JP2013163446A - 自動二輪車用タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】排水性能と耐溝底クラック性能とをバランス良く向上する。
【解決手段】トレッド部2に、タイヤ周方向に対して傾斜した横溝が設けられた自動二輪車用タイヤである。前記トレッド部2は、トレッド端Teから、タイヤ赤道Cとトレッド端Teとの間のトレッド面2aに沿った距離であるトレッド半幅BWの1/4までの領域である一対のショルダー領域Shを有する。前記横溝は、一端8aがトレッド部2の一方側のショルダー領域Shに位置し、かつ、他端8bが他方側のショルダー領域Shに位置する第1横溝8と、該第1横溝8と交差する交差部10からのびる第2横溝9とを有する。前記交差部10を含む前記第1横溝8及び第2横溝9の溝交差領域11に、溝底を隆起させたタイバー12が設けられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、排水性能と耐溝底クラック性能とをバランス良く向上しうる自動二輪車用タイヤに関する。
従来、排水性能を高めるために、トレッド部に、タイヤ周方向に対して傾斜してのびる第1横溝と、該第1横溝と交差する交差部からのびる第2横溝とが設けられた自動二輪車用タイヤが知られている。即ち、この自動二輪車用タイヤでは、トレッド部と路面との間の水膜が、交差部を介して第1横溝又は第2横溝のいずれかに流れ込み、スムーズに横溝の端部から排出されるため、排水性能が向上する。
しかしながら、このような交差する横溝が設けられた自動二輪車用タイヤでは、交差部の溝底には、接地時の応力が集中するため、溝底クラックが発生し易いという問題があった。関連する技術としては、下記特許文献1がある。
特開平6−115316号公報
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、一端がトレッド部の一方側のショルダー領域に位置し、かつ、他端が他方側のショルダー領域に位置する第1横溝と、該第1横溝と交差する交差部からのびる第2横溝とを有し、前記交差部を含む前記第1横溝及び第2横溝の溝交差領域に、溝底を隆起させたタイバーを設けることを基本として、排水性能と耐溝底クラック性能とをバランス良く向上しうる自動二輪車用タイヤを提供することを主たる目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、トレッド部に、タイヤ周方向に対して傾斜した横溝が設けられた自動二輪車用タイヤであって、前記トレッド部は、トレッド端から、タイヤ赤道とトレッド端との間のトレッド面に沿った距離であるトレッド半幅の1/4までの領域である一対のショルダー領域を有し、前記横溝は、一端がトレッド部の一方側のショルダー領域に位置し、かつ、他端が他方側のショルダー領域に位置する第1横溝と、該第1横溝と交差する交差部からのびる第2横溝とを有し、前記交差部を含む前記第1横溝及び第2横溝の溝交差領域に、溝底を隆起させたタイバーが設けられたことを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、前記第1横溝と前記第2横溝とは、前記傾斜の向きが逆である請求項1記載の自動二輪車用タイヤである。
また請求項3記載の発明は、前記交差部は、タイヤ赤道と前記ショルダー領域との間に設けられ、前記タイバーは、前記交差部で隆起する交差隆起部、該交差隆起部に連なり前記第1横溝内をタイヤ赤道側にのびる第1部分、及び、前記交差隆起部に連なり前記第2横溝内をタイヤ赤道側にのびる第2部分を有する請求項1又は2に記載の自動二輪車用タイヤである。
また請求項4記載の発明は、前記タイバーは、溝底からの隆起高さが、前記横溝の溝深さの20〜70%であり、前記各横溝に沿ったタイバー長さは、各横溝の溝幅の50〜250%である請求項1乃至3のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤである。
また請求項5記載の発明は、前記第1部分は、タイヤ赤道側に向かって隆起高さが漸減する第1漸減部を有する請求項3記載の自動二輪車用タイヤである。
また請求項6記載の発明は、前記タイバーは、前記交差隆起部に連なり前記第1横溝内をトレッド端側にのびる第3部分を有し、前記第3部分は、トレッド端側に向かって隆起高さが漸減する第3漸減部を有し、該第3漸減部の第1横溝に沿った長さは、前記第1漸減部の第1横溝に沿った長さよりも小さい請求項5記載の自動二輪車用タイヤである。
また請求項7記載の発明は、前記第2部分は、タイヤ赤道側に向かって隆起高さが漸減する第2漸減部を有し、該第2漸減部の第2横溝に沿った長さは、前記第1漸減部の第1横溝に沿った長さよりも小さい請求項5又は6記載の自動二輪車用タイヤである。
また請求項8記載の発明は、前記タイバーは、前記横溝の全幅に亘って隆起する請求項1乃至7のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤである。
また請求項9記載の発明は、前記タイバーは、前記横溝の溝幅方向の中間部のみで隆起する請求項1乃至7のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤである。
また請求項10記載の発明は、前記タイバーは、前記横溝の溝幅方向の両端部のみで隆起する請求項1乃至7のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤである。
本発明のうち請求項1記載の自動二輪車用タイヤでは、トレッド部に、タイヤ周方向に対して傾斜した横溝が設けられる。トレッド部は、トレッド端から、タイヤ赤道とトレッド端との間のトレッド面に沿った距離であるトレッド半幅の1/4までの領域である一対のショルダー領域を有する。そして、前記横溝は、一端がトレッド部の一方側のショルダー領域に位置し、かつ、他端が他方側のショルダー領域に位置する第1横溝と、該第1横溝と交差する交差部からのびる第2横溝とを有する。このような第1横溝は、一対のショルダー領域間に亘って、トレッド部と路面との間の水膜をトレッド端側へ排出するのに役立つ。また、第2横溝は、第1横溝と交差するため、前記水膜は、交差部からいずれかの横溝を通ってスムーズに横溝の端部から排出される。従って、本発明の自動二輪車用タイヤは、排水性能が向上する。
また、前記交差部を含む前記第1横溝及び第2横溝の溝交差領域に、溝底を隆起させたタイバーが設けられる。これにより、接地時に応力が集中し易い溝交差領域の剛性が高められるため、耐溝底クラック性能が向上する。
本発明の自動二輪車用タイヤの一形態を示す正規状態の断面図(図2のX−X部)である。 図1のトレッド部の展開図である。 (a)は、本実施形態のタイバーの幅方向の断面図、(b)は、他の実施形態のタイバーの幅方向の断面図、(c)は、さらに他の実施形態のタイバーの幅方向の断面図である。 溝交差領域の斜視断面図である。 (a)は、図2のA−A断面図、(b)は、図2のB−B断面図である。 他の実施形態のトレッド部の展開図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態の自動二輪車用タイヤ(以下、単に「タイヤ」ということがある。)1の正規状態のタイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面図、図2は、図1のタイヤ1のトレッド部の展開図である。本明細書において、「正規状態」とは、タイヤが、正規リム(図示せず)にリム組みされかつ正規内圧が充填されしかも無負荷である状態とし、特に断りがない場合、タイヤ各部の寸法等は、この正規状態で測定された値とする。
また、前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めているリムであり、JATMAであれば"標準リム"、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim"となる。また、前記「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば"最高空気圧"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とする。
本実施形態のタイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されるベルト層7とを含んで構成される。
前記トレッド部2は、タイヤ半径方向外側に凸となるように円弧状に湾曲しており、かつ、そのタイヤ軸方向の最外側の位置であるトレッド端Te、Teが、最もタイヤ軸方向外側に設けられる。なお、本明細書では、トレッド端Te、Te間のトレッド面2aに沿った距離をトレッド幅TW、トレッド端Teとタイヤ赤道Cとの間のトレッド面2aに沿った距離をトレッド半幅BWとする。
前記カーカス6は、タイヤ赤道Cに対して60〜90°の角度でカーカスコードを配列した少なくとも1枚のカーカスプライからなる。本実施形態のカーカス6は、例えばタイヤ赤道Cに対して90°で傾けられた1枚のカーカスプライ6Aから構成される。前記カーカスコードとしては、トレッド部2の剛性の確保や乗り心地の向上のために、ナイロン、ポリエステル又はレーヨン等の有機繊維コードが好ましく採用される。
前記カーカスプライ6Aは、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至る本体部6aと、前記ビードコア5の廻りをタイヤ軸方向の内側から外側に折返された折返し部6bとを含んで構成される。なお、本体部6aと折返し部6bとの間にはビードコア5から半径方向外側に先細状にのびる硬質ゴムからなるビードエーペックスBaが配される。
前記ベルト層7は、例えば、ベルトコードをタイヤ赤道Cに対して、例えば5〜40度の小角度で傾けて配列した少なくとも1枚以上、本実施形態ではタイヤ半径方向内、外2枚のベルトプライ7A、7Bをベルトコードが互いに交差する向きに重ね合わせて構成される。また、ベルトコードには、例えば、スチールコード、アラミド又はレーヨン等が好適に採用される。
本実施形態のトレッド部2は、トレッド端Teから、トレッド半幅BWの1/4までの領域である一対のショルダー領域Shと、該ショルダー領域からタイヤ軸方向の内側にトレッド半幅BWの3/8の領域である一対のミドル領域Mdと、該一対のミドル領域Md、Md間に形成されるクラウン領域Crとに仮想区分される。
図2に良く示されるように、本実施形態のトレッド部2は、タイヤ周方向に対して傾斜した横溝Yが設けられる。前記横溝Yは、一端8aがトレッド部2の一方側のショルダー領域Shに位置し、かつ、他端8bが他方側のショルダー領域Shに位置する第1横溝8と、該第1横溝8と交差する交差部10からのびる第2横溝9とを有する。このような第1横溝8は、一対のショルダー領域Sh、Sh間に亘って、トレッド部2と路面との間の水膜をトレッド端Te側へ排出するのに役立つ。また、第2横溝9は、第1横溝8と交差するため、前記水膜は、交差部10からいずれかの横溝8、9を通ってスムーズに横溝の端部から排出される。従って、本発明の自動二輪車用タイヤは、排水性能が向上する。なお、本実施形態の横溝Yは、タイヤ周方向に隔設され、タイヤ周方向に隣り合う各横溝Yは、タイヤ赤道Cに対して線対称に配される。また、前記「交差部10」とは、第2横溝9の溝縁9x、9xを第1横溝8側に滑らかに延長させた仮想溝縁9y、9yと第1横溝8とで囲まれる領域をいう。
前記第1横溝8は、本実施形態では、前記一端8aからタイヤ周方向に対して一方側に傾斜しかつタイヤ赤道Cを超えてのびる第1傾斜部8Aと、該第1傾斜部8Aに連設される略円弧状の屈曲部8Cと、該屈曲部8Cを介して前記第1傾斜部8Aとは逆向きに傾斜して前記他端8bまでのびる第2傾斜部8Bとからなり、略へ字状(又は略逆へ字状)に形成される。このような第1横溝8は、第1傾斜部8Aが前記一方側に大きくのびるため、水膜をスムーズに排出し得る。また、屈曲部8Cが設けられることにより、多方向にエッジ効果が発揮され、ウェット路面でのグリップ性能が向上する。
前記屈曲部8Cは、前記他方側のミドル領域Md又はショルダー領域Shに設けられるのが望ましい。即ち、屈曲部8Cの溝底は、タイヤ周方向の応力が大きく作用する。従って、直進走行時に大きな接地圧が作用するクラウン領域Crから離間した位置に屈曲部8Cを配することにより、屈曲部8Cにおける溝底クラックの発生が低減される。本実施形態では、屈曲部8Cは、ミドル領域Mdに配されている。
前記第2横溝9は、第1傾斜部8Aとは傾斜の向きが逆である。これにより、タイヤ回転方向を限定することなく、タイヤの回転力を利用して、溝内の水膜を交差部10を介し第1横溝8又は第2横溝9のいずれかにスムーズに排出できる。
本実施形態の第2横溝9は、一端9aが第1傾斜部8Aに対して貫通することなく連設される。即ち、第2横溝9と第1傾斜部8Aとは、T字状に接続される。これにより、交差部10の過度の剛性低下が抑制される。
また、第2横溝9は、他端9bが前記他方側のショルダー領域Shに位置する。これにより、トレッド部2と路面との間の水膜が、さらに効率よく排出されるため、排水性能が向上する。
このような第1横溝8及び第2横溝9の溝幅W1、W2は、トレッド幅TWの1.5〜5.5%程度が望ましい。即ち、前記溝幅が大きくなると、トレッド部2の剛性が小さくなり、接地時の荷重による、溝の開閉が大きくなり、溝底に大きな応力が作用し、耐溝底クラック性能が悪化するおそれがある。逆に溝幅が小さくなると、排水性能が悪化するおそれがある。同様の観点より、第1横溝8及び第2横溝9の溝深さD1、D2は、1.5〜9.0mmが望ましい。なお、本実施形態では、第1横溝8及び第2横溝9は、同じ深さに形成される。
また、第1横溝8(屈曲部8Cを除く)及び第2横溝9のタイヤ周方向に対する角度θ1a、θ1b、θ2は、タイヤの回転力及び旋回力をバランス良く利用してスムーズに水膜を排出させるため、好ましくは30°以上、より好ましくは40°以上が望ましく、また好ましくは80°以下、より好ましくは75°以下が望ましい。
前記交差部10は、タイヤ赤道Cとショルダー領域Shとの間に設けられるのが望ましい。即ち、交差部10が、直進走行時に接地圧が大きく作用するクラウン領域Crに設けられると、交差部10の溝底に大きな応力が作用し、溝底クラックの発生が抑制されないおそれがある。逆に、交差部10がショルダー領域Shに設けられると、交差部10と路面との接触機会が少なくなり、上述の交差部10を利用した排水性能の向上効果が発揮されないおそれがある。このため、交差部10は、とりわけミドル領域Mdに設けられるのが望ましい。
そして、本実施形態では、交差部10を含む第1横溝8及び第2横溝9の溝交差領域11に、溝底を隆起させたタイバー12が設けられる。これにより、接地時に応力が集中し易い溝交差領域11の剛性が高められるため、耐溝底クラック性能が向上する。
前記タイバー12は、交差部10で隆起する交差隆起部13、該交差隆起部13に連なり第1横溝8内をタイヤ赤道C側にのびる第1部分14、交差隆起部13に連なり第2横溝9内をタイヤ赤道C側にのびる第2部分15、及び、交差隆起部13に連なり第1横溝8内をトレッド端Te側にのびる第3部分16を有する。このような平面視T字状をなすタイバー12は、溝交差領域11の溝底の剛性を確実に高め、溝底クラックの発生をさらに低減し得る。
このようなタイバー12の溝底からの隆起高さH(図3に示す)は、横溝8の溝深さD1の好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上が望ましく、また好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下が望ましい。即ち、前記隆起高さHが大きくなると、横溝8、9内の水膜の流れが悪化して、排水性能が低減するおそれがある。逆に、隆起高さHが小さくなると、交差隆起部13の剛性を高めることができず、溝底クラックの発生を抑制することができない。
さらに、上述の作用を効果的に発揮させる観点より、図3(a)に示されるように、タイバー12は、横溝の全幅に亘って隆起する形状をなす。このようなタイバー12は、耐溝底クラック性能をさらに効果的に向上させる。また、本実施形態のタイバー12は、その外面12aが、横溝の幅方向の中心から両端側かつタイヤ半径方向外側に向かい突出する形状をなす。これにより、横溝の溝壁と前記外面12aとの交差位置での応力集中を小さくして、さらに溝底クラックの発生を低減しうる。なお、タイバー12の外面12aは、このような態様に限定されるものではなく、例えば、トレッド面2aと平行に形成されるものでも良い(図示せず)。
本実施形態のタイバー12は、図4に示されるように、交差隆起部13、第1部分14及び第2部分15の最大の隆起高さHが同じに形成される。このようなタイバー12は、溝交差領域11の剛性段差を小さくして、さらに溝底クラックの発生を抑制する。
図5(a)には、図2のA−A断面が示されている。図5(a)に示されるように、前記第1部分14の第1横溝8に沿ったタイバー長さLaは、第1横溝8の溝幅W1の好ましくは50%以上、より好ましくは75%以上が望ましく、また好ましくは200%以下、より好ましくは175%以下が望ましい。また、図5(b)には、図2のB−B断面が示される。図5(b)に示されるように、第2部分15の第2横溝9に沿ったタイバー長さLbは、第2横溝9の溝幅W2の好ましくは50%以上、より好ましくは75%以上が望ましく、また好ましくは200%以下、より好ましくは175%以下が望ましい。即ち、前記タイバー長さLa、Lbが大きくなると、排水抵抗が大きくなり、排水性能が悪化するおそれがある。逆に、前記タイバー長さLa、Lbが小さくなると、交差隆起部13の近傍の第1部分14、第2部分15の剛性を確保できず、溝底クラックの発生を低減できないおそれがある。
なお、交差部10から前記一端8aまでの溝の長さは、第2横溝9の溝長さよりも小さい。このため、第3部分16の剛性は高く維持される。従って、前記第3部分16の第1横溝8に沿ったタイバー長さLcは、排水性能の低下を抑制するため、前記タイバー長さLbよりも小さいのが望ましく、例えば、前記溝幅W1の30〜150%程度が望ましい。
図5(a)に示されるように、本実施形態の第1部分14は、交差隆起部13からタイヤ赤道C側に向かって隆起高さHaが一定な第1等高部14Aと、該第1等高部14Aに連設されかつ隆起高さHaが漸減する第1漸減部14Bとからなる。また、第3部分16は、隆起高さHcがトレッド端Teに向かって漸減する第3漸減部16Aを含んで形成される。同様に、図5(b)に示されるように、本実施形態の第2部分15は、交差隆起部13からタイヤ赤道C側に向かって隆起高さHbが一定な第2等高部15Aと、該第2等高部に連設されかつ隆起高さHbが漸減する第2漸減部15Bとからなる。このような第1漸減部14B、第2漸減部15B及び第3漸減部16Aは、溝交差領域11の剛性段差を緩和して、さらに溝底クラックを抑制する他、排水抵抗を小さくして溝膜をスムーズに移動させるのに役立つ。また、第1等高部14A及び第2等高部15Aは、溝交差領域11の剛性を高く保つのに役立つ。なお、図5(a)に示されるように、第3部分16は、隆起高さHcが一定である第3等高部が設けられても良い。
第1横溝8の交差隆起部13からトレッド端Te側の長さは、第1横溝8の交差隆起部13からタイヤ赤道C側の長さよりも小さいため、第3部分16が配される溝底の剛性は、第1部分14が配される溝底の剛性に比して大きい。このため、第3漸減部16Aの第1横溝8に沿った長さLeは、第1漸減部14Bの第1横溝8に沿った長さLdよりも小さいのが望ましい。即ち、耐溝底クラック性能と排水性能とをバランス良く向上させるため、前記長さLdとLeとの比Le/Ldは、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上が望ましく、また好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下が望ましい。同様の観点より、前記長さLdは、第1部分14の前記タイバー長さLaの好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上が望ましく、また好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下が望ましい。
また、図5(b)に示されるように、第2漸減部15Bの第2横溝9に沿った長さLfは、前記長さLdよりも小さいのが望ましい。即ち、第1横溝8は、第2横溝9よりも長いため、第1横溝8の溝底には、第2横溝9の溝底よりも大きな応力が集中する。このため、前記長さLdとLfとの比Lf/Ldは、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下が望ましい。なお、前記比Lf/Ldが過度に小さくなると、第2部分15の溝底の剛性が小さくなり、耐溝底クラック性能が悪化するおそれがある。このため、前記比Lf/Ldは、好ましくは30%以上、より好ましくは40%以上が望ましい。
また、本実施形態では、図1に示されるように、第1横溝8と第2横溝9とが交差することにより形成されるリブエッジRに、平面視略三角形状をなす面取り部Mが設けられる。本実施形態では、第2横溝9の両側の溝縁9x、9xに面取り部M、Mが設けられる。このような面取り部Mは、さらに溝交差領域11の剛性を高め、耐溝底クラック性能を向上させる。
また、本実施形態の横溝Yは、一端20aがトレッド部2の他方側のショルダー領域Shに位置し、かつ他端20bがタイヤ赤道C近傍に位置する第3横溝20と、一端21aがトレッド部2の他方側のショルダー領域Shに位置し、かつ前記横溝20に交差することなくのびる第4横溝21とを有する。
前記第3横溝20及び第4横溝21は、ともに第2横溝9と同じ向きに傾斜しかつ、前記第2傾斜部8Bと第2横溝9とのタイヤ周方向の間を実質的に等ピッチで配されている。これによりトレッド部2の剛性がさらに高く維持され、耐溝底クラック性能が高く発揮される。なお、「実質的に等ピッチ」とは、第2横溝9の他端9bと第3横溝20の前記一端20aとのタイヤ周方向の長さL1、前記一端20aと前記一端21aとのタイヤ周方向の長さL2、及び前記一端21aと第1横溝8の他端8bとのタイヤ周方向の長さL3が、夫々前記他端9bと前記他端8bとのタイヤ周方向長さL4の20〜45%に形成されるものをいう。
本実施形態の第3横溝20及び第4横溝21は、第1横溝8及び第2横溝9と交差することなく形成されている。これにより、さらに耐溝底クラック性能を高く維持しつつ、排水性能をさらに向上させる。このため、第3横溝20の前記他端20bと第1横溝8との最短距離L5及び第4横溝21のタイヤ赤道側の他端21bと第1横溝8との最短距離L6とは、好ましくは3.0mm以上、より好ましくは5.0mm以上が望ましく、また好ましくは25mm以下、より好ましくは20mm以下が望ましい。
上述の作用をバランス良く発揮させる観点より、第3横溝20及び第4横溝21の溝幅W3、W4は、トレッド幅TWの1.5〜7.0%程度が望ましい。また、第3横溝20及び第4横溝21の溝深さD3、D4は、1.5〜9.0mmが望ましい。
また、第3横溝20及び第4横溝21のタイヤ周方向に対する角度θ3及びθ4は、タイヤの旋回力及び回転力を利用してスムーズにトレッド端Te側に溝内の水膜を排出するため、好ましくは30°以上、より好ましくは40°以上が望ましく、また好ましくは80°以下、より好ましくは75°以下が望ましい。
以上、本発明の空気入りタイヤについて詳細に説明したが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施しうるのは言うまでもない。例えば、図3(b)、(c)に示されるように、タイバー12は、横溝の溝幅方向の中間部のみで隆起する態様や、横溝の溝幅方向の両端部のみで隆起する態様のものでも良い。また、例えば、図6に示されるように、第2横溝9が、第1横溝8に貫通して交差する態様でも構わない。
図2及び6に示されるトレッド部の基本構成を有するサイズ150/70−13の自動二輪車用の試供タイヤが表1の仕様に基づき試作され、各試供タイヤが装着されて、下記のテストが行われた。なお、共通仕様は以下の通りである。
<試供タイヤ>
トレッド幅TW:145mm
リム幅:4.5インチ
内圧:225kPa
第1横溝の溝深さD1:3.6〜7.9mm
第2横溝の溝深さD2:3.6〜7.9mm
第3横溝の溝深さD3:3.6〜7.7mm
第4横溝の溝深さD4:3.8〜6.3mm
タイバーの隆起高さH;2.0mm
テスト方法は、次の通りである。
<ウェット路面でのグリップ性能>
上記試供タイヤを4サイクル自動二輪車(排気量400cc)のリアに装着させ、ウェットアスファルト路面のテストコースを周回したときの「サイドグリップ」、「トラクショングリップ」が、ドライバーの官能により評価された。結果は、5点を満点とする5点法であり、比較例1を3点とした。数値の大きい方が良好である。なお、フロントに装着されるタイヤの仕様は、以下の通りである。
(フロント)
サイズ:120/80−14
トレッド幅TW:117mm
リム幅:2.75インチ
内圧:200kPa
<溝底クラックの有無>
上記試供タイヤを用いて、溝底クラックの発生の有無を確認するテストが行われた。具体的には、米国自動車安全基準FMVSS119に準拠したEndurance試験を1stステップから3rdステップまで行い、3rdステップの条件にて、72時間又は144時間走行させ、そのときの溝底クラックの発生の有無が目視によって確認された。結果は、72時間後に溝底クラックが発生したものを×、72時間後では発生しなかったが、144時間後に溝底クラックが6本以上発生したものを△、溝底クラックが1〜5本発生したものを○△、及び144時間後でも溝底クラックが発生しなかったものを○とした。テストの結果が表1に示される。
Figure 2013163446
Figure 2013163446
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比べて、グリップ性能と耐溝底クラック性能とが有意に向上していることが確認できる。
2 トレッド部
2a トレッド面
8 第1横溝
9 第2横溝
10 交差部
11 溝交差領域
12 タイバー
BW トレッド半幅
C タイヤ赤道
Sh ショルダー領域
Te トレッド端

Claims (10)

  1. トレッド部に、タイヤ周方向に対して傾斜した横溝が設けられた自動二輪車用タイヤであって、
    前記トレッド部は、トレッド端から、タイヤ赤道とトレッド端との間のトレッド面に沿った距離であるトレッド半幅の1/4までの領域である一対のショルダー領域を有し、
    前記横溝は、一端がトレッド部の一方側のショルダー領域に位置し、かつ、他端が他方側のショルダー領域に位置する第1横溝と、
    該第1横溝と交差する交差部からのびる第2横溝とを有し、
    前記交差部を含む前記第1横溝及び第2横溝の溝交差領域に、溝底を隆起させたタイバーが設けられたことを特徴とする自動二輪車用タイヤ。
  2. 前記第1横溝と前記第2横溝とは、前記傾斜の向きが逆である請求項1記載の自動二輪車用タイヤ。
  3. 前記交差部は、タイヤ赤道と前記ショルダー領域との間に設けられ、
    前記タイバーは、前記交差部で隆起する交差隆起部、該交差隆起部に連なり前記第1横溝内をタイヤ赤道側にのびる第1部分、及び、前記交差隆起部に連なり前記第2横溝内をタイヤ赤道側にのびる第2部分を有する請求項1又は2に記載の自動二輪車用タイヤ。
  4. 前記タイバーは、溝底からの隆起高さが、前記横溝の溝深さの20〜70%であり、前記各横溝に沿ったタイバー長さは、各横溝の溝幅の50〜250%である請求項1乃至3のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤ。
  5. 前記第1部分は、タイヤ赤道側に向かって隆起高さが漸減する第1漸減部を有する請求項3記載の自動二輪車用タイヤ。
  6. 前記タイバーは、前記交差隆起部に連なり前記第1横溝内をトレッド端側にのびる第3部分を有し、
    前記第3部分は、トレッド端側に向かって隆起高さが漸減する第3漸減部を有し、
    該第3漸減部の第1横溝に沿った長さは、前記第1漸減部の第1横溝に沿った長さよりも小さい請求項5記載の自動二輪車用タイヤ。
  7. 前記第2部分は、タイヤ赤道側に向かって隆起高さが漸減する第2漸減部を有し、
    該第2漸減部の第2横溝に沿った長さは、前記第1漸減部の第1横溝に沿った長さよりも小さい請求項5又は6記載の自動二輪車用タイヤ。
  8. 前記タイバーは、前記横溝の全幅に亘って隆起する請求項1乃至7のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤ。
  9. 前記タイバーは、前記横溝の溝幅方向の中間部のみで隆起する請求項1乃至7のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤ。
  10. 前記タイバーは、前記横溝の溝幅方向の両端部のみで隆起する請求項1乃至7のいずれかに記載の自動二輪車用タイヤ。
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