JP2009049221A - 半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】素子特性に優れた青色〜緑色帯で発光する窒化物系の半導体レーザ及び発光素子を提供する。
【解決手段】窒化物系半導体素子は、基板上に、少なくとも、第1導電型の下側クラッド層、発光層を含む半導体層、第2導電型の上側クラッド層を有する。発光層は少なくともインジウムを含有する窒化物半導体からなる。発光層面内において、その一部は有効発光領域として規定されている。発光層面内における有効発光領域を含む第一の部分と、当該発光層面内の第一の部分以外の部分である第二の部分におけるc面からの傾斜角度は互いに異なっている。第二の部分の傾斜角度は第一の部分の傾斜角度よりも大きい。
【選択図】図2

Description

本発明は、III-V族窒化物系半導体材を活性層とする発光素子に関するものである。
窒化ガリウム(GaN)をベースとするIII-V窒化物系半導体発光素子のうち、青紫色で発光する半導体レーザは次世代の高密度光ディスク光源として実用化されており、今後更に市場が拡大していくものと期待されている。
この材料系では、インジウムガリウム窒素(InGaN)活性層のインジウム組成を調整することにより、青色から赤色にかけての可視波長領域での発光が可能であり、こうした波長の高輝度発光ダイオード等が開発されている。近年では、こうした可視光で発光する半導体レーザ実現への要求が高まっている。
図1に、関連技術の一例として、GaN上に作製されたリッジストライプ型の窒化物系半導体レーザ素子の断面図を示す。この素子では、n型GaN基板201上に、n型AlGaNクラッド層203、InGaN量子井戸活性層204及び光導波路層205、p型AlGaNクラッド層206、p型GaNコンタクト層207が順次積層されている。p型AlGaNクラッド層206はリッジストライプ形状に加工されている。リッジ上にp型電極208が形成されている。GaN基板の裏面にはn型電極が形成されている。
図1に示されている構造の素子において、波長約450nmの純青色帯での発光を得る為には、量子井戸活性層のインジウム組成を約0.2程度以上に上げる必要がある。緑色帯での発光に対しては更に高いインジウム組成が必要となる。
しかしながら、InGaN量子井戸を活性層とするレーザ素子において、インジウム組成を増加させて長波長化することには幾つかの困難があることが知られている。
第一に、InNとGaNでは格子定数差が約11%と大きいことから、インジウム組成の増加と共に歪臨界膜厚が小さくなり、ある程度以上の波長では、発光層として機能する膜厚を形成することが困難になる。
第二に、InNとGaNでは原子間距離の差が大きいことから、InGaN材料系では相分離が起こりやすく、面内でインジウムの組成が不均一になる傾向がある。これにより、発光スペクトルの分布幅が広くなったり、電流注入に伴う波長シフトが大きくなる。更に、層全体としては歪臨界以下であっても、局所的な歪が増大して欠陥が導入されて発光特性が劣化する可能性がある。
更には、InGaN層の結晶成長においては、成長温度が高温になるとインジウムの再蒸発が顕著である為約800℃程度の低い成長温度で成長させなければならず、良質な結晶を得ることが困難であると共に、活性層上部のクラッド層をより高温で成長させる際に、より低温で成長した活性層の結晶が劣化することが知られている。また、これらの影響はいずれも長波長化と共に、即ちインジウム組成の増加と共に顕著になっていくと考えられる。
このような、活性層成長後の高温成長等による活性層劣化を抑制する方法として、上部層の成長温度、成長時間を制限する方法や、より安定性の高いアルミニウムを含む半導体層を活性層上に成長させる方法が公開されている(特許文献1、2参照)。
特開平10−335700号公報 特開平10−144612号公報
しかしながら、青色帯以上の波長で必要とされるような、インジウム組成が約0.2以上の高い範囲では、上掲の文献に記載された方法により劣化を完全に抑制することは困難であると考えられる。
発明者は、従来の方法を用いて青色帯で発振する半導体レーザ素子を試作し、青紫色帯の素子と比較して発光特性が劣化する原因について詳細に調べた。そして劣化した素子においては活性層面内に数ミクロン以上の大きさで広がった面状欠陥が形成されており、このような面状欠陥とレーザのストライプ領域が重なった場合にレーザ特性が大きく劣化することを見出した。
また、このような面状欠陥は、量子井戸活性層の成長直後には発生せず、成長後に1000℃以上の高温での成長やプロセスにより発生していることが確認された。その結果、従来の素子作製方法では前述のような活性層の結晶劣化が起こっていることが分かった。
以上を総合すると、次のようなプロセスが起きていると推測される。InGaN量子井戸活性層のインジウム組成が高い場合には、結晶成長時に相分離による組成分布の不均一性が発生し、場合によっては高インジウム領域においてミスフィット転位などの微小欠陥が発生する。更に活性層成長後に上部クラッド層成長等の高温プロセスを行うことにより、このような微小欠陥を起点として歪緩和やInNの解離などが発生し、周辺部の結晶を広範囲に亘って劣化させることにより面欠陥となる。
以上の課題を解決するために、本発明においては、長波長化の為にインジウム組成の高い活性層を用い、活性層成長後に高温プロセスを施しても活性層の劣化しない、窒化物系青色半導体レーザ素子を提供することを目的としている。
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
本発明による窒化物半導体発光素子は、第1導電型の下側クラッド層(3、103)と、下側クラッド層上に配置され発光層を含む半導体層(4、5、104、105)と、半導体層上に形成された第2導電型の上側クラッド層(6、106)とを備える。発光層はインジウムを含む窒化物半導体からなる。発光層の面内の一部は有効発光領域として規定される。発光層の面内の有効発光領域を含む第一の部分(領域A)に対して、発光層の面内の第一の部分以外の第二の部分(領域B)は、c面に対する傾斜角度が大きい。
本発明による窒化物半導体発光素子の製造方法は、所定層(1)上に表面がより高い第一の部分と表面がより低い第二の部分とで構成された凸型のメサ構造を形成する工程と、所定層の上に、積層方向に第一の部分に対応する部分の表面のc面に対する傾斜角度に対して、積層方向に第二の部分に対応する部分の表面のc面に対する傾斜角度が大きいバッファ層(2)を形成する工程と、第1導電型の下側クラッド層(3)、発光層を含む半導体層(4、5)、及び第2導電型の上部クラッド層(6)を含む積層構造を形成する工程と、発光層に対してバッファ層の反対側に、第一の部分の少なくとも一部分に電流を狭窄する為の電流狭窄構造(S)を設ける工程とを備える。
本発明による窒化物半導体発光素子の製造方法は、所定層(1)に、規定された第一の部分を含む領域に開口を有する選択成長マスク(110)を設ける工程と、選択成長マスクを設ける工程の後に、開口を含む領域にバッファ層(102)を成長させることにより、積層方向に第一の部分に対応する部分の表面のc面に対する傾斜角度に対して、積層方向に第二の部分に対応する部分の表面のc面に対する傾斜角度が大きいバッファ層(102)を形成する工程と、第1導電型の下側クラッド層(103)、発光層を含む半導体層(104、105)、及び第2導電型の上部クラッド層(106)を含む積層構造を形成する工程と、発光層に対してバッファ層の反対側に、第一の部分の少なくとも一部分に電流を狭窄する為の電流狭窄構造(S)を設ける工程とを備える。
上述の構成および方法により、本発明においては、インジウム組成の高い量子井戸活性層を用いても、活性層成長後の高温成長プロセスによる結晶劣化を抑制することが可能である。そのため、良好な発光特性の半導体レーザ素子、或いは発光素子を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
図2を用いて、本発明の実施例1における窒化物系半導体レーザ装置について説明する。以下の説明は、リッジストライプ型半導体レーザ装置を例としている。図2は、リッジストライプ型レーザ装置の断面構造を模式的に表したものである。このレーザ装置において、n型GaN基板1の表面側に、n型GaNバッファ層2、n型AlGaNクラッド層3、InGaN/GaN量子井戸活性層4及び光導波路層5、p型AlGaNクラッド層6、p型GaNコンタクト層7が順に形成されている。n型GaN基板1の裏面側にはn型電極9が形成される。
このレーザ装置は、リッジストライプ型のレーザ構造を有する。即ち、上側のGaNコンタクト層7、及びp型AlGaNクラッド層6は、約1.5ミクロン幅のリッジストライプに加工されており、積層方向を鉛直方向としたとき水平方向の屈折率導波機構、及び電流狭窄機構として働く。リッジストライプの上部にp型電極8が形成される。
図2に示された断面におけるリッジストライプの形成領域(基板表面に垂直な方向から見たときの領域)を領域Aとし、領域Aの外側の部分を領域Bとする。量子井戸活性層4の厚さ方向に垂直な面内で領域Aに対応する領域は、有効発光領域として機能する。領域Aと領域Bにおける量子井戸活性層のc面からの傾斜角度が互いに異なっている。領域Bの傾斜角度は領域Aの傾斜角度よりも大きい。具体例としては、領域Aにおける傾斜角度は0.2°、領域Bにおける傾斜角度は0.7°である。
この構造により、InGaN量子井戸活性層の発光波長がより長波のときに顕著となる結晶成長後の高温プロセスによる結晶劣化を抑制することができる。
図2に示した窒化物型半導体レーザの製法につき、図3A〜3Dを用いて説明する。
工程1:図3A
まず初めに、n型GaN基板1上に、通常のフォトリソグラフィー工程を用いて幅約2ミクロンのストライプ状のエッチングマスクを形成する。このマスクを用いて、例えば塩素系ガスを用いてドライエッチングを施すことにより、約70nmの深さまでエッチングが行われ、図3Aに示されるように幅2ミクロンの浅いメサストライプが形成される。このメサストライプは、マスクが配置され表面がより高い第一の部分と、エッチングが施され表面がより低い第二の部分とで構成された凸型のメサ構造を有する。
次に、エッチングマスクを除去した後、このn型GaN基板1上にn型AlGaNバッファ層2を有機金属気相成長法(MOVPE法)などにより積層する。AlGaNバッファ層2を約0.5ミクロン積層することにより、図3Aに示すような傾斜角度分布を有する下地基板が形成される。この下地基板の表面の傾斜角度は、中心付近約2ミクロンの幅内部の領域Aでは約0.2°であり、その外側の領域Bでは0.7°である。ここで、n型GaN基板1の表面は、c面から約0.2°傾斜したものを用いている。
工程2:図3B
次に、図3Bに示すように、この下地基板上に、n型の下側AlGaNクラッド層3、InGaN量子井戸活性層4及びGaN光導波路層5、上側p型AlGaNクラッド層6、p型GaNコンタクト層7を、有機金属気相成長法(MOVPE法)により順次積層する。ここではn型AlGaNバッファ層2と下側AlGaNクラッド層3を別の層として説明したが、これらを連続的に成長する同一の層として形成しても構わない。
InGaN量子井戸活性層4の有効発光部のインジウム組成は、波長450nm帯での発振が得られるように約0.22である。結晶成長条件としては、基板の傾斜角度が約0.2°の場合にインジウム組成0.22が得られるような成長条件が用いられる。成長温度は800℃付近が望ましい。上側p型AlGaNクラッド層6の成長時には、より高い成長温度、例えば1100℃とするのが望ましい。
工程3:図3C
次に、通常のフォトリソグラフィー工程を用いて幅1.5ミクロン程度のストライプ状のエッチングマスクを形成し、塩素系ガスを用いたドライエッチングにより、p型GaNコンタクト層7及びp型AlGaNクラッド層6の途中までエッチングを行う。これにより、幅約1.5ミクロン程度のリッジストライプが形成される。リッジ幅の値、及びp型AlGaNクラッド層6のエッチング深さは、レーザ装置の水平横モード特性を始め、電流‐光出力特性、電流‐電圧特性に影響するので、要求されるデバイス特性等を考慮して、最適な値を選ぶ。
工程4:図3D
次に、素子全体にCVD法などを用いて、シリコン酸化膜等の絶縁膜を形成する。通常のフォトリソグラフィー工程を用いて、p型電極形成部の絶縁膜を除去する。p型電極としてチタン及び金を蒸着し、適当な条件で加熱してアロイ処理を行うことにより、p型電極8が形成される。また、n型GaN基板1の裏面にn型電極としてチタン及び金を蒸着し、適当な条件で加熱してアロイ処理を行うことにより、n型電極9が形成される。最後に、劈開によりストライプの延長方向に垂直なレーザミラー端面を形成する。
ここで、実施例1による発光特性の劣化の改善効果について、図を用いて説明する。
まず、図1の例を用いて、従来の構造による青色帯半導体レーザ素子の層構造の作製工程を説明し、これにより発生すると推測される劣化機構について説明する。
まず、n型GaN基板201上に、n型の下側AlGaNクラッド層203、InGaN/GaN多重量子井戸活性層204及びGaN光導波路層205を、有機金属気相成長法(MOVPE法)などを用いて順次積層する。
InGaN量子井戸活性層は、発振波長が450nmとなるように組成設計されている。InGaN量子井戸層のインジウム組成は0.22、InGaNバリア層のインジウム組成は0.01である。結晶成長温度は約850℃であり、この温度は組成が所望の値となるように調整されている。n型GaN基板201の上面はc面から約0.2°傾斜している。量子井戸活性層も同様に素子全体に亘ってc面から約0.2°傾斜している。よって、InGaN量子井戸活性層のインジウム組成は、素子全体に亘って平均的には約0.22であるが、相分離が起こっている為、局所的に見るとインジウム組成の高い部分と低い部分が存在している。インジウム組成の特に高い領域では、場所によりミスフィット転位による微小欠陥が存在している。但し、量子井戸活性層の結晶成長直後には面状欠陥は発生していない(工程1)。
更に、上側p型AlGaNクラッド層6、p型GaNコンタクト層7を、MOVPE法を用いて順次積層する。これらのインジウムを含まない層の結晶成長においては、良好な結晶を得るため成長温度は高い方が望ましく、例えば1100℃に設定される。この結晶成長工程は、量子井戸活性層4の結晶成長に引き続き連続して行っても構わない(工程2)。
その結果、工程1で発生している、相分離によって形成された微小欠陥を起点として、高温成長により欠陥が増殖して周辺部の結晶を劣化させ、量子井戸活性層の面内に面状欠陥が発生することとなる。
発明者は、このような量子井戸活性層面内の面状欠陥の形成要因について検討を行った。その結果、面状欠陥の形成条件は、InGaN量子井戸層自身のインジウム組成に依存するだけでなく、同じインジウム組成の量子井戸層を用いた場合でも、バリア層を含めた活性層全体の平均歪量によっても影響を受けることを見出した。即ち、InGaNの相分離は避けられなくとも、活性層全体の平均歪量を低く抑えることによって、レーザ特性を劣化させる面状欠陥の発生を抑制することが可能である。
このことから、活性層全体の平均歪量を低減する為には、例えば逆の引張歪を有する層を導入し、歪補償構造として層構造の平均歪を低減すること等も面状欠陥形成の抑制に有効である。
また、活性層面内の平均歪量を低減することも有効であると考えられる。このような手法としては、活性層を選択成長法により形成したり、活性層を成長後にエッチングすることにより、活性層の存在領域を必要最小限に制限することなどが挙げられる。その後に、埋込層やクラッド層を高温で成長させれば、面状欠陥を抑制できる可能性がある。
しかしながら、InGaN活性層を用いる場合においては、上記手法ではプロセス工程が煩雑になるのみならず、活性層を露出させて高温で再成長を行うことによる活性層内のインジウムの蒸発や分解等による劣化が予想され、現在の一般的な技術では適用が非常に困難である。
そこで、実施例1では、面内に活性層の組成分布を形成し全体の平均歪量を低減することにより、面状欠陥形成を抑制する手法を発案した。
図4には、表面の傾斜角度の異なる基板上に、同一条件によりInGaNのQW活性層を結晶成長した場合の、インジウムの組成変化が示されている。インジウム組成は、発光波長から見積もっている。図4によると、傾斜角度により、同一成長条件であってもInGaN層のインジウム組成が変化することが分かる。傾斜角度が0.3°以下ではインジウム組成の変化は小さいが、0.3°以上では、傾斜角度と共に組成が低くなっていくことが分かる。このような、傾斜角度の微小な変化によるインジウム組成の変化は、InGaN材料系特有の現象であると考えられる。
この現象を利用して、活性層成長前の下地に傾斜角度分布を形成し、傾斜角がストライプ下部の有効発光領域で約0.3°以下、それ以外の領域ではより大きくなるようにすれば、ストライプ下部では組成が高く、周辺部では低くなるような量子井戸活性層面内でのインジウムの組成分布が得られる。
図3Bに示した実施例1の工程2においては、InGaN量子井戸活性層成長時の下地には傾斜角度分布が形成されており、領域Aと領域Bとで互いに異なる傾斜角度を持つ。即ち、基板の中心付近において約2ミクロンの幅を持つ領域Aにおいては、表面の傾斜角度が約0.2°である。領域Aの外側の領域Bにおいては、表面の傾斜角度が約0.7°である。ここで、領域Aは、この後の工程でリッジストライプが形成されるストライプ形成領域とほぼ一致しているか、またはストライプ形成領域を含んでいる。
InGaN量子井戸活性層については、発振波長を450nmとする為に組成設計がされている。有効発光領域となる領域AにおけるInGaN量子井戸層のインジウム組成は0.22である。InGaNバリア層のインジウム組成は0.01である。結晶成長温度は傾斜角度が約0.2°の場合に組成が所望の値となるよう調整されており、約850℃である。一方、このような成長条件で量子井戸活性層を成長した場合、領域Bにおいては、図4を参照すると、InGaN量子井戸層のインジウム組成は約0.18、InGaNバリア層のインジウム組成は約0.008である。
即ち、ストライプ下部の領域Aで所望の波長になるように結晶成長条件を決定すると、領域A以外の領域Bではストライプ下部よりもインジウム組成が小さくなるので、活性層全体の平均歪量を低減させることができる。
ここで、実施例1における傾斜角度の適用範囲について検討する。
図4を参照すると、インジウム組成の傾斜角度依存性は次のようになっている。0°〜0.3°の範囲では変化が小さい。0.3°以上の範囲では、傾斜角度が0.1°変化するごとにインジウム組成が約0.1の割合で減少している。図4においては、傾斜角度約0.65°までのデータしか示されていないが、組成低下の傾向は約0.8°程度まで伸びることが確認されている。0.8°と0.3°との比較では、約24%のインジウム組成差を得ることができる。但し、結晶成長の条件等を変えることにより、組成傾斜の傾向をある程度変化させることも可能である。
以上より、実施例1においては、図2の領域Aのストライプ下部においては、傾斜角度が0°〜0.3°の範囲が好ましい。領域Bの周辺部においては、歪量の低減効果が十分得られるように0.5°〜0.8°程度の範囲が好ましいが、0.3°以上1°以下であれば実施例1の効果を得ることが可能である。また、ストライプ下部の歪量がそれほど大きくない場合には、領域Aにおいて0.3°以上の傾斜角度を用いてもよい。この場合、領域Bにおける傾斜角度が領域Aにおける傾斜角度に約0.2°を加えた値以上であることが好ましい。
以上のような傾斜角度範囲内では、素子全体として見た場合には、傾斜角度分布はほぼ平坦な構造となり、結晶成長層形成後は従来構造と全く同様のプロセスが適用可能である。
なお、以上の説明では、図3Aに示した工程において、上に凸型のメサを作製することにより、上に凸型の傾斜面分布を有する構造を形成した。しかし、これを逆にして凹型にエッチングを施すことにより凹型の傾斜面分布を形成することによっても、実施例1の効果を得ることができる。
また、ここでは傾斜面の傾斜方向は、リッジストライプと垂直な方向とした構造について説明した。しかし、図4のようなインジウム組成の傾斜面依存性は、傾斜角度の大きさによるものであって傾斜方向には依存しないため、傾斜面の方向については特に限定されない。
次に、より詳細に組成分布と歪量の検討を行うことにより、InGaN量子井戸構造の適用可能範囲を明確にすることで、発光特性改善の効果を最大限に得ることができる。
図5の曲線Aは、GaN基板c面上のInGaN量子井戸層のインジウム組成と臨界膜厚との関係を示したものである。MatthewsとBlakesleeの理論(J.W.Matthews and A.E.Blakeslee, J.Cryst.Growth, 27, 118(1974))に基づいて計算された。
一方、c面GaN上のInGaN量子井戸活性層においては、自発分極及びピエゾ分極による内部電界の影響により、量子井戸内の電子とホールの波動関数の空間的重なりが減少して発光確率を低下させることが知られている。この効果はインジウム組成が高くなると更に顕著となる。これを回避する為になるべく量子井戸層厚を薄く1.0〜3.0nm程度の範囲とするのが望ましい。
これらを考慮すると、図5より、量子井戸層厚が1.0〜3.0nmの範囲にあるとき、臨界値を超える、即ち実施例1が特に有効となる最小のインジウム組成は約0.16〜0.33である。但し、歪量が臨界値を超えない範囲であっても、実施例1により平均歪量を低減することで歪による劣化がおきる可能性は小さくなり、改善効果が得られる。
一方、図4のような組成傾斜が得られる場合には、実施例1の構造により、ストライプ下部と周辺部との間で最大約24%の組成差を得ることができる。実施例1の構造においては、ストライプ幅は通常数ミクロン以内と狭いことから、量子井戸層面内の平均歪量は周辺部の組成によってほぼ決定されると考えることができる。従って、周辺部の組成が臨界値を超えると、実施例1の効果は得られない。
これを考慮して、ストライプ下部の量子井戸層のインジウム組成に対し、周辺部に適用される最小のインジウム組成、即ちストライプ下部の組成の約76%に対応した臨界膜厚を図5に曲線Bとしてプロットした。これによると、量子井戸層厚が1.0〜3.0nmの範囲にあるとき、実施例1が適用可能な最大のインジウム組成は、約0.23〜0.47である。
以上より、本発明による発光特性改善の効果は、図4の組成傾斜傾向及び、図5の組成依存性を仮定すると、約0.16〜0.47のインジウム組成範囲で特に有効に得られる。但し、前述したように図4の組成傾斜の傾向は、結晶成長条件等によって変わりうる。また、図5に示した臨界膜厚の値は、ある一定の条件を満たした場合の理論に基づく値であり、実際の劣化が起こる組成条件とは必ずしも一致しない。また臨界膜厚の値は、バリア層などの周辺層構造によっても変化しうる。
そこで発明者は、傾斜面分布のない従来構造を用いて試料を作製し、このような条件について実験的な検討を行った。この場合、実際には正確にインジウム組成を同定することは難しい為、インジウム組成によって変化する発光波長を目安として劣化の起こる組成条件の見積もりを行った。その結果、発光波長が440nmを超えると層構造によっては劣化が発生する場合があった。470nm以上では広い範囲で劣化が見られた。一方、実施例1の構造を適用した場合には、発光波長が少なくとも約500nmまでは劣化が殆ど発生しないことが確認された。
以上、示したように、図3A〜3Dに示された製法を用いた図2の構成の実施例1による半導体レーザ素子においては、InGaN量子井戸活性層の発光波長の長波化に伴って顕著となる、結晶成長後の高温プロセスによる結晶劣化を抑制することが可能となる。具体的には、インジウム組成としては0.16〜0.47の範囲において、発光波長としては440nm以上から短くとも500nmまでの範囲に対応するインジウム組成において、特に有効的に効果が得られる。
また、量子井戸活性層面内において、領域Aよりも領域Bの方がバンドギャップが大きくなるようなポテンシャル差が発生する為、領域Aから領域Bへ向かう横方向のキャリア拡散が低減される。その結果、レーザの閾値を更に低減することができるという更なる効果が得られる。
(実施例2)
次に、図6を用いて本発明の実施例2における半導体レーザ装置について説明する。図6は、半導体レーザ素子の断面図である。実施例2では、図3A〜Dで示された実施例1の製法とほぼ同じ製法が採用される。但し、工程1における傾斜角度分布の形成方法が異なっている。
図6に示される積層構造は、次のように作製される。まずn型GaN基板上に選択成長マスク110が形成される。この選択成長マスクの規定された第一の部分を含む領域には、開口幅が約200ミクロンの開口が設けられ、開口においてn型GaN基板が露出する。その後、開口を含む領域に、n型AlGaNバッファ層102を成長させる。選択成長マスク脇ではマスクからの原料供給が発生する為、開口部中心に比べ層厚が高くなる。これにより、開口部中央付近の領域Aとマスク脇では層厚に差が生じ、図3A〜3Dとは逆に凹型の傾斜面分布が形成される。この場合、実施例1と比較して領域Aと領域Bの境界は明確でなく、連続的に傾斜角度が変化するような形になるが、実施例1と同様の効果が得られる。
以上、実施例1、2の説明を行った。しかし本発明は、これら実施例に具体的に示した構成、方法に限定されるものではなく、発明の趣旨に沿うものであれば種々のバリエーションが考えられる。傾斜面分布については、ストライプ内部を含む領域Aと領域Bにおいて、領域Bの方が傾斜角度が大きくなるような傾斜面分布が形成できれば特に方法は限定されず、本発明の効果を得ることができる。この場合、傾斜角度の絶対値が異なっていることが重要であり、傾斜する方向については特に限定されない。
また、以上の実施例においては、n型GaN基板上の半導体レーザ装置を例に取ったが、サファイア基板、シリコン基板等GaN基板以外の基板上の半導体レーザ素子でも良い。
また、前述の実施例においては、リッジストライプ型の半導体レーザ構造について説明したが、本発明はこのような構造に限定されるものではなく、インナーストライプ型の半導体レーザ装置や、メサ型の発光ダイオード素子、面発光レーザ素子等、InGaN活性層の組成を増加させた活性層を用いる発光素子等において、電流狭窄によって有効な発光に寄与する領域を領域Aとし、その周辺部を領域Bとすることによって、どのような構造にも適用が可能である。
以上説明した通り、本発明によれば、InGaN量子井戸活性層の発光波長の長波化に伴って顕著となる、結晶成長後の高温プロセスによる面状欠陥の発生を抑制して発光特性の劣化を防ぐことが可能となり、良好な素子特性を有する青色帯半導体レーザ素子を提供することができる。また、本発明による半導体レーザ素子は、次世代のレーザディスプレイなどの映像機器用光源等に使用することができる。
関連技術における窒化物系半導体レーザ素子の断面図である。 実施例1における窒化物系半導体レーザ素子の断面図である。 実施例1の半導体レーザ素子の製造工程を示す模式図である。 実施例1の半導体レーザ素子の製造工程を示す模式図である。 実施例1の半導体レーザ素子の製造工程を示す模式図である。 実施例1の半導体レーザ素子の製造工程を示す模式図である。 本発明の効果について説明するための、基板の傾斜角度と、その上に同一条件で結晶成長したInGaN量子井戸層のインジウム組成との関係を示した図である。 本発明の効果について説明するための、InGaN量子井戸層のインジウム組成と、歪臨界膜厚との関係を示した図である。 実施例2の半導体レーザ素子の断面図である。
符号の説明
1,101,201 n型GaN基板
2,102 n型AlGaNバッファ層
3,103,203 n型AlGaNクラッド層
4,104,204 InGaN多重量子井戸活性層
5,105,205 GaN光導波路層
6,106,206 p型AlGaNクラッド層
7,107,207 p型GaNコンタクト層
8,108,208 p型電極
9,109,209 n型電極
110 選択成長マスク

Claims (9)

  1. 第1導電型の下側クラッド層と、
    前記下側クラッド層上に配置され発光層を含む半導体層と、
    前記半導体層上に形成された第2導電型の上側クラッド層とを具備し、
    前記発光層はインジウムを含む窒化物半導体からなり、
    前記発光層の面内の一部は有効発光領域として規定され、
    前記発光層の面内の前記有効発光領域を含む第一の部分に対して、前記発光層の面内の前記第一の部分以外の第二の部分は、c面に対する傾斜角度が大きい
    窒化物半導体発光素子。
  2. 前記下側クラッド層、前記半導体層及び前記上側クラッド層はGaN基板上に積層され、
    前記発光層はInGaN層を含む
    請求項1に記載の窒化物半導体発光素子。
  3. 前記有効発光領域が電流狭窄構造によって規定されたストライプ形状を有し、
    前記第一の部分は積層方向に前記ストライプ形状に対応する領域を含み、
    前記ストライプの延長方向に垂直な端面を有し半導体レーザとして機能する
    請求項1又は請求項2に記載の窒化物半導体発光素子。
  4. 前記第一の部分のc面に対する傾斜角度が0°〜0.3°であり、前記第二の部分のc面に対する傾斜角度が0.5°〜0.8°である
    請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
  5. 前記第一の部分のc面に対する傾斜角度と前記第二の部分のc面に対する傾斜角度の差が0.2°以上である
    請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
  6. 前記第一の部分における前記発光層のインジウム組成が0.16以上0.47以下である
    請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
  7. 前記第一の部分における発光層の発光波長が440nm以上500nm以下である
    請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の窒化物半導体発光素子。
  8. 所定層上に表面がより高い第一の部分と表面がより低い第二の部分とで構成された凸型のメサ構造を形成する工程と、
    前記所定層の上に、積層方向に前記第一の部分に対応する部分の表面のc面に対する傾斜角度に対して、積層方向に前記第二の部分に対応する部分の表面のc面に対する傾斜角度が大きいバッファ層を形成する工程と、
    第1導電型の下側クラッド層、発光層を含む半導体層、及び第2導電型の上部クラッド層を含む積層構造を形成する工程と、
    前記発光層に対して前記バッファ層の反対側に、前記第一の部分の少なくとも一部分に電流を狭窄する為の電流狭窄構造を設ける工程
    とを具備する窒化物半導体発光素子の製造方法。
  9. 所定層に、規定された第一の部分を含む領域に開口を有する選択成長マスクを設ける工程と、
    前記選択成長マスクを設ける工程の後に、前記開口を含む領域にバッファ層を成長させることにより、積層方向に前記第一の部分に対応する部分の表面のc面に対する傾斜角度に対して、積層方向に前記第二の部分に対応する部分の表面のc面に対する傾斜角度が大きいバッファ層を形成する工程と、
    第1導電型の下側クラッド層、発光層を含む半導体層、及び第2導電型の上部クラッド層を含む積層構造を形成する工程と、
    前記発光層に対して前記バッファ層の反対側に、前記第一の部分の少なくとも一部分に電流を狭窄する為の電流狭窄構造を設ける工程
    とを具備する窒化物半導体発光素子の製造方法。
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JP2011187581A (ja) * 2010-03-05 2011-09-22 Nec Corp 半導体発光素子、半導体発光素子の製造方法、画像表示装置用光源および画像表示装置
JP2018078232A (ja) * 2016-11-11 2018-05-17 日本碍子株式会社 広波長域発光素子および広波長域発光素子の作製方法

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