JP2013191748A - 半導体発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形性がよく、透光性に優れ、且つ、銀などの配線用金属材料との接着性に優れたドーム型封止部を有するチップオンボード型の半導体発光装置を提供する。
【解決手段】縮合型シリコーン(I)、1次粒子径が5nm以上20nm以下の範囲であるチキソ性付与剤(II)、及び、分子中にエポキシ基を少なくとも1つ含有する化合物(III)、を含有する封止材液を硬化させてなるドーム型封止部と、
該ドーム型封止部と接着する面の少なくとも一部が銀、銅、およびアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属、または、銀、銅、およびアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む合金であるチップオンボード用配線基板と、
を備える半導体発光装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、支持体上に搭載された半導体発光素子を、ドーム型封止部で覆った半導体発光装置に関する。
発光ダイオード等の半導体発光素子を用いた半導体発光装置は、小型でかつ低消費電力であるため、表示用途としてだけでなく照明用途としても市場が拡大してきている。この種の半導体発光装置は一般に、配線が設けられた支持体と、支持体上に搭載された半導体発光素子と、半導体発光素子を覆った透光性被覆層とを有している。透光性被覆層は、半導体発光素子、および半導体発光素子と配線との接続部を保護し得るものであるが、半導体発光素子からの光によって励起される所望の蛍光体を透光性被覆層に含有させることで、発光光の波長変換を行なうこともできる。さらに、透光性被覆層の形状を工夫することによって、光取り出し効率を向上させることもできる。
また、最近、LSIのパッケージングの傾向は、メモリーカード、LCD、携帯電話及びノート型コンピューターなどの携帯機器の発展により、高密度化、薄型化の傾向にあり、従来のトランスファー成形したパッケージから、ベアーチップを実装して液状の封止材で封止する、いわゆるチップオンボード(COB)という方式に変わりつつある。
透光性被覆層をドーム状に形成すると特に光取り出し効率を向上することが知られている。例えば、特許文献1、2には、付加型シリコーンを用いたドーム型封止部(透光性被覆層)を有する半導体発光装置が開示されている。
また、特許文献3、4には、縮合型シリコーンを用いたドーム型封止部(透光性被覆層)、およびサブマウントを有する半導体発光装置が開示されている。
ところで、半導体発光装置の発光効率を向上させるためには、配線層やCOB基板におけるプリント配線などの電気導電体には、銀、銅、アルミニウムやこれらを含む合金などの反射率の高い金属材料が好ましいが、これらの金属材料は、透光性被覆層を構成する樹脂と接着性が悪いという問題があった。
一方で、エポキシ樹脂など金属と接着性の高い樹脂も存在するが、ドーム型としての成形性や耐熱性などの性質が十分に満足できるものではなかった。
特開2008−71859号公報 特開2009−235265号公報 特開2010−50235号公報 特開2010−50236号公報
かかる状況下、本発明の目的は、成形性がよく、透光性に優れ、且つ、銀などの配線用金属材料との接着性に優れたドーム型封止部を有するチップオンボード型の半導体発光装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、縮合型シリコーンを用い、かつ、エポキシ基を有する化合物を添加すると、ドーム型封止部の成形性を保ちながら銀、銀合金、銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金との接着性を改善できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
〔1〕 縮合型シリコーン(I)、1次粒子径が5nm以上20nm以下の範囲であるチキソ性付与剤(II)、及び分子中にエポキシ基を少なくとも1つ含有する化合物(III)、を含有する封止材液を硬化させてなるドーム型封止部と、
該ドーム型封止部と接着する面の少なくとも一部が銀、銅、およびアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属、または、銀、銅、およびアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む合金であるチップオンボード用配線基板と、
を備える半導体発光装置。
〔2〕 前記チップオンボード用配線基板における、前記ドーム型封止部と接着する面の少なくとも一部が波長400nmの光の反射率が40%以上の絶縁層である前記〔1〕に記載の半導体発光装置。
本発明によれば、成形性および銀などの配線用金属材料との接着性に優れたドーム型封止部を有するチップオンボード型の半導体発光装置を提供することができる。
本発明のチップオンボード(COB)型半導体発光装置の一実施形態(ワイヤボンディング型)を示す模式的断面図である。 本発明のチップオンボード(COB)型半導体発光装置の他の実施形態(フリップチップ型)を示す模式的断面図である。 ドーム状の封止材の頂部から下部までの直線距離dと、ドーム状の封止材の頂部での曲率半径Rとの比d/Rの求め方を説明する図である。
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態、例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。
<1.チップオンボード型半導体発光装置概要>
図1に本発明のチップオンボード(COB)型の半導体発光装置1の実施形態の概略断面図を示す。
図1のCOB型半導体発光装置1は、複数の発光部2がCOB用の配線基板10に一体的に形成されたものである。なお、図1においては、一つの発光部2が配線基板10の露出部分10aに実装されている状態を示しているが、実際には配線基板10に同様な露出部分を複数有し、それぞれに発光部2を実装している。
発光部2は、配線基板10に載置される発光素子3と、発光素子3を被覆するドーム型の封止材4とを有する。
配線基板10は、アルミニウムや銅などの金属を含むメタル基板13a上に絶縁層13bが形成されたベース基板13の上に、プリント配線部11,12が形成されてなり、プリント配線部11,12の一部が露出するように表面絶縁層14にて被覆されており、その露出部分10aに発光素子3が載置される。
本図において配線基板10はメタルベース基板となっているが、ベース基板の材質はその他の材質であっても良く、また、省略することもできる。
プリント配線部11,12は、電気伝導性の高い、銀、銅、およびアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属、または、銀、銅、およびアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む合金が用いられる。
絶縁層13bは、電気絶縁性であり、リフローはんだ熱で変形し難い基板状の材料である。絶縁層13bの種類は特に限定されず、ガラスエポキシ基板、ポリブチレンテレフタレート(PBT)基板、ポリイミド基板、ポリエステル基板、窒化アルミニウム基板、窒化ホウ素基板、窒化ケイ素基板、アルミナセラミックス基板、ガラス基板、フレキシブルガラス基板、絶縁樹脂層を有するアルミニウム基板並びに/若しくは銅基板からなるハイブリッド基板からなる群から選択される少なくとも1種により形成することが好ましく、特にガラスエポキシ基板、絶縁樹脂層を有するアルミニウム基板が好ましい。その他に、プリント配線したシリコン基板、炭化ケイ素基板、サファイア基板などを用いることもできる
表面絶縁層14は、基板表面を保護するためのものである。また、発光部2の発する光に対する反射材としての効果も有する。特に発光部2の発する光に対する反射材としての効果も付与させるためには、波長400nmの光の反射率が40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、例えば、白色ソルダーレジストや白色カバーレイフィルムを用いることが好ましい。
白色ソルダーレジストを構成する樹脂の種類は特に限定されず、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの絶縁性樹脂を使用することができる。
白色カバーレイフィルムとしては、例えば特開2010−278168号公報に記載のものが挙げられる。
本実施態様においては発光素子3は、第1のプリント配線部11にダイボンド部材3cを介して載置されている。
第1のプリント配線部11は、発光素子3が持つ第1の電極3aとワイヤ5aを介して電気的に接続されている。また、第2のプリント配線部12は、発光素子3が持つ第2の電極3bとワイヤ5bを介して電気的に接続されている。
図1の半導体発光装置1においては、同一面側に正負一対の電極を有するものについて説明するが、発光素子の上面と下面に正負一対の電極を有するものを用いる場合は、発光素子の下面の電極を導電性のダイボンド材等を用いて直接プリント配線部11と電気的に接続し、上面の電極は上述の方法でプリント配線部12とワイヤボインディングすればよい。
また、ベース基板の材質を高熱伝導性であるアルミニウムや銅などのメタルベース基板や、窒化アルミニウム基板、窒化ホウ素基板、窒化ケイ素基板、アルミナセラミックス基板、炭化ケイ素基板などのセラミックス基板としたり、発光素子3の直下にベース基板より放熱性の良い基台を設けた構造とすると、上記高放熱の特性がより一層生かされ、高輝度、長寿命の半導体発光装置とすることができる。
発光素子3は、いわゆるフリップチップにより配置することが好ましい。発光素子3をフリップチップにより接続すれば、発光素子3から発せられる熱を効率よく放熱することが可能だからである。
ここでフリップチップとは、発光素子3の回路面を配線基板10に対向する向きに設置し、発光素子3と配線基板10とを両者の間に設けられた導電性材料からなるバンプ6a及び6bにより電気的に接続する技術である。発光素子3においては、フリップチップを適用すれば発光素子3がその発光面を配線基板10と対向するようになる。この場合、発光素子3から発せられる光は発光素子3の下側の面から発せられることになり、通常は配線基板10の表面で反射してから外部に発せられるようになっている。また、発光素子3が透明である場合、当該光は配線基板10で反射する以外に、発光素子3を透過して外部に発せられることもある。
本実施形態においても、図2に示すように、発光素子3はフリップチップにより設置され、その発光面が配線基板10と対向するようになっていることが好ましい。
ドーム型の封止材4は、発光素子3を被覆するように配線基板10の露出部10aに形成される。
封止材4は、縮合型シリコーン(I)、1次粒子径が5nm以上20nm以下の範囲であるチキソ性付与剤(II)、及び、分子中にエポキシ基を少なくとも1つ含有する化合物(III)(以下、「エポキシ化合物(III)」と称す場合がある。)、を含有する封止材液を硬化させてなる樹脂組成物からなる。
封止材4は、完全に発光素子3を被覆しており、少なくとも半導体発光素子3を保護する機能と、発光素子3からの光の取り出し効率を向上させる機能を併せ持つ。
ここで透光性とは、その材料が完全に光を吸収または遮蔽しない性質をいい、透過の度合によらないが、材料の消衰係数kが、発光素子3の発光波長において、通常1×10-3以下、好ましくは1×10-4以下、さらに好ましくは1×10-5以下である。
なお、封止材4は、発光素子3の光を直接利用する場合には透明封止するが、発光素子3の光を任意の波長に変換する場合には、通常、蛍光体を含有する。
ドーム型の封止材4は、接着面11a,12aにてプリント配線部11及びプリント配線部12の一部と接触している。
ドーム型の封止材4を構成する上記封止材液を硬化させてなる樹脂組成物は、エポキシ化合物(III)を含有するため、プリント配線部11,12を構成する上記金属あるいは合金との接着性が高い。
なお、本実施形態では、ドーム型の封止材4はプリント配線部11及びプリント配線部12のそれぞれに接触しているが、ドーム型の封止材4の少なくとも一部がプリント配線部11及びプリント配線部12に接触する形態であればよい。
ドーム型の封止材の形状、製造方法については、後述する。
以下、封止材液の構成成分(構成成分(I)〜(III)及びその他の成分)、該封止材液を硬化してなる樹脂組成物について詳細に説明する。
<2.封止材液>
以下、封止材液の構成成分、製造方法、好適組成、硬化性について説明する。
<2.1.縮合型シリコーン(I)>
縮合型シリコーン(I)としては、ポリオルガノシロキサン化合物を含有するものであれば特に制限はなく、1液型組成物であっても2液型組成物であっても使用することができる。例えば、組成物の保存安定性の観点から、以下の液状組成物(A)と液状組成物(B)からなる2液型組成物が好ましい。

液状組成物(A):シラノール基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物を含有し、かつ縮合触媒を実質的に含有しない液状組成物
液状組成物(B):縮合触媒を含有し、かつPtを実質的に含有しない液状組成物

2液型組成物とは、2種類の液状組成物を別個に保管し、使用時に前記2種類の液状組成物を混合して硬化反応により硬化物を得るものをいう。即ち、縮合型シリコーン(I)が2液型組成物である場合は、保管時には前記液状組成物(A)及び液状組成物(B)が別個に存在し、半導体発光素子を封止するなどの使用時にこれらを混合させて、所望の硬化物(ポリオルガノシロキサン硬化物)を得るものである。
以下、液状組成物(A)と液状組成物(B)からなる2液型組成物を例にして説明するが、以下に記載する液状組成物(A)に含有される成分と、液状組成物(B)に含有される成分とを含む1液型組成物も好適に用いることができる。
[2.1.1]液状組成物(A)
[2.1.1−1]シラノール基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物
本発明にかかる液状組成物(A)は、シラノール基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物(以下、「ポリオルガノシロキサン化合物(a)」と称す場合がある。)を含有する。シラノール基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物(a)は、液状組成物(A)において後述の液状組成物(B)との混合により縮合反応に寄与する成分であり、または、後述の液状組成物(B)に含有されるポリオルガノシロキサン化合物(b)と縮合反応により組成物を硬化させる架橋剤として作用するものである。
シラノール基を一分子中に2個以上含有することにより、直線的に、また三官能分子と反応して架橋しながら三次元的に、その分子量を増加させて、組成物を高分子化することが可能となる。
なお、液状組成物(B)の縮合触媒以外の成分が揮発性有機溶媒であるなど、液状組成物(B)に含まれる成分が、ポリオルガノシロキサン化合物(a)との架橋に関与しない場合は、液状組成物(A)はそれ自身単体で3次元架橋し硬化し得るもの、即ちシラノール基を一分子中に2個以上、好ましくは3個以上有する分岐ポリオルガノシロキサン化合物を含有することが好ましい。
前記ポリオルガノシロキサン化合物(a)は、好ましくは下記一般式(1)で表される化合物を含有する。分子構造は直鎖状、分岐状、3次元ネット状などいずれでもよい。
Figure 2013191748
(一般式(1)中、R13〜R18は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、水酸基およびアリール基から選ばれる基を示す。p、q、およびrは、0以上の数を示し、p+q+r=1である。)
なお、液状組成物(B)の触媒以外の成分が揮発性有機溶媒であるなど一般式(1)で表される化合物と反応しない場合には、0≦pであることが好ましく、0<pであることが特に好ましい。
一般式(1)のR13〜R18において、アルキル基、アルケニル基およびアリール基は、さらにハロゲン原子に置換されていてもよく、好ましいアルキル基、アルケニル基およびアリール基は、[1−2]にて後述するR1〜R3およびR5〜R8におけるものと同様である。中でも脂肪族不飽和結合を有さないものが好ましい。このような置換基の中で好ましいものとしては、例えばフェニル基、メチル基が挙げられる。
また、耐光性や紫外透明性が重視される用途の場合、一般式(1)で表される化合物におけるR13〜R18のうち、少なくとも80mol%以上、好ましくは95mol%以上、さらに好ましくは99mol%以上がメチル基であることが好ましい。
また、シラノール基を含有する上記ポリオルガノシロキサン化合物(a)においては、長期保管時や硬化時の粘度上昇を適度に抑制する観点から、分子中のシラノール基の量を多すぎないようにすることが重要である。即ち、一般式(1)のR13〜R18におけるシラノール基の数はR13〜R18の置換基全体数に対して、通常20%以下、好ましくは10%以下、更に好ましくは5%以下であり、通常0.01%以上、好ましくは0.05%以上、更に好ましくは、0.1%以上である。シラノール基の量が多すぎると粘度上昇率が大きく保存安定性が低くなったり、保管中に水滴が発生する場合がある。また、シラノール基の量が少なすぎると反応の進行が遅くなるか、不十分となる場合がある。
一般式(1)で表されるシラノール基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物の具体例としては、例えば、分岐又は非分岐のヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(Silanol terminated polydimethylsiloxanes)などが挙げられる。また、これら水酸基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物は加水分解性基を有するシラン・ポリオルガノシロキサンを縮重合させることにより合成することができる。また市販のものを使用することができ、例えば、Momentive Performance Materials社製ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンでは、XC96−723、XF3905、YF3057、YF3800、YF3802、YF3807、YF3897などが挙げられる。
中でも、液状組成物(A)が、架橋性ケイ素を含有する分岐ポリオルガノシロキサン化合物を含有していることが好ましい。
後述するように液状組成物(B)には、液状組成物(A)に含まれるポリオルガノシロキサン化合物(a)の架橋に寄与する架橋性ポリオルガノシロキサン化合物として、シラノール基と反応する置換基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物(以下、「ポリオルガノシロキサン化合物(b)」と称す場合がある。)を含有する場合がある。一方で、液状組成物(B)は縮合触媒を含有するため、液状組成物(B)中のポリオルガノシロキサン化合物(b)の濃度が高すぎると、架橋反応が進行し液状組成物(B)が増粘しすぎるおそれがある。ここで、ポリオルガノシロキサン化合物(a)として架橋性ケイ素を含有する分岐ポリオルガノシロキサン化合物を使用すると、液状組成物(B)中の架橋性のポリオルガノシロキサン化合物(b)の含有量を低減することができるため、縮合触媒を含有する液状組成物(B)が過剰に増粘することが回避され、組成物(B)の保存安定性を保つことができる。
ポリオルガノシロキサン化合物(a)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常160以上、好ましくは400以上、さらに好ましくは500以上、また、通常700000以下、好ましくは50000以下、さらに好ましくは30000以下である。前記重量平均分子量が少なすぎると、前記ポリオルガノシロキサン化合物自身が硬化時に揮発したり、縮合反応性末端基含有量が多くなったりすることにより硬化時重量歩留まりが低下し硬化物が収縮するため、内部応力が大きく高粘度となり取扱いにくくなる可能性がある。
一方で、ポリオルガノシロキサン化合物(a)がシラノール基を一分子中に2個以上含有する分岐ポリオルガノシロキサンである場合、重量平均分子量が多すぎると、液状組成物(B)と混合した場合に硬化する速度が速くなりすぎる可能性がある。また、ポリオルガノシロキサン化合物(a)がシラノール基を一分子に2個含有する直鎖ポリオルガノシロキサンである場合は、液状組成物(B)に架橋性のポリオルガノシロキサン化合物(b)を含有させる必要があるが、ポリオルガノシロキサン化合物(a)の重量平均分子量が多すぎると、液状組成物(A)と液状組成物(B)とを混合した際に、ポリオルガノシロキサン化合物(a)と架橋性のポリオルガノシロキサン化合物(b)との反応性が低くなり液状組成物が硬化しづらくなる可能性がある。
なお、液状組成物(A)において、ポリオルガノシロキサン化合物(a)は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。
[2.1.1−2]縮合触媒
本発明にかかる液状組成物(A)は、縮合型シリコーン(I)の保存安定性を実効ならしめるため、縮合触媒を実質的に含有しないことが特徴である。例えば液状組成物(A)に含まれるシラノール基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物等が縮合反応によって得られるものである場合は、液状組成物(A)から当該縮合反応において用いられた縮合触媒を除去する必要がある。
この様な観点から、「縮合触媒を実質的に含有しない」とは、液状組成物(A)が保存安定性を損なう程度の実効量を「当業者における技術常識的に」含有していないということを意味する。具体的には、液状組成物(A)全体に対する縮合触媒の量は、金属換算にて通常80ppm以下、好ましくは40ppm以下、更に好ましくは20ppm以下である。なお、前記縮合触媒が後述の(iii)のように失活しており、残存する縮合触媒由来の成分が液状組成物(A)の保存安定性に悪影響を及ぼさない場合には触媒由来の金属成分が前記より多く残存していてもよく、その量は金属換算にて通常300ppm以下、好ましくは200ppm以下、更に好ましくは100ppm以下である。この量より多くなると液状組成物(A)が白濁したり紫外透明性が損なわれたりする可能性がある。
縮合触媒の詳細については[2.1.3]で後述する。
また、液状組成物(A)から縮合反応において用いられた縮合触媒を除去する方法としては、例えば以下の方法を挙げることができる。なお、(iii)のように触媒金属成分は除去されず活性が失われている方法を選択することもできる。
(i)活性炭や多孔質シリカ、合成吸着剤などの吸着物質による縮合触媒の除去
(ii)水洗、アルコール、その他溶媒洗浄による縮合触媒の除去
(iii)触媒成分の中和や加水分解、反応抑制剤添加などによる縮合触媒の失活
[2.1.2]液状組成物(B)
液状組成物(B)は、縮合触媒を含有し、かつPtを実質的に含有しない液状組成物である。
上述のように縮合型シリコーン(I)が2液型組成物の場合には、液状組成物(B)を前述の液状組成物(A)に混合して使用される。このような液状組成物(B)としては、例えば縮合触媒を有機溶媒やポリオルガノシロキサン化合物等の液状媒体に溶解させたものなどを挙げることができる。
前記液状媒体に用いることができる有機溶媒としては、例えば炭化水素系溶媒を挙げることができる。中でも、液状組成物(A)の主成分であるシロキサン化合物との相溶性の観点からは、非極性または極性の少ない反応性有機基を有しない炭素数6〜10の芳香族化合物、好ましくはトルエン、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼンなど、あるいは分岐あるいは非分岐の炭素数5〜15の鎖状飽和炭化水素、好ましくはヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカンなどを挙げることができる。これら炭化水素系溶媒の成分は単一でも混合物でもよく、ガソリンやミネラルスピリットのような混合溶媒を用いてもよい。中でも毒性が低く硬化物に残留した場合に紫外光を吸収しにくい鎖状飽和炭化水素溶媒が特に好ましい。
揮発性有機溶媒を用いる場合には塗布方法により適宜沸点を選択することができるが、通常液状組成物(B)の沸点が40〜200℃、好ましくは50〜150℃となるように有機溶媒成分の選択をすることが好ましい。液状組成物(B)の沸点が前記範囲より低い温度では引火性が高くなり安全上の問題が生じ、前記範囲より高い温度では硬化物中に有機溶媒が残存し、用途によってはブリードアウトや製品使用中の加熱による重量減や、透過率の低下が起きる可能性がある。
前記液状媒体に用いることができるポリオルガノシロキサン化合物としては、特に後述するシラノール基と反応する置換基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物(ポリオルガノシロキサン化合物(b))が挙げられる。該ポリオルガノシロキサン化合物は、硬化後にブリードアウトや揮発、加熱重量減などの問題が起きないため好ましい。
液状媒体としての有機溶媒、およびポリオルガノシロキサン化合物は単独または複数組み合わせて用いることができる。
[2.1.2−1]シラノール基と反応する置換基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物
液状組成物(B)は、好ましくは液状組成物(A)のシラノール基と反応する置換基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物(ポリオルガノシロキサン化合物(b))を含有する。ポリオルガノシロキサン化合物(b)は、シラノール基と反応する置換基を一分子中に2個以上含有することにより、シラノール基を一分子中に2個以上含有するポリオルガノシロキサン化合物(a)と結合し、直線的に、また三官能分子と反応して架橋しながら三次元的に、その分子量を高分子化することが可能となる。
ポリオルガノシロキサン化合物(b)におけるシラノール基と反応する置換基は、上記の目的を達成するものであれば特に限定はないが、例えば(i)ヒドロシリル基(Si−H)、(ii)シラノール基(Si−OH)、(iii)水酸基を含む有機基(Si−R−OH)などを挙げることができる。
[2.1.3]縮合触媒(硬化触媒)
本発明にかかる液状組成物(B)は、縮合触媒、即ち脱水・脱アルコール縮合反応触媒、脱水素縮合反応触媒、特にシロキサン化合物脱水・脱アルコール縮合反応触媒を含有する。
脱水・脱アルコール縮合反応触媒としては、有機金属錯体触媒、金属と有機酸の塩、ルイス酸・ルイス塩基触媒からなる群から選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。
脱水・脱アルコール縮合反応触媒に含まれる金属成分としては、Sn、Zn、Fe、Ti、Zr、Bi、Hf、Y、Al、B、Gaなどから選ばれる1以上を用いるのが好ましく、中でもSn、Ti、Al、Zn、Zr、Hf、Gaは反応活性が高いという点で好ましく、発光デバイス用部材として用いる場合に電極腐食や光吸収が少なく適度な触媒活性を有し、ジメチルポリシロキサン鎖の不要な切断劣化が起こりにくいZrやHf、Gaが特に好ましい。
シロキサン化合物脱水素縮合反応触媒としては、金属、ホウ素及びヒドロキシルアミンからなる群から選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。
脱水素縮合反応触媒に含まれる金属成分としては、Pt、Pd、Pb、Sn、Zn、F
e、Ti、Zr、Bi、Alから選ばれる1以上を用いるのが好ましく、中でもZr、Pt、Pd、Snは反応活性が高いという点で好ましく、適度な活性を有し反応速度制御しやすく、工業的に入手の容易なZr、Snが更に好ましい。Snを含む縮合触媒(Sn系触媒)の中では、Sn(IV)系が更に好ましい。また硬化物を電極近くで使用する場合にはZr系触媒、ヒドロキシルアミンや白金系触媒などを用いると電極着色などを起こしにくく好ましい。
液状組成物(B)にヒドロシリル基含有ポリオルガノシロキサン化合物(ポリオルガノシロキサン化合物(b1))が含まれる場合、液状組成物(A)と液状組成物(B)を混合すると、液状組成物(B)に含まれる縮合触媒の作用により、液状組成物(A)に含まれるシラノール基を含有するポリオルガノシロキサン化合物(a)自身の脱水・脱アルコール縮合反応と、ポリオルガノシロキサン化合物(a)とポリオルガノシロキサン化合物(b1)との間の脱水素縮合反応が同時に進行することがある。このような場合、脱水・脱アルコール縮合反応と脱水素縮合反応の両方に対して活性を有する触媒を用いることができる。このような触媒としてはZr、Hf、Sn、Zn、Fe,Ti、Al、Bなどを含有する有機金属錯体触媒やこれら金属と有機酸の塩などが挙げられる。中でも硬化物中に残存した場合でも、電極腐食が少なく、光吸収が少なく、脱水・脱アルコール縮合と脱水素縮合との活性のバランスが取れており、適度な活性を有し反応制御しやすいことからZr、Hfを含有する触媒が好ましい。
ジルコニウムを含有する有機金属化合物触媒としては、具体的には、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシジアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムアシレート、ジルコニウムトリブトキシステアレート、ジルコニウムオクトエート、ジルコニル(2−エチルヘキサノエート)、ジルコニウム(2−エチルヘキソエート)などが挙げられる。
なお、ジルコニウムを含有する有機金属化合物触媒として、上記化合物に加え、例えば、特開2010−163602号公報に記載の各種ジルコニウム触媒を用いることができる。
中でも液状組成物(B)に用いるためには触媒自身が適度な安定性及び触媒反応性を持つことが重要であり、触媒自身が大気中の水分等によって容易に加水分解されないことが好ましい。
このように適度な安定性及び触媒反応性を与える配位子としてはステアリン酸やナフテン酸、オクチル酸のようなモノカルボン酸、アセチルアセトンのようなジカルボン酸などが挙げられ、ジルコニウムの4つの原子価のうちの少なくとも1つがこれらカルボン酸と結合した塩となっていることが好ましい。また、ジルコニウム触媒はジルコニル構造(Zr=O2+)をとっていてもよい。
また、ジルコニウム触媒が含有されても液状組成物(B)が透明であり、6ヶ月程度の長期保管時に析出物が無く、かつ、液状組成物(A)及び(B)の混合時に硬化性能が維持されるならば、該ジルコニウム触媒は、粉末であってもオリゴマー構造をとっていてもよく、また、液状組成物(B)がシラノール基を含むポリオルガノシロキサン化合物(ポリオルガノシロキサン化合物(b2))を含有する場合には、該ポリオルガノシロキサン化合物のシラノール基と結合あるいは配位した構造であってもよい。
また液状組成物(B)の保存安定性を満たすならば、ジルコニウム触媒におけるジルコニウムの4つの原子価のうち、その一部がアルコキシ基と結合していてもよい。ジルコニウムテトラn−プロポキシドなどのように配位子となるアルコールに溶解された形で供給される触媒の場合、触媒と共に系内に導入されるアルコールが液状組成物(A)や液状組成物(B)のシラノール基含有ポリオルガノシロキサン化合物のシラノール基とエステル交換して反応性に劣るアルコキシ基を生成するため硬化不良の原因となりやすく、不要なアルコールを極力除く形で使用することが好ましい。また、液状組成物(B)の保存安定性や触媒溶解性を補うためにアセチルアセトンのように触媒に配位する溶媒を液状組成物(B)に適宜添加してもよい。
以上、ジルコニウム触媒にて説明したが、他の金属触媒についても同様なことが言える。
以下、ジルコニウムを含有する有機金属化合物触媒以外の縮合触媒の具体例を記す。
ハフニウムを含有する有機金属化合物触媒は、前記ジルコニウムと同様の形態が挙げられる。
チタンを含有する有機金属化合物触媒としては、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラノルマルブトキシド、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、チタンアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテートなどが挙げられる。
亜鉛を含有する有機金属化合物触媒としては、亜鉛トリアセチルアセトネート、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、ビス(アセチルアセトナト)亜鉛(II)(一水和物)、などが挙げられる。
スズを含有する有機金属化合物触媒としては、テトラブチルスズ、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキサイド、テトラオクチルスズ、ジオクチルスズジクロライド、ジオクチルスズオキサイド、テトラメチルスズ、ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート、ビス(2−エチルヘキサノエート)スズ、ビス(ネオデカノエート)スズ、ジ−n−ブチルビス(エチルヘキシルマレート)スズ、ジ−ノルマルブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)スズ、ジ−ノルマルブチルブトキシクロロスズ、ジ−ノルマルブチルジアセトキシスズ、ジ−ノルマルブチルジラウリル酸スズ、ジメチルジネオデカノエートスズなどが挙げられる。
ホウ素を含有する触媒としては、例えばトリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリブトキシボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランなどを挙げることができる。
ガリウムを含有する触媒としては、例えばガリウムトリアセチルアセトネート、ガリウムトリエトキシド、ジエチルエトキシガリウム、オクチル酸ガリウム、ラウリン酸ガリウムなどを挙げることができる。
また白金ビニルシロキサン錯体、塩化白金酸なども好適に用いることができるが、活性が高く硬化物が発泡体となりやすいので、必要に応じてエチニルシクロヘキサノールなどの硬化抑制剤を併用したり、硬化温度をステップ昇温とすると発泡を抑制することができる。
金属を含有しない縮合触媒としては、ジエチルヒドロキシルアミン、トリエチルアミンなどのような硬化後に揮発する塩基触媒や有機酸触媒などを用いてもよい。
前記縮合触媒は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。また任意の反応促進剤や反応抑制剤と併用してもよい。
また、液状組成物(A)及び(B)を混合した後、前記縮合触媒により起こる縮合反応機構は脱水・脱アルコール縮合反応のみでも脱水素縮合反応のみでもよく、双方の反応が共存していてもよいが、硬化時発泡のリスクを軽減するためには脱水・脱アルコール縮合反応が主体であると、反応速度を制御しやすく好ましい。
前記縮合触媒は、液状組成物(A)及び(B)を混合した後、2液型組成物が少なくとも硬化し、かつ硬化時に顕著に発泡しない程度の量を入れることが肝要である。縮合触媒の含有量は、例えば、ヒドロキシルアミン換算、ホウ素換算または金属元素換算で、揮発性有機溶剤を除いた総原料重量に対して通常0.001重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、より好ましくは0.01重量%以上、また、通常5重量%以下、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下である。
なお、縮合触媒の含有量は、ICP分析により測定できる。
特に、金属アルコキシド系触媒やSn(IV)系触媒を用いる場合は、経時的に生じる金属酸化物や不溶性の触媒物質オリゴマーの生成を抑える観点から、縮合触媒の含有量は、揮発性有機溶剤を除いた総原料重量に対して金属元素換算で0.08重量%以下であることが好ましい。
[2.1.4]Pt含有量
上述のように本発明にかかる液状組成物(B)は、Ptを実質的に含有しないことを特徴とする。
Ptは、液状組成物(B)にヒドロシリル基を含有するポリオルガノシロキサン化合物(ポリオルガノシロキサン化合物(b1))が含まれる場合に、液状組成物(A)のシラノール基含有ポリオルガノシロキサンと脱水素縮合反応をさせる触媒作用がある。
Ptは脱水素縮合反応触媒として非常に強い活性を有するため、Pt含有量が多すぎると液状組成物(A)及び液状組成物(B)を混合し、硬化物を得る際に水素による発泡を生じやすい。また、液状組成物(B)がヒドロシリル基を含有するポリオルガノシロキサン化合物を含む場合には、液状組成物(B)の長期保管中に該ポリオルガノシロキサン化合物のヒドロシリル基が大気中の水分と反応し、水素を発生させると共に活性の高いシラノール基に変化し、液状組成物(B)の経時増粘につながりやすい。
この様な観点から、「Ptを実質的に含有しない」とは、液状組成物(B)が保存安定性を損なう程度の実効量を「当業者における技術常識的に」含有していないということを意味する。具体的には、液状組成物(B)重量全体に対するPt含有量が金属重量換算として通常1ppm以下、好ましくは0.5ppm以下である。
同様の理由で液状組成物(B)に含まれるポリオルガノシロキサン化合物(b)の合成由来のPtが意図せず混入した場合にも、Pt含有量は1ppm以下とする必要がある。
<2.2.チキソ性付与剤(II)>
チキソ性付与剤(II)は、1次粒子径が5nm以上20nm以下の範囲である。チキソ性付与剤(II)は、粘度調整剤として、上記縮合型シリコーン(I)(2液型の場合は、液状組成物(A)及び(B)の少なくともいずれかに、配合することにより、その粘度を高くすることができる。また、チキソ性付与剤(II)の種類によっては、硬化物(ポリオルガノシロキサン硬化物)における光学的特性や作業性、機械的特性、物理化学的特性を向上させることができる場合がある。チキソ性付与剤には親水性材料と疎水性材料があるが、疎水性材料が好ましい。
チキソ性付与剤(II)としては、無機材料、有機材料のいずれでもよいが、通常、無機粒子である。
以下、チキソ性付与剤(II)として好適な無機粒子について説明する。
[2.2.1]無機粒子(フィラー)
[2.2.1−1]無機粒子の平均粒径(メジアン径)
チキソ性付与剤(II)としての無機粒子(一次粒子)の平均粒径は、5nm以上20nm以下であり、7nm以上15nm以下が好適である。
5nm未満であると、介在しにくい、高粘度で不安定になりやすい等の問題があり、20nmを超えると白濁しやすく、また、チキソ性が発現しにくくなるため好ましくない。
このような無機粒子としては、例えば、無機粒子が粒径約10nmの超微粒子状シリカ(日本アエロジル株式会社製、商品名:AEROSIL#200やRX200、株式会社トクヤマ製、商品名:レオロシールQS−102やHM−20L)の場合、液状組成物(A)及び/又は液状組成物(B)のチクソトロピック性が増大する。
また、その種類は単一でもよく、複数種を組み合わせてもよい。また、分散性を改善するためにシランカップリング剤などの表面処理剤で表面処理されていてもよい。
[2.2.1−2]無機粒子の種類
使用する無機粒子の種類としては、シリカ、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウムなどの無機酸化物粒子や窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウムなどの窒化物や炭素化合物、ダイヤモンド粒子などが例示されるが、目的に応じて他の物質を選択することもでき、これらに限定されるものではない。
無機粒子の形態は粉体状、スラリー状等、目的に応じいかなる形態でもよいが、透明性を保つ必要がある場合は、本発明のポリオルガノシロキサン硬化物と屈折率を同等としたり、水系・溶媒系の透明ゾルとして液状組成物(A)及び/又は液状組成物(B)に加えたりすることが好ましい。
液状組成物(A)及び(B)からなる2液型組成物はエポキシ樹脂やシリコーン樹脂など従来の光学部材用材料と比較して低粘度であり、かつ蛍光体や無機粒子とのなじみがよく、高濃度の無機粒子を分散しても十分に塗布性能を維持することができるという利点を有する。また、必要に応じて重合度の調整やアエロジル等のチキソ剤を含有させることにより高粘度にすることも可能であり、目的の無機粒子含有量に応じた粘度の調整幅が大きく、塗布対象物の種類や形状さらにはポッティング・スピンコート・印刷などの各種塗布方法に柔軟に対応できる塗布液を提供することができる。
なお、ポリオルガノシロキサン硬化物における無機粒子の含有量や濃度分布は、仕込み組成から計算できるほか、硬化物を化学溶解して無機粒子に特有な元素をICP分析したり、硬化物の断面を作製し、写真撮影後画像処理をおこなったりして求めることができる。
また、縮合型シリコーン(I)に対する無機粒子の含有量は、ポリオルガノシロキサン硬化物における無機粒子の含有量が前記範囲に収まるように設定すればよい。したがって、縮合型シリコーン(I)が乾燥工程において重量変化しない場合は縮合型シリコーン(I)における無機粒子の含有量はポリオルガノシロキサン硬化物における無機粒子の含有量と同様になる。また、2液型組成物が溶媒等を含有している場合など、縮合型シリコーン(I)が乾燥工程において重量変化する場合は、その溶媒等を除いた縮合型シリコーン(I)における無機粒子の含有量がポリオルガノシロキサン硬化物における無機粒子の含有量と同様になるようにすればよい。
<2.3.エポキシ化合物(III)>
エポキシ化合物(III)は、分子中にエポキシ基を少なくとも1つ含有する化合物であり、該化合物を含むことにより、COB用プリント配線部表面との接着性、特に電極プリント配線部11,12や表面絶縁層14との接着性が向上する。すなわち、エポキシ化合物(III)は、接着性付与剤としての作用を有する。
エポキシ基を少なくとも1つ含有する化合物としては、エポキシ基を有するシランカップリング剤、ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂等が挙げられるが、(I)成分への混和性の観点から、エポキシ基を有するシランカップリング剤が好ましい。
エポキシ基を有するシランカップリング剤は、有機物とケイ素から構成される化合物で、分子中に2種以上の異なった反応基を有する。具体的には、エポキシ基と、少なくとも加水分解性基を有する化合物である。これら2種類以上の反応基を有することにより、通常では非常に結びつきにくい有機材料と無機材料を結ぶ仲介役としての働きを有する。エポキシ基を有するシランカップリング剤が接着効果を発現するためには、加水分解性基の加水分解反応、縮合反応が必要であり、縮合型シリコーンと同時に用いることによって加水分解反応、縮合反応が効率的に起こり、接着性向上に寄与すると考えられる。加水分解性基としては、アルコキシ基が好ましい。
エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、信越化学工業製KBM−303、KBM−402、KBM−403、KBE−402、KBE−403、東レダウコーニング社製Z−6040、Z−6043、Z−6011、Z−6020、Z−6094、Z−6062、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製A−186、A−187、A−1871が挙げられ、これらのうち、液状であり(I)成分との混和性が適度に良く、耐熱性が良好な点でKBM−303、KBM−403が好ましい。
ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、A型、AP型、AF型、B型、BP型、C型、E型、F型、G型、M型、S型、P型、PH型、TMC型、Z型などが挙げられ、これらのうち、適度な極性があり、(I)成分への混和性が適度に良く、硬化触媒を阻害しにくく、耐熱性、耐紫外光性が良好な点でビスフェノールA型が好ましい。
ビスフェノール基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、三菱化学(株)製ビスフェノールA型エポキシ樹脂jER827、jER828US、jER834、ビスフェノールF型エポキシ樹脂jER806、jER807、jER4005P、jER4007P、jER4010Pが挙げられ、これらのうち、液状であり(I)成分との混和性が適度に良く、電極の汚染原因となる遊離塩素量が低い点でjER828USが好ましい。
これらのエポキシ基を少なくとも1つ含有する化合物は、1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を任意の組み合わせ、および比率で用いてもよい。
<2.4.他の添加物>
封止材液には、上記成分(I)〜(III)以外に、粘度、硬化速度、硬化物の硬度、触媒の溶解性向上、塗布しやすさの向上などの性状の調整やその硬化物(ポリオルガノシロキサン硬化物)における光学的特性や作業性、機械的特性、物理化学的特性を向上させることを目的として、他の添加物を含有していてもよい。
他の添加物の中でも、以下に説明するシリコーン系架橋剤や液状媒体を含有することが好ましい。
[2.4.1]シリコーン系架橋促進剤
封止材液においては触媒濃度や使用量を制御する他、反応性の高いシリコーン系架橋促進剤を架橋促進成分として添加することにより硬化速度を上げることができる。
本発明におけるシリコーン系架橋促進剤とは、液状組成物(A)中のポリオルガノシロキサン化合物(a)のシラノール基と反応する、シラノール基及び/又は加水分解性シリル基を一分子中に少なくとも2個以上含有する多官能ケイ素含有ポリオルガノシロキサン化合物である。
該シリコーン系架橋剤は、液状組成物(A)中のポリオルガノシロキサン化合物(a)より反応性が高く、前記シラノール基と反応する基を2個以上有することによって、液状組成物(A)中のポリオルガノシロキサン化合物(a)同士を結合する強力なバインダーとして機能し、硬化を促進する。
このシリコーン架橋促進剤は、液状組成物(A)及び(B)の混合前に、液状組成物(A)及び(B)の少なくとも一方に添加することにより液状組成物(A)中のポリオルガノシロキサン化合物(a)のシラノール基をより反応活性の高い末端に変換し、液状組成物(A)及び(B)混合に硬化速度を速くすることができる。
シリコーン系架橋促進剤の主骨格は通常3官能(T単位)及び/又は4官能(Q単位)のケイ素を主体とするポリオルガノシロキサン構造であることが好ましく、ケイ素に結合する非反応性の有機官能基は耐熱性や耐光性に優れる観点から通常メチル基あるいはフェニル基、好ましくは紫外吸収が無く電子放出性がフェニル基より低く、かつ、より反応性の高いシリコーン系架橋促進剤を提供できるメチル基を主体とすることが好ましい。
3官能以上のケイ素に由来するシラノール基は2官能ケイ素由来のシラノール基と比較してその電子的環境により活性が高いため、反応性が高くなる。
シラノール基の反応性はその幹分子であるポリオルガノシロキサンの分子量にも影響され、分子量が低いほど立体障害少なく活性が高くなる傾向にある。そのため、硬化速度を速くするためにはシリコーン系架橋促進剤の分子量は低いほどよいが、あまり低分子量であると沸点が低くなって、硬化中に揮発して十分な効果を得られなかったり、揮発しなくても反応性が高すぎて硬化物の表面に荒れが生じたりする可能性がある。
シリコーン系架橋促進剤の分子量はその用途や用いられる部材の形状、加工法により適宜選択され、重量平均分子量で通常200以上、好ましくは250以上、さらに好ましくは300以上、上限は通常100000以下、好ましくは5000以下、さらに好ましくは1000以下である。
硬化速度はシリコーン系架橋促進剤の使用量によっても制御することができる。好適な使用量はシリコーン系架橋促進剤の分子量にもよるが、通常、液状組成物(A)中のポリオルガノシロキサン化合物100重量部に対して通常0.05〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部、さらに好ましくは0.15〜2重量部、特に好ましくは0.2〜1重量部である。
この範囲を下回ると架橋促進剤としての効果を十分に発現することができなくなることがある。また、この範囲を上回ると架橋が進みすぎて得られる部材がもろくなったり、液状組成物(A)中のポリオルガノシロキサン化合物(a)と未反応のシリコーン系架橋促進剤の揮発や縮合反応により脱離する水・アルコールなどの生成量が増大することなどにより、硬化時の重量歩留まりが低下したり、得られる硬化物に過度の内部応力が発生したりする。その結果半導体発光デバイスとした時の変形、ワイヤ破断、部材剥離等が発生してデバイスの信頼性が低下するおそれがある。
[2.4.2]液状媒体
封止材液は、粘度、硬化速度、硬化物の硬度、触媒の溶解性向上、塗布しやすさの向上などの性状の調整を目的として、他の液状媒体と混合してもよい。
上記他の液状媒体としては水酸基やヒドロシリル基を有しない有機溶剤やシリコーンオイルなどを使用することができる。
<2.5.封止材液の製造方法>
縮合型シリコーン(I)、チキソ性付与剤(II)、エポキシ化合物(III)及びその他の成分の混合方法は、特に限定されず混合順序も反応や沈殿物が発生するなど特段の問題がない限り任意であり、構成成分のうち、何れか2成分又は3成分以上を予め配合し、その後に残りの成分を混合してもよいし、一度に全部を混合してもよい。
縮合型シリコーン(I)が、液状組成物(A)及び(B)を混合する2液型の場合には、液状組成物(A)及び/又は液状組成物(B)に、チキソ性付与剤(II)、エポキシ化合物(III)を混合した後に、液状組成物(A)及び(B)を混合して硬化させる。
この場合、硬化させる際の、液状組成物(A)及び(B)の配合量は、液状組成物(A)のポリオルガノシロキサン化合物に含まれるSi−OH(シラノール基)と、液状組成物(B)のポリオルガノシロキサンに含まれるシラノール基と反応する置換基(例えば、Si−H(ヒドロシリル基))のモル比で、通常100:1〜1:100、好ましくは20:1〜1:20、更に好ましくは10:1〜1:10である。液状組成物(A)に含まれるシラノール基含有ポリオルガノシロキサン化合物が多すぎても、液状組成物(B)に含まれるシラノール基と反応する置換基を含有するポリオルガノシロキサン化合物が多すぎても硬化が不十分となることがある。
なお、液状組成物(A)のポリオルガノシロキサン化合物に含まれるシラノール基、及び液状組成物(B)のポリオルガノシロキサン化合物に含まれるシラノール基と反応する置換基以外の置換基とその比率は、硬化反応の安定性の観点から適宜設定することが好ましい。
本発明において、チキソ性付与剤(II)(無機粒子)を混合する方法は特に制限されないが、通常は、遊星攪拌ミキサー等を用いて脱泡しつつ混合することが推奨される。例えばアエロジルのような凝集しやすい小粒子を混合する場合には、粒子混合後必要に応じビーズミルや三本ロール、高せん断の攪拌機などを用いて凝集粒子の解砕を行ってから蛍光体等の混合容易な大粒子成分を混合してもよい。
<2.6.封止材液の好適組成>
本発明に係る封止材液における成分(I)〜(III)の好ましい組成比は、縮合型シリコーン(I)100重量部に対し、チキソ性付与剤(II)5〜30重量部、(縮合型シリコーン(I)+チキソ性付与剤(II))100重量部に対し、エポキシ化合物(III)0.001〜5重量部である。
より好ましくは、縮合型シリコーン(I)100重量部に対し、チキソ性付与剤(II)8〜25重量部、(縮合型シリコーン(I)+チキソ性付与剤(II))100重量部に対し、エポキシ化合物(III)0.01〜2重量部である。
このような組成比であると、成形型を用いずにドーム状の成形が可能となり、成形された形状を保ちながら銀、銀合金、銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金との接着性が改善されたドーム型封止部の製造が容易になる。
<2.7.封止材液の硬化性>
本発明に係る封止材液は、空気中で、温度150℃の条件下で、通常6時間以内で硬化するものが望まれる。即ち、本発明に係る封止材液は比較的硬化時間が短いため、経済的に優れ、また、フィラーを添加、混合、混練した際に、そのフィラーが沈降したりしないという技術的意義がある。また、150℃という比較的低温により硬化が可能であるため、半導体発光装置の構成要素、特に半導体発光素子や蛍光体の、硬化時の熱による性能低下を抑制することもできる。
ここで、本発明において、「硬化」とは、流動性を示す状態から、流動性を示さない状態に変化することをいい、例えば、対象物を水平より45度傾けた状態で30分間静置して流動性があるかないかでそれぞれ未硬化状態、硬化状態を判断することができる。
高濃度にチキソ性付与剤(II)を添加した系では、チキソ性の発現により対象物を水平より45度傾けた状態で流動性が無くとも硬化していないケースが考えられるが、その際には対象物の硬度をデュロメータタイプAにて測定し、硬度測定値が少なくとも5以上であるか否かで未硬化状態、硬化状態を判断することができる。
本発明に係る封止材液が、温度150℃で硬化する時間としては、通常6時間以内、更に好ましくは5時間以内、特に好ましくは4時間以内、とりわけ好ましくは3時間以内である。また、通常0.2時間以上、好ましくは0.5時間以上である。硬化時間が長すぎると、チキソ性付与剤(II)が沈降する場合がある。また、長時間の硬化処理を必要とするため、コスト高となる。硬化時間が短すぎると、ハンドリングが難しく、レベリング前に硬化して形成面にムラができる場合がある。
硬化速度を早くするためには、適切な触媒を選択する、分岐の多いポリシロキサン原料を使用する、分子量の高いポリシロキサン原料を使用する、硬化時に発生する水素や水分、アルコールなど脱離成分の除去を積極的に行う、などの方法がある。
<3.ドーム型の封止材>
<3.1.ポリオルガノシロキサン硬化物>
[3.1.1]概略説明
本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物は、封止材液を硬化させて得られるものであり、成形型を用いずに発光素子3を覆ってドーム状に盛り上げることのできる硬化性材料である。ここで、硬化性材料とは、流動性を有する材料であって、何らかの硬化処理を施すことにより硬化する材料のことをいう。ここで、流動性を有するとは、通常、液状又はゲル状のことをいうが、本発明においては、ドーム状の封止材4の形状を保持させる観点から、チキソ性付与剤(II)を含有するため、ゲル状、クリーム状、またはペースト状を呈するものが好ましい。
本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物は、光線透過性(透明性)、耐光性、耐熱性、耐水熱性、耐UV性、少発泡性などの種々の特性が高いため、半導体発光装置の半導体発光素子等を封止するための封止材として好適である。
蛍光体を含有させる場合、本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物における蛍光体の含有量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、その適用形態により自由に選定できる。白色LEDや白色照明等の用途に用いる白色発光の半導体発光装置を例に挙げると、蛍光体総量として、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、また、通常35重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは28重量%以下である。
以下、その特性につき説明する。
[3.1.2]透過率
本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物は、膜厚1mmとした時の400nm以上800nm以下の全ての波長における光透過率が、通常70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
[3.1.2−1]UV透過率
本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物を、半導体発光装置用の光学部材に用いる場合には、膜厚1mmでの半導体発光装置の発光波長における光透過率が、通常70%以上、中でも80%以上、更には90%以上であることが好ましい。半導体発光装置は各種の技術によりその光取り出し効率が高められているが、半導体発光素子を封止したり蛍光体を保持したりするための透光性部材の透明度が低いと、これを用いた半導体発光装置の輝度が低減するため、高輝度な半導体発光装置製品を得にくくなる傾向にある。
ここで「半導体発光装置の発光波長」とは、半導体発光装置の種類に応じて異なる値であるが、一般的には、通常300nm以上、好ましくは350nm以上、また、通常900nm以下、好ましくは500nm以下の範囲の波長を指す。この範囲の波長における光透過率が低いと、ポリオルガノシロキサン硬化物が光を吸収してしまい、光取り出し効率が低下して、高輝度の半導体発光装置を得ることができなくなる。更に、光取り出し効率が低下した分のエネルギーは熱に変わり、半導体発光装置の熱劣化の原因となるため好ましくない。
なお、紫外〜青色領域(波長300nm〜500nm)においては封止部材が光劣化しやすいので、この領域に発光波長を有する半導体発光装置に、耐久性に優れた、本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物を使用すれば、その効果が大きくなるので好ましい。
なお、ポリオルガノシロキサン硬化物の光透過率は、例えば以下の手法により、膜厚1mmに成形した平滑な表面の単独硬化物膜のサンプルを用いて、紫外分光光度計により測定することができる。
ポリオルガノシロキサン硬化物の、傷や凹凸による散乱の無い厚さ約1mmの平滑な表面の単独硬化物膜を用いて、紫外分光光度計(島津製作所製 UV−3100)を使用し、波長200nm〜800nmにおいて透過度測定を行なう。
但し、半導体発光装置の形状は様々であり、大多数は0.1mmを超える厚膜状態での使用であるが、LEDチップ(発光素子)から離れた位置に薄膜状の蛍光体層(例えばナノ蛍光体粒子や蛍光イオンを含む厚さ数μmの層)を設ける場合や、LEDチップの直上に薄膜上に高屈折光取り出し膜を設ける場合等、薄膜使用の用途もある。この様な場合には、この膜厚において80%以上の透過率を示すことが好ましい。このような薄膜状の適用形態においても、本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物は優れた耐光性、耐熱性を示し、封止性能に優れ、クラック等もなく安定して成膜できる。
[3.1.3]官能基
本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物は、ポリフタルアミドなどの樹脂、セラミック又は金属の表面に存在する所定の官能基(例えば、水酸基、メタロキサン結合中の酸素など)と水素結合可能な官能基を有していてもよい。上述した半導体発光装置のCOB用配線基板は、セラミック又は金属で形成されていることが多い。また、セラミックや金属の表面には、通常は水酸基が存在する。そこで、密着性を担保させることを目的として、当該水酸基と水素結合可能な官能基を有していてもよい。
本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物が有する、前記の水酸基に対して水素結合が可能な官能基としては、例えば、シラノール基、アルコキシ基、アミノ基、イミノ基、メタクリル基、アクリル基、チオール基、エポキシ基、エーテル基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホン酸基等が挙げられる。中でも耐熱性の観点からシラノール基、アルコキシ基が好ましい。なお、前記官能基は1種でもよく、2種以上でもよい。
なお、本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物が、前記のように、水酸基に対して水素結合が可能な官能基を有しているか否かは、固体Si−NMR、固体1H−NMR、赤外線吸収スペクトル(IR)、ラマンスペクトルなどの分光学的手法により確認することができる。
[3.1.4]耐熱性
本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物は、耐熱性に優れる。即ち、高温条件下に放置した場合でも、所定の波長を有する光における透過率が変動しにくい性質を有する。具体的には、本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物は、200℃に500時間放置した前後において、波長400nmの光に対する透過率の維持率が、通常80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上であり、また、通常110%以下、好ましくは105%以下、より好ましくは100%以下である。
なお、前記の変動比は、紫外/可視分光光度計による透過率測定により、[3.1.2−1]で前述したUV透過率の測定方法と同様にして測定することができる。
[3.1.5]耐光性
本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物は、耐光性に優れる。特に、UV(紫外光)を照射した場合でも、所定の波長を有する光に対する透過率が変動しにくい性質を有する。具体的には、本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物は、中心波長380nm、放射強度0.4kW/m2の光を72時間照射した前後において、波長400nmの光における透過率の維持率が、通常70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上であり、また、通常110%以下、好ましくは105%以下、より好ましくは100%以下である。
なお、前記の変動比は、紫外/可視分光光度計による透過率測定により、[3.1.2−1]で前述したUV透過率の測定方法と同様にして測定することができる。
[3.1.6]硬度
本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物は、エラストマー状を呈する部材であることが好ましい。一般に半導体発光装置等の光学部材には熱膨張係数の異なる部材を複数使用することが多いが、本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物がエラストマー状を呈することにより、光学部材に用いられる部材の伸縮による応力を緩和することができる。したがって、使用中に剥離、クラック、断線などを起こしにくく、耐リフロー性及び耐温度サイクル性に優れる半導体デバイスを提供することができる。
具体的には、ポリオルガノシロキサン硬化物は、デュロメータタイプAによる硬度測定値(ショアA)が、通常5以上、好ましくは7以上、より好ましくは10以上、また、通常90以下、好ましくは80以下、より好ましくは70以下である。上記範囲の硬度測定値を有することにより、本発明の光学部材は、クラックが発生しにくく、耐リフロー性及び耐温度サイクル性に優れるという利点を得ることができる。
なお、硬度測定値(ショアA)は、JIS K6253に記載の方法により測定することができる。具体的には、古里精機製作所製のA型ゴム硬度計を用いて測定を行なうことができる。
[3.1.7]他の部材との組み合わせ
本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物は単独で封止材として用いてもよいが、有機蛍光体、酸素や水分により劣化しやすい蛍光体、半導体発光装置を封止する場合等、より厳密に酸素や水分からの遮断を要求される用途においては、本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物により蛍光体の保持や半導体発光素子の封止・光取り出しを実施し、さらにその外側にガラス板やエポキシ樹脂などの高気密素材による気密封止を実施したり、真空封止を実施してもよい。この場合の形状に制限は無く、本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物による封止体、塗布物あるいは塗布面が実質的に金属・ガラス・高気密性樹脂などの高気密素材により外界から保護遮断され酸素や水分の流通が無い状態になっていればよい。
なお、本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物は、これのみで十分密着性を担保しうるものであるが、更に密着性を担保することを目的として、ポリオルガノシロキサン硬化物と直接接する表面に密着性改善のための表面処理を行なってもよい。このような、表面処理としては、例えばプライマーを用いた密着改善層の形成、酸やアルカリなどの薬品を用いた化学的表面処理、プラズマ照射やイオン照射・電子線照射を用いた物理的表面処理、サンドブラストやエッチング・微粒子塗布などによる粗面化処理等が挙げられる。密着性改善のための表面処理としては、その他に例えば、特開平5−25300号公報、稲垣訓宏著「表面化学」Vol.18 No.9、pp21−26、黒崎和夫著「表面化学」Vol.19 No.2、pp44−51(1998)等に開示される公知の表面処理方法が挙げられる。
[3.1.8]その他
本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物は、ドーム型封止部の形状を有すればよく、寸法に制限は無く任意である。ポリオルガノシロキサン硬化物が封止材として使用される場合には、ドーム型封止部を構成する本発明のポリオルガノシロキサン硬化物の寸法は、その半導体発光装置容器の形状及び寸法に応じて決定される。
また、本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物は、通常、従来よりも長期間にわたってクラックや剥離を生じることなく半導体発光装置を封止できる。具体的には、本発明に係るポリオルガノシロキサン硬化物を用いて半導体発光装置を封止し、当該半導体発光装置に、通常20mA以上、好ましくは350mA以上の駆動電流を通電して温度85℃相対湿度85%にて連続点灯を行った場合に、通常500時間以上、好ましくは1000時間以上、より好ましくは2000時間以上経過後の輝度が、点灯直後の輝度と比較して低下しない。
<3.2.ドーム型の封止材の形状>
本発明の半導体発酵装置において、上記ポリオルガノシロキサン硬化物は、図1に示すようなドーム型の封止材として使用される。封止材のドームの具体的な立体形状は、特に制限されるものではないが、光取り出し効率向上という観点からは、以下のような立体形状とすることが好ましい。
図3に示すように、図1における半導体発光装置1のドーム型の封止材4の周辺部の側面側の任意の方向δから投影した場合を考える。なお、図3では、理解を容易にするために、発光部2を拡大して示し、一部の構成を省略している。
プリント配線部11の上面(ドーム型の封止材4の下部)に対してドーム型の封止材4が頂部Tからプリント配線部11の上面に垂直に下ろした直線の距離をdとする。また、ドーム型の封止材4を投影して得られるドーム型の封止材4の投影外側輪郭曲線ccにおいて頂部Tの近傍を円近似した際の曲率半径をRとする。ここで、ドーム型の封止材4の頂部Tからプリント配線部11の上面までの直線距離dと、ドーム型の封止材4の頂部Tでの曲率半径Rとの比d/Rは、以下の式(2)を常に満たすことが望ましい。

0.5≦d/R≦1.7 ・・・・・式(2)

ここで、「常に満たす」とは、ドーム型の封止材4の側面側のどの方向から投影した場合においても上記の式(2)を満たすということである。
以上のようにd/Rの範囲を定めることで、発光素子3からの光を透ドーム型の封止材4の外側へ効率よく取り出すことができる。d/Rの値が小さいと、発光素子3から出射した光は、ドーム型の封止材4と周辺媒質の界面に臨界角以上の入射角度で入射する割合が多くなる。臨界角以上の入射角で入射した光は全反射し、全反射した光は、プリント配線部11等の配線基板10の構成部に一部が吸収され、結果的に光取り出し効率が低下することになる。d/Rの値が0.5未満では、その傾向がより顕著に現れるため好ましくない。一方、d/Rの値が大きくなると光取り出し効率は向上するが、d/Rの値が1.7を超えると、ドーム型の封止材4と周辺媒質の界面に臨界角以上の入射角度で入射する割合が再度多くなる。
また、光取り出し効率をより向上させるためには、ドーム型の封止材4の表面が、発
光素子3の発光波長と同じ程度の微細な凹凸を有することも好ましい。
<4.半導体発光装置の製造方法>
次に、本発明の半導体発光装置の製造方法について、図1に示した半導体発光装置1を製造する場合を例に挙げて説明する。
半導体発光装置1は、大きく分けて以下の3つの工程を経て製造することができる。
(準備工程)発光素子3、COB用配線基板10、および本発明に係る封止材液を準備する。
(接合工程)発光素子3とCOB用配線基板10とを接合する。
(ドーム型封止材形成工程)発光素子3がプリント配線部11と接合されている部分を除いて完全に発光素子3を被覆するように、成形型を用いることなく、上記封止材液を硬化させた樹脂組成物からなる封止材4を形成する。
上記(準備工程)、(接合工程)は、従来公知の方法で行えばよく、ここでは説明を省略する。
以下、(ドーム型封止材形成工程)について説明する。
ドーム型封止材形成工程では、成形型を用いることなく封止材4を所望の形状に形成する方法としていくつかの方法が考えられるが、最も簡単な方法は、流動性を有する本発明に係る上記封止材液を、COB用配線基板10の露出部分10aに滴下し、それを硬化させる方法である。この場合、被覆層形成工程は、流動性を有する封止材液を、発光素子3が接合されたプリント配線部11を含む露出部分10aに滴下する工程と、封止材液が滴下された配線基板10を真空装置内で脱気する工程と、脱気中または脱気後に、滴下した封止材液を硬化させる工程とを有することによって、封止材4を所望の形状に形成することができる。液体状の封止材液を、熱硬化性の材料とすれば、封止材液の硬化は、封止材液を配線基板10および発光素子3とともに加熱することで行なうことができる。
封止材液を滴下する工程では、ドーム型の封止材4を形成すべき領域全体に封止材液が広がるように封止材液を滴下する。このとき、ドーム型の封止材4が表面絶縁層14の縁に接している構成である場合は、封止材液は、表面絶縁層14の縁を含むように滴下される。
また、本発明で用いる封止材液は、比較的粘度が高く、発光素子3を搭載した配線基板10上に滴下した後の脱気では、発光素子3と配線基板10の露出部10aとの間の脱気が十分に行なわれないことがある。そこで、封止材形成工程における封止材液の脱気では、意図的な圧力変動を導入しながら脱気することが好ましい。具体的には、真空装置内に間欠的に大気、窒素ガス等を導入して圧力変動を起こす、真空引きを間欠的に行う、間欠的に大気解放、脱気を繰り返す、などの方法が挙げられる。これにより封止材液中の気泡がはじけやすくなり、脱気が促進される。
封止材液を加熱により硬化させる場合、その硬化を、酸素、窒素、二酸化炭素および18族の元素から選ばれる1つのガス、もしくはこれらの混合ガスの雰囲気中で行ない、かつ、100℃〜200℃で加熱することが好ましい。また、該封止材液は、150℃程度またはそれ以下という比較的低温により硬化が可能であるため、発光装置の構成要素、特に発光素子や蛍光体の安定を目的とする場合は、150℃以下で硬化することが好ましい。
封止材液の硬化のための加熱工程においては、加熱温度は一定でなくてもよく、段階的に上昇させてもよい。また、加熱中の配線基板10の姿勢は、形成すべき封止材4の最終的な形状に応じて任意の姿勢とすることができ、例えば、配線基板10の下面を重力方向に向けた姿勢で封止材液を加熱してもよいし、その逆に、配線基板10 の上面を重力方向に向けた姿勢で封止材液を加熱してもよいし、あるいは配線基板10の側面を重力方向に向けた姿勢で封止材液を加熱してもよい。
上述の工程の後、得られたポリオルガノシロキサン硬化物からなる封止材4に対し、必要に応じて各種の後処理を施してもよい。後処理の種類としては、密着性の改善のための表面処理、反射防止膜の作製、光取り出し効率向上のための微細凹凸面の作製等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[1]チキソ性付与剤(II)、エポキシ化合物(III)を含有する液状組成物(A)(A液)の製造
[1−1]X−1液の製造
Momentive Performance Materials Japan社(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社。以下、本明細書実施例における入手元について同じ。)製両末端シラノールジメチルシリコーンオイルXC96−723を2630g、信越化学社製メチルトリメトキシシランを70.22g、及び、触媒として松本ファインケミカル社製ジルコニウムテトラアセチルアセトネート粉末1.89gを、撹拌翼と、分留管、ジムロートコンデンサ及びリービッヒコンデンサとを取り付けた3L五つ口フラスコ中に計量し、室温にて15分触媒の粗大粒子が溶解するまで撹拌した。この後、反応液を100℃まで昇温して触媒を完全溶解し、100℃全還流下で30分間470rpmで撹拌しつつ初期加水分解を行った。
続いて装置の接続を全還流から、留出液がリービッヒコンデンサ側に出るように接続し直し、窒素をSV20で液中に吹き込み生成メタノール及び水分、副生物の低沸ケイ素成分を窒素に随伴させて留去しつつ100℃、470rpmにて1時間撹拌した。窒素をSV20で液中に吹き込みながらさらに130℃に昇温、保持しつつ5時間重合反応を継続し、粘度120mPa・sの反応液を得た。なお、ここで「SV」とは「Space Velocity」の略称であり、単位時間当たりの吹き込み体積量を指す。よって、SV20とは、1時間に反応液の20倍の体積のN2を吹き込むことをいう。
窒素の吹き込みを停止し反応液をいったん室温まで冷却した後、1Lのナス型フラスコ4個に反応液を分割移送し、ロータリーエバポレーターを用いてオイルバス上120℃、1kPaで各65分間ずつ微量に残留しているメタノール及び水分、低沸ケイ素成分を留去し、目開き3.0μmのPTFEろ布にて加圧ろ過を実施して静粘度215cpのX−1液を得た。
[1−2]X−2液の製造
続いて、得られたX−1液2000gをテフロン(登録商標)コートした撹拌翼を付設した撹拌混合槽に仕込み、活性炭(日本エンバイロケミカルズ社製精製白鷺)133.8gを添加して室温にて1時間撹拌を行なった。それをNo.5Aのろ紙にて加圧ろ過した。ろ液に再度活性炭133.8gを添加してNo.5Aのろ紙にてろ過し、さらに目開き0.1μmのPTFE製ろ布にて加圧ろ過を実施することにより、X−2液を得た。なお、X−2液の静粘度は、232cpであった。
[1−3]チキソ性付与剤含有液X−3の製造
続いてX−2液1000g、日本アエロジル株式会社製ヒュームドシリカ「アエロジルRX200」280gを計量し、真空型万能撹拌機を用いて均一に分散し、X−3液を得た。
[1−4] 希釈液の製造
[1−4−1] 希釈液X−4液の製造
撹拌子を入れたサンプルビンにX−2液50g、信越化学社製オルガノシロキサンオリゴマー(メトキシ基含有量45wt%、重量平均分子量500)KC−89S 0.30g、信越化学社製エポキシシランカップリング剤KBM−403(3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)0.18gを加え、室温大気下にて15分撹拌し、X−4液を得た。
[1−4−2] 希釈液X−5液の製造
X−4液製造において、KBM−403の添加量を、3.6gとした以外はX−4液の製造と同様にしてX−5液を得た。
[1−4−3] 希釈液X−6〜X−10液の製造
X−4液製造において、KBM−403の代わりに下記表1に示す添加剤を、用いた以外はX−4液の製造と同様にしてX−6〜X−10液を得た。尚、KBM−503はエポキシ基を有しないシランカップリング剤である。
表1に接着性付与剤(エポキシ化合物(III))についてまとめて示す。
Figure 2013191748
[1−5]A液の製造
[1−5−1]A−1液の製造
軟膏容器にX−3液11.00g、X−4液4.35gを計量し、自転公転式ミキサーを用いて均一に分散し、A−1液を得た。
[1−5−2]A−2〜A−7液の製造
下記表1に示すように、X−4液の代わりにX−5〜X−10液を用いた以外はA−1液と同様にしてA−2〜A−7液を得た。なお、A−1〜A−7液の組成は下記表2の通りである。
Figure 2013191748
[2]液状組成物(B)(B液)の製造
[2−1]B−1液
20mLのスクリュー管に、キシダ化学製n−ドデカン9.60g、触媒成分として、日本化学産業社製ニッカオクチックスジルコニウム12%(T)(Zrとして12wt%のミネラルスピリット溶液)を0.40g仕込み、室温大気下にて30分撹拌してB−1液を得た。
[3] 封止材液(C)(C液)の製造
[3−1]透明封止材液
[3−1−1]C−1−1液の製造
軟膏容器にA−1液5.00g、B−1液0.25gを量り取り、自転公転式ミキサーを用いて混合し、C−1−1液を得た。
[3−1−2]C−1−2〜C−1−7液の製造
A−1液の代わりにA−2〜A−7液を用いた以外はC−1−1の製造と同様にしてC−1−2〜C−1−7液を得た。
[3−1−3]C−1−8液の製造
軟膏容器に信越化学社製KER−2500(付加型シリコーン樹脂) A液3.00g、B液3.00gを量り取り、自転公転式ミキサーを用いて混合し、C−1−8液を得た。
[3−1−4]C−1−9液の製造
軟膏容器に東レダウ・コーニング社製OE6631(付加型シリコーン樹脂) A液2.00g、B液4.00gを量り取り、自転公転式ミキサーを用いて混合し、C−1−9液を得た。
表3に透明封止材液C−1−1〜C−1−9液についてまとめて示す。
Figure 2013191748
[3−2]蛍光体入り封止材液の製造
[3−2−1]C−2−1液の製造
軟膏容器に蛍光体としてYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)(三菱化学株式会社製P46−Y3)0.10g、C−1−1液1.90gを量り取り、自転公転式ミキサーを用いて混合し、C−2−1液を得た。
[3−2−2]C−2−2及びC−2−3液の製造
C−1−1液の代わりにC−1−3及びC−1−5液を用いた以外はC−2−1の製造と同様にしてC−2−2及びC−2−3液を得た。
表4に蛍光体入り封止材液C−2−1〜C−2−3についてまとめて示す。
Figure 2013191748
[4]ドーム型封止部の形成
[4−1]滴下工程
[4−1−1]配線基板への滴下
前述の[3]により製造した封止部形成液(C液)を、5mlのシリンジに静かに流し込んだ。シリンジにフロートとニードルを取り付け、ディスペンサーを用いて配線基板上の所定の箇所の中央部に滴下した。その後、5分程度静置して所定の箇所全体にレベリングさせた。
[4−2]加熱工程
封止材液を塗布した発光装置を下記表5に示す姿勢にて加熱処理を行ない、封止材液を硬化させた。この際、実施例2および8は、配線基板の上面が重力方向を向くように、すなわち透光性被覆層(硬化した封止材液)が下向きとなるように半導体発光装置を乾燥機内に静置し、ドーム型封止部を形成した(表5では「下向き」と記載)。実施例2、8以外の実施例では、その逆に、配線基板の下面が重力方向を向くように、すなわち透光性被覆層(硬化した封止材液)が上向きとなるように半導体発光装置を乾燥機内に静置し、ドーム型封止部を形成した(表5では「上向き」と記載)。
加熱は、表5に示すとおり、各実施例、比較例について、1段階のキュア(硬化処理)又は二段階ステップキュアにより行なった。各段階の加熱後、乾燥機から取り出し、室温になるまで充分に冷却を行ない、ドーム型封止部を有する実施例1〜10、および比較例1〜4の半導体発光装置を得た。
Figure 2013191748
[5]発光装置の評価
発光装置の評価には配線基板を用いて以下に記述する評価を実施した。
[5−1]成形性評価
上記手法にて封止材液を塗布、硬化後の形状を目視にて確認した。尚、基板上の所定の場所で広がり、基板表面から所望の高さを保てたものを○、基板上で樹脂の広がりが過剰又は不足した場合や、基板表面から所望の高さを保てなかったものを×とした。
[5−2]接着性評価
封止材液を硬化させた発光装置において、配線基板と封止部との境界部分にピンセットを差し込み、封止部をピンセットではさみながら配線基板に対して垂直方面へ引き上げ、封止部の剥離を行った。この際、封止部が基板に残った状態を凝集破壊と判断し、基板表面に封止部が残らなかった状態を界面破壊と判定した。また、凝集破壊の場合が接着力強(○)、界面破壊の場合を接着性弱(×)として封止部と配線基板との接着性を評価した。
[5−3]リフロー試験
封止材液を硬化させた発光装置の基板裏面に半田ペーストを薄く塗布し、銅板に載せた。あらかじめ260℃に予熱したホットプレートに銅板を乗せ、1分間加熱した。その後、[5−2]の接着性試験と同様の手法にて封止部と基板の接着性を評価した。
[5−4]ドライアイス耐性試験
封止材液を硬化させた発光装置をドライアイスの上に載せ、1時間静置した。その後、[5−2]の接着性試験と同様の手法にて封止部と基板の接着性を評価した。
表6に[5−1]〜[5−4]の評価結果をまとめて示す。
Figure 2013191748
上記評価結果より、本発明に係るドーム型封止部は成形性が良く、耐熱性にも優れていることがわかった。また、硬化時の基板の向きを下向きに変更することにより封止部の高さを変えることができた。このとき、樹脂の落下は発生しておらず、下向きでの加熱でも再現性良くドーム型封止部の成形が可能であることが示唆された。
[6]その他の基板での評価
基板表面に凹凸のない基板を用いた場合、ドーム型封止部を成形できるかを評価した。
[6−1]銀メッキ基板でのドーム型封止部成形
前述の[3]により製造したC液を、塗布基板に銀メッキ基板を用いた以外は[4]の封止部形成と同様の手法を用いてドーム型封止部の塗布、加熱硬化を行った。その後、[5−1]成形性評価及び[5−2]接着性評価に記載の手法を用いてドーム型封止部の成形性及び基板との接着性を評価した。
[6−2]白色レジスト基板でのドーム型封止部成形
前述の[3]により製造したC液を、塗布基板に白色レジスト基板を用いた以外は[4]の封止部形成と同様の手法を用いてドーム型封止部の塗布、加熱硬化を行った。その後、[5−1]成形性評価及び[5−2]接着性評価に記載の手法を用いてドーム型封止部の成形性及び基板との接着性を評価した。
表7に[6−1]及び[6−2]の評価結果をまとめて示す。
Figure 2013191748
上記表7より、本発明で使用される封止部材用液は基板表面に凹凸がない基板においても成形型なしでドーム型封止部の成形が可能であり、また、接着性も良いことがわかった。すなわち、配線基板上に溝やダムなどの加工がなくてもドーム型封止部の成形が可能であることがわかる。
[7]封止部材用樹脂の評価
[7−1]耐UV性試験
封止部材用樹脂の耐UV性について、C−1−1(実施例1)、C−1−9(比較例4)について評価した。
まず、直径5cmのテフロンシャーレに封止部材用樹脂C−1−1を2g計量し、均一に充填した後、脱気を1.3×10-1Pa、室温(25℃前後)で30分行なった。その後、防暴炉にて100℃1時間加熱の後、150℃1時間加熱し、直径5cm、厚さ1mmのディスク状の硬化物を得た。続いて、得られた硬化物にアイキュアANUP5204を用いて250nmの紫外線を20時間照射した。照射後、硬化物の状態を目視にて確認した。20時間照射後、目視観察にて外観を観察すると、紫外線照射前と変化が無く、紫外線に対する耐性が高いことがわかった。
封止部材用樹脂C−1−1の代わりにC−1−9(OE6631)を用いて評価用ディスクを作製した以外は上記と同様の手法にて耐UV性試験を実施し、紫外光への耐性を評価した。10時間照射後、目視観察にて外観を観察すると、紫外線照射前と比較して褐色に変色しており、紫外線により劣化していることがわかった。
これらのことから、本発明に係るドーム型封止部用樹脂は成形性、接着性、耐熱性、耐UV性に優れていることがわかり、発光装置においても高い信頼性があることが予想される。
本発明によれば、屋内外の照明器具、ディスプレイ、携帯電話や液晶テレビ、デジタルサイネージなどのバックライト、カメラのフラッシュライト、前照灯などの車載照明、検査用や医療用の照明、植物工場などの各種照明用光源として好適に利用することができる、半導体発光装置が提供される。
1 (チップオンボード(COB)型)半導体発光装置
2 発光部
3 発光素子
3a,3b 電極
3c ダイボンド部材
4 ドーム型封止材
5a,5b ワイヤ
6a,6b バンプ
10 (チップオンボード(COB)用)配線基板
10a 露出部分
11,12 プリント配線部
11a,12a 接着面
13 ベース基板
13a メタル基板
13b 絶縁層
14 表面絶縁層

Claims (2)

  1. 縮合型シリコーン(I)、1次粒子径が5nm以上20nm以下の範囲であるチキソ性付与剤(II)、及び、分子中にエポキシ基を少なくとも1つ含有する化合物(III)、を含有する封止材液を硬化させてなるドーム型封止部と、
    該ドーム型封止部と接着する面の少なくとも一部が銀、銅、およびアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属、または、銀、銅、およびアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む合金であるチップオンボード用配線基板と、
    を備えることを特徴とする半導体発光装置。
  2. 前記チップオンボード用配線基板における、前記ドーム型封止部と接着する面の少なくとも一部が波長400nmの光の反射率が40%以上の絶縁層であることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015177183A (ja) * 2014-03-18 2015-10-05 三菱化学株式会社 半導体発光装置
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JP2017117858A (ja) * 2015-12-22 2017-06-29 日亜化学工業株式会社 発光装置
US20220238761A1 (en) * 2019-06-25 2022-07-28 Toyoda Gosei Co., Ltd. Light-emitting device and method for manufacturing same

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