JP2013098232A - 窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】460nm以上の発振波長を有する窒化物半導体レーザ素子では、第1の窒化物半導体層が第1のInGaN光ガイド層および井戸層のそれぞれに接するように第1のInGaN光ガイド層と井戸層との間に設けられている。第1の窒化物半導体層の層厚は1nm以上3nm以下であり、第1の窒化物半導体層はIn組成比が2.0%未満であるInGaNまたはGaNからなる。
【選択図】図7
Description
図1は、本発明の実施の形態に係るレーザ素子を製造するためのウエハ(単に「ウエハ」と記すことがある)10の概略断面図である。ウエハ10では、窒化物半導体基板11の上に、n型AlGaNクラッド層12、GaN層13、第1のInGaN光ガイド層14、第1の窒化物半導体層15、発光層16、第2の窒化物半導体層17、第2のInGaN光ガイド層18、GaN中間層19、p型AlGaN層20、p型AlGaNクラッド層21、およびp型GaNコンタクト層22が順に設けられている。本実施の形態に係るレーザ素子は、必要に応じてウエハ10の一部分をエッチングなどにより除去してからn側電極およびp側電極を所定の位置に形成することにより、製造される。なお、以下では、説明の都合上、第1および第2の窒化物半導体層15,17以外の構成要素を説明してから、第1および第2の窒化物半導体層15,17を説明する。
窒化物半導体基板11としては、GaN基板であっても良いが、AlGaN基板であることが好ましい。AlGaN基板を用いれば、n型AlGaNクラッド層12を積層する必要がなく、またGaN基板を用いた場合に問題となる基板への光の漏れを抑制する必要もない。AlGaN基板を用いる場合、AlGaN基板におけるAl組成比は7%以下であることが好ましい。窒化物半導体基板11の主面となる面方位は、極性面の(0001)面、無極性面の(1−100)面、または半極性面の(11−22)面等であれば良い。窒化物半導体基板11の層厚は、特に限定されないが、300μm以上500μm以下であれば良い。
n型AlGaNクラッド層12は、n型不純物として主にSiを含むAlGaN層であれば良い。ここで、n型AlGaNクラッド層12は、単一層からなっても良いし、Al組成比の異なる2以上の層を含んでも良いし、AlxGa1-xN(0≦x≦1)層/AlyGa1-yN(0≦y≦1、x<y)層からなる超格子層であっても良いし、AlxGa1-xN(0≦x≦1)層/GaN層からなる超格子層であっても良い。また、n型AlGaNクラッド層12の一部の層がアンドープ層であっても良い。n型AlGaNクラッド層12が超格子層であれば、クラックの発生を抑制するとともにレーザ素子における動作電圧を低減できる。なお、図1では、n型AlGaNクラッド層12が積層構造を含む場合も含めて、n型AlGaNクラッド層12を1層として記している。また、n型AlGaNクラッド層12のうちGaN層13と直接接する層の一部をアンドープ層(n型不純物が含まれない層)としても良い。これにより、Siによる光吸収を防止でき、閾値電流密度を下げることができる。
GaN層13は、n型AlGaNクラッド層12と第1のInGaN光ガイド層14との間の格子定数をもち、バッファとして機能する。後で述べる第1のInGaN光ガイド層14におけるIn組成比が4%以上であれば、GaN層13はクラッド層として機能し得る。このことによって、光の閉じ込め率をさらに上げることができる。ここで、GaN層13の層厚は0.1μm以上0.3μm以下であることが好ましい。GaN層13の層厚が0.1μm以上であれば、レーザ発振時の光強度の最大領域が適度にn側に移動するため、p型不純物であるマグネシウム(Mg)からの光吸収が抑制されて、外部量子効率の向上が期待できる。ただし、GaN層13の層厚が0.3μmを超えると、光が基板11側に漏れ出すことがあり、好ましくない。また、GaN層13の層厚が0.1μm未満であれば、n型AlGaNクラッド層12と第1のInGaN光ガイド層14との格子不整合を緩和させるバッファ層としての機能が低下するおそれがあり、好ましくない。
本発明者らの実験結果から、発光層領域での光の閉じ込め率を向上させるためには、InGaN光ガイド層におけるIn組成比を高くすることが重要であるとわかった。そこで、本実施の形態では、第1のInGaN光ガイド層14および第2のInGaN光ガイド層18におけるIn組成比をそれぞれ3.5%以上7%以下(好ましくは4%以上6%以下)に設定し、これらの層厚を50nm以上(好ましくは60nm以上)としている。第1のInGaN光ガイド層14および第2のInGaN光ガイド層18における各In組成比が3.5%未満であれば、発振波長が460nm以上においてn型AlGaNクラッド層12と第1のInGaN光ガイド層14との屈折率差を一定以上に保つことが難しく、よって、光閉じ込め率の低下を招く。また、このIn組成比が7%を超えると、結晶性の悪化を招く。また、第1のInGaN光ガイド層14および第2のInGaN光ガイド層18における各層厚が50nm未満であれば、光閉じ込め率の低下を招くことがある。
発光層16は、2以上の井戸層と1以上の障壁層とで構成されている。より具体的には、発光層16は、井戸層/障壁層/井戸層であっても良いし、井戸層/障壁層/井戸層/障壁層/井戸層であっても良い。つまり、本実施の形態では、発光層16の外側に井戸層が形成されている。井戸層の層厚は1nm以上3nm以下であれば良く、好ましくは1.5nm以上2nm以下である。460nm以上の発振波長を有する井戸層を作製するためには、高In組成比の井戸層を作製する必要がある。しかし、高In組成比の井戸層の層厚が3nmを超えると、格子歪みによって結晶欠陥が発生することがある。また、井戸層の層厚が1nm未満であれば、利得が小さいために閾値電流密度が増大するという不具合を招くことがある。
p型AlGaN層20とp型AlGaNクラッド層21とは、図1に示すように互いに接して設けられている。このようにp型AlGaN層20とp型AlGaNクラッド層21との間には他の層(たとえばp型AlGaN層20およびp型AlGaNクラッド層21よりも屈折率が高い層)が設けられていないので、レーザ発振する際の縦方向の光強度分布がp側に引っ張られることを防止でき、よって、n側に効率良く光を寄せることができる。したがって、外部量子効率が向上する。
第1の窒化物半導体層15は、第1のInGaN光ガイド層14および発光層16中の井戸層のそれぞれに接するように第1のInGaN光ガイド層14と発光層16中の井戸層との間に設けられ、In組成比が2.0%未満(好ましくは1.5%以下)であるInGaNまたはGaNからなる。第1の窒化物半導体層15の層厚は、1nm以上3nm以下である。
図9は、実施例1に係るウエハの概略断面図である。本実施例に係るウエハ110では、n型GaN基板111の(0001)面上に、n型GaN層112、n型AlGaNクラッド層113、n型GaN層114、第1のノンドープInGaN光ガイド層115、第1のノンドープGaN層116、発光層117、第2のノンドープGaN層118、第2のノンドープInGaN光ガイド層119、ノンドープGaN中間層120、p型AlGaN層121、p型AlGaNクラッド層122、およびp型GaNコンタクト層123が順次積層されている。本実施例では、以下に示す方法にしたがってレーザ素子を作製し、得られたレーザ素子の閾値電流密度および寿命を測定した。
図10は、実施例2に係るウエハの概略断面図である。本実施例では、上記実施例1とは、第1のInGaN光ガイド層がn型である点、In組成比が2%未満のInGaNからなる第1の窒化物半導体層を用いる点、および第2の窒化物半導体層が設けられていない点などを異にする。具体的には、本実施例に係るウエハ210では、n型GaN基板211の(0001)面上に、n型GaN層212、n型AlGaNクラッド層213、n型GaN層214、第1のn型InGaN光ガイド層215、第1のノンドープInGaN層216、発光層217、p型AlGaN層221、第2のp型InGaN光ガイド層219、p型GaN中間層220、p型AlGaNクラッド層222、およびp型GaNコンタクト層223が順次積層されている。本実施例でも、以下に示す方法にしたがってレーザ素子を作製し、得られたレーザ素子の閾値電流密度および寿命を測定した。
Claims (5)
- 窒化物半導体基板の上に、n型AlGaNクラッド層、第1のInGaN光ガイド層、発光層、第2のInGaN光ガイド層、およびp型AlGaNクラッド層がこの順に設けられ、460nm以上の発振波長を有する窒化物半導体レーザ素子であって、
前記n型AlGaNクラッド層におけるAl組成比は6.5%以上8%以下であり、前記n型AlGaNクラッド層の層厚は0.9μm以上1.3μm以下であり、
前記第1のInGaN光ガイド層および前記第2のInGaN光ガイド層のそれぞれにおけるIn組成比は3.5%以上7%以下であり、前記第1のInGaN光ガイド層および前記第2のInGaN光ガイド層のそれぞれの層厚は50nm以上80nm以下であり、
前記発光層は、2以上の井戸層と、1以上の障壁層とを有し、
前記第1のInGaN光ガイド層と前記井戸層との間に、層厚が1nm以上3nm以下であって、且つIn組成比が2.0%未満であるInGaNまたはGaNからなる第1の窒化物半導体層が、当該第1のInGaN光ガイド層および当該井戸層のそれぞれに接して設けられている窒化物半導体レーザ素子。 - 前記井戸層と前記第2のInGaN光ガイド層との間に、層厚が1nm以上3nm以下であって、且つIn組成比が2.0%未満であるInGaNまたはGaNからなる第2の窒化物半導体層が、当該井戸層および当該第2のInGaN光ガイド層のそれぞれに接して設けられている請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記第1のInGaN光ガイド層におけるSi濃度は、1×1017cm-3以上5×1018cm-3以下である請求項1または2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記第2のInGaN光ガイド層におけるMg濃度は、5×1017cm-3以上3×1018cm-3以下である請求項1〜3のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
- 前記井戸層の層数は、3以下である請求項1〜4のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
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