JP6202079B2 - 通知窓付き表示装置用前面保護板、および表示装置 - Google Patents
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Description
タッチパネル20は、表示パネル30に対して、表示パネル30からの表示光の出光側である表側(紙面で手前側)に配置される。さらに、タッチパネル20の保護の為に、前記表示パネル30からの表示光がタッチパネル20を通過して出光する側であるタッチパネル20の表側に、表示装置用前面保護板40が配置される(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
通知窓3は、表示装置200のケースに設けることもあるが、表示装置用前面保護板40に設けることで、表示装置用前面保護板40の部分の面積をより広くして、ケースの外枠部分がより細い、デザインも可能となる。
また、薄型化、軽量化、部品点数削減などに対する要求に応えるべく、表示装置用前面保護板40とタッチパネル20との一体化、或いはタッチパネル20と表示パネル30との一体化などの各種一体化の形態が、提案され実用化も始まっている(特許文献1、特許文献2)。
(1)中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられ可視光を遮蔽する不透明領域とを有し、この不透明領域に通知窓を有する、通知窓付き表示装置用前面保護板であって、
透光性基板と、この透光性基板の一方の面上の前記不透明領域に設けられた遮光層と、前記一方の面上の前記不透明領域内であって前記遮光層の非形成部として設けられた通知窓と、を有し、
前記通知窓は、前記遮光層と同一材料で形成される半透過通知窓層によって前記遮光層よりも遮光性が小さく、遮光性および透光性を呈する部分として形成されている、
通知窓付き表示装置用前面保護板。
(2)前記半透過通知窓層が、前記遮光層と同じ膜厚の1以上の形成部と、1以上の非形成部とからなる通知窓パターン層として形成されている、前記(1)の通知窓付き表示装置用前面保護板。
(3)前記半透過通知窓層が、前記遮光層よりも膜厚が薄い遮光半透過層として形成されている、前記(1)の通知窓付き表示装置用前面保護板。
(4)前記透光性基板の前記一方の面上に、さらに、タッチパネルの位置検知用の透明電極が、前記表示用領域から前記不透明領域の前記遮光層の部分に延びて設けられていると共に、前記遮光層の部分で前記透明電極に電気的に接続された配線が設けられている、前記(1)〜(3)のいずれかの通知窓付き表示装置用前面保護板。
(5)前記(1)〜(3)のいずれかの通知窓付き表示装置用前面保護板と、タッチパネルと、表示パネルとを備え、前記タッチパネルは位置検知用の透明電極の周囲に有する不透明な配線が前記通知窓付き表示装置用前面保護板の前記遮光層に重なり前記通知窓付き表示装置用前面保護板側から目視不能となるように配置された構成であるか、
または、前記(4)のタッチパネル用の配線および透明電極も有する通知窓付き表示装置用前面保護板と、表示パネルとを備えた構成である、
表示装置。
(6)前記表示パネルが、液晶パネルまたは電界発光パネルである、前記(5)の表示装置。
本発明の表示装置によれば、それが備える通知窓付き表示装置用前面保護板が、前記効果を有する。
以下に、本発明において用いる主要な用語について、その定義をここで説明しておく。
「裏側」とは、前記「表側」とは反対側を意味し、通知窓付き表示装置用前面保護板10或いはその他の構成要素において、表示パネル30の表示光が入光する側を意味する。
「一方の面」と、その反対側の面である「他方の面」とは、何れかが前記「表側」となり、何れの面が前記「表側」となるかは本来は任意である。ただし、本明細書においては、遮光層2を必ず有する側の面を「一方の面」と呼ぶことにしており、この一方の面が裏側として使用される面となる。そこで、表側として使用される他方の面に符号S1を付けて「他方の面S1」と呼び、裏側となる一方の面に符号S2を付けて「一方の面S2」とも呼ぶ。
本発明による通知窓付き表示装置用前面保護板を、図1に示す一実施形態例を参照して説明する。図1(a)は平面図、図1(b)は部分拡大断面図、図1(c)は部分拡大平面図である。
しかも、通知窓3の部分に設ける半透過通知窓層4は、遮光層2と同一材料で且つ同一膜厚で形成されている通知窓パターン層4Pであるので、半透過通知窓層4は遮光層2と同一工程で工程数を増やさずに設けることができるため、通知窓3の存在を、コストをかけずに、目立ち難くすることができる。
通知窓付き表示装置用前面保護板10は、図1(a)の平面図で例示したように、中央に表示用領域A1を有し、表示用領域A1の外周部に、可視光を遮蔽する不透明領域A2を有する。表示用領域A1は、図1(b)の断面図において、二点鎖線の想像線で示す表示パネル30に適用したときに、通知窓付き表示装置用前面保護板10を透して、表示パネル30が表示する内容を表示できる領域である。不透明領域A2は、表示パネル30が外周部に有する配線、コネクタなどを隠したり、或いは、図1(b)の断面図において、二点鎖線の想像線で示すタッチパネル20に適用したときに、タッチパネル20がその外周部に有する不透明な配線、コネクタなどを隠したりする為の領域である。また、不透明領域A2は、遮光層2及びそれが表現する色、並びに、ロゴやマークなどの可視情報9によって加飾部にもなる領域である。
透光性基板1は、少なくとも可視光線に対して透明で、通知窓付き表示装置用前面保護板10を適用するタッチパネル20や表示パネル30に対して、これらの表面を保護し得る機械強度を有するものであれば、特に制限はなく、代表的にはガラス板を用いることができる。特に、前記ガラス板として、化学強化ガラスはフロートガラスに比べて機械的強度に優れ、その分薄くできる点で好ましい。化学強化ガラスは、典型的には、ガラスの表面近傍について、ナトリウムをカリウムに代えるなどイオン種を一部交換することで、化学的な方法によって機械的物性を強化したガラスである。
透光性基板1には、樹脂を用いることも可能である。例えば、前記樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂などを用いることができる。透光性基板1に樹脂を用いることで、軽量にできる上、可撓性を持たせることも可能となる。
図1に例示する実施形態における遮光層2は、透光性基板1のタッチパネル20及び表示パネル30側となる裏側の一方の面S2の不透明領域A2の部分に形成されている。遮光層2は、不透明領域A2中の全領域に設けられている。逆に言えば、この遮光層2によって、不透明領域A2が不透明な領域として形成される。
本実施形態においては、遮光層2は、透光性基板1の他方の面S1と一方の面S2のうちの一方の面S2の、不透明領域A2に形成される。
遮光層2は、タッチパネル20がその中央の位置検知領域に対して、その外周部に有する配線や制御回路、或いは表示パネル30がその中央の表示領域に対して、その外周部に有する配線や制御回路などを隠し、目視不能にして、タッチパネル20や表示パネル30と組み合わされた表示装置において、外観を損なわないようにする機能を有する。
遮光層2に用いる着色顔料としては、遮光層2で表現する色に応じたものを用いれば良く、特に制限はない。例えば、着色顔料としては、黒色顔料、白色顔料、赤色顔料、黄色顔料、青色顔料、緑色顔料、紫色顔料などを用いることができる。着色顔料は、1種単独で用いても良いし、同種類の色、或いは異なる色の着色顔料を複数種類用いても良い。
遮光層2の着色顔料としては、表現する色にもよるが、遮光性が得易い点で黒色顔料を用いることが好ましい。黒色顔料のなかでも、カーボンブラックはチタンブラックに比べて安価である点で好ましい。
着色顔料を分散保持する樹脂バインダの樹脂成分となる前記硬化性樹脂としては、感光性樹脂、及び、熱硬化性樹脂から選ばれる樹脂を1種以上用いることができる。
前記多官能アクリレート系モノマーには、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、などを1種以上用いることができる。
なお、本発明において、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート、又は、アクリレートのいずれかであることを意味する。
遮光層2の形成法は、本発明においては、特に限定されない。例えば、遮光層2は、前記硬化性樹脂の未硬化物を含む樹脂バインダ中に着色顔料を含有する、着色硬化性樹脂組成物によって、形成することができる。
前記着色硬化性樹脂組成物には、さらに、この樹脂組成物を透光性基板1の面上に塗布する際の塗布適性、或いは印刷する際の印刷適性の調整などの為に、溶剤を含むことができる。
前記溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルセロソルブ、3−メトキシブチルアセテート、等を1種以上用いることができる。
着色硬化性樹脂組成物を塗布した後は、フォトリソグラフィー技術を用いて露光、現像、ベークなどの所定の工程を経て、パターニングすることにより、透光性基板1の面上の一部に、所定パターンの遮光層2を形成することができる。
なお、遮光層2の膜厚が一回の形成で不足する場合は、形成を複数回繰り返して、複層からなる遮光層2としても良い。
通知窓3は、不透明領域A2内において遮光層2の非形成部として設けられる。通知窓3は、その平面視での領域内に、遮光層2と同一材料で形成された半透過通知窓層4を有する。このため、通知窓3の部分で、通知窓付き表示装置用前面保護板10を裏側から表側に、通知用の光を通過させることができる。
通知窓3の平面視の形状は、図1(a)に例示の実施形態では、円形であったが、円形以外の形状でもよく、任意である。通知窓3の大きさも任意であるが、円形の場合で言えば、通常、直径1〜2mm程度である。
半透過通知窓層4は、遮光層2よりも遮光性が小さく、遮光性および透光性を呈する。つまり、半透過通知窓層4は、遮光性が全くない訳でもなく、透光性が透光性基板1と同程度にある訳でもない。半透過通知窓層4の遮光性および透光性を、可視光、つまり波長380〜780nmの光線に対する透過率で示せば、全光線透過率で例えば1〜50%、より好ましくは5〜20%である。全光線透過率がこの範囲を超えると、通知窓3が目立ち易くなることがあり、この範囲未満であると、通知用の光の光量が不足することがある。
半透過通知窓層4には、通知窓パターン層4Pからなる形態と、遮光半透過層4Lからなる形態の、大別して二種類の形態がある。
半透過通知窓層4を遮光層2と同一材料で構成することによって、通知窓3の存在を、通知用の光の消灯時に目立たなくさせることができ、遮光層2による不透明領域A2の意匠の一体感を増すことができる。
図1に例示の実施形態においては、半透過通知窓層4は、遮光層2と膜厚が同一の通知窓パターン層4Pから構成されていた。
通知窓パターン層4Pは、前記遮光層2と同じ膜厚の1以上の形成部と、1以上の非形成部とかなるパターン層として形成される。本実施形態においては、通知窓パターン層4Pは、遮光層2と互いに層の側面が接している部分を有して形成されている。つまり、通知窓パターン層4Pは、遮光層2に対して連続層となる部分を有して形成されている。
図1(c)に例示の通知窓パターン層4Pでは、メッシュ状のパターンであり、遮光層2と同一材料且つ同一膜厚で且つ透光性基板1側の面で同一面に形成されているが、円形の非形成部からなる開口部を多数有することで、透光性が付与された層である。したがつて、通知窓パターン層4Pの開口部でない形成部の部分での層自体としては、その遮光性は遮光層2と同じであり、開口部によって透光性を付与した層であるから、「疑似的半透過層」とも言える。
開口部の占める面積割合は、通知窓パターン層4Pでの前記可視光での全光線透過率を1〜50%とする為には、これと同じ1〜50%とすれば良い。
開口部の配置は、図2では正方格子状配置であったが、任意である。
図2〜図5は、通知窓3内部における半透過通知窓層4としての通知窓パターン層4Pのパターン形状を説明する図であり、通知窓3の形状を説明する図ではない。もちろん、通知窓3は四角形状でも良い。
図2に例示のメッシュパターンでは、1つの形成部と、複数の非形成部からなるパターンの通知窓パターン層4Pの例である。図3に例示のストライプパターンは、複数の形成部と、複数の非形成部からなるパターンの通知窓パターン層4Pの例である。
非形成部或いは形成部の配置は、図2及び図3のような規則的な配置の他に、図示はしないが不規則的な配置でもよい。
図4に例示の通知窓パターン層4Pでは、通知窓パターン層4Pは、通知窓3の輪郭部分において、周囲の遮光層2と非連続層として形成することができる。つまり、通知窓パターン層4Pには、図2及び図3のように、遮光層2と通常、連続層として形成される形態と、図4のように非連続層として形成され得る形態とがある。非連続層として形成される通知窓パターン層4Pであっても、遮光層2と同一材料で形成され、しかも、同時形成することができる。
図5に例示するように、遮光半透過層4Lは、遮光層2と同一材料だが遮光層2よりも厚みを薄くすることで、遮光性と共に透光性も付与した層である。同図に示す形態例においては、遮光半透過層4Lは通知窓3の全領域に形成されている。同図に示す形態例においては、遮光半透過層4Lは、遮光層2と互いに層の側面が接して形成されている。つまり、遮光半透過層4Lは、膜厚こそ遮光層2に比べて薄いが、遮光層2に対して連続層として形成することができる。また、遮光半透過層4Lは、遮光層2が透光性基板1側で接する層と同一層に接して形成されている。遮光層2が透光性基板1側で接する前記層とは、具体的には透光性基板1である。
こうした、遮光半透過層4Lは、感光性樹脂組成物を用いて遮光層2をフォトリソグラフィ法によってパターン形成するときに、ハーフトーンマスク或いはグレートーンマスクを用いて、通知窓3の部分と、通知窓3以外の部分とで、露光量を変えることで、通知窓3の部分のみ膜厚を薄くした遮光半透過層4Lを、他の部分の遮光層2と同時に形成することができる。
遮光半透過層4Lの膜厚は、透光性が得られるような膜厚とすれば良く、例えば0.1〜0.5m程度とすることができる。
図1に例示する通知窓付き表示装置用前面保護板10では、遮光層2が形成される不透明領域A2には可視情報9として製品のロゴマークなどが形成されている。
本発明においては、可視情報9は必須ではないが、不透明領域A2に対して、製品ロゴマーク、操作説明用の文字や記号、模様などの任意の目視可能な可視情報9を設けることができる。
可視情報9は、図示は省略するが、遮光層2の前記非形成部の部分に可視情報形成層を設けることで、この可視情報形成層を、表側から見たときの色及び形状によって表現することができる。なお、可視情報形成層は、透光性基板1と遮光層2との間に形成することもできる。
可視情報形成層としては、金属層、着色樹脂層など、遮光層2とは色や表面状態の外観が異なる層を用いることができる。前記金属層としては、銀、アルミニウム、銅などの金属薄膜を用いることができる。前記着色樹脂層としては着色顔料や金属粉末を含む樹脂組成物層を用いることができる。
本発明の通知窓付き表示装置用前面保護板10は、上記した形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
しかし、本発明においては、更にその他の構成要素を設けても良い。
本発明においては、図7で示す通知窓付き表示装置用前面保護板10のように、不透明領域A2に赤外透過窓11を設けてもよい。
赤外透過窓11は、例えば、通話時に携帯電話を耳にあてがったときに、タッチパネルの誤作動を防ぐ必要から、また、表示パネルの表示を消して電池寿命を長くする観点などから、人肌の接近を感知する人感センサとして設ける赤外線センサの部分に設けられる。
赤外透過窓11は、不透明領域A2内において遮光層2の非形成部として設けられ、可視光に対しては遮光性を示すと共に赤外光に対しては透過性を示す部分として形成される。赤外透過窓11の上記光学性能は、上記光学性能を有する赤外透過層11Lを、赤外透過窓11の部分に形成することで実現できる。赤外透過層11Lを用いるのは、遮光層2が例えば黒色の場合、黒色顔料としてカーボンブラックを用いると、可視光のみならず赤外光に対しても遮光性となってしまうために、遮光層2とは材料が異なる層として赤外透過層11Lが必要になることがあるからである。
赤外透過窓11の可視光に対する遮光性は、要求仕様、表現色にもよるが、赤外透過窓11の部分は、通常、スポット的に小さいため、必ずしも、遮光層2の遮光性のレベルに合わせる必要はない。このため、赤外透過窓11の可視光に対する遮光性は、一例を示せば、透過率で言えば大きくても50%以下(光学濃度ODにて0.2以上)、より好ましくは透過率で25%以下(光学濃度OD0.6以上)、さらに好ましくは透過率で10%以下(光学濃度OD1.0以上)が望ましい。
こうして、赤外透過窓11は、例えば、赤外光領域に対しては、波長850nm以上1300nm以下で70%以上、可視光領域に対しては10%以下で設ける。なお、この透過率とは、平均値ではなく、各波長毎の値である。
赤外透過層11Lは、赤外透過窓11の存在を目立たなくさせるために、通常、遮光層2と類似色で形成される。そして、赤外透過層11Lは、可視光に対しては遮光性を示すと共に赤外光に対しては透過性を示す。
赤外透過層11Lは、カーボンブラックのような黒色顔料は含有させずに、互いに色が異なる有彩色の着色顔料の複数種類、例えば、赤色、黄色、青色を含有させることで、黒色など暗色を表現した層として形成することができる。
赤外透過窓11は、前記した通知窓3における通知窓パターン層4Pと同様に、赤外透過窓11専用の材料を用いることなく、遮光層2と同一材料で形成したパターン層としての赤外透過窓パターン層11Pの形態で形成することもできる。赤外透過窓パターン層11Pのパターンの非形成部で赤外光を透過させて、パターンの形成部で可視光を遮光する。
赤外透過窓パターン層11Pが、赤外透過窓11の部分の全面に形成する赤外透過層11Lに比べて有利な点は、赤外透過窓11専用の材料を用いることなく、遮光層2と同一材料でよく、遮光層2と同時形成できる為に、コストを掛けずに、赤外透過窓11を形成することができることである。
したがって、赤外透過窓パターン層11Pは、前述した通知窓パターン層4Pと共に遮光層2と同時に形成することもできる。もちろん、赤外透過窓パターン層11Pのパターンにおける開口部など非形成部の面積割合と、通知窓パターン層4Pにおけるパターンにおける開口部など非形成部の面積割合とは、独立に設定可能であり、各々に適した面積割合とするのが好ましい。
タッチパネル用の透明電極を設けて、透光性基板1をタッチパネル用基板と兼用しても良い。タッチパネル機能との一体化は、タッチパネルとして必要な機能の一部を一体化する形態でも、その分に応じた部品点数の低減、薄型化の効果は得られるが、タッチパネルとしての必要な機能の全部を一体化するのが、より好ましい。
タッチパネル機能の一部を一体化する場合、例えば、そのタッチパネル機能として位置検知用の透明電極が必要な方式では、この透明電極を一体化することができる。タッチパネルの位置検知方式は従来から各種知られており、透明電極が2層になる位置検知方式では、このうちの少なくとも1層を、より好ましくは2層を一体化するのが望ましい。
図6および図7に例示する通知窓付き表示装置用前面保護板10は、タッチパネル機能の一体化の一例である。
図6の断面図で示す通知窓付き表示装置用前面保護板10の実施形態では、遮光層2と、通知窓パターン層4Pからなる半透過通知窓層4から構成される通知窓3とを形成した側の一方の面S2の面上に、さらに、タッチパネル用の配線5および透明電極8を形成した構成例である。図6の断面図では図示していないが、図7の平面図は、図6の通知窓付き表示装置用前面保護板10を表側から見た図である。ここでのタッチパネル用の透明電極8は、投影型静電容量方式の電極である。図7の平面図中、赤外透過窓11は、赤外透過層11L又は赤外透過窓パターン層11Pとして形成されている。
本実施形態は、透光性基板1の遮光層2が形成された後の一方の面S2上に、第1のオーバーコート層6aが全面に形成されている。さらに、第1のオーバーコート層6aの面に、遮光層2が形成された不透明領域A2にそれ自体が不透明な配線5と、この配線5に電気的に接続する様に表示用領域A1から延びるタッチパネルの位置検知用の透明電極8のうちの第2の透明電極8bの一部が形成されている。同じく、第1のオーバーコート層6aの面に、透明電極8のうち第1の透明電極8aが、第2の透明電極8bと互いに電気的に絶縁されて形成されている。
第1の透明電極8a及び第2の透明電極8bは、ともに、中央の表示用領域A1内の位置検知領域から不透明領域A2の遮光層2に重なる部分まで延びて配線5に電気的に接続されている。
配線5は、図面では、第2の透明電極8bに対してのみ模式的に描いてあり、図示はしないが、第2の透明電極8bに接続する配線5も形成されている。
透明電極8の第1の透明電極8aおよび第2の透明電極8bも模式的に描いてある。
このため、第1の透明電極8aおよび第2の透明電極8bは、第1のオーバーコート層6aの面上において、互いに絶縁されて形成されている。
第1の透明電極8aおよび第2の透明電極8bのパターンは、投影型静電容量方式では各種パターンが知られており、特に限定はない。典型的には、複数の第1の透明電極8aが、第1の方向に延びて、この第1の方向に交差する方向、通常は直交する方向を第2の方向として、第2の透明電極8bが第2の方向に延びたパターンとなっている。また、本実施形態においても、第1の透明電極8aおよび第2の透明電極8bのパターンも、図7および図8の平面図で示すように、同様である。
ただし、図7(a)では、各透明電極8a,8bは、その大面積部のみを描いてあり、接続部及び取出し部の図示は省略してある。
配線5には、例えば、銀、金、銅、クロム、プラチナ、アルミニウム、パラジウム、モリブデンなどの金属(含むその合金)などを用いることができる。例えば、銀、パラジウム及び銅からなる合金(APCとも言う)の金属層としてスパッタ法により製膜後、フォトリソグラフィ法によりパターン形成したものを用いることができる。
前記金属層を形成するには、公知の薄膜形成法によることができる。例えば、スパッタ法、蒸着法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などの化学的気相成長法、等の気相成長法、或いは塗工法などである。
配線5の膜厚は、金属薄膜層の場合、例えば0.3〜2μm程度とすることができる。
ただ、フォトリソグラフィ法で金属薄膜層として形成することは、例えば1μm以下と薄くできる点、高精細に形成できる点で、好ましい。
第1のオーバーコート層6a、および第2のオーバーコート層6bは、互いに異なる材料で形成することもできるが、本実施形態においては、同一材料で形成してある。よって、本明細書において、これらを纏めて言うときは、単に「オーバーコート層6」とも呼ぶ。
オーバーコート層6は、表示に支障を来たさないように、透明な層として形成される。
オーバーコート層6は、特に透光性基板1がガラス製である場合に配線5同士間の絶縁性が経時的に低下するのを抑えたり、段差を軽減したりする必要があるときは、設けることが好ましい。
また、前記硬化性樹脂としては、遮光層2で述べた感光性樹脂などを用いることもできる。感光性樹脂の場合は、部分形成するときにフォトリソグラフィ法を利用することができる。
絶縁層7は、オーバーコート層6と同様の材料、方法で形成することができる。よって、さらなる説明は省略する。
透明電極8には、ITO(Indium Tin Oxide;インジウム錫酸化物)、IZO(Indium Zinc Oxide;インジウム亜鉛化物)、AZO(Aluminum Zinc Oxide;アルミニウム亜鉛酸化物)等の透明導電体薄膜をパターン形成したものを用いることができる。
図6の断面図で例示した実施形態の通知窓付き表示装置用前面保護板10を構成する各層は、例えば、次の様にして形成される。先ず、透光性基板1の一方の面S2に、所定パターンで非形成部を通知窓3の形状とし、この非形成部を通知窓パターン層4Pからなる半透過通知窓層4の形成と同時に同一材料で、遮光層2を形成する。赤外透過窓11の部分の赤外透過層11L或いは赤外透過窓パターン層11Pも、遮光層2の形成と同時に同一材料で形成する。
次に、遮光層2が形成された側の面全面に、第1のオーバーコート層6aを形成した後、遮光層2で隠れる位置に配線5をパターン形成する。次に、透明電極8として、第1の透明電極8aの全部と、交差部分が分断し欠損した第2の透明電極8bとを、同じ面に同時にパターン形成する。
次に、前記交差部分に絶縁層7をパターン形成し、この絶縁層7を跨いで、前記第2の透明電極8bの残りの欠損部分(接続部8bC)をパターン形成して第2の透明電極8bの全体を完成させる。最後に、第2のオーバーコート層6bを、配線5の一部を残して全面に形成することで、タッチパネル機能を一体化した通知窓付き表示装置用前面保護板10が製造される。
本発明による表示装置は、上記した通知窓付き表示装置用前面保護板10と、表示パネルとを備え、タッチパネルは備えないか備えた、表示装置である。
すなわち、本発明による表示装置は、上記した通知窓付き表示装置用前面保護板10と、タッチパネルと、表示パネルとを備え、このタッチパネルは位置検知用の透明電極8の周囲に有する不透明な配線5が前記通知窓付き表示装置用前面保護板10の遮光層2に重なり前記通知窓付き表示装置用前面保護板10側から目視不能となるように配置される構成であるか、
または、タッチパネル用の透明電極8も有する通知窓付き表示装置用前面保護板10と、表示パネルとを備えた構成である。
図9は、本発明による表示装置の実施形態例であり、同図に示す表示装置100は、図面上方の観察者V側の表側から順に、通知窓付き表示装置用前面保護板10、表示パネル30を備えている。
通知窓付き表示装置用前面保護板10は、前述した本発明による通知窓付き表示装置用前面保護板10である。より具体的に、この通知窓付き表示装置用前面保護板10はタッチパネル機能の一部として、さらに配線5と、透明電極8とを有し、この透明電極8として、図示はしないが、図6で例示した通知窓付き表示装置用前面保護板10のように第1の透明電極8aと第2の透明電極8bとを有する形態のものである。
しかも、通知窓付き表示装置用前面保護板10は、半透過通知窓層4と遮光層2とが同一材料で形成されているので、半透過通知窓層4と遮光層2とは同一工程で形成でき、工程数を増やさずに半透過通知窓層4を設けることができる。この結果、コスト増となるのを抑えて通知用の光の消灯時に通知窓の存在を通知窓3専用の材料を用いることなく目立ち難くすることができる。さらにタッチパネル機能が一体化しているので、部品点数が減り組み立て工数が少なくなり、この点でも、低コストなものとできる。
本発明の表示装置100は、上記した形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
図9で例示した実施形態による表示装置100では、通知窓付き表示装置用前面保護板10はタッチパネル機能の一部として、配線5と、透明電極8の第1の透明電極8aと第2の透明電極8bとが一体化している形態であった。
しかし、本発明においては、組み込もうとするタッチパネルが透明電極を備えた方式のものであり、しかもこの透明電極が、例えば抵抗膜方式のものであり、互いに絶縁された第1の透明電極8aと第2の透明電極8bとの2層が、互いに別々の基板上に形成される構造である場合は、図10に例示するように、このうちのいずれか一方の基板を通知窓付き表示装置用前面保護板10の透光性基板1と兼用する形態とすることができる。他方の透明電極が形成された基板は、通知窓付き表示装置用前面保護板10および表示パネル30とは別体のタッチパネル構成部材20aとして組み込んで、表示装置100を構成する。同図では、通知窓付き表示装置用前面保護板10が透明電極8aを備え、タッチパネル構成部材20aが透明電極8bを備える。
図11に例示するように、通知窓付き表示装置用前面保護板10と、タッチパネル20と、表示パネル30とから、表示装置100を構成してもよい。
図示はしないが、上記通知窓付き表示装置用前面保護板10は、不透明領域A2に配線5を備えることもできる。このように通知窓付き表示装置用前面保護板10が配線5も備える構成の場合には、配線5は、例えばセンサ接続用などとして用いることができる。
タッチパネル20は、中央の位置検知領域の外周部に、配線、制御回路、これらを電気的に接続するコネクタなどの何らかの不透明な構成要素を有する。これらの不透明な構成要素は、通知窓付き表示装置用前面保護板10の不透明領域A2の遮光層2に平面視において重なり、隠れる位置となるような、タッチパネル20と通知窓付き表示装置用前面保護板10との位置関係となっている。このため、これら配線などの不透明な構成要素が、表示装置100の外観を損なわない様にすることができる。
図9で例示した実施形態による表示装置100では、通知窓付き表示装置用前面保護板10と表示パネル30との間は、空隙を有し空気層が存在する構造となっているが、本発明においては、通知窓付き表示装置用前面保護板10と表示パネル30との間など、構成部材の間は、粘着剤層など樹脂層で埋め尽くしても良い。樹脂層によって部材表面での光反射が減ることで、表示をより見易くすることができる。
前記樹脂層には、粘着シート、塗布した樹脂液の固化層などを用いることができる。
前記粘着シートとしては、透明性に優れた光学グレードのものが好ましく、このような粘着シートとしては、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、シリコーン系粘着剤などからなるものを用いることができる。
本発明による通知窓付き表示装置用前面保護板10、および表示装置100の用途は、特に限定されない。例えば、スマートフォンなどの携帯電話、タブレットPCなどの携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション、デジタルカメラ、電子手帳、ゲーム機器、自動券売機、ATM端末、POS端末、などである。
2 遮光層
3 通知窓
4 半透過通知窓層
4D 異種材料半透過層
4L 遮光半透過層
4P 通知窓パターン層
5 配線
6 オーバーコート層
6a 第1のオーバーコート層
6b 第2のオーバーコート層
7 絶縁層
8 透明電極
8a 第1の透明電極
8b 第2の透明電極
9 可視情報
10 通知窓付き表示装置用前面保護板
11 赤外透過窓
11L 赤外透過層
11P 赤外透過窓パターン層
20 タッチパネル
20a タッチパネル構成部材
30 表示パネル
40 従来の表示装置用前面保護板
100 表示装置
200 従来の表示装置
A1 表示用領域
A2 不透明領域
L 通知用の光源
S1 他方の面
S2 一方の面
V 観察者
Claims (6)
- 中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられた外周部領域とを有し、この外周部領域に通知窓及び赤外透過窓を有する、通知窓及び赤外透過窓付き表示装置用前面保護板であって、
透光性基板と、この透光性基板の一方の面上の前記外周部領域の全域に設けられた遮光層と、を有し、前記通知窓及び赤外透過窓は、前記一方の面上の前記外周部領域内の前記遮光層に設けられ、
前記通知窓は、前記遮光層と同一材料で形成された1以上の形成部と、複数の非形成部とからなる通知窓パターン層として形成されている半透過通知窓層によって前記遮光層よりも遮光性が小さく、遮光性および透光性を有した部分として形成されており、
前記赤外透過窓は、前記遮光層と同一材料で形成された1以上の形成部と、複数の非形成部とからなる赤外透過窓パターン層として形成されている、
通知窓及び赤外透過窓付き表示装置用前面保護板。 - 中央の表示用領域と、この表示用領域の外周部に設けられた外周部領域とを有し、この外周部領域に通知窓及び赤外透過窓を有する、通知窓及び赤外透過窓付き表示装置用前面保護板であって、
透光性基板と、この透光性基板の一方の面上の前記外周部領域の全域に設けられた遮光層と、を有し、前記通知窓及び赤外透過窓は、前記一方の面上の前記外周部領域内の前記遮光層に設けられ、
前記通知窓は、前記遮光層と同一材料で形成された複数の形成部と、非形成部とからなる通知窓パターン層として形成されている半透過通知窓層によって前記遮光層よりも遮光性が小さく、遮光性および透光性を有した部分として形成されており、
前記赤外透過窓は、前記遮光層と同一材料で形成された複数の形成部と、非形成部とからなる赤外透過窓パターン層として形成されている、
通知窓及び赤外透過窓付き表示装置用前面保護板。 - 前記透光性基板の前記一方の面上に、さらに、タッチパネルの位置検知用の透明電極が、前記表示用領域から前記外周部領域の前記遮光層の部分に延びて設けられ、
前記外周部領域内に、前記透明電極に電気的に接続された配線が設けられている、請求項1または2に記載の通知窓及び赤外透過窓付き表示装置用前面保護板。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の通知窓及び赤外透過窓付き表示装置用前面保護板と、
表示パネルと、を備える、表示装置。 - 請求項1または2に記載の通知窓及び赤外透過窓付き表示装置用前面保護板と、
表示パネルと、を備え、
前記透光性基板の前記一方の面上に、タッチパネルの位置検知用の透明電極が設けられ、
前記遮光層上に、前記透明電極と接続された不透明な配線が設けられている、表示装置。 - 前記表示パネルが、液晶パネルまたは電界発光パネルである、請求項4または5に記載の表示装置。
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