路、１３……放熱部材、１３ａ……先端部、１３
ｂ……段部、１３ｃ……基部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃焼室上壁に吸気ポートと排気ポートとを開口
   し、その吸気ポートおよび排気ポートの開口する
   開口部の中心を結ぶ中心線に対して分割される燃
   焼室上壁の一方を他方より燃焼室内に突出して形
   成し、その突出した突出部の吸気ポート開口部分
   に沿う側面を吸気バルブ軸心方向にほぼ平行な面
   として形成し吸気ポートから流入する吸気にスワ
   ール流を起こし、かつ、上記突出部の排気ポート
   開口部に沿う側面を上記スワール流の流れ方向に
   対して排気ポート開口側から突出部の下端へと傾
   斜する面として形成し、上記他方の燃焼室上壁部
   分の吸気ポート開口部と排気ポート開口部の間部
   分に点火プラグを備えたエンジンにおいて、上記
   突出部の吸気ポートに沿う面と下端の面とが交わ
   るエツジ部分に近接するよう上記突出部内に、少
   なくともシリンダヘツドの材質より熱伝導性の大
   きい放熱部材を設けるとともに、該放熱部材の一
   部を冷却水通路に露出したことを特徴とするエン
   ジンのシリンダヘツド。