JP2014226812A - ポリエステルフィルム - Google Patents

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【課題】インキや接着剤等に対して熱により変化し難い良好な剥離性を示し、しかも熱による寸法変化が小さいポリエステルフィルムを提供する。【解決手段】本発明のポリエステルフィルムは、厚み3〜50μmの延伸ポリエステルフィルムであって、フィルムの長手方向の熱収縮率が1〜8%であり、フィルムの少なくとも一方の面の(i)全反射赤外吸収法(ATR−IR法)により求めた結晶化度、(ii)全反射赤外吸収法(ATR−IR法)により求めた面配向係数、および(iii)表面自由エネルギーにおける極性力成分が、それぞれ特定の範囲である。【選択図】なし

Description

本発明は、例えばインキや接着剤等に対して高温環境下でも変化し難い良好な剥離性を示し、しかも高温環境下における寸法変化が小さいポリエステルフィルムであり、例えば転写用の工程紙や離型紙等の用途に有用なフィルムに関する。
ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムは、紙と比較して破れにくく、また水などによる強度の低下も少ないことから、転写用の工程紙や離型紙として利用されている。このような用途においては、フィルムにインキや接着剤が塗工された後、インキや接着剤に含まれる溶剤を除去するため乾燥させ、場合によってはさらにエージング処理が施される。転写用または剥離用のフィルムとしては、インキや接着剤とフィルムとの密着性が適度に制御されていること(換言すれば剥離性に優れること)が必要であるが、これに加え、乾燥やエージングの際の条件が変わっても密着性(剥離性)が一定に保たれること(剥離安定性)、および乾燥やエージング時の熱によるフィルムの寸法変化が生じ難いこと(寸法安定性)が要求される。
転写用または剥離用のポリエステルフィルムとしては、これまでに、ポリエステルフィルムの表層に熱などにより剥離力の変化しにくい特定の樹脂を塗設した離型性フィルム(特許文献1)や、ポリエステルフィルムと熱接着可能な樹脂層との間に、凝集破壊し易い特定の樹脂組成物を介在させた積層フィルム(特許文献2)が知られている。
特開昭57−133058号公報 特開平01−202449号公報
しかしながら、特許文献1、2のフィルムはいずれも、基材とするポリエステルフィルムに所定の樹脂からなる表層を積層するものであり、ポリエステル樹脂とそれ以外の樹脂成分(表層成分)を用いて形成されている。そのため、使用後にポリエステルを回収する際に表層成分が混入してしまうという問題や、さらに、製造工程が煩雑であったり、製品を安定的に製造し難いといった問題を有していた。
そこで、特許文献1、2のようにポリエステルフィルムに所定の層を積層することを必須とした積層フィルムではなく、回収を考慮してポリエステル樹脂のみから形成されていたり、製造工程の煩雑さや安定性を考慮して単層で形成されていたとしても、剥離安定性や寸法安定性を具備しうる新たな転写用または剥離用のポリエステルフィルムが求められている。
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、インキや接着剤等に対して熱により変化し難い良好な剥離性を示し、しかも熱による寸法変化が小さいポリエステルフィルムを提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明のポリエステルフィルムとは、厚み3〜50μmの延伸ポリエステルフィルムであって、フィルムの長手方向の熱収縮率が1〜8%であり、フィルムの少なくとも一方の面が下記(i)〜(iii)の条件を満足する点に要旨を有するものである。
(i)全反射赤外吸収法(ATR−IR法)により求めた結晶化度が1.25以上であること
(ii)全反射赤外吸収法(ATR−IR法)により求めた面配向係数が0.2〜0.25であること
(iii)表面自由エネルギーにおける極性力成分が10〜16mJ/m2であること
本発明では、フィルム表面の結晶化度および面配向係数が通常よりも大きい所定の範囲に制御されているので、熱による剥離性の変化を抑制することが可能になり、しかも表面自由エネルギーにおける極性力成分は通常よりも小さい所定範囲に制御されているので、良好な剥離性を実現することが可能になる。
本発明のポリエステルフィルムは、好ましくは二軸延伸フィルムである。
本発明によれば、ポリエステルフィルム表面に他の樹脂層(熱による剥離力の変化を起こし難い樹脂や、凝集破壊し易い樹脂など)を積層しなくても、インキや接着剤等に対して熱により変化し難い良好な剥離性を示し、しかも熱による寸法変化が小さいポリエステルフィルムを提供することができる。このような本発明のポリエステルフィルムは、表層の積層工程を必要としないので、簡略で安定した製造が可能であり、しかも転写用途や剥離用途に使用した後にポリエステルを回収する際、表面の樹脂が混入することがなく、回収利用が容易であるという利点を有する。
1.ポリエステルフィルムの特性
本発明のポリエステルフィルムは、厚みが3〜50μmである。厚みがこの範囲であれば、転写用の工程紙や離型紙等の用途に好適に使用できる。フィルム厚みの下限は好ましくは5μmであり、より好ましくは10μmである。一方、フィルム厚みの上限は好ましくは45μmであり、より好ましくは40μmである。フィルム厚みが薄すぎたり、逆に厚すぎたりすると、例えば上記用途において作業性が低下することがある。
本発明の延伸ポリエステルフィルムは、フィルムの長手方向の熱収縮率が1〜8%である。フィルムの長手方向の熱収縮率がこの範囲であれば、転写用または剥離用のフィルムとして使用したときの乾燥やエージングにより寸法変化が生じるのを防止できる。フィルムの長手方向の熱収縮率の下限は好ましくは1.1%であり、より好ましくは1.2%である。一方、フィルムの長手方向の熱収縮率の上限は好ましくは7.5%であり、より好ましくは7%である。フィルムの長手方向の熱収縮率が前記範囲よりも大きすぎると、各種加工工程でのピッチずれなどが発生し、外観低下を招くことがある。フィルムの長手方向の熱収縮率は小さいほどよいが、前記範囲より小さくしても、それ以上の寸法安定性向上効果は見込めない。なお本発明において「フィルムの長手方向の熱収縮率」は、150℃、15分間の加熱条件で測定される値とする。
本発明の延伸ポリエステルフィルムの長手方向の熱収縮率を前記範囲に制御するには、フィルムの熱固定(特に、厚み方向中央部の熱固定)を十分に行うことが肝要であり、それには延伸倍率(特に一軸目延伸の延伸倍率)、熱固定温度、リラックス率を後述する範囲で行うなどすればよい。
本発明の延伸ポリエステルフィルムは、[長手方向の熱収縮率]−[幅方向の熱収縮率]の値が8%以下であることが好ましく、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは6%以下である。この値(熱収縮率の差)が前記範囲であれば、熱による剥離力の変化をより抑え易くなる。
本発明の延伸ポリエステルフィルムは、少なくとも一方の面が下記(i)〜(iii)の条件を全て満足するものである。下記(i)〜(iii)を全て満足すると、良好な剥離性を発現し、しかも熱による剥離力の変化を抑制することが可能になる。
(i)全反射赤外吸収法(ATR−IR法)により求めた結晶化度が1.25以上であること
(ii)全反射赤外吸収法(ATR−IR法)により求めた面配向係数が0.2〜0.25であること
(iii)表面自由エネルギーにおける極性力成分が10〜16mJ/m2であること
上記(i)の結晶化度の下限は好ましくは1.255、より好ましくは1.26であり、上限は好ましくは1.4、より好ましくは1.395、さらに好ましくは1.39である。結晶化度が1.25未満であると、高温時にフィルム表面の結晶化状態が変化しやすく、剥離力が不安定となる。一方、結晶化度が1.4を超えても、さらなる剥離力の安定化効果は期待できず、むしろ脆くなり生産性が低下するといった不都合を招くことがある。なお、上記(i)の結晶化度は、例えば実施例で後述する方法で測定することができる。
上記(ii)の面配向係数の下限は好ましくは0.201、より好ましくは0.202であり、上限は好ましくは0.249、より好ましくは0.248である。面配向係数が0.200未満であると、高温時にフィルム表面の結晶化状態が変化しやすく、剥離力が不安定となる。一方、面配向係数が0.250を超えると、剥離力が低下する傾向になるとともに、特に熱により剥離力が変化し易くなる。なお、上記(ii)の面配向係数は、例えば実施例で後述する方法で測定することができる。
フィルムを作製する場合、通常、延伸後に熱安定性付与のための熱固定処理が施されるが、このときフィルムの表面と厚み方向中央部とを比べると圧倒的に表面部分に大きな熱量が加わることになる。フィルム厚み方向中央部にかかる熱量が少ないと、フィルム内部の結晶化が不十分となり熱収縮性が増大することになるので、熱固定処理はフィルム厚み方向中央部にも十分な熱を与えられるように行われる。しかし、そうすると、フィルム表面には過大な熱がかかることになるので、フィルム表面における結晶化度および面配向は低下する傾向となり前記範囲を外れやすくなる。したがって、上記(i)の結晶化度および上記(ii)の面配向係数を大きくし前記範囲内に保つには、例えば延伸倍率を後述の範囲にするなどして、フィルムの厚み方向中央部がより少量の熱量で結晶化しうるように工夫した上で、熱固定処理における熱量を少なくすればよい。
上記(iii)の表面自由エネルギーの極性力成分の下限は好ましくは10.5mJ/m2、より好ましくは11mJ/m2であり、上限は好ましくは15.5mJ/m2であり、より好ましくは15mJ/m2である。表面自由エネルギーの極性力成分が16mJ/m2を超えると、フィルム表面の極性基間の相互作用により接着性が高まるため、結果として剥離性が低下することになる。一方、表面自由エネルギーの極性力成分が10mJ/m2未満であると、逆に剥離性が高くなりすぎて、フィルムとインキや接着剤等との密着性が不足することになり、転写用の工程紙や離型紙等の用途での使用に適さないことがある。なお、上記(iii)の表面自由エネルギーの極性力成分は、例えば実施例で後述する方法で測定することができる。
上記(iii)の表面自由エネルギーの極性力成分を前記範囲に制御するには、例えば、熱固定処理の際の処理時間を調整すればよく、熱固定処理時間を短くすると、表面自由エネルギーの極性力成分は小さくなる傾向となる。また、熱固定温度を低くすると、表面自由エネルギーの極性力成分は小さくなる傾向となる。ただし、表面自由エネルギーを小さく抑えるべく低温かつ短時間で熱固定を行うと、フィルムの結晶化の程度が小さくなり過ぎて熱収縮率が大きくなるなどの問題が起こることがあるので、その場合には、後述のように一軸目の延伸の倍率を比較的高い倍率で行うのが好ましい。
本発明の延伸ポリエステルフィルムの剥離性は、例えば後述する実施例の初期剥離率で評価できる。この初期剥離率は、少なくとも50%以上であることが好ましく、より好ましくは55%以上、さらに好ましくは60%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは100%である。初期剥離率が50%未満であると、転写性や離型性が不十分で実用に適さない虞がある。
本発明の延伸ポリエステルフィルムの剥離安定性は、例えば後述する実施例の剥離性変化率で評価できる。この剥離性変化率は、その絶対値が、少なくとも50%以下であることが好ましく、より好ましくは45%以下、さらに好ましくは40%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下、最も好ましくは0%である。剥離性変化率が50%を超えると、転写性や離型性が不十分で実用に適さない虞がある。
本発明の延伸ポリエステルフィルムは、ヘイズ値が0.5%以上、20%以下であることが好ましく、より好ましくは0.7%以上、19%以下であり、さらに好ましくは0.8%以上、18%以下である。ヘイズ値が小さすぎると、傷などが目立ちやすく生産性が低下することがあり、一方、ヘイズ値が大きすぎると、透明性が低下し、透明性が求められる用途での使用が制限されることがある。
本発明のポリエステルフィルムは、単層フィルムであってもよいし、積層フィルムであってもよいが、少なくともフィルム(単層または積層)を構成する樹脂の全てがポリエステル樹脂であることが望ましい。このようにポリエステル樹脂のみからなるフィルムであれば、単層フィルムであっても積層フィルムであっても、転写用途や剥離用途に使用した後にポリエステルを回収する際、表面の樹脂が混入することがなく、回収利用が容易になる。特に、本発明のポリエステルフィルムが単層フィルムであると、積層工程を必要としないので、簡略で安定した製造が可能になる点で、より好ましい。
なお、ポリエステル樹脂のみから形成される積層フィルムの例としては、例えば、第一のポリエステル樹脂で形成される基材層と、該基材層を挟むように第二のポリエステル樹脂(第一のポリエステル樹脂とは異なる)で形成される2つの表層とからなる積層フィルムが挙げられる。このような積層フィルムは、各層がいずれもポリエステル樹脂で構成されるので、例えば共押出し法により簡略で安定して製造できる。
2.ポリエステルフィルムの形成材料
本発明のポリエステルフィルムの原料とするポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのテレフタル酸を原料とするポリエステル樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレンナフタレート(PPN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)などのナフタレンジカルボン酸を原料とするポリエステル樹脂、およびこれらに他の成分(例えば、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の多価カルボン酸類;ジエチレングリコール、プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ダイマージオール、水添ダイマージオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコール類;等)を共重合させた各種ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、PET、PBT、PEN、およびこれらに他の成分を共重合させたポリエステル樹脂が好ましく、PET、PBTがより好ましく、PETがさらに好ましい。
前記ポリエステル樹脂の融点は、一般的な使用温度を考慮すると、200℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましく、260℃以上がさらに好ましい。ポリエステル樹脂の融点が200℃未満であると、熱安定性が低下し、各種加工における熱履歴により収縮やたるみなどが生じる虞がある。
本発明の延伸ポリエステルフィルムを形成する原料組成物には、各種の機能性付与のために、前記ポリエステル樹脂とともに、他の樹脂を含有させることもできる。他の樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂などが好ましく挙げられる。その他の樹脂の含有量は、ポリエステル樹脂を含む原料組成物100質量%に対して、0.5〜50質量%の範囲であることが好ましい。0.5質量%未満では目的に対して効果が小さく、50質量%を超えると、ポリエステル樹脂本来の特性が損なわれる虞がある。
なお本発明の延伸ポリエステルフィルムの原料として使用する上述した各種樹脂として、フィルム製膜時に発生する製品にならない部分から回収した樹脂を再利用することも好ましい態様である。
本発明の延伸ポリエステルフィルムを形成する原料組成物には、滑り性を付与する目的で、滑剤を含有させることができる。
滑剤としては、特に制限はなく、従来公知の無機系滑剤または有機系滑剤等を用いることができるが、中でも、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナなどの無機系滑剤が好ましく、シリカ、炭酸カルシウムがより好ましく、シリカがさらに好ましい。滑剤の粒子径の下限は、好ましくは0.1μm、より好ましくは0.5μmであり、上限は好ましくは20μm、より好ましくは15μm、さらに好ましくは10μmである。滑剤の粒子径が小さすぎると、滑り性の付与効果が得られにくくなることがあり、一方、大きすぎると、滑り性が向上する半面、フィルムの透明性が低下する傾向がある。なお滑剤は、不定形であってもよいし、球状、楕円球状、金平糖状、薄板状、針状等の任意の形状であってもよい。
滑剤の含有量は、フィルムを形成する原料組成物中、好ましくは10ppm(質量基準、以下同様)以上であり、より好ましくは20ppm以上であり、さらに好ましくは30ppm以上である。滑剤の含有量が少なすぎると、滑り性が十分に得られず、フィルムの実用性が低くなることがある。一方、滑剤の含有量の上限は、好ましくは10000ppmであり、より好ましくは8000ppmであり、さらに好ましくは5000ppmである。滑剤の含有量が多すぎると、フィルムの透明性が低下することがある。
3.製造方法
以下、本発明の延伸ポリエステルフィルムの好ましい製造方法について説明するが、それらは一例であり、本発明の延伸ポリエステルフィルムは以下の製造方法で得られたものに限定される訳ではない。
本発明の延伸ポリエステルフィルムは、例えばポリエステル樹脂を含む原料組成物を溶融させた後、ダイから冷却ロール上にシート状に押出して未延伸フィルムを作製した後、この未延伸フィルムを延伸し、熱固定処理することで得られる。
3.1未延伸フィルムの作製
原料組成物を溶融させる際の樹脂溶融温度は、樹脂融点等に応じて適宜設定すればよいが、下限は好ましくは220℃、より好ましくは230℃、さらに好ましくは240℃であり、上限は好ましくは320℃、より好ましくは315℃、さらに好ましくは310℃、特に好ましくは300℃である。樹脂溶融温度が低すぎると、溶融粘度が高くなり、吐出(押出し)が困難になることがあり、一方、高すぎると、ポリエステル樹脂が熱分解を起こし分子量低下などを生じることがある。
ダイの設定温度(ダイ温度)の下限は好ましくは250℃、より好ましくは255℃、さらに好ましくは260℃であり、上限は好ましくは350℃、より好ましくは340℃、さらに好ましくは330℃である。ダイ温度が低すぎると、溶融粘度が高くなり、吐出(押出し)が困難になることがあり、一方、高すぎると、ポリエステル樹脂が熱分解を起こし分子量低下などを生じることがある。
冷却ロールの設定温度(冷却ロール温度)の下限は好ましくは2℃、より好ましくは5℃、さらに好ましくは10℃であり、上限は好ましくは80℃、より好ましくは50℃、さらに好ましくは40℃である。冷却ロール温度が低すぎると、結露が生じて工程中の汚れの原因となることがあり、一方、高すぎると、冷却化が不足し、結晶化が進む結果、延伸性が低下して厚み不良となる虞がある。
未延伸フィルムを作製する際のキャスト速度の下限は好ましくは2m/分、より好ましくは5m/分であり、上限は好ましくは120m/分、より好ましくは110m/分、さらに好ましくは100m/分である。キャスト速度が遅すぎると、生産性が低下する傾向があり、一方、速すぎると、キャストが不安定化する傾向がある。
こうして得られた未延伸フィルムの厚み(キャスト厚み)の下限は好ましくは45μm、より好ましくは50μm、さらに好ましくは60μmであり、上限は好ましくは1250μm、より好ましくは1000μm、さらに好ましくは800μmである。未延伸フィルムの厚みが薄すぎると、続く延伸を二軸で行うことが難しくなることがあり、一方、厚すぎると、フィルム内部(厚み方向の中心部)の冷却が不十分となり、熱収縮率の増大といった不都合が生じることがある。
3.2延伸
本発明のポリエステルフィルムは、好ましくは二軸延伸フィルムである。よって、未延伸フィルムの延伸は、通常、二軸延伸で行われる。延伸方法としては、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれであってもよい。逐次二軸延伸の場合は、フィルムの長手方向(MD方向)に延伸した後に幅方向(TD方向)に延伸してもよいし、幅方向(TD方向)に延伸後に長手方向(MD方向)に延伸してもよい。本発明においては、逐次二軸延伸で最初に行う延伸を「一軸目延伸」、引き続いて行う一軸目と垂直方向の延伸を「二軸目延伸」と称することがある。
本発明では、同時または逐次二軸延伸の後、長手方向や幅方向(逐次延伸の場合、好ましくは二軸目延伸の方向と垂直な方向)に更に延伸を施してもよい。逐次二軸延伸や、同時または逐次二軸延伸の後に更に延伸を施す場合のように多段で延伸を行うと、例えば一軸目の延伸の方向において一軸配向が均一となり、当該一軸目の延伸の方向の品位が向上するので、剥離性が一層高まるとともに、その高温時の変化をより抑制し易くなる。
延伸条件(予熱温度、延伸温度、延伸倍率など)は、一軸目延伸か二軸目延伸かに応じて適宜設定設すればよい。一軸目延伸および二軸目延伸の際の詳細な条件について以下に説明する。なお延伸時の加熱方法は、一軸目延伸、二軸目延伸にかかわらず、熱風加熱方式、ロール加熱方式、赤外加熱方式など従来公知の手段を採用することができる。
3.2.1一軸目延伸
一軸目延伸の予熱温度の下限は好ましくは30℃、より好ましくは40℃であり、上限は好ましくは200℃、より好ましくは150℃である。一軸目延伸の予熱温度が低すぎると、予熱が不十分となり、延伸が困難となる虞があり、一方、高すぎると、結晶化してしまい、延伸が困難となる虞がある。
一軸目延伸の延伸温度の下限は好ましくは50℃、より好ましくは55℃、さらに好ましくは60℃であり、上限は好ましくは150℃、より好ましくは145℃、さらに好ましくは140℃である。一軸目延伸の延伸温度が低すぎると、樹脂が軟化せず、延伸が困難となる虞があり、一方、高すぎると、結晶化してしまい、延伸が困難となる虞がある。
一軸目延伸の延伸速度の下限は好ましくは100%/分、より好ましくは200%/分であり、上限は好ましくは100000%/分、より好ましくは90000%/分、さらに好ましくは80000%/分である。一軸目延伸の延伸速度が遅すぎると、生産性が低下する傾向となり、一方、高すぎると、製膜安定性が低下する傾向となる。
一軸目延伸の延伸倍率の下限は好ましくは3.8倍、より好ましくは3.85倍、さらに好ましくは3.9倍であり、上限は好ましくは4.5倍、より好ましくは4.4倍、さらに好ましくは4.35倍である。このように一軸目延伸を比較的高い倍率で行うと、フィルムの厚み方向中央部をより少ない熱量で結晶化させることができるので、後述する熱固定処理を比較的低温条件で行うことにより、フィルム表面の結晶化を崩すことなく、フィルム内部まで十分に結晶化させることが可能になる。一軸目延伸の延伸倍率が低すぎると、フィルム厚み方向中央部の結晶化度が低下する傾向となり、二軸目延伸以後の延伸条件や熱固定処理温度などを調節してもフィルム表面の結晶化度の制御が困難になる結果、特に乾燥やエージング条件変更時に剥離性の変化が大きくなることがある。一方、一軸目延伸の延伸倍率が高すぎると、フィルムの破断が起こりやすくなり、製膜時の生産性の低下することがある。
3.2.2二軸目延伸
二軸目延伸の予熱温度の下限は好ましくは30℃、より好ましくは40℃、さらに好ましくは50℃であり、上限は好ましくは150℃、より好ましくは145℃、さらに好ましくは140℃である。二軸目延伸の予熱温度が低すぎると、温度上昇が不十分で、延伸が困難となる虞があり、一方、高すぎると、結晶化してしまい、延伸が困難となる虞がある。
二軸目延伸の延伸温度の下限は好ましくは50℃、より好ましくは55℃、さらに好ましくは60℃であり、上限は好ましくは180℃、より好ましくは175℃、さらに好ましくは170℃である。二軸目延伸の延伸温度が低すぎると、樹脂が軟化せず、延伸が困難となる虞があり、一方、高すぎると、結晶化してしまい、延伸が困難となる虞がある。
二軸目延伸の延伸速度の下限は好ましくは10%/分、より好ましくは20%/分であり、上限は好ましくは100000%/分、より好ましくは90000%/分、さらに好ましくは80000%/分である。二軸目延伸の延伸速度が遅すぎると、生産性が低下する傾向となり、一方、高すぎると、製膜安定性が低下する傾向となる。
二軸目延伸の延伸倍率の下限は好ましくは3.5倍、より好ましくは3.6倍、さらに好ましくは3.7倍であり、上限は好ましくは5倍、より好ましくは4.8倍、さらに好ましくは4.5倍である。二軸目延伸の延伸倍率が低すぎると、製膜時の生産性が低下するほか、フィルムの厚みに斑が生じる虞があり、一方、高すぎると、一軸目の配向が破壊されることで表面の結晶化度が低くなり、乾燥やエージング条件変更時に剥離性変化が大きくなることがある。
3.3熱固定処理
延伸されたフィルムには、通常、熱固定処理が施される。
熱固定処理の際の温度(熱固定温度)の下限は好ましくは130℃、より好ましくは140℃、さらに好ましくは150℃であり、上限は好ましくは230℃、より好ましくは220℃、さらに好ましくは200℃である。熱固定温度が低すぎると、熱収縮率が大きくなる傾向となるため前記範囲に制御し難くなり、その結果、各種加工工程での寸法安定性不良を招く虞がある。一方、熱固定温度が高すぎると、フィルム表面の結晶が熱により溶融・崩壊して、フィルム表面の結晶化度および面配向係数が小さくなる傾向となるため前記範囲に制御し難くなり、その結果、乾燥やエージング条件変更時に剥離性変化が大きくなる虞がある。
なお熱固定の強度は、熱固定温度、熱固定処理時間、加熱手段(熱風加熱の場合は風速など、赤外線加熱の場合は照射強度など)により決まるのであり、上述した熱固定温度だけで一義的に決まるものではない。したがって、熱固定温度とともに、例えば製膜速度や加熱ゾーン長などを適宜調整することが好ましい。また生産性の観点からは、熱固定温度を許容される範囲の中で比較的高めに設定しつつ熱固定処理時間を短くすることも好ましい。
熱固定処理を行う際には、その加熱中もしくは加熱前後に、フィルムを緩和させることもできる。緩和の方向は、フィルムの幅方向であってもよいし、長手方向であってもよいが、好ましくは幅方向である。リラックス率の下限は好ましくは0%、より好ましくは0.5%、さらに好ましくは1.0%であり、上限は好ましくは20%、より好ましくは10%である。リラックス率が高すぎると、リラックス中にたるみが発生し、厚み精度を損なう虞があるので、リラックス率は、熱収縮率と合わせて勘案される。
本発明のポリエステルフィルムは上述したように、必要に応じて、各層がポリエステル樹脂からなる積層フィルムとすることができる。積層フィルムの場合、易剥離を目的とする面と異なる側の面に配される層を、帯電防止性、接着性、耐傷付き性などを付与する機能性膜とすることができる。
基材となる単層ポリエステルフィルムに表層となるポリエステル膜(例えば上記機能性膜など)を積層して、積層フィルムとする場合、例えば所定の目的に応じた塗工液を、延伸完了後の延伸ポリエステルフィルムまたは延伸完了前の未延伸ポリエステルフィルムに塗工すればよい。製造工程の簡略化の面では未延伸フィルムに塗工しておくのが有利である。塗工方法としては、例えば、バーコート、ロールコート、スプレーコートなどの各種方法を採用できる。塗工時の厚み(塗工厚み)は、最終的な厚み(二軸延伸後の厚み)が、好ましくは1nm以上100nm以下、より好ましくは2nm以上80nm以下となるようにすればよい。各種膜の最終的な厚みが薄すぎると、膜を設ける目的が達成され難くなり、一方、厚すぎると、形成した膜が削れ易くなるなどの問題が発生することがある。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例等によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
なお、下記実施例、比較例における各種物性の測定および得られたフィルムの評価は以下の測定で行った。
(ポリエステルの極限粘度)
ポリエステル0.1gをフェノール/テトラクロロエタン(容積比:3/2)の混合溶媒25mL中に溶解させ、30℃でオストワルド粘度計を用いて測定した。
(未延伸フィルムまたは延伸フィルムの厚み)
JIS−Z−1702準拠の方法で測定した。
(熱収縮率)
試験温度を150℃、加熱時間を10分間としたこと以外は、JIS−C−2318記載の昇温時寸法安定性試験法に従い、フィルムの長手方向(MD方向)および幅方向(TD)における熱収縮率を測定した。
(結晶化度・面配向係数)
延伸フィルムの一方の面(フィルムのいずれか一方の面がコロナ処理をされている場合には、非コロナ処理面)について、下記条件で全反射赤外吸収測定(FT−IR ATR測定)を行った。
vFT−IR装置:Bio Rad DIGILAB社製「FTS−60A/896」
1回反射ATRアタッチメント:SPECAC社製「golden gate MKII」
内部反射エレメント:ダイヤモンド
入射角:45°
分解能:4cm-1
積算回数:128回
結晶化度は、1340cm-1付近に現れる吸収と、1410cm-1付近に現れる吸収の強度比(1340cm-1/1410cm-1)により算出した。ここで1340cm-1はエチレングリコールのCH2(トランス構造)の変角振動による吸収であり、1410cm-1は結晶、配向とは無関係の吸収である。
面配向係数は、表層配向の緩和度を示すものであり、上記測定で得られたスペクトルにおいて1340cm-1付近に現れる吸収(エチレングリコールのCH2(トランス構造)の変角振動)における各方向の吸収係数(Kx、Ky、Kz)を求め、式:2Kz/(Kx+Ky)に基づき算出した。ここで、KxはMD方向、KyはTD方向、Kzは厚み方向の吸収係数をそれぞれ示す。なお、1410cm-1付近に現れる吸収(帰属不明)は配向の状態にかかわらず変化しないことから、1340cm-1の吸収を割り返して規格化した。
なお、本発明における面配向係数(表層配向の緩和度)については、値が小さいほど、厚み方向の吸光係数が小さい、あるいは、面方向の吸光係数が大きい、ことを示すことから、面配向(フィルム面に対する分子鎖の配向)の程度が強いことを意味する。逆に、面配向係数の値が大きいほど、面配向の程度が弱い、あるいは、面配向が緩和していることを意味する。
(表面自由エネルギーにおける極性力成分)
延伸フィルムの一方の面(フィルムのいずれか一方の面がコロナ処理をされている場合には、非コロナ処理面)について、接触角計(協和界面科学社製「表面エナジー解析装置 CA−X」)を用いて、20℃、65%RHの条件下で、測定面に接する水の接触角θwと、測定面に接する2ヨウ化メチレンの接触角θyとを測定し、得られた測定値からWuの式に基づき、表面自由エネルギーの極性力成分(mJ/m2)を算出した。なお、算出(解析)には、前記表面エナジー解析装置の解析ソフト中のWuの方法を用いた。
(ヘイズ)
得られた延伸フィルムの異なる箇所3ヶ所について、JIS−K−7105に準じた方法で、ヘイズメーター(日本電色社製「NDH2000」)を用いてヘイズ(%)を測定し、それらの平均値を延伸フィルムのヘイズ値とした。
(初期剥離率・加熱後剥離率)
初期剥離率については得られた延伸フィルムを、加熱後剥離率については120℃で1時間加熱した後の延伸フィルムをそれぞれ試験サンプルとし、各試験サンプルの上に、共重合ポリエステル樹脂(東洋紡株式会社製「バイロン(登録商標)樹脂200SS」)を乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布し、100℃のオーブン中で5分乾燥した。その後、共重合ポリエステル樹脂塗布面に切り込みを入れて、1mm×1mmの碁盤目を100個作製し、この碁盤目部分にセロハン製粘着テープ(ニチバン社製「セロテープ(登録商標)」)を強く圧着させて、テープの端を90°の角度で一気に引き剥がす碁盤目剥離試験を実施し、剥離した割合(100個の碁盤目のうち剥離した碁盤目の数)を剥離率(%)とした。
(剥離性変化率)
剥離性変化率は、初期剥離率および加熱後剥離率から下記式に基づき算出した。
剥離性変化率(%)=[(初期剥離率−加熱後剥離率)/初期剥離率]×100
(実施例1)
ポリエチレンテレフタレート(極限粘度:0.63dl/g、滑材としてシリカ(富士シリシア化学社製「サイリシア」;グレード:310P、形状:不定形、平均粒径:2.7μm)を600ppm含有)を、120℃で24時間減圧乾燥(1.3hPa)した後、単軸押出機を用いて樹脂温度285℃で溶融させ、これをダイ温度285℃で38cm幅のTダイより25℃の冷却ロール(周速50m/分)上へ8m/分の速度でキャストし、冷却ロール周面に対向するように設置した直径30μmのタングステンワイヤー電極から7.2kVの電圧を印加して0.2mAの電流を流すことにより冷却ロールに静電密着させて、厚み(中央部)が200μmの未延伸フィルムを得た。
次に、得られた未延伸フィルムを、長手方向(MD方向)に縦延伸した後、幅方向(TD方向)に横延伸して、延伸ポリエステルフィルムを作製した。具体的には、未延伸フィルムを予熱温度(ロール温度)120℃で予熱した後、延伸温度110℃で長手方向に4.3倍に縦延伸し、その後、延伸温度100℃で幅方向に4.0倍に横延伸し、次いで、幅方向のリラックス率を2.0%として200℃で熱固定処理を行い、延伸ポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの特性を表1に示す。
(実施例2、3)
延伸後の熱固定処理の温度(熱固定温度)を表1に記載のように変更したこと以外、実施例1と同様にして、延伸ポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの特性を表1に示す。
(実施例4)
ポリエチレンテレフタレート(極限粘度:0.63dl/g、滑材としてシリカ(富士シリシア化学社製「サイリシア」;グレード:310P、形状:不定形、平均粒径:2.7μm)を1000ppm含有)を、120℃で24時間減圧乾燥(1.3hPa)した後、単軸押出機を用いて樹脂温度280℃で溶融させ、これをダイ温度280℃で38cm幅のTダイより25℃の冷却ロール(周速50m/分)上へ5.5m/分の速度でキャストし、冷却ロール周面に対向するように設置した直径30μmのタングステンワイヤー電極から7.2kVの電圧を印加して0.2mAの電流を流すことにより冷却ロールに静電密着させて、厚み(中央部)が200μmの未延伸フィルムを得た。
次に、得られた未延伸フィルムを、幅方向(TD方向)に横延伸した後、長手方向(MD方向)に縦延伸して、延伸ポリエステルフィルムを作製した。具体的には、未延伸フィルムを予熱温度(ロール温度)100℃で予熱した後、延伸温度90℃で幅方向に3.8倍に横延伸し、その後、延伸温度100℃で長手方向に3.9倍に縦延伸し、次いで、幅方向のリラックス率を1.6%として180℃で熱固定処理を行い、延伸ポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの特性を表1に示す。
(実施例5)
未延伸フィルムの作製条件、延伸条件および熱固定処理条件を、表1に記載のように変更したこと以外、実施例4と同様にして、延伸ポリエステルフィルムを得た。なお、炭酸カルシウム(滑材)としては、平均粒径0.88μmの合成炭酸カルシウム(白石カルシウム社製「ブリリアント(登録商標)1500」)を用いた。
得られたフィルムの特性を表1に示す。
(実施例6)
ポリエチレンテレフタレート(極限粘度:0.63dl/g、滑材としてシリカ(富士シリシア化学社製「サイリシア」;グレード:310P、形状:不定形、平均粒径:2.7μm)を700ppm含有)を、120℃で24時間減圧乾燥(1.3hPa)した後、単軸押出機を用いて樹脂温度280℃で溶融させ、これをダイ温度285℃で38cm幅のTダイより20℃の冷却ロール(周速50m/分)上へ10m/分の速度でキャストし、冷却ロール周面に対向するように設置した直径30μmのタングステンワイヤー電極から7.2kVの電圧を印加して0.2mAの電流を流すことにより冷却ロールに静電密着させて、厚み(中央部)が220μmの未延伸フィルムを得た。
次に、得られた未延伸フィルムを、幅方向(TD方向)に横延伸した後、長手方向(MD方向)に縦延伸し、その後さらに幅方向(TD方向)に横延伸して、延伸ポリエステルフィルムを作製した。具体的には、未延伸フィルムを予熱温度(ロール温度)100℃で予熱した後、延伸温度95℃で幅方向に3.9倍に横延伸し、幅方向のリラックス率を5%として90℃で処理した後、次いで、延伸温度100℃で長手方向に3.8倍に縦延伸し、次いで再度、延伸温度120℃で幅方向に1.2倍に横延伸し、次いで、幅方向のリラックス率を3.0%として220℃で熱固定処理を行い、延伸ポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの特性を表1に示す。
(比較例1〜9)
未延伸フィルムの作製条件、延伸条件および熱固定処理条件を、表2に記載のように変更したこと以外、実施例1と同様にして、延伸ポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの特性を表2に示す。
(比較例10〜14)
未延伸フィルムの作製条件、延伸条件および熱固定処理条件を、表3に記載のように変更したこと以外、実施例4と同様にして、延伸ポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの特性を表3に示す。
Figure 2014226812
Figure 2014226812
Figure 2014226812
本発明のポリエステルフィルムは、インキや接着剤等に対して熱により変化し難い良好な剥離性を示し、しかも熱による寸法変化が小さいので、転写用または剥離用のフィルムとして用いる際に乾燥やエージング時の条件が変わったり、さらには保存中等に熱が加わったりしても、良好な剥離安定性および寸法安定性を保持することができ、転写用の工程紙や離型紙などとして好適である。

Claims (2)

  1. 厚み3〜50μmの延伸ポリエステルフィルムであって、
    フィルムの長手方向の熱収縮率が1〜8%であり、
    フィルムの少なくとも一方の面が下記(i)〜(iii)の条件を満足することを特徴とするポリエステルフィルム。
    (i)全反射赤外吸収法(ATR−IR法)により求めた結晶化度が1.25以上であること
    (ii)全反射赤外吸収法(ATR−IR法)により求めた面配向係数が0.2〜0.25であること
    (iii)表面自由エネルギーにおける極性力成分が10〜16mJ/m2であること
  2. 二軸延伸フィルムである請求項1に記載のポリエステルフィルム。
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