JP2012213614A - 創傷・火傷用保護部材およびその製造方法 - Google Patents

創傷・火傷用保護部材およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】適度な接着性や体液吸収性を有するとともに、良好な柔軟性や形状追随性を有し、かつ、皮膚に対して、所定の剥離性を有する創傷・火傷用保護部材およびその効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】貼付面となる疎水性フィルムと、創傷部からの体液を吸収する繊維材料を含んでなる繊維層と、を積層してなる創傷・火傷用保護部材およびその製造方法であって、疎水性フィルムおよび繊維層を、部分的に積層するための熱圧着部が設けてあるとともに、当該熱圧着部における疎水性フィルムの対応箇所に、繊維層に向かって貫通する開口部であって、所定縁を有する開口部が設けてあることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、創傷・火傷用保護部材およびその製造方法に関する。特に、適度な接着性や体液吸収性を有するとともに、良好な柔軟性等を有し、かつ、皮膚に対して、所定の剥離性を有する創傷・火傷用保護部材及びその製造方法に関する。
従来、人体皮膚における創傷部から滲み出る体液(血液等)を吸収するとともに、創傷部や火傷を治癒するための各種創傷・火傷用保護部材が提案されている。
このような創傷・火傷用保護部材の一つとして、例えば、人体における血液等の滲出液を適度に吸収し、創傷部に固着しない創傷保護部材が提案されている。
より具体的には、図9(a)に示されるように、テープ状編成基材の少なくとも一端部に、離型紙で被覆した粘着剤層を設けるとともに、テープ状編成基材を疎水性または撥水性のある地組織(弾性糸等)と、吸水性挿入組織(天然繊維等)と、によって編成することを特徴とする創傷保護部材である(例えば、特許文献1参照)。
また、皮膚に貼付した場合に柔軟な感覚を保持し、創傷治癒効果、止血効果等を発揮するとともに、皮膚から剥離する際の苦痛が少ない創傷面保護貼付材が提案されている。
より具体的には、図9(b)に示されるように、キチン粉末の固着したネット状体を創傷部貼付面とし、その背面に、不織布等の体液吸収材層を設け、さらに、粘着剤層を介して、固定用シート状テープ基材を積層することを特徴とする創傷面保護貼付材である(例えば、特許文献2参照)。
また、創傷からの滲出液による湿潤環境を維持しながら治療するための創傷被覆材が提案されている。
より具体的には、図9(c)に示されるように、創傷に向かって突出する多数の凸部およびその周囲に形成される凹部を有し、凸部に厚さ方向に貫通する孔を有する樹脂製シートからなる第1層と、水を吸収保持可能なシート材からなる第2層と、から少なくとも構成され、創傷部位に接する側から第1層、第2層が形成されている創傷被覆材である(例えば、特許文献3参照)。
さらに、皮膚火傷等の治療に際して、張り換え作業が簡便で、傷に優しく、かつ細菌遮断性等に優れた創傷被覆材が提案されている。
より具体的には、抗菌剤を含有するとともに、溶媒抽出法等によって多孔化したポリウレタン樹脂フィルムと、伸縮性を有する不織布と、から少なくとも構成された創傷被覆材であって、ポリウレタン樹脂溶液を半乾燥状態として、不織布と重ね合わせて、押圧する製造方法等が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2001−161742号公報(特許請求の範囲等) 特開平06 −142180号公報(特許請求の範囲等) 特開2010−131163号公報(特許請求の範囲等) 特開平04 −317654号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1の創傷保護部材において、吸水性挿入組織(天然繊維等)による血液等の吸収が不十分なばかりか、撥水性等の地組織(弾性糸等)があっても、吸水性挿入組織(天然繊維等)に起因して、創傷部に対して、未だ固着しやすいという問題が見られた。
また、特許文献2の創傷面保護貼付材は、高価なキチン粉末の固着したネット状体を創傷部に対する貼付面としなければならず、経済的に不利であるばかりか、血液等の吸収性が不十分であって、その上、創傷部に対して、未だ固着しやすいという問題が見られた。
また、特許文献3の創傷被覆材は、表面凹凸が大きくて、創傷や火傷を刺激しやすいばかりか、第1層と第2層との間の密着性が低下したり、さらには、特殊な凹凸構成を有していることから、効率的や安定的に製造したりすることが困難であるという問題が見られた。
さらにまた、特許文献4の創傷被覆材は、溶媒抽出法等によって多孔化したポリウレタン樹脂フィルムを用いていることから、開口部の孔径や隣接する開口部間のピッチを精度よく制御することができないという問題が見られた。
したがって、不織布による血液等の吸収や皮膚からの水蒸気蒸散が不十分なばかりか、ポリウレタン樹脂フィルムが、火傷箇所に固着しやすいという問題が見られた。
そこで、本発明の発明者らは、鋭意努力したところ、疎水性フィルムおよび繊維層を含んでなる創傷・火傷用保護部材(創傷用保護部材および火傷用保護部材の両方、あるいはいずれか一方を意味する場合がある。以下同様である。)において、疎水性フィルムおよび繊維層を部分的に熱圧着するための熱圧着部を設けるとともに、当該熱圧着部に対応して、所定の開口部(貫通孔)を設けることによって、上記問題点を解決できることを見出し、本願発明を完成させたものである。
すなわち、本願発明は、適度な接着性や体液吸収性を有するとともに、良好な柔軟性等を有し、かつ、皮膚に対して、所定の剥離性を有する創傷・火傷用保護部材、およびそのような創傷・火傷用保護部材の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、貼付面となる疎水性フィルムと、体液を吸収する繊維材料を含んでなる繊維層と、を積層してなる創傷・火傷用保護部材であって、疎水性フィルムおよび繊維層を、部分的に積層するための熱圧着部が設けてあるとともに、当該熱圧着部における疎水性フィルムの対応箇所に、繊維層に向かって貫通する開口部が設けてあることを特徴とする創傷・火傷用保護部材が提供されるようになった。
すなわち、所定の創傷・火傷用保護部材において、このように疎水性フィルムの所定箇所に、熱圧着部を設けることにより、部分的接着であっても、疎水性フィルムおよび繊維層の界面において、適度に接着することができるようになった。
また、貼付面となる側に、疎水性フィルムが設けてあるとともに、その所定箇所に開口部が形成してあることから、適度な体液吸収性や水蒸気透過性を有し、かつ、皮膚に対して、良好な剥離性を発揮することができるようになった。
なお、本発明において、熱圧着部とは、疎水性フィルムに形成された開口部の下方に位置し、熱圧着によって、繊維層の一部と、疎水性フィルムの一部とが溶着している箇所を意味している。
また、本発明において、疎水性フィルムとは、水となじみにくい性質を有する所定材料から構成されたフィルムであれば基本的に該当するが、より具体的には、JIS K 6768に準拠して測定される接触角が60°以上であるフィルムを意味している。
また、本発明の創傷・火傷用保護部材を構成するにあたり、開口部の孔径を0.05〜3mmの範囲内の値とすることが好ましい。
このような孔径を有する開口部を設けることによって、疎水性フィルムおよび繊維層との間の適度な接着性と、体液の吸収性や止血性と、柔軟性や形状追従性と、皮膚に対する剥離性と、の間のバランスを、さらに良好なものとすることができる。
また、本発明の創傷・火傷用保護部材を構成するにあたり、開口部の個数密度を2〜70個/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
このような個数密度を有する開口部を設けることによって、疎水性フィルムおよび繊維層との間の接着性と、体液の吸収性や止血性と、柔軟性や形状追従性と、皮膚に対する剥離性と、の間のバランスを、さらに良好なものとすることができる。
また、本発明の創傷・火傷用保護部材を構成するにあたり、開口部の周囲に、突起状の縁が設けてあることが好ましい。
このような縁が、開口部の周囲に設けてあることから、開口部の形状の均一性や寸法精度が向上するばかりか、使用時には、皮膚における創傷や火傷に対して、優しく接触することができるとともに、使用後に剥離する際にも、かかる箇所との固着を防止して、痛みなく剥離することができる。
また、本発明の創傷・火傷用保護部材を構成するにあたり、疎水性フィルムを、厚さが0.1〜15μmであるポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、または厚さが5〜30μmであるポリウレタン樹脂フィルムとすることが好ましい。
このような種類および厚さの疎水性フィルムを備えることにより、疎水性フィルムおよび繊維層との間の接着性と、体液の吸収性や止血性と、柔軟性や形状追従性と、皮膚に対する剥離性と、の間のバランスを、さらに良好なものとすることができる。
また、本発明の創傷・火傷用保護部材を構成するにあたり、疎水性フィルムにおけるJIS K 6768に準拠して測定される接触角を60°以上の値とすることが好ましい。
このような接触角を有する疎水性フィルムを備えることにより、所定の開口部を備えながら、皮膚に対する良好な剥離性を発揮することができる。
また、本発明の創傷・火傷用保護部材を構成するにあたり、繊維材料を、綿、レーヨンまたはキュプラとすることが好ましい。
このように構成することにより、体液を効率的に吸収したり、保持したりすることができる。
また、本発明の創傷・火傷用保護部材を構成するにあたり、繊維層の目付を10〜300g/m2の範囲内の値とすることが好ましい。
このように繊維層の目付を制限することにより、所定の薬液を効率的に吸収したり、保持したりすることができ、かつ、シミ取り時の止血部材等として使用した場合、立体的な創傷部であっても容易かつ確実に適用することができる。
また、本発明の創傷・火傷用保護部材を構成するにあたり、創傷・火傷用保護部材の平面形状を、四角形状、多角形状、円形状、または楕円形状とするとともに、平面形状の外周の一部または全部に粘着部が設けてあることが好ましい。
このように構成することにより、創傷・火傷用保護部材で、容易に患部を被覆、保護することができる。
また、粘着部で創傷・被覆用保護部材と、患部とを固定していることから、創傷・火傷用保護部材がずれたり、落ちたりする心配がなく、使い勝手性をさらに向上させることができる。
また、本発明の別の態様は、貼付面となる疎水性フィルムと、体液を吸収する繊維材料を含んでなる繊維層と、を積層してなる創傷・火傷用保護部材の製造方法であって、疎水性フィルムおよび繊維層を準備する工程と、疎水性フィルムおよび繊維層を重ね合わせた状態で、加熱状態の針状物により部分的に熱圧着して、熱圧着部を形成すると同時に、当該熱圧着部における疎水性フィルムの対応箇所に、繊維層に向かって貫通する開口部を設ける工程と、を含むことを特徴とする創傷・火傷用保護部材の製造方法である。
このように、加熱状態の針状物を備えた加熱カレンダロールによって、繊維層と、疎水性フィルムと、を熱圧着することにより、疎水性フィルムと、繊維層とを、部分的接合しながら、適度に接着することができる。
また、このように製造することによって、所定の開口部を同時に設けることができることから、当該開口部を介して、繊維層による適度な体液の吸収性や止血性を確保するとともに、疎水性フィルムの剛性に起因した創傷・火傷用保護部材の固さを和らげ、良好な柔軟性や形状追従性を得ることができる。
さらに、このように製造することによって、平坦な疎水性フィルムの表面(開口部の周囲)に、突起状の縁を形成することができることから、皮膚に対して優しく接触したりすることができる。
また、本発明の創傷・火傷用保護部材の製造方法を実施するにあたり、針状物が加熱してあるとともに、当該針状物の加熱温度を、疎水性フィルムとしてポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いた場合には200〜350℃の範囲内の値とし、ポリウレタン樹脂フィルムを用いた場合には150〜300℃の範囲内の値とすることが好ましい。
このように実施することにより、疎水性フィルムがポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムであっても、ポリウレタン樹脂フィルムであっても、それぞれ十分に熱圧着することができ、かつ、所定大きさの開口部を、所定場所に精度良く形成することができる。
図1(a)〜(c)は、本願発明の創傷・火傷用保護部材の断面図および平面斜視図および好適例を説明するために供する図である。 図2(a)〜(c)は、本願発明の創傷・火傷用保護部材における開口部の孔径例をそれぞれ説明するために供する図である。 図3(a)〜(b)は、本願発明の創傷・火傷用保護部材における開口部の側面形状例をそれぞれ説明するために供する図である。 図4(a)〜(b)は、本願発明の創傷・火傷用保護部材の変形例を説明するために供する図である。 図5(a)〜(c)は、本願発明の創傷・火傷用保護部材の使用例を説明するために供する図である。 図6は、本願発明の創傷・火傷用保護部材の製造装置を説明するために供する図である。 図7(a)〜(b)は、創傷・火傷用保護部材における開口部を含む表面状態を説明するために供する図である。 図8(a)〜(b)は、実施例1の創傷・火傷用保護部材における非熱圧着部および熱圧着部における繊維層の状態をそれぞれ説明するために供する図(写真)である。 図9(a)〜(c)は、それぞれ従来の創傷・火傷用保護部材等を説明するために供する図である。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、貼付面となる疎水性フィルムと、体液を吸収する繊維材料を含んでなる繊維層と、を積層してなる創傷・火傷用保護部材であって、疎水性フィルムおよび繊維層を、部分的に積層するための熱圧着部が設けてあるとともに、当該熱圧着部における疎水性フィルムの対応箇所に、繊維層に向かって貫通する開口部が設けてあることを特徴とする創傷・火傷用保護部材である。
より具体的には、図1(a)または(b)に例示するように、創傷(火傷)1aを有する人体皮膚1への貼付面となる疎水性フィルム14と、所定の繊維層12と、が重ね合わされた状態で、部分的に熱圧着されて、所定パターンを描くように、複数の熱圧着部18が形成されており、疎水性フィルム14と、繊維層12と、の間で適度な接着性を得ることできる。
そして、疎水性フィルム14における複数の熱圧着部18に対応して、それぞれ所定の開口部16が形成してあることから、かかる開口部16の縁16aに、熱溶融した疎水性フィルム14の一部が流出しつつ、繊維層12と接合し、熱圧着部18としての機能を発揮するとともに、開口部16の存在が、疎水性フィルム14を通しての適度な体液の吸収性や、疎水性フィルム14の柔軟性や形状追随性等を調整し、それらを良好なものとしている。
以下、本発明の第1の実施形態である創傷・火傷用保護部材を、図面を適宜参照して、具体的に説明する。
1.疎水性フィルム
(1)種類
疎水性フィルムの種類としては、特に制限されるものではないが、具体的に、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フェノキシ樹脂等の一種単独または二種以上の組み合わせからなる疎水性フィルムを用いることができる。
そして、ポリエチレンテレフタレート樹脂またはポリウレタン樹脂からなる疎水性フィルムを用いることがより好ましい。
この理由は、このような疎水性フィルムは汎用性が高く、経済的に有利であるばかりか、これらの疎水性フィルムを用いることにより、強度および柔軟性の両方の性質を兼ね備えた創傷・火傷用保護部材とすることができるためである。
なお、従来、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムは、強度や耐薬品性は認められていたものの、薄膜化が困難であったため、良好な柔軟性が求められるシミ取り時の止血部材等に使用することが事実上できなかった。
しかしながら、本発明によれば、ポリエチレンテレフタレート樹脂からなる所定厚さの疎水性フィルムを用いるとともに、所定箇所に所定の開口部を形成することによって、所定強度を有するともに、柔軟性や形状追従性に優れた創傷・火傷用保護部材を得ることができる。
また、ポリウレタン樹脂からなる疎水性フィルムを用いた場合には、極めて伸縮性に富んだ創傷・火傷用保護部材とすることができる。
なお、従来、ポリウレタン樹脂フィルムは、製膜の際にピンホール等が生じたり、機械的強度が乏しかったりすることから、厚さが10μm以下のフィルム化が困難であり、良好な柔軟性が求められる用途に使用することができないという問題が見られた。
しかしながら、本発明によれば、所定厚さのポリウレタン樹脂フィルムを用いるとともに、所定の開口部を形成することによって、所定強度を有するともに、柔軟性や形状追従性に優れた創傷・火傷用保護部材を得ることができる。
(2)厚さ
また、疎水性フィルムの厚さについても、機械的強度や開口部の形成性等を考慮して定めることができるが、通常、0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる厚さの範囲内の値であれば、所定の柔軟性や機械的強度、あるいは精度良く開口部を形成することができるためである。
したがって、疎水性フィルムの厚さを1〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましく、2〜20μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
但し、疎水性フィルムの種類によって、その厚さを変更することが好ましい。
例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いる場合には、その厚さを0.1〜15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いる場合、厚さが0.1μm未満の値となると均一なフィルム状に成形することが困難となる場合があるためである。一方、かかる厚さが15μmを超えると、柔軟性が低下したり、開口部を精度よく形成したりすることが困難となる場合があるためである。
したがって、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いる場合、その厚さを0.5〜5μmの範囲内の値とすることが好ましく、1〜3μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、ポリウレタン樹脂フィルムを用いる場合には、その厚さを5〜30μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ポリウレタン樹脂の厚さが5μm未満の値となると、均一なフィルム状に成形することが困難となり、また十分な機械的強度や取扱性を得ることが困難となる場合があるためである。
一方、かかる厚さが30μmを超えると、伸縮性や形状追従性が低下し、凹凸のある立体的部分に効果的に貼付することが困難となる場合があるためである。
したがって、ポリウレタン樹脂フィルムを用いる場合、その厚さを7〜25μmの範囲内の値とすることが好ましく、10〜20μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
(3)疎水性
また、疎水性フィルムにおける疎水性の目安として、疎水性フィルムのJIS K 6768に準拠して測定される接触角(測定温度:25℃、測定試料:純水)を60°以上の値とすることが好ましい。
この理由は、所定条件下において測定される疎水性フィルムの接触角をかかる範囲内の値とすることにより、皮膚からの剥離性を良好にすることができるためである。
より具体的には、疎水性フィルムの接触角が60°未満の値となると、皮膚からの剥離性が低下して、創傷部に対して固着する場合があるためである。
但し、疎水性フィルムの接触角が過度に大きくなると、使用可能な疎水性フィルムの種類が制限されたり、体液の吸収性が過度に低下したりする場合がある。
したがって、疎水性フィルムの接触角を65〜95°の範囲内の値とすることがより好ましく、70〜90°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)積層数
また、図1(b)に示すように、繊維層12の片方の面にのみ、貼付面となる疎水性フィルム14を積層することが好ましく、また、図1(c)に示すように、貼付面となる疎水性フィルムと、繊維層12とを積層し、当該繊維層の疎水性フィルムとは接していない面に疎水性フィルム14’をさらに積層してもよい。
この理由は、片方の面にのみ疎水性フィルムを積層した場合は、経済的に有利となるためである。
また、繊維層の両面に疎水性フィルムを積層した場合は、患部に直接接する側の疎水性フィルムは、適用部に固着しにくく、剥がす際の痛みや不快感を軽減することができ、また、患部に接しない側の疎水性フィルムは、繊維層が吸収した体液や、血液を外部に放出させにくいため、衣服等を汚す恐れを少なくすることができるためである。
また、疎水性フィルムおよび繊維層を積層することにより、破れにくくなり、強度を高めることができる。
(5)表面加工
また、疎水性フィルムの表面に、表面加工(エンボス加工等)によって、凹凸パターンを施すことも好ましい。
この理由は、所定のエンボス加工を施すことにより、創傷・火傷用保護部材の使用時の柔軟性や伸縮性をさらに向上させたり、開口部の大きさを調整して、体液の吸収性を向上させたりすることができるためである。
2.熱圧着部
(1)開口部
また、図1(a)に示すように、疎水性フィルム14と、繊維層12と、を適度に接合するため、複数の熱圧着部18が設けてあり、それらに対応して、疎水性フィルム14に、繊維層12に向かって貫通する開口部16が設けてあることを特徴とする。
この理由は、疎水性フィルムの熱圧着部に対応した複数箇所において、それぞれ所定の開口部を設けることにより、繊維層による適度な体液の吸収性や止血性、あるいは疎水性フィルムを介した所定水蒸気透過性を確保するとともに、疎水性フィルムの剛性に起因した創傷・火傷用保護部材の固さを和らげ、良好な柔軟性や形状追従性を示すことができるためである。
したがって、疎水性フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム等を用いた場合であっても、シミ取り時の止血部材等として使用した場合に、良好な使用感を得ることができる。
その上、熱圧着部に対応して開口部を設けることによって、視覚性を向上させることができる。すなわち、開口部を有していない熱圧着部の場合、開口部を有する熱圧着部と比較して、容易に変色したり、変形したりすることから、創傷・火傷用保護部材の美観を損ないやすいためである。
(2)開口部の配置パターン
また、複数の開口部の配置パターンについても、特に制限されるものでなく、例えば、図1(b)に示すような格子状、あるいは、図示しないものの、千鳥状、直線ライン状、川状、らせん状、同心円状、さらには、不規則パターンであっても良い。
但し、複数の開口部の配置パターンを、図1(b)に示すような格子状や他の規則パターンとした場合、後述する開口部の孔径や、隣接距離を調節して、疎水性フィルム自体の柔軟性や形状追随性の調節が容易になるという利点がある。
なお、疎水性フィルム14の全面に、開口部16を必ずしも形成する必要はなく、良好な柔軟性や形状追随性を望む箇所を選択して形成することも好ましい。
また、開口部の配置パターンを決定する上で、図2に示すように、隣接する開口部の中心間距離、すなわち、開口部のピッチの大きさが問題となるが、当該開口部のピッチ(d2)を0.5〜20mmの範囲内の値とすることが好ましい。
すなわち、開口部のピッチ(d2)が0.5mm未満の値になると、隣接する開口部間に存在する疎水性フィルムの幅が過度に小さくなったり、逆に、存在可能な開口部の孔径が過度に小さくなったりして、疎水性フィルム自体の柔軟性や形状追随性の調節が困難となる場合があるためである。
一方、開口部のピッチ(d2)が20mmを超えた値になると、隣接する開口部間に存在する疎水性フィルムの幅が過度に大きくなったり、逆に、存在可能な開口部の孔径が過度に大きくなったりして、同様に、疎水性フィルム自体の柔軟性や形状追随性の調節が困難となったり、疎水性フィルムと、繊維層と、の間の接着性が低下したりする場合があるためである。
したがって、開口部のピッチ(d2)を1〜10mmの範囲内の値とすることがより好ましく、2〜5mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)開口部の平面形状
また、開口部の平面形状についても、特に制限されるものではないが、通常、円形、長円、四角形、楕円形、ひし形、三角形、星型、異形のいずれかであることが好ましい。
より具体的には、図2(a)または図6(a)に示すように、開口部16の形状として円形や、図2(b)に示すように、四角形であることが好ましい。
この理由は、このような平面形状を有する開口部であれば、安定的に形成することができるとともに、疎水性フィルム、ひいては創傷・火傷用保護部材の柔軟性や形状追随性の調整も容易になるためである。
さらに、後述する実施例の態様として、図6(b)に示すように、開口部16の形状が長円であれば、安定的に形成することができるとともに、疎水性フィルム14、ひいては、創傷・火傷用保護部材10における幅方向の伸長率および長さ方向の伸長率に関して、異方性をもたせることができるためである。
(4)開口部の孔径
また、開口部の孔径(d1)を0.05〜3mmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる大きさであれば、開口部を介して、体液の適度な吸収性が得られるとともに、良好な柔軟性や形状追随性を得ることができ、さらには、疎水性フィルムと、繊維層と、の間で適度な接着性が得られるためである。
したがって、疎水性フィルムの開口部の孔径(d1)を0.1〜1mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.2〜0.8mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、開口部の孔径(d1)とは、所定形状の開口部における直径(円相当径)を意味している。
したがって、例えば、図2(a)に示すように、開口部の形状が円形である場合には、そのまま直径が孔径(d1)となり、図2(b)に示すように、形状が四角形である場合には、同一面積を有する円に相当する直径を意味することになる。
なお、開口部の孔径(d1)は、疎水性フィルムの全面において、必ずしも同一とする必要はなく、良好な柔軟性や形状追随性を望む箇所を適宜選択して、変更することも好ましい。
例えば、図2(c)に示すように、疎水性フィルム14´´´を、上領域14a´´´、中領域14b´´´、下領域14c´´´に三等分して、上領域14a´´´の開口部16の孔径(d1)を最も小さく、次いで、中領域14b´´´の開口部16の孔径(d1)をそれよりも大きくし、さらに、下領域14c´´´の開口部16の孔径(d1)を大きくすることが好ましい。
このように構成することによって、上方から下方に向かって、柔軟性や形状追随性が順次良好となる疎水性フィルム14´´´とすることができる。
(5)開口部の縁
また、図1(a)、(b)等に示すように、開口部16の周囲に、所定高さおよび所定幅を有する突起状の縁16aを設けることが好ましい。
そして、かかる開口部における突起状の縁は、疎水性フィルムの水平面から外側に向かって突出していれば良く、その垂直断面形状を、概ね三角形や半円形とすることが好ましい。
この理由は、かかる開口部における突起状の縁であれば、O−リングとしての機能を発揮し、開口部を介して吸収する体液が所定場所以外に流出するのを有効に防止したり、皮膚に対する接触面積が低下して、優しく接触したりすることが可能となるためである。
したがって、具体的に、開口部の縁の高さを0.05〜5mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.1〜3mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.2〜2mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、同様に、開口部の縁の幅を0.01〜1mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.05〜0.5mmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.08〜0.2mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、開口部の縁の高さや幅は、開口部を形成する針状物の加熱温度、押圧圧力、あるいは押圧速度(繊維層および疎水性フィルムの移動速度)等を調整することによって、疎水性フィルムの一部を用いて、容易に形成することができる。
但し、開口部の縁が不必要な場合には、熱プレス等によって、所定の熱および圧力を付加して、かかる開口部の縁を平坦化することも好ましい。
(6)開口部の個数密度
また、開口部の個数密度(存在密度または存在割合)を2〜70個/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、開口部の個数密度が2個/cm2未満の値となると、疎水性フィルム、ひいては創傷・火傷用保護部材の柔軟性や形状追随性が著しく乏しくなったり、疎水性フィルムと、繊維層と、の間の接着性が低下したりする場合があるためである。
一方、開口部の個数密度が70個/cm2を超えると、開口部を安定的に形成することが困難となったり、疎水性フィルムの機械的強度が過度に低下したりする場合があるためである。
したがって、疎水性フィルムの開口部の個数密度を20〜65個/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜60個/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、複数の開口部の個数密度は、疎水性フィルムの全面において、必ずしも同一とする必要はなく、良好な柔軟性や形状追随性を望む箇所を適宜選択して、かかる個数密度を大きくすることも好ましい。
(7)開口部の面積割合
また、疎水性フィルムにおける開口部の面積割合、すなわち、疎水性フィルムの単位面積(100%)あたりにおける、複数の開口部の合計面積の割合を1〜30%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、開口部の面積割合が1%未満の値となると、体液の吸収性が過度に低下したり、疎水性フィルム、ひいては創傷・火傷用保護部材の加工が困難となる場合があるためである。
一方、開口部の面積割合が30%を超えると、開口部を安定的に形成することが困難となったり、機械的強度が過度に低下したりする場合があるためである。
したがって、疎水性フィルムにおける開口部の面積割合を5〜25%の範囲内の値とすることがより好ましく、7〜20%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、複数の開口部の面積割合は、疎水性フィルムの全面において、必ずしも同一とする必要はなく、良好な柔軟性や形状追随性を望む箇所を適宜選択して、かかる面積割合を増減することも好ましい。
(8)開口部の側面形状
また、開口部の側面形状についても、特に制限されるものではないが、図3(a)に示すように、柱状、または、図3(b)に示すように、圧着部から開口部に向かって孔径が大きくなるテーパ状とすることが好ましい。
この理由は、かかる柱状またはテーパ状の側面形状であれば、加熱状態の針状物等を用いて、安定的かつ精度良く形成することができるためである。
3.繊維層
(1)繊維材料
また、繊維層を構成する繊維材料の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、コットン、パルプ、シルク、レーヨン、キュプラ、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、リヨセル等の一種単独または二種以上の組み合わせであることが好ましい。
そして、後述するように、接触角が所定値以下の親水性繊維材料を含んでなる親水性繊維層であることが好ましい。
すなわち、このような親水性繊維層であれば、体液と馴染んで、十分に含浸できるとともに、安定的に保持することが可能である。
また、繊維材料を含んでなる繊維層は、柔軟性や形状追従性を有するシート状物であれば特に限定されないものの、例えば織物、編物、不織布、紙類が好ましい。
すなわち、このような形態の繊維層であれば、体液や、必要に応じて薬液を十分に含浸することができる。
そして、比較的安価であって、かつ、疎水性フィルムとの熱圧着が容易であることから、繊維層を不織布から構成することがより好ましい。
また、繊維材料の直径を0.1〜30μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる繊維材料の直径が0.1μm未満の値となると、取り扱いが困難となったり、機械的強度が低下したり、さらには、繊維層を構成した場合に、体液を適度に吸収することが困難となったりする場合があるためである。
一方、かかる繊維材料の直径が30μmを超えると、創傷・火傷用保護部材を構成した場合に、柔軟性や形状追随性が低下する場合があるためである。
したがって、かかる繊維材料の直径を0.5〜20μmの範囲内の値とすることが好ましく、1〜15μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
(2)目付
また、繊維層の目付を10〜300g/m2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる繊維層の目付が10g/m2未満の値となると、体液を繊維層に適度に吸収することが困難となったり、水蒸気透過性が著しく低下したりする場合があるためである。
一方、かかる繊維層の目付が300g/m2を超えると、使い勝手性や取扱性が低下する場合があるためである。
したがって、かかる繊維層の目付を30〜200g/m2の範囲内の値とすることが好ましく、50〜120g/m2の範囲内の値とすることがより好ましい。
(3)親水性
また、繊維材料が親水性繊維材料である場合、その親水性の目安として、JIS K 6768に準拠して測定される接触角(測定温度:25℃、測定試料:純水)を10〜60°未満の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる接触角の値が10°未満の値になると、使用可能な親水性繊維の種類が制限されるばかりでなく、過度に体液を吸収する場合があるためである。
一方、親水性繊維材料の接触角が60°を超えると、疎水性繊維材料となって、体液を適度に吸収することが困難となる場合があるためである。
したがって、親水性繊維材料の接触角を15〜58°の範囲内の値とすることが好ましく、20〜55°の範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、親水性繊維材料の接触角は、JIS K 6768に準拠して測定されるが、所定溶剤を用いて、親水性繊維を溶解または分解し、それを所定厚さのフィルムとしてから測定することができる。
(4)厚さ
また、繊維層の厚さを、通常、10〜2000μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、繊維層の厚さが10μm未満の値となると、体液を適度に吸収するのが困難となったり、取り扱い性が低下したりする場合があるためである。
一方、繊維層の厚さが2000μmを超えると、柔軟性や形状追従性が乏しくなったり、使い勝手性が低下したり、皮膚からの水蒸気を外部に透過させる水蒸気透過率が著しく低下したりするためである。
したがって、繊維層の厚さを30〜1000μmの範囲内の値とすることが好ましく、50〜500μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
(5)積層数
また、図1(c)に示すように、複数の繊維層を積層することが好ましい。
この理由は、複数の繊維層を積層することにより、より多くの体液を吸収することができるためである。
したがって、積層する繊維層の数を1〜10層の範囲内の値とすることが好ましく、2〜5層の範囲内の値とすることがより好ましい。
4.用途
また、本発明の創傷・火傷用保護部材の用途は、特に限定されるものではなく、人体の各種部分、例えば、顔全体、目元、鼻、口元、手、足、ひじ、膝、肩、腰、首などに発生した創傷や火傷に貼付して、体液を適度に吸収するのに適している。
そして、適度な体液吸収性と、良好な柔軟性や形状追従性と、皮膚に対する良好な剥離性と、を有することから、特に、出血が相対的に少ないシミ取り時の止血部材や火傷用保護部材として用いることが好適である。
その他、本発明の創傷・火傷用保護部材を外装材として、袋状物を構成することも好ましい。その袋状物の中に、別の体液吸収部材を収容することによって、より大量の体液等であっても、迅速かつ確実に処理することができる。
5.薬液
また、繊維層に、所定の薬液を含浸・保持させて、所定の開口部を介して、皮膚の創傷・火傷に対して供給することも好ましい。
ここで、薬液の種類は、創傷・火傷用保護部材の用途等を考慮して決定することが可能である。より具体的には、傷用薬剤、火傷用薬剤、ビタミン剤、冷却剤、保温剤、湿布剤、消毒剤、血行促進剤等の一種単独または二種以上の組み合わせであることが好ましい。
6.変形例
(1)平面形状
また、創傷・火傷用保護部材の平面形状については、特に制限されるものではないが、通常、円形、長円形、四角形、楕円形、ひし形、三角形、星型、異形、多角形のいずれかであることが好ましい。
より具体的には、図4(a)〜(c)に示すように、創傷・火傷用保護部材の平面形状として、四角形や円形であることが好ましい。
この理由は、このような平面形状を有する創傷・火傷用保護部材であれば、製造することが容易であって、貼付易いためである。
(2)粘着部
また、図4(a)〜(c)に示すように、創傷・火傷用保護部材の所定平面形状の少なくとも外周の一部または全部に粘着部が設けてあることが好ましい。
この理由は、患部に、創傷・火傷用保護部材を容易に被覆して固定することができるためである。
また、粘着部で創傷・被覆用保護部材を固定していることから、創傷・火傷用保護部材がずれたり、落ちたりする心配がなく、使い勝手性をさらに向上させることができるためである。
また、粘着部としては、図4(a)、(c)に示すように、医療用テープ20であってもよく、図4(b)に示すように粘着剤20’であってもよい。
この理由は、粘着部が医療用テープであれば、粘着部の位置を容易に確認することができるためである。
また、粘着部が粘着剤であれば、創傷・火傷用保護部材と一体化することができ、容易に患部を被覆、保護することができるためである。
(3)接着剤層
また、図5(a)に示すように、繊維層12と、疎水性フィルム14と、の間に接着剤層(プライマー層や表面改質層を含む)13を介して積層した状態で、部分的に熱圧着して、複数の熱圧着部18が形成してあることが好ましい。
このように接着剤層13を設けることによって、繊維層12と、疎水性フィルム14と、の間の位置ずれが少なくなって、所定の開口部16を精度良く形成することができるためである。
また、このように接着剤層13を設けることによって、繊維層12と、疎水性フィルム14と、の間の接着力を向上させることができるとともに、創傷・火傷用保護部材の柔軟性や形状追随性等についても、より容易に調整することができるためである。
ここで、接着剤層13の厚さとしては、その種類にもよるが、通常、1〜100μmの範囲内の値とすることが好ましく、5〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜30μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、接着剤層13を構成する接着剤の種類についても特に制限されるものではないが、例えば、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤、オレフィン系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリエステル系接着剤、ゴム系接着剤等が挙げられる。
なお、接着剤層13の形成方法として、ホットメルト接着剤を、溶融させながら塗布しても良いが、溶剤を使用して、含浸させたり、スプレー塗布したりすることも好ましい。
(4)装飾層
また、図5(b)に示すように、疎水性フィルム14の表面に、装飾層(着色層を含む)15を形成し、当該装飾層にも、部分的な熱圧着によって、複数の開口部16が形成してあることが好ましい。
この理由は、使用時に外面に位置する疎水性フィルムに、着色を施したり、装飾を施したり、さらには、文字等を印刷することによって、創傷・火傷用保護部材における外観性や美観性、あるいは情報性が向上するためである。
なお、装飾層15の形成方法として、予め装飾層15を備えた疎水性フィルム14を用いることが好ましいが、後加工して、所定塗料を塗布したり、着色テープ等を積層したりして、形成することも好ましい。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態は、貼付面となる疎水性フィルムと、体液を吸収する繊維材料を含んでなる繊維層と、を積層してなる創傷・火傷用保護部材の製造方法であって、疎水性フィルムおよび繊維層を準備する工程と、疎水性フィルムおよび繊維層を重ね合わせた状態で、加熱状態の針状物により部分的に熱圧着して、熱圧着部を形成すると同時に、当該熱圧着部における疎水性フィルムの対応箇所に、繊維層に向かって貫通する開口部を設ける工程と、を含むことを特徴とする創傷・火傷用保護部材の製造方法である。
以下、本発明の第2実施形態である創傷・火傷用保護部材の製造方法を、図6の熱圧着装置100を参照しながら、具体的に説明する。
1.準備工程
準備工程は、創傷・火傷用保護部材の構成材料である疎水性フィルムおよび繊維層を準備する工程である。
すなわち、図6に示すように、ロール状の疎水性フィルム14aと、ロール状の繊維層12aと、を準備して、それぞれ巻き出し位置に設置することが好ましい。
そして、巻き出し位置から長尺状の疎水性フィルム14と、長尺状の繊維層12をそれぞれ繰り出して、位置合わせしながら、仮圧着ロール102、104を用いて、相互に重ね合わすことが好ましい。
なお、仮圧着ロール102、104の両方、またはいずれか一方を所定温度、例えば、30〜70℃に加熱しておくことによって、疎水性フィルム14と、繊維層12との積層状体をより密なものとすることができる。
2.加熱圧着工程
また、加熱圧着工程は、疎水性フィルムと、繊維材料との部分的な熱圧着積層体であって、所定の開口部を有する熱圧着積層体(以下、部分的熱圧着積層体と称する場合がある。)を製造する工程である。
より具体的には、図6に示すように、長尺状の疎水性フィルム14と、長尺状の繊維層12と、を積層した状態で、加熱状態の針状物108aにより部分的に熱圧着して、熱圧着部18を形成すると同時に、当該熱圧着部18における疎水性フィルム14に、繊維層12に向かって貫通する開口部16を設けて、部分的熱圧着積層体110を製造する工程である。
すなわち、加熱カレンダロール108の表面に、所定形状の針状物108aを設けておき、それによって、所定の熱圧着部18を形成すると同時に、熱圧着部18に対応した疎水性フィルム14の所定場所に、所定の開口部16を効率的かつ精度良く設けることができる。
そして、このように製造することによって、平坦な疎水性フィルムの表面(開口部の周囲)に、針状物の外形に対応した形状、例えば、円状や楕円状、あるいは多角形状を有する、疎水性フィルムの表面側に突出する突起状の縁を形成することができる。
その上、針状物の加熱温度、押圧圧力、あるいは押圧速度(繊維層および疎水性フィルムの移動速度)等を調整することによって、開口部の縁の高さや幅を容易に制御することができる。
したがって、形成した開口部の縁が、いわゆるO−リングとしての機能を発揮し、開口部の形状の均一性や寸法精度が向上するばかりか、使用時には、皮膚における創傷や火傷に対して、優しく接触することができるとともに、使用後に剥離する際にも、かかる箇所との固着を防止して、痛みなく剥離することができる。
ここで、部分的熱圧着積層体を製造する際の針状物の加熱温度は、疎水性フィルムの種類等を考慮して定められるが、通常、80〜400℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような加熱温度の針状物を用いることにより、繊維材料を含んでなる繊維層と、疎水性フィルムとを、確実に熱圧着することができるとともに、所定の開口部を精度良く形成することができるためである。
したがって、部分的熱圧着積層体を製造する際の針状物の加熱温度を120〜350℃の範囲内の値とすることがより好ましく、180〜300℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
但し、部分的熱圧着積層体を製造する際に、疎水性フィルムや繊維層の種類に応じて、針状物の加熱温度を変更することが好ましい。
例えば、針状物の加熱温度を、疎水性フィルムとしてポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いる場合には200〜350℃の範囲内の値とし、ポリウレタン樹脂フィルムを用いる場合には150〜300℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような加熱条件で製造することにより、フィルムや繊維の種類に応じて、確実に熱圧着することができるとともに、所定の開口部をさらに精度良く形成することができるためである。
また、図1(c)に示すように、2層の疎水性フィルムの間に複数の繊維層を積層して、部分的な熱圧着積層体を製造する際には、1層の長尺状の疎水性フィルムと、複数の長尺状の繊維層と、を積層した状態で、加熱状態の針状物により部分的に熱圧着して、熱圧着部を形成すると同時に、当該熱圧着部における疎水性フィルムに、繊維層に向かって貫通する開口部を設けて、部分的熱圧着積層体を製造する工程の後に、再度、別の1層の疎水性フィルムを、部分的熱圧着積層体の最外繊維層面に積層して、加熱状態の針状物により部分的に熱圧着して、熱圧着部を形成すると同時に、当該熱圧着部における疎水性フィルムに、繊維層に向かって貫通する開口部を設けて、部分的熱圧着積層体を製造する工程とすることが好ましい。
この理由は、繊維層の両面に疎水性フィルムを備えた創傷・火傷用保護部材においても、このように2段階で部分的熱圧着積層体を製造することによって、図6に示すような製造装置を使用でき、経済的に有利であるためである。
3.切断工程
また、切断工程は、得られた部分的熱圧着積層体を、用途等に応じて、所定形状や所定大きさに切断する工程である。
例えば、カッターやレーザー等の切断冶具を用いて、部分的熱圧着積層体の平面形状を長方形、正方形、円形、楕円形、長尺状、異形、顔形等とすることができる。
4.パッケージング工程(薬液含浸工程)
また、パッケージング工程は、所定形状および所定大きさの部分的熱圧着積層体の周囲を被覆する工程である。
すなわち、アルミ箔等が積層されたプラスチックフィルム等によって、部分的熱圧着積層体の周囲を被覆することによって、パッケージングすることができる。
よって、パッケージングを開封して、使用するまで、長期間にわたって、その特性を維持することができる。
なお、繊維層に、所定の薬液を含浸させる場合には、パッケージング工程の前、あるいは同時に、繊維層を薬液に浸漬したり、繊維層に薬液をスプレー供給したりする薬液供給工程を含むことが好ましい。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。但し、以下の説明は本発明を例示的に示すものであり、本発明はこれらの記載に制限されるものではない。
[実施例1]
1.創傷・火傷用保護部材の作成
(1)疎水性フィルムおよび繊維材料の準備工程
繊維材料(親水性繊維材料)を含む繊維層として、幅:40cm、長さ10m、目付:80g/m2のコットン不織布(接触角10°)を準備した。
一方、疎水性フィルムとして、幅:40cm、長さ10m、厚さ2.5μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(接触角65°)を準備した。
(2)加熱圧着工程
次いで、疎水性フィルムおよび繊維材料を、それぞれ重ね合わせた状態で、移送させながら、図6に示すような針状物(形状:円錐状、最大直径:0.5mm、長さ:1.0mm)108aを外周面に備えた加熱カレンダロール108を含む熱圧着装置100を用いて、部分的に熱圧着した。
すなわち、220℃に加熱した針状物により、部分的に熱圧着して複数の熱圧着部を形成すると同時に、当該熱圧着部における疎水性フィルムに、繊維層に向かって貫通する開口部(平面形状:円形、直径:0.5mm、個数密度50個/cm2)を設けて部分的熱圧着積層体を得た。
(3)切断工程
次いで、得られた部分的熱圧着積層体を、切断装置としてのカッターを用いて、所定形状(縦4cm×横10cm)にカットした。
なお、この段階の創傷・火傷用保護部材の貼付面側(表面側)10を顕微鏡観察したところ、図7(a)に模式的に示すように、熱圧着部18において、疎水性フィルム14が溶融除去され、直径約0.5mmのほぼ円形の貫通孔としての開口部16および開口部の縁16aが形成されるとともに、当該開口部16において、繊維層12の一部が露出していることを確認した。
また、創傷・火傷用保護部材の非貼付面側(裏側)を顕微鏡観察したところ、図8(a)に示すように、非熱圧着部では、繊維層が均一に絡まっており、表側の開口部が見えていないのに対して、図8(b)に示すように、熱圧着部では、繊維層が一部ほどけて、表側の開口部が一部見えていることを確認した。
2.創傷・火傷用保護部材の評価
(1)接着性(評価1)
得られた創傷・火傷用保護部材 (縦4cm×横10cm)を、疎水性フィルムを上側にして、100℃の沸騰水に、所定時間浸漬した後、疎水性フィルムと、繊維層とを素手で剥離し、下記基準に沿って接着性を評価した。
◎:12時間以上浸漬しても、疎水性フィルムと、繊維層との界面で剥離することができない。
○:6時間以上浸漬しても、疎水性フィルムと、繊維層との界面で剥離することができない。
△:1時間以上浸漬しても、疎水性フィルムと、繊維層との界面で剥離することができない。
×:1時間未満の浸漬であって、疎水性フィルムと、繊維層との界面で剥離することができる。
(2)体液吸収性(評価2)
得られた創傷・火傷用保護部材を、開口部を有する疎水性フィルム側を下方にして、所定容器に収容された人口血液(3ml)に浸漬し、下記基準に沿って体液吸収性を評価した。
◎:1秒以内に、開口部を介して、人口血液を完全に吸収することができる。
○:5秒以内に、開口部を介して、人口血液を完全に吸収することができる。
△:10秒以内に、開口部を介して、人口血液を吸収することができる。
×:10秒以内では、開口部を介して、人口血液を吸収することができない。
(3)柔軟性(評価3)
得られた創傷・火傷用保護部材の柔軟性を、折り畳み性(二つ折り状態または四つ折り状態)から判断し、下記基準に沿って評価した。
◎:無加圧状態にしても、復元することなく、二つ折り状態および四折り状態をそのまま維持することができる。
○:無加圧状態にすると、若干復元するものの、二つ折り状態のみならず、四折り状態をそのまま維持することができる。
△:無加圧状態にすると、相当復元するものの、二つ折り状態であれば維持することができる。
×:無加圧状態にすると、元の形状に復元してしまい、二つ折り状態であっても維持することはできない。
(4)形状追随性(評価4)
得られた創傷・火傷用保護部材を、医療用テープを用いて、顔面のほおに貼付し、その際の形状追随性を、下記基準に沿って評価した。
◎:30秒以下で、極めて円滑に顔面の形状に適用することができる。
○:1分以下で、比較的円滑に顔面の形状に適用することができる。
△:1分以上時間がかかるものの、顔面の形状に適用することができる。
×:1分以上時間がかかっても、顔面の形状に適用することができない。
(5)皮膚に対する剥離性(評価5)
得られた創傷・火傷用保護部材を、医療用テープを用いて、顔面のほおに貼り付け、30分経過した後、剥離して、下記基準に沿って皮膚に対する剥離性を評価した。
◎:皮膚に固着しておらず、剥離時に全く痛みがない。
○:皮膚にほとんど固着しておらず、剥離時に痛みがない。
△:皮膚に少々固着しており、剥離時に若干痛みがある。
×:皮膚に顕著に固着しており、剥離時に痛みがある。
[実施例2]
実施例2では、加熱カレンダロールに備えてある針状物の本数を減らして、形成する開口部の個数密度を25個/cm2に低下させたほかは、実施例1と同様に、創傷・火傷用保護部材を作成して、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
なお、実施例2の創傷・火傷用保護部材の場合、開口部の個数密度が実施例1の半分のためと思われるが、実施例1の創傷・火傷用保護部材よりも、接着性評価、体液吸収性評価、および柔軟性評価において、評価結果がそれぞれ若干低下する傾向が見られた。
[実施例3]
実施例3では、加熱カレンダロールに備えてある針状物の本数を増やして、形成する開口部の個数密度を70個/cm2に増加させたほかは、実施例1と同様に、創傷・火傷用保護部材を作成して、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
なお、実施例3の創傷・火傷用保護部材の場合、開口部の個数密度が実施例1の1.4倍のためと思われるが、実施例1の創傷・火傷用保護部材よりも、皮膚に対する剥離性評価結果が若干低下する傾向が見られた。
[実施例4]
実施例4では、加熱カレンダロールに備えてある針状物の最大直径を小さくして、形成する開口部の直径を0.2mmに低下させたほかは、実施例1と同様に、創傷・火傷用保護部材を作成して、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
なお、実施例4の創傷・火傷用保護部材の場合、開口部の直径が実施例1の2/5と小さいためと思われるが、実施例1の創傷・火傷用保護部材よりも、接着性評価、体液吸収性評価、および柔軟性評価において、評価結果がそれぞれ若干低下する傾向が見られた。
[実施例5]
実施例5では、加熱カレンダロールに備えてある針状物の最大直径を大きくして、形成する開口部の直径を0.7mmに増加させたほかは、実施例1と同様に、創傷・火傷用保護部材を作成して、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
なお、実施例5の創傷・火傷用保護部材の場合、開口部の直径が実施例1の7/5と大きいためと思われるが、実施例1の創傷・火傷用保護部材よりも、皮膚に対する剥離性評価結果が若干低下する傾向が見られた。
[実施例6]
実施例6では、疎水性フィルムの厚さを5μmに増加させたほかは、実施例1と同様に、創傷・火傷用保護部材を作成して、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
なお、実施例6の創傷・火傷用保護部材の場合、疎水性フィルムの厚さが実施例1の2倍と厚いためと思われるが、実施例1の創傷・火傷用保護部材よりも、接着性評価および柔軟性評価において、評価結果がそれぞれ若干低下する傾向が見られた。
[実施例7]
実施例7では、疎水性フィルムの種類を厚さ10μmのポリレタンフィルムに変更したほかは、実施例1と同様に、創傷・火傷用保護部材を作成して、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
なお、実施例7の創傷・火傷用保護部材の場合、疎水性フィルムの種類が、ポリウレタンフィルムに変更されたためと思われるが、実施例1の創傷・火傷用保護部材よりも、相当厚い疎水性フィルムを用いているものの、実施例1と同様の優れた接着性評価や柔軟性評価等が得られた。
[実施例8]
実施例8では、親水性繊維材料を含む繊維層として、幅:40cm、長さ10m、目付:100g/m2のレーヨン不織布(接触角10°)に変更するとともに、ポリウレタンフィルムの厚さを20μmとしたほかは、実施例7と同様に、創傷・火傷用保護部材を作成して、評価した。得られた評価結果を表1に示す。
すなわち、実施例8の創傷・火傷用保護部材の場合、疎水性フィルムの種類が、所定厚さのポリウレタンフィルムに変更され、かつ、レーヨン不織布を用いたが、実施例1と同様に、優れた接着性評価や柔軟性評価等が得られた。
その他、創傷・火傷用保護部材の表側を顕微鏡観察したところ、図7(b)に模式的に示すように、熱圧着部18において、疎水性フィルム14が溶融除去され、長径約1mm、短径約0.5mmのほぼ長形の貫通孔としての開口部16および開口部の縁16aが形成されるとともに、当該開口部16において、繊維層12の一部が露出していることを確認した。
[比較例1]
比較例1では、疎水性フィルムとして、厚さ18μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いるとともに、繊維層に向かって貫通しない熱圧着部(平面形状:円形、直径:0.5mm、個数密度50個/cm2)を設けたほかは、実施例1と同様に創傷・火傷用保護部材を作成して、評価した。
なお、比較例1では、所定サイズの開口部が、貫通孔として形成されておらず、かつ、疎水性フィルムとしてのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの厚さが若干厚いことから、柔軟性や形状追従性の各評価において、△以下の評価しか得られないことを確認した。
[比較例2]
比較例2では、疎水性フィルムとして、厚さ20μmのポリエチレン樹脂フィルムを用いるとともに、繊維層に向かって貫通しない熱圧着部(平面形状:円形、直径:0.5mm、個数密度1個/cm2)を設けたほかは、実施例1と同様に創傷・火傷用保護部材を作成して、評価した。
なお、比較例2では、所定サイズの開口部が、貫通孔として形成されておらず、かつ、疎水性フィルムとしてのポリエチレン樹脂フィルムを用いたためと思量するが、接着性、体液吸収性、柔軟性、および形状追従性の各評価において、△以下の評価しか得られないことを確認した。

*疎水フィルム欄における数値は、疎水フィルムの厚さ(μm)を意味している。
*評価1:接着性、評価2:体液吸収性、評価3:柔軟性、評価4:形状追随性、
評価5:皮膚に対する剥離性
以上、詳述したように、本願発明の創傷・火傷用保護部材によれば、所定の疎水性フィルムと繊維層を備え、かつ、所定の開口部を熱圧着部に有することによって、適度な体液吸収性と、良好な柔軟性や形状追従性と、皮膚に対する良好な剥離性と、をそれぞれ発揮できるようになった。
したがって、本願発明の創傷・火傷用保護部材を、顔面におけるシミ取り時の止血部材用シートとした場合、顔面に対する密着性や追随性が良好となるばかりか、適度な止血性や、所定時間経過した後の創傷部に対する固着を有効に防止できるようになった。
また、同様に、本願発明の創傷・火傷用保護部材を、人体における火傷用保護部材とした場合、火傷箇所に対する密着性や追随性が良好となるばかりか、所定時間経過した後の火傷部に対する固着を有効に防止できるようになった。
また、本願発明の創傷・火傷用保護部材の製造方法によれば、加熱カレンダロールの表面に、所定形状の針状物を設けておき、それを加熱して、疎水性フィルムおよび繊維層の積層物に対して、カレンダ処理を行う方法によって、適度な体液の吸収性と、良好な柔軟性や形状追従性と、皮膚に対する良好な剥離性と、をそれぞれ発揮する創傷・火傷用保護部材を効率的かつ安価に製造することができるようになった。
その他、本願発明の創傷・火傷用保護部材の製造方法によれば、伸縮異方性を有する創傷・火傷用保護部材を容易に得ることができる。
すなわち、創傷・火傷用保護部材を製造するに際して、加熱状態の針状物によるカレンダ処理を行う方向、すなわち、疎水性フィルムおよび繊維層の積層物を移動させる長さ方向においては、伸長率が小さくなる一方、疎水性フィルムおよび繊維層の積層物を移動させる方向と直交する幅方向においては、伸長率が大きくなることが判明している。
より具体的には、実施例1の創傷・火傷用保護部材の場合、幅方向の伸長率/長さ方向の伸長率で表わされる比率が約1.5であり、実施例8の創傷・火傷用保護部材の場合、幅方向の伸長率/長さ方向の伸長率で表わされる比率が約2.5であった。
したがって、異方性を有する創傷・火傷用保護部材をさらに切断加工して、テープ状とした場合、所定方向のみ伸長しやすい長尺の創傷・火傷用保護部材とすることも期待される。
1:人体皮膚
1a:創傷部(または火傷)
10:創傷・火傷用保護部材
12:繊維層(親水性繊維層)
13:接着剤層
14、14’、14a〜c:疎水性フィルム
15:装飾層
16:開口部
16a:縁
18:熱圧着部
20、20’:医療用テープ
100:熱圧着装置
102、104:仮圧着ロール
106:ロール
108:加熱エンボスロール
108a:針状物
110:部分的熱圧着積層体

Claims (11)

  1. 貼付面となる疎水性フィルムと、体液を吸収する繊維材料を含んでなる繊維層と、を積層してなる創傷・火傷用保護部材であって、
    前記疎水性フィルムおよび前記繊維層を、部分的に積層するための熱圧着部が設けてあるとともに、当該熱圧着部における前記疎水性フィルムの対応箇所に、前記繊維層に向かって貫通する開口部が設けてあることを特徴とする創傷・火傷用保護部材。
  2. 前記開口部の孔径を0.05〜3mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の創傷・火傷用保護部材。
  3. 前記開口部の個数密度を2〜70個/cm2の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の創傷・火傷用保護部材。
  4. 前記開口部の周囲に、突起状の縁が設けてあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の創傷・火傷用保護部材。
  5. 前記疎水性フィルムを、厚さが0.1〜15μmであるポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、または厚さが5〜30μmであるポリウレタン樹脂フィルムとすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の創傷・火傷用保護部材。
  6. 前記疎水性フィルムにおけるJIS K 6768に準拠して測定される接触角を60°以上の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の創傷・火傷用保護部材。
  7. 前記繊維材料を、綿、レーヨンまたはキュプラとすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の創傷・火傷用保護部材。
  8. 前記繊維層の目付を10〜300g/m2の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の創傷・火傷用保護部材。
  9. 前記創傷・火傷用保護部材の平面形状を、四角形状、多角形状、円形状、または楕円形状とするとともに、前記平面形状の外周の一部または全部に粘着部が設けてあることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の創傷・火傷用保護部材。
  10. 貼付面となる疎水性フィルムと、体液を吸収する繊維材料を含んでなる繊維層と、を積層してなる創傷・火傷用保護部材の製造方法であって、
    前記疎水性フィルムおよび前記繊維層を準備する工程と、
    前記疎水性フィルムおよび前記繊維層を重ね合わせた状態で、加熱状態の針状物により部分的に熱圧着して、熱圧着部を形成すると同時に、当該熱圧着部における前記疎水性フィルムの対応箇所に、前記繊維層に向かって貫通する開口部を設ける工程と、
    を含むことを特徴とする創傷・火傷用保護部材の製造方法。
  11. 前記針状物が加熱してあるとともに、当該針状物の加熱温度を、前記疎水性フィルムとしてポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いた場合には200〜350℃の範囲内の値とし、ポリウレタン樹脂フィルムを用いた場合には150〜300℃の範囲内の値とすることを特徴とする請求項10に記載の創傷・火傷用保護部材の製造方法。
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