JP3606255B2 - 車体前部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車体前部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に自動車の車体前部構造は、車両が前面衝突した際にフロントコンパートメントの前後方向骨格メンバであるサイドメンバが軸方向に潰れ変形することによって衝突エネルギーを吸収するように設計してある。
【0003】
特にオフセット前面衝突では衝突荷重が片側のサイドメンバに集中するため、特開平9−119322号公報に示されているように、前記パワーユニットやサスペンション部品等の車両ユニット部品を懸架する大型のサブフレームを別体で形成し、このサブフレームをサイドメンバに下方からマウントすることによって、前面衝突時にはサイドメンバのみならずサブフレームも同時に変形させて、衝突エネルギー吸収量を増大させるようにしたものが知られている。
【0004】
前記サブフレームは、左,右のサイドフレームとこれを前端側および後端側で連設する前,後のクロスメンバとで、左右のサイドメンバ間とほぼ同一幅の平面矩形状に形成してあり、その四隅部にマウント部を設けて、このマウント部を介して左右のサイドメンバの下面に結合した構成としてある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
サブフレームの前後のマウント部は、平面視して直状のサイドフレームの延長上に設定してあるため、前面衝突時にこのサイドフレームの前端側から軸方向に衝突荷重が作用すると、後側のマウント部の結合部分に前記サイドフレームの軸方向の衝突荷重線方向に荷重が作用する傾向となる。
【0006】
この後側マウント部の結合部分が前記衝突荷重で後退移動するのを阻止してキャビンの変形を抑制するためには、前記後側マウント部の結合部周りを補強して剛性を高めることと併せて、キャビン前部の剛性を高める必要があり、重量的におよびコスト的に不利となってしまうことは否めない。
【0007】
そこで、本発明は前方からの衝突荷重をサブフレームの後端側で効率良くキャビンのフロア骨格メンバへ分散伝達することができて、過剰な補強構造を採ることなくキャビンを保護することができる車体前部構造を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にあっては、フロントコンパートメントの下側部で、このフロントコンパートメントの骨格メンバとキャビンのフロア骨格メンバとに跨ってサブフレームを結合配置し、このサブフレームに車両ユニット部品を搭載した構造であって、
前記サブフレームは、前記骨格メンバに結合する前側マウント部と前記フロア骨格メンバに結合する後側マウント部とを有して前後方向に延在した左右一対のサイドフレームと、
前記サブフレームの後側部で左右一対の前記サイドフレームに車幅方向に連設したリヤフレームと、
前記サイドフレームの前記リヤフレーム連設部分に設けられ、このリヤフレーム側に向けて延びてこのリヤフレームに結合する内側ブランチ部と、車幅方向外側に張り出して前記後側マウント部に連なる外側ブランチ部とに分岐した二股部と、を備え、
前記サイドフレームの前半部を、前記前側マウント部と前記後側マウント部とを結ぶ直線に対して車幅方向内方に向けて湾曲形成するとともに、前記二股部をこの直線よりも車幅方向内方に配置し、かつ、前記二股部と前記後側マウント部との間の後半部を前記直線よりも車幅方向外方に突出するように屈曲形成し、
前記サブフレームに、サイドフレームに入力した前方からの衝突荷重を、前記二股部の内側ブランチ部からリヤフレームを介して車幅方向内側に向けて他方のサイドフレームに伝達する第1経路と、外側ブランチ部から後側マウント部を介してフロア骨格メンバに車両後方かつ車幅方向外側へ押し出すように伝達する第2経路と、で車幅方向に広がる荷重成分に変換する2つの荷重伝達経路を構成したことを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明にあっては、フロントコンパートメントの下側部で、このフロントコンパートメントの骨格メンバとキャビンのフロア骨格メンバとに跨ってサブフレームを結合配置し、このサブフレームに車両ユニット部品を搭載した構造であって、
前記サブフレームは、前記骨格メンバに結合する前側マウント部と前記フロア骨格メンバに結合する後側マウント部とを有して前後方向に延在した左右一対のサイドフレームと、
前記サブフレームの後側部で左右一対の前記サイドフレームに車幅方向に連設したリヤフレームと、
前記サイドフレームの前記リヤフレーム連設部分に設けられ、このリヤフレーム側に向けて延びてこのリヤフレームに結合する内側ブランチ部と、車幅方向外側に張り出して前記後側マウント部に連なる外側ブランチ部とに分岐した二股部と、を備え、
前記サイドフレームの前半部を、前記前側マウント部と前記後側マウント部とを結ぶ直線に略沿って配置するとともに、このサイドフレームの後半部を、前記二股部が前記直線よりも車幅方向内方に位置するように、前半部から後半部に至る部分に後方かつ内方に傾斜する傾斜部分を形成しつつ内側方向に湾曲形成し、
前記サブフレームに、サイドフレームに入力した前方からの衝突荷重を、前記二股部の内側ブランチ部を介してリヤフレームから車幅方向内側に向けて他方のサイドフレームに伝達する第1経路と、外側ブランチ部を介して後側マウント部からフロア骨格メンバに車両後方かつ車幅方向外側へ押し出すように伝達する第2経路と、で車幅方向に広がる荷重成分に変換する2つの荷重伝達経路を構成したことを特徴としている。
【0010】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、オフセット前面衝突によってサブフレームの片側のサイドフレームに衝突荷重が集中して、一方のサイドフレームの前端側から軸方向に衝突荷重が作用すると、この衝突荷重はサイドフレームの前半部を介して二股部に入力される。
【0011】
すると、前記二股部に入力された前記衝突荷重は、内側ブランチ部を通る第1経路と外側ブランチ部を通る第2経路とに分散され、第1経路に分散された荷重成分はリヤフレームから他方のサイドフレームに伝達される一方、第2経路に分散された荷重成分は後側マウント部からフロア骨格メンバに伝達される。
【0012】
その結果、サブフレームに入力された衝突荷重は直ちにキャビンのフロア前部に集中することなく、第1経路および第2経路を介して車幅方向に広がる荷重に置き換わって、キャビンのフロア骨格メンバに効率的に分散吸収される。
【0013】
一方、前記サイドフレームは前半部が、前側マウント部と後側マウント部とを結ぶ直線に対して車幅方向内方に向けて湾曲形成されているため、この湾曲形成された前半部は前記衝突荷重により内側方向へ変形し、リヤフレームを圧縮して反対側のサイドフレームに作用するが、これの反作用によって前記二股部は外側方向に押し出されて後側マウント部に車幅方向外方への荷重として作用する。
【0014】
従って、前記衝突荷重は、後側マウント部を外側方向に押し出す荷重成分の割合が大きくなって、キャビンを押し潰す方向、つまり後方への荷重成分をより減少し、キャビン変形をより効果的に抑制することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、前記請求項1の発明と同様に、オフセット前面衝突時の衝突荷重を二股部によって第1経路と第2経路に分散して、リヤフレームから他方のサイドフレームに伝達する一方、後側マウント部からフロア骨格メンバに伝達して、フロア骨格メンバに分散吸収させることができる。
【0016】
一方、この請求項2の発明にあっては前記二股部が前記直線よりも車幅方向内方に位置するように、サイドフレームの後半部を内側方向に湾曲形成したので、この湾曲形成された後半部は前記衝突荷重により内側方向へ変形し、これに伴って二股部が内側方向に押しやられるときに、反対側のサイドフレームの反作用によって前記二股部は外側方向に押し出されて、後側マウント部に車幅方向外方への荷重として作用する。
【0017】
特に、前記後半部が湾曲形成される前半部から後半部に至る部分に、後方かつ内方に傾斜する傾斜部分が形成されているので、車体前方部の側面に衝突する斜め側面オフセット衝突時に、この衝突荷重を前記傾斜部分の軸方向に入力することができるため、この斜め側面オフセット衝突荷重を二股部に入力して第1経路と第2経路へと効率良く分散することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0019】
図1から図5は本発明にかかる車体前部構造の第1実施形態を示し、図1は自動車の前部を下側から見た斜視図、図2はサブフレームの斜視図、図3は車両のオフセット前面衝突の状態を示す説明図、図4はサブフレームの衝突前(a)と衝突後(b)の状態を示す略示的平面説明図、図5はオフセット前面衝突時の荷重伝達経路を示す平面説明図である。
【0020】
図1に示すようにフロントコンパートメントF・Cの左右両側部には、前後方向の骨格メンバであるサイドメンバ1が配設され、これら左右一対のサイドメンバ1,1は、それらの前端部を車幅方向に延在するバンパーレインフォース3により結合してある。
【0021】
一方、前記サイドメンバ1の後端部は、フロントコンパートメントF・CとキャビンCとを隔成するダッシュパネル4からフロア5の下面に廻り込んで接合して、前後方向に延在するエクステンションサイドメンバ2を構成している。
【0022】
フロア5の左右両側部には、前後方向の骨格メンバであるサイドシル6を配設してあり、このサイドシル6の前端と前記エクステンションサイドメンバ2の前端部とをアウトリガー7で結合してある。
【0023】
従って、この実施形態にあっては、前記エクステンションサイドメンバ2とサイドシル6およびアウトリガー7とで、キャビンCのフロア骨格メンバ8を構成している。
【0024】
前記フロントコンパートメントF・Cの下端部には、エンジンや駆動用モータ等のパワーユニット10を始めとして図外のサスペンション部品等の車両ユニット部品を搭載支持するサブフレーム11を配設してある。
【0025】
サブフレーム11は、図2に示すように前後方向に延在した左右一対のサイドフレーム12と、前記サブフレーム11の後側部で左右のサイドフレーム12に車幅方向に連設したリヤフレーム13と、サイドフレーム12の後端部に設けた二股部14と、を備えて構成され、更に本実施形態では、前記一対のサイドフレーム12の前端部がフロントフレーム15によって連結される。
【0026】
前記各サイドフレーム12の前,後端部には、前側マウント部16および後側マウント部17が設けられ、サブフレーム11は前側マウント部16を介してサイドメンバ1の前端部に垂設した座部18の下面にボルト・ナット等の締結部材を介して結合する一方、後側マウント部17を介して前記フロア骨格メンバ8の下面に同様に結合することにより、前記サブフレーム11はサイドメンバ1とフロア骨格メンバ8とに跨って結合配置してある。
【0027】
前記サイドフレーム12、前記リヤフレーム13および前記フロントフレーム15はアルミ合金等の軽量金属材料を押出し形成して別体に形成するとともに、後側マウント部17の形成部分17aは同様の金属材料を鋳造成形して形成し、それぞれの構成部品を結合してサブフレーム11が構成される。
【0028】
二股部14は、サイドフレーム12とリヤフレーム13との結合部分に構成され、リヤフレーム13側に向けて延びる内側ブランチ部14aと、サイドフレーム12よりも車幅方向外側に張り出す外側ブランチ部14bとに分岐して構成してある。
【0029】
従って、前記内側ブランチ部14aは、リヤフレーム13の両端部に設けられ、内側ブランチ部14aとリヤフレーム13とは一体として押出し成形されることになる。
【0030】
このようにサイドフレーム11に二股部14が設けられることにより、図3に示すように車両M,M′同士がオフセット前面衝突して、図4(b)に示すようにサイドフレーム11に前方からの衝突荷重Fが入力した場合、サブフレーム11には二股部14の内側ブランチ部14aからリヤフレーム13を介して他方のサイドフレーム12に伝達する第1経路Aと、外側ブランチ部14bから後側マウント部17を介してフロア骨格メンバ8(図1参照)に伝達する第2経路Bと、の2つの荷重伝達経路が構成される。
【0031】
ここで、本実施形態では前記サイドフレーム12の前半部(図中上半部)を、図4(a)に示すように前側マウント部16と後側マウント部17とを結ぶ直線Lに対して車幅方向内方(図中左方)に向けて湾曲形成(湾曲部分Ca)する。このとき、前記二股部14は前記直線Lよりも車幅方向内方に配置されるように設定される。
【0032】
また、前記二股部14から前記後側マウント17に至るサイドフレーム12の後半部(図中下半部)を、前記直線Lよりも車幅方向外方(図中右方)に突出するように屈曲形成(屈曲部分Ba)してある。
【0033】
以上の構成によりこの第1実施形態の車体前部構造によれば、図5に示すように車両Mが相手側車両M′にオフセット前面衝突すると、サブフレーム11の右側のサイドフレーム12Rの前端部から軸方向に衝突荷重Fが集中して入力される。
【0034】
すると、前記衝突荷重Fはサイドフレーム12Rの前半部を介して二股部14に入力され、内側ブランチ部14aを通る第1経路Aと外側ブランチ部14bを通る第2経路Bとに分散され、第1経路Aに分散された荷重成分Faはリヤフレーム13から他方のサイドフレーム12Lに伝達される一方、第2経路Bに分散された荷重成分Fbは後側マウント部17からフロア骨格メンバ8に伝達される。
【0035】
前記第2経路Bにおける後側マウント部17の結合部では、サブフレーム11の前後方向剛性が存在する限り前後方向の荷重成分Fcは残るが、前述したように二股部14で車幅方向の荷重成分Fa,Fbが発生することで、前記前後方向の荷重成分Fcは前端入力荷重Fに較べて極めて小さくなる。
【0036】
その結果、サブフレーム11に入力された衝突荷重Fは直ちにキャビンCのフロア5前部に集中することなく、第1経路Aおよび第2経路Bを介して車幅方向に広がる荷重成分Fa,Fbに置き換わって、キャビンCのフロア骨格メンバ8に効率的に分散吸収される。
【0037】
一方、前記サイドフレーム12は前半部が、前側マウント部16と後側マウント部17とを結ぶ直線Lに対して車幅方向内方に向けて湾曲部分Caを形成してあるため、この湾曲形成された前半部は図4(b)に示すように前記衝突荷重Fにより内側方向へ変形し、リヤフレーム13を圧縮して反対側のサイドフレーム12Lに作用するが、このときの荷重Fsの反作用によって前記二股部14は外側方向(図中右方)に押し出されて後側マウント部17に車幅方向外方への荷重Foとして作用する。
【0038】
従って、前記衝突荷重Fは、後側マウント部17を外側方向に押し出す荷重成分の割合が大きくなって、キャビンCを押し潰す方向、つまり後方への荷重成分Fcをより減少し、キャビンCの変形をより効果的に抑制することができる。
【0039】
このように、右側のサイドフレーム12Rの二股部14によって外側ブランチ部14bの後側マウント部17を車両後方かつ車幅方向外側へ押し出すように作用する変換荷重は、フロア側部の最も剛性の高いエクステンションサイドメンバ2とアウトリガー7とサイドシル6との集合部分で受け止められ、これら各骨格メンバ2,7,6に分散吸収される。
【0040】
また、前記後側マウント部17をエクステンションサイドメンバ2の前端部付近に結合してあるため、この後側マウント部17から伝達される荷重をエクステンションサイドメンバ2およびその周辺のフロアパネル5の抵抗で支えて、荷重の分散伝達を良好に行うことができ、しかも、外側ブランチ部14bのサイドフレーム12からの突出量を小さくできて、サブフレーム11の小型、軽量化を達成することができる。
【0041】
更に、本実施形態では左右一対のサイドフレーム12の前端部をフロントフレーム15を介して車幅方向に結合してあるため、サブフレーム11の剛性が高くなってパワーユニット10等の車両ユニット部品の搭載支持安定性を高めることができる。
【0042】
図6〜図8は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。尚、図6はサブフレームの斜視図、図7は車両の斜め側面オフセット衝突の状態を示す説明図、図8はサブフレームの衝突前(a)と衝突後(b)の状態を示す略示的平面説明図である。
【0043】
この第2実施形態に適用されるサブフレーム11aは、図6に示すように前側マウント部16および後側マウント部7を設けた左右一対のサイドフレーム12と、サブフレーム11aの後側部で一対のサイドフレーム12に車幅方向に連設したリヤフレーム13と、サイドフレーム12のリヤフレーム13連設部分に設けた二股部14とを備えて構成し、また、更にサイドフレーム12の前端部を連設するフロントフレーム15を設けてある。
【0044】
そして、この第2実施形態では前記サイドフレーム12の前半部を、図8(a)に示すように前側マウント部16と後側マウント部17とを結ぶ直線Lに略沿って配置するとともに、このサイドフレーム12の後半部を、前記二股部14が前記直線Lよりも車幅方向内方(図中左方)に位置するように、前半部から後半部に至る部分に後方かつ内方に傾斜する傾斜部分12aを形成しつつ内側方向に湾曲形成(湾曲部分Cb)してある。
【0045】
勿論、前記二股部14は内側ブランチ部14aと外側ブランチ部14bを備え、前方からの衝突荷重Fを内側ブランチ部14aを介してリヤフレーム13から他方のサイドフレーム12Lに伝達する第1経路Aと、外側ブランチ部14bを介して後側マウント部17からフロア骨格メンバ8(図1参照)に伝達する第2経路Bと、の2つの荷重伝達経路を構成してある。
【0046】
前記サイドフレーム12、前記リヤフレーム13および前記フロントフレーム15は、アルミ合金等の軽量金属材料を押出し形成して別体に形成し、後側マウント部17はサイドフレーム12の後端部に直接に設けてあり、それぞれの構成部品を結合してサブフレーム11aが構成される。
【0047】
従って、この第2実施形態の車体前部構造によれば、前記第1実施形態と同様に、図3に示したオフセット前面衝突によって一方のサイドフレーム12Rに入力された衝突荷重Fを、二股部14によって第1経路Aと第2経路Bに分散して、リヤフレーム13から他方のサイドフレーム12Lに伝達する一方、後側マウント部17からフロア骨格メンバ8に伝達して、このフロア骨格メンバ8に分散吸収させることができる。
【0048】
また、この第2実施形態では前記二股部14が前記直線Lよりも車幅方向内方に位置するように、サイドフレーム12の後半部を内側方向に湾曲形成したので、この湾曲形成された後半部は前記衝突荷重Fにより内側方向へ変形し、これに伴って二股部14が内側方向に押しやられるときに、反対側のサイドフレーム12Lの反作用によって前記二股部14は外側方向に押し出されて、後側マウント部17に車幅方向外方への荷重として作用する。
【0049】
特に、この第2実施形態のサブフレーム11aは、サイドフレーム12の後半部が湾曲形成される前半部から後半部に至る部分に、後方かつ内方に傾斜する傾斜部分12aが形成されているので、図7に示すように車体M前方部の側面に衝突する斜め側面オフセット衝突時に、図8(b)に示すようにこのときの衝突荷重F′を前記傾斜部分12aの軸方向で受けることができる。
【0050】
従って、前記斜め側面オフセット衝突時の衝突荷重F′を二股部14に効率良く入力できることにより、前記第1実施形態の前記オフセット前面衝突時と同様に、二股部14によって第1経路Aと第2経路Bへと分散してキャビンCのフロア骨格メンバ8に効率的に分散吸収できる。
【0051】
尚、前記第1,第2実施形態にあって、後側マウント部17はエクステンションサイドメンバ2の前端部に結合するのみならず、アウトリガー7やサイドシル6の前端部に結合することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における自動車の前部を下側から見た斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態におけるサブフレームの斜視図。
【図3】本発明の第1実施形態における車両のオフセット前面衝突の状態を示す説明図。
【図4】本発明の第1実施形態におけるサブフレームの衝突前(a)と衝突後(b)の状態を示す略示的平面説明図。
【図5】本発明の第1実施形態におけるオフセット前面衝突時の荷重伝達経路を示す平面説明図。
【図6】本発明の第2実施形態におけるサブフレームの斜視図。
【図7】本発明の第2実施形態における車両の斜め側面オフセット衝突の状態を示す説明図。
【図8】本発明の第2実施形態におけるサブフレームの衝突前(a)と衝突後(b)の状態を示す略示的平面説明図。
【符号の説明】
1 サイドメンバ(骨格メンバ)
2 エクステンションサイドメンバ
6 サイドシル
7 アウトリガー
8 フロア骨格メンバ
10 車両ユニット部品
11,11a サブフレーム
12 サイドフレーム
12a 傾斜部分
12R 一方のサイドフレーム
12L 他方のサイドフレーム
13 リヤフレーム
14 二股部
14a 内側ブランチ部
14b 外側ブランチ部
16 前側マウント部
17 後側マウント部
Ca,Cb 湾曲部分
Ba 屈曲部分
A 第1経路
B 第2経路
Ba 屈曲部分
F・C フロントコンパートメント
C キャビン
F,F′ 衝突荷重
Claims (2)
- フロントコンパートメントの下側部で、このフロントコンパートメントの骨格メンバとキャビンのフロア骨格メンバとに跨ってサブフレームを結合配置し、このサブフレームに車両ユニット部品を搭載した構造であって、
前記サブフレームは、前記骨格メンバに結合する前側マウント部と前記フロア骨格メンバに結合する後側マウント部とを有して前後方向に延在した左右一対のサイドフレームと、
前記サブフレームの後側部で左右一対の前記サイドフレームに車幅方向に連設したリヤフレームと、
前記サイドフレームの前記リヤフレーム連設部分に設けられ、このリヤフレーム側に向けて延びてこのリヤフレームに結合する内側ブランチ部と、車幅方向外側に張り出して前記後側マウント部に連なる外側ブランチ部とに分岐した二股部と、を備え、
前記サイドフレームの前半部を、前記前側マウント部と前記後側マウント部とを結ぶ直線に対して車幅方向内方に向けて湾曲形成するとともに、前記二股部をこの直線よりも車幅方向内方に配置し、かつ、前記二股部と前記後側マウント部との間の後半部を前記直線よりも車幅方向外方に突出するように屈曲形成し、
前記サブフレームに、サイドフレームに入力した前方からの衝突荷重を、前記二股部の内側ブランチ部からリヤフレームを介して車幅方向内側に向けて他方のサイドフレームに伝達する第1経路と、外側ブランチ部から後側マウント部を介してフロア骨格メンバに車両後方かつ車幅方向外側へ押し出すように伝達する第2経路と、で車幅方向に広がる荷重成分に変換する2つの荷重伝達経路を構成したことを特徴とする車体前部構造。 - フロントコンパートメントの下側部で、このフロントコンパートメントの骨格メンバとキャビンのフロア骨格メンバとに跨ってサブフレームを結合配置し、このサブフレームに車両ユニット部品を搭載した構造であって、
前記サブフレームは、前記骨格メンバに結合する前側マウント部と前記フロア骨格メンバに結合する後側マウント部とを有して前後方向に延在した左右一対のサイドフレームと、
前記サブフレームの後側部で左右一対の前記サイドフレームに車幅方向に連設したリヤフレームと、
前記サイドフレームの前記リヤフレーム連設部分に設けられ、このリヤフレーム側に向けて延びてこのリヤフレームに結合する内側ブランチ部と、車幅方向外側に張り出して前記後側マウント部に連なる外側ブランチ部とに分岐した二股部と、を備え、
前記サイドフレームの前半部を、前記前側マウント部と前記後側マウント部とを結ぶ直線に略沿って配置するとともに、このサイドフレームの後半部を、前記二股部が前記直線よりも車幅方向内方に位置するように、前半部から後半部に至る部分に後方かつ内方に傾斜する傾斜部分を形成しつつ内側方向に湾曲形成し、
前記サブフレームに、サイドフレームに入力した前方からの衝突荷重を、前記二股部の内側ブランチ部を介してリヤフレームから車幅方向内側に向けて他方のサイドフレームに伝達する第1経路と、外側ブランチ部を介して後側マウント部からフロア骨格メンバに車両後方かつ車幅方向外側へ押し出すように伝達する第2経路と、で車幅方向に広がる荷重成分に変換する2つの荷重伝達経路を構成したことを特徴とする車体前部構造。
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