JP2011003661A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】非極性面または半極性面を成長主面としたIII族窒化物半導体を用いて、クラックの発生を抑制できる構造の半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】半導体レーザダイオード70は、基板1と、この基板1上に形成されたIII族窒化物半導体積層構造2とを含む。基板1は、m面を主面としたGaN単結晶基板である。III族窒化物半導体積層構造2が結晶成長させられている。III族窒化物半導体積層構造2は、n型半導体層11、発光層10、およびp型半導体層12を積層して構成されている。発光層10は、InGaN量子井戸層とAlGaN障壁層とを積層した多重量子井戸構造を有している。ガイド層15,17はInGaNからなり、クラッド層14,18は、AlInGa1−x−yN(0<x<1,0<y<1,0<x+y<1)からなる。
【選択図】図1

Description

この発明は、III族窒化物半導体からなる半導体レーザダイオード構造を有する半導体レーザ素子に関する。
III族窒化物半導体とは、III-V族半導体においてV族元素として窒素を用いた半導体である。窒化アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)が代表例である。一般には、AlInGa1−X−YN(0≦X≦1,0≦Y≦1,0≦X+Y≦1)と表わすことができる。
青色や緑色といった短波長のレーザ光源は、レーザディスプレイおよびDVDに代表される光ディスクへの高密度記録、画像処理、医療機器、計測機器などの分野で活用されるようになってきている。このような短波長レーザ光源は、たとえば、GaN半導体を用いたレーザダイオードで構成されている。
GaN半導体レーザダイオードは、c面を主面とする窒化ガリウム(GaN)基板上にIII族窒化物半導体を有機金属気相成長法(MOVPE:Metal-Organic Vapor Phase Epitaxy)によって成長させて製造される。より具体的には、GaN基板上に、有機金属気相成長法によって、n型GaNコンタクト層、n型AlGaNクラッド層、n型GaNガイド層、発光層(活性層)、p型GaNガイド層、p型AlGaNクラッド層、p型GaNコンタクト層が順に成長させられ、これらの半導体層からなる半導体積層構造が形成される。発光層では、n型層から注入される電子とp型層から注入される正孔との再結合による発光が生じる。その光は、n型AlGaNクラッド層およびp型AlGaNクラッド層の間に閉じ込められ、半導体積層構造の積層方向と垂直な方向に伝搬する。その伝搬方向の両端に共振器端面が形成されており、この一対の共振器端面間で、誘導放出を繰り返しながら光が共振増幅され、その一部がレーザ光として共振器端面から出射される。
T. Takeuchi et al., Jap. J. Appl. Phys. 39, 413-416, 2000 Leszczynski et al., J. Phys. D: Appl. Phys. 28, A149 (1995). Martin et al., Appl. Phys. Lett. 68, 2541 (1996). Yim et al., J. Appl. Phys. 44, 292 (1973). Yamaguchi et al., J. Phys.: Condens. Mater 9, 241 (1997). Kim et al., Phys. Rev. B 53, 16310 (1996). Shimada et al., J. Appl. Phys. 84, 4951 (1998). J. Piprek, Semiconductor Optoelectonic Devices (Academic Press, California, 2003) p. 195
半導体レーザダイオードの重要な特性の一つは、レーザ発振を生じさせるための閾値電流(発振閾値)である。この閾値電流が低いほど、エネルギー効率の良いレーザ発振が可能になる。
ところが、c面を主面として成長された発光層から生じる光はランダム偏光であるため、TEモードの発振に寄与する光の割合が少ない。そのため、レーザ発振の効率が必ずしもよくなく、閾値電流を低減するうえで、改善の余地がある。
そこで、m面等の非極性面を主面とするレーザダイオードが提案されている。たとえば、m面を結晶成長主面とするIII族窒化物半導体積層構造でレーザダイオードを作製すると、発光層は、m面に平行な偏光成分(より具体的にはa軸方向の偏光成分)を多く含む光を発生する。これにより、発光層で生じた光のうち、多くの割合をレーザ発振に寄与させることができるので、レーザ発振の効率が良くなり、閾値電流を低減することができる。
その他、発光層が量子井戸構造(より具体的にはInを含むもの)からなる場合に、量子井戸での自発圧電分極によるキャリアの分離が抑制されるので、これによっても、発光効率が増加する。さらに、m面を結晶成長の主面とすることで、結晶成長を極めて安定に行うことができ、c面やその他の結晶面を結晶成長の主面とする場合に比較して、結晶性を向上することができる。その結果、高性能のレーザダイオードの作製が可能になる。
一方、発光波長を450nm以上の長波長とするには、量子井戸層のIn組成を増大させる必要がある。また、光閉じ込めのためにクラッド層とガイド層との間の屈折率差を確保するために、ガイド層にはInGaN層を適用する必要がある。
この場合、光閉じ込めのための屈折率を確保するためには、クラッド層には、Al組成の比較的大きなAlGaN層を適用する必要がある。
ところが、AlGaNとGaNとは格子定数に差があるから、m面GaN層の上に、InGaNガイド層およびAlGaNクラッド層をコヒーレントに成長させると、AlGaNクラッド層には、c軸方向およびa軸方向への引っ張り歪みが生じる。そのため、AlGaNクラッド層は、そのAl組成が大きいほど、また、膜厚が大きいほど、c軸方向およびa軸方向への大きな引っ張り応力を有することになり、その応力はc軸方向の方が相対的に大きくなる。そのため、主として、c軸と垂直な方向に沿ったクラックが発生するという問題がある。このようなクラックは、リーク電流の原因となるから、半導体レーザダイオードを作製するうえで、その発生を可及的に抑制する必要がある。
m面を主面とするIII族窒化物半導体で発光ダイオード構造を有する半導体レーザ素子を作製する場合に限らず、他の非極性面であるa面や半極性面を成長主面としたIII族窒化物半導体を用いる半導体レーザダイオード構造を有する半導体レーザ素子についても、同様の課題がある。
そこで、この発明の目的は、非極性面または半極性面を成長主面としたIII族窒化物半導体を用いて、クラックの発生を抑制できる構造の半導体レーザ素子を提供することである。
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、非極性面または半極性面を成長主面とするIII族窒化物半導体からなる半導体レーザダイオード構造を有する半導体レーザ素子であって、前記半導体レーザダイオード構造が、少なくとも各一部がAlInGa1−x−yN(0<x<1,0<y<1,0<x+y<1)からなるp型クラッド層およびn型クラッド層と、前記p型クラッド層およびn型クラッド層に挟まれたp型ガイド層およびn型ガイド層と、前記p型ガイド層およびn型ガイド層に挟まれ、Inを含む発光層とを備えている、半導体レーザ素子である。
この構成によれば、クラッド層は、Alの他にInも含む四元混晶の組成である。そのため、クラッド層は、ガイド層との間で光閉じ込めのための屈折率差を確保しつつ、半導体レーザダイオード構造を構成するIII族窒化物半導体を結晶成長させるときの下地層(たとえばGaN層)との格子不整合率を減少させることができる。より具体的には、Al組成xおよびIn組成yの関係を適切に調整することによって、下地層との格子不整合率を減少させることができる。これにより、格子整合系の半導体レーザダイオード構造を実現できるので、クラッド層にクラックが生じることを抑制または防止しつつ、半導体レーザ素子を作製することができる。これにより、クラックに起因するリーク電流を抑制できるので、優れた効率でレーザ発振を起こさせることができる。
なお、p型クラッド層に含まれるAlInGa1−x−yNと、p型クラッド層に含まれるAlInGa1−x−yNとは同じ組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。むろん、p型クラッド層にはp型不純物が添加され、n型クラッド層にはn型不純物が添加されている。
請求項2記載の発明は、前記AlInGa1−x−yNは、0<x<0.86、および0<y<0.318を同時に満たす組成を有している、請求項1記載の半導体レーザ素子である。この組成範囲では、GaN層に対するc軸方向またはc軸に垂直な方向のいずれかの方向に関する格子不整合率を0.5%未満に抑えることができる。したがって、GaN層を下地層としてIII族窒化物半導体を結晶成長させて半導体レーザダイオード構造を形成するときに、格子整合系の構造を形成できる。これにより、格子不整合に起因する応力によるクラックがクラッド層に生じることを抑制または防止できる。
請求項3記載の発明は、前記p型クラッド層およびn型クラッド層の少なくとも各一部を構成するAlInGa1−x−yNは、GaNに対するc軸方向の格子不整合率が0.5%未満である、請求項1または2記載の半導体レーザ素子である。この構成により、GaNとのc軸方向の格子不整合率が0.5%未満に抑えられる。そのため、c面に沿うクラックの発生を抑制できる。具体的には、請求項4に記載されているように、y>0.392x−0.0497を満たす組成とすることで、GaNとのc軸方向の格子不整合率を0.5%未満とすることができる。
請求項5記載の発明は、前記p型クラッド層およびn型クラッド層の各一部を構成するAlInGa1−x−yNは、GaNに対するc軸直交方向の格子不整合率が0.5%未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子である。この構成により、GaNとのc軸垂直方向(c軸に垂直な方向。a軸方向、m軸方向その他c面に沿う方向)の格子不整合率が0.5%未満に抑えられる。そのため、c軸に沿って欠陥が生じることを抑制できる。具体的には、請求項6に記載されているように、y<0.216x+0.0455とすることで、GaNとのc軸垂直方向の格子不整合率を0.5%未満とすることができる。欠陥を抑制できることによって、発光効率を高めることができる。
請求項7記載の発明は、前記AlInGa1−x−yNは、x>0.05を満たす組成を有している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子である。この構成により、450nm以上の波長域において、GaNよりも低い屈折率のクラッド層を形成できる。これにより、クラックの発生を抑制しつつ、良好な光閉じ込め構造を形成できるから、優れた発振効率を実現できる。
請求項8記載の発明は、前記p型クラッド層およびn型クラッド層の少なくとも一方は、AlInGa1−x−yN(0<x<1,0<y<1,0<x+y<1)からなる層を含む超格子構造を有している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子である。この構成によれば、超格子構造によって応力の蓄積を低減できるから、クラックの発生をより一層抑制できる。
請求項9記載の発明は、前記p型クラッド層およびn型クラッド層の少なくとも一方は、GaNに対するc軸方向の格子不整合率が0.5%未満のAlInGa1−x−yNからなる第1層と、GaNに対するc軸直交方向の格子不整合率が0.5%未満のAlInGa1−x−yNからなる第2層とを交互に積層した超格子構造を有している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子である。この構成により、超格子構造によって応力の蓄積を低減でき、かつ、c軸方向およびc軸垂直方向の両方に対して、擬似的に格子整合したクラッド層を実現できる。これにより、より一層効果的にクラックの発生を抑制できる。なお、第1および第2層の組成は、互いに異なっている。すなわち、第1および第2層のAl組成xをそれぞれx1,x2と表すと、これらのAl組成x1,x2は互いに異なっている。また、第1および第2層のIn組成yをそれぞれy1,y2と表すと、これらのIn組成y1,y2は互いに異なっている。たとえば、y1>0.392・x1−0.0497であることが好ましい。また、y2<0.216・x2+0.0455であることが好ましい。
請求項10記載の発明は、前記発光層は、Inを含むIII族窒化物半導体からなる量子井戸層とAlを含むIII族窒化物半導体からなるバリア層とを交互に積層した量子井戸構造を有している、請求項1〜9のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子である。この構成により、Inを含む量子井戸層とAlを含むバリア層とで量子井戸構造を形成していることによって、450nm以上の波長域のレーザ発振に対して適切な構造の発光層とすることができる。
請求項11記載の発明は、前記p型ガイド層およびn型ガイド層の少なくとも一方は、Inを含むIII族窒化物半導体からなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子である。この構成により、450nm以上の波長域の光を良好に発光層に閉じ込めることができるので、良好な発振効率を実現できる。
前記発光層は、厚さ100Å以下の少なくとも1つの量子井戸層を含む量子井戸構造を有していることが好ましい。量子井戸層の厚さを100Å以下とすることによって、量子効果により、発光効率を高めることができる。
前記III族窒化物半導体の成長主面がm面であることが好ましい。m面を主面とするIII族窒化物半導体結晶の成長は安定しており、良好な結晶性を有している。このような良好な結晶性のIII族窒化物半導体で構成された半導体発光素子に格子整合系を形成するクラッド層を導入することによって、結晶欠陥の発生を抑制でき、優れた発光効率を実現できる。
また、半導体レーザダイオード構造は、c面に沿った劈開によって形成された鏡面からなる共振器端面を有することが好ましい。共振器方向をc軸方向にとることによって、TEモードに寄与する自然発光を効率的に利用してレーザ発振を起こさせることができ、大きな利得を得ることができる。しかも、III族窒化物半導体は、c面での劈開が可能であるため、劈開によって形成された鏡面からなる共振器端面を利用して、高効率なレーザ発振が可能である。そして、格子整合系を形成するクラッド層には、c軸垂直方向に沿うクラックが生じにくいので、共振器方向をc軸方向にとることで、優れた発振効率を実現できる。
この発明の第1の実施形態に係る半導体レーザダイオードの構成を説明するための斜視図である。 図1のII−II線に沿う縦断面図である。 図1のIII−III線に沿う横断面図である。 前記半導体レーザダイオードの発光層の構成を説明するための図解的な断面図である。 共振器端面に形成された絶縁膜(反射膜)の構成を説明するための図解図である。 III族窒化物半導体の結晶構造のユニットセルを表した図解図である。 m面GaN基板上にコヒーレントに成長させたInGaN層における面内歪みおよび面外歪みのInNモル分率依存性を示すグラフである。 m面GaN基板上にコヒーレントに成長させたAlGaN層における面内歪みおよび面外歪みのAlNモル分率依存性を示すグラフである。 AlInGaNの格子整合組成を示す図である。 格子整合組成のAlInGaNにおける歪み量を示す図である。 図10Aはa軸格子整合組成のAlInGaNにおける格子定数のAl組成依存性を示し、図10Bはc軸格子整合組成のAlInGaNにおける格子定数のAl組成依存性を示す。 図11Aはa軸格子整合系の組成としたAlInGaNの屈折率波長分散を示し、図11Bはc軸格子整合系の組成としたAlInGaNの屈折率波長分散を示す。 図12Aはa軸格子整合系のAlInGaNの屈折率波長分散を示し、図12Bはc軸格子整合系のAlInGaNの屈折率波長分散を示す。 AlInGaNのAl組成に対するバンドギャップエネルギーの変化を示す。 図14Aはa軸格子定数とバンドギャップエネルギーとの関係を示し、図14Bはc軸格子定数とバンドギャップエネルギーとの関係を示す。 c軸格子整合系の組成としたAlInGaNに関してInGaNガイド層との屈折率差を求めた結果を示す。 GaNに対する格子整合系を形成するAlInGa1−x−yNの組成範囲を説明するための図である。 図16Aの一部の領域の拡大図である。 III族窒化物半導体積層構造を構成する各層を成長させるための処理装置の構成を説明するための図解図である。 この発明の第2の実施形態に係る半導体レーザダイオードの構成を示す図解的な横断面図である。 この発明の第3の実施形態に係る半導体レーザダイオードの構成を示す図解的な横断面図である。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る半導体レーザダイオードの構成を説明するための斜視図であり、図2は、図1のII−II線に沿う縦断面図であり、図3は、図1のIII−III線に沿う横断面図である。
この半導体レーザダイオード70は、基板1と、基板1上に結晶成長によって形成されたIII族窒化物半導体積層構造2と、基板1の裏面(III族窒化物半導体積層構造2と反対側の表面)に接触するように形成されたn型電極3と、III族窒化物半導体積層構造2の表面に接触するように形成されたp型電極4とを備えたファブリペロー型のものである。
基板1は、この実施形態では、GaN単結晶基板で構成されている。この基板1は、非極性面の一つであるm面を主面としたものであり、この主面上における結晶成長によって、III族窒化物半導体積層構造2が形成されている。したがって、III族窒化物半導体積層構造2は、m面を結晶成長主面とするIII族窒化物半導体からなる。
III族窒化物半導体積層構造2を形成する各層は、基板1に対してコヒーレントに成長されている。コヒーレントな成長とは、下地層からの格子の連続性を保った状態での結晶成長をいう。下地層との格子不整合は、結晶成長される層の格子の歪みによって吸収され、下地層との界面での格子の連続性が保たれる。無歪み(strain-free)の状態でのInGaNのa軸格子定数はGaNのa軸格子定数よりも大きいので、InGaN層にはa軸方向への圧縮応力(圧縮歪み)が生じる。これに対して、無歪みの状態でのAlGaNのa軸格子定数はGaNのa軸格子定数よりも小さいので、AlGaN層にはa軸方向への引っ張り応力(引っ張り歪み)が生じる。
III族窒化物半導体積層構造2は、発光層10と、n型半導体層11と、p型半導体層12とを備えている。n型半導体層11は発光層10に対して基板1側に配置されており、p型半導体層12は発光層10に対してp型電極4側に配置されている。こうして、発光層10が、n型半導体層11およびp型半導体層12によって挟持されていて、ダブルヘテロ接合が形成されている。発光層10には、n型半導体層11から電子が注入され、p型半導体層12から正孔が注入される。これらが発光層10で再結合することにより、光が発生するようになっている。
n型半導体層11は、基板1側から順に、n型GaNコンタクト層13(たとえば2μm厚)、n型AlInGaNクラッド層14(1.5μm厚以下。たとえば1.0μm厚)およびn型InGaNガイド層15(たとえば0.1μm厚)を積層して構成されている。一方、p型半導体層12は、発光層10の上に、順に、p型AlGaN電子ブロック層16(たとえば20nm厚)、p型InGaNガイド層17(たとえば0.1μm厚)、p型AlInGaNクラッド層18(1.5μm厚以下。たとえば0.4μm厚)およびp型GaNコンタクト層19(たとえば0.3μm厚)を積層して構成されている。
n型GaNコンタクト層13およびp型GaNコンタクト層19は、低抵抗層である。p型GaNコンタクト層19は、p型電極4にオーミック接触している。n型GaNコンタクト層13は、GaNにたとえばn型ドーパントとしてのSiを高濃度にドープ(ドーピング濃度は、たとえば、3×1018cm−3)することによってn型半導体とされている。また、p型GaNコンタクト層19は、p型ドーパントとしてのMgを高濃度にドープ(ドーピング濃度は、たとえば、3×1019cm−3)することによってp型半導体層とされている。
n型AlInGaNクラッド層14およびp型AlInGaNクラッド層18は、発光層10からの光をそれらの間に閉じ込める光閉じ込め効果を生じるものである。n型AlInGaNクラッド層14は、AlInGaNにたとえばn型ドーパントとしてのSiをドープ(ドーピング濃度は、たとえば、1×1018cm−3)することによってn型半導体とされている。また、p型AlInGaNクラッド層18は、p型ドーパントとしてのMgをドープ(ドーピング濃度は、たとえば、1×1019cm−3)することによってp型半導体層とされている。n型AlInGaNクラッド層14は、n型InGaNガイド層15よりもバンドギャップが広く、p型AlInGaNクラッド層18は、p型InGaNガイド層17よりもバンドギャップが広い。これにより、良好な閉じ込めを行うことができ、低閾値および高効率の半導体レーザダイオードを実現できる。
n型InGaNガイド層15およびp型InGaNガイド層17は、発光層10にキャリア(電子および正孔)を閉じ込めるためのキャリア閉じ込め効果を生じる半導体層であり、かつ、クラッド層14,18とともに、発光層10への光閉じ込め構造を形成している。これにより、発光層10における電子および正孔の再結合の効率が高められるようになっている。n型InGaNガイド層15は、InGaNにたとえばn型ドーパントとしてのSiをドープ(ドーピング濃度は、たとえば、1×1018cm−3)することによりn型半導体とされており、p型InGaNガイド層17は、InGaNにたとえばp型ドーパントとしてのMgをドープする(ドーピング濃度は、たとえば、5×1018cm−3)ことによってp型半導体とされている。
p型AlGaN電子ブロック層16は、AlGaNにp型ドーパントとしてのたとえばMgをドープ(ドーピング濃度は、たとえば、5×1018cm−3)して形成されたp型半導体であり、発光層10からの電子の流出を防いで、電子および正孔の再結合効率を高めている。
発光層10は、たとえばInGaNを含むMQW(多重量子井戸:multiple-quantum well)構造を有しており、電子と正孔とが再結合することにより光が発生し、その発生した光を増幅させるための層である。
発光層10は、この実施形態では、図4に示すように、InGaN層からなる量子井戸層(たとえば3nm厚)221とAlGaN層からなる障壁層(バリア層:たとえば9nm厚)222とを交互に複数周期繰り返し積層して構成された多重量子井戸(MQW:Multiple-Quantum Well)構造を有している。この場合に、InGaNからなる量子井戸層221は、Inの組成比が5%以上とされることにより、バンドギャップが比較的小さくなり、AlGaNからなる障壁層222は、バンドギャップが比較的大きくなる。たとえば、量子井戸層221と障壁層222とは交互に2〜7周期繰り返し積層されており、これにより、多重量子井戸構造の発光層10が構成されている。発光波長は、量子井戸層221のバンドギャップに対応しており、バンドギャップの調整は、インジウム(In)の組成比を調整することによって行うことができる。インジウムの組成比を大きくするほど、バンドギャップが小さくなり、発光波長が大きくなる。この実施形態では、発光波長は、量子井戸層(InGaN層)におけるInの組成を調整することによって、450nm〜550nmとされている。前記多重量子井戸構造は、Inを含む量子井戸層221の数が3以下とされることが好ましい。
図1等に示すように、p型半導体層12は、その一部が除去されることによって、リッジストライプ20を形成している。より具体的には、p型コンタクト層19、p型AlGaNクラッド層18およびp型InGaNガイド層17の一部がエッチング除去され、横断面視ほぼ台形形状(メサ形)のリッジストライプ20が形成されている。このリッジストライプ20は、c軸方向に沿って形成されている。
III族窒化物半導体積層構造2は、リッジストライプ20の長手方向両端における劈開により形成された鏡面からなる一対の端面21,22(劈開面)を有している。この一対の端面21,22は、互いに平行であり、いずれもc軸に垂直(すなわち、c面)である。こうして、n型InGaNガイド層15、発光層10およびp型InGaNガイド層17によって、端面21,22を共振器端面とするファブリペロー共振器が形成されている。すなわち、発光層10で発生した光は、共振器端面21,22の間を往復しながら、誘導放出によって増幅される。そして、増幅された光の一部が、共振器端面21,22からレーザ光として素子外に取り出される。
n型電極3およびp型電極4は、たとえばAl金属からなり、それぞれp型コンタクト層19および基板1にオーミック接続されている。p型電極4がリッジストライプ20の頂面(ストライプ状の接触領域)のp型GaNコンタクト層19だけに接触するように、p型InGaNガイド層17およびp型AlGaNクラッド層18の露出面を覆う絶縁層6が設けられている。これにより、リッジストライプ20に電流を集中させることができるので、効率的なレーザ発振が可能になる。また、リッジストライプ20の表面は、p型電極4との接触部を除く領域が絶縁層6で覆われて保護されているので、横方向の光閉じ込めを緩やかにして制御を容易にすることができるとともに、側面からのリーク電流を防ぐことができる。絶縁層6は、屈折率が1よりも大きな絶縁材料、たとえば、SiOやZrOで構成することができる。
さらに、リッジストライプ20の頂面はm面となっていて、このm面にp型電極4が形成されている。そして、n型電極3が形成されている基板1の裏面もm面である。このように、p型電極4およびn型電極3のいずれもがm面に形成されているので、レーザの高出力化や高温動作に十分に耐えられる信頼性を実現できる。
共振器端面21,22は、それぞれ絶縁膜23,24(図1では図示を省略した。)によって被覆されている。共振器端面21は、+c軸側端面であり、共振器端面22は−c軸側端面である。すなわち、共振器端面21の結晶面は+c面であり、共振器端面22の結晶面は−c面である。−c面側の絶縁膜24は、アルカリに溶けるなど化学的に弱い−c面を保護する保護膜として機能することができ、半導体レーザダイオード70の信頼性の向上に寄与する。
図5に図解的に示すように、+c面である共振器端面21を被覆するように形成された絶縁膜23は、たとえばZrOの単膜からなる。これに対し、−c面である共振器端面22に形成された絶縁膜24は、たとえばSiO膜とZrO膜とを交互に複数回(図5の例では5回)繰り返し積層した多重反射膜で構成されている。絶縁膜23を構成するZrOの単膜は、その厚さがλ/2n(ただし、λは発光層10の発光波長。nはZrOの屈折率)とされている。一方、絶縁膜24を構成する多重反射膜は、膜厚λ/4n(ただしnはSiOの屈折率)のSiO膜と、膜厚λ/4nのZrO膜とを交互に積層した構造となっている。
このような構造により、+c軸側端面21における反射率は小さく、−c軸側端面22における反射率が大きくなっている。より具体的には、たとえば、+c軸側端面21の反射率は20%程度とされ、−c軸側端面22における反射率は99.5%程度(ほぼ100%)となる。したがって、+c軸側端面21から、より大きなレーザ出力が出射されることになる。すなわち、この半導体レーザダイオード70では、+c軸側端面21が、レーザ出射端面とされている。
このような構成によって、n型電極3およびp型電極4を電源に接続し、n型半導体層11およびp型半導体層12から電子および正孔を発光層10に注入することによって、この発光層10内で電子および正孔の再結合を生じさせ、波長450nm〜550nmの光を発生させることができる。この光は、共振器端面21,22の間をガイド層15,16に沿って往復しながら、誘導放出によって増幅される。そして、レーザ出射端面である共振器端面21から、より多くのレーザ出力が外部に取り出されることになる。
図6は、III族窒化物半導体の結晶構造のユニットセルを表した図解図である。III族窒化物半導体の結晶構造は、六方晶系で近似することができ、一つのIII族原子に対して4つの窒素原子が結合している。4つの窒素原子は、III族原子を中央に配置した正四面体の4つの頂点に位置している。これらの4つの窒素原子は、一つの窒素原子がIII族原子に対して+c軸方向に位置し、他の三つの窒素原子がIII族原子に対して−c軸側に位置している。このような構造のために、III族窒化物半導体では、分極方向がc軸に沿っている。
c軸は六角柱の軸方向に沿い、このc軸を法線とする面(六角柱の頂面)がc面(0001)である。c面に平行な2つの面でIII族窒化物半導体の結晶を劈開すると、+c軸側の面(+c面)はIII族原子が並んだ結晶面となり、−c軸側の面(−c面)は窒素原子が並んだ結晶面となる。そのため、c面は、+c軸側と−c軸側とで異なる性質を示すので、極性面(Polar Plane)と呼ばれる。
+c面と−c面とは異なる結晶面であるので、それに応じて、異なる物性を示す。具体的には、+c面は、アルカリに強いなどといった化学反応性に対する耐久性が高く、逆に、−c面は化学的に弱く、たとえば、アルカリに溶けてしまうことが分かっている。
一方、六角柱の側面がそれぞれm面(10-10)であり、隣り合わない一対の稜線を通る面がa面(11-20)である。これらは、c面に対して直角な結晶面であり、分極方向に対して直交しているため、極性のない平面、すなわち、非極性面(Nonpolar Plane)である。さらに、c面に対して傾斜している(平行でもなく直角でもない)結晶面は、分極方向に対して斜めに交差しているため、若干の極性のある平面、すなわち、半極性面(Semipolar Plane)である。半極性面の具体例は、(10-1-1)面、(10-1-3)面、(11-22)面などの面である。
非特許文献1に、c面に対する結晶面の偏角と当該結晶面の法線方向の分極との関係が示されている。この非特許文献1から、(11-24)面、(10-12)面なども分極の少ない結晶面であり、大きな偏光状態の光を取り出すために採用される可能性のある有力な結晶面であると言える。
たとえば、m面を主面とするGaN単結晶基板は、c面を主面としたGaN単結晶から切り出して作製することができる。切り出された基板のm面は、たとえば、化学的機械的研磨処理によって研磨され、(0001)方向および(11−20)方向の両方に関する方位誤差が、±1°以内(好ましくは±0.3°以内)とされる。こうして、m面を主面とし、かつ、転位や積層欠陥といった結晶欠陥のないGaN単結晶基板が得られる。このようなGaN単結晶基板の表面には、原子レベルの段差が生じているにすぎない。
このようにして得られるGaN単結晶基板上に、有機金属気相成長法によって、半導体レーザダイオード構造を構成するIII族窒化物半導体積層構造2が成長させられる。
m面を主面とするGaN単結晶基板1上にm面を成長主面とするIII族窒化物半導体積層構造2を成長させてa面に沿う断面を電子顕微鏡(STEM:走査透過電子顕微鏡)で観察すると、III族窒化物半導体積層構造2には、転位の存在を表す条線が見られない。そして、表面状態を光学顕微鏡で観察すると、c軸方向への平坦性(最後部と最低部との高さの差)は10Å以下であることが分かる。このことは、発光層10、とくに量子井戸層のc軸方向への平坦性が10Å以下であることを意味し、発光スペクトルの半値幅を低くすることができる。
このように、無転位でかつ積層界面が平坦なm面III族窒化物半導体を成長させることができる。ただし、GaN単結晶基板1の主面のオフ角は±1°以内(好ましくは±0.3°以内)とすることが好ましく、たとえば、オフ角を2°としたm面GaN単結晶基板上にGaN半導体層を成長させると、GaN結晶がテラス状に成長し、オフ角を±1°以内とした場合のような平坦な表面状態とすることができないおそれがある。
m面を主面としたGaN単結晶基板上に結晶成長させられるIII族窒化物半導体は、m面を成長主面として成長する。c面を主面として結晶成長した場合には、c軸方向の分極の影響で、発光層10での発光効率が悪くなるおそれがある。これに対して、m面を結晶成長主面とすれば、量子井戸層での分極が抑制され、発光効率が増加する。これにより、閾値の低下やスロープ効率の増加を実現できる。また、分極が少ないため、発光波長の電流依存性が抑制され、安定した発振波長を実現できる。
さらにまた、m面を主面とすることにより、c軸方向およびa軸方向に物性の異方性が生じる。加えて、Inを含む発光層10(活性層)には、格子歪みによる2軸性応力が生じている。その結果、c面を主面とした場合よりも価電子帯の状態密度が小さくなって反転分布が得られやすくなり利得が増強され、レーザ特性が向上する。
また、m面を結晶成長の主面とすることにより、III族窒化物半導体結晶の成長を極めて安定に行うことができ、c面やa面を結晶成長主面とする場合よりも、結晶性を向上することができる。これにより、高性能のレーザダイオードの作製が可能になる。
発光層10は、m面を結晶成長主面として成長させられたIII族窒化物半導体からなるので、ここから発生する光は、a軸方向、すなわちm面に平行な方向に偏光しており、TEモードの場合、その進行方向はc軸方向である。したがって、半導体レーザダイオード70は、結晶成長主面が偏光方向に平行であり、かつ、ストライプ方向、すなわち導波路の方向が光の進行方向と平行に設定されている。これにより、TEモードの発振を容易に生じさせることができ、レーザ発振を生じさせるための閾値電流を低減することができる。
また、この実施形態では、基板1としてGaN単結晶基板を用いているので、III族窒化物半導体積層構造2は、欠陥の少ない高い結晶品質を有することができる。その結果、高性能のレーザダイオードを実現できる。
さらにまた、実質的に転位のないGaN単結晶基板上にIII族窒化物半導体積層構造を成長させることにより、このIII族窒化物半導体積層構造2は基板1の再成長面(m面)からの積層欠陥や貫通転位が生じていない良好な結晶とすることができる。これにより、欠陥に起因する発光効率低下などの特性劣化を抑制することができる。
図7は、m面GaN基板上にコヒーレントに成長させたInGaN層における面内歪みおよび面外歪みのInNモル分率依存性を示すグラフである。負の歪み量(%)は圧縮歪みを表し、正の歪み量は引っ張り歪みを表す。この図7から、InNモル分率(InN molar fraction。すなわち、Inの組成)を増やすことによって、a軸方向圧縮歪みεxxおよびc軸方向圧縮歪みεzz、ならびにm軸方向引っ張り歪みεyyが増大することが分かる。a軸方向圧縮歪みεxxに着目すると、この歪みは、無歪みの状態におけるInGaNのa軸格子定数がGaNのa軸格子定数よりも大きいことに起因するものである。そして、In組成の増大に伴って、格子不整合が増大するために、それに応じてa軸方向圧縮歪みεxxが増大することになるものと理解される。
一方、図8は、m面GaN基板上にコヒーレントに成長させたAlGaN層における面内歪みおよび面外歪みのAlNモル分率依存性を示すグラフである。負の歪み量(%)は圧縮歪みを表し、正の歪み量は引っ張り歪みを表す。この図8から、AlNモル分率(AlN molar fraction。すなわち、Alの組成)を増やすことによって、a軸方向引っ張り歪みεxxおよびc軸方向引っ張り歪みεzz、ならびにm軸方向圧縮歪みεyyが増大することが分かる。a軸方向引っ張り歪みεxxに着目すると、この歪みは、無歪みの状態におけるAlGaNのa軸格子定数がGaNのa軸格子定数よりも小さい(したがって、InGaNのa軸格子定数よりも小さい)ことに起因するものである。そして、Al組成の増大に伴って、格子不整合が増大するために、それに応じてa軸方向引っ張り歪みεxxが増大することになるものと理解される。
この実施形態では、前述のとおり、発光層10が、InGaN層からなる量子井戸層221とAlGaN層からなる障壁層222とを交互に積層した多重量子井戸構造を形成している。III族窒化物半導体積層構造2を構成する各層は、m面GaN基板1に対してコヒーレントに成長されている。そのため、a軸方向に関して、InGaN層には圧縮歪みが生じ、AlGaN層には引っ張り歪みが生じることになる。しかし、発光層10では、これらが交互に積層されているため、InGaN層からなる量子井戸層221の圧縮応力が、AlGaN層からなる障壁層222によって緩和されている。すなわち、障壁層222は、量子井戸層221の圧縮応力を緩和する歪み補償層として機能している。これにより、圧縮応力に起因する結晶欠陥を抑制できるため、量子井戸層221は、欠陥の少ない優れた結晶性を有することができる。より具体的には、m面GaN基板上にInGaN層を形成した場合に見られるa軸方向に平行なストライプ状結晶欠陥の発生を抑制または解消できる。これにより、量子井戸層221において発光に寄与することができる領域が増大するから、発光効率が向上し、それに応じて発振閾値を低減することができる。
しかも、この実施形態では、前述のとおり、量子井戸層221の厚さが100Å以下とされているため、量子効果による発光効率の向上をも見込むことができる。量子井戸層221が量子効果を生じるほど薄く、しかも、結晶欠陥が少ない高品質の結晶状態であるため、優れた発光効率を実現できる。
一方、この実施形態では、クラッド層14,18は、AlInGaN層を少なくとも一部に含む構成となっている。クラッド層14,18をAlGaN層で構成すると、図8から理解されるとおり、c軸方向およびa軸方向に引っ張り歪みが生じる。ガイド層15,17との屈折率差を大きくして光閉じ込め効果を強化するためにAl組成を増やすと、引っ張り歪みはより大きくなり、クラッド層にクラックが生じるおそれがある。このクラックは、電流リークの原因となり、レーザ発振を阻害するおそれがある。
そこで、この実施形態では、クラッド層14,18が、AlInGaN層を含む構成となっている。より具体的には、AlInGa1−x−yN(0<x<1,0<y<1,0<x+y<1)で表される四元混晶のIII族窒化物半導体からなるAlInGaN層を有している。このAlInGaN層において、Al組成xとIn組成yとを適切に調整することによって、クラッド層14,18を下地層としてのGaN層とほぼ格子整合させることができ、クラックの発生しにくい半導体レーザダイオード構造を形成できる。
図9Aの線L1は、c軸格子整合系のAl組成xおよびIn組成yの関係を示す。この場合のc軸格子整合系とは、c軸方向の格子定数をGaNのc軸方向格子定数と一致させることができるAlInGa1−x−yN結晶系である。また、図9Aの線L2は、a軸格子整合系のAl組成およびIn組成yの関係を示す。a軸格子整合系とは、a軸方向の格子定数をGaNのa軸方向格子定数と一致させることができるAlInGa1−x−yN結晶系である。図9Aの上図は0≦x≦1の区間を示し、図9Aの下図は0≦x≦0.1の区間を示す。
図9Bには、c軸格子整合系(図9Aの線L1)に従ってAl組成xおよびIn組成yを変化させた場合のm軸方向歪みεyyの変化を線L3で示し、同じくa軸方向歪みεxxの変化を線L4で示す。c軸方向歪みεzz=0である。さらに、図9Bにおいて、a軸格子整合系(図9Aの線L2)に従ってAl組成xおよびIn組成yを変化させた場合のm軸方向歪みεyyの変化を線L5で示し、同じくc軸方向歪みεzzの変化を線L6で示す。a軸方向歪みεxx=0である。図9Bの上図は0≦x≦1の区間を示し、図9Bの下図は0≦x≦0.1の区間を示す。
c軸方向歪みεzzとa軸方向歪みεxxとを同時に零にすることはできないが、いずれか一方に完全に格子整合したAlInGa1−x−yNの作製は可能であることが分かる。また、格子整合に一定範囲内の誤差を許容すれば、c軸方向およびa軸方向の両方に関してほぼ格子整合した両軸格子整合系のAlInGa1−x−yNの作製も可能である。たとえば、格子不整合率が0.5%未満(すなわち、歪み量が0.5%未満)であれば、引っ張り応力に起因するクラックや欠陥の発生は十分に抑制できる。したがって、c軸方向およびa軸方向のいずれに関しても格子不整合率を0.5%未満に抑制できる組成のAlInGa1−x−yNを用いてクラッド層14,18を形成できれば、最も好ましい。
AlInGa1−x−yNのa軸方向歪み量εxx、m軸方向歪み量εyy、およびc軸方向歪み量εzzは、下記式(1)(2)(3)でそれぞれ与えられる。したがって、a軸方向歪み量εxx=0とするには、Al組成xとIn組成yとの間に下記式(4)の関係が成立すればよく、これが図9Aの線L2に対応している。また、c軸方向歪み量εzz=0とするためには、Al組成xおよびIn組成yの間に下記式(5)の関係が成立すればよく、これが図9Aの線L1に対応している。これらの式(4)または(5)の関係を有する対応する様々なx,yの組を式(1)(2)(3)に代入することにより、図9Bの線L3〜L6が得られる。
ただし、aGaNはGaNのa軸方向格子定数(lattice constant)、aAlNはAlNのa軸方向格子定数、aInNはInNのa軸方向格子定数、cGaNはGaNのc軸方向格子定数、cAlNはAlNのc軸方向格子定数、cInNはInNのc軸方向格子定数をそれぞれ表し、それらの具体的な数値は、下記表1のとおりである(非特許文献2〜4参照)。さらに、C11,GaN,C12,GaN,C13,GaN,C33,GaNはGaNの弾性定数(elastic stiffness constant)であり、C11,AlN,C12,AlN,C13,AlN,C33,AlNはAlNの弾性定数であり、C11,InN,C12,InN,C13,InN,C33,InNはInNの弾性定数である。これらの具体的な数値は、下記表2のとおりである(非特許文献5〜7参照)。
Figure 2011003661
Figure 2011003661
Figure 2011003661
前記式(1)をyについて解き、さらに、表1に従って格子定数aの値を代入すると、下記式(6)が得られる。この式(6)式から、c軸格子不整合率が0.5%(|εzz|=0.5%)、すなわち、εzz=+0.5%となるときのIn組成yは下記式(7)で与えられることが分かる。さらに、a軸格子不整合率が0.5%(|εxx|=0.5%)、すなわち、εxx=−0.5%となるときのIn組成yは下記式(8)で与えられることが分かる。
同様に、前記式(3)をyについて解き、さらに、表1に従って格子定数cの値を代入すると、下記式(9)が得られる。この式(9)式から、c軸格子不整合率が0.5%(|εzz|=0.5%)、すなわち、εzz=+0.5%となるときのIn組成yは下記式(10)で与えられることが分かる。さらに、a軸格子不整合率が0.5%(|εxx|=0.5%)、すなわち、εxx=−0.5%となるときのIn組成yは下記式(11)で与えられることが分かる。
これらから、c軸格子不整合率が5%未満(|εzz|<0.5%、すなわち、εzz<+0.5%)となるIn組成yの範囲はy>0.392x−0.0497であることが分かる。また、a軸格子不整合率が5%未満(|εxx|<0.5%、すなわち、εxx>−0.5%)となるIn組成yの範囲はy<0.216x+0.0455であることが分かる。
Figure 2011003661
図10AはGaNに対してa軸格子整合したAlInGa1−x−yN(εxx=0:y=0.216x)のm軸格子定数m(左側目盛り)およびc軸格子定数c(右側目盛り)のAl組成xに対する依存を示している。線L21は格子緩和(relaxed)した状態でのm軸格子定数mを表し、線L22はGaN層にコヒーレントに成長したとき(strained)のm軸格子定数mを表している。さらに、線L23は格子緩和した状態でのc軸格子定数cを表し、線L24はGaN層にコヒーレントに成長したときのc軸格子定数cを表している。
また、図10BはGaNに対してc軸格子整合したAlInGa1−x−yN(εzz=0:y=0.392x)のm軸格子定数m(左側目盛り)およびa軸格子定数a(右側目盛り)のAl組成xに対する依存を示している。線L25は格子緩和した状態でのm軸格子定数mを表し、線L26はGaNにコヒーレントに成長したときのm軸格子定数mを表している。さらに、線L27は格子緩和した状態でのa軸格子定数aを表し、線L28はGaN層にコヒーレントに成長したときのa軸格子定数aを表している。
図10Aおよび図10Bから、Al組成の増加に従って格子不整合方向の格子定数が増加することから、結晶欠陥を抑制するためには、格子不整合方向の歪み量にも留意する必要があることが分かる。
図11Aおよび図11Bは、屈折率の波長分散を説明するための図である。屈折率の波長分散とは、波長(Wave length)に依存する屈折率(Refractive index)のばらつきである。図11Aはa軸格子整合系の組成としたAlInGa1−x−yN(y=0.216x)の屈折率波長分散を示し、図11Bはc軸格子整合系の組成としたAlInGa1−x−yN(y=0.392x)の屈折率波長分散を示している。
まず、図11Aおよび図11Bにおいて、InGaNの屈折率波長分散が曲線L31で示されている。また、GaNの屈折率波長分散が曲線L32で示されている。さらに、2種類の組成のAlGaNの屈折率波長分散がL33,L34で示されている。そして、図11Aには、a軸格子整合系(εxx=0)の2種類の組成のAlInGa1−x−yNの屈折率波長分散が曲線L35,L36で示されている。より具体的には、曲線L35はAl0.05In0.01Ga0.94Nの屈折率波長分散を示し、曲線L36はAl0.08In0.017Ga0.903Nの屈折率波長分散を示している。そして、図11Bには、c軸格子整合系(εzz=0)の2種類の組成のAlInGa1−x−yNの屈折率波長分散が曲線L37,L38で示されている。より具体的には、曲線L37はAl0.05In0.02Ga0.93Nの屈折率波長分散を示し、曲線L38はAl0.08In0.03Ga0.089Nの屈折率波長分散を示している。
ガイド層15,17を形成するInGaNは、屈折率の波長分散が比較的大きな材料であり、波長の変化に対して屈折率が大きく変化する。これに対して、AlGaNは屈折率の波長分散が比較的小さく、長波長側でもあまり屈折率が小さくならない。そのため、ガイド層にInGaNを適用し、クラッド層にAlGaNを適用しようとすると、長波長側での屈折率差が不足し、光閉じ込めが不良になるおそれがある。これを補うためにAl組成を大きくすると、GaN基板との格子不整合に起因するクラックの発生という、別の問題に直面することになる。
一方、図11Aにおける曲線L33,L34;L35,L36の比較、および図11Bにおける曲線L33,L34;L37,L38の比較から分かるように、AlInGaNは、屈折率の波長分散がAlGaNよりも大きい。そのため、長波長側においても、InGaNとの間に充分な屈折率差を確保することが可能である。したがって、a軸またはc軸格子整合系の組成を保ちつつ、ガイド層15,17との間に光閉じ込めのための充分な屈折率差を確保することができる。
なお、450nm以上の波長域において、クラッド層14,18の屈折率をGaNの屈折率よりも低くし、それらをクラッド層として機能させるためには、クラッド層14,18を形成するAlInGa1−x−yNは、x>0.05を満たす組成とすることが好ましい。
図12Aおよび図12Bは、同じく屈折率の波長分散を示す図であり、InGa1−xNにおけるIn組成x(Molar fraction x)に対する屈折率(Refractive index:右目盛り)の変化、およびAlInGa1−x−yNのAl組成x(Molar fraction x)に対する屈折率(Refractive index:左目盛り)の変化が数種類の波長に関して示されている。ただし、図12Aには、a軸格子整合系のAlInGa1−x−yN(y=0.216x)の屈折率を示し、図12Bには、c軸格子整合系のAlInGa1−x−yN(y=0.392x)の屈折率を示す。
460mmの波長帯におけるAl0.05Ga0.95N(屈折率n=2.396)とIn0.04Ga0.96N(屈折率n=2.487)との間の屈折率差Δnは0.091である。この波長帯において、In0.04Ga0.96Nに対して同等の屈折率差を確保できるAlInGa1−x−yNの組成は、c軸格子整合系では、Al0.08In0.032Ga0.888Nである(図11Bの曲線L38参照)。一方、500mmの波長帯では、In0.04Ga0.96Nの屈折率n=2.436、Al0.05Ga0.95Nの屈折率n=2.366となり、屈折率差Δn=0.07となって、充分な光閉じ込めを確保できない。これに対して、AlInGa1−x−yNを用いる場合、たとえば、Al0.10In0.04Ga0.86Nを用いると、460mmと同等の屈折率差を確保でき、良好な光閉じ込めを実現できる。
屈折率nとバンドギャップエネルギーEgとの間には、下記式(12)に示す関係がある(非特許文献8)。
AlGaNについては、下記式(13)(14)(15)を下記式(12)に当てはめることによって、Al組成xに対応する屈折率nが求まる。
同様に、InGaNについては、下記式(16)(17)(18)を下記式(12)に当てはめることによって、In組成xに対応する屈折率nが求まる。
さらに、AlInGa1−x−yNについては、下記式(19)(20)(21)を下記式(12)に当てはめることによって、Al組成xおよびIn組成yに対応する屈折率nが求まる。
Figure 2011003661
図13は、AlInGa1−x−yNのAl組成x(AlN molar fraction x)に対するバンドギャップエネルギー(Bandgap energy)Egの変化を示しており、曲線L41はa軸格子整合系の組成の場合、曲線L42はc軸格子整合系の組成の場合の例を示している。曲線L40は、AlGa1−xNにおけるAl組成xに対するバンドギャップエネルギーの変化を示す。いずれの場合も、Al組成xの増加に伴ってバンドギャップエネルギーEgが増加することが分かる。これらの曲線は、上記の式(13)〜(21)から得られる。
図14Aはa軸格子定数(Lattice constanta)とバンドギャップエネルギー(Bandgap energy)との関係を示しており、図14Bはc軸格子定数(Lattice constantc)とバンドギャップエネルギー(Bandgap energy)との関係を示している。AlInGa1−x−yNのa軸格子定数a=aAlNx+aInNy+aGaN(1−x−y)であり(前記式(1)参照)、y軸格子定数c=cAlNx+cInNy+cGaN(1−x−y)である(前記式(3)参照)。この関係と、前記式(13)〜(21)とから、AlInGa1−x−yNのa軸格子定数aおよびc軸格子定数cとバンドギャップエネルギーとの関係を導き出すことができる。こうして図14Aおよび図14Bに示された線L51,L52が得られる。
a軸格子整合系の組成のAlInGa1−x−yN(y=0.216x)におけるa軸格子定数aとバンドギャップとの関係は、図14Aの線L51のとおりであり、a軸格子定数aは一定となる。c軸格子整合系の組成のAlInGa1−x−yN(y=0.392x)におけるc軸格子定数cとバンドギャップとの関係は、図14Bの線L52のとおりであり、c軸格子定数cは一定となる。
a軸格子整合系の組成のAlInGa1−x−yNにおけるc軸格子定数cとバンドギャップとの関係は、図14Bの線L53のとおりであり、c軸格子定数cが小さいほどバンドギャップエネルギーは大きくなる。c軸格子整合系の組成のAlInGa1−x−yNにおけるa軸格子定数aとバンドギャップとの関係は、図14Aの線L54のとおりであり、a軸格子定数aが大きいほどバンドギャップエネルギーは大きくなる。
図14Aにおいて、曲線L51および曲線L51は、a軸方向歪み量が+0.5%および−0.5%となる組成のAlInGa1−x−yNにおけるa軸格子定数aとバンドギャップエネルギーとの関係をそれぞれ示す。また、曲線L54および曲線L54は、c軸方向歪み量が+0.5%および−0.5%となる組成のAlInGa1−x−yNにおけるa軸格子定数aとバンドギャップエネルギーとの関係をそれぞれ示す。さらに、図14Bにおいて、曲線L53および曲線L53は、a軸方向歪み量が+0.5%および−0.5%となる組成のAlInGa1−x−yNにおけるc軸格子定数cとバンドギャップエネルギーとの関係をそれぞれ示す。また、曲線L52および曲線L52は、c軸方向歪み量が+0.5%および−0.5%となる組成のAlInGa1−x−yNにおけるc軸格子定数cとバンドギャップエネルギーとの関係をそれぞれ示す。
同様に、図13において、曲線L41および曲線L41は、a軸方向歪み量が+0.5%および−0.5%となるAlInGa1−x−yNにおけるAl組成xとバンドギャップエネルギーとの関係をそれぞれ示す。また、曲線L42および曲線L42は、c軸方向歪み量が+0.5%および−0.5%となるAlInGa1−x−yNにおけるAl組成xとバンドギャップエネルギーとの関係をそれぞれ示す。
これらから、a軸方向およびc軸方向歪み量が±0.5%となる範囲内で、InGaNガイド層15,17との間に光閉じ込めのための屈折率差を確保できる組成を見いだせば、a軸およびc軸の両方に格子整合した両軸格子整合系のAlInGa1−x−yNが得られる。
前述のとおり、c軸格子不整合率が5%未満(|εzz|<0.5%)、すなわち、εzz<+0.5%となるIn組成yの範囲はy>0.392x−0.0497である。また、a軸格子不整合率が5%未満(|εxx|<0.5%)、すなわち、εxx>−0.5%となるIn組成yの範囲はy<0.216x+0.0455である。また、前述のとおり、εzz=0(c軸格子整合)の条件は、y=0.392xであり、εxx=0(a軸格子整合)の条件はy=0.216xである。
図15は、c軸格子整合系の組成としたAlInGa1−x−yN(y=0.392x)に関して、In0.04Ga0.96Nガイド層との屈折率差Δnを求めた結果を示す。この図15には、AlGa1−xNに関して同様の屈折率差Δnを求めた結果も併せて示されている。複数の曲線は、波長460nm、480nm、500nmおよび520nmに対する計算結果を示す。AlInGa1−x−yNの屈折率はIn組成の増加に従って減少するため、460nm帯以上の波長領域で動作するレーザダイオードのクラッド層には、少なくとも0.05以上のAl組成を有するAlInGa1−x−yNを用いる必要がある。
たとえば、460nm帯でのIn0.04Ga0.96N−Al0.05Ga0.95N(εzz=0.197%)と同程度の屈折率差Δnを500mmにおいて達成するc軸格子整合系のAlInGa1−x−yNの組成は、Al0.090In0.036Ga0.874Nである。
以上のように、この実施形態によれば、n型クラッド層14およびp型クラッド層18をAlInGaNで形成している。そのため、その組成を調整することによって、GaNに対してa軸およびc軸の一方または両方に格子整合し、かつ、ガイド層15,17に対して、光閉じ込めのための屈折率差を確保したクラッド層14,18を形成することができる。
より具体的には、図16Aおよびその部分拡大図である図16Bに示すように、AlInGa1−x−yNにおいて、0<x<0.86と、0<y<0.318とを同時に満たす組成範囲を選択することで、GaNに対して、c軸方向およびc軸垂直方向のうちの一方または両方に対して、0.5%未満の格子不整合率の格子整合系を形成できる。
さらに具体的には、前記式(7)(y=0.216x−0.0450)、x<0<1、0<y<1およびx+y<1を同時に満たすx,yの範囲は、0.209<x≦0.860、0<y≦0.140である。また、前記式(8)(y=0.216x+0.0455)、x<0<1、0<y<1およびx+y<1を同時に満たすx,yの範囲は、0<x≦0.785、0.045<y≦0.215である。同様に、前記式(10)(y=0.392x−0.0497)、x<0<1、0<y<1およびx+y<1を同時に満たすx,yの範囲は、0.127<x≦0.754、0<y≦0.246である。さらに、前記式(11)(y=0.392x+0.0502)、x<0<1、0<y<1およびx+y<1を同時に満たすx,yの範囲は、0<x≦0.682、0.050<y≦0.318である。これらから、c軸方向およびc軸垂直方向のうちの少なくとも一方に対して0.5%未満の格子不整合率の格子整合系を形成するためにAl組成xがとり得る範囲は、0<x<0.86であることが分かる。また、c軸方向およびc軸垂直方向のうちの少なくとも一方に対して0.5%未満の格子不整合率の格子整合系を形成するためにIn組成yがとり得る範囲は、0<y<0.318であることが分かる。
さらには、y>0.392x−0.0497を満たす組成範囲とすることで、c軸方向の格子不整合率を0.5%未満とすることができる。また、y<0.216x+0.0455を満たす組成範囲とすることで、c軸垂直方向の格子不整合率を0.5%未満とすることができる。とくに、図16Bに詳細に示されているように、直線y=0.392x−0.0497(εzz=0.5%)および直線y=0.216x+0.0455(εxx=−0.5%)によって囲まれた領域内の組成を選択することにより、c軸およびc軸垂直方向の両方に関して格子不整合率を0.5%未満とすることができる。
さらに、x>0.05を満たす組成範囲とすることで、光閉じ込めのために必要な、ガイド層との屈折率差を得ることができる。
このような構成によって、クラッド層14,18のクラックを抑制でき、かつ、良好な光閉じ込めを行うことができる。これによって、高効率での発振が可能なレーザ素子を提供できる。
図17は、III族窒化物半導体積層構造2を構成する各層を成長させるための処理装置の構成を説明するための図解図である。処理室30内に、ヒータ31を内蔵したサセプタ32が配置されている。サセプタ32は、回転軸33に結合されており、この回転軸33は、処理室30外に配置された回転駆動機構34によって回転されるようになっている。これにより、サセプタ32に処理対象のウエハ35を保持させることにより、処理室30内でウエハ35を所定温度に昇温することができ、かつ、回転させることができる。ウエハ35は、前述のGaN単結晶基板1を構成するGaN単結晶ウエハである。
処理室30には、排気配管36が接続されている。排気配管36はロータリポンプ等の排気設備に接続されている。これにより、処理室30内の圧力は、1/10気圧〜常圧とされ、処理室30内の雰囲気は常時排気されている。
一方、処理室30には、サセプタ32に保持されたウエハ35の表面に向けて原料ガスを供給するための原料ガス供給路40が導入されている。この原料ガス供給路40には、窒素原料ガスとしてのアンモニアを供給する窒素原料配管41と、ガリウム原料ガスとしてのトリメチルガリウム(TMG)を供給するガリウム原料配管42と、アルミニウム原料ガスとしてのトリメチルアルミニウム(TMAl)を供給するアルミニウム原料配管43と、インジウム原料ガスとしてのトリメチルインジウム(TMIn)を供給するインジウム原料配管44と、マグネシウム原料ガスとしてのエチルシクロペンタジエニルマグネシウム(EtCpMg)を供給するマグネシウム原料配管45と、シリコンの原料ガスとしてのシラン(SiH)を供給するシリコン原料配管46とが接続されている。これらの原料配管41〜46には、それぞれバルブ51〜56が介装されている。各原料ガスは、いずれも水素もしくは窒素またはこれらの両方からなるキャリヤガスとともに供給されるようになっている。
たとえば、m面を主面とするGaN単結晶ウエハをウエハ35としてサセプタ32に保持させる。この状態で、バルブ52〜56は閉じておき、窒素原料バルブ51を開いて、処理室30内に、キャリヤガスおよびアンモニアガス(窒素原料ガス)が供給される。さらに、ヒータ31への通電が行われ、ウエハ温度が1000℃〜1100℃(たとえば、1050℃)まで昇温される。これにより、表面の荒れを生じさせることなくGaN半導体を成長させることができるようになる。
ウエハ温度が1000℃〜1100℃に達するまで待機した後、窒素原料バルブ51、ガリウム原料バルブ52およびシリコン原料バルブ56が開かれる。これにより、原料ガス供給路40から、キャリヤガスとともに、アンモニア、トリメチルガリウムおよびシランが供給される。その結果、ウエハ35の表面に、シリコンがドープされたGaN層からなるn型GaNコンタクト層13が成長する。
次に、窒素原料バルブ51、ガリウム原料バルブ52およびシリコン原料バルブ56に加えて、アルミニウム原料バルブ53およびインジウム原料バルブ54が開かれる。これにより、原料ガス供給路40から、キャリヤガスとともに、アンモニア、トリメチルガリウム、シラン、トリメチルアルミニウムおよびトリメチルインジウムが供給される。その結果、n型GaNコンタクト層13上に、n型AlInGaNクラッド層14がエピタキシャル成長させられる。このときAlInGaNクラッド層14の組成が前述の格子整合系の組成となるように、各原料ガスの流量比が調整される。このAlInGaNクラッド層14の形成時には、ウエハ35の温度は、800℃〜900℃(たとえば850℃)とされることが好ましい。
次いで、アルミニウム原料バルブ53を閉じ、窒素原料バルブ51、ガリウム原料バルブ52、インジウム原料バルブ54、およびシリコン原料バルブ56を開く。これにより、原料ガス供給路40から、キャリヤガスとともに、アンモニア、トリメチルガリウム、トリメチルインジウムおよびシランが供給される。その結果、n型AlInGaNクラッド層14上にn型InGaNガイド層15がエピタキシャル成長させられる。このn型InGaNガイド層15の形成時には、ウエハ35の温度は、800℃〜900℃(たとえば850℃)とされることが好ましい。
次に、シリコン原料バルブ56が閉じられ、多重量子井戸構造の発光層10(活性層)の成長が行われる。発光層10の成長は、窒素原料バルブ51、ガリウム原料バルブ52およびインジウム原料バルブ54を開いてアンモニア、トリメチルガリウムおよびトリメチルインジウムをウエハ35へと供給することによりInGaN層からなる量子井戸層221を成長させる工程と、インジウム原料バルブ54を閉じ、窒素原料バルブ51、ガリウム原料バルブ52およびアルミニウム原料バルブ53を開いてアンモニア、トリメチルガリウムおよびトリメチルアルミニウムをウエハ35へと供給することにより、AlGaN層からなる障壁層222を成長させる工程とを交互に実行することによって行える。具体的には、障壁層222を始めに形成し、その上に量子井戸層221を形成する。これを、たとえば、2回に渡って繰り返し行い、最後に障壁層222を形成する。発光層10の形成時には、ウエハ35の温度は、たとえば、700℃〜800℃(たとえば730℃)とされることが好ましい。このとき、成長圧力は700torr以上とすることが好ましく、これにより、耐熱性を向上することができる。
次いで、p型AlGaN電子ブロック層16が形成される。すなわち、窒素原料バルブ51、ガリウム原料バルブ52、アルミニウム原料バルブ53およびマグネシウム原料バルブ55が開かれ、他のバルブ54,56が閉じられる。これにより、ウエハ35に向けて、アンモニア、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウムおよびエチルシクロペンタジエニルマグネシウムが供給され、マグネシウムがドープされたAlGaN層からなるp型AlGaN電子ブロック層16が形成されることになる。このp型AlGaN電子ブロック層16の形成時には、ウエハ35の温度は、900℃〜1100℃(たとえば1000℃)とされることが好ましい。
次に、アルミニウム原料バルブ53が閉じられ、窒素原料バルブ51、ガリウム原料バルブ52、インジウム原料バルブ54およびマグネシウム原料バルブ55が開かれる。これにより、ウエハ35に向けて、アンモニア、トリメチルガリウム、トリメチルインジウムおよびエチルシクロペンタジエニルマグネシウムが供給され、マグネシウムがドープされたp型InGaN層からなるガイド層17が形成されることになる。このp型InGaNガイド層17の形成時には、ウエハ35の温度は、800℃〜900℃(たとえば850℃)とされることが好ましい。
次いで、p型AlInGaNクラッド層18が形成される。すなわち、窒素原料バルブ51、ガリウム原料バルブ52、アルミニウム原料バルブ53、インジウム原料バルブ54およびマグネシウム原料バルブ55が開かれ、シリコン原料バルブ56が閉じられる。これにより、ウエハ35に向けて、アンモニア、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、トリメチルインジウムおよびエチルシクロペンタジエニルマグネシウムが供給され、マグネシウムがドープされてp型とされたAlInGaN層からなるクラッド層18が形成されることになる。このp型AlInGaNクラッド層18の形成時には、ウエハ35の温度は、800℃〜900℃(たとえば850℃)とされることが好ましい。また、p型AlInGaNクラッド層18の組成が前述の格子整合系の組成となるように、各原料ガスの流量が調節されることが好ましい。
次に、p型コンタクト層19が形成される。すなわち、窒素原料バルブ51、ガリウム原料バルブ52およびマグネシウム原料バルブ55が開かれ、他のバルブ53,54,56が閉じられる。これにより、ウエハ35に向けて、アンモニア、トリメチルガリウムおよびエチルシクロペンタジエニルマグネシウムが供給され、マグネシウムがドープされたGaN層からなるp型GaNコンタクト層19が形成されることになる。p型GaNコンタクト層19の形成時には、ウエハ35の温度は、900℃〜1100℃(たとえば1000℃)とされることが好ましい。
p型半導体層12を構成する各層は、1000℃以下の平均成長温度で結晶成長させられることが好ましい。これにより、発光層10への熱ダメージを低減できる。
ウエハ35(GaN単結晶基板1)上にIII族窒化物半導体積層構造2の構成層10,13〜19を成長するのに際しては、いずれの層の成長の際も、処理室30内のウエハ35に供給されるガリウム原料(トリメチルガリウム)のモル分率に対する窒素原料(アンモニア)のモル分率の比であるV/III比は、1000以上(好ましくは3000以上)の高い値に維持される。より具体的には、n型クラッド層14から最上層のp型コンタクト層19までにおいて、V/III比の平均値が1000以上であることが好ましい。これにより、n型クラッド層14、発光層10およびp型クラッド層18の全ての層において、点欠陥の少ない良好な結晶を得ることができる。
この実施形態では、上記のような高いV/III比を用い、かつ、GaN単結晶基板1とIII族窒化物半導体積層構造2との間にバッファ層を介在することなく、m面等を主面とするIII族窒化物半導体積層構造2が、無転位の状態で、かつ、平坦に成長する。このIII族窒化物半導体積層構造2は、GaN単結晶基板1の主面から生じる積層欠陥や貫通転位を有していない。
こうして、ウエハ35上にIII族窒化物半導体積層構造2が成長させられると、このウエハ35は、エッチング装置に移され、たとえばプラズマエッチング等のドライエッチングによって、p型半導体層12の一部を除去してリッジストライプ20が形成される。このリッジストライプ20は、c軸方向に平行になるように形成される。
リッジストライプ20の形成後には、絶縁層6が形成される。絶縁層6の形成は、たとえば、リフトオフ工程を用いて行われる。すなわち、ストライプ状のマスクを形成した後、p型AlInGaNクラッド層18およびp型GaNコンタクト層19の全体を覆うように絶縁体薄膜を形成した後、この絶縁体薄膜をリフトオフしてp型GaNコンタクト層19を露出させるようにして、絶縁層6を形成できる。
次いで、p型GaNコンタクト層19にオーミック接触するp型電極4が形成され、n型GaNコンタクト層13にオーミック接触するn型電極3が形成される。これらの電極3,4の形成は、たとえば、抵抗加熱または電子線ビームによる金属蒸着装置によって行うことができる。
次の工程は、個別素子への分割である。すなわち、ウエハ35をリッジストライプ20に平行な方向およびこれに垂直な方向に劈開して、半導体レーザダイオードを構成する個々の素子が切り出される。リッジストライプに平行な方向に関する劈開はa面に沿って行われる。また、リッジストライプ20に垂直な方向に関する劈開はc面に沿って行われる。こうして、+c面からなる共振器端面21と、−c面からなる共振器端面22とが形成される。
次に、共振器端面21,22に、それぞれ前述の絶縁膜23,24が形成される。この絶縁膜23,24の形成は、たとえば、電子サイクロトロン共鳴(ECR)成膜法によって行うことができる。
図18は、この発明の他の実施形態に係る半導体レーザダイオードの構成を説明するための図解的な横断面図である。この図18において、前述の図3に示された各部の対応部分には同一参照符号を付して示す。この実施形態では、p型クラッド層14およびn型クラッド層18が、いずれも超格子構造を有している。n型クラッド層14は、格子整合系のn型AlInGaN層141と、n型GaN層142とを交互に複数周期積層して形成されている。同様に、p型クラッド層18は、格子整合系のp型AlInGaN層181と、p型GaN層182とを交互に複数周期積層して形成されている。格子整合系のAlInGaN層141,181は、c軸およびa軸の両方に対して、格子不整合率が0.5%未満となる組成を有している。たとえば、AlInGaN層141,181の膜厚は、2.5nm程度とされる。また、GaN層142,182の膜厚は、2.5nm程度とされる。交互に積層する周期数は、n型クラッド層14は200周期程度、p型クラッド層18は80周期程度が好ましい。
この構成によれば、超格子構造によって応力の蓄積を低減できる。これにより、格子整合系のAlInGaN層141と超格子構造との相乗効果によって、クラックの発生をより効果的に低減することができる。また、a軸方向に関しても格子整合しているので、欠陥の発生を抑制できるから、高い発光効率を実現できる。
図19は、この発明のさらに他の実施形態に係る半導体レーザダイオードの構成を説明するための図解的な横断面図である。この図19において、前述の図3に示された各部の対応部分には同一参照符号を付して示す。この実施形態においても、p型クラッド層14およびn型クラッド層18が、いずれも超格子構造を有している。ただし、n型クラッド層14は、c軸格子整合系のn型AlInGaN層143と、a軸格子整合系のn型AlInGaN層144とを交互に複数周期積層して形成されている。同様に、p型クラッド層18は、c軸格子整合系のp型AlInGaN層183と、a軸格子整合系のp型AlInGaN層184とを交互に複数周期積層して形成されている。c軸格子整合系のAlInGaN層143,183は、c軸にしてGaNに対して完全に格子整合した組成のAlInGa1−x−yN(y=0.392x)からなる。ただし、c軸格子整合系のAlInGaN層143,183は、c軸方向に関して0.5%未満の範囲でGaNに対する格子不整合を有する組成のAlInGaN層としてもよい。また、a軸格子整合系のAlInGaN層144,184は、a軸に関してGaNに対して完全に格子整合した組成のAlInGa1−x−yN(y=0.216x)からなる。ただし、AlInGaN層144,184は、a軸方向に関して0.5%未満の範囲でGaNに対する格子不整合を有する組成のAlInGaN層としてもよい。たとえば、AlInGaN層143,183の膜厚は、2.5nm程度とされる。また、GaN層144,184の膜厚は、2.5nm程度とされる。交互に積層する周期数は、n型クラッド層14は200周期程度、p型クラッド層18は80周期程度が好ましい。
この構成によれば、超格子構造によって応力の蓄積を低減できる。そのうえ、c軸格子整合系のAlInGaN層143,183によってc軸方向の格子不整合を緩和できる。これにより、クラックの発生を抑制できる。また、a軸格子整合系のAlInGaN層144,184によって、a軸方向の格子不整合を緩和できる。これにより、欠陥の発生を抑制して、発光効率を高めることができる。
以上、この発明の3つの実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、リッジストライプ20をc軸に平行に形成した構造について説明したが、リッジストライプ20をa軸に平行とし、共振器端面をa面としてもよい。また、基板1の主面は、m面に限らず、他の非極性面であるa面としてもよいし、半極性面としてもよい。
さらにまた、III族窒化物半導体積層構造2を構成する各層の層厚や不純物濃度等は一例であり、適宜適切な値を選択して用いることができる。
また、III族窒化物半導体積層構造2を形成した後にレーザリフトオフなどで基板1を除去し、基板1のない半導体レーザダイオードとすることもできる。
また、図18および図19に示す実施形態では、p型クラッド層14およびn型クラッド層18の両方を超格子構造としているが、いずれか一方のみを超格子構造としてもよい。
また、前述の実施形態では、量子井戸層が複数個設けられた多重量子井戸構造の発光層を有する素子について説明したが、発光層の構造は、量子井戸層が1個の量子井戸構造としてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
1 基板(GaN単結晶基板)
2 III族窒化物半導体積層構造
3 n側電極
4 p側電極
6 絶縁層
10 発光層
221 量子井戸層
11 n型半導体層
12 p型半導体層
13 n型GaNコンタクト層
14 n型AlInGaNクラッド層
141 n型AlInGaN層(格子整合系)
142 n型GaN層
143 n型AlInGaN層(c軸格子整合)
144 n型AlInGaN層(a軸格子整合)
15 n型ガイド層
17 p型ガイド層
16 p型AlGaN電子ブロック層
18 p型AlInGaNクラッド層
181 p型AlInGaN層(格子整合系)
182 p型GaN層
183 p型AlInGaN層(c軸格子整合)
184 p型AlInGaN層(a軸格子整合)
19 p型GaNコンタクト層
20 リッジストライプ
21,22 端面
23,24 絶縁膜
30 処理室
31 ヒータ
32 サセプタ
33 回転軸
34 回転駆動機構
35 基板
36 排気配管
40 原料ガス導入路
41 窒素原料配管
42 ガリウム原料配管
43 アルミニウム原料配管
44 インジウム原料配管
45 マグネシウム原料配管
46 シリコン原料配管
51 窒素原料バルブ
52 ガリウム原料バルブ
53 アルミニウム原料バルブ
54 インジウム原料バルブ
55 マグネシウム原料バルブ
56 シリコン原料バルブ
70 半導体レーザダイオード

Claims (11)

  1. 非極性面または半極性面を成長主面とするIII族窒化物半導体からなる半導体レーザダイオード構造を有する半導体レーザ素子であって、
    前記半導体レーザダイオード構造が、
    少なくとも各一部がAlInGa1−x−yN(0<x<1,0<y<1,0<x+y<1)からなるp型クラッド層およびn型クラッド層と、
    前記p型クラッド層およびn型クラッド層に挟まれたp型ガイド層およびn型ガイド層と、
    前記p型ガイド層およびn型ガイド層に挟まれ、Inを含む発光層とを備えている、
    半導体レーザ素子。
  2. 前記AlInGa1−x−yNは、0<x<0.86および0<y<0.318を満たす組成を有している、請求項1記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記p型クラッド層およびn型クラッド層の少なくとも各一部を構成するAlInGa1−x−yNは、GaNに対するc軸方向の格子不整合率が0.5%未満である、請求項1または2記載の半導体レーザ素子。
  4. 前記AlInGa1−x−yNは、y>0.392x−0.0497を満たす組成を有している、請求項3記載の半導体レーザ素子。
  5. 前記p型クラッド層およびn型クラッド層の各一部を構成するAlInGa1−x−yNは、GaNに対するc軸直交方向の格子不整合率が0.5%未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
  6. 前記AlInGa1−x−yNは、y<0.216x+0.0455を満たす組成を有している、請求項5記載の半導体レーザ素子。
  7. 前記AlInGa1−x−yNは、x>0.05を満たす組成を有している、請求項1〜6の何れか一項に記載の半導体レーザ素子。
  8. 前記p型クラッド層およびn型クラッド層の少なくとも一方は、AlInGa1−x−yN(0<x<1,0<y<1,0<x+y<1)からなる層を含む超格子構造を有している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
  9. 前記p型クラッド層およびn型クラッド層の少なくとも一方は、GaNに対するc軸方向の格子不整合率が0.5%未満のAlInGa1−x−yNからなる第1層と、GaNに対するc軸直交方向の格子不整合率が0.5%未満のAlInGa1−x−yNからなる第2層とを交互に積層した超格子構造を有している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
  10. 前記発光層は、Inを含むIII族窒化物半導体からなる量子井戸層とAlを含むIII族窒化物半導体からなるバリア層とを交互に積層した量子井戸構造を有している、請求項1〜9のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
  11. 前記p型ガイド層およびn型ガイド層の少なくとも一方は、Inを含むIII族窒化物半導体からなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の半導体レーザ素子。
JP2009144463A 2009-06-17 2009-06-17 半導体レーザ素子 Pending JP2011003661A (ja)

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