JP2013091172A - インモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

インモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルム Download PDF

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【課題】成形温度が高い樹脂を射出成型用樹脂とするインモールド成型時に転写用フィルムが破れたり皺が発生することなく、美麗な外観を有する樹脂成型品を得るために最適なインモールド転写用基材フィルムの提供。
【解決手段】180℃、30分間熱処理したときの熱収縮率が縦方向および横方向ともに8%以上であり、フィルムの厚みが25μm以上200μm以下であるインモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明はインモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルムに関し、さらに詳しくはインモールド成型時にフィルムが破れたり皺が発生することなく、美麗な外観を有する樹脂成型品を得るために最適な、インモールド転写基材に適したインモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
ポリエステルフィルムに代表される二軸延伸ポリエステルフィルムは、良好な機械強度、熱的特性、湿度特性およびその他多くの優れた特性を有することから、工業材料、磁気記録材料及び包装材料など、広い分野において使用されている。
特にインモールド転写箔において、ポリエステルフィルムはその基材として有用である。この転写箔は、片面に離型層、ハードコート層や金属蒸着層および接着層などを必要に応じて積層し構成され、転写箔としての機能が付与されている。
これら転写箔の転写方法には、転写箔を加工した転写箔フィルムを射出成型用の金型内にセットし、樹脂成型品を成型するのと同時に、その表面に転写箔フィルム一体化して接着し、樹脂成型品に図柄やその他ハードコート層などを転写し装飾などの機能を付与する、いわゆるインモールド転写法(同時成型転写法)が広く一般的に知られている。このような転写方式で得られた樹脂成型品は、携帯電話機や電気製品や化粧容器などの用途に使用されている(特許文献1)。
近年、これら樹脂成型品は、その意匠性や消費者のニーズ多様化、生産効率化などがすすみ、成型品の大型化や厚肉化、さらに立体曲面構造といった複雑な形状が望まれる傾向が強くなってきている。そうした樹脂成型品の傾向により、インモールド転写箔用フィルムへの要求も高くなってきており、様々な検討がなされている。例えば、特定の結晶構造を有するポリエステルフィルムを用いる検討(特許文献2)、共重合ポリエステルを用いて低結晶化により複雑な形状でも追随し易くする検討(特許文献3)や、成形加工時の変形応力などの機械強度を保持し、かつ耐熱寸法安定性に優れたフィルムの検討(特許文献4)、高度な成形性と耐熱寸法安定性を同時に満足できるフィルムの検討(特許文献5)等がなされている。
しかしながら、樹脂成型品の高耐熱樹脂化、大型化、厚肉化あるいは立体形状化に伴い、成型時のフィルムにかかる熱や成型樹脂の流動が複雑になり、インモールド転写に用いられるフィルムが引き伸ばされて破れたり皺が生じるという問題があった。
特開昭59−202830号公報 特開平5−269843号公報 特開昭64−45699号公報 特開2009−203399号公報 特開平7−237283号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点を解消し、成形温度が高い樹脂を射出成型用樹脂とするインモールド成型時に転写用フィルムが破れたり皺が発生することなく、美麗な外観を有する樹脂成型品を得るために最適なインモールド転写用基材フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、従来の転写箔用ポリエステルフィルムでは、成形温度が高い樹脂を射出成型用樹脂とするインモールド成型時に転写用フィルムが高温の射出樹脂に押し流されてしまい、フィルムが引き伸ばされて破断したり皺が入るため、樹脂成型品の外観に影響することを見出した。そして、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、射出樹脂温度付近の高温度領域において一定厚みの転写箔用フィルムの熱収縮率を高くすることで、フィルム破断や皺の発生をなくすことができ、美麗な外観の樹脂成型品の提供が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の目的は、180℃、30分間熱処理したときの熱収縮率が縦方向および横方向ともに8%以上であり、フィルムの厚みが25μm以上200μm以下であるインモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルムによって達成される。
また本発明のインモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルムは、その好ましい態様として、フィルムの縦方向の破断強度が280MPa以上、横方向の破断強度が200MPa以上であって、両方向のフィルムの5%伸び応力が110MPa以上であること、該フィルムの融解サブピーク温度(Tsm)が140℃以上210℃以下であること、該フィルムの面配向係数が0.200以上0.280以下であること、ポリエチレンナフタレートを主たる構成成分とするフィルムであること、180℃における縦方向と横方向の熱収縮率差が10%以下であり、かつ155℃、30分間熱処理したときの熱収縮率が縦方向および横方向ともに5%以下であること、該フィルム上の少なくとも転写箔加工をする側にプライマー層が形成されており、該プライマー層はポリエステルフィルムの製膜工程内で塗布されたものであること、の少なくともいずれか一つを具備するものを包含するものである。
本発明には、本発明のインモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルムを含むインモールド転写箔も包含される。
本発明によれば、成形温度が高い樹脂を射出成型用樹脂とするインモールド成型時に転写用フィルムが破れたり皺が発生することなく、美麗な外観を有する樹脂成型品を得るために好適なインモールド転写用基材フィルムを提供することができる。
成型性評価に用いた金型の断面図及び得られる成型品を上から見た形状を示す。なお、図1は成形金型の概要を模式的に示しており、ゲートやエジェクタピンなどの詳細構造は図示を省略してある。
以下、本発明を詳細に説明する。
[ポリエステルフィルム]
本発明におけるポリエステルフィルムは、芳香族ジカルボン酸またはそのエステルとグリコールとを主たる出発原料として得られるポリエステルで構成され、該フィルムの主たる構成成分はポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートであることが好ましい。ここで主たる構成成分とは、ポリエステルフィルムの重量を基準として90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは97重量%以上であることを指す。
これらのポリエステルは、繰り返し構造単位の80モル%以上がエチレンテレフタレート単位またはエチレンー2,6−ナフタレンジカルボキシレート単位であるポリエステルであることが好ましく、かかる成分の含有量はより好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましくは97モル%以上、最も好ましくは99モル%以上である。
また本発明におけるポリエステルは、かかる範囲を逸脱しない範囲で他の第三成分を含有していても良い。ジカルボン酸成分としては、上述のテレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸以外に、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシエトキシ安息香酸など)等を用いることができる。グリコール成分としては、上述のエチレングリコール以外に、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等を用いることができ、これら成分の一種または二種以上を用いることができる。
本発明のポリエステルフィルムにおいて、特にポリエチレンナフタレートが好ましく用いられる。ポリエチレンナフタレートを用いる場合、ナフタレンジカルボン酸以外の酸成分として、テレフタル酸成分を少量、例えば0.5〜5.0モル%含有してもよい。
これら第三成分は、共重合成分としてポリエステルに含まれていても、ブレンドによるものであってもよい。
180℃から230℃付近の射出樹脂温度となる射出成型加工の転写用フィルムとして用いられる場合、このような高温領域において、ポリエチレンナフタレートを主たる構成成分とするフィルムはポリエチレンテレフタレートフィルムよりも耐熱性に優れており、樹脂成型品に対する融着が生じにくいことが挙げられる。
ポリエステルのエステル交換反応、重縮合反応に使用する触媒としては、チタン化合物(Ti化合物)、ゲルマニウム化合物(Ge化合物)などが好ましく挙げられる。
またポリエステルは、例えば安息香酸、メトキシポリアルキレングリコール等の一部官能性化合物によって末端の水酸基および/またはカルボキシル基の一部または全部を封鎖したものであってもよく、あるいはグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、ピロメリット酸等のような3官能以上の成分を微小量(実質的に線状のポリマーが得られる範囲)を共重合したものであっても良い。
本発明におけるポリエステルの固有粘度は0.48dl/g〜0.95dl/gであることが好ましく、さらに0.50dl/g〜0.90dl/gであることが好ましい。フィルム製膜前のポリエステルの固有粘度がかかる範囲にあることにより、0.45dl/g〜0.90dl/gの固有粘度のポリエステルフィルムが得られる。また、フィルムの固有粘度はさらに0.48dl/g〜0.85dl/gであることが好ましい。
フィルム製膜後のポリエステルの固有粘度がかかる範囲であることでインモールド成型の転写箔フィルムとして用いた場合に射出成型に耐えうる機械特性を備えることができる。
ここで固有粘度の測定方法として、試料0.6gをオルソクロロフェノール50ml中に加熱溶解した後、一旦冷却させ、その溶液をオストワルド式粘度管を用いて35℃の温度条件で測定した溶液粘度から算出して測定することができる。
本発明のポリエステルフィルムは、フィルム縦方向(以下、フィルム連続製膜方向、長手方向、MD方向と称することがある)および横方向(以下、幅方向、TD方向と称することがある)に二軸延伸して得られた二軸配向ポリエステルフィルムである。二軸配向されていることにより、ヤング率特性などの機械特性が高く、耐熱性の高いフィルムが得られる。
さらに本発明の二軸配向ポリエステルフィルムには、製膜時のフィルムの巻取り性や、フィルムの搬送性等を良くするため、必要に応じて有機または無機の粒子を滑剤として含有してもよい。かかる粒子として、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、カオリン、酸化珪素、酸化亜鉛、架橋アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、尿素樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、架橋シリコーン樹脂粒子が例示される。また、意匠性の観点から、白色や黒色、また他の色に着色してもよい。
[熱収縮率]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、180℃、30分間熱処理したときの熱収縮率が縦方向および横方向ともに8%以上であり、さらに好ましくは10%以上である。180℃での熱収縮率が下限値に満たないと、射出樹脂温度付近の高温度領域において転写箔が十分に収縮せず、成形温度が高い樹脂を射出成型用樹脂とするインモールド転写成型時に転写箔に収縮斑や皺などが発生し、その形状が樹脂成型品に転写されて樹脂成型品の美麗な外観を安定して得ることが難しくなる。180℃での熱収縮率はかかる範囲内でより大きい方が好ましいが、後述する155℃での熱収縮率特性をも備える場合には、上限値は50%以下であることが好ましく、さらには30%以下であることが好ましく、目的とするインモールド成形の形状によっては20%以下であってもよい。
180℃で二軸方向ともに本発明の熱収縮性を得るために、二軸方向ともに一定範囲の延伸倍率で延伸処理を行い、さらに一定の温度範囲で熱固定処理を行うことが挙げられる。
通常、ポリエステルフィルムの熱寸法安定性を高めるため、比較的融点に近い温度で熱固定処理が行われることが多く、結晶化度を高めることでフィルムの熱収縮率は小さくなる傾向にある。それに対して、本発明はインモールド転写成形時に成型品形状に合わせて転写フィルムを収縮させる方法により転写箔に収縮斑や皺が発生するのを抑制するために、130℃〜220℃、好ましくは140℃〜215℃の温度範囲で熱固定処理を行うものである。
また、製膜時の延伸温度を通常よりも低い温度、具体的にはポリエチレンナフタレート樹脂の場合には110℃〜150℃、好ましくは110℃〜140℃に設定して延伸を行う。かかる温度で延伸を行うことでフィルムを十分に配向結晶化させることができる。
また、180℃で二軸方向ともに本発明の熱収縮性を得るために、二軸方向ともに一定範囲の延伸倍率で延伸処理を行うことが必要である。具体的な延伸倍率は熱固定温度などにより変動するものの、例えば熱固定温度が185℃の場合は縦方向に3.0倍以上、横方向に2.3倍以上の倍率で延伸する方法が挙げられ、熱固定温度が210℃の場合は縦方向に3.6倍以上、横方向に2.5倍以上の倍率で延伸する方法が挙げられる。
さらに、横延伸を行う前の予熱工程の温度を80℃〜115℃の範囲内でかつ横延伸温度より低くすることにより、縦方向の熱収縮性を減少させることなく、横方向に熱収縮性を付与でき、より効率的に縦横方向ともに高い熱収縮性が得られやすい。
本発明のポリエステルフィルムは、180℃における縦方向と横方向の熱収縮率差が10%以下であることが好ましく、さらに好ましくは5%以下である。
熱収縮率の差が上限値を越えると、転写箔加工時の高温度で部分的に収縮斑が生じることがあり、インモールド成型する際に樹脂成型品に転写されて外観不良が発生することがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、上述の180℃での熱収縮率特性に加えて、155℃で30分間熱処理したときの熱収縮率が縦方向および横方向ともに5%以下であることが好ましく、さらに3%以下であることが好ましい。155℃での縦方向および横方向の熱収縮率が上限値を超えて大きいと、金型内に射出された溶融樹脂の熱によってフィルム温度が上がる過程でもフィルムの収縮が生じて収縮斑や皺が発生することがあり、それらが転写されて樹脂成型品の外観不良が生じることがある。また、転写箔加工における塗布層の加工は一般的に150℃程度の温度で行われるため、155℃での熱収縮率がかかる範囲でより低い方が好ましい。
このように、155℃と180℃という比較的近い温度において、155℃での熱収縮率を小さくし、180℃での熱収縮率を大きくするためには、フィルム製膜時の延伸温度および熱固定温度のそれぞれを特定の範囲で行うことが重要であり、上述の達成手段の中でも110℃〜150℃の範囲の延伸温度で延伸を行うことが好ましく、さらに好ましくは110℃〜140℃の範囲で行い、また熱固定処理を行う温度を好ましくは185℃〜220℃、さらに好ましくは185℃〜215℃とすることが好ましい。熱固定温度が下限より低いと、155℃で熱収縮が大きくなりやすく、フィルム温度が上がる過程での収縮に起因する樹脂成型品の外観不良が生じることがある。熱固定温度の上限は180℃での熱収縮特性との関係で制約される。
[フィルムの厚み]
本発明のインモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルムの厚みは25μm以上200μm以下であり、好ましくは50μmから188μの範囲である。フィルム厚みが下限値より薄いと、成形温度が高い樹脂を射出成型用樹脂とするインモールド成型時に高温の樹脂が高速あるいは高圧で射出されることによって、フィルム転写箔に皺が発生し、樹脂成型品の外観に影響する。また上限を超えて厚いと樹脂成型品の形状に沿った成型加工性が低下する。
[フィルム破断強度]
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの縦方向の破断強度は280MPa以上であることが好ましく、より好ましくは300MPa以上、さらに好ましくは320MPa以上である。また、横方向の破断強度は200MP以上であることが好ましく、さらに好ましくは230MPa以上である。本発明のフィルムがかかる破断強度を有することにより、高温の射出樹脂が高圧でフィルムに接触してもフィルム破断が生じにくい。
破断強度はより高い方が好ましいが、どちらか一方の破断強度が相対的に高すぎる場合は一方の方向に皺が生じることがあるため、縦横の破断強度差は150MPa以下であることが好ましい。
[5%伸び応力]
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの縦方向および横方向の5%伸び応力は110MPa以上であることが好ましく、さらに好ましくは140MPa以上である。5%伸び応力が下限より低いと成型加工時のフィルムの配向が十分でないために、特に曲面や凹凸のある成型品を成型する際に収縮斑が生じることがある。
本発明において上述の熱収縮率特性に加えてさらにこれらフィルムの機械強度や変形応力特性を備える方法として、熱収縮率特性を得る方法の中でもより高い延伸倍率でフィルムを製膜することが挙げられる。
[融解サブピーク温度]
本発明における二軸配向ポリエステルフィルムの融解サブピーク温度(Tsm)は140℃以上210℃以下であることが好ましく、さらに好ましくは170℃以上205℃以下である。
融解サブピーク温度とは、示差走査熱量計測定による結晶融解前に現れる微小吸熱ピークであり、この融解サブピーク(Tsm)はフィルムの熱固定温度に相当する温度に微小ピークとして観測され、熱固定処理で形成された結晶構造のうち不完全な部分(擬結晶)が融解するために生じるものである。融解サブピーク温度がかかる範囲にあることによって、本発明の熱収縮率特性を得ることができる。また融解サブピーク温度が下限値より高いことにより、フィルム破断強度特性も備えることができる。
かかる融解サブピークを得るためには、フィルム製膜方法で述べた範囲の熱固定温度で熱固定処理を行えばよい。
[面配向係数]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、面配向係数(Ns)が0.200以上0.280以下であることが好ましい。ここで面配向係数(Ns)とは下記式(1)で表わされる特性である。
Ns=(nMD+nTD)/2−nZ ・・・(1)
(式中、nMDはフィルム面内の縦方向の屈折率、nTDはフィルム面内の横方向の屈折率、nZはフィルム厚さ方向の屈折率をそれぞれ表す)
この面配向係数(Ns)が下限値に満たない場合、延伸不足による厚さ斑が大きく、また本発明の十分な熱収縮が得られなかったり、十分な破断強度が得られないことがある。一方、上限を超える面配向係数(Ns)とするには高倍率で延伸を行うことになりフィルム破断が生じたり、あるいは製膜装置との関係で制約されることがある。
[プライマー層]
本発明において、ポリエステルフィルムにプライマー層を設けるのが好ましく、プライマー層は水溶液又は水分散体からなる塗布液によって形成されることが好ましい。また、プライマー層は、ポリエステルフィルム上の少なくとも転写箔加工をする側に形成されることが好ましい。
プライマー層の厚さは、乾燥後の厚さとして、通常0.001〜10μm、好ましくは0.010〜5μmである。
プライマー層の主成分は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル樹脂変性ポリエステル樹脂、およびビニル系樹脂変性ポリエステル樹脂の中から選ばれた少なくとも1種類の樹脂、あるいはシランカップリング剤であることが好ましい。プライマー層を有することにより、転写箔を形成する際にポリエステルフィルムに積層させる層、例えば塗膜、蒸着膜、ハードコート層、印刷層などといった層との接着性を向上させることができる。また、アンチブロッキングや滑り性付与効果を奏する物質や、帯電防止効果を奏する物質、その他種々の機能を付与させるための物質をフィルム表面に存在させやすくすることもできる。
このプライマー層は、フィルムの製膜工程内で塗布され形成されることが好ましく、配向結晶化完了前のポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布されたものであることが好ましい。これにより、プライマー層表面の均一性およびプライマー層のポリエステルフィルムへの密着性を高めることができる。また、プライマー層形成用塗布液が上記主成分を含有する水溶液又は水分散体であることが、作業環境や外部環境保全の観点から好ましい。また本発明の目的を損なわない限り、フィルムの上に重ねてプライマー層を設けたり、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理などを施しても良い。
[フィルム製造方法]
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法として、例えば十分に乾燥させたポリエステル樹脂組成物を樹脂の融点〜(融点+70℃)の範囲の温度で溶融押し出し、キャスティングドラム上で急冷して未延伸フィルムとし、ついで該未延伸フィルムを縦方向および横方向に逐次二軸延伸または同時二軸延伸し、熱固定する方法が挙げられる。
二軸延伸は逐次二軸延伸が好ましく、その際、ポリエチレンナフタレートの場合は未延伸フィルムを縦方向に110℃〜150℃で3.0倍以上、好ましくは5.5倍以下で延伸し、次いでステンターにて横方向に110℃〜150℃で2.3倍以上、好ましくは4.0倍以下で延伸し、その後130〜220℃、より好ましくは185℃〜220℃、さらに好ましくは185℃〜215℃の温度で緊張下又は制限収縮下で熱固定する。また熱固定時間は10〜30秒が好ましい。縦延伸を行うときの加熱媒体はロール温度で設定してもよく、フィルム上方に赤外線などのヒーターを設置して加熱してもよい。
ステンター内で最初に温度がかかる予熱工程の温度は、通常105℃〜125℃とするのが良い。しかし、縦方向に4.0倍以上で逐次延伸した場合、ステンター内で最初に温度がかかる予熱工程の温度を80℃〜115℃としてフィルムを温めた方が、横延伸する際に均等に横延伸することができるので好ましい。また、予熱温度が低い方が、縦方向の配向を減少させることなく、横延伸することが可能となり、縦方向の強度や熱収縮率の低下を抑制することができるので好ましい。
また、ポリエチレンテレフタレートの場合は、ポリエチレンナフタレートを用いた上記の製造条件において、縦方向の延伸温度を80〜130℃、横方向の延伸温度を80〜130℃で行い、また熱固定温度を130〜220℃、より好ましくは155〜180℃で行うとよい。同様に、縦延伸工程後の予熱工程についても70〜100℃の範囲で行うとよい。延伸倍率はポリエチレンナフタレートと同じ範囲で行うことができる。
同時二軸延伸の場合も上記逐次二軸延伸の延伸温度、延伸倍率、熱固定温度などを適用することができる。また必要に応じて二軸延伸したフィルムをさらに縦方向および/または横方向に再延伸する、いわゆる3段延伸法、4段延伸法により製造することもできる。その際、それぞれの方向の延伸倍率の合計が上記の範囲となるように調整することが好ましい。
[転写箔加工]
転写箔加工は、インモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルムの片面に、所定の間隔で連続して形成される。具体的には、転写用ポリエステルフィルムの片面に、転写用ポリエステルフィルムから転写箔加工層を容易に剥離させるための離型層、その上に必要に応じてハードコート層や図柄や位置合わせ用マークが表現された図柄層、そして樹脂成型品と転写箔加工層との接着性を向上させる接着層などが形成される。
離型層にはメラミン系樹脂等が使用され、グラビア印刷法やスクリーン印刷法などにより印刷される。塗布硬化の場合には150℃程度の温度をかけて熱硬化させる場合が多い。
ハードコート層や図柄層は、樹脂をバインダーとして、必要に応じて顔料や染料等の着色剤を含有した着色インキにより形成される。バインダーとして使用される樹脂は、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、アルキド樹脂等がある。塗工法としては、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などにより離型層上に印刷される。また、図柄層は、真空蒸着法、スパッタリグ法、イオンプレーティング法等により形成される場合もある。
接着層としては、成型樹脂に適した材料を適宜使用することができる。例えば、アクリル系樹脂やポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを用いるとよい。塗工法としては、グラビア印刷法、スクリーン印刷法など各種印刷コート法などを用いることができる。
[樹脂成型品の熱可塑性樹脂]
本発明における射出成型用の熱可塑性樹脂として、耐熱性の高い熱可塑性樹脂が好ましく、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアルキレンエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂およびポリアミノビスマレイミド樹脂などが例示される。上記の樹脂はいずれも複数の構成単位からなる共重合体であってもよく、またその共重合形態もランダム共重合体、グラフト共重合体、およびブロック共重合体、並びにさらに高次の構造が制御された共重合体構造であってもよい。スチレンに代表されるビニル系モノマーの共重合体樹脂は汎用されており、スチレン系共重合樹脂のS成分として利用できる。例えば、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体から主としてなる樹脂)、SMA樹脂(スチレン−無水マレイン酸共重合体から主としてなる樹脂)、MS樹脂(メチルメタクリレート−スチレン共重合体から主としてなる樹脂)およびABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体から主としてなる樹脂)などが例示される。
これらの中でもポリカーボネート樹脂が最も好ましい。ポリカーボネート樹脂は、通常使用されるビスフェノールA型ポリカーボネート以外にも、他の二価フェノールを用いて重合されたポリカーボネート樹脂であっても良い。上記樹脂は、従来公知の各種の添加剤を含有することができる。かかる添加剤としては、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤などが例示される。
また樹脂材料は、通常必要な添加剤を原料樹脂と溶融混練したペレットの形状で、射出成型機に供給され、供給時に樹脂中の水分含有量が十分に低減されることが好ましい。ポリカーボネート樹脂の如き水分吸収性の高い熱可塑性樹脂は、十分に乾燥してから射出成型機に供給されることが好ましい。溶融混練には従来公知の溶融混練機を利用でき、特にベント式二軸押出機が好適である。
[樹脂成型品]
本発明における樹脂成型品の厚みは2mm〜30mmの範囲が好ましく、3mm〜30mmがより好ましく、5〜30mmがさらに好ましい。下限より薄い場合、射出成型時に樹脂の剪断によってフィルムが変形してしまう場合がある。また厚みが上限より厚い場合には、射出成型時の転写フィルムへの熱負荷が大きくなり転写フィルムが融着する可能性がある。
樹脂成型品は転写箔加工層を付与される表面において、絞り形状を有していることが好ましい。絞り形状においては、その絞り比が0.07以上であり且つその面積が3,000mm以上が好ましく、絞り比が0.07以上であり且つその面積が30,000mm以上がさらに好ましい。絞り比が下限値より小さい場合、あるいはその面積が下限値より小さい場合は従来の技術でも成型可能である。なお、絞り比とは転写箔加工層付与部における「凹凸の高さ/投影面積と等価な円の直径」で表される。
[樹脂成型品の製造方法]
以下に樹脂成型品の製造方法を挙げる。
一例として、転写箔加工を施したインモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルムを一方の金型と他方の金型との間に配置し、該金型を型締めして成型キャビティを形成した後、該キャビティ内に熱可塑性樹脂を射出する工程を含む樹脂成型品の製造方法が挙げられる。成型キャビティとは、可動側金型と固定側金型との型締めにより形成した成型用空間のことを指す。
溶融樹脂は、上述の一方の金型と他方との間に配置した後に予め圧縮ストローク分だけ余分に開いた成型キャビティ内に射出充填されることが好ましい。この射出圧縮成型においては、圧縮ストロークと樹脂板の厚みとの合計量は、目的とする樹脂板の厚みに対して、好ましくは1.01〜3倍の範囲である。成型キャビティ内に溶融樹脂を射出した後に最終型締めを行う。
本発明のフィルムの配置方法としては、金型の上方あるいは下方に配置されたフィルムロールを他方に巻き取りながら送る方法や、枚葉にカットされたフィルムをロボットアームなどにより金型内に配置する方法などが挙げられる。
上述の方法で樹脂成型品を成形加工後、成型品からフィルムを剥がす工程がある。成型品よりフィルムを剥がす方法としては、枚葉にカットされたフィルムを使用する場合は手作業にて引き剥がす方法、フィルムロールを使用する場合は、取り出し機やロボットアームにて引き剥がす方法、及びフィルムを配置した金型の他方金型に若干のアンダーカット部を設けることにより型開き時に引き剥がす方法などが挙げられる。
本発明の方法を用いて製造された樹脂成型品は、大型形状、厚肉形状あるいは立体形状を有する形状のものでも良好な外観を有する。したがって、これらの特性が求められる車両・船舶及び航空機などの樹脂製窓、液晶ディスプレイ保護材に代表される画像を透視する用途、パチンコやピンボールに代表される遊戯具における遊技盤などの代表される幅広い工業用において有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各特性値は以下の方法で測定した。
(1)フィルム熱収縮率
二軸配向フィルムの縦方向および横方向に、あらかじめ正確な長さを測定してマーキングした長さ30cm四方のフィルムを、測定したい温度に設定されたオーブン中に無荷重で入れ、必要な時間だけ静置した後に取り出し、室温に戻してからその寸法変化を読み取る。
熱処理前の長さ(L)と熱処理による寸法変化量(ΔL)より、次式(1)に従って縦方向および横方向の熱収縮率をそれぞれ求めた。各方向の熱収縮率はそれぞれサンプル数n=5で評価を行い、その平均値を用いた。今回、155℃で30分間の条件と、180℃で30分間の2条件について、それぞれ上記の方法で測定を行った。
熱収縮率(%)=(ΔL/L)×100 ・・・(1)
(2)フィルム破断強度
フィルム破断強度は、引張試験機(東洋ボールドウィン社製、商品名「テンシロン」)を用いて、温度25℃、湿度50%に調節された室内において測定した。サンプルフィルムを幅10mm、長さ150mmに切り出し、チャック間100mmでサンプルを装着し、JIS−C2318 5.3.3に従って引張速度100mm/minの条件で引張試験を行い、破断時の荷伸曲線の荷重を読み取った。破断強度は破断時の荷重を引張前のサンプル断面積で割って算出(単位;MPa)した。なお、縦方向の破断強度とはフィルムの縦方向を測定方向としたものであり、横方向の破断強度とはフィルムの横方向を測定方向としたものである。各破断強度はそれぞれサンプル数n=10で評価を行い、その平均値を用いた。
(3)5%伸び応力
上記(2)の破断強度測定と同様の条件にて引張試験を行った。変形応力として、25℃における5%伸び応力(伸張時応力)を求めた。5%伸張時応力は荷伸曲線の5%伸張時の荷重を引っ張り前のサンプル断面積で割って算出(MPa)した。
(4)融解サブピーク温度(Tsm)
セイコ−電子工業(株)製DSC220を用い、昇温速度20℃/分でDSC曲線を描かせ、融解による明瞭な吸熱ピークより低温側の吸熱ピークを融解サブピーク温度とした。また、融解サブピークが結晶融解ピークに近接しピークとして明瞭でない場合には、DSC曲線の2次微分曲線が0となる点をサブピーク温度とした。
(5)フィルムの面配向係数測定
JIS−K7105に従い、アッベ屈折計(光源:ナトリウムD線589nm、マウント液:ヨウ化メチレン)でnMD、nTD及びnZを測定した。面配向係数(NS)は、測定したnMD、nTD及びnZから下式(1)より求めた。
Ns=(nMD+nTD)/2−nZ ・・・(1)
(式中、nMDはフィルム面内の縦方向の屈折率、nTDはフィルム面内の横方向の屈折率、nZはフィルム厚さ方向の屈折率をそれぞれ表す)
(6)フィルム厚み
フィルムサンプルをエレクトリックマイクロメーター(アンリツ製K−402B)にて、10点厚みを測定し、平均値をフィルム厚みとした。
(7)成型性評価
得られたポリエステルフィルムの片面に、グラビアコート法で商品名「TCM01メジューム」(大日本インキ社製、メラミン樹脂)からなる塗工液を乾燥後の厚みが2μmになるように塗布し、120℃で乾燥して離型層を形成した。次に、グラビアリバースコーターで以下のハードコート層組成物を調整し、乾燥後の厚みが5μmになるように塗工し、100℃で乾燥後、紫外線を照射してハードコート層を硬化させた。次に、以下の接着層組成物をグラビアコーターで乾燥後の厚みが0.5μmになるように塗工し、100℃で乾燥させ、ポリエステルフィルム上に離型層、ハードコート層、接着層を順に積層した転写箔加工フィルムを作成、成型性評価に用いた。
<ハードコート層組成物>
・紫外線硬化型樹脂1(PETA:日本化薬株式会社製) 21.3重量%
・紫外線硬化型樹脂2(DPHA:日本化薬株式会社製) 8.6重量%
・光硬化開始剤(イルガキュア184:チバガイギー株式会社製) 2.0重量%
・酢酸エチル 68.1重量%
<接着層組成物>
・ポリエステル樹脂(P−170:日本合成化学株式会社製) 20重量%
・シリカ粒子(平均粒径0.5μm) 10重量%
・溶媒(メチルエチルケトン:トルエン=1:1) 70重量%
次に、成型樹脂(ポリカーボネート樹脂[帝人化成株式会社製「パンライトL−1225Y」(商品名)])を用い、以下の工程に従って樹脂成型品を作製した。ポリカーボネート樹脂のペレットは、120℃で5時間熱風乾燥機で乾燥した後、成型機としてシリンダ径50mmφ、型締力2150kNの住友重機製ULTRAIV射出成型機及び図1右図の金型を使用し、上記の方法で作製した転写箔加工フィルムを用いて射出成型を行った。成型はシリンダ温度290℃、ホットランナ設定温度290℃、金型温度は固定側、可動側ともに100℃、及び冷却時間を30秒で行った。転写箔加工フィルムは枚葉にしたものを用い、固定側或いは可動側のパーティング面に両面テープを用いて貼り付け、接着層側が成型樹脂と接するように転写箔加工フィルムを配置した。また、成型品からのフィルムの剥ぎ取りは手作業で実施し、下記の外観評価を行った。
成型品は図1左図に示す形状を有しており、転写箔加工層を付与される表面の絞り比が0.12、面積が31.416mm、長さ200mm、幅200mm、及び厚み4mmの成型品である。
(7)−1 外観(成型品の皺)
成型品表面の皺の有無を観察し、下記の通り評価を実施した。
◎:皺がなく良好な状態で、外観不良はなかった。
○:数本の皺が発生している状態で、一部外観不良が認められた。
×:無数の皺が発生している状態で、著しく外観不良が発生していた。
(7)−2 成型後のフィルム
成型品から剥離したフィルムの状態について確認を行い、下記の通り評価を実施した。
◎:成型品へのフィルムの融着がなく、またフィルムの破断もない状態。
○:一部フィルムの融着があり、又は一部フィルムの破断が見られている状態。
×:フィルムが成型時の高温樹脂温度により融けて融着し、フィルムの破断も見られている状態。
(8)転写箔加工適性
ポリエステルフィルムの転写箔加工適性を次のように評価した。アミノアルキッド系熱硬化性樹脂(ベースクリヤー:光和塗料株式会社製)70重量%と熱可塑性ウレタン樹脂(X1210メジューム:東洋インキ株式会社製)30重量%とを用いて調整した樹脂塗料を、該ポリエステルフィルムの片面にグラビアコーティング機を用いて塗布した後、150℃30分間の乾燥炉内で乾燥・硬化させ、厚さ1.5μmの硬化樹脂塗膜を形成させた。その外観について確認を行い、下記の通り評価を実施した。
◎:フィルムに外観不良が認められなかった。
○:一部フィルムの収縮が見られるが、インモールド成型をするのには可能なレベルであった。
△:フィルムの収縮が著しく、フィルムに外観不良を生じた。
(参考例1)ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの製造(PEN)
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル100部、エチレングリコール60部をエステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03部を使用し、滑剤として平均粒径0.5μmの炭酸カルシウム粒子をポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂組成物の重量を基準として0.25重量%含有するように添加して、常法に従ってエステル交換反応をさせた後、トリエチルホスホノアセテート0.042部を添加し実質的にエステル交換反応を終了させた。ついで、三酸化アンチモン0.024部を添加し、引き続き高温、高真空下で常法にて重合反応を行い、固有粘度0.60dl/gのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)を得た。
(参考例2)ポリエチレンテレフタレートの製造(PET)
エステル交換反応容器にテレフタル酸ジメチルを100重量部、エチレングリコールを60重量部、酢酸マグネシウム四水塩を0.06重量部仕込み、滑剤として平均粒径0.2μmの球状シリカ粒子をポリエチレンテレフタレート樹脂組成物の重量を基準として0.06重量%含有するように添加して、150℃に加熱して溶融し撹拌した。反応容器内温度をゆっくりと235℃まで昇温しながら反応を進め、フェニルホスホン酸を添加してエステル交換反応を終了させた。その後反応物を重縮合装置に移行し、酸化アンチモンを添加し、重合装置内の温度を290℃まで昇温し、高真空下で重合反応を行い、固有粘度0.60dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)を得た。
[実施例1]
PENポリマーを180℃で5時間乾燥させた後、押出機に供給し、溶融温度300℃で溶融し、ダイスリットより押出し後、表面温度55℃に設定したキャスティングドラム上で冷却固化させて未延伸フィルムを作成した。このようにして得られた未延伸フィルムを130℃に予熱し、低速ローラーと高速ローラーの間で15mm上方より800℃の表面温度の赤外線ヒーター1本にてフィルムを130℃に加熱して縦方向に4.0倍に延伸した。続いてステンターに供給し、100℃の予熱温度にてフィルムを温めた後、130℃にて横方向に3.0倍に延伸した。得られた二軸配向フィルムを185℃の温度で30秒間熱固定し、100μm厚みの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性及び成型性評価などを上記の方法で評価し、その結果を表1に示した。
[実施例2〜9]
実施例1において、延伸倍率及び熱固定温度、フィルムの厚みを変更した以外は実施例1と同様にし、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性及び成型性評価などを前述の方法で評価し、その結果を表1に示した。
[実施例10]
実施例1において、PETポリマーを回転式真空乾燥機にて170℃で3時間乾燥した後、押出機に供給し280℃で溶融押出し、ダイよりシート状に成形した。このシートを表面温度20℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを100℃にて縦方向に3.4倍延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き、90℃の予熱温度にてフィルムを温めた後、130℃に加熱された雰囲気中で横方向に3.4倍延伸した。その後テンター内で160℃に加熱された雰囲気中で約20秒間熱固定を行い、室温まで冷やしてフィルムを得た。得られたフィルムの特性及び成型性評価などを前述の方法で評価し、その結果を表1に示した。
[比較例1〜2]
実施例1において延伸倍率及び熱固定温度、フィルムの厚みを変更した以外は、実施例1と同様にし、フィルムを得た。得られたフィルムの特性及び成型性評価などを前述の方法で評価し、その結果を表1に示した。
Figure 2013091172
表1記載の符号を以下に説明する。
PET:ポリエチレンテレフタレート
PEN:ポリエチレンナフタレート
本発明によれば、成形温度が高い樹脂を射出成型用樹脂とするインモールド成型時にフィルムが破れたり皺が発生することなく、美麗な外観を有する樹脂成型品を得るために好適なインモールド転写用基材フィルムを提供することができる。
1 可動側金型
2 額縁ブロック
3 固定側金型(可動側金型と額縁構造となる)
4 フィルム
5 成型用溶融樹脂
6 成型品本体

Claims (8)

  1. 180℃、30分間熱処理したときの熱収縮率が縦方向および横方向ともに8%以上であり、フィルムの厚みが25μm以上200μm以下であることを特徴とするインモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. フィルム縦方向の破断強度が280MPa以上、横方向の破断強度が200MPa以上であって、両方向のフィルムの5%伸び応力が110MPa以上である請求項1記載のインモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 該フィルムの融解サブピーク温度(Tsm)が140℃以上210℃以下である請求項1または2記載のインモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. 該フィルムの面配向係数が0.200以上0.280以下である請求項1〜3のいずれかに記載のインモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. ポリエチレンナフタレートを主たる構成成分とするフィルムである請求項1〜4のいずれかに記載のインモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. 180℃における縦方向と横方向の熱収縮率差が10%以下であり、かつ155℃、30分間熱処理したときの熱収縮率が縦方向および横方向ともに5%以下である請求項1〜5のいずれかに記載のインモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルム。
  7. 該フィルム上の少なくとも転写箔加工をする側にプライマー層が形成されており、該プライマー層はポリエステルフィルムの製膜工程内で塗布されたものである請求項1〜6のいずれかに記載のインモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルム。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のインモールド転写用二軸配向ポリエステルフィルムを含むインモールド転写箔。
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