JP2013132398A - 化粧料含浸用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】適度な密着性や所定の化粧料蒸散防止性と、良好な柔軟性、展開性および形状追従性と、をそれぞれ有する化粧料含浸用シートを提供する。
【解決手段】少なくとも首周りを覆う首周り部を含む化粧料含浸用シートであって、背中を覆う背中部、胸を覆うデコルテ部、右肩周りを覆う右肩部、および、左肩周りを覆う左肩部からなる群から選択される少なくとも一つをさらに含み、化粧料を含浸する繊維材料を含む繊維層と、化粧料の蒸散を防ぐ疎水性フィルムと、を積層してなり、繊維層および疎水性フィルムを部分的に積層するための熱圧着部が設けてあるとともに、当該熱圧着部における疎水性フィルムに、繊維層に向かって貫通する開口部が設けてあることを特徴とする化粧料含浸用シートである。
【選択図】図1

Description

本発明は、化粧料含浸用シートに関する。特に、皮膚に対して、適度な密着性や所定の化粧料蒸散防止性を有するとともに、良好な柔軟性や形状追随性を有する化粧料含浸用シートに関する。
従来、化粧水、保湿液、美容液等の化粧用薬液等を含浸させたシートを、フェイスマスクや目の下、鼻等の特定部位用マスクとして使用するシート状化粧料が各種提案されている。
一方、近年、胸元や、背中、肩を広く露出したデザインのファッションが、流行していることから、顔だけでなく、首や胸元等のスキンケアに対しても関心が高まっており、これらの部分へ適用するシート状化粧料についての要望が増加している。
そこで、例えば、胸元、肩、後頸部または背中をそれぞれ覆う部分を有し、日焼けした肌の消炎、保護用の化粧料を含浸するシート状化粧料が提案されている。
より具体的には、図13(a)に示されるように、首を通す部分102、胸元を覆う部分104、肩を覆う部分106、後頸部を覆う舌片状部分108を含んで構成され、肩に相当する位置の前後にそれぞれ切り込み110が設けられており、化粧料を含浸して使用するシート状化粧料120である(例えば、特許文献1)。
また、所定の成分を含んで、胸に適用されるシート状の胸用パックが提案されている。
より具体的には、図13(b)に示されるように、縁部の少なくとも一部が円弧状に湾曲しているとともに、湾曲縁部より内側に向けて切込みが設けられている胸用パック部132と、胸用パック部と連結し、胸元に適用される胸元用パック部134とを有する胸用パック体140である(例えば、特許文献2)。
一方、理髪店や、美容院などで、首周りから髪の毛が入るのを防いだり、シャンプー等により衣服が汚れたりするのを防止するために、美容用のケープが各種提案されている。
例えば、図13(c)に示されるように、肩、背中および胸の一部を覆うと共に、首の周囲に位置する略楕円形開口部152を有する美容用外衣160であって、外方に面している部分が吸湿性部材で形成され、内方に面している部分が防水性部材で形成されている美容用外衣160である(例えば、特許文献3)。
また、首周りに装着される襟状の首周り部と、開放可能な合わせ部を備えたケープ本体を有する理美容用ケープが提案されている。
より具体的には、図13(d)に示すように、ケープ本体172と、首周り部174とから構成され、首周り部に取り付けられる脱着可能で複数の紙状片からなる襟用品176を備えた理美容用ケープ180である(例えば、特許文献4)。
特開2005-289973号公報(特許請求の範囲等) 特開2003-73231号公報(特許請求の範囲等) 特開2004-183182号公報(特許請求の範囲等) 特許第3614805号(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1のシート状化粧料は、肩、胸、背中等の広範囲に渡って化粧料を含浸するにも関わらず、疎水性フィルムが存在しないため、化粧料を含浸した比較的大きな面積を有するシートを、所定の身体部位に広げることが困難であった。また、同様の理由から、化粧料蒸散防止を考慮する必要があり、シート使用時に化粧料にゲル化剤を配合する等の化粧料に対する制約が多くなるか、あるいは、垂れ落ち防止手段としてシート外縁に液吸収部を設ける等の対策をとらなければならないという問題が見られた。さらに、同様の理由から、化粧料が皮膚へ浸透し易くするための適度な密閉性が得られないという問題が見られた。
また、特許文献2の胸用パック体は、胸元用であって、首、肩および背中全体を一度にケアすることは意図しておらず、また、仮に、首、肩および背中全体に広げて、適用した場合には、疎水性フィルムが存在しないために、化粧料を含浸した比較的大きな面積を有するシートを、所定の身体部位に広げることは困難であるという問題が見られた。
また、化粧料蒸散防止のために、化粧料をゲル状にしているため、仮に、パック体を全身用に拡大した場合には、ゲル状化粧料が大量に必要になり、コストが高くなって、経済的に不利になるという問題が見られた。
また、特許文献3の美容用外衣は、防水性部材としてポリエチレンフィルムのみを用いているため、耐熱性に乏しいことから、熱圧着することができず、開口部を制御することができないという問題が見られた。
また、特許文献4の美容用ケープは、疎水性フィルム自体が存在しないために、熱圧着部や開口部を設けることは不可能であるという問題が見られた。
いずれにしても、特許文献3〜4の美容用外衣および理美容用ケープは、着用する人に不快感を与えることなく、髪、薬液等が、衣服に付着するのを防ぐことが重要であるため、首周りは、肌に密着することが求められるものの、その他の部位は、逆に肌に密着させないことが求められており、肌への密着性が必要な全身シートに転用することは困難であるという問題が見られた。
そこで、本発明の発明者らは、鋭意努力したところ、所定の化粧料含浸用シートにおいて、所定の形状を有し、繊維層および疎水性フィルムを部分的に熱圧着するための熱圧着部を設けるとともに、当該熱圧着部に対応して、所定の開口部(貫通孔)を設けることによって、上記問題点を解決できることを見出し、本願発明を完成させたものである。
すなわち、本願発明は、相反特性と考えられる、皮膚に対する適度な密着性や所定の化粧料蒸散防止性と、良好な柔軟性、展開性および形状追従性と、をそれぞれ有する化粧料含浸用シートを提供することを目的とする。
本発明によれば、少なくとも首周りを覆う首周り部を含む化粧料含浸用シートであって、背中を覆う背中部、胸を覆うデコルテ部、右肩周りを覆う右肩部、および、左肩周りを覆う左肩部からなる群から選択される少なくとも一つをさらに含み、化粧料を含浸する繊維材料を含む繊維層と、化粧料の蒸散を防ぐ疎水性フィルムと、を積層してなり、繊維層および疎水性フィルムを部分的に積層するための熱圧着部が設けてあるとともに、当該熱圧着部における疎水性フィルムに、繊維層に向かって貫通する開口部が設けてあることを特徴とする化粧料含浸用シートが提出され、上述の問題を解決することができる。
すなわち、このように、化粧料含浸用シートが、少なくとも首周り部を含み、かつ、背中部、デコルテ部、右肩部、および、左肩部からなる群から選択される少なくとも一つをさらに含む構成にすることにより、1枚のシートで、広範囲に渡って、所定の身体部位を効率的に覆うことができる。
また、疎水性フィルムの所定箇所に、熱圧着部を設けることにより、部分的接着であっても、疎水性フィルムおよび繊維層の界面において、適度に接着することができる。
さらに、疎水性フィルムが設けてあるとともに、その所定箇所に、所定の開口部が形成してあることから、皮膚への適度な密着性および、所定の化粧料蒸散防止性を有することができる。
その上、疎水性フィルム、ひいては、化粧料含浸用シートにおいて、良好な柔軟性、展開性および形状追従性を得ることができる。
また、本発明において、熱圧着部とは、疎水性フィルムに形成された開口部の下方に位置し、熱圧着によって、繊維層の一部と、疎水性フィルムの一部とが溶着している箇所を意味している。
また、本発明において、疎水性フィルムとは、水となじみにくい性質を有する所定材料から構成されたフィルムであれば基本的に該当するが、より具体的には、JIS K 6768に準拠して測定される接触角が60°以上であるフィルムを意味している。
また、本発明の化粧料含浸用シートを構成するにあたり、背中部、デコルテ部、右肩部および左肩部からなる群から選択される少なくとも一つと、首周り部と、の境界部分、あるいは、背中部と、デコルテ部と、右肩部と、左肩部と、のそれぞれの境界部分または、内部の少なくとも一つに、切り込みを設けることが好ましい。
このように、首周り部と、その他の部位との境界部分に切込を設けることにより、1枚のシートで、首周り部のみならず、広範囲に渡って、身体部位を覆うことができる。
また、このように、シートのそれぞれの部位の境界部分または内部に、切り込みを設けることにより、化粧料を含浸した化粧料含浸用シートを、化粧料が頭や顔に触れることなく、装着することができ、また、立体的な身体を、効率的に覆って密着させることができる。
また、本発明の化粧料含浸用シートを構成するにあたり、疎水性フィルムを、厚さが0.1〜15μmであるポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、または厚さが5〜30μmであるポリウレタン樹脂フィルムとすることが好ましい。
このような種類および厚さの疎水性フィルムを備えることにより、所定の化粧料蒸散防止性と、良好な柔軟性、展開性および形状追従性と、機械的強度等と、の間のバランスをさらに良好なものとすることができる。
また、本発明の化粧料含浸用シートを構成するにあたり、繊維材料を、綿、レーヨンまたはキュプラとすることが好ましい。
このように構成することにより、所定の化粧料を効率的に吸収したり、保持したりすることができ、さらには、首周り部およびその他の所定の部位に適用した場合に、良好なスキンケア効果を所定時間にわたって発揮することができる。
また、本発明の化粧料含浸用シートを構成するにあたり、開口部の孔径を0.05〜3mmの範囲内の値とすることが好ましい。
このような孔径を有する開口部を設けることによって、疎水性フィルムおよび繊維層との間の適度な接着性と、化粧料含浸用シートにおける所定の化粧料蒸散防止性および良好な柔軟性、展開性および形状追従性と、の間のバランスを、さらに良好なものとすることができる。
また、本発明の化粧料含浸用シートを構成するにあたり、開口部の個数密度を2〜70個/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
このような個数密度を有する開口部を設けることによって、疎水性フィルムおよび繊維層との間の適度な接着性と、化粧料含浸用シートにおける所定の化粧料蒸散防止性および好な柔軟性、展開性および形状追従性と、の間のバランスを、さらに良好なものとすることができる。
また、本発明の化粧料含浸用シートを構成するにあたり、疎水性フィルムにおけるJIS K 6768に準拠して測定される接触角を60°以上の値とすることが好ましい。
このような接触角を有する疎水性フィルムを備えることにより、所定の開口部を備えながら、化粧料の空気中への蒸散をさらに効果的、定量的に制御することができる。
また、本発明の化粧料含浸用シートを構成するにあたり、繊維層の目付を10〜300g/m2の範囲内の値とすることが好ましい。
このように繊維層の目付を制限することにより、所定の化粧料を効率的に吸収したり、保持したりすることができ、首周り部およびその他の所定の部位に適用した場合に、皮膚への刺激性を低減し、使い勝手性をさらに良好なものとすることができる。
図1(a)〜(d)は、本願発明の化粧料含浸用シートの態様を説明するために供する図である。 図2(a)〜(d)は、本願発明の化粧料含浸用シートの態様の好適例を説明するために供する図である。 図3(a)〜(c)は、本願発明の化粧料含浸用シートの態様の好適例を説明するために供する図である。 図4(a)〜(b)は、本願発明の化粧料含浸用シートの態様の適用例を説明するために供する図である。 図5(a)〜(b)は、本願発明の化粧料含浸用シートの断面図および平面斜視図である。 図6(a)〜(b)は、本願発明の化粧料含浸用シートにおける開口部の形成パターン例をそれぞれ説明するために供する図である。 図7(a)〜(c)は、本願発明の化粧料含浸用シートにおける開口部の孔径例をそれぞれ説明するために供する図である。 図8(a)〜(b)は、本願発明の化粧料含浸用シートにおける開口部の側面形状例をそれぞれ説明するために供する図である。 図9(a)〜(b)は、化粧料含浸用シートの開口部を含む表面状態を説明するために供する図である。 図10(a)〜(b)は、実施例1の化粧料含浸用シートにおける非熱圧着部および熱圧着部における繊維層の状態をそれぞれ説明するために供する図(写真)である。 図11(a)〜(b)は、本願発明の化粧料含浸用シートの変形例を説明するために供する図である。 図12は、本願発明の化粧料含浸用シートの製造装置(熱圧着装置)を説明するために供する図である。 図13(a)〜(d)は、それぞれ従来の薬液含浸シート等を説明するために供する図である。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、少なくとも首周りを覆う首周り部を含む化粧料含浸用シートであって、背中を覆う背中部、胸を覆うデコルテ部、右肩周りを覆う右肩部、および、左肩周りを覆う左肩部からなる群から選択される少なくとも一つをさらに含み、化粧料を含浸する繊維材料を含む繊維層と、化粧料の蒸散を防ぐ疎水性フィルムと、を積層してなり、繊維層および疎水性フィルムを部分的に積層するための熱圧着部が設けてあるとともに、当該熱圧着部における疎水性フィルムに、繊維層に向かって貫通する開口部が設けてあることを特徴とする化粧料含浸用シートである。
より具体的には、図1(a)〜(d)に例示するように、首周りを覆う首周り部2と、背中を覆う背中部4、胸を覆うデコルテ部6、右肩周りを覆う右肩部9、左肩周りを覆う左肩部8からなる群から選択される少なくとも一つとをさらに含む化粧料含浸用シート10である。
また、図5(a)または(b)に例示するように、当該化粧料含浸用シートは、所定の繊維層12と、所定の疎水性フィルム14と、が積層された状態で、部分的に熱圧着されて、所定配列パターンを描くように、複数の熱圧着部18(存在場所の参考理解のため、熱圧着部を点線円で描いている。)が形成されており、疎水性フィルム14と、繊維層12と、の間で適度な接着性を得ることができる。
そして、疎水性フィルム14における複数の熱圧着部18に対応して、それぞれ所定の開口部16が形成してあることから、かかる開口部16の縁16aに、熱溶融した疎水性フィルム14の一部が流出しつつ、繊維層12と接合し、熱圧着部18としての機能を発揮するとともに、開口部16の存在が、疎水性フィルム14、ひいては化粧料含浸用シート10の柔軟性、展開性および形状追従性を調整し、それらを良好なものとしている。
以下、本発明の第1の実施形態である化粧料含浸用シートを、図面を適宜参照して、具体的に説明する。
1.疎水性フィルム
(1)種類
疎水性フィルムの種類としては、特に制限されるものではないが、具体的に、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フェノキシ樹脂等の一種単独または二種以上の組み合わせからなる疎水性フィルムを用いることができる。
そして、ポリエチレンテレフタレート樹脂またはポリウレタン樹脂からなる疎水性フィルムを用いることがより好ましい。
この理由は、このような疎水性フィルムは汎用性が高く、経済的に有利であるばかりか、これらの疎水性フィルムを用いることにより、強度および柔軟性の両方の性質を兼ね備えた化粧料含浸用シートとすることができるためである。
また、疎水性フィルムを備えることにより、化粧料を含浸した状態で折り畳んでパッケージングされている化粧料含浸用シートを容易に展開して、装着することができるためである。
なお、従来、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムは、製膜の際にピンホール等が生じやすいことから、厚さ5μm以下のフィルム化が困難であったため、良好な柔軟性や形状追随性が求められる全身に適用可能なシートに使用できないという問題が見られた。
しかしながら、本発明によれば、所定厚さのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いるとともに、所定の開口部を形成することによって、所定強度を有するともに、柔軟性、展開性および形状追従性に優れた疎水性フィルムを得ることができる。
また、ポリウレタン樹脂からなる疎水性フィルムを用いた場合には、極めて伸縮性に富んだ化粧料含浸用シートとすることができる。
なお、従来、ポリウレタン樹脂フィルムは、製膜の際にピンホール等が生じたり、機械的強度が乏しかったりすることから、厚さが10μm以下のフィルム化が困難であり、良好な柔軟性や形状追従性が求められる全身に適用可能なシートに使用することができないという問題が見られた。
しかしながら、本発明によれば、所定厚さのポリウレタン樹脂フィルムを用いるとともに、所定の開口部を形成することによって、所定強度を有するともに、柔軟性、展開性および形状追従性に優れた化粧料含浸用シートを得ることができる。
また、このような疎水性フィルムを備えることにより、化粧料を含浸した状態で折り畳んでパッケージングされている化粧料含浸用シートを容易に展開して、装着することができる。
(2)厚さ
また、疎水性フィルムの厚さについても、化粧料の蒸散防止性や機械的強度、あるいは開口部の形成性等を考慮して定めることができるが、通常、0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる厚さの範囲内の値であれば、化粧料の蒸散を効果的に防止することができるとともに、所定の柔軟性や機械的強度、あるいは精度良く開口部を形成することができるためである。
また、かかる厚さの範囲内であれば、比較的大きな化粧料含浸用シートであるにも関わらず、製造時に折り畳んでパッケージング袋に収納する際に、折り畳みやすくすることができ、かつ、使用時に、化粧料を含浸したシートを展開し易くすることができる。
したがって、疎水性フィルムの厚さを1〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましく、2〜20μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
但し、疎水性フィルムの種類によって、その厚さを変更することが好ましい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いる場合には、その厚さを0.1〜15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いる場合、厚さが0.1μm未満の値となると均一なフィルム状に成形することが困難となる場合があるためである。一方、かかる厚さが15μmを超えると、柔軟性が低下したり、開口部を精度よく形成したりすることが困難となる場合があるためである。
また、かかる厚さが、15μmを超えると、比較的大きな全身用シートを折り畳んでパッケージングすることが困難となる場合があるためである。
したがって、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いる場合、その厚さを0.5〜6μmの範囲内の値とすることが好ましく、1〜3μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、ポリウレタン樹脂フィルムを用いる場合には、その厚さを5〜30μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ポリウレタン樹脂の厚さが5μm未満の値となると、均一なフィルム状に成形することが困難となり、また十分な機械的強度や取扱性を得ることが困難となる場合があるためである。
一方、かかる厚さが30μmを超えると、伸縮性や形状追従性が低下し、凹凸のある立体的部分に効果的に貼付することが困難となる場合があるためである。
また、かかる厚さが、30μmを超えると、比較的大きな全身用シートを折り畳んでパッケージングすることが困難となる場合があるためである。
したがって、ポリウレタン樹脂フィルムを用いる場合、その厚さを7〜25μmの範囲内の値とすることが好ましく、10〜20μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
(3)疎水性
また、疎水性フィルムにおける疎水性の目安として、疎水性フィルムのJIS K 6768に準拠して測定される接触角(測定温度:25℃、測定試料:純水)を60°以上の値とすることが好ましい。
この理由は、所定条件下において測定される疎水性フィルムの接触角をかかる範囲内の値とすることにより、繊維層内に含浸された化粧料が空気中に蒸散するのを効果的に防止し、化粧料含浸用シートを首周り部およびその他所定の部位に適用した場合、皮膚に対して、適度な密閉性を保つことができ、化粧料を十分かつ長時間にわたって供給することができるためである。
より具体的には、疎水性フィルムの接触角が60°未満の値となると、化粧料が空気中に過度に蒸散する場合があって、化粧料含浸用シートを長時間にわたって使用することが困難となる場合があるためである。
但し、疎水性フィルムの接触角が過度に大きくなると、使用可能な疎水性フィルムの種類が制限されたり、使用可能な化粧料が制限されたりする場合がある。
したがって、疎水性フィルムの接触角を65〜95°の範囲内の値とすることがより好ましく、70〜90°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)表面加工
また、疎水性フィルムの表面に、表面加工(エンボス加工等)によって、凹凸パターンを施すことも好ましい。
この理由は、所定のエンボス加工を施すことにより、化粧料含浸用シートの使用時の柔軟性や伸縮性をさらに向上させたり、開口部の大きさを調整して、化粧料蒸散防止性を低下させたり、向上させたりすることができるためである。
2.熱圧着部
(1)開口部
また、図5(a)に示すように、疎水性フィルム14と、繊維層12と、を適度に接合するため、複数の熱圧着部18が設けてあり、それらに対応して、疎水性フィルム14に、繊維層12に向かって貫通する開口部16が設けてあることを特徴とする。
この理由は、疎水性フィルムの熱圧着部に対応した複数箇所において、それぞれ所定の開口部を設けることにより、疎水性フィルム自体の柔軟性や形状追随性、ひいては化粧料含浸用シートの柔軟性、展開性および形状追従性を調節することができるためである。
したがって、疎水性フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム等を用いた場合であっても、全身用シートとして使用した場合に、良好な使用感を得ることができる。
その上、熱圧着部に対応して開口部を設けることによって、視覚性を向上させることができる。すなわち、開口部を有していない熱圧着部の場合、変色したり、変形したりすることから、化粧料含浸用シートの美観を損ないやすいためである。
(2)開口部の配置パターン
また、複数の開口部の配置パターンについても、特に制限されるものでなく、例えば、図5(b)に示すような格子状、あるいは、図示しないものの、千鳥状、直線ライン状、川状、らせん状、同心円状、さらには、不規則パターンであっても良い。
但し、複数の開口部の配置パターンを、図5(b)に示すような格子状や他の規則パターンとした場合、後述する開口部の孔径や、隣接距離を調節して、疎水性フィルム、ひいては化粧料含浸用シートの柔軟性、展開性および形状追従性の調節が容易になるという利点がある。
一方、疎水性フィルム14の全面に、開口部16を必ずしも形成する必要はなく、良好な柔軟性、展開性および形状追従性を望む箇所を選択して形成することも好ましい。
例えば、図6(a)に示すように、疎水性フィルム14´を、上領域14a´、中領域14b´、下領域14c´に三等分して、開口部16´を上領域14a´および下領域14c´にのみ形成し、中領域14b´には形成しない態様とすることが好ましい。
あるいは、図6(b)に示すように、疎水性フィルム14´´を、上領域14a´´、中領域14b´´、下領域14c´´に三等分して、開口部16´´を中領域14b´´にのみ形成し、上領域14a´´および下領域14c´´には形成しない態様とすることも好ましい。
なお、開口部の配置パターンを決定する上で、図7に示すように、隣接する開口部の中心間距離、すなわち、開口部のピッチの大きさが問題となるが、当該開口部のピッチ(d2)を0.5〜20mmの範囲内の値とすることが好ましい。
すなわち、開口部のピッチ(d2)が0.5mm未満の値になると、隣接する開口部間に存在する疎水性フィルムの幅が過度に小さくなったり、逆に、存在可能な開口部の孔径が過度に小さくなったりして、疎水性フィルムや化粧料含浸用シートの柔軟性や形状追随性の調節が困難となる場合があるためである。
一方、開口部のピッチ(d2)が20mmを超えた値になると、隣接する開口部間に存在する疎水性フィルムの幅が過度に大きくなったり、逆に、存在可能な開口部の孔径が過度に大きくなったりして、同様に、疎水性フィルムや化粧料含浸用シートの柔軟性や形状追随性の調節が困難となる場合があるためである。
したがって、開口部のピッチ(d2)を1〜10mmの範囲内の値とすることがより好ましく、2〜5mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)開口部の平面形状
また、開口部の平面形状についても、特に制限されるものではないが、通常、円形、楕円、長円、四角形、ひし形、三角形、星型、異形のいずれかであることが好ましい。
より具体的には、図7(a)に示すように、開口部16の形状として円形や、図7(b)に示すように、四角形であることが好ましい。
この理由は、このような平面形状を有する開口部であれば、安定的に形成することができるとともに、疎水性フィルム、ひいては化粧料含浸用シートの柔軟性、展開性および形状追従性の調整も容易になるためである。
さらに、後述する実施例の態様として、図9(b)に示すように、開口部16の形状が長円であれば、安定的に形成することができるとともに、疎水性フィルム14、ひいては、化粧料含浸用シート10における幅方向の伸長率および長さ方向の伸長率に関して、異方性をもたせることができるためである。
(4)開口部の孔径
また、開口部の孔径(d1)を0.05〜3mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる大きさであれば、疎水性フィルム14の機械的強度や化粧料蒸散防止性を過度に低下させることなく、疎水性フィルム、ひいては化粧料含浸用シートの柔軟性や形状追随性を容易に制御することができるためである。また、かかる大きさであれば、疎水性フィルムと、繊維層と、の間で適度な接着性が得られるためである。
したがって、疎水性フィルムの開口部の孔径(d1)を0.1〜1mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.2〜0.8mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、開口部の孔径(d1)とは、所定形状の開口部における直径(円相当径)を意味している。
したがって、例えば、図7(a)に示すように、開口部の形状が円形である場合には、そのまま直径が孔径(d1)となり、図7(b)に示すように、形状が四角形である場合には、同一面積を有する円に相当する直径(円相当径)を意味することになる。
さらに、開口部の孔径(d1)は、疎水性フィルム14の全面において、必ずしも同一とする必要はなく、良好な柔軟性、展開性および形状追従性を望む箇所を適宜選択して、変更することも好ましい。
例えば、図7(c)に示すように、疎水性フィルム14´´´を、上領域14a´´´、中領域14b´´´、下領域14c´´´に三等分して、上領域14a´´´の開口部16の孔径(d1)を最も小さく、次いで、中領域14b´´´の開口部16の孔径(d1)をそれよりも大きくし、さらに、下領域14c´´´の開口部16の孔径(d1)を大きくすることが好ましい。
このように構成することによって、上方から下方に向かって、柔軟性や形状追随性が順次良好となる疎水性フィルム14´´´とすることができる。
(5)開口部の縁
また、図5(a)、(b)等に示すように、開口部16の周囲に所定高さおよび所定幅を有する突起状の縁16aを設けることが好ましい。
この理由は、かかる開口部の突起状の縁によって、化粧料が所定場所以外に流出するのを有効に防止することができる。
したがって、具体的に、開口部の縁の高さを0.05〜5mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.1〜3mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.2〜2mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、同様に、開口部の縁の幅を0.01〜1mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.05〜0.5mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.08〜0.2mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、開口部の縁の高さや幅は、針状物の加熱温度、押圧圧力、あるいは押圧速度(繊維層および疎水性フィルムの移動速度)等を調整することによって、容易に制御することができる。
但し、開口部の縁が不必要な場合には、熱プレス等によって、所定の熱および圧力を付加して、かかる開口部の縁を平坦化することも好ましい。
(6)開口部の個数密度
また、開口部の個数密度(存在密度または存在割合)を2〜70個/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、開口部の個数密度が2個/cm2未満の値となると、疎水性フィルム、ひいては化粧料含浸用シートの柔軟性や形状追随性が著しく乏しくなったり、疎水性フィルムと、繊維層と、の間の接着性が低下したりする場合があるためである。
一方、開口部の個数密度が70個/cm2を超えると、開口部を安定的に形成することが困難となったり、化粧料蒸散防止性が過度に低下したりする場合があるためである。
したがって、疎水性フィルムの開口部の個数密度を20〜65個/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜60個/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、複数の開口部の個数密度は、疎水性フィルムの全面において、必ずしも同一とする必要はなく、良好な柔軟性、展開性および形状追従性を望む箇所を適宜選択して、かかる個数密度を大きくすることも好ましい。
(7)開口部の面積割合
また、疎水性フィルムにおける開口部の面積割合、すなわち、疎水性フィルムの単位面積(100%)あたりにおける、複数の開口部の合計面積の割合を1〜30%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、開口部の面積割合が1%未満の値となると、疎水性フィルム、ひいては化粧料含浸用シートの加工が困難となる場合があるためである。
一方、開口部の面積割合が30%を超えると、開口部を安定的に形成することが困難となったり、化粧料蒸散防止性が過度に低下したりする場合があるためである。
したがって、疎水性フィルムにおける開口部の面積割合を5〜25%の範囲内の値とすることがより好ましく、7〜20%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、複数の開口部の面積割合は、疎水性フィルムの全面において、必ずしも同一とする必要はなく、良好な柔軟性や形状追随性を望む箇所を適宜選択して、かかる面積割合を増減することも好ましい。
(8)開口部の側面形状
また、開口部の側面形状についても、特に制限されるものではないが、図8(a)に示すように、柱状、または、図8(b)に示すように、圧着部から開口部に向かって孔径が大きくなるテーパ状とすることが好ましい。
この理由は、かかる柱状またはテーパ状の側面形状であれば、加熱状態の針状物等を用いて、安定的かつ精度良く形成することができるためである。
3.繊維層
(1)繊維材料
また、繊維層を構成する繊維材料の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、コットン、パルプ、シルク、レーヨン、キュプラ、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、リヨセル等の一種単独または二種以上の組み合わせであることが好ましい。
そして、後述するように、接触角が所定値以下の親水性繊維材料を含んでなる親水性繊維層であることが好ましい。
すなわち、このような親水性繊維層であれば、化粧料と馴染んで、十分に含浸できるとともに、安定的に保持することが可能であって、全身用シートとして使用した場合に、長期間にわたって良好な使用感を得ることができる。
また、繊維材料を含んでなる繊維層は、柔軟性や形状追従性を有するシート状物であれば特に限定されないものの、例えば織物、編物、不織布、紙類が好ましい。
すなわち、このような形態の繊維層であれば、化粧料を十分に含浸できるとともに、皮膚への刺激性を低減することができる。
そして、比較的安価であって、かつ、疎水性フィルムとの熱圧着が容易であることから、繊維層を不織布から構成することがより好ましい。
また、繊維材料の直径を0.1〜30μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる繊維材料の直径が0.1μm未満の値となると、取り扱いが困難となったり、機械的強度が低下したり、さらには、繊維層を構成した場合に、化粧料を適度に吸収することが困難となったりする場合があるためである。
一方、かかる繊維材料の直径が30μmを超えると、化粧料含浸用シートを構成した場合に、柔軟性や形状追随性が低下する場合があるためである。
したがって、かかる繊維材料の直径を0.5〜20μmの範囲内の値とすることが好ましく、1〜15μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
(2)目付
また、繊維層の目付を10〜300g/m2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる目付が10g/m2未満の値となると、化粧料を繊維層に十分に含浸することが困難となり長時間に渡って使用することができない場合があるためである。
一方、かかる目付が300g/m2を超えると、過度に化粧料を含浸して液だれを生じたり、使用時に、化粧料含浸用シートの重量が過度に重くなり、使用時に落下したり、さらには、製造時に折り畳んでパッケージング袋に収納することが困難となり、使い勝手性や取扱性が低下する場合があるためである。
したがって、かかる繊維層の目付を30〜200g/m2の範囲内の値とすることが好ましく、50〜120g/m2の範囲内の値とすることがより好ましい。
(3)親水性
また、繊維材料が親水性繊維材料である場合、その親水性の目安として、JIS K 6768に準拠して測定される接触角(測定温度:25℃、測定試料:純水)を10〜60°未満の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる接触角の値が10°未満の値になると、使用可能な親水性繊維の種類が制限されるばかりでなく、使用可能な化粧料も制限される場合があるためである。
一方、親水性繊維材料の接触角が60°を超えると、疎水性繊維材料となって化粧料を繊維層に対して十分に含浸させることができず、使用時に液だれが生じ、使い勝手が低下する場合があるためである。
したがって、親水性繊維材料の接触角を15〜58°の範囲内の値とすることが好ましく、20〜55°の範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、親水性繊維材料の接触角は、JIS K 6768に準拠して測定されるが、所定溶剤を用いて、親水性繊維を溶解または分解し、それを所定厚さのフィルムとしてから測定することができる。
(4)厚さ
また、繊維層の厚さを、通常、10〜2000μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、繊維層の厚さが10μm未満の値となると、化粧料を十分に含浸させることができなくなったり、取り扱い性が低下したりする場合があるためである。
一方、繊維層の厚さが2000μmを超えると、柔軟性や形状追従性が乏しくなったり、使い勝手性が低下したりするためである。
すなわち、かかる厚さの範囲内であれば、比較的大きな化粧料含浸用シートであるにも関わらず、製造時に折り畳んでパッケージング袋に収納する際に、折り畳みやすくすることができ、かつ、使用時に、化粧料を含浸したシートを展開し易くすることができる。
したがって、繊維層の厚さを30〜1000μmの範囲内の値とすることが好ましく、50〜500μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
4.化粧料
また、繊維層に含浸させる化粧料の種類は、化粧料含浸用シートの用途等を考慮して適宜変更可能であるが、全身用シートとして使用できることから、化粧用薬液または医療用薬液であることが好ましい。
そして、これらの内容成分についても、特に限定されるものではないが、化粧用薬液であれば、化粧水、保湿液、美白液、クレンジング液、パック液、痩身成分、制汗成分などが好ましく、医療用薬液であれば、冷却剤、保温剤、湿布剤、消毒剤、血行促進剤などが好適である。
5.用途
また、本発明の化粧料含浸用シートの用途は、特に限定されるものではなく、人体の各種部分に貼付して、所定化粧料を供給するのに適している。
特に、相反特性である良好な柔軟性や形状追従性と、所定の化粧料蒸散防止性と、を有することから、首周り部および、背中部、デコルテ部、右肩部または左肩部など比較的広範囲に渡って、化粧料を供給するための全身用シートとして用いることを特徴とする。
また、本発明において、背中部およびデコルテ部は、ウエストから上部の範囲を意味し、右肩部および左肩部は、上腕部(二の腕)を含んでもよい肩部分を意味している。
なお、図1〜3に、本願発明の化粧料含浸用シートの具体例を示す。
すなわち、図1(a)は、平面形状が、略長方形であって、首周り部2と、背中部4と、デコルテ部6と、右肩部9と、および、左肩部8とを含む一枚のシート状であり、首周り部に沿って、切り込み22が設けてあるとともに、背中部の内部に切り込み24が設けてある態様である。
このように構成することにより、製造時、端切れを出すことなく、原反から効率的にシートを得ることができ、経済的に有利にすることができる。
また、図1(b)は、平面形状が、略半円形であって、首周り部に沿って、切り込み22が設けてあり、デコルテ部6およびデコルテ部6’を合わせて、上半身を覆うことができる態様である。このように構成することにより、化粧料を含浸した化粧料含浸用シートを上半身に容易に装着することができる。
また、図1(c)は、平面形状が、多角形であって、首周り部と、背中部の境界部分に切り込み22が設けてあり、また、背中部と、肩部の境界部分に切り込み24が設けてある態様である。このように構成することにより、首周り、背中および肩、二の腕を集中的に被覆することができる。
また、図1(d)は、平面形状が、略半楕円状であって、首周り部に沿って、切り込み22がもうけてあり、デコルテ部6から肩部にかけて被覆することができる態様である。このように、構成することにより、デコルテ部を集中的に被覆することができる。
また、図2(a)は、平面形状が、略円形であって、首周り部と、背中部と、デコルテ部と、右肩部と、および、左肩部とを含む一枚のシート状であって、首周り部に沿って、切り込み22が設けてあるとともに、背中部の内部に切り込み24が設けてある態様である。このように構成することにより、首周り部および背中部とデコルテ部を広範囲に渡って覆うことができ、かつ、二の腕も十分に被覆することができる。
また、図2(b)は、平面形状が、略長方形であって、首周り部に沿って、切り込み22が設けてあり、デコルテ部6およびデコルテ部6’を合わせて、上半身を覆うことができる態様である。このように構成することにより、形状がシンプルであるため、効率的に製造することができる。
また、図2(c)は、平面形状が、略正方形であって、首周り部と、背中部と、デコルテ部と、右肩部と、および、左肩部とを含む一枚のシート状であって、首周り部に沿って、切り込み22が設けてあるとともに、背中部の内部およびデコルテ部と、右肩部と、背中部と、左肩部のそれぞれの境界部分に、切り込み24、24’、24’’、24’’’、24’’’’が設けてある態様である。このように構成することにより、首周り部、背中部、デコルテ部を広く被覆することがでる。
また、図2(d)は、平面形状が、略長方形であって、首周り部と、背中部と、デコルテ部と、右肩部と、左肩部とを含む1枚のシート状であって、首周り部に沿って、切り込み22が設けてあると共に、デコルテ部の内部に切り込み24が設けてある態様である。このように構成することにより、デコルテ部をより集中的に被覆することができる。
また、図3(a)は、平面形状が、略楕円形であって、首周り部と、背中部と、デコルテ部と、右肩部と、および、左肩部と、を含む一枚のシート状であって、首周り部に沿って、切り込み22が設けてあるとともに、背中部の内部に切り込み24が設けてある態様である。このように構成することにより、首周り部、背中部、デコルテ部を広範囲にわたって、集中的に被覆することができる。
また、図3(b)は、平面形状が、略楕円形であって、首周り部と、背中部と、デコルテ部と、右肩部と、および、左肩部とを含む一枚のシート状であって、首周り部に沿って、切り込み22が設けてあるとともに、背中部の内部およびデコルテ部と、右肩部と、背中部と、左肩部のそれぞれの境界部分に、切り込み24、24’、24’’、24’’’、24’’’’が設けてある態様である。このように構成することにより、切り込が適宜入っているため、所望の部所を的確に被覆することができる。
また、図3(c)は、平面形状が、略長方形であって、首周り部と、背中部と、デコルテ部と、右肩部と、および、左肩部とを含む一枚のシート状であって、首周り部に沿って、切り込み22が設けてあるとともに、背中部と右肩部の境界部分に切り込み24が設けてある態様である。このように構成することにより、背中部とデコルテ部を特に集中して広範囲にわたって被覆することができる。
また、図4(a)〜(b)に、本発明の化粧料含浸用シートの好適な使用例を示す。
すなわち、図4(a)は、図1(a)に示す化粧料含浸用シートを人の上半身に適応した態様である。このように構成することにより、化粧料を含浸した化粧料含浸シートを、化粧料を顔や頭に触れることなく、所定部位に装着することができ、首周りおよびデコルテ部、肩部、背中部を全体的に被覆することができる。
また、図4(b)は、図1(c)に示す化粧料含浸用シートを人の背中および上腕部に適用した態様である。このように構成することにより、首周り、背中および肩、二の腕を集中的に被覆することができる。
6.大きさ
また、本発明の化粧料含浸用シートの大きさとしては、略長方形の場合、縦30〜100cm、横30〜100cmの範囲内の値とすることが好ましく、縦40〜90cm、横60〜80cmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、略円形の場合、直径30〜80cmの範囲内の値とすることが好ましく、直径35〜60cmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、略楕円形の場合、長径40〜100cm、短径20〜60cm、の範囲内の値とすることが好ましく、長径60〜80cm、短径35〜50cm、の範囲内の値とすることがより好ましい。
このような大きさにすることによって、首周り部および上半身に好適に適用することができるためである。
また、比較的大きな面積を有しているため、1枚のシートで所望の各部位を効率的に覆うことができるためである。
7.変形例
(1)接着剤層
また、図11(a)に示すように、繊維層12と、疎水性フィルム14と、の間に接着剤層(プライマー層や表面改質層を含む)13を介して積層した状態で、部分的に熱圧着して、複数の熱圧着部18が形成してあることが好ましい。
このように接着剤層13を設けることによって、繊維層12と、疎水性フィルム14と、の間の位置ずれが少なくなって、所定の開口部16を精度良く形成することができるためである。
また、このように接着剤層13を設けることによって、繊維層12と、疎水性フィルム14と、の間の接着力を向上させることができるとともに、化粧料含浸シートの柔軟性や形状追随性等についても、より容易に調整することができるためである。
ここで、接着剤層13の厚さとしては、その種類にもよるが、通常、1〜100μmの範囲内の値とすることが好ましく、5〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜30μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、接着剤層13を構成する接着剤の種類についても特に制限されるものではないが、例えば、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤、オレフィン系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリエステル系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられる。
なお、接着剤層13の形成方法として、ホットメルト接着剤を、溶融させながら塗布しても良いが、溶剤を使用して、含浸させたり、スプレー塗布したりすることも好ましい。
(2)装飾層
また、図11(b)に示すように、疎水性フィルム14の表面に、装飾層(着色層を含む)15を形成し、当該装飾層にも、部分的な熱圧着によって、複数の開口部16が形成してあることが好ましい。
この理由は、使用時に外面に位置する疎水性フィルムに、着色を施したり、装飾を施したり、さらには、文字等を印刷することによって、化粧料含浸用シートにおける外観性や美観性、あるいは情報性が向上するためである。
例えば、ピンク色等のパステルカラーに着色したり、花柄模様等を施したり、所定番号等を印字することが好ましい。
なお、装飾層15の形成方法として、予め装飾層15を備えた疎水性フィルム14を用いるのが好ましいが、後加工して、所定塗料を塗布したり、着色テープ等を積層したりして、形成することも好ましい。
8.製造方法
本発明の化粧料含浸用シートの製造方法を、図12に示す熱圧着装置100を参照しながら、具体的に説明する。
(1)準備工程
準備工程は、化粧料含浸用シートの構成材料である繊維層および疎水性フィルムを準備する工程である。
すなわち、図12に示すように、ロール状の疎水性フィルム14aと、ロール状の繊維層12aと、を準備して、それぞれ巻き出し位置に設置することが好ましい。
そして、巻き出し位置から長尺状の疎水性フィルム14と、長尺状の繊維層12をそれぞれ繰り出して、位置合わせしながら、仮圧着ロール52、54を用いて、相互に積層(仮圧着)することが好ましい。
なお、仮圧着ロール52、54の両方、またはいずれか一方を所定温度、例えば、30〜70℃に加熱しておくことによって、疎水性フィルム14と、繊維層12との積層状体をより密なものとすることができる。
(2)加熱圧着工程
また、加熱圧着工程は、繊維材料と、疎水性フィルムとの部分的な熱圧着積層体であって、所定の開口部を有する熱圧着積層体(以下、部分的熱圧着積層体と称する場合がある。)を製造する工程である。
より具体的には、図12に示すように、長尺状の疎水性フィルム14と、長尺状の繊維層12と、を積層した状態で、加熱状態の針状物58aにより部分的に熱圧着して、熱圧着部18を形成すると同時に、当該熱圧着部18における疎水性フィルム14に、繊維層12に向かって貫通する開口部16を設けて、部分的熱圧着積層体60を製造する工程である。
すなわち、加熱カレンダロール58の表面に、所定形状の針状物58aを設けておき、それによって、部分的熱圧着積層体60において、所定の熱圧着部18を形成すると同時に、熱圧着部18に対応した疎水性フィルム14の所定場所に、所定の開口部16を効率的かつ精度良く設けることができる。
ここで、部分的熱圧着積層体を製造する際の針状物の加熱温度は、疎水性フィルムの種類等を考慮して定められるが、通常、80〜400℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような加熱温度の針状物を用いることにより、繊維材料を含んでなる繊維層と、疎水性フィルムとを、確実に熱圧着することができるとともに、所定の開口部を精度良く形成することができるためである。
したがって、部分的熱圧着積層体を製造する際の針状物の加熱温度を120〜350℃の範囲内の値とすることがより好ましく、180〜300℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
但し、部分的熱圧着積層体を製造する際に、疎水性フィルムや繊維層の種類に応じて、針状物の加熱温度を変更することが好ましい。
例えば、針状物の加熱温度を、疎水性フィルムとしてポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いる場合には200〜350℃の範囲内の値とし、ポリウレタン樹脂フィルムを用いる場合には150〜300℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような加熱条件で製造することにより、フィルムや繊維の種類に応じて、確実に熱圧着することができるとともに、所定の開口部をさらに精度良く形成することができるためである。
(3)切断工程
また、切断工程は、得られた部分的熱圧着積層体を、用途等に応じて、所定形状や所定大きさに切断する工程である。
例えば、カッターやレーザー等の切断冶具を用いて、部分的熱圧着積層体の平面形状を長方形、正方形、円形、楕円形、長尺状、異形等とすることができる。
したがって、上述したように、図1〜3に示すように、化粧料含浸用シート10の形状とすることができる。
(4)パッケージング工程(化粧料含浸工程)
また、パッケージング工程は、所定形状および所定大きさの部分的熱圧着積層体に、化粧料を含浸させるとともに、化粧料が外部に流出しないように、周囲を被覆する工程である。
すなわち、部分的熱圧着積層体に対して、化粧料を塗布したり、スプレーしたり、あるいは、所定容器内に収容してある化粧料に対して、部分的熱圧着積層体を浸漬したりすることによって、所定の化粧料を含浸させることができる。
最後に、アルミ箔等が積層されたプラスチックフィルム等によって、化粧料を含浸させた部分的熱圧着積層体の周囲を被覆することによって、パッケージングすることができる。
よって、部分的熱圧着積層体に所定の化粧料を含浸させた状態であっても、パッケージングを開封して、使用するまで、長期間にわたって、その特性を維持することができる。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。但し、以下の説明は本発明を例示的に示すものであり、本発明はこれらの記載に制限されるものではない。
[実施例1]
1.化粧料含浸用シートの作成
(1)繊維材料および疎水性フィルムの準備工程
親水性繊維材料を含む繊維層として、幅:40cm、長さ10m、目付:80g/m2のコットン不織布(接触角10°)を準備した。
一方、疎水性フィルムとして、幅:40cm、長さ10m、厚さ2.0μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(接触角65°)を準備した。
(2)加熱圧着工程
次いで、繊維層および疎水性フィルムを、それぞれ積層した状態で、移送させながら、針状物(形状:円錐状、最大直径:0.5mm、長さ:1.0mm)を外周面に備えた加熱カレンダロールを含む熱圧着装置を用いて、部分的に熱圧着した。
すなわち、220℃に加熱した針状物により、部分的に熱圧着して複数の熱圧着部を形成すると同時に、当該熱圧着部における疎水性フィルムに、繊維層に向かって貫通する開口部(平面形状:円形、直径:0.5mm、個数密度50個/cm2)を設けて部分的熱圧着積層体を得た。
(3)切断工程
次いで、得られた部分的熱圧着積層体を、切断装置としてのカッターを用いて、図1(a)に示す所定形状にカットし、化粧料含浸用シートとした。
なお、この段階の化粧料含浸用シートの表側を顕微鏡観察したところ、図9(a)に模式的に示すように、熱圧着部18において、疎水性フィルム14が溶融除去され、直径約0.5mmのほぼ円形の貫通孔としての開口部16および開口部の縁16aが形成されるとともに、当該開口部16において、繊維層12の一部が露出していることを確認した。
また、化粧料含浸用シートの裏側を顕微鏡観察したところ、図10(a)に示すように、非熱圧着部では、繊維層が均一に絡まっており、表側の開口部が見えていないのに対して、図10(b)に示すように、熱圧着部では、繊維層が一部ほどけて、表側の開口部が一部見えていることを確認した。
2.化粧料含浸用シートの評価
(1)化粧料の含浸性(評価1)
得られた化粧料含浸用シート縦10cm×横10cmを、疎水性フィルムを下側にして、所定容器に収容された化粧料(ヒアルロン酸ナトリウム1重量%、ゼラチン2重量%、パラベン1重量%、ポリビニルアルコール2重量%、ポリアクリル酸3重量%、サリチル酸グリコール3重量、ポリグリセリン25重量%、精製水63重量%)に浸漬し、下記基準に沿って化粧料の含浸性を評価した。
◎:1分以内に、化粧料を十分に含浸させることができる。
○:3分以内に、化粧料を十分に含浸させることができる。
△:5分以内に、化粧料を十分に含浸させることができる。
×:5分以内では、化粧料を十分に含浸させることができない。
(2)柔軟性(評価2)
化粧料含浸用シートの柔軟性を、その折り畳み性(四つ折り状態および八つ折り状態)から判断し、下記基準に沿って評価した。
◎:無加圧状態にしても、復元することなく、四つ折り状態および八つ折り状態をそのまま維持することができる。
○:無加圧状態にすると、若干復元するものの、四つ折り状態および八つ折り状態をそのまま維持することができる。
△:無加圧状態にすると、相当復元するものの、四つ折り状態であれば維持することができる。
×:無加圧状態にすると、元の形状に復元してしまい、四つ折り状態であっても維持することはできない。
(3)形状追随性(評価3)
評価2と同様に、化粧料を十分含浸させた化粧料含浸用シートを首周りおよび上半身に貼付して、形状追随性を下記基準に沿って評価した。
◎:1分以下で、極めて円滑に首周りおよび上半身に適用することができる。
○:2分以下で、比較的円滑に首周りおよび上半身に適用することができる。
△:2分以上時間がかかるものの、首周りおよび上半身に適用することができる。
×:途中でシートが破れて、首周りおよび上半身に適用することができない。
(4)化粧料蒸散防止性(評価4)
疎水性フィルムを上側にして、水分を十分含浸させた化粧料含浸用シート縦10cm×横10cmを、アクリル板に貼り付けた状態で、20℃、65%RHの恒温恒湿槽に放置した。次いで、30分経過した後のフェイスマスクの重量変化を測定し、それから水の蒸散量を算出し、下記基準に沿って化粧料蒸散防止性を評価した。
なお、水の蒸散量は、最大100%であって、その値が低い程、水の蒸散量が低いことを意味している。
◎:30分経過した後の水の蒸散量が60%以下である。
○:30分経過した後の水の蒸散量が70%以下である。
△:30分経過した後の水の蒸散量が80%以下である。
×:30分経過した後の水の蒸散量が80%超である。
[実施例2]
実施例2では、加熱カレンダロールに備えてある針状物の本数を減らして、形成する開口部の個数密度を25個/cm2に低下させたほかは、実施例1と同様に、化粧料含浸用シートを作成して、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
なお、実施例2の化粧料含浸用シートの場合、開口部の個数密度が実施例1の半分のためと思われるが、実施例1の化粧料含浸用シートよりも、化粧料の含浸性評価、および柔軟性評価において、評価結果がそれぞれ若干低下する傾向が見られた。
[実施例3]
実施例3では、加熱カレンダロールに備えてある針状物の本数を増やして、形成する開口部の個数密度を70個/cm2に増加させたほかは、実施例1と同様に、化粧料含浸用シートを作成して、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
なお、実施例3の化粧料含浸用シートの場合、開口部の個数密度が実施例1の1.4倍のためと思われるが、実施例1の化粧料含浸用シートよりも、蒸散防止性評価結果が若干低下する傾向が見られた。
[実施例4]
実施例4では、加熱カレンダロールに備えてある針状物の最大直径を小さくして、形成する開口部の直径を0.2mmに低下させたほかは、実施例1と同様に、化粧料含浸用シートを作成して、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
なお、実施例4の化粧料含浸用シートの場合、開口部の直径が実施例1の2/5と小さいためと思われるが、実施例1の化粧料含浸用シートよりも、化粧料の含浸性評価、および柔軟性評価において、評価結果がそれぞれ若干低下する傾向が見られた。
[実施例5]
実施例5では、加熱カレンダロールに備えてある針状物の最大直径を大きくして、形成する開口部の直径を0.7mmに増加させたほかは、実施例1と同様に、化粧料含浸用シートを作成して、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
なお、実施例5の化粧料含浸用シートの場合、開口部の直径が実施例1の7/5と大きいためと思われるが、実施例1の化粧料含浸用シートよりも、蒸散防止性評価結果が若干低下する傾向が見られた。
[実施例6]
実施例6では、疎水性フィルムの厚さを2.5μmに増加させたほかは、実施例1と同様に、化粧料含浸用シートを作成して、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
なお、実施例6の化粧料含浸用シートの場合、疎水性フィルムの厚さが実施例1の1.25倍と厚いためと思われるが、実施例1の化粧料含浸用シートよりも、接着性評価および柔軟性評価において、評価結果がそれぞれ若干低下する傾向が見られた。
[実施例7]
実施例7では、疎水性フィルムの種類を厚さ10μmのポリウレタンフィルムに変更したほかは、実施例1と同様に、化粧料含浸用シートを作成して、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
なお、実施例7の化粧料含浸用シートの場合、疎水性フィルムの種類が、ポリウレタンフィルムに変更されたためと思われるが、実施例1の化粧料含浸用シートよりも、相当厚いポリウレタンフィルムを用いているものの、実施例1と同様の優れた接着性評価や柔軟性評価等が得られた。
[実施例8]
実施例8では、親水性繊維材料を含む繊維層として、幅:40cm、長さ10m、目付:100g/m2のレーヨン不織布(接触角10°)に変更するとともに、ポリウレタンフィルムの厚さを20μmとしたほかは、実施例7と同様に、化粧料含浸用シートを作成して、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
すなわち、実施例8の化粧料含浸用シートの場合、疎水性フィルムの種類が、所定厚さのポリウレタンフィルムに変更され、かつ、レーヨン不織布を用いたが、実施例1と同様に、優れた柔軟性評価等が得られた。
さらに、化粧料含浸用シートの表側を顕微鏡観察したところ、図9(b)に模式的に示すように、熱圧着部18において、疎水性フィルム14が溶融除去され、長径約1mm、短径約0.5mmのほぼ長形の貫通孔としての開口部16および開口部の縁16aが形成されるとともに、当該開口部16において、繊維層12の一部が露出していることを確認した。
[比較例1]
比較例1では、疎水性フィルムとして、厚さ18μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いるとともに、繊維層に向かって貫通しない熱圧着部(平面形状:円形、直径:0.5mm、個数密度50個/cm2)を設けたほかは、実施例1と同様に化粧料含浸用シートを作成して、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
なお、比較例1では、所定サイズの開口部が、貫通孔として形成されておらず、かつ、疎水性フィルムとしてのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの厚さが若干厚いことから、柔軟性や形状追従性の各評価において、△以下の評価しか得られないことを確認した。
[比較例2]
比較例2では、疎水性フィルムとして、厚さ20μmのポリエチレン樹脂フィルムを用いるとともに、繊維層に向かって貫通しない熱圧着部(平面形状:円形、直径:0.5mm、個数密度1個/cm2)を設けたほかは、実施例1と同様に化粧料含浸用シートを作成して、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
なお、比較例2では、所定サイズの開口部が、貫通孔として形成されておらず、かつ、疎水性フィルムとしてのポリエチレン樹脂フィルムを用いたためと思量するが、化粧料含浸性、柔軟性、および形状追従性の各評価において、△以下の評価しか得られないことを確認した。
*疎水フィルム欄における数値は、疎水フィルムの厚さ(μm)を意味している。
*評価1:化粧料含浸性、評価2:柔軟性、評価3:形状追随性、評価4:蒸散防止性
以上、詳述したように、本願発明の化粧料含浸シートによれば、首周り部と、背中部、デコルテ部、右肩部、および左肩部からなる群から選択される少なくとも一つと、を含み、所定の疎水性フィルムと繊維層を備え、かつ、所定の開口部を熱圧着部に有することによって、良好な柔軟性、展開性および形状追従性と、所定の化粧料蒸散防止性と、をそれぞれ発揮できるようになった。
したがって、本願発明の化粧料含浸用シートを、首周りおよび上半身に適用した場合、立体的な部位への密着性や追随性が良好となるばかりか、長時間の使用に際しても、十分な化粧料を供給できるようになった。
その他、本願発明の化粧料含浸用シートによれば、伸長異方性を有する化粧料含浸用シートを容易に得ることができるようになった。
したがって、異方性を有する化粧料含浸用シートを用いて、首周りおよび上半身に適用した場合、所定方向、例えば、横方向に対応した方向にのみ伸長しやすいシートとすることができ、より立体的な部位にも効率的に密着させることができることも期待される。
2:首周り部
4:背中部
6:デコルテ部
8:左肩部
9:右肩部
10:化粧料含浸用シート
12:繊維層(親水性繊維層)
13:接着剤層
14、14a〜c、14a´〜c´、14a´´〜c´´、14a´´´〜c´´´:疎水性フィルム
15:装飾層
16、16´、16´´:開口部
16a:縁
18:熱圧着部
22:切り込み部
24、24’、24’’、24’’’、24’’’’:切り込み部
100:熱圧着装置
52、54:仮圧着ロール
56:ロール
58:加熱カレンダロール(加熱エンボスロール)
58a:針状物
60:部分的熱圧着積層体

Claims (8)

  1. 少なくとも首周りを覆う首周り部を含む化粧料含浸用シートであって、
    背中を覆う背中部、胸を覆うデコルテ部、右肩周りを覆う右肩部、および、左肩周りを覆う左肩部からなる群から選択される少なくとも一つをさらに含み、
    化粧料を含浸する繊維材料を含む繊維層と、化粧料の蒸散を防ぐ疎水性フィルムと、を積層してなり、
    前記繊維層および前記疎水性フィルムを部分的に積層するための熱圧着部が設けてあるとともに、
    当該熱圧着部における前記疎水性フィルムに、前記繊維層に向かって貫通する開口部が設けてあることを特徴とする化粧料含浸用シート。
  2. 前記背中部、前記デコルテ部、前記右肩部および前記左肩部からなる群から選択される少なくとも一つと、前記首周り部と、の境界部分、あるいは、
    前記背中部と、前記デコルテ部と、前記右肩部と、前記左肩部と、のそれぞれの境界部分または、内部の少なくとも一つに、切り込みを設けることを特徴とする請求項1に記載の化粧料含浸用シート。
  3. 前記疎水性フィルムを、厚さが0.1〜15μmであるポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、または厚さが5〜30μmであるポリウレタン樹脂フィルムとすることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧料含浸用シート。
  4. 前記繊維材料を、綿、レーヨンまたはキュプラとすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の化粧料含浸用シート。
  5. 前記開口部の孔径を0.05〜3mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の化粧料含浸用シート。
  6. 前記開口部の個数密度を2〜70個/cm2の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の化粧料含浸用シート。
  7. 前記疎水性フィルムにおけるJIS K 6768に準拠して測定される接触角を60°以上の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の化粧料含浸用シート。
  8. 前記繊維層の目付を10〜300g/m2の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の化粧料含浸用シート。
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