JP2013124324A - 硬化性ポリオルガノシロキサン組成物および該組成物を硬化させてなるポリオルガノシロキサン硬化物 - Google Patents

硬化性ポリオルガノシロキサン組成物および該組成物を硬化させてなるポリオルガノシロキサン硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】使用環境下における汚染物質による、LEDの電極などに用いられている銀の着色を抑制することができる硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を提供する。
【解決手段】シラノール基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物を含有する(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂と、(B)硬化触媒と、(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂とを含有し、組成物中の全固形分に対する(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂が占める割合(重量比)が、0.01/100以上、0.8/100以下である硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。所定量の(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂を配合すると、硫黄成分等の汚染物質に起因する銀の着色を抑制することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物および該組成物を硬化させてなるポリオルガノシロキサン硬化物に関する。本発明はまた、このポリオルガノシロキサン硬化物を含む光学部材と、この光学部材を備える半導体発光装置に関するものである。
発光ダイオード(light emitting diode:以下適宜「LED」と略する。)や半導体レーザ等の半導体発光デバイスにおいては、半導体発光素子を透明の樹脂等の部材(半導体発光デバイス用光学部材)によって封止したものが一般的である。
従来、この半導体発光デバイス用光学部材の形成材料としては、エポキシ樹脂組成物を用いることが主流であり、また、このエポキシ樹脂組成物に蛍光体などの顔料を含有させることによって、半導体発光素子からの発光波長を変換することも知られている。
しかし、エポキシ樹脂は吸湿性が高いので、半導体発光デバイスを長時間使用した際に、半導体発光素子からの熱によってクラックが生じる、水分の浸入により蛍光体や発光素子が劣化するなどの課題があった。
また、近年、LEDの発光波長の短波長化に伴い、エポキシ樹脂が劣化して着色するために、長時間の点灯および高出力での使用においては半導体発光デバイスの輝度が著しく低下するという課題もあった。
これらの課題に対して、近年、エポキシ樹脂の代替品として耐熱性、耐紫外光性に優れるシリコーン樹脂が使用されるようになり、シリコーン樹脂(ポリオルガノシロキサン組成物)を用いた半導体発光デバイスについて種々提案がなされている(例えば特許文献1〜6参照)。
しかしながら、特許文献1〜6に記載されるポリオルガノシロキサン組成物では、耐紫外光性(特に耐紫外線性)、密着性、耐熱性、成膜性、長期使用時の耐クラック性や耐剥離性、非着色性、蛍光体を含有した際の高い輝度維持率、液としての保存安定性、封止材として硬化する際の硬化特性などの半導体発光デバイス用光学部材用途としての要求特性のいずれか1または2以上の特性が十分ではなかった。
そこで、本発明者らは、耐紫外光性(特に耐紫外線性)および密着性に優れると共に、十分な耐熱性・耐水熱性および成膜性を有し、液としての保存安定性に優れ、更に硬化する際に発泡が少なく、長期間使用してもクラックや剥離、着色、発泡を生じることなく半導体発光デバイスを封止でき、蛍光体を含有した際に高い輝度維持率が得られる光学部材を形成し得る硬化性ポリオルガノシロキサン組成物として、下記の液状組成物(A)および液状組成物(B)を有することを特徴とする半導体発光デバイス部材用2液型硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を提案した(特許文献7)。
液状組成物(A):シラノール基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物を含有し、かつ縮合触媒を実質的に含有しない液状組成物
液状組成物(B):縮合触媒を含有し、かつ白金(Pt)を実質的に含有しない液状組成物
特許文献7の2液型硬化性ポリオルガノシロキサン組成物であれば、縮合触媒を除去した特定のシラノール基含有ポリオルガノシロキサン化合物を含有する液状組成物(A)と、縮合触媒を含有する特定の液状組成物である液状組成物(B)との2つの液状組成物をそれぞれ安定に保管することができ、また、その硬化物は耐紫外光性のみならず密着性にも優れ、かつ、従来品と比べても極めて高い耐熱性および耐水熱性を有し、更には良好な成膜性を有し、この2液型硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に蛍光体を含有させて硬化させた場合には、高い輝度維持率を有する半導体発光デバイス用光学部材が得られる。
特開2006−077234号公報 特開2006−291018号公報 特開2006−294821号公報 国際公開2006/090804号パンフレット 特許第3277749号公報 特開2009−256670号公報 特願2010−282506
しかしながら、特許文献7で提案された硬化性ポリオルガノシロキサン組成物や従来のポリオルガノシロキサン組成物をLEDの封止材として用いた場合、大気中に含まれる硫黄成分等の汚染物質で、LEDの電極などに用いられている銀が着色してしまうことがあるという不具合が見出された。
即ち、例えば、車輌搭載用のLEDなど、周囲に汚染物質がある環境下において使用されるLEDでは、LEDに用いられている銀電極が着色し、LEDの発光効率が低下すると共に、発光寿命も短くなる。
本発明はこの問題を解決し、使用環境下における汚染物質によるLEDの電極などに用いられている銀の着色を抑制することができる硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂を含む硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に、所定量の(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂を配合すると、硫黄成分等の汚染物質に起因する銀の着色を抑制することができることを見出した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] (A)硬化性縮合型シリコーン樹脂、(B)硬化触媒、および(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂を含有する組成物であって、前記(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂は、シラノール基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物を含有し、
該組成物中の全固形分に対する前記(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂が占める割合(重量比)が、0.01/100以上、0.8/100以下であることを特徴とする、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
[2] 前記(B)硬化触媒の含有量が、前記(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂に対して0.001〜5重量%であることを特徴とする、[1]に記載の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
[3] 前記(B)硬化触媒が、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)およびガリウム(Ga)からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属の、有機錯体および/又は有機酸塩であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
[4] 前記(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂に含まれる遊離塩素量が、10重量ppm以下であることを特徴とする、[1]ないし[3]のいずれかに記載の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
[5] 前記(A)硬化性縮合型ポリオルガノシロキサンが、芳香族基を有さないポリオルガノシロキサンであることを特徴とする、[1]ないし[4]のいずれかに記載の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
[6] [1]ないし[5]のいずれかに記載の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させて得られたものであることを特徴とする、ポリオルガノシロキサン硬化物。
[7] [6]に記載のポリオルガノシロキサン硬化物を含むことを特徴とする、光学部材。
[8] [7]に記載の光学部材を備えることを特徴とする、半導体発光装置。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物によれば、LEDの電極等に用いられている銀の、使用環境下における汚染物質による着色を防止することができ、これにより、発光寿命を延長させることができる。また、エポキシ基が存在することにより、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の硬化物がLEDの電極や樹脂部などのパッケージへ強固に接着することで、剥離による輝度低下が起こり難く、発光寿命を延長させることができる。
本発明の半導体発光装置の実施形態1を示す概略断面図である。 本発明の半導体発光装置の実施形態2を示す概略断面図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
[1] 硬化性ポリオルガノシロキサン組成物
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂(以下「(A)成分」と称す場合がある。)、(B)硬化触媒(以下「(B)成分」と称す場合がある。)、および(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂(以下「(C)成分」と称す場合がある。)を含有する組成物であって、(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂は、シラノール基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物(以下「ポリオルガノシロキサン化合物(a)」と称す場合がある。)を含有し、組成物中の全固形分に対する前記(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂が占める割合(重量比)が、0.01/100以上、0.8/100以下であることを特徴とするものである。
本発明に係る(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂は、シラノール基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物(a)を含み、必要に応じてシラノール基と反応する置換基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物(以下「ポリオルガノシロキサン化合物(b)」と称す場合がある。)を含んでいてもよい。
また、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、ポリオルガノシロキサン化合物(a)を含み、(B)硬化触媒を実質的に含有しない液状組成物(以下「液状組成物(A)」と称す場合がある。)と、(B)硬化触媒と必要に応じて用いられるポリオルガノシロキサン化合物(b)を含有する液状組成物(以下「液状組成物(B)」と称す場合がある。)との2液型硬化性ポリオルガノシロキサン組成物(以下「2液型組成物」と称す場合がある。)であることが好ましい。ただし、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、2液型組成物に何ら限定されず、(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂、(B)硬化触媒および(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂をすべて含有する1液型硬化性ポリオルガノシロキサン組成物(以下「1液型組成物」と称す場合がある。)であってもよい。
なお、2液型組成物とは、2種類の液状組成物を別個に保管し、使用時に前記2種類の液状組成物を混合して硬化反応により硬化物を得るものをいう。即ち、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が2液型組成物である場合、この2液型組成物は、保管時には前記液状組成物(A)および液状組成物(B)が別個に存在し、半導体発光素子を封止するなどの使用時にこれらを混合させて、所望の硬化物(ポリオルガノシロキサン硬化物)を得るものである。
この場合において、(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂は、液状組成物(A)に含まれていてもよく、液状組成物(B)に含まれていてもよく、液状組成物(A)と液状組成物(B)の両方に含まれていてもよい。
また、(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂は、液状組成物(A)および液状組成物(B)とは別に供給され、液状組成物(A)と液状組成物(B)との混合時に液状組成物(A)および液状組成物(B)と混合されるものであってもよく、液状組成物(A)と液状組成物(B)との混合物に更に混合されるものであってもよい。この場合、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、「2液型組成物」ではなく「3液型組成物」とも言えるが、説明の便宜上、本発明においては、この態様も含めて「2液型組成物」と称す。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、銀の着色抑制効果に優れるものである上に、半導体発光素子への接着性も向上する。また、本発明に係る2液型組成物は、液状組成物(A)、液状組成物(B)それぞれの保存安定性に優れ、2液を混合した際の発泡が抑制される。また、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の硬化物である本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、含有する(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂の量が特定の範囲であることから、エポキシ化合物の種々の劣化の影響が小さく、光線透過性(透明性)、耐熱性、耐紫外光性、耐水熱性に優れる。そのため、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、光線透過性(透明性)、耐紫外光性、耐熱性、耐水熱性等が高く、発泡が抑制されているため、種々の光学部材に好適に用いることができるが、特に、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物の優れた銀の着色抑制効果は、銀電極等を有する光学部材、特に半導体発光装置に好適に用いることができる。
以下、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の実施の形態の一例として、主として、上記液状組成物(A)と液状組成物(B)の2液型組成物の場合を例示して説明するが、前述の如く、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は1液型組成物であってもよく、以下の2液型組成物についての説明は1液型組成物の本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物にも適用される。
なお、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物において、「(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂」とは、以下の液状組成物(A)に含有されるポリオルガノシロキサン化合物(a)と、液状組成物(B)に必要に応じて配合されるポリオルガノシロキサン化合物(b)に該当するものであるが、(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂が芳香族基を有するポリオルガノシロキサン化合物であると、(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂が(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂全体に分散してしまう結果、(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂が選択的に銀電極表面を覆うことを阻害し、銀電極着色防止能が低下してしまう。そのため、(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂は、芳香族基を有さないポリオルガノシロキサン化合物であることが好ましい。従って、以下のポリオルガノシロキサン化合物(a)および必要に応じて用いられるポリオルガノシロキサン化合物(b)についても芳香族基を有さないものであることが好ましい。
但し、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物において、前記(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂が銀電極表面を覆うことを阻害しなければ、(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂として、芳香族基を有するポリオルガノシロキサン化合物を含有していてもよい。ただし、この場合においても、芳香族基を有するポリオルガノシロキサン化合物は過度に多くないことが好ましく、例えば、硬化後の硬化物全体に対する、(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂以外の芳香族基が占める割合(物質量比)が、ケイ素へ結合したメチル基に対し、40/100以下であることが好ましい。
[1−1]液状組成物(A)
[1−1−1]シラノール基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物
本発明に係る液状組成物(A)は、シラノール基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物(ポリオルガノシロキサン化合物(a))を含有する。シラノール基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物(a)は、液状組成物(A)において後述の液状組成物(B)との混合により縮合反応に寄与する成分、あるいは、後述の液状組成物(B)に含有されるポリオルガノシロキサン化合物(b)と縮合反応により組成物を硬化させる架橋剤として作用するものである。
ポリオルガノシロキサン化合物(a)は、シラノール基を一分子中に2個以上含有することにより、直線的に、また三官能分子と反応して架橋しながら三次元的に、その分子量を高分子化することが可能である。
なお、後述の液状組成物(B)の(B)硬化触媒以外の成分が揮発性有機溶媒であるなど、液状組成物(B)に含まれる成分が、ポリオルガノシロキサン化合物(a)との架橋に関与しない場合は、液状組成物(A)はそれ自身単体で3次元架橋し硬化し得るもの、即ちシラノール基を一分子中に2個以上、好ましくは3個以上有する分岐ポリオルガノシロキサン化合物を含有することが好ましい。
前記ポリオルガノシロキサン化合物(a)は、好ましくは下記一般式(2)で表される化合物を含有する。その分子構造は直鎖状、分岐状、3次元ネット状などいずれでもよい。
Figure 2013124324
(一般式(2)中、R13〜R18は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、水酸基およびアリール基から選ばれる基を示す。p、q、およびrは、0以上の数を示し、p+q+r=1である。)
なお、液状組成物(B)の(B)硬化触媒以外の成分が揮発性有機溶媒であるなど、一般式(2)で表される化合物と反応しない場合には、前記ポリオルガノシロキサン化合物(a)は、0<pであることが好ましい。
また、耐紫外光性や紫外光の光線透過性が重視される用途の場合、一般式(2)で表される化合物におけるR13〜R18のうち、少なくとも80mol%以上、好ましくは95mol%以上、更に好ましくは99mol%以上がメチル基であることが好ましい。
一般式(2)のR13〜R18において、アルキル基、アルケニル基およびアリール基は、更にハロゲン原子に置換されていてもよく、好ましいアルキル基、アルケニル基およびアリール基は、[1−2]にて後述するR1〜R3およびR5〜R8におけるものと同様である。中でも脂肪族不飽和結合を有さないものが好ましい。このような置換基の中で好ましいものとしては、例えばフェニル基、メチル基が挙げられるが、前述の如く、ポリオルガノシロキサン化合物(a)は芳香族基を有さないことが好ましいことから、より好ましくはメチル基である。
また、ポリオルガノシロキサン化合物(a)においては、長期保管時や硬化時の粘度上昇を適度に抑制する観点から、分子中のシラノール基の量が多すぎないようにすることが重要である。即ち、一般式(2)のR13〜R18におけるシラノール基の数はR13〜R18の置換基全体数に対して、通常20%以下、好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下であり、通常0.01%以上、好ましくは0.05%以上、更に好ましくは、0.1%以上である。シラノール基の量が多すぎると粘度上昇率が大きく保存安定性が低くなったり、保管中に水滴が発生したりする場合がある。また、シラノール基の量が少なすぎると反応の進行が遅くなるか、硬化が不十分となる場合がある。
一般式(2)で表されるポリオルガノシロキサン化合物(a)の具体例としては、例えば、分岐又は非分岐のヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(Silanol terminated polydimethylsiloxanes)などが挙げられる。
ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンで水酸基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物は、加水分解性基を有するシラン・ポリオルガノシロキサンを縮重合させることにより合成することができる。また、市販のものを使用することもでき、例えば、Momentive Performance Materials Japan社製ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンでは、XC96−723、XF3905、YF3057、YF3800、YF3802、YF3807、YF3897などが挙げられる。
中でも、ポリオルガノシロキサン化合物(a)は、例えば、シランカップリング剤のような架橋性ケイ素原子を含有する分岐ポリオルガノシロキサン化合物であることが好ましい。
後述するように液状組成物(B)には、液状組成物(A)に含まれるポリオルガノシロキサン化合物(a)の架橋に寄与する架橋性ポリオルガノシロキサン化合物として、シラノール基と反応する置換基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物(ポリオルガノシロキサン化合物(b))を含有する場合がある。一方で、液状組成物(B)は(B)硬化触媒を含有するため、液状組成物(B)中のポリオルガノシロキサン化合物(b)の濃度が高すぎると、架橋反応が進行し液状組成物(B)が増粘しすぎるおそれがある。ここで、液状組成物(A)のポリオルガノシロキサン化合物(a)として架橋性ケイ素を含有する分岐ポリオルガノシロキサン化合物を使用すると、液状組成物(B)中の架橋性のポリオルガノシロキサン化合物(b)の含有量を低減することができるため、ポリオルガノシロキサン硬化物を含有する液状組成物(B)が過剰に増粘することが回避され、液状組成物(B)の保存安定性を保つことができる。
ポリオルガノシロキサン化合物(a)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常160以上、好ましくは400以上、更に好ましくは500以上、また、通常700000以下、好ましくは50000以下、更に好ましくは30000以下である。ポリオルガノシロキサン化合物(a)の重量平均分子量が小さすぎると、ポリオルガノシロキサン化合物(a)自体が硬化時に揮発したり、縮合反応時に揮発する縮合反応性末端基の含有量が多くなったりすることにより硬化時重量歩留まりが低下し、硬化物が収縮するため、半導体デバイスとして使用した際には、収縮により内部応力が大きくかかり、電極ワイヤが断線しやすくなる可能性がある。
一方で、ポリオルガノシロキサン化合物(a)がシラノール基を一分子中に2個以上含有する分岐ポリオルガノシロキサンである場合、重量平均分子量が大きすぎると、液状組成物(B)と混合した場合に硬化する速度が速くなりすぎる可能性がある。また、ポリオルガノシロキサン化合物(a)がシラノール基を一分子に2個含有する直鎖ポリオルガノシロキサンである場合は、液状組成物(B)に架橋性のポリオルガノシロキサン化合物(b)を含有させる必要があるが、ポリオルガノシロキサン化合物(a)の重量平均分子量が大きすぎると、液状組成物(A)と液状組成物(B)とを混合した際に、ポリオルガノシロキサン化合物(a)と架橋性のポリオルガノシロキサン化合物(b)との反応性が低くなり液状組成物が硬化し難くなる可能性がある。
なお、液状組成物(A)において、ポリオルガノシロキサン化合物(a)は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比率で用いてもよい。
[1−1−2](B)硬化触媒
液状組成物(A)は、本発明に係る2液型組成物の保存安定性の面から、(B)硬化触媒を実質的に含有しないことが好ましい。例えば液状組成物(A)に含まれるポリオルガノシロキサン化合物(a)等が縮合反応によって得られるものである場合は、このポリオルガノシロキサン化合物(a)を含む液状組成物(A)から、(B)硬化触媒に該当する当該縮合反応において用いられた縮合触媒を実質的に除去することが好ましい。
ここで、「(B)硬化触媒を実質的に含有しない」とは、液状組成物(A)が保存安定性を損なう程度の実効量を「当業者における技術常識的に」含有していないということを意味する。具体的には、液状組成物(A)全体に対する(B)硬化触媒の量は、金属換算にて通常80ppm以下、好ましくは40ppm以下、更に好ましくは20ppm以下である。なお、前記縮合触媒が後述の(iii)のように失活しており、残存する縮合触媒由来の成分が液状組成物(A)の保存安定性に悪影響を及ぼさない場合には、触媒由来の金属成分が前記より多く残存していてもよく、その量は金属換算にて通常300ppm以下、好ましくは200ppm以下、更に好ましくは100ppm以下である。液状組成物(A)中の(B)硬化触媒となる縮合触媒の量を上記上限値よりも多いと、液状組成物(A)が白濁したり紫外光の光線透過率が損なわれたりする可能性がある。
(B)硬化触媒(縮合触媒)の詳細については[1−2−2]で後述する。
液状組成物(A)から、(B)硬化触媒となる、縮合反応において用いられた縮合触媒を除去する方法としては、例えば以下の(i)〜(iii)の方法を挙げることができる。なお、(iii)のように触媒金属成分は除去されず活性が失われている方法を選択することもできる。
(i)活性炭や多孔質シリカ、合成吸着剤などの吸着物質による縮合触媒の除去
(ii)水洗、アルコール、その他溶媒洗浄による縮合触媒の除去
(iii)触媒成分の中和や加水分解、反応抑制剤の添加などによる縮合触媒の失活
[1−2]液状組成物(B)
液状組成物(B)は、(B)硬化触媒を含有し、好ましくはPtを実質的に含有しない液状組成物である。
前述のように、本発明に係る2液型組成物は、液状組成物(B)を前述の液状組成物(A)に混合して使用される。このような液状組成物(B)としては、例えば(B)硬化触媒を有機溶媒やポリオルガノシロキサン化合物等の液状媒体に溶解させたものなどを挙げることができる。
前記液状媒体に用いることができる有機溶媒としては、例えば炭化水素系溶媒を挙げることができる。中でも、液状組成物(A)の主成分であるポリオルガノシロキサン化合物(a)との相溶性の観点からは、非極性または極性の少ない反応性有機基を有しない炭素数6〜10の芳香族化合物、好ましくはトルエン、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼンなど、あるいは分岐あるいは非分岐の炭素数5〜15の鎖状飽和炭化水素、好ましくはヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカンなどを挙げることができる。これら炭化水素系溶媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物でもよく、ガソリンやミネラルスピリットのような混合溶媒を用いてもよい。中でも毒性が低く硬化物に残留した場合に紫外光を吸収しにくい鎖状飽和炭化水素溶媒が特に好ましい。
液状組成物(B)に揮発性有機溶媒を用いる場合には、塗布方法により適宜用いる溶媒の沸点を選択することができるが、通常液状組成物(B)の沸点が40〜200℃、好ましくは50〜150℃となるように有機溶媒成分の選択をすることが好ましい。液状組成物(B)の沸点が前記範囲より低い温度では引火性が高くなり安全上の問題が生じ、前記範囲より高い温度では硬化物中に有機溶媒が残存し、用途によってはブリードアウトや製品使用中の加熱による重量減や、透過率の低下が起きる可能性がある。
液状組成物(B)の前記液状媒体に用いることができるポリオルガノシロキサン化合物としては、特に後述するポリオルガノシロキサン化合物(b)が挙げられる。該ポリオルガノシロキサン化合物(b)は、硬化後にブリードアウトや揮発、加熱重量減などの問題が起きないため好ましい。
[1−2−1]シラノール基と反応する置換基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物
液状組成物(B)は、必要に応じて液状組成物(A)中のポリオルガノシロキサン化合物(a)のシラノール基と反応する置換基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物(ポリオルガノシロキサン化合物(b))を含有していてもよい。ポリオルガノシロキサン化合物(b)は、シラノール基と反応する置換基を一分子中に2個以上含有することにより、シラノール基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物(a)と結合し、直線的に、また三官能分子と反応して架橋しながら三次元的に、その分子量を高分子化することが可能となる。
ポリオルガノシロキサン化合物(b)におけるシラノール基と反応する置換基は、上記の目的を達成するものであれば特に限定はないが、例えば、ヒドロシリル基(Si−H)、シラノール基(Si−OH)、水酸基を含む有機基(Si−R−OH)などを挙げることができる。
[1−2−2](B)硬化触媒
(B)硬化触媒とは、脱水・脱アルコール縮合反応触媒、脱水素縮合反応触媒、特にシロキサン化合物脱水・脱アルコール縮合反応触媒、脱水素縮合反応触媒である。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物において、(B)硬化触媒により起こる縮合反応機構は、脱水・脱アルコール縮合反応のみでも脱水素縮合反応のみでもよく、双方の反応が共存していてもよいが、硬化時発泡のリスクを軽減するためには脱水・脱アルコール縮合反応が主体であると、反応速度を制御しやすく好ましい。
脱水・脱アルコール縮合反応触媒としては、有機金属錯体触媒、金属と有機酸の塩、ルイス酸・ルイス塩基触媒からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。
脱水・脱アルコール縮合反応触媒に含まれる金属成分としては、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)などから選ばれる1以上を用いるのが好ましく、中でもSn、Ti、Al、Zn、Zr、Hf、Gaは反応活性が高いという点で好ましく、発光デバイス用部材として用いる場合に電極腐食や光吸収が少なく適度な触媒活性を有し、ジメチルポリシロキサン鎖の不要な切断劣化が起こりにくいZrやHf、Gaが特に好ましく、最も好ましくはZrである。
脱水素縮合反応触媒としては、金属、ホウ素およびヒドロキシルアミンからなる群から選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。
脱水素縮合反応触媒に含まれる金属成分としては、パラジウム(Pd)、鉛(Pb)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、アルミニウム(Al)から選ばれる1以上を用いるのが好ましく、中でもZr、Pd、Snは反応活性が高いという点で好ましく、適度な活性を有し反応速度制御しやすく、工業的に入手の容易なZr、Snが更に好ましい。Snを含む硬化触媒(Sn系触媒)の中では、Sn(IV)系が更に好ましい。また硬化物を電極近くで使用する場合にはZr系触媒や、ヒドロキシルアミン触媒などを用いると電極着色などを起こしにくく好ましい。
中でも硬化物中に残存した場合でも、電極腐食が少なく、光吸収が少なく、脱水・脱アルコール縮合と脱水素縮合との活性のバランスが取れており、適度な活性を有し反応制御しやすいことからZr、Hfを含有する触媒が好ましく、ジルコニウム(Zr)を含有する触媒が最も好ましい。
ジルコニウムを含有する有機金属化合物触媒としては、具体的には、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシジアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムアシレート、ジルコニウムトリブトキシステアレート、ジルコニウムオクトエート、ジルコニル(2−エチルヘキサノエート)、ジルコニウム(2−エチルヘキソエート)などが挙げられる。
なお、ジルコニウムを含有する有機金属化合物触媒として、上記化合物に加え、例えば、特開2010−163602号公報に記載の各種ジルコニウム触媒を用いることができる。
中でも本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の安定性のためには、(B)硬化触媒自体が適度な安定性および触媒反応性を持つことが重要であり、(B)硬化触媒自体が大気中の水分等によって容易に加水分解されないことが好ましい。
このように適度な安定性および触媒反応性を与える配位子としてはステアリン酸やナフテン酸、オクチル酸のようなモノカルボン酸、アセチルアセトンのようなジカルボン酸などが挙げられ、ジルコニウムの4つの原子価のうちの少なくとも1つがこれらカルボン酸と結合した塩となっていることが好ましい。また、ジルコニウム触媒はジルコニル構造(Zr=O2+)をとっていてもよい。
また、ジルコニウム触媒が含有されても液状組成物(B)が透明であり、6ヶ月程度の長期保管時に析出物が無く、かつ、液状組成物(A)および(B)の混合時に硬化性能が維持されるならば、該ジルコニウム触媒は、粉末であってもオリゴマー構造をとっていてもよく、また、液状組成物(B)がシラノール基含有ポリオルガノシロキサン化合物(b2)を含有する場合には、該ポリオルガノシロキサン化合物(b2)のシラノール基と結合あるいは配位した構造であってもよい。
また、液状組成物(B)の保存安定性を満たすならば、ジルコニウム触媒におけるジルコニウムの4つの原子価のうち、その一部がアルコキシ基と結合していてもよい。ジルコニウムテトラn−プロポキシドなどのように配位子となるアルコールに溶解された形で供給される触媒の場合、触媒と共に系内に導入されるアルコールが液状組成物(A)や液状組成物(B)のシラノール基含有ポリオルガノシロキサン化合物のシラノール基とエステル交換して反応性に劣るアルコキシ基を生成するため硬化不良の原因となりやすく、不要なアルコールを極力除く形で使用することが好ましい。また、液状組成物(B)の保存安定性や触媒溶解性を補うためにアセチルアセトンのように触媒に配位する溶媒を液状組成物(B)に適宜添加してもよい。
以上、ジルコニウム触媒にて説明したが、他の金属触媒についても同様なことが言える。
以下、ジルコニウムを含有する有機金属化合物触媒以外の(B)硬化触媒の具体例を記す。
ハフニウムを含有する有機金属化合物触媒は、前記ジルコニウムと同様の形態が挙げられる。
チタンを含有する有機金属化合物触媒としては、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラノルマルブトキシド、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、チタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテートなどが挙げられる。
亜鉛を含有する有機金属化合物触媒としては、亜鉛トリアセチルアセトネート、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、ビス(アセチルアセトナト)亜鉛(II)(一水和物)などが挙げられる。
スズを含有する有機金属化合物触媒としては、テトラブチルスズ、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキサイド、テトラオクチルスズ、ジオクチルスズジクロライド、ジオクチルスズオキサイド、テトラメチルスズ、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ、ビス(ネオデカノエート)スズ、ジ−n−ブチルビス(エチルヘキシルマレート)スズ、ジ−ノルマルブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)スズ、ジ−ノルマルブチルブトキシクロロスズ、ジ−ノルマルブチルジアセトキシスズ、ジ−ノルマルブチルジラウリル酸スズ、ジメチルジネオデカノエートスズなどが挙げられる。
ホウ素を含有する触媒としては、例えばトリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリブトキシボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランなどを挙げることができる。
ガリウムを含有する触媒としては、例えばガリウムトリアセチルアセトネート、ガリウムトリエトキシド、ジエチルエトキシガリウム、オクチル酸ガリウム、ラウリン酸ガリウムなどを挙げることができる。
また、白金ビニルシロキサン錯体、塩化白金酸なども(B)硬化触媒として好適に用いることができるが、活性が高く硬化物が発泡体となりやすいので、必要に応じてエチニルシクロヘキサノールなどの硬化抑制剤を併用したり、硬化温度をステップ昇温とすると発泡を抑制することができる。
金属を含有しない(B)硬化触媒としては、ジエチルヒドロキシルアミン、トリエチルアミンなどのような硬化後に揮発する塩基触媒や有機酸触媒などを用いてもよい。
これらの(B)硬化触媒は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比率で用いてもよい。また任意の反応促進剤や反応抑制剤と併用してもよい。
[1−2−3]Pt含有量
本発明に係る液状組成物(B)は、Ptを実質的に含有しないことが好ましい。
また、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物についても、Ptを実質的に含有しないことが好ましい。
Ptは、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物又は液状組成物(B)にヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサン化合物が含まれる場合に、液状組成物(A)のシラノール基含有ポリオルガノシロキサンと脱水素縮合反応をさせる触媒作用がある。
Ptは脱水素縮合反応触媒として非常に強い活性を有するため、Pt含有量が多すぎると、例えば液状組成物(A)および液状組成物(B)を混合し、硬化物を得る際に水素による発泡を生じやすい。また、液状組成物(B)がヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサン化合物を含む場合には、液状組成物(B)の長期保管中に該ポリオルガノシロキサン化合物のヒドロシリル基が大気中の水分と反応し、水素を発生させると共に活性の高いシラノール基に変化し、液状組成物(B)の経時増粘につながりやすい。
また、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化してなる硬化物を発光デバイス用部材としてチップ近傍で使用する場合、該硬化物中にPtが残存すると、残存したPtがチップの熱や光により粒子化して光を吸収することがある。
この様な観点から、「Ptを実質的に含有しない」とは、液状組成物(B)が保存安定性を損なう程度の実効量を「当業者における技術常識的に」含有していないということを意味する。具体的には、液状組成物(B)重量全体に対するPt含有量が金属重量換算として通常1ppm以下、好ましくは0.5ppm以下である。
同様の理由で液状組成物(B)に含まれるポリオルガノシロキサン化合物(b)の合成由来のPtが意図せず混入した場合にも、Pt含有量は1ppm以下とする必要がある。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が1液型組成物の場合も同様な理由から、組成物中のPt含有量は金属重量換算として通常1ppm以下、特に0.5ppm以下であることが好ましい。
[1−3](C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、銀の着色防止のために、(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂を含有することを特徴とする。
本発明において、(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂を用いることにより、疎水的な(A)成分中で、(C)成分は、ビスフェノール基により極性が高く分層しやすくなっており、硬化時にエポキシ部位が銀電極表面へ選択的に結合して銀表面をコートすることで、外部から侵入した硫黄化合物などの汚染物質による硫化反応などを防ぎ、銀電極の着色を抑制しているものと推定される。
これに対して、(C)成分の代りに、ビスフェノール基を有さないエポキシ樹脂を用いると、ビスフェノール基を有さないエポキシ樹脂は、その極性が(A)成分同等に低く、(A)成分への分散性がよいことから、銀電極表面への選択的な結合性が低く、多量に添加しなければ、銀電極の着色抑制効果が得られないものと考えられる。一方、エポキシ樹脂を多量に添加すると、エポキシ樹脂の低い耐熱性及び耐紫外光性のため、着色する可能性がある。
本発明で用いる(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂のビスフェノールとしては、A型、AP型、AF型、B型、BP型、C型、E型、F型、G型、M型、S型、P型、PH型、TMC型、Z型などが挙げられ、これらのうち、適度な極性があり、(A)成分との混和性が適度に良く、(B)硬化触媒を阻害しにくく、耐熱性、耐紫外光性が良好な点でビスフェノールAが好ましい。
(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂は、(A)成分への分散の点から、ポリスチレン換算の重量平均分子量が280〜3000、特に250〜500であることが好ましい。(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂の重量平均分子量が上記範囲よりも小さいと硬化中に揮発し、電極着色防止能を失う可能性があり、大きいと(A)成分への分散性が悪くなり、保存中に分離する可能性がある。
また、(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂は、脱塩素反応により重合するが、塩素化合物もまた電極を汚染し、着色やマイグレーションの原因になることから、遊離塩素量が10重量ppm以下、特に1重量ppm以下、とりわけ0.1重量ppm以下であることが好ましい。(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂中の遊離塩素量が上記上限よりも多いと電極を汚染し、着色やマイグレーションの原因になる可能性がある。
このような(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂としては市販品を用いることができ、例えば、三菱化学(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂jER827、jER828US、jER834、ビスフェノールF型エポキシ樹脂jER806、jER807、jER4005P、jER4007P、jER4010Pが挙げられ、これらのうち、液状であり(A)成分との混和性が適度に良く、電極の汚染原因となる遊離塩素量が低い点でjER828USが好ましい。
これらの(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比率で用いてもよい。
[1−4](A)〜(C)成分の割合
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物(本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が2液型組成物である場合、(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂を混合した前述の液状組成物(A)と液状組成物(B)の混合物)において、組成物中の全固形分に対する(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂が占める割合(重量比)は0.01/100以上、0.8/100以下である。
ここで、組成物中の全固形分とは、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の乾燥、硬化時に揮発せずに硬化物中に残留する成分の合計であり、一般的には組成物中の有機溶媒以外の全成分の合計をさし、例えば前述の液状組成物(B)に、有機溶媒を用いた場合は、この有機溶媒を除く全成分の合計量をさす。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物中の(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂の含有量が上記上限よりも少ないと、この(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂を用いたことによる銀の着色防止効果を十分に得ることができず、上記上限よりも多いと、(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂による硬化阻害で、硬化性が損なわれ、得られる硬化物の透明性が低下したり、タック性が発現したりする可能性や、硬化しない可能性もある。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に含まれる(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂の割合(重量比)は、組成物中の全固形分に対して0.02/100〜0.6/100であることが好ましく、0.05/100〜0.5/100であることがより好ましく、0.05/100〜0.2/100であることが特に好ましい。
また、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物において、(B)硬化触媒の含有量は(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂に対して0.001〜5重量%であることが好ましい。(B)硬化触媒の含有量が上記下限よりも少ないと酸化反応が進行し難く、上記上限よりも多いと硬化時に発泡などの不具合を生じるおそれがある。(B)硬化触媒の含有量はより好ましくは(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂に対して0.005〜1重量%、特に好ましくは0.01〜0.1重量%である。
また、特に(B)硬化触媒の金属元素換算の含有量については、(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂に対して0.0005〜2.5重量%が好ましく、0.0025〜0.5重量%がより好ましく、0.005〜0.05重量%が更に好ましい。
また、(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂として、前述のポリオルガノシロキサン化合物(a)とポリオルガノシロキサン化合物(b)とを併用する場合、ポリオルガノシロキサン化合物(a)に含まれるSi−OH(シラノール基)と、ポリオルガノシロキサン化合物(b)に含まれるシラノール基と反応する置換基(例えば、Si−H(ヒドロシリル基))のモル比が、通常100:1〜1:100、好ましくは20:1〜1:20、更に好ましくは10:1〜1:10となるように用いることが好ましい。この範囲よりも、ポリオルガノシロキサン化合物(a)が多すぎても、ポリオルガノシロキサン化合物(b)が多すぎても硬化が不十分となることがある。
なお、ポリオルガノシロキサン化合物(a)に含まれるシラノール基、およびポリオルガノシロキサン化合物(b)に含まれるシラノール基と反応する置換基以外の置換基とその比率は、硬化反応の安定性の観点から適宜設定することが好ましい。
例えば、前記一般式(1)で表されるポリオルガノシロキサン化合物(b)および前記一般式(2)で表されるポリシロキサン化合物(a)のR1〜R17の置換基は、ヒドリド基と水酸基を除く置換基の95mol%以上、好ましくは98mol%以上、更に好ましくは99mol%以上がアルキル基となるように配合することが好ましい。アルキル基は通常100mol%以下である。アルキル基はメチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられるが、安定性の観点からメチル基が好ましい。
即ち、ヒドリド基および水酸基は、硬化反応に必須の置換基であるため、適宜含有されている必要があるが、それ以外の置換基は硬化物の光および熱的安定性の観点から、アルキル基を多く含むものが好ましい。アルキル基が少なすぎて他の官能基に置換されると、安定性が劣るようになる。
[1−5]他の添加物
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、上記(A)〜(C)成分以外に、組成物の粘度、硬化速度、硬化物の硬度、触媒の溶解性向上、塗布しやすさの向上などの性状の調整やその硬化物(ポリオルガノシロキサン硬化物)における光学的特性や作業性、機械的特性、物理化学的特性を向上させることを目的として、他の添加物を含有していてもよい。
他の添加物の中でも、以下に説明する無機粒子やシリコーン系架橋剤や液状媒体を含有することが好ましい。
[1−5−1]無機粒子(フィラー)
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、その硬化物(ポリオルガノシロキサン硬化物)における光学的特性や作業性、機械的特性、物理化学的特性を向上させるため、更に無機粒子を含有させてもよい。本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が2液型組成物の場合、無機粒子は液状組成物(A)および(B)のいずれか一方に含有されてもよく、双方に含有されてもよい。
混合する無機粒子の種類は目的に応じて選択すればよく、また、その種類は単一でもよく、複数種を組み合わせてもよい。また、分散性を改善するために、無機粒子はシランカップリング剤などの表面処理剤で表面処理されていてもよい。
[1−5−1−1]無機粒子の種類
使用する無機粒子の種類としては、シリカ、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウムなどの無機酸化物粒子や、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウムなどの窒化物粒子や、炭素化合物粒子、ダイヤモンド粒子などが例示されるが、目的に応じて他の物質を選択することもでき、これらに限定されるものではない。
無機粒子の形態は粉体状、スラリー状等、目的に応じいかなる形態でもよいが、透明性を保つ必要がある場合は、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物と屈折率を同等としたり、水系・溶媒系の透明ゾルとして硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に加えることが好ましい。
[1−5−1−2]無機粒子の平均粒径(メジアン径)
これらの無機粒子(一次粒子)の平均粒径は特に限定されないが、通常、蛍光体粒子の1/10以下程度である。具体的には、目的に応じて以下の平均粒径のものが用いられる。例えば、無機粒子を光散乱材として用いるのであれば、その平均粒径は0.1〜10μmが好適である。また、例えば、無機粒子を骨材として用いるのであれば、その平均粒径は1〜100μmが好適である。また、例えば、無機粒子を増粘剤(チキソ剤)として用いるのであれば、その平均粒径は5〜100nmが好適である。また、例えば、無機粒子を屈折率調整剤として用いるのであれば、その平均粒径は1〜10nmが好適である。
[1−5−1−3]無機粒子の混合方法
無機粒子を混合する方法は特に制限されないが、通常は、遊星攪拌ミキサー等を用いて脱泡しつつ混合することが推奨される。例えばアエロジルのような凝集しやすい小粒子を混合する場合には、粒子混合後必要に応じビーズミルや三本ロール、高せん断の攪拌機などを用いて凝集粒子の解砕を行ってから蛍光体等の混合容易な大粒子成分を混合してもよい。
[1−5−1−4]無機粒子の含有量
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させて得られるポリオルガノシロキサン硬化物における無機粒子の含有量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であり、その適用形態に応じて選定すればよい。例えば、無機粒子を封止材中の光散乱剤として用いる場合は、その含有量は0.01〜10重量%が好適である。また、光散乱剤を高濃度に含有させた硬化物を、発光装置の反射材や反射機能を有しチップを囲む枠材などとして使用する場合は、その含有量は5〜80重量%、更には塗布や成形加工性がよい10〜70重量%が好適である。また、例えば、無機粒子を骨材として用いる場合は、その含有量は1〜50重量%が好適である。また、例えば、無機粒子を増粘剤(チキソ剤)として用いる場合は、その含有量は0.1〜20重量%が好適である。また、例えば、無機粒子を屈折率調整剤として用いる場合は、その含有量は10〜80重量%が好適である。
ポリオルガノシロキサン硬化物の無機粒子の含有量が少なすぎると所望の効果が得られなくなる可能性があり、多すぎると硬化物の密着性、透明性、成形性、硬度等の諸特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が2液型組成物の場合、無機粒子を組成物中に均一に混合させるという観点からは、無機粒子は、液状組成物(B)よりも液状組成物(A)に多く含有されていることが好ましく、通常、液状組成物(B)の粘度が液状組成物(A)の粘度を超えない程度に無機粒子の含有量を調整することが好ましい。無機粒子はその全量が液状組成物(A)に含有されていることが更に好ましい。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物はエポキシ樹脂やシリコーン樹脂など従来の光学部材用材料と比較して低粘度であり、かつ蛍光体や無機粒子とのなじみがよく、高濃度の無機粒子を分散しても十分に塗布性能を維持することができるという利点を有する。また、必要に応じて重合度の調整やアエロジル等のチキソ剤を含有させることにより高粘度にすることも可能であり、目的の無機粒子含有量に応じた粘度の調整幅が大きく、塗布対象物の種類や形状更にはポッティング・スピンコート・印刷などの各種塗布方法に柔軟に対応できる塗布液を提供することができる。
なお、ポリオルガノシロキサン硬化物における無機粒子の含有量や濃度分布は、仕込み組成から計算できるほか、硬化物を化学溶解して無機粒子に特有な元素をICP分析したり、硬化物の断面を作製し、写真撮影後画像処理を行ったりして求めることができる。
また、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物における無機粒子の含有量は、ポリオルガノシロキサン硬化物における無機粒子の含有量が前記範囲に収まるように設定すればよい。従って、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が乾燥工程において重量変化しない場合は硬化性ポリオルガノシロキサン組成物における無機粒子の含有量はポリオルガノシロキサン硬化物における無機粒子の含有量と同様になる。また、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が溶媒等を含有している場合など、組成物の乾燥、硬化工程において重量変化する場合は、その溶媒等を除いた硬化性ポリオルガノシロキサン組成物、即ち、組成物中の全固形分に対する無機粒子の含有量がポリオルガノシロキサン硬化物における無機粒子の含有量と同様になるようにすればよい。
[1−5−1−5]導電性フィラー・熱伝導性フィラーの併用
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物には、これを硬化させてなるポリオルガノシロキサン硬化物を含む本発明の光学部材を、半導体発光装置に使用する場合などにおいては、電気回路を形成させることを目的として導電性フィラーを、またはダイボンド層を設けることを目的として熱伝導性フィラーを、それぞれ含有させてもよい。これによりポリオルガノシロキサン硬化物に導電性や熱伝導性を付与することができる。
使用する前記フィラーの種類としては、銀粉、金粉、白金粉、パラジウム粉などの貴金属粉、銅粉、ニッケル粉、アルミ粉、真鍮粉、ステンレス粉などの卑貴金属粉、銀などの貴金属でめっき、合金化した卑貴金属粉、貴金属や卑金属で被覆された有機樹脂粉やシリカ粉、その他カーボンブラック、グラファイト粉などのカーボン系フィラー、SiC、SiN、AlN、BNなどのセラミックス粉、ダイヤモンド粉などが例示されるが、目的に応じて他の物質を選択することもでき、これらに限定されるものではない。また、導電性フィラーは、その1種を用いても、また、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
[1−5−2]シリコーン系架橋促進剤
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物においては、(B)硬化触媒濃度や使用量を制御する他、反応性の高いシリコーン系架橋促進剤を架橋促進成分として添加することにより硬化速度を上げることができる。
本発明におけるシリコーン系架橋促進剤とは、前記ポリオルガノシロキサン化合物(a)のシラノール基と反応する、シラノール基および/又は加水分解性シリル基を一分子中に少なくとも2個以上含有する多官能ケイ素含有ポリオルガノシロキサン化合物である。
該シリコーン系架橋剤は、前記ポリオルガノシロキサン化合物(a)より反応性が高く、前記シラノール基と反応する基を2個以上有することによって、ポリオルガノシロキサン化合物(a)同士を結合する強力なバインダーとして機能し、硬化を促進する。このため、このシリコーン架橋促進剤を、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に添加することにより、ポリオルガノシロキサン化合物(a)のシラノール基をより反応活性の高い末端に変換し、硬化速度を速くすることができる。
シリコーン系架橋促進剤の主骨格は通常3官能(T単位)および/又は4官能(Q単位)のケイ素を主体とするポリオルガノシロキサン構造であることが好ましく、ケイ素に結合する非反応性の有機官能基は耐熱性や耐紫外光性に優れる観点から通常メチル基あるいはフェニル基、好ましくは紫外吸収が無く電子放出性がフェニル基より低く、かつ、より反応性の高いシリコーン系架橋促進剤を提供できるメチル基を主体とすることが好ましい。
3官能以上のケイ素に由来するシラノール基は2官能ケイ素由来のシラノール基と比較してその電子的環境により活性が高いため、反応性が高くなる。
シラノール基の反応性はその幹分子であるポリオルガノシロキサンの分子量にも影響され、分子量が低いほど立体障害少なく活性が高くなる傾向にある。そのため、硬化速度を速くするためにはシリコーン系架橋促進剤の分子量は低いほどよいが、あまり低分子量であると沸点が低くなって、硬化中に揮発して十分な効果を得られなかったり、揮発しなくても反応性が高すぎて硬化物の表面に荒れが生じたりする可能性がある。
シリコーン系架橋促進剤の分子量はその用途や用いられる部材の形状、加工法により適宜選択され、ポリスチレン換算の重量平均分子量で通常200以上、好ましくは250以上、更に好ましくは300以上、上限は通常100000以下、好ましくは5000以下、更に好ましくは1000以下である。
硬化速度はシリコーン系架橋促進剤の使用量によっても制御することができる。好適な使用量はシリコーン系架橋促進剤の分子量にもよるが、通常、前述のポリオルガノシロキサン化合物(a)100重量部に対して0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部、更に好ましくは0.15〜2重量部、特に好ましくは0.2〜1重量部である。
この範囲を下回ると架橋促進剤としての効果を十分に発現することができなくなることがある。また、この範囲を上回ると架橋が進みすぎて得られる部材がもろくなったり、ポリオルガノシロキサン化合物(a)と未反応のシリコーン系架橋促進剤の揮発や縮合反応により脱離する水、アルコールなどの生成量が増大することなどにより、硬化時の重量歩留まりが低下したり、得られる硬化物に過度の内部応力が発生したりする。その結果、半導体発光デバイスとした時の変形、ワイヤ破断、部材剥離等が発生してデバイスの信頼性が低下するおそれがある。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が2液型組成物の場合、シリコーン系架橋促進剤は、液状組成物(A)および(B)の何れに添加してもよいが、得られる液の保存安定性の観点から(B)硬化触媒を含有しない液状組成物(A)側に添加することが好ましい。シリコーン系架橋促進剤を液状組成物(A)側に添加することにより、室温での保存安定性に優れ、増粘や濁りを生じにくいという液状組成物(A)本来の性質を維持しつつ、液状組成物(B)と混合時には短時間の硬化を可能とすることができる。
なお、シリコーン系架橋促進剤の反応性末端は、シラノール基であっても加水分解性シリル基であってもよい。加水分解性シリル基は、加水分解後に脱離する成分が中性である点からアルコキシ基やケトオキシム基が好ましく、中でも反応性および入手の容易さから炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましく、適度な反応性を有し、脱離する成分の分子量が小さいメトキシ基が特に好ましい。
一方で、シリコーン系架橋促進剤を液状組成物(B)側に添加する場合には高濃度の(B)硬化触媒が共存することになるので、シリコーン系架橋促進剤の反応性末端は反応性を抑えるためシラノール基ではなく加水分解性シリル基であることが好ましい。好ましい加水分解性シリル基は液状組成物(A)に添加する場合と同じである。シリコーン系架橋促進剤添加後の液状組成物(B)は空気中の湿気によりシリコーン系架橋促進剤の加水分解が促進され、液状組成物(B)の増粘が進むことを避けるため、密栓して湿気の混入を避けることが好ましい。
[1−5−3]液状媒体
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、粘度、硬化速度、硬化物の硬度、触媒の溶解性向上、塗布しやすさの向上などの性状の調整を目的として、他の液状媒体と混合してもよい。
上記他の液状媒体としては水酸基やヒドロシリル基を有しない有機溶剤やシリコーンオイルなどを使用することができる。
前記液状媒体の適切な使用量は、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の発光装置への適用形態により適宜選択される。例えば、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に蛍光体やチキソ剤を混合分散し、スクリーン印刷法により多数個の発光素子や発光装置上に蛍光体層を一括して薄層塗布する場合には、塗布性を制御するために塗布液の5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%を前記液状媒体としてもよい。
[1−6]硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の調整方法
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が1液型組成物である場合、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、前述の(A)〜(C)成分と必要に応じて用いられる他の添加物を所定の配合で混合して調整することができる。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が2液型組成物である場合、液状組成物(A)および液状組成物(B)を、得られる混合物中の(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂及び(B)硬化触媒が前述の本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の好適な含有量となるように、更に好ましくは、液状組成物(A)のポリオルガノシロキサン化合物(a)に含まれるSi−OH(シラノール基)と、液状組成物(B)のポリオルガノシロキサン(b)に含まれるシラノール基と反応する置換基(例えば、Si−H(ヒドロシリル基))のモル比が前述の範囲となるように混合して調整することができる。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、空気中で、温度150℃の条件下で、通常6時間以内で硬化するものが望まれる。即ち、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は比較的硬化時間が短いため、経済的に優れ、また、フィラーを添加、混合、混練した際に、そのフィラーが沈降したりしないという技術的意義がある。また、150℃という比較的低温により硬化が可能であるため、半導体発光装置の構成要素、特に半導体発光素子や蛍光体の、硬化時の熱による性能低下を抑制することもできる。
ここで、本発明において、「硬化」とは、流動性を示す状態から、流動性を示さない状態に変化することをいい、例えば、対象物を水平より45度傾けた状態で30分間静置して流動性があるかないかでそれぞれ未硬化状態、硬化状態を判断することができる。
高濃度にフィラーを添加した系では、チキソ性の発現により対象物を水平より45度傾けた状態で流動性が無くとも硬化していないケースが考えられるが、その際には対象物の硬度をデュロメータタイプAにて測定し、硬度測定値が少なくとも5以上であるか否かで未硬化状態、硬化状態を判断することができる。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が、温度150℃で硬化する時間としては、通常6時間以内、更に好ましくは5時間以内、特に好ましくは4時間以内、とりわけ好ましくは3時間以内である。また、通常0.2時間以上、好ましくは0.5時間以上である。硬化時間が長すぎると、フィラーを含む組成物の場合には、フィラーが沈降する場合がある。また、長時間の硬化処理を必要とするため、コスト高となる。硬化時間が短すぎると、ハンドリングが難しく、レベリング前に硬化して形成面にムラができる場合がある。
硬化速度を速くするためには、適切な(B)硬化触媒を選択する、分岐の多いポリオルガノシロキサン化合物を使用する、分子量の高いポリオルガノシロキサン化合物を使用する、硬化時に発生する水素や水分、アルコールなど脱離成分の除去を積極的に行う、などの方法がある。
また、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、硬化により膜厚が比較的薄くなる特徴がある。これは、発泡が少なく、均一な膜を作製しうる点で優れた技術的意義を有する。
即ち、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、下記の硬化試験において、高さ(厚さ)の平均値が通常0.12cm以下、好ましくは0.118cm以下、更に好ましくは0.115cm以下であり、通常0.09cm以上、好ましくは0.1cm以上である。高さの平均値が大きくなるのは、泡や空気をかみこんでいるということであり、高さの平均値が大きすぎると、発泡している場合があり、小さすぎると固形分が少ないか、硬化収縮を起こしている場合がある。
<硬化試験>
(1)硬化性ポリオルガノシロキサン組成物2gを底面直径5cm、高さ1cmのポリテトラフルオロエチレン製容器内にて空気中で、温度150℃にて6時間静置する。
(2)前記(1)の処理の後、前記ポリテトラフルオロエチレン製容器内を45度傾けた状態で30分間静置しても全く流動性が無い(硬化した)ことを確認する。
(3)容器内底から前記硬化物の上面までの高さの平均値を測定する。
硬化物が発泡体とならず液状での厚さ(液高)と硬化後の厚さ(高さ)とが大きく異ならないようにするためには、硬化反応で発生する水素や溶存空気、水分、組成物中の有機溶媒などの揮発成分が十分に硬化性ポリオルガノシロキサン組成物系外に出た後に硬化が起きるように硬化速度を制御するとよい。例えば、ポリオルガノシロキサン化合物(b)を用いる場合には、ポリオルガノシロキサン化合物(a)と、ポリオルガノシロキサン化合物(b)の配合重量比が、ポリオルガノシロキサン化合物(a):ポリオルガノシロキサン化合物(b)=1:1〜1000:1、好ましくは1:1〜50:1、更に好ましくは1:1〜20:1とするとよい。
また、ポリオルガノシロキサン化合物(a)に含まれるSi−OH(シラノール基)と、ポリオルガノシロキサン化合物(b)に含まれるシラノール基と反応する置換基(例えば、Si−H(ヒドロシリル基))のモル比(=反応性官能基/シラノール基)が通常0〜2、好ましくは0〜1、更に好ましくは0.1〜1となるようにポリオルガノシロキサン化合物を選択するとよい。
[1−6]屈折率
目的とする屈折率を有するポリオルガノシロキサン硬化物を得るためには、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、各成分を混合した直後における、組成物の温度20℃における波長589nmの光の屈折率が、通常1.42以下、好ましくは1.419以下、更に好ましくは1.418以下であり、通常1.35以上、好ましくは1.40以上である。光学部材に応用する場合には一般的な発光デバイスの屈折率が約2.5以下であるが、本発明においては樹脂の光安定性の観点からも比較的屈折率の低いものを選択することが好ましい。なお、発光素子の発光波長が青色であり封止樹脂として高輝度が要求されるが発光装置の輝度寿命は重要でない場合などは、半導体発光デバイス用部材に要求される耐紫外光性が大きな問題とならない。その場合は、用途に応じてこの屈折率は1.42以上1.50以下の屈折率としてもよい。このような屈折率とするためには、用途の機能に支障が無い範囲でポリオルガノシロキサン化合物(a)及び(b)にフェニル基を導入したり、高屈折率ナノ粒子などを導入したりして屈折率を調整する。これを超える屈折率とすると、特にポリオルガノシロキサン化合物(a)で屈折率を調整した場合、フェニル基の増加による極性の増大に伴い、(C)成分が硬化性ポリオルガノシロキサン組成物中で均一に分散してしまい、銀電極着色防止能が低下する可能性がある。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が2液型組成物の場合、液状組成物(A)および(B)各々の好適な屈折率範囲は、各々上記混合直後の屈折率として好適な範囲と同様である。液状組成物(A)および(B)が各々上記の屈折率範囲であることにより液状組成物(A)および(B)が類似の官能基組成となり、相溶性に優れると共に得られる高分子構造が均一となる。
上記の好適な屈折率を達成するために、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、含有するポリオルガノシロキサン化合物のケイ素原子に結合した全置換基のうち、ポリオルガノシロキサン化合物(a)に含まれるシラノール基由来の水酸基と、必要に応じて用いられるポリオルガノシロキサン化合物(b)に含まれるシラノール基と反応する置換基(以下、「硬化反応に寄与する置換基」と称することがある。)を除く置換基(以下「非反応性置換基」と称す場合がある。)の80mol%以上、好ましくは95mol%以上、更に好ましくは99mol%以上がアルキル基であることが好ましい。また、アルキル基は、メチル基であることが好ましい。
ポリオルガノシロキサン化合物のケイ素原子に結合した全置換基のうち、硬化反応に寄与する置換基を除く非反応性置換基のモル分率は、液体H−核磁気共鳴スペクトル、固体H−核磁気共鳴スペクトル、固体Si−核磁気共鳴スペクトル、又は、これらを相補的に組み合わせて用いることにより算出することができる。すなわち、測定した前記スペクトルから、(ポリオルガノシロキサン化合物のケイ素原子に結合したアルキル基等の非反応性有機基のモル数の総和)/(ポリオルガノシロキサン化合物のケイ素原子に結合した全置換基のモル数の総和)×100、によりモル百分率を算出することができる。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の屈折率は、屈折計により測定することができる。具体的には、Abbe屈折計(ナトリウムD線(589nm)使用)を用いることができる。フィラーを含み不透明である場合にはアッベ屈折計を使用することはできないが、H−NMR、Si−NMR、元素分析などを組み合わせることにより、ポリオルガノシロキサン化合物のケイ素原子に直接結合している有機基の含有量と組成比(例えばフェニル基とメチル基の比)を調べて、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の屈折率を推定することができる。例えばケイ素原子に結合している有機基がメチル基とフェニル基であるポリオルガノシロキサン化合物では、ケイ素原子に結合した全ての有機基におけるフェニル基含有量が、0%の時の屈折率は約1.403、50%の時の屈折率は約1.545であり、その間の組成における屈折率はフェニル基含有率に応じて直線関係が成り立つ。
[1−7]硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の特性
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の粘度に制限は無いが、各成分を混合した直後の液温25℃での粘度は、通常20mPa・s以上、好ましくは100mPa・s以上、より好ましくは200mPa・s以上、また、通常10000mPa・s以下、好ましくは5000mPa・s以下、より好ましくは1000mPa・s以下である。なお、前記粘度はRV型粘度計(例えばブルックフィールド社製RV型粘度計「RVDV−II+Pro」)により測定できる。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が2液型組成物の場合、液状組成物(A)および(B)それぞれの粘度は混合後に上記の粘度となればよい。液状組成物(B)に液状組成物(A)と反応しない有機溶媒が多く含まれる場合には、硬化後全量揮発する低分子量の溶媒であることが好ましいため、通常100mPa・s以下、好ましくは50mPa・s以下、より好ましくは10mPa・s以下であることが好ましい。この場合硬化収縮を低減するため、その使用量を液状組成物(A)および(B)混合液の10重量%以下、好ましくは7重量%以下の量とすることが好ましい。硬化時に他方の成分と反応する、反応性溶媒として挙動するものであれば、液状組成物(B)の該溶媒含有量に特に制限は無い。
[2]ポリオルガノシロキサン硬化物
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させて得られるものである。以下、その特性につき説明する。
[2−1]屈折率
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物の屈折率は、該ポリオルガノシロキサン硬化物の温度が20℃における波長589nmの光の屈折率で、通常1.50以下、好ましくは、1.42以下、更に好ましくは1.419以下、特に好ましくは1.418以下であり、通常1.35以上、好ましくは1.40以上である。光学部材に応用する場合には一般的な発光デバイスの屈折率が約2.5以下であるが、本発明においては樹脂の光安定性及び(C)成分の分散性の観点から比較的屈折率の低いものを選択することが好ましい。なお、(C)成分の分散性が適度に調整され、銀電極着色防止能に大きな影響を及ぼさない手法、例えば、高屈折率無機酸化物ナノゾルの導入などにより、屈折率の高い硬化物とすることができる。
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物の屈折率は、通常屈折計により測定することができる。具体的には、例えば膜厚1mm以上に成形した平滑な表面の硬化物をサンプルとして、Abbe屈折計(ナトリウムD線(589nm)使用)を用いて測定することができる。フィラーを含み不透明である場合にはアッベ屈折計を使用することはできないが、前述の如く、固体H−NMR、固体Si−NMR、元素分析などを組み合わせることにより、ポリオルガノシロキサン硬化物中のポリオルガノシロキサン化合物のケイ素原子に直接結合している有機基の含有量と組成比(例えばフェニル基とメチル基の比)を調べて、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物の屈折率を推定することができる。例えばケイ素原子に結合している有機基がメチル基とフェニル基であるポリオルガノシロキサン化合物では、ケイ素原子に結合した全ての有機基におけるフェニル基含有量が0%の時の屈折率は約1.403、50%の時の屈折率は約1.545であり、その間の組成における屈折率はフェニル基含有率に応じて直線関係が成り立つ。
[2−2]光線透過率
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、膜厚1mmとした時の400nm以上800nm以下の全ての波長における光線透過率が、通常80%以上、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上である。
また、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物を、半導体発光装置用の光学部材に用いる場合には、膜厚1mmでの半導体発光装置の発光波長における光線透過率が、通常80%以上、中でも85%以上、更には90%以上であることが好ましい。半導体発光装置は各種の技術によりその光取り出し効率が高められているが、半導体発光素子を封止したり蛍光体を保持したりするための透光性部材の透明度が低いと、これを用いた半導体発光装置の輝度が低減するため、高輝度な半導体発光装置製品を得にくくなる傾向にある。
ここで「半導体発光装置の発光波長」とは、半導体発光装置の種類に応じて異なる値であるが、一般的には、通常300nm以上、好ましくは350nm以上、また、通常900nm以下、好ましくは500nm以下の範囲の波長を指す。この範囲の波長における光線透過率が低いと、ポリオルガノシロキサン硬化物が光を吸収してしまい、光取り出し効率が低下して、高輝度の半導体発光装置を得ることができなくなる。更に、光取り出し効率が低下した分のエネルギーは熱に変わり、半導体発光装置の熱劣化の原因となるため好ましくない。
なお、紫外〜青色領域(波長300nm〜500nm)においては封止部材が光劣化しやすいので、この領域に発光波長を有する半導体発光装置に、耐久性に優れた本発明のポリオルガノシロキサン硬化物を使用すれば、その効果が大きくなるので好ましい。
但し、半導体発光装置の形状は様々であり、大多数は0.1mmを超える厚膜状態での使用であるが、LEDチップ(発光素子)から離れた位置に薄膜状の蛍光体層(例えばナノ蛍光体粒子や蛍光イオンを含む厚さ数μmの層)を設ける場合や、LEDチップの直上に薄膜上に高屈折光取り出し膜を設ける場合等、薄膜使用の用途もある。この様な場合には、この膜厚において80%以上の透過率を示すことが好ましい。このような薄膜状の適用形態においても、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は優れた耐紫外光性、耐熱性を示し、封止性能に優れ、クラック等もなく安定して成膜できる。
ポリオルガノシロキサン硬化物の光線透過率は、例えば以下の手法により、膜厚1mmに成形した平滑な表面の硬化物のサンプルを用いて、紫外分光光度計により測定することができる。
<光線透過率の測定>
ポリオルガノシロキサン硬化物の、傷や凹凸による散乱の無い厚さ約1mmの平滑な表面の硬化物を用いて、紫外分光光度計(島津製作所製 UV−3100)を使用し、波長200nm〜800nmにおいて透過度測定を行なう。
[2−3]その他物性
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、上記特性を主な特徴とするが、その他、下記の構造や性質を有していることが好ましい。
[2−3−1]基本骨格
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物の基本骨格は、通常はメタロキサン骨格、好ましくはガラス(ケイ酸塩ガラス)などと同じ無機質のシロキサン骨格(シロキサン結合)であることが好ましい。シロキサン結合は、ポリオルガノシロキサン硬化物を光学部材の用途等に用いるときに、以下の優れた特徴がある。
(I)結合エネルギーが大きく、熱分解・光分解しにくいため、耐紫外光性が良好である。
(II)電気的に若干分極している。
(III)鎖状構造の自由度は大きく、フレキシブル性に富む構造が可能であり、シロキサン鎖中心に自由回転可能である。
(IV)酸化度が大きく、これ以上酸化されない。
(V)電気絶縁性に富む。
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物のケイ素原子含有率は、通常20重量%以上、好ましくは25重量%以上、更に好ましくは30重量%以上である。一方、上限としては、SiO2のみからなるガラスのケイ素含有率が47重量%であり、従って47重量%以下
となる。ただし、ポリオルガノシロキサン硬化物を高屈折率とする場合は、高屈折率化に必要な成分を含有させるため、通常10重量%以上であり、47重量%以下である。
なお、ポリオルガノシロキサン硬化物の前記ケイ素原子含有率は、例えば以下の方法を用いて誘導結合高周波プラズマ分光(inductively coupled plasma spectrometry:以下適宜「ICP」と略する。)分析を行ない、その結果に基づいて算出することができる。
<ケイ素原子含有率の測定>
ポリオルガノシロキサン硬化物を100μm程度に粉砕し、白金るつぼ中にて大気中、450℃で1時間、次いで750℃で1時間、950℃で1.5時間保持して焼成し、炭素成分を除去した後、得られた残渣少量に10倍量以上の炭酸ナトリウムを加えてバーナー加熱して溶融させ、これを冷却して脱塩水を加え、更に塩酸にてpHを中性程度に調整しつつケイ素原子として数ppm程度になるよう定容し、ICP分析を行なう。
[2−3−2]ピーク面積比
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、次の条件を満たすことが好ましい。即ち、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、固体Si−核磁気共鳴スペクトルにおいて、(ケミカルシフト−40ppm以上0ppm以下のピークの総面積)/(ケミカルシフト−40ppm未満のピークの総面積)の比(以下適宜、「本発明に係るピーク面積比」という)が、通常3以上、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、また、通常200以下、好ましくは100以下、より好ましくは50以下であることが好ましい。
本発明に係るピーク面積比が上記の範囲にあることは、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物が、2官能ケイ素原子を、3官能ケイ素原子や4官能ケイ素原子などの3官能以上のケイ素原子よりも多く有することを表す。このように、2官能以下のケイ素原子を多く有することにより、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物はエラストマー状を呈することが可能となり、応力を緩和することが可能となる。
ただし、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、本発明に係るピーク面積比についての上記条件を満たさなくともエラストマー状を呈する場合がある。例えば、金属アルコキシド等のカップリング剤を架橋剤として用いて本発明のポリオルガノシロキサン硬化物を製造した場合などが、この場合に該当する。本発明のポリオルガノシロキサン硬化物がエラストマー状を呈するための手法は任意であり、この本発明に係るピーク面積比についての上記条件に限定されるものではない。
[2−3−3]官能基
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、ポリフタルアミドなどの樹脂、セラミック又は金属の表面に存在する所定の官能基(例えば、水酸基、メタロキサン結合中の酸素など)と水素結合可能な官能基を有していてもよい。半導体発光装置用の容器(後述するカップ等。以下適宜「半導体発光装置容器」という)は、通常、セラミック又は金属で形成されている。また、セラミックや金属の表面には、通常は水酸基が存在する。そこで、密着性を担保させることを目的として、当該水酸基と水素結合可能な官能基を有していてもよい。ただし、前述のように、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物において、含有するポリオルガノシロキサン化合物のケイ素原子に結合した全置換基のうち、硬化反応に寄与する置換基を除く置換基の80mol%以上、好ましくは95mol%以上、更に好ましくは99mol%以上がアルキル基であることが好ましい。また、アルキル基は、メチル基であることが好ましい。
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物が有する、前記の水酸基に対して水素結合が可能な官能基としては、例えば、シラノール基、アルコキシ基、アミノ基、イミノ基、メタクリル基、アクリル基、チオール基、エポキシ基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。中でも耐熱性の観点からシラノール基、アルコキシ基が好ましい。なお、前記官能基は1種でもよく、2種以上でもよい。
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物が、前記のように、水酸基に対して水素結合が可能な官能基を有しているか否かは、固体Si−NMR、固体1H−NMR、赤外線吸収スペクトル(IR)、ラマンスペクトルなどの分光学的手法により確認することができる。
[2−3−4]耐熱性
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、耐熱性に優れる。即ち、高温条件下に放置した場合でも、所定の波長を有する光における透過率が変動しにくい性質を有する。具体的には、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、200℃に500時間放置した前後において、波長400nmの光に対する透過率の維持率が、通常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上であり、また、通常110%以下、好ましくは105%以下、より好ましくは100%以下である。
なお、前記の変動比は、紫外/可視分光光度計による透過率測定により、[2−2]で前述した光線透過率の測定方法と同様にして測定することができる。
[2−3−5]耐紫外光性
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、耐紫外光性に優れる。具体的には、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、中心波長380nm、放射強度0.4kW/m2の光を72時間照射した前後において、波長400nmの光における透過率の維持率が、通常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上であり、また、通常110%以下、好ましくは105%以下、より好ましくは100%以下である。
なお、前記の変動比は、紫外/可視分光光度計による透過率測定により、[2−2]で前述した光線透過率の測定方法と同様にして測定することができる。
[2−3−6]触媒残留量
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、(B)硬化触媒を用いて製造される。そのため、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物には、通常は、これらの触媒が残留している。具体的には、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、(B)硬化触媒を、金属元素換算で、通常0.0005重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、また、通常0.5重量%以下、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下含有する。
なお、前記の硬化触媒の含有量は、ICP分析により測定できる。
[2−3−7]低沸点成分
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、TG−mass(熱分解MSクロマトグラム)において、40℃〜210℃の範囲の加熱発生ガスのクロマトグラム積分面積が小さいものであることが好ましい。
TG−massは、ポリオルガノシロキサン硬化物を昇温してポリオルガノシロキサン硬化物中の低沸点成分を検出するものであるが、40℃〜210℃の範囲にクロマトグラム積分面積が大きい場合、水、溶媒および3員環から5員環の環状シロキサンといった、低沸点成分が成分中に存在することを示す。このような場合、(i)低沸点成分が多くなり、硬化物を使用していく過程において気泡の発生またはブリードアウトし半導体発光装置容器との密着性が低くなる可能性や、(ii)使用時の発熱により気泡の発生またはブリードアウトするなどの可能性がある。そこで、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物はかかる低沸点成分が少ないものが好ましい。
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物において、TG−massで検出される前記低沸点成分量を低く抑える方法としては、例えば、下記の方法を挙げることができる。
(i)重合硬化反応を十分に行ない、低分子量の未反応原料が残存しないようにする。
(ii)重合反応等の反応工程以外の工程において、低沸点成分を効率よく除去する。例えば、原料中の低沸点成分を予め除去しておくことがそれに相当する。具体的には、通常60℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、また、通常150℃以下、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下で、100mmHg以下、好ましくは20mmHg以下の圧力にて低沸点成分を留去する過程を重合前の各原料成分に対して行う。
[2−3−8]硬度
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、エラストマー状を呈する部材であることが好ましい。一般に半導体発光装置等の光学部材には熱膨張係数の異なる部材を複数使用することが多いが、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物がエラストマー状を呈することにより、光学部材に用いられる部材の伸縮による応力を緩和することができ、従って、使用中に剥離、クラック、断線などを起こしにくく、耐リフロー性および耐温度サイクル性に優れる半導体デバイスを提供することができる。
具体的には、ポリオルガノシロキサン硬化物は、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が、通常5以上、好ましくは7以上、より好ましくは10以上、また、通常90以下、好ましくは80以下、より好ましくは70以下である。上記範囲の硬度測定値を有することにより、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物を用いた光学部材は、クラックが発生しにくく、耐リフロー性および耐温度サイクル性に優れるという利点を得ることができる。
なお、硬度測定値(ショアA)は、JIS K6253に記載の方法により測定することができる。具体的には、古里精機製作所製のA型ゴム硬度計を用いて測定を行なうことができる。
[2−3−9]他の部材との組み合わせ
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は単独で封止材として用いてもよいが、有機蛍光体、酸素や水分により劣化しやすい蛍光体、半導体発光装置を封止する場合等、より厳密に酸素や水分からの遮断を要求される用途においては、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物により蛍光体の保持や半導体発光素子の封止・光取り出しを実施し、更にその外側にガラス板やエポキシ樹脂などの高気密素材による気密封止を実施したり、真空封止を実施してもよい。この場合の形状に制限は無く、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物による封止体、塗布物あるいは塗布面が実質的に金属、ガラス、高気密性樹脂などの高気密素材により外界から保護遮断され、酸素や水分の流通が無い状態になっていればよい。
また、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、上述のように密着性が良好なため、半導体発光装置用接着剤として用いることができる。具体的には、例えば、半導体素子とパッケージを接着する場合、半導体素子とサブマウントを接着する場合、パッケージ構成要素同士を接着する場合、半導体発光装置と外部光学部材とを接着する場合などに、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物を、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の塗布、印刷、ポッティングすることなどにより適用することができる。本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は特に耐紫外光性、耐熱性に優れるため、長時間高温や紫外光にさらされる高出力の半導体発光装置用接着剤として用いた場合、長期使用に耐え、高い信頼性を有する半導体発光装置を提供することができる。
なお、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、これのみで十分密着性を担保しうるものであるが、更に密着性を担保することを目的として、ポリオルガノシロキサン硬化物と直接接する表面に密着性改善のための表面処理を行なってもよい。このような、表面処理としては、例えばプライマーやシランカップリング剤を用いた密着改善層の形成、酸やアルカリなどの薬品を用いた化学的表面処理、プラズマ照射やイオン照射・電子線照射を用いた物理的表面処理、サンドブラストやエッチング・微粒子塗布などによる粗面化処理等が挙げられる。密着性改善のための表面処理としては、その他に例えば、特開平5−25300号公報、稲垣訓宏著「表面化学」Vol.18 No.9、pp21−26、黒崎和夫著「表面化学」Vol.19 No.2、pp44−51(1998)等に開示される公知の表面処理方法が挙げられる。
[2−3−10]その他
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物の形状および寸法に制限は無く任意である。例えば、ポリオルガノシロキサン硬化物が何らかの半導体発光装置容器内を充填する封止材として使用される場合には、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物の形状および寸法は、その半導体発光装置容器の形状および寸法に応じて決定される。また、ポリオルガノシロキサン硬化物が何らかの基板の表面に形成される場合は、通常は膜状に形成されることが多く、その寸法は用途に応じて任意に設定される。本発明のポリオルガノシロキサン硬化物を導光板や航空宇宙産業用部材に用いる場合にも、その適用する部位に合わせて、任意に形状を用いることができる。
ただし、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、膜状に形成する場合、厚膜に形成することができることを利点の一つとしている。従来用いられてきた光学部材は、厚膜化すると内部応力等によりクラック等が生じて厚膜化が困難であったが、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物はそのようなことは無く、安定して厚膜化が可能である。具体的範囲を挙げると、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、通常0.1μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは100μm以上の厚みで形成することが好ましい。なお、上限に制限は無いが、通常10mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましくは1mm以下である。ここで、膜の厚みが一定でない場合には、膜の厚みとは、その膜の最大の厚み部分の厚さのことを指すものとする。
また、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、通常、従来よりも長期間にわたってクラックや剥離を生じることなく半導体発光装置を封止できる。具体的には、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物を用いて半導体発光装置を封止し、当該半導体発光装置に、通常20mA以上、好ましくは350mA以上の駆動電流を通電して温度85℃相対湿度85%にて連続点灯を行った場合に、通常500時間以上、好ましくは1000時間以上、より好ましくは2000時間以上経過後の輝度が、点灯直後の輝度と比較して低下しない。
また、用途によっては、ポリオルガノシロキサン硬化物は、その他の成分を含有していてもよい。例えば、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物を半導体発光装置の構成部材として用いる場合などにおいては、蛍光体や無機粒子などを含有させてもよい。なお、この点については、用途の説明と共に、後で説明する。
また、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
[2−4]ポリオルガノシロキサン硬化物の製造方法
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、前述の(A)〜(C)成分および必要に応じて添加されるその他の添加物を混合してなる本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させることにより得られる。本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が2液型組成物の場合、液状組成物(A)および(B)は使用直前に混合され、その混合方法は特に限定されない。
この混合された組成物を加熱硬化すると、ポリオルガノシロキサン化合物(a)同士の加水分解重縮合反応、ポリオルガノシロキサン化合物(a)と、必要に応じて用いられるポリオルガノシロキサン化合物(b)の脱水素縮合反応、およびポリオルガノシロキサン化合物(b)同士の加水分解重縮合反応などが同時に進行し、得られる硬化物はシロキサン結合を主体とする架橋構造を有するため、耐熱性、耐紫外光性、耐酸化性に優れ、同時にシラノール基を有するため接着性に優れたポリオルガノシロキサン硬化物となる。
前述の如く、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、通常、空気中で、温度150℃にて6時間以内で硬化することにより得られるが、本発明を実施する上で、好ましい硬化条件を以下に詳述する。
硬化処理は、常圧で実施する場合、通常15℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは100℃以上、また、通常300℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下の範囲で行なう。加圧して液相を維持させることにより高い温度で硬化を行なうことも可能である。
硬化時間は反応温度により異なるが、通常0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは0.8時間以上、また、通常100時間以下、好ましくは20時間以下、更に好ましくは15時間以下の範囲で実施される。
以上の硬化条件において、時間が短すぎる場合や温度が低すぎる場合は、重合が不十分なため硬化物の強度が不十分となる可能性がある。また、時間が長すぎる場合や温度が高すぎる場合は、混合後の組成物の分子量が高くなり、硬化が早すぎて硬化物の構造が不均一となり、クラックを生じやすくなる。更に消費エネルギーの観点から経済性にも劣るようになる。以上の傾向を踏まえて、所望の物性値に応じて条件を適宜選択することが望ましい。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に溶媒が含まれる場合、または、各成分や液状組成物(A)および(B)の混合工程において溶媒を用いた場合には、通常、前記硬化処理(混合工程)の前ないし実施中に、この溶媒を留去することが好ましい(溶媒留去工程)。溶媒を留去して得られた液状の半重縮合物は、そのまま硬化させて用いることができる。なお、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が2液型組成物の場合、溶媒留去は、液状組成物(A)および(B)を混合した後(別途(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂を混合する場合には、更に(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂を混合した後)に行うのが好ましい。この場合、ゲル化により流動性を失う直前までに概ね溶媒が留去されているのが好ましい。このような溶媒留去の方法として、例えばゲル化により流動性を失う直前までは硬化温度よりも低い温度で溶媒留去を行い、その後、硬化温度以上に昇温し硬化物を得るステップキュアを行うのが好ましい。
溶媒を留去する方法は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に含まれるポリオルガノシロキサン化合物の分解開始温度以上の温度で溶媒の留去を行なうことは避けるようにする。
溶媒の留去を行なう際の温度条件の具体的な範囲を挙げると、通常60℃以上、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、また、通常450℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下である。この範囲の下限を下回ると溶媒の留去が不十分となる可能性があり、上限を上回ると本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物がゲル化する可能性がある。このような温度範囲で留去を行うために、溶媒の沸点は通常50〜200℃、好ましくは70〜180℃、更に好ましくは90〜150℃の範囲で用途に応じて選択することができる。
また、溶媒の留去を行なう際の圧力条件は、通常は常圧である。更に、必要に応じて溶媒留去時の反応液の沸点が分解開始温度に達しないように減圧する。また、圧力の下限は、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の主成分が留出しない程度である。
溶媒の留去は半導体発光装置への実装使用時に行われてもよい。例えば封止材として使用する場合には発光素子実装後のパッケージ凹部に溶媒を含有する本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物をポッティングした後、まず溶媒は揮発するが硬化には至らない低温にて溶媒を揮発させ、続いて硬化温度に昇温して無溶媒となった組成物を硬化させるステップキュア手法などが例示される。なお、揮発性溶媒の使用量は塗布、成形方法により異なるが、硬化後の収縮を極力抑え硬化物の寸法精度を確保するため、必要最低限の量とすることが好ましい。
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物を、半導体発光装置として用いる場合であって、該半導体発光装置と共に加熱される場合は、通常は該半導体発光装置の構成要素の耐熱温度以下の温度、好ましくは200℃以下で硬化することが好ましい。また、本発明は上述のように、150℃程度またはそれ以下という比較的低温により硬化が可能であるため、半導体発光装置の構成要素、特に半導体発光素子や蛍光体の安定を目的とする場合は、150℃以下で硬化させることが好ましい。
[3−5]その他
上述の重合工程の後、得られたポリオルガノシロキサン硬化物に対し、必要に応じて各種の後処理を施してもよい。後処理の種類としては、モールド部との密着性の改善のための表面処理、反射防止膜の作製、光取り出し効率向上のための微細凹凸面の作製等が挙げられる。
[3]光学部材
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物の用途は制限されないが、光線透過性(透明性)、耐紫外光性、耐熱性、耐水熱性、少発泡性などの種々の特性が高いため、様々な光学部材に好適に用いることができる。本発明のポリオルガノシロキサン硬化物を含む光学部材の用途の具体例としては、半導体発光装置、導光板、および宇宙産業用部材等が挙げられる。
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物を含む光学部材は、光学部材の用途によって適宜形状や透明度等を定めて用いたり、蛍光体や無機粒子等の他の化合物を併用したりしてもよい。これらの他の化合物を併用するときは、例えば、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に混合させて用いる方法が挙げられる。
例えば、本発明の光学部材を半導体発光装置の半導体発光素子等を封止するための部材(封止材)に用いる場合、蛍光体粒子や無機粒子を併用することで、特定の用途に用いるとき更に好適に使用することが可能となる。
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物を光学部材として用いる場合、例えば、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物(本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物が2液型組成物の場合は液状組成物(A)および/又は(B))中に蛍光体を分散させて、後述する半導体発光装置のカップ内にモールドしたり、適当な透明支持体上に薄層状に塗布したりすることにより、波長変換用部材として使用することができる。なお、前記塗布方法は特に限定されず、スプレー塗布、スクリーン印刷、ダイコート等、種々の方法を用いることができる。また、蛍光体は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物における蛍光体の含有量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、その適用形態により自由に選定できる。白色LEDや白色照明等の用途に用いる白色発光の半導体発光装置を例に挙げると、蛍光体を均一に分散して半導体発光素子を含むパッケージの凹部全体を埋めてポッティングする場合には、蛍光体総量として、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、また、通常35重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは28重量%以下である。
また、同用途で蛍光体を高濃度に分散したものを、半導体発光装置の半導体発光素子の発光面より遠方(例えば、半導体発光素子を含む凹部を透明封止材で埋めたパッケージ開口面や、LED気密封止用ガラス蓋体・レンズ・導光板等の外部光学部材の出光面など)に薄膜状に塗布する場合には、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物における蛍光体の含有量は、通常5重量%以上、好ましくは7重量%以上、より好ましくは10重量%以上、また、通常90重量%以下、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。
また、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物を少なくとも備えることを特徴とした光学部材を、封止材、パッケージ材料、接着剤(ダイボン剤)用途で半導体発光装置に使用する場合などにおいては、当該用途に合わせて更に無機粒子を含有させてもよい。無機粒子を含有させる技術的意義、およびその詳細については、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の説明において前述した通りである。
[4]半導体発光装置の実施形態
本発明のポリオルガノシロキサン硬化物を少なくとも備えてなる本発明の光学部材の適用例として、本発明の光学部材を少なくとも備えてなる半導体発光装置(以下、適宜「本発明の半導体発光装置」ということがある。)を例に挙げて、実施形態を用いて説明する。なお、以下の各実施形態では、本発明の半導体発光装置を適宜「発光装置」と略称することがある。
また、本発明の半導体発光装置に用いる本発明の光学部材を、「半導体発光装置用部材」と称すこととする。また、どの部位に本発明の光学部材を用いるかについては、全ての実施形態の説明の後にまとめて説明する。但し、これらの実施形態はあくまでも説明の便宜のために用いるものであって、本発明の光学部材を少なくとも備えてなる半導体発光装置の例は、これらの実施形態に限られるものではない。
[4−1]実施形態1
本実施形態の発光装置1Aは、図1に示すように、プリント配線17が施された絶縁基板16上に発光素子2が表面実装されている。この発光素子2は発光層部21のp形半導体層(図示せず)およびn形半導体層(図示せず)それぞれが、導電ワイヤ15,15を介してプリント配線17,17に電気的に接続されている。なお、導電ワイヤ15,15は、発光素子2から放射される光を妨げないように、断面積の小さいものが用いられている。
ここにおいて、発光素子2としては、紫外〜赤外域までどのような波長の光を発するものを用いてもよいが、ここでは、窒化ガリウム系のLEDチップを用いているものとする。また、この発光素子2は、図1における下面側にn形半導体層(図示せず)、上面側にp形半導体層(図示せず)が形成されており、p形半導体層側から光出力を取り出すから図1の上方を前方として説明する。
また、絶縁基板16上には発光素子2を囲む枠状の枠材18が固着されている。枠材18と絶縁基板16は、これらが一体になったパッケージとして構成されていてもよい。枠材18の内側には発光素子2を封止・保護する封止部19を設けてある。封止部19は、本発明に係る半導体発光装置用部材により形成されたもので、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物でポッティングを行なうことにより形成できる。封止部19は発光素子2の波長変換用部材としての機能させる目的で蛍光体が含有されていてもよい。
しかして、本実施形態の発光装置1Aは、発光素子2と、半導体発光装置用部材を用いた封止部19とを備えているため、発光装置1Aの光耐久性、熱耐久性を向上させることができる。また、封止部19にクラックや剥離が起きにくいため、封止部19における発光素子2の光透過性を高めることが可能となる。
更に、従来に比べて光色むらや光色ばらつきを少なくすることができるとともに、外部への光の取り出し効率を高めることができる。すなわち、封止部19を、曇りや濁りがなく発光素子2に対する光透過性が高いものとすることができるため、光色の均一性に優れ、発光装置1A間の光色ばらつきもほとんどなく、発光素子2の光の外部への取り出し効率を従来に比べて高めることができる。また、発光物質の耐候性を高めることができ、従来に比べて発光装置1Aの長寿命化を図ることが可能となる。
更に、本実施形態では、図1に示すように、発光素子2の前面を光学部材3Aが覆っており、またその光学部材3A上に、光学部材3Aとは異なる材料で封止部19が形成されている。光学部材3Aは、例えば以下の用途で用いられる。
i)発光素子2表面の光取出し膜、封止膜として機能する透明の薄膜
ii)発光素子2の波長変換用部材として機能する蛍光体含有の薄膜
光学部材3Aは、例えば、発光素子2のチップ形成時に上記のポリオルガノシロキサン硬化物の原料をスピンコーティング等で塗布することにより形成できる。光学部材3Aは必要に応じて用いられ、本発明の発光装置は、当然にこれを有しない実施形態であってもよい。
[4−2]実施形態2
本実施形態の発光装置1Bの基本構成は実施形態1と略同じであって、図2に示すように、封止部19の上面に、あらかじめレンズ状に成形した光学部材33を配設している点に特徴がある。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
光学部材33は、例えば以下の用途で用いられる。
i)外界の酸素や水分から発光装置1Bを遮断する蓋体
ii)発光素子2の波長変換用部材として機能する蛍光体含有の光学部材
すなわち、i)においては、発光素子2と封止部19の上面側が、例えばガラスや高気密樹脂よりなる透明蓋体としての光学部材33により外界の酸素や水分から遮断されている。
光学部材33と封止部19は直接接していても空隙を有していてもよいが、空隙が無い方が光取り出し効率高く輝度高い半導体発光装置を得ることができる。空隙を有する場合、真空封止や不活性ガス封入とすることが好ましい。
このような実施形態では、水分や酸素など蛍光体・封止樹脂の劣化を促進する外界因子の侵入や、熱・光による封止樹脂分解ガスの揮発が光学部材33により抑制されるため、これらに起因する輝度低下や封止部収縮剥離が低減できるという利点がある。
また、ii)においては、光学部材33が、発光素子2からの光によって励起され所望の波長の光を発光するものである。封止部19が蛍光体を含有しない光学部材で形成されている場合は、封止部19に蛍光体が直接含有されている実施形態よりも蛍光体の励起による発熱や蛍光体劣化に伴う不純物の溶出等によるダメージを受けないという点では好ましい。
本実施形態の発光装置1Bでは、光学部材33が波長変換機能だけでなく、レンズとしての機能を有することになり、レンズ効果による発光の指向性制御を行うことができる。レンズ効果を期待せず、上記i)またはii)のいずれか1以上のみの効果を期待する場合は、光学部材はレンズ状でなく、表面(上面)が平坦な板状のものであってもよい。また、光取り出し効果を期待する場合には、レンズ状であるのに代えて、表面(上面)が凹凸形状を有する様に成形されていてもよい。
その他、本発明の発光装置の実施形態としては種々のものを適用でき、例えば特許文献3の[0395]段落〜[0512]段落に記載のものにそのまま応用できる他、これを適宜設計変更した発光装置にも適用できる。
[4−3]半導体発光装置用部材への適用
以上説明した各実施形態1および2の発光装置(半導体発光装置)において、本発明に係る半導体発光装置用光学部材(以下、単に「光学部材」と称する。)を適用する箇所は特に制限されない。上記の各実施形態においては、封止部19を形成する部材として本発明に係る光学部材を適用した例を示したが、これ以外にも、例えば上述の光学部材3A(図1)、光学部材33(図2)、枠材18(図1,2)、枠材18と絶縁基板16が一体になったパッケージ(図1,2)等を形成する部材として好適に用いることができる。これらの部材として本発明に係る光学部材を用いることにより、上述した優れた封止性、透明性、耐紫外光性、耐熱性、成膜性、長期間使用に伴うクラックや剥離の抑制等の各種の効果を得ることが可能となる。また、本発明の光学部材を枠材、絶縁基板、パッケージ等に用いる場合は、トランスファー成型やLIM成型(Liquid Injection Mold成型)における成型性に優れるため、これらの方法を用いて製造するのが好ましい。
また、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物は、前述のように密着性が良好なため、上述のような光学部材に用いる他、半導体発光装置用接着剤としても用いることができる。具体的には、例えば、半導体素子とパッケージを接着する場合、半導体素子とサブマウントを接着する場合、パッケージ構成要素同士を接着する場合、半導体発光装置と外部光学部材とを接着する場合などに、本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を塗布、印刷、ポッティングなどすることにより用いることができる。本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させてなる本発明のポリオルガノシロキサン硬化物は、特に耐紫外光性、耐熱性に優れるため、長時間高温や紫外光にさらされる高出力の半導体発光装置用接着剤として用いた場合、長期使用に耐え高い信頼性を有する半導体発光装置を提供することができる。
本発明の発光装置は、単独で、又は複数個を組み合わせることにより、例えば、照明ランプ、液晶パネル用等のバックライト、超薄型照明等の種々の照明装置、画像表示装置として使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、それらは本発明の説明を目的とするものであって、本発明をこれらの態様に限定することを意図したものではない。
[1]液状組成物(A)(A液)の製造および評価
[1−1]プレA液
Momentive Performance Materials Japan社(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社。以下、本明細書実施例における入手元について同じ。)製両末端シラノールジメチルシリコーンオイルXC96−723を2630g、信越化学社製メチルトリメトキシシランを70.22g、および、触媒として松本ファインケミカル社製ジルコニウムテトラアセチルアセトネート粉末1.89gを、攪拌翼と、分留管、ジムロートコンデンサおよびリービッヒコンデンサとを取り付けた3L五つ口フラスコ中に計量し、室温にて15分触媒の粗大粒子が溶解するまで攪拌した。この後、反応液を100℃まで昇温して触媒を完全溶解し、100℃全還流下で30分間470rpmで攪拌しつつ初期加水分解を行った。
続いて装置の接続を全還流から、留出液がリービッヒコンデンサ側に出るように接続し直し、窒素ガスをSV20で液中に吹き込み生成メタノールおよび水分、副生物の低沸ケイ素成分を窒素ガスに随伴させて留去しつつ100℃、470rpmにて1時間攪拌した。窒素ガスをSV20で液中に吹き込みながら更に130℃に昇温、保持しつつ5時間重合反応を継続し、粘度120mPa・sの反応液を得た。なお、ここで「SV」とは「Space Velocity」の略称であり、単位時間当たりの吹き込み体積量を指す。よって、SV20とは、1時間に反応液の20倍の体積のN2を吹き込むことをいう。
窒素ガスの吹き込みを停止し、反応液を一旦室温まで冷却した後、1Lのナス型フラスコ4個に反応液を分割移送し、ロータリーエバポレーターを用いてオイルバス上120℃、1kPaで各65分間ずつ微量に残留しているメタノールおよび水分、低沸ケイ素成分を留去し、目開き3.0μmのPTFE製濾布にて加圧濾過を実施して静粘度215cpの液(プレA液)を得た。
[1−2]A−1液
上記[1−1]にて得られたプレA液2000gをテフロン(登録商標)コートした攪拌翼を付設した攪拌混合槽に仕込み、活性炭(日本エンバイロケミカルズ社製精製白鷺)133.8gを添加して室温にて1時間攪拌を行なった。それをNo.5Aのろ紙にて加圧濾過した。ろ液に再度活性炭133.8gを添加してNo.5Aのろ紙にて濾過し、更に目開き0.1μmのPTFE製濾布にて加圧濾過を実施することにより、触媒を除去したA−1液を得た。なお、A−1液の静粘度は、静粘度232cpであった。
A−1液が含有するポリオルガノシロキサン化合物を、液体Si−NMRで評価したところ、下記一般式(2)で表される化合物であることが判った。なお、R13はメチル基、R14はメチル基、R15はメチル基・水酸基・メトキシ基から選ばれる基、R16およびR17はメチル基、R18はメチル基・水酸基・メトキシ基から選ばれる基であり、この化合物は一分子中に2個以上のシラノール基を有し、p=0.014、q=0.964、r=0.022である。
Figure 2013124324
プレA液と触媒除去後のA−1液を、各々吸光光度用n−ヘプタンに溶解して2重量%溶液とし、光路長1cmの石英セルを用いて紫外吸収スペクトルを測定したところ、プレA液に観測されるアセチルアセトン配位子由来の271nmの吸収ピークが触媒除去に伴い消失していることが確認された。
また、A−1液に含有されるPtおよびZrの濃度をICP発光分析法により確認したところ、Ptは1ppm以下、Zrは13ppmであった。
また、プレA液2gを5cmφテフロン(登録商標)シャーレに取り、恒温器にて150℃、3時間保持したところ、エラストマー状に硬化したのに対し、A−1液は同様の試験にて全く硬化せず液状を保っていた。このことから、A−1液において残存するZrは合成過程で配位子であるアセチルアセトンを失い、ポリオルガノシロキサン鎖に結合するかジルコニウム酸化物に近い形となり失活しているものと考えられる。
更にプレA液およびA−1液の室温での保存安定性を評価した。
プレA液は、室温保管すると1ヶ月で静粘度が2倍以上に、2ヶ月で3倍以上に上昇した。これに対し、A−1液は、室温(25℃)保管すると8ヶ月保管しても静粘度は1.06倍とほとんど上昇しなかった。また、目視外観上の変化も全く無かった。
[1−3]A−2液
20mLのスクリュー管に、前述のA−1液10g、シリコーン系硬化促進剤として3官能ケイ素原子のみからなり、かつケイ素原子に結合した有機基がメチル基とメトキシ基であるオルガノシロキサンオリゴマー(メトキシ基含有量45重量%、重量平均分子量500)(市販品)0.02gを仕込み、室温大気下にて30分撹拌して硬化促進剤入りのA−2液を調液した。
[2]液状組成物(B)(B液)の製造および評価
20mLのスクリュー管に、キシダ化学製n−ドデカン9.6g、触媒成分として、日本化学産業社製ジルコニウム2−エチルヘキソエート(Zrとして12重量%のミネラルスピリット溶液)を0.4g仕込み、室温大気下にて30分撹拌してB液を得た。
B液は、密閉した50ccスクリュー瓶にて室温(25℃)にて3ヶ月保管しても目視外観上の変化は全く無かった。50℃3ヶ月保管品も同様であった。
[3]エポキシ化合物非含有硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の調製
[3−1]A−1液とB液の混合
20mLのスクリュー管に、前述のA液(A−1液)を6g、および前述のB液(B液)を0.3g(A液/B液=20/1)仕込み、室温大気下にて30分撹拌して、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物X−1を得た。この硬化性ポリオルガノシロキサン組成物X−1を比較例1の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物とした。
[3−2]A−2液とB液の混合
前述のA−1液をA−2液に変えたこと以外は、上記[3−1]と同様にして、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物X−2を得た。この硬化性ポリオルガノシロキサン組成物X−2を比較例4の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物とした。
[4]エポキシ化合物含有硬化性ポリオルガノシロキサン組成物の調製
[4−1]硬化性ポリオルガノシロキサン組成物X−1とエポキシ化合物の混合
20mLのスクリュー管に、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物X−1を5g、および三菱化学(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂jER828US(重量平均分子量380、遊離塩素量1重量ppm以下)を表1の実施例1及び比較例2,3の各濃度で仕込み、室温大気下にて30分撹拌して、それぞれ実施例1及び比較例2,3の硬化性ポリシロキサン組成物を得た。
[4−2]硬化性ポリオルガノシロキサン組成物X−2とエポキシ化合物の混合
硬化性ポリオルガノシロキサン組成物X−1を硬化性ポリオルガノシロキサン組成物X−2に変えたこと、および、三菱化学(株)社製ビスフェノールA型エポキシ樹脂jER828USの濃度を表2の比較例5〜6および実施例2〜5の各濃度に変えたこと以外は上記[4−1]と同様の操作を行って、比較例5〜6及び実施例2〜5の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を得た。
[4−3]硬化性ポリオルガノシロキサン組成物X−1と(C)成分以外のエポキシ化合物の混合
ビスフェノールA型エポキシ樹脂jER828USを信越化学工業社製2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランKBM−303へ変え、その濃度を表3の比較例7の各濃度に変えたこと以外は上記[4−1]と同様の操作を行って、比較例7の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を得た。
また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂jER828USを信越化学工業社製3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランKBM−403に変え、その濃度を表3の比較例8の各濃度に変えたこと以外は上記[4−1]と同様の操作を行って、比較例8の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を得た。
[5]硬化性ポリオルガノシロキサン組成物のパッケージ中での硬化および評価
前述[4]で作製した各硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を金森籐平商事社の銀メッキ銅製90×90mmパッケージへ70μl塗布し、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物X−1を用いたものについては、90℃で2時間加熱後、110℃で1時間加熱し、更に、150℃で3時間加熱して、組成物を硬化させた。また、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物X−2を用いたものについては、110℃で1時間加熱後、150℃で2時間加熱して、組成物を硬化させた。
得られた各硬化物について、硬化度、および、タック性を触手で、透明性を目視で確認し、それぞれ下記基準で評価した。
また、実施例1、3、および4、並びに比較例1〜4、7〜8については、反射率測定器(コニカミノルタ(株)製、CM−2600d)を用いて、350nm〜750nmにおけるパッケージの反射率を測定した。
<硬化度>
手触りにて、封止したパッケージの硬さを調べ、それぞれ同一の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物X−1又はX−2を用いた比較例1又は4の硬さと比較し、以下の基準で評価した。
○:同等。
△:やや柔らかいが、ほぼ同等。
□:明らかに柔らかく、エポキシ化合物による硬化阻害が確認できる。
×:未硬化で、明らかにエポキシ化合物による硬化阻害が確認できる。
<タック性>
手触りにて、封止したパッケージのべた付きを調べ、それぞれ同一の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物X−1又はX−2を用いた比較例1又は4のべた付きと比較し、以下の基準で評価した。
○:同等。
△:ややべた付きがあるが、ほぼ同等。
□:明らかにべた付き、エポキシ化合物による硬化阻害が確認できる。
×:未硬化で、手につき明らかにエポキシ化合物による硬化阻害が確認できる。
<透明性>
目視にて、封止したパッケージの透明性を調べ、それぞれ同一の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物X−1又はX−2を用いた比較例1又は4の透明性と比較し、以下の基準で評価した。
○:同等
△:ややにごりが見られるが、ほぼ同等
□:明らかににごりが見られる
×:著しいにごりが見られる
[6]エポキシ含有ポリシロキサン組成物の評価
前述[5]で作製した各パッケージを6cmφシャーレの上蓋に両面テープで固定し、下蓋に1gの硫黄粉末を平らに敷き、上下の蓋を合わせ、スリーボンド(株)製配管テープで蓋の接合部を密封し、15cmφのシャーレ中へ入れ、スリーボンド(株)製配管テープで蓋の接合部を密封後、80℃の防爆炉中へ入れ、6時間加熱した。6時間後にシャーレから各パッケージを取り出し、着色を目視で確認し、以下の基準で評価した。
また、実施例1、3、および4、並びに比較例1〜4、7〜8については、前述[5]と同様に反射率測定器を用いて、パッケージの反射率を測定した。測定の結果、上記の波長範囲の全範囲で、サンプル間での反射率の順位が変動していなかったので、光反射率の評価は代表的な波長として450nmを用いて、この波長における光反射率の維持率(硫黄雰囲気曝露後の光を初期反射率で除した値)を用いて行った。この反射率の維持率が大きいことは、銀メッキの着色が抑制されていることを示す。
<着色度>
目視にて、封止したパッケージの硫黄雰囲気曝露後の着色状況を観察し、以下の基準で評価した。
○:部分的に僅かな着色があることもあるが、ほとんど着色は見られない。
△:明らかに着色が見られる。
×:著しい着色が見られる。
以上の評価結果を表1〜3にまとめる。なお、表中、(A)成分、(B)成分、(C)成分をそれぞれ「(A)」「(B)」「(C)」と記載し、本発明の(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂の代りに添加した他のエポキシ化合物を「(D)成分」とし、「(D)」と記載した。
Figure 2013124324
Figure 2013124324
Figure 2013124324
表1〜3より次のことが分かる。
硬化性ポリオルガノシロキサン組成物に所定量の(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂を配合した実施例1〜5では、硬化度、タック性、透明性を損なうことなく、若しくは、やや低下するものの、明らかに銀の着色が防止されている。
これに対して、(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂を配合していない比較例1,4や(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂の配合量が少ない比較例5〜6では、銀の着色の問題があり、(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂の配合量が多過ぎる比較例2,3では、硬化度、タック性、透明性が悪い。
(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂とは異なる他のエポキシ化合物を用いた比較例7〜8では、銀の着色を防止し得ない。
本発明の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物、およびポリオルガノシロキサン硬化物の用途は特に制限されないが、半導体分野、特に半導体発光装置分野において、封止材、パッケージ材料、接着剤などに好適に用いることができる。よって、この半導体発光装置を用いる分野、即ち照明装置、画像表示装置、薄型テレビなどの液晶バックライト用光源などの広範な分野において好適に使用することができる。
1A,1B 発光装置(半導体発光装置)
2 発光素子
3A 光学部材(半導体発光装置用部材)
15 導電ワイヤ
16 絶縁基板
17 プリント配線
18 枠材
19 封止部
21 発光部
33 光学部材(半導体発光装置用部材)

Claims (8)

  1. (A)硬化性縮合型シリコーン樹脂、(B)硬化触媒、および(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂を含有する組成物であって、
    前記(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂は、シラノール基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物を含有し、
    該組成物中の全固形分に対する前記(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂が占める割合(重量比)が、0.01/100以上、0.8/100以下であることを特徴とする、硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
  2. 前記(B)硬化触媒の含有量が、前記(A)硬化性縮合型シリコーン樹脂に対して0.001〜5重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
  3. 前記(B)硬化触媒が、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ビスマス(Bi)、ハフニウム(Hf)、イットリウム(Y)、アルミニウム(Al)、ホウ素(B)およびガリウム(Ga)からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属の、有機錯体および/又は有機酸塩であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
  4. 前記(C)ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂に含まれる遊離塩素量が、10重量ppm以下であることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
  5. 前記(A)硬化性縮合型ポリオルガノシロキサンが、芳香族基を有さないポリオルガノシロキサンであることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の硬化性ポリオルガノシロキサン組成物を硬化させて得られたものであることを特徴とする、ポリオルガノシロキサン硬化物。
  7. 請求項6に記載のポリオルガノシロキサン硬化物を含むことを特徴とする、光学部材。
  8. 請求項7に記載の光学部材を備えることを特徴とする、半導体発光装置。
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