JP5616042B2 - 多面体構造ポリシロキサン系変性体及び組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、高い耐熱性を有し、さらには透明性、加工性に優れる多面体構造ポリシロキサン系変性体及び組成物に関する。
ポリシロキサン系化合物は、耐熱性、耐寒性、耐候性、耐光性、化学的安定性、電機特性、難燃性、耐水性、透明性、着色性、非粘着性、非腐食性に優れている。中でも、多面体構造を有するポリシロキサン系化合物は、その特異的な化学構造から、優れた耐熱性、耐光性、化学的安定性、低誘電性等を示すことが知られており、光素子封止剤用途へ多面体骨格を有するシルセスキオキサンを用いた樹脂組成物が開示されている(特許文献1、2)。
しかしながら、必ずしも十分な耐熱性や耐光性を有しておらず、さらには、材料が脆いために、材料としての加工性の面で十分な使いこなしができない場合があり、改善が求められている。
一方、材料の脆さを改善するために、直鎖構造を有する化合物等を添加して、柔軟性を付与する方法が知られている。しかしながら、多面体構造を有するポリシロキサン系化合物と添加する化合物の相溶性の悪さ、または屈折率の違いから、透明性を損なうなどの問題があった。
特開2004−359933号公報 特開2007−31619号公報
本発明は、上記課題が解決された、高い耐熱性を有し、さらには透明性、加工性に優れる多面体構造ポリシロキサン系変性体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成により本願発明をなすに至った。
1). アルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物であって多面体骨格を形成するSi原子上に直接または間接的にアルケニル基が結合したポリシロキサン化合物(A)に、直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン化合物(B)、ヒドロシリル基を有する化合物(C)を変性して得られることを特徴とする、多面体構造ポリシロキサン系変性体。
2). 多面体構造ポリシロキサン系変性体が、温度20℃において、液状であることを特徴とする、1)に記載の変性体。
3). 分子中に少なくとも3個のヒドロシリル基を有することを特徴とする、1)または2)に記載の多面体構造ポリシロキサン系変性体。
4). (A)成分が、分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有することを特徴とする、1)〜3)のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系変性体。
5). (A)成分のアルケニル基が、ビニル基であることを特徴とする、1)〜4)のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系変性体。
6). (B)成分が、分子量の異なる2種以上の直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン化合物であることを特徴とする、1)〜5)のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系変性体。
7). (B)成分が、分子末端にアルケニル基を有することを特徴とする、1)〜5)のいずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系変性体。
8). (C)成分が、ヒドロシリル基を含有する環状あるいは直鎖状シロキサンであることを特徴とする、1)〜7)いずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系変性体。
9). (A)成分と(B)成分を同一の可溶な溶剤に溶解させて混合し、(A)成分および(B)成分のアルケニル基1個あたりSi原子に直結した水素原子が2.5〜20個になる範囲で、可溶な溶剤に溶解した(C)成分を過剰量加えて変性したのち、未反応の(C)成分と溶剤を留去して得られることを特徴とする、1)〜8)いずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系変性体。
10). アルケニル基を有する化合物(D)、ヒドロシリル化触媒(E)、硬化遅延剤(F)と1)〜9)いずれか1項に記載の多面体構造ポリシロキサン系変性体からなる組成物。
本発明によれば、高い耐熱性を有し、さらには透明性、加工性に優れる多面体構造ポリシロキサン系変性体を提供することができる。
本発明は、多面体骨格を形成するSi原子上に直接、または間接的にアルケニル基が結合した、アルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン化合物(A)、および、直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン化合物(B)に、ヒドロシリル基を有する化合物(C)を変性して得られる多面体構造ポリシロキサン系変性体に関する。また、本発明は、上記多面体構造ポリシロキサン系変性体、アルケニル基を有する化合物(D)、ヒドロシリル化触媒(E)、及び、硬化遅延剤(F)からなる組成物に関する。以下に、本発明について詳細に説明する。
<アルケニル基含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(A)>
本発明におけるアルケニル基含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(A)は、アルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物であって、多面体骨格を形成するSi原子上に直接、または間接的にアルケニル基が結合したポリシロキサン系化合物である。
本発明においては、多面体骨格に含有されるSi原子の数は6〜24であることが好ましく、具体的に、例えば、以下の構造で示される多面体構造を有するシルセスキオキサンが例示される(ここでは、Si原子数=8を代表例として例示する)。
Figure 0005616042
上記式中R1〜R8は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;(メタ)アクリロイル基等のアルケニル基を含有する基;エポキシ基、メルカプト基、アミノ基を含有する有機基;水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基;などから選択される同一又は異種の基であり、R1〜R8のうちの少なくとも1つは、アルケニル基あるいはアルケニル基を含有する基を示す。
好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10の非置換又は置換の1価の炭化水素基である。前記アルケニル基あるいはアルケニル基を含有する基においては、耐熱性の観点からアルケニル基が、さらにはビニル基が好ましく、アルケニル基あるいはアルケニル基を含有する基以外の基が選択される場合は、耐熱性の観点からアルキル基、さらにはメチル基が好ましい。
上記、多面体構造を有するシルセスキオキサンは、例えば、RSiX3(式中Rは、上述のR1〜R8を表し、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基等の加水分解性官能基を表す)のシラン化合物の加水分解縮合反応によって、得られる。または、RSiX3の加水分解縮合反応によって分子内にシラノール基を有するシラノール化合物を合成したのち、さらに、同一もしくは異なるシラン化合物を反応させることにより、閉環し、多面体骨格を有するシルセスキオキサンを合成する方法も知られている。
本発明において、さらに好ましい例としては、以下の構造で示されるような多面体構造を有するシリル化ケイ酸が例示される(ここでは、Si原子数=8を代表例として例示する)。該化合物においては、多面体骨格を形成するSi原子とアルケニル基あるいはアルケニル基を含有する基とが、シロキサン結合を介して結合していることから、得られる硬化物の剛直になり過ぎず、良好な成形体を得ることができる。
Figure 0005616042
上記、構造中、R9〜R32は、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;(メタ)アクリロイル基等のアルケニル基を含有する基;エポキシ基、メルカプト基、アミノ基を含有する有機基;水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基;などから選択される同一又は異種の基であり、R9〜R32のうちの少なくとも1つは、アルケニル基あるいはアルケニル基を含有する基を示す。
前記アルケニル基あるいはアルケニル基を含有する基においては、耐熱性の観点からアルケニル基が、さらにはビニル基が好ましく、アルケニル基あるいはアルケニル基を含有する基以外の基が選択される場合は、耐熱性の観点からアルキル基、さらにはメチル基が好ましい。
多面体構造を有するシリル化ケイ酸の合成方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いて合成される。前記合成方法としては、具体的に、例えば、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランを4級アンモニウムヒドロキシド等の塩基存在下で加水分解縮合させる方法が挙げられる。
本合成方法においては、テトラアルコキシシランの加水分解縮合反応により、多面体構造を有するケイ酸塩が得られ、さらに得られたケイ酸塩をアルケニル基含有シリルクロライド等のシリル化剤と反応させることにより、多面体構造を形成するSi原子とアルケニル基とが、シロキサン結合を介して結合したポリシロキサンを得ることが可能となる。本発明においては、テトラアルコキシランの替わりに、シリカや稲籾殻等のシリカ含有する物質からも、同様の多面体構造を有するシリル化ケイ酸を得ることが可能である。
本発明においては、多面体骨格に含有されるSi原子の数として、6〜24、さらに好ましくは、6〜10のものを用いることが好ましい。また、Si原子数の異なる多面体骨格を有するポリシロキサンの混合物であってもよい。
<直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン(B)>
本発明における、直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン(B)は、直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサンであれば、特に限定されないが、耐熱性、耐光性の観点から、分子末端にアルケニル基を有するポリシロキサンが好ましい例として挙げられる。また、分子量の異なる2種以上の直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン(B)を用いることが好ましい。
分子量の異なる2種以上用いることにより、後述する多面体構造ポリシロキサン系変性体を用いて得られる組成物または硬化物において、良好な透明性を示し、かつ、良好な成形加工性を示す。本発明で述べる分子量の異なるとは、低い方の分子量が高い方の分子量の80%以下であることが好ましい。2種以上の分子量に差がない場合、得られる組成物または硬化物において、十分な効果が得られない場合がある。
本発明における、直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン(B)の具体例としては、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサン、などが例示される。
分子末端にアルケニル基を有するポリシロキサンの具体例としては、先に例示したジメチルアルケニル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルアルケニルシロキサン単位とSiO2単位、SiO3/2単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
本発明においては、耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上は、水素原子、ビニル基およびメチル基から構成されることが好ましい。
用いる直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン(B)の量は、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(A)100重量部に対して、好ましくは100重量部以下、更に好ましくは50重量部以下である。
<ヒドロシリル基を有する化合物(C)>
本発明で用いるヒドロシリル基を有する化合物(C)は、分子中に1個以上のヒドロシリル基を有していれば特に制限はないが、得られるポリシロキサン変性体の透明性、耐熱性、耐光性の観点から、ヒドロシリル基を有するシロキサン化合物であることが好ましく、さらには、ヒドロシリル基を有する直鎖状ポリシロキサンまたは環状シロキサンであることが好ましい。これらヒドロシリル基を有する化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記、ヒドロシリル基を含有する直鎖状ポリシロキサンとしては、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサンなどが例示される。
特に、前記ヒドロシリル基を含有する直鎖状ポリシロキサンとしては、変性させる際の反応性や得られる硬化物の耐熱性、耐光性等の観点から、ジメチルハイドロジェンシリル基で分子末端が封鎖されたポリシロキサン、さらにはジメチルハイドロジェンシリル基で分子末端が封鎖されたポリジメチルシロキサンを好適に用いることができ、具体的に例えば、テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサンなどが、好ましい例として例示される。
前記、ヒドロシリル基を含有する環状シロキサンとしては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−1,3,5−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。
本発明における環状シロキサンとしては、工業的入手性および変性させる場合の反応性、あるいは、得られる硬化物の耐熱性、耐光性、強度等の観点から、具体的に例えば、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを好適に用いることができる。
本発明におけるヒドロシリル基を有する化合物(C)は、耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上は、水素原子、ビニル基およびメチル基から構成されることが好ましい。
<多面体構造ポリシロキサン系変性体>
本発明で得られる多面体構造ポリシロキサン系変性体は、ヒドロシリル化触媒の存在下、多面体骨格を形成するSi原子上に直接または間接的にアルケニル基が結合した、アルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン化合物(A)、および直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン化合物(B)と、ヒドロシリル基を有する化合物(C)とのヒドロシリル化反応により合成することができる。この際、多面体構造ポリシロキサン系変性体のアルケニル基は、すべて反応する必要はなく、一部残存していてもよい。
用いるヒドロシリル基を有する化合物(C)は、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(A)および、直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン化合物(B)の合計量のアルケニル基の個数1個あたり、Si原子に直結した水素原子の数が2.5〜20個になるように用いることが好ましい。添加量が少ないと、架橋反応によりゲル化が進行するため、多面体構造ポリシロキサン変性体のハンドリング性が劣り、多すぎると、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、多面体構造ポリシロキサン変性体の合成時には、過剰量のヒドロシリル基を有する化合物(C)を存在させることが好ましい。未反応のヒドロシリル基を有する化合物(C)は例えば減圧・加熱条件下にて、取り除くことができる。ヒドロシリル基が残留すると、例えば得られる硬化物の耐熱性、耐光性が低下したり、十分な切削加工性が得られない恐れがある。
本発明の多面体構造ポリシロキサン系変性体の合成時に用いるヒドロシリル化触媒については、通常ヒドロシリル化触媒として用いられるものを用いることができる。
具体的には、白金−オレフィン錯体、塩化白金酸、白金の単体、担体(アルミナ、シリカ、カーボンブラック等)に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体{例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt〔(MeViSiO)4m};白金−ホスフィン錯体{例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34};白金−ホスファイト錯体{例えば、Pt〔P(OPh)34、Pt〔P(OBu)34}(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数を表す)、Pt(acac)2、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒も挙げられる。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33、RhCl3、Rh/Al23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)2等が好ましい。
ヒドロシリル化触媒の添加量としては特に制限はないが、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(A)および、直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン(B)の合計量のアルケニル基1モルに対して10−1〜10−10モルの範囲で用いるのがよい。好ましくは10−4〜10−8モルの範囲で用いるのがよい。ヒドロシリル化触媒が多すぎると、ヒドロシリル化触媒の種類によっては、短波長の光に吸収を示すため、着色原因になったり、得られる硬化物の耐光性が低下する恐れがあり、また、硬化物が発泡する恐れもある。また、ヒドロシリル化触媒が少なすぎると、反応が進まず、目的物が得られない恐れがある。
ヒドロシリル化反応の反応温度としては、30〜400℃、さらに好ましくは、40〜250℃であることが好ましく、より好ましくは、45〜140℃である。温度が低すぎると反応が十分に進行せず、温度が高すぎると、ゲル化が生じ、ハンドリング性が悪化する恐れがある。
このようにして得られた多面体構造ポリシロキサン系変性体は、各種化合物、特にはシロキサン系化合物との相溶性を確保でき、さらに、分子内にヒドロシリル基が導入されていることから、各種アルケニル基を有する化合物と反応させることが可能となる。この際、多面体構造ポリシロキサン変性体におけるヒドロシリル基は、分子中に少なくとも3個含有することが好ましい。ヒドロシリル基が3個未満である場合、後述する組成物の強度が不十分となる恐れがある。
本発明の多面体構造ポリシロキサン系変性体の製造においては、アルケニル基含有する多面体構造ポリシロキサン化合物(A)と直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン化合物(B)を同一の可溶な溶剤に溶解させて混合し、アルケニル基含有する多面体構造ポリシロキサン化合物(A)、および、直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン化合物(B)のアルケニル基1個あたりSi原子に直結した水素原子が2.5〜20個になる範囲で、可溶な溶剤に溶解したヒドロシリル基を有する化合物(C)を過剰量加えて変性したのち、未反応の(C)成分と溶剤を留去させることが好ましい。
アルケニル基含有する多面体構造ポリシロキサン化合物(A)と直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン化合物(B)を同一の可溶な溶剤に溶解させることにより、両成分を均一化することができる。さらには、得られる多面体構造ポリシロキサン系変性体が、後述する組成物を得る際のアルケニル基を有する化合物と良好な相溶性を示し、得られる組成物が良好な透明性を示す。
また、分子量の異なる2種以上の直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン化合物(B)を用いることで、更なる良好な相溶性、透明性、成型加工性を示すことから好ましい。
また、本発明における多面体構造ポリシロキサン変性体は、アルケニル基を少なくとも2個以上、好ましくは2.5個以上含有していることで、温度20℃において液状とすることも可能である。多面耐構造ポリシロキサン変性体を液状とすることで、ハンドリング性に優れることから好ましい。
<組成物>
本発明で得られる多面体構造ポリシロキサン変性体、アルケニル基を有する化合物(D)、ヒドロシリル化触媒(E)、硬化遅延剤(F)を用いて組成物を得ることができる。これらのものは必要に応じて適宜選択することができる。上記組成物は、透明な液状性樹脂組成物となす事が可能である。液状組成物と成すことにより、基材に塗布し、加熱して硬化させることで透明の膜を得ることができ、例えば、各種接着剤、コーティング剤、封止剤として好適に用いることが可能である。また、上記組成物は成形体に流し込み、加熱することにより、硬化物として得ることもできる。
硬化させる際に温度を加える場合は、好ましくは、30〜400℃、さらに好ましくは40〜250℃である。硬化温度が高くなり過ぎると、得られる硬化物に外観不良が生じる傾向があり、低すぎると硬化が不十分となる。また、2段階以上の温度条件を組み合わせて硬化させてもよい。具体的には例えば、70℃、120℃、150℃の様に段階的に硬化温度を引き上げていくことで、良好な硬化物を得ることが可能となる。
硬化時間は硬化温度、用いるヒドロシリル化触媒の量及びヒドロシリル基の量、その他の配合物の組み合わせにより適宜選択することができるが、あえて例示すれば、1分〜20時間、好ましくは10分〜16時間行うことにより、良好な硬化物を得ることができる。
組成物に用いることができるアルケニル基を有する化合物(D)は、1分子中に少なくともアルケニル基を2個含有するものが好ましく、アルケニル基を有する直鎖構造のポリシロキサン、分子末端にアルケニル基を有するポリシロキサン、アルケニル基を含有する環状シロキサンなどが例示される。本発明において、アルケニル基を有する化合物は、得られる硬化物の強度の観点から、分子末端にアルケニル基を有するポリシロキサンであることが好ましく、両末端にアルケニル基を有する直鎖状のポリシロキサンであることがさらに好ましい。
これらアルケニル基を有する化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。2種類用いる場合には前記の(B)成分と同様に分子量の異なる化合物を用いることが好ましい。その分子量、その違いは前記(B)成分として用いることができるものと同じものを用いることができる。
アルケニル基を有する直鎖構造のポリシロキサンの具体例としては、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、などが例示される。
分子末端にアルケニル基を有するポリシロキサンの具体例としては、先に例示したジメチルアルケニル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルアルケニルシロキサン単位とSiO2単位、SiO3/2単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
アルケニル基を含有する環状シロキサン化合物としては、1,3,5,7−ビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジビニル−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。
アルケニル基を有する化合物(D)は、耐熱性、耐光性の観点から、アルケニル基以外の置換基としては、水素原子、またはメチル基から構成されることが好ましい。
ヒドロシリル化触媒(E)については、通常ヒドロシリル化触媒として用いられるものを用いることができ特に制限はなく、任意のものが使用できる。ヒドロシリル化触媒(E)の具体例としては、前述した多面体構造ポリシロキサン変性体にヒドロシリル化触媒(E)として記載したものなどが挙げられる。
また、前述した多面体構造ポリシロキサン変性体中に、ヒドロシリル化触媒が残存する場合は、残存するヒドロシリル化触媒を用いることも可能である。さらに、硬化過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整する目的で、ヒドロシリル化触媒を追加することができる。
ヒドロシリル化反応の反応温度としては、30〜400℃、さらに好ましくは、40〜250℃であることが好ましい。
硬化遅延剤(F)により、本願発明の組成物の保存安定性を改良、あるいは硬化過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整することができる。硬化遅延剤としては公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもかまわない。
脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類等が例示されうる。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示されうる。
有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示されうる。
スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示されうる。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示されうる。
硬化遅延剤の添加量は、特に限定するものではないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して10-1〜103モルの範囲で用いるのが好ましく、1〜100モルの範囲で用いるのがより好ましい。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
上記組成物には、上記成分に加え、任意成分として本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じ増量剤として粉砕石英、炭酸カルシウム、カーボンなどの充填剤を添加してもよい。
また、必要に応じて着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤などを任意で添加することができる。
充填剤用分散剤としては、例えば、ジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子量シロキサンなどが挙げられる。
また、組成物を難燃性、耐火性にするためには二酸化チタン、炭酸マンガン、Fe23、フェライト、マイカ、ガラス繊維、ガラスフレークなどの公知の添加剤を添加してもよい。なお、これら任意成分は、最小限の添加量に止めることが好ましい。
上記組成物は、上記した成分をロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機を用いたり、遊星式攪拌脱泡機を用いて均一に混合し、必要に応じ加熱処理を施したりすることにより得ることができる。
また上記組成物は、成形体として使用することができる。成形方法としては、押出成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、真空成形、発泡成形、射出成形、液状射出成形、注型成形などの任意の方法を使用することができる。
上記組成物から得られる成形体は、耐熱性、耐光性に優れる。
上記組成物は、光学材料用組成物として用いることができる。ここで言う光学材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザーなどの光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。
本発明において得られる変性体および変性体を用いた組成物の用途としては、具体的には、カラーフィルター、レジスト材料、液晶ディスプレイ分野における基板材料、パッシベーション膜、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルムなどの液晶用フィルムなどの液晶表示装置周辺材料が例示される。
また、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)の封止剤、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またLED表示装置に使用されるLED素子のモールド材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またプラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム、また有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤が例示される。
光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤が例示される。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部が例示される。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーが例示される。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤などが例示される。光センシング機器のレンズ用材料、封止剤、接着剤、フィルムなどが例示される。
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止剤、接着剤などが例示される。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止剤、接着剤などが例示される。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LED素子の封止剤、接着剤などが例示される。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイドなど、工業用途のセンサー類、表示・標識類など、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーが例示される。
半導体集積回路周辺材料では、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料が例示される。
自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品が例示される。また、鉄道車輌用の複層ガラスが例示される。また、航空機の構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コートが例示される。
建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料が例示される。農業用では、ハウス被覆用フィルムが例示される。
次世代の光・電子機能有機材料としては、次世代DVD、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤などが例示される。
次に本発明の変性体を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<試験方法>
(透明性)
3mm厚板状成形体の外観を目視で評価し、白濁していないものを○、白濁したものを×とした。
(耐熱性)
200℃に温度設定した熱風循環オーブン内にて、3mm厚板状成形体を12時間養生し、養生後の外観を目視で評価し、透明性の変化がみられない場合を○、着色がみられる場合を×とした。
(ダイシング性)
低速切断機(BUEHLER製)を用い、荷重150g、回転速度目盛り「5」の条件下で、3mm厚板状成形体をダイヤモンドカッターで切断し、クラックがなく切断できたものを○、クラックが入ったものを×とした。
(製造例)
48%コリン水溶液386gにテトラエトキシシラン312gを加え、室温で2時間激しく攪拌した。反応系内が発熱し、均一溶液になった段階で、攪拌を緩め、さらに12時間反応させた。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール225mLを加え均一溶液とした。ジメチルビニルクロロシラン252g、トリメチルクロロシラン98g、および、ヘキサン225mLの溶液を攪拌しながら、得られた均一溶液をゆっくりと滴下した。
滴下終了後、1時間反応させた後、有機層を抽出、濃縮することにより、固形物を得た。次に、生成した固形物をメタノール中で攪拌し洗浄した後、濾別することにより、ビニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン化合物170gを得た。1H−NMRより、ビニル基が3.0個とトリメチルシリル基が5.0個、導入している事を確認した。
(実施例1)
製造例で得られたビニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン化合物5g、ビニル基を末端に含有する直鎖状ポリジメチルシロキサン(MVD8MV、分子量770、クラリアント製)0.5g、ビニル基を末端に含有する直鎖状ポリジメチルシロキサン(DMS−V22、分子量6000、ゲレスト製)2.5g、および、白金ビニルシロキサン錯体(3%白金、キシレン溶液)1.35μLを、トルエン15gに溶解して撹拌することにより均一な混合溶液を得た。
この混合溶液を、1、3、5、7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(クラリアント製)8.56gとトルエン8.56gの混合溶液に滴下し、105℃で3時間加温したのち、室温まで冷却した。得られた反応溶液から、トルエンと未反応の1、3、5、7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを留去することにより、多面体構造ポリシロキサン変性体12gを得た。
得られた変性体は、ビニル基1個あたりSi原子に直結した水素原子が5.6個になるように、1、3、5、7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを滴下しており、温度20度で液状であった。また、1H−NMRより、ビニル基のピークが消失しており、1、3、5、7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン由来のヒドロシリル基が導入していることを確認した。
上記製造例で得られた多面体構造ポリシロキサン変性体6.0gに、ビニル基を末端に含有する直鎖状ポリジメチルシロキサン(MVD8MV、分子量770、クラリアント製)4.52g、ビニル基を末端に含有する直鎖状ポリジメチルシロキサン(DMS−V42、分子量72000、ゲレスト製)0.45g、ジメチルマレート0.63μLを加え、ポリシロキサン系組成物を調整した。得られた多面体構造ポリシロキサン系組成物を型枠に流し込み、80℃で3時間、90℃で2時間、100℃で2時間、120℃で1時間、150℃で1時間、180℃で1時間加熱して硬化させ、3mm厚の評価用成形体を得た。このようにして得られた成形体の耐熱試験、光線透過率、の評価を行った。このように得られた成型体の各種評価結果を表1に示す。
(比較例1)
製造例で得られたビニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン化合物5g、白金ビニルシロキサン錯体(3%白金、キシレン溶液)1.25μL、および、トルエン15gの混合溶液を、1、3、5、7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン7.73gとトルエン7.73gの混合溶液に滴下し、105℃で2時間加温したのち、室温まで冷却した。得られた反応溶液から、トルエンと未反応の1、3、5、7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを留去することにより、多面体構造ポリシロキサン変性体7gを得た。
得られた多面体構造ポリシロキサン変性体6.0gに、ビニル基を末端に含有する直鎖状ポリジメチルシロキサン(MVD8MV、分子量770、クラリアント製)9.60g、ビニル基を末端に含有する直鎖状ポリジメチルシロキサン(DMS−V42、分子量72000、ゲレスト製)0.96g、ジメチルマレート1.58μLを加え、多面体構造ポリシロキサン系組成物を調整した。得られた多面体構造ポリシロキサン系組成物を型枠に流し込み、80℃で3時間、90℃で2時間、100℃で2時間、120℃で1時間、150℃で1時間、180℃で1時間加熱して硬化させ、3mm厚の評価用成形体を得た。このようにして得られた成形体の各種評価結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例1に記載の方法において得られた多面体構造ポリシロキサン変性体6.0gに、ビニル基を末端に含有する直鎖状ポリジメチルシロキサン(MVD8MV、分子量770、クラリアント製)10.9g、ジメチルマレート1.58μLを加え、多面体構造ポリシロキサン系組成物を調整した。得られた多面体構造ポリシロキサン系組成物を型枠に流し込み、80℃で3時間、90℃で2時間、100℃で2時間、120℃で1時間、150℃で1時間、180℃で1時間加熱して硬化させ、3mm厚の評価用成形体を得た。このようにして得られた成形体の各種評価結果を表1に示す。
Figure 0005616042
以上のように、本発明の多面体構造ポリシロキサン変性体を用いた組成物は、透明性、耐熱性、加工性に優れていることが明らかである。

Claims (9)

  1. 多面体骨格を形成するSi原子上に直接または間接的にアルケニル基が結合した、アルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(A)に、直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン化合物(B)、ヒドロシリル基を有する化合物(C)を変性して得られる多面体構造ポリシロキサン系変性体、アルケニル基を有する化合物(D)、ヒドロシリル化触媒(E)、及び、硬化遅延剤(F)からなる組成物。
  2. 多面体構造ポリシロキサン系変性体が、温度20℃において、液状であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  3. 多面体構造ポリシロキサン系変性体が、分子中に少なくとも3個のヒドロシリル基を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
  4. (A)成分が、分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. (A)成分のアルケニル基が、ビニル基であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. (B)成分が、分子量の異なる2種以上の直鎖構造を有するアルケニル基含有ポリシロキサン化合物であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. (B)成分が、分子末端にアルケニル基を有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. (C)成分が、ヒドロシリル基を含有する環状あるいは直鎖状シロキサンであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 多面体構造ポリシロキサン系変性体が、(A)成分と(B)成分を同一の可溶な溶剤に溶解させて混合し、(A)成分および(B)成分のアルケニル基1個あたりSi原子に直結した水素原子が2.5〜20個になる範囲で、可溶な溶剤に溶解した(C)成分を過剰量加えて変性したのち、未反応の(C)成分と溶剤を留去して得られることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
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