JP6044616B2 - エンジン構造 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジン構造に関するものである。
近年、燃焼室を断熱化することにより冷却損失を低下させ、これによりエンジンの熱効率を向上させて燃費性能を改善する技術が検討されている。例えば、特許文献1には、炭素繊維強化樹脂複合材料(CFRP/Carbon Fiber Reinforced Plastics)により形成されたシリンダライナを備えたエンジン構造が開示されている。このエンジン構造は、エンジン騒音の抑制を目的とするものであって、エンジンの冷却損失の低下を直接の目的とするものではない。しかし、このエンジン構造によれば、シリンダライナが熱伝導率の低い炭素繊維強化樹脂複合材料により形成されていることで、シリンダブロックへの放熱が抑制される。その結果、エンジンの冷却損失の低下、ひいては熱効率の向上に寄与するものとなっている。
特開昭59−49352号公報
しかし、特許文献1のエンジン構造は、シリンダブロックへの放熱が抑制されることで、シリンダライナの外側を流れる冷却水やオイル(冷却流体)の温度上昇も妨げられてしまう。そのため、例えば寒冷地等では、冷却水の熱エネルギーを利用した暖房機能に支障が生じるといった弊害を伴うおそれがある。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、エンジンの熱効率を高めながら、冷却水やオイルなどの冷却流体への熱輸送を良好に行うことが可能なエンジン構造を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、燃焼室を形成する燃焼室形成面を有する燃焼室形成部材と、冷却流体が流通する流体通路とを備えたエンジン構造であって、前記燃焼室形成部材は、燃焼室形成面に沿った第1方向の熱伝導率が燃焼室形成面に直交する第2方向の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有しており、前記流体通路は、前記第1方向における前記燃焼室形成部材の一方側の端部近傍の位置のみに、当該端部近傍の位置を冷却流体が流通するように設けられているものである。
このエンジン構造によれば、燃焼室形成部材が上記のような熱伝導異方性を有することで、燃焼室で発生した熱は、専ら燃焼室形成部材に沿って流体通路側の端部に向かって移動することとなり、燃焼室形成部材から外側(第2方向外側)への放熱が抑制される。そのため、燃焼室を高い温度に保ってエンジンの熱効率を高める一方で、流体通路内を流れる冷却流体への熱輸送を効率良く行って当該冷却流体を良好に昇温させることが可能となる。さらに、このエンジン構造によれば、前記流体通路が、前記第1方向における前記燃焼室形成部材の一方側の端部近傍の位置のみに設けられているので、冷却流体への過剰な熱伝達(冷却損失の増大)を抑制することが可能になる。また、流体通路内の冷却流体の容積が小さくなるので、少ない熱量で冷却流体を昇温させることが可能となる。このような構造は、発熱量の比較的小さい低熱容量型のエンジンおいて特に有用なものとなる。
このエンジン構造において、前記燃焼室形成部材は、前記熱伝導異方性を有する材料で形成されていてもよいし、複数の部材、すなわち前記燃焼室形成面を有する内側部材と、前記第2方向において前記内側部材の外側に位置しかつ当該内側部材よりも熱伝導率の低い外側部材とで構成されていてもよい。
前者は、材料自体の特性を利用して燃焼室形成部材が構成されるものであり、後者は、熱伝導率の違う複数の部材で燃焼室形成部材が構成されるものである。何れのエンジン構造についても、上述した作用効果を良好に享受することが可能となる。
なお、前者の構造において、前記燃焼室形成部材は、前記熱伝導異方性を有する炭素繊維強化樹脂複合材料で形成された主体部と、金属材料から形成されて前記燃焼室形成面を形成する補強部とを有する構造であるのが好適である。
この構造によれば、炭素繊維強化樹脂複合材料を用いて燃焼室形成部材に熱伝導異方性を持たせながら、燃焼室形成部材全体の強度を高めることが可能となる。
なお、本発明は、燃焼室を形成する燃焼室形成面を有する燃焼室形成部材と、冷却流体が流通する流体通路とを備えたエンジン構造であって、前記燃焼室形成部材は、燃焼室形成面に沿った第1方向の熱伝導率が燃焼室形成面に直交する第2方向の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有しており、前記流体通路は、少なくとも前記第1方向における前記燃焼室形成部材の端部近傍の位置を冷却流体が流通するように設けられており、前記燃焼室形成部材は、前記熱伝導異方性を有する炭素繊維強化樹脂複合材料で形成された主体部と、金属材料から形成されて前記燃焼室形成面を形成する補強部とを有するものであってもよい。
また、上記のエンジン構造において、前記燃焼室形成部材は、前記熱伝導異方性を有する本体部と、前記第1方向における特定位置で本体部に熱伝達可能に繋がり、当該本体部から前記冷却流体へ熱を伝達する熱誘導部とを含むものであるのが好適である。
このエンジン構造によれば、前記燃焼室形成部材によって第1方向に移動する熱をより効率良く流体通路内の冷却流体に伝達することが可能となる。なお、「熱伝達可能に繋がる」とは、本体部と熱誘導部とが同一材料により一体に形成されている場合と、本体部と熱誘導部とが個別に形成され、かつ互いに当接することにより熱伝達可能に繋がっている場合の双方を含む意味である。
この場合、前記熱誘導部は、前記流体通路の壁面を形成しているのが好適である。
このエンジン構造によれば、熱誘導部と冷却流体との接触面積が大きくなるので、より一層効率良く冷却流体に熱を伝達することが可能となる。
なお、上記のエンジン構造において、前記燃焼室形成部材は、シリンダライナ、シリンダヘッド、吸気弁、排気弁およびピストンの少なくとも一つである。
以上のような本発明のエンジン構造によれば、エンジンの熱効率を高めながら、冷却水やオイルなどの冷却流体への熱輸送も良好に行うことが可能となる。
本発明のエンジン構造が適用された多気筒エンジンの断面図(第1実施形態)である。 前記エンジンのシリンダブロックを示す要部断面図である。 熱の移動方向を説明する説明図(図2に対応する図)である。 前記エンジン構造の変形例を示すエンジンの断面図である。 本発明が適用されたエンジンの要部断面図(第2実施形態)である。 本発明が適用されたエンジンの要部断面図(第3実施形態)である。 本発明が適用されたエンジン(ピストン)の要部断面図(第4実施形態)である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の第1の実施形態について詳述する。
(エンジンの全体構造)
図1は、本発明が適用された多気筒エンジン1(以下、エンジン1と略す)を断面図で示している。このエンジン1は、自動車等の車両用エンジンであり、図1の紙面に垂直な方向に、4つの気筒が配置された直列4気筒のガソリンエンジンである。
このエンジン1は、エンジン本体2と、これに組付けられた図外の吸排気マニホールドおよび各種ポンプ等の補機とを含む。
エンジン本体2は、上下に連結されるカムキャップ3、シリンダヘッド4、シリンダブロック5、クランクケース(図示省略)及びオイルパン(図示省略)を含む。
シリンダブロック5には、4つのシリンダボア7が形成され、各シリンダボア7内にそれぞれピストン8が摺動可能に収容され、これらピストン8、シリンダボア7、シリンダヘッド4および後記吸排気弁14、15によって燃焼室10が気筒毎に形成されている。なお、各ピストン8は、コネクティングロッド9を介して、クランクケースに回転自在に支持されたクランク軸(図示省略)に連結されている。
シリンダヘッド4には、上記燃焼室10を形成するための、上記シリンダボア7と同数の凹部4aが設けられている。シリンダヘッド4には、気筒毎に、各凹部4aの位置で燃焼室10に開口する吸気ポート12及び排気ポート13が設けられ、吸気ポート12及び排気ポート13をそれぞれ開閉する吸気弁14及び排気弁15が、各ポート12,13にそれぞれ装備されている。
吸気弁14及び排気弁15は、それぞれリターンスプリング16、17により各ポート12、13を閉止する方向(図1の上方向)に付勢されており、カムシャフト18、19の外周に設けられたカム部18a、19aによって押下されることで、各ポート12、13を開くように構成されている。詳しくは、カムシャフト18、19の回転に伴い、スイングアーム20、21の中央部に設けられたカムフォロア20a、21aを上記カム部18a、19aが押下することで、スイングアーム20、21がそれらの一端側に設けられた油圧ラッシュアジャスタ24、25のピボット機構の頂部を支点として揺動し、この揺動に伴い、スイングアーム20、21の他端部が上記リターンスプリング16、17の付勢力に抗して吸気弁14及び排気弁15を押下する。これにより各ポート12、13が開く。
シリンダヘッド4およびシリンダブロック5には、ウォータジャケットが設けられている。詳しくは、シリンダブロック5には、4つのシリンダボア7を一体に囲むようにウォータジャケット26が設けられている。また、シリンダヘッド4には、燃焼室10の吸気側(図1では右側)であって吸気ポート12の下側の位置にウォータジャケット27が設けられるとともに、燃焼室10の排気側(図1では左側)であって排気ポート13の下側の位置にウォータジャケット28が設けられ、さらに、燃焼室10の直ぐ上方であって両ポート12,13の間の位置にウォータジャケット29が設けられている。
詳細図を省略するが、シリンダブロック5のウォータジャケット26と、シリンダヘッド4のウォータジャケット27、28とは、シリンダヘッド4とシリンダブロック5との間に介設された図外のガスケットの連通孔を介して互いに連通している。
各ウォータジャケット26〜29は、図外のウォータポンプに繋がっており、これにより、冷却水(冷却流体)がエンジン本体2と図外のラジエータとの間を循環しながら、各ウォータジャケット26〜29を所定の順序で流通するようになっている。
なお、図1中の符号30〜32は、シリンダブロック5及びシリンダヘッド4に形成されたオイルギャラリである。これらオイルギャラリは、図外のオイルポンプに繋がっており、これにより、上記油圧ラッシュアジャスタ24、25などの油圧作動装置に作動用の油圧が供給されるとともに、潤滑用および冷却用のオイル(冷却流体)がエンジン本体2の各部に供給されるようになっている。
(シリンダブロック5の詳細構造)
シリンダブロック5は、図1及び図2に示すように、アルミ合金の鋳造品であるブロック本体50と、このブロック本体50に鋳込まれ、又は圧入された円筒状のシリンダライナ51(本発明の燃焼室形成部材に相当する)とを備えており、このシリンダライナ51により上記シリンダボア7が形成されている。当例では、シリンダライナ51の内周面が本発明の燃焼室形成面に相当する。
ブロック本体50は、4つのシリンダ部55と、シリンダ部55の下方に繋がってクランク室を形成するスカート部56と、このスカート部56の内側に形成された、クランク軸の軸受部57とを備えている。そして、各シリンダ部55に上記シリンダライナ51が配設されている。
シリンダライナ51は、上記シリンダボア7のうち、上端部分以外の部分を形成する第1ライナ部52(本発明の本体部に相当する)と、上記シリンダボア7のうち、その上端部分を形成する第2ライナ部53(本発明の熱誘導部に相当する)とを含む。当例では、第2ライナ部53は、シリンダボア7のうち、上死点に到達したピストン8のピストンリングの位置を含む一定の領域を形成している。
第1ライナ部52は、高熱電導性の炭素繊維強化樹脂複合材料(CFRP)により形成されるとともに、熱伝導異方性を有している。詳しく説明すると、第1ライナ部52は、例えばピッチ系炭素繊維をエポキシ樹脂等に含浸、積層した炭素繊維強化樹脂複合材料が用いられて、炭素繊維がシリンダライナ51(第1ライナ部52)の中心線(軸)と平行に並ぶように円筒状に形成されたものである。これにより、第1ライナ部52は、金属材料と同等以上の熱伝導率を有するとともに、上下方向(中心線と平行な方向(シリンダライナ51の内周面に沿った方向)/本発明の第1方向に相当する)の熱伝導率が厚み方向(中心線と直交する方向/本発明の第2方向に相当する)の熱伝導率よりも大きい熱伝導特性、すなわち熱伝導異方性を有した構造となっている。当例では、例えば上下方向の熱伝導率が約300W/mKであるのに対して、厚み方向の熱伝導率は約2.0W/mKであり、第1ライナ部52は、上下方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率の150倍である。
一方、第2ライナ部53は、第1ライナ部52の上面に熱伝達可能な状態で当接している。この第2ライナ部53は、金属材料で形成されており、当例では、シリンダライナの一般的材料である鋳鉄により形成されている。鋳鉄の熱伝導率は、約48W/mKである。
第2ライナ部53の径方向外側(外周)には、上記ウォータジャケット26が設けられている。ウォータジャケット26は、第2ライナ部53の外周面と、ブロック本体50に形成された段状部50aの壁面と、上記ガスケットとにより形成されている。すなわち、シリンダライナ51のうち、第2ライナ部53の外周面は冷却水に直接接触している。
(上記エンジン構造の作用効果)
上記のエンジン構造によれば、シリンダライナ51の第1ライナ部52が上記のような熱伝導異方性を有していることにより、シリンダライナ51が受けた熱は、専ら図3中に矢印で示すように、第1ライナ部52に沿って温度の低いウォータジャケット26側の端部に向かって移動することとなり、第1ライナ部52からその径方向(厚み方向)外側への放熱が抑制される。すなわち、熱伝導異方性のない一般的なシリンダライナを有するシリンダブロックの場合、シリンダライナからその厚み方向外側へ多くの熱が無駄に放熱されることとなるが、上記エンジン構造によれば、そのような無駄な放熱が抑制される。しかも、シリンダライナ51に沿って移動した熱の大分は第2ライナ部53を介して冷却水に伝達されるため、これによりウォータジャケット26内の冷却水の昇温も効果的に促進される。従って、上記のエンジン構造によれば、燃焼室10を高い温度に保ってエンジンの熱効率を高めることができる一方で、ウォータジャケット26内を流れる冷却水も良好に昇温させることができ、例えば寒冷地等において、暖房機能に支障が生じるといった不都合が生じることを未然に回避することが可能になる。
また、このエンジン構造では、第1ライナ部52の上部に、鋳鉄から形成された第2ライナ部53が設けられ、この第2ライナ部53を介して第1ライナ部52からウォータジャケット26内の冷却水に熱を伝達するので、上記のような熱伝導異方性を有する第1ライナ部52をシリンダライナ51に設けながらも、シリンダライナ51の径方向外側に位置するウォータジャケット26内の冷却水に対して円滑に熱を伝達することができる。
しかも、第2ライナ部53によりウォータジャケット26の壁面が形成されることにより、冷却水が第2ライナ部53に直接接触する構造なので、第2ライナ部53から冷却水への熱伝達が効率良く行われる。従って、上記のエンジン構造によれば、燃焼熱を、シリンダライナ51(第1ライナ部52及び第2ライナ部53)を介して効率良く冷却水に伝達して、冷却水を昇温させることができるという利点もある。
なお、図1及び図2に示したエンジン構造では、第1ライナ部52は炭素繊維強化樹脂複合材料(CFRP)から形成された単層構造であるが、第1ライナ部52は、例えば図4に示すような二層構造であってもよい。図4に示す第1ライナ部52は、高熱電導性の炭素繊維強化樹脂複合材料で形成された外周部52a(本発明の主体部に相当する)と、その内周面に一体的に設けられた鋳鉄等の金属材料からなる内周部52b(本発明の補強部に相当する)とを含む二層構造であり、内周部52bにより上記シリンダボア7が形成されている。つまり、図4に示す第1ライナ部52は、炭素繊維強化樹脂複合材料で形成された外周部52aが、金属材料からなる内周部52bにより補強された構造を有している。このエンジン構造によれば、図1及び図2に示したものに比べて、第1ライナ部52の剛性および耐摩耗性などが向上する。従って、上述した作用効果を享受しつつ、第1ライナ部52の耐久性、ひいてはエンジン1の耐久性を向上させることが可能になるという利点がある。
(第2実施形態)
図5は、上記シリンダブロック5の断面図であって、第1実施形態の図2に相当するものである。同図に示すように、第2実施形態では、シリンダライナ51が、筒状に形成された内外2つのライナ部62、63(内側ライナ部62、外側ライナ部63と称す)を備えている。
各ライナ部62、63は、互いに熱伝導率が異なる金属材料から形成されている。具体的には、内側ライナ部62(本発明の内側部材に相当する)は、アルミ合金により形成されており、外側ライナ部63(本発明の外側部材に相当する)は、内側ライナ部62よりも熱伝導率の低いチタン又は鋳鉄により形成されている。アルミ合金の熱伝導率は約230W/mKであり、チタンの熱伝導率は約17W/mKである。なお、鋳鉄の熱伝導率は、上記の通り約48W/mKである。
内側ライナ部62の上端部分、すなわちシリンダボア7の上端部分を形成する箇所には、一定の厚みで径方向外側に突出する鍔部62aが全周に亘って形成されている。外側ライナ部63は、その上端が鍔部62aの下面に当接した状態で内側ライナ部62の外周面上に外嵌されている。これにより外側ライナ部63が内側ライナ部62に一体化されている。
なお、内側ライナ部62の上端部分の径方向外側には、ウォータジャケット26が設けられている。ウォータジャケット26は、鍔部62aの外周面と、ブロック本体50に形成された段状部50aの壁面と、上記ガスケットとにより形成されている。
このような第2実施形態のエンジン構造によれば、シリンダライナ51が、上記のように内側ライナ部62とそれよりも熱伝導率の低い外側ライナ部63とにより構成されているので、シリンダライナ51の上端部分(鍔部62aに対応する箇所)以外の領域では、外側ライナ部63によって径方向外側への放熱が抑制され、シリンダライナ51が受けた熱は、専ら内側ライナ部62に沿って温度の低いウォータジャケット26側の端部に向かって移動し、鍔部62aから冷却水に伝達される。すなわち、第2実施形態のシリンダライナ51も、その上端部分以外の領域では、第1実施形態の第1ライナ部52と同様に、上下方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有した構造となっている。
従って、この第2実施形態のエンジン構造も、第1実施形態と同様に、燃焼室10を高い温度に保ってエンジンの熱効率を高めることができる一方で、ウォータジャケット26内を流れる冷却水を良好に昇温させることができる。
なお、この第2実施形態のエンジン構造では、シリンダライナ51の上端部分以外の領域では、上記の通り、外側ライナ部63によってブロック本体50への熱伝達が抑制される結果、シリンダライナ51は、実質的に上下方向の熱伝導率が厚み方向の熱伝導率よりも大きい熱伝達異方性を有した構造となっている。つまり、この第2実施形態のエンジン構造では、シリンダライナ51のうち、上端部分以外の領域が本発明の本体部に相当し、シリンダライナ51の上端部分(鍔部62aに対応する箇所)が本発明の熱誘導部に相当する。
(第3実施形態)
第3実施形態は、本発明が上記吸気弁14に適用されたものである。
図6に示すように、吸気弁14は、バルブガイド73を介してシリンダヘッド4に進退可能に支持されるシャフト部70と、このシャフト部70の先端に設けられる傘型の弁本体72とを備えている。吸気弁14は、リターンスプリング16の弾発力により、弁本体72の周縁部が吸気ポート12の開口周縁部に当接して吸気ポート12を閉止する閉止位置と、弁本体72の周縁部が吸気ポート12の開口周縁部から離れて吸気ポート12を開く開放位置とに変位する。
弁本体72は、燃焼室10を形成する弁面(燃焼室形成面)および閉弁時にシリンダヘッド4に当接する部分を含む弁面部72a(本発明の内側部材に相当する)と、吸気弁14に繋がる背面部72b(本発明の外側部材に相当する)と備えている。
弁面部72aは金属材料で形成されており、背面部72bと上記シャフト部70とは、弁面部72aとは熱伝導率の異なる金属材料により一体に形成されている。具体的には、弁面部72aは、アルミ合金(熱伝導率:230W/mK)により形成され、背面部72bとシャフト部70とは、弁面部72aよりも熱伝導率の低いチタン(熱伝導率:17W/mK)又は鋳鉄(熱伝導率:48W/mK)により一体に形成されている。
このような第3実施形態のエンジン構造によれば、弁本体72のうち、背面部72bの熱伝導率が弁面部72aの熱伝導率に比べて低いため、背面部72bによりシャフト部70への熱伝達が抑制され、弁本体72の弁面が受けた熱の大部分は、図6中に矢印で示すように、弁面に沿ってその周囲に移動してシリンダヘッド4に伝達され、吸気ポート12の近傍に設けられた上記ウォータジャケット27,29内の冷却水に伝えられる。すなわち、弁本体72は、その弁面部72aに沿った方向(本発明の第1方向に相当する)の熱伝導率が弁面と直交する厚み方向(本発明の第2方向に相当する)の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有した構造となっている。そのため、シャフト部70及びバルブガイド73からシリンダヘッド4への放熱や、シャフト部70から吸気ポート12内の吸気への放熱が抑制される一方で、冷却水への熱輸送が促進されることとなる。
従って、この第3実施形態についても、第1、2実施形態と同様に、燃焼室10を高い温度に保ってエンジンの熱効率を高めることができる一方で、ウォータジャケット27、29内を流れる冷却水を良好に昇温させることが可能となる。
この第3実施形態の変形例として、例えば、シャフト部70を内軸部と外軸部とを有する二重構造とし、弁本体72の弁面部72aとシャフト部70の内軸部とをアルミ合金により一体に形成する一方、弁本体72の背面部72bとシャフト部70の外側部とをチタンや鋳鉄により一体に形成する構造を採用することも可能である。この構造によれば、弁面部72aが受けた熱の一部をシャフト部70の内部(内軸部)を通じてその末端に導き、カムシャフト18やスイングアーム20に供給されるオイルや、シリンダヘッド4に形成される図外のウォータジャケット内の冷却水に与えることが可能となる。そのため、オイルや冷却水の昇温を促進する上で有利となる。
なお、第3実施形態では、本発明が吸気弁14に適用された例について説明したが、本発明は排気弁15についても、同様に適用可能である。
(第4実施形態)
第4実施形態は、本発明が上記ピストン8に適用されたものである。
図7に示すように、ピストン8は、外周に第1〜第3の3つのピストンリング84〜86を有するピストン本体部81と、ピストンピン孔83aを有する一対のピンボス部83と、スカート部82とを一体に備えている。
ピストン本体部81は、第1リング84と第2リング85との間の位置を境界線として、ピストン8の頂面(ピストントップ/燃焼室形成面)を含む上側の上部本体81a(本発明の内側部材に相当する)と、それよりも下側の下部本体81b(本発明の外側部材に相当する)とを備えている。上部本体81aと下部本体81bとは、熱伝導率の異なる金属材料により形成されている。具体的には、上部本体81aは、アルミ合金(熱伝導率:230W/mK)により形成され、下部本体81bは、上部本体81aよりも熱伝導率の低いチタン(熱伝導率:17W/mK)や鋳鉄(熱伝導率:48W/mK)により形成されている。
なお、ピストンリング84〜86は、鋳鉄又はスチール(ステンレス鋼、シリコンクロム鋼、炭素鋼)により形成されている。
このような第4実施形態のエンジン構造によれば、ピストン本体部81のうち、下部本体81bの熱伝導率が上部本体81aの熱伝導率に比べて低いため、ピストン8の頂面が受けた熱の大部分は、図7中に矢印で示すように、上部本体81aに沿ってその周囲に移動し、第1リング84を介してシリンダブロック5(シリンダライナ51)に伝達され、当該シリンダブロック5に形成されたウォータジャケット26内の冷却水に伝えられる。すなわち、ピストン8は、その頂面に沿った方向(本発明の第1方向に相当する)の熱伝導率が上下方向(頂面に直交する方向/発明の第2方向に相当する)の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有した構造となっている。そのため、ピンボス部83及びコネクティングロッド9を介してクランク軸に放熱されることやスカート部82からの放熱が抑制される一方で、冷却水への熱輸送が促進されることとなる。
従って、この第4実施形態についても、第1〜3実施形態と同様に、燃焼室10を高い温度に保ってエンジンの熱効率を高めることができる一方で、ウォータジャケット27、29内を流れる冷却水を良好に昇温させることが可能となる。
なお、以上説明した本発明の第1〜第4の各実施形態は、本発明にかかるエンジン構造の好ましい実施形態の例示であって、その具体的な構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、第1実施形態(図2)に示したシリンダライナ51の第1ライナ部52は、上記の例では、高熱電導性の炭素繊維強化樹脂複合材料(CFRP)により形成されているが、例えば、黒鉛と金属(アルミニウム等)との複合材料、すなわち直交する方向の熱伝達率に差が生じるように黒鉛を金属中に配向させた複合材料や、多層カーボンナノチューブを用いた熱伝導異方性を有する材料により構成されていてもよい。要は、第1ライナ部52として、厚み方向の熱伝達率に比べて上下方向の熱伝達率が大きい熱伝達特性(熱伝導異方性)を有するものを設けることができれば、種々の材料を適用可能である。
また、第2実施形態では、内側ライナ部62がアルミ合金により形成される一方、外側ライナ部63がアルミ合金よりも熱伝導率の低いチタンや鋳鉄により形成されることで、シリンダライナ51(上端部分以外の領域)が熱伝導異方性を有した構造となっているが、各ライナ部62、63を形成する材料はこれらに限定されるものではなく、所望の熱伝導異方性を得ることができるように適宜選定すればよい。この点は、第3、第4実施形態のエンジン構造(吸気弁14、ピストン8)についても同様である。
また、第3実施形態では、弁面部72aがアルミ合金により形成される一方、背面部72bがアルミ合金よりも熱伝導率の低いチタンや鋳鉄により形成されることで、弁本体72が熱伝導異方性を有した構造となっているが、熱伝導異方性を有する高熱電導性の炭素繊維強化樹脂複合材料(CFRP)により弁面部72aを形成することで、弁本体72が熱伝導異方性を有する構造としてもよい。この点は、第4実施形態のエンジン構造(ピストン8)についても同様である。
また、第1実施形態では、シリンダブロック5のウォータジャケット26は、シリンダボア7の主に上端部に対応する位置に設けられているが、シリンダボア7の上端部から中間部に亘る広い範囲に亘って設けられていれもよい。また、シリンダボア7の下端部に対応する位置に設けられていれもよい。
また、第1〜第4実施形態では、本発明がシリンダライナ51、吸気弁14(排気弁)およびピストン8に適用された例について各々説明したが、これ以外にシリンダヘッド4についても適用可能である。
1 多気筒エンジン
2 エンジン本体
3 カムキャップ
4 シリンダヘッド
5 シリンダブロック
10 燃焼室
26〜29 ウォータジャケット
50 ブロック本体
51 シリンダライナ(燃焼室形成部材)
52 第1ライナ部(本体部)
53 第2ライナ部(熱誘導部)

Claims (8)

  1. 燃焼室を形成する燃焼室形成面を有する燃焼室形成部材と、冷却流体が流通する流体通路とを備えたエンジン構造であって、
    前記燃焼室形成部材は、燃焼室形成面に沿った第1方向の熱伝導率が燃焼室形成面に直交する第2方向の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有しており、
    前記流体通路は、前記第1方向における前記燃焼室形成部材の一方側の端部近傍の位置のみに、当該端部近傍の位置を冷却流体が流通するように設けられている、ことを特徴とするエンジン構造。
  2. 請求項1に記載のエンジン構造において、
    前記燃焼室形成部材は、前記熱伝導異方性を有する単一種類の材料で形成されている、ことを特徴とするエンジン構造。
  3. 請求項1に記載のエンジン構造において、
    前記燃焼室形成部材は、前記熱伝導異方性を有する炭素繊維強化樹脂複合材料で形成された主体部と、金属材料から形成されて前記燃焼室形成面を形成する補強部とを有する、ことを特徴とするエンジン構造。
  4. 請求項1に記載のエンジン構造において、
    前記燃焼室形成部材は、前記燃焼室形成面を有する内側部材と、前記第2方向において前記内側部材の外側に位置しかつ当該内側部材よりも熱伝導率の低い外側部材とで構成されている、ことを特徴とするエンジン構造。
  5. 燃焼室を形成する燃焼室形成面を有する燃焼室形成部材と、冷却流体が流通する流体通路とを備えたエンジン構造であって、
    前記燃焼室形成部材は、燃焼室形成面に沿った第1方向の熱伝導率が燃焼室形成面に直交する第2方向の熱伝導率よりも大きい熱伝導異方性を有しており、
    前記流体通路は、少なくとも前記第1方向における前記燃焼室形成部材の端部近傍の位置を冷却流体が流通するように設けられており、
    前記燃焼室形成部材は、前記熱伝導異方性を有する炭素繊維強化樹脂複合材料で形成された主体部と、金属材料から形成されて前記燃焼室形成面を形成する補強部とを有する、ことを特徴とするエンジン構造。
  6. 請求項1乃至5の何れか一項に記載のエンジン構造において、
    前記燃焼室形成部材は、前記熱伝導異方性を有する本体部と、前記第1方向における特定位置で本体部に熱伝達可能に繋がり、当該本体部から前記冷却流体へ熱を伝達する熱誘導部とを含む、ことを特徴とするエンジン構造。
  7. 請求項6に記載のエンジン構造において、
    前記熱誘導部は、前記流体通路の壁面を形成している、ことを特徴とするエンジン構造。
  8. 請求項1乃至7の何れか一項に記載のエンジン構造において、
    前記燃焼室形成部材は、シリンダライナ、シリンダヘッド、吸気弁、排気弁およびピストンの少なくとも一つである、ことを特徴とするエンジン構造。
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