JP2009218623A - Iii族窒化物半導体レーザ及びiii族窒化物半導体レーザを作製する方法 - Google Patents

Iii族窒化物半導体レーザ及びiii族窒化物半導体レーザを作製する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な光閉じ込め性能と良好な結晶品質のInGaN井戸層とを共に有するIII族窒化物半導体レーザを提供する。
【解決手段】活性層19は、第1の光ガイド層21と第2の光ガイド層23との間に設けられる。活性層19は、井戸層27a、27b、27cを含むことができ、またこれらの井戸層の間に設けられた少なくとも一つの第1の障壁層29aを有する。第1及び第2の光ガイド層21、23が、第1の障壁層29aのバンドギャップE29よりも小さい第1及び第2のInGaN領域21a、23aを含むので、第1及び第2の光ガイド層21、23の平均屈折率nGUIDEを第1の障壁層29aの屈折率n29よりも大きくできる。これ故に、光閉じ込めが良好になる。また、第1の障壁層29aのバンドギャップE29が第1及び第2のInGaN領域21a、23aのバンドギャップE21、E23よりも大きい。
【選択図】図1

Description

本発明は、III族窒化物半導体レーザ及びIII族窒化物半導体レーザを作製する方法に関する。
非特許文献1には、非極性m面窒化ガリウム基板上に形成された青色レーザダイオードが記載されている。発振波長は451.8nmであり、閾値電流は134mAである。レーザダイオードは、InGaN量子井戸構造と、p型のGaN又はInGaN光ガイド層と、n型のGaN又はInGaN光ガイド層と、Al含有のクラッド層とを含む。
特許文献1には、AlGaInN系端面発光型半導体レーザ素子が記載されている。半導体レーザ素子は、サファイア基板上に作製されている。GaInN−ELO構造層が、サファイア基板上に形成されており、この構造層上に、MOCVD法により積層構造が成長させている。積層構造は、n−GaInNコンタクト層、n−AlGaInNクラッド層、n−GaN光ガイド層、GaInN活性層、p−GaN光ガイド層、p−(GaN:Mg/AlGaInN)クラッド層、及びp−GaInNコンタクト層からなる。
特許文献2には、サファイア基板を用いた発光素子が記載されている。発光素子は、In0.08Ga0.92Nからなる第1中間層、In0.15Ga0.85Nからなる第2中間層、及びIn0.20Ga0.80Nからなる発光層を含む。
特許文献3には、III族窒化物系化合物半導体発光素子が記載されている。この発光素子は、In0.03Ga0.97N中間層、n型クラッド層、及び発光層を含む。n型クラッド層は中間層と発光層との間に位置する。発光層は、GaNバリア層及びIn0.20Ga0.80N井戸層を含む。
特開2003−332697号公報 特開平9−266327号公報 特開2000−286448号公報
JJAP, vol.46, No.35, 2007, p.L820- L822
特許文献1の発光素子はGaN光ガイド層を用いる。特許文献2及び特許文献3の発光素子は、光ガイド層を用いない。非特許文献1では、m面GaN基板上に発振波長450nmの半導体レーザが作製されている。より長い発振波長を得るように活性層を作製するとき、クラッド層とガイド層との屈折率差が小さくなる。これを避けるために、GaNガイド層に替えてInGaNガイド層を用いる。これによって、光閉じ込め性能を向上させている。また、特許文献1では、InGaN井戸層及びInGaN障壁層が用いられており、また光ガイド層はGaNからなる。
GaN光ガイド層に替えてInGaN光ガイド層を用いるとき、活性層及びこれに隣接する光ガイド層の屈折率がクラッド層の屈折率に比べて相対的に高くできる。これ故に、光閉じ込め性能が向上される。
しかしながら、n型クラッド層とp型クラッド層との間には、数パーセントのインジウム組成の多数のInGaN層が成長される。InGaNの成長温度は、GaNやAlGaNの成長温度に比べて低い。これ故に、InGaNの成長では、GaNやAlGaNの成長に比べて三次元成長の発生可能性が高い。厚いInGaNの成長では、InGaNの厚みが増すにつれてその結晶品質が悪くなる。また、InGaN層のインジウム組成が高くなるにつれて、その成長温度はより低くする必要がある。低い成長温度では、InGaNの結晶品質が悪くなる。したがって、InGaN井戸層の結晶品質も悪くなる。
本発明は、このような事情を鑑みて為されたものであり、良好な光閉じ込め性能と良好な結晶品質のInGaN井戸層とを共に有するIII族窒化物半導体レーザを提供することを目的とする。
本発明の一側面に係るIII族窒化物半導体レーザは、(a)主面を有する基板と、(b)前記基板上に設けられIII族窒化物半導体からなるn型クラッド層と、(c)前記基板上に設けられIII族窒化物半導体からなるp型クラッド層と、(d)前記n型クラッド層と前記p型クラッド層との間に設けられた活性層と、(e)前記n型クラッド層と前記活性層との間に設けられた第1の光ガイド層と、(f)前記p型クラッド層と前記活性層との間に設けられた第2の光ガイド層とを備える。前記活性層は、複数の井戸層と、前記井戸層の間に設けられた少なくとも一つの第1の障壁層とを含み、前記第1の光ガイド層は、前記第1の障壁層のバンドギャップよりも小さく且つ前記井戸層のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有するInGaNからなる第1のInGaN領域を含み、前記第2の光ガイド層は、InGaNからなる第2のInGaN領域を含み、前記活性層の前記井戸層のうち前記第1の光ガイド層に最も近い井戸層は、第1の井戸層であり、前記活性層の前記井戸層のうち前記第2の光ガイド層に最も近い井戸層は、第2の井戸層であり、前記活性層は、前記第1の井戸層と前記第1の光ガイド層との間に設けられた第2の障壁層と、前記第2の井戸層と前記第2の光ガイド層との間に設けられた第3の障壁層とを含む。前記第1の光ガイド層は、前記第2の障壁層と前記第1のInGaN領域との間に設けられた第5のInGaN領域を含み、前記第5のInGaN領域のインジウム組成は、前記第2の障壁層から前記第1のInGaN領域への方向に増加している。
このIII族窒化物半導体レーザによれば、第1の光ガイド層が、第1の障壁層のバンドギャップよりも小さい第1のInGaN領域を含むので、第1の光ガイド層の平均屈折率を第1の障壁層の屈折率よりも大きくできる。これ故に、光閉じ込めが良好になる。また、第1の障壁層のバンドギャップが第1のInGaN領域のバンドギャップよりも大きい。このため、第1の障壁層の成長温度を第1の光ガイド層の成長温度よりも高くできるので、第1の障壁層の結晶品質を良好にできる。これ故に、第1の障壁層上の井戸層は、良好な結晶品質を有する。
本発明の一側面に係るIII族窒化物半導体レーザは、(a)主面を有する基板と、(b)前記基板上に設けられIII族窒化物半導体からなるn型クラッド層と、(c)前記基板上に設けられIII族窒化物半導体からなるp型クラッド層と、(d)前記n型クラッド層と前記p型クラッド層との間に設けられた活性層と、(e)前記n型クラッド層と前記活性層との間に設けられた第1の光ガイド層と、(f)前記p型クラッド層と前記活性層との間に設けられた第2の光ガイド層とを備える。前記活性層は、複数の井戸層と、前記井戸層の間に設けられた少なくとも一つの第1の障壁層とを含み、前記第1の光ガイド層は、前記第1の障壁層のバンドギャップよりも小さく且つ前記井戸層のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有するInGaNからなる第1のInGaN領域を含み、前記第2の光ガイド層は、InGaNからなる第2のInGaN領域を含み、前記活性層の前記井戸層のうち前記第1の光ガイド層に最も近い井戸層は、第1の井戸層であり、前記活性層の前記井戸層のうち前記第2の光ガイド層に最も近い井戸層は、第2の井戸層であり、前記活性層は、前記第1の井戸層と前記第1の光ガイド層との間に設けられた第2の障壁層と、前記第2の井戸層と前記第2の光ガイド層との間に設けられた第3の障壁層とを含む。
また、本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記第2のInGaN領域は、前記第1の障壁層のバンドギャップよりも小さく且つ前記第1及び第2の井戸層のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有することが好ましい。このIII族窒化物半導体レーザによれば、第2の光ガイド層が、第1の障壁層のバンドギャップよりも小さい第2のInGaN領域を含むので、第2の光ガイド層の平均屈折率を第1の障壁層の屈折率よりも大きくできる。これ故に、光閉じ込めが良好になる。
また、本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記第2の障壁層は、前記第1のInGaN領域のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する部分を含み、前記第3の障壁層は、前記第2のInGaN領域のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する部分を含むことができる。このIII族窒化物半導体レーザによれば、第1〜第3の障壁層のバンドギャップが第1及び第2のInGaN領域のバンドギャップよりも大きいので、第1〜第3の障壁層の成長温度を第1及び第2のInGaN領域の成長温度よりも高くできるので、第1〜第3の障壁層の結晶品質を良好にできる。これ故に、第1〜第3の障壁層上の井戸層は良好な結晶品質を有する。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記第2及び第3の障壁層は、前記第1の障壁層と同じ窒化ガリウム系半導体からなることができる。
このIII族窒化物半導体レーザによれば、第2及び第3の障壁層のバンドギャップが第1の障壁層のバンドギャップと同じであるので、第2及び第3の障壁層は良好な結晶品質を有する。大きなインジウム組成のInGaNを光ガイド層に用いるけれども、障壁層の成長では結晶品質が改善可能である。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記第2の光ガイド層は、前記第3の障壁層と前記第2のInGaN領域との間に設けられた第3のInGaN領域を含み、前記第3のInGaN領域のインジウム組成は、前記第3の障壁層から前記第2のInGaN領域への方向に増加することができる。
このIII族窒化物半導体レーザによれば、第2の光ガイド層に正孔が蓄積されることを低減できる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記第3の障壁層は、InGaN領域を有しており、前記第3の障壁層の前記InGaN領域のインジウム組成は、前記第2の井戸層から前記第2のInGaN領域への方向に増加することができる。
このIII族窒化物半導体レーザによれば、第3の障壁層の少なくとも一部分は組成傾斜している。このため、第2の光ガイド層から井戸層へ流れる正孔へのステップ状のポテンシャル障壁が低減される。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記第2の光ガイド層は、前記第2のInGaN領域と前記p型クラッド層との間に設けられた第4のInGaN領域を含み、前記第4のInGaN領域のインジウム組成は前記第2のInGaN領域から前記p型クラッド層に向けて減少することができる。
このIII族窒化物半導体レーザによれば、光ガイド層の第4のInGaN領域はクラッド層に近いので、第4のInGaN領域のインジウム組成を低くしても光閉じ込め性能の低下は小さい。一方、第4のInGaN領域のインジウム組成を低くすることによって、光ガイド層の結晶品質の低下を小さくできる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記第1の光ガイド層は、前記第2の障壁層と前記第1のInGaN領域との間に設けられた第5のInGaN領域を含み、前記第5のInGaN領域のインジウム組成は、前記第2の障壁層から前記第1のInGaN領域への方向に増加することができる。
このIII族窒化物半導体レーザによれば、第1の光ガイド層に電子が蓄積されることを低減できる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記第2の障壁層は、InGaN領域を有しており、前記第2の障壁層の前記InGaN領域のインジウム組成は、前記第1の井戸層から前記第1のInGaN領域への方向に増加することができる。
このIII族窒化物半導体レーザによれば、第2の障壁層の少なくとも一部分は組成傾斜している。このため、第1の光ガイド層から井戸層へ流れる電子へのステップ状のポテンシャル障壁が低減される。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記第1の光ガイド層は、前記第1のInGaN領域と前記n型クラッド層との間に設けられた第6のInGaN領域を含み、前記第6のInGaN領域のインジウム組成は、前記第1のInGaN領域から前記n型クラッド層への方向に減少することができる。
このIII族窒化物半導体レーザによれば、光ガイド層の第6のInGaN領域はクラッド層に近いので、第6のInGaN領域のインジウム組成を低くしても光閉じ込め性能の低下は小さい。一方、第6のInGaN領域のインジウム組成を低くすることによって、光ガイド層の結晶品質の低下を小さくできる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記第2の障壁層は、前記第1のInGaN領域のバンドギャップよりも小さいバンドギャップを有する部分を含み、前記第3の障壁層は、前記第2のInGaN領域のバンドギャップよりも小さいバンドギャップを有する部分を含む。
このIII族窒化物半導体レーザによれば、光ガイド層から井戸層へキャリアがスムーズに流れるようになる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記第2の光ガイド層は、前記第2のInGaN領域と前記p型クラッド層との間に設けられた第7のInGaN領域を含み、前記第7のInGaN領域のインジウム組成は前記第2のInGaN領域から前記p型クラッド層に向けて減少することができる。
このIII族窒化物半導体レーザによれば、光ガイド層の第7のInGaN領域はクラッド層に近いので、第7のInGaN領域のインジウム組成を低くしても光閉じ込め性能の低下は小さい。一方、第7のInGaN領域のインジウム組成を低くすることによって、光ガイド層の結晶品質の低下を小さくできる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記第1の光ガイド層は、前記第1のInGaN領域と前記n型クラッド層との間に設けられた第8のInGaN領域を含み、前記第8のInGaN領域のインジウム組成は、前記第1のInGaN領域から前記n型クラッド層への方向に減少することができる。
このIII族窒化物半導体レーザによれば、光ガイド層の第8のInGaN領域はクラッド層に近いので、第8のInGaN領域のインジウム組成を低くしても光閉じ込め性能の低下は小さい。一方、第8のInGaN領域のインジウム組成を低くすることによって、光ガイド層の結晶品質の低下を小さくできる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記活性層は、当該III族窒化物半導体レーザの発光波長が430nm以上の波長領域内にあるように設けられた多重量子井戸構造を有することができる。
このIII族窒化物半導体レーザでは、大きなインジウム組成の材料を井戸層に用いる長波長の半導体レーザに好適である。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記第1の光ガイド層の厚さは150nm以下であり、前記第2の光ガイド層の厚さは150nm以下であることができる。このIII族窒化物半導体レーザによれば、大きなインジウム組成を用いる光ガイド層の厚さが150nmよりも大きいとき、活性層の成長における結晶品質の回復が十分に得られず、この結果、活性層の結晶品質が低下する。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記第1の光ガイド層の第1のInGaN領域のインジウム組成は0.03以上であることができる。このIII族窒化物半導体レーザによれば、0.03以上のインジウム組成のInGaN領域は光ガイド層に高屈折率を与えることができる。また、前記第2の光ガイド層の第2のInGaN領域のインジウム組成は0.03以上であることができる。このIII族窒化物半導体レーザによれば、0.03以上のインジウム組成のInGaN領域は光ガイド層に高屈折率を与えることができる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記第1の光ガイド層のインジウム組成は0.12以下であることができる。このIII族窒化物半導体レーザによれば、0.12を超えるインジウム組成のInGaN領域は光ガイド層の結晶品質を低下させる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記第2の光ガイド層のインジウム組成は0.12以下であることができる。このIII族窒化物半導体レーザによれば、0.12を超えるインジウム組成のInGaN領域は光ガイド層の結晶品質を低下させる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記基板は、III族窒化物半導体からなり、前記基板の前記主面は、前記III族窒化物半導体のc面に対して1度以上の角度で傾斜しており、前記基板の前記主面は、前記III族窒化物半導体のc面に対して50度以下の角度で傾斜していることができる。このIII族窒化物半導体レーザによれば、c面から傾斜した表面は、高いインジウム組成のInGaNを成長することに好適である。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記主面の傾斜の方向は、前記III族窒化物半導体のa軸方向であることができる。このIII族窒化物半導体レーザによれば、m面劈開を用いて共振器を作製できる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記基板はGaNからなることができる。このIII族窒化物半導体レーザによれば、高品質のGaNウエハを利用して半導体レーザを作製できる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザでは、前記基板はInGaNからなることができる。このIII族窒化物半導体レーザによれば、大きなインジウム組成の光ガイド層と基板との間の格子不整を小さくできる。
本発明に係るIII族窒化物半導体レーザを作製する方法は、(a)第1導電型クラッド層上に、第1の温度で第1のInGaN光ガイド層を成長する工程と、(b)前記第1のInGaN光ガイド層を成長した後に、障壁層を成長する工程と、(c)前記障壁層を成長した後に、InGaN井戸層を成長する工程と、(d)前記InGaN井戸層を成長した後に、第2の温度で別の障壁層を成長する工程と、(e)前記別の障壁層を成長した後に、別のInGaN井戸層を成長する工程と、(f)前記別のInGaN井戸層を成長した後に、更なる別の障壁層を成長する工程と、(g)前記更なる別の障壁層を成長した後に、第3の温度で第2のInGaN光ガイド層を成長する工程とを備える。前記第1のInGaN光ガイド層は、前記障壁層のバンドギャップよりも小さく且つ前記InGaN井戸層のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有するInGaNからなる第1のInGaN領域を含み、前記第1のInGaN光ガイド層は、前記障壁層と前記第1のInGaN領域との間に設けられた第5のInGaN領域を含み、前記第5のInGaN領域のインジウム組成は、前記障壁層から前記第1のInGaN領域への方向に増加している。前記第2の温度は、前記第1及び第3の温度よりも高い。
この方法によれば、第2の温度は第1及び第3の温度よりも高いので、別の障壁層の成長の際に、結晶品質が向上される。故に、この別の障壁層上に成長される井戸層の結晶品質の低下が避けられる。
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
以上説明したように、本発明によれば、良好な光閉じ込め性能と良好な結晶品質のInGaN井戸層とを共に有するIII族窒化物半導体レーザが提供される。
図1は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体レーザの構成を概略的に示す図面である。 図2は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体レーザの構成を概略的に示す図面である。 図3(a)〜図3(c)は、本実施の形態に係る実施例の半導体レーザの構造を示す図面である。 図4(a)〜図4(d)は、半導体レーザのバンドダイアグラムを示す図面である。 図5は、実施例に係る工程フローを示す図面である。 図6は、エレクトロルミネッセンスの測定結果を示す図面である。 図7は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体レーザの構成を概略的に示す図面である。 図8は、カソードルミネッセンスを測定するためのエピタキシャルウエハの構造を示す図面である。 図9は、カソードルミネッセンス像を示す図面である。
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明のIII族窒化物半導体レーザに係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
図1は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体レーザの構成を概略的に示す図面である。III族窒化物半導体レーザ11は、基板13と、n型クラッド層15と、p型クラッド層17と、活性層19と、第1の光ガイド層21と、第2の光ガイド層23とを備える。基板13は主面13a及び裏面13bを有する。基板13は、例えば窒化ガリウム系半導体からなることができる。n型クラッド層15は、基板13の主面13a上に設けられ、またIII族窒化物半導体からなる。p型クラッド層17は、基板13の主面13a上に設けられ、またIII族窒化物半導体からなる。活性層19は、n型クラッド層15とp型クラッド層17との間に設けられている。第1の光ガイド層21は、n型クラッド層15と活性層19との間に設けられている。第2の光ガイド層23は、p型クラッド層17と活性層19との間に設けられている。活性層19は、第1の光ガイド層21と第2の光ガイド層23との間に設けられている。活性層19は、複数の井戸層(例えば27a、27b、27c)を含むことができ、またこれらの井戸層の間に設けられた少なくとも一つの第1の障壁層29aを有する。第1の光ガイド層21は第1のInGaN領域21aを含み、第1のInGaN領域21aは、InGa1−YN(0<Y<1)からなり、またバンドギャップE21を有する。バンドギャップE21は、第1の障壁層29aのバンドギャップE29よりも小さく、且つ井戸層(例えば27a、27b、27c)のバンドギャップEよりも大きい。第2の光ガイド層23は第2のInGaN領域23aを含み、第2のInGaN領域23aは、InGa1−ZN(0<Z<1)からなり、またバンドギャップE23を有する。バンドギャップE23は、第1の障壁層29aのバンドギャップE29よりも小さく、且つ井戸層(例えば27a、27b、27c)のバンドギャップEよりも大きい。
このIII族窒化物半導体レーザ11によれば、第1及び第2の光ガイド層21、23が、第1の障壁層29aのバンドギャップE29よりも小さい第1及び第2のInGaN領域21a、23aを含むので、第1及び第2の光ガイド層21、23の平均屈折率nGUIDEを第1の障壁層29aの屈折率n29よりも大きくできる。故に、光閉じ込めが良好になる。また、第1の障壁層29aのバンドギャップE29が第1及び第2のInGaN領域21a、23aのバンドギャップE21、E23よりも大きいので、第1の障壁層の29a成長温度を第1及び第2のInGaN領域21a、23aの成長温度よりも高くできる。このため、第1の障壁層29aの結晶品質を良好にできる。これ故に、第1の障壁層29a上の井戸層は良好な結晶品質を有する。また、第1及び第2の光ガイド層21、23のいずれか一方におけるインジウム組成を第1の障壁層29aより大きくできる。
n型クラッド層15は、例えばAlGaN、GaN、InAlGaN等からなることができる。また、p型クラッド層17は、例えばAlGaN、GaN、InAlGaN等からなることができる。障壁層29aは、例えばInGaN、GaN、AlGaN等からなることができる。井戸層27aは、例えばInGaNからなることができる。第1の光ガイド層21はアンドープInGaN領域を含むことができ、第2の光ガイド層23はアンドープInGaN領域を含むことができる。アンドープ半導体により、キャリアによる光吸収を低減できる。
III族窒化物半導体レーザ11は、p型クラッド層17上に設けられたp型コンタクト層33を含み、p型コンタクト層33は、絶縁膜35の開口を介して電極37a(例えばアノード)に接続される。基板13が導電性を示すときは、基板13の裏面13b上に電極37b(例えば、カソード)が形成される。
本実施の形態では、III族窒化物半導体レーザ11は、光ガイド層23とp型クラッド層17との間に電子ブロック層31を含むことができ、電子ブロック層31は、クラッド層17よりも大きなバンドギャップを有する。電子ブロック層31は、例えばAlGaN、InAlGaN等からなることができる。コンタクト層33は、例えばGaN、AlGaN、InGaN、InAlGaN等からなることができる。
III族窒化物半導体レーザ11では、第1の井戸層27aは、活性層19の井戸層(27a、27b、27c)のうち第1の光ガイド層21に最も近い。また、第2の井戸層27cは、活性層19の井戸層(27a、27b、27c)のうち第2の光ガイド層23に最も近い。活性層19は、第2の障壁層39a及び第3の障壁層41aを含む。第2の障壁層39aは、第1の井戸層27aと第1の光ガイド層21との間に設けられており、また第3の障壁層41aは、第2の井戸層27cと第2の光ガイド層23との間に設けられている。第2の障壁層39aのバンドギャップE39aは、第1のInGaN領域21aのバンドギャップE21よりも大きい。第3の障壁層41aのバンドギャップE41aは、第2のInGaN領域23aのバンドギャップE23よりも大きい。
このIII族窒化物半導体レーザ11によれば、第1〜第3の障壁層29a、39a、41aのバンドギャップが第1及び第2のInGaN領域21a、23aのバンドギャップよりも大きいので、第1〜第3の障壁層29a、39a、41aの成長温度を第1及び第2のInGaN領域21a、23aの成長温度よりも高くできる。故に、第1〜第3の障壁層29a、39a、41aの結晶品質を良好にできる。したがって、第1〜第3の障壁層29a、39a、41a上の井戸層は良好な結晶品質を有する。
n型クラッド層15からの電子Gが、光ガイド層21を通して活性層19に提供される。p型クラッド層からの正孔Hは、光ガイド層23を通して活性層19に提供される。電子及び正孔は、活性層19で再結合して、光を生成する。生成された光は、導波領域(21、19、23)に閉じ込められる。InGaN領域21a、23aのバンドギャップE21、E23が、障壁層29aのバンドギャップE29より小さいので、クラッド層15、17の屈折率と光ガイド層21、23の屈折率との間の差を大きくして、所望の屈折率差を得ることができる。InGaN領域21a、23aのインジウム組成は大きいので、InGaN領域21a、23aの結晶品質を良好に保つことは容易ではない。しかし、InGaN領域21a、23aの成長温度よりも高い温度で、InGaN領域を成長した後に障壁層29aを成長できるので、活性層19の結晶品質をInGaN領域21a、23aに比べて良好にできる。
また、III族窒化物半導体レーザ11では、第2及び第3の障壁層39a、41aは、第1の障壁層29aと実質的に同じ窒化ガリウム系半導体からなることができる。第2及び第3の障壁層39a、41aのバンドギャップE39a、E41aが第1の障壁層29aのバンドギャップE29と同じであるので、第2及び第3の障壁層39a、41aは良好な結晶品質を有する。大きなインジウム組成のInGaNを光ガイド層21、23に用いるけれども、障壁層29a、39a、41aの成長では結晶品質が改善可能である。
図2は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体レーザの構成を概略的に示す図面である。III族窒化物半導体レーザ11aでは、活性層19は、第2の障壁層39b及び第3の障壁層41bを含む。第2の障壁層39bは、第1の井戸層27aと第1の光ガイド層21との間に設けられており、第3の障壁層41bは、第2の井戸層27cと第2の光ガイド層23との間に設けられている。
III族窒化物半導体レーザ11aでは、第2の光ガイド層23bは第3のInGaN領域23bを含み、第3のInGaN領域23bは、第3の障壁層41bと第2のInGaN領域23aとの間に設けられている。第3のInGaN領域23bのインジウム組成は、第3の障壁層41bから第2のInGaN領域23aへの方向に増加することができる。p型クラッド層17からの正孔Hは第2の光ガイド層23を介して活性層19aに提供される。この構造によれば、第2の光ガイド層23に蓄積される正孔Hを低減できる。キャリアの蓄積量の低減により、キャリア注入効率の向上と光導波路を伝搬する光の吸収の低減が可能である。
また、第3の障壁層41bの少なくとも一部分は組成傾斜していることができる。第3の障壁層41bはInGaN領域を有する。第3の障壁層41bは、例えば第1及び第2の部分42a、42bを含んでおり、第1及び第2の部分42a、42bは第2の井戸層27cから光ガイド層23へ向かう方向に順に配置されている。第2の部分42bは、例えばInGaNからなることができ、また第1の部分42aは、第1の障壁層29aと同じバリアを有することが好ましい。第2の部分42bのインジウム組成は、第2の井戸層27cから第2のInGaN領域23aへの方向に増加することができる。この構造によれば、第3の障壁層41bの少なくとも一部分が組成傾斜しているので、光ガイド層23から井戸層27a、27b、27cへ流れる正孔Hへのステップ状のポテンシャル障壁が低減される。また、第2の部分42bは、第1の部分42aのインジウム組成より多いInGaNからなることができる。
なお、必要な場合には、III族窒化物半導体レーザ11aでは、第2の光ガイド層23は第4のInGaN領域23cを含むことができる。これによって、光ガイド層における屈折率の変化を所望の遠視野像に合わせて変更できる。
III族窒化物半導体レーザ11aでは、第1の光ガイド層21は、第5のInGaN領域21bを含むことができ、第5のInGaN領域21bは、第2の障壁層39bと第1のInGaN領域21aとの間に設けられている。第5のInGaN領域21bのインジウム組成は、第2の障壁層39bから第1のInGaN領域21aへの方向に増加することができる。n型クラッド層15からの電子Gは第1の光ガイド層21を介して活性層19aに提供される。この構造によれば、第1の光ガイド層21に蓄積される電子Gを低減できる。キャリアの蓄積量の低減により、キャリア注入効率の向上と光導波路を伝搬する光の吸収の低減が可能である。
また、III族窒化物半導体レーザ11aでは、第2の障壁層39bの少なくとも一部分は組成傾斜していることができる。第2の障壁層39bはInGaN領域を有する。第2の障壁層39bは、例えば第1及び第2の部分40a、40bを含んでおり、第1及び第2の部分40a、40bは第1の井戸層27aから光ガイド層21へ向かう方向に順に配置されている。第2の部分40bは、例えばInGaNからなることができ、また第1の部分40aは、第1の障壁層29aと同じバリアを有することが好ましい。第2の部分40bのインジウム組成は、第1の井戸層27aから第1のInGaN領域21aへの方向に増加することができる。この構造によれば、第2の障壁層39bの少なくとも一部分が組成傾斜しているので、光ガイド層21から井戸層27a、27b、27cへ流れる電子Gへのステップ状のポテンシャル障壁が低減される。また、第2の部分40bは、第1の部分40aのインジウム組成より多いInGaNからなることができる。
また、III族窒化物半導体レーザ11aでは、第1の光ガイド層21は第6のInGaN領域21cを含むことができる。第6のInGaN領域21cは、第1のInGaN領域21aとn型クラッド層15との間に設けられている。第6のInGaN領域21cのインジウム組成は、第1のInGaN領域21aからn型クラッド層15への方向に減少する。
このIII族窒化物半導体レーザ11aによれば、光ガイド層21の第6のInGaN領域21cはクラッド層15に近いので、第6のInGaN領域21cのインジウム組成を低くしても光閉じ込め性能の低下は小さい。一方、第6のInGaN領域21cのインジウム組成を低くすることによって、光ガイド層21の結晶品質の低下を小さくできる。
この構造では、第2の光ガイド層23は第4のInGaN領域23cを含むことが好ましい。第2の光ガイド層23の屈折率分布を第1の光ガイド層21の屈折率分布に合わせることができる。また、第2の光ガイド層23では、第4のInGaN領域23cのインジウム組成は第2のInGaN領域23aからp型クラッド層17に向けて減少する。この構造によれば、光ガイド層の第4のInGaN領域はクラッド層に近いので、第4のInGaN領域のインジウム組成を低くしても光閉じ込め性能の低下は小さい。一方、第4のInGaN領域のインジウム組成の低減によって、光ガイド層の結晶品質の低下を小さくできる。
III族窒化物半導体レーザ11aでは、第2の光ガイド層23は、所望の遠視野像及び電気的特性が得られるように、第3及び第4のInGaN領域23b、23cのいずれか一方を用いることができる。また、第1の光ガイド層21は、所望の遠視野像及び電気的特性が得られるように、第5及び第6のInGaN領域21b、21cのいずれか一方を用いることができる。さらに、所望の遠視野像及び電気的特性を得るために、第3の障壁層41bは、その一部または全部にわたってインジウム組成傾斜領域であることができる。またさらに、所望の遠視野像及び電気的特性を得るために、第2の障壁層39bは、その一部または全部にわたってインジウム組成傾斜領域であることができる。
(実施例1)
図3(a)〜図3(c)は、本実施の形態に係る実施例の半導体レーザの構造を示す図面である。図4(a)〜図4(c)は、図3に示された半導体レーザのバンドダイアグラムを示す図面である。
図5は、半導体レーザLD1の作製のための主要な工程フローを示す図面である。図3(a)に示された半導体レーザLD1の作製を図5を参照しながら説明する。半導体レーザLD1は、有機金属気相成長法により作製された。原料にはトリメチルガリウム(TMG)、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルインジウム(TMI)、アンモニア(NH)、シラン(SiH)、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CPMg)を用いた。工程フロー100の工程S101では、GaNウエハを準備する。GaNウエハはn型GaNからなり、オフ角0.3度の主面を有する。GaNウエハを有機金属気相成長炉(以下、成長炉として参照する)に配置した。成長炉にアンモニア及び水素を供給して、これらのガスを含む雰囲気中、摂氏1050度の温度で、GaNウエハの熱処理工程を行った。工程S102では、摂氏1150度の温度で、GaNウエハ上にAlGaNクラッド層を成長した。AlGaNクラッド層は、例えば厚さ2μmのn型Al0.04Ga0.96Nである。
工程S103では、成膜温度TG1で、AlGaNクラッド層上にInGaN光ガイド層を成長した。成膜温度TG1は例えば摂氏840度の温度である。InGaN光ガイド層は、例えば厚さ100nmのアンドープIn0.04Ga0.96Nである。このInGaN光ガイド層のインジウム組成は、後ほど成長されるInGaN障壁層のインジウム組成よりも大きい。工程S104では、成膜温度TB2で、InGaN光ガイド層上にInGaN障壁層を成長した。成膜温度TB2は、本実施例では成膜温度TG1はよりも高く、例えば摂氏860度の温度である。InGaN障壁層は、例えば厚さ15nmのアンドープIn0.02Ga0.98Nである。工程S105では、摂氏800度の温度で、InGaN障壁層上にInGaN井戸層を成長した。InGaN井戸層は、例えば厚さ3nmのアンドープIn0.18Ga0.82Nである。工程S106では、成膜温度TB1で、InGaN光ガイド層上にInGaN障壁層を成長した。成膜温度TB1は、成膜温度TG1はよりも高く、また本実施例では成膜温度TB2と同じであり、例えば摂氏860度の温度である。InGaN障壁層は、例えば厚さ15nmのアンドープIn0.02Ga0.98Nである。次いで、工程S105と同様に、摂氏800度の温度で、InGaN障壁層上にInGaN井戸層を成長した。この後に、工程S106と同様に、成膜温度TB1で、InGaN井戸層上にInGaN障壁層を成長した。そして、工程S105と同様に、摂氏800度の温度で、InGaN障壁層上にInGaN井戸層を成長した。このように、工程S105及びS106を所望の回数(例えば2回)繰り返した後に、工程S107では、成膜温度TB3で、InGaN井戸層上にInGaN障壁層を成長した。成膜温度TB3は、本実施例では成膜温度TG1はよりも高く、例えば摂氏860度の温度である。InGaN障壁層は、例えば厚さ15nmのアンドープIn0.02Ga0.98Nである。これによって、3層の井戸層を含むInGaN活性層が作製された。
工程S108では、温度TB2よりも低い成膜温度TG2の温度で、InGaN活性層上にInGaN光ガイド層を成長した。成膜温度TG2は例えば摂氏840度である。InGaN光ガイド層は、例えば厚さ100nmのアンドープIn0.04Ga0.96Nである。このInGaN光ガイド層のインジウム組成は、InGaN障壁層のインジウム組成よりも大きい。光導波領域の形成において、インジウム組成が高いほど、成長温度は低い。光ガイド層の成長温度(例えば、摂氏840度)よりも、障壁層の成長温度(例えば摂氏860度)よりも高いので、障壁層の形成の際に結晶品質の回復が可能になる。回復された結晶品質の障壁層上に井戸層を形成するので、井戸層の結晶品質も良好になる。
本実施例におけるInGaN光ガイド層の成長温度は、摂氏760度以上であることが好ましい。InGaN光ガイド層の成長温度は、摂氏880度以下であることが好ましい。また、本実施例におけるInGaN井戸層の成長温度は、摂氏700度以上であることが好ましい。また、InGaN井戸層の成長温度は、摂氏840度以下であることが好ましい。さらに、本実施例における障壁層の成長温度は、摂氏800度以上であることが好ましい。障壁層の成長温度は、摂氏920度以下であることが好ましい。障壁層の成長温度は光ガイド層の成長温度よりも大きい光ガイド層の成長温度は、井戸層の成長温度より大きい。
工程S109で、摂氏1100度の温度で、InGaN光ガイド層上にAlGaN電子ブロック層を成長した。AlGaN電子ブロック層は、例えば厚さ20nmのp型Al0.12Ga0.88Nである。工程S110では、摂氏1100度の温度で、AlGaN電子ブロック層上にAlGaNクラッド層を成長した。AlGaNクラッド層は、例えば厚さ400nmのp型Al0.04Ga0.96Nである。工程S111では、摂氏1100度の温度で、AlGaNクラッド層上にGaNコンタクト層を成長した。GaNコンタクト層の厚さは、例えば50nmである。これによって、エピタキシャルウエハが作製された。成長炉からエピタキシャルウエハを取り出した後に、工程S112では、コンタクト層上に絶縁膜を成長した。絶縁膜は、例えばCVD法で成長されたシリコン酸化物からなる。幅10μmコンタクト窓を形成した。
工程S113では、コンタクト窓及び絶縁膜上にアノード電極を形成した。アノード電極Aは、例えば蒸着により形成されたNi/Auからなる。次いで、アノード電極に接続されたパッド電極を形成した。パッド電極は、例えば蒸着により形成されたTi/Auからなる。また、基板の裏面研削をした後に、工程S113では、研削された裏面上にカソード電極を形成した。カソード電極Kは、例えば蒸着により形成されたTi/Alからなる。次いで、カソード電極に接続されたパッド電極を形成した。パッド電極は、例えば蒸着により形成されたTi/Auからなる。これによって基板生産物が作製された。
工程S114では、基板生産物を劈開してレーザバーを作製した。レーザバーは劈開面CL1、CL2を有しており、共振器長は800μmである。そして、工程S115では、レーザバーから、ゲインガイド型半導体レーザを作製した。
次に半導体レーザLD2、LD3の作製を説明する。半導体レーザLD1と同じ種類の基板を準備した。半導体レーザLD2では、光ガイド層はIn0.02Ga0.98Nからなり、障壁層もIn0.02Ga0.98Nからなる。光ガイド層及び障壁層の成長において、成長温度を摂氏860度であった。また、半導体レーザLD3では、光ガイド層はIn0.04Ga0.96Nからなり、障壁層もIn0.04Ga0.96Nからなる。光ガイド層及び障壁層の成長において、成長温度を摂氏840度であった。光ガイド層及び障壁層の成長条件の他は変更されていない。
半導体レーザLD1、LD2、LD3に通電した。いずれの半導体レーザも、430nm以上440nmの範囲でレーザ発振した。
LD1 LD2 LD3
ガイド層のIn組成 0.04 0.02 0.04
障壁層のIn組成 0.02 0.02 0.04
しきい値 550mA 900mA 600mA
実施例の半導体レーザLD1が最も良好な特性を示した。
遠視野像(FFP)評価によって光閉じ込めを比較した。半導体レーザLD2が他の2つ(LD1、LD3)に比べて劣っていた。この理由は、半導体レーザLD2の光ガイド層と障壁層のIn組成が低いからであると考えられる。また、この光閉じ込め性能が低いので、しきい値電流が大きいと考えられる。半導体レーザLD3の光閉じ込め性能は良好であるけれども、しきい値電流は高い。半導体レーザLD3の障壁層のIn組成が高いので、井戸層の結晶品質が低下したからであると考えられる。半導体レーザLD1は、障壁層のIn組成を下げて発光層の結晶品質を向上させると共に、高いIn組成のInGaNガイド層を用いて、十分な光閉じ込め性能を得ているので、しきい値が低いと考えられる。最も高いIn組成のInGaN井戸層の成長後に結晶品質が悪化する可能性が高いけれども、障壁層のIn組成を低くして障壁層の成長温度を高くしたことが、結晶品質の回復に役立っていると考えられる。
(実施例2)
図4(d)に示されるバンドダイアグラムを有する半導体レーザLD4を作製した。半導体レーザLD4では、光ガイド層と障壁層との境界付近で、In組成を傾斜させた。この組成傾斜は成長温度を連続的に変化させることによって実現しており、光ガイド層と障壁層との境界から両側にそれぞれ10nm(合計20nm)の領域で組成傾斜を形成した。
実施例1と同様に半導体レーザLD4を作製した。また、半導体レーザLD4に通電した。レーザ発振波長は、431nmであった。
LD1 LD4(組成傾斜)
ガイド層のIn組成 0.04 0.04
障壁層のIn組成 0.02 0.02
しきい値 550mA 500mA。
半導体レーザLD4のしきい値は、半導体レーザLD1よりも小さい。この組成傾斜により活性層へのキャリアの注入効率が改善されたと考えられる。
半導体レーザLD1、LD4の基板生産物において、エレクトロルミネッセンス(EL)スペクトルを測定した。図6は、ELスペクトルの測定結果を示す図面である。図6(a)を参照すると、半導体レーザLD1の基板生産物では、波長380nm付近及び420nm付近に2つのELピークが観察された。図6(b)を参照すると、半導体レーザLD4の基板生産物では、波長430nm付近に単独のELピークが観察された。ELスペクトルにおける2つのピークは、半導体レーザLD1においてはガイド層にキャリアが蓄積されることを示していると考えられる。ELスペクトルにおける単独のピークは、半導体レーザLD4においてはガイド層から活性層へのキャリア注入効率が向上したことを示していると考えられる。
図7は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体レーザの構成を概略的に示す図面である。III族窒化物半導体レーザ11bでは、活性層19bは、第2及び第3の障壁層39c、41cを含む。
第2の障壁層39cは、第1のInGaN領域21aのバンドギャップよりも小さいバンドギャップを有する部分を含む。この実施例では、第2の障壁層39cの全体にわたって、第2の障壁層39cのインジウム組成は、第1のInGaN領域21aのインジウム組成よりも小さい。このIII族窒化物半導体レーザによれば、光ガイド層21から井戸層29aへキャリアがスムーズに流れるようになる。
また、第3の障壁層41cは、第2のInGaN領域23aのバンドギャップよりも小さいバンドギャップを有する部分を含む。この実施例では、第3の障壁層41cの全体にわたって、第3の障壁層41cのインジウム組成は、第2のInGaN領域23aのインジウム組成よりも小さい。このIII族窒化物半導体レーザによれば、光ガイド層23から井戸層29cへキャリアがスムーズに流れるようになる。
必要な場合には、III族窒化物半導体レーザ11bでは、第1の光ガイド層21は、III族窒化物半導体レーザ11aと同様な第6のInGaN領域21cを含むことができる。第6のInGaN領域21cは、第1のInGaN領域21aとn型クラッド層15との間に設けられている。第6のInGaN領域21cのインジウム組成は、第1のInGaN領域21aからn型クラッド層15への方向に減少する。この第6のInGaN領域21cはクラッド層15に近いので、第6のInGaN領域21cのインジウム組成を低くしても光閉じ込め性能の低下は小さい。一方、第6のInGaN領域21cのインジウム組成を低くすることによって、光ガイド層21の結晶品質の低下を小さくできる。
この構造では、第2の光ガイド層23は、III族窒化物半導体レーザ11aと同様な第4のInGaN領域23cを含むことが好ましい。第2の光ガイド層23の屈折率分布を第1の光ガイド層21の屈折率分布に合わせることができる。また、第2の光ガイド層23では、第4のInGaN領域23cのインジウム組成は第2のInGaN領域23aからp型クラッド層17に向けて減少する。第4のInGaN領域がクラッド層に近いので、第4のInGaN領域のインジウム組成を低くしても光閉じ込め性能の低下は小さい。
(実施例3)
半導体レーザLD5を実施例1と同様な方法で形成した。第1及び第2の光ガイド層のインジウム組成は0.04であり、第2及び第3の障壁層のインジウム組成は0.05であった。第2及び第3の障壁層の厚さは15nm、その成長温度は摂氏830度であった。半導体レーザLD5のしきい値は実施例2とほぼ同等の低い値であった。また、ELスペクトルの測定結果によれば、光ガイド層に由来するピークは非常に小さかった。半導体レーザLD5は、実施例2の半導体レーザと同じく、光ガイド層にキャリアへの蓄積が避けられる。そして、キャリア注入効率が向上される。また、半導体レーザLD5の発光特性は、半導体レーザLD2、3の発光特性よりも良好である。この理由として、内側の2つの障壁層のIn組成が小さいので、これらの障壁層の成長温度を上げることができ、この結果、結晶品質の回復が行われたと考えられる。
III族窒化物半導体レーザ11bでは、第2の障壁層39cのIn組成が、光ガイド層21から井戸層29aへの方向に徐々に大きくなるように傾斜していてもよい。また、第2の障壁層39c及び光ガイド層21のIn組成が、n型クラッド層15から井戸層29aへの方向に徐々に大きくなるように傾斜していてもよい。さらに、第3の障壁層41cのIn組成が、光ガイド層23から井戸層29cへの方向に徐々に大きくなるように傾斜していてもよい。またさらに、第3の障壁層41c及び光ガイド層23のIn組成が、p型クラッド層17から井戸層29cへの方向に徐々に大きくなるように傾斜していてもよい。
発明者らの実験によれば、第1の光ガイド層21では、0.03以上のインジウム組成のInGaN領域21aは光ガイド層21に高屈折率を与えることができる。0.12を超えるインジウム組成のInGaN領域21aは光ガイド層21の結晶品質を低下させる。また、第2の光ガイド層23では、0.03以上のインジウム組成のInGaN領域23aは光ガイド層23に高屈折率を与えることができる。0.12を超えるインジウム組成のInGaN領域23aは光ガイド層23の結晶品質を低下させる。
第1の光ガイド層21の厚さは150nm以下であることが好ましい。大きなインジウム組成を用いる光ガイド層21の厚さが150nmよりも大きいとき、活性層19の成長における結晶品質の回復が十分に得られず、この結果、活性層19の結晶品質が低下する。また、第2の光ガイド層23の厚さは150nm以下であることが好ましい。良好な光閉じ込めを行うために、第1の光ガイド層21の厚さは25nm以上であることが好ましい。また、良好な光閉じ込めを行うために、第2の光ガイド層23の厚さは25nm以上であることが好ましい。第1の光ガイド層21及び第2の光ガイド層23の厚さの調整により、半導体レーザの遠視野像を調整できる。
図8は、カソードルミネッセンスを測定するためのエピタキシャルウエハの構造を示す図面である。電子線を用いて発光層の電子線像を得るためには、エピタキシャルウエハEは、実施例1、2等のエピタキシャルウエハと異なり、p側InGaN光ガイド層及びp型クラッド層を含まない。a軸の方向に2度オフした主面のGaNウエハと、c面ジャストの主面を有するGaNウエハとを準備して、これらのウエハ上にエピタキシャル成長を行った。図9はカソードルミネッセンス(CL)像を示す図面である。図9(a)を参照すると、島状のCL像が観察された。この像は、多重量子井戸構造が島状に成長されたことを示している。図9(b)を参照すると、筋状のCL像が観察された。この像は、多重量子井戸構造がステップフロー成長により形成されたことを示している。オフ角度が大きくなるにつれて、ステップ密度が高くなる。このため、島状成長が抑制される。発明者らの実験によれば、GaN、InGaNといったIII族窒化物半導体からなるウエハ主面のオフ角は、III族窒化物半導体のc面に対して1度以上の角度で傾斜していることが好ましく、III族窒化物半導体のc面に対して50度以下の角度で傾斜していることが好ましい。このIII族窒化物半導体レーザによれば、c面から傾斜した表面は、高いインジウム組成のInGaNを成長することに好適である。また、オフ角は10度以上であるとき、ピエゾ電界を低減できるという利点がある。
ウエハ主面の傾斜の方向は、III族窒化物半導体のa軸方向であることができる。m面劈開を用いて共振器を作製できる。
(実施例4)
a軸方向に2度、20度、40度のオフ角を有するGaNウエハを準備した。これらのGaNウエハ上に実施例1と同じレーザ構造を上に作製した。レーザ導波路をm軸の方向に形成した。電極を形成した後に、m面で劈開してレーザバーを作製した。
オフ角 閾値電流
0.3度 550mA(実施例1)
2度 500mA
20度 550mA
40度 550mA
2度オフのGaNウエハ上に作製された半導体レーザのしきい値電流は約500mAであり、実施例1に比べて低くなった。ステップフロー成長で結晶品質や表面平坦性が改善された効果と考えられる。20度、40度のオフ角のGaNウエハ上に作製された半導体レーザのしきい値電流は、実施例1と同等又は僅かに高かった。オフ角が大きくなると、InGaN層の成長においてインジウムの取り込みにくくなる。このため、InGaNの成長温度を下げることが必要であった。しかしながら、しきい値電流が実施例1とほぼ同等であることは、更なる改善が可能であると考えられる。これらのオフ角のウエハでは、ピエゾ電界が小さいので、実施例1に比べてレーザ発振までのブルーシフトが小さい。
III族窒化物半導体レーザ11、11a、11bは、貫通低密度106cm−2以下の高品質のGaNウエハを用いて作製されることができる。45mm以上の径を有するGaNウエハを利用して半導体レーザを作製できる。
III族窒化物半導体レーザ11、11a、11bのための基板は、InGaNからなることができる。大きなインジウム組成の光ガイド層と基板との間の格子不整を小さくできる。
(実施例6)
a軸方向に2度のオフ角を有するInGaN基板を準備した。InGaN基板は、In0.05Ga0.95Nからなる。このInGaN基板上に、レーザ構造のためのエピタキシャルウエハを以下のように作製した。InGaN基板を成長炉に配置した。成長炉に窒素を供給しながら、InGaN基板の温度を接し800度に上昇した。InGaN基板上に、AlGaN層を成長した。AlGaN層は、n型Al0.02Ga0.98Nからなり、その厚みは例えば10nmである。AlGaNの成長温度は、例えば摂氏800度である。次いで、AlGaN層上にn型クラッド層を成長した。n型クラッド層は、例えばSi添加GaNからなり、その厚みは例えば2μmである。GaNの成長温度は、例えば摂氏1100度である。成長炉の温度を摂氏800度に下げた後に、光ガイド層をn型クラッド層上に成長した。光ガイド層は、例えばアンドープIn0.08Ga0.92Nからなり、その厚みは例えば100nmである。
次に、活性層を成長した。活性層は、例えばInGaNからなる井戸層とInGaNからなる障壁層とを含む。例えば、井戸層はIn0.30Ga0.70Nからなり、その厚さは2nmである。例えば、障壁層はIn0.05Ga0.95Nからなり、その厚さは15nmである。活性層は3つの井戸層を含む。井戸層の成長温度は、例えば摂氏770度であり、障壁層の成長温度は、例えば摂氏830度である。
活性層上に光ガイド層を成長した。光ガイド層は、例えばアンドープIn0.08Ga0.92Nからなり、その厚みは例えば100nmである。光ガイド層の成長温度は、例えば摂氏800度である。光ガイド層上に電子ブロック層を成長した。電子ブロック層は、例えばMg添加のp型Al0.10Ga0.90Nからなり、その厚みは例えば20nmである。電子ブロック層の成長温度は、例えば摂氏1100度である。電子ブロック層上にp型クラッド層を成長した。p型クラッド層は、例えばMg添加Al0.02Ga0.98Nからなり、その厚みは例えば400nmである。GaNの成長温度は、例えば摂氏1100度である。p型クラッド層上にp型コンタクト層を成長した。p型コンタクト層は、例えばMg添加GaNからなり、その厚みは例えば50nmである。GaNの成長温度は、例えば摂氏1100度である。これらの工程によって、エピタキシャルウエハが作製された。このエピタキシャルウエハを用いて、半導体レーザLD6を作製した。
また、2度のオフ角を有するGaN基板上に、半導体レーザLD6と同様のレーザ構造を作製してエピタキシャルウエハを作製した。このエピタキシャルウエハを用いて、半導体レーザLD7を作製した。
半導体レーザLD6、LD7は共にレーザ発振した。発振波長は、470nm〜480nmであった。半導体レーザLD6、LD7のしきい値は、それぞれ、約1500mA、1700mAであった。半導体レーザLD6はInGaN基板上に作製されているので、数パーセントのIn組成を有するInGaN厚膜を成長しても、基板とエピタキシャル膜との間の格子不整合に起因する歪みや欠陥が入り難く、しきい値が低くできたと考えられる。
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
発振波長430nm以上の長い波長で発光する窒化物半導体レーザダイオードが求められている。このレーザダイオードでは、導波する光の波長が長くなるとクラッド層とガイド層の屈折率差が小さくなる。Blu−rayやHD−DVDに用いられる青紫色レーザ(波長405nm程度)に比べて光閉じ込めを強くする工夫が必要である。光閉じ込めを強くするために、障壁層及びガイド層の材料にInGaNを用いると共に、これらの層のIn組成を高くしている。
半導体レーザのエピタキシャルウエハは、多層のエピタキシャル膜からなる。本件の窒化物半導体レーザダイオードでは、この多層構造においてInGaNの割合が大きくなる。これ故に、エピタキシャル膜の結晶品質が低下する。結晶品質の低下は、高いIn組成の井戸層を成長した後に生じやすい。
結晶品質の低下を避けるために、井戸層を挟む障壁層のIn組成を下げる。この低減により、導波路の平均屈折率が低下する。この低下を抑制するために、例えば、光ガイド層のIn組成を増加する。光閉じ込めを維持できると共に、多重量子井戸構造の結晶品質を改善できる。In組成の低い障壁層を成長する際に結晶品質が回復する。光ガイド層の高屈折率により、所望の光閉じ込めが提供される。
また、光ガイド層の一部においてIn組成を傾斜させる。高いIn組成の光ガイド層を用いても、キャリア注入効率の低下が避けられる。光ガイド層のIn組成の傾斜によって、高いIn組成の光ガイド層にキャリアの蓄積を避けることができる。
さらに、オフ角を有する自立GaNウエハを用いる。InGaN領域が厚くなっても、結晶品質の低下が生じにくい。InGaN領域が厚くなると島状の表面モフォロジが生じやすい。大きなオフ角のGaN基板の使用により、基板主面のステップ密度が多くなる。このため、島状の表面モフォロジが抑制される。
11、11a、11b…III族窒化物半導体レーザ、13…基板、13a…基板主面、13b…基板裏面、15…n型クラッド層、17…p型クラッド層、19…活性層、21…第1の光ガイド層、21a…第1のInGaN領域、21b…第5のInGaN領域、21c…第6のInGaN領域、23…第2の光ガイド層、23a…第2のInGaN領域、23b…第3のInGaN領域、23c…第4のInGaN領域、27a、27b、27c…井戸層、29a…第1の障壁層、31…電子ブロック層、33…p型コンタクト層、35…絶縁膜、37a、37b…電極、39a、39b…第2の障壁層、40a…第2の障壁層の第1の部分、40b…第2の障壁層の第2の部分、41a、41b…第3の障壁層、42a…第3の障壁層の第1の部分、42b…第3の障壁層の第2の部分、G…電
子、H…正孔

Claims (17)

  1. 主面を有する基板と、
    前記基板上に設けられIII族窒化物半導体からなるn型クラッド層と、
    前記基板上に設けられIII族窒化物半導体からなるp型クラッド層と、
    前記n型クラッド層と前記p型クラッド層との間に設けられた活性層と、
    前記n型クラッド層と前記活性層との間に設けられた第1の光ガイド層と、
    前記p型クラッド層と前記活性層との間に設けられた第2の光ガイド層と
    を備え、
    前記活性層は、複数の井戸層と、前記井戸層の間に設けられた少なくとも一つの第1の障壁層とを含み、
    前記第1の光ガイド層は、前記第1の障壁層のバンドギャップよりも小さく且つ前記井戸層のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有するInGaNからなる第1のInGaN領域を含み、
    前記第2の光ガイド層は、InGaNからなる第2のInGaN領域を含み、
    前記活性層の前記井戸層のうち前記第1の光ガイド層に最も近い井戸層は、第1の井戸層であり、
    前記活性層の前記井戸層のうち前記第2の光ガイド層に最も近い井戸層は、第2の井戸層であり、
    前記活性層は、前記第1の井戸層と前記第1の光ガイド層との間に設けられた第2の障壁層と、前記第2の井戸層と前記第2の光ガイド層との間に設けられた第3の障壁層とを含み、
    前記第1の光ガイド層は、前記第2の障壁層と前記第1のInGaN領域との間に設けられた第5のInGaN領域を含み、
    前記第5のInGaN領域のインジウム組成は、前記第2の障壁層から前記第1のInGaN領域への方向に増加している、ことを特徴とするIII族窒化物半導体レーザ。
  2. 前記第2のInGaN領域は、前記第1の障壁層のバンドギャップよりも小さく且つ前記井戸層のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有するInGaNからなり、
    前記第2の障壁層は、前記第1のInGaN領域のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する部分を含み、
    前記第3の障壁層は、前記第2のInGaN領域のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する部分を含む、ことを特徴とする請求項1に記載されたIII族窒化物半導体レーザ。
  3. 前記第2及び第3の障壁層は、前記第1の障壁層と同じ窒化ガリウム系半導体からなる、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたIII族窒化物半導体レーザ。
  4. 前記第2の光ガイド層は、前記第3の障壁層と前記第2のInGaN領域との間に設けられた第3のInGaN領域を含み、
    前記第3のInGaN領域のインジウム組成は、前記第3の障壁層から前記第2のInGaN領域への方向に増加する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載されたIII族窒化物半導体レーザ。
  5. 前記第3の障壁層は、InGaN領域を有しており、
    前記第3の障壁層の前記InGaN領域のインジウム組成は、前記第2の井戸層から前記第2のInGaN領域への方向に増加する、ことを特徴とする請求項4に記載されたIII族窒化物半導体レーザ。
  6. 前記第2の光ガイド層は、前記第2のInGaN領域と前記p型クラッド層との間に設けられた第4のInGaN領域を含み、
    前記第4のInGaN領域のインジウム組成は前記第2のInGaN領域から前記p型クラッド層に向けて減少する、ことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4及び請求項5のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ。
  7. 前記第2の障壁層は、InGaN領域を有しており、
    前記第2の障壁層の前記InGaN領域のインジウム組成は、前記第1の井戸層から前記第1のInGaN領域への方向に増加する、ことを特徴とする請求項1に記載されたIII族窒化物半導体レーザ。
  8. 前記第1の光ガイド層は、前記第1のInGaN領域と前記n型クラッド層との間に設けられた第6のInGaN領域を含み、
    前記第6のInGaN領域のインジウム組成は、前記第1のInGaN領域から前記n型クラッド層への方向に減少する、請求項1、請求項2、及び請求項4〜請求項7のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ。
  9. 前記活性層は、当該III族窒化物半導体レーザの発光波長が430nm以上の波長領域内にあるように設けられた多重量子井戸構造を有する、ことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ。
  10. 前記第1の光ガイド層の厚さは150nm以下であり、
    前記第2の光ガイド層の厚さは150nm以下である、ことを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ。
  11. 前記第1の光ガイド層の第1のInGaN領域のインジウム組成は0.03以上であり、
    前記第2の光ガイド層の第2のInGaN領域のインジウム組成は0.03以上である、ことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ。
  12. 前記第1の光ガイド層の第1のInGaN領域のインジウム組成は0.12以下であり、
    前記第2の光ガイド層の第2のInGaN領域のインジウム組成は0.12以下である、ことを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ。
  13. 前記基板は、III族窒化物半導体からなり、
    前記基板の前記主面は、前記III族窒化物半導体のc面に対して1度以上の角度で傾斜しており、
    前記基板の前記主面は、前記III族窒化物半導体のc面に対して50度以下の角度で傾斜している、ことを特徴とする請求項1〜請求項12のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ。
  14. 前記主面の傾斜の方向は、前記III族窒化物半導体のa軸方向である、ことを特徴とする請求項13に記載されたIII族窒化物半導体レーザ。
  15. 前記基板はGaNからなる、ことを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ。
  16. 前記基板はInGaNからなる、ことを特徴とする請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載されたIII族窒化物半導体レーザ。
  17. III族窒化物半導体レーザを作製する方法であって、
    第1導電型クラッド層上に、第1の温度で第1のInGaN光ガイド層を成長する工程と、
    前記第1のInGaN光ガイド層を成長した後に、障壁層を成長する工程と、
    前記障壁層を成長した後に、InGaN井戸層を成長する工程と、
    前記InGaN井戸層を成長した後に、第2の温度で別の障壁層を成長する工程と、
    前記別の障壁層を成長した後に、別のInGaN井戸層を成長する工程と、
    前記別のInGaN井戸層を成長した後に、更なる別の障壁層を成長する工程と、
    前記更なる別の障壁層を成長した後に、第3の温度で第2のInGaN光ガイド層を成長する工程と
    を備え、
    前記第1のInGaN光ガイド層は、前記障壁層のバンドギャップよりも小さく且つ前記InGaN井戸層のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有するInGaNからなる第1のInGaN領域を含み、
    前記第1のInGaN光ガイド層は、前記障壁層と前記第1のInGaN領域との間に設けられた第5のInGaN領域を含み、
    前記第5のInGaN領域のインジウム組成は、前記障壁層から前記第1のInGaN領域への方向に増加しており、
    前記第2の温度は、前記第1及び第3の温度よりも高い、ことを特徴とする方法。
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