WO2015108100A1

WO2015108100A1 - 止血材

Info

Publication number: WO2015108100A1
Application number: PCT/JP2015/050917
Authority: WO
Inventors: 修平倉田
Original assignee: 株式会社瑞光
Priority date: 2014-01-20
Filing date: 2015-01-15
Publication date: 2015-07-23
Also published as: JPWO2015108100A1; JP6577368B2

Abstract

止血材１は、血液凝固を促進する繊維を含む不織布２０と、不織布２０に積層される多孔質シート１０とを含み、多孔質シート１０は、創傷部位に当てられる接触面１１と、この接触面１１に開口するとともに多孔質シート１０の厚さ方向に貫通している複数の孔１３とを備える。止血材１は、出血している創傷部位２００と多孔質シート１０の接触面１１とが接触するように皮膚に貼り付けられる。創傷部位２００から流れ出た体液を吸収することにより膨潤し、ゲル化した不織布２０の繊維は、カルシウムイオンを放出する。このカルシウムイオンは、多孔質シート１０の孔１３を通過し、創傷部位２００に到達して、創傷部位２００の血液の凝固を促進する。この止血材は、創傷部位から剥がされるときに患者に痛みを与えにくい。

Description

止血材

　本発明は、止血材に関する。

　出血している皮膚の創傷部位は止血材により止血される。特許文献１は、可溶性止血材層、粘着層、および、固定用シートが積層された３層構造を有する止血材を開示している。粘着層は、可溶性止血材層および固定用シートに粘着している。可溶性止血材層は、創傷部位に当てられると、血液を吸収することにより膨潤しながら溶解する。より具体的には、この可溶性止血材層は、オキシセルロース、酸化コラーゲン、セルロースナトリウム、アルギン酸カルシウム等からなる不織布である。この可溶性止血材層は、膨潤し溶解するとカルシウムイオン等を放出し、血液凝固因子を活性化させる。

特開平０９－２９４７６５号公報

　膨潤と溶解によりカルシウムイオン等の血液凝固因子活性化イオンを放出する不織布は、優れた止血効果を持つ。しかし、特許文献１の止血材では、可溶性止血材層である不織布が患者の創傷部位に直接当てられるため、止血後に止血材が創傷部位から剥がされるときに、患者が痛みを感じる。

　より具体的には、特許文献１の止血材における不織布の表面には毛羽立った多数の繊維が存在する。このため、不織布が創傷部位に直接当てられると、不織布の表面にある毛羽立った繊維が、創傷部位の血液中に入り込む。この状態で、不織布から放出されるイオン等により血液が凝固すると、凝固した血液（いわゆる、血餅）と毛羽立った繊維とが互いに結合する。この結果、止血後に止血材が創傷部位から剥がされるとき、血餅と結合した繊維がその血餅を伴いながら移動するため、血餅の周囲の部分に力が加えられて、患者がその部分に痛みを感じる。特に、毛羽立った多数の繊維が束状の塊を形成している場合、塊全体の破断強度が高くなるため、血餅との結合力が大きくなり、止血材が創傷部位から剥がされる際に患者が一層強い痛みを感じることとなる。

　本発明の目的は、創傷部位から剥がされるときに患者に痛みを与えにくい止血材を提供することである。

　本発明の一形態によれば、止血材は、血液凝固を促進する繊維を含む不織布と、前記不織布に積層される多孔質シートとを含み、前記多孔質シートは、創傷部位に当てられる接触面と、この接触面に開口するとともに前記多孔質シートの厚さ方向に貫通している複数の孔とを備える。

　本発明による止血材は、創傷部位から剥がされるときに患者に痛みを与えにくい。

一実施形態の止血材の模式的な断面図。創傷部位に貼り付けられた図１の止血材の模式的な断面図。（ａ）本発明の一実施形態による不織布およびシートの一部の拡大断面図。（ｂ）比較例の不織布およびシートの一部の拡大断面図。変形例の止血材の模式的な断面図。

　〔１〕本発明の一形態による止血材は、血液凝固を促進する繊維を含む不織布と、前記不織布に積層される多孔質シートとを含み、前記多孔質シートは、創傷部位に当てられる接触面と、この接触面に開口するとともに前記多孔質シートの厚さ方向に貫通している複数の孔とを備える。

　ここで、「血液凝固を促進する繊維」とは、創傷部位から流れ出る体液により溶解する繊維はもとより、少なくとも一部が膨潤しゲル化する繊維を含み、さらに、溶解やゲル化によりカルシウムイオン等の、血液凝固因子を活性化させるイオンを放出する繊維を含む。血液凝固を促進する繊維の具体例としては、アルギン酸塩、オキシセルロース、酸化コラーゲン、ナトリウムセルロース等のいずれか又はこれらの複数種からなる繊維が挙げられる。

　本発明による止血材の使用方法の一例によれば、出血している創傷部位を覆うように、止血材がテープ等により皮膚に貼り付けられる。別の一例によれば、出血している創傷部位を覆うように、止血材自体が有する粘着性により止血材が皮膚に貼り付けられる。止血材は、創傷部位に多孔質シートの接触面が接触するように皮膚に貼り付けられる。創傷部位から流れ出た体液は、多孔質シートの孔を介して不織布に到達し、この不織布に吸収される。不織布は、体液を吸収することにより膨潤し、ゲル化し、ゲル化にともない血液凝固因子活性化イオンを放出する。不織布から放出されたイオン等は、多孔質シートの孔を通過し、創傷部位に到達する。これにより、創傷部位に存在する血液の凝固が促進される。

　血液の凝固により創傷部位が止血されたのち、止血材が皮膚から剥がされる。本発明による止血材は、皮膚から剥がされるときに創傷部位に痛みを発生させにくい。
　即ち、本発明の止血材によれば、創傷部位には多孔質シートの接触面が接触する。不織布と創傷部位とが直接接することは、多孔質シートによって阻まれる。この結果、不織布の表面に毛羽立った繊維があっても、これらの繊維が、多孔質シートの接触面と創傷部位との間に存在する血液中に入り込むことが防止される。創傷部位から流れ出た血液は、多孔質シートの孔を通り抜けるので、血液は創傷部位と多孔質シートの接触面との間と、多孔質シートの接触面とは反対側の面（背面）に接する不織布内との、両方に存在する。即ち、血液は多孔質シートの両面上に存在し、本止血材の止血効果により多孔質シートの両面上で凝固する。本止血材が創傷部位から剥がされるとき、この凝固した血液（血餅）は多孔質シートにより容易に分断され、多孔質シートの接触面と創傷部位との間の、不織布の繊維を含まない血餅が創傷部位に残される。この結果、本発明による止血材は、創傷部位から剥がされるときに、不織布の繊維とともに血餅が引き剥がされることを防止し、創傷部位に痛みを発生させにくい。

　〔２〕前記止血材において、前記接触面における前記複数の孔の直径または直径相当が２８０～１４００μｍの範囲に含まれ、前記多孔質シート１ｃｍ^２当たりの前記複数の孔の数が５０～４００個の範囲に含まれることが好ましい。

　この止血材によれば、前記接触面における孔の直径または直径相当が２８０μｍ以上であり、多孔質シート１ｃｍ^２当たりの孔の数が５０個以上であるので、創傷部位から流れ出た体液が多孔質シートを通過しやすく、不織布がこれを吸収して容易に膨潤しゲル化する。また、ゲル化した不織布から放出されるイオン等が多孔質シートを通過しやすく、創傷部位を良好に止血する。

　さらに、前記接触面における孔の直径または直径相当が１４００μｍ以下であり、多孔質シート１ｃｍ^２当たりの孔の数が４００個以下であるので、不織布の表面に毛羽立った繊維があっても、これらの繊維が多孔質シートの孔を容易に貫通することができず、繊維が接触面から突出することが抑制される。この結果、不織布の繊維が、多孔質シートの接触面と創傷部位との間に存在する血液と結合しにくいので、止血材が創傷部位から剥がされるとき、不織布の繊維とともに血餅が引き剥がされることが抑制され、患者が感じる痛みを低減できる。

　〔３〕前記止血材において、前記血液凝固を促進する繊維がアルギン酸塩を含むことが好ましい。
　アルギン酸塩を含む繊維は、ゲル化によりカルシウムイオン等を良好に放出するため、高い止血効果を持つ。

　〔４〕前記止血材において、前記多孔質シートは、前記接触面とは反対側の背面を有し、前記複数の孔の直径または直径相当が、前記接触面から前記背面に向かうにつれて小さくなることが好ましい。

　多孔質シートの背面における孔の開口が十分に小さいため、不織布の表面に毛羽立った繊維があっても、これらの繊維が多孔質シートの孔を貫通することが一層抑制される。この結果、不織布の繊維が、多孔質シートの接触面と創傷部位との間に存在する血液と結合することがさらに抑制されるので、止血材が創傷部位から剥がされるときに患者が感じる痛みをさらに低減できる。

　次に、図１を参照して、止血材１の一形態について説明する。
　止血材１の主な用途は、出血している創傷部位２００（図２参照）を覆い、創傷部位２００を止血することである。止血材１はシート状であり、一例として、多孔質シート１０、不織布２０、および保護シート３０が積層された３層構造を有する。

　多孔質シート１０は、一例として、ポリエチレン樹脂等のフィルムにより形成される。多孔質シート１０は、皮膚の形状にフィットしやすい柔軟性を備えていると好ましい。
　多孔質シート１０の一方の面は、露出した接触面１１である。多孔質シート１０の他方の面、即ち背面１２は、不織布２０の内面２１に隣接している。止血材１が創傷部位２００の止血に用いられるとき、接触面１１が創傷部位２００に当てられる。接触面１１は、止血後に創傷部位２００から止血材１を剥離しやすいように、疎水性を有することが好ましい。ただし、この多孔質シートには、親水性処理等により親水性が付与されてもよい。多孔質シートが親水性を有する場合、創傷部位２００から流れ出た体液が、下記に述べる孔を容易に通過できるようになるという利点が得られる。

　多孔質シート１０は、接触面１１に開口する孔１３を備えている。孔１３は多孔質シート１０を厚さ方向に貫通している。
　孔１３の直径は、一例として、多孔質シート１０の接触面１１から背面１２に向かうにつれて小さくなる。多孔質シート１０における１ｃｍ^２当たりの孔１３の数の好ましい範囲は、５０～４００個である。接触面１１の総面積（開口の面積を含む）に対する、接触面１１における孔１３の開口の総面積の割合（以降、「開口率」と称する）の好ましい範囲は、１５～６０％である。接触面１１における孔１３の直径または直径相当の好ましい範囲は、２８０～１４００μｍである。本明細書において、「直径相当」とは、孔の開口形状が円形でない場合に、その開口と面積が等しい円の直径を意味する。多孔質シート１０における孔１３の数、開口率、および、孔１３の直径または直径相当の範囲は、それぞれ、上記例示の範囲とは異なる範囲を取り得る。接触面１１における孔の開口形状は、楕円形であると好ましいが、他の形状であってもよい。

　不織布２０は、創傷部位２００から流れ出る体液を吸収する役割を持つ。体液は、主として、血液および浸出液を含む。不織布２０は、血液凝固を促進する繊維である繊維状のアルギン酸塩により形成されている。アルギン酸塩を構成する陽イオンは、例えば、カルシウム、ナトリウム、または、その両方を含む。

　不織布２０は、好ましくは皮膚の形状にフィットしやすい柔軟性を備えている。不織布２０の嵩密度の好ましい範囲は、４．０～７．０×１０^－２ｇ／ｃｍ^３である。嵩密度が７．０×１０^－２ｇ／ｃｍ^３以下であると、不織布２０は創傷部位２００から流れ出る体液を良好に吸収でき、アルギン酸塩繊維が容易にゲル化するうえ、皮膚の形状にフィットしやすい十分な柔軟性を備えるので好ましい。また嵩密度が４．０×１０^－２ｇ／ｃｍ^３以上であると、ゲル化したアルギン酸塩繊維から止血に十分な量のイオン等が創傷部位２００へ放出されるため好ましい。

　保護シート３０は、不織布２０に吸収された体液が不織布２０の背面２２からしみ出ることを妨げる役割、および、外部の液体等が創傷部位２００に侵入することを妨げる役割を持つ。このような保護シート３０の機能は、保護シート３０の材料が低い液体透過性を持つことによりもたらされる。保護シート３０の液体透過性は、一例として、保護シート３０が実質的に液体を透過させない程度に低い。

　保護シート３０は、例えば、ポリエチレン等の樹脂フィルム、布帛、不織布、または、これらのうちの一部または全部を組み合わせた材料により形成されている。保護シート３０は、好ましくは皮膚の形状にフィットしやすい柔軟性を備えている。

　多孔質シート１０の背面１２および不織布２０の内面２１は、接着剤により互いに接着されていることが好ましい。不織布２０の背面２２および保護シート３０の内面３１は、接着剤により互いに接着されていることが好ましい。接着剤の一例は、合成ゴム系ホットメルト接着剤である。合成ゴム系ホットメルト接着剤は、一例として、スチレン－ブタジエン－スチレン共重合体を含む。

　図２を参照して、止血材１の使用方法を説明する。
　最初に、出血している創傷部位２００を覆うように止血材１がテープ４０により皮膚に貼り付けられる。止血材１が皮膚に貼り付けられることにより、多孔質シート１０の接触面１１が創傷部位２００およびその周辺部位に接触する。

　創傷部位２００から流れ出る体液は、多孔質シート１０の孔１３を介して不織布２０に到達し、不織布２０に吸収される。不織布２０が体液を吸収することにより、血液凝固を促進するアルギン酸塩繊維が膨潤し、ゲル化し、ゲル化にともない血液凝固因子活性化イオンであるカルシウムイオンを放出する。このカルシウムイオンは、多孔質シート１０の孔１３を通過し、創傷部位２００に到達する。このカルシウムイオンにより、創傷部位２００に存在する血液の凝固が促進され、創傷部位２００が速やかに止血される。最後に、止血材１が創傷部位２００から剥がされる。

　図３を参照して、止血材１の作用について、比較例を参照しながら説明する。
　最初に、比較例の止血材とその作用について説明する。
　図３（ｂ）は、比較例の止血材である比較止血材１００の一部を示している。比較止血材１００は、多孔質シート１０を含まないこと以外は止血材１と実質的に同じ構成を有する。このため、以下の説明では、比較止血材１００において止血材１と共通する構成要素について、止血材１の構成要素と同一の符号を付している。

　図３（ｂ）に示されるように、比較止血材１００の不織布２０の内面２１には、不織布２０の繊維が毛羽立った部分（以下、「毛羽立ち部分２３」と称する）が形成されている。一部の毛羽立ち部分２３は、多数の繊維が束状に強く絡み合った複数の塊２４を形成している。図３（ｂ）は、このような比較止血材１００が創傷部位２００に当てられた状態の一例を示している。

　比較止血材１００が創傷部位２００に当てられているとき、その不織布２０が、創傷部位２００およびその周囲の皮膚に直接的に接触する。このため、毛羽立ち部分２３および塊２４が、創傷部位２００に存在する血液の中に入り込む。この状態で血液が凝固した場合、凝固した血液と、毛羽立ち部分２３および塊２４とが互いに結合する。このため、止血後に比較止血材１００が創傷部位２００から剥がされるとき、凝固した血液に結合している毛羽立ち部分２３および塊２４が、凝固した血液を伴いながら移動する。このため、凝固した血液の周囲の部分に力が加えられるため、患者はその部分に痛みを感じる。

　塊２４は、その内部に繊維に囲まれた空間を有する。この空間内に創傷部位２００から流れ出た血液が入り込むため、塊２４は、毛羽立ち部分２３と比較して、創傷部位２００の血液とより強く結合しやすい。さらに、塊２４は束状になった多数の繊維により形成されているため、全体として高い破断強度を有する。比較止血材１００によれば、多数のそのような塊２４を有する不織布２０の内面２１が、創傷部位２００に直接的に接触するため、不織布２０が凝固した血液を伴いながら創傷部位２００から剥がされることに起因する痛みがより強くなりやすい。

　図３（ａ）は、本発明の実施形態の止血材１が創傷部位２００に当てられた状態の一例を示している。止血材１によれば、多孔質シート１０が不織布２０の内面２１を覆っている。このため、止血材１が創傷部位２００に当てられているとき、多孔質シート１０の接触面１１が創傷部位２００およびその周囲の皮膚に接触する。不織布２０と創傷部位２００とが直接接することは、多孔質シート１０によって阻まれる。また、多孔質シート１０の背面１２における孔１３の開口が十分に小さいため、不織布２０の表面に形成された毛羽立ち部分２３および塊２４がこの孔を貫通することは、容易でない。この結果、多孔質シート１０の孔１３を貫通して創傷部位２００へ到達する毛羽立ち部分２３および塊２４は、ほとんど、あるいは全く存在しない。特に、多数の繊維からなる塊２４は全体として太いため、多孔質シート１０の孔１３を貫通することができず、したがって創傷部位２００へ到達することができない。

　上述したように、毛羽立ち部分２３および塊２４は、多孔質シート１０の接触面１１と創傷部位２００との間に存在する血液中に入り込みにくい。したがって、接触面１１と創傷部位２００との間に存在する血液を、不織布２０の繊維を含まない状態で凝固させることができる。

　止血材１が創傷部位２００から剥がされるとき、上記血餅は、多孔質シート１０により容易に分断され、多孔質シート１０の接触面１１と創傷部位２００との間の、不織布２０の繊維を含まない血餅が創傷部位２００に残される。この結果、止血材１が創傷部位２００から剥がされるときに不織布２０の繊維が、創傷部位２００と多孔質シート１０との間の凝固した血液を伴いにくく、このため、創傷部位２００に痛みを発生させにくい。

　止血材１によれば、さらに次のような作用および効果が得られる。
　接触面１１における孔１３の直径または直径相当が、２８０μｍ以上である。また、多孔質シート１０における１ｃｍ^２当たりの孔１３の数が、５０個以上である。このため、創傷部位２００から流れ出た体液が多孔質シート１０を通過しやすく、不織布２０が、創傷部位２００から流れ出た体液を吸収しやすくなる。また、体液を吸収して膨潤し、ゲル化したアルギン酸塩繊維から放出されたカルシウムイオン等が、多孔質シート１０を通過しやすく、これにより創傷部位２００での血液凝固が促進され、効率よく止血される。

　接触面１１における孔１３の直径または直径相当が、１４００μｍ以下である。また、多孔質シート１０における１ｃｍ^２当たりの孔１３の数が、４００個以下である。このため、不織布２０の表面の毛羽立った繊維が多孔質シート１０の孔１３を貫通しにくく、接触面１１から突出しにくいので、不織布２０の繊維が創傷部位２００に到達しにくい。このため、接触面１１と創傷部位２００との間にある血液は、不織布２０の繊維と結合しにくい。このため、止血材１が創傷部位２００から剥がされるとき、患者が痛みをより確実に感じにくくすることができる。

　本発明による止血材は、上記実施形態に限定されない。本発明による止血材は、本発明の目的が達成される範囲において、上記実施形態とは異なる各種の形態を取り得る。以下に示される上記実施形態の変形例は、本発明による止血材が取り得る各種の形態の例である。

　・ある変形例において、多孔質シート１０は、ポリエチレン樹脂とは別の樹脂材料により形成される。別の樹脂材料の例としては、ポリプロピレン樹脂等他のポリオレフィン樹脂、シリコーン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリウレタン系樹脂などが挙げられる。さらに、多孔質シート１０は、樹脂材料製のものに限定されず、表面を平滑化した不織布に多数の孔１３を貫通形成したものであってもよい。

　・ある変形例において、孔１３は、例えば、多孔質シート１０の接触面１１から背面１２に向かうにつれて直径が大きくなるもの、均一な直径を有するもの、多孔質シート１０の厚さ方向の中央部で最大直径を有するもの（樽形）、または、多孔質シート１０の厚さ方向の中央部で最小直径を有するもの（砂時計形）とすることができる。孔１３の断面形状は、楕円形が好ましいが、円形、多角形、星型など、任意の他の形状であってもよい。

　・ある変形例において、多孔質シート１０は、疎水性を有していない材料、または、親水性を有する材料により形成される。上記実施形態の多孔質シート１０は、接触面１１において疎水性を有するので、止血材１を創傷部位２００から円滑に剥がすことができる点で好ましい。しかし、この変形例のように、多孔質シート１０が親水性を有する材料により形成されていると、創傷部位２００から流れ出た体液や、ゲル化した血液凝固促進繊維から放出されるイオン等が、多孔質シート１０の孔１３を容易に通過することができる点で好ましい。

　・ある変形例において、不織布２０は、オキシセルロース、酸化コラーゲン、ナトリウムセルロースのいずれか又はこれらの複数種からなる繊維により形成される。
　・ある変形例において、保護シート３０は、その一部が不織布２０の外側に延びるように、不織布２０よりも大きい面積を有する。不織布２０の外側に延びる保護シート３０の部分は、皮膚に粘着可能な粘着層を有する。このため、本変形例の保護シート３０を含む止血材１によれば、テープ４０を使用することなく止血材１を皮膚に貼り付けることができる。

　・ある変形例において、保護シート３０は、ホットメルト接着剤とは別の接着剤、または、粘着剤により、不織布２０に固定される。
　・ある変形例において、多孔質シート１０および不織布２０は互いに固定されない。図４に示されるように、本変形例において、多孔質シート１０および保護シート３０の一部は、不織布２０の面方向において不織布２０の外側に延びる。この多孔質シート１０および保護シート３０の部分は、それぞれ粘着層を有し、互いに粘着している。このように、不織布２０が多孔質シート１０と保護シート３０との間に挟まれ、かつ多孔質シート１０と保護シート３０とが不織布２０の外側で互いに粘着することにより、止血材１の積層状態が維持される。このため、本変形例において、不織布２０と保護シート３０とは、上記の粘着剤やこれとは別の接着剤等により互いに固定されてもよいが、互いに固定されなくてもよい。この変形例においても、保護シート３０を多孔質シート１０よりも広く形成し、保護シート３０の周縁部に粘着層を形成して、この粘着層を介して止血材１を皮膚に貼り付けてもよい。

　・ある変形例において、止血材１は保護シート３０を含まない。この場合、止血材１を創傷部位２００へ適用する際は、止血材１よりも広い保護シート３０が別途用意され、この保護シート３０で止血材１を覆うように、創傷部位２００に固定される。この保護シート３０は、片面に粘着層を備えることが好ましい。

　・ある変形例において、止血材１は、シート状の不織布２０に代えて紐状の不織布と、この不織布の少なくとも創傷部位２００に当てられる表面を覆う多孔質シートとを含む。

　１…止血材
　１０…多孔質シート
　１１…接触面
　１２…背面
　１３…孔
　２０…不織布
　２１…内面
　２２…背面
　２３…毛羽立ち部分
　２４…塊
　３０…保護シート
　３１…内面
　４０…テープ

Claims

　血液凝固を促進する繊維を含む不織布と、前記不織布に積層される多孔質シートとを含み、
　前記多孔質シートは、創傷部位に当てられる接触面と、前記接触面に開口するとともに前記多孔質シートの厚さ方向に貫通している複数の孔とを備える
　止血材。
　前記接触面における前記複数の孔の直径または直径相当が２８０～１４００μｍの範囲に含まれ、前記多孔質シート１ｃｍ^２当たりの前記複数の孔の数が５０～４００個の範囲に含まれる、請求項１に記載の止血材。
　前記血液凝固を促進する繊維がアルギン酸塩を含む、請求項１または２に記載の止血材。
　前記多孔質シートは、前記接触面とは反対側の背面を有し、前記複数の孔の直径または直径相当が、前記接触面から前記背面に向かうにつれて小さくなる、請求項１～３のいずれか一項に記載の止血材。