JP5621272B2 - シリコーン樹脂組成物、およびこれを用いる光半導体封止体 - Google Patents
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Description
1. 1分子中に1つ以上の反応基を有する屈折率が1.42〜1.51のシリコーン樹脂と、平均粒径が200nm以下の球状の疎水性シリカとを含有するシリコーン樹脂組成物。
2. 前記疎水性シリカの量が、前記シリコーン樹脂および前記疎水性シリカの合計量中の10〜90質量%である上記1に記載のシリコーン樹脂組成物。
3. 前記反応基が、シラノール基、アルコキシシリル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、ハイドロジェンシリル基およびエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記1または2に記載のシリコーン樹脂組成物。
4. 前記シリコーン樹脂が、下記平均単位式:
(R1SiO3/2)a(R2 2SiO2/2)b(R3 3SiO1/2)c(SiO4/2)d(XO1/2)e
{式中、R1、R2、およびR3は同じかもしくは相異なる、アルキル基、アリール基、前記反応基であり、Xは水素原子もしくはアルキル基であり、aは正数であり、bは0もしくは正数であり、cは0もしくは正数であり、dは0もしくは正数であり、eは0もしくは正数であり、かつb/aは0〜10の数であり、c/aは0〜0.5の数であり、d/(a+b+c+d)は0〜0.3の数であり、e/(a+b+c+d)は0〜0.8の数である。}
で示されるシリコーンレジン、
または(メタ)アクリロイル基当量が450g/mol以下で(メタ)アクリロイル基が両末端、片末端、側鎖、もしくは側鎖および両末端に結合されたポリジメチルシロキサンである上記1〜3のいずれかに記載のシリコーン樹脂組成物。
5. LEDチップが上記1〜4のいずれかに記載のシリコーン樹脂組成物で封止されている光半導体封止体。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、1分子中に1つ以上の反応基を有する屈折率が1.42〜1.51のシリコーン樹脂と、平均粒径が200nm以下の球状の疎水性シリカとを含有する組成物である。本発明のシリコーン樹脂組成物を以下「本発明の組成物」という。
なかでも、透明性により優れ、硬化収縮を抑制し、耐熱性、硬化性に優れるという観点から、シラノール基、アルコキシシリル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、ハイドロジェンシリル基およびエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
また、透明性により優れ、硬化収縮を抑制し、耐熱着色安定性、耐熱性、耐光性に優れるという観点から、シラノール基、アルコキシシリル基、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、およびハイドロジェンシリル基からなる群から選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
アルコキシシリル基はケイ素原子に1個以上のアルコキシ基が結合するものであれば特に制限されない。例えば、トリメトキシシリル基のようなトリアルコキシ基;メチルジメトキシシリル基、エチルジメトキシシリル基のようなジアルコキシ基;ジメチルメトキシシリル基、ジエチルメトキシシリル基のようなモノアルコキシ基が挙げられる。
ハイドロジェンシリル基はケイ素原子に1個以上の水素原子が結合するものであれば特に制限されない。例えば、ハイドロジェンアルキルシリル基が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基は、(メタ)アクリロイルオキシ基であってもよい。
反応基はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
シリコーン樹脂は反応基をシリコーン樹脂の両末端、片末端、側鎖、およびこれらの組み合わせで有することができる。
下記平均単位式:(R1SiO3/2)a(R2 2SiO2/2)b(R3 3SiO1/2)c(SiO4/2)d(XO1/2)e
{式中、R1、R2、およびR3は同じかもしくは相異なる、アルキル基、アリール基、前記反応基であり、Xは水素原子もしくはアルキル基であり、aは正数であり、bは0もしくは正数であり、cは0もしくは正数であり、dは0もしくは正数であり、eは0もしくは正数であり、かつb/aは0〜10の数であり、c/aは0〜0.5の数であり、d/(a+b+c+d)は0〜0.3の数であり、e/(a+b+c+d)は0〜0.8の数である。}で示されるシリコーンレジンが好ましい。
シリコーン樹脂は透明性に優れるという観点から、その反応基当量が450g/mol以下であるのが好ましい。
なかでも、透明性に優れるという観点から、(メタ)アクリロイル基当量が450g/mol以下で(メタ)アクリロイル基が両末端、片末端、側鎖、もしくは側鎖および両末端に結合されたポリジメチルシロキサンが好ましい。
なお本発明において「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基およびメタクリロイル基のうちの一方または両方であることを意味する。
シリコーン樹脂はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。シリコーン樹脂はその製造について特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
本発明の組成物は疎水性シリカを含有することによって透明性、耐熱性に優れチクソ性を付与することができる。また、疎水性シリカを本発明の組成物に充填して硬化収縮を抑制することができる。
本発明の組成物は疎水性シリカを多量に含有することができる。疎水性シリカを本発明の組成物に多量に充填する場合、硬化収縮を特に抑制することができ、透明性が維持され、組成物を混合することが可能で作業性に優れる。
疎水性シリカはシリコーン樹脂中において疎水性シリカの1粒子が独立して分散するのが好ましい態様の1つとして挙げられる。また、疎水性シリカは表面が疎水処理されたシリカ球状微粒子であるのが好ましい態様の1つとして挙げられる。
疎水性シリカはその製造について特に制限されない。例えば、ゾルゲル法が挙げられる。疎水性シリカはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
添加剤としては、例えば、疎水性シリカ以外の充填剤、ラジカル開始剤、触媒(例えばジブチルスズラウレートのような錫触媒)、硬化剤、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、熱光安定剤、分散剤、帯電防止剤、重合禁止剤、消泡剤、硬化促進剤、溶剤、無機蛍光体、老化防止剤、ラジカル禁止剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定性改良剤、オゾン老化防止剤、増粘剤、可塑剤、放射線遮断剤、核剤、カップリング剤、導電性付与剤、リン系過酸化物分解剤、顔料、金属不活性化剤、物性調整剤が挙げられる。各種添加剤は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
加熱温度は、透明性により優れ、耐熱性、耐光性に優れ、硬化収縮を抑制するという観点から、80℃〜150℃付近で硬化させるのが好ましく、150℃付近がより好ましい。
本発明の組成物を硬化させる際に使用される光は特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
本発明の組成物を加熱して硬化させる場合、本発明の組成物を150℃の条件下で加熱した。
本発明の組成物を光照射で硬化させる場合、本発明の組成物に光照射装置(商品名:GS UVSYSTEM TYPE S250―01、ジーエス・ユアサ ライティング社製。光源としてメタルハイドロランプを使用し、積算光量1,800mJ/cm2で照射した。)で波長250〜380nmの紫外線を光量120mW/cmで40秒間照射し、積算光量1800mJ/cm2として、硬化物を得た(組成物を光照射で硬化させる場合は以下同様。)。
得られた硬化物(硬化物の厚さ:2mm)について、JIS K0115:2004に準じ紫外・可視吸収スペクトル測定装置(島津製作所社製、以下同様。)を用いて波長400nmにおいて硬化物の透過率を測定する。透過率が、70%以上であるのが好ましく、85%以上であるのがより好ましい。
本発明の組成物を加熱して硬化させる場合、本発明の組成物2gを容器に入れこれを150℃の条件下で24時間加熱し、硬化物を得た。
本発明の組成物を光照射で硬化させる場合、本発明の組成物2gを容器に入れこれを上記と同様にして硬化させ、硬化物を得た。
<収縮率の測定>
比重の測定には島津製作所社製マイクロメリティックスアキュピック1330を用いて、硬化前における組成物の比重、ならびに硬化後における硬化物の比重および重さを測定し、[(硬化前体積−硬化後体積)/硬化前体積]×100により体積収縮率を求めた。
体積収縮率は硬化物にクラックやハガレが発生しにくいという観点から、10%以下が好ましく5%以下がより好ましい。体積収縮率が10%より大きい場合クラックやハガレが発生するおそれがある。
本発明の組成物を適用することができる光半導体は特に制限されない。例えば、発光ダイオード(LED)、有機電界発光素子(有機EL)、レーザーダイオード、LEDアレイが挙げられる。
本発明の組成物の使用方法としては、例えば、被着体に本発明の組成物を付与し、本発明の組成物を硬化させる方法が挙げられる。
本発明の光半導体封止体は、LEDチップが本発明のシリコーン樹脂組成物で封止されているものである。
本発明の光半導体封止体に使用されるLEDチップはその発光色について特に制限されない。例えば、白色、青色、赤色、緑色が挙げられる。本発明の光半導体封止体は、LEDチップからの硬化時に硬化収縮を抑制することができ、クラック、ハクリを抑制、さらに耐熱性、耐光性に優れる)という観点から、白色LEDに対して適用することができる。
白色LEDは特に制限されない。例えば従来公知のものが挙げられる。
LEDチップの大きさ、形状は特に制限されない。また、LEDチップの種類は、特に制限されず、例えば、ハイパワーLED、高輝度LED、汎用輝度LEDが挙げられる。
本発明の光半導体封止体は、1個の光半導体封止体の内部にLEDチップを少なくとも1個以上有するものであり、2個以上のLEDチップを有することができる。
図1において、光半導体封止体200は基板210の上にパッケージ204を有する。
パッケージ204には、内部にキャビティー202が設けられている。キャビティー202内には、LEDチップ203と硬化物202とが配置されている。硬化物202および/または斜線部206を本発明の組成物を硬化させたものとすることができる。
LEDチップ203は、基板210上にマウント部材201で固定されている。LEDチップ203の各電極(図示せず。)と外部電極209とは導電性ワイヤー207によってワイヤーボンディングさせている。
図2において、LED表示器400は、LEDチップ401を筐体404の内部にマトリックス状に配置し、LEDチップ401を硬化物406で封止し、筐体404の一部に遮光部材405を配置して構成されている。本発明の組成物を硬化物406に使用することができる。また、LEDチップ401として例えば図1に示すような本発明の光半導体封止体を使用することができる。
<シリコーン樹脂の製造>
(A−3)の製造法
窒素気流中で三口フラスコに信越化学社製シラノール基を有するシリコーンレジンKR−242A(シラノール基を有するシリコーンレジン)、重量平均分子量4000)100g、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM503、信越化学工業社製)120g、酢酸0.1gを投入し80℃48hr攪拌し120℃3hr程度減圧することによってメタクリルオキシプロピルメトキシシラン残渣を取除きメタクリル化シリコーンレジンとした。
得られた反応物について1H−NMR分析を行い、シラノール基が消失し、メタクリルオキシプロピルジメトキシシリル基があることを確認した。得られたメタクリル化シリコーンレジンをシリコーン樹脂(A)−3とする。
両端にヒドロキシ基を有するポリジメチルシロキサン(重量平均分子量28,000、商品名ss70、信越化学工業社製)100質量部、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(商品名KBM503、信越化学工業社製。以下同様。)4質量部、および触媒として2エチルヘキサノエートスズ(関東化学社製)0.01質量部を反応容器に入れ、圧力を10mmHg、温度を60℃に保ちながら6時間反応させた。
得られた反応物について1H−NMR分析を行い、ポリジメチルシロキサンの両末端のシラノール基が消失し、両末端がメタクリルオキシプロピルジメトキシシリル基であることを確認した。得られたポリジメチルシロキサンをシリコーン樹脂(A)−6とする。
シリコーン樹脂(A)−6の重量平均分子量は、クロロホルムを溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で35,000であった。
以下に示す方法で、透過率、透明性、硬化収縮、クラック、作業性について評価した。結果を第1表に示す。
(1)加熱硬化の場合(組成物が錫触媒またはカチオン重合開始剤を含有する場合)
下記のようにして得られた組成物を電気オーブンに入れて150℃の条件下で加熱し硬化物を得た。
(2)光照射による硬化の場合(組成物がラジカル開始剤を含有する場合)
下記のようにして得られた組成物に上記と同様の光照射装置を用いて上記と同様の条件で光照射し、硬化物を得た。
(3)透過率の測定
得られた硬化物(硬化物の厚さ:2mm)について、JIS K0115:2004に準じ紫外・可視吸収スペクトル測定装置(島津製作所社製、以下同様。)を用いて波長400nmにおいて硬化物の透過率を測定した。
上記透過率の評価で製造された硬化物と同じ硬化物を目視で観察して、硬化物が透明である場合を「○」、透明ではない場合を「×」とした。
本発明の組成物2gを、透過率を評価する際と同様にして、加熱硬化または光硬化させ、硬化物を得た。
<収縮率の測定>
比重の測定には島津製作所社製マイクロメリティックスアキュピック1330を用いて、硬化前における組成物の比重、ならびに硬化後における硬化物の比重および重さを測定し、[(硬化前体積−硬化後体積)/硬化前体積]×100により体積収縮率を求めた。
体積収縮率は硬化物にクラックやハガレが発生しにくいという観点から、10%以下が好ましく5%以下がより好ましい。体積収縮率が10%より大きい場合クラックやハガレが発生するおそれがある。
硬化性樹脂組成物の作業性の評価は、作業性に問題がなく取り扱える(組成物が均一に混合できる)場合は○、作業性が悪く取り扱えない場合は×とした。
サンプルの作製について添付の図面を用いて以下に説明する。
図3は、実施例において本発明の組成物を硬化させるために使用した型を模式的に表す断面図である。
図3において、型8は、ガラス3(ガラス3の大きさは、縦10cm、横10cm、厚さ4mm)の上にPETフィルム5が配置され、PETフィルム5の上にシリコンモールドのスペーサー1(縦5cm、横5cm、高さ2mm)を配置されているものである。
型8を用いてスペーサー1の内部6に組成物6を流し込み、次のとおりサンプルの硬化を行った。
下記第1表に示す成分を同表に示す量(単位:質量部)で真空かくはん機を用いて均一に混合し組成物を製造した。
なお、シリコーン樹脂(A)−1〜3、7の主鎖は分岐型ポリシロキサンレジンである。シリコーン樹脂(A)−4〜6,8,9は、主鎖が直鎖状ポリジメチルシロキサンであり、(A)−4、6は両末端にメタクリロイル基、(A)−5は両末端にシラノール基、(A)−8は両末端に脂環式エポキシ基、(A)−9は両末端にアルコキシル基を有する。
これに対して、実施例1〜3、参考例1、2は、透明で、多量の疎水性シリカを含有することができ、硬化収縮を抑制することができ耐熱性に優れ、作業性に優れ、クラックを発生させにくい。
本発明のシリコーン樹脂組成物は、透明性を保持しつつ充填剤を添加できるため、無色透明でチクソ性に優れ、硬化収縮を抑制しクラックを発生させにくい。
本発明によれば、無色透明で、耐熱性に優れ、硬化収縮を抑制してクラックを生じにくい光半導体封止体を得ることができる。
5 PETフィルム
6 本発明の組成物(内部、硬化後硬化物6となる)
8 型
200、400 本発明の光半導体封止体
201 マウント部材
202 キャビティー、硬化物 203 LEDチップ
204 パッケージ 206 斜線部
207 導電性ワイヤー
209 外部電極 210 基板
401 LEDチップ 404 筐体
405 遮光部材 406 硬化物
Claims (3)
- 1分子中に1つ以上の反応基を有する屈折率が1.42〜1.51のシリコーン樹脂と、平均粒径が200nm以下の球状の疎水性シリカ(ヒュームドシリカを除く。)とを含有し、
前記反応基が、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基およびエポキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記疎水性シリカの量が、前記シリコーン樹脂および前記疎水性シリカの合計量中の10〜50質量%であり、
前記シリコーン樹脂が、下記平均単位式:
(R 1 SiO 3/2 )a(R 2 2 SiO 2/2 )b(R 3 3 SiO 1/2 )c(SiO 4/2 )d(XO 1/2 )e
{式中、R 1 、R 2 、およびR 3 は同じかもしくは相異なる、アルキル基、アリール基、前記反応基であり、Xは水素原子もしくはアルキル基であり、aは正数であり、bは0もしくは正数であり、cは0もしくは正数であり、dは0もしくは正数であり、eは0もしくは正数であり、かつb/aは0〜10の数であり、c/aは0〜0.5の数であり、d/(a+b+c+d)は0〜0.3の数であり、e/(a+b+c+d)は0〜0.8の数である。}
で示されるシリコーンレジン、
または、前記反応基を両末端、片末端、側鎖、もしくはこれらの組み合わせで有するポリジメチルシロキサンであり、
前記シリコーン樹脂の数平均分子量が、100000以下である、シリコーン樹脂組成物。 - 前記反応基の数が、前記シリコーン樹脂1分子中、2〜6個である、請求項1に記載のシリコーン樹脂組成物。
- LEDチップが請求項1又は2に記載のシリコーン樹脂組成物で封止されている光半導体封止体。
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