以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る光半導体装置用封止剤は、特定の第1のシリコーン樹脂と、特定の第2のシリコーン樹脂と、有機ケイ素化合物により表面処理されている酸化ケイ素粒子と、ヒドロシリル化反応用触媒とを含む。
上記組成の採用により、光半導体装置用封止剤における酸化ケイ素粒子の分散性を高めることができる。さらに、酸化ケイ素粒子の分散性が高くなることによって、封止剤に蛍光体が添加されたときに、又は封止剤が蛍光体を含む場合に、該蛍光体の沈降が生じ難くなる。蛍光体の沈降量が少ないほど、封止剤により封止した光半導体装置から取り出される明るさが低下し難くなる。
上記第1のシリコーン樹脂(但し、珪素原子に結合した水素原子を有するシリコーン樹脂を除く)は、アルコキシ基を有する珪素化合物を加水分解重縮合して得られ、残存アルコキシ基と、アルケニル基と、アリール基とを有する。なお、上記アルケニル基の炭素−炭素二重結合における炭素原子が、珪素原子に結合していてもよく、上記アルケニル基の炭素−炭素二重結合における炭素原子とは異なる炭素原子が、珪素原子に結合していてもよい。
上記第2のシリコーン樹脂は、アルコキシ基を有する珪素化合物を加水分解重縮合して得られ、残存アルコキシ基と、珪素原子に結合した水素原子と、アリール基とを有する。
ガスバリア性により一層優れた封止剤を得る観点からは、上記第1のシリコーン樹脂は、式(1A)又は式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂であることが好ましい。ガスバリア性により一層優れた封止剤を得る観点からは、上記第2のシリコーン樹脂は、式(51A)又は式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂であることが好ましい。ガスバリア性が高くなると、過酷な環境下で使用されても封止剤にクラックが生じ難くなり、封止剤がハウジング材から剥離し難くなる。
ガスバリア性にさらに一層優れた封止剤を得る観点からは、本発明に係る光半導体装置用封止剤は、上記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂及び上記式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂の内の少なくとも一方を含むことが好ましい。
(第1のシリコーン樹脂)
本発明に係る光半導体装置用封止剤に含まれている第1のシリコーン樹脂(但し、珪素原子に結合した水素原子を有するシリコーン樹脂を除く)は、アルコキシ基を有する珪素化合物を加水分解重縮合して得られ、残存アルコキシ基と、アルケニル基と、アリール基とを有する。第1のシリコーン樹脂は、アルコキシ基を有する珪素化合物を加水分解重縮合して得られ、残存アルコキシ基と、アルケニル基と、アリール基とを有し、かつ有珪素原子に結合した水素原子を有さない第1のシリコーン樹脂である。上記第1のシリコーン樹脂は、珪素原子に結合した水素原子を有さないので、第2のシリコーン樹脂とは異なる。上記残存アルコキシ基とアルケニル基とアリール基とはそれぞれ、珪素原子に直接結合している。該アリール基としては、無置換のフェニル基、置換フェニル基、無置換のフェニレン基、及び置換フェニレン基が挙げられる。
ガスバリア性により一層優れた封止剤を得る観点からは、上記第1のシリコーン樹脂は、下記式(1A)又は下記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂であることが好ましい。ただし、第1のシリコーン樹脂として、下記式(1A)又は下記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂以外の第1のシリコーン樹脂を用いてもよい。下記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂は、フェニレン基を有していてもよく、フェニレン基を有していなくてもよい。上記第1のシリコーン樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記式(1A)中、a、b及びcは、a/(a+b+c)=0〜0.50、b/(a+b+c)=0.40〜1.0及びc/(a+b+c)=0〜0.50を満たし、R1〜R6は、少なくとも1個がフェニル基を表し、少なくとも1個がアルケニル基を表し、フェニル基及びアルケニル基以外のR1〜R6は、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。上記式(1A)中、(R4R5SiO2/2)で表される構造単位及び(R6SiO3/2)で表される構造単位の内の少なくとも1種の構造単位が、残存アルコキシ基を有する。なお、上記式(1A)中、(R4R5SiO2/2)で表される構造単位及び(R6SiO3/2)で表される構造単位はそれぞれ、ヒドロキシ基を有していてもよい。
上記式(1B)中、a、b、c及びdは、a/(a+b+c+d)=0〜0.40、b/(a+b+c+d)=0.40〜0.99、c/(a+b+c+d)=0〜0.50及びd/(a+b+c+d)=0.01〜0.40を満たし、R1〜R6は、少なくとも1個がフェニル基を表し、少なくとも1個がアルケニル基を表し、フェニル基及びアルケニル基以外のR1〜R6は、炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R7〜R10はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R11は、炭素数1〜8の2価の炭化水素基を表す。上記式(1B)中、(R4R5SiO2/2)で表される構造単位、(R6SiO3/2)で表される構造単位、(R7R8R9R10Si2R11O2/2)で表される構造単位の内の少なくとも1種の構造単位が、残存アルコキシ基を有する。なお、上記式(1B)中、(R4R5SiO2/2)で表される構造単位、(R6SiO3/2)で表される構造単位及び(R7R8R9R10Si2R11O2/2)で表される構造単位はそれぞれ、ヒドロキシ基を有していてもよい。
上記式(1A)及び式(1B)は平均組成式を示す。上記式(1A)及び式(1B)における炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。上記式(1A)及び(1B)中のR1〜R6は同一であってもよく、異なっていてもよい。上記式(1B)中のR7〜R10は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記式(1A)及び(1B)中、(R4R5SiO2/2)で表される構造単位における酸素原子部分、(R6SiO3/2)で表される構造単位における酸素原子部分、(R7R8R9R10Si2R11O2/2)で表される構造単位における酸素原子部分はそれぞれ、シロキサン結合を形成している酸素原子部分、アルコキシ基の酸素原子部分、又はヒドロキシ基の酸素原子部分を示す。
なお、一般に、上記式(1A)及び式(1B)の各構造単位において、アルコキシ基の含有量は少なく、更にヒドロキシ基の含有量も少ない。これは、一般に、第1のシリコーン樹脂を得るために、アルコキシシラン化合物などの有機珪素化合物を加水分解し、重縮合させると、アルコキシ基及びヒドロキシ基の多くは、シロキサン結合の部分骨格に変換されるためである。すなわち、アルコキシ基の酸素原子及びヒドロキシ基の酸素原子の多くは、シロキサン結合を形成している酸素原子に変換される。上記式(1A)及び式(1B)の各構造単位がヒドロキシ基を有する場合には、シロキサン結合の部分骨格に変換されなかったヒドロキシ基がわずかに残存していることを示す。後述の式(51A)及び(51B)の各構造単位がヒドロキシ基を有する場合に関しても、同様のことがいえる。
上記式(1A)及び式(1B)中、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペテニル基及びヘキセニル基等が挙げられる。ガスバリア性をより一層高める観点からは、第1のシリコーン樹脂におけるアルケニル基及び上記式(1A)及び式(1B)中のアルケニル基は、ビニル基又はアリル基であることが好ましく、ビニル基であることがより好ましい。
上記式(1A)及び式(1B)における炭素数1〜8の炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、イソへキシル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。上記式(1B)における炭素数1〜8の2価の炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基及びフェニレン基等が挙げられる。
上記式(1A)又は上記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂における下記式(X1)より求められるアリール基の含有比率は30〜70重量%であることが好ましい。このアリール基の含有比率が30重量%以上であると、ガスバリア性がより一層高くなる。アリール基の含有比率が70重量%以下であると、封止剤の剥離が生じ難くなる。ガスバリア性を更に一層高める観点からは、アリール基の含有比率は35重量%以上であることがより好ましい。剥離をより一層生じ難くする観点からは、アリール基の含有比率は、65重量%以下であることがより好ましい。
アリール基の含有比率(重量%)=(平均組成式が上記式(1A)又は上記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂の1分子あたりに含まれるアリール基の平均個数×アリール基の分子量/平均組成式が上記式(1A)又は上記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂の数平均分子量)×100 ・・・式(X1)
上記式(1A)で表される第1のシリコーン樹脂を用いる場合には、上記式(X1)におけるアリール基はフェニル基を示し、アリール基の含有比率はフェニル基の含有比率を示す。
上記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂を用いる場合には、上記式(X1)におけるアリール基はフェニル基とフェニレン基とを示し、アリール基の含有比率はフェニル基とフェニレン基との合計の含有比率を示す。
上記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂がフェニレン基を有さない場合には、上記フェニル基とフェニレン基との合計の含有比率は、フェニル基の含有比率を示す。
上記第1のシリコーン樹脂は、残存アルコキシ基を有する。第1のシリコーン樹脂における残存アルコキシ基の含有量の好ましい下限は0.1モル%、より好ましい下限は1モル%、好ましい上限は10モル%、より好ましい上限は5モル%である。
残存アルコキシ基の含有量が上記好ましい下限を満たすと、酸化ケイ素粒子の分散性が向上し、封止剤の密着性を高めることができる。残存アルコキシル基の含有量が上記好ましい上限を満たすと、第1のシリコーン樹脂及び封止剤の貯蔵安定性が高くなり、封止剤の耐熱性がより一層高くなる。
上記残存アルコキシ基の含有量は、第1のシリコーン樹脂の平均組成式中に含まれる上記残存アルコキシ基の量を意味する。
ガスバリア性をより一層高める観点からは、上記式(1B)中、(R7R8R9R10Si2R11O2/2)の構造単位は、下記式(1b−1)で表される構造単位であることが好ましい。下記式(1b−1)で表される構造単位はフェニレン基を有し、該フェニレン基は置換フェニレン基である。本明細書において、「フェニレン基」の用語には、炭素数1〜8の炭化水素基がベンゼン環に置換した置換又は無置換のフェニレン基も含まれる。なお、下記式(1b−1)で表される構造単位において、末端の酸素原子は、一般に隣接する珪素原子とシロキサン結合を形成しており、隣接する構造単位と酸素原子を共有している。従って、末端の1つの酸素原子を「O1/2」とする。
上記式(1b−1)中、Raは、水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R7〜R10はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。上記炭化水素基は直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。なお、上記式(1b−1)中のベンゼン環に結合している3つの基の結合部位は特に限定されない。
上記式(1B)中、(R7R8R9R10Si2R11O2/2)の構造単位は、下記式(1b−2)で表される構造単位であることが好ましい。下記式(1b−2)で表される構造単位はフェニレン基を有し、該フェニレン基は置換又は無置換のフェニレン基である。下記式(1b−2)中のベンゼン環に結合しているRaの結合部位は特に限定されない。
上記式(1b−2)中、Raは、水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R7〜R10はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。
上記式(1B)中、(R7R8R9R10Si2R11O2/2)の構造単位は、下記式(1b−3)で表される構造単位であることがより好ましい。下記式(1b−3)で表される構造単位はフェニレン基を有し、該フェニレン基は無置換のフェニレン基である。
上記式(1b−3)中、R7〜R10はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。
上記式(1A)又は式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂において、(R4R5SiO2/2)で表される構造単位(以下、二官能構造単位ともいう)は、下記式(1−2)で表される構造、すなわち、二官能構造単位中の珪素原子に結合した酸素原子の1つがヒドロキシ基又はアルコキシ基を構成する構造を含んでいてもよい。
(R4R5SiXO1/2) ・・・式(1−2)
(R4R5SiO2/2)で表される構造単位は、下記式(1−b)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含み、更に下記式(1−2−b)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含んでいてもよい。すなわち、R4及びR5で表される基を有し、かつアルコキシ基又はヒドロキシ基が末端に残存している構造単位も、(R4R5SiO2/2)で表される構造単位に含まれる。具体的には、アルコキシ基がシロキサン結合の部分骨格に変換された場合には、(R4R5SiO2/2)で表される構造単位は、下記式(1−b)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を示す。未反応のアルコキシ基が残存している場合、又はアルコキシ基がヒドロキシ基に変換された場合には、残存アルコキシ基又はヒドロキシ基を有する(R4R5SiO2/2)で表される構造単位は、下記式(1−2−b)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を示す。
上記式(1−2)及び(1−2−b)中、Xは、OH又はORを表し、ORは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。上記式(1−b)、(1−2)及び(1−2−b)中のR4及びR5は、上記式(1A)又は式(1B)中のR4及びR5と同様の基である。
上記式(1A)又は式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂において、(R6SiO3/2)で表される構造単位(以下、三官能構造単位ともいう)は、下記式(1−3)又は(1−4)で表される構造、すなわち、三官能構造単位中の珪素原子に結合した酸素原子の2つがそれぞれヒドロキシ基若しくはアルコキシ基を構成する構造、又は、三官能構造単位中の珪素原子に結合した酸素原子の1つがヒドロキシ基若しくはアルコキシ基を構成する構造を含んでいてもよい。
(R6SiX2O1/2) ・・・式(1−3)
(R6SiXO2/2) ・・・式(1−4)
(R6SiO3/2)で表される構造単位は、下記式(1−c)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含み、更に下記式(1−3−c)又は(1−4−c)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含んでいてもよい。すなわち、R6で表される基を有し、かつアルコキシ基又はヒドロキシ基が末端に残存している構造単位も、(R6SiO3/2)で表される構造単位に含まれる。
上記式(1−3)、(1−3−c)、(1−4)及び(1−4−c)中、Xは、OH又はORを表し、ORは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。上記式(1−c)、(1−3)、(1−3−c)、(1−4)及び(1−4−c)中のR6は、上記式(1A)又は(1B)中のR6と同様の基である。
上記式(1B)で表される第1のシリコーン樹脂において、(R7R8R9R10Si2R11O2/2)で表される構造単位は、下記式(1−5)で表される構造、すなわち、(R7R8R9R10Si2R11O2/2)の構造単位中の珪素原子に結合した酸素原子の1つがヒドロキシ基又はアルコキシ基を構成する構造を含んでいてもよい。
(R7R8R9R10Si2R11XO1/2) ・・・式(1−5)
(R7R8R9R10Si2R11O2/2)で表される構造単位は、下記式(1−d)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含み、更に下記式(1−5−d)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含んでいてもよい。すなわち、R7、R8、R9、R10及びR11で表される基を有し、かつアルコキシ基又はヒドロキシ基が末端に残存している構造単位も、(R7R8R9R10Si2R11O2/2)で表される構造単位に含まれる。
上記式(1−5)及び(1−5−d)中、Xは、OH又はORを表し、ORは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。上記式(1−d)、(1−5)及び(1−5−d)中のR7〜R11は、上記式(1B)中のR7〜R11と同様の基である。
上記式(1−b)〜(1−d)、式(1−2)〜(1−5)、並びに式(1−2−b)、(1−3−c)、(1−4−c)、及び(1−5−d)において、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルコキシ基としては特に限定されず、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基及びt−ブトキシ基が挙げられる。
上記式(1A)中、a/(a+b+c)の下限は0、上限は0.50である。a/(a+b+c)が上記上限を満たすと、封止剤の耐熱性をより一層高めることができ、かつ封止剤の剥離をより一層抑制できる。上記式(1A)中、a/(a+b+c)の好ましい上限は0.45、より好ましい上限は0.40である。なお、aが0であり、a/(a+b+c)が0である場合、上記式(1A)中、(R1R2R3SiO1/2)の構造単位は存在しない。
上記式(1A)中、b/(a+b+c)の下限は0.40、上限は1.0である。b/(a+b+c)が上記下限を満たすと、封止剤の硬化物が硬くなりすぎず、封止剤にクラックが生じ難くなる。上記式(1A)中、b/(a+b+c)の好ましい下限は0.50である。
上記式(1A)中、c/(a+b+c)の下限は0、上限は0.50である。c/(a+b+c)が上記上限を満たすと、封止剤としての適正な粘度を維持することが容易であり、密着性をより一層高めることができる。上記式(1A)中、c/(a+b+c)の好ましい上限は0.45、より好ましい上限は0.40、更に好ましい上限は0.35である。なお、cが0であり、c/(a+b+c)が0である場合、上記式(1A)中、(R6SiO3/2)の構造単位は存在しない。
上記式(1B)中、a/(a+b+c+d)の下限は0、上限は0.40である。a/(a+b+c+d)が上記上限を満たすと、封止剤の耐熱性をより一層高めることができ、かつ封止剤の剥離をより一層抑制できる。なお、aが0であり、a/(a+b+c+d)が0である場合、上記式(1B)中、(R1R2R3SiO1/2)の構造単位は存在しない。
上記式(1B)中、b/(a+b+c+d)の下限は0.40、上限は0.99である。b/(a+b+c+d)が上記下限を満たすと、封止剤の硬化物が硬くなりすぎず、封止剤にクラックが生じ難くなる。b/(a+b+c+d)が上記上限を満たすと、封止剤のガスバリア性がより一層高くなる。
上記式(1B)中、c/(a+b+c+d)の下限は0、上限は0.50である。c/(a+b+c+d)が上記上限を満たすと、封止剤としての適正な粘度を維持することが容易であり、密着性をより一層高めることができる。なお、cが0であり、c/(a+b+c+d)が0である場合、上記式(1B)中、(R6SiO3/2)の構造単位は存在しない。
上記式(1B)中、d/(a+b+c+d)の下限は0.01、上限は0.40である。d/(a+b+c+d)が上記下限及び上限を満たすと、腐食性ガスに対して高いガスバリア性を有し、過酷な環境下で使用されてもクラック又は剥離が生じ難い光半導体装置用封止剤を得ることができる。腐食性ガスに対してより一層高いガスバリア性を有し、過酷な環境下で使用されてもクラック又は剥離がより一層生じ難い光半導体装置用封止剤を得る観点からは、上記式(1B)中、d/(a+b+c+d)の好ましい下限は0.03、より好ましい下限は0.05、好ましい上限は0.35、より好ましい上限は0.30である。
上記第1のシリコーン樹脂について、テトラメチルシラン(以下、TMS)を基準に29Si−核磁気共鳴分析(以下、NMR)を行うと、置換基の種類によって若干の変動は見られるものの、上記式(1A)及び式(1B)中の(R1R2R3SiO1/2)aで表される構造単位に相当するピークは+10〜−5ppm付近に現れ、上記式(1A)及び式(1B)中の(R4R5SiO2/2)b及び(1−2)の二官能構造単位に相当する各ピークは−10〜−50ppm付近に現れ、上記式(1A)及び式(1B)中の(R6SiO3/2)c、並びに(1−3)及び(1−4)の三官能構造単位に相当する各ピークは−50〜−80ppm付近に現れ、上記式(1B)中の(R7R8R9R10Si2R11O2/2)dに相当するピークは0〜−5ppm付近に現れる。
従って、29Si−NMRを測定し、それぞれのシグナルのピーク面積を比較することによって上記式(1A)及び式(1B)中の各構造単位の比率を測定できる。
但し、上記TMSを基準にした29Si−NMRの測定で上記式(1A)及び式(1B)中の構造単位の見分けがつかない場合は、29Si−NMRの測定結果だけではなく、1H−NMRの測定結果を必要に応じて用いることにより、上記式(1A)及び式(1B)中の各構造単位の比率を見分けることができる。
(第2のシリコーン樹脂)
本発明に係る光半導体装置用封止剤に含まれている第2のシリコーン樹脂は、アルコキシ基を有する珪素化合物を加水分解重縮合して得られ、残存アルコキシ基と、珪素原子に結合した水素原子と、アリール基とを有する。該残存アルコキシ基と水素原子とアリール基とはそれぞれ、珪素原子に直接結合している。該アリール基としては、無置換のフェニル基、置換フェニル基、無置換のフェニレン基、及び置換フェニレン基が挙げられる。
ガスバリア性により一層優れた封止剤を得る観点からは、上記第2のシリコーン樹脂は、下記式(51A)又は下記式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂であることが好ましい。ただし、第2のシリコーン樹脂として、下記式(51A)又は下記式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂以外の第2のシリコーン樹脂を用いてもよい。下記式(51B)で表されるシリコーン樹脂は、フェニレン基を有していてもよく、フェニレン基を有していなくてもよい。上記第2のシリコーン樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記式(51A)中、p、q及びrは、p/(p+q+r)=0.05〜0.50、q/(p+q+r)=0.05〜0.50及びr/(p+q+r)=0.20〜0.80を満たし、R51〜R56は、少なくとも1個がフェニル基を表し、少なくとも1個が珪素原子に直接結合している水素原子を表し、フェニル基及び珪素原子に直接結合している水素原子以外のR51〜R56は、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。上記式(51A)中、(R54R55SiO2/2)で表される構造単位及び(R56SiO3/2)で表される構造単位の内の少なくとも1種が、残存アルコキシ基を有する。なお、上記式(51A)中、(R54R55SiO2/2)で表される構造単位及び(R56SiO3/2)で表される構造単位はそれぞれ、ヒドロキシ基を有していてもよい。
上記式(51B)中、p、q、r及びsは、p/(p+q+r+s)=0.05〜0.50、q/(p+q+r+s)=0.05〜0.50、r/(p+q+r+s)=0.20〜0.80及びs/(p+q+r+s)=0.01〜0.40を満たし、R51〜R56は、少なくとも1個がフェニル基を表し、少なくとも1個が珪素原子に直接結合している水素原子を表し、フェニル基及び珪素原子に直接結合している水素原子以外のR51〜R56は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R57〜60はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R61は、炭素数1〜8の2価の炭化水素基を表す。上記式(51B)中、(R54R55SiO2/2)で表される構造単位、(R56SiO3/2)で表される構造単位及び(R57R58R59R60Si2R61O2/2)で表される構造単位の内の少なくとも1種の構造単位が、残存アルコキシ基を有する。なお、上記式(51B)中、(R54R55SiO2/2)で表される構造単位、(R56SiO3/2)で表される構造単位及び(R57R58R59R60Si2R61O2/2)で表される構造単位はそれぞれ、ヒドロキシ基を有していてもよい。
上記式(51A)及び式(51B)は平均組成式を示す。上記式(51A)及び式(51B)における炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。上記式(51A)及び式(51B)中のR51〜R56は同一であってもよく、異なっていてもよい。上記式(51B)中のR57〜R60は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記式(51A)及び(51B)中、(R54R55SiO2/2)で表される構造単位における酸素原子部分、(R56SiO3/2)で表される構造単位における酸素原子部分、(R57R58R59R60Si2R61O2/2)で表される構造単位における酸素原子部分はそれぞれ、シロキサン結合を形成している酸素原子部分、アルコキシ基の酸素原子部分、又はヒドロキシ基の酸素原子部分を示す。
上記式(51A)及び式(51B)における炭素数1〜8の炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、イソへキシル基、シクロヘキシル基、ビニル基及びアリル基が挙げられる。
上記式(51B)における炭素数1〜8の2価の炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、シクロヘキシレン基及びフェニレン基等が挙げられる。
上記式(51A)又は上記式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂における下記式(X51)より求められるアリール基の含有比率は30〜70重量%であることが好ましい。このアリール基の含有比率が30重量%以上であると、ガスバリア性がより一層高くなる。アリール基の含有比率が70重量%以下であると、封止剤の剥離が生じ難くなる。ガスバリア性を更に一層高める観点からは、アリール基の含有比率は35重量%以上であることがより好ましい。剥離をより一層生じ難くする観点からは、アリール基の含有比率は、65重量%以下であることがより好ましい。
アリール基の含有比率(重量%)=(平均組成式が上記式(51A)又は上記式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂の1分子あたりに含まれるアリール基の平均個数×アリール基の分子量/平均組成式が上記式(51A)又は上記式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂の数平均分子量)×100 ・・・式(X51)
上記式(51A)で表される第2のシリコーン樹脂を用いる場合には、上記式(X1)におけるアリール基はフェニル基を示し、アリール基の含有比率はフェニル基の含有比率を示す。
上記式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂を用いる場合には、上記式(X1)におけるアリール基はフェニル基とフェニレン基とを示し、アリール基の含有比率はフェニル基とフェニレン基との合計の含有比率を示す。
上記第2のシリコーン樹脂は、残存アルコキシ基を有する。第2のシリコーン樹脂における残存アルコキシ基の含有量の好ましい下限は0.1モル%、より好ましい下限は1モル%、好ましい上限は10モル%、より好ましい上限は5モル%である。
残存アルコキシ基の含有量が上記好ましい下限を満たすと、酸化ケイ素粒子の分散性が向上し、封止剤の密着性を高めることができる。残存アルコキシル基の含有量が上記好ましい上限を満たすと、第2のシリコーン樹脂及び封止剤の貯蔵安定性が高くなり、封止剤の耐熱性がより一層高くなる。
上記アルコキシ基の含有量は、第2のシリコーン樹脂の平均組成式中に含まれる上記アルコキシ基の量を意味する。
上記式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂がフェニレン基を有さない場合には、上記フェニル基とフェニレン基との合計の含有比率は、フェニル基の含有比率を示す。
ガスバリア性をより一層高める観点からは、上記式(51B)中、(R57R58R59R60Si2R61O2/2)の構造単位は、下記式(51b−1)で表される構造単位であることが好ましい。下記式(51b−1)で表される構造単位はフェニレン基を有し、該フェニレン基は置換又は無置換のフェニレン基である。
上記式(51b−1)中、Rbは、水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R57〜R60はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。上記炭化水素基は直鎖状であってもよく、分岐状であってもよい。なお、上記式(51b−1)中のベンゼン環に結合している3つの基の結合部位は特に限定されない。
上記式(51B)中、(R57R58R59R60Si2R61O2/2)の構造単位は、下記式(51b−2)で表される構造単位であることが好ましい。下記式(51b−2)で表される構造単位はフェニレン基を有し、該フェニレン基は置換又は無置換のフェニレン基である。下記式(51b−2)中のベンゼン環に結合しているRbの結合部位は特に限定されない。
上記式(51b−2)中、Rbは、水素原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を表し、R57〜R60はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。
上記式(51B)中、(R57R58R59R60Si2R61O2/2)の構造単位は、下記式(51b−3)で表される構造単位であることがより好ましい。下記式(51b−3)で表される構造単位はフェニレン基を有し、該フェニレン基は無置換のフェニレン基である。
上記式(51b−3)中、R57〜R60はそれぞれ、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。
上記式(51A)又は式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂において、(R54R55SiO2/2)で表される構造単位(以下、二官能構造単位ともいう)は、下記式(51−2)で表される構造、すなわち、二官能構造単位中の珪素原子に結合した酸素原子の1つがヒドロキシ基又はアルコキシ基を構成する構造を含んでいてもよい。
(R54R55SiXO1/2) ・・・式(51−2)
(R54R55SiO2/2)で表される構造単位は、下記式(51−b)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含み、更に下記式(51−2−b)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含んでいてもよい。すなわち、R54及びR55で表される基を有し、かつアルコキシ基又はヒドロキシ基が末端に残存している構造単位も、(R54R55SiO2/2)で表される構造単位に含まれる。
上記式(51−2)及び(51−2−b)中、Xは、OH又はORを表し、ORは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。上記式(51−b)、(51−2)及び(51−2−b)中のR54及びR55は、上記式(51A)又は式(51B)中のR54及びR55と同様の基である。
上記式(51A)又は式(51B)で表される第1のシリコーン樹脂において、(R56SiO3/2)で表される構造単位(以下、三官能構造単位ともいう)は、下記式(51−3)又は(51−4)で表される構造、すなわち、三官能構造単位中の珪素原子に結合した酸素原子の2つがそれぞれヒドロキシ基若しくはアルコキシ基を構成する構造、又は、三官能構造単位中の珪素原子に結合した酸素原子の1つがヒドロキシ基若しくはアルコキシ基を構成する構造を含んでいてもよい。
(R56SiX2O1/2) ・・・式(51−3)
(R56SiXO2/2) ・・・式(51−4)
(R56SiO3/2)で表される構造単位は、下記式(51−c)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含み、更に下記式(51−3−c)又は(51−4−c)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含んでいてもよい。すなわち、R56で表される基を有し、かつアルコキシ基又はヒドロキシ基が末端に残存している構造単位も、(R56SiO3/2)で表される構造単位に含まれる。
上記式(51−3)、(51−3−c)、(51−4)及び(51−4−c)中、Xは、OH又はORを表し、ORは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。上記式(51−c)、(51−3)、(51−3−c)、(51−4)及び(51−4−c)中のR56は、上記式(51A)及び(51B)中のR56と同様の基である。
上記式(51B)で表される第2のシリコーン樹脂において、(R57R58R59R60Si2R61O2/2)で表される構造単位は、下記式(51−5)で表される構造、すなわち、(R57R58R59R60Si2R61O2/2)の構造単位中の珪素原子に結合した酸素原子の1つがヒドロキシ基又はアルコキシ基を構成する構造を含んでいてもよい。
(R57R58R59R60Si2XR61O1/2) ・・・式(51−5)
(R57R58R59R60Si2R61O2/2)で表される構造単位は、下記式(51−d)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含み、更に下記式(51−5−d)で表される構造単位の破線で囲まれた部分を含んでいてもよい。すなわち、R57、R58、R59、R60及びR61で表される基を有し、かつアルコキシ基又はヒドロキシ基が末端に残存している構造単位も、(R57R58R59R60Si2R61O2/2)で表される構造単位に含まれる。
上記式(51−5)及び(51−5−d)中、Xは、OH又はORを表し、ORは、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。上記式(51−d)、(51−5)及び(51−5−d)中のR57〜R61は、上記式(51B)中のR57〜R61と同様の基である。
上記式(51−b)〜(51−d)、式(51−2)〜(51−5)、並びに式(51−2−b)、(51−3−c)、(51−4−c)、及び(51−5−d)において、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜4のアルコキシ基としては特に限定されず、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基及びt−ブトキシ基が挙げられる。
上記式(51A)中、p/(p+q+r)の下限は0.05、上限は0.50である。p/(p+q+r)が上記上限を満たすと、封止剤の耐熱性をより一層高めることができ、かつ封止剤の剥離をより一層抑制できる。上記式(51A)中、中、p/(p+q+r)の好ましい下限は0.10、より好ましい上限は0.45である。
上記式(51A)中、q/(p+q+r)の下限は0.05、上限は0.50である。q/(p+q+r)が上記下限を満たすと、封止剤の硬化物が硬くなりすぎず、封止剤にクラックが生じ難くなる。q(p+q+r)が上記上限を満たすと、封止剤のガスバリア性がより一層高くなる。上記式(51A)中、q/(p+q+r)の好ましい下限は0.10、より好ましい上限は0.45である。
上記式(51A)中、r/(p+q+r)の下限は0.20、上限は0.80である。r/(p+q+r)が上記下限を満たすと、封止剤の硬度が上がり、傷及びゴミの付着を防止でき、封止剤の耐熱性が高くなり、高温環境下で封止剤の硬化物の厚みが減少し難くなる。r/(p+q+r)が上記上限を満たすと、封止剤としての適正な粘度を維持することが容易であり、密着性をより一層高めることができる。
上記式(51B)中、p/(p+q+r+s)の下限は0.05、上限は0.50である。p/(p+q+r+s)が上記上限を満たすと、封止剤の耐熱性をより一層高めることができ、かつ封止剤の剥離をより一層抑制できる。
上記式(51B)中、q/(p+q+r+s)の下限は0.05、上限は0.50である。q/(p+q+r+s)が上記下限を満たすと、封止剤の硬化物が硬くなりすぎず、封止剤にクラックが生じ難くなる。q/(p+q+r+s)が上記上限を満たすと、封止剤のガスバリア性がより一層高くなる。
上記式(51B)中、r/(p+q+r+s)の下限は0.20、上限は0.80である。r/(p+q+r+s)が上記上限を満たすと、封止剤としての適正な粘度を維持することが容易であり、密着性をより一層高めることができる。
上記式(51B)中、s/(p+q+r+s)の下限は0.01、上限は0.40である。s/(p+q+r+s)が上記下限及び上限を満たすと、腐食性ガスに対して高いガスバリア性を有し、過酷な環境下で使用されてもクラック又は剥離が生じ難い光半導体装置用封止剤を得ることができる。腐食性ガスに対してより一層高いガスバリア性を有し、過酷な環境下で使用されてもクラック又は剥離がより一層生じ難い光半導体装置用封止剤を得る観点からは、上記式(51B)中、s/(p+q+r+s)の好ましい下限は0.03、より好ましい下限は0.05、好ましい上限は0.35、より好ましい上限は0.30である。
上記第2のシリコーン樹脂について、テトラメチルシラン(以下、TMS)を基準に29Si−核磁気共鳴分析(以下、NMR)を行うと、置換基の種類によって若干の変動は見られるものの、上記式(51A)及び式(51B)中の(R51R52R53SiO1/2)pで表される構造単位に相当するピークは+10〜−5ppm付近に現れ、上記式(51A)及び式(51B)中の(R54R55SiO2/2)q及び(51−2)の二官能構造単位に相当する各ピークは−10〜−50ppm付近に現れ、上記式(51A)及び式(51B)中の(R56SiO3/2)r、並びに(51−3)及び(51−4)の三官能構造単位に相当する各ピークは−50〜−80ppm付近に現れ、上記式(51B)中の(R57R58R59R60Si2R61O2/2)sに相当するピークは0〜−5ppm付近に現れる。
従って、29Si−NMRを測定し、それぞれのシグナルのピーク面積を比較することによって上記式(51A)及び式(51B)中の各構造単位の比率を測定できる。
但し、上記TMSを基準にした29Si−NMRの測定で上記式(51A)及び式(51B)中の構造単位の見分けがつかない場合は、29Si−NMRの測定結果だけではなく、1H−NMRの測定結果を必要に応じて用いることにより、上記式(51A)及び式(51B)中の各構造単位の比率を見分けることができる。
上記第1のシリコーン樹脂100重量部に対して、上記第2のシリコーン樹脂の含有量は10重量部以上、400重量部以下であることが好ましい。第1,第2のシリコーン樹脂の含有量がこの範囲内であると、ガスバリア性により一層優れた封止剤を得ることができる。ガスバリア性にさらに一層優れた封止剤を得る観点からは、上記第1のシリコーン樹脂100重量部に対して、上記第2のシリコーン樹脂の含有量のより好ましい下限は30重量部、更に好ましい下限は50重量部、より好ましい上限は300重量部、更に好ましい上限は200重量部である。
(第1,第2のシリコーン樹脂の他の性質及びその合成方法)
上記第1,第2のシリコーン樹脂はシラノール基を含有しないほうが好ましい。第1,第2のシリコーン樹脂がシラノール基を含有しないと、第1,第2のシリコーン樹脂及び封止剤の貯蔵安定性が高くなる。上記シラノール基は、真空下での加熱により減少させることができる。シラノール基の含有量は、赤外分光法を用いて測定できる。
上記第1,第2のシリコーン樹脂の数平均分子量(Mn)の好ましい下限は500、より好ましい下限は800、更に好ましい下限は1000、好ましい上限は50000、より好ましい上限は15000である。数平均分子量が上記好ましい下限を満たすと、熱硬化時に揮発成分が少なくなり、高温環境下で封止剤の硬化物の厚みが減少しにくくなる。数平均分子量が上記好ましい上限を満たすと、粘度調節が容易である。
上記数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレンを標準物質して求めた値である。上記数平均分子量(Mn)は、Waters社製の測定装置(カラム:昭和電工社製 Shodex GPC LF−804(長さ300mm)を2本、測定温度:40℃、流速:1mL/分、溶媒:テトラヒドロフラン、標準物質:ポリスチレン)を用いて測定された値を意味する。
上記第1,第2のシリコーン樹脂を合成する方法としては特に限定されず、アルコキシシラン化合物を加水分解し縮合反応させる方法、クロロシラン化合物を加水分解し縮合させる方法が挙げられる。なかでも、反応の制御の観点からアルコキシシラン化合物を加水分解する方法が好ましい。
アルコキシシラン化合物を加水分解し重縮合反応させる方法としては、例えば、アルコキシシラン化合物、水と酸性触媒又は塩基性触媒との存在下で反応させる方法が挙げられる。また、ジシロキサン化合物を加水分解して用いてもよい。
上記第1,第2のシリコーン樹脂にフェニル基を導入するための有機珪素化合物としては、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチル(フェニル)ジメトキシシラン、及びフェニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記第1,第2のシリコーン樹脂に(R57R58R59R60Si2R61O2/2)、(R7R8R9R10Si2R11O2/2)を導入するための有機珪素化合物としては、例えば、1,4−ビス(ジメチルメトキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジエチルメトキシシリル)ベンゼン、1,4ービス(エトキシエチルメチルシリル)ベンゼン、1,6−ビス(ジメチルメトキシシリル)ヘキサン、1,6−ビス(ジエチルメトキシシリル)ヘキサン及び1,6−ビス(エトキシエチルメチルシリル)ヘキサン等が挙げられる。
上記第1のシリコーン樹脂にアルケニル基を導入するための有機珪素化合物としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、メトキシジメチルビニルシラン及び1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
上記第2のシリコーン樹脂に珪素原子に直接結合した水素原子を導入するための有機珪素化合物としては、トリメトキシシラン、トリエトキシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、及び1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
上記第1,第2のシリコーン樹脂を得るために用いることができる他の有機珪素化合物としては、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、イソプロピル(メチル)ジメトキシシラン、シクロヘキシル(メチル)ジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン及びオクチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記酸性触媒としては、例えば、無機酸、有機酸、無機酸の酸無水物及びその誘導体、並びに有機酸の酸無水物及びその誘導体が挙げられる。
上記無機酸としては、例えば、塩酸、リン酸、ホウ酸及び炭酸が挙げられる。上記有機酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸及びオレイン酸が挙げられる。
上記塩基性触媒としては、例えば、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコキシド及びアルカリ金属のシラノール化合物が挙げられる。
上記アルカリ金属の水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化セシウムが挙げられる。上記アルカリ金属のアルコキシドとしては、例えば、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ブトキシド及びセシウム−t−ブトキシドが挙げられる。
上記アルカリ金属のシラノール化合物としては、例えば、ナトリウムシラノレート化合物、カリウムシラノレート化合物及びセシウムシラノレート化合物が挙げられる。なかでも、カリウム系触媒又はセシウム系触媒が好適である。
(ヒドロシリル化反応用触媒)
本発明に係る光半導体装置用封止剤に含まれているヒドロシリル化反応用触媒は、上記第1のシリコーン樹脂中のアルケニル基と、上記第2のシリコーン樹脂中の珪素原子に直接結合した水素原子とをヒドロシリル化反応させる触媒である。
上記ヒドロシリル化反応用触媒として、ヒドロシリル化反応を進行させる各種の触媒を用いることができる。上記ヒドロシリル化反応用触媒は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ヒドロシリル化反応用触媒としては、例えば、白金系触媒、ロジウム系触媒及びパラジウム系触媒等が挙げられる。封止剤の透明性を高くすることができるため、白金系触媒が好ましい。
上記白金系触媒としては、白金粉末、塩化白金酸、白金−アルケニルシロキサン錯体、白金−オレフィン錯体及び白金−カルボニル錯体が挙げられる。特に、白金−アルケニルシロキサン錯体又は白金−オレフィン錯体が好ましい。
上記白金−アルケニルシロキサン錯体におけるアルケニルシロキサンとしては、例えば、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、及び1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。上記白金−オレフィン錯体におけるオレフィンとしては、例えば、アリルエーテル及び1,6−ヘプタジエン等が挙げられる。
上記白金−アルケニルシロキサン錯体及び白金−オレフィン錯体の安定性を向上させることができるため、上記白金−アルケニルシロキサン錯体又は白金−オレフィン錯体に、アルケニルシロキサン、オルガノシロキサンオリゴマー、アリルエーテル又はオレフィンを添加することが好ましい。上記アルケニルシロキサンは、好ましくは1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンである。上記オルガノシロキサンオリゴマーは、好ましくはジメチルシロキサンオリゴマーである。上記オレフィンは、好ましくは1,6−ヘプタジエンである。
封止剤中で、上記ヒドロシリル化反応用触媒の含有量は、金属原子の重量単位で0.01ppm以上、1000ppm以下であることが好ましい。上記ヒドロシリル化反応用触媒の含有量が0.01ppm以上であると、封止剤を十分に硬化性させることが容易であり、封止剤のガスバリア性をより一層高めることができる。上記ヒドロシリル化反応用触媒の含有量が1000ppm以下であると、硬化物の着色の問題が生じ難い。上記ヒドロシリル化反応用触媒の含有量のより好ましい下限は1ppm、より好ましい上限は500ppmである。
(酸化ケイ素粒子)
本発明に係る光半導体装置用封止剤は、有機ケイ素化合物により表面処理されている酸化ケイ素粒子をさらに含む。
上記酸化ケイ素粒子の使用により、封止剤の硬化物の耐熱性及び耐光性を損なうことなく、硬化前の封止剤の粘度を適当な範囲に調整できる。従って、封止剤の取り扱い性を高めることができる。
上記酸化ケイ素粒子の一次粒子径の好ましい下限は5nm、より好ましい下限は8nm、好ましい上限は200nm、より好ましい上限は150nmである。上記酸化ケイ素粒子の一次粒子径が上記好ましい下限を満たすと、酸化ケイ素粒子の分散性がより一層高くなり、封止剤の硬化物の透明性がより一層高くなる。上記酸化ケイ素粒子の一次粒子径が上記好ましい上限を満たすと、25℃における粘度の上昇効果を充分に得ることができ、かつ温度上昇における粘度の低下を抑制できる。
上記酸化ケイ素粒子の一次粒子径は、以下のようにして測定される。光半導体装置用封止剤の硬化物を透過型電子顕微鏡(商品名「JEM−2100」、日本電子社製)を用いて観察する。視野中の100個の酸化ケイ素粒子の一次粒子の大きさをそれぞれ測定し、測定値の平均値を一次粒子径とする。上記一次粒子径は、上記酸化ケイ素粒子が球形である場合には酸化ケイ素粒子の直径の平均値を意味し、非球形である場合には酸化ケイ素粒子の長径の平均値を意味する。
上記酸化ケイ素粒子のBET比表面積の好ましい下限は30m2/g、好ましい上限は400m2/gである。上記酸化ケイ素粒子のBET比表面積が30m2/g以上であると、封止剤の25℃における粘度を好適な範囲に制御でき、温度上昇における粘度の低下を抑制できる。上記酸化ケイ素粒子のBET比表面積が400m2/g以下であると、酸化ケイ素粒子の凝集が生じ難くなり、分散性を高くすることができ、更に封止剤の硬化物の透明性をより一層高くすることができる。
上記酸化ケイ素粒子としては特に限定されず、例えば、フュームドシリカ、溶融シリカ等の乾式法で製造されたシリカ、並びにコロイダルシリカ、ゾルゲルシリカ、沈殿シリカ等の湿式法で製造されたシリカ等が挙げられる。なかでも、揮発成分が少なく、かつ透明性がより一層高い封止剤を得る観点からは、上記酸化ケイ素粒子は、フュームドシリカが好適に用いられる。
上記フュームドシリカとしては、例えば、Aerosil 50(比表面積:50m2/g)、Aerosil 90(比表面積:90m2/g)、Aerosil 130(比表面積:130m2/g)、Aerosil 200(比表面積:200m2/g)、Aerosil 300(比表面積:300m2/g)、及びAerosil 380(比表面積:380m2/g)(いずれも日本アエロジル社製)等が挙げられる。
上記酸化ケイ素粒子は、有機ケイ素化合物により表面処理されている。この表面処理により、酸化ケイ素粒子の分散性が非常に高くなり、硬化前の封止剤の温度上昇による粘度の低下をより一層抑制できる。
上記有機ケイ素化合物としては特に限定されず、例えば、アルキル基を有するシラン系化合物、ジメチルシロキサン等のシロキサン骨格を有するケイ素系化合物、アミノ基を有するケイ素系化合物、(メタ)アクリロイル基を有するケイ素系化合物、及びエポキシ基を有するケイ素系化合物等が挙げられる。上記「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基とメタクリロイル基とを意味する。
酸化ケイ素粒子の分散性をさらに一層高める観点からは、酸化ケイ素粒子が、トリメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物又はポリジメチルシロキサン基を有する有機ケイ素化合物により表面処理されていることが好ましい。
有機ケイ素化合物により表面処理する方法の一例として、トリメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物を用いる場合には、例えば、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシリルクロライド及びトリメチルメトキシシラン等を用いて、酸化ケイ素粒子を表面処理する方法が挙げられる。ポリジメチルシロキサン基を有する有機ケイ素化合物を用いる場合には、ポリジメチルシロキサン基の末端にシラノール基を有する化合物及び環状シロキサン等を用いて、酸化ケイ素粒子を表面処理する方法が挙げられる。
上記トリメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された酸化ケイ素粒子の市販品としては、RX200(比表面積:140m2/g)、及びR8200(比表面積:140m2/g)(いずれも日本アエロジル社製)等が挙げられる。
上記ポリジメチルシロキサン基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された酸化ケイ素粒子の市販品としては、RY200(比表面積:120m2/g)(日本アエロジル社製)等が挙げられる。
上記有機ケイ素化合物により酸化ケイ素粒子を表面処理する方法は特に限定されない。この方法としては、例えば、ミキサー中に酸化ケイ素粒子を添加し、攪拌しながら有機ケイ素化合物を添加する乾式法、酸化ケイ素粒子のスラリー中に有機ケイ素化合物を添加するスラリー法、並びに、酸化ケイ素粒子の乾燥後に有機ケイ素化合物をスプレー付与するスプレー法などの直接処理法等が挙げられる。上記乾式法で用いられるミキサーとしては、ヘンシェルミキサー及びV型ミキサー等が挙げられる。上記乾式法では、有機ケイ素化合物は、直接、又は、アルコール水溶液、有機溶媒溶液若しくは水溶液として添加される。
上記有機ケイ素化合物により表面処理されている酸化ケイ素粒子を得るために、光半導体装置用封止剤を調製する際に、酸化ケイ素粒子と上記第1,第2のシリコーン樹脂等のマトリクス樹脂との混合時に、有機ケイ素化合物を直接添加するインテグレルブレンド法等を用いてもよい。
上記第1のシリコーン樹脂と上記第2のシリコーン樹脂との合計100重量部に対して、上記酸化ケイ素粒子の含有量は、0.5重量部以上、40重量部以下であることが好ましい。上記第1のシリコーン樹脂と上記第2のシリコーン樹脂との合計100重量部に対して、上記酸化ケイ素粒子の含有量のより好ましい下限は1重量部、より好ましい上限は35重量部である。上記酸化ケイ素粒子の含有量が上記下限を満たすと、硬化時の粘度低下を抑制することが可能になる。上記酸化ケイ素粒子の含有量が上記上限を満たすと、封止剤の粘度をより一層適正な範囲に制御でき、かつ封止剤の透明性をより一層高めることができる。
ところで、発光素子から発せられる光が明るくても、発光素子から発せられる光が内部から外部に効率よく出なければ、十分な明るさを得ることはできない。十分な明るさを保つためには、より多くの電流を発光素子に流す必要がある。
本発明者は、アリール基を有する上記第1,第2のシリコーン樹脂を使用することにより、封止剤の硬化物の屈折率が高くなり、発光素子から発せられる光を効率よく取り出すことができることを見出した。これにより、低電流でも、外部に出る光を十分に明るくすることができる。
しかし、アリール基を有する上記第1,第2のシリコーン樹脂と、蛍光体とを含む封止剤では、硬化前に高温に晒されると封止剤の粘度が急激に低下して、蛍光体が沈降しやすい。このため、硬化の際に、封止剤が高温に晒されると、発光素子の周辺に蛍光体が偏在して、光が乱反射する。この結果、発光素子から発せられる光の一部が封止剤の硬化物中で失われ、光半導体装置から取り出される光量が少なくなるという問題がある。
本発明に係る光半導体装置用封止剤が、上記有機ケイ素化合物により表面処理された酸化ケイ素粒子を含有することにより、アリール基を有する上記第1,第2のシリコーン樹脂を含有するにもかかわらず、封止剤の高温での粘度を十分な高さに維持できる。これにより、封止剤が高温に加熱された時の粘度を適切な範囲に調整でき、封止剤中の蛍光体の分散状態を均一に保つことができる。
(蛍光体)
本発明に係る光半導体装置用封止剤は、蛍光体をさらに含有してもよい。封止剤が予め蛍光体を含有していても、該蛍光体は沈降し難い。
また、本発明に係る光半導体装置用封止剤は、蛍光体を含有していなくてもよい。この場合には、封止剤は、使用時に蛍光体が添加されて、用いられ得る。封止剤に蛍光体が添加されても、添加された蛍光体は沈降し難い。
上記蛍光体は、光半導体装置用封止剤を用いて封止する発光素子が発する光を吸収し、蛍光を発生することによって、最終的に所望の色の光を得ることができるように作用する。上記蛍光体は、発光素子が発する光によって励起され、蛍光を発し、発光素子が発する光と蛍光体が発する蛍光との組み合わせによって、所望の色の光を得ることができる。
例えば、発光素子として紫外線LEDチップを使用して最終的に白色光を得ることを目的とする場合には、青色蛍光体、赤色蛍光体及び緑色蛍光体を組み合わせて用いることが好ましい。発光素子として青色LEDチップを使用して最終的に白色光を得ることを目的とする場合には、緑色蛍光体及び赤色蛍光体を組み合わせて用いるか、又は、黄色蛍光体を用いることが好ましい。上記蛍光体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記青色蛍光体としては特に限定されず、例えば、(Sr、Ca、Ba、Mg)10(PO4)6Cl2:Eu、(Ba、Sr)MgAl10O17:Eu、(Sr、Ba)3MgSi2O8:Eu等が挙げられる。
上記赤色蛍光体としては特に限定されず、例えば、(Sr、Ca)S:Eu、(Ca、Sr)2SI5N8:Eu、CaSiN2:Eu、CaAlSiN3:Eu、Y2O2S:Eu、La2O2S:Eu、LiW2O8:(Eu、Sm)、(Sr、Ca、Bs、Mg)10(PO4)8Cl2:(Eu、Mn)、Ba3MgSi2O8:(Eu、Mn)等が挙げられる。
上記緑色蛍光体としては特に限定されず、例えば、Y3(Al、Ga)5O12:Ce、SrGa2S4:Eu、Ca3Sc2Si3O12:Ce、SrSiON:Eu、ZnS:(Cu、Al)、BaMgAl10O17(Eu、Mn)、SrAl2O4:Eu等が挙げられる。
上記黄色蛍光体としては特に限定されず、例えば、Y3Al5O12:Ce、(Y、Gd)3Al5O12:Ce、Tb3Al5O12:Ce、CaGa2S4:Eu、Sr2SiO4:Eu等が挙げられる。
さらに、上記蛍光体としては、有機蛍光体であるペリレン系化合物等が挙げられる。
上記蛍光体の体積平均粒径の好ましい下限は1μm、より好ましい下限は2μm、好ましい上限は30μm、より好ましい上限は25μmである。
所望の色の光を得るように、上記蛍光体の含有量は適宜調整でき、特に限定されない。本発明に係る光半導体装置用封止剤100重量部に対して、上記蛍光体の含有量は0.1重量部以上、40重量部以下であることが好ましい。また、本発明に係る光半導体装置用封止剤が蛍光体を含む場合には、光半導体装置用封止剤の蛍光体を除く全成分100重量部に対して、上記蛍光体の含有量は0.1重量部以上、40重量部以下であることが好ましい。
(カップリング剤)
本発明に係る光半導体装置用封止剤は、接着性を付与するために、カップリング剤をさらに含有してもよい。
上記カップリング剤としては特に限定されず、例えば、シランカップリング剤等が挙げられる。該シランカップリング剤としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。カップリング剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
(他の成分)
本発明に係る光半導体装置用封止剤は、必要に応じて、分散剤、酸化防止剤、消泡剤、着色剤、変性剤、レベリング剤、光拡散剤、熱伝導性フィラー又は難燃剤等の添加剤をさらに含有してもよい。
なお、上記第1のシリコーン樹脂と、上記第2のシリコーン樹脂と、上記白金触媒とは、これらを1種又は2種以上含む液を別々に調製しておき、使用直前に複数の液を混合して、本発明に係る光半導体装置用封止剤を調製してもよい。例えば、上記第1のシリコーン樹脂及びヒドロシリル化反応用触媒を含むA液と、第2のシリコーン樹脂を含むB液とを別々に調製しておき、使用直前にA液とB液を混合して、本発明に係る光半導体装置用封止剤を調製してもよい。このように上記第1のシリコーン樹脂及び上記ヒドロシリル化反応用触媒と上記第2のシリコーン樹脂とを別々に、第1の液と第2の液との2液にすることによって保存安定性を向上させることができる。
(光半導体装置用封止剤の詳細及び用途)
本発明に係る光半導体装置用封止剤は、E型粘度計を用いて測定された25℃における5rpmでの粘度が1000〜10,000mPa・sであり、かつパラレルプレート型レオメーターを用いて25℃から昇温速度20℃/分で加熱したときに、25℃から硬化温度までの温度領域における剪断速度1s−1での最低粘度が200mPa・s以上であることが好ましい。
本発明に係る光半導体装置用封止剤の粘度が上記範囲内である場合には、蛍光体を添加した際に、蛍光体の沈降を抑制し、光半導体装置から取り出される光をより一層明るくすることができる。
上記25℃における5rpmでの粘度が1000〜10,000mPa・sの範囲内にある場合には、光半導体装置により形成された発光素子を効率よく封止できる。上記25℃における5rpmでの粘度の好ましい下限は1200mPa・s、より好ましい下限は1500mPa・s、好ましい上限は8000mPa・s、より好ましい上限は6000mPa・sである。
なお、上記「粘度」は、E型粘度計(TV−22型、東機産業社製)を用いて測定された値である。
上記剪断速度1s−1での最低粘度が200mPa・s以上であると、封止剤が加熱され、硬化する間に、蛍光体がほとんど沈降しない。このため、光半導体装置からより一層明るい光を取り出すことができる。上記剪断速度1s−1での最低粘度のより好ましい下限は300mPa・s、更に好ましい下限は500mPa・sである。
上記剪断速度1s−1での最低粘度は、パラレルプレート型レオメーター(「DAR−2000」、レオロジカ社製)を用いて測定された値を意味する。
本発明に係る光半導体装置用封止剤の硬化温度は特に限定されない。光半導体装置用封止剤の硬化温度の好ましい下限は80℃、より好ましい下限は100℃、好ましい上限は180℃、より好ましい上限は150℃である。硬化温度が上記好ましい下限を満たすと、封止剤の硬化が充分に進行する。硬化温度が上記好ましい上限を満たすと、パッケージの熱劣化が起こり難い。
硬化には特に限定されないが、ステップキュア方式を用いることが好ましい。ステップキュア方式は、一旦低温で仮硬化させておき、その後に高温で硬化させる方法である。ステップキュア方式の使用により、封止剤の硬化収縮を抑えることができる。
本発明に係る光半導体装置用封止剤の製造方法としては特に限定されず、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリウムミキサー、ニーダー、三本ロール又はビーズミル等の混合機を用いて、常温又は加温下で、上記第1のシリコーン樹脂、上記第2のシリコーン樹脂、上記ヒドロシリル化反応用触媒、及び必要に応じて配合される他の成分を混合する方法等が挙げられる。
上記発光素子としては、半導体を用いた発光素子であれば特に限定されず、例えば、上記発光素子が発光ダイオードである場合、例えば、基板上にLED形式用半導体材料を積層した構造が挙げられる。この場合、半導体材料としては、例えば、GaAs、GaP、GaAlAs、GaAsP、AlGaInP、GaN、InN、AlN、InGaAlN、及びSiC等が挙げられる。
上記基板の材料としては、例えば、サファイア、スピネル、SiC、Si、ZnO、及びGaN単結晶等が挙げられる。また、必要に応じ基板と半導体材料との間にバッファー層が形成されていてもよい。上記バッファー層の材料としては、例えば、GaN及びAlN等が挙げられる。
本発明に係る光半導体装置としては、具体的には、例えば、発光ダイオード装置、半導体レーザー装置及びフォトカプラ等が挙げられる。このような光半導体装置は、例えば、液晶ディスプレイ等のバックライト、照明、各種センサー、プリンター及びコピー機等の光源、車両用計測器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト並びにスイッチング素子等に好適に用いることができる。
本発明に係る光半導体装置では、本発明に係る光半導体装置用封止剤の硬化物により、光半導体により形成された発光素子が封止されている。本発明に係る光半導体装置では、LEDなどの光半導体により形成された発光素子を封止するように、光半導体装置用封止剤の硬化物が配置されている。このため、発光素子を封止している光半導体装置用封止剤の硬化物にクラックが生じ難く、パッケージからの剥離が生じ難く、かつ光透過性、耐熱性、耐候性及びガスバリア性を高めることができる。
(光半導体装置の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る光半導体装置を示す正面断面図である。
本実施形態の光半導体装置1は、ハウジング2を有する。ハウジング2内にLEDからなる光半導体素子3が実装されている。この光半導体素子3の周囲を、ハウジング2の光反射性を有する内面2aが取り囲んでいる。本実施形態では、光半導体により形成された発光素子として、光半導体素子3が用いられている。
内面2aは、内面2aの径が開口端に向かうにつれて大きくなるように形成されている。従って、光半導体素子3から発せられた光のうち、内面2aに到達した光が内面2aにより反射され、光半導体素子3の前方側に進行する。光半導体素子3を封止するように、内面2aで囲まれた領域内には、光半導体装置用封止剤4が充填されている。
なお、図1に示す構造は、本発明に係る光半導体装置の一例にすぎず、光半導体素子3の実装構造等には適宜変形され得る。
以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。本発明は、以下の実施例に限定されない。
(合成例1)第1のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、トリメチルメトキシシラン63g、ジメチルジメトキシシラン90g、ジフェニルジメトキシシラン183g、及びビニルトリメトキシシラン133gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、水酸化カリウム0.8gを水114gに溶かした溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、反応液に酢酸0.9gを加え、減圧して揮発成分を除去し、酢酸カリウムをろ過により除去して、ポリマー(A)を得た。
得られたポリマー(A)の数平均分子量(Mn)は1700であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(A)は、下記の平均組成式(1A)を有していた。
(Me3SiO1/2)0.19(Me2SiO2/2)0.24(Ph2SiO2/2)0.26(ViSiO3/2)0.31 …式(1A)
上記式(1A)中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基を示す。
得られたポリマー(A)のフェニル基の含有比率は37重量%であり、1H−NMRよりアルコキシル基の含有量は2.2モル%であった。
なお、合成例1及び合成例2〜13で得られた各ポリマーの分子量は、10mgにテトラヒドロフラン1mLを加え、溶解するまで攪拌し、GPC測定により測定した。GPC測定では、Waters社製の測定装置(カラム:昭和電工社製 Shodex GPC
LF−804(長さ300mm)×2本、測定温度:40℃、流速:1mL/min、溶媒:テトラヒドロフラン、標準物質:ポリスチレン)を用いた。
(合成例2)第1のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、ジメチルジメトキシシラン126g、ジフェニルジメトキシシラン183g、ビニルメチルジメトキシシシラン119g、及び1,6−ビス(ジメチルメトキシシリル)ヘキサン79gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、水酸化カリウム0.8gを水108gに溶かした溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、反応液に酢酸0.9gを加え、減圧して揮発成分を除去し、酢酸カリウムをろ過により除去して、ポリマー(B)を得た。
得られたポリマー(B)の数平均分子量(Mn)は4100であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(B)は、下記の平均組成式(1B)を有していた。
(Me2SiO2/2)0.33(Ph2SiO2/2)0.27(ViMeSiO2/2)0.30(Me4Si 2 HexO2/2)0.10 …式(1B)
上記式(1B)中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基、Hexはヘキシレン基を示す。
得られたポリマー(B)のフェニル基の含有比率は33重量%であり、1H−NMRよりアルコキシル基の含有量は1.2モル%であった。
(合成例3)第1のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、ジメチルジメトキシシラン60g、ジフェニルジメトキシシラン317g、ビニルメチルジメトキシシシラン119g、及び1,6−ビス(ジメチルメトキシシリル)ヘキサン79gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、水酸化カリウム0.8gを水108gに溶かした溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、反応液に酢酸0.9gを加え、減圧して揮発成分を除去し、酢酸カリウムをろ過により除去して、ポリマー(C)を得た。
得られたポリマー(C)の数平均分子量(Mn)は3600であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(C)は、下記の平均組成式(1C)を有していた。
(Me2SiO2/2)0.16(Ph2SiO2/2)0.44(ViMeSiO2/2)0.30(Me4Si 2 HexO2/2)0.10 …式(1C)
上記式(1C)中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基、Hexはヘキシレン基を示す。
得られたポリマー(C)のフェニル基の含有比率は46重量%であり、1H−NMRよりアルコキシル基の含有量は1.7モル%であった。
(合成例4)第1のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、ジメチルジメトキシシラン60g、ジフェニルジメトキシシラン317g、ビニルメチルジメトキシシシラン119g、及び1,4−ビス(ジメチルメトキシシリル)ベンゼン76gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、水酸化カリウム0.8gを水108gに溶かした溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、反応液に酢酸0.9gを加え、減圧して揮発成分を除去し、酢酸カリウムをろ過により除去して、ポリマー(D)を得た。
得られたポリマー(D)の数平均分子量(Mn)は3400であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(D)は、下記の平均組成式(1D)を有していた。
(Me2SiO2/2)0.16(Ph2SiO2/2)0.44(ViMeSiO2/2)0.30(Me4Si 2 PheO2/2)0.10 …式(1D)
上記式(1D)中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基、Pheはフェニレン基を示す。
得られたポリマー(D)のフェニル基とフェニレン基との合計の含有比率は52重量%であり、1H−NMRよりアルコキシル基の含有量は1.7モル%であった。
(合成例5)第2のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、トリメチルメトキシシラン31g、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン50g、ジメチルジメトキシシラン108g、及びフェニルトリメトキシシラン208gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、塩酸1.4gと水101gの溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、減圧して揮発成分を除去してポリマーを得た。得られたポリマーにヘキサン150gと酢酸エチル150gとを添加し、イオン交換水300gで10回洗浄を行い、減圧して揮発成分を除去してポリマー(E)を得た。
得られたポリマー(E)の数平均分子量(Mn)は1000であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(E)は、下記の平均組成式(1E)を有していた。
(Me3SiO1/2)0.09(HMe2SiO1/2)0.23(Me2SiO2/2)0.27(PhSiO3/2)0.41 …式(1E)
上記式(1E)中、Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。
得られたポリマー(E)のフェニル基の含有比率は33重量%であり、1H−NMRよりアルコキシル基の含有量は1.8モル%であった。
(合成例6)第2のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、トリメチルメトキシシラン16g、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン50g、ジメチルジメトキシシラン36g、ジフェニルジメトキシシラン183g、フェニルトリメトキシシラン149g、及びビニルトリメトキシシラン45gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、塩酸1.4gと水104gの溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、減圧して揮発成分を除去してポリマーを得た。得られたポリマーにヘキサン150gと酢酸エチル150gとを添加し、イオン交換水300gで10回洗浄を行い、減圧して揮発成分を除去してポリマー(F)を得た。
得られたポリマー(F)の数平均分子量(Mn)は1000であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(F)は、下記の平均組成式(1F)を有していた。
(Me3SiO1/2)0.05(HMe2SiO1/2)0.23(Me2SiO2/2)0.09(Ph2SiO2/2)0.26(PhSiO3/2)0.27(ViSiO3/2)0.10 …式(1F)
上記式(1F)中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基を示す。
得られたポリマー(F)のフェニル基の含有比率は51重量%であり、1H−NMRよりアルコキシル基の含有量は1.9モル%であった。
(合成例7)第2のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、トリメチルメトキシシラン31g、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン40g、ジフェニルジメトキシシラン110g、フェニルトリメトキシシラン268g、及びビニルトリメトキシシラン45gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、塩酸1.4gと水116gの溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、減圧して揮発成分を除去してポリマーを得た。得られたポリマーにヘキサン150gと酢酸エチル150gとを添加し、イオン交換水300gで10回洗浄を行い、減圧して揮発成分を除去してポリマー(G)を得た。
得られたポリマー(G)の数平均分子量(Mn)は1100であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(G)は、下記の平均組成式(1G)を有していた。
(Me3SiO1/2)0.09(HMe2SiO1/2)0.19(Ph2SiO2/2)0.16(PhSiO3/2)0.46(ViSiO3/2)0.10 …式(1G)
上記式(1G)中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基を示す。
得られたポリマー(G)のフェニル基の含有比率は51重量%であり、1H−NMRよりアルコキシル基の含有量は2.2モル%であった。
(合成例8)第2のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、トリメチルメトキシシラン31g、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン40g、ジフェニルジメトキシシラン183g、フェニルトリメトキシシラン149g、ビニルトリメトキシシラン45g、及び1,4−ビス(ジメチルメトキシシリル)ベンゼン76gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、塩酸1.4gと水105gの溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、減圧して揮発成分を除去してポリマーを得た。得られたポリマーにヘキサン150gと酢酸エチル150gとを添加し、イオン交換水300gで10回洗浄を行い、減圧して揮発成分を除去してポリマー(H)を得た。
得られたポリマー(H)の数平均分子量(Mn)は1100であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(H)は、下記の平均組成式(1H)を有していた。
(Me3SiO1/2)0.09(HMe2SiO1/2)0.19(Ph2SiO2/2)0.26(PhSiO3/2)0.26(ViSiO3/2)0.10(Me4Si 2 PheO2/2)0.10 …式(1H)
上記式(1H)中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基、Pheはフェニレン基を示す。
得られたポリマー(H)のフェニル基とフェニレン基との合計の含有比率は51重量%であり、1H−NMRよりアルコキシル基の含有量は1.8モル%であった。
(合成例9)第1のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、トリメチルメトキシシラン94g、ジメチルジメトキシシラン99g、ジフェニルジメトキシシラン92g、及びビニルトリメトキシシラン133gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、水酸化カリウム0.8gを水108gに溶かした溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、反応液に酢酸0.9gを加え、減圧して揮発成分を除去し、酢酸カリウムをろ過により除去して、ポリマー(I)を得た。
得られたポリマー(I)の数平均分子量(Mn)は1800であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(I)は、下記の平均組成式(1I)を有していた。
(Me3SiO1/2)0.29(Me2SiO2/2)0.27(Ph2SiO2/2)0.13(ViSiO3/2)0.31 …式(1I)
上記式(1I)中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基を示す。
得られたポリマー(I)のフェニル基の含有比率は21重量%であり、1H−NMRよりアルコキシル基の含有量は1.9モル%であった。
(合成例10)第1のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、ジメチルジメトキシシラン180g、ジフェニルジメトキシシラン73g、ビニルメチルジメトキシシシラン119g、及び1,4−ビス(ジメチルメトキシシリル)ベンゼン76gを入れ、50℃で攪拌した。その中に、水酸化カリウム0.8gを水108gに溶かした溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、反応液に酢酸0.9gを加え、減圧して揮発成分を除去し、酢酸カリウムをろ過により除去して、ポリマー(J)を得た。
得られたポリマー(J)の数平均分子量(Mn)は3400であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(J)は、下記の平均組成式(1J)を有していた。
(Me2SiO2/2)0.49(Ph2SiO2/2)0.10(ViMeSiO2/2)0.31(Me4Si 2 PheO2/2)0.10 …式(1J)
上記式(1J)中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基、Pheはフェニレン基を示す。
得られたポリマー(J)のフェニル基とフェニレン基との合計の含有比率は22重量%であり、1H−NMRよりアルコキシル基の含有量は1.2モル%であった。
(合成例11)第2のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、トリメチルメトキシシラン31g、1,1,3,3−ヘキサメチルジシロキサン50g、ジメチルジメトキシシラン140g、ジフェニルジメトキシシラン59g、フェニルトリメトキシシラン48g、及びビニルトリメトキシシラン45gを入れ50℃で攪拌した。その中に、塩酸1.4gと水92gの溶液をゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、減圧して揮発成分を除去してポリマーを得た。得られたポリマーにヘキサン150gと酢酸エチル150gとを添加し、イオン交換水300gで10回洗浄を行い、減圧して揮発成分を除去してポリマー(K)を得た。
得られたポリマー(K)の数平均分子量(Mn)は600であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(K)は、下記の平均組成式(1K)を有していた。
(Me3SiO1/2)0.09(HMe2SiO1/2)0.24(Me2SiO2/2)0.38(Ph2SiO2/2)0.08(PhSiO3/2)0.10(ViSiO3/2)0.10 …式(1K)
上記式(1K)中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基を示す。
得られたポリマー(K)のフェニル基の含有比率は23重量%であり、1H−NMRよりアルコキシル基の含有量は2.3モル%であった。
(合成例12)他のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、トルエン250g、トリメチルクロロシラン65g、ジメチルジクロロシラン97g、ジフェニルジクロロシラン190g、及びビニルトリクロロシラン145gを入れ、25℃で攪拌した。その中に、水114gをゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、減圧して揮発成分を除去してポリマーを得た。得られたポリマーにヘキサン150gと酢酸エチル150gとを添加し、イオン交換水300gで10回洗浄を行い、減圧して揮発成分を除去してポリマー(L)を得た。
得られたポリマー(L)の数平均分子量(Mn)は2500であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(L)は、下記の平均組成式(1L)を有していた。
(Me3SiO1/2)0.20(Me2SiO2/2)0.25(Ph2SiO2/2)0.25(ViSiO3/2)0.30 …式(1L)
上記式(1L)中、Meはメチル基、Phはフェニル基、Viはビニル基を示す。
得られたポリマー(L)のフェニル基の含有比率は36重量%であり、1H−NMRよりアルコキシル基の含有量は0モル%であった。
(合成例13)他のシリコーン樹脂の合成
温度計、滴下装置及び攪拌機を備えた1000mLのセパラブルフラスコに、トルエン250g、トリメチルクロロシラン31g、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン50g、ジメチルジクロロシラン116g、及びフェニルトリクロロシラン222gを入れ、25℃で攪拌した。その中に、水101gをゆっくりと滴下し、滴下後に50℃で6時間攪拌し、反応させて、反応液を得た。次に、減圧して揮発成分を除去してポリマーを得た。得られたポリマーにヘキサン150gと酢酸エチル150gとを添加し、イオン交換水300gで10回洗浄を行い、減圧して揮発成分を除去してポリマー(M)を得た。
得られたポリマー(M)の数平均分子量(Mn)は2100であった。29Si−NMRより化学構造を同定した結果、ポリマー(M)は、下記の平均組成式(1M)を有していた。
(Me3SiO1/2)0.10(HMe2SiO1/2)0.24(Me2SiO2/2)0.29(PhSiO3/2)0.37 …式(1M)
上記式(1M)中、Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。
得られたポリマー(M)のフェニル基の含有比率は31重量%であり、1H−NMRよりアルコキシル基の含有量は0モル%であった。
(実施例1)
ポリマーA(10g)、ポリマーE(10g)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(封止剤中での白金金属の含有量が重量単位で10ppmとなる量)、及び酸化ケイ素微粒子(AEROSIL RY200、ポリジメチルシロキサン基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された酸化ケイ素粒子、比表面積120m2/g、日本アエロジル社製)0.4gを混合し、脱泡を行い、光半導体素子用封止剤を得た。
(実施例2)
ポリマーB(10g)、ポリマーE(10g)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(封止剤中での白金金属の含有量が重量単位で10ppmとなる量)、及び酸化ケイ素微粒子(AEROSIL RY200、ポリジメチルシロキサン基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された酸化ケイ素粒子、比表面積120m2/g、日本アエロジル社製)0.4gを混合し、脱泡を行い、光半導体素子用封止剤を得た。
(実施例3)
ポリマーC(10g)、ポリマーE(10g)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(封止剤中での白金金属の含有量が重量単位で10ppmとなる量)、及び酸化ケイ素微粒子(AEROSIL RY200、ポリジメチルシロキサン基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された酸化ケイ素粒子、比表面積120m2/g、日本アエロジル社製)0.4gを混合し、脱泡を行い、光半導体素子用封止剤を得た。
(実施例4)
ポリマーC(10g)、ポリマーE(10g)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(封止剤中での白金金属の含有量が重量単位で10ppmとなる量)、及び酸化ケイ素微粒子(AEROSIL R8200、トリメチルシリル基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された酸化ケイ素粒子、比表面積140m2/g、日本アエロジル社製)2gを混合し、脱泡を行い、光半導体素子用封止剤を得た。
(実施例5)
ポリマーC(10g)、ポリマーF(10g)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(封止剤中での白金金属の含有量が重量単位で10ppmとなる量)、及び酸化ケイ素微粒子(AEROSIL RY200、ポリジメチルシロキサン基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された酸化ケイ素粒子、比表面積120m2/g、日本アエロジル社製)0.4gを混合し、脱泡を行い、光半導体素子用封止剤を得た。
(実施例6)
ポリマーC(10g)、ポリマーG(10g)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(封止剤中での白金金属の含有量が重量単位で10ppmとなる量)、及び酸化ケイ素微粒子(AEROSIL RY200、ポリジメチルシロキサン基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された酸化ケイ素粒子、比表面積120m2/g、日本アエロジル社製)0.4gを混合し、脱泡を行い、光半導体素子用封止剤を得た。
(実施例7)
ポリマーC(10g)、ポリマーH(10g)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(封止剤中での白金金属の含有量が重量単位で10ppmとなる量)、及び酸化ケイ素微粒子(AEROSIL RY200、ポリジメチルシロキサン基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された酸化ケイ素粒子、比表面積120m2/g、日本アエロジル社製)0.4gを混合し、脱泡を行い、光半導体素子用封止剤を得た。
(実施例8)
ポリマーD(10g)、ポリマーE(10g)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(封止剤中での白金金属の含有量が重量単位で10ppmとなる量)、及び酸化ケイ素微粒子(AEROSIL RY200、ポリジメチルシロキサン基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された酸化ケイ素粒子、比表面積120m2/g、日本アエロジル社製)0.4gを混合し、脱泡を行い、光半導体素子用封止剤を得た。
(実施例9)
ポリマーD(10g)、ポリマーF(10g)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(封止剤中での白金金属の含有量が重量単位で10ppmとなる量)、及び酸化ケイ素微粒子(AEROSIL RY200、ポリジメチルシロキサン基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された酸化ケイ素粒子、比表面積120m2/g、日本アエロジル社製)0.4gを混合し、脱泡を行い、光半導体素子用封止剤を得た。
(実施例10)
ポリマーD(10g)、ポリマーG(10g)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(封止剤中での白金金属の含有量が重量単位で10ppmとなる量)、及び酸化ケイ素微粒子(AEROSIL RY200、ポリジメチルシロキサン基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された酸化ケイ素粒子、比表面積120m2/g、日本アエロジル社製)0.4gを混合し、脱泡を行い、光半導体素子用封止剤を得た。
(実施例11)
ポリマーD(10g)、ポリマーH(10g)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(封止剤中での白金金属の含有量が重量単位で10ppmとなる量)、及び酸化ケイ素微粒子(AEROSIL RY200、ポリジメチルシロキサン基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された酸化ケイ素粒子、比表面積120m2/g、日本アエロジル社製)0.4gを混合し、脱泡を行い、光半導体素子用封止剤を得た。
(実施例12)
ポリマーI(10g)、ポリマーE(10g)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(封止剤中での白金金属の含有量が重量単位で10ppmとなる量)、及び酸化ケイ素微粒子(AEROSIL RY200、ポリジメチルシロキサン基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された酸化ケイ素粒子、比表面積120m2/g、日本アエロジル社製)0.4gを入れ混合・脱泡を行い、光半導体素子用封止剤を得た。
(実施例13)
ポリマーJ(10g)、ポリマーE(10g)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(封止剤中での白金金属の含有量が重量単位で10ppmとなる量)、及び酸化ケイ素微粒子(AEROSIL RY200、ポリジメチルシロキサン基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された酸化ケイ素粒子、比表面積120m2/g、日本アエロジル社製)0.4gを入れ混合・脱泡を行い、光半導体素子用封止剤を得た。
(実施例14)
ポリマーA(10g)、ポリマーK(10g)、白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(封止剤中での白金金属の含有量が重量単位で10ppmとなる量)、及び酸化ケイ素微粒子(AEROSIL RY200、ポリジメチルシロキサン基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された酸化ケイ素粒子、比表面積120m2/g、日本アエロジル社製)0.4gを入れ混合・脱泡を行い、光半導体素子用封止剤を得た。
(比較例1)
ポリマーA(10g)、ポリマーE(10g)、及び白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(封止剤中での白金金属の含有量が重量単位で10ppmとなる量)を混合し、脱泡を行い、光半導体素子用封止剤を得た。
(比較例2)
ポリマーB(10g)、ポリマーE(10g)、及び白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(封止剤中での白金金属の含有量が重量単位で10ppmとなる量)を混合し、脱泡を行い、光半導体素子用封止剤を得た。
(比較例3)
ポリマーC(10g)、ポリマーE(10g)、及び白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(封止剤中での白金金属の含有量が重量単位で10ppmとなる量)を混合し、脱泡を行い、光半導体素子用封止剤を得た。
(比較例4)
ポリマーL(10g)、ポリマーM(10g)、及び白金の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(封止剤中での白金金属の含有量が重量単位で10ppmとなる量)、及び酸化ケイ素微粒子(AEROSIL RY200、ポリジメチルシロキサン基を有する有機ケイ素化合物により表面処理された酸化ケイ素粒子、比表面積120m2/g、日本アエロジル社製)0.4gを混合し、脱泡を行い、光半導体素子用封止剤を得た。
(評価)
(光半導体装置の作製)
銀めっきされたリード電極付きポリフタルアミド製ハウジング材に、ダイボンド材によって主発光ピークが460nmの発光素子が実装されており、発光素子とリード電極とが金ワイヤーで接続されている構造において、得られた光半導体装置用封止剤を注入し、150℃で2時間加熱して硬化させ、光半導体装置を作製した。この光半導体装置を用いて、下記のガス腐食試験及び熱衝撃試験を実施した。
(ガス腐食試験)
得られた光半導体装置を、40℃及び相対湿度90%RH雰囲気下のチャンバー内に入れ、硫化水素ガスの濃度が5ppm、二酸化硫黄ガスの濃度が15ppmとなるようにチャンバー内にガスを充填した。ガスの充填から、24時間後、48時間後、96時間後、168時間後及び500時間後にそれぞれ、銀めっきされたリード電極を目視で観察した。
銀めっきに変色が見られない場合を「○○」、銀めっきに茶褐色に変色した箇所が少しみられる場合を「○」、銀めっきのほとんどすべてが茶色に変色した場合を「△」、銀めっきのほとんどすべてが黒色に変色した場合を「×」と判定した。
(熱衝撃試験)
得られた光半導体装置を、液槽式熱衝撃試験機(「TSB−51」、ESPEC社製)を用いて、−50℃で5分間保持した後、135℃まで昇温し、135℃で5分間保持した後−50℃まで降温する過程を1サイクルとする冷熱サイクル試験を実施した。500サイクル後、1000サイクル及び1500サイクル後にそれぞれ20個のサンプルを取り出した。
実体顕微鏡(「SMZ−10」、ニコン社製)にてサンプルを観察した。20個のサンプルの光半導体装置用封止剤にそれぞれクラックが生じているか否か、又は光半導体装置用封止剤がパッケージ又は電極から剥離しているか否かを観察し、クラック又は剥離が生じたサンプルの数(NG数)を数えた。
(蛍光体入り封止剤の作製)
得られた各光半導体装置用封止剤10重量部に、蛍光体粉末(体積平均粒径17μm、比重4.7、「EY4254」、インタマティックス社製)0.8重量部入れて、攪拌し、脱泡し、光半導体装置用封止剤(以下、蛍光体入り封止剤と称することがある)を得た。
(蛍光体の沈降性)
得られた蛍光体入り封止剤を透明なガラス容器に入れて、150℃で2時間加熱して、封止剤を硬化させた。その後、硬化物中の蛍光体を目視で観察した。蛍光体の沈降がない場合を「○」、蛍光体の沈降がある場合を「△」、蛍光体の沈降が著しい場合を「×」と評価した。
(明るさの評価)
銀めっきされたリード電極付きポリフタルアミド製ハウジング材に、ダイボンド材によって主発光ピークが460nmの発光素子が実装されており、発光素子とリード電極とを金ワイヤーで電気的に接続されている光半導体素子に、得られた蛍光体入り封止剤を注入し、150℃で2時間加熱して硬化させ、光半導体装置を50個作製した。
50個の光半導体装置における発光素子にそれぞれ23℃で60mAの電流を流して、光測定装置(OL770、オプトロニックラボラトリーズ社製)を用いて光度を測定し、50個の平均値が5.3cd以上を「○」、5.3cd未満を「×」とした。
結果を下記の表1に示す。