JP2013166705A - ウイルス不活化剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウイルスに対して変性や分解などの構造的な破壊を伴う不活化作用を発揮することができるウイルス不活化剤を提供する。
【解決手段】一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物を表面に担持した光触媒物質を含むウイルス不活化剤及び該ウイルス不活化剤を基材表面及び/又は内部に含むウイルス不活化材料。
【選択図】なし

Description

本発明はインフルエンザウイルスなどのウイルスに対して変性や分解などの不活化作用を発揮するウイルス不活化剤に関する。
従来、銀イオン(Ag+)、亜鉛イオン(Zn2+)、及び二価銅イオン(Cu2+)などの金属イオンが微生物の増殖を抑制し、又は微生物に対して殺菌的に作用することが知られており、これらの金属イオンをゼオライトやシリカゲルなどの物質に担持させた抗微生物材料や、光触媒作用を有する酸化チタンと組み合わせた抗微生物材料などが多数開発されている。
二価銅イオンの抗微生物又は抗ウイルス作用については、細胞膜の構造変化及び機能破壊作用(Progress in Medicinal Chemistry, 31, pp.351-370, 1994)及び核酸に対する変成作用(CRC Critical Rev. Environ. Cont., 18, pp.295-315, 1989)が解明されており、ウイルスに対する二価銅イオンの作用についてはSangripantiらによる報告がある(Appl. Environ. Microbiol., 58, pp.3157-3162, 1992; Appl. environ. microbiol., 59, pp.4374-4376, 1993; AIDS Res. Hum. Retrovir., 12, pp.333-336, 1996; Antimicrob. Agent Chemother., 41, pp.812-817, 1997)。また、ガラス表面を酸化銅(II)(CuO)の薄膜又はCuOと酸化チタン(TiO2)とを含む薄膜で被覆した材料がバクテリオファージT4実験系(ウイルス不活化モデル)においてファージ不活化作用を有することが報告されている(Appl. Microbiol. Biotechnol., 79, pp.127-133, 2008)。
一方、一価銅化合物の抗微生物作用については従来ほとんど報告がないが、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、大腸菌、緑膿菌などのバクテリアに対する一価銅化合物(Cu2O)の抗菌作用(MBC)は二価銅化合物(CuO)や金属銅(Cu)に比べて劣り、銀(Ag)よりもはるかに弱いことが報告されている(International Journal of Antimicrobial Agents, 33, pp.587-590, 2009、特にp.589のTable 1)。また、酸化第一銅の結晶多形による抗菌作用の違いについての報告もあるが(Chem. Commun., pp.1076-1078, 2009)、バチルス菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌などに対しての静菌作用(MIC)は結晶形による違いはあるが、一価銅化合物が二価銅化合物より特に抗菌作用が強いことは報告されていない。
なお、一価銅化合物の抗ウイルス作用については、特表2009-526828号公報に抗ウイルス作用を有する平均粒径約500 nmまでのナノ粒子が開示されており、該公報の段落番号[0020]には該ナノ粒子はCu2Oを含んでもよいとの説明がある。しかしながら、上記刊行物にはCu2O自体の抗ウイルス作用は具体的に開示されておらず、当業者は上記刊行物の開示を基にして一価銅化合物がウイルスに対して不活化作用を有するか否かを理解することはできない。また、中国特許第101322939A号にはTiO2/Cu2Oのナノメーターサイズの複合材料を無機バインダーに添加したコーティング材料がバクテリオファージに対して殺性能を有することが記載されている。
一価銅化合物と二価銅化合物を含む混合物に関しては、酸化銅(I)及び酸化銅(II)を含む粉末混合物を含む抗ウイルス性のポリマー材料が特開平2003-528975号公報に開示されており、二価の酸化銅を還元して得たウイルス不活化のための酸化銅(I)及び酸化銅(II)を含む材料が特開平2007-504291号公報に記載されている。
特表2009-526828号公報 中国特許第101322939A号 特開平2007-504291号公報 特開平2003-528975号公報
Progress in Medicinal Chemistry, 31, pp.351-370, 1994 CRC Critical Rev. Environ. Cont., 18, pp.295-315, 1989 Appl. Environ. Microbiol., 58, pp.3157-3162, 1992 Appl. environ. microbiol., 59, pp.4374-4376, 1993 AIDS Res. Hum. Retrovir., 12, pp.333-336, 1996 Antimicrob. Agent Chemother., 41, pp.812-817, 1997 Appl. Microbiol. Biotechnol., 79, pp.127-133, 2008 International Journal of Antimicrobial Agents, 33, pp.587-590, 2009 Chem. Commun., pp.1076-1078, 2009
本発明の課題は、ウイルスに対して変性や分解などの構造的な破壊を伴う不活化作用を発揮することができるウイルス不活化剤を提供することにある。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、酸化第二銅(CuO)、硫化第二銅(CuS)などの二価銅化合物に比べて酸化第一銅(Cu2O)、硫化第一銅(Cu2S)、ヨウ化第一銅(CuI)、塩化第一銅 (CuCl)などの一価銅化合物がウイルスに対してはるかに強い不活化作用を有していることを見出した。また、酸化チタンや金属担持酸化チタンなどの光触媒物質と一価銅化合物とを組み合わせた組成物においても顕著なウイルス不活化作用が達成されることも見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
すなわち、本発明により、一価銅化合物を有効成分として含むウイルス不活化剤が提供される。
本発明の好ましい態様によれば、一価銅化合物が酸化第一銅、硫化第一銅、ヨウ化第一銅、及び塩化第一銅からなる群から選ばれる1種又は2種以上の化合物である上記のウイルス不活化剤;微粒子形態の酸化第一銅を含む上記のウイルス不活化剤が提供される。
また、別の好ましい態様によれば、1種又は2種以上の一価銅化合物とともに1種又は2種以上の光触媒物質を含む上記のウイルス不活化剤;及び光触媒物質が可視光応答性光触媒物質である上記のウイルス不活化剤が提供される。
さらに好ましい態様によれば、一価銅化合物と光触媒物質とを含む組成物の形態である上記のウイルス不活化剤;及び前記光触媒物質が一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物を表面に担持した光触媒物質である上記のウイルス不活化剤が提供される。
さらに本発明により、上記のウイルス不活化剤を基材表面及び/又は内部に含むウイルス不活化材料が提供される。この発明の好ましい態様によれば、上記のウイルス不活化剤を含むコーティング剤;上記のウイルス不活化剤を基材表面に固定化したウイルス不活化材料;上記のウイルス不活化剤をバインダーを用いて基材表面に固定化したウイルス不活化材料;樹脂中に上記のウイルス不活化剤を分散させた分散物を硬化させることにより得ることができるウイルス不活化材料;樹脂が天然樹脂又は合成樹脂である上記のウイルス不活化材料が提供される。
別の観点からは、本発明により、ウイルスを不活化する方法であって、ウイルスを一価銅化合物と接触させる工程を含む方法;及び上記のウイルス不活化剤の製造のための一価銅化合物の使用が提供される。
また、別の観点からは、本発明により、一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物を表面に担持した光触媒物質を含むウイルス不活化剤が提供される。
上記発明の好ましい態様によれば、光触媒物質が酸化チタンである上記のウイルス不活化剤;酸化チタンが粒子状の酸化チタンである上記のウイルス不活化剤;酸化チタン粒子の粒径が5 nm〜1,000 nmである上記のウイルス不活化剤;酸化チタン粒子がその表面に一価銅化合物と二価銅化合物とを含む混合物のナノクラスターを担持した粒子である上記のウイルス不活化剤;該ナノクラスターがアモルファス状の一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物からなるナノクラスターである上記のウイルス不活化剤;該ナノクラスターが二価銅化合物と酸化チタン粒子とを含む懸濁液に還元剤を添加する工程により調製することができるナノクラスターである上記のウイルス不活化剤;該工程が塩基性条件下において還元剤を添加する工程を含む上記のウイルス不活化剤;一価銅化合物が酸化第一銅であり、二価銅化合物が酸化第二銅である上記のいずれかに記載のウイルス不活化剤が提供される。
さらに、該ウイルス不活化剤を基材表面及び/又は内部に含むウイルス不活化材料;該ウイルス不活化剤をバインダーを用いて基材表面に固定化した上記のウイルス不活化材料;樹脂中に該ウイルス不活化剤を分散させた分散物を硬化させることにより得ることができる上記のウイルス不活化材料;該ウイルス不活化剤を含むコーティング剤が提供される。
また、本発明により、一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物を表面に担持した光触媒物質が提供され、この発明の好ましい態様によれば、光触媒物質が酸化チタン粒子であり、該酸化チタン粒子がその表面に一価銅化合物と二価銅化合物とを含む混合物のナノクラスターを担持した粒子である上記の光触媒物質が提供される。
さらに、上記の光触媒物質の製造方法であって、二価銅化合物と酸化チタン粒子とを含む懸濁液に還元剤を添加する工程を含む方法が本発明により提供される。
本発明により提供されるウイルス不活化剤は、インフルエンザウイルスなどの各種ウイルスに対して変性や分解などの構造的な破壊を伴う不活化作用を発揮することができ、明所のほか、暗所においても不活化作用を発揮できるという特徴がある。また、乾燥状態、水の存在下、又は有機物などの共存下においても不活化作用を発揮できる。例えば塗料やフロアーポリッシュなどにより形成される塗膜中に配合することにより広範囲にわたってウイルスを効率的に不活化することができ、プラスチック製品などの樹脂成型品に配合することにより局所的にウイルスを不活化することもできる。さらに、空気洗浄機内部のフィルター、倉庫内、又は冷蔵庫内などに適用することにより可視光や紫外光の非存在下においてもウイルス不活化作用を発揮させることができるので有用である。光触媒物質の表面に一価銅化合物と二価銅化合物とを含む混合物を担持させたウイルス不活化剤では、長期にわたってウイルス不活化作用を発揮することができるという優れた効果もある。
ファージ不活化能の試験方法(例1及び例2)の概念図である。 本発明のウイルス不活化剤の効果を示した図である。図中、WLは白色光照射下、Darkは暗所における試験結果を示す。 T4ファージに対する本発明のウイルス不活化剤の効果を示した図である。 インフルエンザウイルスに対する本発明のウイルス不活化剤の効果を示した図である。図中、WLは白色光照射下、Darkは暗所における試験結果を示す。 バインダーを用いてガラス基板に固定化した本発明のウイルス不活化剤の効果を示した図である。 酸化第一銅と光触媒物質とを含む組成物の形態のウイルス不活化剤の効果を示した図である。 例1で用いたCu2O粉末の走査型電子顕微鏡像である。 乾燥状態においてウイルス不活化作用を評価する方法を示した図である。 乾燥状態における本発明のウイルス不活化剤の効果を示した図である。 有機物としてゼラチンを共存させた試料に対する本発明のウイルス不活化剤の効果を示した図である。 水中において繰り返しウイルスに曝露させた場合において本発明のウイルス不活化剤が持続的な不活化作用を発揮することを示した図である。図中、左上はCu2Oシラスバルーン、右下はCu2O粉末の結果を示す。 例9で得られた粒子のX線回折(XRD)パターン及びXPS(X線光電子分光)を示した図である。 例9で得られた複合体粒子の紫外可視吸収スペクトルを示した図である。 例9で得られた複合体粒子を透過型電子顕微鏡で観察した像とエネルギー分散形X線分光器(EDX)によって組成を分析した結果を示した図である。 例9で得られた複合体粒子について可視光照射下での2-プロパノール(IPA)分解作用を確認した結果を示した図である。 例9で得られた複合体粒子についてウイルス不活化作用を評価した結果を示した図である。複合体粒子(0.25% CuxO/TiO2グルコース+8倍量NaOH) CuxO/TiO2とCu2O+TiO2物理混合について抗ファージ性能及び抗菌効果(大腸菌)を評価した結果を示した図である。 図17を得た方法と同様にしてCuxO/TiO2とCu2O+TiO2物理混合について黄色ブドウ球菌に対する作用を比較した結果を示した図である。
本明細書においてウイルスの用語はDNAウイルス又はRNAウイルスを意味するが、細菌に感染するバクテリオファージも包含する。本発明のウイルス不活化剤の適用対象は特に限定されないが、例えば、インフルエンザウイルス、肝炎ウイルス、髄膜炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、成人T細胞白血病ウイルス、エボラ出血熱ウイルス、黄熱病ウイルス、狂犬病ウイルス、サイトメガロウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス、水痘ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルスなどを挙げることができる。好ましい対象としてSARSウイルスやインフルエンザウイルスなど空気感染するウイルスを挙げることができる。もっとも、これらの特定の態様に限定されるわけではない。
本発明のウイルス不活化剤の有効成分としては1種又は2種以上の一価銅化合物を用いることができる。一価銅化合物の種類は特に限定されないが、例えば、酸化第一銅(Cu2O)、硫化第一銅(Cu2S)、又はヨウ化第一銅(CuI)、塩化第一銅(CuCl)などを挙げることができる。
本発明のウイルス不活化剤としては、任意のサイズ及び任意の結晶形の一価銅化合物をそのまま用いることもできるが、適宜の化学的プロセスにより微粒子形態に調製された結晶状態の一価銅化合物や機械的な粉砕工程などにより調製された微粒子粉体の形態の一価銅化合物などを用いることが好ましい。一価銅化合物を微粒子形態で用いる場合、微粒子の粒径は特に限定されないが、例えば、平均粒径が1 nm〜1,000μm程度の微粒子を用いることができる。平均粒径の下限は、好ましくは100 nm程度又はそれ以上、より好ましくは200 nm程度又はそれ以上、さらに好ましくは500 nm又はそれ以上、特に好ましくは1μm以上である。平均粒径の上限は特に限定されないが、好ましくは800μm以下、より好ましくは500μm以下の範囲である。例えば、酸化第一銅(Cu2O)を用いる場合には、種々の条件で異なる結晶型の微粒子を調製することができるが(Chem. Commun., pp.1076-1078, 2009)、任意の粒径及び結晶形の酸化第一銅を用いることができる。
また、一価銅化合物としては結晶状物質に限定されることはなく、アモルファス状物質、結晶及びアモルファス状物質の任意の割合の混合物、又は周期性が完全ではない微結晶状物質など、任意の形態の物質を用いることができる。また、一価銅化合物はウイルス不活化作用を阻害しない限り少量の二価銅化合物を含んでいてもよい。例えば、一価銅及び二価銅を適宜の割合で含む微粒子などを一価銅化合物として用いることも可能である。従って、本明細書において用いられる「一価銅化合物」の用語をいかなる意味においても限定的に解釈してはならず、最も広義に解釈しなければならない。
本明細書のウイルス不活化剤は赤外光存在下、可視光存在下、紫外光存在下などの光線存在下のほか暗所においても使用することができる。本明細書において「暗所」とは実質的に光線が存在しない状態を意味しており、より具体的には波長が400〜800 nm程度の可視光線のほか、殺菌燈や太陽光線などに由来する紫外光線(波長10〜280 nmのUV-C、波長280〜315 nmのUV-B、及び波長315〜400 nmのUV-A)や赤外光線(波長800 〜400,000 nm程度)の光線が実質的に存在しない状態を意味する。
本発明のウイルス不活化剤としては、例えば、1種又は2種以上の一価銅化合物と1種又は2種以上の光触媒物質とを含むウイルス不活化剤を使用することもできる。本明細書において光触媒物質とは光触媒作用、すなわち有機物を分解する光誘起分解作用及び/又は光誘起親水化作用を有する物質を意味する。光触媒物質としては特に光誘起分解作用に優れた物質を好適に使用することができる。光触媒物質としては、紫外光応答型光触媒物質や可視光応光触媒物質などを用いることができる。このように一価銅化合物と光触媒物質とを組み合わせたウイルス不活化剤を用いることにより、紫外光存在下や可視光存在下では光誘起分解活性を発揮しながら、ウイルス不活化作用も発揮し、さらに暗所においても十分なウイルス不活化作用を達成することができる。
ウイルス不活化剤として一価銅化合物と光触媒物質とを含むウイルス不活化剤を使用する場合において、一価銅化合物と光触媒物質との比率は特に限定されないが、例えば光触媒物質の質量に対して一価銅化合物を0.1%〜95%程度の範囲で用いることができる。通常は一価銅化合物と光触媒物質とを所定の割合となるように混合して組成物を調製すればよい。
以下、本発明のウイルス不活化剤において一価銅化合物と組み合わせて使用可能な光触媒物質について具体的に説明するが、本発明において使用可能な光触媒物質は下記の具体的物質に限定されることはない。
光触媒物質のうち、紫外光応答型光触媒物質は400 nm以下の紫外光を含む光線の存在下において光触媒作用を有する物質であり、典型的には酸化チタン光触媒を用いることができる。酸化チタン光触媒における光誘起分解作用は3.0eV以上の紫外光励起によって生成・表面拡散してきた正孔と電子が表面に吸着している分子と酸化還元反応を行う作用である。
光誘起分解作用を有する多様な酸化チタン光触媒が知られており、例えばアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型などの任意の結晶構造を有する酸化チタンを用いることができる。これらの酸化チタンは、気相酸化法、ゾルゲル法、又は水熱法などの公知の方法により調製することができる。酸化チタンとともに、光触媒促進剤として、例えば白金、パラジウム、ロジウム、及びルテニウムなどの白金族金属から選ばれる金属を1種又は2種含有させることもできる。光触媒促進剤の使用量は特に限定されないが、例えば、酸化チタンと光触媒促進剤の合計量に対して光触媒促進剤を1〜20重量%程度の割合にすることができる。
最近、室内光などの可視光下においても光触媒活性を発揮する可視光応答光触媒として窒素をドープした酸化チタン触媒(Science, 293, pp.269-271, 2001; J. Phys. Chem. B, 107, pp.5483-5486, 2003; Thin Solid Films, 510, pp.21-25, 2006)が提案されている。また、それとは別の構造の可視光応答光触媒として、酸化チタンに銅化合物及び/又は鉄化合物のナノクラスターを担持させた酸化チタンや酸化タングステンも提案されている(J. Am. Chem. Soc., 129, pp.9596-9597, 2007; Chem. Phys. Lett., 457, pp.202-205, 2008;J. Phys. Chem. C., 113, pp.10761-10766, 2009; J. Am. Chem. Soc., 132, pp.6898-6899, 2010; J. Am. Chem. Soc., 132, pp.15259-15267, 2010 )。これらの可視光応答型光触媒は可視光照射下、例えば400〜530 nmの光を含む光線下において光触媒活性を有する。これらの可視光応光触媒物質を一価銅化合物と混合して組成物の形態で使用することもできるが、可視光応答触媒物質は上記の特定の触媒に限定されることはない。
より具体的には、可視光応答型光触媒物質としては、例えば(A)銅化合物及び/又は鉄化合物、並びに(B)酸化タングステン、酸化チタン、及びドーピングによって伝導帯を制御した酸化チタンからなる群から選ばれる少なくとも1種の光触媒の組み合わせを含む組成物の形態の物質が好ましい。
上記(A)成分として用いられる銅化合物及び鉄化合物としては、(B)成分の光触媒に対する酸素の還元触媒として電子移動をスムーズに行うことができる銅二価塩や鉄三価塩が好ましい。銅二価塩や鉄三価塩としては、例えばハロゲン化水素塩(フッ化水素塩、塩化水素塩、臭化水素塩、ヨウ化水素塩)、酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩などを挙げることができる。(A)成分としては、銅化合物及び鉄化合物からなる群から選ばれる任意の1種又は2種以上の化合物を用いることができ、(A)成分を(B)成分の光触媒の表面に担持させることが好ましい。
(B)成分である酸化タングステンと(A)成分である触媒活性促進剤としての銅化合物との組み合わせが可視光応答型光触媒として有用であることは特開2008-149312号公報に開示されており、銅イオンや鉄イオンを担持した酸化タングステンが可視光応答型光触媒として有用であることは会報光触媒, 28, pp.4, 2009に開示されている。銅化合物と酸化タングステンとを組み合わせる方法としては、例えば、酸化タングステン粉末に対してCuO粉末を1〜5質量%程度混合する方法、酸化タングステン粉末に銅二価塩(塩化銅、酢酸銅、硫酸銅、硝酸銅など)を含む極性溶媒溶液を加えて混合し、乾燥処理後に500〜600℃程度の温度で焼成して酸化タングステン表面に銅イオンを担持させる方法などを用いることができる。銅イオンの担持量は、可視光応答型光触媒の性状などを考慮して適宜選択することが可能であり、特に限定されるものではない。
酸化チタンを用いて可視光応答型光触媒を調製するには、(A)成分と組み合わせて、例えば銅修飾酸化チタン又は鉄修飾酸化チタンとすることが好ましい。原料として用いる酸化チタンの結晶形は特に限定されないが、例えばアナターゼ型、ルチル型、又はブルッカイト型などの結晶構造を有する酸化チタンを用いることができる。
銅修飾酸化チタンの表面に存在する銅イオン種としては、例えば塩化銅(II)、酢酸銅(II)、硫酸銅(II)、硝酸銅(II)、フッ化銅(II)、ヨウ化銅(II)、臭化銅(II)などに由来する銅イオン種を利用することができ、塩化銅(II)に由来する銅イオン種を好ましく使用することができる。銅イオン種は塩化銅(II)などの銅化合物を酸化チタン上で分解又は酸化するなどの化学反応や析出などの物理化学的変化により生成される。
銅イオン種による修飾量は特に限定されないが、例えば、光触媒の性能向上の観点から酸化チタンに対して金属銅(Cu)換算で0.05質量%以上、好ましくは0.1質量%以上であり、銅イオン種の凝集抑制及び光触媒の性能低下防止の観点から0.3質量%以下である。
銅修飾酸化チタンは、例えば酸化チタンを生成するチタン化合物を反応溶液中で加水分解する工程、及び加水分解後の溶液に銅イオン種を含有する水溶液を混合して酸化チタンの表面修飾を行う工程により製造することができる。
加水分解工程においては、例えば塩化チタン水溶液を加水分解して酸化チタンスラリーを得ることができ、加水分解時の溶液の条件を変えることによって任意の結晶形を製造することができる。例えば、ブルッカイト含有率が7〜60質量%である酸化チタン粒子や、結晶子サイズが9〜24 nm程度のブルッカイト結晶を得ることができる。例えば、加水分解及び熟成を60〜101℃の範囲でおこない、四塩化チタン水溶液の滴下速度を0.6 g〜2.1 g/分とし、又は塩酸を5〜20質量%滴下する工程を付加し、あるいはこれらを任意に組み合わせた工程を付加することができる。
表面修飾工程は、例えば80〜95℃の範囲、好ましくは90〜95℃の範囲で行うことにより効率よく銅イオン種を酸化チタンの表面に修飾することができる。銅イオン種の修飾は、例えば会報光触媒, 28, pp.4, 2009に記載されている方法、具体的には光触媒粒子と塩化銅とを媒液中で加熱下に混合した後に水洗して回収する方法、又は光触媒粒子と塩化銅とを媒液中で加熱下に混合した後に、蒸発乾固して回収する方法などにより行うことができる。
鉄修飾酸化チタンにおける酸化チタンの結晶形はアナターゼ型、ルチル型、又はブルッカイト型のいずれでもよく、これらの任意の混合物であってもよい。鉄修飾酸化チタンの場合には結晶性が高い酸化チタンを用いることが好ましく、アモルファス酸化チタンや水酸化チタンの含有率が少ないことが好ましい。
ドーピングにより伝導帯が制御された酸化チタンは、酸化チタンの伝導帯下端電位を正の電位側にシフトさせる効果を期待できる金属イオン、又は酸化チタンの伝導帯下端電位の正の電位側に孤立準位を形成する効果を期待できる金属イオンをドーピングした酸化チタンである。上記効果を期待できる金属イオンとしては、例えば、タングステン(VI)、ガリウム(III)、セリウム(IV)、ゲルマニウム(IV)、又はバリウム(V)などを挙げることができ、これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。ドーピングにより伝導帯が制御された好ましい酸化チタンとして、例えば、タングステンドープ酸化チタンやタングステン・ガリウム共ドープ酸化チタンなどを挙げることができる。これらのドープ酸化チタンを(A)成分の銅化合物や鉄化合物と組み合わせた混合物や、ドープ酸化チタンの表面に銅二価塩及び/又は鉄三価塩を担持させた可視光応答型触媒が好ましい。
ドーピングされる酸化チタンの形態は特に限定されず、例えば微粒子状の酸化チタンや薄膜状の酸化チタンなどを用いることができるが、比表面積が大きい微粒子の酸化チタンを用いることが好ましい。酸化チタンの結晶構造は特に限定されず、ルチル型、アナターゼ型、又はブルッカイト型結晶、あるいはそれらの任意の混合物を用いることができる。酸化チタンがルチル型結晶を主成分として含む場合には、50質量%以上の含有率であることが好ましく、65質量%以上の含有率であることがさらに好ましい。アナターゼ型又はブルッカイト型結晶を主成分として含む場合についても同様である。
タングステンによるドープを行う場合、タングステンとチタンとのモル比(W:Tiモル比)は0.01:1〜0.1:1の範囲であることが好ましく、0.01:1〜0.05:1の範囲であることがより好ましく、0.02:1〜0.04:1の範囲であることがさらに好ましい。タングステンとガリウムとの共ドープを行う場合には、タングステンとガリウムのモル比(W:Gaモル比)が1:2に近いことが理想的であり、少なくとも1:1.5〜1:2.5の範囲にあることが好ましく、1:1.7〜1:2.3の範囲であることがより好ましく、1:1.8〜1:2.2の範囲であることがさらに好ましい。ドープ酸化チタンの表面に担持される銅二価塩又は鉄三価塩の量は、光触媒物質全量に対して0.0001〜1質量%程度であり、0.01〜0.3質量%であることがより好ましい。
ドープ酸化チタンの表面に銅二価塩及び/又は鉄三価塩を担持させた可視光応答型光触媒は、例えば、タングステンドープ酸化チタン又はタングステン・ガリウム共ドープ酸化チタンを得るドーピング工程、及び銅二価塩及び/又は鉄三価塩を担持させる金属塩担持工程により製造することができる。
ドーピング工程は、例えば、(1)ゾル−ゲル法によりドープ酸化チタンを製造する方法;(2)所定温度に加熱されたドーパント溶液に四価のチタン塩を含む溶液を混合することによりドープ酸化チタンを製造する方法;(3)気相法により、揮発性チタン化合物蒸気と揮発性タングステン化合物蒸気とを含むガス、又はさらに揮発性ガリウム化合物蒸気を含むガスを酸化性気体を含むガスと混合することによりドープ酸化チタンを製造する方法;及び酸化チタン粉末の表面にタングステン六価塩又はタングステン六価塩及びガリウム酸化塩を担持し、800〜1,000℃程度の温度で焼成することによりドープ酸化チタンを製造する方法により行うことができる。
ドープ酸化チタンの表面に銅二価塩及び/又は鉄三価塩を担持する工程は、ドープ酸化チタン表面において銅二価塩及び/又は鉄三価塩が微粒子状で高分散状態を維持できるように、できる限り薄く銅二価塩及び/又は鉄三価塩を担持させる方法により行うことができる。この工程は、好ましくは、ドープ酸化チタンと銅二価塩及び/又は鉄三価塩の水溶液を接触させて85〜100℃程度の温度、好ましくは90〜98℃程度に加熱し、その後にろ過や遠心分離などにより固体を回収して十分な水洗を行う方法により行うことができる。
本発明のウイルス不活化剤としては、一価銅化合物と光触媒物質とを含む組成物の形態のウイルス不活化剤を用いてもよい。また、高い抗ウイルス効果と光触媒活性とを両立させるために光触媒物質の表面に一価銅化合物と二価銅化合物とを含む混合物を担持させたウイルス不活化剤を用いることもできる。光触媒物質の表面に一価銅化合物と二価銅化合物とを含む混合物を担持させたウイルス不活化剤の好ましい態様では、光触媒物質として酸化チタン、さらに好ましくは酸化チタンの粒子を用いることができる。酸化チタン粒子の粒径は特に限定されないが、例えば5 nm〜1,000 nm程度である。好ましい態様では、光触媒物質、好ましくは光触媒物質の粒子の表面に一価の酸化銅と二価の酸化銅とを含む混合物のナノクラスターを形成させて担持させることができる。本明細書において「ナノクラスター」の用語は数個から数百個の一価銅化合物及び二価銅化合物の分子が集まって形成される集合体を意味するが、この用語をいかなる意味においても限定的に解釈してはならず、最も広義に解釈しなければならない。一般的にはナノクラスターの大きさは数ナノメートルであり、通常は10 nmよりも小さい。該混合物に含まれる一価銅化合物又は二価銅化合物は結晶形態であってもよいが、アモルファス状であってもよく、結晶及びアモルファスが共存する状態であってもよい。一価銅化合物及び二価銅化合物がともにアモルファス状物質として光触媒物質の表面に担持されていることが好ましい。
例えば、酸化チタン粒子の表面に一価の酸化銅及び二価の酸化銅の混合物を含むナノクラスターを形成させる方法としては、例えば、二価銅化合物と酸化チタン粒子とを含む懸濁液に還元剤を添加する工程を含む方法を挙げることができる。好ましくは、二価銅化合物と酸化チタン粒子とを含む懸濁液を調製し、塩基性条件下において、例えばpHを9以上に調整して還元剤を添加する工程を含む方法、及び上記方法において該懸濁液の温度を60℃以上に維持する方法を挙げることができるが、これらの特定の方法に限定されるわけではない。光触媒物質の粒子表面に担持させるべきナノクラスターの量は特に限定されないが、例えば酸化チタンなどの光触媒物質の質量に対して 0.01〜 10質量%程度、好ましくは0.25%〜2%程度である。ナノクラスターの粒径は、例えば0.5〜10 nm程度であり、好ましくは2-5 nm程度である。ナノクラスターの粒径が0.5nm以下である場合は、実質上の製造が困難になり、10nm以上においては、クラスターとしての機能(電子の授受など)が低下することがある。ナノクラスターの粒径は、例えばTEM画像から測定することができる。また、その場合における光触媒物質、好ましくは酸化チタンの粒子径は、例えば5〜1000 nm程度、好ましくは100〜500 nm程度である。ナノクラスターにおける一価銅化合物の二価銅化合物に対する比率は、例えば10〜90%の範囲、好ましくは40〜60%の範囲である。
還元剤としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム、亜鉛、アルカリ金属や亜鉛のアマルガム、ホウ素やアルミニウムの水素化物、低酸化状態の金属塩、硫化水素、硫化物、チオ硫酸塩、シュウ酸、ギ酸、アスコルビン酸、アルデヒド結合を有する物質、及びフェノールを含むアルコール化合物などからなる群より選択される少なくとも一種の物質を用いることができる。好ましくは、還元剤としてアルデヒド結合を有する物質を用いることができる。アルデヒド結合を有する物質としては、例えば、糖類、より好ましくはグルコースを用いることができるが、これらに限定されることはない。糖類は安価で毒性が無く、還元反応後に洗浄等の汎用の操作により容易に除去することができることから好ましい還元剤である。二価銅化合物と酸化チタン粒子とを含む懸濁液を塩基性に調節して反応を行う場合には、pHの調節は一般的には金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物を用いて行なうことができるが、反応は塩基性条件下で行う場合に限定されることはない。
上記の製造方法の具体的な例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、二価銅化合物、例えばCuCl2の水溶液に酸化チタン粒子を懸濁して加温下、例えば60℃以上、好ましくは90℃程度で数時間、好ましくは1時間程度攪拌して懸濁液を調製した後に、この懸濁液に水酸化ナトリウム(NaOH/Cu2+=0〜8)と糖類(例えばグルコースなど:アルデヒド化合物/Cu2+=4)とを加えてpH9以上の条件でさらに加温下、好ましくは60℃以上、さらに好ましくは90℃程度で数時間、好ましくは1時間程度攪拌して、得られた固体をろ取して水洗した後に乾燥することにより酸化銅(CuXO)ナノクラスターが表面に担持された酸化チタン粒子を調製することができる。この反応により得られる微粒子は、R-CHO+2CU2++4OH-→R-COOH+Cu2O+2H2Oで表される反応により生じるCu2Oを主成分とするCuXO(一価と二価の酸化銅の混合物)のナノクラスターがTiO2粒子の表面に担持された複合体粒子であり、光誘起分解作用とウイルス不活化作用とを合わせもつ複合体粒子として本発明において好適に使用することができる。
光触媒物質の表面に一価銅化合物と二価銅化合物とを含む混合物を担持させたウイルス不活化剤において、二価銅化合物と酸化チタンは可視光応答型光触媒の役割を担っている。二価銅化合物を表面に担持した可視光応答型光触媒については、J. Am. Chem. Soc., 129, pp.9596-9597, 2007など(段落[0028]に引例している文献)に記載されている。この際、二価銅化合物は、界面電荷移動によって酸化チタンの価電子帯からの励起電子を受領し、酸素の多電子還元触媒として機能して酸素に電子を渡す役割を担う。それによって、可視光照射下においてVOC分解能などの光誘起分解作用を示す。一方、酸化チタンに担持された一価銅化合物はウイルス不活化剤としての役割を担っている。このように、光触媒物質の表面に一価銅化合物と二価銅化合物とを含む混合物を担持させたウイルス不活化剤は、可視光応型光触媒としての機能、及びウイルス不活化剤としての機能を併せ持つという特徴がある。
また、光触媒物質の表面に一価銅化合物と二価銅化合物とを含む混合物を担持させたウイルス不活化剤においては、空気中の酸素や水分により一部の一価銅化合物が二価銅化合物に酸化された場合にも、光触媒物質の作用によって生成した二価銅化合物が一価銅に還元され、その結果としてウイルス不活化能力が復活するという優れた特徴がある。従って、光触媒物質の表面に一価銅化合物と二価銅化合物とを共存させることによって、持続的に一価銅化合物のウイルス不活化能力を持続させることが可能になる。上記の効果を発揮させるための態様として、Cu2Oを主成分とするCuxO(一価と二価の銅化合物の混合物)のナノクラスターがTiO2粒子の表面に担持されている態様が特に好ましい。
本発明のウイルス不活化剤の使用形態は特に限定されないが、例えば、微粉末や顆粒などの固体状形態で適宜の容器に充填してそのまま使用するか、あるいは任意の基材の表面及び/又は内部にウイルス不活化剤を含む形態により使用することができ、一般的には後者の態様が好ましい。本明細書において、「ウイルス不活化材料」とは、基材の表面及び/又は内部に上記のウイルス不活化剤を含む材料を意味する。基材としては、例えば、金属、セラミック、ガラスなどの一般的な単一部材からなる基材や2種以上の部材からなる複合基材を挙げることができるが、これらに限定されることはない。また、フロアーポリッシュのような適宜の手段により剥離可能なコーティング剤に上記のウイルス不活化剤を含む材料も本発明のウイルス不活化材料に包含される。さらに、酸化チタン粒子の表面に一価の酸化銅及び二価の酸化銅の混合物を含むナノクラスターを担持させた複合体粒子を膜に固定化して、連続膜の表面に一価の酸化銅及び二価の酸化銅の混合物を含むナノクラスターを露出させることもできる。あるいは、ガラスにスパッターした薄膜状の酸化チタンの表面に一価の酸化銅及び二価の酸化銅の混合物を含むナノクラスターの薄膜をスパッターした膜状のウイルス不活化剤などを用いることもできる。
ウイルス不活化剤を基材表面に固定化したウイルス不活化材料としては、一般的には、ウイルス不活化剤をバインダーなどの固定化手段を用いて基材表面に固定化した材料を挙げることできる。バインダーとしては有機系バインダー又は無機系バインダーのいずれを用いてもよいが、ウイルス不活化剤として一価銅化合物と光触媒物質とを含む組成物を用いる場合には、光触媒物質によるバインダーの分解を避けるために無機系バインダーを用いることが好ましい。バインダーの種類は特に限定されず、例えば、光触媒物質を基材表面に固定化するために通常用いられるシリカ系などの無機系バインダーのほか、重合や溶媒揮発により薄膜を形成可能な高分子バインダーなど任意のバインダーを用いることができる。
ウイルス不活化剤を基材内部に含むウイルス不活化材料としては、樹脂中に上記のウイルス不活化剤を分散させた分散物を硬化させることにより得ることができる材料を挙げることができる。樹脂としては天然樹脂又は合成樹脂のいずれを用いてもよい。例えば、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合(ABS)樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができるが、これらの特定の樹脂に限定されることはない。
本発明のウイルス不活化剤の適用形態は特に限定されず、任意の光線の存在下のほか、暗所においても使用することができる。また、本発明のウイルス不活化剤は、水の存在下(例えば水中や海水中など)や、乾燥状態(例えば冬季などにおける低湿度の状態など)又は高湿度の状態、あるいは有機物の共存下においても高いウイルス不活化能を有し、持続的にウイルスを不活化することができる。例えば壁、床、天井などのほか、病院や工場などの建築物、工作機械や測定装置類、電化製品の内部や部品(冷蔵庫、洗濯機内、食器洗浄機などの内部や空気洗浄機のフィルターなど)など、任意の対象物に適用可能である。暗所の例として、例えば機械内部や冷蔵庫の収納室、夜間又は不使用時に暗所となる病院施設(待合室や手術室など)への適用が好適な例として挙げられるが、これらに限定されることはない。また、例えば、インフルエンザ対策の一つとして空気洗浄機のセラミックフィルターに酸化チタンをコーティングして紫外線照射するための光源を組み込んだ製品が提案されているが、本発明のウイルス不活化剤をフィルターに適用することにより紫外線光源が不要になり、コストを低減して安全性を高めることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1
ウイルス不活化能はインフルエンザウイルスにおいても評価したが、主にはバクテリオファージを用いたモデル実験により以下の方法で確認した。バクテリオファージに対する不活化能をウイルス不活化能のモデルとして利用する方法は、例えばAppl. Microbiol. Biotechnol., 79, pp.127-133, 2008に記載されており、信頼性のある結果が得られることが知られている。
深型シャーレ内にろ紙を敷き、少量の滅菌水を加えた。ろ紙の上に5 mm程度のガラス製の台を置き、その上にCu2Oなどの被検試料を塗布したガラス板を置いた。この上にあらかじめ純化しておき濃度も明らかとなっているQβファージ(NBRC20012)懸濁液を50μL滴下し、材料表面とファージを接触させるためにOHPフィルムを被せた。このシャーレにガラス板で蓋をした。同様の測定用セットをファージ数の測定予定回数の数だけ用意し、室温の暗所に静置した。また、光源として15W白色蛍光灯(パナソニック株式会社、フルホワイト蛍光灯、FL15N)に紫外線カットフィルター(株式会社キング製作所、KU-1000100)を取り付けたものを使用し、照度が800ルクス(照度計:TOPCON IM-5にて測定)になる位置にそれぞれ測定用セットを静置した。所定時間経過後に各サンプルのファージ濃度測定を行った。測定方法の概念図を図1に示した。
ファージ濃度の測定は以下の方法で行った。サンプルを10 mLの回収液(SM Buffer)に浸漬し、振とう機にて10分間振とうさせた。このファージ回収液を適宜希釈し、別に培養しておいた大腸菌(NBRC13965)の培養液(OD600>1.0, 1×108 CFU/mL)と混合して撹拌した後、37℃の恒温庫内に10分間静置して大腸菌にファージを感染させた。この液を寒天培地にまき、37℃で15時間培養した後にファージのプラーク数を目視で計測した。得られたプラーク数にファージ回収液の希釈倍率を乗じることによってファージ濃度を求めた。
Cu2O粉末を乳鉢で細粒化し、0.1質量%のエタノールスラリーを調製した。Cu2Oの粒径は走査型電子顕微鏡(SEM)下で1〜4μmであった(図7)。スラリー調製にあたり、超音波洗浄機にて超音波を20分間照射して粉末を分散させた。この分散液を2.5 cm×2.5 cm×1 mm (厚)のガラス板の上にこぼれないように全体に滴下し、このガラス板を120℃に設定した定温乾燥器に入れて3時間乾燥した。得られたガラス板上のCu2Oは0.15 mg/6.25 cm2 (=0.24 g/m2)であった。CuOのサンプルも上記と同様に作製したが、担持量は銅イオンの割合を同じにするため0.17 mg/6.25 cm2 (=0.27 g/m2)とし、CuSについても0.2 mg/6.25 cm2 (=0.32 g/m2)とした。同様に、Cu2Sは 0.17 mg/6.25 cm2 (=0.27 g/m2)とし、CuIは 0.4 mg/6.25 cm2 (=0.64 g/m2)とした。Cu2Sは細粒化後に凝集により数十μmの粒径を有していた。
結果を図2に示す。一価銅化合物からなるCu2Oにファージ懸濁液を30分間接触させるとファージ濃度は初期濃度の1/106まで低下したが、二価銅化合物からなるCuOは30分間ではほとんど不活化効果を示さなかった(図2の左図)。また、Cu2Oのファージ不活化効果は光照射下(WL: white light)及び暗所(Dark)のいずれにおいても認められた。二価銅化合物からなるCuSにおいてもCuOと同様にほとんど不活化効果は認められなかった(図2の右図)。一方、一価銅化合物からなるCu2S及びCuIについてもCu2Oと同様に高いファージ不活化効果が認められ、一価銅化合物がファージ不活化に対して顕著な効果を発揮することが確認された(図2の右図)。同様にして塩化第一銅(CuCl)を用いてファージ不活化能を調べたところ酸化第一銅とほぼ同様のファージ不活化能を有することが確認された。
例2
例1と同様にしてT4ファージ(NBRC 20004)に対するウイルス不活化作用を調べたところ白色蛍光の照射下にCu2Oと60分間接触させることによりT4ファージの濃度は1/106まで低下した(図3)。
例3
インフルエンザウイルスとしてA/PR/8/34(H1N1)を用い、第12日目齢発育鶏卵にウイルス液を接種、感染させ、35.5℃で2日間培養した。4℃で一晩静置させた後、奨尿液を回収し精密濾過(卵由来雑居物除去)と限外濾過(不純物除去、ウイルス濃縮)にて濃縮液を得た。この濃縮液を超遠心によるショ糖密度勾配沈降速度法(5-50%ショ糖Linear Gradient、141,000×g、3時間)により精製して高純度ウイルス液を得た。試験実施に際してはウイルスを安定させるためにウシ血清アルブミン(BSA)を安定化剤として添加した。
インフルエンザウイルスに対するウイルス不活化作用を例1と同様にして図1に示す方法により確認した。担持サンプルの調製は例1と同様に行なった。評価は、深型シャーレ内にろ紙を敷き、少量の滅菌水を加えた。ろ紙の上に5mm程度のガラス製の台をおき、その上に、Cu2Oなどの材料を塗布したガラス板(2.5cm角)を置いた。この上に精製したインフルエンザウイルス液を50μL滴下し、材料表面とウイルスを接触させるためにOHPフィルムを被せた。このシャーレにガラス板で蓋をして光照射を行った。同様の測定用セットをファージ数の測定予定回数の数だけ用意し、室温の暗所、又は光源として20W白色蛍光灯(東芝ライテック;FL20S・W)を使用し、照度が1,000ルクス(照度計:TOPCON IM-5にて測定)になる位置に測定用セットを静置した。所定の時間、暗所放置ならびに光照射後のサンプルのウイルス感染価を測定した。
光照射した後にウイルスを接種したガラス板を5mLの回収液(PBS+1%BSA)に浸漬し、振とう機にて10分間、100rpmで振とうさせ回収した。回収したインフルエンザウイルスを10倍段階希釈により10-8個/mlまで希釈し、それぞれ培養したMDCK細胞(イヌ腎臓由来株化細胞)に感染させ、37℃、CO2濃度5%で5日間培養した。培養後、細胞の細胞変性効果(CPE)の有無を観察し、Reed-Muench法により50%培養細胞に感染した量を算出することで1ml当たりのウイルス感染価(TCID50/ml)を求めた。
結果を図4に示す。インフルエンザウイルスをDarkの条件で二価の銅イオンから成るCuOに接触させたところ30min後において感染価に変化はなく不活化効果を示さなかった。同様に1000ルクスの白色蛍光灯を照射下の条件でCuOと接触させたところ30min後において感染価の減少はあまり見られず、ウイルス不活化効果を確認することはできなかった。一方、インフルエンザウイルスをDarkの条件で一価の銅化合物からなるCu2Oに接触させたところ、時間に比例して感染価が低下しており、30min後には1/103 まで低下していた。同様に1000ルクスの白色蛍光灯を照射下の条件で、Cu2Oに接触させたところ30min後には検出限界以下の1/104 まで低下していた。従って、CuOと比較してCu2Oでは白色蛍光を照射した条件で劇的に感染価を低減させ、インフルエンザウイルスを不活化させることが確認された。
例4
Cu2O粉末を乳鉢で細粒化し、0.1質量%のCu2O及び固形分濃度が0.1%となるようにTEOS(エチルシリケート28、コルコート製)の加水分解液を加えエタノールスラリーを調製した。その際、超音波洗浄機にて超音波を20分間照射して分散させた。この分散液を例1と同様にして2.5 cm×2.5 cm×1 mm (厚)のガラス板の上にこぼれないように全体に滴下し、このガラス板を120℃に設定した定温乾燥器に入れて3時間乾燥した。得られたガラス板上のCu2Oは0.15 mg/6.25 cm2 (=0.24 g/m2)であった。例1と同様にしてファージ懸濁液を30分間接触させるとファージ濃度は顕著に減少し、バインダーを用いた場合にも例1の場合と同様のファージ不活化活性が得られることが確認できた(図5)。
例5
Cu(II)/TiO2とCu2O粉末を乳鉢で細粒化し、0.9質量%のエタノールスラリーを調製した。その際、超音波洗浄機にて超音波を20分間照射して分散させた。この分散液を例1と同様にして2.5 cm×2.5 cm×1 mm (厚)のガラス板の上にこぼれないように全体に滴下し、このガラス板を120℃に設定した定温乾燥器に入れて3時間乾燥した。得られたガラス板上のCu(II)/TiO2は2.5 mg/6.25 cm2 (=4 g/m2)、Cu2Oは0.15 mg/6.25 cm2 (=0.24 g/m2)であった。例1と同様にしてファージ溶液を30分間接触させるとファージ濃度は顕著に減少し、Cu2Oと光触媒物質とを含む組成物の形態においても例1の場合と同様のファージ不活化活性が得られることが確認できた(図6)。
例6
例1などにおけるウイルス不活化作用の評価は水を含ませたろ紙を敷いた評価系を採用していることから、評価時の湿度は約80%以上となっている。一般的に、ウイルスは高湿度において活性が低く、低湿度において活性が高くなることが知られている。そこで、本発明のウイルス不活化剤が低湿度条件において高い活性を維持できるか否かを確認した。評価方法の概念図を図8に示す。Cu2Oの担持量を例1の1/3(0.08g/m2)として湿度条件を40%又は13%にして評価を行ったところ、乾燥する際に1/103倍までファージ濃度が低下するが、その後、湿度40%では1時間のみの光照射で検出限界以下まで不活化することができ、湿度13%の暗所条件下においても4時間Cu2Oと接触させておくだけで検出限界以下まで不活化することができた(図9)。この結果は、冬季などにおける一般的な生活空間でCu2Oが十分なウイルス不活化効果を発揮できることを示している。
例7
一般的な生活空間に存在するウイルスは塵などの種々の有機物と共存していることから、有機物の共存下においても本発明のウイルス不活化剤が十分な不活化作用を発揮できるか否かを検討した。0.1%のゼラチンを含有したファージ懸濁液を作製して例1の方法と同様にして評価を行った。Cu2Oの担持量を0.24g/m2とした場合には0.1%のゼラチンを含む試料に対して速やかなウイルス不活化作用が発揮されることが確認された。一方、ゼラチンを含まない試料に対してはCu2Oの担持量を1/10に低減させた場合に同程度のウイルス不活化が達成されており、有機物の存在がウイルス不活化能に影響する可能性があることが示唆された。
例8
図11に示すように、腰高シャーレに1/500NB培地に懸濁したファージ液25mLとCu2Oをコーティングしたシラスバルーン(図中、左下写真の左側:3g Cu2O/25mL(1/500NB培地))又はCu2Oの粉末(図中、左下写真の右側:4mg Cu2O/25mL(1/500NB培地))とを入れ、上から白色蛍光灯(WL)を照射した。同じ実験系を暗所下にも置いた。約24h後にサンプリングを行い、ファージ濃度を求めたところ、WL下及び暗所下ともにファージ濃度は検出限界以下まで低下していた。サンプリング後に再度ファージを加え、同様に約24h後にサンプリングを行ってファージ濃度を求めたところ検出限界以下であった。さらにこの操作を5回繰り返したところ、不活化効果は5回とも認められ、水中において繰り返しウイルスに曝露してもウイルス不活化作用が持続することが確認された(図11、Cu2Oシラスバルーン:左上、Cu2O粉末:右下)。
例9
CuCl2溶液(10ml、0.1〜2 Wt%)にTiO2(1.0g)を懸濁して90℃で1時間攪拌して懸濁液を調製した。得られた懸濁液に水酸化ナトリウムが銅イオンのモル数に対してNaOH/Cu2+=0〜8となるように添加し、さらに還元物質としてグルコースを銅イオンのモル数に対してグルコース/Cu2+=4となるように加え、さらに90℃で1時間攪拌した。固体をろ取して水洗した後に乾燥してCuXO-TiO2を得た。この反応により得られるCuXO-TiO2は、R-CHO+2Cu2++4OH-→R-COOH+Cu2O+2H2Oで表される反応により生じるCu2Oを成分とするCuXO(一価と二価の酸化銅の混合物)を含むナノクラスターがTiO2粒子の表面に担持された複合体粒子である。得られた粒子のX線回折(XRD)パターンとXPS(X線光電子分光)を図12に示す。図13には複合体粒子の紫外及び可視吸収スペクトルを示す。NaOHの量を多くするに従ってCu2O由来の吸収が増加することが確認された。本結果から、上記粒子の表面に担持されている銅化合物は二価酸化銅と一価酸化銅の混合物であることが明らかとなった。
透過型電子顕微鏡(TEM)により複合体粒子を観察した結果を図14に示す。この結果から、粒径が5nm程度のナノクラスター状の微粒子が酸化チタン表面に形成されて担持されていることが明らかになった。エネルギー分散形X線分光器(EDX)によって前記ナノクラスター状の粒子を解析したところ、ナノクラスター状の粒子の位置のみから銅が検出された。これらの結果から、ナノクラスター状の微粒子が銅化合物からなる微粒子であることが明らかになった。
得られた粒子について可視光での2-プロパノール(IPA)分解作用を確認した。500mLのパイレックス(登録商標)ガラス製ベッセルに粉末サンプル300mgを5.5cm2のシャーレに入れて静置し、純空気でベッセル内空気を置換した後、2-プロパノールを6μmolを投入し、暗所でおよそ12時間放置後、キセノン光源(400-530nm)で光照射してCO2の発生量をガスクロマトグラフィーで定量した。得られた結果を図15に示す。グルコースを用いて調製した複合体粒子はCu(II)/TiO2に比べて高活性を示した。複合体粒子の調製に際して用いる水酸化ナトリウムの量は活性に大きな影響を与えなかった。
得られた粒子を用いて例1と同様にサンプルを調製してウイルス不活化作用の評価に供した。銅量の4倍のグルコース及び8倍の水酸化ナトリウムで調製した複合体粒子は暗所下及び白色光照射下のいずれにおいてもウイルスを検出限界以下まで不活化し、顕著なウイルス不活化作用を発揮した(図16)。以上の結果から、得られた複合体微粒子は優れた光誘起分解活性とともに顕著なウイルス不活化活性を発揮できる材料として利用できることが明らかである。
例10
例9で得られたナノクラスターにおけるCuxO/TiO2の銅量をICP測定によって決定したところ、酸化チタン1gに対して0.23%であることがわかった。この銅量と同じになるようにCu2O及び酸化チタンを単純に混合した粉末を0.15 mg/6.25 cm2(0.24g/m2, Cu量: 5.4 nmol)なるようガラスに担持した。CuxO/TiO2の粉末を同様にガラスに担持したものを作製し、CuxO/TiO2とCu2O+TiO2物理混合の抗ファージ性能を比較した。結果を図17に示す。同様にして大腸菌について比較を行った結果を図17(右図)に示す。また、黄色ブドウ球菌に対しての性能を比較した結果を図18に示す。
本発明により提供されるウイルス不活化剤は、インフルエンザウイルスなどの各種ウイルスに対して変性や分解などの構造的な破壊を伴う不活化作用を発揮することができるので、フロアーポリッシュや空気洗浄機のフィルターなど多様な用途に応用することが可能である。

Claims (16)

  1. 一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物を表面に担持した光触媒物質を含むウイルス不活化剤。
  2. 光触媒物質が酸化チタンである請求項1に記載のウイルス不活化剤。
  3. 酸化チタンが粒子状の酸化チタンである請求項2に記載のウイルス不活化剤。
  4. 酸化チタン粒子の粒径が5 nm〜1,000 nmである請求項3に記載のウイルス不活化剤。
  5. 酸化チタン粒子がその表面に一価銅化合物と二価銅化合物とを含む混合物のナノクラスターを担持した粒子である請求項4に記載のウイルス不活化剤。
  6. 該ナノクラスターがアモルファス状の一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物からなるナノクラスターである請求項5に記載のウイルス不活化剤。
  7. 該ナノクラスターが二価銅化合物と酸化チタン粒子とを含む懸濁液に還元剤を添加する工程により調製することができるナノクラスターである請求項6に記載のウイルス不活化剤。
  8. 該工程が塩基性条件下において還元剤を添加する工程を含む請求項7に記載のウイルス不活化剤。
  9. 一価銅化合物が酸化第一銅であり、二価銅化合物が酸化第二銅である請求項1ないし8のいずれか1項に記載のウイルス不活化剤。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載のウイルス不活化剤を基材表面及び/又は内部に含むウイルス不活化材料。
  11. ウイルス不活化剤をバインダーを用いて基材表面に固定化した請求項10に記載のウイルス不活化材料。
  12. 樹脂中にウイルス不活化剤を分散させた分散物を硬化させることにより得ることができる請求項10に記載のウイルス不活化材料。
  13. 請求項1ないし9のいずれか1項に記載のウイルス不活化剤を含むコーティング剤。
  14. 一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物を表面に担持した光触媒物質。
  15. 光触媒物質が酸化チタン粒子であり、該酸化チタン粒子がその表面に一価銅化合物と二価銅化合物とを含む混合物のナノクラスターを担持した粒子である請求項14に記載の光触媒物質。
  16. 請求項14に記載の光触媒物質の製造方法であって、二価銅化合物と酸化チタン粒子とを含む懸濁液に還元剤を添加する工程を含む方法。
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