JP2015115494A - 半導体発光装置 - Google Patents

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康夫 下村
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憲章 寺田
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Abstract

【課題】LEDを用いた発光装置において、高輝度青色蛍光体をシリコーン樹脂系の封止剤で封止して半導体発光装置とした時に、高い発光強度を安定して長期間保つことができる半導体発光装置の提供。【解決手段】近紫外波長域の光を発する半導体発光素子とEuを付活剤とするハロリン酸塩系青色蛍光体とが、シラノール基を複数個有するオルガノポリシロキサンを主成分とし、球状シリコーン樹脂粒子、フュームドシリカ、及び硬化触媒等を含有するシリコーン樹脂組成物の硬化物によって封止されてなる半導体発光装置。【選択図】図1

Description

本発明は、発光輝度の高いハロリン酸塩蛍光体、特に、青色(青緑色)蛍光体を特定のシリコーン樹脂組成物を用いて封止してなる半導体発光装置に関する。
発光ダイオード(light emitting diode:以下「LED」と略記することがある。)やレーザーダイオード(laser diode:以下「LD」と略記することがある。また個別に記載する場合を除き、「LED」との表記で、上記LEDとLDをまとめて示すこととする。)の発光色を蛍光体で色変換させた発光装置が数多く提案されており、これらの発光装置は、一般の照明装置としての用途に加えて、液晶表示装置等におけるバックライトの光源としても広く用いられている。
この蛍光体として、例えば2価のユーロピウムイオン(Eu2+)で付活されたハロリン酸塩蛍光体が、蛍光灯用蛍光体の青〜青緑色発光成分として用いられており、特開2004−253747号公報(特許文献1)において、LEDからの350〜415nm領域の光の照射を受けて青色光を発光する蛍光体として(Sr,Ba,Ca)5(PO43
l:Eu2+が挙げられている。
更に、国際公開第2009/141982号パンフレット(特許文献2)には、LEDからの330〜410nm領域の光の照射を受けて青色光を発光する蛍光体として、前記ハロリン酸塩蛍光体である(Sr1-x-y-zBaxCayEuz5(PO43Clが挙げられ
ており、そのx及びyの値を所定の範囲内で小さくすることで、青色蛍光体からの光のスペクトル幅を狭くでき、バックライト用途に適合することが記載されている。
このようなLEDや蛍光体を発光装置として使用するためには、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の封止剤を用いて封止することが一般的であり、この場合、蛍光体はこれらの封止剤中に分散した状態で用いられている。特に、シリコーン樹脂は耐熱性、耐紫外線性に優れており、その半導体発光装置への適用が検討されている。(例えば、特開2012−21131号公報(特許文献3)など)
特開2004−253747号公報 国際公開第2009/141982号 特開2012−21131号公報
LED用の青色蛍光体が改良され、発光強度の高いものが次々と提案されている。このような青色蛍光体が発する光は、波長が短くエネルギーが高いため、封止剤を劣化させて半導体発光装置の寿命が短くなるという問題があった。
本発明の目的は、LEDを用いた発光装置において、高輝度青色蛍光体を用い、これをシリコーン樹脂系の封止剤で封止して半導体発光装置とした時に、高い発光強度を安定して長期間保つことができる、蛍光体とシリコーン樹脂系の封止剤との組み合わせに基づく半導体発光装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、LEDから発せられた光を特定の化学組成を有する青色蛍光体を用いて色変換し、これらを特定のシリコーン樹脂組成物によって封止した半導体発光装置により、高い発光強度を長期間安定して維持することができることを見出して本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は下記[1]〜[11]に存する。
[1] 近紫外波長域の光を発する半導体発光素子と下記式(1)の化学組成を有する青色蛍光体とが、シリコーン樹脂組成物の硬化物によって封止されてなる半導体発光装置であって、前記シリコーン樹脂組成物が、下記の成分を含有するものであることを特徴とする半導体発光装置。
(青色蛍光体)
(Sr,Ca)BaEu(POCl (1)
上記式(1)中、cは2.7以上、3.3以下、dは0.9以上、1.1以下、xは0.3以上2.0以下であり、またa及びbは、a+b=5−xで、0.01≦b/(a+b)≦0.4の関係を満たす正の数である。
(シリコーン樹脂組成物)
(A)架橋反応可能な官能基を一分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン:
100重量部
(B)球状シリコーン樹脂粒子:50〜100重量部
(C)フュームドシリカ:0.1〜30重量部
(D)硬化触媒:1〜10000重量ppm
[2] 前記シリコーン樹脂組成物において、(A)成分の架橋反応可能な官能基がシラノール基である上記1に記載の半導体発光装置。
[3] 前記シリコーン樹脂組成物が、更に(E)エポキシ基含有シランカップリング剤を、(A)成分100重量部あたり、0.01〜5重量部含有する上記1又は2に記載の半導体発光装置。
[4] 前記シリコーン樹脂組成物が、更に(F)MQレジン(M単位:RSiO1/2及びQ単位:SiO4/2からなり、かつ樹脂中に0.01〜10重量%のシラノール基及び/又はアルコキシ基を有するシリコーン系樹脂)を、(A)成分100重量部あたり、1〜10重量部含有する上記1〜3のいずれかに記載の半導体発光装置。
[5] 前記シリコーン樹脂組成物が、更に(G)末端がカルビノール変性されたシリコーンオイルを、(A)成分100重量部あたり、3〜30重量部含有する上記1〜4のいずれかに記載の半導体発光装置。
[6] 前記シリコーン樹脂組成物において、(D)硬化触媒がスズ(Sn)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ガリウム(Ga)、及びインジウム(In)からなる群から選ばれる少なくとも1種類の金属を含む化合物である上記1〜5のいずれかに記載の半導体発光装置。
[7] 前記シリコーン樹脂組成物において、(F)MQレジンが、M単位/Q単位の比が0.4〜1.2モル/モルであり、分子量が2000〜20000で、シラノール基とアルコキシ基の樹脂中の合計含有量が0.01〜10重量%のシリコーン系樹脂である上記4〜6のいずれかに記載の半導体発光装置。
[8] 前記シリコーン樹脂組成物において、(G)末端がカルビノール変性されたシリコーンオイルが一分子中に少なくとも1個のカルビノール基を有し、分子量400以上15000以下、水酸基価が10〜120mgKOH/gである上記5〜7のいずれかに記載の半導体発光装置。
[9] 前記シリコーン樹脂組成物中の、シラノール基とカルビノール基との比率がシラノール基/カルビノール基=0.5〜50モル/モルの範囲にある上記5〜8のいずれかに記載の半導体発光装置。
[10] 1〜9のいずれか1項に記載の半導体発光装置を備えてなる照明。
[11] 1〜9のいずれか1項に記載の半導体発光装置を備えてなる画像表示装置。
本発明の半導体発光装置は、劣化が少なく、高い発光強度を安定して長期間維持できるので、この半導体発光装置を使用することで、照明装置や画像表示装置の性能を格段に向上できると期待できる。
本発明の実施形態の一例(蛍光体が封止材中に分散されている形式)を示す概略断面図である。 本発明の実施形態の別の一例(蛍光体が半導体発光素子と離れて存在する形式)を示す概略断面図である。 点灯試験前後の半導体発光装置の発光強度スペクトル(実施例)を示すグラフである。 点灯試験前後の半導体発光装置の発光強度スペクトル(比較例)を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を、「半導体発光素子」、「青色蛍光体」、「シリコーン樹脂組成物」及び「半導体発光装置」の順に、詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
1.半導体発光素子(LED)
本発明の半導体発光装置に用いられる半導体発光素子としては、近紫外波長域の光、即ち波長350〜430nmの範囲の光を放出可能な発光ダイオード(LED)又は
レーザダイオード(LD)であり、中でも、GaN、AlGaN、GaInN、AlGaInNなどの、いわゆるGaN系半導体を使用して発光構造を構成したGaN系のLEDやLDが好ましく用いられる。
GaN系LEDにおいては、Inを含むGaN系半導体からなる発光部を有するもの、特にInGaN層を含む量子井戸構造を発光部に有するものが、発光強度が強いのでより好ましい。
GaN系LEDの発光ピーク波長の下限は、400nm以上が好ましく、より好ましくは405nm以上、更に好ましくは407nm以上である。またその上限は、425nm以下が好ましく、更に好ましくは420nm以下、より好ましくは415nm以下である。この発光ピーク波長が400nm未満であるとGaN系LEDの発光効率が低くなる傾向があり、425nmを超えると後述する青色蛍光体の励起効率が低下する傾向となる。
また、GaN系半導体以外では、ZnO系半導体で発光構造を構成したLEDやLDも好ましい。
2.青色蛍光体
本発明の半導体発光装置に用いられる青色蛍光体としては、下記一般式(1)の化学組成を有するハロリン酸塩蛍光体を使用する。
(Sr,Ca)BaEu(POCl (1)
上記式(1)中、cは2.7以上、3.3以下、dは0.9以上、1.1以下、xは0.3以上2.0以下であり、またa及びbは、a+b=5−xで、0.01≦b/(a+b)≦0.4の関係を満たす正の数である。
なお、この蛍光体は、本発明の効果を損なわない限り、上記の元素以外の元素を含有していてもよい。
この青色蛍光体において、b/(a+b)の値が0.01以上であると、発光スペクトルにおける発光ピークがブロード化し、特に0.12、中でも、0.16以上でその半値幅が大きくなる。この発光ピークのブロード化は、主として発光ピーク波長より長波長側で生じるため、著しい輝度増加を伴うものとなる。この発光ピークのブロード化はb/(a+b)の値が0.4付近で、通常0.34前後で飽和する傾向となる。
b/(a+b)の値が0.01未満になると、特に490nm付近の波長領域における青色蛍光体(I)の発光強度が不十分となりやすい。一方、この値が0.4付近、特に0.34前後から発光ピークのブロード化が飽和する傾向となるので、その上限として0.4、好ましくは0.34程度とすることが、発光強度のバランス上好ましいと考えられる。
このような蛍光体は、例えば、特開2012−178538号公報に記載されているような方法で製造でき、ここに記載された蛍光体が本発明においても好ましく使用できる。また、例えば三菱化学(株)製「VB−202A」、「VB202−B」等として、市販されているものを入手して使用することも可能である。
3.シリコーン樹脂組成物
(1)組成
本発明の半導体発光装置に用いられるシリコーン樹脂組成物は、以下の組成を有するものである。
(A)架橋反応可能な官能基を一分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン:
100重量部
(B)球状シリコーン樹脂粒子:50〜100重量部
(C)フュームドシリカ:0.1〜30重量部
(D)硬化触媒:1〜10000重量ppm
また、本発明の好ましい態様においては、
上記(A)成分の架橋反応可能な官能基がシラノール基であること、及び、
上記(A)〜(D)の必須成分に加えて、(A)成分100重量部あたり、以下の(E)〜(G)成分を、それぞれ任意の組み合わせで、以下の量比となるように含有していること、が好ましい。
(E)エポキシ基含有シランカップリング剤:0.01〜5重量部
(F)MQレジン(M単位:RSiO1/2及びQ単位:SiO4/2からなり、かつ樹脂中に0.01〜5重量%のシラノール基及び/又はアルコキシ基を有するシリコーン系樹脂):1〜10重量部
(G)末端がカルビノール変性されたシリコーンオイル:3〜30重量部
このとき、(G)末端がカルビノール変性されたシリコーンオイルを用いるに際して、本発明の硬化性オルガノポリシロキサン樹脂組成物中の、シラノール基とカルビノール基との比率をシラノール基/カルビノール基=0.5〜50モル/モルの範囲とすることが好ましい。
なお、各成分の混合順序や混合方法等の条件は、得られる組成物の特性を損なわない限り、特に制限はされない。
(2)組成物の構成成分
以下、本発明において用いるシリコーン樹脂組成物の必須成分及び好ましい成分について、個別に説明する。
(A)架橋反応可能な官能基を一分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン
本発明のシリコーン樹脂組成物は、一分子中に架橋反応可能な官能基を2個以上有するオルガノポリシロキサンを主成分とするものである。
この架橋反応可能な官能基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、ビニル基、ヒドロシリル基、及びシラノール基等が挙げられ、中でもシラノール基が、架橋の容易さと迅速さ、及び得られる架橋構造が熱や光に対し安定である点で好ましい。
以下、(A)成分の具体例として、シラノール基を2個以上有するオルガノポリシロキサンを用いて説明を行うが、上記で例示したビニル基やアルコキシ基等においても同様である。
(A)成分において、シラノール基を有する官能基を2個以上有することにより、縮合反応による硬化が迅速に進行し、得られる硬化物の耐久性や寸法安定性などが良好なものとなる。また、シラノール基を3個以上有していると、得られる硬化物の機械的強度が更に改善されるので好ましい。このような架橋反応可能な官能基を一分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサンは、好ましくは下記式(2)で表される化合物を含有する。分子構造は直鎖状、分岐状、3次元網目状などいずれでもよい。
(R13SiO3/2(R1415SiO2/2
(R161718SiO1/2・・・(2)
(式(2)中、R13〜R18は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、水酸基、アルコキシ基およびアリール基から選ばれる基を示す。p、q、およびrは、0以上の数を示し、p+q+r=1である。また、一分子中の少なくとも2個のR13〜R18は水酸基である。)
なお縮合反応が迅速に進行し、また硬化物の物性の点からpは0<pであることが好ましい。
また、耐光性や紫外透明性が重視される用途の場合、一般式(2)で表される化合物におけるR13〜R18のうち、少なくとも80モル%以上、好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは99モル%以上がメチル基であることが好ましい。一方、発光素子からの光取り出し効率が重視される用途の場合、前記R13〜R18のうち、50モル%以上がフェニル基であることが好ましい。
一般式(2)のR13〜R18において、アルキル基、アルケニル基およびアリール基は、ハロゲン原子によって更に置換されていてもよく、好ましいアルキル基、アルケニル基およびアリール基は、後述するR1〜R3およびR5〜R8におけるものと同様である。このような置換基の中で好ましいものとしては、例えばフェニル基、メチル基が挙げられる。
このシラノール基を有するオルガノポリシロキサンにおいては、長期保管時や硬化時の粘度上昇を適度に抑制する観点から、分子中のシラノール基の量が過度に多くならないようにすることが好ましい。例えば、一般式(2)のR13〜R18におけるシラノール基の数はR13〜R18の置換基の全数に対して、通常20%以下、好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下であり、通常0.01%以上、好ましくは0.05%以上、更に好ましくは、0.1%以上である。シラノール基の数(含有量)が多すぎると保存中の粘度安定性が低くなったり、保管中に水滴(縮合水)が発生したりする場合がある。なお、シラノール基の量が少なすぎると反応の進行が遅くなるか、不十分となる場合がある。
このような一般式(2)で表されるシラノール基含有オルガノポリシロキサンの具体例としては、例えば、分岐又は非分岐のシラノール末端ポリジメチルロキサン(Silanol terminated polydimethylsiloxanes)などが挙げられる。
こうしたシラノール性水酸基を含有するオルガノポリシロキサンは加水分解性基を有するシラン・オルガノポリシロキサンを縮重合させることにより合成することができ、また、例えば、Momentive Performance Materials社製シラ
ノール末端ポリジメチルシロキサン(XC96−723、XF3905、YF3057、YF3800、YF3802、YF3807、YF3897等)のような市販品を用いることもできる。
なお、本発明においてシラノール基含有オルガノポリシロキサンとして、上記非分岐のシラノール末端ポリジメチルシロキサンを用いる場合には、これに加えて、架橋性ケイ素含有オルガノシラン及び/又は分岐オルガノポリシロキサン化合物を含有していることが、架橋反応性の点から好ましい。
さらに前記シラノール基含有オルガノポリシロキサンは、シラノール末端ポリジメチルシロキサンと、前記架橋性ケイ素含有オルガノシラン及び/又は分岐オルガノポリシロキサンとを反応させたシラノール基含有分岐オルガノポリシロキサンであってもよい。
本発明に用いるシラノール基含有オルガノポリシロキサンのポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常160以上、好ましくは400以上、さらに好ましくは500以上であり、また、通常70000以下、好ましくは50000以下、さらに好ましくは30000以下である。
上記範囲内において、重量平均分子量が比較的高いシラノール基含有オルガノポリシロキサンを用いると、このオルガノポリシロキサンが硬化時も揮発しにくく、縮合反応性の末端基含有量が相対的に少なくなり、硬化時の重量歩留まりが高く、得られる硬化物が収縮しにくくなって内部応力を小さくできる。
また上記範囲内において、重量平均分子量が比較的低い500以上、30000以下のシラノール基含有オルガノポリシロキサンを用いると、粘度が低いため後述の(B)球状シリコーン樹脂粒子や(C)フュームドシリカ、蛍光体などの固体成分を添加した時の混和性が良好になる。また、潜在的な水分であるシラノール基の相対的含有量が高くなり、系内にアルコキシ基等の加水分解性基が共存する際に加水分解に必要な水を供給できるので、硬化反応を効率的に進行させることができる。
なお、このシラノール基含有オルガノポリシロキサンは1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
(B)球状シリコーン樹脂粒子
本発明のシリコーン樹脂組成物においては、(B)球状シリコーン樹脂粒子を、上記(A)成分であるオルガノポリシロキサン100重量部あたり、50〜100重量部を使用する。使用量の下限値は、好ましくは55重量部、更に好ましくは60重量部であり、また、使用量の上限値は、好ましくは80重量部、更に好ましくは75重量部である。
この球状シリコーン樹脂粒子の粒子径は1〜30μmであることが好ましい。粒子径が1μmよりも大きいことで、上記シリコーン樹脂組成物としたときの粘度が低く、取扱いやすくなり生産性が向上する他、粒子による光散乱が強くなり過ぎず、得られる発光装置の輝度が低下し難い。一方、粒子径が30μm以下であることで、シリコーン樹脂組成物の取扱い時に、ディスペンサーのノズルを閉塞させる可能性を低減でき、また、蛍光体層中で球状シリコーン樹脂粒子を透過する光の割合を少なくでき、かつ球状シリコーン樹脂粒子が相互に接触することによって光が蛍光体と接触しない光路、いわゆる「光の素抜け」が起こり難くなって、蛍光体の利用効率を高くすることができる。
また球状シリコーン樹脂粒子を構成するシリコーン樹脂の構成単位は、その95%以上がT単位であると、得られる硬化物の機械的強度が高くなるので好ましい。
上記のような球状シリコーン樹脂粒子は、屈折率がポリジメチルシロキサンに近いので、ポリジメチルシロキサンを基本骨格に含むシリコーン樹脂系の封止剤中に分散したときの光の拡散の程度があまり大きくならない。即ち、シリコーン樹脂系の封止剤を用いた場合、その光透過性をあまり損うことがない。
本願のオルガノポリシロキサン組成物およびその硬化物において、(B)球状シリコーン樹脂粒子と前記封止材成分との屈折率差は通常0.05未満で、好ましくは0.03以内、より好ましくは0.02以内である。このような範囲とすることにより本願硬化物が有するような適度な光拡散作用を実現することができる。
例えば、酸化チタン微粒子のようなシリコーン樹脂系の封止剤との屈折率差が大きいものは、少量でも大きな光拡散効果を発揮する一方で、その封止剤中の分散状態の僅かな変化が、蛍光体の光変換効率を大きく変動させてしまう恐れがある。これに対し、本発明に用いる(B)球状シリコーン樹脂粒子はポリジメチルシロキサンを基本骨格に含むシリコーンとの屈折率差が小さいので、封止剤中での分散状態の変動が蛍光体の効率に及ぼす影響は小さくなる。
即ち、球状シリコーン樹脂粒子の種類を選択するに際しては、マトリックスである封止剤部分との屈折率の差を考慮して、その差があまり大きくならないようにその組成を選ぶことが、光の拡散・取り出し効率を高くする上で好ましいと言える。
このような球状シリコーン樹脂粒子は、メチルシルセスキオキサン構造を有するものであり、市販品では、信越化学工業(株)のシリコーンレジンパウダー(KMP−590・701・702/X−52−854/X52−1621)、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン(同)のシリコーン樹脂粒子TSR9000、及び同社のトスパール(登録商標)TOSPEARL120・130・145・2000B・1100・3120、XC99−A8808などが挙げられる。
なお、「球状」とは真球状の粒子のみを言うのではなく、楕円球状の粒子を始めとする略球状の粒子や球状粒子が複数個接合した形状の複合球状粒子も含まれる。
本願のオルガノポリシロキサン硬化物の表面には、前記球状シリコーン樹脂粒子に由来する多数の凸部が存在し、これが封止材中から外部空気層への光取り出しに寄与する。通常、球状シリコーン樹脂粒子の比重はシリコーン封止材より大きいので、球状シリコーン樹脂粒子とシリコーン封止材との混合物を硬化すると、硬化中に球状シリコーン樹脂粒子が沈降し、硬化物表面は平坦となりやすいが、後述の(C)ヒュームドシリカその他の添加成分と組み合わせることで、本願発明の組成物では、硬化反応時にも球状シリコーン樹脂粒子が安定に分散し、硬化物表面に球状シリコーン樹脂粒子由来の凸部が形成されやすくなる。
(C)フュームドシリカ
本発明のシリコーン樹脂組成物においては、(C)フュームドシリカを、上記(A)成分である架橋性オルガノポリシロキサン100重量部あたり、0.1〜30重量部使用する。より好ましい使用量は、0.5〜25重量部、更に好ましくは1〜20重量部である。
このフュームドシリカとは、気相法で合成された疎水性シリカ微粒子であり、例えば日本アエロジル株式会社製「アエロジル」R972、R972V、R972CF、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812、R812S、株式会社トクヤマ製「レオロシール」MT−10、MT−10C、DM−10、DM−10C、DM−30、DM−30S、KS−20SC、HM−20L、HM−30S、PM−20、PM−20L等の商品名で市販されている。
中でも表面がヘキサメチルジシラザンやジメチルシリコーンオイルで処理されたものがオルガノポリシロキサン類への分散性に優れているため分散液の透明性が高く、かつ適度なチキソトロピー性を発現できるので好ましい。
このフュームドシリカの一次粒子径はメジアン径として好ましくは5nm以上、50nm以下、より好ましくは10nm以上、20nm以下である。一次粒子径が5nmより大
きいことで、凝集しにくく、また分散に要するエネルギーも少なくできる上、得られるシリコーン樹脂組成物の粘度も低くなりやすい。また一次粒子径が20nm以下とすると、オルガノポリシロキサン中への分散性は低下するが、粒子径が小さいために分散液が白濁しにくく、また十分な増粘効果を得やすくなる。 なお、フュームドシリカ粒子は常態では凝集している場合があるが、本発明に用いる際には、十分解砕して100μmを超えるような粗大な粒子を含まないようにすることが重要である。このような粗大粒子が含まれると、チキソ性の発現が不安定となったり、粗大粒子が光を後方に散乱して発光装置の輝度が低下したりすることがある。
本発明のシリコーン樹脂組成物に上記範囲の量のフュームドシリカを加えることにより、球状シリコーン樹脂粒子の沈降を抑制するとともに、得られる硬化物の表面に球状シリコーン樹脂粒子に由来する微小な凸部を安定して形成できるようなり、かつ硬化物表面にしわ、波打ち等を起こさずに、良好なレベリングが得られる。同時に発光素子近傍に球状シリコーン樹脂粒子が沈降・堆積することによる光の遮蔽も抑えられて、球状シリコーン樹脂粒子粒子が系内で均一な分散状態を保つことができるので、高い光取り出し効率を安定的に達成することができる。
(D)硬化触媒
本発明のシリコーン樹脂組成物においては、(D)硬化触媒を、上記(A)成分である架橋性オルガノポリシロキサン100重量部あたり、1〜10000重量ppm使用する。具体的には、縮合硬化型触媒の場合は0.01〜1重量部(100〜10000重量ppm)、ヒドロシリル化硬化型触媒の場合は白金換算で1〜100重量ppmをそれぞれ使用することが好ましい。
硬化触媒が上記範囲を超えて多くなると、本発明のシリコーン樹脂組成物の保存安定性が悪化したり、封止後の硬化物が白濁したり紫外透明性が低下する場合がある。一方上記範囲未満では、硬化反応が十分進行しなかったり、反応速度が著しく低下したりすることがある。
本発明において使用できる縮合硬化型触媒としては、金属化合物、特に有機金属化合物、金属と有機酸の塩、ルイス酸・ルイス塩基等が挙げられる。
金属元素としては、スズ(Sn)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ガリウム(Ga)、及びインジウム(In)からなる群から選ばれる少なくとも1種類を用いることが反応活性が高いので好ましい。
特に、半導体発光装置用封止剤として用いるためには、電極腐食や光吸収が少なく、適度な触媒活性を有し、オルガノポリシロキサン鎖の切断による劣化が起こりにくいZrやHf、Ga、Inが特に好ましい。
ジルコニウム(Zr)を含有する有機金属化合物触媒としては、具体的には、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシジアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムアシレート、ジルコニウムトリブトキシステアレート、ジルコニウムオクトエート、ジルコニル(2−エチルヘキサノエート)、ジルコニウム(2−エチルヘキソエート)などが挙げられる。
なお、ジルコニウムを含有する有機金属化合物触媒として、上記の化合物の他に、例えば特開2010−163602号公報に記載されているような各種ジルコニウム触媒を用いることができる。
また、本発明に用いる有機金属化合物触媒としては、触媒そのものが適度な安定性及び
触媒反応性を持つことが重要であり、触媒が大気中の水分等によって加水分解されにくい性質を持つことが好ましい。
有機金属化合物触媒にこのような特性を付与できる配位子としてはステアリン酸やナフテン酸、オクチル酸のようなモノカルボン酸、アセチルアセトンのようなジケトンなどが挙げられ、ジルコニウムの4つの原子価のうちの少なくとも1つがこれらと結合した塩となっていることが好ましい。また、ジルコニウム触媒はジルコニル構造(Zr=O2+)をとっていてもよい。
なお、上記説明はジルコニウム触媒を具体例としたものであるが、他の有機金属化合物触媒についても同様なことが言える。
例えば、ハフニウム(Hf)を含有する有機金属化合物触媒は、前記ジルコニウムと同様の形態が挙げられ、またカルボン酸ハフニル等のハフニル構造(Hf=O2+)をとっていてもよいことも同様である。
チタン(Ti)を含有する有機金属化合物触媒としては、チタニウムテトラi−プロポキシド、チタニウムテトラn−ブトキシド、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、チタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテートなどが挙げられる。
亜鉛(Zn)を含有する有機金属化合物触媒としては、亜鉛トリアセチルアセトネート、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、ビス(アセチルアセトナト)亜鉛(II)(一水和物)、などが挙げられる。
スズ(Sn)を含有する有機金属化合物触媒としては、テトラブチルスズ、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキサイド、テトラオクチルスズ、ジオクチルスズジクロライド、ジオクチルスズオキサイド、テトラメチルスズ、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ、ビス(ネオデカノエート)スズ、ジ−n−ブチルビス(エチルヘキシルマレート)スズ、ジ−n−ブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)スズ、ジ−n−ブチルブトキシクロロスズ、ジ−n−ブチルジアセトキシスズ、ジ−n−ブチルジラウリル酸スズ、ジメチルジネオデカノエートスズなどが挙げられる。
ガリウムを含有する触媒としては、例えばガリウムトリアセチルアセトネート、ガリウムトリエトキシド、ジエチルエトキシガリウム、オクチル酸ガリウム、ラウリン酸ガリウムなどを挙げることができる。
インジウム(In)を含有する触媒としては、例えばトリメトキシインジウム、トリエトキシインジウム、トリ−i−プロポキシインジウム(インジウムトリイソプロポキシド)、トリ−n−プロポキシインジウム、トリ−n−ブトキシインジウム、トリ−t−ブトキシインジウム、トリス−1−メトキシ−2−メチル−2−プロポキシインジウム等のアルコキシド類、酢酸インジウム、シュウ酸インジウム、2−エチルヘキサン酸インジウム、n−オクチル酸インジウム、ナフテン酸インジウム等の脂肪酸塩、及び配位子がβ−ジケトン型化合物のキレート錯体であるインジウムトリアセチルアセトナートなどが例示される。このような錯体触媒として一分子中に互いに異なる配位子を有する触媒を使用してもよい。
これらの中でも、インジウムトリアセチルアセトナート(トリス(アセチルアセトナト)インジウム(III))、2−エチルヘキサン酸インジウム、n−オクチル酸インジウム、ナフテン酸インジウムなどが、触媒活性が良好であるので好ましい。
ヒドロシリル化硬化型触媒としては白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテ
ート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒が挙げられる。中でも、入手が容易で、活性が高い白金系触媒が好ましい。
これらの硬化触媒としては、成分(A)への溶解性または分散性が良好であるものが好ましい。
またこれらの触媒は、(A)成分のオルガノポリシロキサンに溶解しやすいように、溶媒に溶解させて用いてもよい。溶媒としては、ミネラルスピリット、灯油、炭素数6〜15の炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルアセトアセテート等のエステル類、炭素数1〜5のアルコール、揮発性のシリコーンオイル等が挙げられる。これらの溶媒は、触媒活性に悪影響しない限り、任意に選択できるが、溶媒自身が化学変性しにくく(A)成分のオルガノポリシロキサンの溶解性が良好な炭化水素系の溶剤が好ましく、具体的にはミネラルスピリット、炭素数10〜15の炭化水素が好ましい。
溶媒の使用量は、(A)成分を溶解できれば、量は少ない方が好ましい。用いた溶媒は、オルガノポリシロキサンを硬化させる前及び/又は硬化反応時に、減圧及び/又は加熱などにより除去する。
また、溶媒として反応性溶媒を用いると、通常、溶媒の揮発による硬化物の体積減少の恐れが小さく、2液硬化型とした時に(A)成分と触媒液との混合比を1に近くすることができる。このような反応性溶媒としては、縮合硬化型触媒の場合、シラノール変性オルガノポリシロキサン、カルビノール変性オルガノポリシロキサン、ヒドロシリル基変性オルガノポリシロキサンなどが挙げられ、ヒドロシリル化硬化型触媒の場合、アルケニル基変性オルガノポリシロキサンが挙げられる。
前記縮合触媒は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。また反応促進剤や反応抑制剤と適宜併用してもよい。
(E)エポキシ基含有シランカップリング剤
本発明のシリコーン樹脂組成物においては、上記(A)成分である架橋性オルガノポリシロキサン100重量部あたり、(E)エポキシ基含有シランカップリング剤を0.01〜5重量部含有することが好ましい。より好ましい含有量の下限値は0.1重量部、上限値は3重量部である。
エポキシ基含有シランカップリング剤の配合割合を上記範囲内とすることで、発光素子と封止剤とを十分に接着することができ、かつ耐熱性や耐光性も良好で着色しにくい組成物が得られる。
このエポキシ基含有シランカップリング剤を用いることにより、前記シラノール基含有オルガノポリシロキサンと発光装置のパッケージ、基板材料、金属配線等との接着性を付与・改良され、硬化した封止剤が温度の変化等の環境条件によって、割れたり剥離したりすることを防止できて、発光装置の耐久性が改善される。
更に、本発明においては、エポキシ基含有シランカップリング剤は上記の接着性付与効果だけではなく球状シリコーン樹脂粒子と相互作用して、得られる発光装置の輝度を高める効果も得られる。
このようなエポキシ基含有シランカップリング剤の具体例としては、例えば信越化学工業株式会社製の、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(
商品名「KBM−303」、以下同じ)、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−402)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403)、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(KBE−402)、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(KBE−403)などが挙げられる。必要に応じ
てこれらの2量体以上のオリゴマーを使用しても良い。
(F)MQレジン
本発明に用いる(F)MQレジンとしては、「M単位:RSiO1/2及びQ単位:SiO4/2」からなり、M単位/Q単位の比が0.4〜1.2モル/モルであって、分子量が2000〜20000であるものが好ましく、かつ SiO骨格を有する球状分子表面に−O−Si−(CH基を有していて、樹脂中に0.01〜10重量%のシラノール基及び/又はアルコキシ基を有するシリコーン系樹脂であることが好ましい。
本発明においては、上記(A)成分の架橋性オルガノポリシロキサン100重量部あたり、この(F)MQレジンを1重量部以上、10重量部以下の範囲で用いることが好ましい。より好ましい使用量の下限値は2重量部、上限値は8重量部である。
(F)MQレジンを組成物中に含有することにより、硬化物/組成物に可撓性や、MQレジンの粘着性に由来する接着性のような特性を付与することができる。
また、本発明においては、上記の効果だけでなく(F)MQレジンが(B)球状シリコーン微粒子と相互作用して、得られる発光装置の輝度を高める効果がある。
このようなMQレジンの具体例としては、例えばモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、「MQレジンSR1000」などが挙げられる。
(G)末端がカルビノール変性されたシリコーンオイル
本発明においては、上記(A)成分の架橋性オルガノポリシロキサン100重量部あたり、この末端がカルビノール変性されたシリコーンオイルを3〜30重量部使用することが好ましい。
末端がカルビノール変性されたシリコーンオイルとしては、一分子中に少なくとも1個のカルビノール基を有し、分子量400以上15000以下、水酸基価が10〜120mgKOH/gのものを用いるのが好ましい。
また、その添加量としては、上記好適範囲内であって、かつ本発明の硬化性オルガノポリシロキサン樹脂組成物中のシラノール基とカルビノール基との比率がシラノール基/カルビノール基=0.5〜50モル/モルの範囲となることが好ましい。
上記の条件で、(G)末端がカルビノール変性されたシリコーンオイルを組成物中に含有させることにより、球状シリコーンの分散を安定化し、高い発光強度を安定して長期間維持できるという効果を示すことができる。また硬化物に柔軟性、耐衝撃性を付与し、脆さを改善することができる。
このような末端カルビノール変性シリコーンオイルの具体例としては、例えば以下のものを例示できる。
信越化学工業株式会社製の、側鎖型カルビノール変性シリコーンオイル(商品名「X−22−4039」、「X−22−4015」、両末端カルビノール変性シリコーンオイル(商品名「KF−6000」、「KF−6001」、「KF−6002」、「KF−6003」)、片末端変性シリコーンオイル(商品名「X−22−170BX」、「X−22−170DX」)、片末端ジオール変性シリコーンオイル(商品名、「X−22−176DX」、「X−22−176GX−A」)、あるいは、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の両末端カルビノール変性シリコーンオイル(商品名「X−22−176DX」、「X−22−176GX−A」)等。
なお、この末端カルビノール変性シリコーンオイルの配合割合が、(A)架橋性オルガノポリシロキサン100重量部あたり、3重量部未満では発光強度を維持する効果が不足することがあり、一方30重量部を超えて多く用いても、その使用量の増加に見合う効果の増大はなく、過剰のシリコーンオイルが硬化した封止剤の表面にブリードアウトしてべ
たつき等を引き起こすことがある。
上記の通り、(G)末端がカルビノール変性されたシリコーンオイルには側鎖変性型、両末端変性型、片末端変性型、1つの変性基に二つの水酸基を含む片末端ジオール型など様々な構造のものがあり、その種類、分子量、官能基の種類・含有量、分子構造を選択することにより、得られるシリコーン樹脂組成物の、塗布時のチキソ性、塗布後の形状維持性・レベリング性、硬化時における、室温〜硬化温度までの温度−粘度特性、硬化速度等を目的に応じて調整することができる。
例えばパッケージの凹部にポッティングする用法など、レベリング性を優先する場合には、一分子あたりの水酸基が少ない片末端カルビノール変性シリコーンオイルが好ましく、一方、平坦な配線基板上にディスペンサーを用いて注加しドーム状の封止を行う場合は、チキソ性付与能力が大きい側鎖型カルビノール変性シリコーンオイルを用いることが好ましい。
これらのカルビノール変性シリコーンオイルは単独で使用しても、また使用目的に応じて任意の種類/比率で併用しても構わない。
カルビノール変性シリコーンオイルは縮合硬化型及びヒドロシリル化硬化型のいずれにも用いることができるが、縮合硬化型シリコーン系に添加した場合、カルビノール変性シリコーンオイルの水酸基が(A)成分のシラノール基と硬化反応時に脱水縮合して、硬化物の骨格中に取り込まれるので、硬化物からのブリードアウトの恐れが低下するため特に好ましい。
また縮合硬化型シリコーン系においては、この(G)末端カルビノール変性シリコーンオイルを触媒の反応性溶媒として利用することで保存安定性に優れた2液型の組成物とすることができる。
なお、これらのカルビノール変性シリコーンオイルは通常ヒドロシリル化反応を経由して合成されるため、合成工程において使用される白金系触媒が残留していることが多い。その残留量が多く本願の用途において熱や光による着色の原因となるような場合には、公知の吸着材等を使用して予め白金触媒の除去を行ってもよい。
(H)その他の成分 本発明のシリコーン樹脂組成物は、粘度、硬化速度、硬化物の硬度、性状の調整や硬化物の光学的特性や作業性、機械的特性、物理化学的特性を向上させることを目的として、上記必須成分に加えて、他の添加物を含有していてもよい。
このような添加物としては、フュームドシリカ以外の無機粒子やシリコーン系架橋促進剤、安定剤、酸化防止剤、及び液状媒体等が挙げられる。
(H−1)無機粒子
無機粒子は半導体発光素子から発生する光を散乱させて蛍光体に当たる光量を増加して波長変換効率を向上させると共に、半導体発光装置から外部に放出される光の指向角を広げることができ、特に白色の無機粒子を用いることで、反射材としても機能して、半導体発光装置の光を装置外部へ効率よく放出させることができる。また、これに加えて、硬化物中の結合剤として作用することでクラックの発生や収縮を防止したり、組成物の粘度を調整したり、あるいは硬化物の屈折率を調整することによって光取り出し効率を向上したりする、等の効果もある。
このような無機粒子の好ましい粒径は、10nm前後(超微粒子状シリカ等)から、数μm(破砕シリカ、球状シリカ等)程度までのものが用いられ、使用量を含めてその目的や効果に応じて選択することができる。
無機粒子の種類としては、シリカ、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム
、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウムなどの無機酸化物粒子や窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウムなどの窒化物や炭素化合物、ダイヤモンド粒子などが例示でき、その他の粒子を含めて目的に応じて選定すればよい。
(H−2)シリコーン系架橋促進剤
シリコーン系架橋促進剤としては、例えばT単位及び/又はQ単位のケイ素を主体とし、炭素数1〜3のアルコキシ基やシラノールを有するオルガノシランや分子量1000以下のオルガノポリシロキサンオリゴマーのようなものが挙げられる。これらの化合物は縮合反応活性が高く、(A)成分としてジオルガノシロキサン鎖を有する縮合硬化型オルガノポリシロキサンを使用する際に(A)成分の0.1〜1重量%程度の量を使用することで、前記オルガノポリシロキサン分子鎖末端にT(又はQ)単位ケイ素結合の反応性に富むアルコキシ基又は水酸基を導入できて、硬化反応速度を向上することができる。
(H−3)安定剤
硬化後の封止剤はLEDからの強力な発熱や発光に曝されるため、その劣化防止のために熱安定剤や光安定剤等として酸化防止剤を使用することが好ましい。
この安定剤としては、シリコーン樹脂の熱/光安定剤として通常用いられているものを特に制限なく用いることができ、その種類や量は、目的とする効果とその程度に応じて調整すればよい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、及びリン系酸化防止剤から選んで、その1種又は2種以上を用いることが好ましい。なお、酸化防止剤としては、イオウを含まないものを用いることで、耐光試験における着色の原因を少なくすることができるので好ましい。
(H−3−1)ヒンダードフェノール系酸化防止剤
ヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いる場合、その種類・使用量は特に限定されず、従来公知のものから目的に応じて選択して使用することができる。
具体的には、大内新興化学工業株式会社製の、ノクラック200、ノクラックM−17、ノクラックSP、ノクラックSP−N、ノクラックNS−5、ノクラックNS−6、ノクラックNS−30、ノクラックNS−7、及びノクラックDAH(いずれも商品名、以下同じ)、株式会社ADEKA製の、アデカスタブAO−20、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−70、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−330、BASFジャパン株式会社製の、IRGANOX−245、IRGANOX−259、IRGANOX−1010、IRGANOX−1024、IRGANOX−1076、IRGANOX−1098、IRGANOX−1330、IRGANOX−1425WL、住友化学株式会社製の、SumilizerGM、SumilizerGA−80等が例示できるがこれらに限定されるものではない。
これらのヒンダードフェノール系酸化防止剤は単独で使用してもよく、その2種類以上を任意の比率・組み合わせで併用しても構わない。
なお、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の中では、熱や光に対する着色抑制効果に優れる点で、両側ヒンダードフェノール構造よりも、片側ヒンダードフェノール構造のヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、また加熱時の揮発減量を少なくできる点で、その分子量が600以上のものがより好ましい。なお分子量はGC−MS又はLC−MSを用いて測定することができる。
(H−3−2)ヒンダードアミン系酸化防止剤
ヒンダードアミン系酸化防止剤の種類・使用量についても、特に限定されず、従来公知
のものから目的に応じて選択して用いることができる。
具体例としては、BASFジャパン株式会社製の、キマソーブ(CHIMASSORB)119、キマソーブ2020、キマソーブ944、チヌビン(TINUVIN)622、チヌビンB75、チヌビン783、チヌビン111、チヌビン791、チヌビン C353、チヌビン494、チヌビン492、チヌビン123、チヌビン144、チヌビン152、チヌビン292、チヌビン5100、チヌビン765、チヌビン770、チヌビンXT850、チヌビンXT855、チヌビン440、チヌビンNOR371、株式会社ADEKA製の、アデカスタブ(ADEKASTAB)LA−52、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−62、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−63、アデカスタブLA−63P、アデカスタブLA−68LD、アデカスタブLA−82、アデカスタブLA−87、アデカスタブLA−501、アデカスタブLA−502XP、アデカスタブLA−503、アデカスタブLA−77、アデカスタブLX−335、アデカノール(ADEKANOL)UC−605、三共ライフテック株式会社製の、サノール(SANOL)LS770、サノールLS765、サノールLS292、サノールLS440、サノールLS744、サノールLS2626、サノールLS944、クラリアントジャパン株式会社製のホスタビン(HOSTAVIN)N20、ホスタビンN24、ホスタビンN30、ホスタビンN321、ホスタビンPR31、ホスタビン3050、ホスタビン3051、ホスタビン3052、ホスタビン3053、ホスタビン3055、ホスタビン3058、ホスタビン3063、ホスタビン3212、ホスタビンTB01、ホスタビンTB02、ナイロスタッブ(Nylostab)S−EED、株式会社エーピーアイ コーポレーション製のトミソーブ77、サンケミカル株式会社製のサイアソーブ(CYASORB)UV3346、サイアソーブUV3529、サイアソーブUV3853、住友化学株式会社製の、スミソーブ(SUMISORB)TM61等が例示できるが、これらに限定されるものではない。なお、これらのヒンダードアミン系酸化防止剤は、単独で用いても、2種以上を任意の比率・組み合わせで併用してもよい。
これらのヒンダードアミン系酸化防止剤の中でも、硬化性組成物の貯蔵安定性や得られる硬化物の耐候性が優れる点で、アデカスタブLA−63、アデカスタブLA−63P、チヌビン152、チヌビン123、サノールLS765、ホスタビンN24、ホスタビンN30、及びホスタビンN3050が好ましい。
(H−3−3)リン系酸化防止剤
リン系酸化防止剤としては、その種類に特に制限はなく任意のものが使用できるが、活性水素を含むリン酸およびリン酸エステルは組成物の貯蔵安定性、硬化物の耐熱性に影響を与える可能性があるので、リン酸およびリン酸エステルを分子内に含まない、アルキルホスファイト、アリールホスファイト、アルキルアリールホスファイト化合物などが好ましい。
具体例としては、株式会社ADEKA製の、アデカスタブ1178、アデカスタブ329K、アデカスタブ135A、アデカスタブC、アデカスタブTPP、アデカスタブ3010、アデカスタブ2112、アデカスタブ522A、アデカスタブ260、アデカスタブHP−10、アデカスタブ1500、アデカスタブPEP−24−G、アデカスタブPEP−36、アデカスタブPEP−4C、アデカスタPEP−8、城北化学工業株式会社製の、JPM−308、JPM−313、JPM−333E、JPP−100、JPP−613M、JPP−31、堺化学工業株式会社製のCHELEX−M、BASFジャパン株式会社製のIRGAFOS38等が例示できるがこれらに限定されるものではない。
これらのリン系酸化防止剤の中でも、加水分解に対して安定で耐熱性が良好である点で、リン原子の置換基の2以上がアリールオキシ基であることが好ましい。具体的には、アデカスタブ1178、アデカスタブ329K、アデカスタブ135A、アデカスタブC、
アデカスタブTPP、アデカスタブ2112、アデカスタブHP−10、JPM−313、JPP−100、CHELEX−M、IRGAFOS38が好ましい。
リン系酸化防止剤は単独で使用してもよく、その2種以上を任意の比率・組み合わせで併用しても構わない。
(H−3−4)安定剤の用法・用量
本発明において、酸化防止剤に代表される安定剤の使用量は、組成物の各成分、即ち(A)成分〜(G)成分の合計量を100重量部とした時に、これに対して、0.01重量部以上であることが好ましく、0.02重量部以上であることがより好ましく、0.03重量部以上であることが更に好ましい。また、その上限は5重量部以下であることが好ましく、3重量部以下であることがより好ましく、1重量部以下であることが更に好ましい。
使用量が0.01重量部未満では着色抑制等の酸化防止剤添加による効果が十分発揮されず、一方、5重量部を超えると逆に着色の原因になることがある。
本発明において使用する安定剤は、そのいずれかを単独で用いてもよく、また2種以上を任意の比率・組み合わせで併用してもよい。
特にリン系酸化防止剤を上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤及びヒンダードアミン系酸化防止剤の少なくとも1種と併用することで、熱や光に対して極めて優れた着色抑制効果を発揮することができる。この時の、ヒンダードフェノール系酸化防止剤及び/又はヒンダードアミン系酸化防止剤と、リン系酸化防止剤の使用比率は、特に制限されないが、より効果的に熱や光に対する着色抑制効果を向上させるという点から、「(ヒンダードフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系酸化防止剤の合計量)/(リン系酸化防止剤量)」の比が0.1以上、10以下であることが好ましく、0.3以上、3以下であることが更に好ましい。
(H−4)その他の添加剤
本発明に用いる上記特定のシリコーン樹脂組成物を用いて発光素子を封止する際に、粘度調整用にミネラルスピリット等の、硬化反応に悪影響がなく、かつ硬化後には封止剤から揮散するような液状媒体を用いることもでき、これによって組成物の粘度が高くなり過ぎて、封止が不十分になったり、不均一になったりすることを防ぐことができる。
(3)シリコーン樹脂組成物の硬化
本発明の半導体発光装置を製造する際に、上記シリコーン樹脂組成物を硬化させる反応と、発光素子の封止材となるその硬化物について説明する。
(3−1)硬化反応
本発明に用いる上記硬化性シリコーン樹脂組成物は、一液型の場合はそのまま、二液型の場合は両者を混合した上で、一般には加熱したり、エネルギー線を照射したりすることにより架橋反応を生起させて硬化させることができる。
硬化反応の具体的な条件としては、空気中、温度150℃〜200℃程度、時間は6時間以内で硬化するものが好ましい。より好ましい硬化時間は0.2時間以上で、0.5時間以上が更に好ましく、その上限は、より好ましいくは4時間以内で、3時間以内が更に好ましい。硬化時間を上記範囲とすることで、フィラーを含む組成物の場合に、フィラーが沈降し難く、かつハンドリングがしやすい。また所望のレベリング状態になる前に硬化してしまうことによる硬化物表面のムラが生じ難い。
なお、硬化速度を高くするためには、温度を高くする/適切な触媒を選択する/分岐の多いポリシロキサン原料を使用する/分子量の高いポリシロキサン原料を使用する/硬化時に発生する水素や水分、アルコールなど脱離成分の除去を積極的に行う、などの方法がある。
上記のような硬化条件で硬化させることで、半導体発光装置の構成要素である半導体発光素子や蛍光体の熱による劣化を防止しつつ、かつ組成物中の各種固形成分が分離・沈降することなく、均一な硬化物を得ることができる。
なお本明細書において、「硬化」とは、流動性を示す状態から流動性を示さない状態に変化することをいい、例えば、対象物を水平より45度傾けた状態で30分間静置して流動性があるかないか、によって未硬化状態、硬化状態を判断することができる。
フィラーを多量に添加した系では、チキソ性の発現により対象物を水平より45度傾けた状態で流動性が無くとも硬化していないケースがあり得るが、そのような場合には、対象物の硬度をデュロメータタイプAにて測定し、硬度測定値が少なくとも5以上であるか否かで未硬化状態、硬化状態を判断することができる。
(3−2)硬化物の性質
1)表面粗度
本発明に用いるシリコーン樹脂組成物から得られる硬化物は表面平均粗さRが0.05μm以上、1μm以下の範囲であることが好ましい。
このような表面平均粗さとすることにより、半導体発光装置からの光を取り出すための表面積が完全な平滑面(表面粗度(Rz)=0)の場合に比べて大きくなるためか、発光効率がより高いものが得られる。
上記硬化物の表面平均粗さを上記範囲とするためには、本発明のような組成物の構成成分及び組成比とすることが重要であって、これにより、硬化性組成物中における球状シリコーン樹脂粒子の沈降が抑制され安定分散するために硬化物表面に安定して多数の凸部を形成することが可能となり、表面粗度が上記好適範囲になるものと考えられる。
なお、上記のような表面平均粗さを得るためには、硬化反応時に配合成分が沈降したり分離したりしないようにすることも重要であり、そのためには、上記(3−1)のような硬化反応条件を選定することが、より効果的にこのような結果を得るための方法であると考えられる。
2)屈折率
本発明において、上記シリコーン樹脂組成物から得られる硬化物の屈折率は、通常1.55以下、好ましくは、1.43以下、より好ましくは1.429以下であり、通常1.35以上、好ましくは1.40以上である(20℃、波長589nm)。
光学部材用の発光デバイスの屈折率は通常約2.5以下であるが、本発明においては樹脂の光安定性の観点から比較的屈折率の低いものを選択することが好ましい。なお、本発明の半導体発光デバイス用部材の用途やデバイス内での適用部位により屈折率が高い封止材が必要な場合は、フェニル基の導入や高屈折率無機酸化物ナノゾルの使用等などにより、例えば屈折率を1.46〜1.57程度に高くすることも可能である。
屈折率は封止材の劣化と光取り出し効率とを考慮して調整すればよい。
なお、屈折率はアッベ屈折計等により測定することができるが、フィラーを含み不透明である場合には、固体1H−NMR、固体Si−NMR、元素分析などを組み合わせるこ
とによりオルガノポリシロキサンケイ素に直接結合している有機基の含有量と組成比(例えばフェニル基とメチル基の比)を測定することでその屈折率を推定することができる。例えばケイ素に結合している有機基がメチル基とフェニル基であるポリジオルガノシロキサンでは、ケイ素に結合した全ての有機基におけるフェニル基含有量が0モル%の時の屈折率は約1.403、50モル%の時の屈折率は約1.545であり、その間の組成における屈折率はフェニル基含有率に応じて直線関係が成り立つ。
3)透過率
上記のシリコーン樹脂組成物から得られる硬化物は多量の球状シリコーン樹脂粒子を含有しているため、通常、目視では白濁しているように見えるが、平行線透過率(垂直入射の時には直線透過率、垂直透過率と呼ばれることもある)と拡散透過率の合計である全光線透過率が、公知の透明樹脂と比較しても高いことが大きな特徴である。これはこの組成物から得られる硬化物が光の透過に際して後方散乱が非常に少ない光学的性質を有していることを示している。この性質により、本発明に用いるシリコーン樹脂組成物で封止した発光装置は従来の透明樹脂を用いて封止した発光装置と比べて高い輝度となる。
本発明において、上記硬化物は膜厚0.5〜1.0mmの範囲において、膜厚一定の単独硬化物膜の波長650nmにおける全光線透過率が、通常90%以上、好ましくは93%以上、さらに好ましくは95%以上である。全光線透過率は光検出器部分に積分球を有するヘイズメーターを用いて測定することができる。
なお、上記のシリコーン樹脂組成物から全てのフィラー成分を除いた透明組成物から得られる硬化物の可視光域の透過率(垂直透過率)は、単独硬化物膜を直接光路に置いて測定する場合、膜厚1mmとした時の400nm以上800nm以下の可視光の全波長範囲において、通常80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
同様に測定したUV〜青色領域における透過率(垂直透過率)は膜厚1mmとした時の350nm以上400nm以下の全波長範囲において、通常80%以上、好ましくは85%以上、更には90%以上である。
このような垂直透過率は紫外―可視分光光度計を用いて測定することができる。
4)耐熱性、耐光性
本発明に用いるシリコーン樹脂組成物から得られる硬化物は、耐熱性及び耐光性が良好である。例えば、耐熱性については、200℃×500時間放置の前後において、通常、目視では、着色・クラック発生等はほとんど見られない。
また、耐光性については、例えば松下電工マシンアンドビジョン株式会社製 スポット照射型紫外線硬化装置アイキュアANUP5204(200W Hg−Xeランプ)に4分岐ライトガイドファイバーユニットを取り付け、熱線カットフィルター及びUVカットフィルター(350nm以下カット)を通して、硬化物に対し30時間、UVスポット光を照射した後でも、目視では、茶色への変色やクラックの発生は見られない。
5)硬度
本発明に用いるシリコーン樹脂組成物から得られる硬化物は、上述のような各成分を選定することにより、エラストマー状を呈する部材とすることができる。このような硬化物のエラストマー性により、熱膨張係数の異なる部材を複数使用することが多い半導体発光装置等において、これらの部材の伸縮による応力を緩和することができ、半導体発光装置の使用中に剥離、クラック、断線などを起こしにくく、耐リフロー性及び耐温度サイクル性に優れる半導体デバイスを提供することができる。
この硬化物の好ましいデュロメータタイプAによる硬度(ショアA)は、通常25以上、好ましくは30以上、より好ましくは50以上であり、また、通常90以下、好ましくは80以下、より好ましくは70以下である。上記範囲の硬度とすることで、得られる光学部材が、クラックが発生しにくく、耐リフロー性及び耐温度サイクル性に優れるという利点を有することとなる。
なお、上記の硬度(ショアA)は、JIS K6253に記載の方法により、例えば古里精機製作所製のA型ゴム硬度計等を用いて測定することができる。
6)その他
本発明に用いるシリコーン樹脂組成物から得られる硬化物は、上記に加えて以下の特性
を有することが好ましい。
(a)官能基
この硬化物は、本発明の半導体発光装置用の容器(後述するカップ等。以下適宜「半導体発光装置容器」という)に用いられる材料である、ポリフタルアミドなどの樹脂、セラミック又は金属の表面に存在する、水酸基、メタロキサン結合中の酸素などと水素結合可能な官能基を有していることが好ましい。
このような容器構成材料の表面には、通常水酸基が存在するので、硬化物が水酸基と水素結合可能な官能基を有していると密着性が改良される。このような水素結合性の官能基としては、例えば、シラノール基、アルコキシ基、アミノ基、イミノ基、メタクリル基、アクリル基、チオール基、エポキシ基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホン酸基、カルビノール基等が挙げられる。中でも耐熱性の観点からシラノール基、アルコキシ基、カルビノール基が好ましい。なお、前記官能基は1種でもよく2種以上でもよい。
硬化物が水酸基に対して水素結合が可能な官能基を有しているか否かは、固体Si−NMR、固体1H−NMR、赤外線吸収スペクトル(IR)、ラマンスペクトルなどの分光
学的手法により分析することができる。
(b)触媒残留量
上記の硬化物は、通常、硬化触媒(縮合触媒)を用いて製造されるため、これらの触媒が例えば、金属元素換算で、0.001重量%〜0.3重量%程度含まれていることが多い。縮合触媒は加水分解触媒でもあり、触媒残留量が多いと、高温下等の条件によっては、硬化物の重量減少が著しくなることがあるため、その上限値としては0.1重量%程度が好ましい。硬化触媒の含有量はICP分析により測定できる。
(c)低沸点成分
本発明に用いられるシリコーン樹脂組成物から得られる硬化物は、水、溶媒および3員環から5員環の環状シロキサン等の低沸点成分を含有することがあるが、これらは硬化反応時の気泡生成、使用中のブリードアウトなどの原因となるため、その量は少ないほど好ましい。
低沸点成分の含有量は、TG−mass(熱分解MSクロマトグラフ法)により、40℃〜210℃の範囲の加熱発生ガスのクロマトグラム積分面積として測定することができる。
このような低沸点成分量を低く抑える方法としては、例えば、硬化反応を十分に行なうことや、使用する触媒の選択、予め低沸点成分を減圧除去した原材料を使用すること等が挙げられる。
4.半導体発光装置
本発明の半導体発光装置は、半導体発光素子(LED)から発せられた光を、上記の特定の青色蛍光体を使用して色変換し、かつこれらが特定のシリコーン樹脂組成物を用いて封止されている構造となっていれば、その他の点は特に限定されない。
以下その具体的な実施形態について説明する。なお、本願発明の効果を阻害しない限り、半導体発光素子の種類も特に限定されるものではなく、また本願に用いる特定の青色蛍光体以外の蛍光体を併用しても構わない。
(1)蛍光体が封止材中に分散されている形式(図1)
図1に示す半導体発光装置1Aは、LED等の発光素子2が、配線(リード)17が設けられた絶縁基板16上に半導体発光素子2が表面実装されている。この半導体発光素子2の発光層部(図示せず)のp型半導体層(図示せず)とn型半導体層(図示せず)のそ
れぞれが導電ワイヤ15を介して配線17に電気的に接続されている。なお、導電ワイヤ15は半導体発光素子から放射される光を妨げないように、断面積の小さいものを用いるのがよい。
半導体発光素子2としては、図1の下面側にn型半導体層、上面側にp型半導体層が形成されて、p型半導体層側から光出力を取り出す形となる。
絶縁基板16上には半導体発光素子2を囲む枠材18が設けられている。この枠材18と絶縁基板16とは、同じ材料を用いて一体的にパッケージとして形成されていてもよい。
枠材18の内側には半導体発光素子を封止・保護する封止部19が形成されている。この封止部19は本発明に用いる特定のシリコーン樹脂組成物を硬化させて形成したものであり、その中に本願で用いる特定の蛍光体が分散されて含有されている。
(2)蛍光体が半導体発光素子と離れて存在する形式(図2)
図2に本願発明の別の態様となる半導体発光装置1Bを例示する。(なお、以下の説明では上記図1と同じ構成要素には同じ符号(番号)を付して説明を省略する。)
図2に示す通り、この半導体発光装置には封止部19の上面にレンズ状又はシート状の光学部材33が載置されている。この光学部材33は、外界の酸素や水分から半導体発光装置1Bを遮断するとともに、ここに本願に用いる蛍光体を含有させることにより半導体発光素子2から放射された光の波長を可視光に変換する機能を有している。
この形式では蛍光体層と半導体発光素子との間が離れている構造となり、いわゆる「リモートフォスファー」の形態となる。
このような構造を採用することにより、水、酸素等の蛍光体や封止材中の樹脂を劣化させる物質の侵入を防止しつつ、蛍光体が封止材に直接接触していないことで、蛍光体の発熱や分解・劣化による不純物の溶出等によって封止部が劣化したり割れたりすることを防ぐことができる。
リモートフォスファーの蛍光体層を含む光学部材33は、例えば蛍光体粉末とバインダー樹脂に、必要に応じて有機溶剤を添加・混練してペースト化し、これをシート状に成形したり、透過性基板上に塗布して乾燥・硬化したりして製造できる。バインダー樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、あるいはポリカーボネート樹脂等の透明性が高い樹脂を用いることが好ましい。
また、光学部材33としては、ガラスをマトリックスとして蛍光体を分散したガラス封止体や、バインダー樹脂中に分散された蛍光体を板状のガラスに挟んで封止したガラス封止体を用いることもできる。
なお、蛍光体層を含む光学部材33と封止部19の間に、半導体発光素子が発する波長の光は透過し、蛍光体が発する光は反射するようなバンドパスフィルター(図示せず)を設けると、蛍光体が発した光が再度封止部に入射することを防ぐことができて、発光装置の発光効率をより高くすることができる。
またこのようなリモートフォスファー構造の発光装置としては、表面実装型、砲弾型、及びパッケージ反射面に蛍光体を塗布した反射型のような配置を採用することも可能である。
(3)本発明の発光装置の光学部材への応用
本発明の発光装置は、特定の半導体発光装置封止材用硬化性オルガノポリシロキサン組成物を用いて封止することにより、蛍光体や封止材の劣化が起きにくく、高い発光強度を安定して長期間保つことができる。 このような本発明の発光装置は、単独で又は複数個を組み合わせて、照明ランプ、液晶パネル等のバックライト、超薄型照明等の照明、画像
表示装置等が有する光学部材として使用することができる。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
1.シリコーン樹脂組成物の組成及びその製造・評価
(1)オルガノポリシロキサン((A)成分)
本発明に用いるシリコーン樹脂組成物を製造するため、原料となる(A)オルガノポリシロキサンを以下の手順で調製した。
モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製両末端シラノール基型のジメチルシリコーンオイルXC96−723を165g、信越化学工業(株)製メチルアルコキシシランオリゴマーKC−89Sを4.95g、及び、触媒として松本ファインケミカル(株)製ジルコニウムテトラアセチルアセトネート粉末を0.425gを、撹拌翼、分留管、ジムロートコンデンサとリービッヒコンデンサとを切り替え可能に取り付けた200ml五つ口フラスコ中に装入し、室温で15分間触媒粒子が溶解するまで攪拌した。その後、反応液を120℃まで昇温して、ジムロートコンデンサを用いて全還流しながら30分間攪拌した。
留出先をリービッヒコンデンサ側に切り替えて、窒素を空間速度(SV)20で液中に吹き込み、温度を120℃に保って、10時間還流下で撹拌を行い、生成メタノール及び水分、副生物の低沸ケイ素化合物を窒素に同伴させて留去して、粘度185mPa・sの反応液を得た。
なお、上記「SV」は「Space Velocity」の略称であり、単位時間・単位体積当たりの気体吹き込み体積を表すものである。例えば「SV20」は、1時間に反応液の20倍の体積の気体(本例では窒素)を吹き込むことになる。
窒素の吹き込みを停止し反応液を一旦室温まで冷却した後、ナス型フラスコに反応液を移し、ロータリーエバポレーターでオイルバス上120℃、1kPaの減圧下で微量に残留しているメタノール及び水分、低沸ケイ素化合物成分を除去し、粘度240mPa・s、無溶剤のプレA液を得た。
上記プレA液2000重量部を攪拌混合槽に仕込み、活性炭(日本エンバイロケミカルズ社製精製白鷺)133.8重量部を添加し、室温にて1時間攪拌を行なった後、No.5Aろ紙にて加圧ろ過した。得られたろ液に再度活性炭(同上)133.8重量部を添加・混合した後No.5Aろ紙でろ過し、続いて目開き0.1μmのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製ろ布にて加圧ろ過を行って、液状の(A)オルガノポリシロキサンを得た。
得られた(A)オルガノポリシロキサンの粘度は273mPa・sであり、また一分子中に2個以上の架橋反応可能な官能基であるシラノール基とメトキシ基を有していた。
(2)シリコーン樹脂組成物
上記(1)で得た(A)成分に以下の原料を加えて、下記(2−3)に示す配合にて、本発明の実施例/比較例となるシリコーン樹脂組成物を調製した。
(2−1)組成物前駆体
上記(1)で得られた(A)オルガノポリシロキサン100重量部に、チキソ剤として、トリメチルシリル基で表面処理された(C)疎水性フュームドシリカ(BET比表面積:140±25m/g、一次粒子平均径:約12nm)17重量部を加え、自転公転式ミキサーを用いて70℃で撹拌・混合しペースト状とした。得られた混合物を一旦室温まで冷却した後、硬化促進剤として3官能ケイ素のみからなり、かつケイ素に結合した有機
基がメチル基とメトキシ基であるオルガノシロキサンオリゴマー(メトキシ基含有量45wt%、重量平均分子量500)(市販品)0.2重量部を追加混合し、(A)成分及び(C)成分を含み、硬化促進剤を含有する組成物前駆体を調液した。
(2−2)その他の成分
(B)球状シリコーン樹脂粒子
(B)成分の球状シリコーン樹脂粒子としては、平均粒子径d50(メジアン径):2.0μm、屈折率1.42、真比重1.32の真球状ポリメチルシルセスキオキサン粒子を用いた。
(D)硬化触媒
(D)成分の硬化触媒としては、2−エチルヘキサン酸ジルコニル(日本化学産業(株)製)を使用した。
(E)シランカップリング剤
(E)シランカップリング剤としては、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製)を使用した。
(F)MQレジン
(F)成分のMQレジンとしては下記の方法で製造したものを使用した。
M単位(RSiO1/2)となるヘキサメチルジシロキサン(170g)とQ単位(SiO4/2)となる三菱化学株式会社製メチルシリケートMS−51(476g)とを3L四つ口フラスコに仕込んだ後、撹拌を開始し、濃硫酸3.9gを添加して50℃に昇温し、そのまま2時間反応させた。所定時間経過後、50℃に保ったままで、水129gを加え、更に3時間反応させた。その後、メトキシトリメチルシラン107gとイソプロパノール327gの混合物を500ml滴下ロートから、反応物温度が50℃を維持するようにして加えた後、1時間反応させた。
その後、イソプロパノール196gを加えた上で、濃度8モル%の水酸化カリウム水溶液を25g加えて70℃に昇温し、3時間反応させた。その後、室温まで冷却し、18%クエン酸水溶液を500g加え、更にヘキサンを614g加えて希釈・抽出して、水層を除去した。有機層へ水をそれぞれ700g加えて洗浄する工程を数回行った後、エバポレーター及び真空乾燥機で乾燥して、白色粉末状のMQレジン327gを得た。
得られたMQレジンのGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、11443であった。また、MQレジンのM単位/Q単位の比は、0.6モル/モルであった。MQレジン中にはシラノール基とアルコキシ基が合計4.1重量%含まれていた。
(G)末端カルビノール変性シリコーンオイル
(G)成分として下記の構造を有する市販末端カルビノール変性シリコーンオイルを使用した。該市販末端カルビノール変性シリコーンオイルは、分子量が4666で、水酸基価が12mgKOH/gであった。
(2−3)シリコーン樹脂組成物の製造
上記で準備した組成物前駆体、及び各原料成分を下記に示す組成(単位:重量部)で配
合し、真空撹拌機を用いて均一に混合して、実施例で使用するシリコーン樹脂組成物を製造した。
<シリコーン樹脂組成物の配合>
組成物前駆体 100 重量部
オルガノポリシロキサン(A) ( 85.3) 上記100重量部の内数
フュームドシリカ(C) ( 14.5) 〃
硬化促進剤(H) ( 0.2) 〃
(B)球状シリコーン樹脂粒子 60 重量部
(D)硬化触媒(2−エチルヘキサン酸ジルコニル) 0.18重量部
(E)シランカップリング剤(グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)
1 重量部
(F)MQレジン 5 重量部
(G)末端カルビノール変性シリコーンオイル 16.6重量部
(3)発光装置の作成と評価
(3−1)半導体発光装置(LED)の作成
図1に示すような半導体発光装置1Aを以下の手順で作成した。
本実施形態の発光装置1Aは、図1に示す通り、プリント配線17が施された絶縁基板16上に発光素子2が表面実装されている。この発光素子2は、発光層部21のp形半導体層(図示せず)及びn形半導体層(図示せず)の各々と、導電ワイヤ15、15を介してプリント配線17に電気的に接続されている。なお、導電ワイヤ15は、発光素子2から放射される光を妨げないように、断面積の小さいものが用いられている。
本実施例において、発光素子2として、404〜407nmにピーク波長を有する窒化ガリウム系のLEDチップを用いた。また、この発光素子2は、図1の下面側にn形半導体層(図示せず)、上面側にp形半導体層(図示せず)が形成されており、p形半導体層側から光出力を取り出すので、図1の上方を前方として説明する。
また、絶縁基板16上には発光素子2を囲む枠材18が固着されている。枠材18と絶縁基板16とは両者一体になったパッケージとして構成されており、枠材18の内側には発光素子2を封止・保護する封止部19を設けてある。
本願発明に相当する実施例として、封止部19として上記で調製したシリコーン樹脂組成物と青色蛍光体(SBCA:三菱化学製VB−202B)とを100/22(重量比)で混合した蛍光体ペーストを7.1mg注入した。
なおVB−202Bの前記式(1)((Sr,Ca)BaEu(POCl)における、a、b、x、c、dの値は、それぞれa=3.35、b=1、x=0.65、c=3、d=1であり、a+b=3.35+1=4.35、5−x=5−0.65=4.35となるので、「a+b=5−x」を満足しており、また「b/(a+b)=1/4.35=0.2298・・・」であるので、0.01≦b/(a+b)≦0.4の関係も満足している。
蛍光体ペーストを注入したパッケージサンプルを100℃で1時間予備加熱した後、150〜170℃で3〜4時間保持してシリコーン樹脂組成物を硬化させ、半導体発光装置1Aを作成した。
一方、本願発明に相当しない比較例としては、封止部19に注入する封止材を、上記で調製したシリコーン樹脂組成物に代えて、(B)球状シリコーン樹脂粒子、(E)シランカップリング剤、(F)MQレジン、及び(G)末端カルビノール変性シリコーンオイルを含有していない以外、上記実施例と同様の成分からなる縮合型ジメチルシリコーン樹脂系系封止材を用いて、上記例と同様にして上記1Aの構造の半導体発光装置を作成した。
(3−2)点灯試験
上記で作成した実施例、比較例それぞれに相当する半導体発光装置1Aの初期の発光強度を積分球システムで測定した(図中の実線)。このときの投入電流は定格の360mAである。
次いで、この半導体発光装置1Aを、それぞれアルミニウム製ヒートシンク(25mm×25mm×16mm厚)上に固定した上で、恒温槽内にセットした。恒温槽を120℃に昇温した後、500mAの一定電流を印加し、連続通電試験を開始した。通電開始から100時間経過した時に、通電を停止し、槽内が常温になってからヒートシンクごと半導体発光装置を取り出し、該半導体発光装置1Aを取り外して、積分球システムにて通電後の発光強度を初期の発光強度測定と同じ条件で測定した(図中の点線)。
試験前後の発光強度スペクトルを図3(実施例)、図4(比較例)に示す。
(3−3)結果の評価
表1、図3及び図4より、実施例では100時間点灯後の励起光、蛍光体発光ともピーク強度は初期とほとんど変わらないが、比較例では蛍光体からの発光強度が低下していることが判る。
即ち、本発明の特定の蛍光体と特定の封止剤との組み合わせにおいては、長期間の点灯後でも、発光強度の低下が少なく、耐久性・安定性に優れていることが判る。
本発明の近紫外波長域の光を発する半導体発光素子とEuを付活剤とするハロリン酸塩系青色蛍光体とが、シラノール基を複数個有するオルガノポリシロキサンを主成分とし、球状シリコーン樹脂粒子、フュームドシリカ、及び硬化触媒等を含有するシリコーン樹脂組成物の硬化物によって封止されてなる半導体発光装置は、高い発光強度を安定して長期間保つことができる。
1A,1B 発光装置(半導体発光装置)
2 発光素子
15 導電ワイヤ
16 絶縁基板
17 配線(リード)
18 枠材
19 封止部
33 光学部材(半導体発光装置用部材)

Claims (11)

  1. 近紫外波長域の光を発する半導体発光素子と下記式(1)の化学組成を有する青色蛍光体とが、シリコーン樹脂組成物の硬化物によって封止されてなる半導体発光装置であって、前記シリコーン樹脂組成物が、下記の成分を含有するものであることを特徴とする半導体発光装置。
    (青色蛍光体)
    (Sr,Ca)BaEu(POCl (1)
    上記式(1)中、cは2.7以上、3.3以下、dは0.9以上、1.1以下、xは0.3以上2.0以下であり、またa及びbは、a+b=5−xで、0.01≦b/(a+b)≦0.4の関係を満たす正の数である。
    (シリコーン樹脂組成物)
    (A)架橋反応可能な官能基を一分子中に2個以上有するオルガノポリシロキサン:
    100重量部
    (B)球状シリコーン樹脂粒子:50〜100重量部
    (C)フュームドシリカ:0.1〜30重量部
    (D)硬化触媒:1〜10000重量ppm
  2. 前記シリコーン樹脂組成物において、(A)成分の架橋反応可能な官能基がシラノール基である請求項1に記載の半導体発光装置。
  3. 前記シリコーン樹脂組成物が、更に(E)エポキシ基含有シランカップリング剤を、(A)成分100重量部あたり、0.01〜5重量部含有する請求項1又は2に記載の半導体発光装置。
  4. 前記シリコーン樹脂組成物が、更に(F)MQレジン(M単位:RSiO1/2及びQ単位:SiO4/2からなり、かつ樹脂中に0.01〜10重量%のシラノール基及び/又はアルコキシ基を有するシリコーン系樹脂)を、(A)成分100重量部あたり、1〜10重量部含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  5. 前記シリコーン樹脂組成物が、更に(G)末端がカルビノール変性されたシリコーンオイルを、(A)成分100重量部あたり、3〜30重量部含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  6. 前記シリコーン樹脂組成物において、(D)硬化触媒がスズ(Sn)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ガリウム(Ga)、及びインジウム(In)からなる群から選ばれる少なくとも1種類の金属を含む化合物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  7. 前記シリコーン樹脂組成物において、(F)MQレジンが、M単位/Q単位の比が0.4〜1.2モル/モルであり、分子量が2000〜20000で、シラノール基とアルコキシ基の樹脂中の合計含有量が0.01〜10重量%のシリコーン系樹脂である請求項4〜6のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  8. 前記シリコーン樹脂組成物において、(G)末端がカルビノール変性されたシリコーンオイルが一分子中に少なくとも1個のカルビノール基を有し、分子量400以上15000以下、水酸基価が10〜120mgKOH/gである請求項5〜7のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  9. 前記シリコーン樹脂組成物中の、シラノール基とカルビノール基との比率がシラノール
    基/カルビノール基=0.5〜50モル/モルの範囲にある請求項5〜8のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体発光装置を備えてなる照明。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体発光装置を備えてなる画像表示装置。
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