JP4939900B2 - 創傷被覆材 - Google Patents

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本発明は、皮膚の創傷部を被覆して治癒するために使用する創傷被覆材に関する。
従来、創傷部の治癒の一つの方法として、この創傷部にガーゼなどの創傷被覆材を直接当てて被覆させる方法が知られている。ところが、この方法では、創傷部とガーゼとが血液または体液にてくっ付いてしまうことがあるから、この創傷部からガーゼを剥がすときに、この創傷部を傷付けてしまったり、激痛を与えたり、出血させてしまったりするおそれがある。
これに対し、創傷部に当接させる側である内面側に、複数の孔を有する合成樹脂フィルムシートが取り付けられた創傷被覆材では、ガーゼやその他の吸収性部材を創傷部に直接当接させる創傷被覆材に比べると、創傷部へのくっ付きが少ないため、この創傷被覆材を創傷部から剥がす際に、この創傷部を傷付けてしまうおそれが少ない。
また、合成樹脂フィルムシートを用いた創傷被覆材では、この合成樹脂フィルムシートの表面が滑らかで、創傷部と合成樹脂フィルムシートとの間の摩擦係数が小さい。このため、外側からの力で創傷被覆材が創傷部上をずれ動いたとしても、この合成樹脂フィルムシートが創傷部上を滑るように動くから、この合成樹脂フィルムシートによって創傷部が強く擦れることが少ない。
そこで、この種の創傷被覆材としては、創傷部から滲出してくる体液を、合成樹脂フィルムシートを通過させて吸収性シートに吸収できるように、この合成樹脂フィルムシートに複数の孔を開けた構成が知られている(例えば、特許文献1ないし3参照。)。
実開昭57−2018号公報 実開昭55−33785号公報 特開平2−265547号公報
しかしながら、上記創傷被覆材では、創傷部から滲出してくる体液の一部を創傷部の近傍に留まらせることができないから、この創傷部が乾燥しないように、この創傷部を適度な湿潤状態に維持することが容易ではないという問題を有している。
本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、創傷部を適度な湿潤状態に維持できる創傷被覆材を提供する。
請求項1記載の発明の創傷被覆材は、内面側に位置し複数の孔が設けられた表面シートと、外面側に位置し不透液性を有する裏面シートと、前記表面シートと裏面シートとの間に配設された吸液性シートとを具備し、前記表面シートは、前記複数の孔の開口率が0.2%以上0.5%以下であり、前記裏面シートは、この裏面シートに接して配設されている前記吸液性シートに接着され、前記吸液性シートは、前記表面シートに接着せずに配設されており、2枚の液拡散シートと、これら液拡散シートの間に積層された液保持シートとを備えているものである。
請求項記載の発明の創傷被覆材は、請求項1記載の創傷被覆材において、裏面シートには、交差する2方向に向けて一定間隔で模様が設けられているものである。
請求項1記載の創傷被覆材によれば、内面側に位置した表面シートの複数の孔の開口率を0.2%以上0.5%以下とすることにより、この表面シートの複数の孔を介した血液または体液の通過を適度に調整できる。よって、この表面シートと創傷部との間に創傷部から滲出してくる血液または体液の一部を留まらせることができるから、この創傷部を適度な湿潤状態に維持できる。
また、表面シートと吸収性シートとが接着されずに接して配設されているので、表面シートの可動範囲が広い。このため、創傷被覆材自体がずれ動いたとしても、この動きを吸収性シートが吸収して表面シートがずれ動かないから、この表面シートにて創傷部が擦れにくくなり、この創傷部にかかる負担を少なくできる。
請求項記載の創傷被覆材によれば、交差する2方向に向けて一定間隔で模様を裏面シートに設けたことにより、吸液性シートに吸収された血液または体液の広がった部分の大きさを、裏面シートに設けた模様と容易に見比べて観察することにより、この吸液性シートの血液または体液の吸液量を容易に確認できる。
次に、本発明の創傷被覆材の第1の実施の形態の構成を、図1および図2を参照して説明する。
図1および図2において、1は創傷被覆材としての治療パッドで、この治療パッド1は、例えば人体の切り傷、擦り傷または褥瘡などの創傷部に当接させて被覆させた状態で取り付けて、この創傷部を適度な湿潤状態に維持させて、この創傷部を治癒させるために使用するラップ療法治癒パッドである。そして、この治療パッド1は、内面側に位置させる表面シート2と、この表面シート2の裏面側に積層されて外周縁が周方向に亘って表面シート2に接着剤3にて接合され外面側に位置させる裏面シート4と、これら表面シート2と裏面シート4との間に介在させて配設される吸液性シートとしての吸収性シート5を備えている。
具体的に、表面シート2は、例えば平面視正方形状のシートであって、例えば人体の創傷部に当接させる側のシートである。よって、この表面シート2は、創傷部から滲出してくる血液や体液などを透過させることが可能な透液性を有している。さらに、この表面シート2は、創傷部に当接させても、この創傷部への負担が少ない素材で形成されていることが好ましい。すなわち、この表面シート2としては、例えばポリエチレン樹脂のようなポリオレフィン系の合成樹脂にて構成された透明な合成樹脂フィルムシートが好ましい。
さらに、この表面シート2は、例えば5μm以上30μm以下の厚さが適している。すなわち、この表面シート2の厚さが5μmより薄い場合には、この表面シート2の強度が低下して、この表面シート2が使用中に破れてしまう可能性があり、この表面シート2の厚さが30μmより厚い場合には、この表面シート2自体が硬くなりすぎてしまい、肌触りが悪くなるからである。
そして、この表面シート2には、この表面シート2の縦方向Aおよび横方向Bのそれぞれに向けて等間隔に複数の孔6が形成されている。これら複数の孔6は、表面シート2の厚さ方向Cに向けて貫通して形成されており、これら複数の孔6の開口率としての開孔率が、例えば0.2%以上0.5%以下となるように表面シート2に形成されている。さらに、これら複数の孔6それぞれは、例えば0.4mm以上1.0mm以下の内径寸法、すなわち孔径に形成されていることが好ましい。すなわち、これら孔6の孔径が0.4mmより小さい場合には、創傷部から滲出してくる血液または体液の粘性が高いときに、これら血液または体液による各孔6の通過が極端に遅くなるおそれがあり、これら孔6の孔径が1.0mmより大きい場合には、これら孔6を血液または体液がすばやく通過してしまい、表面シート2と創傷部との間を適度な湿潤状態に保持できないおそれがある。
ここで、この表面シート2に形成されている各孔6は、この表面シート2の外側の吸収性シート5が配設されている位置、すなわちこの吸収性シート5に接する位置のみに形成されていれば良い。ただし、この表面シート2の生産性、具体的には連続生産性を考慮すると、この表面シート2の全面に複数の孔6が形成されているシートが好ましい。
次いで、裏面シート4は、表面シート2と略同じ大きさの平面視正方形状のシートであって、撥水性、あるいは血液または体液などの液体が透過できない不透液性を有している。具体的に、この裏面シート4としては、例えばポリエチレン樹脂のようなポリオレフィン系の合成樹脂にて構成されていることが好ましい。さらに、この裏面シート4としては、吸収性シート5に浸透して吸収されて広がった血液や体液の大きさDを裏面シート4の外側から透視して目視できるようにするとともに、この吸収性シート5に浸透して吸収されて広がった血液や体液がはっきりと目視できないようにするために、例えば30μm以上100μm以下程度の半透明なものが好ましい。
ここで、この裏面シート4としては、合成樹脂にて構成された図示しない合成樹脂シートの表面側に、不織布にて構成された図示しない不織布シートを積層させて貼り合わせたシートを用いることもできる。また、この裏面シート4は、裏面シート4に接して配設されている吸収性シート5に接着されている。
さらに、吸収性シート5は、表面シート2に接着せずに配設されており、2枚の液拡散シート11,12と、これら液拡散シート11,12の間に積層された液保持シート13とを備えている。これら液拡散シート11,12および液保持シート13は、例えば血液や体液などの液体を吸収できる吸液性を有しており、表面シート2および裏面シート4よりも縦方向Aおよび横方向Bのそれぞれにおいて小さな平面視正方形状に形成されており、これら表面シート2と裏面シート4との間の接着剤3にて外周が接着された領域内に配設されている。
具体的に、表面側に位置する液拡散シート12は、創傷部から滲出してきて表面シート2を通過した血液や体液などを吸収しつつ拡散させる。さらに、液保持シート13は、創傷部から滲出して表面シート2を通過し液拡散シート12にて拡散された血液や体液などを吸収して保持させる。また、裏面側に位置する液拡散シート11は、液保持シート13から漏洩した血液や体液を吸収しつつ拡散させる。
なお、この吸収性シート5としては、織布、不織布あるいは脱脂綿などにて形成されたシートや、高吸水性樹脂粒子を2枚の吸水紙の間に介在させて挟み込んだシートや、高吸水性樹脂粒子を粉砕パルプと混合させた後にシート状に加工したシートなどでも対応でき、これらシートを適宜選択して、1枚あるいは複数枚のシートを積層させて使用することもできる。
さらに、この吸収性シート5の外縁部と、表面シート2および裏面シート4の接着剤3にて接着されている部分との間には、図2に示すように、これら表面シート2、吸収性シート5および裏面シート3相互の水平方向である面方向へのずれを許容させる空間部14が形成されている。ところが、これら表面シート2と裏面シート4との間で吸収性シート5がずれ難くなるようにするために、この空間部14を形成しないことが好ましい。
次に、上記第1の実施の形態の創傷被覆材の作用を説明する。
まず、治療パッド1の表面シート2の内面側を、人体の創傷部に当接させて、例えば図示しない医療用テープなどで固定させる。
そして、この人体の創傷部から血液や体液が滲出してくる場合には、これら血液や体液が表面シート2に形成されている複数の孔6を通過して液拡散シート12に吸収されつつ拡散される。
このとき、この表面シート2に形成されている複数の孔6によって、この表面シート2と人体の創傷部との間に一定量の血液あるいは体液が留まって保持される。そして、この保持された血液あるいは体液によって、表面シート2と人体の創傷部との間が、この創傷部の治癒に適した適度な湿潤状態に保持される。
さらに、表面シート2の孔6を通過して液拡散シート12で拡散された血液や体液は、液保持シート13に吸収されて保持される。また、液保持シート13から漏洩した血液や体液は、液拡散シート11に吸収されつつ拡散される。
この結果、人体の創傷部から滲出してくる血液や体液が治療パッド1によって適度に保持されながら吸収されて、この創傷部が治癒に適した湿潤状態に保持されるから、この治療パッド1が当接されている創傷部の湿潤状態が適度な状態に保持されて、この創傷部が治癒されていく。
ここで、人体の創傷部の治癒には、この創傷部を常に適度な湿潤状態に保持することが良いから、この創傷部の周辺に滲出した血液や体液の一部を留まらせて、この創傷部が乾燥しない状態を維持することが望ましい。そして、治癒パッド1の表面シート2に形成した複数の孔6が大きいほど、創傷部から滲出してくる血液や体液を通過させやすくなる。
そこで、上述のように、治療パッド1の表面シート2の複数の孔6の開口率を0.2%以上0.5%以下とすることにより、この表面シート2の複数の孔6を介した血液または体液の通過を適度に調整できる。すなわち、この表面シート2を当接させた創傷部から滲出してくる血液または体液の全てが治療パッド1に吸収されずに、この表面シート2と創傷部との間の、この創傷部の近傍に、この創傷部から滲出してくる血液または体液の一部を留まらせることができ、この創傷部を治癒に適した適度な湿潤状態に維持できるから、この治療パッド1を当接させることによる創傷部の治癒をより効率良くできる。
また、表面シート2と吸収性シート5とが接着されずに接して配設されているので、この表面シート2の面方向に向けた可動範囲を広くできる。このため、治療パッド1が面方向に向けてずれ動いたとしても、この治療パッド1のうちの創傷部に接している表面シート2が、この創傷部上でずれ動きにくくなる。したがって、この治療パッド1がずれ動くことによる表面シート2と創傷部との擦れを防止できるから、この創傷部にかかる負担を少なくできる。
次いで、図3および図4に示す第2の実施の形態のように、治療パッド1の裏面シート4の外側に位置する外面としての表面に、交差する2方向、具体的には直交する縦方向Aおよび横方向Bのそれぞれに向けて一定間隔で直線Eが描かれて格子模様21を施すこともできる。この場合に、この格子模様21を構成する直線Eは、裏面シート4の表面の縦方向Aおよび横方向Bのいずれかに沿って設けられている。さらに、この格子模様21は、裏面シート4の表面の全面に設けられている。
さらに、この裏面シート4は、図4に示すように、吸収性シート5に浸透して吸収されて広がった部分の血液や体液の大きさDを裏面シート4の外側から目視できるようにするために、白色または淡色の色調のシートで形成されている。ここで、この裏面シート4としては、不透液性を有する合成樹脂フィルムシートのみの単層や、この合成樹脂フィルムシートに不織布シートを積層させて組み合わせた積層シートなどであってもよい。
この結果、この治療パッド1の裏面シート4の表面に格子模様21を形成したことにより、図4に示すように、この治療パッド1の吸収性シート5に吸収されて保持された血液または体液の大きさDを、裏面シート4の格子模様21と見比べて、この吸収性シート5に保持された血液または体液の大きさDの変化を観察していくことで、この吸収性シート5による血液または体液の吸液量を容易に確認できるから、創傷部の治癒の程度や様子を間接的に把握できる。
また、この治療パッド1の吸収性シート5に吸収されて保持された血液または体液の大きさDを裏面シート4の格子模様21と見比べて、この血液または体液の大きさDが格子模様21のます目の個数でいくつの部分に掛かったら新しい治療パッド1に取り替えるなどと医師や看護師が予め決めておくことにより、この格子模様21を交換パッド1の交換時期の判断の目安として利用できる。したがって、この治療パッド1の取り替え時期が医師や看護師の判断によって左右することなく、看護師の交代時に具体的に治療パッド1の交換状況などを伝えなくて済む。
さらに、この治療パッド1の吸収性シート5に吸収されて保持された血液または体液が広がった部分の大きさDを、裏面シート4の格子模様21のます目の個数で計測できるから、この吸収性シート5にて保持された血液または体液の広がった部分の大きさDを容易かつ正確に確認できる。したがって、この吸収性シート5にて保持された血液または体液の広がった部分の大きさDを具体的に記録できるとともに、この吸収性シート5にて保持された血液または体液の吸液量をより容易かつ正確に確認できる。
なお、治療パッド1の裏面シート4の表面に施した格子模様21の代わりに、この裏面シート4の表面に縦方向Aおよび横方向Bのそれぞれに向けて一定の間隔、すなわち等間隔に点を記して構成した図示しない点模様や、これら縦方向Aおよび横方向Bのそれぞれに向けて等間隔に+模様を記して構成し十字模様などとすることもできる。この場合、これら点模様の各点や十字模様の各+模様としては、格子模様21の各交点に配置させることで対応できる。さらに、これら格子模様21、点模様および十字模様は、裏面シート4の外側から目視できれば裏面シート4以外のいずれのシートに形成してもよい。
次に、上記第1の実施の形態の創傷被覆材の吸液試験について説明する。
<試験方法>
まず、縦寸法:60mm×横寸法:50mm×厚さ寸法:5mmほどの大きさの図示しないスポンジに、10gの生理食塩水を含ませた。
次いで、このスポンジ上に、上記治療パッド1を載せてから、この治療パッド1上に500gの荷重を掛け、この状態を60分間静置させた。
この後、このスポンジに残っている生理食塩水の重さを測定して、治療パッド1にて吸液されずにスポンジに残った生理食塩水の残液率(%)を算出した。
このとき、この治療パッド1の表面シート2および裏面シート4としては、縦寸法:180mm×横寸法180mm×厚さ寸法:20μmほどの大きさの合成樹脂フィルムシートを用いた。さらに、この表面シート2には、孔径:0.4mmの孔を縦方向および横方向に向けて等間隔に形成した。
また、この治療パッド1の吸収性シート5としては、縦寸法:140mm×横寸法:140mm×厚さ寸法:20μmほどの大きさのレーヨン不織布にて構成された液拡散シート11,12を用い、縦寸法:140mm×横寸法:140mm×厚さ寸法:20μmほどの大きさのSAPシート(高吸収性ポリマシート:Super Absorbent Polymer Sheet)にて構成された液保持シート13を用いた。
<実施例1および2>
まず、実施例1の治療パッド1の表面シート2として、孔径:0.4mmの孔6を複数開けて開孔率:0.5%の上記合成樹脂フィルムシートを用いた。そして、この治療パッド1を用いて上記試験をしたところ、上記スポンジ中に残った残液率が8%となったので、この治療パッド1にて創傷部を適度な湿潤状態に保持できることが分かった。
次いで、実施例2の治療パッド1の表面シート2として、孔径:0.4mmの孔6を複数開けて開孔率:0.2%の上記合成樹脂フィルムシートを用いた。そして、この治療パッド1を用いて上記試験をしたところ、上記スポンジ中に残った残液率が25%となったので、この治療パッド1にて創傷部を適度な湿潤状態に保持できることが分かった。
この結果、これら実施例1および2の開孔率が0.2%以上0.5%以下の表面シート2を用いた治療パッド1では、いずれもスポンジ中に生理食塩水の一部を残留できた。したがって、これら治療パッド1を当接させた創傷部近傍に、この創傷部から滲出してくる血液または体液の一部を留まらせて、この創傷部の治癒に適した湿潤状態に保持できるので、評価を○とした。
<比較例1>
比較例1の治療パッド1の表面シート2として、孔径:0.4mmの孔6を複数設けて開孔率:0.6%の上記合成樹脂フィルムシートを用いた。そして、この治療パッド1を用いて上記試験をしたところ、上記スポンジ中に残った残液率が1%以下となったので、この治療パッド1にて創傷部を適度な湿潤状態に保持できないことが分かった。すなわち、この比較例1の開孔率が0.6%の表面シート2を用いた治療パッド1では、スポンジ中の生理食塩水のほぼ全量を吸収してしまい、このスポンジがほぼ乾燥した。この結果、このスポンジ中に生理食塩水の一部を残すことができなかったので、評価を×とした。
<比較例2>
比較例2の治療パッド1の表面シート2として、孔径:0.4mmの孔6を複数開けて開孔率:0.1%の上記合成樹脂フィルムシートを用いた。そして、この治療パッド1を用いて上記試験をしたところ、上記スポンジ中に残った残液率が90%となったので、この治療パッド1にて創傷部を適度な湿潤状態に保持できないことが分かった。
すなわち、この比較例2の開孔率が0.1%の表面シート2を用いた治療パッド1では、スポンジ中の生理食塩水のうち10%しか吸収できず、この生理食塩水の大部分がスポンジ中に残留していた。この結果、創傷部から滲出してくる血液または体液を吸収除去するという治療パッド1本来の目的を達成できなくなる可能性があることから、評価を×とした。
以上の結果から、治療パッド1の表面シート2の複数の孔6の開口率を0.2%以上0.5%以下とすることにより、この表面シート2を当接させた創傷部から滲出する血液または体液の全てを治療パッド1に吸収させずに、この表面シート2と創傷部との間に血液または体液の一部を留まらせることができ、この創傷部を治癒に適した適度な湿潤状態に維持できるから、この治療パッド1を当接させた創傷部の治癒をより効率良くできることが分かった。
本発明の第1の実施の形態を示す創傷被覆材の平面図である。 図1に示す本発明の創傷被覆材の断面図である。 本発明の第2の実施の形態を示す創傷被覆材の平面図である。 図2に示す本発明の創傷被覆材で体液を吸収した状態を示す平面図である。
1 創傷被覆材としての治療パッド
2 表面シート
4 裏面シート
5 吸液性シートとしての吸収性シート
6 孔
11,12 液拡散シート
13 液保持シート
21 模様としての格子模様

Claims (2)

  1. 内面側に位置し複数の孔が設けられた表面シートと、
    外面側に位置し不透液性を有する裏面シートと、
    前記表面シートと裏面シートとの間に配設された吸液性シートとを具備し、
    前記表面シートは、前記複数の孔の開口率が0.2%以上0.5%以下であり、
    前記裏面シートは、この裏面シートに接して配設されている前記吸液性シートに接着され、
    前記吸液性シートは、前記表面シートに接着せずに配設されており、2枚の液拡散シートと、これら液拡散シートの間に積層された液保持シートとを備えている
    ことを特徴とした創傷被覆材。
  2. 裏面シートには、交差する2方向に向けて一定間隔で模様が設けられている
    ことを特徴とした請求項1記載の創傷被覆材。
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