JP2021075558A - 抗微生物部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】抗微生物性のバインダ硬化物の単位面積当たりの抗微生物活性が高く、かつ、基材表面に形成された色彩、模様等の特性を損なうことなく、そのまま維持することが可能な抗微生物部材を提供する。【解決手段】基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が固着されてなり、かつ、上記バインダ硬化物は、基材表面の10〜55%を被覆していることを特徴とする抗微生物部材。【選択図】 図3
Description
本発明は、抗微生物部材に関する。
近年、病原体である種々の微生物を媒介とした感染症が短時間で急激に広がる、いわゆる「パンデミック」が問題になっており、SARS(重症急性呼吸器症候群)や、ノロウィルス、鳥インフルエンザ等のウィルス感染による死者も報告されている。
そこで、様々のウィルスに対して抗ウィルス活性を発揮する抗ウィルス剤の開発が活発に行われており、実際に様々な部材に抗ウィルス活性を有するPd等の金属や有機化合物からなる抗ウィルス剤を含む樹脂等を塗布したり、抗ウィルス剤が担持された材料を含む部材を製造することが行われている。
特許文献1には、無機系抗菌剤及び金属酸化物を含有する硬化性樹脂からなる層を表面に有する成形体であって、前記無機系抗菌剤が脂肪酸修飾金属超微粒子であることを特徴とする成形体が開示されている。
特許文献2には、基材表面に複数の抗菌金属アイランドを形成することにより抗菌活性を付与した抗菌性基材が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載された成形体では、硬化性樹脂からなる層は、成形体表面に形成された連続した層であり、成形体表面の色彩、模様、それらの配置などについて装飾上の工夫がなされた成形体の表面に上記した樹脂層を形成すると、上記成形体の美観が損なわれてしまうという問題があった。
特許文献2に記載された抗菌性基材では、平均直径が5〜500nmの抗菌金属アイランドが基材表面に固定されていることが開示されているが、抗菌金属の固定量に見合う充分な抗菌、抗ウィルス活性が得られていないという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、抗微生物性のバインダ硬化物の単位面積当たりの抗微生物活性が高く、かつ、基材表面に形成された色彩、模様等の特性を損なうことなく、そのまま維持することが可能な抗微生物部材を提供することを目的とする。
本発明の抗微生物部材は、基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が固着されてなり、かつ、上記バインダ硬化物は、基材表面の10〜55%を被覆していることを特徴とする。
本発明の抗微生物部材における、抗微生物とは、抗ウィルス、抗菌、抗カビ、防カビを含む概念である。従って、抗微生物成分とは、抗ウィルス成分、抗菌成分、抗カビ成分、防カビ成分を含む概念であり、抗微生物剤とは、抗ウィルス剤、抗菌剤、抗カビ剤、防カビ剤を含む概念であり、抗微生物組成物とは、抗ウィルス組成物、抗菌組成物、抗カビ組成物、防カビ組成物を含む概念である。
本明細書において、上記抗微生物部材は、抗ウィルス、抗菌、抗カビ及び防カビのうちいずれか1種の活性を示す部材であってもよく、抗ウィルス、抗菌、抗カビ及び防カビのうち、いずれか2種類の活性を示す部材であってもよく、いずれか3種類の活性を示す部材であってもよく、4種類全ての活性を示す部材であってもよい。
本発明の抗微生物部材における抗微生物特性の中で、特に抗ウィルス、抗カビに有効であり、抗ウィルスが最も高い活性を持つ。
本発明の抗微生物部材における抗微生物特性の中で、特に抗ウィルス、抗カビに有効であり、抗ウィルスが最も高い活性を持つ。
本発明の抗微生物部材では、基材表面の一部を露出させるように、抗微生物成分を含むバインダ硬化物が基材表面に形成されている。基材表面には、抗微生物成分を含むバインダ硬化物が形成された領域とバインダ硬化物が形成されていない領域が混在しており、特にバインダ硬化物は島状に散在して形成されていることが望ましい。バインダ硬化物を島状に散在して形成することで、バインダ硬化物の総表面積を大きくすることができ、また、基材の意匠を損ねることが無いからである。
本発明の抗微生物部材では、基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在し、もしくは、抗微生物成分を含むバインダ硬化物が形成された領域とバインダ硬化物が形成されていない領域が混在した状態となっており、かつ、上記バインダ硬化物は、基材表面の10〜55%を被覆しているので、バインダ硬化物が厚くなることがなく、表面積を大きくすることができ、抗微生物性のバインダ硬化物の単位面積当たりの抗微生物活性の高い抗微生物部材を提供することができる。
このため、必要最小限の抗微生物組成物で十分な抗微生物性能を実現できるのである。
また、抗微生物性を示すバインダ硬化物の表面積を大きくすることができるため、抗微生物性を示すバインダ硬化物とウィルス等の微生物との接触確率を高くすることができ、また、バインダ硬化物間の隙間にウィルス等の微生物をトラップさせ易くすることができるため、ウィルス等の微生物を失活させ易い。
このため、必要最小限の抗微生物組成物で十分な抗微生物性能を実現できるのである。
また、抗微生物性を示すバインダ硬化物の表面積を大きくすることができるため、抗微生物性を示すバインダ硬化物とウィルス等の微生物との接触確率を高くすることができ、また、バインダ硬化物間の隙間にウィルス等の微生物をトラップさせ易くすることができるため、ウィルス等の微生物を失活させ易い。
また、本発明の抗微生物部材では、上記バインダ硬化物は、基材表面の10〜55%を被覆しており、バインダ硬化物により被覆されていない部分の面積が相当量存在するので、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合には、意匠等の外観や美観を損ねることがない。
さらに、本発明の抗微生物部材では、上記バインダ硬化物が基材表面の全体には存在せず、島状に散在しているか、抗微生物成分を含むバインダ硬化物が形成された領域とバインダ硬化物が形成されていない領域が混在しており、上記バインダ硬化物の基材表面との接触面積を小さくすることができ、バインダ硬化物の残留応力を抑制することが可能となり、基材と高い密着性を有し、基材から剥がれにくいバインダ硬化物となる。
本明細書において、島状とは、基材表面のバインダ硬化物が他のバインダ硬化物と接触しない孤立した状態で存在していることをいう。島状に散在しているバインダ硬化物の形状は特に限定されず、その輪郭を平面視した際、円形、楕円形等の曲線から構成される形状であってもよく、多角形等の形状であってもよく、円形、楕円形等が細い部分を介して繋がり合ったような形状であってもよい。
本発明の抗微生物部材において、上記バインダ硬化物の基材表面に対する被覆率が10%未満であると、被覆率が低すぎるため、抗微生物活性が低下してしまう。一方、上記バインダ硬化物の基材表面に対する被覆率が55%を超えると、バインダ硬化物の総表面積が低下してしまうため、ウィルス等の微生物との接触確率が低下して、バインダ硬化物の単位面積当たりの抗微生物活性が低下してしまうのである。また、バインダ硬化物の被覆率が高くなりすぎるので、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合、意匠等の外観や美観を損ねてしまう。
本発明の抗微生物部材では、上記バインダ硬化物は、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
本発明の抗微生物部材において、上記バインダ硬化物が、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいると、確実に高い抗微生物活性を有する抗微生物部材を実現することができる。
本発明の抗微生物部材では、上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
本発明の抗微生物部材において、上記無機系抗微生物剤が、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であると、抗微生物剤を粒子状とすることができ、該無機系抗微生物剤がバインダ硬化物から露出し易く、より高い抗微生物活性を有する抗微生物部材となる。
本発明の抗微生物部材では、上記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
本発明の抗微生物部材において、上記有機系抗微生物剤が、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であると、有機系抗微生物剤はバインダ硬化物の全体に広がり易く、高い抗微生物活性を有する抗微生物部材となる。
本発明の抗微生物部材では、上記バインダ硬化物は、無機バインダ及び/又は電磁波硬化型樹脂の硬化物を含むことが望ましい。
本発明の抗微生物部材において、上記バインダ硬化物が、無機バインダ及び/又は電磁波硬化型樹脂の硬化物を含むと、比較的容易に密着性に優れたバインダ硬化物を、基材表面に固着形成させることができる。
本発明の抗微生物部材では、上記電磁波硬化型樹脂は、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、アルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
本発明の抗微生物部材において、上記電磁波硬化型樹脂が、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、アルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であると、バインダ硬化物は、透明性を有するとともに、基材に対する密着性にも優れる。
本発明の抗微生物部材では、上記無機バインダは、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル及びケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
本発明の抗微生物部材において、上記無機バインダが、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル及びケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種であると、抗微生物成分の種類に応じて水を分散媒としたゾル等や有溶媒を分散媒としたゾルを使い分けることができ、抗微生物成分が良好に分散したバインダ硬化物を形成することができる。
本発明の抗微生物部材では、上記バインダ硬化物の基材表面に平行な方向の最大幅は、0.1〜500μmであり、その厚さの平均値は、0.1〜20μmであることが望ましい。
本発明の抗微生物部材において、上記バインダ硬化物の上記基材の表面に平行な方向の最大幅を0.1〜500μmとすることにより、基材の表面がバインダ硬化物により被覆されていない部分の割合を適切に保つことができ、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合でも、意匠等の外観や美観が損なわれてしまうのを防止することができる。
本発明の抗微生物部材においては、上記バインダ硬化物の上記基材の表面に平行な方向の最大幅が0.1μm未満のバインダ硬化物を形成することは技術的に困難であり、バインダ硬化物の基材表面の被覆率も低くなってしまい、単位担持量当たり抗微生物活性が低下してしまう。一方、上記バインダ硬化物の上記基材の表面に平行な方向の最大幅が500μmを超えると、1個のバインダ硬化物の大きさが大きくなりすぎ、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合、バインダ硬化物が邪魔して意匠等が見にくくなり、意匠等の外観や美観が損なわれてしまう。
本発明の抗微生物部材において、バインダ硬化物の厚さの平均値が0.1〜20μmであると、バインダ硬化物の厚さが薄いので、バインダ硬化物の連続層となりにくく、バインダ硬化物が島状に散在し易くなり、意匠等の外観や美観が損なわれてしまうのを防止することができ、高い抗微生物活性を得ることができる。
本発明の抗微生物部材において、その厚さの平均値が0.1μm未満のバインダ硬化物を形成するのは技術的に難しく、バインダ硬化物の基材表面の被覆率も低くなってしまい、単位担持量当たり抗微生物活性が低下してしまう。一方、バインダ硬化物の厚さの平均値が20μmを超えると、バインダ硬化物が厚すぎるので、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合、バインダ硬化物が邪魔して意匠等が見にくくなり、意匠等の外観や美観が損なわれてしまう。
本発明の抗微生物部材において、その厚さの平均値が0.1μm未満のバインダ硬化物を形成するのは技術的に難しく、バインダ硬化物の基材表面の被覆率も低くなってしまい、単位担持量当たり抗微生物活性が低下してしまう。一方、バインダ硬化物の厚さの平均値が20μmを超えると、バインダ硬化物が厚すぎるので、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合、バインダ硬化物が邪魔して意匠等が見にくくなり、意匠等の外観や美観が損なわれてしまう。
本発明の抗微生物部材では、表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が固着した基材の上記バインダ硬化物を含む表面のJIS B 0601に準拠した算術平均粗さ(Ra)は、0.1〜5μmであることが望ましい。
本発明の抗微生物部材おいては、表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が固着した基材の上記バインダ硬化物を含む表面のJIS B 0601に準拠した算術平均粗さ(Ra)が、0.1〜5μmであると、バインダ硬化物を含む基材表面の表面積及び凹凸が適切な範囲となり、ウィルス等の微生物と抗微生物成分が接触する確率が高くなり、また、表面の凹凸の谷間に、ウィルス等の微生物がトラップされ易くなり、その結果、ウィルス等の微生物を失活させ易くなる。
本発明の抗微生物部材において、Raが0.1μm未満であると、バインダ硬化物を含む基材表面の表面積及び凹凸が小さくなり、ウィルス等の微生物と抗微生物成分が接触する確率が低くなり、また、表面の凹凸が少なくなるので、ウィルス等の微生物がトラップされにくくなり、その結果、抗微生物活性が低下してしまう。
一方、Raが5μmを超えると、凹凸が大きくなりすぎ、ウィルス等の微生物は凹凸の凹部で抗微生物剤と優先的に接触するため、凸部付近の抗微生物剤が抗微生物活性を発揮しにくくなる。さらに、凹部にはウィルス等の微生物以外にも微細な異物が堆積しやすく、抗微生物剤とウィルス等の微生物の接触が不十分になり、その結果、抗微生物活性が低下するものと思われる。
一方、Raが5μmを超えると、凹凸が大きくなりすぎ、ウィルス等の微生物は凹凸の凹部で抗微生物剤と優先的に接触するため、凸部付近の抗微生物剤が抗微生物活性を発揮しにくくなる。さらに、凹部にはウィルス等の微生物以外にも微細な異物が堆積しやすく、抗微生物剤とウィルス等の微生物の接触が不十分になり、その結果、抗微生物活性が低下するものと思われる。
本発明の抗微生物部材では、バインダ硬化物を島状に散在させて固着させる場合は、上記島状のバインダ硬化物は、基材の表面1平方メートル当たり0.05×108〜30×108個存在することが望ましい。
本発明の抗微生物部材において、上記島状のバインダ硬化物が、基材の表面1平方メートル当たり0.05×108〜30×108個存在すると、バインダ硬化物の大きさが適切に設定されていることとなり、基材表面に形成された意匠等の外観や美観が損なわれてしまうのを防止することができ、単位担持量当たり抗微生物活性の高い抗微生物部材となる。
本発明の抗微生物部材において、上記島状のバインダ硬化物の個数が、基材の表面1平方メートル当たり0.05×108個未満であると、バインダ硬化物の基材表面の被覆率を10〜55%とするためには、1個当たりのバインダ硬化物の面積を大きくする必要が生じ、バインダ硬化物の総表面積が小さくなり、バインダ硬化物とウィルス等の微生物との接触確率が低下して抗微生物活性が悪化する。
一方、バインダ硬化物の個数が30×108個を超えると、バインダ硬化物の個数が多すぎるので、バインダ硬化物同士が重なり易くなり、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合、基材表面に形成された意匠等の外観や美観が損なわれてしまう。
特許文献2では、1μm×1μmの面積あたり、1個以上の抗菌金属アイランドが必要であると記載されているが、これは1012個/m2に相当し、抗菌剤の数は、本発明よりもはるかに多いが、その割には抗菌活性が高くない。
一方、バインダ硬化物の個数が30×108個を超えると、バインダ硬化物の個数が多すぎるので、バインダ硬化物同士が重なり易くなり、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合、基材表面に形成された意匠等の外観や美観が損なわれてしまう。
特許文献2では、1μm×1μmの面積あたり、1個以上の抗菌金属アイランドが必要であると記載されているが、これは1012個/m2に相当し、抗菌剤の数は、本発明よりもはるかに多いが、その割には抗菌活性が高くない。
本発明の抗微生物部材は、基材表面に抗微生物成分を含む電磁波硬化型樹脂の硬化物が固着されてなり、かつ、上記電磁波硬化型樹脂の硬化物は、基材表面の10〜55%を被覆していることを特徴とする抗微生物部材であることが望ましい。
電磁波硬化型樹脂は、壁やトイレなど、既存の建築物等を構成する基材の表面に抗微生物性を有する未硬化の電磁波硬化型樹脂からなる抗微生物組成物を付着させて、電磁波で硬化させるだけで、抗微生物性を有する硬化物を基材表面に固着させることができるからである。
本発明の抗微生物部材においては、上記電磁波硬化型樹脂の硬化物は、基材表面の10〜55%を被覆しており、抗微生物性活性を有する電磁波硬化型樹脂の硬化物が島状に散在してなるか、または、抗微生物成分を含む電磁波硬化型樹脂の硬化物が形成された領域と電磁波硬化型樹脂の硬化物が形成されていない領域が混在した状態となっているため、抗微生物活性を示す電磁波硬化型樹脂の硬化物の総表面積が大きくなり、ウィルス等の微生物との接触確率が高くなり、抗微生物活性を示す電磁波硬化型樹脂の硬化物の凸部と凸部間に形成される凹部にウィルス等の微生物がトラップされて、ウィルス等の微生物を失活させやすくなるからである。
上記電磁波硬化型樹脂の硬化物は、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが望ましい。
上記電磁波硬化型樹脂の硬化物に含まれる上記抗微生物成分は、銅化合物であって、上記銅化合物は、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することでCu(I)とCu(II)の共存が確認されることが望ましい。Cu(I)およびCu(II)が共存していた方が、それぞれ単独に存在している場合に比べて、抗微生物活性が高いからである。
上記電磁波硬化型樹脂の硬化物に含まれる上記抗微生物成分は、銅化合物であって、上記銅化合物は、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、上記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオンの個数の比率(Cu(I)/Cu(II))が0.4〜50であることが望ましい。
上記電磁波硬化型樹脂の硬化物に含まれる上記抗微生物成分は、ビス型第四級アンモニウム塩であることが望ましい。高い抗微生物性能を有しているからである。
本発明の抗微生物部材では、上記電磁波硬化型樹脂の硬化物は、さらに重合開始剤を含むことが望ましい。電磁波硬化型樹脂の重合反応や架橋反応を進行させるとともに、銅(II)を抗微生物性能の高い銅(I)に還元する働きを有するからである。
本発明の抗微生物部材においては、上記重合開始剤は、アルキルフェノン系の重合開始剤及びベンゾフェノン系の重合開始剤を含み、アルキルフェノン系の重合開始剤とベンゾフェノン系の重合開始剤の比率は、重量比でアルキルフェノン系の重合開始剤/ベンゾフェノン系の重合開始剤=1/1〜4/1であることが望ましい。電磁波硬化型樹脂の硬化物の架橋密度が高くなるからである。
なお、煮沸したトルエンに電磁波硬化型樹脂の硬化物を8時間浸漬して乾燥、(浸漬後の硬化物の重量/浸漬前の硬化物の重量)×100%で架橋密度を測定すると、実施例1、5の抗ウィルス性部材の架橋密度は、いずれも97%である。一方、実施例1、5と同じ樹脂を用い、アルキルフェノン系の重合開始剤/ベンゾフェノン系の重合開始剤の比率が0.5/1、5/1となると、架橋密度は、それぞれ91%まで低下する。つまり、重量比でアルキルフェノン系の重合開始剤/ベンゾフェノン系の重合開始剤=1/1〜4/1(架橋密度95%以上)であることが最適である。
なお、煮沸したトルエンに電磁波硬化型樹脂の硬化物を8時間浸漬して乾燥、(浸漬後の硬化物の重量/浸漬前の硬化物の重量)×100%で架橋密度を測定すると、実施例1、5の抗ウィルス性部材の架橋密度は、いずれも97%である。一方、実施例1、5と同じ樹脂を用い、アルキルフェノン系の重合開始剤/ベンゾフェノン系の重合開始剤の比率が0.5/1、5/1となると、架橋密度は、それぞれ91%まで低下する。つまり、重量比でアルキルフェノン系の重合開始剤/ベンゾフェノン系の重合開始剤=1/1〜4/1(架橋密度95%以上)であることが最適である。
本発明の抗微生物部材では、上記抗微生物部材は、抗ウィルス性部材又は抗カビ部材であることが望ましい。
本発明の抗微生物部材は、抗ウィルス、抗菌、抗カビ及び防カビの特性を有するが、抗ウィルス活性、抗カビ活性に優れ、特に抗ウィルスが最も高い活性を有するからである。
本発明の抗微生物部材は、抗ウィルス、抗菌、抗カビ及び防カビの特性を有するが、抗ウィルス活性、抗カビ活性に優れ、特に抗ウィルスが最も高い活性を有するからである。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明の抗微生物部材について詳細に説明する。
以下の説明では、基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在した場合を例として説明するが、基材表面に、抗微生物成分を含むバインダ硬化物が形成された領域とバインダ硬化物が形成されていない領域が混在した状態で、当該バインダ硬化物が固着形成されている場合でも同様である。
本発明の抗微生物部材は、基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在するか、もしくは、抗微生物成分を含むバインダ硬化物が形成された領域とバインダ硬化物が形成されていない領域が混在した状態で、当該バインダ硬化物が固着形成されており、かつ、上記バインダ硬化物は、基材表面の10〜55%を被覆していることを特徴とする。
以下、本発明の抗微生物部材について詳細に説明する。
以下の説明では、基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在した場合を例として説明するが、基材表面に、抗微生物成分を含むバインダ硬化物が形成された領域とバインダ硬化物が形成されていない領域が混在した状態で、当該バインダ硬化物が固着形成されている場合でも同様である。
本発明の抗微生物部材は、基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在するか、もしくは、抗微生物成分を含むバインダ硬化物が形成された領域とバインダ硬化物が形成されていない領域が混在した状態で、当該バインダ硬化物が固着形成されており、かつ、上記バインダ硬化物は、基材表面の10〜55%を被覆していることを特徴とする。
図1(a)は、本発明の抗微生物部材の一実施形態を模式的に示す断面図であり、図1(b)は、図1(a)に示した抗微生物部材の平面図である。
図1に示すように、本発明の抗微生物部材10では、基材11の表面に、抗微生物成分を含むバインダ硬化物12が島状に散在しており、バインダ硬化物12は、基材表面の10〜55%を被覆している。
本発明の抗微生物部材では、基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在し、かつ、上記バインダ硬化物は、基材表面の10〜55%を被覆しているので、バインダ硬化物が厚くなることがなく、広い表面積を確保することができ、単位担持量当たり抗微生物活性の高い抗微生物部材を提供することができる。
また、本発明の抗微生物部材では、上記バインダ硬化物は、基材表面の10〜55%を被覆しており、バインダ硬化物により被覆されていない部分の面積が相当量存在するので、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合には、意匠等の外観や美観を損ねることがない。
さらに、本発明の抗微生物部材では、上記バインダ硬化物が基材表面の全体には存在せず、島状に散在しているため、上記バインダ硬化物の基材表面との接触面積を小さくすることができ、バインダ硬化物の残留応力を抑制することが可能となり、基材と高い密着性を有し、基材から剥がれにくいバインダ硬化物となる。
本発明の抗微生物部材を構成する基材の材料は、特に限定されるものでなく、例えば、金属、ガラス等のセラミック、樹脂、繊維織物、木材等が挙げられる。
また、本発明の抗微生物部材を構成する基材となる部材も、特に限定されるものではなく、建築物内部の内装材、壁材、窓ガラス、ドア等であってもよい、事務機器や家具等であってもよく、上記内装材の外、種々の用途に用いられる化粧板等であってもよい。
また、本発明の抗微生物部材を構成する基材となる部材も、特に限定されるものではなく、建築物内部の内装材、壁材、窓ガラス、ドア等であってもよい、事務機器や家具等であってもよく、上記内装材の外、種々の用途に用いられる化粧板等であってもよい。
上記化粧板は、基板と基板の表面上に積層された表面樹脂層を有する。
上記化粧板に使用する基板は、特に限定されるものではなく、一般的に化粧板に使用されるコア紙やマグネシアセメント等の不燃板等を使用することができる。コア紙は単独でもよく複数枚のコア紙を積層した積層体としてもよい。コア紙の枚数は特に限定されないが、1〜20枚とすることができる。コア紙としては、例えば、水酸化アルミニウム抄造紙を使用することができる。コア紙には、フェノール樹脂を含浸させることができる。また、コア紙とマグネシアセメント不燃板を積層させて基板とすることもできる。
上記化粧板に使用する基板は、特に限定されるものではなく、一般的に化粧板に使用されるコア紙やマグネシアセメント等の不燃板等を使用することができる。コア紙は単独でもよく複数枚のコア紙を積層した積層体としてもよい。コア紙の枚数は特に限定されないが、1〜20枚とすることができる。コア紙としては、例えば、水酸化アルミニウム抄造紙を使用することができる。コア紙には、フェノール樹脂を含浸させることができる。また、コア紙とマグネシアセメント不燃板を積層させて基板とすることもできる。
マグネシアセメント不燃板は、単独で使用することにより、又は、コア紙の中心部に積層して配置させることにより基板を構成することができる。マグネシアセメント不燃板は、酸化マグネシウム(MgO)と塩化マグネシウム(MgCl2)を混合し、さらに骨材と水を加えて混練し、板状に成形することにより製造されるものである。骨材としては、ロックウール、グラスウール等の無機質繊維、ウッドチップ、パルプ等の有機質繊維を用いることができる。また、マグネシアセメント不燃板の強度を高めるため、中間層として網目状等に形成されたガラス繊維層を設けることができる。
また、上記化粧板を構成する表層樹脂層に用いることができる樹脂としては、メラミン樹脂、ジアリルフタレート(DAP)樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、グアナミン樹脂などが挙げられる。これらの中では、メラミン樹脂を用いることが望ましい。
メラミン樹脂は、透光性などの光学的、視覚的特性を損なうことなく、寸法安定性や靭性を改善した樹脂である。メラミン樹脂としては、メラミン及びその誘導体をモノマーとする樹脂であれば公知のものを採用することができる。また、メラミン樹脂は、単一のモノマーからなる樹脂であってもよく、複数のモノマーからなる共重合体であってもよい。メラミンの誘導体としては、例えば、イミノ基やメチロール基、メトキシメチル基、ブトキシメチル基等のアルコキシメチル基などの官能基を有する誘導体が挙げられる。また、メチロール基を有するメラミン誘導体に低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物をモノマーとして用いることができる。モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のメチロール基を有する誘導体(以下、「メチロール化メラミン」という。)を架橋剤としてメラミンと共重合させてなるメラミン樹脂を用いることができる。
上記表層樹脂層は、模様や色彩が印刷された印刷紙に樹脂が含浸された化粧層であってもよく、填料の量が15%以下で樹脂を含浸した場合には透光性となるオーバーレイ紙に樹脂が含浸されたオーバーレイ層でもよい。表層樹脂層がオーバーレイ層である場合には、化粧層はオーバーレイ層の下に設けられる。
なお、填料とは紙に添加して、白色度や平滑度を調整するための無機粒子(フィラー)であり、炭酸カルシウム、タルク、クレーおよびカオリンから選ばれる少なくとも1種以上が望ましい。填料は無機粒子であるため、填料の含有量は紙の重量と紙を強熱して残存する灰分の重量から計算することができる。
なお、填料とは紙に添加して、白色度や平滑度を調整するための無機粒子(フィラー)であり、炭酸カルシウム、タルク、クレーおよびカオリンから選ばれる少なくとも1種以上が望ましい。填料は無機粒子であるため、填料の含有量は紙の重量と紙を強熱して残存する灰分の重量から計算することができる。
本発明の抗微生物部材において、上記バインダ硬化物は、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含んでいることが望ましい。
上記バインダ硬化物中には、上記した無機系抗微生物剤が1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上の無機系抗微生物剤が含まれていてもよく、上記した有機系抗微生物剤が1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上の有機系抗微生物剤が含まれていてもよい。さらに、上記バインダ硬化物中には、上記無機系抗微生物剤と上記無機系抗微生物剤とが2種類以上含まれていてもよい。
上記バインダ硬化物中には、上記した無機系抗微生物剤が1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上の無機系抗微生物剤が含まれていてもよく、上記した有機系抗微生物剤が1種類のみ含まれていてもよく、2種類以上の有機系抗微生物剤が含まれていてもよい。さらに、上記バインダ硬化物中には、上記無機系抗微生物剤と上記無機系抗微生物剤とが2種類以上含まれていてもよい。
また、本発明の抗微生物部材において、上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
上記バインダ硬化物中に含まれている無機系抗微生物剤として、例えば、銀、銅、亜鉛及び白金の少なくとも1種からなる金属が挙げられる。
バインダ硬化物中には、銀、銅、亜鉛及び白金の粒子が単独で含まれていてもよく、銀、銅、亜鉛及び白金のうち、2種類以上の金属粒子が含まれていてもよく、例えば、銀、銅、亜鉛及び白金のうち、少なくとも2種を含む合金の金属粒子が固定されていてもよい。
バインダ硬化物中には、銀、銅、亜鉛及び白金の粒子が単独で含まれていてもよく、銀、銅、亜鉛及び白金のうち、2種類以上の金属粒子が含まれていてもよく、例えば、銀、銅、亜鉛及び白金のうち、少なくとも2種を含む合金の金属粒子が固定されていてもよい。
上記バインダ硬化物中に含まれている無機系抗微生物剤として、例えば、銅のカルボン酸塩、銅の錯体、銅の水溶性無機塩等の銅化合物、亜鉛化合物、銀化合物等が挙げられる。
上記銅のカルボン酸塩としては、銅のイオン性化合物を使用することができ、酢酸銅、安息香酸銅、フタル酸銅等が挙げられる。
上記銅の水溶性無機塩としては、銅のイオン性化合物を使用することができ、例えば、硝酸銅、硫酸銅等が挙げられる。
その他の銅化合物としては、例えば、銅(メトキシド)、銅エトキシド、銅プロポキシド、銅ブトキシドなどが挙げられ、銅の共有結合性化合物としては銅の酸化物、銅の水酸化物などが挙げられる。銅のカルボン酸塩、銅の水酸化物は、有機バインダ、無機バインダとの親和性が高く、水により溶出しないため、耐水性に優れる。
上記銅のカルボン酸塩としては、酢酸銅(II)、酢酸銅(I)、シュウ酸銅(I)、安息香酸銅(II)、フタル酸銅(II)等が挙げられる。
上記銅の錯体としては、例えば、アセチルアセトンと銅との錯体、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン等のβジケトンと銅との錯体、銅(I)(1−ブタンチオレート)、銅(I)(へキサフルオロペンタンジオネートシクロオクタジエン)等が挙げられる。
上記銅の水溶性無機塩としては、例えば、硝酸銅(II)、硫酸銅(II)等が挙げられる。その他の銅化合物としては、例えば、銅(II)(メトキシド)、銅(II)エトキシド、銅(II)プロポキシド、銅(II)ブトキシド等が挙げられる。
上記銅のカルボン酸塩としては、銅のイオン性化合物を使用することができ、酢酸銅、安息香酸銅、フタル酸銅等が挙げられる。
上記銅の水溶性無機塩としては、銅のイオン性化合物を使用することができ、例えば、硝酸銅、硫酸銅等が挙げられる。
その他の銅化合物としては、例えば、銅(メトキシド)、銅エトキシド、銅プロポキシド、銅ブトキシドなどが挙げられ、銅の共有結合性化合物としては銅の酸化物、銅の水酸化物などが挙げられる。銅のカルボン酸塩、銅の水酸化物は、有機バインダ、無機バインダとの親和性が高く、水により溶出しないため、耐水性に優れる。
上記銅のカルボン酸塩としては、酢酸銅(II)、酢酸銅(I)、シュウ酸銅(I)、安息香酸銅(II)、フタル酸銅(II)等が挙げられる。
上記銅の錯体としては、例えば、アセチルアセトンと銅との錯体、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン等のβジケトンと銅との錯体、銅(I)(1−ブタンチオレート)、銅(I)(へキサフルオロペンタンジオネートシクロオクタジエン)等が挙げられる。
上記銅の水溶性無機塩としては、例えば、硝酸銅(II)、硫酸銅(II)等が挙げられる。その他の銅化合物としては、例えば、銅(II)(メトキシド)、銅(II)エトキシド、銅(II)プロポキシド、銅(II)ブトキシド等が挙げられる。
上記バインダ硬化物中に含まれている金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒として、例えば、酸化チタン等に白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの白金族、銀、銅などを担持させたものなどが挙げられる。金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒として、具体的には、例えば、白金担持チタニア触媒、銅担持チタニア触媒、銀担持チタニア触媒、白金担持窒素ドープチタニア触媒、白金担持硫黄ドープチタニア触媒、炭素ドープチタニア触媒、銅担持酸化タングステン触媒、銀担持酸化タングステン触媒等の可視光応答型光触媒が挙げられ、上記銅担持チタニア触媒としては、例えば、特開2006−232729号公報に記載されたCuO/TIO2(重量%比)=1.0〜3.5の範囲で銅を含有するアナターゼ型酸化チタン、特開2012−210557号公報に記載された亜酸化銅(酸化銅(I):Cu2O)と酸化チタンとが複合化した光触媒組成物、特開2013−166705号公報に記載された一価銅化合物及び二価銅化合物を含む混合物を表面に担持した酸化チタン、並びに、国際公開第2013/094573号に記載された結晶性ルチル型酸化チタンを含む酸化チタンと2価銅化合物とを含有する銅及びチタン含有組成物などが挙げられる。
また、無機系抗微生物剤としては、銀、銅、亜鉛、チタン、タングステン等から選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属酸化物あるいは金属水和物の粒子を用いることもできる。無機系抗微生物剤の具体例としては、例えば、酸化銅(I)(亜酸化銅)、酸化銅(II)、炭酸銅(II)、水酸化銅(II)、塩化銅(II)、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持されたアルミナ、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持されたシリカ、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持された酸化亜鉛、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持された酸化チタン、もしくは酸化タングステン、ナノ銀及び銅の少なくとも一方が担持されたリン酸カルシウム等の無機粒子が挙げられる。銀イオン及び銅イオンの少なくとも一方で交換されたゼオライトは、さらに亜鉛イオン等の他の金属イオンで交換されていてもよい。また、本発明の無機系抗微生物剤としては、銅の錯体であることが望ましい。
本発明の抗微生物部材では、上記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
本発明の抗微生物部材において、上記有機系抗微生物剤としては、例えば、ハロカルバン、クロロフェネシン、塩化リゾチーム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、イソプロピルメチルフェノール、チモール、ヘキサクロロフェン、ベルベリン、チオキソロン、サリチル酸およびそれらの誘導体、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、パラクロルメタクレゾール、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール、石炭酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ヘキサクロロフェン、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、チアントール、ヒノキチオール、トリクロサン、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、クロルヘキシジングルコン酸塩、フェノキシエタノール、レゾルシン、アズレン、サリチル酸、ジンクピリチオン、モノニトログアヤコールナトリウム、ウイキョウエキス、サンショウエキス、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム及びウンデシレン酸誘導体、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩等が挙げられる。これらのなかでは、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩が好ましい。
本発明の抗微生物部材において、抗微生物樹脂は、酸性官能基と樹脂基体とからなる。酸性官能基としては、例えば、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基、水酸基、ニトロ基などが挙げられる。これらのなかでは、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシル基が好ましい。
上記樹脂基体は、ビニル基を有するモノマーの重合体であることが望ましい。
ビニル基を有するモノマーの重合体は、付加重合で合成されるので水などの副生成物がなく、透明度の高い抗微生物樹脂を得ることができる。このため、基材の意匠性に与える影響を小さくすることができる。
ビニル基を有するモノマーの重合体は、付加重合で合成されるので水などの副生成物がなく、透明度の高い抗微生物樹脂を得ることができる。このため、基材の意匠性に与える影響を小さくすることができる。
上記ビニル基を有するモノマーは、スチレン、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンから選択される1種以上のモノマーであることが望ましい。
スチレン、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンは、特に透明度の高い抗微生物樹脂を得ることができる。また、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンは、モノマーに添加することによって架橋し、三次元網目構造を形成することができる。三次元網目構造を形成することによって、分解しにくくなり、耐久性を高くすることができる。
スチレン、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンは、特に透明度の高い抗微生物樹脂を得ることができる。また、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼンは、モノマーに添加することによって架橋し、三次元網目構造を形成することができる。三次元網目構造を形成することによって、分解しにくくなり、耐久性を高くすることができる。
本発明の抗微生物部材において、酸性官能基と樹脂基体とからなる抗微生物樹脂は、特に限定されるものではないが、例えば、陽イオン交換樹脂をそのままあるいは粉砕などして微細化して使用することができる。陽イオン交換樹脂は、同様に樹脂基体に酸性官能基を有する構成であり、本発明の抗微生物樹脂として利用することができる。
上記ビス型第四級アンモニウム塩としては、例えば、下記一般式(1)で表されるビス型ピリジニウム塩、ビス型キノリニウム塩、ビス型チアゾリウム塩、下記一般式(2)で表される化合物等が望ましい。
まず、上記一般式(1)で表されるビス型ピリジニウム塩について説明する。
上記一般式(1)で表されるビス型ピリジニウム塩において、X−としては、例えば、Cl−、Br−、I−等が挙げられる。
R1、R2は、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、上記アルキル基は、側鎖を有していてもよい。
上記一般式(1)中、R3で表される有機基は、−CO−O−(CH2)6−O−CO−、−CONH−(CH2)6−CO−、−NH−CO−(CH2)4−CO−NH−、−S−Ph−S−、−CONH−Ph−NHCO−、―NHCO−Ph−CONH−、−O−(CH2)6−O−または−CH2−O−(CH2)4−O−CH2−(但し、Phは、フェニレン基を表す。)で表されるものであることが望ましい。
上記一般式(1)で表されるビス型ピリジニウム塩において、X−としては、例えば、Cl−、Br−、I−等が挙げられる。
R1、R2は、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、上記アルキル基は、側鎖を有していてもよい。
上記一般式(1)中、R3で表される有機基は、−CO−O−(CH2)6−O−CO−、−CONH−(CH2)6−CO−、−NH−CO−(CH2)4−CO−NH−、−S−Ph−S−、−CONH−Ph−NHCO−、―NHCO−Ph−CONH−、−O−(CH2)6−O−または−CH2−O−(CH2)4−O−CH2−(但し、Phは、フェニレン基を表す。)で表されるものであることが望ましい。
具体的には、ビス型ピリジニウム塩として、下記の一般式(3)〜一般式(10)で示されるものが挙げられる。
上記一般式(3)中、R11は、CnH2n+1で表されるアルキル基であり、nは、8、10、12、14、16または18が望ましい。また、mは、3、4、6、8、10が望ましい。以下に示す化合物の置換基R11についても、同様である。
次に、ビス型キノリニウム塩について説明する。
上記ビス型キノリニウム塩としては、一般式(3)〜一般式(10)で表されるビス型ピリジニウム塩を構成する下記の一般式(13)に表されるピリジニウム基を、下記一般式(14)に示すキノリウム基に置換した化学構造を有するビス型キノリニウム塩が挙げられる。上記ビス型キノリニウム塩において、他の置換基等は、一般式(3)〜一般式(10)で表されるビス型ピリジニウム塩と同様である。
上記ビス型キノリニウム塩としては、一般式(3)〜一般式(10)で表されるビス型ピリジニウム塩を構成する下記の一般式(13)に表されるピリジニウム基を、下記一般式(14)に示すキノリウム基に置換した化学構造を有するビス型キノリニウム塩が挙げられる。上記ビス型キノリニウム塩において、他の置換基等は、一般式(3)〜一般式(10)で表されるビス型ピリジニウム塩と同様である。
さらに、本発明で使用される一般式(2)で表される化合物について説明する。
上記一般式(2)中、R4は、官能基を有してもよいアルキル基を示す。アルキル基は、側鎖を有してもよく、その炭素数は、1〜20が望ましい。上記官能基としては、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、エーテル基等が挙げられる。また、R5、R6、R7、R8、R9及びR10は、アルキル基を表し、上記アルキル基は、側鎖を有してもよく、その炭素数は、1〜20が望ましい。
上記一般式(2)で表される化合物としては、2,3−ビス(ヘキサデシルジメチルアンモニウムブロマイド)−1−プロパノール等が挙げられる。
本発明の抗微生物部材では、上記バインダ硬化物は、有機バインダ、無機バインダ、有機・無機ハイブリッドのバインダ及び/又は電磁波硬化型樹脂の硬化物であることが望ましい。上記有機・無機ハイブリッドのバインダとしては有機金属化合物を使用することができる。
本発明の抗微生物部材では、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種と、バインダである有機バインダ、無機バインダ、有機・無機ハイブリッドのバインダ及び電磁波硬化型樹脂の少なくとも1種と、を混合したものを硬化させることにより、バインダ硬化物を得ることができる。
本発明の抗微生物部材では、上記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種と、バインダである有機バインダ、無機バインダ、有機・無機ハイブリッドのバインダ及び電磁波硬化型樹脂の少なくとも1種と、を混合したものを硬化させることにより、バインダ硬化物を得ることができる。
次に、本発明の抗微生物部材における電磁波硬化型樹脂の硬化物について説明する。
未硬化の電磁波硬化型樹脂であるモノマー又はオリゴマーと重合開始剤と各種添加剤と抗微生物成分とを含んだ抗微生物組成物を用いて基材表面に島状の液滴を形成した後、電磁波を照射することにより、重合開始剤は、開裂反応、水素引き抜き反応、電子移動等の反応を起こし、これにより生成した光ラジカル分子、光カチオン分子、光アニオン分子等が上記モノマーや上記オリゴマーを攻撃してモノマーやオリゴマーの重合反応や架橋反応が進行し、抗微生物成分を含む島状のバインダ硬化物が形成される。このような反応により生成する本発明のバインダ硬化物を構成する樹脂を電磁波硬化型樹脂という。
本発明では、島状に散在するバインダ硬化物の製造方法については、後で詳細に説明する。
未硬化の電磁波硬化型樹脂であるモノマー又はオリゴマーと重合開始剤と各種添加剤と抗微生物成分とを含んだ抗微生物組成物を用いて基材表面に島状の液滴を形成した後、電磁波を照射することにより、重合開始剤は、開裂反応、水素引き抜き反応、電子移動等の反応を起こし、これにより生成した光ラジカル分子、光カチオン分子、光アニオン分子等が上記モノマーや上記オリゴマーを攻撃してモノマーやオリゴマーの重合反応や架橋反応が進行し、抗微生物成分を含む島状のバインダ硬化物が形成される。このような反応により生成する本発明のバインダ硬化物を構成する樹脂を電磁波硬化型樹脂という。
本発明では、島状に散在するバインダ硬化物の製造方法については、後で詳細に説明する。
本発明においては、重合開始剤は、銅に対する還元剤として使用することができる。このため、無機バインダ、銅化合物および分散媒からなる抗微生物組成物に重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、光重合開始剤であることが望ましい。重合開始剤により、銅(II)を銅(I)に還元することができる。銅(I)の方が銅(II)よりも抗微生物性能が高い。
このような電磁波硬化型樹脂は、例えば、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、アルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種が望ましい。
上記アクリル樹脂としては、エポキシ変性アクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂(ウレタン変性アクリレート樹脂)、シリコン変性アクリレート樹脂等が挙げられる。
上記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。
上記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂やグリシジルエーテル型のエポキシ樹脂グリシジルエーテル型のエポキシ樹脂とオキセタン樹脂を組みわせたもの等が挙げられる。
アルキッド樹脂としては、ポリエステルアルキッド樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は、透明性を有するとともに、基材に対する密着性にも優れる。
アルキッド樹脂としては、ポリエステルアルキッド樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は、透明性を有するとともに、基材に対する密着性にも優れる。
次に、本発明の抗微生物部材における無機バインダの硬化物について説明する。
無機バインダと抗微生物成分と必要により各種添加剤や分散媒とを混合して抗微生物組成物を用いて基材表面に島状の液滴を形成した後、乾燥させることにより、抗微生物成分を含む島状のバインダ硬化物(無機バインダの硬化物)が形成される。
無機バインダと抗微生物成分と必要により各種添加剤や分散媒とを混合して抗微生物組成物を用いて基材表面に島状の液滴を形成した後、乾燥させることにより、抗微生物成分を含む島状のバインダ硬化物(無機バインダの硬化物)が形成される。
上記無機バインダとしては、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル及びケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。上記無機バインダにおけるシリカ等の無機酸化物の含有割合は、固形分換算で2〜80重量%が好ましい。
上記無機バインダは、分散媒として、水を用いたものと有機溶媒を用いたものが存在するので、添加する抗微生物成分の種類を考慮して、無機バインダを選択することができ、抗微生物成分が均一に分散した上記抗微生物組成物を得ることができる。
上記無機バインダは、分散媒として、水を用いたものと有機溶媒を用いたものが存在するので、添加する抗微生物成分の種類を考慮して、無機バインダを選択することができ、抗微生物成分が均一に分散した上記抗微生物組成物を得ることができる。
本発明の抗微生物部材では、上記バインダ硬化物の基材表面に平行な方向の最大幅は、0.1〜500μmであり、その厚さの平均値は、0.1〜20μmであることが望ましい。
本発明の抗微生物部材において、バインダ硬化物の厚さの平均値が0.1〜20μmであると、バインダ硬化物の厚さが薄いので、バインダ硬化物の連続層となりにくく、バインダ硬化物が島状に散在し易くなり、意匠等の外観や美観が損なわれてしまうのを防止することができ、高い抗微生物活性を得ることができる。
また、上記バインダ硬化物の上記基材の表面に平行な方向の最大幅を0.1〜500μmとすることにより、基材の表面がバインダ硬化物により被覆されていない部分の割合を適切に保つことができ、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合でも、意匠等の外観や美観が損なわれてしまうのを防止することができる。
上記バインダ硬化物の基材表面に平行な方向の最大幅やその厚さの平均値は、走査型顕微鏡、レーザー顕微鏡を用いることにより、測定することができる。
具体的には、画像解析・画像計測ソフトウェアを備えた走査型顕微鏡やレーザー顕微鏡を用いることにより、又は、走査型顕微鏡、レーザー顕微鏡で得られた画像を画像解析・画像計測ソフトウェアを用いて画像解析等を行うことにより、上記したバインダ硬化物の基材表面に平行な方向の最大幅やその厚さの平均値を求めることができる。
本発明の抗微生物部材において、バインダ硬化物の厚さの平均値が0.1〜20μmであると、バインダ硬化物の厚さが薄いので、バインダ硬化物の連続層となりにくく、バインダ硬化物が島状に散在し易くなり、意匠等の外観や美観が損なわれてしまうのを防止することができ、高い抗微生物活性を得ることができる。
また、上記バインダ硬化物の上記基材の表面に平行な方向の最大幅を0.1〜500μmとすることにより、基材の表面がバインダ硬化物により被覆されていない部分の割合を適切に保つことができ、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合でも、意匠等の外観や美観が損なわれてしまうのを防止することができる。
上記バインダ硬化物の基材表面に平行な方向の最大幅やその厚さの平均値は、走査型顕微鏡、レーザー顕微鏡を用いることにより、測定することができる。
具体的には、画像解析・画像計測ソフトウェアを備えた走査型顕微鏡やレーザー顕微鏡を用いることにより、又は、走査型顕微鏡、レーザー顕微鏡で得られた画像を画像解析・画像計測ソフトウェアを用いて画像解析等を行うことにより、上記したバインダ硬化物の基材表面に平行な方向の最大幅やその厚さの平均値を求めることができる。
本発明の抗微生物部材において、その厚さの平均値が0.1μm未満のバインダ硬化物を形成するのは技術的に難しく、バインダ硬化物の基材表面の被覆率も低くなってしまい、抗微生物活性が低下してしまう。一方、バインダ硬化物の厚さの平均値が20μmを超えると、バインダ硬化物が厚すぎるので、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合、バインダ硬化物が邪魔して意匠等が見にくくなり、意匠等の外観や美観が損なわれてしまう。
本発明の抗微生物部材においては、上記バインダ硬化物の上記基材の表面に平行な方向の最大幅が0.1μm未満のバインダ硬化物を形成することは技術的に困難であり、バインダ硬化物の基材表面の被覆率も低くなってしまい、抗微生物活性が低下してしまう。一方、上記バインダ硬化物の上記基材の表面に平行な方向の最大幅が500μmを超えると、1個のバインダ硬化物の大きさが大きくなりすぎ、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合、バインダ硬化物が邪魔して意匠等が見にくくなり、意匠等の外観や美観が損なわれてしまう。
本発明の抗微生物部材では、表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在している基材の上記バインダ硬化物を含む表面のJIS B 0601に準拠した算術平均粗さ(Ra)は、0.1〜5μmであることが望ましい。
上記算術平均粗さ(Ra)は、東京精密製の接触式表面粗さ測定機であるHANDYSURFを用い、8mmの測定長さで測定することにより得ることができる。
上記算術平均粗さ(Ra)は、東京精密製の接触式表面粗さ測定機であるHANDYSURFを用い、8mmの測定長さで測定することにより得ることができる。
本発明の抗微生物部材においては、表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在している基材の上記バインダ硬化物を含む表面のJIS B 0601に準拠した算術平均粗さ(Ra)が、0.1〜5μmであると、バインダ硬化物を含む基材表面の表面積が適切な範囲となり、ウィルス等の微生物と抗微生物成分が接触する確率が高くなり、また、表面の凹凸の谷間に、ウィルス等の微生物がトラップされ易くなり、その結果、ウィルス等の微生物を失活させ易くなる。
本発明の抗微生物部材において、Raが0.1μm未満であると、バインダ硬化物を含む基材表面の表面積が小さくなり、ウィルス等の微生物と抗微生物成分が接触する確率が低くなり、また、表面の凹凸が少なくなるので、ウィルス等の微生物がトラップされにくくなり、その結果、抗微生物活性が低下してしまう。
一方、Raが5μmを超えると、凹凸が大きくなりすぎ、ウィルス等の微生物は凹凸の凹部で抗微生物剤と優先的に接触するため、凸部付近の抗微生物剤が抗微生物活性を発揮しにくくなる。さらに、凹部にはウィルス等の微生物以外にも微細な異物が堆積しやすく、抗微生物剤とウィルス等の微生物の接触が不十分になり、その結果、抗微生物活性が低下するものと思われる。
また、同時にバインダ硬化物における凸部はふき取り清掃などの物理的負荷によって、摩耗して損傷しやすいため、抗微生物成分が失われてしまうことから、凹凸が大きくなり、凸部の高さが高くなりすぎると耐久性が低下する。
一方、Raが5μmを超えると、凹凸が大きくなりすぎ、ウィルス等の微生物は凹凸の凹部で抗微生物剤と優先的に接触するため、凸部付近の抗微生物剤が抗微生物活性を発揮しにくくなる。さらに、凹部にはウィルス等の微生物以外にも微細な異物が堆積しやすく、抗微生物剤とウィルス等の微生物の接触が不十分になり、その結果、抗微生物活性が低下するものと思われる。
また、同時にバインダ硬化物における凸部はふき取り清掃などの物理的負荷によって、摩耗して損傷しやすいため、抗微生物成分が失われてしまうことから、凹凸が大きくなり、凸部の高さが高くなりすぎると耐久性が低下する。
本発明の抗微生物部材では、上記島状のバインダ硬化物は、基材の表面1平方メートル当たり0.05×108〜30×108個存在することが望ましい。
本発明の抗微生物部材において、上記島状のバインダ硬化物が、基材の表面1平方メートル当たり0.05×108〜30×108個存在すると、バインダ硬化物の大きさが適切に設定されていることとなり、基材表面に形成された意匠等の外観や美観が損なわれてしまうのを防止することができ、単位担持量当たり抗微生物活性の高い抗微生物部材となる。
本発明の抗微生物部材おいて、上記島状のバインダ硬化物の個数が、基材の表面1平方メートル当たり0.05×108個未満であると、バインダ硬化物の基材表面の被覆率を10〜55%とするためには、1個当たりのバインダ硬化物の面積を大きくする必要が生じ、バインダ硬化物の総表面積が小さくなり、バインダ硬化物とウィルス等の微生物との接触確率が低下して抗微生物活性が悪化する。
一方、バインダ硬化物の個数が30×108個を超えると、バインダ硬化物の個数がおおすぎるので、バインダ硬化物同士が重なり易くなり、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合、基材表面に形成された意匠等の外観や美観が損なわれてしまう。
また、バインダ硬化物の平均径が小さくなり、密着性が損なわれるだけでなく、バインダ硬化物に占める凸部分が相対的に多くなり、ふき取り清掃時にバインダ硬化物が摩耗して損傷し、抗微生物性が低下することから、抗微生物性能の物理的な耐久性も低下する。
一方、バインダ硬化物の個数が30×108個を超えると、バインダ硬化物の個数がおおすぎるので、バインダ硬化物同士が重なり易くなり、基材表面に所定パターンの意匠等が形成されている場合、基材表面に形成された意匠等の外観や美観が損なわれてしまう。
また、バインダ硬化物の平均径が小さくなり、密着性が損なわれるだけでなく、バインダ硬化物に占める凸部分が相対的に多くなり、ふき取り清掃時にバインダ硬化物が摩耗して損傷し、抗微生物性が低下することから、抗微生物性能の物理的な耐久性も低下する。
本発明の抗微生物部材によれば、例えば、建築物内部の内装材、壁材、窓ガラス、ドア、台所用品等や、事務機器や家具等や、種々の用途に用いられる化粧板等に、表面に形成されたパターン、色彩、意匠、色調等を変えることなく、抗微生物機能を付加することができる。
次に、上記した抗微生物部材の製造方法について説明する。
まず、バインダとして電磁波硬化型樹脂を用いた場合について説明する。
上記抗微生物部材を製造する際には、まず、基材の表面に、抗微生物成分と未硬化の電磁波硬化型樹脂と分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物を散布する散布工程を行い、続いて上記散布工程により散布された上記抗微生物組成物を乾燥させて上記分散媒を除去する乾燥工程を行い、最後に上記乾燥工程で分散媒を除去した上記抗微生物組成物中の上記未硬化の電磁波硬化型樹脂に電磁波を照射して上記電磁波硬化型樹脂を硬化させる硬化工程を行い、基材の表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在し、バインダ硬化物が基材表面の10〜55%を被覆している抗微生物部材を得ることができる。
まず、バインダとして電磁波硬化型樹脂を用いた場合について説明する。
上記抗微生物部材を製造する際には、まず、基材の表面に、抗微生物成分と未硬化の電磁波硬化型樹脂と分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物を散布する散布工程を行い、続いて上記散布工程により散布された上記抗微生物組成物を乾燥させて上記分散媒を除去する乾燥工程を行い、最後に上記乾燥工程で分散媒を除去した上記抗微生物組成物中の上記未硬化の電磁波硬化型樹脂に電磁波を照射して上記電磁波硬化型樹脂を硬化させる硬化工程を行い、基材の表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在し、バインダ硬化物が基材表面の10〜55%を被覆している抗微生物部材を得ることができる。
(1)散布工程
本発明の抗微生物部材を製造する際には、まず、散布工程として、基材の表面に、抗微生物成分と未硬化の電磁波硬化型樹脂と分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物を散布する。
本発明の抗微生物部材を製造する際には、まず、散布工程として、基材の表面に、抗微生物成分と未硬化の電磁波硬化型樹脂と分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物を散布する。
散布の対象となる基材の材料は、特に限定されるものでなく、例えば、金属、ガラス等のセラミック、樹脂、繊維織物、木材等が挙げられる。
また、基材となる部材も、特に限定されるものではなく、建築物内部の内装材、壁材、窓ガラス、ドア等であってもよい、事務機器や家具等であってもよく、上記内装材の外、種々の用途に用いられる化粧板等であってもよい。
また、基材となる部材も、特に限定されるものではなく、建築物内部の内装材、壁材、窓ガラス、ドア等であってもよい、事務機器や家具等であってもよく、上記内装材の外、種々の用途に用いられる化粧板等であってもよい。
上記抗微生物成分としては、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましく、上記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましく、上記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
上記電磁波硬化型樹脂は、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、アルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
上記分散媒の種類は特に限定されるものではないが、安定性を考慮した場合にはアルコール類や水を使用する事が好ましい。アルコール類としては、粘性を下げる事を考慮して、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール等のアルコール類が挙げられる。これらのアルコールのなかでは、粘度が高くなりにくいメチルアルコール、エチルアルコールが好ましく、アルコールと水との混合液が望ましい。
本発明においては、重合開始剤は、銅に対する還元剤として使用することができる。このため、無機バインダ、銅化合物および分散媒からなる抗微生物組成物に重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、光重合開始剤であることが望ましい。重合開始剤により、銅(II)を銅(I)に還元することができる。銅(I)の方が銅(II)よりも抗微生物性能が高い。
上記重合開始剤は、具体的にはアルキルフェノン系、ベンゾフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、分子内水素引き抜き型、及び、オキシムエステル系からなる群から選択される少なくとも1種が望ましい。
上記重合開始剤は、具体的にはアルキルフェノン系、ベンゾフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、分子内水素引き抜き型、及び、オキシムエステル系からなる群から選択される少なくとも1種が望ましい。
上記アルキルフェノン系の重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2-メチル-プロパン-1-オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホニル)フェニル]-1-ブタノン等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系の重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
分子内水素引き抜き型の重合開始剤としては、例えば、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、オキシフェニルサクサン、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルトオキシフェニル酢酸と2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルとの混合物等が挙げられる。
オキシムエステル系の重合開始剤としては、例えば、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0-アセチルオキシム)等が挙げられる。
本発明の抗微生物部材においては、上記重合開始剤は、アルキルフェノン系の重合開始剤及びベンゾフェノン系の重合開始剤を含み、アルキルフェノン系の重合開始剤とベンゾフェノン系の重合開始剤の比率は、重量比でアルキルフェノン系の重合開始剤/ベンゾフェノン系の重合開始剤=1/1〜4/1であることが望ましい。電磁波硬化型樹脂の硬化物の架橋密度が高くなるからである。
上記抗微生物組成物中の抗微生物成分の含有割合は、2.0〜30.0重量%が望ましく、未硬化の電磁波硬化型樹脂(モノマー又はオリゴマー)の含有割合は、15〜40重量%が望ましく、分散媒の含有割合は、30〜80重量%が望ましい。
上記抗微生物組成物中には、必要に応じて、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、接着促進剤、レオロジー調整剤、レベリング剤、消泡剤等が配合されていてもよい。
上記抗微生物組成物を調製する際には、分散媒に抗微生物成分とモノマー若しくはオリゴマーと重合開始剤を添加した後、ミキサー等で充分に攪拌し、抗微生物成分、未硬化の電磁波硬化型樹脂等、重合開始剤が均一な濃度で分散する組成物とした後、散布することが望ましい。
本明細書において、散布とは、上記抗微生物組成物を、分割された状態で基材表面に付着させることをいう。
上記散布方法としては、例えば、スプレー法、二流体スプレー法、静電スプレー法、エアロゾル法等が挙げられる。
上記散布方法としては、例えば、スプレー法、二流体スプレー法、静電スプレー法、エアロゾル法等が挙げられる。
本発明において、スプレー法とは、高圧の空気などのガスや機械的な運動(指やピエゾ素子など)用いて抗微生物組成物を霧の状態で噴霧し、基材表面に上記抗微生物組成物の液滴を付着させることをいう。
本発明において、二流体スプレー法とは、スプレー法の一種であり、高圧の空気などのガスと抗微生物組成物とを混合した後、ノズルから霧の状態で噴霧し、基材表面に上記抗微生物組成物の液滴を付着させることをいう。
本発明において、静電スプレー法とは、帯電した抗微生物組成物を利用する散布方法であり、上記したスプレー法により抗微生物組成物を霧の状態で噴霧するが、上記抗微生物組成物を霧状にするための方式には、上記抗微生物組成物を噴霧器で噴霧するガン型と、帯電した抗微生物組成物の反発を利用した静電霧化方式があり、さらに、ガン型には帯電した抗微生物組成物を噴霧する方式と、噴霧した霧状の抗微生物組成物に外部電極からコロナ放電で電荷を付与する方式とがある。霧状の液滴は、帯電しているため、基材表面に付着し易く、良好に上記抗微生物組成物を、細かく分割された状態で基材表面に付着させることができる。
本発明において、エアロゾル法とは、金属の化合物を含む抗微生物組成物を物理的及び化学的に生成した霧状のものを対象物に吹き付ける手法である。
本発明において、二流体スプレー法とは、スプレー法の一種であり、高圧の空気などのガスと抗微生物組成物とを混合した後、ノズルから霧の状態で噴霧し、基材表面に上記抗微生物組成物の液滴を付着させることをいう。
本発明において、静電スプレー法とは、帯電した抗微生物組成物を利用する散布方法であり、上記したスプレー法により抗微生物組成物を霧の状態で噴霧するが、上記抗微生物組成物を霧状にするための方式には、上記抗微生物組成物を噴霧器で噴霧するガン型と、帯電した抗微生物組成物の反発を利用した静電霧化方式があり、さらに、ガン型には帯電した抗微生物組成物を噴霧する方式と、噴霧した霧状の抗微生物組成物に外部電極からコロナ放電で電荷を付与する方式とがある。霧状の液滴は、帯電しているため、基材表面に付着し易く、良好に上記抗微生物組成物を、細かく分割された状態で基材表面に付着させることができる。
本発明において、エアロゾル法とは、金属の化合物を含む抗微生物組成物を物理的及び化学的に生成した霧状のものを対象物に吹き付ける手法である。
上記散布工程により、抗微生物成分と未硬化の電磁波硬化型樹脂と分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物が基材表面に島状に散在した状態となる。
(2)乾燥工程
上記散布工程により基材の表面に散布された抗微生物成分と未硬化の電磁波硬化型樹脂と分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物を乾燥させ、分散媒を蒸発、除去し、抗微生物成分を含むバインダ硬化物を基材表面に仮固定させるとともに、バインダ硬化物の収縮により、抗微生物成分をバインダ硬化物の表面から露出させることができる。乾燥条件としては、60〜100℃、0.5〜5.0分が望ましい。
上記散布工程により基材の表面に散布された抗微生物成分と未硬化の電磁波硬化型樹脂と分散媒と重合開始剤とを含む抗微生物組成物を乾燥させ、分散媒を蒸発、除去し、抗微生物成分を含むバインダ硬化物を基材表面に仮固定させるとともに、バインダ硬化物の収縮により、抗微生物成分をバインダ硬化物の表面から露出させることができる。乾燥条件としては、60〜100℃、0.5〜5.0分が望ましい。
(3)硬化工程
上記の抗微生物部材を製造する際には、硬化工程として、上記乾燥工程で分散媒を除去した抗微生物組成物中の上記未硬化の電磁波硬化型樹脂であるモノマーやオリゴマーに電磁波を照射して上記電磁波硬化型樹脂を硬化させ、バインダ硬化物とする。
本発明の抗微生物部材の製造方法において、未硬化の電磁波硬化型樹脂に照射する電磁波としては、特に限定されず、例えば、紫外線(UV)、赤外線、可視光線、マイクロ波、電子線(Electron Beam:EB)等が挙げられるが、これらのなかでは、紫外線(UV)が望ましい。
上記の抗微生物部材を製造する際には、硬化工程として、上記乾燥工程で分散媒を除去した抗微生物組成物中の上記未硬化の電磁波硬化型樹脂であるモノマーやオリゴマーに電磁波を照射して上記電磁波硬化型樹脂を硬化させ、バインダ硬化物とする。
本発明の抗微生物部材の製造方法において、未硬化の電磁波硬化型樹脂に照射する電磁波としては、特に限定されず、例えば、紫外線(UV)、赤外線、可視光線、マイクロ波、電子線(Electron Beam:EB)等が挙げられるが、これらのなかでは、紫外線(UV)が望ましい。
また、上記電磁波は、光重合開始剤を励起して、銅化合物を還元する働きをもつ。このため、銅(II)を還元して銅(I)の量を増やして抗微生物活性を高くすることができる。
本発明の抗微生物部材では、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで上記銅化合物中にCu(I)とCu(II)の共存が確認されることが望ましい。Cu(I)とはCu(II)は共存した方がそれぞれ単独の場合よりも抗微生物活性が高いからである。
本発明の抗微生物部材では、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、上記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオンの個数の比率(Cu(I)/Cu(II))は、0.4〜50であることが望ましい。
また、Cu(I)の銅は、Cu(II)の銅と比較して抗微生物性により優れているため、第1の本発明の抗微生物部材において、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、上記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオンの個数の比率(Cu(I)/Cu(II))が1.0〜4.0であると、より抗微生物性に優れた抗微生物部材となる。
これらの工程により、基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在し、かつ、上記バインダ硬化物は、基材表面の10〜55%を被覆している本発明の抗微生物部材を製造することができる。
また、Cu(I)の銅は、Cu(II)の銅と比較して抗微生物性により優れているため、第1の本発明の抗微生物部材において、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、上記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオンの個数の比率(Cu(I)/Cu(II))が1.0〜4.0であると、より抗微生物性に優れた抗微生物部材となる。
これらの工程により、基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在し、かつ、上記バインダ硬化物は、基材表面の10〜55%を被覆している本発明の抗微生物部材を製造することができる。
上記抗微生物組成物中には、上記した重合開始剤が添加されているので、電磁波を照射することにより未硬化の電磁波硬化型樹脂であるモノマーやオリゴマーの重合反応や架橋反応等が進行し、銅化合物を含むバインダ硬化物が形成される。
上記散布工程により散布された抗微生物組成物は、島状に散在しているので、得られたバインダ硬化物も島状に散在している。
上記散布工程により散布された抗微生物組成物は、島状に散在しているので、得られたバインダ硬化物も島状に散在している。
上記バインダ硬化物の基材表面への被覆率は、抗微生物組成物中の分散媒の濃度、抗微生物成分の濃度等や散布の圧力、塗液の噴出速度、散布時間等を操作することにより、調整することができる。バインダ硬化物が基材表面の10〜55%を被覆するように、抗微生物部材を製造することにより、バインダ硬化物が厚くなることがなく、広い表面積を確保することができ、単位担持量当たり抗微生物活性の高い抗微生物部材を提供することができる。
次に、バインダとして、無機バインダを用いた場合の抗微生物部材の製造方法について説明する。
上記抗微生物部材を製造する際には、まず、基材の表面に、抗微生物成分と無機バインダと分散媒とを含む抗微生物組成物を散布する散布工程を行い、続いて上記散布工程により散布された上記抗微生物組成物を乾燥させて上記分散媒を除去するとともに、抗微生物組成物を硬化させる乾燥・硬化工程を行い、基材の表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗微生物部材を得ることができる。
上記抗微生物部材を製造する際には、まず、基材の表面に、抗微生物成分と無機バインダと分散媒とを含む抗微生物組成物を散布する散布工程を行い、続いて上記散布工程により散布された上記抗微生物組成物を乾燥させて上記分散媒を除去するとともに、抗微生物組成物を硬化させる乾燥・硬化工程を行い、基材の表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗微生物部材を得ることができる。
(1)散布工程
本発明の抗微生物部材を製造する際には、まず、散布工程として、基材の表面に、抗微生物成分と無機バインダと分散媒とを含む抗微生物組成物を散布する。
本発明の抗微生物部材を製造する際には、まず、散布工程として、基材の表面に、抗微生物成分と無機バインダと分散媒とを含む抗微生物組成物を散布する。
散布の対象となる基材の材料は、特に限定されるものでなく、例えば、金属、ガラス等のセラミック、樹脂、繊維織物、木材等が挙げられる。
また、基材となる部材も、特に限定されるものではなく、建築物内部の内装材、壁材、窓ガラス、ドア等であってもよい、事務機器や家具等であってもよく、上記内装材の外、種々の用途に用いられる化粧板等であってもよい。
また、基材となる部材も、特に限定されるものではなく、建築物内部の内装材、壁材、窓ガラス、ドア等であってもよい、事務機器や家具等であってもよく、上記内装材の外、種々の用途に用いられる化粧板等であってもよい。
上記抗微生物成分としては、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。
上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましく、上記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
上記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましく、上記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
上記無機バインダは、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル及びケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
上記分散媒の種類は特に限定されるものではないが、アルコール類や水を使用する事が好ましい。アルコール類としては、粘性を下げる事を考慮して、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
上記抗微生物組成物中の抗微生物成分の含有割合は、2〜30重量%が望ましく、無機バインダの含有割合は、15〜60重量%が望ましく、分散媒の含有割合は、30〜80重量%が望ましい。この場合、上記抗微生物組成物中のシリカ等の無機酸化物の含有割合は、5〜20重量%となる。
上記抗微生物組成物中には、必要に応じて、pH調整剤、接着促進剤、レオロジー調整剤、レベリング剤、消泡剤等が配合されていてもよい。
上記抗微生物組成物を調製する際には、分散媒に抗微生物成分、無機バインダ等を添加した後、ミキサー等で充分に攪拌し、抗微生物成分、無機バインダ等が均一な濃度で分散する組成物とした後、直ちに散布することが望ましい。
上記抗微生物組成物を調製する際には、分散媒に抗微生物成分、無機バインダ等を添加した後、ミキサー等で充分に攪拌し、抗微生物成分、無機バインダ等が均一な濃度で分散する組成物とした後、直ちに散布することが望ましい。
上記散布方法としては、例えば、スプレー法、二流体スプレー法、静電スプレー法、エアロゾル法等が挙げられる。また、ローラーや刷毛を用いてもよい。
本発明において、スプレー法とは、高圧の空気などのガスや機械的な運動(指やピエゾ素子など)用いて抗微生物組成物を霧の状態で噴霧し、基材表面に上記抗微生物組成物の液滴を付着させることをいう。
本発明において、二流体スプレー法とは、スプレー法の一種であり、高圧の空気などのガスと抗微生物組成物とを混合した後、ノズルから霧の状態で噴霧し、基材表面に上記抗微生物組成物の液滴を付着させることをいう。
本発明において、静電スプレー法とは、帯電した抗微生物組成物を利用する散布方法であり、上記したスプレー法により抗微生物組成物を霧の状態で噴霧するが、上記抗微生物組成物を霧状にするための方式には、上記抗微生物組成物を噴霧器で噴霧するガン型と、帯電した抗微生物組成物の反発を利用した静電霧化方式があり、さらに、ガン型には帯電した抗微生物組成物を噴霧する方式と、噴霧した霧状の抗微生物組成物に外部電極からコロナ放電で電荷を付与する方式とがある。霧状の液滴は、帯電しているため、基材表面に付着し易く、良好に上記抗微生物組成物を、細かく分割された状態で基材表面に付着させることができる。
本発明において、エアロゾル法とは、金属の化合物を含む抗微生物組成物を物理的及び化学的に生成した霧状のものを対象物に吹き付ける手法である。また、ローラーや刷毛で塗布してもよい。
本発明において、二流体スプレー法とは、スプレー法の一種であり、高圧の空気などのガスと抗微生物組成物とを混合した後、ノズルから霧の状態で噴霧し、基材表面に上記抗微生物組成物の液滴を付着させることをいう。
本発明において、静電スプレー法とは、帯電した抗微生物組成物を利用する散布方法であり、上記したスプレー法により抗微生物組成物を霧の状態で噴霧するが、上記抗微生物組成物を霧状にするための方式には、上記抗微生物組成物を噴霧器で噴霧するガン型と、帯電した抗微生物組成物の反発を利用した静電霧化方式があり、さらに、ガン型には帯電した抗微生物組成物を噴霧する方式と、噴霧した霧状の抗微生物組成物に外部電極からコロナ放電で電荷を付与する方式とがある。霧状の液滴は、帯電しているため、基材表面に付着し易く、良好に上記抗微生物組成物を、細かく分割された状態で基材表面に付着させることができる。
本発明において、エアロゾル法とは、金属の化合物を含む抗微生物組成物を物理的及び化学的に生成した霧状のものを対象物に吹き付ける手法である。また、ローラーや刷毛で塗布してもよい。
上記散布工程により、抗微生物成分と無機バインダと分散媒とを含む抗微生物組成物が基材表面に島状に散在した状態となる。
(2)乾燥・硬化工程
上記散布工程により散布された抗微生物成分と無機バインダと分散媒とを含む抗微生物組成物を乾燥させ、分散媒を蒸発、除去することにより硬化させ、抗微生物成分を含むバインダ硬化物を基材表面に固定させる。乾燥条件としては、20〜100℃、0.5〜5分が望ましい。
なお、乾燥前後で、抗微生物性組成物もしくは硬化物に電磁波を照射して、光重合開始剤を励起してもよい。電磁波としては、特に限定されず、例えば、紫外線(UV)、赤外線、可視光線、マイクロ波、電子線(Electron Beam:EB)等が挙げられるが、これらのなかでは、紫外線(UV)が望ましい。
上記電磁波は、光重合開始剤を励起して、銅化合物を還元する働きをもつ。このため、銅(II)を還元して銅(I)の量を増やして抗微生物活性を高くすることができる。
上記散布工程により散布された抗微生物成分と無機バインダと分散媒とを含む抗微生物組成物を乾燥させ、分散媒を蒸発、除去することにより硬化させ、抗微生物成分を含むバインダ硬化物を基材表面に固定させる。乾燥条件としては、20〜100℃、0.5〜5分が望ましい。
なお、乾燥前後で、抗微生物性組成物もしくは硬化物に電磁波を照射して、光重合開始剤を励起してもよい。電磁波としては、特に限定されず、例えば、紫外線(UV)、赤外線、可視光線、マイクロ波、電子線(Electron Beam:EB)等が挙げられるが、これらのなかでは、紫外線(UV)が望ましい。
上記電磁波は、光重合開始剤を励起して、銅化合物を還元する働きをもつ。このため、銅(II)を還元して銅(I)の量を増やして抗微生物活性を高くすることができる。
上記バインダ硬化物の基材表面への被覆率は、抗微生物組成物中の抗微生物成分の濃度、分散媒の濃度等や散布の圧力、塗液の噴出速度、塗工時間等を操作することにより、調整することができる。スプレーガンを用いて噴射する場合は、スプレーガンのエアー圧力やスプレー塗布幅、スプレーガンの移動速度、塗液の噴出速度、塗布距離を変化させることにより、バインダ硬化物の被覆率を調整することができる。
(実施例1)
(1)酢酸銅の濃度が6.0wt%になるように、酢酸銅(II)・一水和物粉末(富士フイルム和光純薬社製)を純水に溶解させた後、マグネチックスターラーを用い、600rpmで15分撹拌して酢酸銅水溶液を調製した。紫外線硬化樹脂液は、光ラジカル重合型アクリレート樹脂(ダイセル・オルネクス社製 UCECOAT7200)と光重合開始剤(IGM社製 OmnIrad500)を重量比98:2で混合し、ホモジナイザーを用い、8000rpmで30分間撹拌して調製した。上記6.0wt%酢酸銅水溶液と紫外線硬化樹脂液を重量比1.9:1.0で混合し、マグネチックスターラーを用い、600rpmで2分撹拌して抗ウィルス組成物を調製した。
なお、IGM社製のOmnIrad500は、BASF社のIRGACURE500と同じもので、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(アルキルフェノン)とベンゾフェノンとの重量比1:1混合物である。すなわち、アルキルフェノン系重合開始剤とベンゾフェノン系重合開始剤は、重量比1:1で存在している。この光重合開始剤は、水に不溶であり、紫外線により還元力を発現する。
(1)酢酸銅の濃度が6.0wt%になるように、酢酸銅(II)・一水和物粉末(富士フイルム和光純薬社製)を純水に溶解させた後、マグネチックスターラーを用い、600rpmで15分撹拌して酢酸銅水溶液を調製した。紫外線硬化樹脂液は、光ラジカル重合型アクリレート樹脂(ダイセル・オルネクス社製 UCECOAT7200)と光重合開始剤(IGM社製 OmnIrad500)を重量比98:2で混合し、ホモジナイザーを用い、8000rpmで30分間撹拌して調製した。上記6.0wt%酢酸銅水溶液と紫外線硬化樹脂液を重量比1.9:1.0で混合し、マグネチックスターラーを用い、600rpmで2分撹拌して抗ウィルス組成物を調製した。
なお、IGM社製のOmnIrad500は、BASF社のIRGACURE500と同じもので、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(アルキルフェノン)とベンゾフェノンとの重量比1:1混合物である。すなわち、アルキルフェノン系重合開始剤とベンゾフェノン系重合開始剤は、重量比1:1で存在している。この光重合開始剤は、水に不溶であり、紫外線により還元力を発現する。
(2)ついで、500mm×500mmの大きさの黒色光沢メラミン板上に、7.5g/分の噴出速度で分散媒を含んだ状態で2g/m2に相当する抗ウィルス組成物をスプレーガン(明治機械製作所製 FINER SPOT G12)を用い、0.1MPaのエアー圧力、30cm/秒のストローク速度で霧状に散布し、抗ウィルス組成物の液滴を黒色光沢メラミン板表面に島状に散在させた。
(3)この後、黒色光沢メラミン板を80℃で3分間乾燥させ、さらに紫外線照射装置(COATTEC社製 MP02)を用い、30mW/cm2の照射強度で80秒間紫外線を照射することにより、基材である黒色光沢メラミン板表面に銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得た。上記黒色光沢メラミン板表面には、新聞紙に記載されている程度の大きさの白色文字が記載されていた。
以下の方法で、実施例1で得られたバインダ硬化物に含まれる銅化合物に関し、Cu(I)とCu(II)のイオンの個数の比率(Cu(I)/Cu(II))を測定した。その結果、Cu(I)/Cu(II)=1.9であった。実施例2〜4、比較例2、3も、同じ化合物、組成、硬化条件であるため、Cu(I)/Cu(II)=1.9である。
(Cu(I)/Cu(II)の測定試験)
Cu(I)とCu(II)のイオンの個数の比率は、X線光電子分光分析法(XPS分析法)により計測した。測定条件は以下の通り。
・装置:アルバックファイ製 PHI 5000 Versa probeII
・X線源:Al Kα 1486.6eV
・検出角:45°
・測定径:100μm
・帯電中和:有り
−ワイドスキャン
・測定ステップ:0.8eV
・pass energy:187.8eV
−ナロースキャン
・測定ステップ:0.1eV
・pass energy:46.9eV
測定時間は5分で、Cu(I)のピーク位置は、932.5eV±0.3eV、Cu(II)のピーク位置は933.8eV±0.3eVであり、それぞれのピークの面積を積分して、その比率からCu(I)/Cu(II)を得た。
Cu(I)とCu(II)のイオンの個数の比率は、X線光電子分光分析法(XPS分析法)により計測した。測定条件は以下の通り。
・装置:アルバックファイ製 PHI 5000 Versa probeII
・X線源:Al Kα 1486.6eV
・検出角:45°
・測定径:100μm
・帯電中和:有り
−ワイドスキャン
・測定ステップ:0.8eV
・pass energy:187.8eV
−ナロースキャン
・測定ステップ:0.1eV
・pass energy:46.9eV
測定時間は5分で、Cu(I)のピーク位置は、932.5eV±0.3eV、Cu(II)のピーク位置は933.8eV±0.3eVであり、それぞれのピークの面積を積分して、その比率からCu(I)/Cu(II)を得た。
(実施例2)
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を4g/m2に変更したほかは、実施例1と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得た。
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を4g/m2に変更したほかは、実施例1と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得た。
(実施例3)
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を6g/m2に変更したほかは、実施例1と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得た。
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を6g/m2に変更したほかは、実施例1と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得た。
(実施例4)
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を8g/m2に変更したほかは、実施例1と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得た。
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を8g/m2に変更したほかは、実施例1と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得た。
(比較例1)
黒色光沢メラミン板に抗ウィルス組成物を噴霧しなかった。
黒色光沢メラミン板に抗ウィルス組成物を噴霧しなかった。
(比較例2)
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を12g/m2に変更したほかは、実施例1と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得た。
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を12g/m2に変更したほかは、実施例1と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得た。
(比較例3)
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を16g/m2に変更したほかは、実施例1と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得た。
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を16g/m2に変更したほかは、実施例1と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得た。
(試験例1)
(1)塩化銅(I)の濃度が0.34wt%になるように、塩化銅(I)粉末(富士フイルム和光純薬社製)を純水に懸濁させた後、マグネチックスターラーを用い、600rpmで15分撹拌して塩化銅懸濁液を調製する。上記0.34wt%塩化銅(I)懸濁液とポリビニルアルコールを重量比1.9:1.0で混合し、マグネチックスターラーを用い、600rpmで2分撹拌して抗ウィルス組成物を調製する。
(2)ついで、300mm×300mmの大きさのガラス板を用意し、霧吹きで上記抗ウィルス組成物を、このガラス板表面に、硬化した場合に当該抗ウィルス組成物の硬化物がガラス板の表面を36.3%被覆するまで吹き付ける。
(3)この後、ガラス板を室温で24時間乾燥させ、基材であるガラス板表面にその表面の一部が露出するように銅化合物を含むバインダ硬化物が固着形成された抗ウィルス性部材を得る。
(1)塩化銅(I)の濃度が0.34wt%になるように、塩化銅(I)粉末(富士フイルム和光純薬社製)を純水に懸濁させた後、マグネチックスターラーを用い、600rpmで15分撹拌して塩化銅懸濁液を調製する。上記0.34wt%塩化銅(I)懸濁液とポリビニルアルコールを重量比1.9:1.0で混合し、マグネチックスターラーを用い、600rpmで2分撹拌して抗ウィルス組成物を調製する。
(2)ついで、300mm×300mmの大きさのガラス板を用意し、霧吹きで上記抗ウィルス組成物を、このガラス板表面に、硬化した場合に当該抗ウィルス組成物の硬化物がガラス板の表面を36.3%被覆するまで吹き付ける。
(3)この後、ガラス板を室温で24時間乾燥させ、基材であるガラス板表面にその表面の一部が露出するように銅化合物を含むバインダ硬化物が固着形成された抗ウィルス性部材を得る。
(比較例4)
酢酸銅(II)の濃度が6wt%の水溶液を300mm×300mmの大きさの黒色光沢メラミン板表面に、乾燥時に乾燥物が黒色光沢メラミン板の表面を36.3%被覆するまで、酢酸銅(II)水溶液を霧吹きにて吹き付けて付着させる。ついで、紫外線を照射せず、室温で48時間乾燥させる。
酢酸銅(II)の濃度が6wt%の水溶液を300mm×300mmの大きさの黒色光沢メラミン板表面に、乾燥時に乾燥物が黒色光沢メラミン板の表面を36.3%被覆するまで、酢酸銅(II)水溶液を霧吹きにて吹き付けて付着させる。ついで、紫外線を照射せず、室温で48時間乾燥させる。
(実施例5)
(1)光ラジカル重合型アクリレート樹脂(ダイセル・オルネクス社製UCECOAT7200)と光重合開始剤(IGM社製 OmnIrad500)と光重合開始剤(IGM社製 OmnIrad184)とを重量比97:2:1で混合し、ホモジナイザーを用いて、8000rpmで10分間撹拌して紫外線硬化樹脂液を調製する。なお、IGM社製 OmnIrad500は、BASF社のIRGACURE500と同じもので、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(アルキルフェノン)とベンゾフェノンの1:1の混合物である。この光重合開始剤は、水に不溶性であり、紫外線を吸収することで還元力を発現する。一方、光重合開始剤(IGM社製 OmnIrad184)は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(アルキルフェノン)であり、結局光重合開始剤としては、アルキルフェノンとベンゾフェノンは重量比で2:1の割合で存在している。
(2)水とビス型第四級アンモニウム塩(1,1′−ジデシル−3,3′−[ブタン−1,4−ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジブロミド)と上記紫外線硬化樹脂液を重量比19:0.51:10で混合し、マグネチックスターラーを用い、600rpmで2分撹拌して抗ウィルス組成物を調製する。
(3)ついで、500mm×500mmの大きさの黒色光沢メラミン板上に、7.5g/分の噴出速度で分散媒を含んだ状態で2g/m2に相当する抗ウィルス組成物をスプレーガン(明治機械製作所製 FINER SPOT G12)を用い、0.1MPaのエアー圧力、30cm/秒のストローク速度で霧状に散布し、抗ウィルス組成物の液滴を黒色光沢メラミン板表面に島状に散在させる。
(4)この後、黒色光沢メラミン板を80℃で3分間乾燥させ、さらに紫外線照射装置(COATTEC社製 MP02)を用い、30mW/cm2の照射強度で80秒間紫外線を照射することにより、基材である黒色光沢メラミン板表面に銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得る。
(1)光ラジカル重合型アクリレート樹脂(ダイセル・オルネクス社製UCECOAT7200)と光重合開始剤(IGM社製 OmnIrad500)と光重合開始剤(IGM社製 OmnIrad184)とを重量比97:2:1で混合し、ホモジナイザーを用いて、8000rpmで10分間撹拌して紫外線硬化樹脂液を調製する。なお、IGM社製 OmnIrad500は、BASF社のIRGACURE500と同じもので、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(アルキルフェノン)とベンゾフェノンの1:1の混合物である。この光重合開始剤は、水に不溶性であり、紫外線を吸収することで還元力を発現する。一方、光重合開始剤(IGM社製 OmnIrad184)は、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(アルキルフェノン)であり、結局光重合開始剤としては、アルキルフェノンとベンゾフェノンは重量比で2:1の割合で存在している。
(2)水とビス型第四級アンモニウム塩(1,1′−ジデシル−3,3′−[ブタン−1,4−ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジブロミド)と上記紫外線硬化樹脂液を重量比19:0.51:10で混合し、マグネチックスターラーを用い、600rpmで2分撹拌して抗ウィルス組成物を調製する。
(3)ついで、500mm×500mmの大きさの黒色光沢メラミン板上に、7.5g/分の噴出速度で分散媒を含んだ状態で2g/m2に相当する抗ウィルス組成物をスプレーガン(明治機械製作所製 FINER SPOT G12)を用い、0.1MPaのエアー圧力、30cm/秒のストローク速度で霧状に散布し、抗ウィルス組成物の液滴を黒色光沢メラミン板表面に島状に散在させる。
(4)この後、黒色光沢メラミン板を80℃で3分間乾燥させ、さらに紫外線照射装置(COATTEC社製 MP02)を用い、30mW/cm2の照射強度で80秒間紫外線を照射することにより、基材である黒色光沢メラミン板表面に銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得る。
(実施例6)
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を4g/m2に変更したほかは、実施例5と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得る。
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を4g/m2に変更したほかは、実施例5と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得る。
(実施例7)
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を6g/m2に変更したほかは、実施例5と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得る。
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を6g/m2に変更したほかは、実施例5と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得る。
(実施例8)
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を8g/m2に変更したほかは、実施例5と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得る。
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を8g/m2に変更したほかは、実施例5と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得る。
(比較例5)
黒色光沢メラミン板に抗ウィルス組成物を噴霧しなかった。
黒色光沢メラミン板に抗ウィルス組成物を噴霧しなかった。
(比較例6)
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を12g/m2に変更したほかは、実施例5と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得る。
スプレーガンを用いて霧状に散布する抗ウィルス組成物の量を12g/m2に変更したほかは、実施例5と同様にして、銅化合物を含むバインダ硬化物が島状に散在する抗ウィルス性部材を得る。
(抗ウィルス性部材の形状及びバインダ硬化物の分散状態の評価)
得られた抗ウィルス性部材について、光学顕微鏡(キーエンス社製 マイクロスコープ VHX−5000)で写真を撮影した。図2は、実施例1で得られた抗ウィルス性部材を示す光学顕微鏡写真である。基材である黒色光沢メラミン板表面にバインダ硬化物1が島状に散在していることが分かる。
また、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた抗ウィルス性部材に関し、画像の2値化処理により、2410000μm2当たり(1552μm)の基材表面に示す島状のバインダ硬化物を3点測定し、平均表面被覆率を算出した。その結果を表1に示す。
得られた抗ウィルス性部材について、光学顕微鏡(キーエンス社製 マイクロスコープ VHX−5000)で写真を撮影した。図2は、実施例1で得られた抗ウィルス性部材を示す光学顕微鏡写真である。基材である黒色光沢メラミン板表面にバインダ硬化物1が島状に散在していることが分かる。
また、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた抗ウィルス性部材に関し、画像の2値化処理により、2410000μm2当たり(1552μm)の基材表面に示す島状のバインダ硬化物を3点測定し、平均表面被覆率を算出した。その結果を表1に示す。
(ネコカリシウィルスを用いた抗ウィルス性評価)
この抗ウィルス性試験は以下のように実施した。
実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた抗ウィルス性部材の抗ウィルス性を評価するために、JIS Z 2801抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果を改変した手法を用いた。改変点は、「試験菌液の接種」を「試験ウィルスの接種」に変更した点である。ウィルスを使用することによる変更点についてはすべてJIS L 1922繊維製品の抗ウィルス性試験方法に基づき変更した。測定結果は実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた抗ウィルス性部材についてJIS L 1922付属書Bに基づき、CRFK細胞への感染能力を失ったネコカリシウィルス濃度をネコカリシウィルス不活度として表示する。ここで、ウィルス濃度の指標として、CRFK細胞に対して不活性化されたウィルスの濃度(ウィルス不活度)を使用し、このウィルス不活度に基づいて抗ウィルス活性値を算出した。
この抗ウィルス性試験は以下のように実施した。
実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた抗ウィルス性部材の抗ウィルス性を評価するために、JIS Z 2801抗菌加工製品−抗菌性試験方法・抗菌効果を改変した手法を用いた。改変点は、「試験菌液の接種」を「試験ウィルスの接種」に変更した点である。ウィルスを使用することによる変更点についてはすべてJIS L 1922繊維製品の抗ウィルス性試験方法に基づき変更した。測定結果は実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた抗ウィルス性部材についてJIS L 1922付属書Bに基づき、CRFK細胞への感染能力を失ったネコカリシウィルス濃度をネコカリシウィルス不活度として表示する。ここで、ウィルス濃度の指標として、CRFK細胞に対して不活性化されたウィルスの濃度(ウィルス不活度)を使用し、このウィルス不活度に基づいて抗ウィルス活性値を算出した。
以下、手順を具体的に記載する。
(1)実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた抗ウィルス性部材を、1辺50mm角の正方形に切り出した試験試料を滅菌済プラスチックシャーレに置き、試験ウィルス液(>107PFU/mL)を0.4mL接種する。
試験ウィルス液は108PFU/mLのストックを精製水で10倍希釈したものを使用する。
(2)対照試料として50mm角のポリエチレンフイルムを用意し、試験試料と同様にウィルス液を接種する。
(1)実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた抗ウィルス性部材を、1辺50mm角の正方形に切り出した試験試料を滅菌済プラスチックシャーレに置き、試験ウィルス液(>107PFU/mL)を0.4mL接種する。
試験ウィルス液は108PFU/mLのストックを精製水で10倍希釈したものを使用する。
(2)対照試料として50mm角のポリエチレンフイルムを用意し、試験試料と同様にウィルス液を接種する。
(3)接種したウィルスの液の上から40mm角のポリエチレンを被せ、試験ウィルス液を均等に接種させた後、25℃で所定時間反応させる。
(4)接種直後または反応後、SCDLP培地10mLを加え、ウィルス液を洗い流す。
(5)JIS L 1922付属書Bによってウィルスの感染値を求める。
(4)接種直後または反応後、SCDLP培地10mLを加え、ウィルス液を洗い流す。
(5)JIS L 1922付属書Bによってウィルスの感染値を求める。
(6)以下の計算式を用いて抗ウィルス活性値を算出する。
Mv=Log(Vb/Vc)
Mv:抗ウィルス活性値
Log(Vb):ポリエチレンフイルムの所定時間反応後の感染値の対数値
Log(Vc):試験試料の所定時間反応後の感染値の対数値
参考規格 JIS L 1922、JIS Z 2801
測定方法は、プラーク測定法によった。
また、試験ウィルスはFelIne calcIvIrus;StraIn:F−9 ATCC VR−782を用いた。
得られた抗ウィルス活性値を表1に示す。
Mv=Log(Vb/Vc)
Mv:抗ウィルス活性値
Log(Vb):ポリエチレンフイルムの所定時間反応後の感染値の対数値
Log(Vc):試験試料の所定時間反応後の感染値の対数値
参考規格 JIS L 1922、JIS Z 2801
測定方法は、プラーク測定法によった。
また、試験ウィルスはFelIne calcIvIrus;StraIn:F−9 ATCC VR−782を用いた。
得られた抗ウィルス活性値を表1に示す。
表1には、バインダ硬化物の基材表面の被覆率(%)、平均表面被覆率(%)、抗ウィルス組成物を散布、硬化した後の基材表面の表面粗さRa(μm)、Ry(μm)、Rz(μm)、3点を平均した平均表面粗さRa(μm)、バインダ硬化物の円相当径(μm)、平均円相当径(μm)、抗ウィルス組成物の塗工面積(nm2)の3点実測値、抗ウィルス組成物の塗工面積(nm2)の3点実測値の平均値、つまり抗ウィルス組成物の平均塗工面積(nm2)、バインダ硬化物の個数、バインダ硬化物の1個当たりの面積(nm2)、バインダ硬化物の1個当たりの面積の平均値(nm2)、抗ウィルス活性値、バインダ硬化物1個におけるバインダ硬化物の単位面積当たりの抗ウィルス活性値(×10-6)を示している。
図3は、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた抗ウィルス性部材のバインダ硬化物の単位面積当たりの抗ウィルス活性の結果を示すグラフである。図3における横軸は、バインダ硬化物の基材表面への被覆率であり、縦軸は、バインダ硬化物の島1個における単位面積当たりの抗ウィルス活性値である。
島状のバインダ硬化物は、概ね均一であるから、抗ウィルス活性値をバインダ硬化物の島1個の被覆面積で除した値は、抗ウィルス成分の単位担持量当たりの抗ウィルス活性値として代用することができる。
上記表1及び図3によれば、バインダ硬化物の島1個における単位面積当たりの抗ウィルス活性値は基材表面への被覆率が10〜55%の範囲が最も優れていることが分かる。
島状のバインダ硬化物は、概ね均一であるから、抗ウィルス活性値をバインダ硬化物の島1個の被覆面積で除した値は、抗ウィルス成分の単位担持量当たりの抗ウィルス活性値として代用することができる。
上記表1及び図3によれば、バインダ硬化物の島1個における単位面積当たりの抗ウィルス活性値は基材表面への被覆率が10〜55%の範囲が最も優れていることが分かる。
図4は、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた抗ウィルス性部材のバインダ硬化物の抗ウィルス活性の結果を示すグラフである。
図4によれば、バインダ硬化物の抗ウィルス活性値は基材表面への被覆率が10〜55%の範囲が最も優れていることが分かる。これは、抗ウィルス性のバインダ硬化物の総表面積が大きくなり、ウィルスなどとの接触確率が高くなったこと、及び、凹凸にウィルスがトラップされてウィルスを失活させやすくなったためであると推測している。
図4によれば、バインダ硬化物の抗ウィルス活性値は基材表面への被覆率が10〜55%の範囲が最も優れていることが分かる。これは、抗ウィルス性のバインダ硬化物の総表面積が大きくなり、ウィルスなどとの接触確率が高くなったこと、及び、凹凸にウィルスがトラップされてウィルスを失活させやすくなったためであると推測している。
(基材表面の意匠性)
実施例1〜4及び比較例1〜3で作製した島状のバインダ硬化物が接着された黒色光沢メラミン板からなる基材に対し、基材表面の文字が視認できるか否かを確認した。その結果、実施例1〜4及び比較例1では、文字が視認できたが、比較例2〜3では、文字が視認できなかった。
実施例1〜4及び比較例1〜3で作製した島状のバインダ硬化物が接着された黒色光沢メラミン板からなる基材に対し、基材表面の文字が視認できるか否かを確認した。その結果、実施例1〜4及び比較例1では、文字が視認できたが、比較例2〜3では、文字が視認できなかった。
一般に、ノロウィルスやインフルエンザウィルスなどの感染性のウィルスは、患者の排出物(唾液飛沫、糞便)1gあたり、108個存在していると言われており、また、手のひらによるウィルス汚染範囲は、10cm×10cmの範囲であると想定されている。糞便や唾液飛沫が手のひらに付着して、壁や机の表面の10cm×10cmの範囲を汚染したとすると、108個のウィルスを失活させるためには、10cm×10cmの面積当たりに換算して、抗ウィルス活性値として8以上の値を持つ抗ウィルス力が必要となる。一方、図3のグラフの縦軸は、2410000μm2(2.41mm2)当たりの抗ウィルス活性であるから、10cm×10cmの面積当たりに換算した抗ウィルス活性値が8以上ということは、図3のグラフに換算すると、8×2.41/10000≒0.002以上の抗ウィルス活性値が必要となる。本発明では、0.002(2000×10―6)以上であれば、実用に耐える範囲と考え、このような抗ウィルス活性を抗ウィルス性のバインダ硬化物の基材表面の被覆率を10%〜55%に調整することで実現したのである。
また、本発明の抗ウィルス性部材は、基材表面の抗ウィルス性のバインダ硬化物の被覆率を調整することで、抗ウィルス性のバインダ硬化物1個におけるバインダ硬化物の単位担持量(単位面積)当たりの抗ウィルス活性を高くできるため、最小限の抗ウィルス組成物で実用的な抗ウィルス活性が得られるのである。
また、図4のグラフによれば、バインダ硬化物の基材表面の被覆率と抗ウィルス活性との関係から、被覆率を10から55%に調整することで、実用的な抗ウィルス活性値3以上を実現できることがわかる。
また、本発明の抗ウィルス性部材は、基材表面の抗ウィルス性のバインダ硬化物の被覆率を調整することで、抗ウィルス性のバインダ硬化物1個におけるバインダ硬化物の単位担持量(単位面積)当たりの抗ウィルス活性を高くできるため、最小限の抗ウィルス組成物で実用的な抗ウィルス活性が得られるのである。
また、図4のグラフによれば、バインダ硬化物の基材表面の被覆率と抗ウィルス活性との関係から、被覆率を10から55%に調整することで、実用的な抗ウィルス活性値3以上を実現できることがわかる。
なお、試験例1、比較例4の抗ウィルス活性値は、それぞれ3.3、1.5であり、同じ被覆率の実施例3に比べて抗ウィルス活性が低い結果であるが、試験例1では、硬化物中には、Cu(I)のみが存在し、Cu(II)のCu(I)の酸化防止効果が働かず、比較例4では乾燥物中にCu(II)のみが存在し、バインダを含んでいないため、抗ウィルス性を示すバインダ硬化物の表面積が小さくなり、抗ウィルス活性が低くなるためではないかと推定している。
また、実施例5〜8及び比較例5、6の抗ウィルス性部材に関し、実施例1〜4及び比較例1〜3と同様に、平均表面被覆率を求め、ネコカリシウィルスを用いた抗ウィルス性試験により抗ウィルス活性値を得た。結果を表2に記載する。
表2より明らかなように、実施例5〜8の抗ウィルス性部材では、被覆率10%〜55%で、抗ウィルス活性として4以上を実現できているが、比較例5の部材では、抗ウィルス活性が認められず、また、比較例6の抗ウィルス性部材のように被覆率が高すぎても十分な抗ウィルス活性が得られない。
上記した実施例及び比較例によれば、実施例1〜8で得た抗ウィルス性部材では、基材である黒色光沢メラミン板表面に抗ウィルス成分を含むバインダ硬化物が島状に散在し、かつ、上記バインダ硬化物は、基材表面の10〜55%を被覆しているので、単位担持量当たり抗ウィルス活性の高い抗ウィルス性部材となることが立証された。
(黄色ブドウ球菌を用いた抗菌性評価)
黄色ブドウ球菌を用いた抗菌性評価を、以下のように実施した。
(1)実施例1〜3、5〜8及び比較例1〜3、5、6で得られた抗ウィルス性部材を、50mm角の正方形に切り出した試験試料を滅菌済プラスチックシャーレに置き、試験菌液(菌数2.5×105〜10×105/mL)を0.4mL接種する。
試験菌液は、培養器中で温度35±1℃で16〜24時間前培養した培養菌を、さらに斜面培地に移植して、培養器中で温度35±1℃で16〜20時間前培養したものを、1/500NB培地により適宜調整したものを使用する。
(2)対照試料として50mm角のポリエチレンフイルムを用意し、試験試料と同様に試験菌液を接種する。
(3)接種した試験菌液の上から40mm角のポリエチレンフイルムを被せ、試験菌液を均等に接種させた後、温度35±1℃で8±1時間反応させる。
(4)接種直後または反応後、SCDLP培地10mLを加え、試験菌液を洗い出す。
(5)洗い出し液を適宜希釈し、標準寒天培地と混合して生菌数測定用シャーレを作成し、温度35±1℃で40〜48時間培養した後、集落数を測定する。
(6)生菌数の計算
以下の計算式を用いて生菌数を求める。
N=C×D×V
N:生菌数
C:集落数
D:希釈倍率
V:洗い出しに用いたSCDLP培地の液量(mL)
(7)以下の計算式を用いて抗菌活性値を算出する。
R=(Ut−U0)−(At−U0)=Ut−At
R:抗菌活性値
U0:無加工試験片の接種直後の生菌数の対数値の平均値
Ut:無加工試験片の24 時間後の生菌数の対数値の平均値
At:抗菌加工試験片の24時間後の生菌数の対数値の平均値
参考規格 JIS Z 2801
試験菌はStaphylococcus aureus NBRC12732を使用した。
評価結果を表3及び表4に記載する。
黄色ブドウ球菌を用いた抗菌性評価を、以下のように実施した。
(1)実施例1〜3、5〜8及び比較例1〜3、5、6で得られた抗ウィルス性部材を、50mm角の正方形に切り出した試験試料を滅菌済プラスチックシャーレに置き、試験菌液(菌数2.5×105〜10×105/mL)を0.4mL接種する。
試験菌液は、培養器中で温度35±1℃で16〜24時間前培養した培養菌を、さらに斜面培地に移植して、培養器中で温度35±1℃で16〜20時間前培養したものを、1/500NB培地により適宜調整したものを使用する。
(2)対照試料として50mm角のポリエチレンフイルムを用意し、試験試料と同様に試験菌液を接種する。
(3)接種した試験菌液の上から40mm角のポリエチレンフイルムを被せ、試験菌液を均等に接種させた後、温度35±1℃で8±1時間反応させる。
(4)接種直後または反応後、SCDLP培地10mLを加え、試験菌液を洗い出す。
(5)洗い出し液を適宜希釈し、標準寒天培地と混合して生菌数測定用シャーレを作成し、温度35±1℃で40〜48時間培養した後、集落数を測定する。
(6)生菌数の計算
以下の計算式を用いて生菌数を求める。
N=C×D×V
N:生菌数
C:集落数
D:希釈倍率
V:洗い出しに用いたSCDLP培地の液量(mL)
(7)以下の計算式を用いて抗菌活性値を算出する。
R=(Ut−U0)−(At−U0)=Ut−At
R:抗菌活性値
U0:無加工試験片の接種直後の生菌数の対数値の平均値
Ut:無加工試験片の24 時間後の生菌数の対数値の平均値
At:抗菌加工試験片の24時間後の生菌数の対数値の平均値
参考規格 JIS Z 2801
試験菌はStaphylococcus aureus NBRC12732を使用した。
評価結果を表3及び表4に記載する。
(クロコウジカビを用いた抗カビ性評価)
クロコウジカビを用いた抗カビ性評価を、以下のように実施した。
(1)実施例1〜4、5〜8及び比較例1〜3、5、6で得られた抗ウィルス性部材を、50mm角の正方形に切り出した試験試料を滅菌済プラスチックシャーレに置き、胞子懸濁液(胞子濃度>2x105個/ml)を0.4mL接種する。
(2)対照試料として50mm角のポリエチレンフイルムを用意し、試験試料と同様に胞子懸濁液を接種する。
(3)接種した胞子懸濁液の上から40mm角のポリエチレンフイルムを被せ、胞子懸濁液を均等に接種させた後、温度26℃で約900LUXの光を照射しながら42時間反応させる。
(4)接種直後または反応後、JIS L 1921 13発光量の測定に従い、ATP量を測定する。
(5)以下の計算式を用いて抗カビ活性値を算出する。
Aa=(LogCt−LogC0)−(LogTt−LogT0)
Aa:抗カビ活性値
LogC0:接種直後の対照試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
LogCt:培養後の対照試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
LogT0:接種直後の試験試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
LogTt:培養後の試験試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
参考規格 JIS Z 2801、JIS L 1921
試験カビはAspergIllus nIger NBRC105649を使用した。
評価結果を表3及び表4に記載する。
クロコウジカビを用いた抗カビ性評価を、以下のように実施した。
(1)実施例1〜4、5〜8及び比較例1〜3、5、6で得られた抗ウィルス性部材を、50mm角の正方形に切り出した試験試料を滅菌済プラスチックシャーレに置き、胞子懸濁液(胞子濃度>2x105個/ml)を0.4mL接種する。
(2)対照試料として50mm角のポリエチレンフイルムを用意し、試験試料と同様に胞子懸濁液を接種する。
(3)接種した胞子懸濁液の上から40mm角のポリエチレンフイルムを被せ、胞子懸濁液を均等に接種させた後、温度26℃で約900LUXの光を照射しながら42時間反応させる。
(4)接種直後または反応後、JIS L 1921 13発光量の測定に従い、ATP量を測定する。
(5)以下の計算式を用いて抗カビ活性値を算出する。
Aa=(LogCt−LogC0)−(LogTt−LogT0)
Aa:抗カビ活性値
LogC0:接種直後の対照試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
LogCt:培養後の対照試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
LogT0:接種直後の試験試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
LogTt:培養後の試験試料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
参考規格 JIS Z 2801、JIS L 1921
試験カビはAspergIllus nIger NBRC105649を使用した。
評価結果を表3及び表4に記載する。
以上のように、本発明の実施例にかかる抗ウィルス部材は、バインダ硬化物の被覆率が10〜55%の場合、優れた抗ウィルス性能を示し、また、バインダ硬化物による基材表面の被覆率が10〜55%の場合は、抗カビ性にも優れることが分かる。また、抗菌性についても、同様である。
バインダ硬化物による基材表面の被覆率が10〜55%の場合は、バインダ硬化物を含む基材表面の凹凸が適切な範囲となり、総表面積が大きくなることから、ウィルス、細菌やカビの胞子との接触確率が高くなり、抗ウィルス性、抗菌、抗カビ性に優れるのではないかと推定している。
なお、バインダ硬化物の基材表面の被覆率を調整することによる抗微生物活性の改善効果は、抗ウィルス性、抗カビ性の方が、抗菌性よりも高く、本発明の効果が特に高いと言える。このように、実施例1〜8の抗ウィルス性部材は、抗菌、抗カビ部材としても使用できる。つまり、本発明の抗微生物部材は、優れた抗微生物性能を有するのである。
バインダ硬化物による基材表面の被覆率が10〜55%の場合は、バインダ硬化物を含む基材表面の凹凸が適切な範囲となり、総表面積が大きくなることから、ウィルス、細菌やカビの胞子との接触確率が高くなり、抗ウィルス性、抗菌、抗カビ性に優れるのではないかと推定している。
なお、バインダ硬化物の基材表面の被覆率を調整することによる抗微生物活性の改善効果は、抗ウィルス性、抗カビ性の方が、抗菌性よりも高く、本発明の効果が特に高いと言える。このように、実施例1〜8の抗ウィルス性部材は、抗菌、抗カビ部材としても使用できる。つまり、本発明の抗微生物部材は、優れた抗微生物性能を有するのである。
10 抗微生物部材
11 基材
12 バインダ硬化物
11 基材
12 バインダ硬化物
Claims (23)
- 基材表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が固着されてなり、かつ、前記バインダ硬化物は、基材表面の10〜55%を被覆していることを特徴とする抗微生物部材。
- 前記バインダ硬化物は、基材表面に島状に散在してなる請求項1に記載の抗微生物部材。
- 前記バインダ硬化物は、前記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項1又は2に記載の抗微生物部材。
- 前記無機系抗微生物剤は、銀、銅、亜鉛、白金、亜鉛化合物、銀化合物、銅化合物、金属もしくは金属酸化物が担持された金属酸化物触媒、金属イオンでイオン交換されたゼオライト、及び、銅の錯体からなる群から選択される少なくとも1種である請求項3に記載の抗微生物部材。
- 前記有機系抗微生物剤は、抗微生物樹脂、スルホン酸系界面活性剤、銅のアルコキシド、及び、ビス型第四級アンモニウム塩からなる群から選択される少なくとも1種である請求項3に記載の抗微生物部材。
- 前記バインダ硬化物は、無機バインダ及び/又は電磁波硬化型樹脂の硬化物を含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の抗微生物部材。
- 前記電磁波硬化型樹脂は、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び、アルキッド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である請求項6に記載の抗微生物部材。
- 前記無機バインダは、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル、ジルコニアゾル及びケイ酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種である請求項6に記載の抗微生物部材。
- 前記島状のバインダ硬化物の基材表面に平行な方向の最大幅は、0.1〜500μmであり、その厚さの平均値は、0.1〜20μmである請求項1〜8のいずれか1項に記載の抗微生物部材。
- 表面に抗微生物成分を含むバインダ硬化物が固着している基材の前記バインダ硬化物を含む表面のJIS B 0601に準拠した算術平均粗さ(Ra)は、0.1〜5μmである請求項1〜9のいずれか1項に記載の抗微生物部材。
- 前記島状のバインダ硬化物は、基材の表面1平方メートル当たり0.05×108〜30×108個存在する請求項1〜10のいずれか1項に記載の抗微生物部材。
- 前記抗微生物部材は、抗ウィルス性部材である請求項1〜11のいずれか1項に記載の抗微生物部材。
- 前記抗微生物部材は、抗カビ部材である請求項1〜11のいずれか1項に記載の抗微生物部材。
- 基材表面に抗微生物成分を含む電磁波硬化型樹脂の硬化物が固着されてなり、かつ、前記電磁波硬化型樹脂の硬化物は、基材表面の10〜55%を被覆していることを特徴とする抗微生物部材。
- 前記電磁波硬化型樹脂の硬化物は、基材表面に島状に散在してなるか、または、抗微生物成分を含む電磁波硬化型樹脂の硬化物が形成された領域と電磁波硬化型樹脂の硬化物が形成されていない領域が混在した状態となっている請求項14に記載の抗微生物部材。
- 前記電磁波硬化型樹脂の硬化物は、前記抗微生物成分として、無機系抗微生物剤及び有機系抗微生物剤からなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項14又は15に記載の抗微生物部材。
- 前記抗微生物成分は、銅化合物であって、前記銅化合物は、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することでCu(I)とCu(II)の共存が確認される請求項14〜16のいずれか1項に記載の抗微生物部材。
- 前記抗微生物成分は、銅化合物であって、前記銅化合物は、X線光電子分光分析法により、925〜955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、前記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオンの個数の比率(Cu(I)/Cu(II))が0.4〜50である請求項14〜17のいずれか1項に記載の抗微生物部材。
- 前記抗微生物成分は、ビス型第四級アンモニウム塩である請求項14〜18のいずれか1項に記載の抗微生物部材。
- 前記電磁波硬化型樹脂の硬化物は、さらに重合開始剤を含む請求項14〜19のいずれか1項に記載の抗微生物部材。
- 前記重合開始剤は、アルキルフェノン系の重合開始剤及びベンゾフェノン系の重合開始剤を含み、
アルキルフェノン系の重合開始剤とベンゾフェノン系の重合開始剤の比率は、重量比でアルキルフェノン系の重合開始剤/ベンゾフェノン系の重合開始剤=1/1〜4/1である請求項20に記載の抗微生物部材。 - 前記抗微生物部材は、抗ウィルス性部材である請求項14〜21のいずれか1項に記載の抗微生物部材。
- 前記抗微生物部材は、抗カビ部材である請求項14〜21のいずれか1項に記載の抗微生物部材。
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