JP2013152639A - 表示装置用前面保護板、及び表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表示装置用前面保護板10は、透光性基板1の面に、順に白色系樹脂層2wと、金属薄膜層からなる不透明で金属色を呈し光反射性の金属反射層2mとからなる遮光層2が形成され、着色樹脂層は着色顔料を感光性樹脂などの硬化性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含む。金属反射層で白さが増強され、遮光性も確保され段差の問題も改善できる。さらに、遮光層形成側に、タッチパネルの位置検知用の透明電極と、これが遮光層の部分に延びた部分に電気的に接続された不透明な配線が遮光層で隠れる様に形成された構成としてタッチパネルと一体化しても良い。これを、液晶表示パネル、ELパネル等の表示パネル、タッチパネルと組み合わせて表示装置とする。
【選択図】図1
Description
表示装置用前面保護板40は、通常、図8で例示する様に、その表示用領域A1の外周部が不透明領域A2となっており、不透明領域A2には遮光層5が形成されている。この不透明領域A2によって、表示装置用前面保護板40の裏側に配置されるタッチパネル20が、その外周部に有する配線9やコネクタ等が見えて外観を損ねないようにしている。また、不透明領域A2中には、製品ロゴなどの可視情報6なども適宜設けられ、不透明領域A2は表示装置用前面保護板40の加飾部にもなっている。
また、薄型化、軽量化、部品点数削減などに対する要求に応えるべく、表示装置用前面保護板40とタッチパネル20との一体化、或いはタッチパネル20と表示パネル30との一体化などの各種形態が、提案されている(特許文献1、特許文献2)。
そこで、白色系の意匠を表現できるように、遮蔽層5を、カーボンブラック等の黒色顔料に代えて、白色顔料を樹脂バインダ中に含む白色系樹脂層で構成すれば、一応、白色系の色の意匠を表現できる。しかし、この構成では、白色系樹脂層は黒色樹脂層に比べて遮光性に劣るために、従来の黒色の遮光層5よりも膜厚を厚くする必要があり、遮光層5の段差の問題が顕著になる。
なお、図9(a)は、表示装置用前面保護板40とタッチパネル20とを、樹脂層50として粘着シートを間に挟んで積層一体する前の状態を示し、図9(b)は、これらが積層一体化した後の表示装置用前面保護板40Aとなった状態を示す。
このため、タッチパネル機能を一体化した部材とするには、遮光層5の段差を小さくすることが、必要であった。
(1)中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有する表示装置用前面保護板であって、
透光性基板と、この透光性基板の第1面とこの第1面とは反対側の第2面とのうちのいずれか一方の面において前記不透明領域に設けられた遮光層とを有し、
前記遮光層は、前記透光性基板側から順に、白色系樹脂層と、金属薄膜層からなる不透明な金属反射層と、から構成され、白色系の色を呈し、
白色系樹脂層は、少なくとも白色顔料を硬化性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含み、
前記金属反射層は、金属色を呈し光反射性である、
表示装置用前面保護板。
(2)前記透光性基板の前記遮光層が形成された後の一方の面上に、さらに、タッチパネルの位置検知用の透明電極が形成されていると共に、前記表示用領域から前記遮光層を有する前記不透明領域の部分に延びた前記透明電極に対して、前記遮光層の部分で電気的に接続された不透明な配線が、前記遮光層の部分に絶縁層を介して形成されている、前記(1)の表示装置用前面保護板。
(3)前記(1)の表示装置用前面保護板と、タッチパネルと、表示パネルとを備え、前記タッチパネルは位置検知用の透明電極の周囲に有する不透明な配線が前記表示装置用前面保護板の遮光層に重なり前記表示装置用前面保護板側から目視不能となるように配置された構成であるか、
または、前記(2)タッチパネル用の透明電極を有する表示装置用前面保護板と、表示パネルとを備えた構成である、
表示装置。
(4)前記表示パネルが、液晶パネルまたは電界発光パネルである、前記(3)の表示装置。
本発明の表示装置によれば、それが備える表示装置用前面保護板が、前記効果を有する。
以下に、本発明において用いる主要な用語について、その定義をここで説明しておく。
「裏側」とは、前記「表側」とは反対側を意味し、表示装置用前面保護板10或いはその他の構成要素において、表示パネル30の表示光が入光する側を意味する。
「第1面」と「第2面」とは、何れかが前記「表側」となり、何れの面が前記「表側」となるかは任意である。本明細書においては、遮光層2を必ず有する側の面を「第2面」と呼ぶことにしており、この第2面が裏側の面となる。
本発明による表示装置用前面保護板を、図1に示す一実施形態例を参照して説明する。図1(a)は平面図、図1(b)は断面図である。
遮光層2は白色系樹脂層2wと金属反射層2mとによって、白色系の色として白色を意匠表現しつつ遮光性も確保した層となっている。このため、遮光層2は、配線などを隠す機能以外に、表示装置用前面保護板10を加飾する加飾層となっている。
本実施形態においては、金属反射層2mは、その形成時の白色系樹脂層2wに対する多少の見当ズレがあっても、露出して目立たないように、白色系樹脂層2wよりもわずかに小さめに白色系樹脂層2wの領域内に収まるようなパターンで形成されている。
しかも、金属反射層2mは、メタリック顔料を樹脂バインダ中に含むメタリック顔料層ではなく、金属薄膜層であるので、膜厚を薄くしても遮光性を確保できる。このため、この金属反射層2mを白色系樹脂層2wと組み合わせることで、白色系樹脂層2w自体は遮光性が劣っても、遮光層2全体としては、充分な遮光性を確保することができる。
そして、白色系樹脂層2wと金属反射層2mとによって、遮光層2としての、白色系の色が表現されている。
また、金属反射層2mによる反射光によって、白色系樹脂層2w自体による明度よりも高い明度の色を遮光層2として表現することができる。
表示装置用前面保護板10は、図1(a)の平面図で例示したように、中央に表示用領域A1を有し、表示用領域A1の外周部に、可視光を遮蔽する不透明領域A2を有する。表示用領域A1は、図1(b)の断面図において、二点鎖線の想像線で示す表示パネル30に適用したときに、表示装置用前面保護板10を透して、表示パネル30が表示する内容を表示できる領域である。不透明領域A2は、表示パネル30が外周部に有する配線、コネクタなどを隠したり、或いは、図1(b)の断面図において、二点鎖線の想像線で示すタッチパネル20に適用したときに、タッチパネル20がその外周部に有する不透明な配線、コネクタなどを隠したりする為の領域である。また、不透明領域A2は、それが表現する色、適宜設けるロゴやマークなどの可視情報6によって加飾部にもなる領域である。
透光性基板1は、少なくとも可視光線に対して透明で、表示装置用前面保護板10を適用するタッチパネル20や表示パネル30に対して、これらの表面を保護し得る機械強度を有するものであれば、特に制限はなく、代表的にはガラス板を用いることができる。とくに、前記ガラス板として、化学強化ガラスはフロートガラスに比べて機械的強度に優れ、その分薄くできる点で好ましい。化学強化ガラスは、典型的には、ガラスの表面近傍について、ナトリウムをカリウムに代えるなどイオン種を一部交換することで、化学的な方法によって機械的物性を強化したガラスである。
透光性基板1には、樹脂を用いることも可能である。例えば、前記樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂などを用いることができる。透光性基板1に樹脂を用いることで、軽量にできる上、可撓性を持たせることも可能となる。
図1に例示する実施形態における遮光層2は、透光性基板1のタッチパネル20及び表示パネル30側となる裏側の第2面S2の不透明領域A2の部分に形成されている。遮光層2は、不透明領域A2中の全領域に設けられている。逆に言えば、この遮光層2によって、不透明領域A2が不透明な領域として形成される。
本実施形態においては、遮光層2は、透光性基板1の第1面S1と第2面S2のうちの一方の面として第2面S2の面の、不透明領域A2に形成される。
遮光層2は、タッチパネル20がその中央の位置検知領域に対して、その外周部に有する配線や制御回路、或いは表示パネル30がその中央の表示領域に対して、その外周部に有する配線や制御回路などを隠し、目視不能にして、タッチパネル20や表示パネル30を用いた表示装置において、外観を損なわないようにする機能を有する。
本発明において、白色系樹脂層2wと金属反射層2mとから構成される遮光層2が、白色系の色を呈するとは、純粋な白色(純白)以外に、アイボリー色、ベージュ色、赤みの白である赤白色(薄いピンク色)、黄みの白である黄白色、青みの白である青白色、緑みの白である緑白色、紫みの白である紫白色、茶色みの白である茶白色、黒みの白である灰色(ライトグレー)、銀色みの白である銀白色、金色みの白である金白色などの、有彩色で白っぽい色、及び無彩色で白っぽい色、も含む。
こうした白色系の色を、数値的に示せば、各種表色系を用いて定義することができる。なかでも慣用的な表色系の1種であるマンセル表色系(JIS Z 8721)によって示せば、本発明において白色系の色とは、マンセル表色系において、明度が8.0以上で、且つ彩度が2.0以下の色であると、定義することができる。色相については、特に制限はない。どんな色味でも構わない。
白色系樹脂層2wの遮光性は、色が白っぽい程、低下する傾向があり、また、これを白色系樹脂層2w自体で補うには、その膜厚を増やす必要がある。ただ、膜厚を増やすと、段差の問題が増大する。この点で、遮光層2を白色系樹脂層2wと共に金属反射層2mとの組み合わせで構成する本発明の特徴がより活かされる白色系の色は、より白っぽい色ということになる。これを、マンセル表色系によって表現すれば、明度においては9.0以上の色の場合、彩度に於いては1.0以下の色の場合により効果的であり、さらに、明度が9.0以上で且つ彩度が1.0以下の色の場合が、より効果的である。
マンセル表色系の前記三属性は、市販の分光測色計、分光光度計などによって測定することができる。
白色系樹脂層2wは、白色系の色を表現する為の着色顔料を硬化性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含む層からなる。本実施形態においては、硬化性樹脂として感光性樹脂を用いてある。このため、前記白色系樹脂層2wは、白色系の色を表現する為の着色顔料を感光性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含む層からなる。
白色系樹脂層2wの形成法は基本的には特に限定されないが、例えば、着色顔料と感光性樹脂の未硬化物とを含む着色感光性樹脂組成物を、透光性基板1の面上に塗布した後、所定のパターンで露光し、現像するという、いわゆるフォトリソグラフィ法により形成することができる。本実施形態においては、前記白色系樹脂層2wはフォトリソグラフィ法によって形成したものである。
このように感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法で形成した白色系樹脂層2wは、スクリーン印刷法に比べて、膜厚を薄く、例えば6μm以下に容易にでき、白色系樹脂層2wの形成部と非形成部との境界に生じる遮光層2の段差を小さくできる点で好ましい。感光性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィ法で形成した白色系樹脂層2wの膜厚は、具体的には、0.5〜6μmとすることができる。また、白色系樹脂層2wの膜厚を20μmとしても、従来の30μm以上に比べれば薄くなっており、その分、段差の問題の改善効果を期待できる。このため、白色系樹脂層2wの膜厚は最大でも20μmとして、結局、白色系樹脂層2wの膜厚は0.5〜20とすることができる。
白色系樹脂層2wに用いる着色顔料としては、通常は、白色顔料が主要な顔料として用いられる。更に、純色以外の、アイボリー、ライトグレーなどの白色系の色を表現する為に、黒色顔料も含めて、任意の色を呈する着色顔料を併用することができる。
さらに具体例を示せば、ピグメントレッド254(PR254)などのジケトピロロピロール系の赤色顔料、ピグメントレッド177(PR177)などのアントラキノン系の赤色顔料、ピグメントイエロー139(PY139)などのイソインドリン系の黄色顔料、ビグメントブルーPB15:6(PB15:6)などの銅フタロシアニン系の青色顔料、などを用いることができる。
また、前記紫色顔料では、ビグメントバイオレット23(PV23)などのキナクリドン系の紫色顔料を用いることができる。また、これら以外の色、つまり色相を呈する、着色顔料を用いることもできる。
黒色顔料は、白色顔料と共に白色顔料以外の他の色の着色顔料と併用することで、有彩色でも明度を落とした色などにおいて用いられる。
着色顔料を分散保持する樹脂バインダの樹脂成分となる前記硬化性樹脂としては、感光性樹脂、及び、熱硬化性樹脂から選ばれる樹脂を1種以上用いることができる。
前記多官能アクリレート系モノマーには、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、などを1種以上用いることができる。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート、又は、アクリレートのいずれかであることを意味する。
白色系樹脂層2wの形成法は、本発明においては、特に限定されないことは既に述べたが、白色系樹脂層2wは、前記硬化性樹脂の未硬化物を含む樹脂バインダ中に着色顔料を含有する、白色系硬化性樹脂組成物によって、形成することができる。
前記白色系硬化性樹脂組成物には、さらに、この樹脂組成物を透光性基板1の面上に塗布する際の塗布適性、或いは印刷する印刷適性の調整などの為に、溶剤を含むことができる。
前記溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルセロソルブ、3−メトキシブチルアセテート、等を1種以上用いることができる。
本実施形態においては、白色系樹脂層2wは、不透明領域A2の全域に亙って膜厚一定の、いわゆる「ベタ層」として形成されている。
しかし、白色系樹脂層2wは、不透明領域A2の全域に亙ってベタ層で形成されている場合でも、膜厚に変化を付けても良い。膜厚に変化を付けることで、同じ色であっても、透過率及び着色濃度の模様として、任意の模様を表現することができる。この透過率及び着色濃度の模様が、金属反射層2mからの反射光の強弱模様となる。
白色系樹脂層2wの膜厚に変化を付けるには、白色系樹脂層2wを一旦は全面に塗布法などで形成した後、フォトリソグラフィ法でパターンニングして所定の白色系樹脂層2wのパターンとする際に、露光強度に強弱を付けたパターンニングをすることで、任意の膜厚変化を形成することができる。或いは、オフセット印刷、フレキソ印刷などの膜厚を1μmや2μmなどと、6μm以下に容易に形成可能な印刷法で、網点の面積変化や網点濃度(膜厚)変化として、模様を表現しても良い。
前記白色系樹脂層2wは、単層であるが、本発明においては、白色系樹脂層2wは、2層以上の多層構成としても良い。例えば、互いに異なる色の層を3層重ねて、都合3色でフルカラーで白みがかった意匠を表現しても良い。1層の白色系樹脂層2wを1.5μmで形成すれば、3層でも4.5μmと、白色系樹脂層2w全体でも6μm以下で充分に形成できる。
金属反射層2mは、金属又は金属化合物からなる金属材料を1種以上を含み、可視光において不透明で遮蔽性を有する金属薄膜層からなる層であり、且つ、金属色を呈し光反射性の層である。
前記反射率とは、金属反射層2mの表面に垂直に入射した入射光強度に対する鏡面反射光強度と拡散反射光強度との合計の反射光強度の比率を百分率で表わした数値である。
通常のアルミニウム、銀なとの金属反射層2mであれば、膜厚300nm程度で、反射率70%以上は容易に実現できる。
全光線透過率が0.01%以下であれば、遮光層2としての遮光性は、この金属反射層2mのみで充分確保でき、白色系樹脂層2wの方は、もっぱら、意匠表現に重点を於いた設計にできる。
また、通常のアルミニウム、銀なとの金属反射層2mであれば、膜厚300nm程度で、全光線透過率が0.01%以下は容易に実現できる。
金属反射層2mを金属薄膜層として形成するには、公知の薄膜形成法によることができる。例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などの化学的気相成長法、等の気相成長法、或いは塗工法などである。
金属反射層2mの膜厚は、遮光層2の段差の問題を改善する意味からは、薄い方が良いが、金属反射層2mは500nmでも充分な遮光性を確保することが可能であり、1μmも必要はない。この為、金属反射層2mの膜厚は、通常10〜300nm程度で形成することができる。
こうした、金属反射層2mと白色系樹脂層2wとの界面の凹凸は、金属反射層2mを形成する面となる白色系樹脂層2wの表面の凹凸を表現しようとする意匠に合わせた凹凸面とすることによって形成することができる。
金属反射層2mが金属反射性であると、遮光層2で表現する白色系の意匠の色は厳密には、光が白色系樹脂層2wに進入し、金属反射層2mに到達して反射して、再度、白色系樹脂層2wに進入して、白色系樹脂層2wを2回を通過した後の光の色となる。したがって、遮光層2で表現する白色系の意匠の色は、白色系樹脂層2wの色と、金属反射層2mの反射色の色とがかけ合わさった色となる。金属反射層2mの色が例えば銀色ならば無彩色なので、遮光層2の色(色相)は白色系樹脂層2wの色となる。
金属反射層2mが、色を持つ場合は、金属反射層2mの色と白色系樹脂層2wの色とがかけ合わさった白色系の色の意匠となる。金属反射層2mの色とは、例えば、金属反射層2mが金からなる金属薄膜層である場合は金色、金属反射層2mが銅からなる金属薄膜層である場合は銅色、などである。
以上のことから、例えば、金色の白色系の色の意匠を表現するならば、金からなる金色の金属反射層2mを用いなくても、銀色の金属反射層2mと黄色の白色系樹脂層2wとによっても表現することもできる。
ここで、遮光層2で表現される白色系の色の白さ具合が、白色系樹脂層2wの膜厚によって、変化する例を説明する。
表1は、遮光層2を、着色顔料として白色顔料のみを含有する白色系樹脂層2wと、
銀合金からなり銀色の金属光沢を呈する膜厚300nmの金属薄膜層からなる金属反射層2mと、から構成したときの、白色系樹脂層2wの膜厚変化による、遮光層2によって表現された白色の白さ具合いの変化を示す。遮光層2の膜厚は、そのほとんどが白色系樹脂層2wの膜厚であり、金属反射層2mの膜厚は、白色系樹脂層2wの膜厚の1/10以下である。
測定は分光光度計で行い、反射光での測定は正反射光除去(SCE)の条件で行った。結果は、Yxy表色系のx値、y値、及びY値のうち、明るさ情報であるY値(%)を白さ具合の指標として表1に示した。なお、前記〔A〕の測定では透過光のY値である。また、膜厚変化によるY値の変化を、図3のグラフに示した。
なお、色相及び彩度に関係するx値、y値は、いずれも0.300から0.350の範囲内であり、無彩色の白色が示す色度座標のx=y=0.333に近い値を示した。
金属反射層2mを省略した構成の遮光層について、透過光量を測定して評価した。表1よりY値が膜厚16.0μmでも1.27を示すことから、遮光性は充分であるとは言えないことが判る。このことは、遮光層2として認識されるこの白色系樹脂層2wの色は、金属反射層2mからの反射光の影響を受けた色となることを意味する。
次に、表2は、前記図1で例示した、表示装置用前面保護板10を、ガラス製のタッチパネル20に、厚み75μmの粘着シートで貼り合わせたときの、遮光層2の膜厚の違いによる、残留気泡Gの発生状況を示す。
この結果は、粘着シートに厚み75μmのものを用いた場合であり、仮に厚み200μmの粘着シートを用いれば、膜厚16.0μmの遮光層2であっても、残留気泡Gの発生は、これよりも少なくすることが充分に可能である。但し、その分、表示装置用前面保護板10を含む部材の厚みが増して、製品の薄型化には逆行する。
また、後述するように、タッチパネル機能と一体化する形態において、段差による断線の問題も改善するには、遮光層2の膜厚は6μm以下が好ましい。
図1に例示する本実施形態における表示装置用前面保護板10では、遮光層2が形成される不透明領域A2には可視情報6として製品のロゴマークが形成されている。
本発明においては、可視情報6は必須ではないが、不透明領域A2に対して、製品ロゴマーク以外に、操作説明用の文字や記号、模様などの、可視情報6を設けることができる。
図4の断面図は、白色系樹脂層2wと金属反射層2mとからなる遮光層2において、可視情報6を形成する構成例として、3例を示すものである。図4(a)は、可視情報6を白色系樹脂層2w及び金属反射層2mの非形成部として形成した構成である。図4(b)は、可視情報6を金属反射層2mの非形成部として形成した構成である。図4(c)は、可視情報6を白色系樹脂層2wの非形成部として形成した構成である。
図4(a)の可視情報6を白色系樹脂層2w及び金属反射層2mの非形成部として形成する構成では、遮光層2を構成する白色系樹脂層2wと金属反射層2mは、それぞれの非形成部が平面視で重なる様に、同じパターンで同じ平面視位置に形成される。この構成では、非形成部の部分で、裏側から照明される可視情報6を表現できる。
図4(b)の、可視情報6を金属反射層2mの非形成部として形成した構成では、非形成部の部分で、裏側から照明される可視情報6を表現できる。
図4(c)の、可視情報6を白色系樹脂層2wの非形成部として形成した構成では、白色系樹脂層2wの非形成部の部分で見える金属反射層2mによって可視情報6が表現される。
或いは、図示はしないが、白色系樹脂層2wを多層構成とする場合は、多層構成のうち一部の層について非形成部を形成すれば、残した層の部分は透明性がより大きい白色系の色となって、周囲とは異なる色合いの可視情報6とすることができる。或いは、可視情報6の部分にのみ、異なる色の着色樹脂層を設けても良い。つまり、可視情報6は、白色系以外の色で表現してもよい。
本発明においては、不透明領域A2に形成される可視情報6は、不透明領域A2の領域内であるからといって、必ずしも遮光層2と同程度に不透明である必要はない。例えば、暗所でも判るように裏側から照明される操作説明用の文字や記号などの可視情報6である。
また、本発明においては、不透明領域A2中に、タッチパネル20や表示パネル30の外周部の配線などの隠蔽に支障を来たさなければ、例えば、遮光層2の非形成部として形成した可視情報6のように、透明であるなど、遮光性が遮光層2よりも小さい領域が一部に存在しても良い。
本発明の表示装置用前面保護板10は、上記した形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
図1で示した前記実施形態では、表示装置用前面保護板10は、透光性基板1と、不透明領域A2に形成された遮光層2とからなり、前記遮光層2は透光性基板1側から順に白色系樹脂層2wと金属反射層2mとからなり、さらに、不透明領域A2に可視情報6も含む形態例であった。
しかし、本発明においては、更にその他の構成要素を設けても良い。その一つが、タッチパネル機能との一体化である。例えば、タッチパネル用の透明電極を設けて、透光性基板1をタッチパネル用基板と兼用しても良い。タッチパネル機能との一体化は、タッチパネルとして必要な機能の一部を一体化する形態でも、その分での部品点数の低減、薄型化の効果は得られるが、タッチパネルとしての必要な機能の全部を一体化するのが、より好ましい。
以下、図5の実施形態を参照して、タッチパネル機能の一体化の一例を説明する。
より具体的には、本実施形態は、透光性基板1の遮光層2が形成された後の一方の面である第2面S2上に、さらに、タッチパネルの位置検知用の透明電極8が形成されていると共に、表示用領域A1から遮光層2がある不透明領域A2の部分に延びた前記透明電極8に対して前記遮光層2の部分で電気的に接続された不透明な配線9が、前記遮光層2の部分に絶縁層3aを介して形成されている、構成である。
また、前記硬化性樹脂としては、前記白色系樹脂層2wで述べた感光性樹脂などを用いることもできる。感光性樹脂の場合は、部分形成するときにフォトリソグラフィ法を利用することができる。
図6のように、外周部の不透明領域A2に設けられた遮光層2によって、遮光層2の部分に設けられた不透明な配線9は、遮光層2によって隠されて、表側から見えることはない。図6中、細かい格子状のハッチングで示す表示用領域A1の部分には、タッチパネルの位置検知用電極8があるが、そのパターンはほとんど肉眼では見えない。
なお、図6の平面図では可視情報6が明示されているが、図5の断面図では、図面が煩雑化するために、可視情報6の明示は省略してある。
図5の断面図で言えば、前記交差部分は、透光性基板1に近い側の透明電極8が、第1の透明電極8aであるので、第1の透明電極8aが形成された後の交差部分に対して絶縁層3bが形成され、交差部分を跨いで接続用の透明電極が形成されて第2の透明電極8bが完成する。
さらに、配線9を形成後の、透光性基板1の配線9が形成された側の第2面S2のほぼ全面に、オーバーコート層7が形成され、第1の透明電極8a及び第2の透明電極8bの表面を含む、表示装置用前面保護板10としての表面を、傷付きなどから保護している。ただし、図示は省略するが、このオーバーコート層7は、配線9がフレキシブルプリント配線基板(FPC)を介して制御回路に接続する部分は形成せず、配線9を露出してある。
次に、遮光層2が形成された側の面全面に、絶縁層3aを形成した後、遮光層2の部分に配線9をパターン形成し、次に、透明電極8として、第1の透明電極8aの全部と、交差部分が分断し欠損した第2の透明電極8bとを、同じ面に同時にパターン形成する。このとき、段差の問題が改善されているので、遮光層2の段差Dの部分で、第1の透明電極8aは断線しない。図示はしないが、第2の透明電極8bの場合も同様に断線しない。
次に、前記交差部分に絶縁層3bをパターン形成し、この絶縁層3bを跨いで、前記第2の透明電極8bの残りの欠損部分をパターン形成して第2の透明電極8bの全体を完成させる。最後に、オーバーコート層7を全面に形成することで、タッチパネル機能を一体化した表示装置用前面保護板10が作成される。
本発明による表示装置は、上記した表示装置用前面保護板10と、表示パネルとを備え、さらに、前記表示装置用前面保護板10がタッチパネル機能を備えていない場合は、タッチパネルも備えた、表示装置である。
すなわち、本発明による表示装置は、上記した表示装置用前面保護板10と、タッチパネルと、表示パネルとを備え、前記タッチパネルは位置検知用の透明電極8の周囲に有する不透明な配線9が前記表示装置用前面保護板10の遮光層2に重なり前記表示装置用前面保護板10側から目視不能となるように配置される構成であるか、
または、タッチパネル用の透明電極8及び不透明な配線9も有する表示装置用前面保護板10と、表示パネルとを備えた構成である。
本実施形態においては、表示装置用前面保護板10は、前述した本発明による表示装置用前面保護板10である。より具体的に、この表示装置用前面保護板10はタッチパネル機能を一体化していない形態のものである。また、タッチパネル20には、模式的に、配線9と透明電極8とを図示してある。
タッチパネル20は、中央の位置検知領域の外周部に、配線9、制御回路、これらを電気的に接続するコネクタなどの何らかの不透明な構成要素を有する。これらの不透明な構成要素は、表示装置用前面保護板10の不透明領域A2の遮光層2に平面視において重なり、隠れる位置となるような、タッチパネル20と表示装置用前面保護板10との位置関係となっている。このため、これら配線9などの不透明な構成要素が、表示装置100の外観を損なわない様にすることができる。
本発明の表示装置100は、上記した形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
図7で例示した実施形態による表示装置100では、表示装置用前面保護板10はタッチパネル機能が何ら一体化されてない形態であった。しかし、本発明においては、表示装置100が備える表示装置用前面保護板10は、タッチパネル機能の一部または全部が一体化されたものとしても良い。もちろん、この場合、タッチパネルの機能の全部が一体化された表示装置用前面保護板10を用いる場合は、独立したタッチパネル20は備える必要はなく、前記表示装置用前面保護板10と、表示パネル30とを少なくとも備えた構成の表示装置となる。この形態では、表示パネル30の外周部の配線、コネクタ、制御回路などを隠せることになる。
図7で例示した実施形態による表示装置100では、表示装置用前面保護板10とタッチパネル20との間は、空隙を有し空気層が存在する構造となっているが、本発明においては、表示装置用前面保護板10とタッチパネル20との間は、粘着剤層など樹脂層で埋め尽くしても良い。特に、本発明による表示装置用前面保護板10は、遮光層2の段差の問題が改善されているので、樹脂層で埋め尽くしても、遮光層2の段差部分での残留気泡Gの発生を減らし改善することができる。
前記粘着シートとしては、透明性に優れた光学グレードのものが好ましく、このような粘着シートとしては、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、シリコーン系粘着剤などからなるものを用いることができる。
段差による残留気泡Gの問題を回避するには、粘着シートの膜厚は、段差の10倍から20倍とするのが良いとされており、したがって、例えば段差6μm以下の場合、厚み100μm以下の粘着シートの利用も可能である。
本発明による表示装置用前面保護板10、及び表示装置100の用途は、特に限定されない。例えば、スマートフォンなどの携帯電話、タブレットPCなどの携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション、デジタルカメラ、電子手帳、ゲーム機器、自動券売機、ATM端末、POS端末、などである。
2 遮光層
2m 金属反射層
2w 白色系樹脂層
3a,3b 絶縁層
5 (従来の)遮光層
6 可視情報
7 オーバーコート層
8 透明電極
8a 第1の透明電極
8b 第2の透明電極
9 配線
10 表示装置用前面保護板
20 タッチパネル
30 表示パネル
40 従来の表示装置用前面保護板
40A 従来の表示装置用前面保護板(タッチパネル積層一体化形態)
100 表示装置
200 従来の表示装置
A1 表示用領域
A2 不透明領域
Bk 黒色層
G 残留気泡
D 段差
S1 第1面
S2 第2面
V 観察者
Claims (4)
- 中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有する表示装置用前面保護板であって、
透光性基板と、この透光性基板の第1面とこの第1面とは反対側の第2面とのうちのいずれか一方の面において前記不透明領域に設けられた遮光層とを有し、
前記遮光層は、前記透光性基板側から順に、白色系樹脂層と、金属薄膜層からなる不透明な金属反射層と、から構成され、白色系の色を呈し、
白色系樹脂層は、少なくとも白色顔料を硬化性樹脂の硬化物からなる樹脂バインダ中に含み、
前記金属反射層は、金属色を呈し光反射性である、
表示装置用前面保護板。 - 前記透光性基板の前記遮光層が形成された後の一方の面上に、さらに、タッチパネルの位置検知用の透明電極が形成されていると共に、前記表示用領域から前記遮光層を有する前記不透明領域の部分に延びた前記透明電極に対して、前記遮光層の部分で電気的に接続された不透明な配線が、前記遮光層の部分に絶縁層を介して形成されている、請求項1に記載の表示装置用前面保護板。
- 請求項1に記載の表示装置用前面保護板と、タッチパネルと、表示パネルとを備え、前記タッチパネルは位置検知用の透明電極の周囲に有する不透明な配線が前記表示装置用前面保護板の遮光層に重なり前記表示装置用前面保護板側から目視不能となるように配置された構成であるか、
または、請求項2に記載のタッチパネル用の透明電極及び不透明な配線も有する表示装置用前面保護板と、表示パネルとを備えた構成である、
表示装置。 - 前記表示パネルが、液晶パネルまたは電界発光パネルである、請求項3に記載の表示装置。
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