JP2003101148A - 窒化物半導体素子の製造方法 - Google Patents

窒化物半導体素子の製造方法

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JP2003101148A
JP2003101148A JP2002262982A JP2002262982A JP2003101148A JP 2003101148 A JP2003101148 A JP 2003101148A JP 2002262982 A JP2002262982 A JP 2002262982A JP 2002262982 A JP2002262982 A JP 2002262982A JP 2003101148 A JP2003101148 A JP 2003101148A
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nitride semiconductor
semiconductor layer
semiconductor
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JP2002262982A
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Isao Kidoguchi
勲 木戸口
Akihiko Ishibashi
明彦 石橋
Masahiro Kume
雅博 粂
Satoshi Kamiyama
智 上山
Yuzaburo Ban
雄三郎 伴
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 活性領域や該活性領域の周辺部の結晶品質を
向上させることにより、動作特性に優れる窒化物半導体
素子を実現できるようにする。 【解決手段】 基板温度を1020℃にして、サファイ
アからなる基板11上に、n型Al0.1 Ga0.9 Nから
なるn型クラッド層14、n型GaNからなるn型光ガ
イド層15、及びn型光ガイド層15の構成原子の再蒸
発を抑制してn型光ガイド層15の表面平坦性を維持す
るn型Al0.2 Ga0.8 Nからなる平坦性維持層16と
を順次成長させる。次に、III 族原料ガスの供給を止
め、基板温度を780℃にまで降温すると共にキャリア
ガスを水素ガスから窒素ガスに切り替え、その後、V族
源にNH3 、III 族源にTMIとTMGとを選択的に導
入することにより多重量子井戸構造を持つ活性層17を
成長させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光情報処理分野等
への応用が期待される短波長発光素子、特に、GaN系
半導体レーザ素子等の半導体素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】III −V族化合物半導体のうち、V族元
素として窒素(N)を含む窒化物半導体は、バンドギャ
ップが比較的大きいため、短波長発光素子の材料として
有望視されている。なかでも、窒化ガリウム系化合物半
導体、例えば、GaN系半導体としてAlx Gay In
z N(但し、0≦x,y,z≦1、x+y+z=1とす
る。)からなる、いわゆる窒化物半導体の研究が盛んに
行なわれており、青色又は緑色発光ダイオード素子(L
ED)が実用化されている。また、光ディスク装置の大
容量化を図るために、発振波長に400nm帯を持つ半
導体レーザ素子が熱望されており、GaN系半導体を用
いた半導体レーザ素子が注目され、現在では実用レベル
に達しつつある。
【0003】以下、従来のGaN系半導体レーザ素子に
ついて図面を参照しながら説明する。
【0004】図7はレーザ発振が確認されている従来の
GaN系半導体レーザ素子の断面構成を示している。図
7に示すように、サファイアからなる基板101上に
は、有機金属気相成長(MOVPE)法を用いて順次形
成された、基板101と該基板101上に成長するGa
N系半導体との格子不整合を緩和するGaNからなるバ
ッファ層102、素子形成領域及びn側電極形成領域を
有するn型GaNからなるn型コンタクト層103、該
n型コンタクト層103における素子形成領域に形成さ
れたn型Al0.07Ga0.93Nからなる第1クラッド層1
04、n型GaNからなる第1光ガイド層105、Ga
1-x Inx N/Ga1-y Iny N(0<y<x<1)の
積層体からなる多重量子井戸活性層106、p型GaN
からなる第2光ガイド層107、p型Al0.07Ga0.93
Nからなる第2クラッド層108、p型GaNからなる
p型コンタクト層109が形成されている。
【0005】第2クラッド層108の上部には、幅が3
μm〜10μm程度のリッジストライプ部108aが形
成されており、p型コンタクト層109はこのリッジス
トライプ部108a上に形成されている。また、p型コ
ンタクト層109及び第2クラッド層108におけるリ
ッジストライプ部108aの側方の領域並びにエピタキ
シャル層の側面は絶縁膜110により覆われている。
【0006】p型コンタクト層109を含み絶縁膜11
0の上にはp型コンタクト層109と接するように、例
えばNi/Auの積層体からなるp側電極111が形成
され、n型コンタクト層103におけるn側電極形成領
域には、例えばTi/Alの積層体からなるn側電極1
12が形成されている。
【0007】このような構成を有する半導体レーザ素子
に対して、n側電極112を接地し且つp側電極111
に電圧を印加すると、多重量子井戸活性層106にp側
電極111側からホールが注入されると共にn側電極1
12側から電子が注入される。注入されたホール及び電
子が多重量子井戸活性層106において光学利得を生じ
ることにより、発振波長がおよそ400nmのレーザ発
振を起こす。但し、多重量子井戸活性層106を構成す
るGa1-xInxN/Ga1-yInyNからなる積層体の組
成又は膜厚によって発振波長は変化する。現在、本構成
の半導体レーザ素子は室温以上において連続発振が実現
されている。
【0008】ここで、MOVPE法を用いて、Inを含
むGaN系半導体、すなわちGaInNからなる半導体
を成長させる際には、結晶成長温度を800℃程度と
し、キャリアガスには窒素(N2 )ガスを用いることが
好ましいことが開示されている(アプライド・フィジク
ス・レターズ(Applied Physics Letters)、第59巻、
p.2251、1991年)。これに対し、Al0.07
0.93Nからなるクラッド層104,108又はGaN
からなる光ガイド層105,107等のInを含まない
半導体層の成長温度は1000℃以上と高く、キャリア
ガスも水素(H2)ガスを用いることが一般的である。
成長の一連のプロセスは、例えば、特開平6−1967
57号公報又は特開平6−177423号公報に詳し
い。
【0009】以下、そのプロセスの概要を説明する。
【0010】まず、反応室内に基板101を保持し、H
2 ガスを導入しながら基板温度を1050℃にまで昇温
して熱処理を行なう。次に、基板温度を510℃にまで
降温した後、反応ガスであるアンモニア(NH3 )とト
リメチルガリウム(TMG)とを基板101上に導入す
ることにより、GaNからなるバッファ層102を堆積
する。
【0011】次に、TMGの導入を停止すると共に基板
温度を1030℃にまで昇温し、H 2 ガスをキャリアガ
スとして、TMG、モノシラン(SiH4 )を導入する
ことにより、n型GaNからなるn型コンタクト層10
3と、その後、さらにAlを含むIII 族原料ガスとして
トリメチルアルミニウム(TMA)を追加して、n型A
0.07Ga0.93Nからなる第1クラッド層104とを順
次堆積する。
【0012】次に、各原料ガスの供給を停止すると共に
基板温度を800℃にまで降温する。続いて、キャリア
ガスをH2 ガスからN2 ガスに切り替え、III 族原料ガ
スとしてTMGとトリメチルインジウム(TMI)とを
導入することにより、Ga1- xInxN/Ga1-yIny
の積層体からなる多重量子井戸活性層106を形成す
る。
【0013】次に、III 族原料ガスの供給を停止し、再
び基板温度を1020℃にまで昇温すると共にキャリア
ガスを再度N2 ガスからH2 ガスに切り替えて、TM
G、TMA及びp型ドーパントとしてのシクロペンタジ
エニルマグネシウム(Cp2 Mg)等を導入することに
より、p型GaNからなる第2光ガイド層107、p型
Al0.07Ga0.93Nからなる第2クラッド層108、p
型GaNからなるp型コンタクト層109を順次堆積す
る。
【0014】なお、活性層形成後の昇温工程において、
多重量子井戸活性層106からのInの再蒸発を防止す
るために、GaNからなる保護層(特開平9−1863
63号公報)又はAl0.2 Ga0.8 Nからなる保護層
(例えば、ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライ
ド・フィジクス(Japanese Journal of Applied Physic
s )、第35巻、p.L74、1996年)を形成する
場合がある。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来のGaN系半導体レーザ素子は、多重量子井戸活性層
106を成長する前の下地層となるn型GaNからなる
n型コンタクト層103又はn型Al0.07Ga0.93Nか
らなる第1クラッド層104(但し、特開平6−196
757号公報や特開平6−177423号公報において
はAlの組成は0.1である。)の品質の劣化は、これ
らの上に成長する多重量子井戸活性層106の結晶品質
の低下を引き起こすため、発光ダイオード素子又は半導
体レーザ素子の発光効率の低下及びしきい値電流の増大
等を招くという問題がある。
【0016】本発明は、前記従来の問題に鑑み、活性領
域や該活性領域の周辺部の結晶品質を向上させることに
より、動作特性に優れる窒化物半導体素子を実現できる
ようにすることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】前記従来の目的を達成す
るため、第1の発明は、基板と活性層との間に形成され
る半導体層の結晶成長時における、該半導体層の構成原
子の蒸発を抑制して前記半導体層の表面平坦性を維持す
る窒化物半導体からなる平坦性維持層を設ける構成とす
る。特に、比較的高温で成長する第1の半導体層と該第
1の半導体層よりも低温で成長する第2の半導体層との
間に前記平坦性維持層を設ける構成とする。
【0018】また、第2の発明は、第1の半導体層を形
成する工程と第2の半導体層を形成する工程との間にお
いて、III 族原料ガスの切り替える場合であって、III
族原料ガスの導入を一時的に停止するか又はキャリアガ
スを変更する際に、基板の雰囲気を1気圧以上の窒素元
素を含むガス、例えばアンモニアガス等とする構成とす
る。
【0019】本願発明者らは、GaN系半導体素子にお
ける活性領域及びその周辺部の結晶性が低い理由を種々
検討した結果、以下に示すような結果を得ている。
【0020】すなわち、GaNを含む材料系を成長させ
る際の特徴として、Inを含む層、例えば図7に示す多
重量子井戸活性層106と、Inを含まない層、例えば
図7に示すクラッド層104やガイド層105等とは、
互いの原料ガスのキャリアガスが異なっていることがあ
る。Inを含む層の成長時にはキャリアガスに窒素ガス
を用い、Inを含まない層の場合には水素ガスを用いる
ことが一般的である。このように、半導体レーザ素子の
ように多層膜を積層することにより素子を形成するに
は、キャリアガスを層ごとに切り替える必要が生じる。
【0021】また、Inを含む多重量子井戸活性層10
6とInを含まないクラッド層104等では、Inを含
む層の成長温度をInの蒸気圧を抑えるためにInを含
まない層よりも下げる必要が生じる。
【0022】キャリアガスの切り替え時には、III 族原
料ガスの供給は停止しており、基板101には新たな結
晶が成長しない、いわば平衡状態におかれている。この
平衡状態において、基板温度が1000℃程度にもなる
高温状態又は1気圧以下の圧力状態の下においては、成
長した半導体層からの構成原子の脱離(再蒸発)が生じ
る。すなわち、原料ガスの切り替え時の平衡状態におい
て、半導体結晶の成長界面から構成原子が脱離すること
により、結晶品質が劣化する。
【0023】これに対して、本願発明者らは、原料ガス
の切り替え時の平衡状態において、GaN系半導体結晶
の成長界面から構成原子の脱離を防ぐ第1の解決手段で
ある、下地層の表面にAlを含む窒化物半導体からなる
平坦性維持層を設けると、下地層の上に成長する活性層
の結晶品質が劣化しないという知見を得ている。
【0024】さらに、原料ガスの切り替え時の平衡状態
において、半導体結晶の成長界面から構成原子の脱離を
防ぐ第2の解決手段として、下地層の雰囲気を加圧状態
の窒素元素を含むガス雰囲気とすると、下地層の上に成
長する活性層の結晶品質が劣化しないという知見を得て
いる。
【0025】以下、具体的な解決手段を列挙する。
【0026】本発明に係る第1の窒化物半導体素子の製
造方法は、第1の解決手段であって、基板上に第1の窒
化物半導体からなる半導体層を形成する工程と、半導体
層の上に、半導体層の構成原子の蒸発を抑制することに
より半導体層の表面平坦性を維持する第2の窒化物半導
体からなる平坦性維持層を形成する工程と、平坦性維持
層の上に第3の窒化物半導体からなる活性層を形成する
工程とを備えている。
【0027】第1の窒化物半導体素子の製造方法による
と、第3の窒化物半導体からなる活性層を形成する前
に、活性層の下地層である第1の窒化物半導体からなる
半導体層の上に該半導体層の構成原子の蒸発を抑制して
該半導体層の表面平坦性を維持する第2の窒化物半導体
からなる平坦性維持層を形成するため、この平坦性維持
層の上に活性層を形成すると該活性層の結晶性が高度に
維持される。
【0028】第1の窒化物半導体素子の製造方法におい
て、第2の窒化物半導体がアルミニウムを含み、第3の
窒化物半導体がガリウム及びインジウムを含むことが好
ましい。このようにすると、平坦性維持層を構成する第
2の窒化物半導体がアルミニウムを含むため、後述する
ように、窒化アルミニウム(AlN)は窒化ガリウム
(GaN)よりも蒸気圧が小さいので、平坦性維持層の
構成原子が蒸発しにくくなり、下地層である半導体層を
確実に保護できるようになる。また、活性層を構成する
第3の窒化物半導体がインジウム(In)を含むため、
エネルギーバンドギャップが狭くなるので、第3の窒化
物半導体に量子井戸構造を確実に形成できる。
【0029】本発明に係る第2の窒化物半導体素子の製
造方法は、第1の解決手段であって、基板上に第1の成
長温度で第1の窒化物半導体からなる第1の半導体層を
形成する工程と、第1の半導体層の上に、該第1の半導
体層の構成原子の蒸発を抑制することにより第1の半導
体層の表面平坦性を維持する第2の窒化物半導体からな
る平坦性維持層を形成する工程と、平坦性維持層の上に
第1の成長温度よりも低い第2の温度で第3の窒化物半
導体からなる第2の半導体層を形成する工程とを備えて
いる。
【0030】第2の窒化物半導体素子の製造方法による
と、第1の窒化物半導体からなる第1の半導体層の上
に、該第1の半導体層の構成原子の蒸発を抑制すること
により第1の半導体層の表面平坦性を維持する第2の窒
化物半導体からなる平坦性維持層を形成するため、第1
の温度から第2の温度に降温する間に、第1の半導体層
の表面からの該第1の半導体層の構成原子の蒸発を抑制
できる。
【0031】第1又は第2の窒化物半導体素子の製造方
法において、第2の窒化物半導体がAlx Ga1-x
(但し、xは0.1<x≦1とする。)からなることが
好ましい。
【0032】第1又は第2の窒化物半導体素子の製造方
法において、第2の窒化物半導体がAlx Ga1-x
(但し、xは0.2≦x≦1とする。)からなることが
好ましい。
【0033】第1又は第2の窒化物半導体素子の製造方
法において、平坦性維持層の膜厚が約0.5μm以下で
あることが好ましい。
【0034】本発明に係る第3の窒化物半導体素子の製
造方法は、第2の解決手段であって、基板上にIII 族原
料ガス及びV族原料ガスを導入することにより、基板上
に第1の窒化物半導体からなる第1の半導体層を形成す
る第1の半導体層形成工程と、III 族原料ガスの導入を
停止するIII 族原料ガス停止工程と、第1の半導体層の
上にIII 族原料ガス及びV族原料ガスを導入することに
より、第1の半導体層の上に第2の窒化物半導体からな
る第2の半導体層を形成する第2の半導体層形成工程と
を備え、III 族原料ガス停止工程は、第1の半導体層の
雰囲気を、窒素を含み且つ圧力が1気圧以上とする工程
を含む。
【0035】第3の窒化物半導体素子の製造方法による
と、第1の半導体層形成工程と第2の半導体層形成工程
とのIII 族原料ガスを切り替える際の、III 族原料ガス
の基板上への導入を停止するIII 族原料ガス停止工程に
おいて、第1の窒化物半導体からなる第1の半導体層の
表面の雰囲気を、窒素を含み且つ圧力が1気圧以上とす
るため、第1の半導体層の表面から該第1の半導体層の
構成原子、とりわけ窒素原子が蒸発することを抑制でき
る。
【0036】本発明に係る第4の窒化物半導体素子の製
造方法は、第2の解決手段であって、基板上にIII 族原
料ガス及びV族原料ガスを第1のキャリアガスと共に導
入することにより、基板上に第1の窒化物半導体からな
る第1の半導体層を形成する第1の半導体層形成工程
と、第1のキャリアガスを該第1のキャリアガスと組成
が異なる第2のキャリアガスに変更するキャリアガス変
更工程と、第1の半導体層の上にIII 族原料ガス及びV
族原料ガスを第2のキャリアガスと共に導入することに
より、第1の半導体層の上に第2の窒化物半導体からな
る第2の半導体層を形成する第2の半導体層形成工程と
を備え、キャリアガス変更工程は、第1の半導体層の雰
囲気を、窒素を含み且つ圧力が1気圧以上とする工程を
含む。
【0037】第4の窒化物半導体素子の製造方法による
と、第1の半導体層形成工程と第2の半導体層形成工程
との各原料ガスを搬送するキャリアガスを第1のキャリ
アガスから第2のキャリアガスに切り替える際のキャリ
アガス変更工程において、第1の窒化物半導体からなる
第1の半導体層の表面の雰囲気を、窒素を含み且つ圧力
が1気圧以上とするため、第1の半導体層の表面から該
第1の半導体層の構成原子、とりわけ窒素原子の蒸発を
抑制できる。
【0038】
【発明の実施の形態】(第1の実施形態)本発明の第1
の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0039】図1(a)〜(c)及び図2は本発明の第
1の実施形態に係る窒化物半導体素子である半導体レー
ザ素子の製造方法の工程順の断面構成を示している。
【0040】まず、図1(a)に示すように、MOVP
E法を用いて、反応室(図示せず)内に保持されたサフ
ァイアからなる基板11に対して温度が1000℃程度
の熱処理を行なった後、基板温度を500℃にまで降温
し、キャリアガスに主としてH2 ガスを用い、反応室内
の圧力を約300Torr(約0.4気圧)として、II
I 族源のTMGと窒素源のNH3 とを基板11上に導入
することにより、基板11を構成するサファイア結晶と
該サファイア結晶上に成長するGaN系半導体結晶との
格子不整合を緩和してGaN系半導体結晶への欠陥の発
生を抑制するGaNからなるバッファ層12を基板11
上に成長させる。
【0041】次に、基板温度を1020℃にまで昇温
し、n型ドーパントを含むSiH4 、III 族源のTMG
及び窒素源のNH3 を導入して、バッファ層12の上
に、まず、素子形成領域及びオーミック電極形成領域を
有するn型GaNからなるn型コンタクト層13を成長
させる。続いて、III 族源にTMAを追加することによ
り、後述する活性層にポテンシャル障壁を形成しn型キ
ャリアを閉じ込めるn型Al0.1 Ga0.9 Nからなるn
型クラッド層14を成長させ、次に、TMAの導入を停
止することにより、活性層において生成された発光光を
閉じ込めるn型GaNからなるn型光ガイド層15を成
長させる。続いて、再度TMAを導入して、n型光ガイ
ド層15の構成原子の再蒸発を抑制することによりn型
光ガイド層15の表面平坦性を維持する膜厚が20nm
のn型Al0.2 Ga0.8 Nからなる平坦性維持層16を
成長させる。
【0042】次に、図1(b)に示すように、III 族原
料ガスの供給を止め、基板温度を780℃にまで降温す
ると共にキャリアガスをH2 ガスからN2 ガスに切り替
える。その後、V族源にNH3 を用い、III 族源にTM
IとTMGとを選択的に導入することにより活性層17
を成長させる。ここで、図示はしていないが、活性層1
7は、TMG及びTMIが導入されて形成される膜厚が
2.5nmのGa0.8In0.2 Nからなる井戸層17a
と、TMGのみが導入されて形成される膜厚が6.0n
mのGaNからなるバリア層17bとの多重量子井戸構
造を有している。なお、キャリアガスは不活性ガスのア
ルゴン(Ar)等であってもよい。
【0043】次に、図1(c)に示すように、III 族原
料ガス及びキャリアガスの導入をいったん停止すると共
に基板温度11を1020℃にまで昇温する。続いて、
キャリアガスをN2 ガスからH2 ガスに切り替え、p型
ドーパントを含むCp2 Mg、III 族源のTMG及び窒
素源のNH3 を導入して、活性層17の上に、該活性層
17において生成された発光光を閉じ込めるp型GaN
からなるp型光ガイド層18を成長させ、続いて、III
族源にTMAを追加して、活性層17にポテンシャル障
壁を形成しp型キャリアを閉じ込めるp型Al0.1 Ga
0.9 Nからなるp型クラッド層19を成長させる。次
に、再度TMAの導入を停止して、電極とオーミック接
触するp型GaNからなるp型コンタクト層20を成長
させる。
【0044】次に、図2に示すように、素子形成領域を
含む基板11を反応室から取り出し、p型コンタクト層
20及びp型クラッド層19に対してエッチングを行な
って幅が5μm程度のリッジストライプ形状とする。続
いて、p型コンタクト層20及びp型クラッド層19の
側壁、及びp型光ガイド層18の上面におけるリッジス
トライプ形状のp型コンタクト層20及びp型クラッド
層19の側方の領域に二酸化シリコン(SiO2 )から
なる絶縁膜21を形成する。
【0045】次に、p型コンタクト層20の上面を含む
領域に、例えばNi/Auの積層体からなるp側電極2
2を蒸着法等を用いて形成する。また、素子形成領域を
マスクすると共にn型コンタクト層13におけるオーミ
ック電極形成領域を露出するようにエッチングを行なっ
た後、該オーミック電極形成領域に、例えばTi/Al
の積層体からなるn側電極23を蒸着法等を用いて形成
する。
【0046】このようにして形成された半導体レーザ素
子に対して、n側電極23を接地し且つp側電極22に
電圧を印加すると、活性層17にp側電極22側からホ
ールが注入されると共にn側電極23側から電子が注入
され、これら注入されたホールと電子とが活性層17に
おいて再結合して光学利得を生じることにより、発振波
長が405nmのレーザ発振を起こす。
【0047】図3(a)は本実施形態に係る半導体レー
ザ素子におけるバンドダイアグラムを示している。図3
(a)において、図2に示す構成部材と対応するエネル
ギー領域には同一の符号を付している。図3(a)に示
すように、本実施形態の特徴として、活性層17と該活
性層17の下地層となるn型光ガイド層15との間に、
通常よりも高いAl組成を有する、すなわちAl0.2
0.8 Nからなる平坦性維持層16を設けている。
【0048】一般に、Al組成が高い層を活性層17の
下側に設けると、Al原子はGa原子よりも原子半径が
小さいため、AlGaNの格子定数とGaNの格子定数
とのずれが大きくなり、また、熱膨張係数の差等から活
性層17にクラック等が生じてデバイス特性に悪影響を
及ぼすおそれがある。しかしながら、本実施形態におい
ては、平坦性維持層16の膜厚を20nmと比較的小さ
くすることにより、クラック等の発生を防止すると共に
活性層17の結晶品質を向上できることを見出した。な
お、平坦性維持層16の膜厚はおよそ0.5μm以下で
あれば、該平坦性維持層16にクラックが生じないこと
を確認している。
【0049】以下、GaInN/GaNの積層体からな
る活性層17の下側に、通常よりも高いAl組成を有す
る平坦性維持層16を設けると、活性層17の結晶品質
が向上する理由を定性的に説明する。
【0050】活性層17の下地層となるn型光ガイド層
15は、Inを含有する活性層17の成長工程が開始さ
れる直前に、キャリアガスがH2 ガスからN2 ガスに切
り替えられる。また、下地層の比較的高温の成長温度を
降温する必要があるため、活性層17の成長前のn型光
ガイド層15の表面には、III 族原料が供給されること
なく高温のガスにさらされる。このとき、n型光ガイド
層15のようにAlを含まないGaN結晶層又はAl組
成が極端に小さい結晶層、例えば、前述の特開平6−1
96757号公報に示されたAl0.1 Ga0.9 N結晶層
等であれば、表面からの構成原子の再蒸発によって結晶
性の悪化及び平坦性の悪化を生じることとなる。
【0051】図4はGaNとAlNとの平衡蒸気圧の温
度依存性(平衡蒸気圧曲線)を示したグラフである。図
4に示すグラフは窒素雰囲気の場合であり、例えば、温
度が1000℃の場合の平衡蒸気圧は、GaNにおいて
は、およそ7500Torr(1気圧は760Tor
r)を超えないと固体として安定に存在できないことを
示している。これに対して、AlNにおいては、圧力が
10-12 Torrの減圧下においても固体として存在で
きることを示している。従って、AlGaN混晶の平衡
蒸気圧曲線はGaNとAlNの間に存在することとな
り、AlGaN混晶中のAl組成の増大に伴って、10
00℃という高温下においても固体として安定となる。
【0052】但し、実際のGaN系半導体層の成長時に
はNH3 等のガスが存在し、図4のグラフとは幾分ずれ
る傾向があるが、本願発明者らは、AlGaNのAl組
成xが0.1を超えるAlx Ga1-x N混晶(0.1<
x≦1)とすることにより再蒸発を抑制する効果が現わ
れ、好ましくはAl組成xを0.2以上(0.2≦x≦
1)とすることにより、再蒸発が抑えられ、良好な結晶
品質を維持できることを確認している。
【0053】このように、Al0.2 Ga0.8 Nからなる
平坦性維持層16は良好な結晶品質を維持できるため、
この平坦性維持層16の上に積層される活性層17の結
晶品質は、平坦性維持層16を設けない場合と比べて格
段に向上する。
【0054】従って、Al0.2 Ga0.8 Nからなる平坦
性維持層16を基板11と活性層17との間に設けた半
導体レーザ素子は、以下に示すような特徴を示す。 (1) 平坦性維持層16と該平坦性維持層16の上に
成長する半導体層との界面の平坦性が向上することによ
り、平坦性維持層16を設けない場合のGaInNを含
む活性層17にしばしば見られるInの偏析が抑制さ
れ、半導体レーザ素子の導波損失を低減できる。 (2)従来の構成によるGaN半導体層においては、浅
いドナーレベルを形成する窒素の空孔が密度にして10
19cm-3程度も生成されることにより、半導体レーザ素
子のフリーキャリアの損失が増大するが、本実施形態に
係る平坦性維持層16を設けることにより、このフリー
キャリアの損失を大きく低減できる。
【0055】このような平坦性維持層16を設けた半導
体レーザ素子の動作特性を測定した結果、しきい値電流
は平坦性維持層16を設けない場合の約1/2にまで低
減することを確認すると共に、寿命試験(信頼性試験)
においても大きな向上がみられた。
【0056】ここで、図3(a)のバンドダイアグラム
に示すように、本実施形態に係る平坦性維持層16は、
活性層17に隣接して形成することが好ましい。それ
は、Inを含む活性層17とInを含まない半導体層と
の各成長工程間においてキャリアガスを切り替える場合
が多いからである。また、図3(b)の一変形例に示す
ように活性層17の両側に、例えば、n型光ガイド層1
5と活性層17との間に第1の平坦性維持層16Aを設
け、活性層17とp型光ガイド層18との間に第2の平
坦性維持層16Bを設けてもよい。
【0057】なお、本実施形態においては、GaN系半
導体レーザ素子を一例として説明したが、これに限ら
ず、発光ダイオード素子又は電子デバイス等の活性領域
を形成する際にも同様の効果を得られる。例えば、発光
ダイオード素子においては、発光効率を大きく向上させ
ることができ、また、電子デバイスにおいては、キャリ
アの移動度が大きく向上する。
【0058】また、本実施形態に係る製造方法は、MO
VPE法に限らず、ハイドライド気相成長(H−VP
E)法又は分子線エピタキシー(MBE)法等、窒化物
半導体を成長できるあらゆる方法に適用できる。 (第2の実施形態)以下、本発明の第2の実施形態につ
いて図面を参照しながら説明する。
【0059】図5(a)〜(c)及び図6は本発明の第
2の実施形態に係る窒化物半導体素子である半導体レー
ザ素子の工程順の断面構成を示している。
【0060】第1の実施形態においては、活性層の結晶
品質を向上させるために、活性層の下方に新たな平坦性
維持層を設けたが、本実施形態においては、新たな半導
体層を設けることなく、適切なプロセス条件を与えるこ
とにより活性層の品質が向上する方法について説明す
る。
【0061】まず、図5(a)に示すように、MOVP
E法を用いて、反応室内に保持されたサファイアからな
る基板31に対して温度が1000℃程度の熱処理を行
なう。その後、基板温度を500℃にまで降温し、キャ
リアガスに主としてH2 ガスを用い、成長圧力を100
0Torr(約1.3気圧)として、III 族源のTMG
と窒素源のNH3 とを基板31上に導入することによ
り、基板31を構成するサファイア結晶と該基板31上
に成長するGaN系半導体結晶との格子不整合を緩和し
てGaN系半導体結晶への欠陥の発生を抑制するGaN
からなるバッファ層32を基板31上に成長させる。
【0062】次に、基板温度を1020℃にまで昇温
し、n型ドーパントを含むSiH4 、III 族源のTMG
及び窒素源のNH3 を導入して、バッファ層32の上
に、まず、素子形成領域及びオーミック電極形成領域を
有するn型GaNからなるn型コンタクト層33を成長
させる。続いて、III 族源にTMAを追加することによ
り、後述する活性層にポテンシャル障壁を形成しn型キ
ャリアを閉じ込めるn型Al0.1 Ga0.9 Nからなるn
型クラッド層34を成長させる。次に、TMAの導入を
停止することにより、活性層において生成された発光光
を閉じ込めるn型GaNからなるn型光ガイド層35を
成長させる。
【0063】次に、図5(b)に示すように、III 族原
料ガスの供給を止め、基板温度を820℃にまで降温す
ると共にキャリアガスをH2 からN2 に切り替える。こ
こで、反応室内の圧力を1000Torrに維持してい
る。その後、V族源にNH3を用い、III 族源にはTM
IとTMGとを選択的に導入して活性層36を成長させ
る。図示はしていないが、本実施形態に係る活性層36
は、TMIが導入されて形成される膜厚が3.0nmの
Ga0.8 In0.2 Nからなる井戸層と、TMIの導入が
停止されて形成される膜厚が7.5nmのGaNからな
るバリア層との多重量子井戸構造を有している。
【0064】次に、図5(c)に示すように、III 族原
料ガス及びキャリアガスの導入をいったん停止すると共
に基板温度31を1020℃にまで昇温する。続いて、
キャリアガスをN2 ガスからH2 ガスに切り替え、p型
ドーパントを含むCp2 Mg、III 族源のTMG及び窒
素源のNH3 を導入して、活性層36の上に、該活性層
36において生成された発光光を閉じ込めるp型GaN
からなるp型光ガイド層37を成長させる。続いて、II
I 族源にTMAを追加して、活性層36にポテンシャル
障壁を形成しp型キャリアを閉じ込めるp型Al0.1
0.9 Nからなるp型クラッド層38を成長させ、次
に、再度TMAの導入を停止して、電極とオーミック接
触するp型GaNからなるp型コンタクト層39を成長
させる。
【0065】次に、図6に示すように、素子形成領域を
含む基板31を反応室から取り出し、p型コンタクト層
39及びp型クラッド層38に対してエッチングを行な
って幅が5μm程度のリッジストライプ形状とする。続
いて、p型コンタクト層39及びp型クラッド層38の
側壁、及びp型光ガイド層37の上面におけるリッジス
トライプ形状のp型コンタクト層39及びp型クラッド
層38の側方の領域に二酸化シリコン(SiO2 )から
なる絶縁膜40を形成する。
【0066】次に、p型コンタクト層39の上面を含む
領域に、例えばNi/Au積層体からなるp側電極41
を蒸着法等を用いて形成する。また、n型コンタクト層
33におけるオーミック電極形成領域を露出するように
エッチングを行なった後、該オーミック電極形成領域
に、例えばTi/Alの積層体からなるn側電極42を
蒸着法等を用いて形成する。
【0067】本実施形態の特徴として、バッファ層32
からp型コンタクト層39までの各成長工程において、
MOVPE装置の反応室の圧力を1000Torr(約
1.3気圧)とする加圧状態とし、さらに窒素元素を含
むガス雰囲気としていることである。
【0068】このように、各半導体層の成長工程間にお
いて原料ガス又はキャリアガスを切り替える際に加圧状
態とすると、各成長工程における半導体層の表面の結晶
性及び平坦性、特に、Inを含む活性層36の直下に位
置するn型光ガイド層35の結晶性及び平坦性が高度に
維持される理由を以下に述べる。
【0069】活性層36の下地層となるn型光ガイド層
35は、Inを含む活性層36の成長工程が開始される
直前に、キャリアガスがH2 ガスからN2 ガスに切り替
えられる。また、成長温度が比較的高温の下地層から降
温する必要があるため、活性層36の成長前のn型光ガ
イド層35の表面には、III 族原料が供給されることな
く高温のガスにさらされる。このとき、圧力が低い状態
では、n型光ガイド層35が再蒸発を起こし、窒素空孔
等の固有欠陥の増加、又は平坦性の低下等が生じる。
【0070】本願発明者らは、原料ガス又は該原料ガス
を搬送するキャリアガスの切り替え時に、雰囲気を窒素
元素を含むガス雰囲気(NH3 等)とし且つ圧力を10
00Torr、すなわち1気圧を超える加圧状態とする
ことにより、下地層から該下地層を構成する構成原子の
再蒸発等が生じにくくなり、良好な結晶品質を得られる
ようになるという知見を得ている。これにより、n型G
aNからなるn型光ガイド層35の表面平坦性及び結晶
品質が良好となるため、平坦性及び結晶品質が良好とな
るn型光ガイド層35の上に成長する活性層36の結晶
品質は、通常の圧力、すなわち1気圧(760Tor
r)又は減圧状態で成長する場合と比べて大きく向上す
ることを確認している。
【0071】さらに、加圧状態でGaInN結晶を成長
すると、GaInN結晶中の空孔等の固有欠陥をも低減
できることを確認している。
【0072】GaInN混晶の成長は、例えば、前述の
アプライド・フィジクス・レターズ、第59巻、又は特
開平6−196757号公報に開示されているように、
成長温度を800℃程度とInを含まない層よりも低く
する必要がある。これは、GaInN中の、特にInN
が熱分解し易いためである。一方、V族源であるNH 3
ガスは分解温度が非常に高いため、温度が800℃程度
では、窒素原子がGaInN結晶中に効率良く取り込ま
れなくなり、窒素の空孔が生じる場合がある。このよう
に、固体InNとNH3 ガスとの熱分解は互いにトレー
ドオフの関係にある。
【0073】従って、本実施形態に係る製造方法による
と、加圧状態でGaInNを成長させると、固体InN
の熱分解を十分に抑制できる上に、基板31の上方に導
入されるNH3 の数(密度)をも大きくできるため、N
3 の熱分解によって生じる窒素原子の数を増やすこと
ができる。本願発明者らの実験によると、NH3 ガスを
基板31上に導入する条件下でGaInN混晶を成長さ
せる際に、1気圧を超える加圧状態であれば窒素の空孔
を大きく低減でき、GaInN混晶、例えば、活性層3
6の結晶性を向上できることをフォトルミネッセンス等
の光学的評価により確認している。
【0074】このように、本実施形態に係る製造方法を
用いて形成された半導体レーザ素子の動作特性を測定し
た結果、従来の方法を用いて形成された半導体レーザ素
子と比べて、しきい値電流が約1/2にまで低減してい
る。
【0075】なお、本実施形態においては、各半導体層
の成長工程及び該成長工程間の切り替え工程においても
加圧状態としたが、切り替え工程でのみ加圧状態として
もよい。
【0076】なお、本実施形態においては、GaN系半
導体レーザ素子を一例として説明したが、これに限ら
ず、発光ダイオード素子又は電子デバイス等の活性領域
を形成する際にも同様の効果を得られる。
【0077】また、第2の実施形態の製造方法を用いて
第1の実施形態に示した平坦性維持層を有する半導体レ
ーザ素子を形成すれば、より優れた結晶性を有する活性
層を得られることはいうまでもない。
【0078】
【発明の効果】本発明に係る第1の窒化物半導体素子の
製造方法によると、活性層の下地層である第1の窒化物
半導体からなる半導体層の上に該半導体層の構成原子の
蒸発を抑制して該半導体層の表面平坦性を維持する第2
の窒化物半導体からなる平坦性維持層を形成するため、
この平坦性維持層の上に第3の窒化物半導体からなる活
性層を形成すると該活性層の結晶性が高度に維持され
る。従って、活性層の結晶性が高度に維持されるため、
半導体素子の動作特性を向上できると共に長期信頼性を
確保できる。
【0079】第1の窒化物半導体素子の製造方法におい
て、第2の窒化物半導体がアルミニウムを含み、第3の
窒化物半導体がガリウム及びインジウムを含むと、平坦
性維持層を構成する第2の窒化物半導体がアルミニウム
を含むため、アルミニウムの窒化物である窒化アルミニ
ウムは窒化ガリウムよりも蒸気圧が小さい。これによ
り、平坦性維持層の構成原子が蒸発しにくくなるため、
下地層である半導体層を確実に保護できる。また、活性
層を構成する第3の窒化物半導体がインジウムを含むた
め、エネルギーバンドギャップが狭くなるので、第3の
窒化物半導体に対して量子井戸構造を確実に形成でき
る。
【0080】本発明に係る第2の窒化物半導体素子の製
造方法によると、第1の窒化物半導体からなる第1の半
導体層の上に、該第1の半導体層の構成原子の蒸発を抑
制することにより第1の半導体層の表面平坦性を維持す
る第2の窒化物半導体からなる平坦性維持層を形成する
ため、第1の温度から第2の温度に降温する間に、第1
の半導体層の表面からの該第1の半導体層の構成原子の
蒸発を抑制できる。これにより、第1の半導体層の結晶
性及び平坦性が維持されるため、この結晶性及び平坦性
が維持された第1の半導体層の上に第2の半導体層を形
成すると、該第2の半導体層の結晶性が高度に維持され
る。従って、例えば、第2の半導体層を活性領域とする
と、該活性領域の結晶性が高度に維持されるため、半導
体素子の動作特性を向上できると共に長期信頼性を確保
できる。
【0081】第1又は第2の窒化物半導体素子の製造方
法において、第2の窒化物半導体がAlx Ga1-x
(但し、xは0.1<x≦1とする。)からなると、平
坦性維持層となる第2の窒化物半導体からの構成原子の
再蒸発が生じなくなるため、平坦性維持層の下側に形成
される第1の窒化物半導体からなる半導体層の構成原子
の蒸発を確実に抑制できる。
【0082】第1又は第2の窒化物半導体素子の製造方
法において、第2の窒化物半導体がAlx Ga1-x
(但し、xは0.2≦x≦1とする。)からなると、平
坦性維持層の下側に形成される第1の窒化物半導体から
なる半導体層の構成原子の蒸発をより確実に抑制でき
る。
【0083】第1又は第2の窒化物半導体素子の製造方
法において、平坦性維持層の膜厚が約0.5μm以下で
あると、該平坦性維持層にクラックが発生しない。
【0084】本発明に係る第3の窒化物半導体素子の製
造方法によると、第1の半導体層形成工程と第2の半導
体層形成工程とにおけるIII 族原料ガスの切り替え時
に、第1の窒化物半導体からなる第1の半導体層の表面
の雰囲気を、窒素を含み且つ圧力が1気圧以上とするた
め、第1の半導体層の表面から該第1の半導体層の構成
原子、とりわけ窒素原子が蒸発することを抑制できる。
従って、第1の半導体層の結晶性及び平坦性が維持され
るため、この結晶性及び平坦性が維持された第1の半導
体層の上に第2の窒化物半導体からなる第2の半導体層
を形成すると、該第2の半導体層の結晶性が高度に維持
される。従って、例えば、第2の半導体層を活性領域と
すると、該活性領域の結晶性が高度に維持されるため、
半導体素子の動作特性を向上できると共に長期信頼性を
確保できる。
【0085】本発明に係る第4の窒化物半導体素子の製
造方法によると、第1の半導体層形成工程と第2の半導
体層形成工程とにおけるキャリアガスの切り替え時に、
第1の窒化物半導体からなる第1の半導体層の表面の雰
囲気を、窒素を含み且つ圧力が1気圧以上とするため、
第1の半導体層の表面から該第1の半導体層の構成原
子、とりわけ窒素原子の蒸発を抑制できる。従って、第
3の窒化物半導体素子の製造方法と同様の効果を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(c)は本発明の第1の実施形態に係
る窒化物半導体素子の製造方法を示す工程順の構成断面
図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る窒化物半導体素
子の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図3】(a)は本発明の第1の実施形態に係る窒化物
半導体素子のエネルギーバンド図である。(b)は本発
明の第1の実施形態の一変形例に係る窒化物半導体素子
のエネルギーバンド図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る窒化ガリウム
(GaN)と窒化アルミニウム(AlN)との平衡蒸気
圧の温度依存性を示すグラフである。
【図5】(a)〜(c)は本発明の第2の実施形態に係
る窒化物半導体素子の製造方法を示す工程順の構成断面
図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る窒化物半導体素
子の製造方法を示す工程順の構成断面図である。
【図7】従来のGaN系量子井戸半導体レーザ素子を示
す構成断面図である。
【符号の説明】
11 基板 12 バッファ層 13 n型コンタクト層 14 n型クラッド層 15 n型光ガイド層 16 平坦性維持層 17 活性層 17a 井戸層 17b バリア層 18 p型光ガイド層 19 p型クラッド層 20 p型コンタクト層 21 絶縁膜 22 p側電極 23 n側電極 31 基板 32 バッファ層 33 n型コンタクト層 34 n型クラッド層 35 n型光ガイド層 36 活性層 37 p型光ガイド層 38 p型クラッド層 39 p型コンタクト層 40 絶縁膜 41 p側電極 42 n側電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 粂 雅博 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 上山 智 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 伴 雄三郎 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5F073 AA11 AA13 AA45 AA51 AA74 CA07 CB05 CB07 DA05 EA28 EA29

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に第1の窒化物半導体からなる半
    導体層を形成する工程と、 前記半導体層の上に、前記半導体層の構成原子の蒸発を
    抑制することにより前記半導体層の表面平坦性を維持す
    る第2の窒化物半導体からなる平坦性維持層を形成する
    工程と、 前記平坦性維持層の上に第3の窒化物半導体からなる活
    性層を形成する工程とを備えていることを特徴とする窒
    化物半導体素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記第2の窒化物半導体はアルミニウム
    を含み、前記第3の窒化物半導体は、ガリウム及びイン
    ジウムを含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化物
    半導体素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 基板上に第1の成長温度で第1の窒化物
    半導体からなる第1の半導体層を形成する工程と、 前記第1の半導体層の上に、前記第1の半導体層の構成
    原子の蒸発を抑制することにより前記第1の半導体層の
    表面平坦性を維持する第2の窒化物半導体からなる平坦
    性維持層を形成する工程と、 前記平坦性維持層の上に前記第1の成長温度よりも低い
    第2の温度で第3の窒化物半導体からなる第2の半導体
    層を形成する工程とを備えていることを特徴とする窒化
    物半導体素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第2の窒化物半導体は、Alx Ga
    1-x N(但し、xは0.1<x≦1とする。)からなる
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    窒化物半導体素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記第2の窒化物半導体は、Alx Ga
    1-x N(但し、xは0.2≦x≦1とする。)からなる
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    窒化物半導体素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記平坦性維持層の膜厚は約0.5μm
    以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
    項に記載の窒化物半導体素子の製造方法。
  7. 【請求項7】 基板上にIII 族原料ガス及びV族原料ガ
    スを導入することにより、前記基板上に第1の窒化物半
    導体からなる第1の半導体層を形成する第1の半導体層
    形成工程と、 前記III 族原料ガスの導入を停止するIII 族原料ガス停
    止工程と、 前記第1の半導体層の上にIII 族原料ガス及びV族原料
    ガスを導入することにより、前記第1の半導体層の上に
    第2の窒化物半導体からなる第2の半導体層を形成する
    第2の半導体層形成工程とを備え、 前記III 族原料ガス停止工程は、前記第1の半導体層の
    雰囲気を、窒素を含み且つ圧力が1気圧以上とする工程
    を含むことを特徴とする窒化物半導体素子の製造方法。
  8. 【請求項8】 基板上にIII 族原料ガス及びV族原料ガ
    スを第1のキャリアガスと共に導入することにより、前
    記基板上に第1の窒化物半導体からなる第1の半導体層
    を形成する第1の半導体層形成工程と、 前記第1のキャリアガスを該第1のキャリアガスと組成
    が異なる第2のキャリアガスに変更するキャリアガス変
    更工程と、 前記第1の半導体層の上にIII 族原料ガス及びV族原料
    ガスを前記第2のキャリアガスと共に導入することによ
    り、前記第1の半導体層の上に第2の窒化物半導体から
    なる第2の半導体層を形成する第2の半導体層形成工程
    とを備え、 前記キャリアガス変更工程は、前記第1の半導体層の雰
    囲気を、窒素を含み且つ圧力が1気圧以上とする工程を
    含むことを特徴とする窒化物半導体素子の製造方法。
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JP2007227912A (ja) * 2006-02-21 2007-09-06 Samsung Electronics Co Ltd リッジ構造を有する半導体レーザダイオード
JP2013098232A (ja) * 2011-10-28 2013-05-20 Sharp Corp 窒化物半導体レーザ素子

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