JP7165711B2 - 抗カビ基体 - Google Patents
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Description
さらに、特許文献3には、銅のアミノ酸塩、すなわち銅のアミノ酸錯塩を含むコーティング剤を塗布した抗菌性建築資材が開示されている。
本明細書において、上記抗カビ・抗菌性組成物は、抗カビ活性及び抗菌活性のうちどちらかの活性を示す組成物であってもよく、抗カビ及び抗菌の両方の活性を示す組成物であってもよいが、特に抗カビ活性を示す組成物であることが望ましい。
上記抗カビ・抗菌性基体の製造方法は、上記した効果を有する抗カビ・抗菌性組成物を用い、上記した効果を有する抗カビ・抗菌性基体を製造する方法であるが、特に抗カビ性基体を製造する方法であることが望ましい。
このような重合開始剤が銅(II)に対する還元力を持つことは、本発明者らは初めて知見したものであり、銅化合物を重合開始剤が還元することで銅(I)の存在割合を増やすことができるのである。重合開始剤としては、光重合開始剤が望ましい。電磁波を照射してラジカルやカチオンを発生させる際に、銅を還元できるからである。
本発明者らの知見によれば、熱重合開始剤は、光重合開始剤に比べて、銅(II)に対する還元力が低く、本発明の抗カビ・抗菌性組成物、抗カビ・抗菌性基体およびその製造方法として使用するにあたって困難を伴う。
二価の銅イオンは、細胞との親和性に優れ、細胞表面で錯体を形成して、呼吸系酵素群を失活させ、一方、一価の銅イオンは、水と反応して、OH(-)やOH・ラジカルなどを生じさせ、これらのOH(-)やラジカルが細胞を構成するタンパク質を攻撃して損傷させると考えられ、どちらかに耐性がある細胞であっても、確実に細胞を死滅させることができるからであると推測される。
抗カビ・抗菌性のバインダ硬化物が膜状に形成されていると、島状に分散固定されている場合や基材表面にバインダ硬化物が固着形成された領域とバインダ硬化物が固着形成されていない領域が混在している状態に比べて、バインダ硬化物の凹凸が少なく、平滑性が良好になるため、ふき取り清掃に対する耐性に優れる。その一方で、バインダ硬化物が基材上に膜状に固着形成されている場合、基材表面の意匠の視認性、抗カビ・抗菌性能、及び、冷熱サイクル後の抗カビ・抗菌性のバインダ硬化物の基材に対する密着性は、バインダ硬化物が島状に分散固定されている場合や基材表面にバインダ硬化物が固着形成された領域とバインダ硬化物が固着形成されていない領域が混在している場合に比べて低下する。
銅化合物中のCu(I)/Cu(II)の比率は、バインダ、光重合開始剤、銅化合物の選択、これらの濃度調整および紫外線などの電磁波の照射時間や強度で調製することができる。
上記バインダの硬化物の基材表面に平行な方向の最大幅は、1~100μmであり、その厚さの平均値は、1~20μmであることがより望ましい。
しかし、抗カビ・抗菌性組成物が基材表面に膜状に形成されている場合、基材表面の意匠性・光沢性、抗カビ・抗菌性、及び、冷熱サイクル後の抗カビ・抗菌性のバインダ硬化物の基材に対する密着性は、島状に分散固定されている場合や基材表面にバインダ硬化物が固着形成された領域とバインダ硬化物が固着形成されていない領域が混在している状態に比べて低下する。
これらの有機バインダは、電磁波の照射や加熱により、樹脂が硬化して基材表面に銅化合物を固着できるからである。また、これらの樹脂は、光重合開始剤の銅(II)に対する還元力を低下させることがないため有利である。電磁波硬化型樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂から選ばれる少なくとも1種以上を使用することができる。また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種以上を使用できる。
これらの光重合開始剤は、特に、銅(II)に対する還元力が高く、銅イオン(I)の状態を長期間維持できる効果に優れるからである。
上記アルキルフェノン系の光重合開始剤とベンゾフェノン系の光重合開始剤の比率は、重量比でアルキルフェノン系の光重合開始剤/ベンゾフェノン系の光重合開始剤=1/1~4/1であることが望ましい。高い架橋密度を実現でき、硬化物の硬度を高くして耐摩耗性を改善できるとともに、銅(II)に対する還元力を高くすることができるからである。
(1)基材の表面に、銅化合物と未硬化のバインダと分散媒と重合開始剤とを含む抗カビ・抗菌性組成物を付着せしめる付着工程と、上記付着工程により付着した上記抗カビ・抗菌性組成物中の上記未硬化のバインダを硬化させて、基材の表面にバインダ硬化物を固着せしめる硬化工程とを含むことを特徴とする。
また、別の本発明の抗カビ・抗菌性基体の製造方法は、
(2)基材の表面に、銅化合物と未硬化のバインダと分散媒と重合開始剤とを含む抗カビ・抗菌性組成物を付着せしめる付着工程と、上記付着工程により付着した上記抗カビ・抗菌性組成物を乾燥させて上記分散媒を除去する乾燥工程と、上記乾燥工程で分散媒を除去した上記抗カビ・抗菌性組成物中の上記未硬化のバインダを硬化させて、基材の表面にバインダ硬化物を固着せしめる硬化工程とを含むことを特徴とする。
従って、本発明の抗カビ・抗菌性基体の製造方法によれば、抗カビ・抗菌性に優れた抗カビ・抗菌性基体を製造することができる。
また、本発明の抗カビ・抗菌性基体の製造方法では、バインダの硬化時に収縮が生じるため、硬化収縮時に銅化合物をバインダ表面から露出せしめることができ、容易にカビ・菌などを失活させることができる。
また、本発明の抗カビ・抗菌性基体の製造方法(1)および(2)においては、抗カビ・抗菌性組成物を基材表面に島状に付着させてもよく、バインダを硬化させた後、当該バインダ硬化物が固着形成された領域とバインダ硬化物が固着形成されていない領域が混在している状態になるように、抗カビ・抗菌性組成物を基材表面に付着させてもよい。さらに、抗カビ・抗菌性組成物を膜状に付着させてもよい。
電磁波硬化型樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂から選ばれる少なくとも1種以上を使用することができる。また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種以上を使用できる。
バインダの硬化物が島状に散在して固着されているか、もしくは、基材表面にバインダの硬化物が固着形成された領域とバインダの硬化物が固着形成されていない領域が混在している場合は、バインダ硬化物の表面積が大きくなり、また、カビ・菌などの微生物をバインダ硬化物間にトラップさせやすくなるため、抗カビ・抗菌性を持つバインダ硬化物と微生物との接触確率が高くなり、高い抗カビ・抗菌性を発現できる。
上記抗カビ・抗菌性基体は、島状に分散固定されている場合や基材表面にバインダ硬化物が固着形成された領域とバインダ硬化物が固着形成されていない領域が混在している状態に比べて、表面の凹凸がなく、抗カビ・抗菌性のバインダ硬化物の表面が滑りやすいため、ふき取り清掃への耐性に優れている。その一方で、バインダ硬化物が基材上に膜状に固着形成されている場合、基材表面の意匠の視認性、抗カビ・抗菌活性は、バインダ硬化物が島状に分散固定されている場合や基材表面にバインダ硬化物が固着形成された領域とバインダ硬化物が固着形成されていない領域が混在している場合に比べて低下する。
本発明の抗カビ・抗菌性基体は、特に高い抗カビ活性を有するからである。
次に、本発明の抗カビ・抗菌性基体について説明する。
本発明の抗カビ・抗菌性基体は、基材表面に、銅化合物及び重合開始剤を含むバインダの硬化物が固着し、上記銅化合物の少なくとも一部は、上記バインダの硬化物の表面から露出していることを特徴とする。
本発明の抗カビ・抗菌性基体では、基材表面に、銅化合物及び重合開始剤を含むバインダの硬化物が固着し、上記銅化合物の少なくとも一部は、上記バインダの硬化物の表面から露出しているため、銅化合物が微生物と接触しやすく、銅化合物に基づく抗カビ・抗菌性を有する基体としての効果を充分に発揮することができる。
上記銅化合物が空気などの雰囲気媒体と接触しやすくなるからである。本発明においては、微生物としては、菌・カビもしくはカビに対して最も効力を発揮する。
これらの有機バインダは、電磁波の照射や加熱により、樹脂が硬化して基材表面に銅化合物を固着できるからである。また、これらの樹脂は、重合開始剤として光重合開始剤を用いた場合、光重合開始剤の銅(II)に対する還元力を低下させることがないため有利である。電磁波硬化型樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂から選ばれる少なくとも1種以上を使用することができる。また、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種以上を使用できる。
本発明のバインダ硬化物は、上記電磁波硬化型樹脂の硬化物を含んだ概念である。
上記銅のカルボン酸塩としては、銅のイオン性化合物を使用することができ、酢酸銅、安息香酸銅、フタル酸銅、グルコン酸銅等が挙げられる。
上記銅の水溶性無機塩としては、銅のイオン性化合物を使用することができ、例えば、硝酸銅、硫酸銅等が挙げられる。
その他の銅化合物としては、例えば、銅(メトキシド)、銅エトキシド、銅プロポキシド、銅ブトキシドなどが挙げられ、銅の共有結合性化合物としては銅の酸化物、銅の水酸化物などが挙げられる。
銅のカルボン酸塩、銅の水酸化物は、有機バインダ、無機バインダとの親和性が高く、水により溶出しないため、耐水性に優れる。
このような銅化合物は、バインダ硬化物を製造する際に用いる抗カビ・抗菌性組成物を調製する際に添加する銅化合物と同じであってもよく、異なっていてもよい。
銅化合物中のCu(I)/Cu(II)の比率は、バインダ、光重合開始剤、銅化合物の選択、これらの濃度調整および紫外線などの電磁波の照射時間や強度で調製することができる。
未硬化の電磁波硬化型樹脂であるモノマー又はオリゴマーと光重合開始剤と各種添加剤を含んだ組成物に電磁波を照射することにより、光重合開始剤は、開裂反応、水素引き抜き反応、電子移動等の反応を起こし、これにより生成した光ラジカル分子、光カチオン分子、光アニオン分子等が上記モノマーや上記オリゴマーを攻撃してモノマーやオリゴマーの重合反応や架橋反応が進行し、樹脂の硬化物が生成する。このような反応により生成する本発明の樹脂を電磁波硬化型樹脂という。
なお、銅イオン(II)の錯体を銅イオン(I)に還元すると錯体を形成し得ないため、銅イオン(II)から銅イオン(I)のような還元反応が生じにくく、銅のアミノ酸塩などの錯塩を本発明に使用することは不適切である。
上記ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられる。
アルキッド樹脂としては、ポリエステルアルキッド樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は、透明性を有するとともに、基材に対する密着性にも優れる。
これらの光重合開始剤は、特に、銅(II)に対する還元力が高く、銅イオン(I)の状態を長期間維持できる効果に優れるからである。
上記アルキルフェノン系の光重合開始剤とベンゾフェノン系の光重合開始剤の比率は、重量比でアルキルフェノン系の光重合開始剤/ベンゾフェノン系の光重合開始剤=1/1~4/1であることが望ましい。高い架橋密度を実現でき、硬化物の硬度を高くして耐摩耗性を改善できるとともに、銅(II)に対する還元力を高くすることができるからである。
また、上記バインダ硬化物の上記基材の表面に平行な方向の最大幅を0.1~500μmとすることにより、基材の表面がバインダ硬化物により被覆されていない部分の割合が多くなり、光透過率の低下を抑制することができる。
上記バインダの硬化物の基材表面に平行な方向の最大幅は、1~100μmであり、その厚さの平均値は、1~20μmであることがより望ましい。
バインダの硬化物が島状に散在して固着されているか、もしくは、基材表面にバインダの硬化物が固着形成された領域とバインダの硬化物が固着形成されていない領域が混在している場合は、バインダ硬化物の表面積が大きくなり、また、カビ・菌などの微生物をバインダ硬化物間にトラップさせやすくなるため、抗カビ・抗菌性を持つバインダ硬化物とカビ・菌などの微生物との接触確率が高くなるため、優れた抗カビ・抗菌活性を発現できる。
抗カビ・抗菌性のバインダ硬化物が膜状に形成されていると、島状に分散固定されている場合や基材表面にバインダ硬化物が固着形成された領域とバインダ硬化物が固着形成されていない領域が混在している状態に比べてふき取り清掃への耐性に優れているのである。
その一方で、バインダ硬化物が基材上に膜状に固着形成されている場合、基材表面の意匠の視認性、抗カビ・抗菌性能、及び、冷熱サイクル後の抗カビ・抗菌性のバインダ硬化物の基材に対する密着性は、バインダ硬化物が島状に分散固定されている場合や基材表面にバインダ硬化物が固着形成された領域とバインダ硬化物が固着形成されていない領域が混在している場合に比べて低下する。
上記基材に意匠が施されていない場合や、表面がエンボス加工された基材である場合、バインダ硬化物による外観毀損の影響が少ないため、バインダ硬化物からなる膜が基材上に形成されていることが望ましい。また、意匠性よりも抗カビ・抗菌性を優先させる場合には、上記のように、バインダ硬化物からなる膜が基材上に形成されていてもよい。
本発明の抗カビ・抗菌性基体の製造方法は、基材の表面に、銅化合物と未硬化のバインダと分散媒と重合開始剤とを含む抗カビ・抗菌性組成物を付着せしめる付着工程と、上記付着工程により付着した上記抗カビ・抗菌性組成物中の上記未硬化のバインダを硬化させて、基材の表面にバインダ硬化物を固着せしめる硬化工程とを含むことを特徴とする。
また、無機バインダとしては、無機ゾル、及び、水ガラスからなる群から選択される少なくとも1種を使用できる。さらに、有機・無機ハイブリッドのバインダとして、金属アルコキシドのような有機金属化合物を使用することができる。
また、上記バインダの具体例としては、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、シリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾル、チタニアゾル、金属アルコキシド及び水ガラスからなる群から選択される少なくとも1種を使用することが望ましい。
(1)付着工程
本発明の抗カビ・抗菌性基体の製造方法においては、まず、付着工程として、基材の表面に、銅化合物と未硬化のバインダと分散媒と重合開始剤とを含む本発明の抗カビ・抗菌性組成物を付着せしめる。
また、基材となる部材も、特に限定されるものではなく、建築物内部の内装材、壁材、窓ガラス、ドア等であってもよい、事務機器や家具等であってもよく、上記内装材の外、種々の用途に用いられる化粧板等であってもよい。
また、二価の銅化合物を抗カビ・抗菌性組成物中に加えることで、この二価の銅化合物を還元することで、一価と二価の銅化合物がバインダ硬化物中に共存した状態を簡単に形成できるという利点も有する。水溶性の二価の銅化合物が最適である。水溶性の二価の銅化合物が最適である。
上記銅の水溶性無機塩としては、銅のイオン性化合物を使用することができ、例えば、硝酸銅(II)、硫酸銅(II)等が挙げられる。
その他の銅化合物としては、例えば、銅(II)(メトキシド)、銅(II)エトキシド、銅(II)プロポキシド、銅(II)ブトキシドなどが挙げられ、銅の共有結合性化合物としては銅の酸化物、銅の水酸化物などが挙げられる。
また、無機バインダとしては、無機ゾル、金属アルコキシド、及び、水ガラスからなる群から選択される少なくとも1種を使用できる。さらに、有機・無機ハイブリッドのバインダとしては有機金属化合物を使用することができる。
また、上記バインダの具体例としては、アクリル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、シリカゾル、アルミナゾル、ジルコニアゾル、チタニアゾル、金属アルコキシド及び水ガラスからなる群から選択される少なくとも1種を使用することが望ましい。
従って、上記抗カビ・抗菌性組成物は、上記電磁波硬化型樹脂の原料となるモノマーやオリゴマー(未硬化の電磁波硬化型樹脂)を含有している。
銅化合物が水溶性であってもバインダ硬化物で保持されていれば、脱離を抑制できるが、バインダ硬化物中に水溶性物質が含まれていると、バインダ硬化物の銅化合物に対する保持力が低下して、銅化合物の脱離が生じると推定される。
また、上記水に不溶性の重合開始剤は、光重合開始剤であることが好ましい。電磁波硬化型樹脂を用いた場合、可視光線、紫外線等の光により、容易に重合反応を進行させることができるからである。
また、バインダとして未硬化の無機バインダを用いた場合は、上記抗カビ・抗菌性組成物中の銅化合物の含有割合は、2~30重量%が望ましく、分散媒の含有割合は、30~80重量%が望ましい。この場合、上記抗カビ・抗菌性組成物中のシリカ等の無機酸化物の含有割合は、5~20重量%となる。
本発明において、二流体スプレー法とは、スプレー法の一種であり、高圧の空気などのガスと抗カビ・抗菌性組成物とを混合した後、ノズルから霧の状態で噴霧し、基材表面に上記抗カビ・抗菌性組成物の液滴を付着させることをいう。
本発明において、静電スプレー法とは、帯電した抗カビ・抗菌性組成物を利用する散布方法であり、上記したスプレー法により抗カビ・抗菌性組成物を霧の状態で噴霧するが、上記抗カビ・抗菌性組成物を霧状にするための方式には、上記抗カビ・抗菌性組成物を噴霧器で噴霧するガン型と、帯電した抗カビ・抗菌性組成物の反発を利用した静電霧化方式があり、さらに、ガン型には帯電した抗カビ・抗菌性組成物を噴霧する方式と、噴霧した霧状の抗カビ・抗菌性組成物に外部電極からコロナ放電で電荷を付与する方式とがある。霧状の液滴は、帯電しているため、基材表面に付着し易く、良好に上記抗カビ・抗菌性組成物を、細かく分割された状態で基材表面に付着させることができる。
本発明において、エアロゾル法とは、金属の化合物を含む抗カビ・抗菌性組成物を物理的及び化学的に生成した霧状のものを対象物に吹き付ける手法である。
上記散布工程により散布された銅化合物と未硬化のバインダと分散媒と重合開始剤とを含む抗カビ・抗菌性組成物を乾燥させ、分散媒を蒸発、除去し、銅化合物等を含むバインダ硬化物を基材表面に仮固定させるとともに、バインダ硬化物の収縮により、銅化合物をバインダ硬化物の表面から露出させることができる。乾燥条件としては、20~100℃、0.5~5.0分が望ましい。乾燥は、赤外線ランプやヒータなどで行うことができる。また、減圧(真空)乾燥させてもよい。
本発明の抗カビ・抗菌性基体の製造方法では、乾燥工程と硬化工程を同時に行ってもよい。
本発明の抗カビ・抗菌性基体の製造方法では、硬化工程として、上記乾燥工程で分散媒を除去した抗カビ・抗菌性組成物中、もしくは、分散媒を含む抗カビ・抗菌性組成物中の上記未硬化のバインダを硬化させ、バインダ硬化物とする。
未硬化のバインダを硬化させる方法としては、乾燥による分散媒除去、加熱や電磁波照射によるモノマー、オリゴマーの重合促進などがある。乾燥は、減圧乾燥、加熱乾燥などが挙げられる。また、バインダが熱硬化性樹脂の場合は、加熱により硬化が進行する。加熱はヒータ、赤外線ランプ、紫外線ランプなどで行うことができる。未硬化のバインダが電磁波硬化型樹脂である場合に照射する電磁波としては、特に限定されず、例えば、紫外線(UV)、赤外線、可視光線、マイクロ波、電子線(Electron Beam:EB)等が挙げられるが、これらのなかでは、紫外線(UV)が望ましい。これらの工程により、上記した本発明の抗カビ・抗菌性基体を製造することができる。
上記電磁波は、光重合開始剤を励起して、銅化合物を還元する働きをもつ。このため、銅(II)を還元して銅(I)の量を増やして銅(I)と銅(II)の共存状態を作り出すことができ、抗カビ・抗菌活性を高くすることができる。
バインダの硬化物が島状に散在して固着されているか、もしくは、基材表面にバインダの硬化物が固着形成された領域とバインダの硬化物が固着形成されていない領域が混在している場合は、バインダ硬化物の表面積が大きくなり、また、菌・カビなどの微生物をバインダ硬化物間にトラップさせやすくなるため、抗カビ・抗菌性能を持つバインダ硬化物と菌・カビなどの微生物との接触確率が高くなり、高い抗カビ・抗菌性能を発現できる。
その一方で、バインダ硬化物が基材上に膜状に固着形成されている場合は、基材表面の意匠の視認性、抗カビ・抗菌性、及び、冷熱サイクル後の抗カビ・抗菌性のバインダ硬化物の基材に対する密着性は、バインダ硬化物が島状に分散固定されている場合や基材表面にバインダ硬化物が固着形成された領域とバインダ硬化物が固着形成されていない領域が混在している場合に比べて低下する。
(1)酢酸銅の濃度が1.75wt%になるように、酢酸銅(II)・一水和物粉末(富士フイルム和光純薬工業社製)を純水に溶解させた後、マグネチックスターラーを用い、600rpmで15分撹拌して酢酸銅水溶液を調製した。紫外線硬化樹脂液は、光ラジカル重合型アクリレート樹脂(ダイセル・オルネクス社製 UCECOAT7200)と光重合開始剤(IGM社製 Omnirad500)と(IGM社製 Omnirad184)を重量比97:2:1で混合し、ホモジナイザーを用い、8000rpmで30分間撹拌して調製した。
上記1.75wt%酢酸銅水溶液と紫外線硬化樹脂液を重量比1.9:1.0で混合し、マグネチックスターラーを用い、600rpmで2分撹拌して抗カビ・抗菌性組成物を調製した。なお、IGM社製のOmnirad500は、BASF社のIRGACURE500と同じもので、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(アルキルフェノン)とベンゾフェノンの1:1の混合物である。一方、光重合開始剤(IGM社製 Omnirad184)は、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(アルキルフェノン)であり、結局光重合開始剤としては、アルキルフェノンとベンゾフェノンは重量比で2:1の割合で存在している。これらの光重合開始剤は、水に不溶性であり、紫外線を吸収することで還元力を発現する。
図3は、実施例1で製造した抗カビ・抗菌性の黒色光沢メラミン化粧板表面を示す光学顕微鏡写真である。基材表面に抗カビ・抗菌性組成物の硬化物が存在している領域と存在しない領域が混在している。
硫酸銅の濃度が2.20wt%になるように、硫酸銅(II)・五水和物粉末(富士フィルム和光純薬工業製)を純水に溶解させた後、マグネチックスターラーを用い、600rpmで15分撹拌して硫酸銅水溶液を調製した。
その後、実施例1の酢酸銅水溶液を上記硫酸銅水溶液に置き換えた他は、実施例1と同様の手法を用い、光沢黒色メラミン化粧板、PE粉体塗工板及びSUS板の各基材表面の一部が露出するように、銅化合物を含むバインダ硬化物が固着形成された抗カビ・抗菌性基体を作成した。硫酸銅は、水酸化銅および一部は酸化銅に変化していると推定される。
硝酸銅の濃度が4.00wt%になるように、硝酸銅(II)・三水和物粉末(富士フィルム和光純薬工業製)を純水に溶解させた後、マグネチックスターラーを用い、600rpmで15分撹拌して硝酸銅水溶液を調製した。
その後、実施例1の酢酸銅水溶液を上記硝酸銅水溶液に置き換えた他は、実施例1と同様の手法を用い、光沢黒色メラミン化粧板、PE粉体塗工板及びSUS板の各基材表面の一部が露出するように、銅化合物を含むバインダ硬化物が固着形成された抗カビ・抗菌性基体を作成した。硝酸銅は、水酸化銅および一部は酸化銅に変化していると推定される。
グルコン酸銅の濃度が4.00wt%になるように、グルコン酸銅(II)粉末(富士フィルム和光純薬工業製)を純水に溶解させた後、マグネチックスターラーを用い、600rpmで15分撹拌してグルコン酸銅水溶液を調製した。
その後、実施例1の酢酸銅水溶液をグルコン酸銅水溶液で置き換えた他は、実施例1と同様の手法を用い、光沢黒色メラミン板、PE粉体塗工板、SUS板各基材の各表面の一部が露出するように銅化合物を含むバインダ硬化物が固着形成された抗カビ・抗菌性基体を得た。グルコン酸銅は、水酸化銅および一部は酸化銅に変化していると推定される。
実施例1と同様であるが、紫外線の照射時間を30分とする。
実施例1と同様であるが、紫外線の照射時間を120分とする。
オレイン酸カリウム50.0gを水2000gに加熱溶解し、これに17.7 % 硝酸銅水溶液82.5gを添加し、オレイン酸銅の懸濁液を得た。この懸濁液を吸引ろ過することにより懸濁粒子を分取し、これを水で洗浄した後、真空乾燥を行うことにより、オレイン酸銅45.7gを得る。攪拌機を備えた容量が1Lの4ツ口フラスコに、有機溶媒としてメチルイソブチルケトン500gを入れ、これにメタクリル酸メチル42.5g とジエチレングリコールジメタクリレート4.5gを添加溶解させ、次に、この溶液に上記のオレイン酸銅10.8gを添加して懸濁液とし、更に重合触媒として熱重合開始剤である過酸化ベンゾイル0.5gを添加して、抗カビ・抗菌性組成物とする。
次いで、この抗カビ・抗菌性組成物を黒色光沢メラミン板、PE粉体塗工板及びSUS板表面に塗布し、窒素置換により脱気を行いながら60 ℃ に加熱、10時間の加熱重合反応を行い、抗カビ・抗菌性基体を得る。
(1)0.5MのCuSO4(II)10mlに、当量の3倍のアスパラギン酸を加え、さらに0.1MNaOHを徐々に加えてゆく。Cu(OH)2(II)が沈殿する直前に、アルカリ滴下を止め、撹拌しながら50℃に加温することで、アスパラギン酸銅錯体(II)の溶液を得る。
(2)光ラジカル重合型アクリレート樹脂(ダイセル・オルネクス社製UCECOAT7200)と光重合開始剤(IGM社製 Omnirad500)と光重合開始剤(IGM社製 Omnirad184)とを重量比97:2:1で混合し、ホモジナイザーを用いて、8000rpmで10分間撹拌して紫外線硬化樹脂液を得る。上記アスパラギン酸銅錯体の水溶液と紫外線硬化樹脂液を重量比1.9:1.0で混合し、マグネチックスターラーを用い、600rpmで2分撹拌して抗カビ・抗菌性組成物を調製する。
(3)この抗カビ・抗菌性組成物を黒色光沢メラミン板、PE粉体塗工板及びSUS板表面に刷毛で塗布した後、当該基板を80℃で3分間乾燥させ、さらに紫外線照射装置(COATTEC社製 MP02)を用い、30mW/cm2の照射強度で80秒間紫外線を照射することにより、抗カビ・抗菌性基体を得る。
(1)グリセリン350gにステアリン酸銀1.92gとサッカリン0.192gを加え、150℃で40分間加熱した。グリセリンを60℃まで冷却後、メチルイソブチルケトン350gを加えて攪拌した。1時間程静置した後にメチルイソブチルケトン層を採取し、脂肪酸修飾銀超粒子含有の分散液を得た。紫外線硬化樹脂液は光ラジカル重合型アクリレート樹脂(ダイセル・オルネクス社製 UCECOAT7200)と光重合開始剤(IGM社製 Omnirad500)とを重量比98:2で混合し、撹拌棒で撹拌して作成した。上記した脂肪酸修飾銀超粒子含有メチルイソブチルケトン分散液と紫外線硬化樹脂液を重量比61.3:1.0で混合し、マグネチックスターラーを用い、600rpmで2分撹拌して抗カビ・抗菌性組成物を調製した。
(2)この抗カビ・抗菌性組成物を黒色光沢メラミン板、PE粉体塗工板及びSUS板表面に番手14番のバーコーターで塗布後、60℃で10分間乾燥させて、黒色光沢メラミン板、PE粉体塗工板及びSUS板上に固定化させた。
(3)この後、紫外線照射装置を用いて2400mJ/cm2の積算光量となるように抗カビ・抗菌性組成物に紫外線を照射することにより、未硬化の光ラジカル重合型アクリレート樹脂(モノマー)を重合、硬化させ、微粒子銀を含有する樹脂硬化物の塗工被膜を得た。
得られた抗カビ・抗菌性基体について、走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)を撮影した。
図2は、島状に抗カビ・抗菌性組成物を付着させ、硬化させた抗カビ・抗菌性基体を示すSEM写真である。
基材である黒色メラミン基板表面に樹脂硬化物1が島状に散在していることが分かる。
実施例1で調製した抗カビ・抗菌性組成物をシリコンウェハにスプレーし、80℃で3分間乾燥し、溶媒分を揮発させた。その後、紫外線照射装置を用いて、表面から3600mJ/cm2の積算光量となるように紫外線を照射し、抗カビ・抗菌性の樹脂硬化物を作成した。ガラス板表面の樹脂硬化物を樹脂製のヘラで剥離回収し、瑪瑙乳鉢で混合粉砕させて粉末状の樹脂硬化物を得た。
上記粉末状の樹脂硬化物について、OECD :Guideline for the Testing of Chemicals 405(2017)に準拠したウサギを用いる眼刺激性試験を実施した。試験動物の両眼前眼部を試験開始当日に検査し、異常のないことを確かめた後、ウサギ3匹の片眼結膜嚢内に樹脂硬化物を0.1mL相当量点眼し、約1秒間上下眼瞼を穏やかに合わせ保持した。他眼は無処置の対照とした。点眼後1、24、48、72時間、7日及び10日に、スリットランプを用いて角膜、虹彩、結膜などの観察を行い、Draize法の基準に従って眼刺激性を採点した。得られた採点値を用いて各試験動物の合計評点を計算し,観察時間ごとに3匹の平均合計評点を求めた。観察期間中の平均合計評点の最高値から、樹脂硬化物の眼刺激性を評価した。
Cu(I)とCu(II)のイオンの個数の比率は、X線光電子分光分析法(XPS分析法)により計測した。測定条件は以下の通り。
・装置:アルバックファイ製 PHI 5000 Versa probeII
・X線源:Al Kα 1486.6eV
・検出角:45°
・測定径:100μm
・帯電中和:有り
・測定ステップ:0.8eV
・pass energy:187.8eV
・測定ステップ:0.1eV
・pass energy:46.9eV
測定時間は5分で、Cu(I)のピーク位置は、932.5eV ±0.3eV、Cu(II)のピーク位置は933.8eV ±0.3 eVであり、それぞれのピークの面積を積分して、その比率からCu(I)/Cu(II)を得た。実施例1~5、試験例1及び比較例1~3の結果を表1に示す。
実施例1~5、試験例1及び比較例1~3で得られた抗カビ・抗菌性基体に対し、-10℃~80℃で100回冷熱サイクル試験を行い、その後、下記する(1)~(3)の方法により密着性評価試験を行う。結果を表1に記載する。
(1)抗カビ・抗菌性基体の試験面にカッターナイフを用いて、素地に達する11本の切り傷をつけ100個の碁盤目を作る。切り傷の間隔は2mmを用いる。
(2)碁盤目部分にセロテープ(登録商標)を強く圧着させ、テープの端を45°の角度で一気に引き剥がし、碁盤目の状態を標準図と比較して評価する。
(3)全ての碁盤目にはがれが無い場合(分類0に相当)に、はがれ無と定義する。
黄色ブドウ球菌を用いた抗菌性評価を、以下のように実施した。
(1)実施例1~5、試験例1及び比較例1~3で得られた抗カビ・抗菌性基体(SUS板、PE粉体塗装板、メラミン化粧板)を、50mm角の正方形に切り出した試験試料を滅菌済プラスチックシャーレに置き、試験菌液(菌数2.5×105~10×105/mL)を0.4mL接種する。
試験菌液は、培養器中で温度35±1℃で16~24時間前培養した培養菌を、さらに斜面培地に移植して、培養器中で温度35±1℃で16~20時間前培養したものを、1/500NB培地により適宜調整したものを使用する。
(2)対照資料として50mm角のポリエチレンフイルムを用意し、試験試料と同様に試験菌液を接種する。
(3)接種した試験菌液の上から40mm角のポリエチレンフイルムを被せ、試験菌液を均等に接種させた後、温度35±1℃で24±1時間反応させる。
(4)接種直後または反応後、SCDLP培地10mLを加え、試験菌液を洗い出す。
(5)洗い出し液を適宜希釈し、標準寒天培地と混合して生菌数測定用シャーレを作成し、温度35±1℃で40~48時間培養した後、集落数を測定する。
(6)生菌数の計算
以下の計算式を用いて生菌数を求める。
N=C×D×V
N:生菌数
C:集落数
D:希釈倍率
V:洗い出しに用いたSCDLP培地の液量(mL)
(7) 以下の計算式を用いて抗菌活性値を算出する。
R=(Ut-U0)-(At-U0)=Ut-At
R:抗菌活性値
U0:無加工試験片の接種直後の生菌数の対数値の平均値
Ut:無加工試験片の24 時間後の生菌数の対数値の平均値
At:抗菌加工試験片の24時間後の生菌数の対数値の平均値
参考規格 JIS Z 2801
試験菌はStaphylococcus aureus NBRC12732を使用した。
評価結果を表1に記載する。
クロコウジカビを用いた抗カビ性評価を、以下のように実施した。
(1)実施例1~5、試験例1及び比較例1~3で得られた抗カビ・抗菌性基体(SUS板、PE粉体塗装板、メラミン化粧板)を、50mm角の正方形に切り出した試験試料を滅菌済プラスチックシャーレに置き、胞子懸濁液(胞子濃度>2x105個/ml)を0.4mL接種する。
(2)対照資料として50mm角のポリエチレンフイルムを用意し、試験試料と同様に胞子懸濁液を接種する。
(3)接種した胞子懸濁液の上から40mm角のポリエチレンフイルムを被せ、胞子懸濁液を均等に接種させた後、温度26℃で約900LUXの光を照射しながら42時間反応させる。
(4)接種直後または反応後、JIS L 1921 13発光量の測定に従い、ATP量を測定する。
(5)以下の計算式を用いて抗カビ活性値を算出する。
Aa=(LogCt-LogC0)-(LogTt-LogT0)
Aa:抗カビ活性値
LogC0:接種直後の対照資料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
LogCt:培養後の対照資料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
LogT0:接種直後の試験資料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
LogTt:培養後の試験資料3検体のATP量の算術平均の常用対数値
参考規格 JIS Z 2801、JIS L 1921
試験カビはAspergillus niger NBRC105649を使用した。
評価結果を表1に記載する。
表1に示されているように、本発明の抗カビ・抗菌性基体では、Cu(I)/Cu(II)が0.4~50の範囲が最も抗カビ、抗菌活性に優れ、Cu(I)/Cu(II)が50を超えると、試験例1に示されているように、抗カビ・抗菌活性の低下傾向が見られる。
以上、説明のように、本発明の抗カビ・抗菌性組成物は、優れた抗カビ、抗菌特性を有しており、実用上有益である。
11 基材
12 電磁波硬化型樹脂の硬化物
Claims (6)
- 基材表面に、銅化合物及び還元力のある光重合開始剤を含み、脂肪酸で被覆された一価の銅化合物粒子を含まない電磁波硬化型樹脂からなるバインダの硬化物が固着し、前記銅化合物は、X線光電子分光分析法により、925~955eVの範囲にあるCu(I)とCu(II)に相当する結合エネルギーを5分間測定することで算出される、前記銅化合物中に含まれるCu(I)とCu(II)とのイオンの個数の比率(Cu(I)/Cu(II))が0.4~50であり、前記銅化合物の少なくとも一部は、前記バインダの硬化物の表面から露出していることを特徴とする抗カビ基体。
- 前記バインダの硬化物はTiO 2 を含まない請求項1に記載の抗カビ基体。
- 前記銅化合物は、光触媒物質の表面に担持された一価の銅化合物と二価の銅化合物の混合物を含まない請求項1又は2に記載の抗カビ基体。
- 前記光重合開始剤は、水に不溶性の光重合開始剤である請求項1~3のいずれか1項に記載の抗カビ基体。
- 前記光重合開始剤には、アルキルフェノン系の重合開始剤とベンゾフェノン系の重合開始剤を含み、アルキルフェノン系の重合開始剤とベンゾフェノン系の重合開始剤の比率は、重量比でアルキルフェノン系の重合開始剤/ベンゾフェノン系の重合開始剤=1/1~4/1である請求項1~4のいずれか1項に記載の抗カビ基体。
- 前記銅化合物は、銅錯体を含まない請求項1~5のいずれか1項に記載の抗カビ基体。
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