JP5912352B2 - 多面体構造ポリシロキサン変性体、該変性体を含有する組成物、該組成物を硬化させてなる硬化物 - Google Patents

多面体構造ポリシロキサン変性体、該変性体を含有する組成物、該組成物を硬化させてなる硬化物 Download PDF

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本発明は、高い耐熱性、耐光性を有し、ガスバリア性および耐冷熱衝撃性に優れ、かつ、光半導体素子を封止する際のハンドリング性が良好なポリシロキサン系組成物に関する。
ポリシロキサン系組成物は、耐熱性、耐寒性、耐候性、耐光性、化学的安定性、電気特性、難燃性、耐水性、透明性、着色性、非粘着性、非腐食性に優れており、様々な産業で利用されている。中でも、多面体構造を有するポリシロキサンで構成された組成物は、その特異的な化学構造から、さらに優れた耐熱性、耐光性、化学的安定性、低誘電性等を示すことが知られている。
多面体構造を有するポリシロキサンを用いた応用例として、光半導体素子封止剤用途への展開を意図したものがあり、例えば特許文献1において、2つ以上のオキセタニル基を有する多面体構造を有するポリシロキサン樹脂と1つ以上のエポキシ基を含有する脂肪族炭化水素とカチオン重合開始剤とを含有する多面体構造を有するポリシロキサン系組成物が開示されており、この材料は高屈折で光の取り出し効率が高い。しかしながら、オキセタニル基やエポキシ基を有しているため、耐熱性、耐光性が低い問題があった。
また、ポリシロキサン系組成物は優れた特性を持つ一方で、一般にガスバリア性が低いといった問題点を有している。そのため、光半導体素子封止剤用途で用いた場合、リフレクターが硫化物によって黒色化する問題があり、この問題に対して、例えば特許文献2では、予め金属部材をガスバリア性の高いアクリル系樹脂でコーティング処理を行っている。しかしながら、アクリル系樹脂でコーティング処理を行った後に、別途シリコーン樹脂で封止する等、手間がかかり、生産性に問題があった。
また、光半導体素子封止剤用途においては、白色光を得るために、青色の発光素子に対して黄色の蛍光体を含有させた封止剤を用いる、あるいは、より演色性を高めるために、青色の発光素子に対して緑色の蛍光体と赤色の蛍光体とを含有させた封止剤を用いる等の手段を用いるが、封止剤の粘度が低い場合には、封止剤のハンドリング時に蛍光体の沈降が起こり、発光色のバラツキが発生するといった問題があった。この問題に対して、例えば特許文献3では、多面体構造を有するポリシロキサンをスチレンで変性する方法が開示されており、該変性体を使用した硬化物は、成型加工性、透明性、耐熱・耐光性、耐クラック性に優れ、またスチレンの使用量により、変性体の粘度調整が可能である。しかしながら、この方法では、ガスバリア性および、高い耐熱・耐光性を両立させることが困難であることが分かり、更なる改良の余地が残されていた。
以上のように、高い耐熱性、耐光性を有し、耐冷熱衝撃性およびガスバリア性に優れ、かつ、光半導体素子を封止する際のハンドリング性が良好な材料の開発が望まれていた。
特開2008−163260 特開2009−206124 特開2009−149976
高い耐熱性、耐光性を有し、ガスバリア性および耐冷熱衝撃性に優れ、かつ、光半導体素子を封止する際のハンドリング性が良好な多面体構造ポリシロキサン変性体、該変性体を含有するポリシロキサン系組成物、該組成物を硬化させてなる硬化物を提供する。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、
アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)、ヒドロシリル基を有する化合物(b)、1分子中に炭素−炭素2重結合を1個有する環状オレフィン化合物(c)、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(d)とをヒドロシリル化反応させて得られる多面体構造ポリシロキサン変性体により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の構成を有するものである。
1).アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)、ヒドロシリル基を有する化合物(b)、1分子中に炭素−炭素2重結合を1個有する環状オレフィン化合物(c)、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(d)とをヒドロシリル化反応させて得られる多面体構造ポリシロキサン変性体。
2).1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(d)が、アリール基を1個以上有する有機ケイ素化合物であることを特徴とする1)に記載の多面体構造ポリシロキサン変性体。
3).温度20℃において、液状であることを特徴とする、1)または2)に記載の多面体構造ポリシロキサン変性体。
4).ヒドロシリル基を有する化合物(b)が、ヒドロシリル基を有する環状シロキサンおよび/または直鎖状シロキサンであることを特徴とする、1)〜3)のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン変性体。
5).アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)が、式
[AR SiO−SiO3/2][R SiO−SiO3/2]
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Aは、アルケニル基;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)
で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物であることを特徴とする、1)〜4)のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン変性体。
6).式 [XR SiO−SiO3/2][R SiO−SiO3/2]
[a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、アルケニル基、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基、Xは、下記一般式(1)あるいは一般式(2)のいずれかの構造を有し、Xが複数ある場合は一般式(1)あるいは一般式(2)の構造が異なっていても良く、また、一般式(1)、あるいは一般式(2)の構造が混在していても良い。Xは、一般式(1)および/または一般式(2)を少なくとも1つ有する。
Figure 0005912352
Figure 0005912352
{lは2以上の整数;mは0以上の整数;nは2以上の整数;YおよびZは水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位、もしくは、下記一般式(3)の構造、もしくは、下記一般式(4)の構造であり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、YあるいはZの少なくとも1つは水素原子であり、少なくとも1つは下記一般式(3)の構造であり、少なくとも1つは下記一般式(4)の構造である。
Figure 0005912352
(qは0以上の整数;Rは環状オレフィン化合物)、
Figure 0005912352
(rは1以上の整数;Rは有機ケイ素化合物を含有する基)Rは、アルキル基またはアリール基。}で表されるシロキサン単位から構成されることを特徴とする多面体構造ポリシロキサン変性体。
7).Rがアリール基を1個以上含有することを特徴とする6)に記載の多面体構造ポリシロキサン変性体。
8).1)〜7)のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン変性体を含有するポリシロキサン系組成物。
9).1)〜7)のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン変性体、1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンとからなるポリシロキサン系組成物。
10).1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンが、アリール基を1個以上有することを特徴とする、9)に記載のポリシロキサン系組成物。
11).温度23℃において、1Pa・s以上の粘度を有することを特徴とする、8)〜10)のいずれか1項に記載のポリシロキサン系組成物。
12).ヒドロシリル化触媒を含有することを特徴とする、8)〜11)のいずれか1項に記載のポリシロキサン系組成物。
13).硬化遅延剤を含有することを特徴とする、8)〜12)のいずれか1項に記載のポリシロキサン系組成物。
14).8)〜13)のいずれか1項に記載のポリシロキサン系組成物を硬化させてなる硬化物。
15).40℃、湿度90%での透湿度が30g/m/24h以下であることを特徴とする14)に記載の硬化物。
高い耐熱性、耐光性を有し、ガスバリア性および耐冷熱衝撃性に優れ、かつ、光半導体素子を封止する際のハンドリング性が良好なポリシロキサン系組成物を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)>
本発明におけるアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)は、分子中にアルケニル基を有する、多面体骨格を有するポリシロキサンであれば、特に限定はない。具体的に、例えば、以下の式
[RSiO3/2[RSiO3/2
(x+yは6〜24の整数;xは1以上の整数、yは0または1以上の整数;Rはアルケニル基、または、アルケニル基を有する基;Rは、任意の有機基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)
で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物を好適に用いることができ、さらには、式
[AR SiO−SiO3/2][R SiO−SiO3/2]
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Aは、アルケニル基;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)
で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物が好ましいものとして例示される。
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性の観点から、ビニル基が好ましい。
は、アルキル基またはアリール基である。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が例示され、また、アリール基としては、フェニル基、トリル基等のアリール基が例示される。本発明におけるRとしては、耐熱性・耐光性の観点から、メチル基が好ましい。
は、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基である。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が例示され、また、アリール基としては、フェニル基、トリル基等のアリール基が例示される。本発明におけるRとしては、耐熱性・耐光性の観点から、メチル基が好ましい。
aは1以上の整数であれば、特に制限はないが、化合物の取り扱い性や得られる硬化物の物性から、2以上が好ましく、3以上がさらに好ましい。また、bは、0または1以上の整数であれば、特に制限はない。
aとbの和(=a+b)は、6〜24の整数であるが、化合物の安定性、得られる硬化物の安定性の観点から、6〜12、さらには、6〜10であることが好ましい。
(a)成分の合成方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いて合成することができる。合成方法としては、例えば、RSiX (式中Rは、上述のR、Rを表し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基等の加水分解性官能基を表す)のシラン化合物の加水分解縮合反応によって、得られる。または、RSiX の加水分解縮合反応によって分子内に3個のシラノール基を有するトリシラノール化合物を合成したのち、さらに、同一もしくは異なる3官能性シラン化合物を反応させることにより閉環し、多面体構造ポリシロキサンを合成する方法も知られている。
その他にも、例えば、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランを4級アンモニウムヒドロキシド等の塩基存在下で加水分解縮合させる方法が挙げられる。本合成方法においては、テトラアルコキシシランの加水分解縮合反応により、多面体構造を有するケイ酸塩が得られ、さらに得られたケイ酸塩をアルケニル基含有シリルクロライド等のシリル化剤と反応させることにより、多面体構造を形成するSi原子とアルケニル基とが、シロキサン結合を介して結合した多面体構造ポリシロキサンを得ることが可能となる。本発明においては、テトラアルコキシランの替わりに、シリカや稲籾殻等のシリカを含有する物質からも、同様の多面体構造ポリシロキサンを得ることが可能である。
<ヒドロシリル基を有する化合物(b)>
本発明で用いるヒドロシリル基を有する化合物(b)は、分子中に1個以上のヒドロシリル基を有していれば特に制限はないが、得られる多面体構造ポリシロキサン変性体の透明性、耐熱性、耐光性の観点から、ヒドロシリル基を有するシロキサン化合物であることが好ましく、さらには、ヒドロシリル基を有する環状シロキサンあるいは直鎖状ポリシロキサンであることが好ましい。特にガスバリア性や耐青色レーザー性の観点からは、環状シロキサンであることが好ましい。
ヒドロシリル基を有する直鎖状ポリシロキサンとしては、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサンなどが例示される。
特に、ヒドロシリル基を有する直鎖状ポリシロキサンとしては、変性させる際の反応性や得られる硬化物の耐熱性、耐光性等の観点から、ジメチルハイドロジェンシリル基で分子末端が封鎖されたポリシロキサン、さらにはジメチルハイドロジェンシリル基で分子末端が封鎖されたポリジメチルシロキサンを好適に用いることができ、具体的に例えば、テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサンなどが、好ましい例として例示される。
ヒドロシリル基を有する環状シロキサンとしては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサンなどが例示される。本発明における環状シロキサンとしては、工業的入手性および反応性、あるいは、得られる硬化物の耐熱性、耐光性、強度等の観点から、具体的に例えば、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを好適に用いることができる。
これら、ヒドロシリル基を有する化合物(b)は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ヒドロシリル基を有する化合物(b)の添加量は、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)のアルケニル基1個あたり、(b)成分のSi原子に直結した水素原子の数が1個より多いことが好ましく、さらに好ましくは2.5〜20個になるように用いることであるが、化合物に依存する。添加量が少ないと、架橋反応によりゲル化が生じてハンドリング性の劣る多面体構造ポリシロキサン変性体となり、多すぎると、多面体構造ポリシロキサン変性体を用いて得られる硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
<1分子中に炭素-炭素2重結合を1個有する環状オレフィン化合物(c)>
本発明における1分子中に炭素−炭素2重結合を1個有する環状オレフィン化合物(c)はヒドロシリル基を有する化合物(b)のヒドロシリル基とヒドロシリル化反応する。(c)成分を用いることで、得られる硬化物の弾性率を低下させることができ、さらに、耐冷熱衝撃性、破壊強度、ガスバリア性等を向上することができる。
本発明における(c)成分は、1分子中に炭素−炭素2重結合を1個有する環状オレフィン化合物であればよく、この炭素−炭素2重結合は、ビニレン基、ビニリデン基、アルケニル基のいずれであってもよい。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性の観点から、ビニル基が好ましい。
また、本発明における(c)成分は、平均分子量が1000以下であることが(b)成分との反応性の観点から好ましい。このような環状オレフィン化合物として、脂肪族環状オレフィン化合物、置換脂肪族環状オレフィン化合物等が挙げられる。
脂肪族環状オレフィン化合物として、具体的に例えば、シクロへキセン、シクロへプテン、シクロオクテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘプタン、ビニルシクロオクタン、アリルシクロヘキサン、アリルシクロヘプタン、アリルシクロオクタン、メチレンシクロヘキサン等が挙げられる。
置換脂肪族環状オレフィン化合物として、具体的に例えば、ノルボルネン、1−メチルノルボルネン、2−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、2−ビニルノルボルナン、7−ビニルノルボルナン、2−アリルノルボルナン、7−アリルノルボルナン、2−メチレンノルボルナン、7−メチレンノルボルナン、カンフェン、ビニルノルカンフェン、6−メチル−5−ビニル−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、3−メチル−2−メチレン−ビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、α−ピネン、β−ピネン、6、6−ジメチル−ビシクロ〔3,1,1〕−2−ヘプタエン、2−ビニルアダマンタン、2−メチレンアダマンタン等が挙げられる。
中でも入手性の観点から、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ノルボルネン、カンフェン、ピネンが好ましい例として挙げられる。
これら、1分子中に炭素−炭素2重結合を1個有する環状オレフィン化合物(c)は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
1分子中に炭素−炭素2重結合を1個有する環状オレフィン化合物(c)の添加量は、後述のヒドロシリル基を有する化合物(b)のヒドロシリル基1個あたり、(c)成分の炭素−炭素2重結合の数が、0.01〜0.5個になるように用いることが好ましい。添加量が少ないと、得られる硬化物の耐冷熱衝撃性が低下する場合があり、添加量が多いと、得られる硬化物に硬化不良が生じる場合がある。
<1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(d)>
本発明における1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(d)は、前述のヒドロシリル基を有する化合物(b)とヒドロシリル化反応する。(d)成分を用いることで、得られる硬化物の弾性率を低下させることができ、耐冷熱衝撃性を向上させることができる。また、(d)成分を用いることで、得られる硬化物のガスバリア性が向上することもある。
本発明における(d)成分は、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物であれば特に限定はされないが、1分子中に少なくともアリール基を1個以上含有していることが、ガスバリア性や屈折率の観点から好ましく、さらには、該アリール基が直接ケイ素原子に結合していることが、耐熱性、耐光性の観点から、さらに好ましい。
本発明における(d)成分は、耐熱性、耐光性の観点から、シラン、またはポリシロキサンであることが好ましい。このような(d)成分は、具体的に例えば、ビニルトリメチルシラン、ビニルジメチルフェニルシラン、ビニルジフェニルメチルシラン、ビニルトリフェニルシラン、ビニルトリエチルシラン、ビニルジエチルフェニルシラン、ビニルジフェニルエチルシラン、アリルジメチルフェニルシラン、アリルジフェニルメチルシラン、アリルトリフェニルシラン、アリルジエチルフェニルシラン、アリルジフェニルエチルシラン等が例示される。中でも、耐熱・耐光性の観点からビニルトリメチルシラン、ビニルジメチルフェニルシラン、ビニルジフェニルメチルシラン、ビニルトリフェニルシランが好ましい例として挙げられる。
(d)成分がポリシロキサンである場合、アルケニル基を1個有する直鎖構造のポリシロキサン、分子末端にアルケニル基を1個有するポリシロキサン、アルケニル基を1個有する環状シロキサン等が例示される。
また(d)成分が、アルケニル基を1個有する直鎖構造のポリシロキサンである場合、具体的に例えば、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリメチルフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたジメチルシロキサン単位とメチルフェニルシロキサン単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたジメチルシロキサン単位とジフェニルシロキサン単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたメチルフェニルシロキサン単位とジフェニルシロキサン単位との共重合体、ジエチルビニルシリル基とトリエチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジエチルビニルシリル基とトリエチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリメチルフェニルシロキサン、ジエチルビニルシリル基とトリエチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジエチルビニルシリル基とトリエチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたジメチルシロキサン単位とメチルフェニルシロキサン単位との共重合体、ジエチルビニルシリル基とトリエチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたジメチルシロキサン単位とジフェニルシロキサン単位との共重合体等が例示される。中でも、耐熱・耐光性の観点から、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリメチルフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたジメチルシロキサン単位とメチルフェニルシロキサン単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたジメチルシロキサン単位とジフェニルシロキサン単位との共重合体が好ましい例として挙げられる。
また(d)成分が、分子末端にアルケニル基を1個有するポリシロキサンである場合、具体的に例えば、先に例示したジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端が1個ずつ封鎖されたポリシロキサン、SiO単位、SiO3/2単位、SiO単位、SiO1/2単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位および1つのジメチルビニルシロキサン単位からなるポリシロキサン、ジエチルビニルシリル基で末端が1個封鎖されたポリシロキサンで、該ポリシロキサンがSiO単位、SiO3/2単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサン等が例示される。中でも、耐熱・耐光性の観点から、ジメチルビニルシリル基で末端が1個封鎖されたポリシロキサンで、該ポリシロキサンがSiO単位、SiO3/2単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンが好ましい例として挙げられる。
また(d)成分が、アルケニル基を1個有する環状シロキサンである場合、具体的に例えば、1−ビニル−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3−フェニル−1,3,5,5,7,7−ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3,5−ジフェニル−1,3,5,7,7−ペンタメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3,5,7−トリフェニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタエチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3−フェニル−1,3,5,5,7,7−ヘキサメエチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3,5−ジフェニル−1,3,5,7,7−ペンタエチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3,5,7−トリフェニル−1,3,5,7−テトラエチルシクロテトラシロキサン等が例示される。中でも、耐熱・耐光性の観点から、1−ビニル−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3−フェニル−1,3,5,5,7,7−ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3,5−ジフェニル−1,3,5,7,7−ペンタメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3,5,7−トリフェニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンが好ましい例として挙げられる。
これら(d)成分である、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(d)の添加量は、ヒドロシリル基を有する化合物(b)成分のヒドロシリル基1個あたり、(d)成分のSi原子に直結したアルケニル基の数が0.01〜0.5個になるように用いることが好ましい。添加量が少ないと、得られる硬化物の耐冷熱衝撃性が低下する場合があり、添加量が多いと、得られる硬化物に硬化不良が生じる場合がある。
<多面体構造ポリシロキサン変性体>
本発明の多面体構造ポリシロキサン変性体は、後述のヒドロシリル化触媒の存在下、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)、1分子中に炭素-炭素2重結合を1個有する環状オレフィン化合物(c)、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(d)を、ヒドロシリル基を有する化合物(b)とヒドロシリル化反応させることにより得られる。
本発明の多面体構造ポリシロキサン変性体を得る方法としては、特に限定されず種々設定できるが、例えば、予め(a)成分と(b)成分を反応させた後に、(c)成分、(d)成分と反応させる方法や、予め(c)成分と(d)成分を共存させて(b)成分と反応させた後に、(a)成分と反応させる方法や、(a)成分と(c)成分と(d)成分を共存させて(b)成分を反応させる方法等が挙げられる。各反応の終了後に、例えば減圧・加熱条件下にて、揮発性の未反応成分を留去し、目的物あるいは次のステップへの中間体として用いても良い。
中でも、(b)成分と(c)成分のみから得られる生成物や、(b)成分と(d)成分のみから得られる生成物や、(c)成分と(d)成分と(b)成分のみから得られる生成物を抑制するには、予め(a)成分と(b)成分を反応させ、未反応の(b)成分を留去した後に、(c)成分、(d)成分と反応させる方法が好ましい。また、反応の利便性や、耐クラック性を向上するには、(a)成分と(c)成分と(d)成分を共存させて(b)成分を反応させる方法が好ましい。
こうして得られた多面体構造ポリシロキサン変性体には、反応に用いた(b)成分のヒドロシリル基が一部残存していてもよい。
多面体構造ポリシロキサン変性体の合成時に用いるヒドロシリル化触媒の添加量としては特に制限はないが、反応に用いる(a)成分および(c)成分および(d)成分のアルケニル基1モルに対して10−1〜10−10モルの範囲で用いるのがよい。好ましくは10−4〜10−8モルの範囲で用いるのがよい。ヒドロシリル化触媒が多いと、ヒドロシリル化触媒の種類によっては、短波長の光に吸収を示すため、着色原因になったり、得られる硬化物の耐光性が低下する恐れがあり、また、硬化物が発泡する恐れもある。また、ヒドロシリル化触媒が少ないと、反応が進まず、目的物が得られない恐れがある。
ヒドロシリル化反応の反応温度としては、30〜400℃、さらに好ましくは、40〜250℃であることが好ましく、より好ましくは、45〜140℃である。温度が低すぎると反応が十分に進行せず、温度が高すぎると、ゲル化が生じ、ハンドリング性が悪化する恐れがある。
このようにして得られた多面体構造ポリシロキサン変性体は、各種化合物、特にはシロキサン系化合物との相溶性を確保でき、さらに、分子内にヒドロシリル基が導入されていることから、各種アルケニル基を有する化合物と反応させることが可能となる。具体的には、後述の1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンと反応させることにより、硬化物を得ることができる。
また、本発明における多面体構造ポリシロキサン変性体は、温度20℃において液状とすることも可能である。多面体構造ポリシロキサン変性体を液状とすることで、ハンドリング性に優れることから好ましい。
本発明における多面体構造ポリシロキサン変性体は、式
[XR SiO−SiO3/2][R SiO−SiO3/2]
[a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、アルケニル基、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基、Xは、下記一般式(1)あるいは一般式(2)のいずれかの構造を有し、Xが複数ある場合は一般式(1)あるいは一般式(2)の構造が異なっていても良く、また、一般式(1)あるいは一般式(2)の構造が混在していても良い。Xは、一般式(1)および/または一般式(2)を少なくとも1つ有する。
Figure 0005912352
Figure 0005912352
{lは2以上の整数;mは0以上の整数;nは2以上の整数;YおよびZは水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位、もしくは、下記一般式(3)の構造、もしくは、下記一般式(4)の構造であり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、YあるいはZの少なくとも1つは水素原子であり、少なくとも1つは下記一般式(3)の構造であり、少なくとも1つは下記一般式(4)の構造である。
Figure 0005912352
(qは0以上の整数;Rは環状オレフィン化合物)、
Figure 0005912352
(rは1以上の整数;Rは有機ケイ素化合物を含有する基)Rは、アルキル基またはアリール基。}
で表されるシロキサン単位から構成される多面体構造ポリシロキサン系化合物である。中でもRは、アリール基を1個以上有することが、ガスバリア性の観点から好ましい。
このようにして得られた多面体構造ポリシロキサン変性体は、(a)〜(d)成分の添加量、反応順序、反応時間、反応温度等を制御することにより、多面体構造ポリシロキサン変性体の粘度制御が可能である。また、多面体構造ポリシロキサン変性体の粘度制御を行うことで、後述のポリシロキサン系組成物の粘度を調整することも可能である。多面体構造ポリシロキサン変性体の粘度に関しては、特に限定されないが、多面体構造ポリシロキサン変性体が温度20℃において液状である場合、温度20℃における粘度が、0.01Pa・s〜300Pa・sであることが好ましく、さらに好ましくは1Pa・s〜100Pa・sである。多面体構造ポリシロキサン変性体の粘度が低すぎると後述のポリシロキサン系組成物の粘度が低くなり、蛍光体等の添加剤が分散せずに沈降する恐れがある。また、粘度が高すぎるとハンドリング性が悪化する恐れがある。
<1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン>
本発明における1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンのシロキサンのユニット数は、特に限定されないが、2つ以上が好ましく、さらに好ましくは、2〜10個である。1分子中のシロキサンのユニット数が少ないと、組成物から揮発しやすくなり、硬化後に所望の物性が得られないことがある。また、シロキサンのユニット数が多いと、得られた硬化物のガスバリア性が低下する場合がある。
本発明における1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンは、アリール基を有していることが、ガスバリア性の観点から好ましい。また、アリール基を有する1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンは、耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上に直接アリール基が結合していることが好ましい。また、アリール基は分子の側鎖または末端いずれにあってもよく、このようなアリール基含有ポリシロキサンの分子構造は限定されず、例えば直鎖状、分岐鎖状、一部分岐鎖状を有する直鎖状の他に、環状構造を有してもよい。
このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、3−イソブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、3−tブチルフェニル基、4−tブチルフェニル基、3−ペンチルフェニル基、4−ペンチルフェニル基、3−ヘキシルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,3−ジエチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,5−ジエチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、3,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、ビフェニル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,4,5−トリメチルフェニル基、3−エポキシフェニル基、4−エポキシフェニル基、3−グリシジルフェニル基、4−グリシジルフェニル基等が挙げられる。中でも、耐熱・耐光性の観点から、フェニル基が好ましい例として挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上併用して用いてもよい。
本発明における1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンとしては、耐熱性、耐光性の観点から、アルケニル基を2個以上有する直鎖状ポリシロキサン、分子末端にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン、アルケニル基を2個以上有する環状シロキサンなどが好ましい例として挙げられる。
アルケニル基を2個以上有する直鎖状ポリシロキサンの具体例としては、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサンなどが例示される。
分子末端にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンの具体例としては、先に例示したジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルビニルシロキサン単位2つ以上とSiO単位、SiO3/2単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
アルケニル基を2個以上有する環状シロキサン化合物としては、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1−フェニル−3,5,7−トリメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3−ジフェニル−5,7−ジメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,5−ジフェニル−3,7−ジメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5−トリフェニル−7−メチルシクロテトラシロキサン、1−フェニル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3−ジフェニル−5,7−ジビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−1,3,5−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。
これら1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンは、単独で用いても良く、2種類以上併用して用いてもよい。
1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンの添加量は種々設定できるが、アルケニル基1個あたり、多面体構造ポリシロキサン変性体である多面体構造ポリシロキサン系変性体に含まれるSi原子に直結した水素原子が0.3〜5個、好ましくは、0.5〜3個となる割合で添加されることが望ましい。アルケニル基の割合が少ないと、発泡等による外観不良が生じやすくなり、また、アルケニル基の割合が多いと、硬化後の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明の多面体構造ポリシロキサン変性体のヒドロシリル基と1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンのアルケニル基をヒドロシリル化反応させることで、硬化物を作成することができる。ヒドロシリル化反応に際してはヒドロシリル化触媒を用いることが好ましい。この反応に用いることができるヒドロシリル化触媒としては、後述のものを用いることができる。多面体構造ポリシロキサン変性体と1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンのヒドロシリル化反応の際には、多面体構造ポリシロキサン変性体の合成の際に用いたヒドロシリル化触媒が多面体構造ポリシロキサン変性体とともに持ち込まれるので、ヒドロシリル化触媒を別途用いなくても構わない。
<ヒドロシリル化触媒>
本発明では、多面体構造ポリシロキサン変性体の合成、および、該変性体を含有する組成物を硬化させる際に、ヒドロシリル化触媒を用いる。
本発明で用いるヒドロシリル化触媒としては、通常ヒドロシリル化触媒として公知のものを用いることができ、特に制限はない。
具体的には例示すれば、白金−オレフィン錯体、塩化白金酸、白金の単体、担体(アルミナ、シリカ、カーボンブラック等)に固体白金を担持させたもの、白金−ビニルシロキサン錯体、例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt〔(MeViSiO)4m;白金−ホスフィン錯体、例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34;白金−ホスファイト錯体、例えば、Pt〔P(OPh)34、Pt〔P(OBu)34(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数を表す)、Pt(acac)2、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒も挙げられる。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33、RhCl3、Rh/Al23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)2等が好ましい。
<硬化遅延剤>
硬化遅延剤は、本発明のポリシロキサン系組成物の保存安定性を改良あるいは、硬化過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整するための成分である。本発明においては、硬化遅延剤としては、ヒドロシリル化触媒による付加型硬化性組成物で用いられている公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもよい。
前記の脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、具体的には3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類等が例示できる。
有機リン化合物としては、具体的にはトリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示できる。
有機イオウ化合物としては、具体的にはオルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示できる。
窒素含有化合物としては、具体的にはN,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン、2,2’−ビピリジン等が例示できる。
スズ系化合物としては、具体的にはハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示できる。
有機過酸化物としては、具体的にはジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示されうる。これらのうち、マレイン酸ジメチル、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが、特に好ましい硬化遅延剤として例示できる。
硬化遅延剤の添加量は、特に限定するものではないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して10−1〜10モルの範囲で用いるのが好ましく、1〜100モルの範囲で用いるのがより好ましい。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
<ポリシロキサン系組成物および、硬化物>
本発明のポリシロキサン系組成物は、多面体構造ポリシロキサン変性体に、必要に応じて、1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン、ヒドロシリル化触媒、硬化遅延剤を加えることにより得ることができる。本発明のポリシロキサン系組成物は、液状樹脂組成物として取り扱うことが可能である。液状樹脂組成物とすることにより、型、パッケージ、基板等に、注入あるいは塗布して硬化させることで、用途に応じた成型体を容易に得ることができる。
硬化させる際に温度を加える場合は、好ましくは、30〜400℃、さらに好ましくは50〜250℃である。硬化温度が高くなり過ぎると、得られる硬化物に外観不良が生じる傾向があり、低すぎると硬化が不十分となる。また、2段階以上の温度条件を組み合わせて硬化させてもよい。具体的には例えば、70℃、120℃、150℃の様に段階的に硬化温度を引き上げていくことで、良好な硬化物を得ることができ好ましい。
硬化時間は硬化温度、用いるヒドロシリル化触媒の量及び反応性基の量、その他、本願組成物のその他の配合物の組み合わせにより適宜選択することができるが、あえて例示すれば、1分〜12時間、好ましくは10分〜8時間行うことにより、良好な硬化物を得ることができる。
本発明のポリシロキサン系組成物の粘度は、特に制限はないが、温度23℃における粘度が、1Pa・s〜300Pa・sであることが好ましく、さらに好ましくは2Pa・s〜100Pa・sである。ポリシロキサン系組成物の粘度が低すぎると、蛍光体等の添加剤が分散せずに沈降する恐れがある。また、ポリシロキサン系組成物の粘度が高すぎると、ハンドリング性が悪化する恐れがある。
本発明のポリシロキサン系組成物は、必要に応じて接着性付与剤を添加することができる。
接着性付与剤は本発明におけるポリシロキサン系組成物と基材との接着性を向上する目的で用いるものであり、その様な効果があるものであれば特に制限はないが、シランカップリング剤が好ましい例として例示できる。
シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、具体的には3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
シランカップリング剤の添加量としては、多面体構造ポリシロキサン変性体と1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンの混合物100重量部に対して、0.05〜30重量部であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜10重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明においては、接着性付与剤の効果を高めるために、公知の接着性促進剤を用いることができる。接着性促進剤としては、エポキシ含有化合物、エポキシ樹脂、ボロン酸エステル化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のポリシロキサン系組成物は、必要に応じて無機フィラーを添加することができる。
本発明のポリシロキサン系組成物の組成分として無機フィラーを用いることにより、得られる成形体の強度、硬度、弾性率、熱膨張率、熱伝導率、放熱性、電気的特性、光の反射率、難燃性、耐火性、およびガスバリア性等の諸物性を改善することができる。
無機フィラーは、無機物もしくは無機物を含む化合物であれば特に限定されないが、具体的に例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機フィラー、アルミナ、ジルコン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、ガラスフレーク、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、フェライト、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
無機フィラーは、適宜表面処理をほどこしてもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、シランカップリング剤による処理等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
無機フィラーの形状としては、破砕状、片状、球状、棒状等、各種用いることができる。無機フィラーの平均粒径や粒径分布は、特に限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から、平均粒径が0.005〜50μmであることが好ましく、さらには0.01〜20μmであることがより好ましい。同様に、BET比表面積についても、特に限定されるものでないが、ガスバリア性の観点から、70m/g以上であることが好ましく、100m/g以上であることがより好ましく、さらに200m/g以上であることが特に好ましい。
無機フィラーの添加量は特に限定されないが、多面体構造ポリシロキサン変性体と1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンの混合物100重量部に対して、1〜1000重量部、よりこの好ましくは、3〜500重量部、さらに好ましくは、5〜300重量部である。無機フィラーの添加量が多いと、流動性が悪くなる場合があり、無機フィラーの添加量が少ないと、所望の物性が得られない場合がある。
無機フィラーの混合の順序としては、特に限定されないが、貯蔵安定性が良好になりやすいという点においては、1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンに混ぜた後、多面体構造ポリシロキサン変性体を混合する方法が望ましい。また、反応成分である多面体構造ポリシロキサン変性体、1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンがよく混合され安定した成形物が得られやすいという点においては、多面体構造ポリシロキサン変性体、1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンを混合したものに、無機フィラーを混合することが好ましい。
これら無機フィラーを混合する手段としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、2本ロールあるいは3本ロール、遊星式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリーミキサー等の撹拌機、プラストミル等の溶融混練機等が挙げられる。無機フィラーの混合は、常温で行ってもよいし加熱して行ってもよく、また、常圧下で行ってもよいし減圧状態で行ってもよい。混合する際の温度が高いと、成型する前に組成物が硬化する場合がある。
また、本発明のポリシロキサン系組成物には、必要に応じて蛍光体、着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤などを任意で添加することができる。この充填剤用分散剤としては、例えば、ジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子量シロキサンなどが挙げられる。なお、これら任意成分は、本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましい。
本発明のポリシロキサン系組成物には、上記した成分をロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機を用いたり、遊星式攪拌脱泡機を用いて均一に混合し、必要に応じ加熱処理を施したりしてもよい。
本発明のポリシロキサン系組成物は、成形体として使用することができる。成形方法としては、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、発泡成形、射出成形、液状射出成形、注型成形などの任意の方法を使用することができる。
本発明において得られる成型体の用途としては、具体的に例えば、液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、カラーフィルター、偏光子保護フィルム、パッシベーション膜などの液晶用フィルムなどの液晶表示装置周辺材料が例示される。また、PDP(プラズマディスプレイ)の封止剤、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、カラーフィルター、パッシベーション膜、またLED表示装置に使用されるLED素子のモールド材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、カラーフィルター、パッシベーション膜、またプラズマアドレス液晶ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、カラーフィルター、偏光子保護フィルム、パッシベーション膜、また有機ELディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、カラーフィルター、接着剤、パッシベーション膜、またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、カラーフィルター、パッシベーション膜が例示される。
光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤が例示される。さらに具体的には、次世代DVD等の光ピックアップ用の部材、例えば、ピックアップレンズ、コリメータレンズ、対物レンズ、センサレンズ、保護フィルム、素子封止剤、センサー封止剤、グレーティング、接着剤、プリズム、波長板、補正板、スプリッタ、ホログラム、ミラー等が例示される。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部が例示される。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーが例示される。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤などが例示される。光センシング機器のレンズ用材料、封止剤、接着剤、フィルムなどが例示される。
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止剤、接着剤などが例示される。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止剤、接着剤などが例示される。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LED素子の封止剤、接着剤などが例示される。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイドなど、工業用途のセンサー類、表示・標識類など、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーが例示される。
半導体集積回路周辺材料では、層間絶縁膜、パッシベーション膜、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料が例示される。
自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品が例示される。また、鉄道車輌用の複層ガラスが例示される。また、航空機の構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コートが例示される。
建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料が例示される。農業用では、ハウス被覆用フィルムが例示される。
次世代の光・電子機能有機材料としては、次世代DVD、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
<透湿度>
本発明のポリシロキサン系組成物を用いてなる硬化後の透湿度は、温度40℃、湿度90%の条件下において、30g/m/24h以下であるが、さらには20g/m/24h以下であることがガスバリア性の観点から好ましい。
なお、透湿度とは以下の方法に従って算出することができる。
5cm角の板ガラス(0.5mm厚)の上部に5cm角のポリイソブチレンゴムシート(3mm厚、ロの字型になるように内部の3cm角を切り取ったもの)を固定した治具を作製し、和光純薬工業製塩化カルシウム(水分測定用)1gをロの字型内に充填しこれを試験体とする。さらに上部に5cm角の評価用硬化物(2mm厚)を固定し、恒温恒湿機(エスペック製 PR‐2KP)内で温度40℃、湿度、90%RHで24時間養生する。下記式に従い、透湿度を算出することができる。
式:透湿度(g/m/24h)={(透湿性試験後の試験体総重量(g))−(透湿性試験前の試験体総重量(g))}×10000/9cm
本発明のポリシロキサン系組成物を用いた封止剤を硬化すると、透湿度は30g/m/24h以下となり、良好な低透湿性のため、LEDの封止剤として特に有用である。本願発明の封止剤の特徴である透湿度が30g/m/24h以下であることにより水分、更には、酸素、硫化水素等のガス透過が抑制されて、LEDにおける銀リードフレームや、リフレクター等の腐食が生じにくくなる結果、LEDの耐久性が向上する効果が期待できる。
次に本発明の組成物を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(粘度)
東京計器製 E型粘度計を用いた。測定温度23.0℃、回転数1rpm、EHD型48φ1倍コーンで測定した。
(SiH価)
バリアン・テクノロジーズ・ジャパン・リミテッド製 400MHz NMRを用いた。多面体構造ポリシロキサン変性体のSiH価は、多面体構造ポリシロキサン変性体とジブロモエタンの混合物を作り、そのNMR測定を行うことで、下記計算式(1)
式(1):SiH価(mol/kg)=[多面体構造ポリシロキサン変性体のSiH基に帰属されるピークの積分値]/[ジブロモエタンのメチル基に帰属されるピークの積分値]×4×[混合物中のジブロモエタン重量]/[ジブロモエタンの分子量]/[混合物中の多面体構造ポリシロキサン変性体重量]
を用いて計算した。
(耐熱試験、耐光試験用サンプル作成)
ポリシロキサン系組成物を型に充填し、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間熱硬化させて、厚さ2mmのサンプルを作成した。
(耐熱試験)
上記の通り作成したサンプルを、150℃に温度設定した対流式オーブン内(空気中)で該サンプルを200時間養生し、目視にて観察した。着色などによる色目の変化が見られなかったものを○、見られたものを×と評価した。
(耐光試験)
スガ試験機(株)社製、メタリングウェザーメーター(形式M6T)を用いた。上記の通り作成したサンプルを、ブラックパネル温度120℃、放射照度0.53kW/mで、積算放射照度50MJ/mまで照射し、目視にて観察した。着色などによる色目の変化が見られなかったものを○、見られたものを×と評価した。
(耐冷熱衝撃試験用サンプル物作成)
株式会社エノモト製LEDパッケージ(品名:TOP LED 1−IN−1、外形寸法3528、3.5mm×2.8mm×1.9mm、内径2.4mm)に、0.4mm×0.4mm×0.2mmの単結晶シリコンチップ2個を、株式会社ヘンケルジャパン製エポキシ系接着剤(品名:LOCTITE348)で貼り付け、150℃に温度設定した対流式オーブンで30分加熱して固定した。ここにポリシロキサン系組成物を注入し、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間熱硬化させてサンプルを作成した。
(耐冷熱衝撃試験)
上記の通り作成したサンプルを、熱衝撃試験機(エスペック製 TSA−71H−W)を用いて、高温保持100℃、30分間、低温保持−40℃、30分間のサイクルを200サイクル行った後、サンプルを観察した。試験後、目視で変化が無ければ○、クラックが入ったり、パッケージとの間に剥離、あるいは着色が起きたりした場合は×とした。
(透湿性試験用サンプル作成)
(本発明では、得られた硬化物のガスバリア性の指標として、硬化物の透湿度を用いた。すなわち、透湿度が低いことはガスバリア性が高いことと同義となる。)ポリシロキサン系組成物を型に充填し、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間熱硬化させて、5cm角、厚さ2mmのサンプルを作成した。このサンプルを室温25℃、湿度55%RHの環境で24時間養生した。
(透湿性試験)
5cm角の板ガラス(0.5mm厚)の上部に5cm角のポリイソブチレンゴムシート(3mm厚、ロの字型になるように内部の3cm角を切り取ったもの)を固定した治具を作製し、和光純薬工業製塩化カルシウム(水分測定用)1gをロの字型内に充填する。さらに上部に、上記の5cm角、厚さ2mmのサンプルを固定し、これを試験体とする。試験体を恒温恒湿機(エスペック製 PR‐2KP)内で温度40℃、湿度90%RHで24時間養生し、下記計算式(2)
式(2):透湿度(g/m/day)={(透湿性試験後の試験体総重量(g))− (透湿性試験前の試験体総重量(g))}×10000/9
に従って透湿度(水蒸気透過率)を算出した。
(硫化水素試験)
株式会社エノモト製LEDパッケージ(品名:TOP LED 1−IN−1)にポリシロキサン系組成物を注入し、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、150℃×5時間熱硬化させてサンプルを作成した。このサンプルを、フロー式ガス腐食試験機(ファクトケイ製KG130S)内に入れ、40℃、80%RH、硫化水素3ppmの条件下で、96時間、硫化水素暴露試験を行った。試験後、パッケージのリフレクターが変色していなければ○、わずかに変色が見られた場合は△、変色している場合は×とした。
(蛍光体沈降試験)
ポリシロキサン系組成物5gに蛍光体(インテマティックス製Y3957)0.05gを添加し、よく掻き混ぜた後、静置した。1時間後に観察し、蛍光体が分散したままである場合は○、沈降が観られた場合は×とした。
(製造例1)
48%コリン水溶液(トリメチル−2ヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)1262gにテトラエトキシシラン1083gを加え、室温で2時間激しく攪拌した。反応系内が発熱し、均一溶液になった段階で、攪拌を緩め、さらに12時間反応させた。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール1000mLを加え、均一溶液とした。
ジメチルビニルクロロシラン537g、トリメチルシリクロリド645gおよびヘキサン1942mLの溶液を激しく攪拌しながら、メタノール溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間反応させた後、有機層を抽出、濃縮することにより、固形物を得た。次に、生成した固形物をメタノール中で激しく攪拌することにより洗浄し、ろ別することにより、Si原子16個と、ビニル基3個を有するアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物であるトリス(ビニルジメチルシロキシ)ペンタキス(トリメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン(Fw=1166.2)を白色固体として595g得た。
(実施例1)
製造例1で得られたアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物10gをトルエン20gで溶解した溶液に、さらに白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)1.3μLを溶解させた。このようにして得られた溶液を、1、3、5、7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン6.2g(使用したアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物のアルケニル基1個に対し、ヒドロシリル基4.0個となる量)とトルエン20gの混合溶液に滴下し、105℃で2時間加温した。この溶液をH−NMR測定すると、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物由来のアルケニル基が消失している事を確認した。この溶液からトルエンと未反応成分を留去し、再度、トルエン10gを加えて生成物を溶解させ、さらに、別途準備したカンフェン0.5g(使用した1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのヒドロシリル基1個に対し、炭素−炭素2重結合の数0.04個となる量)と、ビニルジフェニルメチルシラン3.8g(使用した1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのヒドロシリル基1個に対し、炭素−炭素2重結合の数0.16個となる量)をトルエン10gに溶解させた溶液をゆっくり滴下し、105℃で5時間反応させた。この溶液をH−NMR測定すると、カンフェンおよびビニルジフェニルメチルシラン由来の炭素−炭素2重結合のピークが消失している事を確認した。室温まで冷却した後に、トルエンを留去することにより、液状の多面体構造ポリシロキサン変性体18.8g(SiH価2.21mol/kg)を得た。得られた変性体5.00gに1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル‐1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン1.42gを加えて攪拌し、ポリシロキサン系組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
(実施例2)
製造例1で得られたアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物10g、およびカンフェン0.5g(使用した1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのヒドロシリル基1個に対し、炭素−炭素2重結合基の数が0.05個となる量)、およびビニルジフェニルメチルシラン1.9g(使用した1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのヒドロシリル基1個に対し、アルケニル基0.21個となる量)を加え、トルエン20g加え溶解し、さらに白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)1.3μLを溶解させた。このようにして得られた溶液を、1、3、5、7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン4.6g(使用したアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物のアルケニル基1個に対し、ヒドロシリル基3個となる量)とトルエン20gの混合溶液に滴下し、105℃で3時間加温した。この溶液をH−NMR測定すると、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物由来のアルケニル基、およびカンフェンおよびビニルジフェニルメチルシラン由来の炭素−炭素2重結合のピークが消失している事を確認した。室温まで冷却した後に、エチニルシクロヘキサノール2.67μl、マレイン酸ジメチル0.62μlを加え、トルエンを留去することにより、液状の多面体構造ポリシロキサン変性体13.0g(SiH価2.08mol/kg)を得た。得られた変性体5.00gに1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン1.34gを加えて攪拌し、ポリシロキサン系組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
(実施例3)
実施例1で得られた液状の多面体構造ポリシロキサン変性体5.00g(SiH価2.21mol/kg)に、エチニルシクロヘキサノール2.67μl、マレイン酸ジメチル0.62μlを加え攪拌した後、1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン1.42gを加えて攪拌し、ポリシロキサン系組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
(実施例4)
実施例2で得られた液状の多面体構造ポリシロキサン変性体5.00g(SiH価2.08mol/kg)に1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン1.34g、さらに3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.16gを加えて攪拌し、ポリシロキサン系組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
(比較例1)
製造例1で得られたアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物10gおよびトルエン20gの溶液に、さらに白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)1.3μLを溶解させた。このようにして得られた溶液を、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン20g(使用したアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物のアルケニル基1個に対し、ヒドロシリル基12.7個となる量)、トルエン10gの溶液にゆっくりと滴下し、105℃で2時間反応させた。この溶液をH−NMR測定すると、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物由来のアルケニル基が消失している事を確認した。エチニルシクロヘキサノール2.67μl、マレイン酸ジメチル0.62μlを加え、トルエンと未反応成分を留去することにより、液状の変性体16.5g(SiH価4.72mol/kg)を得た。得られた変性体5,0gに、1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン3.1gを加えて撹拌し、組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
(比較例2)
製造例1で得られたアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物10g、およびスチレン0.89g(使用した1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのヒドロシリル基1個に対し、アルケニル基の数が0.11個となる量)を加え、トルエン20g加え溶解し、さらに白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)1.3μLを溶解させた。このようにして得られた溶液を、1、3、5、7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン4.6g(使用したアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物のアルケニル基1個に対し、ヒドロシリル基3個となる量)とトルエン20gの混合溶液に滴下し、105℃で3時間加温した。この溶液をH−NMR測定すると、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物およびスチレン由来のアルケニル基のピークが消失している事を確認した。室温まで冷却した後に、エチニルシクロヘキサノール2.67μl、マレイン酸ジメチル0.62μlを加え、トルエンを留去することにより、液状の多面体構造ポリシロキサン変性体13.8g(SiH価2.24mol/kg)を得た。得られた変性体5.00gに1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン1.44gを加えて攪拌し、ポリシロキサン系組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
(比較例3)
比較例で得られた変性体5.00gに、ビニル基を末端に含有する直鎖状ポリジメチルシロキサン(MVD8MV、クラリアント製)3.5gを加えて攪拌し、ポリシロキサン系組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。

Figure 0005912352
表1に示すように、本発明のポリシロキサン系組成物は、光半導体素子を封止する際のハンドリング性が良好な粘度を有している。また、本発明のポリシロキサン系組成物より得られた硬化物は、高い耐熱性、耐光性を有し、耐冷熱衝撃性およびガスバリア性に優れていることが分かった。

Claims (14)

  1. アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)、ヒドロシリル基を有する環状シロキサンおよび/または直鎖状シロキサン(b)、1分子中に炭素−炭素2重結合を1個有する環状オレフィン化合物(c)、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(d)ヒドロシリル化反応物であって、ヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン変性体。
  2. 1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(d)が、アリール基を1個以上有する有機ケイ素化合物であることを特徴とする請求項1に記載のヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン変性体。
  3. 温度20℃において、液状であることを特徴とする、請求項1または2に記載のヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン変性体。
  4. アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)が、式
    [AR SiO−SiO3/2[R SiO−SiO3/2
    (a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Aは、アルケニル基;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)
    で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン変性体。
  5. 式 [XR SiO−SiO3/2[R SiO−SiO3/2
    [a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、アルケニル基、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基、Xは、下記一般式(1)あるいは一般式(2)のいずれかの構造を有し、Xが複数ある場合は一般式(1)あるいは一般式(2)の構造が異なっていても良く、また、一般式(1)、あるいは一般式(2)の構造が混在していても良い。Xは、一般式(1)および/または一般式(2)を少なくとも1つ有する。
    Figure 0005912352
    Figure 0005912352
    {lは2以上の整数;mは0以上の整数;nは2以上の整数;YおよびZは水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位、もしくは、下記一般式(3)の構造、もしくは、下記一般式(4)の構造であり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、YあるいはZの少なくとも1つは水素原子であり、少なくとも1つは下記一般式(3)の構造であり、少なくとも1つは下記一般式(4)の構造である。
    Figure 0005912352
    (qは0以上の整数;Rは環状オレフィン基)、
    Figure 0005912352
    (rは1以上の整数;Rは有機ケイ素を含有する基)Rは、アルキル基またはアリール基。}]
    で表されるシロキサン単位から構成されることを特徴とするヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン変性体。
  6. がアリール基を1個以上含有することを特徴とする請求項5に記載のヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン変性体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン変性体を含有するポリシロキサン系組成物。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のヒドロシリル基を有する多面体構造ポリシロキサン変性体、1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンを含有するポリシロキサン系組成物。
  9. 1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンが、アリール基を1個以上有することを特徴とする、請求項8に記載のポリシロキサン系組成物。
  10. 温度23℃において、1Pa・s以上の粘度を有することを特徴とする、請求項7〜9のいずれか1項に記載のポリシロキサン系組成物。
  11. ヒドロシリル化触媒を含有することを特徴とする、請求項7〜10のいずれか1項に記載のポリシロキサン系組成物。
  12. 硬化遅延剤を含有することを特徴とする、請求項7〜11のいずれか1項に記載のポリシロキサン系組成物。
  13. 請求項7〜12のいずれか1項に記載のポリシロキサン系組成物を硬化させてなる硬化物。
  14. 40℃、湿度90%での透湿度が30g/m/24h以下であることを特徴とする請求項13に記載の硬化物。
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