JP2013169812A - リヤサブフレームの車体取付け構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】左右一対のサイドメンバ部22,22と、該左右一対のサイドメンバ部22,22をその前部にて連結する前側クロスメンバ部23と、左右一対のサイドメンバ部22をその後部にて連結する後側クロスメンバ部24と、が設けられ、該後側クロスメンバ部24は、サイドメンバ部22に連結される左右端にて前側の前方傾斜部位24F、後側の後方傾斜部位24Rにより分岐され、サイドメンバ部22の、上記分岐部に対応する部位は、サイドメンバ部22の前部に比べて脆弱な脆弱部としての屈曲部22aおよび薄肉部22bが設けられる。
【選択図】図6
Description
すなわち、上記分岐部に対応する部位に、脆弱部を設けたので、リヤサブフレーム全体を前後方向にコンパクト化しつつ、従来、後突時の荷重吸収部位として積極的に利用されていなかった、後側クロスメンバ部に対応する部位を容易に変形させることができる。
また、後側クロスメンバ部の左右端を前側分岐部、後側分岐部により前後に分岐し、これらをサイドメンバ部に連結したので、補強部材を設けなくても、通常時における両者の連結剛性を確保することができる。
上記構成によれば、後側クロスメンバ部に対応する部位を後突時に変形させることで、リヤサブフレームの変形による荷重吸収量を増加させることができる。このため、リヤサブフレームが後突時に車両前方に移動することを抑制でき、その結果、リヤサブフレーム(前側クロスメンバ部)と燃料タンクとが干渉することを回避できる。
また、リヤサブフレーム全体を前後方向にコンパクト化したことで、燃料タンクの配設範囲をリヤサブフレーム(車両後方)側に拡大することができる。
上記構成によれば、後側車体取付部と上記脆弱部との間での応力集中を抑制でき、さらなる軽量高剛性化を図ることができる。
上記構成によれば、後突荷重を、前側車体取付部を介して車体側に確実に伝達して、荷重分散を図ることができるため、高剛性化を図ることができる。このため、通常時におけるサイドメンバ部の変形、面振動を抑制することができ、その結果、サイドメンバ部における振動、騒音を抑制することができる。
さらに、この場合、薄肉部と厚肉部との間の境界部で応力集中を発生させることができるため、後側の薄肉部をより積極的に変形させることができる。
上記構成によれば、後側クロスメンバ部に対応する部位を、後突時に容易に折曲変形させることができる。
上記構成によれば、通常時、サイドメンバ部には、その延び方向に対して鈍角に傾斜する方向、つまりは略平行に後側クロスメンバ部の荷重が入力されることになるため、後側クロスメンバ部の荷重をサイドメンバ部に対して車幅方向に略直線的に伝達することができる。このため、例えば、上記脆弱部を薄肉部で構成した場合であっても、後側クロスメンバ部の支持剛性を向上させることができる。
上記構成によれば、アームから入力される荷重を前側、後側の分岐部によって前後に分散することができるので、支持剛性の向上を図ることができる。
また、アーム支持部を車幅方向内方に配置することで、アーム長を確保することが可能になり、これによって、車輪が上下動した時のトー角等の変化を抑制することができる。
図1はリヤサブフレームの車体取付け構造を示す底面図、図2は図1からリヤサブフレームおよびサスペンションアーム等を取外した状態の底面図、図3は図1のA‐A線矢視断面図である。
図2,図3において、センタフロアパネル1の後部には、リヤシートパン2と、前低後高状に傾斜して後方に延びるスラント部3と、を介してリヤフロア4(フロアパネル)を連設している。
上述のセンタフロアパネル1および図示しないフロントフロアパネルにはその車幅方向中央において車室内へ突出して、車両の前後方向に延びるトンネル部5を一体または一体的に形成すると共に、センタフロアパネル1およびフロントフロアパネルの車幅方向両端部には、サイドシル6を接合固定している。
上述のリヤシートパン2からスラント部3およびリヤフロア4にかけて、車両の前後方向に延びるリヤサイドフレーム7を設けている。
上述のリヤサイドフレーム7は車体強度部材であって、このリヤサイドフレーム7の前部は、キックアップ部(後述するクロスメンバ9が配置された部分に対応)においてサイドシル6と連結され、この連結部に対応して左右のリヤサイドフレーム7,7の前部相互間には、車幅方向に延びるクロスメンバ9(いわゆるNo.3クロスメンバ)を張架し、該クロスメンバ9と車体フロアパネルとの間には、車幅方向に延びる閉断面が形成されている。
また、上述のスラント部3の後部に対応するリヤサイドフレーム7の前後方向中間部には、左右のリヤサイドフレーム7,7間に掛け渡される車体クロスメンバ10(いわゆるNo.4クロスメンバ)を設けている。
つまり、上下の各閉断面11,12が、図3に示すように上下方向に重なり合うように形成されている。また、この車体クロスメンバロア10Lのリヤサイドフレーム7よりも車幅方向内側には、後述するサブフレーム21の前側車体取付部25(図1参照)の取付けポイント10Pが設けられている。
図2に示すように、サブフレーム21の車両前方には、車両補機としての燃料タンク14が配設されており、この燃料タンク14は、一対のタンクバンド13,13を用いて上述のリヤシートパン2およびスラント部3の下部車外側に取付けられている。
また、図2に示すように、前後のクロスメンバ9,10間に対応して上述のリヤサイドフレームロア7Lには、トレーリングアーム車体取付部17を形成し、車体クロスメンバ10よりもさらに後方位置に対応して該リヤサイドフレームロア7Lには、後述するサスペンション用のスプリング27(図1参照)のバネ座18を設け、このバネ座18よりもさらに後方位置に対応して該リヤサイドフレームロア7Lには、後側車体取付部26(図1参照)の取付けポイント19を設けている。
さらに、図2に示すように、ホイールハウス8内にはリヤサスペンションのダンパ車体取付部20を設けている。
図2,図3で示した車体構造に対して、図1に底面図で示すようにリヤサブフレーム21(以下単に、サブフレームと略記する)を取付けるものであり、具体的には、リヤサイドフレーム7,7の下側にサブフレーム21を架設するものである。
図4〜図9に示すように、リヤサスペンションを支持するサブフレーム21は、左右のサイドメンバ部22,22と、該サイドメンバ部22,22間に架設される前側クロスメンバ部23と、後側クロスメンバ部24とを備え、平面視で左右略対称(図6参照)に形成されている。
前側車体取付部25は、後側車体取付部26よりも車幅方向内側に配設されており、これによって、両車体取付部25,26を通る仮想ラインL0(図6〜図8参照)は、車幅方向内側に傾斜している。
そして、図1に示すように、左右のサイドメンバ部22,22の後部が、後側車体取付部26,26を介してそれぞれ左右のリヤサイドフレーム7(詳しくは、リヤサイドフレームロア7Lの取付けポイント19)に取付けられる一方、左右のサイドメンバ部22,22の前部が、前側車体取付部25,25を介して車体クロスメンバ10(No.4クロスメンバ)のリヤサイドフレーム7よりも車幅方向内側に取付けられている。詳しくは、前側車体取付部25,25を車体クロスメンバロア10Lの取付けポイント10P(図2参照)に取付けている。
つまり、サイドメンバ部22は、前側車体取付部25、後側車体取付部26の二箇所で車体に取付けられている。
また、上述の各サイドメンバ部22,22は、図1に示すように、その前方にサスペンション用のスプリング27(コイルスプリング)が配設できるように、サブフレーム21の後側車体取付部26から車幅方向内側前方に延びており、これにより、後突荷重の分散とサスペンション用スプリング27のレイアウトとの両立を図るように構成したものである。
より詳しくは、後側車体取付部26がサスペンション用スプリング27の後方に配設されており、サイドメンバ部22の後部が、後側車体取付部26から車幅方向内側前方に延びる一方、前部が、前側車体取付部25に向かって略直線状に延びている。
上述のアッパアーム支持部28と、ロアアーム支持部29と、前側クロスメンバ部23とは前後に重なる位置、この実施例では前後方向の略同一位置に配置されている。
また、図4,図7に示すように、上述の前側クロスメンバ部23は、サイドメンバ部22の前部を連結するものであり、左右の各サイドメンバ部22,22(特に、該サイドメンバ部22において前後方向に直線的に延びるその前部)からそれぞれ車幅方向内側下方に傾斜して延びる左右の車幅方向側部23S,23Sと、これら左右の両車幅方向側部23S,23Sを車幅方向に水平に連結する中央部23Cとを有するパイプ材から形成された部位を有する。
さらに、ロアアーム支持部29よりも上方で、かつ上下方向中央(ラインL1参照)よりも下方に、上述の中央部23Cの位置が設定され、ロアアーム支持部29は上述の中央部23Cまたは該中央部23Cに隣接した車幅方向側部23Sの中央部23C隣接部位にブラケット31(詳しくは、ロアアーム支持ブラケット31)を介して連結されている。
また、上述のアッパアーム支持部28は、サイドメンバ部22の車幅方向外側上方においてこれと近接する位置に配設され、サイドメンバ部22における前側クロスメンバ部23の延長方向、詳しくは、車幅方向内側下方に延びる車幅方向側部23Sの延長方向と反対側の部位に連結されている。
つまり、サイドメンバ部22の前側車体取付部25の後方で、かつ車幅方向近傍には、サスペンションの前側アーム(図12に示す前側のアッパアーム32、前側のロアアーム33参照)を枢支する支持部28,29が設けられたものであり、サスペンションの前側アッパアーム32の支持部28を構成するブラケット30と、その下方において前側ロアアーム33の支持部29を構成するブラケット31とが、サイドメンバ部22から上方および下方に一対それぞれ突設され、前後に重なる位置で車幅方向に延設されたものである。
上述のブラケット30をこのように構成することで、該ブラケット30の前後方向への倒れを阻止すると共に、横力に対する充分な接合強度を確保したものである。
上述のブラケット31は、図7に示すように、正面視で略三角形状に形成されており、図9に示すように、側面視で略四角形状に形成されている。また、ブラケット31は、ロアアーム支持部29の周辺において、前側パネル34および後側パネル35とにより断面ハット状をなすように形成され、車幅方向外側に開口していると共に、このブラケット31には、ロアアーム支持部29,29が前後一対配設されている。さらに、ブラケット31では、前後の各パネル34,35に一体形成されたフランジ部34a,35aがロアアーム支持部29,29から前後方向に幅広く延設されて、サイドメンバ部22に接合固定されている。
上述のブラケット31をこのように構成することで、該ブラケット31の前後方向への倒れを阻止すると共に、横力に対する充分な接合強度を確保したものである。
そして、ブラケット31と中央部23Cとの接合固定部では、中央部23Cに対するブラケット31の傾斜角φ1(図4、図7参照)が、鈍角をなしている。
そして、車両前側の上下のフランジ部30a,34aは、いずれも前側車体取付部25と側面視で前後方向に重複するように配置されている。
また、ブラケット30のフランジ部30aは、図7に示すように、その延設部30bにおいて、サイドメンバ部22の側面の上下方向中心部22Cよりも下方位置で接合固定されると共に、前側車体取付部25の上端部が連結される車体クロスメンバ10との干渉を回避すべく、前側車体取付部25の上端部より下方位置で前後方向に延びている。
そして、後側ロアアーム支持部38は、ロアアーム支持部29よりも仮想ラインL0に対し、上下方向において近接した位置に配設されている。
上述の後側クロスメンバ部24の左右両側部に相当する後方傾斜部位24Rおよび前方傾斜部位24Fは、後側ロアアーム支持部38,38から前後方向に分岐している。そして、この分岐した各傾斜部位24R,24Fの車幅方向両端部が上述のサイドメンバ部22の屈曲部22aに連結されており、換言すれば、サイドメンバ部22と各傾斜部位24F,24Rとの連結部間には、サイドメンバ部22が曲げられた屈曲部22aが設定されている。
また、サイドメンバ部22のうち、後方傾斜部位24Rとの連結部は、それより車両前方の部位よりも車幅方向外側に向かって延設されており、これにより、後方傾斜部位24Rに対するサイドメンバ部22の傾斜角φ2(図4、図6参照)が、鈍角をなしている。
このように、サイドメンバ部22と前方傾斜部位24Fと後方傾斜部位24Rとの三者により、トラス構造を形成しており、このトラス構造により、後側クロスメンバ部24それ自体、および、サブフレーム21を補強して、重量増加を抑えながら後側ロアアーム37の支持剛性を前後左右方向に補強すべく構成している。
また、サイドメンバ部22では、前方傾斜部位24Fとの連結部が、その車両後方の薄肉部22bより厚い厚肉部22cに設定されている。
さらに、前方傾斜部位24Fとの連結部より車両前方の、前側クロスメンバ部23との連結部は、厚肉部22cよりもさらに厚い厚肉部22dに設定されている。
このように、薄肉部22b、厚肉部22c,22dを有するサイドメンバ部22は、例えば、板厚の違う鋼板をレーザー溶接やプラズマ溶接等で接合してからプレス成形する、所謂テーラードウェルドブランク工法や、圧延時にロールの隙間を適宜調整して鋼板の厚みを作り分ける、所謂テーラードロールドブランク工法により生成することが可能である。
この実施例では、図5に斜視図で示すように、上述のスティフナ41は中央部24Cのみならず、前方傾斜部位24Fおよび後方傾斜部位24Rの車幅方向中途位置まで分岐して延びており、このスティフナ41の延出構造により、部品点数の増加を招くことなく、前後の各傾斜部位24F,24Rの強度向上を図っている。
また、図1,図3に示すように、上述の後側ロアアーム37はスプリング27のバネ座を兼ねるように、リヤサイドフレームロア7L側のバネ座18(図2参照)と上下方向に対向する部分が、スプリング27に対応して膨出形成されている。
また、後突時には図11に矢印で示すように、リヤサイドフレーム7に後突荷重が入力するが、このリヤサイドフレーム7後部が受けた後突荷重を、サイドメンバ部22を介して車体クロスメンバ10に伝達して、荷重分散を図ることができる。
また、サイドメンバ部22において、薄肉部22bが車体取付部26から上記分岐部まで延設され、かつ、サイドメンバ部22の、上記分岐部に対応する部位が、屈曲部22aおよび薄肉部22bによって脆弱部に設定されているので、後突時には、サイドメンバ部22の後部を圧縮変形させると共に、上記分岐部に対応する部位を車幅方向外側に折曲変形させることができ、これによって、後突荷重を、サイドメンバ部22で吸収することができる。
さらに、図11および図1からも明らかなように、トーイン(後輪48の前側がその後側に対して車幅方向内側となるトー角)を確保するために前側のアーム(アッパアーム32、ロアアーム33ともに)のアーム長は、後側ロアアーム37のアーム長よりも短く設定されている。
また、この実施例では前側のアッパアーム32と前側のロアアーム33とが平面視において車幅方向に略並行に延びており、横力を車幅方向に延びる前側クロスメンバ部23で受けるので、該前側クロスメンバ部23の前後曲げモーメントを抑制することができる。
次に、図12を参照して旋回時等において同相横力(左右の後輪48,48が同じ側に倒れる横力)が入力した場合について説明する。
左右の後輪48,48に同相の横力a,bが入力すると、左側ロアアーム33(図12は正面図であって図示の右側が車両左側に相当するので、左側ロアアーム33は図示右側のアーム33である)には引く力cが作用し、左側アッパアーム32には押す力dが作用し、右側ロアアーム33には押す力eが作用し、右側アッパアーム32には引く力fが作用する。
正面図で示す図12から明らかなように、車両の右側上部から左側下部にかけて各要素30,23S,23Cとブラケット31の下辺とが略直線状に連結されており、車両の左側上部から右側下部にかけて、各要素30,23S,23Cとブラケット31の下辺とが略直線状に連結されていて、これによりタスキ掛けに近似した構造となっているので、ブラケット30,31を備えた前側クロスメンバ部23には図12に矢印で示す力c´,d´,e´,f´が作用し、左側の引く力c´と右側の引く力f´とで荷重が打ち消され、右側の押す力e´と左側の押す力d´とで荷重が打ち消されて、同相横力が相殺できる。
次に、図13を参照して、加減速でトーインになった時、または、轍や凹凸路(凸凹道)を走行する時のように左右の後輪48,48に異相横力が入力した場合について説明する。
左右の後輪48,48に異相の横力g,hが入力すると、左側ロアアーム33と右側ロアアーム33とには、それぞれ引く力i,jが作用する。
正面図で示す図13から明らかなように、前側クロスメンバ部23の中央部23Cは、同図に距離L2で示すようにアッパアーム支持部28とロアアーム支持部29との間において、ロアアーム支持部29側に近い位置に配置しており、中央部23Cとロアアーム支持部29との上下方向オフセット量(距離L2)が小さく、また、前側車体取付部25とアッパアーム支持部28との上下方向距離L3、並びに直線距離L4を何れも小さくし、ブラケット30,31を備えた前側クロスメンバ部23の剛性を確保しているので、左右のアッパアーム32,32に入力される荷重よりも、その荷重が大きい左右のロアアーム33,33のそれぞれの引く力i,jが互に打ち消す方向に作用して、異相横力が相殺される。
次に、図14を参照して、横力の入力に伴いサブフレーム21が揺動変位した場合のジオメトリ変化について説明する。なお、サブフレーム21が略左右対称に形成されていることによって、そのジオメトリ変化は左右いずれも略同様となるため、図14では、サブフレーム21の右側のみを示すこととし、以降の説明では、右側のジオメトリ変化を一例として説明する。また、図14(b)では、図示の便宜上、前側車体取付部25,25´、後側車体取付部26、ロアアーム支持部29、および後側ロアアーム支持部38の位置関係のみを示しており、これ以外の構成の図示を省略している。
車両の旋回等により後輪48に横力が入力すると、サブフレーム21は、仮想ラインL0を軸にして揺動変位する。
この時、ロアアーム支持部29は、図14中一点鎖線で示すように、仮想ラインL0と、ロアアーム支持部29を通る仮想ラインL5との交点P1を中心にして円弧状の軌跡を描きながら車幅方向内側に揺動変位する。一方、後側ロアアーム支持部38は、図14中一点鎖線で示すように、仮想ラインL0と、後側ロアアーム支持部38を通る仮想ラインL6との交点P2を中心にして円弧状の軌跡を描きながら車幅方向内側に揺動変位する。
一方、実施例では、仮想ラインL0を車幅方向内側前方に傾斜させることにより、ロアアーム支持部29と同様、後側ロアアーム支持部38の仮想ラインL0(点P2)に対する仰角θ2が、仮想ラインL7(点P2´)に対する仰角θ2´よりも大きくなる。このため、後側ロアアーム支持部38が同じ角度ωだけ車幅方向内側に揺動変位した時には、実施例における後側ロアアーム支持部38の車幅方向変位量δ2が、比較例における後側ロアアーム支持部38の車幅方向変位量δ2´よりも増大する。
つまり、この実施例では、サブフレーム21が揺動変位した時、比較例よりも、車幅方向変位量δ1,δ2の差が増加することになり、換言すれば、ロアアーム支持部29を、後側ロアアーム支持部38に対してより大きく車幅方向内側に引き込むことができるようになっている。
次に、図15を参照して、前側のアッパアーム32、ロアアーム33から、それぞれブラケット30,ブラケット31に対して前後倒れ方向の荷重が入力した場合について説明する。
先ず、ブラケット30,ブラケット31に対して前倒れ方向の荷重が入力した場合、ブラケット30には、車両前方かつ下方のモーメントkが作用する一方、ブラケット31には、車両前方かつ上方のモーメントlが作用する。
側面図で示す図15から明らかなように、ブラケット30,31を互いに離間して設けると共に、それぞれの車両前側のフランジ部30a,34aを前後方向に幅広く延設し、上下に隣接してサイドメンバ部22に接合固定しているので、ブラケット30に作用する車両前方かつ下方のモーメントkと、ブラケット31に作用する車両前方かつ上方のモーメントlとが互に打ち消す方向に作用して、前倒れ方向の荷重が相殺される。
側面図で示す図15から明らかなように、ブラケット30,31を互いに離間して設けると共に、それぞれの車両後側のフランジ部30a,35aを前後方向に幅広く延設し、上下に隣接してサイドメンバ部22に接合固定しているので、前倒れ方向の荷重が入力した場合と同様、ブラケット30に作用する車両後方かつ下方のモーメントmと、ブラケット31に作用する車両後方かつ上方のモーメントnとが互に打ち消す方向に作用して、後倒れ方向の荷重が相殺される。
なお、図中、矢印Fは車両の前方、矢印Rは車両の後方を示し、矢印INは車両の内方、矢印OUTは車両の外方を示す。
すなわち、上記分岐部(前方傾斜部位24F、後方傾斜部位24R)に対応する部位に、脆弱部としての屈曲部22aを設けたので、サブフレーム21全体を前後方向にコンパクト化しつつ、従来、後突時の荷重吸収部位として積極的に利用されていなかった、後側クロスメンバ部24に対応する部位(屈曲部22a)を容易に変形させることができる。
また、後側クロスメンバ部24の左右端を前方傾斜部位24F、後方傾斜部位24Rにより前後に分岐し、これらをサイドメンバ部22に連結したので、補強部材を設けなくても、通常時における両者の連結剛性を確保することができる。
また、サブフレーム21の前方に燃料タンク14が配されたものである(図1参照)。
また、上述したように、サブフレーム21全体を前後方向にコンパクト化したことで、燃料タンク14の配設範囲をサブフレーム21(車両後方)側に拡大することができる。
また、サブフレーム21は、前側車体取付部25と後側車体取付部26とで車体に取付けられ、上記脆弱部は、サブフレーム21の後側車体取付部26から車両前方に延設される薄肉部22bにより構成されるものである(図3〜図6,図9参照)。
また、サイドメンバ部22のうち、後側クロスメンバ部24の前方傾斜部位24Fとの連結部を、該連結部より後方の部位よりも厚い厚肉部22cとしたものである(図3〜図6,図9参照)。
さらに、この場合、薄肉部22bと厚肉部22cとの間の境界部で応力集中を発生させることができるため、後側の薄肉部22bをより積極的に変形させることができる。
また、上記脆弱部は、後側クロスメンバ部23と上記分岐部との連結部間でサイドメンバ部22が曲げられた屈曲部22aにより構成されるものである(図3〜図6,図9参照)。
また、サイドメンバ部22のうち、後側クロスメンバ部24の後方傾斜部位24Rとの連結部は、該連結部より前方の部位よりも車幅方向外側に向って延設されるものである(図3〜図6参照)。
また、後側クロスメンバ部24は、中央部23cに後側ロアアーム支持部38が設けられるものである(図7参照)。
また、後側ロアアーム支持部38を車幅方向内方に配置することで、後側ロアアーム37のアーム長を確保することが可能になり、これによって、車輪が上下動した時のトー角等の変化を抑制することができる。
この実施例では、サイドメンバ部22および前側クロスメンバ部23に加えて、後側クロスメンバ部24もパイプ部材により構成したものである。
すなわち、後側クロスメンバ部24の中央部24Cの左右両端部に、該両端部から前方外側に傾斜して延びる前方傾斜部位24F,24Fを、同一のパイプ部材にて一体形成すると共に、これら両者24C,24Fと別体のパイプ部材にて後方傾斜部位24Rを形成し、前方傾斜部位24Fの前端部をサイドメンバ部22に連続溶接にて固定し、後方傾斜部位24Rの車幅方向内端部を前方傾斜部位24Fの基部、または中央部24Cの端部に連続溶接にて固定すると共に、該後方傾斜部位24Rの車幅方向外端部をサイドメンバ部22の後端部に連続溶接にて固定したものである。
また、上述の中央部24Cと、前方傾斜部位24Fと、後方傾斜部位24Rとが平面視でY字状に交わる部位には、これらを外面側から覆う断面略C字形状のブラケット51を設け、このブラケット51の車幅方向内端51aの周縁と中央部24Cとを連続溶接にて接合固定し、ブラケット51の車幅方向外端前部51bの周縁と前方傾斜部位24Fとを連続溶接にて接合固定し、さらに、ブラケット51の車幅方向外端後部51cの周縁と後方傾斜部位24Rとを連続溶接にて接合固定している。
上述のブラケット51は、図17に示すように、その下部から下方に延びる前後一対の後側ロアアーム支持片51d,51dを一体に備えたもので、前後一対の後側ロアアーム支持片51d,51d間に補強部材としてのスティフナ41を配置して、該スティフナ41と後側ロアアーム支持片51d,51dとを溶接固定すると共に、スティフナ41の取付片を含んで前後一対の後側ロアアーム支持片51d,51d間には、後側ロアアーム支持ピン52を横架して、この後側ロアアーム支持ピン52に図1で示した後側ロアアーム37のサブフレーム側枢支部を支持させるように構成している。
図16,図17で示した実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図16,図17において、前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
この実施例では、前側車体取付部25の上下方向の位置を先の実施例よりも上方に設定することで、前側車体取付部25を、後側車体取付部26よりも高い位置に配設したものである。
すなわち、車体クロスメンバ10において、先の実施例の車体クロスメンバロア10Lよりも下面が上方に設定された車体クロスメンバロア60Lを備えると共に、車体クロスメンバロア60L(車体クロスメンバ10)の下面を上方に設定した分だけ、前側車体取付部25の位置を上方に設定したものである。
また、後輪48のキャンバ角がポジティブキャンバ方向に変化することをより確実に抑制できるという効果もある。
図18で示した実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図17において、前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。なお、図中符号63で示す部材は、先の実施例のレインフォースメント43に対応するレインフォースメントである。
この実施例では、後側車体取付部26の上下方向の位置を先の実施例よりも下方に設定することで、前側車体取付部25を、後側車体取付部26よりも高い位置に配設したものである。
すなわち、リヤサイドフレーム7において、後部下面を段下げ形状とすることにより、先の実施例のリヤサイドフレームロア7Lよりも後部下面が下方に設定されたリヤサイドフレームロア70Lを備えると共に、リヤサイドフレームロア70L(リヤサイドフレーム7)の後部下面を下方に設定した分だけ、後側車体取付部26の位置を下方に設定したものである。
また、後輪48のキャンバ角がポジティブキャンバ方向に変化することをより確実に抑制できるという効果もある。
但し、この実施例のように、リヤサイドフレーム7(リヤサイドフレームロア70L)の後部下面を段下げ形状とした場合、車両後突等によって後方から荷重が入力された時、段下げ部分を屈曲点にしてリヤサイドフレーム7が屈曲変形する懸念があることから、前側車体取付部25を後側車体取付部26よりも高い位置に配設する場合には、図18に示す実施例のように、前側車体取付部25の上下方向の位置を上方に設定するのがより好ましい。
図19で示した実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図19において、前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
この実施例では、ブラケット30,31が、上下一対設けられ、一方のブラケット31と前側クロスメンバ部23とが、前後方向の略同一位置に配設され、ブラケット31の前側のフランジ部34a´が前側車体取付部25に対して側面視で重複しない位置に配設されると共に、他方のブラケット30は、一方のブラケット31に対して前方にずれており、ブラケット30の前側のフランジ部30aが前側車体取付部25と側面視で重複する位置に配設されているものである。
すなわち、ブラケット31の前側のフランジ部34a´を前側車体取付部25に対して側面視で重複しない位置に配設して、ブラケット30の前側のフランジ部30aの前端部を相対的に前方に配置すると共に、ブラケット30の後側のフランジ部30a´の後端部を、ブラケット31の後側のフランジ部35aの後端部よりも前方に配置することで、全体として、ブラケット30をブラケット31に対して前方にずらしたものである。
なお、この実施例では、一方のブラケット、他方のブラケットを、それぞれロアアーム33のブラケット31、アッパアーム32のブラケット30としたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、これとは逆に、一方のブラケットをブラケット30、他方のブラケットをブラケット31としてもよい。
図20で示した実施例においても、その他の構成、作用、効果については、先の実施例とほぼ同様であるから、図20において、前図と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
この発明のアームは、実施例の前側アッパアーム32、前側ロアアーム33、後側ロアアーム37に対応し、
以下同様に、
リヤサブフレームは、実施例のサブフレーム21に対応し、
前側ロアアーム支持部は、ロアアーム支持部29に対応し、
前後の分岐部は、前方傾斜部位24F、後方傾斜部位24Rに対応し、
脆弱部は、屈曲部22a、薄肉部22bに対応し、
アーム支持部は、後側ロアアーム支持部38に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
21…サブフレーム(リヤサブフレーム)
22…サイドメンバ部
22a…屈曲部
22b…薄肉部
22c…厚肉部
23…前側クロスメンバ部(クロスメンバ部)
24…後側クロスメンバ部(クロスメンバ部)
24C…中央部
24F…前方傾斜部位(前側分岐部)
24R…後方傾斜部位(後側分岐部)
25…前側車体取付部(車体取付部)
26…後側車体取付部(車体取付部)
33…前側ロアアーム
37…後側ロアアーム
38…後側ロアアーム支持部
Claims (7)
- リヤサスペンションのアームを支持するリヤサブフレームであって、
左右一対のサイドメンバ部と、
該左右一対のサイドメンバ部をその前部にて連結する前側クロスメンバ部と、
上記左右一対のサイドメンバ部をその後部にて連結する後側クロスメンバ部と、が設けられ、
該後側クロスメンバ部は、上記サイドメンバ部に連結される左右端にて前側、後側の分岐部により分岐され、
上記サイドメンバ部の、上記分岐部に対応する部位には、上記サイドメンバ部の前部に比べて脆弱な脆弱部が設けられる
リヤサブフレームの車体取付け構造。 - 上記リヤサブフレームの前方に燃料タンクが配された
請求項1記載のリヤサブフレームの車体取付け構造。 - 上記リヤサブフレームは、前側車体取付部と後側車体取付部とで車体に取付けられ、
上記脆弱部は、上記リヤサブフレームの上記後側車体取付部から車両前方に延設される薄肉部により構成される
請求項1または2記載のリヤサブフレームの車体取付け構造。 - 上記サイドメンバ部のうち、上記後側クロスメンバ部の上記前側分岐部との連結部は、該連結部より後方の部位よりも厚い厚肉部である
請求項3記載のリヤサブフレームの車体取付け構造。 - 上記脆弱部は、上記後側クロスメンバ部と上記分岐部との連結部間で上記サイドメンバ部が曲げられた屈曲部により構成される
請求項1〜4のいずれか一項に記載のリヤサブフレームの車体取付け構造。 - 上記サイドメンバ部のうち、上記後側クロスメンバ部の上記後側分岐部との連結部は、該連結部より前方の部位よりも車幅方向外側に向って延設される
請求項5記載のリヤサブフレームの車体取付け構造。 - 上記後側クロスメンバ部は、中央部にアーム支持部が設けられる
請求項1〜6のいずれか一項に記載のリヤサブフレームの車体取付け構造。
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