JP2002136013A - 磁石モータ - Google Patents

磁石モータ

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JP2002136013A
JP2002136013A JP2000329465A JP2000329465A JP2002136013A JP 2002136013 A JP2002136013 A JP 2002136013A JP 2000329465 A JP2000329465 A JP 2000329465A JP 2000329465 A JP2000329465 A JP 2000329465A JP 2002136013 A JP2002136013 A JP 2002136013A
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stator
rotor
magnet
magnet motor
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JP2000329465A
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Munekatsu Shimada
宗勝 島田
Hideaki Ono
秀昭 小野
Masakazu Kobayashi
正和 小林
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造時および使用時に発生する応力に起因す
る鉄損を低減して出力性能に優れた構造を有する磁石モ
ータ用ロータおよびステータを提供すること。 【構成】 モータケースに固定されて中央に空間を有す
る磁石モータ用ステータと、前記ステータ中央の空間部
に設置されて前記モータケースに軸支されて前記ステー
タに対して相対回転する磁石モータ用ロータとを具備し
た磁石モータにおいて、前記ロータまたはステータに発
生する応力を緩和する孔部を、前記ロータおよびステー
タのうち少なくとも一方に設けたことを特徴とする磁石
モータ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータあるいはジ
ェネレータとして用いられる磁石モータ構造に関する。
特に電気自動車のモータあるいはジェネレータに好適
で、モータに用いるロータ構造がロータ鉄損を低減して
出力効率を向上し、ロータの高速化とそれによって発生
する大きな遠心力を利用してやはり出力効率を向上し、
軽量化も図れるものであるか、またはモータに用いるス
テータ構造が焼きばめ加工時に発生する応力を低減して
出力効率を向上し、同時に軽量化も図れるものに関す
る。
【0002】
【従来技術】現在の永久磁石式同期モータは非常に高い
運転効率が達成され、電気自動車に好適であって既に実
用化も行われている。また補助動力にモータを用いるハ
イブリッド電気自動車にも磁石式モータは使用されてい
る。このように磁石モータはモータ類の中でも優れた素
性を有しているがまだ技術的課題も多く残されており、
更なる高性能化に向けて課題克服の追求がなされていく
ことが予測される。
【0003】従来のモータ構成としては図7に示すもの
が知られている。4はエンドプレート、5は電磁鋼板積層
体である。6は円筒状のコアバックである。8はロータ
軸、9はロータ軸8とコアバック6の連結部である。電磁
鋼板積層体5には図8に示すように磁石7が内蔵されてい
る。なお図8には磁石1極分しか示していないが、その
モータ全体として8極の磁石から成っている。また磁石
保持構造も遠心力に耐えられるように磁石1極を2分割
にして中央部にブリッジ部を設けた構造としている。ま
た図9は他の従来技術の1例であり、図7の構造と連結部9
の位置が異なる構造となっている。
【0004】その中で省スペースを狙いとするモータの
小型化あるいは高出力化手段の一つとしてモータの高回
転化といった課題が挙げられるが、モータの高回転化を
狙いとした場合に、特に10000rpm以上という非
常に高い回転数でモータ使用を検討した場合にはロータ
が備えるべき強度は非常に高いものが必要となる。
【0005】また省スペースを狙いとしたモータ小型化
という課題に対して、最近では分割コアを用いた集中巻
方式のステータを備えた磁石モータが登場してきてい
る。このタイプはコイルエンド部が短くでき、それによ
ってモータ小型化を可能にするというメリットを有する
ものである。しかし通常、分割コアを用いた集中巻方式
のステータはモータケースに焼きばめすることで設置さ
れるが、焼きばめ時に発生する圧縮応力により鉄損が発
生して出力効率が低下するという課題を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記したように図7、9
に示す従来のモータ構成において近年の高出力化、高回
転化に向けて更なる耐久性、強度が求められ、改善が必
須な状況が生じることとなった。特にロータおよびステ
ータに発生する圧縮応力を緩和させることが要求され、
また使用時の発熱を抑制することも性能向上に向けた重
要な課題であり、十分な冷却方法が確立された場合には
コイルの絶縁被膜の耐熱限界を懸念することなく高電流
を投入してモータの高出力化を可能にすることからも一
層の冷却性能向上が望まれている。
【0007】本発明は上記問題点に鑑みて高回転時にも
強度、耐久性を確保でき、本発明の磁石モータに用いる
ロータは、ロータ発熱を減らし、ロータ鉄損を低減して
出力効率を向上し、ロータの高速化とそれによって発生
する大きな遠心力を利用してやはり出力効率を向上し、
軽量化も図れ、さらに本発明の磁石モータに用いるステ
ータは、モータの小型化に有利な分割コアを用いた集中
巻方式のステータについて、焼きばめ応力に起因するモ
ータ出力効率低下を最小限に抑制すること、およびモー
タの冷却効率を向上させることを目的になされたもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑みて、請求
項1に示すように、モータケースと、前記モータケース
に固定されて中央に空間を有するステータと、前記ステ
ータの空間に配置されると共に前記モータケースに回転
自在に軸支されるロータを具備した磁石モータにおい
て、前記ロータまたは前記ステータの少なくとも一方
に、これらロータまたはステータに発生する応力を緩和
させる孔を設けたことを特徴とする磁石モータによって
解決した。
【0009】次いで請求項2に示すように、請求項1記
載の発明において、前記ロータは磁石を内蔵した環状の
電磁鋼板積層体をを具備するものであって、前記電磁鋼
板の磁石磁極間部分に前記孔を設け、さらに前記孔重心
を磁石磁極間部分中央に設定したことを特徴とする。
【0010】次いで請求項3に示すように、請求項2記
載の発明において、前記ロータ周方向表面における孔合
計面積と、該ロータ周方向表面における磁石挿入部とフ
ラックスバリア用孔の合計面積の平均比率が0.5〜
1.0であることを特徴とする。
【0011】次いで請求項4に示すように、請求項3項記
載の発明において、前記孔形状は二等辺三角形状であっ
て、底辺は、ロータ径方向において中心側に位置して回
転軸からの距離が磁石挿入孔の最中心側部と等距離にあ
って、底辺に対する頂点は外径側に位置することを特徴
とする。
【0012】次いで請求項5に示すように、請求項2〜4
項記載の発明において、前記環状の電磁鋼板積層体は、
その端面にエンドプレートが設けられるものであって、
前記ロータに設置された状態において、前記電磁鋼板の
孔に相当する位置に前記エンドプレートにも孔を設ける
ことを特徴とする。
【0013】次いで請求項6に示すように、請求項5項記
載の発明において、前記エンドプレート材が非磁性材で
あることを特徴とする次いで請求項7に示すように、請
求項6項記載の発明において、前記エンドプレート材が
JIS分類SUS304相当のステンレス材であること
を特徴とする。
【0014】次いで請求項8に示すように、請求項1項記
載の発明において、前記ステータにおいて、分割コアを
用いた集中巻方式の磁石モータ用ステータであって、ス
テータのバックヨーク部分に円および/またはだ円状の
前記孔を有することを特徴とする。
【0015】次いで請求項9に示すように、請求項8項記
載の発明において、前記分割コア1極分の電磁鋼板板面
において、ステータの歯部の幅を2L、電磁鋼板1枚の
厚さをtとした場合に、前記バックヨーク部孔は、歯部
とバックヨーク部との付け根部分の両角部からの距離が
それぞれL+t以上で、バックヨークの外径から内側に
2t以上で、歯部の中心線の延長線上に前記孔の中心を
含む短径が位置する円および/またはだ円孔であり、孔
短径長さは1極分のバックヨーク外径周長さに対する割
合で5%以上の長さであることを特徴とする。
【0016】また請求項10に示すように、前記ステータ
は前記孔を有する分割コアをケースに焼きばめされて成
ることを特徴とする。
【0017】次いで請求項11に示すように、請求項1、
8、9、10項記載の磁石モータに関する製造方法の発明に
おいて、前記孔を有する分割コアをケースに焼きばめし
て前記ステータを製造することを特徴とする。
【0018】
【発明の作用および効果】磁石型モータ用ロータはモー
タ運転時に発熱するが、ロータを構成する電磁鋼板の鉄
損が大きいために発生するものである。このとき電磁鋼
板の鉄損は応力に依存し、特に圧縮応力が働く部位では
鉄損は大きく増大する。一方で引張応力が作用する部位
では減少する。
【0019】よって請求項1記載の発明にあって、電磁
鋼板に前記応力緩和孔を設けることでまずロータの鉄損
を低減して出力効率を向上させることができる。前記応
力緩和孔によって、応力緩和孔と磁石との間に回転時に
働く大きな遠心力、特に数千回転以上では相当の大きさ
の遠心力に起因する応力が発生しているのでこれを利用
することで引張応力を発生させる。一方でこの引張応力
によって圧縮応力を緩和して応力分布を変えることでロ
ータ鉄損を低減して出力効率向上を可能にする。さらに
軽量化も図れ、周囲の空気を回転時に取り入れてロータ
発熱も減らすことが可能となる。
【0020】加えて本発明者らは上記目的に鑑みて、製
造時の焼きばめ応力を緩和できるステータ構造を鋭意検
討した結果、ステータのバックヨーク部にも応力緩和孔
を適切に設けることでこの課題を達成できることも見出
した。
【0021】請求項2記載の発明にあって、ロータは動
力源である磁界発生源として磁石を内蔵した環状の電磁
鋼板積層体を具備するものであるが、磁石を可能な範囲
で多く用いることで出力を向上させることができ、磁石
内蔵の電磁鋼板積層体とすることで効率的な出力向上が
見込める。ただし用いる鋼板は電磁鋼板の必要がある。
表面が絶縁された電磁鋼板を用いることでモータ回転時
に磁力によって発生する電流を抑制して出力ロスを低減
可能とする。
【0022】ここで電磁鋼板を回転軸方向から見たとき
に、磁石が挿入されている部分を磁石磁極部分、磁石磁
極部分の間を磁石磁極間部分とする。本発明の効果を生
み出す上で磁石磁極間部分に応力緩和孔を設けることが
必須である。前記応力緩和孔重心は磁石磁極間部分中央
にあることが好ましい。これによって性能に影響するロ
ータ部分は残し、かつ上記のような孔部の効果をもたら
し、同時に重量配分の点からも望ましい配置となる。
【0023】請求項3項記載の発明にあって、ロータ周
方向表面における前記応力緩和孔合計面積と、ロータ周
方向表面における磁石挿入部とフラックスバリア用孔の
合計面積の平均比率が0.5〜1.0の範囲が好まし
い。この範囲とすることで応力緩和を効果的に低減して
鉄損低減が可能となり、モータ性能を向上させることが
可能となる。
【0024】請求項4項記載の発明にあって、前記孔形
状は二等辺三角形状であることが望ましい。前記二等辺
三角形等辺が磁石挿入部の形状を成す一辺と平行となる
ことで、前記応力緩和孔と磁石挿入部の間の磁極部分に
は均一な引張応力が発生して鉄損を低減して性能向上を
もたらし、またロータ強度低下も抑制することが可能と
なる。
【0025】この時、応力緩和孔の二等辺三角形底辺は
ロータ径方向において中心側に位置して、回転軸からの
距離が磁石挿入孔の最中心側部と等距離にあって、底辺
に対する頂点は外径側に位置することを特徴とする。
【0026】前記応力緩和孔が三角形状を成して磁石挿
入孔との間に性能向上に必要なロータ部を置くには底辺
がロータ中心側に位置することが好ましい。またその底
辺の位置が、ロータ回転軸からの距離が磁石挿入孔の最
中心側部と等距離となることで応力分布を適切にし、よ
り一層鉄損を低減して本発明の効果をもたらすものであ
る。この配置を成すとき底辺に対する頂点は外径方向に
位置する。
【0027】この三角形状応力緩和孔の各頂点付近は回
転時に発生する遠心力がもたらす応力集中を緩和させる
ように円弧状とすることが望ましく、その最適計状は適
宜選択すればよい。
【0028】請求項5項記載の発明にあって、エンドプ
レートにも前記応力緩和孔に相当する位置に孔を設ける
ことで電磁鋼板積層体を挟持するエンドプレートの外側
から周囲の空気を取り入れて電磁鋼板積層体部全体に送
り込むことが可能となって冷却効率が向上して出力向上
をもたらすものであり、軽量化にも寄与するものであ
る。なおエンドプレートは電磁鋼板積層体をコアバック
に挟持するために電磁鋼板積層体端面に設置するもので
あり、電磁鋼板積層体を固定してロータを形成するため
の構成で本発明の磁石モータには欠かせないものであ
る。
【0029】請求項6項記載の発明にあって、非磁性材
とは磁性を有さない材料であり、例えばステンレス、真
鍮、銅、アルミニウムといった材料のことである。エン
ドプレートが磁性を有すると電磁鋼板積層体中の磁石が
生み出す磁界がエンドプレート方向にも発生してしま
う。モータとしては磁界がロータ外周側に配置されるス
テータ方向にのみ発生されることで出力ロスを低減する
ことが望ましく、エンドプレート方向にも磁界が発生す
ると出力ロスが大きくなってしまう。またエンドプレー
トが磁性材であると加工時に発生する切り屑等が付着し
て性能に影響することが考えられる。このためエンドプ
レートは非磁性材であることが好ましい。
【0030】請求項7項記載の発明にあって、上記理由
によりエンドプレートが非磁性材であることが好ましい
が、その中でもJISG4303「ステンレス鋼棒」、
JISG4304「熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼
帯」、 JISG4305「冷間圧延ステンレス鋼板及
び鋼帯」に代表されるJIS分類SUS304材のステ
ンレスが好ましい。 JIS分類SUS304材は市場
でも多く使用される材料で入手も容易で安価であり、強
度も確保できるためエンドプレートに使用する材料とし
て好ましいものである。
【0031】請求項8項記載の発明にあって、分割コア
を用いた集中巻方式の磁石モータ用ステータとすること
で、ステータ製造前に分割コアに前記応力緩和孔を設け
ることが可能であり、効率良く製造可能である。さらに
前記孔形状は円および/または楕円が望ましく、焼きば
め加工時に発生する応力の集中を防止でき、打ち抜き等
の加工も容易である。
【0032】請求項9項記載の発明にあって、前記孔は
実製造時には打ち抜き加工が最も有効である。打ち抜き
加工での電磁鋼板性能の加工劣化代は電磁鋼板厚さt程
度であるので、孔大きさの上限は本発明では歯部付け根
角部より距離がL+t以上離れた領域で、バックヨーク
外周より内側に2t以上離れた領域で設置可能な大きさ
としている。この範囲とすることでロータ回転時に発生
するロータからの磁束流れを効果的に流通させて性能向
上をもたらすものである。
【0033】歯部の中心線(回転軸からの中心線)の延
長線上に前記孔部の中心を含む短径が位置することでこ
の短径を軸として対称となり、均等に応力緩和が働き、
磁束流れも均一にすることが可能である。このような場
合に孔短径長さは1極分のバックヨークの外径周長さに
対する割合で5%以上の長さとすることで一層の性能向
上が図れて好ましいものである。
【0034】請求項10項記載の発明にあっては、焼きば
めによってコアとケースの密着度が向上してロータ回転
時の音や振動を防止し、また熱伝導性が向上してロータ
回転時に発生する熱を低減可能となる。さらに焼きばめ
を実施することで巻線コイルどうしの接触を防止して電
気的絶縁を保持して耐久信頼性を確保できる。
【0035】請求項11項記載の発明にあって、焼きばめ
工法は一般的に用いられる方法であり、多大な設備投資
なく行なうことができるため有効である。
【0036】また電磁鋼板積層体およびエンドプレート
に設けた孔を利用して冷却用の油を流入、流出させるた
めの油路をステータ側面に形成させて、前記孔に冷却用
油を流すことも可能である。ここで言うステータ側面と
は回転軸に垂直な方向の側面を指しており、この油路か
ら油を流入、流出させて前記孔に油を流すことで本発明
のステータを冷却して出力向上をもたらすものである。
【0037】油の種類は用途に応じて適宜選択すればよ
く、油を流入させる油路と流出させる油路とが互いにス
テータの反対側面に、または同じ側面に適宜選択して形
成すればよく、また油の流れる方向が各極の孔部とも同
じ方向、または隣接極で反対向きとなるように適宜選択
すればよい。
【0038】また隣接極の孔どうしをつなぐ油路をステ
ータ側面に形成させて用いることも可能である。ここで
言うステータ側面とは回転軸に垂直な方向の側面を指し
ており、各孔ごとに油を流入させる油路と流出させる油
路とを設置すると煩雑になるため隣接極の孔どうしをつ
なぐことで効率的に冷却用油を流通させることが可能に
なる。隣接極の孔をつなぐ油路はステータの片側面にの
み形成されてもステータ両側面に形成されても構わな
く、適宜選択すればよい。
【0039】以上説明してきたように、本発明に係わる
磁石モータは、モータ高回転時、特に数千回転以上の高
回転域において、ロータを構成する電磁鋼板に働く遠心
力を有効活用することによってロータ鉄損を低減して出
力効率を向上すると共に、ロータ発熱が少なくて磁石減
磁が抑制され、軽量化も図れるモータが提供できるもの
である。
【0040】加えて本発明に係わる磁石モータは、その
ステータのステータコアに孔を設けたことで焼きばめ加
工時の圧縮応力が緩和されてコア鉄損が低減でき、モー
タ出力効率が向上することになる。また孔部に冷却用油
を流通させることでステータが直接冷却されて冷却効率
が向上することも可能になり、同時に軽量化も可能とな
る。
【0041】また作業時間、コストを同レベルとしなが
ら出力効率の高いモータを製造することができ、冷却効
率も向上するためにモータの高出力化も図れることとな
る。
【0042】
【発明の実施の形態】本発明の磁石モータにおけるロー
タおよびステータの位置関係を図1に示す。
【0043】次いで本発明の請求項1〜7に基くロータ
の1実施形態を、以下図面に基づいて説明する。
【0044】図2が本発明の請求項1〜7に基く1実施形
態であり、電磁鋼板の展開図である。孔10は磁石挿入用
孔、孔11はフラックスバリア用孔、孔12が応力緩和孔で
あり、この孔12を設けることで電磁鋼板に働く圧縮応力
を緩和して性能向上をもたらせるものである。
【0045】ここで図3は図8の従来構造における電磁鋼
板部分の展開図で、A部分を磁石磁極部分、B部分を磁
石磁極間部分と定義し、図2(b)は面積除去率(孔面
積率)を長手方向に対して図示したものである。B部分
の平均面積除去率(平均孔面積率)はA部分の0.94
7倍である。この場合にはB部分でも断面積が減少して
引張応力が高くなり、長手方向での応力分布の平準化が
図れることになる。
【0046】つまりロータが回転しているときには遠心
力が作用するが、この遠心力は、図3で長手方向の引張
力と考えることができる。すると図3中A部分では断面
積が減少しているので引張応力が高く、B部分では低い
ことが推定される。このように長手方向にわたって応力
分布の変動が生じていることが電磁鋼板の鉄損増加に関
係しているものと推定し、B部分に応力緩和孔を設けて
応力分布を平準化することで鉄損低減効果を発揮させた
ものである。
【0047】さらに図4も従来構造における電磁鋼板の
展開図である。孔11はフラックスバリア用孔であって、
モータ性能向上のために設けられたものである。また図
5(a)は図4を拡大したものであり、図5(b)は電磁
鋼板の面積除去率(孔面積率)を長手方向(x方向とし
ている)に対して図示したものである。図6(a)は図3
中B部分に二等辺三角形なる応力緩和用孔12を設けた電
磁鋼板の拡大図を示し、同図(b)はそのときの面積除
去率(孔面積率)を図示したものである。図5に図6に示
した孔12を設けたものが図2(a)であり、本発明の実
施形態である電磁鋼板の展開図となっている。
【0048】ここでエンドプレート部分にも電磁鋼板の
孔に対応する部分に孔を設けると、ロータ冷却が促進で
きることにもなり、ロータの軽量化にも寄与できること
になる。
【0049】本発明の技術によれば毎分数千回転以上の
高速域でロータ鉄損が向上して、新たなモータが実現で
きることになるから、より高出力密度モータとしうると
いう効果がもたらされる。ロータ発熱が減少するので磁
石減磁の懸念のなく、かつ、冷却も促進されるという効
果ももたらされる。
【0050】次いで本発明の請求項1、8〜11に基く1実
施形態を、以下、図面に基づいて説明する。
【0051】図10が分割コアの一つのコマであるが、本
発明の応力緩和孔12を設けてある。図11のコマ13を複数
積層したものが1つの極となり、巻線後、レーザ溶接に
よって接合、組み立ててモータケース14に収納してステ
ータ3とした。このステータ3を図11に示すが、ステータ
3は12極から成っている。
【0052】この図11のステータを用いた場合と、孔な
しのステータを使用した場合の出力効率を、ステータ以
外は同一の物を用いて測定した。図12に一定回転での出
力効率の測定結果を示すが、孔を設けた場合の方が孔を
設けない場合に比較して全トルク域にわたって出力効率
が改善されていることが明らかである。またこのとき定
格トルクより低い領域での効率も改善された。なお、更
に高回転ではより一層出力効率が向上する。
【0053】さらに図13に示すように、図10に示した孔
12に冷却用油を流通することも可能である。図13ではパ
イプで油路15を形成し、ステータの片側から流し込んで
反対側から流れ出るようにしている。パイプはSUS製
を用い、図示の如く孔12にかん合させた。なお、以下に
述べる連通油路も同様にして作製した。
【0054】油の流入、流出路の設け方、および連通孔
における油の流れ方向等は各種考えられる。図14、15は
他の実施形態である。図14では隣接する極で流れ方向が
逆となっている。ステータ3の片側にのみ油の流入、流
出路が設けられ、ステータ3の反対側には隣接極同士の
孔を連通させる油路15のみが設けられている。図の×、
丸の印は油の流れ方向を示している。×は紙面の表側か
ら奥に、丸は紙面の裏側から手前に向かって流れる方向
を示す。
【0055】図15も油の流れ方向は図14と同じであるが
油流路が異なる。流入路は3ヶ所であり、流出路も3ヶ
所である。隣接極の孔どうしを連結する油流路がステー
タの両側面に設けてある。図で外側に示したつなぎは紙
面側、内側に示したつなぎはその反対側にあることを示
している。
【0056】以上のように冷却油を流入させることで冷
却効果を発揮させることが可能であり、油路を変更する
ことにより、冷却油流量をかせぎ、総油流れ量の流速を
増せば更なる冷却効果が得られる。
【0057】以上述べてきたように、本発明によれば、
焼きばめ応力によるステータでの鉄損増加を最小限にで
きることで効率の改善されたモータが実現できることに
なるという優れた効果がもらたされる。さらに数十kW
クラスのモータではステータでの鉄損低減による発熱量
低減効果に加えて、孔径も大きくできるのでその孔に油
を流すことでステータの直接冷却が可能になり、更に出
力の高いモータとすることが可能になるという著しい効
果がもたらされることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のモータ全体図を示す。
【図2】本発明の実施形態である電磁鋼板の展開図;
(b):その面積除去率を示すグラフを示す。
【図3】従来の電磁鋼板形状の1次元展開図を示す。
【図4】従来の他の電磁鋼板形状の1次元展開図を示
す。
【図5】図3の1次元展開図の拡大図;(b):面積除
去率のグラフを示す。
【図6】応力緩和用孔部9の説明図;(b)その面積除
去率のグラフを示す。
【図7】従来のロータ構造断面説明図を示す。
【図8】ロータ内部に関する断面説明図を示す。
【図9】従来のロータ構造断面説明図を示す。
【図10】分割コアのコマの実施形態を示す。
【図11】図10のコマを用いたステータの全体図を示
す。
【図12】モータの出力効率測定結果のグラフを示す。
【図13】冷却構造の説明図を示す。
【図14】冷却構造の他の実施形態を示す。
【図15】冷却構造のさらに他の実施形態を示す。
【符号の説明】
1:磁石モータ 2:ステータ 3:ロータ 4:エンドプレート 5:電磁鋼板積層体 6:円筒状コアバック 7:磁石 8:ロータ軸 9:コアバックとロータ軸の連結部 10:磁石挿入用孔部 11:フラックスバリア用孔部 12:応力分布変更のために設けた孔部 13:分割コア用コマ 14:モータケース 15:油路(SUS製パイプ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H02K 21/14 H02K 21/14 G Fターム(参考) 5H002 AA03 AA08 AB01 AB04 AB07 AB08 AC08 AC10 AD02 AE08 5H621 BB07 GA01 JK11 PP10 5H622 AA03 CA02 CA07 CA10 CA14 PP03 PP10

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 モータケースと、 前記モータケースに固定されて中央に空間を有するステ
    ータと、 前記ステータの空間に配置されると共に前記モータケー
    スに回転自在に軸支されるロータを具備した磁石モータ
    において、 前記ロータまたは前記ステータの少なくとも一方に、 これらロータまたはステータに発生する応力を緩和させ
    る孔を設けたことを特徴とする磁石モータ。
  2. 【請求項2】 前記ロータは磁石を内蔵した環状の電磁
    鋼板積層体をを具備するものであって、 前記電磁鋼板の磁石磁極間部分に前記孔を設け、 さらに前記孔重心を磁石磁極間部分中央に設定したこと
    を特徴とする請求項1記載の磁石モータ。
  3. 【請求項3】 前記ロータ周方向表面における孔合計面
    積と、 該ロータ周方向表面における磁石挿入部とフラックスバ
    リア用孔の合計面積の平均比率が0.5〜1.0である
    ことを特徴とする請求項2記載の磁石モータ。
  4. 【請求項4】 前記孔形状は二等辺三角形状であって、 底辺は、ロータ径方向において中心側に位置して回転軸
    からの距離が磁石挿入孔の最中心側部と等距離にあっ
    て、 底辺に対する頂点は外径側に位置することを特徴とする
    請求項3項記載の磁石モータ。
  5. 【請求項5】 前記環状の電磁鋼板積層体は、その端面
    にエンドプレートが設けられるものであって、 前記ロータに設置された状態において、 前記電磁鋼板の孔に相当する位置に前記エンドプレート
    にも孔を設けることを特徴とする請求項2〜4項記載の磁
    石モータ。
  6. 【請求項6】 前記エンドプレート材が非磁性材である
    ことを特徴とする請求項5項記載の磁石モータ。
  7. 【請求項7】 前記エンドプレート材がJIS分類SU
    S304相当のステンレス材であることを特徴とする請
    求項6項記載の磁石モータ。
  8. 【請求項8】 前記ステータにおいて、分割コアを用い
    た集中巻方式の磁石モータ用ステータであって、 ステータのバックヨーク部分に円および/またはだ円状
    の前記孔を有することを特徴とする請求項1記載の磁石
    モータ。
  9. 【請求項9】 前記分割コア1極分の電磁鋼板板面にお
    いて、 ステータの歯部の幅を2L、電磁鋼板1枚の厚さをtと
    した場合に、 前記バックヨーク部孔は、 歯部とバックヨーク部との付け根部分の両角部からの距
    離がそれぞれL+t以上で、 バックヨークの外径から内側に2t以上で、 歯部の中心線の延長線上に前記孔の中心を含む短径が位
    置する円および/またはだ円孔であり、 孔短径長さは1極分のバックヨーク外径周長さに対する
    割合で5%以上の長さであることを特徴とする請求項8
    記載の磁石モータ。
  10. 【請求項10】 前記ステータは前記孔を有する分割コ
    アをケースに焼きばめされて成ることを特徴とする請求
    項1、8、9項記載の磁石モータ。
  11. 【請求項11】 前記孔を有する分割コアをケースに焼
    きばめして前記ステータを製造することを特徴とする請
    求項1、8、9、10項記載の磁石モータに関する製造方
    法。
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