JP2013169042A - モーターのステーター・コア及び製造方法 - Google Patents

モーターのステーター・コア及び製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁気特性をより向上可能としたモーターのステーター・コア及び製造方法を提供する。
【解決手段】環状のヨーク部3及びこのヨーク部3の内周に径方向内側へ突出するティース部5からなりヨーク部3の外周縁3aがモーター・ケース7の内周面7aに取り付けられるモーターのステーター・コア1であって、ヨーク部3は、モーター・ケース7から径方向内側へ押圧力を受けて変位した変位部Dと、この変位部Dの変位に応じ変形して引張応力σ1を発生させティース部5との間で磁束を通す引張応力域Aを形成した、又はモーター・ケース7からの押圧力で発生する圧縮応力σ2を相殺した変形部Tとを有し、変位部Dは、ヨーク部3のモーター・ケース7への取り付け前に、取り付けられた後のモーター・ケース7の内周面7aの内径寸法よりも径方向外側へ突出し、ヨーク部3のモーター・ケース7への締め代を持った取り付けにより変位を行ったことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

この発明は、モーターのステーター・コア及び製造方法に関する。
従来、特許文献1,2,3に記載された図19〜図24に記載されたものがある。
図19は、ステーター・コアをコア・ケースに焼きバメした状態を示す要部正面図、図20は、ステーター・コアの要部正面図、図21は、ステーター・コアをコア・ケースに焼きバメした状態を示す要部正面図、図22は、ステーター・コアをコア・ケースに焼きバメした状態を示す断面図である。
図19〜図24では、何れも、モーターのステーター・コア101A,101B,10
1Cのステーター・コア分割体103A,103B,103Cが、環状に接合され、焼きバメにより環状部材であるコア・ケース105A,105B,105Cに収納固定されている。
ここで、焼きバメ時に、各ステーター・コア分割体103A,103B,103Cの周方向に発生する圧縮応力により鉄損が増大してモーターの出力効率が低下するという問題がある。
この問題に対し、図19、図20のステーター・コア101Aでは、圧縮応力が発生しないようにスリット101Aaをいれ、図21、図22のステーター・コア103B,103Cでは、圧縮応力を軽減する孔103Ba,103Caを形成している。
しかし、スリット101Aaや孔103Ba,103Caは、その部分で磁気抵抗の増大を招くため、磁気特性を低下させる問題がある。
一方、スリットや孔を形成せずに、ステーター・コアが受ける押圧力を低減させるものとして、特許文献4に記載された図23、図24に示す例がある。図23は、ステーター・コアをコア・ケースに焼きバメした状態での応力発生状態を示す要部正面図、図24は、ステーター・コアをコア・ケースに焼きバメした状態での磁束形成状態を示す要部正面図である。
図23、図24では、ステーター・コア101Dが有するヨーク部101Daの半径方向厚さaを、コア・ケース105Dの半径方向厚さbよりも小さく形成したものである。
このような厚さa、bの設定により、図23のように、コア・ケース105Dに引張応力を発生させ、図24のように、コア・ケース105Dに磁束を通すようにした。
しかし、ティース部107Dにより近いヨーク部101Daに大きな圧縮応力が働くことになり、ティース部107D及びコア・ケース105D間に存在するヨーク部101Daでの磁気抵抗の低下に難点があった。
特開2005−51941号公報 特開2009−261162号公報 特開2002−136013号公報 特開2011−125180号公報
解決しようとする問題点は、スリットや孔による圧縮応力の低減は、磁気抵抗の増大を招いて磁気特性を低下させ、環状部材及びヨーク部の厚み設定では磁気抵抗の低下に難点があった点である。
本発明は、磁気特性をより向上可能とするため、環状のヨーク部及びこのヨーク部の内周に径方向内側へ突出するティース部からなりヨーク部の外周縁が環状部材の内周面に取り付けられたモーターのステーター・コアであって、前記ヨーク部は、前記環状部材から径方向内側へ押圧力を受けて変位した変位部と、この変位部の変位に応じ変形して引張応力を発生させ前記ティース部との間で磁束を通す引張応力域を形成し、又は前記環状部材からの押圧力で発生する圧縮応力を相殺した変形部とを有し、前記変位部は、前記ヨーク部の前記環状部材への取り付け前に前記取り付けられた後の環状部材の内周面の内径寸法よりも径方向外側へ突出し、前記ヨーク部の前記環状部材への締め代を持った取り付けにより前記変位を行ったことを特徴とする。
前記モーターのステーター・コアを製造するためのステーター・コア製造方法であって、 前記変位部及び変形部を備える複数のステーター・コア分割体を加工する分割体加工工程と、前記複数のステーター・コア分割体を前記各分割縁の周方向での対向により環状に配置し前記環状部材の内周面に径方向内側への締め代を持って取り付け前記変位部の変位による前記変形部の変形を行わせる組付け工程とを備えたことをステーター・コア製造方法の特徴とする。
前記モーターのステーター・コアを製造するためのステーター・コア製造方法であって、前記変位部及び変形部を備え前記環状部材への取り付け前のリング状のステーター・コアを形成するコア加工工程と、前記ステーター・コアを前記環状部材の内周に径方向内側への締め代を持って取り付け前記変位部の変位による前記変形部の変形を行わせる組付け工程とを備えたことをステーター・コア製造方法の特徴とする。
本発明のモーターのステーター・コアは、上記構成であるため、環状部材から径方向内側へ押圧力を受けて変位した変位部の変位に応じ変形部が変形して引張応力を発生させることができる。この引張応力により、ティース部との間で磁束を通す引張応力域をヨーク部に形成し、又は環状部材からの押圧力で発生するヨーク部の圧縮応力を相殺することができる。
このため、ステーター・コアのヨーク部の引張応力域により、ヨーク部の磁気抵抗を低減させ、或いはヨーク部の圧縮応力を低減し又は零として磁気抵抗を低減させることができる。
したがって、磁束の多くがヨーク部の引張応力域を通り、又は圧縮応力が零のヨーク部全体を通ることができ、鉄損などの磁気損失を少なくすることができる。
本発明のステーター・コア製造方法は、上記構成であるから、複数のステーター・コア分割体を製造し、この複数のステーター・コア分割体を周方向に環状に合わせて環状部材の内周に径方向内側への締め代を持って取り付けることで、引張応力域を形成し、又は圧縮応力を低減し又は零にすることができる。
本発明のステーター・コア製造方法は、上記構成であるから、ステーター・コア半製品を製造し、ステーター・コア半製品を前記環状部材の内周に径方向内側への締め代を持って取り付けることで、引張応力域を形成し、又は圧縮応力を低減し又は零にすることができる。
ステーター・コアをモーター・ケースに焼きバメした状態を示す要部正面図である。(実施例1) ステーター・コアの周側面図である。(実施例1) ステーター・コアの積層を示す断面図である。(実施例1) ステーター・コア製造方法を示す工程図である。(実施例1) 分割体加工工程で加工されるステーター・コア分割体を示す要部正面図である。(実施例1) 焼きバメ前におけるステーター・コア分割体の合わせ状態を焼きバメ収縮前のモーター・ケースと共に示す要部正面図である。(実施例1) ステーター・コアをモーター・ケースに焼きバメした状態を示す要部正面図である。(実施例2) 焼きバメ前におけるステーター・コア分割体の合わせ状態を焼きバメ収縮前のモーター・ケースと共に示す要部正面図である。(実施例2) ステーター・コアをモーター・ケースに焼きバメした状態を示す要部正面図である。(実施例3) 焼きバメ前におけるステーター・コア分割体の合わせ状態を示す要部正面図である。(実施例3) ステーター・コアをモーター・ケースに焼きバメした状態を示す要部正面図である。(実施例4) 焼きバメ前におけるステーター・コア分割体の合わせ状態を示す要部正面図である。(実施例4) ステーター・コアをモーター・ケースに焼きバメした状態を示す要部正面図である。(実施例5) ステーター・コア製造方法を示す工程図である。(実施例5) 焼きバメ前のステーター・コアの状態を示す要部正面図である。(実施例5) 焼きバメ前のステーター・コアを焼きバメ収縮前のモーター・ケースと共に示す要部正面図である。(実施例5) 焼きバメ前のステーター・コアを焼きバメ収縮前のモーター・ケースと共に示す要部正面図である。(実施例6) ステーター・コアをモーター・ケースに焼きバメした状態を示す要部正面図である。(実施例6) ステーター・コアをコア・ケースに焼きバメした状態を示す要部正面図である。(従来例) ステーター・コアの要部正面図である。(従来例) ステーター・コアをコア・ケースに焼きバメした状態を示す要部正面図である。(従来例) ステーター・コアをコア・ケースに焼きバメした状態を示す断面図である。(従来例) ステーター・コアをコア・ケースに焼きバメした状態での応力発生状態を示す要部正面図である。(従来例) ステーター・コアをコア・ケースに焼きバメした状態での磁束形成状態を示す要部正面図である。(従来例)
磁気特性をより向上可能にするという目的を、環状のヨーク部3及びこのヨーク部3の内周に径方向内側へ突出するティース部5からなりヨーク部3の外周縁3aが環状部材7の内周面7aに取り付けられるモーターのステーター・コア1であって、ヨーク部3は、環状部材7から径方向内側へ押圧力を受けて変位した変位部Dと、この変位部Dの変位に応じ変形して引張応力σ1を発生させティース部5との間で磁束を通す引張応力域Aを形成した、又は環状部材7からの押圧力で発生する圧縮応力σ2を相殺した変形部Tとを有し、変位部Dは、ヨーク部3の環状部材7への取り付け前に、取り付けられた後の環状部材7の内周面7aの内径寸法よりも径方向外側へ突出し、ヨーク部3の環状部材7への締め代を持った取り付けにより変位を行ったモーターのステーター・コア1により実現した。
図1は、ステーター・コアをモーター・ケースに焼きバメした状態を示す要部正面図、
図2は、ステーター・コアの周側面図、図3は、ステーター・コアの積層を示す一部省略断面図である。
図1〜図3のように、ステーター・コア1は、例えば磁性体の電磁鋼板で形成され、円環状のヨーク部3及びこのヨーク部3の内周に径方向内側へ突出する複数のティース部5からなっている。ヨーク部3の外周縁3aは、ほぼ円形に形成され、ティース部5間で内周縁3b、3cは、周方向対称に直線的に形成され、角度をもって交差している。
ステーター・コア1は、多数枚が積層され、積層状態の各ヨーク部3の外周縁が環状部材であるモーター・ケース7の内周面7aに締め代を持って取り付けられている。この取り付けは、例えば焼きバメにより行われる。ヨーク部3は、モーター・ケース7の径方向内側への締め代を持って取り付けられ、外周縁3aと内周面7aとは、隙間なく接合し、ほぼ同一の曲率となっている。
ヨーク部3は、変位部D及び変形部Tを有している。
変位部Dは、モーター・ケース7から径方向内側へ押圧力を受けて変位したものである。
変形部Tは、変位部Dの変位に応じ変形したものでヨーク部3に引張応力σ1を発生させている。この引張応力σ1で各ティース部5との間で磁束を通す引張応力域Aを形成する。発生した引張応力σ1によりモーター・ケース7からの押圧力で発生する圧縮応力σ2を相殺し、圧縮応力を低減し又は零にすることもできる。
ステーター・コア1は、複数のステーター・コア分割体9で構成されている。各ステーター・コア分割体9は、ヨーク部3が内外周に渡る分割線11により周方向複数に分割されたものである。
各ステーター・コア分割体9は、ヨーク部構成部9aを備えたティース部5毎に構成されている。各ステーター・コア分割体9が各分割線11で各分割縁11a、11bを周方向へ対向させ環状に配置されている。
ヨーク部3は、分割線11による分割で径方向内外のアウター部13及びインナー部15を有している。
各アウター部13は、ヨーク部構成部9aの周方向一側に沿って突出するように配置され、インナー部15は、アウター部13よりも内径側でヨーク部構成9aの周方向他側に沿って突出するように配置されている。
本実施例では、各アウター部13が各ヨーク部構成部9aの外周側で周方向に渡っており、各ティース部5の周方向一側におけるアウター部13の一側13aは、同他側13bよりも長さが長く設定されている。
各アウター部13の一側13aでは、径方向内縁側に、周方向への凸部17が突設されている。各アウター部13の他側13bの内径側には、インナー部15の外径側との間に凹部19を形成している。
各アウター部13の一側13a先端13aaが隣接する各アウター部13の他側13b先端13baに隙間なく対向し、各凸部17が各凹部19に隙間なく嵌合している。この各アウター部13間での凹凸部19、17の嵌合は、各ステーター・コア分割体9間に設けられた係合部を構成し、一方のステーター・コア分割体9の変形部Tを他方のステーター・コア分割体9に係合させて変形の起因とする。
各アウター部13の径方向内縁13cと各インナー部15の径方向外縁15aとが隙間なく対向し、各インナー部15の先端縁15bが各ティース部5に周方向へ隙間なく対向している。
分割線11は、ヨーク部3内外周に至って形成されている。すなわち、分割線11は、各ステーター・コア分割体9の隣接間で、各アウター部13の一側13a及び他側13b間から、各凸部17及び各凹部19間、各アウター部13の径方向内縁13c及び各インナー部15の径方向外縁15a間、各インナー部15の先端縁15b及び各ティース部5間に渡っている。
各アウター部13の径方向外縁13dは、モーター・ケース7の内周面7aに沿って変形し、内周面7aとほぼ同一の曲率となっている。但し、各径方向外縁13d間と内周面7aとの間に、多少の隙間が形成されることもある。
[ステーター・コア製造方法]
図4は、ステーター・コア製造方法を示す工程図、図5は、分割体加工工程で加工されるステーター・コア分割体を示す要部正面図、図6は、焼きバメ前におけるステーター・コア分割体の合わせ状態を焼きバメ収縮前のモーター・ケースと共に示す要部正面図である。
図4のように、本実施例のステーター・コア製造方法は、モーターのステーター・コア1を製造するための分割体加工工程S1及び組付け工程S2を備えている。
分割体加工工程S1は、図1で示す分割線11により分割された図5のような周方向複数のステーター・コア分割体9、・・・を形成する。
各ステーター・コア分割体9には、ヨーク部構成部9a、アウター部15、凸部17及び凹部19を有するアウター部13がそれぞれ形成され、変位部D及び変形部Tを備えている。
各アウター部13の径方向外縁13dは、モーター・ケース7への取り付け前に、取り付け後の焼きバメ収縮した内周面7aの内径よりも曲率の大きな弧状に形成される。各アウター部13の径方向内縁13cには、凸部17側の直線縁部13caと各ティース部5一側の直線縁部13cbとが形成され、相互に交差設定される。
各インナー部15の径方向外縁15aには、凹部19側の直線縁部15aaと各インナー部15の先端縁15b側の直線縁部15abとが形成され、相互に交差設定される。
各インナー部15の径方向内縁15cに、前記ヨーク部3の内周縁3b、3cが形成される。
組付け工程S2では、図6のように、各ステーター・コア分割体9が、各分割縁11a、11bを周方向に対向させて環状に配置される。
モーター・ケース7への焼きバメによる取り付け前に、環状に合わせた各ステーター・コア分割体9の各アウター部13の径方向外縁13d側は、変位部Dとして、組付け後の図1における焼きバメ収縮した内周面7aの内径寸法、換言すれば、焼きバメによる取り付け後のヨーク部3の外周縁3aの外形寸法よりも径方向外側へ突出する。この突出で、各径方向外縁13dとモーター・ケース7の焼きバメ収縮前の内周面7aaとの間に隙間が形成される。
各アウター部13の一側13a先端13aaと隣接する各アウター部13の他側13b先端13baとの間にも隙間が形成される。
各アウター部13の径方向内縁13cの直線縁部13cbは、ヨーク部3が固定されるモーター・ケース7炊きバメ収縮前に、各インナー部15の径方向外縁15aの直線縁部15abとの間に隙間を形成する。
各インナー部15の先端縁15bは、モーター・ケース7の焼きバメ収縮前に、各ティース部5の一側に対して隙間を有し、凸部17、凹部19間にも隙間を有している。
周方向へ環状に配置された各ステーター・コア分割体9は、モーター・ケース7の内周に焼きバメにより径方向内側への締め代を持って取り付けられ、図1の状態となる。
すなわち、各アウター部13の変位部Dがモーター・ケース7から径方向内側への押圧力を受けて径方向内側へ変位し、凹凸部19、17の係合を介してアウター部13が矢印のように変形して変形部Tを変形させ、径方向外縁13dが焼きバメ収縮後の内周面7aに沿う状態となる。
この状態で、径方向外縁13d及び内周面7a間の隙間、及び直線縁部13cbと直線縁部15abとの間の隙間が吸収される。
変位部Dの変位により、各インナー部15の先端縁15b及び各ティース部5間の隙間、凹凸部19、17間の隙間もなくなる。
なお、モーター・ケース7への焼きバメ前に各ステーター・コア分割体9を環状に配置したとき、各インナー部15の先端縁15b及び各ティース部5間、凸部17及び凹部19間を、周方向に隙間のない対向を行わせて前記組み付けを行わせることもできる。
アウター部13の変位部Dの変位に応じて変形部Tが変形すると、アウター部13の径方向外縁13dが内周面7aに摩擦係合する。
[実施例1の作用効果]
本発明の実施例1では、環状のヨーク部3及びこのヨーク部3の内周に径方向内側へ突出するティース部5からなりヨーク部3の外周縁3aがモーター・ケース7の内周面7aに取り付けられるモーターのステーター・コア1であって、ヨーク部3は、モーター・ケース7から径方向内側へ押圧力を受けて変位した変位部Dと、この変位部Dの変位に応じ変形して引張応力σ1を発生させティース部5との間で磁束を通す引張応力域Aを形成した、又はモーター・ケース7からの押圧力で発生する圧縮応力σ2を相殺した変形部Tとを有し、変位部Dは、ヨーク部3のモーター・ケース7への取り付け前に、取り付けられた後のモーター・ケース7の内周面7aの内径寸法よりも径方向外側へ突出し、ヨーク部3のモーター・ケース7への締め代を持った取り付けにより変位を行った。
このように、変形部Tの変位部Dの変位に応じた変形でヨーク部3では、図1のように、内径側で引張応力σ1が発生し、この引張応力σ1で各ティース部5との間で磁束を通す引張応力域Aを形成することができる。
また、発生した引張応力σ1によりモーター・ケース7からの押圧力で発生する圧縮応力σ2を相殺し、圧縮応力を低減し又は零にすることもできる。
したがって、磁束の多くが引張応力域Aを含めたヨーク部3の内径側を通り、又は圧縮応力σ2が低減し又は零のヨーク部3全体を通ることができ、鉄損などの磁気損失を少なくすることができる。このため、磁束を効率よく通すことができ、モーターの出力効率をより向上させることができる。
ヨーク部3での内外周に渡る分割線11での分割により周方向複数に分割されティース部5及びヨーク部構成部9aを備えたステーター・コア分割体9を有し、この各ステーター・コア分割体9を各分割による分割縁11a、11b相互を周方向に対向させて環状に配置し、各ステーター・コア分割体9間に、一方のステーター・コア分割体9の変形部Tを他方のステーター・コア分割体9に係合させて変形の起因とする係合部17、19を設けた。
このため、ステーター・コア1を各ステーター・コア分割体9で構成でき、分割周方向へ環状に配置した各ステーター・コア分割体9において、各凹凸部17、19を起因とした変位部Dの変位を確実に行わせ、モーター・ケース7へ確実に固定し、上記効果を奏することができる。
ヨーク部3は、各分割で周方向へ形成した径方向外内のアウター部13及びインナー部15を有し、アウター部13を、ヨーク部構成部9aの周方向一側に沿って突出するように配置し、インナー部15を、アウター部13よりも内径側でヨーク部構成部9aの周方向他側に沿って突出するように配置し、アウター部13の径方向外縁13d側は、変位部Dとしてヨーク部3のモーター・ケース7への取り付け前に径方向外側への突出を行わせ、アウター部13の径方向内縁13c側は、変形部Tとしてヨーク部3のモーター・ケース7への取り付け前にインナー部15の径方向外縁15aとの間に隙間を有し、ヨーク部3のモーター・ケース7への焼きバメによる締め代を持った取り付けにより変位部Dの変位及び変形部Tの変形を行わせた。
したがって、モーター・ケース7への焼きバメによる取り付けでアウター部13の変位部Dが径方向内側へ押圧力を受けて変位し、変形部Tが変形する。
この変形部Tの変位部Dの変位に応じた変形で、各アウター部13では、径方向内縁13c側で引張応力σ1が発生し、この引張応力σ1で各ティース部5との間で磁束を通す引張応力域Aを形成することができる。
また、発生した引張応力σ1によりモーター・ケース7からの押圧力で発生する各アウター部13の径方向外縁13d側で発生する圧縮応力σ2を相殺し、圧縮応力を低減し又は零にすることもできる。
したがって、磁束の多くが各アウター部13の引張応力域A及びインナー部15を通り、又は圧縮応力σ2が低減し又は零のヨーク部3全体を通ることができ、鉄損などの磁気損失を少なくすることができる。このため、磁束を効率よく通すことができ、モーターの出力効率をより向上させることができる。
各インナー部15は、モーター・ケースへの取り付け前に各ティース部5に対して周方向の隙間を有しモーター・ケースへの取り付けにより隙間なく対向して圧縮応力零の状態又はアウター部13の外径側に圧縮応力が発生したときは外径側よりも圧縮応力が小さい状態(零を含む)となる。
このため、各アウター部13の磁束の通りを確実に向上させることができる。
各アウター部13が図6の湾曲突出状態から図1の状態へ組付けられると、各アウター部13の径方向外縁13dがモーター・ケース7の内周面7aに摩擦係合して確実に固定される。この摩擦係合による固定で、モーター・ケース7への焼きバメによる締め代を減少させ、アウター部13に働く圧縮応力σ2を低減することもできる。
図7、図8は、本発明の実施例2に係り、図7は、ステーター・コアをモーター・ケースに焼きバメした状態を示す要部正面図、図8は、焼きバメ前におけるステーター・コア分割体の合わせ状態を焼きバメ収縮前のモーター・ケースと共に示す要部正面図である。なお、基本的な構成は実施例1と同様であり、同一構成部分には同符号を付し、対応する構成部分には同符号にAを付し、重複した説明は省略する。
図7のように、本実施例のステーター・コア1Aも、各アウター部13A及びインナー部15Aを備えている。
アウター部13Aは、各ティース部5の外径側のヨーク部構成部9Aaの周方向一側に突出するように一体に配置されている。インナー部15Aは、ヨーク部構成部9Aaの周方向他側へ突出するように一体に配置されている。
本実施例では、傾斜面13Aaa、13Abaが係合部を構成する。傾斜面13Aaaは、アウター部13Aの先端に形成され、傾斜面13Abaは、アウター部13Aの基端に形成されている。
図7のモーター・ケース7への焼きバメ状態では、各アウター部13Aの径方向内縁13Acと各インナー部15の径方向外縁15Aaとが隙間なく対向し、各インナー部15Aの先端縁15Abが各ティース部5に隙間なく対向している。
分割線11Aは、ヨーク部3A内外周に至って形成されている。すなわち、分割線11Aは、各アウター部13A間の傾斜面13Aaa、13Abaから、各アウター部13Aの径方向内縁13Ac及び各インナー部15Aの径方向外縁15Aa間、各インナー部15Aの先端縁15Ab及び各ティース部5間に渡る分割縁11Aa、11Abを有している。
各アウター部13Aの径方向外縁13Adは、モーター・ケース7の内周面7aに沿って円形状に連続し、内周面7aとほぼ同一の曲率となっている。
製造に際しては、分割体加工工程S1において、変位部D及び変形部Tを備えたステー
ター・コア分割体9Aを形成し、組付け工程S2では、図8のように、各ステーター・コア分割体9Aが、各分割縁11Aa、11Abを周方向に対向させて環状に配置される。
図8のモーター・ケース7への焼きバメによる取り付け前に、環状に合わせた各ステーター・コア分割体9Aの各アウター部13Aの径方向外縁13Ad側は、変位部Dとして組付け後の図7におけるモーター・ケース7の内周面7aの内径寸法、換言すれば、ヨーク部3Aの外周縁3Aaの外形寸法よりも径方向外側へ突出する。この突出で、図8のように、径方向外縁13Adとモーター・ケースの焼きバメ収縮前の内周面7aaとの間に隙間が形成される。
各アウター部13Aの径方向内縁13Acは、変形部Tの一部としてヨーク部3Aのモーター・ケース7の焼きバメ収縮前に、各インナー部15Aの径方向外縁15Aaとの間に隙間を形成する。この隙間は、例えば径方向内縁13Acの曲率を径方向外縁15Aaの曲率よりも若干大きくすることで設定される。
各インナー部15Aの先端縁15Abは、モーター・ケース7への焼きバメによる取り付け前に、各ティース部5の一側に対して隙間を有している。
周方向へ環状に配置された各ステーター・コア分割体9Aは、モーター・ケース7の内周面7aに焼きバメにより径方向内側への締め代を持って取り付けられ、図7の状態となる。
すなわち、モーター・ケース7の焼きバメ収縮により、各アウター部13Aの変位部Dがモーター・ケース7から径方向内側への押圧力を受けて径方向内側へ変位し、傾斜面13Aaa、13Abaの係合及び傾斜に沿った推力Pによる相対的なずれにより変形部Tを変形させながら径方向外縁13Adが内周面7aに沿う状態となる。
この状態で、径方向外縁13Ad及び内周面7a間の隙間、及び径方向内縁13Acと径方向外縁15Aaとの間の隙間、各インナー部15Aの先端縁15Ab及び各ティース部5間の隙間が吸収される。
なお、モーター・ケース7への焼きバメ前に各ステーター・コア分割体9Aを環状に配置したとき、各インナー部15Aの先端縁15Ab及び各ティース部5間を、周方向に隙間のない対向を行わせて前記組み付けを行わせることもできる。
アウター部13Aの変位部Dの変位に応じて変形部Tが変形すると、図8のように、アウター部13Aは、モーター・ケース7の内周面7aに摩擦係合する。このため、各ステーター・コア分割体9Aを、環状に安定して組み付けることができる。
変形部Tの変位部Dの変位に応じた変形で各アウター部13Aでは、径方向内縁13Ac側で引張応力σ1が発生し、この引張応力σ1で各ティース部5との間で磁束を通す引張応力域Aを形成することができる。
また、発生した引張応力σ1によりモーター・ケース7からの押圧力で発生する各アウター部13Aの径方向外縁13Ad側で発生する圧縮応力σ2を相殺し、圧縮応力を低減し又は零にすることもできる。
こうして、本実施例でも、実施例1同様の作用効果を奏することができる。
なお、実際には、組付け後、各アウター部13Aの径方向内縁13Acと各インナー部15Aの径方向外縁15Aaとの間に若干の隙間が形成されることもある。この隙間は磁束の通る方向に沿ったものとなり、影響はない。
図9、図10は、本発明の実施例3に係り、図9は、ステーター・コアをモーター・ケースに焼きバメした状態を示す要部正面図、図10は、焼きバメ前におけるステーター・コア分割体の合わせ状態を示す要部正面図である。なお、基本的な構成は実施例1と同様であり、同一構成部分には同符号を付し、対応する構成部分には同符号にBを付し、重複した説明は省略する。
本実施例のステーター・コア1Bも、変位部D及び変形部Tを備えた複数のステーター・コア分割体9Bで構成されている。各ステーター・コア分割体9Bは、ヨーク部3Bが内外周に渡る分割線11Bにより周方向複数に分割されて形成されたものである。
図9のモーター・ケース7への焼きバメ状態では、ヨーク部3Bの外周縁3Baが、モーター・ケース7の内周面7aと同一の曲率となっており、径方向内縁には、各ステーター・コア分割体9Bの周方向両側で内周縁3Bb、3Bcが形成されている。
各ステーター・コア分割体9Bは、ヨーク部構成部9Baを備えたティース部5毎に構成されている。各ステーター・コア分割体9Bが各分割線11Bで各分割縁11Ba、11Bbを周方向へ隙間なく対向させ環状に配置されている。
各ステーター・コア分割体9Bは、各ヨーク部構成部9Baに、隙間のない一対のスリット21a、21bと、このスリット21a、21b及び各ヨーク部構成部9Baの隣接間の回転部23a、23bとを備えている。
各スリット21a、21bは、径方向外縁13Bdから径方向の中間部まで形成されている。この各スリット21a、21bの内端部に、孔21aa、21baが形成されている。各ステーター・コア分割体9Bの周方向両側の内周縁3Bb、3Bcには、孔21aa、21baに径方向に対応した半円部25a、25bが形成されている。孔21aa、21ba及び半円部25a、25b間は、変形部Tを構成している。
本実施例では、各回転部23a、23bの周方向対向間の分割縁11Ba、11Bbに設けた凹凸部17B、19Bが係合部を構成する。
製造に際しては、分割体加工工程S1において、変位部D及び変形部Tを備えたステーター・コア分割体9Bを形成し、組付け工程S2では、図10のように、各ステーター・コア分割体9Bが、各分割縁11Ba、11Bbを周方向に対向させて環状に配置される。
図10のモーター・ケース7への焼きバメによる取り付け前に、環状に合わせた各ステーター・コア分割体9Bの各ヨーク部構成部9Baは、径方向外縁13Bdの一部であるスリット21a、21b間の中央部側を変位部Dとして、組付け後の図9における焼きバメ収縮した内周面7aの内径寸法、換言すれば、焼きバメによる取り付け後のヨーク部3Bの外周縁3Baの外形寸法よりも径方向外側へ突出させている。
また、スリット21a、21bは、周方向に開き、このスリット21a、21bの開き状態により回転部23a、23bは、隣接する回転部23b、23aとの間にスリット21a、21bに対応した隙間を形成するように回転前の状態となっている。
図9のモーター・ケース7への焼きバメによる取り付けで、モーター・ケース7からの径方向内側への押圧力が働き、スリット21a、21bを介した変位部Dの変位を行わせ、スリット21a、21b及び隙間を閉じるように回転部23b、23aを回転させて変形部Tの変形を行わせる。
変位部Dの変位に応じて変形部Tが変形すると、図9のように、各ヨーク部構成部9Baの中央部がモーター・ケース7の内周面7aに摩擦係合し、各ステーター・コア分割体9Bを、環状に安定して組み付けることができる。
変形部Tの変位部Dの変位に応じた変形で、引張応力σ1が発生し、この引張応力σ1で各ティース部5との間で磁束を通す引張応力域Aを形成することができる。
また、発生した引張応力σ1によりモーター・ケース7からの押圧力で発生する圧縮応力σ2を相殺し、圧縮応力を低減し又は零にすることもできる。
こうして、本実施例でも、実施例1同様の作用効果を奏することができる。
図11、図12は、本発明の実施例4に係り、図11は、ステーター・コアをモーター・ケースに焼きバメした状態を示す要部正面図、図12は、焼きバメ前におけるステーター・コア分割体の合わせ状態を示す要部正面図である。なお、基本的な構成は実施例3と同様であり、同一構成部分には同符号を付し、対応する構成部分には同符号のBをCに代えて付し、重複した説明は省略する。
本実施例のステーター・コア1Cは、各ステーター・コア分割体9Cの各ヨーク部構成部9Caの中央に単一のスリット21Cを形成した。孔21Caとの間に変形部Tを構成する半円部25Ca、25Cbは、各ヨーク部構成部9Ca及び各ティース部5間のコーナー部に設けた。
したがって、スリット21Cの両側が回転部23Ca、23Cbとして構成され、回転部23Ca、23Cbのスリット21C側が、変位部Dとして構成される。
図12のモーター・ケース7への焼きバメによる取り付け前に、環状に合わせた各ステーター・コア分割体9Cの各ヨーク部構成部9Caは、回転部23Ca、23Cbのスリット21C側を変位部Dとして、組付け後の図11における焼きバメ収縮した内周面7aの内径寸法、換言すれば、焼きバメによる取り付け後のヨーク部3Cの外周縁3Caの外形寸法よりも径方向外側へ突出させている。
また、スリット21Cは、周方向に開き、このスリット21Cの開き状態により回転部23Ca、23Cbは、隣接する回転部23Cb、23Caとの間にスリット21Cに対応した隙間を形成するように回転前の状態となっている。
図11のモーター・ケース7への焼きバメによる取り付けにより、モーター・ケース7からの径方向内側への押圧力が働き、スリット21Cを介した変位部Dの変位を行わせ、スリット21C及び隙間を閉じるように回転部23Cb、23Caを回転させて変形部Tの変形が行われる。
変位部Dの変位に応じて変形部Tが変形すると、図11のように、各ヨーク部構成部9Caの中央部がモーター・ケース7の内周面7aに摩擦係合し、各ステーター・コア分割体9Cを、環状に安定して組み付けることができる。
変形部Tの変位部Dの変位に応じた変形で、引張応力σ1が発生し、この引張応力σ1で各ティース部5との間で磁束を通す引張応力域Aを形成することができる。
また、発生した引張応力σ1によりモーター・ケース7からの押圧力で発生する圧縮応力σ2を相殺し、圧縮応力を低減し又は零にすることもできる。
こうして、本実施例でも、実施例1同様の作用効果を奏することができる
図13〜図16は、本発明の実施例5に係り、図13は、ステーター・コアの要部正面図、図14は、ステーター・コア製造方法を示す工程図、図15は、取付前のステーター・コアを示す要部正面図、図16は、焼きバメ前のステーター・コアを焼きバメ収縮前のモーター・ケースと共に示す要部正面図である。なお、基本的な構成は実施例1と同様であり、同一構成部分には同符号を付し、対応する構成部分には同符号にDを付し、重複説明は省略する。
図13のように、本実施例5のステーター・コア1Dは、ヨーク部3Dを、周方向に連続したリング状とした。
本実施例は、実施例1の係合部である凹凸部19、17を備えず、インナー部15Dが周方向に連続したリング状に形成されたものである。
図14のように、本実施例のステーター・コア製造方法は、モーターのステーター・コア1Dを製造するためのコア加工工程S10及び組付け工程S11を備えている。
コア加工工程S10では、図15で示すステーター・コア1Dを形成する。ステーター・コア1Dは、アウター部13D及びインナー部15Dとヨーク部3D及びティース部5Dとを備え、各アウター部13Dの径方向外縁13Dd側が、径方向外側へ突出している。
図16のように、ステーター・コア1Dの各アウター部13Dの径方向外縁13Dd側は、組付け後の図13における焼きバメ収縮した内周面7aの内径寸法、換言すれば、焼きバメによる取り付け後のヨーク部3Dの外周縁3Daの外形寸法よりも径方向外側へ突出させている。
組付け工程S11では、図15のステーター・コア1Daを板厚方向に積層し、図16のようにモーター・ケース7の内周に配置する。このとき、インナー部15Dとティース部5Dとは一体であり、両者間に隙間は形成されないが、その他の各部の隙間は、実施例1と同様である。
モーター・ケース7の内周に配置されたステーター・コア1Dは、焼きバメにより径方向内側への締め代を持って取り付けられ、図13の状態となる。
アウター部13Dの変位部Dの変位に応じて変形部Tが変形すると、アウター部13Dがモーター・ケース7の内周面7aに押し付けられて摩擦係合し、各ステーター・コア1Dの固定を確実に行わせることができる。
変形部Tの変位部Dの変位に応じた変形で各アウター部13Dでは、径方向内縁13Dc側で引張応力σ1が発生し、この引張応力σ1で各ティース部5との間で磁束を通す引張応力域Aを形成することができる。
また、発生した引張応力σ1によりモーター・ケース7からの押圧力で発生する各アウター部13Dの径方向外縁13Dd側で発生する圧縮応力σ2を相殺し、圧縮応力を低減し又は零にすることもできる。
したがって、本実施例でも、実施例1と同様な作用効果を奏することができる。
しかも、ステーター・コア1Daは、分割されていないため、取り扱いが容易であり、部品点数も少なく、組み立て、部品管理が容易となる。
なお、組付け後、各アウター部13Dの径方向内縁13Dcと各インナー部15Dの径方向外縁15Daとの間に若干の隙間が形成されることもある。この隙間は磁束の通る方向に沿ったものとなり、影響はない。
図17、図18は、本発明の実施例6に係り、図17は、焼きバメ前のステーター・コアを焼きバメ収縮前のモーター・ケースと共に示す要部正面図、図18は、ステーター・コアをモーター・ケースに焼きバメした状態を示す要部正面図である。なお、基本的な構成は実施例5と同一であり、符号のDをEに代えて付し、重複説明は省略する。 図17、図18のように、本実施例6のステーター・コア1Eは、実施例5と同様に、ヨーク部3Eを、周方向に連続したリング状とした。
本実施例のヨーク部3Eでは、アウター部13Eの周方向長を実施例5よりも長く形成した。
図18のように、ステーター・コア1Eをモーター・ケース7に焼きバメ等により締め代を持って固定すると、実施例5同様に各アウター部13Eの径方向外縁13Ed側が、径方向内側へ押圧される。この押圧でモーター・ケース7の内周面7aに対し半径方向外径側への推力が発生し、同時にアウター部13Eが周方向へ真っ直ぐに伸びようとする。
これによって、各アウター部13Eの周方向一側13Ea先端13Eaaが隣接する各アウター部13Eの周方向他側13Eb先端13Ebaに強く当接し、その接触面に推力が発生すると同時に各アウター部13Eに円周方向の圧縮応力が発生する。
この圧縮応力に応じてアウター部13Eの円周方向に圧縮応力が発生する。その圧縮応力によって各アウター部13E自身が円周方向へ伸びようとする力が発生する。この力によってインナー部15Eも円周方向に伸ばされて全体に引張応力が発生する。この引張応力によってヨーク部3Eの透磁率を高めて、鉄損を低減させることにより、モータの出力・効率を上昇させることができる。
その他、実施例5と同様の作用効果を奏することができる。
1、1A、1B、1C、1D ステーター・コア
1Da コア半製品
3、3A、3B、3C、3D ヨーク部
5 ティース部
7 モーター・ケース(環状部材)
7a 内周面
9、9A、9B、9C ステーター・コア分割体
11a、11b 分割縁
13、13A、13D アウター部
13Aaa、13Aba 傾斜面(係合部)
15、15A、15D インナー部
17、17B、17C 凹部(係合部)
19、19B、19C 突部(係合部)
21a、21b、21C スリット
23a、23b 回転部
D 変位部
T 変形部
S1 分割体加工工程
S2、S11 組付け工程
S10 コア半製品加工工程

Claims (14)

  1. 環状のヨーク部及びこのヨーク部の内周に径方向内側へ突出するティース部からなり
    ヨーク部の外周縁が環状部材の内周面に取り付けられたモーターのステーター・コアであって、
    前記ヨーク部は、前記環状部材から径方向内側へ押圧力を受けて変位した変位部と、この変位部の変位に応じ変形して引張応力を発生させ前記ティース部との間で磁束を通す引張応力域を形成し、又は前記環状部材からの押圧力で発生する圧縮応力を相殺した変形部とを有し、
    前記変位部は、前記ヨーク部の前記環状部材への取り付け前に前記取り付けられた後の環状部材の内周面の内径寸法よりも径方向外側へ突出し、前記ヨーク部の前記環状部材への締め代を持った取り付けにより前記変位を行った、
    ことを特徴とするモーターのステーター・コア。
  2. 請求項1記載のモーターのステーター・コアであって、
    前記ヨーク部での内外周に渡る分割により周方向複数に分割され前記変位部及び変形部を備えたヨーク部構成部を前記ティース部外径側に有するステーター・コア分割体を有し、
    前記取り付け前に前記各ステーター・コア分割体を前記各分割による分割縁相互を周方向に対向させて環状に配置して前記締め代を持った取り付けを行った、
    ことを特徴とするモーターのステーター・コア。
  3. 請求項2記載のモーターのステーター・コアであって、
    前記各ステーター・コア分割体は、前記各分割で周方向へ形成した径方向外内のアウター部及びインナー部を有し、
    前記アウター部を、前記ヨーク部構成部の周方向一側に沿って突出するように配置し、
    前記インナー部を、前記アウター部よりも内径側で前記ヨーク部構成部の周方向他側に沿って突出するように配置し、
    前記アウター部の径方向外縁側は、前記変位部として前記ヨーク部の前記環状部材への取り付け前に前記径方向外側への突出を行わせ、
    前記アウター部の径方向内縁側は、前記変形部として前記ヨーク部の前記環状部材への取り付け前に前記インナー部の径方向外縁との間に隙間を有し、
    前記ヨーク部の前記環状部材への締め代を持った取り付けにより前記変位部の変位及び前記変形部の変形を行わせた、
    ことを特徴とするモーターのステーター・コア。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載のモーターのステーター・コアであって、
    前記環状に配置した各ステーター・コア分割体間に、一方のステーター・コア分割体の変形部を他方のステーター・コア分割体に係合させて前記変形の起因とする係合部を設けた、
    ことを特徴とするモーターのステーター・コア。
  5. 請求項4記載のモーターのステーター・コアであって、
    前記係合部は、前記各アウター部間に設けられた凹凸部、又は前記各アウター部間に設けられ前記各アウター部の先端を前記各アウター部の基部側に当接させつつ径方向外側へのずれを許容する傾斜面である、
    ことを特徴とするモーターのステーター・コア。
  6. 請求項3記載のモーターのステーター・コアであって、
    前記取り付け前に環状に配置したヨーク部構成部の各インナー部は、前記各ティース部との間に周方向の隙間を有し前記環状部材への取り付けにより隙間なく対向して圧縮応力零の状態又は前記アウター部の外径側に圧縮応力が発生したときは外径側よりも圧縮応力が小さい状態となる、
    ことを特徴とするモーターのステーター・コア。
  7. 請求項2記載のモーターのステーター・コアであって、
    前記各ヨーク部構成部は、径方向外縁から径方向の中間部まで形成されたスリットとこのスリット及びヨーク部構成部の隣接間に回転部とを備え、
    前記環状部材への取り付け前に前記スリットの周方向への開き状態により前記各ヨーク部構成部の径方向外縁の一部は、前記変位部として前記突出を行ない、
    前記環状部材への取り付け前に前記スリットの周方向への開き状態により前記回転部は、周方向に隣接する回転部との間で前記スリットに対応した隙間を形成する回転前の状態となり、
    前記環状部材への取り付けにより前記スリットによる前記変位部の変位を行わせ、前記スリット及び隙間を閉じるように前記回転部を回転させて前記変形部の変形を行わせた、
    ことを特徴とするモーターのステーター・コア。
  8. 請求項7記載のモーターのステーター・コアであって、
    前記環状に配置した各ステーター・コア分割体間に、前記一方の回転部を他方の回転部に係合させて前記回転の起因とする係合部を設けた、
    ことを特徴とするモーターのステーター・コア。
  9. 請求項1記載のモーターのステーター・コアであって、
    前記ヨーク部は、周方向に連続したリング状である、
    ことを特徴とするモーターのステーター・コア。
  10. 請求項9記載のモーターのステーター・コアであって、
    前記ヨーク部は、径方向外内のアウター部及びインナー部を有し、
    前記アウター部は、前記ヨーク部構成部の周方向一側に沿って突出するように配置し、
    前記インナー部は、周方向に連続したリング状であり、
    前記アウター部の径方向外縁側は、前記変位部として前記ヨーク部の前記環状部材への取り付け前に前記径方向外側への突出を行わせ、
    前記アウター部の径方向内縁側は、前記変形部として前記ヨーク部の前記環状部材への取り付け前に前記インナー部との間に隙間を有し
    前記ヨーク部の前記環状部材への締め代を持った取り付けにより前記変位部の前記変位及び前記変形部の変形を行わせた、
    ことを特徴とするモーターのステーター・コア。
  11. 請求項10記載のモーターのステーター・コアであって、
    前記各アウター部の周方向一側先端が隣接する各アウター部の周方向他側先端に強く当接するように形成し、
    前記インナー部に、引張応力を発生させた、
    ことを特徴とするモーターのステーター・コア。
  12. 請求項2〜8の何れか1項記載のモーターのステーター・コアを製造するためのステーター・コア製造方法であって、
    前記変位部及び変形部を備える複数のステーター・コア分割体を加工する分割体加工工程と、
    前記複数のステーター・コア分割体を前記各分割縁の周方向での対向により環状に配置し前記環状部材の内周面に径方向内側への締め代を持って取り付け前記変位部の変位による前記変形部の変形を行わせる組付け工程と、
    を備えたことを特徴とするステーター・コア製造方法。
  13. 請求項9〜11記載のモーターのステーター・コアを製造するためのステーター・コア製造方法であって、
    前記変位部及び変形部を備え前記環状部材への取り付け前のリング状のステーター・コアを形成するコア加工工程と、
    前記ステーター・コアを前記環状部材の内周に径方向内側への締め代を持って取り付け前記変位部の変位による前記変形部の変形を行わせる組付け工程と、
    を備えたことを特徴とするステーター・コア製造方法。
  14. 請求項12又は13記載のステーター・コア製造方法であって、
    前記環状部材への取り付けは、焼きバメである、
    ことを特徴とするステーター・コア製造方法。
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